説明

流体用配管及びそれを用いた熱交換器

【課題】ロウ付けやネジ止めや銅管拡管などを用いずコンパクトで簡単な構成で、流体の洩れない流体用配管及びそれを用いた熱交換器を提供すること。
【解決手段】第一の配管4と、第二の配管5と、前記第一の配管4と前記第二の配管5との端面の突き合わせ部の外周を覆うように配設した弾性体3aと、前記弾性体3aの外周を径方向に圧縮するように配設した弾性体固定具3bとから構成される流体用配管で、ロウ付けやネジ止めや銅管拡管などを用いずコンパクトで簡単な構成で、流体の洩れない流体用配管を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内を流体が流通する配管と、それを用いた熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の配管及びそれを用いた熱交換器は、図7に示されているように、銅以外の材質の管11bの端部に弾力性もあるリング17を設け、止めリング18にて前記リング17が抜けないように固定する。
【0003】
また、銅管12bの銅管以外の材質の管接続側は拡管され、前記リング17と密着し、銅以外の材質の管11bと銅管12b内を流れる水が洩れない構成としている。なお、止めリング18は銅管13aの端部を変形させて形成させてもよいとなっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−210232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、銅以外の材質の管11bと銅管13aの接続として、銅管13aを拡管した内径に銅以外の材質の管11bを挿入する方法を用いているので、銅管の拡管加工において水の洩れないシール性を確保するために、寸法精度が必要になり高価でサイズも大きくなることや、止めリング18でリング17が抜けないように固定していても、止めリング18自身が軸方向の何処にも固定されていないので、ある一定以上の圧力が管内に働くと止めリング18自身が軸方向に移動し、リング17の位置も移動し不安定に配置されるので、水洩れのシール性も不安定になってしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ロウ付けやネジ止めや銅管拡管などを用いずコンパクトで簡単な構成で、流体の洩れない流体用配管及びそれを用いた熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の流体用配管は、第一の配管と、第二の配管と、前記第一の配管と前記第二の配管との端面の突き合わせ部の外周を覆うように配設した弾性体と、前記弾性体の外周を径方向に圧縮するように配設した弾性体固定具とから構成される流ものである。
【0008】
これによって、前記第一の配管と前記第二の配管との突き合わせ部が、前記弾性体固定具によって径方向に圧縮し固定されている前記弾性体にて覆われているので、安定かる確実に接続され、配管内の流体の洩れもなく、コンパクトで簡単な構成により、組立作業性も良く、低コストで使用性の高い流体用配管を実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロウ付けやネジ止めや銅管拡管などを用いずコンパクトで簡単な構成で、流体の洩れない流体用配管及びそれを用いた熱交換器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態における配管の接続方法の構成図
【図2】同実施の形態における接続部の断面図
【図3】同実施の形態における2重式熱交換器の上面図
【図4】同実施の形態における2重式熱交換器の略展開図
【図5】同実施の形態における2重式熱交換器の上面図
【図6】同実施の形態における接続部の断面図
【図7】従来の実施の形態における接続部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、第一の配管と、第二の配管と、前記第一の配管と前記第二の配管との端面の突き合わせ部の外周を覆うように配設した弾性体と、前記弾性体の外周を径方向に圧縮するように配設した弾性体固定具とから構成される流体用配管である。
【0012】
これによって、前記第一の配管と前記第二の配管との突き合わせ部が、前記弾性体固定具によって径方向に圧縮し固定されている前記弾性体にて覆われているので、安定かる確実に接続され、配管内の流体の洩れもなく、コンパクトで簡単な構成により、組立作業性も良く、低コストで使用性の高い流体用配管を実現することができる。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記弾性体の内径に、複数の突起をリング状に配設したことを特徴とするもので、シール面積を小さくでき、単位面積あたりの圧縮荷重大きくできるので、前記第一の配管と、前記第二の配管の突き合わせ部の流体のシール特性を向上することができる。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記弾性体固定具のどちらか一方の端部に、内方へ凸状のリブを設けたことを特徴とするもので、前記弾性体の外周に前記弾性体固定具を圧縮しながら嵌め込む時の位置決めとなり、作業性が良く確実に流体のシール長さを確保できる。
【0015】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれかの前記第一の配管及び前記第二の配管の内部に、冷媒管を配設したことを特徴とする熱交換器で、前記第一の配管、前記第二の配管の内径と、その内方に配設された冷媒管との隙間を極小にすることができるので、熱交換器の熱交換効率も向上することが実現できる。
【0016】
第5の発明は、特に、第4の発明において、前記第一の配管と、前記第二の配管の材質は、異なった材質にしたことを特徴とするもので、銅以外の材質の管を用いることで、青水による汚れを抑制することが実現できる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における配管の接続方法の構成図、図2は同実施例の形態の接続部の断面図である。図1、図2において、貯湯槽1内に水あるいはお湯を連通するために設けられた固定部2には、第一の配管4と第二の配管5の両端がロウ付け等により固定されている。固定は、ロウ付け以外の溶接やネジ止めでも構わない。
【0019】
接続部3は、第一の配管4と第二の配管5が突き合わせた状態で、弾性体3aに突き合わせ部の外周を覆うようにして接続され、さらに弾性体固定具3bによって、弾性体3a
を半径方向に圧縮して嵌め込むようにして固定されている。
【0020】
以上のように構成された接続方法について、以下その動作、作用を説明する。
【0021】
まず、第一の配管4と第二の配管5と、貯湯槽1内に連通するために設けられた固定部2と貯湯槽1とは、ロウ付けにより固定されているので、軸方向も固定される。
【0022】
また、接続部3は、接続部3は、第一の配管4と第二の配管5が突き合わせた状態で、弾性体3aに突き合わせ部の外周を覆うようにして接続され、弾性体固定具3bによって、弾性体3aを半径方向に圧縮して嵌め込むようにして固定されている。
【0023】
そのため、第一の配管4と第二の配管5が突き合わせた目は確実に接続され、固定部両端に、この第一の配管4と第二の配管5が突き合わせた目は確実に接続された配管をロウ付けすることで、軸方向も固定されるので、注湯槽内へと連通される水あるいはお湯は、半径方向と軸方向の同時をシールする構造となっているので配管の内部から外部へ洩れることはない。
【0024】
また、図2において弾性体3aの内径の形状は、複数の突起をリング状に形成したことにより、シール面積を小さくでき、単位面積あたりの圧縮荷重大きくできるので、第一の配管4と、第二の配管5の突き合わせ部の水のシール特性を向上することが実現できる。
【0025】
また、弾性体固定具3bの内径のどちらか一方の端部にリブ部3cを設けたことにより、弾性体3aの外周に弾性体固定具3bを圧縮しながら嵌め込む時の位置決めとなり、作業性が良く確実に水のシール面積を確保できる。
【0026】
また、第一の配管4と、第二の配管5の材質は、銅、SUS、アルミなどの合成の高い金属類が用いられ、内径、外径の寸法違いでも、弾性体と弾性体固定具の形状を変えることで接続が可能である。
【0027】
また、弾性体3aの材質は、簡単な形状から、柔軟性のあるゴム類を用いて、成型加工によって形成でき、配管内部の流体温度によって、フッ素、シリコン、NBRなどを使い分けできるので、安価なコストで生産することが可能である。
【0028】
また、弾性体3aは成型加工によって形成できることから、弾性体3aの外周上に凹凸部や斜めテーパー部(図示せず)を設けることができるので、弾性体固定具3bを嵌め易く抜き難い構造にすることが可能である。
【0029】
また、弾性体3a内径に挿入される第一の配管4と第二の配管5の挿入長さは、配管径に対して約70%〜約150%の長さを確保することで、挿入する組立作業性も良く外れ難い構造となるので、確実に水及びお湯などの流体の洩れを防止することができる。
【0030】
また、弾性体固定具3bは、簡単な形状から、剛性のある樹脂を用いて、成型加工によって形成できるので、安価なコストで生産できることが可能である。
【0031】
(実施の形態2)
図3は本発明の第2の実施の形態における2重管式熱交換器の上面図、図4は同実施の形態における2重管式熱交換器の略展開図、図5は同実施例の形態における2重管式熱交換器の下面図である。
【0032】
図3、4、5において、銅管以外の材質の管6a、6bは両端の銅管7a、7b、7c
、7dに、接続部3を介して接続され、銅管7a、7b、7c、7dは端部に銅製のヘッター8a、8b、8cと、U字継管10と、冷媒管ヘッダー11とを備え、検知管9aと冷媒管9bが貫通し、互いにロウ付けにて固定されている。
【0033】
図6は、本実施の形態の接続部3の断面図である。図4において、銅以外の材質の管6aの内部には冷媒管9bが挿入されており、銅管7bの接続部3は、銅以外の材質の管6aと、銅管7bの突き合わせ部の外周に覆うように弾性体3aを設け、弾性体3aの外周に覆うように接続され、さらに弾性体固定具3bによって、弾性体3aを半径方向に圧縮して嵌め込むようにして固定されている。
【0034】
以上のように構成された配管の接続方法及びそれを用いた熱交換器について、以下その動作、作用を説明する。
【0035】
図3〜図5において、高温の冷媒はC側から流入し、冷媒管9b内を通り、低温となりD側より流出する。一方、低温の水はA側から流入し、水管ヘッダー8cを経由し、検知管9aの外側で、銅管7a内を通り、銅以外の材質の管6b内、6a内を通り、銅管7a内を通り、水管ヘッダー8aと水管ヘッダー8bを経由し、B側より温水となり流出する。
【0036】
銅以外の材質の管6a、6bと銅管7a、7b、7c、7dとは、接続部3で接続されている。
【0037】
図6に接続部3の断面図を示す。銅管7bと銅以外の材質の管6aの突き合わせ部は、管内を流れる水の内圧により膨張するが、弾力性のある弾性体3aにより外周部を覆い、さらに剛性のある弾性体固定具3bによって、弾性体3aを半径方向に圧縮して嵌め込むようにして固定されているので、管内を流れる水又はお湯は、洩れることはない。
【0038】
また、弾力性のある弾性体3aと弾性体固定具3bだけでは、管軸方向に抜けることが考えられるが、次の作用により抜けることはないことが判る。図4において、検知機能付き冷媒管9は、水管ヘッダー8cを貫通し、ロウ付けにより固定されている。
【0039】
この構成は、水管ヘッダー8a側でも同じであり、これによって、水管ヘッダー8aと8c間の距離は固定される。したがって、その中間部に位置する銅以外の材質の管が抜けることはない。
【0040】
また、銅管7bの内径d1と銅以外の材質の管6aの内径D1を同一寸法にすることで検知機能付き冷媒管9の外径との隙間を最小限に設けることが可能となり、熱交換効率も向上することができる。
【0041】
また、銅以外の材質の管6a、6bを用いることで、熱交換器全体の銅使用量が非常に少なくなることから銅管表面からの銅イオンの溶出を著しく低減させることができる。
【0042】
これにより、お風呂の湯はりのお湯として使用しても、銅イオンが脂肪酸などと反応して水に不要な青色の銅石けんの生成を抑制することができ、浴槽やタイルの目地などに付着する青色の汚れの析出を低減することができる。
【0043】
また、銅以外の材質の管6a、6bを用いることで、検知機能付き冷媒管9の表面温度によっては、高耐熱用樹脂管を用いることが可能となり、総重量やコストも低減化できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明に係る流体配管及びそれを用いた熱交換器は、ヒートポンプサイクルと給湯サイクルが一体に構成された一体型ヒートポンプ式給湯機、別体に構成された分離型ヒートポンプ式給湯機、給湯用熱交換器で加熱したお湯をそのまま出湯できる直接出湯型ヒートポンプ式給湯機などの各種ヒートポンプ給湯機や貯湯式ヒートポンプ温水暖房機にも適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 貯湯槽
2 固定部
3 接続部
3a 弾性体
3b 弾性体固定具
4 第一の配管
5 第二の配管
6a 銅管以外の材質の管
6b 銅管以外の材質の管
7a 銅管
7b 銅管
7c 銅管
7d 銅管
8a 水管ヘッダー
8b 水管ヘッダー
8c 水管ヘッダー
8d 水管ヘッダー
9 検知機能付き冷媒管
9a 検知管
9b 冷媒管
10 U字継管
11 冷媒管ヘッダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の配管と、第二の配管と、前記第一の配管と前記第二の配管との端面の突き合わせ部の外周を覆うように配設した弾性体と、前記弾性体の外周を径方向に圧縮するように配設した弾性体固定具とから構成される流体用配管。
【請求項2】
前記弾性体の内径に、複数の突起をリング状に配設したことを特徴とする請求項1に記載の流体用配管。
【請求項3】
前記弾性体固定具のどちらか一方の端部に、内方へ凸状のリブを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の流体用配管。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の前記第一の配管及び前記第二の配管の内部に、冷媒管を配設したことを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
前記第一の配管と、前記第二の配管の材質は、異なった材質にしたことを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−117785(P2012−117785A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269862(P2010−269862)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】