流体用開閉弁装置
【課題】 差圧が高圧の状態と低圧の状態との両方で良好なシール性を得ることができる流体用開閉弁装置を提供すること。
【解決手段】 弁座部に対して離接することで流体通路を連通・封鎖する弁体アッセンブリ(弁体)3Aを備えた逆止弁(流体用開閉弁装置)1Aにおいて、弁体アッセンブリ3Aは、弁本体10と、軟質材料からなる低圧シール部12と、低圧シール部12よりも硬質な材料からなる高圧シール部13とを備え、流体通路が封鎖される際、該流体通路の上流側通路7と下流側通路8の差圧が比較的低圧である場合は、低圧シール部12が突起部6に密着することにより前記流体通路が封鎖され、前記差圧が比較的高圧である場合は、低圧シール部12が差圧により圧縮変形されるとともに、高圧シール部13が弁座本体4に密着することにより前記流体通路が封鎖される。
【解決手段】 弁座部に対して離接することで流体通路を連通・封鎖する弁体アッセンブリ(弁体)3Aを備えた逆止弁(流体用開閉弁装置)1Aにおいて、弁体アッセンブリ3Aは、弁本体10と、軟質材料からなる低圧シール部12と、低圧シール部12よりも硬質な材料からなる高圧シール部13とを備え、流体通路が封鎖される際、該流体通路の上流側通路7と下流側通路8の差圧が比較的低圧である場合は、低圧シール部12が突起部6に密着することにより前記流体通路が封鎖され、前記差圧が比較的高圧である場合は、低圧シール部12が差圧により圧縮変形されるとともに、高圧シール部13が弁座本体4に密着することにより前記流体通路が封鎖される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体通路を開閉する流体用開閉弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧流体通路を開閉する高圧開閉弁装置(流体用開閉弁装置)における高圧流体の弁部シール方法としては、ゴム、樹脂、金属のいずれか一種類により構成されたシール材を可動部である弁体に設け、該シール材を弁座部に着座させて流体をシールするのが一般的である。
【特許文献1】特開2002―295711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、シール材としてゴムを用いた場合、シール性はよいが、耐圧性に乏しい。例えば、流体通路の上流側通路と下流側通路の差圧が50MPa以上の高圧下では、シール材の過量な圧縮変形によるはみ出し現象によってシール不良が起こる可能性がある。
【0004】
一方、シール材として樹脂および金属を用いた場合は、前記差圧が高圧(例えば50MPa以上)下での耐圧性及びシール性の確保は容易だが、比較的低い差圧(例えば50MPa未満)ではシールが困難な場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、流体通路の上流側通路と下流側通路の差圧が高圧状態及び低圧状態の両方で良好なシール性を得ることができる流体用開閉弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流体用開閉弁装置は、弁座部と、該弁座部に離接して流体通路を連通・封鎖する弁体と、該弁体と前記弁座部との間を複数箇所にて選択的にシールする複数のシール部とを有する、流体用開閉弁装置であって、前記複数のシール部は互いに硬度が異なり、前記流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧に応じて、前記弁体と前記弁座部との間をシールするシール部が硬度の異なる他のシール部に切り替わる。
【0007】
かかる構成によれば、流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が所定の高圧状態と所定の低圧状態とで、互いに硬度(言い換えれば、弾性係数・弾性率、剛性)の異なる複数のシール部にて選択的に弁体−弁座部間のシールを行うことが可能となる。なお、シール部は、弁体と弁座部のいずれか一方にのみ設けられていてもよいし、弁体と弁座部の双方に設けられていてもよい。
【0008】
上記流体用開閉弁装置においては、前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、前記複数のシール部は、前記離接方向と直交する方向に互いに並列に配置されていてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、複数のシール部を弁体の離接方向に直列配置する場合に比して、該離接方向の長さを短くして弁装置の小型化を図ることができる、あるいは、同一サイズの弁装置であれば離接方向のストロークを稼ぐことができる。
【0010】
上記流体用開閉弁装置において、前記複数のシール部は、前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離が、硬度が大なるシール部ほど長く、硬度が小なるシール部ほど短くてもよい。
【0011】
かかる構成では、硬度の小さなシール部ほど硬度の大きなシール部よりも先に弁座部に当接する。
【0012】
上記流体用開閉弁装置において、前記複数のシール部のうち少なくとも硬度が最も低いシール部には、圧縮変形に対して復元力を与える復元手段が設けられていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、上下流間の差圧が所定の高圧状態から所定の低圧状態に移行する際には、より先に圧縮変形している硬度の低いシール部が低圧状態でのシールに好適な元の形状へと速やかに復元されると共に、高圧状態でのシール圧も確保される。
【0014】
本発明の流体用開閉弁装置は、弁座部と、該弁座部に離接して流体通路の上流側通路と下流側通路とを連通・封鎖する弁体と、を備えると共に、該弁体が前記弁座部との間をシールする第1シール部と該第1シール部よりも硬度が大なる第2シール部とを有する、流体用開閉弁装置であって、前記流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が所定値未満である場合は、前記第1シール部が前記弁座部に密着して前記流体通路が封鎖され、前記差圧が前記所定値以上である場合は、前記弁座部に密着している第1シール部が前記差圧により圧縮変形するとともに、前記第2シール部が前記弁座部に密着して前記流体通路が封鎖される。
【0015】
かかる構成では、流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が高圧の状態と低圧の状態とで異なるシール部が流体のシールを行う。すなわち、上下流間の差圧が所定値未満の時は、相対的に硬度の小さい第1シール部が弁座部と密着し、所定値以上の時は、相対的に硬度の大きい第2シール部が弁座部と密着する。
【0016】
例えば各シール部の材質を適切に選択することで、差圧が高圧の状態と低圧の状態との両方で良好なシール性を得ることができる。例えば、第1シール部としてはゴム等の軟質(言い換えれば、弾性係数・弾性率が小、剛性が小、硬度が小)の材料を採用することができ、第2シール部としては樹脂や金属等、第1シール部よりも硬質(言い換えれば、弾性係数・弾性率が大、剛性が大、硬度が大)の材料を採用することができる。
【0017】
本発明の流体用開閉弁装置においては、前記弁体の一部が前記第2シール部を構成していてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、弁体自身により第2シール部が構成されるので、部品点数の増加を抑制することができる。
【0019】
本発明の流体用開閉弁装置においては、前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、前記第1シール部は、前記第2シール部よりも前記流れ方向の上流側に配置されていてもよい。
【0020】
かかる構成では、第1シール部が上流側(高圧側)、第2シール部が下流側(低圧側)に位置する。上下流間の差圧が低圧状態(所定値未満)から高圧状態(所定値以上)に移行する際には、増大する差圧により、第1シール部が流体流れ方向の上流側から下流側に向かって倒れるように変形してシール性が失われ、主として第2シール部に差圧が作用する。このとき、実際に第2シール部に作用する差圧は、差圧作用方向の弁体平面視にて、第2シール部の外周と弁本体の外周とに囲まれたリング状の領域に作用している差圧である。
【0021】
したがって、上記構成によれば、第2シール部が第1シール部よりも径方向外側(上流側)に位置している場合と比較して、上記リング状の領域が相対的に広くなるので、上下流間の差圧を第2シール部に有効に作用させることができ、高圧状態下でのシール性が向上する。
【0022】
上記流体用開閉弁装置においては、前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、前記第1シール部と前記第2シール部は、前記弁体の離接方向と直交する方向に互いに並列に配置されていてもよい。
【0023】
かかる構成によれば、第1シール部と第2シール部とを弁体の離接方向に直列配置する場合に比して、該離接方向の長さを短くして弁装置の小型化を図ることができる、あるいは、同一サイズの弁装置であれば離接方向のストロークを稼ぐことができる。
【0024】
上記流体用開閉弁装置においては、前記第1シール部の前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離が、前記第2シール部の前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離よりも短くてもよい。
【0025】
かかる構成では、硬度の相対的に小さな第1シール部が硬度の相対的に大きな第2シール部よりも先に弁座部に当接する。
【0026】
本発明の流体用開閉弁装置においては、圧縮変形した前記第1シール部に対して復元力を与える復元手段を設けてもよい。
【0027】
かかる構成によれば、上下流間の差圧が高圧状態(所定値以上)から低圧状態(所定値未満)に移行する際には、第1シール部が低圧状態でのシールに好適な元の形状へと速やかに復元されると共に、所定圧以上のシール圧も確保される。
【0028】
本発明の流体用開閉弁装置においては、前記弁座部を弁座部本体と該弁座部本体よりも軟質の弁座側シール部とを備えた構成とし、該弁座側シール部を前記第1シール部と対向する位置に設けてもよい。
【0029】
かかる構成では、第1シール部が弁座側シール部と密着することによりシールが行われる。すなわち、第1シール部は弁座部本体と直接には接しないから、第1シール部が弁座部本体に対して摺動することによる当該第1シール部の摩耗が抑制される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が所定の高圧状態と所定の低圧状態とで、互いに硬度の異なる複数のシール部にて選択的に弁体−弁座部間のシールを行うことが可能となる。
【0031】
本発明によれば、流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が所定値未満の時(低圧時)には第1シール部が弁座部と密着し、所定値以上の時(高圧時)には第2シール部が弁座部と密着するので、各シール部の材質を適切に選択することにより、上下流間の差圧が高圧状態及び低圧状態の両方で良好なシール性を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
【0033】
図1は、例えば高圧流体流路に設けられる弁であって、流体の一方向の流通は許容するが他方向の流通は禁止する逆止弁(流体用開閉弁装置)1Aである。逆止弁1Aは、バルブボデー2に形成された流体通路7,8内に弁体アッセンブリ(弁体)3Aが配設されてなるものである。弁体アッセンブリ3Aは、流体流れ方向の上流側である高圧側流体通路(上流側通路)7から流体流れ方向の下流側である低圧側流体通路(下流側通路)8への流体の流入を止めるものである。
【0034】
バルブボデー2の低圧側には、弁体アッセンブリ3Aと協働してシールを形成する弁座本体(弁座部)4が形成されている。また、バルブボデー2中には、弁座本体4から離間する方向の復元力を弁体アッセンブリ3Aに与えるバネ5が設けられている。弁座本体4の中央側には、低圧側流体通路8の開口縁を取り囲んで弁体アッセンブリ3A側に突出する突起部6が形成されている。これら弁座本体4および突起部6により弁座部が構成される。
【0035】
弁体アッセンブリ3Aは、H型断面の弁本体10に、低圧シール部(第1シール部)12と高圧シール部(第2シール部)13が固定されてなるものである。各シール部12,13は、高分子材料により形成され、低圧シール部12は高圧シール部13よりも柔らかい材料、つまり、相対的に硬度が小さい材料により形成されている。詳細には、低圧シール部12としてはゴムを採用し、高圧シール部13としては相対的に硬度が大きい樹脂を採用することができる。
【0036】
高圧シール部13は、弁本体10の下面、言い換えれば、弁座本体4と対向する面に形成された凹部10aに収容された状態で固定され、弁座本体4側に突出するリング状部の端面13aが弁座本体4と接触することにより、シールが行われる。
【0037】
低圧シール部12は、高圧シール部13の端面13aに取り囲まれた領域、つまり、高圧シール部13の中央部に形成された凹部13bに、完全に収容された状態で当該高圧シール部13に固定されている。そして、低圧シール部12の端面(弁座本体4側と対向する面)12aが突起部6と接触することによりシールが行われる。
【0038】
低圧シール部12の端面12aは、高圧シール部13の端面13aよりも弁本体10の軸線方向(弁開閉方向、弁体の離接方向)内側に位置しているが、これら端面12a,13a間の弁開閉方向に沿う高さの差は、突起部6の弁開放方向に沿う突出高さよりも小さく設定されているため、端面12aと突起部6の端面とが面一に接触した状態はもとより、弁体アッセンブリ3Aが閉弁方向に更に移動して、低圧シール部12が突起部6に押圧されて圧縮変形しても、その変形量が所定量までであれば、図2に示すように、高圧シール部13の端面13aが弁座本体4に接触することはない。
【0039】
つまり、突起部6に対する端面12aの接触タイミングと、弁座本体4に対する端面13aの接触タイミングは異なる。言い換えれば、相対的に硬度の小なる低圧シール部12の端面12aから突起部6までの距離は、相対的に硬度の大なる高圧シール部13の端面13aから弁座本体4までの距離よりも短い。
【0040】
次に、本逆止弁1Aの作用について説明する。この逆止弁1Aにおいて、高圧側流体通路7の流体圧力が上昇すると、該流体圧力と低圧側流体通路8の流体圧力との差圧と、該差圧の受圧面積とに応じた閉弁方向の荷重(以下、閉弁方向荷重)が弁本体10に作用し、弁体アッセンブリ3Aはバネ5の復元力に反して弁座本体4側へと移動する。
【0041】
図2は低圧時、すなわち、高圧側流体通路7と低圧側流体通路8との差圧が比較的小さい場合を示す。このときの差圧は、例えば50MPa未満である。この状態では、軟質の低圧シール部12が突起部6と密着することによりシールが行われる。この状態では硬質の高圧シール部13と弁座本体4とは接触しない。
【0042】
図3は高圧時、すなわち、高圧側流体通路7と低圧側流体通路8との差圧が比較的大きい場合を示す。このときの差圧は、例えば50MPa以上である。この状態では、弁体アッセンブリ3Aに作用する閉弁方向の荷重が増大するため、低圧シール部12は圧縮変形して弁体アッセンブリ3Aは閉弁方向に更に変位する。そして、硬質の高圧シール部13が弁座本体4と接触してシールが行われる。
【0043】
このように、本実施形態の逆止弁1Aによれば、低圧時においては低圧シール部12が突起部6と密着し、高圧時においては高圧シール部13が弁座本体4と密着する。通常、低圧シール部12の材質は、高圧下では変形してシール性が低下し、高圧シール部13の材質は、低圧化では十分なシール性が得られないが、本実施形態においては、低圧下では低圧シール部12によりシールを行い、高圧下では高圧シール部13によりシールを行う構成であるから、上下流間の差圧が高圧の状態と低圧の状態との両方で良好なシール性を得ることができる。
【0044】
次に、上記の逆止弁1Aの変形例について説明する。なお、以下の各変形例において、低圧シール部と高圧シール部はそれぞれ硬度の小さい材料及び大きい材料により構成され、特に上記の例と同じくそれぞれ高分子材料により構成するものとする。また、以下の説明において、上記実施形態と重複する構成については同じ符号を用い、その説明を省略する。また、作用効果についても重複する説明を省略する。
【0045】
図4に示した逆止弁1Bの弁体アッセンブリ3Bは上記の高圧シール部13と同様の材質、例えばポリイミド等の硬い高分子材料により形成された弁本体16を備える。弁本体16の中央に形成された凹部16aには、例えばゴム等の軟質のシール部17が収容された状態で固定されている。
【0046】
弁本体16は、弁座本体4側に向かい弁開閉方向に沿って突出する環状の突起18を凹部16aの外側に備え、突起18の端面18aが弁座本体4と接触することによりシールが行われる。低圧シール部17は、突起18に取り囲まれた位置に固定されており、端面17aが弁座本体4と接触することによりシールが行われる。端面17aは端面18aよりも弁本体16の軸線方向(弁開閉方向、弁体の離接方向)内側に位置している。
【0047】
本変形例によれば、弁本体16の一部、つまり、突起18が上記の高圧シール部13と同様に弁座本体4と接触することにより、高圧時のシールを行う。よって、上記実施形態よりも少ない部品点数で同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
他の変形例として、図4に示した逆止弁1Bおよび図5に示した逆止弁1Cのように、弁座本体4側に突起部6(図1参照)を備えず、弁座本体4全体をフラットな形状としてもよい。この場合、弁体側のシール部に段差または傾斜を設けることで、弁座本体4に対する低圧シール部17,12および高圧シール部18,13の接触タイミングを調整することができる。
【0049】
例えば、図4に示した逆止弁1Bにおいては、弁座本体4側に突起部6が設けられていない分、図1の逆止弁1Aの構成とは逆に、弁体アッセンブリ3Bにおける低圧シール部17の端面17aが高圧シール部を構成している突起18の端面18aよりも弁座本体4側に突出していて、閉弁動作時には、まず、低圧シール部12でシールした後に、高圧シール部をなす突起18でシールするようになっている。
【0050】
同様に、図5に示した逆止弁1Cにおいては、弁座本体4側に突起部6が設けられていない分、図1の逆止弁1Aの構成とは逆に、弁体アッセンブリ3Cにおける低圧シール部12の端面12aが高圧シール部13の端面13aよりも弁座本体4側に突出していて、閉弁動作時には、まず、低圧シール部12でシールされた後に、高圧シール部13でシールされるようになっている。
【0051】
図1の逆止弁1Aの他の変形例として、図6に示した逆止弁1Dとしてもよい。この逆止弁1Dの弁体アッセンブリ3Dには、リング状の低圧シール部20と該低圧シール部20の径方向外側に位置する高圧シール部21とが、弁本体19に設けられた環状の凹部19aに収容された状態で固定されている。シール部20,21はそれぞれシール部12,13と同じ高分子材料により形成され、同様の作用効果を有する。
【0052】
図1の逆止弁1Aの更に他の変形例として、図7に示した逆止弁1Eとしてもよい。この逆止弁1Eは、逆止弁1Aが備える突起部6は有しない。弁体アッセンブリ3Eは、リング状の低圧シール部22と該低圧シール部22の外側に位置する高圧シール部23とが、弁本体19に設けられた環状の凹部19aに収容された状態で固定されている。各シール部22,23は円筒形状である。
【0053】
本変形例においても、シール部12,13と同じ高分子材料により形成されたリング状のシール部22,23を備えるため、同様の作用効果を有する。
<第2実施形態>
【0054】
図8は、本発明の第2実施形態を示す逆止弁1Fである。本実施形態においては、図7の逆止弁1Eと比較して、低圧シール部と高圧シール部の配置が弁本体24の径方向(弁開閉方向と直交する方向、高圧側流体通路7から導入される流体の流れ方向)において内外逆になっている。詳細には、逆止弁1Fの弁体アッセンブリ3Fには、リング状の低圧シール部25と該低圧シール部25の径方向内側に位置する高圧シール部26とが、弁本体24に設けられた環状の凹部24aに収容された状態で固定されている。
【0055】
すなわち、低圧シール部25は、高圧シール部26よりも流体流れ方向の上流側に配置されている。言い換えれば、低圧シール部25の少なくとも端面25aを含む先端部と、高圧シール部26の少なくとも端面26aを含む先端部は、弁体アッセンブリ3Fの弁開閉方向(弁体の離接方向)と直交する方向に互いに並列に配置されている。
【0056】
本実施形態においては、以下のようにシールが行われる。すなわち、上下流間の差圧が低圧時(所定値未満の時)を示す図9の状態では、低圧シール部25の端面25aが弁座本体4と接触することによりシールが行われる。この低圧時には高圧シール部26と弁座本体4とは接触しない。
【0057】
一方、上下流間の差圧が高圧時(所定値以上の時)を示す図10の状態では、弁体アッセンブリ3Fに対してさらに大きな閉弁方向荷重が作用するため、上昇した差圧によって低圧シール部25が更に圧縮変形しようとするが、低圧シール部25には高圧側流体通路7からの高圧が作用しているため、当該低圧シール部25が下流側(図10では径方向内側)に倒れ込む。これにより、低圧シール部25によるシール性は失われるが、高圧シール部26の端面26aが弁座本体4と密着して、高圧シール部26によるシール性が確保される。
【0058】
このとき、実際に高圧シール部13に作用する差圧は、差圧作用方向(図10では上下方向)の弁体平面視にて、高圧シール部26の外周と弁本体24の外周とに囲まれたリング状の領域に作用している差圧である。
【0059】
本実施形態の逆止弁1Fでは、高圧シール部26が図1の逆止弁1Aにおける高圧シール部13よりも径方向内側(下流側)に位置しているので、上記リング状の領域が相対的に広くなる。したがって、上下流間の差圧を高圧シール部26に有効に作用させることができ、高圧状態下でのシール性が向上する。
【0060】
さらに、低圧シール部25と高圧シール部26が弁体アッセンブリ3Fの離接方向に直列配置されている構成に比して、該離接方向の長さを短くして逆止弁1Fの小型化を図ることができる、あるいは、同一サイズの逆止弁1Fであれば離接方向のストロークを稼ぐことができる。
【0061】
本実施形態の変形例として、図11に示した弁体アッセンブリ3Gを備えた逆止弁1Gとしてもよい。同図の変形例では、逆止弁1Fと比較して、高圧シール部26は設けられておらず、弁体アッセンブリ3Gは、例えばポリイミド等の硬い高分子材料により形成された弁本体28と、弁本体28に形成された環状の凹部28a内部に固定された例えばゴム等の軟質の低圧シール部25とにより構成されている。
【0062】
弁本体28の径方向中央部には、該弁本体28の弁座本体4側と対向する面の中央部(一部)が弁座本体4側(弁開閉方向)に向かって突出してなる突起29が設けられている。本変形例では、この突起29が高圧シール部として機能し、該突起29の端面29aが座4と接触することにより、高圧時のシールが行われる。
【0063】
また、他の変形例として、図12に示した逆止弁1Hのように、弁4側に突起部6を設けてもよい。本変形例においては、逆止弁1Fと比較して突起部6が設けられている分、軟質の低圧シール部25と硬質の高圧シール部26の高さを適宜変更し、これら低圧および高圧シール部25,26の接触タイミングを調整すればよい。
<第3実施形態>
【0064】
図13は、本発明の第3実施形態を示す逆止弁1Iである。この逆止弁1Iは、弁座本体4に固定された軟質の弁座側低圧シール部30を備え、該弁座側低圧シール部30は弁座本体4と共に弁座部を構成する。弁座側低圧シール部30は、弁座本体4よりも軟質の材料であれば、低圧シール部25と異種でも同種の材質でもよく、例えばポリイミド等が採用される。弁座側低圧シール部30はリング状であり、低圧シール部25に対向した位置に設けられている。
【0065】
弁体アッセンブリ3Iは、例えば図8等に示した弁体アッセンブリ3Fと同様の構成であるが、低圧シール部25および高圧シール部26の高さは、後述のように低圧時及び高圧時で適切にシールが行われるように適宜調整される。
【0066】
本実施形態においては、以下のようにシールが行われる。すなわち、上下流間の差圧が低圧時(所定値未満の時)を示す図14の状態では、低圧シール部25の端面25aが弁座側低圧シール部30と接触することにより、シールが行われる。低圧時には高圧シール部26と弁座本体4とは接触しない。
【0067】
一方、上下流間の差圧が高圧時(所定値以上の時)を示す図15の状態では、弁体アッセンブリ3Iに対してさらに大きな閉弁方向荷重が作用するため、上昇した差圧によって低圧シール部25及び弁座側低圧シール部30が更に圧縮変形しようとするが、これら低圧シール部25及び弁座側低圧シール部30には高圧側流体通路7からの高圧が作用しているため、当該シール部25,30が下流側(図15では径方向内側)に倒れ込む。
【0068】
これにより、これらシール部25,30によるシール機能が失われるが、高圧シール部26の端面26aが弁座本体4と密着し、高圧シール部26によるシールが行われる。そして、高圧シール部26の端面26aが弁座本体4と密着して、高圧シール部26によるシール性が確保される。
【0069】
また、高圧シール部26が機能している間は、低圧シール部25及び弁座側低圧シール部30がいずれも径方向内側(下流側)に屈曲してシール機能が失われるので、図8等に示した実施形態と同様に、上下流間の差圧を高圧シール部26に有効に作用させることができ、高圧状態下でのシール性が向上する。
【0070】
加えて、本実施形態においては弁座側低圧シール部30を備えているため、以下の効果も有する。すなわち、弁座側低圧シール部30が設けられていない場合には、開閉動作の都度、低圧シール部25が弁座本体4に対して摺動することによって、低圧シール部25の磨耗が促進される可能性があるのに対し、本実施形態では、低圧シール部25は弁座側低圧シール部30にのみ接触して弁座本体4とは直接には接触しないから、低圧シール部25の摩耗が抑制され、耐久性を向上させることができる。
【0071】
本実施形態の変形例として、図16に示した逆止弁1Jのように、弁座本体4に突起部6を設けてもよい。本変形例においては、図13の逆止弁1Iと比較して、低圧シール部25と高圧シール部26の高さを適宜変更し、これら低圧および高圧シール部25,26の接触タイミングを調整すればよい。
【0072】
本実施形態の他の変形例として、図17に示した弁体アッセンブリ3Kを備えた逆止弁1Kとしてもよい。同図の変形例では、図11の逆止弁1Gと同様に、弁体アッセンブリ3Kと別体の高圧シール部26(図16)は設けられていない。弁体アッセンブリ3Kは、例えばポリイミド等の硬い高分子材料により形成された弁本体32と、弁本体32に形成された環状の凹部32aの内部に固定された例えばゴム等の低圧シール部25とにより構成されている。
【0073】
すなわち、弁本体32の径方向中央部には、該弁本体32の弁座本体4と対向する面の中央部(一部)が弁座本体4方向に向かって突出してなる突起33が設けられている。本変形例では、この突起33が高圧シール部として機能し、該突起33の端面33aが弁座本体4と接触することにより、高圧時のシールが行われる。
<第4実施形態>
【0074】
図18は、本発明の第4実施形態として示す逆止弁1Lである。この逆止弁1Lの弁体アッセンブリ3Lは、弁本体35に設けられた環状の凹部35aの内部に、低圧シール部36と、低圧シール部36の径方向内側に設けられた高圧シール部37とが固定されたものである。低圧シール部36は、凹部35aから垂下する円筒部36aと、円筒部36aの下縁から内側に略水平に延びるフランジ部36bとを備える。
【0075】
低圧シール部36の内側には、フランジ部36bを支持するコイルバネ38(復元手段)が、一端を弁本体35に支持され、他端をフランジ部36bに支持されて設けられている。コイルバネ38は、逆止弁1Lの周方向に適宜間隔を隔てて複数個(図18では2個図示されている。)設けられている。
【0076】
本実施形態においては、以下のようにシールが行われる。すなわち、上下流間の差圧が低圧時(所定値未満の時)を示す図19の状態では、低圧シール部36のフランジ部36bの下面が弁座本体4と接触することによりシールが行われる。この低圧時には高圧シール部37と弁座本体4とは接触しない。
【0077】
一方、上下流間の差圧が高圧時(所定値以上の時)を示す図20の状態では、弁体アッセンブリ3Lに対してさらに大きな閉弁方向荷重が作用するため、上昇した差圧によって低圧シール部36が更に変形しようとするが、低圧シール部36には高圧側流体通路7からの高圧が作用しているため、当該低圧シール部36が下流側(図20では径方向内側)に倒れ込む。これにより、低圧シール部36によるシール性は失われるが、高圧シール部37の端面37aが弁座本体4と密着して、高圧シール部37によるシール性が確保される。
【0078】
図20の高圧状態から差圧が下がり、低圧状態に移行する際には、低圧シール部36はコイルバネ38の反発力により、速やかに元の状態である図19の状態に復元する。このようなコイルバネ38が設けられていない構成では、高圧状態から低圧状態に移行する際に、低圧シール部36の復元がクリープ現象等に起因して遅れたり、弁座本体4に対する摺動を繰り返すことによる当該低圧シール部36の磨耗によって、低圧状態でのシール性が低下する可能性があるが、本実施形態によれば、コイルバネ38により、低圧シール部36が迅速かつ確実に弁座本体4を所定圧以上で押圧するように復元するようになり、良好なシール性を確保することができる。
【0079】
本実施形態の変形例として、図21に示した逆止弁1Mとしてもよい。この逆止弁1Mの弁体アッセンブリ3Mは、例えばポリイミド等の硬い高分子材料により形成された弁本体40と、弁本体40に形成された環状の凹部40aの内部に、低圧シール部36およびコイルバネ38とが固定されてなるものである。
【0080】
弁本体40の径方向中央部には、該弁本体40の弁座本体4と対向する面の中央部(一部)が弁座本体4方向に向かって突出してなる突起41が設けられている。本変形例においては、この突起41が高圧シール部として機能し、該突起41の端面41aが弁座本体4と接触することによりシールが行われる。
【0081】
本実施形態の他の変形例として、図22に示した逆止弁1Nのように、弁座本体4に突起部6を設けてもよい。本変形例においては、低圧シール部36と高圧シール部37の高さを適宜変更し、これら低圧および高圧シール部36,37の接触タイミングを調整すればよい。
【0082】
本実施形態およびその各変形例においては、コイルバネ38に代えて、以下の変形例を適用することが可能である。例えば、図23〜図25は板バネ45を用いた変形例を示している。図23において、板バネ45は、低圧シール部36の径方向内側に設けられており、その基端側は弁本体35に挿入固定され、先端側はフランジ部36bを弾性的に支持している。
【0083】
図24は、低圧シール部36の内部に挿入された板バネ46を用いた変形例である。板バネ46は、その基端側を弁本体35に挿入固定され、円筒部36aおよびフランジ部36bに挿入されていることで低圧シール部36全体を弾性的に支持している。
【0084】
図25は、低圧シール部36を外側から支持する板バネ47を用いた変形例である。板バネ47の基端は、弁本体35と低圧シール部36とに挟まれた状態で固定され、先端は低圧シール部36と固定されている。
【0085】
これら図23〜図25に示した板バネ45,46,47の変形例においても、コイルバネ38と同様に、低圧シール部36が内側に圧縮変形した状態から速やかに元の状態に戻るよう復元力を与えることができる。
【0086】
図26は、コイルバネ38に代えて、低圧シール部36の内側に設けられたゴム48を用いた変形例である。このゴム48は、リング状であって弁本体35の軸周りに設けられ、断面形状が円形となっている。図27に示した他の変形例のゴム49のように、断面形状が矩形状であってもよい。
【0087】
これら図26及び図27に示したゴム48,49についても、材質自体が備える弾性力により、低圧シール部36が内側に圧縮変形した状態から速やかに元の状態に戻るよう復元力を与えることができる。
【0088】
このように、低圧シール部36に対して復元力を与える復元手段としては、弾性体であればいかなるものでもよい。
<他の実施形態>
【0089】
上記いずれの逆止弁においても、バネ5は必ずしも設けなくともよい。上記においては本発明を逆止弁に適用した例を示したが、流体用開閉弁装置であれば、主止弁、調圧弁等であってもよい。
【0090】
低圧シール部、高圧シール部の材質として、それぞれ軟質及び硬質の高分子材料としたが、それぞれ軟質および硬質材料であればこれに限定されるものではない。例えば、高圧シール部としては樹脂の他、例えば金属等でもよい。
【0091】
各シール部は、弁体と弁座部のいずれか一方にのみ設けられていてもよいし、弁体と弁座部の双方に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態として示した逆止弁の縦断面図である。
【図2】同逆止弁の低圧時の状態について示した縦断面図である。
【図3】同逆止弁の高圧時の状態について示した縦断面図である。
【図4】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図5】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図6】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図7】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態として示した逆止弁の縦断面図である。
【図9】同逆止弁の低圧時の状態について示した縦断面図である。
【図10】同逆止弁の高圧時の状態について示した縦断面図である。
【図11】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図12】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態として示した逆止弁の縦断面図である。
【図14】同逆止弁の低圧時の状態について示した縦断面図である。
【図15】同逆止弁の高圧時の状態について示した縦断面図である。
【図16】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図17】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図18】本発明の第4実施形態として示した逆止弁の縦断面図である。
【図19】同逆止弁の低圧時の状態について示した縦断面図である。
【図20】同逆止弁の高圧時の状態について示した縦断面図である。
【図21】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図22】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図23】低圧シール部を支持する復元手段の変形例について示した部分断面図である。
【図24】低圧シール部を支持する復元手段の変形例について示した部分断面図である。
【図25】低圧シール部を支持する復元手段の変形例について示した部分断面図である。
【図26】低圧シール部を支持する復元手段の変形例について示した部分断面図である。
【図27】低圧シール部を支持する復元手段の変形例について示した部分断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1A〜1N…逆止弁(流体用開閉弁装置)、3A〜3M…弁体アッセンブリ(弁体)、4…弁座本体、5…バネ、6…突起部、7…高圧側流体通路、8…低圧側流体通路、10,19,24,35…弁本体、12,17,20,22,25,36…低圧シール部、13,21,23,26,37…高圧シール部、16,28,32,40…弁本体(高圧シール部)、30…弁座側低圧シール部、38…コイルバネ(復元手段)、45,46,47…板バネ(復元手段)、48,49…ゴム(復元手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体通路を開閉する流体用開閉弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧流体通路を開閉する高圧開閉弁装置(流体用開閉弁装置)における高圧流体の弁部シール方法としては、ゴム、樹脂、金属のいずれか一種類により構成されたシール材を可動部である弁体に設け、該シール材を弁座部に着座させて流体をシールするのが一般的である。
【特許文献1】特開2002―295711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、シール材としてゴムを用いた場合、シール性はよいが、耐圧性に乏しい。例えば、流体通路の上流側通路と下流側通路の差圧が50MPa以上の高圧下では、シール材の過量な圧縮変形によるはみ出し現象によってシール不良が起こる可能性がある。
【0004】
一方、シール材として樹脂および金属を用いた場合は、前記差圧が高圧(例えば50MPa以上)下での耐圧性及びシール性の確保は容易だが、比較的低い差圧(例えば50MPa未満)ではシールが困難な場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、流体通路の上流側通路と下流側通路の差圧が高圧状態及び低圧状態の両方で良好なシール性を得ることができる流体用開閉弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流体用開閉弁装置は、弁座部と、該弁座部に離接して流体通路を連通・封鎖する弁体と、該弁体と前記弁座部との間を複数箇所にて選択的にシールする複数のシール部とを有する、流体用開閉弁装置であって、前記複数のシール部は互いに硬度が異なり、前記流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧に応じて、前記弁体と前記弁座部との間をシールするシール部が硬度の異なる他のシール部に切り替わる。
【0007】
かかる構成によれば、流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が所定の高圧状態と所定の低圧状態とで、互いに硬度(言い換えれば、弾性係数・弾性率、剛性)の異なる複数のシール部にて選択的に弁体−弁座部間のシールを行うことが可能となる。なお、シール部は、弁体と弁座部のいずれか一方にのみ設けられていてもよいし、弁体と弁座部の双方に設けられていてもよい。
【0008】
上記流体用開閉弁装置においては、前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、前記複数のシール部は、前記離接方向と直交する方向に互いに並列に配置されていてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、複数のシール部を弁体の離接方向に直列配置する場合に比して、該離接方向の長さを短くして弁装置の小型化を図ることができる、あるいは、同一サイズの弁装置であれば離接方向のストロークを稼ぐことができる。
【0010】
上記流体用開閉弁装置において、前記複数のシール部は、前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離が、硬度が大なるシール部ほど長く、硬度が小なるシール部ほど短くてもよい。
【0011】
かかる構成では、硬度の小さなシール部ほど硬度の大きなシール部よりも先に弁座部に当接する。
【0012】
上記流体用開閉弁装置において、前記複数のシール部のうち少なくとも硬度が最も低いシール部には、圧縮変形に対して復元力を与える復元手段が設けられていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、上下流間の差圧が所定の高圧状態から所定の低圧状態に移行する際には、より先に圧縮変形している硬度の低いシール部が低圧状態でのシールに好適な元の形状へと速やかに復元されると共に、高圧状態でのシール圧も確保される。
【0014】
本発明の流体用開閉弁装置は、弁座部と、該弁座部に離接して流体通路の上流側通路と下流側通路とを連通・封鎖する弁体と、を備えると共に、該弁体が前記弁座部との間をシールする第1シール部と該第1シール部よりも硬度が大なる第2シール部とを有する、流体用開閉弁装置であって、前記流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が所定値未満である場合は、前記第1シール部が前記弁座部に密着して前記流体通路が封鎖され、前記差圧が前記所定値以上である場合は、前記弁座部に密着している第1シール部が前記差圧により圧縮変形するとともに、前記第2シール部が前記弁座部に密着して前記流体通路が封鎖される。
【0015】
かかる構成では、流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が高圧の状態と低圧の状態とで異なるシール部が流体のシールを行う。すなわち、上下流間の差圧が所定値未満の時は、相対的に硬度の小さい第1シール部が弁座部と密着し、所定値以上の時は、相対的に硬度の大きい第2シール部が弁座部と密着する。
【0016】
例えば各シール部の材質を適切に選択することで、差圧が高圧の状態と低圧の状態との両方で良好なシール性を得ることができる。例えば、第1シール部としてはゴム等の軟質(言い換えれば、弾性係数・弾性率が小、剛性が小、硬度が小)の材料を採用することができ、第2シール部としては樹脂や金属等、第1シール部よりも硬質(言い換えれば、弾性係数・弾性率が大、剛性が大、硬度が大)の材料を採用することができる。
【0017】
本発明の流体用開閉弁装置においては、前記弁体の一部が前記第2シール部を構成していてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、弁体自身により第2シール部が構成されるので、部品点数の増加を抑制することができる。
【0019】
本発明の流体用開閉弁装置においては、前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、前記第1シール部は、前記第2シール部よりも前記流れ方向の上流側に配置されていてもよい。
【0020】
かかる構成では、第1シール部が上流側(高圧側)、第2シール部が下流側(低圧側)に位置する。上下流間の差圧が低圧状態(所定値未満)から高圧状態(所定値以上)に移行する際には、増大する差圧により、第1シール部が流体流れ方向の上流側から下流側に向かって倒れるように変形してシール性が失われ、主として第2シール部に差圧が作用する。このとき、実際に第2シール部に作用する差圧は、差圧作用方向の弁体平面視にて、第2シール部の外周と弁本体の外周とに囲まれたリング状の領域に作用している差圧である。
【0021】
したがって、上記構成によれば、第2シール部が第1シール部よりも径方向外側(上流側)に位置している場合と比較して、上記リング状の領域が相対的に広くなるので、上下流間の差圧を第2シール部に有効に作用させることができ、高圧状態下でのシール性が向上する。
【0022】
上記流体用開閉弁装置においては、前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、前記第1シール部と前記第2シール部は、前記弁体の離接方向と直交する方向に互いに並列に配置されていてもよい。
【0023】
かかる構成によれば、第1シール部と第2シール部とを弁体の離接方向に直列配置する場合に比して、該離接方向の長さを短くして弁装置の小型化を図ることができる、あるいは、同一サイズの弁装置であれば離接方向のストロークを稼ぐことができる。
【0024】
上記流体用開閉弁装置においては、前記第1シール部の前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離が、前記第2シール部の前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離よりも短くてもよい。
【0025】
かかる構成では、硬度の相対的に小さな第1シール部が硬度の相対的に大きな第2シール部よりも先に弁座部に当接する。
【0026】
本発明の流体用開閉弁装置においては、圧縮変形した前記第1シール部に対して復元力を与える復元手段を設けてもよい。
【0027】
かかる構成によれば、上下流間の差圧が高圧状態(所定値以上)から低圧状態(所定値未満)に移行する際には、第1シール部が低圧状態でのシールに好適な元の形状へと速やかに復元されると共に、所定圧以上のシール圧も確保される。
【0028】
本発明の流体用開閉弁装置においては、前記弁座部を弁座部本体と該弁座部本体よりも軟質の弁座側シール部とを備えた構成とし、該弁座側シール部を前記第1シール部と対向する位置に設けてもよい。
【0029】
かかる構成では、第1シール部が弁座側シール部と密着することによりシールが行われる。すなわち、第1シール部は弁座部本体と直接には接しないから、第1シール部が弁座部本体に対して摺動することによる当該第1シール部の摩耗が抑制される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が所定の高圧状態と所定の低圧状態とで、互いに硬度の異なる複数のシール部にて選択的に弁体−弁座部間のシールを行うことが可能となる。
【0031】
本発明によれば、流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が所定値未満の時(低圧時)には第1シール部が弁座部と密着し、所定値以上の時(高圧時)には第2シール部が弁座部と密着するので、各シール部の材質を適切に選択することにより、上下流間の差圧が高圧状態及び低圧状態の両方で良好なシール性を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
【0033】
図1は、例えば高圧流体流路に設けられる弁であって、流体の一方向の流通は許容するが他方向の流通は禁止する逆止弁(流体用開閉弁装置)1Aである。逆止弁1Aは、バルブボデー2に形成された流体通路7,8内に弁体アッセンブリ(弁体)3Aが配設されてなるものである。弁体アッセンブリ3Aは、流体流れ方向の上流側である高圧側流体通路(上流側通路)7から流体流れ方向の下流側である低圧側流体通路(下流側通路)8への流体の流入を止めるものである。
【0034】
バルブボデー2の低圧側には、弁体アッセンブリ3Aと協働してシールを形成する弁座本体(弁座部)4が形成されている。また、バルブボデー2中には、弁座本体4から離間する方向の復元力を弁体アッセンブリ3Aに与えるバネ5が設けられている。弁座本体4の中央側には、低圧側流体通路8の開口縁を取り囲んで弁体アッセンブリ3A側に突出する突起部6が形成されている。これら弁座本体4および突起部6により弁座部が構成される。
【0035】
弁体アッセンブリ3Aは、H型断面の弁本体10に、低圧シール部(第1シール部)12と高圧シール部(第2シール部)13が固定されてなるものである。各シール部12,13は、高分子材料により形成され、低圧シール部12は高圧シール部13よりも柔らかい材料、つまり、相対的に硬度が小さい材料により形成されている。詳細には、低圧シール部12としてはゴムを採用し、高圧シール部13としては相対的に硬度が大きい樹脂を採用することができる。
【0036】
高圧シール部13は、弁本体10の下面、言い換えれば、弁座本体4と対向する面に形成された凹部10aに収容された状態で固定され、弁座本体4側に突出するリング状部の端面13aが弁座本体4と接触することにより、シールが行われる。
【0037】
低圧シール部12は、高圧シール部13の端面13aに取り囲まれた領域、つまり、高圧シール部13の中央部に形成された凹部13bに、完全に収容された状態で当該高圧シール部13に固定されている。そして、低圧シール部12の端面(弁座本体4側と対向する面)12aが突起部6と接触することによりシールが行われる。
【0038】
低圧シール部12の端面12aは、高圧シール部13の端面13aよりも弁本体10の軸線方向(弁開閉方向、弁体の離接方向)内側に位置しているが、これら端面12a,13a間の弁開閉方向に沿う高さの差は、突起部6の弁開放方向に沿う突出高さよりも小さく設定されているため、端面12aと突起部6の端面とが面一に接触した状態はもとより、弁体アッセンブリ3Aが閉弁方向に更に移動して、低圧シール部12が突起部6に押圧されて圧縮変形しても、その変形量が所定量までであれば、図2に示すように、高圧シール部13の端面13aが弁座本体4に接触することはない。
【0039】
つまり、突起部6に対する端面12aの接触タイミングと、弁座本体4に対する端面13aの接触タイミングは異なる。言い換えれば、相対的に硬度の小なる低圧シール部12の端面12aから突起部6までの距離は、相対的に硬度の大なる高圧シール部13の端面13aから弁座本体4までの距離よりも短い。
【0040】
次に、本逆止弁1Aの作用について説明する。この逆止弁1Aにおいて、高圧側流体通路7の流体圧力が上昇すると、該流体圧力と低圧側流体通路8の流体圧力との差圧と、該差圧の受圧面積とに応じた閉弁方向の荷重(以下、閉弁方向荷重)が弁本体10に作用し、弁体アッセンブリ3Aはバネ5の復元力に反して弁座本体4側へと移動する。
【0041】
図2は低圧時、すなわち、高圧側流体通路7と低圧側流体通路8との差圧が比較的小さい場合を示す。このときの差圧は、例えば50MPa未満である。この状態では、軟質の低圧シール部12が突起部6と密着することによりシールが行われる。この状態では硬質の高圧シール部13と弁座本体4とは接触しない。
【0042】
図3は高圧時、すなわち、高圧側流体通路7と低圧側流体通路8との差圧が比較的大きい場合を示す。このときの差圧は、例えば50MPa以上である。この状態では、弁体アッセンブリ3Aに作用する閉弁方向の荷重が増大するため、低圧シール部12は圧縮変形して弁体アッセンブリ3Aは閉弁方向に更に変位する。そして、硬質の高圧シール部13が弁座本体4と接触してシールが行われる。
【0043】
このように、本実施形態の逆止弁1Aによれば、低圧時においては低圧シール部12が突起部6と密着し、高圧時においては高圧シール部13が弁座本体4と密着する。通常、低圧シール部12の材質は、高圧下では変形してシール性が低下し、高圧シール部13の材質は、低圧化では十分なシール性が得られないが、本実施形態においては、低圧下では低圧シール部12によりシールを行い、高圧下では高圧シール部13によりシールを行う構成であるから、上下流間の差圧が高圧の状態と低圧の状態との両方で良好なシール性を得ることができる。
【0044】
次に、上記の逆止弁1Aの変形例について説明する。なお、以下の各変形例において、低圧シール部と高圧シール部はそれぞれ硬度の小さい材料及び大きい材料により構成され、特に上記の例と同じくそれぞれ高分子材料により構成するものとする。また、以下の説明において、上記実施形態と重複する構成については同じ符号を用い、その説明を省略する。また、作用効果についても重複する説明を省略する。
【0045】
図4に示した逆止弁1Bの弁体アッセンブリ3Bは上記の高圧シール部13と同様の材質、例えばポリイミド等の硬い高分子材料により形成された弁本体16を備える。弁本体16の中央に形成された凹部16aには、例えばゴム等の軟質のシール部17が収容された状態で固定されている。
【0046】
弁本体16は、弁座本体4側に向かい弁開閉方向に沿って突出する環状の突起18を凹部16aの外側に備え、突起18の端面18aが弁座本体4と接触することによりシールが行われる。低圧シール部17は、突起18に取り囲まれた位置に固定されており、端面17aが弁座本体4と接触することによりシールが行われる。端面17aは端面18aよりも弁本体16の軸線方向(弁開閉方向、弁体の離接方向)内側に位置している。
【0047】
本変形例によれば、弁本体16の一部、つまり、突起18が上記の高圧シール部13と同様に弁座本体4と接触することにより、高圧時のシールを行う。よって、上記実施形態よりも少ない部品点数で同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
他の変形例として、図4に示した逆止弁1Bおよび図5に示した逆止弁1Cのように、弁座本体4側に突起部6(図1参照)を備えず、弁座本体4全体をフラットな形状としてもよい。この場合、弁体側のシール部に段差または傾斜を設けることで、弁座本体4に対する低圧シール部17,12および高圧シール部18,13の接触タイミングを調整することができる。
【0049】
例えば、図4に示した逆止弁1Bにおいては、弁座本体4側に突起部6が設けられていない分、図1の逆止弁1Aの構成とは逆に、弁体アッセンブリ3Bにおける低圧シール部17の端面17aが高圧シール部を構成している突起18の端面18aよりも弁座本体4側に突出していて、閉弁動作時には、まず、低圧シール部12でシールした後に、高圧シール部をなす突起18でシールするようになっている。
【0050】
同様に、図5に示した逆止弁1Cにおいては、弁座本体4側に突起部6が設けられていない分、図1の逆止弁1Aの構成とは逆に、弁体アッセンブリ3Cにおける低圧シール部12の端面12aが高圧シール部13の端面13aよりも弁座本体4側に突出していて、閉弁動作時には、まず、低圧シール部12でシールされた後に、高圧シール部13でシールされるようになっている。
【0051】
図1の逆止弁1Aの他の変形例として、図6に示した逆止弁1Dとしてもよい。この逆止弁1Dの弁体アッセンブリ3Dには、リング状の低圧シール部20と該低圧シール部20の径方向外側に位置する高圧シール部21とが、弁本体19に設けられた環状の凹部19aに収容された状態で固定されている。シール部20,21はそれぞれシール部12,13と同じ高分子材料により形成され、同様の作用効果を有する。
【0052】
図1の逆止弁1Aの更に他の変形例として、図7に示した逆止弁1Eとしてもよい。この逆止弁1Eは、逆止弁1Aが備える突起部6は有しない。弁体アッセンブリ3Eは、リング状の低圧シール部22と該低圧シール部22の外側に位置する高圧シール部23とが、弁本体19に設けられた環状の凹部19aに収容された状態で固定されている。各シール部22,23は円筒形状である。
【0053】
本変形例においても、シール部12,13と同じ高分子材料により形成されたリング状のシール部22,23を備えるため、同様の作用効果を有する。
<第2実施形態>
【0054】
図8は、本発明の第2実施形態を示す逆止弁1Fである。本実施形態においては、図7の逆止弁1Eと比較して、低圧シール部と高圧シール部の配置が弁本体24の径方向(弁開閉方向と直交する方向、高圧側流体通路7から導入される流体の流れ方向)において内外逆になっている。詳細には、逆止弁1Fの弁体アッセンブリ3Fには、リング状の低圧シール部25と該低圧シール部25の径方向内側に位置する高圧シール部26とが、弁本体24に設けられた環状の凹部24aに収容された状態で固定されている。
【0055】
すなわち、低圧シール部25は、高圧シール部26よりも流体流れ方向の上流側に配置されている。言い換えれば、低圧シール部25の少なくとも端面25aを含む先端部と、高圧シール部26の少なくとも端面26aを含む先端部は、弁体アッセンブリ3Fの弁開閉方向(弁体の離接方向)と直交する方向に互いに並列に配置されている。
【0056】
本実施形態においては、以下のようにシールが行われる。すなわち、上下流間の差圧が低圧時(所定値未満の時)を示す図9の状態では、低圧シール部25の端面25aが弁座本体4と接触することによりシールが行われる。この低圧時には高圧シール部26と弁座本体4とは接触しない。
【0057】
一方、上下流間の差圧が高圧時(所定値以上の時)を示す図10の状態では、弁体アッセンブリ3Fに対してさらに大きな閉弁方向荷重が作用するため、上昇した差圧によって低圧シール部25が更に圧縮変形しようとするが、低圧シール部25には高圧側流体通路7からの高圧が作用しているため、当該低圧シール部25が下流側(図10では径方向内側)に倒れ込む。これにより、低圧シール部25によるシール性は失われるが、高圧シール部26の端面26aが弁座本体4と密着して、高圧シール部26によるシール性が確保される。
【0058】
このとき、実際に高圧シール部13に作用する差圧は、差圧作用方向(図10では上下方向)の弁体平面視にて、高圧シール部26の外周と弁本体24の外周とに囲まれたリング状の領域に作用している差圧である。
【0059】
本実施形態の逆止弁1Fでは、高圧シール部26が図1の逆止弁1Aにおける高圧シール部13よりも径方向内側(下流側)に位置しているので、上記リング状の領域が相対的に広くなる。したがって、上下流間の差圧を高圧シール部26に有効に作用させることができ、高圧状態下でのシール性が向上する。
【0060】
さらに、低圧シール部25と高圧シール部26が弁体アッセンブリ3Fの離接方向に直列配置されている構成に比して、該離接方向の長さを短くして逆止弁1Fの小型化を図ることができる、あるいは、同一サイズの逆止弁1Fであれば離接方向のストロークを稼ぐことができる。
【0061】
本実施形態の変形例として、図11に示した弁体アッセンブリ3Gを備えた逆止弁1Gとしてもよい。同図の変形例では、逆止弁1Fと比較して、高圧シール部26は設けられておらず、弁体アッセンブリ3Gは、例えばポリイミド等の硬い高分子材料により形成された弁本体28と、弁本体28に形成された環状の凹部28a内部に固定された例えばゴム等の軟質の低圧シール部25とにより構成されている。
【0062】
弁本体28の径方向中央部には、該弁本体28の弁座本体4側と対向する面の中央部(一部)が弁座本体4側(弁開閉方向)に向かって突出してなる突起29が設けられている。本変形例では、この突起29が高圧シール部として機能し、該突起29の端面29aが座4と接触することにより、高圧時のシールが行われる。
【0063】
また、他の変形例として、図12に示した逆止弁1Hのように、弁4側に突起部6を設けてもよい。本変形例においては、逆止弁1Fと比較して突起部6が設けられている分、軟質の低圧シール部25と硬質の高圧シール部26の高さを適宜変更し、これら低圧および高圧シール部25,26の接触タイミングを調整すればよい。
<第3実施形態>
【0064】
図13は、本発明の第3実施形態を示す逆止弁1Iである。この逆止弁1Iは、弁座本体4に固定された軟質の弁座側低圧シール部30を備え、該弁座側低圧シール部30は弁座本体4と共に弁座部を構成する。弁座側低圧シール部30は、弁座本体4よりも軟質の材料であれば、低圧シール部25と異種でも同種の材質でもよく、例えばポリイミド等が採用される。弁座側低圧シール部30はリング状であり、低圧シール部25に対向した位置に設けられている。
【0065】
弁体アッセンブリ3Iは、例えば図8等に示した弁体アッセンブリ3Fと同様の構成であるが、低圧シール部25および高圧シール部26の高さは、後述のように低圧時及び高圧時で適切にシールが行われるように適宜調整される。
【0066】
本実施形態においては、以下のようにシールが行われる。すなわち、上下流間の差圧が低圧時(所定値未満の時)を示す図14の状態では、低圧シール部25の端面25aが弁座側低圧シール部30と接触することにより、シールが行われる。低圧時には高圧シール部26と弁座本体4とは接触しない。
【0067】
一方、上下流間の差圧が高圧時(所定値以上の時)を示す図15の状態では、弁体アッセンブリ3Iに対してさらに大きな閉弁方向荷重が作用するため、上昇した差圧によって低圧シール部25及び弁座側低圧シール部30が更に圧縮変形しようとするが、これら低圧シール部25及び弁座側低圧シール部30には高圧側流体通路7からの高圧が作用しているため、当該シール部25,30が下流側(図15では径方向内側)に倒れ込む。
【0068】
これにより、これらシール部25,30によるシール機能が失われるが、高圧シール部26の端面26aが弁座本体4と密着し、高圧シール部26によるシールが行われる。そして、高圧シール部26の端面26aが弁座本体4と密着して、高圧シール部26によるシール性が確保される。
【0069】
また、高圧シール部26が機能している間は、低圧シール部25及び弁座側低圧シール部30がいずれも径方向内側(下流側)に屈曲してシール機能が失われるので、図8等に示した実施形態と同様に、上下流間の差圧を高圧シール部26に有効に作用させることができ、高圧状態下でのシール性が向上する。
【0070】
加えて、本実施形態においては弁座側低圧シール部30を備えているため、以下の効果も有する。すなわち、弁座側低圧シール部30が設けられていない場合には、開閉動作の都度、低圧シール部25が弁座本体4に対して摺動することによって、低圧シール部25の磨耗が促進される可能性があるのに対し、本実施形態では、低圧シール部25は弁座側低圧シール部30にのみ接触して弁座本体4とは直接には接触しないから、低圧シール部25の摩耗が抑制され、耐久性を向上させることができる。
【0071】
本実施形態の変形例として、図16に示した逆止弁1Jのように、弁座本体4に突起部6を設けてもよい。本変形例においては、図13の逆止弁1Iと比較して、低圧シール部25と高圧シール部26の高さを適宜変更し、これら低圧および高圧シール部25,26の接触タイミングを調整すればよい。
【0072】
本実施形態の他の変形例として、図17に示した弁体アッセンブリ3Kを備えた逆止弁1Kとしてもよい。同図の変形例では、図11の逆止弁1Gと同様に、弁体アッセンブリ3Kと別体の高圧シール部26(図16)は設けられていない。弁体アッセンブリ3Kは、例えばポリイミド等の硬い高分子材料により形成された弁本体32と、弁本体32に形成された環状の凹部32aの内部に固定された例えばゴム等の低圧シール部25とにより構成されている。
【0073】
すなわち、弁本体32の径方向中央部には、該弁本体32の弁座本体4と対向する面の中央部(一部)が弁座本体4方向に向かって突出してなる突起33が設けられている。本変形例では、この突起33が高圧シール部として機能し、該突起33の端面33aが弁座本体4と接触することにより、高圧時のシールが行われる。
<第4実施形態>
【0074】
図18は、本発明の第4実施形態として示す逆止弁1Lである。この逆止弁1Lの弁体アッセンブリ3Lは、弁本体35に設けられた環状の凹部35aの内部に、低圧シール部36と、低圧シール部36の径方向内側に設けられた高圧シール部37とが固定されたものである。低圧シール部36は、凹部35aから垂下する円筒部36aと、円筒部36aの下縁から内側に略水平に延びるフランジ部36bとを備える。
【0075】
低圧シール部36の内側には、フランジ部36bを支持するコイルバネ38(復元手段)が、一端を弁本体35に支持され、他端をフランジ部36bに支持されて設けられている。コイルバネ38は、逆止弁1Lの周方向に適宜間隔を隔てて複数個(図18では2個図示されている。)設けられている。
【0076】
本実施形態においては、以下のようにシールが行われる。すなわち、上下流間の差圧が低圧時(所定値未満の時)を示す図19の状態では、低圧シール部36のフランジ部36bの下面が弁座本体4と接触することによりシールが行われる。この低圧時には高圧シール部37と弁座本体4とは接触しない。
【0077】
一方、上下流間の差圧が高圧時(所定値以上の時)を示す図20の状態では、弁体アッセンブリ3Lに対してさらに大きな閉弁方向荷重が作用するため、上昇した差圧によって低圧シール部36が更に変形しようとするが、低圧シール部36には高圧側流体通路7からの高圧が作用しているため、当該低圧シール部36が下流側(図20では径方向内側)に倒れ込む。これにより、低圧シール部36によるシール性は失われるが、高圧シール部37の端面37aが弁座本体4と密着して、高圧シール部37によるシール性が確保される。
【0078】
図20の高圧状態から差圧が下がり、低圧状態に移行する際には、低圧シール部36はコイルバネ38の反発力により、速やかに元の状態である図19の状態に復元する。このようなコイルバネ38が設けられていない構成では、高圧状態から低圧状態に移行する際に、低圧シール部36の復元がクリープ現象等に起因して遅れたり、弁座本体4に対する摺動を繰り返すことによる当該低圧シール部36の磨耗によって、低圧状態でのシール性が低下する可能性があるが、本実施形態によれば、コイルバネ38により、低圧シール部36が迅速かつ確実に弁座本体4を所定圧以上で押圧するように復元するようになり、良好なシール性を確保することができる。
【0079】
本実施形態の変形例として、図21に示した逆止弁1Mとしてもよい。この逆止弁1Mの弁体アッセンブリ3Mは、例えばポリイミド等の硬い高分子材料により形成された弁本体40と、弁本体40に形成された環状の凹部40aの内部に、低圧シール部36およびコイルバネ38とが固定されてなるものである。
【0080】
弁本体40の径方向中央部には、該弁本体40の弁座本体4と対向する面の中央部(一部)が弁座本体4方向に向かって突出してなる突起41が設けられている。本変形例においては、この突起41が高圧シール部として機能し、該突起41の端面41aが弁座本体4と接触することによりシールが行われる。
【0081】
本実施形態の他の変形例として、図22に示した逆止弁1Nのように、弁座本体4に突起部6を設けてもよい。本変形例においては、低圧シール部36と高圧シール部37の高さを適宜変更し、これら低圧および高圧シール部36,37の接触タイミングを調整すればよい。
【0082】
本実施形態およびその各変形例においては、コイルバネ38に代えて、以下の変形例を適用することが可能である。例えば、図23〜図25は板バネ45を用いた変形例を示している。図23において、板バネ45は、低圧シール部36の径方向内側に設けられており、その基端側は弁本体35に挿入固定され、先端側はフランジ部36bを弾性的に支持している。
【0083】
図24は、低圧シール部36の内部に挿入された板バネ46を用いた変形例である。板バネ46は、その基端側を弁本体35に挿入固定され、円筒部36aおよびフランジ部36bに挿入されていることで低圧シール部36全体を弾性的に支持している。
【0084】
図25は、低圧シール部36を外側から支持する板バネ47を用いた変形例である。板バネ47の基端は、弁本体35と低圧シール部36とに挟まれた状態で固定され、先端は低圧シール部36と固定されている。
【0085】
これら図23〜図25に示した板バネ45,46,47の変形例においても、コイルバネ38と同様に、低圧シール部36が内側に圧縮変形した状態から速やかに元の状態に戻るよう復元力を与えることができる。
【0086】
図26は、コイルバネ38に代えて、低圧シール部36の内側に設けられたゴム48を用いた変形例である。このゴム48は、リング状であって弁本体35の軸周りに設けられ、断面形状が円形となっている。図27に示した他の変形例のゴム49のように、断面形状が矩形状であってもよい。
【0087】
これら図26及び図27に示したゴム48,49についても、材質自体が備える弾性力により、低圧シール部36が内側に圧縮変形した状態から速やかに元の状態に戻るよう復元力を与えることができる。
【0088】
このように、低圧シール部36に対して復元力を与える復元手段としては、弾性体であればいかなるものでもよい。
<他の実施形態>
【0089】
上記いずれの逆止弁においても、バネ5は必ずしも設けなくともよい。上記においては本発明を逆止弁に適用した例を示したが、流体用開閉弁装置であれば、主止弁、調圧弁等であってもよい。
【0090】
低圧シール部、高圧シール部の材質として、それぞれ軟質及び硬質の高分子材料としたが、それぞれ軟質および硬質材料であればこれに限定されるものではない。例えば、高圧シール部としては樹脂の他、例えば金属等でもよい。
【0091】
各シール部は、弁体と弁座部のいずれか一方にのみ設けられていてもよいし、弁体と弁座部の双方に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態として示した逆止弁の縦断面図である。
【図2】同逆止弁の低圧時の状態について示した縦断面図である。
【図3】同逆止弁の高圧時の状態について示した縦断面図である。
【図4】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図5】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図6】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図7】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態として示した逆止弁の縦断面図である。
【図9】同逆止弁の低圧時の状態について示した縦断面図である。
【図10】同逆止弁の高圧時の状態について示した縦断面図である。
【図11】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図12】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態として示した逆止弁の縦断面図である。
【図14】同逆止弁の低圧時の状態について示した縦断面図である。
【図15】同逆止弁の高圧時の状態について示した縦断面図である。
【図16】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図17】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図18】本発明の第4実施形態として示した逆止弁の縦断面図である。
【図19】同逆止弁の低圧時の状態について示した縦断面図である。
【図20】同逆止弁の高圧時の状態について示した縦断面図である。
【図21】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図22】変形例として示した逆止弁の縦断面図である。
【図23】低圧シール部を支持する復元手段の変形例について示した部分断面図である。
【図24】低圧シール部を支持する復元手段の変形例について示した部分断面図である。
【図25】低圧シール部を支持する復元手段の変形例について示した部分断面図である。
【図26】低圧シール部を支持する復元手段の変形例について示した部分断面図である。
【図27】低圧シール部を支持する復元手段の変形例について示した部分断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1A〜1N…逆止弁(流体用開閉弁装置)、3A〜3M…弁体アッセンブリ(弁体)、4…弁座本体、5…バネ、6…突起部、7…高圧側流体通路、8…低圧側流体通路、10,19,24,35…弁本体、12,17,20,22,25,36…低圧シール部、13,21,23,26,37…高圧シール部、16,28,32,40…弁本体(高圧シール部)、30…弁座側低圧シール部、38…コイルバネ(復元手段)、45,46,47…板バネ(復元手段)、48,49…ゴム(復元手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座部と、該弁座部に離接して流体通路を連通・封鎖する弁体と、該弁体と前記弁座部との間を複数箇所にて選択的にシールする複数のシール部とを有する、流体用開閉弁装置であって、
前記複数のシール部は互いに硬度が異なり、前記流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧に応じて、前記弁体と前記弁座部との間をシールするシール部が硬度の異なる他のシール部に切り替わる、流体用開閉弁装置。
【請求項2】
前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、
前記複数のシール部は、前記離接方向と直交する方向に互いに並列に配置されている、請求項1に記載の流体用開閉弁装置。
【請求項3】
前記複数のシール部は、前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離が、硬度が大なるシール部ほど長く、硬度が小なるシール部ほど短い、請求項1または2に記載の流体用開閉弁装置。
【請求項4】
前記複数のシール部のうち少なくとも硬度が最も低いシール部には、圧縮変形に対して復元力を与える復元手段が設けられている、請求項1から3のいずれかに記載の流体用開閉弁装置。
【請求項5】
弁座部と、該弁座部に離接して流体通路の上流側通路と下流側通路とを連通・封鎖する弁体と、を備えると共に、該弁体が前記弁座部との間をシールする第1シール部と該第1シール部よりも硬度が大なる第2シール部とを有する、流体用開閉弁装置であって、
前記流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が所定値未満である場合は、前記第1シール部が前記弁座部に密着して前記流体通路が封鎖され、
前記差圧が前記所定値以上である場合は、前記弁座部に密着している第1シール部が前記差圧により圧縮変形するとともに、前記第2シール部が前記弁座部に密着して前記流体通路が封鎖される、流体用開閉弁装置。
【請求項6】
前記弁体の一部が前記第2シール部を構成している、請求項5に記載の流体用開閉弁装置。
【請求項7】
前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、
前記第1シール部は、前記第2シール部よりも前記流れ方向の上流側に配置されている、請求項5または6に記載の流体用開閉弁装置。
【請求項8】
前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、
前記第1シール部と前記第2シール部は、前記弁体の離接方向と直交する方向に互いに並列に配置されている、請求項5または6に記載の流体用開閉弁装置。
【請求項9】
前記第1シール部の前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離が、前記第2シール部の前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離よりも短い、請求項5から8のいずれかに記載の流体用開閉弁装置。
【請求項10】
圧縮変形した前記第1シール部に対して復元力を与える復元手段が設けられている、請求項5から9のいずれかに記載の流体用開閉弁装置。
【請求項11】
前記弁座部は、弁座部本体と該弁座部本体よりも軟質の弁座側シール部とを備えてなり、
該弁座側シール部は前記第1シール部と対向する位置に設けられている、請求項5から10のいずれかに記載の流体用開閉弁装置。
【請求項1】
弁座部と、該弁座部に離接して流体通路を連通・封鎖する弁体と、該弁体と前記弁座部との間を複数箇所にて選択的にシールする複数のシール部とを有する、流体用開閉弁装置であって、
前記複数のシール部は互いに硬度が異なり、前記流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧に応じて、前記弁体と前記弁座部との間をシールするシール部が硬度の異なる他のシール部に切り替わる、流体用開閉弁装置。
【請求項2】
前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、
前記複数のシール部は、前記離接方向と直交する方向に互いに並列に配置されている、請求項1に記載の流体用開閉弁装置。
【請求項3】
前記複数のシール部は、前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離が、硬度が大なるシール部ほど長く、硬度が小なるシール部ほど短い、請求項1または2に記載の流体用開閉弁装置。
【請求項4】
前記複数のシール部のうち少なくとも硬度が最も低いシール部には、圧縮変形に対して復元力を与える復元手段が設けられている、請求項1から3のいずれかに記載の流体用開閉弁装置。
【請求項5】
弁座部と、該弁座部に離接して流体通路の上流側通路と下流側通路とを連通・封鎖する弁体と、を備えると共に、該弁体が前記弁座部との間をシールする第1シール部と該第1シール部よりも硬度が大なる第2シール部とを有する、流体用開閉弁装置であって、
前記流体通路の上流側通路と下流側通路との差圧が所定値未満である場合は、前記第1シール部が前記弁座部に密着して前記流体通路が封鎖され、
前記差圧が前記所定値以上である場合は、前記弁座部に密着している第1シール部が前記差圧により圧縮変形するとともに、前記第2シール部が前記弁座部に密着して前記流体通路が封鎖される、流体用開閉弁装置。
【請求項6】
前記弁体の一部が前記第2シール部を構成している、請求項5に記載の流体用開閉弁装置。
【請求項7】
前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、
前記第1シール部は、前記第2シール部よりも前記流れ方向の上流側に配置されている、請求項5または6に記載の流体用開閉弁装置。
【請求項8】
前記弁座部に対する前記弁体の離接方向と、前記流体通路の上流側通路から導入される流体の流れ方向とが交差しており、
前記第1シール部と前記第2シール部は、前記弁体の離接方向と直交する方向に互いに並列に配置されている、請求項5または6に記載の流体用開閉弁装置。
【請求項9】
前記第1シール部の前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離が、前記第2シール部の前記弁座部に密着する端面から該弁座部までの距離よりも短い、請求項5から8のいずれかに記載の流体用開閉弁装置。
【請求項10】
圧縮変形した前記第1シール部に対して復元力を与える復元手段が設けられている、請求項5から9のいずれかに記載の流体用開閉弁装置。
【請求項11】
前記弁座部は、弁座部本体と該弁座部本体よりも軟質の弁座側シール部とを備えてなり、
該弁座側シール部は前記第1シール部と対向する位置に設けられている、請求項5から10のいずれかに記載の流体用開閉弁装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
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【図17】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2006−292152(P2006−292152A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117597(P2005−117597)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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