説明

流体種の形成および制御

本発明は、広くには、流体種の生成および/または制御のためのシステムおよび方法、ならびにそのようなシステムおよび方法によって生成された物品に関する。いくつかの場合には、本発明は、独特の流体チャネル、システム、制御、および/または絞り、ならびにこれらの組み合わせに関する。いくつかの実施の形態において、本発明は、流体流(連続的であってよく、あるいは不連続すなわち液滴であってよい)の形成および/または結合を、マイクロ流体スケールを含むさまざまな規模で可能にする。或る一連の実施の形態においては、流体流をチャネルから生み出すことができ、例えば構造的要素の使用、他の流体の使用、および/または外的な場の印加などにより、流体流の断面寸法がチャネルの断面寸法よりも小さい。いくつかの場合には、テイラー・コーンを生成できる。いくつかの場合には、液滴および/または流体流が、コロイド、細胞、治療剤、などを含んでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、Linkらによる2003年4月10日付の「Formation and Control of Fluidic Species」という名称の米国特許仮出願第60/461,954号の利益を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、広くは、流体種の形成および/または制御のためのシステムおよび方法、ならびにそのようなシステムおよび方法によって生成された物品に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
流体の供給、製品の製造、分析、などの目的のため、所望の構成の流体流、不連続な流体流、液滴、粒子、分散、などを形成するための流体の操作は、比較的よく研究されている技術である。例えば、高度に単分散した直径100ミクロン未満の気泡が、キャピラリーフロー・フォーカシング(capillary flow focusing)という技法を使用して生成されている。この技法においては、ガスが毛管から液体の槽へと押し出されるが、この管が小さなオリフィスの上方に配置されていて、このオリフィスを通過する外部液体の縮流がガスを細いジェットに集中させ、次いでこのジェットが、毛管の不安定性によって寸法の均一な泡へと分解される。同様の構成を、空気中に液滴を生成するために使用することができる。
【0004】
マイクロ流体システムは、典型的には小型化された試験室(例えば、臨床)分析の文脈であるが、さまざまな文脈において説明されている。他の用途も同様に説明されている。例えば、国際公開第WO01/89788号として2001年11月29日に公開されたAndersonらによる「Patterning of Surfaces Utilizing Microfluidic Stamps Including Three‐Dimensionally Arrayed Channel Networks」という2001年5月25日付の国際特許出願第PCT/US01/17246号は、表面上に生物学的材料および細胞などの材料のパターンをもたらすために使用できる複数レベルのマイクロ流体システムを記載している。他の文献も、バルブ、スイッチ、および他の構成部品を含むマイクロ流体システムを記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マクロおよびマイクロ流体スケールでの力学について、かなりの進歩が達成されているが、さらに改善された技法およびそのような技法のもたらす結果が、依然として望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の開示)
本発明は、広くには、流体種の生成および/または制御のためのシステムおよび方法、ならびにそのようなシステムおよび方法によって生成された物品に関する。本件出願の主題には、いくつかの場合には、相互に関係する製品、特定の課題に対する代案となる解決策、および/またはただ1つのシステムまたは物品の複数の異なる用途が含まれる。
【0007】
本発明の一態様は、方法を含んでいる。本発明の方法は、或る一連の実施の形態においては、第1の流体を第2の流体で少なくとも部分的には電界の作用によって囲むステップを含んでいる。本発明の方法は、他の一連の実施の形態によれば、チャネルの出口を出る流体流の断面寸法を電界を使用して減少させるステップを含んでいる。ある一連の実施の形態においては、本発明の方法は、細胞を流体液滴内に包み込むステップを含んでいる。
【0008】
或る一連の実施の形態において、本発明の方法は、第1の流体が第2の液体流体に囲まれてなる流体流を、第1の流体流をチャネルの出口から吐出させることによって生成するステップを含んでいる。この流体流は、いくつかの場合には、その移動の方向に直交する平均断面寸法が、チャネルの出口の平均断面寸法よりも小さい。他の一連の実施の形態においては、本発明の方法は、液滴からなる流体流を生成するステップによって、少なくとも部分的に定められる。いくつかの場合には、液滴の平均直径が約60ミクロン未満であってよく、直径が平均直径の約10%を上回る液滴が液滴の約5%以下であるような直径分布を有してよい。
【0009】
本発明の方法は、他の一連の実施の形態においては、液体内に流体テイラー・コーンを生成するステップを含んでいる。本発明の方法は、さらに別の一連の実施の形態によれば、第1の流体テイラー・コーンと第1の流体テイラー・コーン内の第2の流体テイラー・コーンとを生成するステップを含んでいる。さらに他の一連の実施の形態においては、本発明の方法は、流体テイラー・コーンを生成するステップ、およびこの流体テイラー・コーンから流体のチューブを生成するステップを含んでいる。さらに別の一連の実施の形態においては、本発明の方法は、少なくとも約1.2cpの粘度を有する流体からなるテイラー・コーンを生成するステップを含んでいる。一連の実施の形態においては、本発明の方法が、空気からなるテイラー・コーンを生成するステップによって、少なくとも部分的に定められる。
【0010】
本発明の方法は、他の一連の実施の形態においては、流体液滴を電荷で帯電させるステップ、およびこの液体液滴を反対の電荷を有している種を含んでいる溶液中に入れるステップを含んでいる。さらに他の一連の実施の形態によれば、本発明の方法は、電界の存在下にて事実上整列した分子を含んでいる流体からなる実体を生成するステップによって、少なくとも部分的に定められ、電界が存在しないとき、前記流体が事実上整列した分子を含んでいない。
【0011】
さらに他の一連の実施の形態においては、本発明の方法が、事実上平行である第1の組のマイクロチューブを生成するステップ、事実上平行である第2の組のマイクロチューブを生成するステップ、および第1の組のマイクロチューブと第2の組のマイクロチューブとを接触させるステップを含んでいる。
【0012】
或る一連の実施の形態においては、本発明の方法は、担体液体中で第1の液体からなる第1の液滴を生成するステップを含んでおり、この第1の液滴が、約100ミクロン未満の最大断面寸法を有している。さらに本発明の方法は、第2の液体からなる第2の液滴を生成するステップを含んでおり、この第2の液滴が、約100ミクロン未満の最大断面寸法を有している。いくつかの場合には、本発明の方法が、第1の液滴と第2の液滴とを1つの結合液滴へと合体できるようにするステップをさらに含んでいる。
【0013】
他の一連の実施の形態においては、本発明の方法は、マイクロ流体チャネル内で第1の液体からなる第1の液滴を生成するステップを含んでおり、この第1の液滴が、担体液体に囲まれている。さらに本発明の方法は、第2の液体からなる第2の液滴を生成するステップ、および第1の液滴と第2の液滴とを1つの結合液滴へと合体できるようにするステップを含んでいる。
【0014】
さらに別の一連の実施の形態によれば、本発明の方法は、第1の流体からなる第1の液滴に電荷を付与し、さらに第2の流体からなる第2の液滴に反対の電荷を付与するステップ、および第1および第2の液滴がそれぞれに付与された電荷が存在しない場合には合体できない条件下で、相互の電荷の引力によって第1および第2の液体を1つの結合液滴へと合体できるようにするステップによって、少なくとも部分的に定めることができる。
【0015】
本発明の他の態様は、装置に関係する。或る一連の実施の形態においては、本発明の装置は、チャネル、チャネルの出口を出る流体流の平均断面寸法を減少させるように構成および配置された低減システム、および流体流の少なくとも一部分を第2の液体流体で囲むように構成および配置された第2のチャネルを備えている。他の一連の実施の形態においては、本発明の装置が、出口を有するチャネル、およびチャネルの出口を出る流体の平均断面寸法を減少させるように構成および配置された電界生成器を備えている。
【0016】
或る一連の実施の形態において、本発明の装置は、流体を吐出することができる出口を有するチャネルを備えている。いくつかの場合、このチャネルが、流体を低減システムへと導くことができるよう配置され、低減システムが、液滴からなる流体流であって液滴が約60ミクロン未満の平均直径を有するとともに、平均直径の約10%を上回る直径を有する液滴が液滴の約5%以下であるような直径の分布を有している流体流を、前記流体から生成するように構成および配置されている。
【0017】
他の一連の実施の形態によれば、本発明の装置は、第1の流体を吐出するための出口を有している第1のチャネル、第2の流体を吐出するための出口を有している第2のチャネル、および電界を所定の位置の近傍に生成するように配置されている電界生成器を備えている。或るいくつかの実施の形態においては、第2のチャネルが、第2の流体で所定の位置において第1の流体の少なくとも一部分を囲むことができるように配置されている。
【0018】
さらに別の一連の実施の形態によれば、本発明の装置は、出口を有するチャネル、チャネルの出口の近傍に電界を生じるように配置された電界生成器、およびチャネルの出口の平均断面寸法よりも小さい断面寸法を有する寸法絞りを有している。いくつかの場合には、寸法絞りがチャネルと連通している。
【0019】
或る一連の実施の形態においては、本発明の装置は、出口を有するチャネル、チャネルの出口を出る流体内にテイラー・コーンを生成するように配置された電界生成器、およびテイラー・コーンの運動を規制することができる安定化システムを備えている。他の一連の実施の形態においては、本発明の装置は、出口を有する第1のチャネル、出口を有する第2のチャネル、および第1のチャネルの出口を出る第1の流体に第1のテイラー・コーンを生成し、かつ第2のチャネルの出口を出る第2の流体に第2のテイラー・コーンを生成するように配置された電界生成器を備えている。
【0020】
本発明は、さらに他の態様によれば、物品である。或る一連の実施の形態においては、本発明の物品は、液体中の少なくとも或る流体のエマルジョンを含んでいる。いくつかの場合には、この流体が、平均直径が約1ミクロン未満である液滴であって、平均直径の約10%を超える直径を有する液滴が液滴の約5%以下であるような直径の分布を有している液滴で基本的に構成されている。他の一連の実施の形態によれば、本発明の物品は、液体中の帯電液滴からなるエマルジョンを含んでいる。いくつかの場合には、この液滴が、電荷について基本的に飽和していてよい。
【0021】
或る一連の実施の形態においては、本発明の物品は、少なくとも第1の流体からなる実体を含んでおり、この第1の流体が、電界中で事実上整列する分子からなる。本発明の物品は、他の一連の実施の形態においては、断面寸法が約100ミクロン未満である液滴からなる液体を含んでおり、この液滴が、第1の流体および第1の流体に対して非混和性である第2の流体からなる。さらに他の一連の実施の形態によれば、本発明の物品は、マイクロチューブの整列した配列によって、少なくとも部分的に定められる。
【0022】
或る一態様において、本発明は、ここに記載した実施の形態の1つ以上を製作するための方法に向けられている。他の態様において、本発明は、ここに記載した実施の形態の1つ以上を使用する方法に向けられている。さらに他の態様において、本発明は、ここに記載した実施の形態の1つ以上を促進する方法に向けられている。
【0023】
本発明の他の利点および新規な特徴が、これらに限られるわけではないが本発明の種々の実施の形態についての以下の詳細な説明を、添付の図面と関連しつつ検討することによって、明らかになるであろう。本明細書と引用によって本明細書に組み込まれる文献とが矛盾する開示を含んでいる場合、本明細書が優先する。
【0024】
これらに限られるわけではないが本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しつつあくまで例として説明するが、これら図面は概略であって、比例尺であるように意図されているわけではない。これらの図において、図示されている同一またはほぼ同一の構成要素のそれぞれは、通常はただ1つの参照番号で示されている。わかりやすくするため、当業者が図示がなくても本発明を理解できる場合など、すべての図においてすべての構成要素に符号が付されているわけではなく、本発明の各実施の形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(用語の定義)
以下の定義が、本発明を理解するうえで役に立つであろう。本明細書にて使用される場合、用語「流体」は、流動して容器の外形に沿おうとする物体を全般的に指す。通常は、流体は、静的なせん断応力に耐えることができない材料である。流体は、せん断応力が加えられたとき、連続的かつ恒久的な歪みを受ける。典型的な流体には、液体(例えば、水または水溶液)および気体(例えば、空気、O、N、など)が含まれるが、自由に流動する固体粒子、粘弾性流体、なども含まれうる。流体は、例えば水(例えば、水溶液中など)や油などと同様の粘度など、任意の適切な粘度を有することができる。本発明の或る実施の形態においては、液体が、当業者にとって公知の油または有機溶媒などを含んでもよい。2つ以上の流体が存在する場合、当業者であれば、それぞれの流体を、それら流体間の関係を考慮することによって、基本的に任意の流体(液体、気体、など)の中から独立に選択することができる。流体はそれぞれ、混和性であってよく、不混和性であってもよい。例えば、2つの流体を、流体の流れの形成の時間枠あるいは反応または相互作用の時間枠において、不混和性であるように選択できる。一例として、各部分がかなりの時間期間にわたって液体のままであるならば、それらの流体は不混和性であるかもしれない。他の例としては、分散された部分が接触および/または形成ののちに重合などによって速やかに硬化する場合、それらの流体は不混和性である必要はない。当業者であれば、本発明の技法を実行するため、接触角の測定などを使用して、適切な混和性および不混和性の流体を選択できる。
【0026】
本明細書にて使用される場合、用語「流体流」または「流体の流れ」は、典型的にはおおむね或る特定の方向の流体の流れを指している。流体流は、連続であってよく、かつ/または不連続であってよい。「連続的」な流体流は、単一の実体として生み出された流体流であり、例えば或るチャネルから連続的な流体流が生み出されたならば、その流体流は、生み出されたのちに、当該チャネルの出口から連続的に現れる。連続的な流体流の例が、図1Bに示されている。連続的な流体流は、層流であってよく、あるいはいくつかの場合には、乱流であってよい。連続的な流体流は、例えば中実であってよく、あるいは中空(すなわち、中空のチューブのように内部に第2の流体を含んでいる)であってよい。本明細書において「チューブ」が使用される場合、その構造は中空であってよく、中実または満たされた(すなわち中空でない)流れであってよく、あるいは中央の芯と周囲の1つ以上の層とを含んでいてそれらのいずれかが他者と選択的に反応できあるいは凝固できる流れであってよい。いくつかの場合には、中央の芯が中空であり、かつ/または中空チューブを生み出すべく凝固した周囲の流体から流体を取り除いてもよい。
【0027】
同様に、「不連続」な流体流は、単一の実体としては生み出されていない流体流である。不連続な流体流は、独立した液滴の外観を有することができ、随意により第2の流体に囲まれてもよい。本明細書において使用されるとき、「液滴」とは、第1の流体からなり第2の流体によって完全に囲まれた隔離された部分である。いくつかの場合に、液滴は球形または事実上球形であってよいが、他の場合には液滴が非球形であってよく、例えば外部の環境に応じて液滴が例えば「ブロブ」または他の不規則形状の外観を有していてもよい。不連続な流体流の例が、図1Aに示されている。本明細書において使用される場合、第1の実体の周囲に閉ループを、第2の実体のみによって描くことができ、あるいは概念化できる場合に、第1の実体が第2の実体によって「囲まれて」いる。第2の実体のみによる閉ループを、方向にかかわらず第1の実体の周囲に描くことができる場合、第1の実体は「完全に囲まれて」いる。
【0028】
或る場合には、流体流を、例えばマイクロチャネルでマイクロスケールに生成できる。すなわち、すべてではないがいくつかの実施の形態においては、本明細書に記載のシステムおよび方法の少なくともいくつかの構成要素が、「マイクロ流体」または「マイクロスケール」などの用語を使用している。本明細書にて使用されるとき、「マイクロ流体」、「微視的」、「マイクロスケール」、および「マイクロ」という接頭語(例えば、「マイクロチャネル」などの)等は、幅または直径が約1mm未満であり、或る場合には約100ミクロン(マイクロメートル)未満である要素または物品を広く指す。いくつかの場合には、そのような要素または物品に、流体が流通することができるチャネルが含まれる。すべての実施の形態において、指定の幅は最小幅(すなわち、物品が他の次元についてより大きい幅を有しうる位置において指定された幅)であってよく、あるいは最大幅(その場所において、物品は指定の幅よりも大きい幅を有してはいないが、より大きい長さを有している)であってよい。さらに、本明細書にて使用されるとき「マイクロ流体」は、マイクロスケールのチャネルを少なくとも1つ備えているデバイス、装置、またはシステムを指す。
【0029】
本明細書にて使用されるとき、「チャネル」は、流体の流れを少なくとも部分的に導く物品(例えば、基板)上または物品内の造作を意味する。いくつかの場合においては、チャネルを、少なくとも部分的に、例えばエッチングした基板または成型によるユニットなど、ただ1つの構成部品によって形成できる。チャネルは、例えば円形、楕円形、三角形、不規則形状、正方形、または矩形(任意のアスペクト比でよい)など、任意の断面形状を有することができ、覆われていてもよく、あるいは覆われていなくてもよい(すなわち、チャネルの周囲の外部の環境に対して開いている)。チャネルが完全に覆われている実施の形態においては、チャネルの少なくとも一部分の断面が完全に包囲されていてよく、かつ/あるいはチャネル全体が入口および出口を除いて全長にわたって完全に包囲されていてもよい。
【0030】
チャネルは、少なくとも2:1、より典型的には少なくとも3:1、5:1、または10:1のアスペクト比(平均の断面寸法に対する長さ)を有することができる。本明細書にて使用されるとき、「断面寸法」とは、流体またはマイクロ流体チャネルに関しては、当該チャネル内の流体流に対しておおむね直交して測定される。開いたチャネルは、一般に、例えば構造的特徴(細長い凹み)および/あるいは物理的または化学的特徴(疎水性対親水性)ならびに/あるいは流体に力(例えば、封じ込め力)を作用させうる他の特徴など、流体の輸送の制御を容易にする特徴を有するであろう。チャネル内の流体は、チャネルを部分的または完全に満たすことができる。いくつかの場合においては、流体を、例えば表面張力(例えば、流体がチャネル内で凹状または凸状のメニスカスなどのメニスカス内に保持されるなど)の使用などいくつかのやり方で、チャネルの内部またはチャネルの一部分の内部に保持でき、あるいは閉じ込めることができる。或る物品または基板において、チャネルのいくつか(または、すべて)が、例えば流体流に直交する最大の寸法が約5mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約500ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約25ミクロン未満、約10ミクロン未満、約3ミクロン未満、約1ミクロン未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満、約10nm未満、または場合によってはそれ以下など、特定の寸法またはそれ未満であってよい。或る実施の形態においては、チャネルが毛管である。当然ながら、いくつかの場合には、より大きいチャネルや筒などを、流体をまとめて保存し、さらに/あるいはチャネルへと届けるために使用することができる。
【0031】
いくつかの実施の形態においては、例えば流体が細胞を含んでいる場合に、流体がチャネルを通って自由に流れることができるようにチャネルの寸法を選択できる。さらに、チャネルの寸法を、例えばチャネル内において流体の特定の体積流量または線流量を可能にするように選択できる。当然ながら、チャネルの数およびチャネルの形状は、当業者にとって公知の方法によって、さまざまにすることができる。いくつかの場合には、2つ以上のチャネルまたは毛管を使用してよい。例えば、2つ以上のチャネルを使用し、互いに内側に配置し、あるいは互いに近接して配置することができる。
【0032】
不定冠詞「a」および「an」は、ここで本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、そうでないと明確に示されない限りは、「すくなくとも1つ」を意味すると理解しなければならない。
【0033】
本明細書にて使用される場合、「または/あるいは」は、包含的な意味を有すると理解すべきであり、すなわち或る数の要素またはリストの要素のうちの少なくとも1つを含むことを意味すると解釈すべきであり、少なくとも1つには2つ以上が含まれる。用語は、「・・・のうちのただ1つ」または「・・・のうちの正確に1つ」などと、そのようでないことが明確に示されている場合にのみ、或る数の要素またはリストの要素のうちの厳密に1つを含むことを意味する。
【0034】
ここで本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、1つ以上の要素からなるリストに関して、「少なくとも1つ」という表現は、当該要素のリスト中の任意の1つ以上から選択された少なくとも1つの要素を意味すると理解すべきであるが、当該要素のリストに具体的に挙げられた各要素のすべてを少なくとも1つ含む必要はなく、当該要素のリスト中の要素からなる任意の組み合わせを排除するものでもない。さらに、この定義において、「少なくとも1つ」という表現で指し示された要素のリスト中に具体的に特定されている要素以外の要素が、具体的に特定されている要素と関係していても、関係していなくても、随意により存在することができる。すなわち、これに限るわけではないが一例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(あるいは、「AまたはBの少なくとも1つ」もこれと等価であり、あるいは「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」もこれと等価である)は、一実施の形態においては、随意により1つよりも多くてよいが少なくとも1つのAを、Bが存在しない状態で指すことができ(随意により、B以外の要素を含んでもよい)、他の実施の形態においては、随意により1つよりも多くてよいが少なくとも1つのBを、Aが存在しない状態で指すことができ(随意により、A以外の要素を含んでもよい)、さらに他の実施の形態においては、随意により1つよりも多くてよいが少なくとも1つのAと、随意により1つよりも多くてよいが少なくとも1つのBとを指すことができ(随意により他の要素を含んでもよい)、以下同様である。
【0035】
以下の文献は、その全体がここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。すなわち、Stoneらによる「Multiphase Microfluidic System and Method」という名称の2002年6月28日付の米国特許仮出願第60/392,195号、Linkらによる「Method and Apparatus for Fluid Dispersion」という名称の2002年11月5日付の米国特許仮出願第60/424,042号、Linkらによる「Formation and Control of Fluidic Species」という名称の2003年4月10日付の米国特許仮出願第60/461,954号、Linkらによる「Electronic Control of Fluidic Species」という名称の2003年8月27日付の米国特許仮出願第60/498,091号、Kumarらによって「Formation of Microstamped Patterns on Surfaces and Derivative Articles」という名称で出願され、今や1996年4月30日付で米国特許第5,512,131号として発行されている1993年10月4日出願の米国特許出願第08/131,841号、Whitesidesらによって「Microcontact Printing on Surfaces and Derivative Articles」という名称で出願され、1996年6月26日に国際公開第WO96/29629号として公開された1996年3月1日付の国際特許出願第PCT/US96/03073号、Kimらによって「Method of Forming Articles Including Waveguides via Capillary Micromolding and Microtransfer Molding」という名称で出願され、今や2002年3月12日付で米国特許第6,355,198号として発行されている1998年1月8日出願の米国特許出願第09/004,583号、Andersonらによって「Patterining of Surfaces Utilizing Microfluidic Stamps Including Three‐Dimensionally Arrayed Channel Networks」という名称で出願され、2001年11月29日に国際公開第WO01/89788号として公開された2001年5月25日付の国際特許出願第PCT/US01/17246号、Weitzらによって「Method and Compositions for Encapsulating Active Agents」という名称で出願され、2002年6月20日に国際公開第WO02/47665号として公開された2001年5月25日付の国際特許出願第PCT/US01/46181号、Stoockらによって「Laminar Mixing Apparatus and Methods」という名称で出願され、2003年2月13日に国際公開第WO03/011443号として公開された2002年7月24日付の国際特許出願第PCT/US02/23462号、およびStoneらによって「Method and Apparatus for Fluid Dispersion」という名称で出願され、2004年1月8日に国際公開第WO2004/002627号として公開された2003年6月30日付の国際特許出願第PCT/US03/20542号である。
【0036】
(実施の形態)
本発明は、広くは、流体種の形成および/または制御のためのシステムおよび方法、ならびにそのようなシステムおよび方法によって生成された物品に関する。本発明は、以下でさらに詳しく説明するとおり、独特な流体チャネル、システム、制御、および/または規制、ならびにこれらの組み合わせを含んでおり、さらに他の特徴を含んでいる。或る実施の形態において、本発明は、マイクロ流体スケールを含むさまざまな規模において、流体流(連続的であってよく、不連続すなわち液滴であってもよい)の形成および/または結合を可能にする。或る一連の実施の形態においては、流体流がチャネルから生成され、例えば構造的要素の使用、他の流体の使用、および/または外部の場の適用によって、流体流の断面寸法がチャネルの断面寸法よりも小さい。いくつかの場合には、テイラー・コーン(Taylor cone)を生み出すことができる。他の一連の実施の形態においては、流体流を、例えばチューブ(中空であっても、中実であってもよい)、液滴、入れ子状のチューブまたは液滴、チューブまたは液滴の配列、チューブからなるメッシュ、などを生み出すため、或るやり方で操作できる。いくつかの場合には、本発明の特定の実施の形態を使用して生成された液滴を、帯電または事実上帯電させることができ、これらを例えば外部の場の印加を使用してさらに操作することが可能になる。そのような操作の例としては、これらに限られるわけではないが、帯電液滴の生成、液滴の融合(とくに、マイクロスケールにおいて)、液滴形成の同期、液滴内の分子の整列、などが含まれる。いくつかの場合には、液滴および/または流体流が、コロイド、細胞、治療剤、などを含むことができる。
【0037】
そのような物品を形成する方法およびシステムの例を、以下でさらに詳しく説明する。通常は、チャネルから流体を生成または吐出することによって流体流が形成されるとき、液滴の直径または他の断面寸法は、チャネル出口の直径または他の断面寸法よりも大きい。流体流は、例えば流体の連続的な流れ(例えば、「チューブ」)であってよく、流体の不連続な流れ(例えば、液滴)であってよく、例えば図1A〜1Bに示されているとおり、チャネル12からチャネル出口13を通じて生成された流体15が、流体の連続的な流れを形成し(図1A)、あるいは流体の不連続な流れを形成している(図1B)。
【0038】
しかしながら、一態様において、本発明は、チャネルからの流体流の生成または吐出に関するが、流体流の断面寸法がチャネル出口の断面寸法よりも小さい。いくつかの場合、本発明は、チャネルからの流体流の生成または吐出を、ここでさらに説明するとおり、流体流に対する独特な制御および/または流体または材料の独特な組み合わせを提供するやり方で生じることができるようにする。一例として、流体流を、流れの経路内または近傍に位置する1つ以上の構造的要素を使用して、操作することができる。他の例として、チャネルから生成または吐出される流体流を、流体流を操作すべく或るやり方で他の流体と接触させることができる。さらに他の例としては、流体流を操作するため、外部から加えられる場(例えば、電界および/または磁界)を、チャネル出口の近傍および/または流体流の近傍に生成できる。さらに、例えばここでさらに説明するとおり、これらおよび/または他のシステムおよび技法の任意の組み合わせを、本発明において考えることができる。さらに、いくつかの場合には、不連続な流れにおける液滴の寸法を含む流体流の寸法を、きわめて正確に制御することができる。
【0039】
いくつかの実施の形態においては、流体流の平均断面寸法が、チャネルの平均断面寸法の約90%よりも小さくてよく、或る特定の実施の形態においては、チャネルの平均断面寸法の約80%よりも小さくてよく、約70%よりも小さくてよく、約60%よりも小さくてよく、約50%よりも小さくてよく、約40%よりも小さくてよく、あるいは約30%よりも小さくてよい。他の実施の形態においては、流体流の平均断面寸法が、チャネルの平均断面寸法の約20%よりも小さくてよく、約10%よりも小さくてよく、約5%よりも小さくてよく、約3%よりも小さくてよく、約1%よりも小さくてよく、約0.5%よりも小さくてよく、約0.3%よりも小さくてよく、約0.1%よりも小さくてよく、約0.05%よりも小さくてよく、約0.03%よりも小さくてよく、あるいは約0.01%よりも小さくてよい。いくつかの実施の形態においては、流体流を、例えばマイクロ流体チャネルを使用してマイクロスケールで生成することができる。例えば、流体流の平均断面寸法が、約1mm未満であってよく、約500ミクロン未満であってよく、約300ミクロン未満であってよく、あるいは約100ミクロン未満であってよい。いくつかの場合には、流体流の平均断面寸法が、約60ミクロン未満であってよく、約50ミクロン未満であってよく、約40ミクロン未満であってよく、約30ミクロン未満であってよく、約25ミクロン未満であってよく、約10ミクロン未満であってよく、約5ミクロン未満であってよく、約3ミクロン未満であってよく、あるいは約1ミクロン未満であってよい。
【0040】
或る一連の実施の形態においては、断面寸法が当該流体を生成するチャネル出口の断面寸法よりも小さい流体流を生み出すべく、或るやり方で流体流を操作するため、構造的要素を使用することができる。いくつかの場合には、流体流の断面寸法のいずれもがチャネル出口の最小の断面寸法を上回らないように流体流を生成できる。本明細書において使用されるとき、「構造的要素」とは、チャネル内または近傍に位置してチャネルからの流体流を少なくとも部分的に変化させることができる物理的な造作である。構造的要素の例には、寸法絞り、うね、または溝などが含まれる。本明細書にて使用されるとき、「寸法絞り」とは、流体流の断面寸法を小さくするような形状とされた構造的要素である。いくつかの場合において、寸法絞りは、環状のオリフィスであるが、例えば細長、卵形、正方形、または矩形など、他にもさまざまな形態をとることができる。寸法絞りは、好ましい実施の形態においては開閉されない。すなわち、寸法絞りが、開状態と閉状態との間で切り替えることができないオリフィスであって、典型的には寸法固定のオリフィスである。これに限られるわけではないが例として、図1Cにおいては、チャネル12から吐出された流体15が、流体にチャネル出口13の断面寸法よりも小さい断面寸法10を有する流れを形成せしめる寸法絞り14を通過している。他の例としては、流体が、寸法絞りを通過したのちに、不連続な流体流となってもよい(図示されていない)。これらに限られるわけではないが、寸法絞りの他の例を、図2B〜2Dに見ることができる。寸法絞りのさらに他の例を、Stoneらによる「Method and Apparatus for Fluid Dispersion」という名称の2003年6月30日付の国際特許出願第PCT/US03/20542号に見ることができ、この国際特許出願は、ここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。
【0041】
いくつかの場合には、流体流および/または周囲の流体の平均断面寸法が、寸法絞りの平均断面寸法の90%を下回らず、さらに他の実施の形態においては、寸法絞りの平均断面寸法の80%、70%、60%、50%、40%、または30%を下回らない。これは、或る場合に、本発明のシステムを或る範囲の流体流量にわたって動作させつつ、依然としてサイズまたは断面寸法が同一または事実上同一である流体流を生み出すことができるという点で、好都合でありうる。
【0042】
他の一連の実施の形態においては、断面寸法が当該流体を生成するチャネル出口の断面寸法よりも小さい流体流を生み出すべく、或るやり方で流体流を操作するため、1つ以上の追加の流体流を使用することができる。この第2の流体を、チャネルによって生み出される流体流にチャネルの断面寸法よりも小さい断面寸法を持たせるようなやり方で、流体またはチャネルに導くことができ、いくつかの場合には、流体流の断面寸法のいずれもがチャネルの最小の断面寸法を上回らないように、流体および/またはチャネルに導くことができる。一実施の形態においては、追加の流体が、チャネルによって生成される流体を囲み、あるいは「鞘」となって流体流の断面寸法を減じさせるようなやり方で導かれる。すなわち、本発明は、いくつかの場合において、鞘流体の流量の制御および/または鞘流体に対する流体の流量の比の制御による流体流の平均断面寸法の制御を含んでいる。
【0043】
これに限られるわけではないが、一例が図1Dに示されている。この図においては、チャネル12から吐出される流体15が、チャネル12の周囲を流れる鞘流体16によって囲まれている。チャネル12の周囲の流体16の流れによって、例えば連続的(図示)または不連続な流体流を生み出している流体流15のサイズを抑制することができる。他の例(図示されていない)においては、2つ以上の鞘流体流を、例えば流体流の異なる側に設けて流体流の断面寸法を減じることができる。
【0044】
さらに他の一連の実施の形態においては、外的に加えられる場(例えば、電界および/または磁界)を、例えば断面寸法が当該流体を生成するチャネル出口の断面寸法よりも小さい流体流を生み出すべく、流体流を操作するために、チャネル出口の近傍および/または流体流の近傍に生成できる。一実施の形態においては、外的に加えられる場が、磁界を含んでいる。例えば永久磁石や電磁石などを使用して適切な磁界を生成する技法は、当業者にとって公知である。他の実施の形態においては、外的に加えられる場が、電界を含んでいる。電界は、電界生成器、すなわち例えば事実上チャネルまたはチャネル出口に向け、さらには/あるいはチャネル出口を出る流体流の近傍に向けて電界を生み出すことができるシステムから生成できる。適切な電界を生成する技法は、当業者にとって公知である。例えば、チャネル出口および/または流体流の近傍に位置する電極にまたがって電圧降下を印加することによって、電界を生み出すことができる。電極は、当業者にとって公知のとおり、例えば銀、金、銅、カーボン、白金、銅、タングステン、スズ、カドミウム、ニッケル、酸化インジウムスズ(「ITO」)など、任意の適切な電極材料から作ることができる。いくつかの場合には、透明または事実上透明な電極を使用することができる。
【0045】
これに限られるわけではないが、外部から加えられる場の利用の一例が、図1Eに示されている。この図においては、チャネル12から吐出される流体15が、事実上電気導電性であり、チャネル12を囲んでいる第2の流体17が、事実上非電気導電性である。本明細書において使用されるとき、或る材料がたとえば導体または半導体など、電気を導くことができるのであれば、その材料は「導電性」である。外部から加えられる電界が印加されたとき、加えられた誘導性電界(図1Eにおいて「+」として示されている)の存在ゆえ、チャネル出口13において流体の表面19に正味の電荷が蓄積される。電荷の斥力のため、チャネル出口13における流体15の形状が、或るいくつかの場合には、「テイラー・コーン」11として知られる事実上円錐状の形状を形成するように引き延ばされる。流体流15(例えば、液滴またはチューブ)を、テイラー・コーン11の端部から生成でき、テイラー・コーン11からの過剰な電荷の除去を可能にできる。
【0046】
このように、本発明の一態様は、チャネル出口の平均断面寸法に対して平均断面寸法が減少してなるテイラー・コーンまたは他の形状を形成するため、チャネルの出口を出る流体の付近への電界の印加に関する。いくつかの場合には、チャネル出口を出る流体を、液体または気体であってよく、チャネルを出る流体を囲むことができ、あるいは少なくとも部分的に囲むことができる他の流体に、接触させることができる。流体流を囲む流体は、空気または他の気体であってよく、いくつかの場合には液体であってよい。一例として、流体流(例えば、液滴、チューブ、など)がチャネルを出る流体によって形成される実施の形態においては、流体がチャネルを出る流体を完全に囲んでよい。しかしながら、他の場合には、流体流がいかなる流体にも囲まれていなくてよく、すなわちテイラー・コーンを真空中に形成してもよい。
【0047】
本明細書において使用されるとき、「テイラー・コーン」とは、当業者にとって公知のとおり、少なくとも部分的に電気導電性である流体が、外的に加えられる誘導性の電界にさらされたときにとる形状である。テイラー・コーンの形成においては、チャネルの出口を出る流体流へと、おおむね流体の流れの方向に流体を通過するよう電界を加えることができる。流体が表面電荷を持ち、これが電界の影響を受けやすく、したがって電界によって流体へと流体の流れの方向に引力が加えられ、流体流の断面寸法が小さな断面寸法に至るまで流体流の方向に減少する適切な円錐形状が形成される。
【0048】
流体流がテイラー・コーンから形成される実施の形態において、流体流は、連続的であってよく(例えば、「チューブ」)、あるいは不連続であってもよい(例えば、流体流が液滴へと分解されてよい)。いくつかの場合においては、流体流の連続性を、テイラー・コーンを形成する流体および/または周囲の流体(存在する場合)の粘度を制御することによって制御できる。より高粘度の流体は、テイラー・コーンからより容易に連続的な流体を形成する。例えば流体の粘度が少なくとも約1.2cp、少なくとも約2cp、少なくとも約5cp、少なくとも約10cp、少なくとも約50cp、あるいは少なくとも約100cpなど、例えばチャネル内の流体が比較的粘性的(例えば、水の粘度よりも大)である場合には、流体65の連続的な流れ、すなわち「チューブ」が、例えば連続的な流体流15がテイラー・コーン11から生み出されている図1Fに示されているとおり、テイラー・コーンの端部から形成されるであろう。このような粘性流体の例には、これらに限られるわけではないが、油または炭化水素などの有機液体が含まれる。
【0049】
具体的な例として、図1Eにおいては、チャネル出口13を通ってチャネル12を出る流体流15へと外部電界を加えることによって、テイラー・コーンを生成できる。すでに述べたとおり、電荷がテイラー・コーン11の表面19に蓄積する。流体流によってテイラー・コーンの端部から形成される液滴15は、高度に帯電する可能性があり、あるいはいくつかの場合には、電荷について基本的に飽和する(すなわち、液滴を別個の液滴へと分解させない限り液的にさらなる電荷を加えることができない)可能性さえある。ひとたび帯電した液滴が形成されると、帯電した液滴は、電荷の相互作用によって、帯電した他の液滴に対して反発しうる。この相互作用が、液滴を加速された速度でテイラー・コーンから移動させ、さらに/あるいは帯電したテイラー・コーンの表面と帯電した液滴との間の電界の相互作用によって、テイラー・コーンを大きく変形させ、あるいは移動(「はためき挙動(whipping behavior)」)させる。この相互作用は、いくつかの場合の場合には、予測および/またはモデル化が困難かもしれない。
【0050】
このように、いくつかの場合に、本発明は、例えばテイラー・コーンの運動およびテイラー・コーンからの流体流の生成を制御および/または規制することによって、さらには/あるいはテイラー・コーンの周囲の流体の特性(例えば、速度、流量、粘度、など)を制御することによって、きわめて精密に制御された流体流の形成(例えば、液滴またはチューブ)を可能にする。本発明は、一実施の形態において、テイラー・コーンを生成しているチャネル出口の断面寸法よりも小さい断面寸法の流体流を、生成可能にする。例えば、流体流の断面寸法を、チャネルの平均断面寸法の約90%よりも小さくでき、或る特定の実施の形態においては、例えばすでに述べたとおりチャネルの平均の断面寸法の約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約5%、約3%、約1%、約0.5%、約0.3%、約0.1%、約0.05%、約0.03%、または約0.01%よりも小さくできる。流体流が液滴を形成する場合には、液滴の直径の分布は均一であってよく、すなわちいくつかの場合には、液滴の直径の分布が、平均直径が液滴の平均直径の約10%、約5%、約3%、約1%、約0.03%、または約0.01%を超える液滴が液滴の約10%、約5%、約3%、約1%、約0.03%、または約0.01%以下であるような分布であってよい。
【0051】
このように、本発明は、一連の実施の形態に従えば、テイラー・コーンを安定させるためのシステムおよび方法を提供する。例えば、電界の存在下でチャネルを出る流体流によって生成されるテイラー・コーンを、チャネル出口の断面積よりも小さくなるように流体流の断面積を減じることによって、すなわちテイラー・コーンから帯電した液滴が生み出されるときのテイラー・コーンの実質的な移動を防止または制限することによって、安定させることができる。本明細書において使用されるとき、テイラー・コーンからの液滴の分離の後に形成される帯電した電荷が、テイラー・コーンの円錐角を約50%を超えて変化させず、いくつかの場合には円錐角を約40%、約30%、約20%、または約10%を超えて変化させないならば、テイラー・コーンの「実質的な移動」が防止されている。流体流の断面寸法を減じる方法には、例えば1つ以上の追加の流体流(例えば、鞘流体)の使用、および/または寸法絞りなどの構造的要素の使用など、すでに説明した方法も含まれる。
【0052】
例えば、一実施の形態において、本発明は、テイラー・コーンの動きを抑えることができる1つ以上の鞘流体を含んでおり、例えばテイラー・コーン流体と鞘流体との間の粘度の差および/または鞘流体の流量によって、テイラー・コーンの動きを抑えることができる。例えば、鞘流体がテイラー・コーン流体に比べて高度に粘性的であってよく、帯電した液滴が形成される際のテイラー・コーンの運動を少なくとも部分的に拘束できる。図2Aに示されている他の例としては、鞘流体が、帯電した液滴が形成される際のテイラー・コーンの運動を少なくとも部分的に拘束できるよう、テイラー・コーン流体に比べて高流量で移動していてもよい。
【0053】
他の実施の形態においては、テイラー・コーンおよび/またはテイラー・コーンから形成される流体流(連続的であっても、不連続であってもよい)の少なくとも一部を、出口の下流の寸法絞りを通過して流れるように強いることによって、テイラー・コーンを安定させることができる。例えば、チャネルの出口が囲まれた空間へと流体を供給してもよく、そこから流体が寸法絞りを通って出る。これらに限られるわけではないが、このようなテイラー・コーンの安定化方法の例が図2B〜2Dに示されており、チャネル出口13においてチャネル12から形成されたテイラー・コーン11が、寸法絞り14によって安定化されている。寸法絞りを通過するとき流体の流量が増加し、寸法絞り内におけるテイラー・コーンの運動を拘束できる。このように、鞘流体16が、寸法絞りを通過するときに、テイラー・コーンの運動を少なくとも部分的に拘束できる。図2B〜2Dにおいては、寸法絞りが環状のオリフィスであるが、種々ある任意の形態をとることも可能である。
【0054】
さらに他の実施の形態においては、例えばチャネルの側面または寸法絞りなどの構造的要素などとテイラー・コーンの少なくとも一部分との機械的な相互作用など、機械的作用によってテイラー・コーンが動かぬように少なくとも部分的に拘束できる。
【0055】
上記実施の形態および/または他の実施の形態の組み合わせも、可能である。例えば、テイラー・コーンを、テイラー・コーン流体を鞘流体で少なくとも部分的に囲み、かつテイラー・コーンの少なくとも一部を寸法絞りを通過するように強いることによって、少なくとも部分的に安定させることができる。いくつかの場合には、鞘流体の平均断面寸法が、寸法絞りの平均断面寸法の約90%以上であってよく、特定の実施の形態においては、寸法絞りの平均断面寸法の約80%以上、約70%以上、約60%以上、約50%以上、約40%以上、または約30%以上であってよい。
【0056】
或る一連の実施の形態によれば、本発明のシステムおよび方法を使用し、例えば入れ子にされたテイラー・コーンおよび/または並列のテイラー・コーンなど、2つ以上のテイラー・コーンを生成することができる。いくつかの場合には、テイラー・コーンのそれぞれを、すでに説明したような連続的な流れ(例えば、中空または満たされている)または不連続な流れ(例えば、液滴)を生成するため、独立に使用することができる。或る特定の実施の形態においては、液滴を高度に帯電させることができ、あるいは電荷について基本的に飽和させることができる。
【0057】
本発明の一実施の形態は、入れ子にされたテイラー・コーンの生成を可能にし、すなわち1つのテイラー・コーンがもう1つのテイラー・コーンを少なくとも部分的に囲んでいる。これらに限られるわけではないが、入れ子状のテイラー・コーンの例が、図3A〜3Dに示されている。すなわち、いくつかの場合には、本発明が、第1の流体を運ぶための第1のチャネルおよび第2の流体を運ぶための第2のチャネルを備えることができ、これらのチャネルが、1つのテイラー・コーンがもう1つのテイラー・コーンを少なくとも部分的に囲むように配置されている。或るいくつかの例では、1つの流体が第2の流体を包むようにチャネルが配置されている。流体はそれぞれ、用途に応じ、混和性であってよく、いくつかの場合には非混和性であってよい。例として、図3Aおよび3Bにおいては、2つのテイラー・コーン33、34が、入れ子にされた2つのチャネル31、21(すなわち、チャネル31がチャネル32に入れ子にされている)にそれぞれ生成されている。結果として得られる液滴(図3A)またはチューブ(図3B)の流体流は、1つの流体35を第2の流体36(それぞれのチャネル31および32から生み出されている)の内側に入れ子にして含んでいる。図3Cおよび3Dは、これらに限られるわけではないが、3つのテイラー・コーンおよび3つの流体37、38、および39を有する例を示している。チャネルの構成に応じて、3つの流体の入れ子を生み出すことができ(図3C)、2つの流体を第3の流体の内側に入れ子にすることができ(図3D)、以下同様である。例えば、いくつかの場合において4つまたは5つ以上のテイラー・コーンの入れ子を使用できるなど、他の実施の形態および均等物を、当業者であれば理解できるであろう。
【0058】
例として、1つの流体が気体であって1つの流体が液体である場合には、エアロゾルを生成することができる。他の例として、1つの流体が気体であって1つの流体が油である場合には、泡または泡状の構造を生み出すことができる(例えば、液滴の内側の中身が混合を許されている場合)。さらに他の例としては、例えば気体を包むように液体が使用される場合には、中空カプセルまたは中空チューブが生み出される。いくつかの事例では、2つの流体が両方とも混和性の液体である場合に、2つの混和性の液体を混合することができる。他の例として、2つの反応性の成分を混合またはカプセル化することができ、反応(例えば、凝固反応)が2つの成分の境界で生じる。このようにして、例えば、固体の殻を中央の液体を囲むように有する液滴またはチューブを、本発明を使用して製造することができる。他の例では、周囲の環境に対して反応性であってよい或る流体の液滴を、その環境に対して事実上反応性でない流体で包むことができ、すなわち流体の周囲に、他の流体で保護用の「殻」を形成することができる。
【0059】
本発明の他の実施の形態によれば、並列に連なった2つまたは3つ以上のテイラー・コーン(例えば、図4)を製造することができ、これによりいくつかの場合には、並列に連なった2つまたは3つ以上の連続的な流体流を生み出すことができる。さらに本発明は、流体流の少なくとも1つが固体へと硬化可能である場合(例えば、後でさらに説明するとおり)には、チューブからなるメッシュにも関連する。例えば、図4Aに示すとおり、一連のチャネルを一連のチューブを製造すべく使用することができる。チューブは、中実であっても、中空であってもよい。チャネルは、例えば平行、直交、斜め、など、お互いに対して任意の向きを有することができる。いくつかの場合には、例えば図4B(2組の平行なチューブ41、42が示されている)および図4C(3組の平行なチューブ41、42、43が示されている)に示すとおり、一連のチューブを、メッシュまたはチューブのネットワークを形成するため他のチューブと接合することができる。チューブの各組は、他のチューブに対して任意の向きに配置することができ、かつ所望の任意の間隔で配置することができる。いくつかの場合には、チューブからなるネットワークにおいて、チューブ間の間隔によって定められる穴のサイズの分布を、制御することができる。すなわち、例えば、すべての穴の平均直径よりも大きい直径を有する穴が、穴の約5%未満、約3%未満、約1%未満、約0.05%未満、約0.03%未満、約0.01%未満、約0.005%未満、約0.003%未満、または約0.001%未満であるなど、きわめて狭い穴サイズ分布を有するナノチューブのメッシュを生み出すことができる。
【0060】
本発明の他の態様は、流体流の固体への硬化に関する。流体流を、例えばテイラー・コーンから、流体流よりも大きな断面寸法を有するチャネル出口から、さらには/あるいは本明細書に記載の流体流を生成するための任意のシステムまたは方法から、製造することができる。すでに述べたように、流体流は、連続的な流れ(例えば、中空であっても、満たされていてもよいチューブ)であってよく、あるいは不連続な流れ(例えば、液滴)であってよい。本明細書において使用されるとき、流体流の「硬化」とは、流体流の少なくとも一部が固体または少なくとも半固体(例えば、ゲル、粘弾性体、など)状態へと変換されるプロセスを指す。
【0061】
或る一連の実施の形態においては、流体流を乾燥技法によって硬化させることができ、すなわち流体流の一部が、固体を生むべく乾燥させられる。乾燥技法の例には、これらに限られるわけではないが、噴霧乾燥(spray drying)や高温への暴露などが含まれる。他の一連の実施の形態においては、流体流を化学反応によって硬化させることができ、すなわち流体流の流体成分が、固体を生むべく何らかのやり方で(例えば、当該流体流の他の成分と、当該流体流の周囲の流体中の反応剤と、あるいは光などと)反応させられる。
【0062】
或る一連の実施の形態においては、流体流の全体を凝固させることができるが、他の実施の形態においては、流体流の一部分のみを凝固させることができ、例えば流体の芯を凝固した殻で囲んで有する材料がもたらされる。或る典型的な構成においては、第1の流体流が第2の流体流に囲まれて形成され、第2の流体が選択的に硬化させられて、第1の流体流を囲む凝固したチューブまたは殻を形成する。他の例としては、連続的な流体流を、温度変化、化学反応、光化学反応、などによって小さな繊維へと硬化させることができる。さらに他の例としては、このようにして形成された液滴を同様に処理し、さらに/または化合および考えられる化学反応のために他の液滴へと運ぶことができ、ビーズ、コロイド、量子ドット、または基本的に液滴から得られる他の任意の固体またはゲルを形成することができる。
【0063】
いくつかの場合には、連続的な流体流を凝固させることによって生み出された1つ以上のチューブを、繊維または光ファイバ・ケーブルとして使用することができる。他の例では、凝固させた複数の流体流を、布地、メッシュ、または膜に使用することができる。そのような材料は、いくつかの場合には、例えばすでに述べたように制御された穴寸法分布を有することができる。
【0064】
さらに他の態様において、本発明は、広く流体流の操作に関連し、例えばすでに述べたようなテイラー・コーンの使用によるなど、本明細書に記載の任意の技法によって生み出された例えば連続的な流体流(例えば、チューブ)または不連続な流体流(例えば、液滴)の操作に関する。いくつかの場合には、操作される流体流が高度に帯電していてもよく、いくつかの場合には基本的に電荷について飽和していてもよい。例えば、液滴を生成するために使用されるプロセス(例えば、テイラー・コーンの使用による)が、さらに液滴への電荷の誘起を生じさせることができる。流体流が液滴を含んでいる或るいくつかの場合には、操作される液滴が均一な直径分布を有することができ、すなわち液滴が、平均直径が液滴の平均直径の約10%、約5%、約3%、約1%、約0.03%、または約0.01%を超える液滴が液滴の約10%、約5%、約3%、約1%、約0.03%、または約0.01%以下であるような直径分布を有することができる。
【0065】
或る一連の実施の形態においては、2つ以上の液滴(例えば、不連続な流体流から生じる)を、例えば当該2つ以上の液滴が例えば組成、表面張力、液滴サイズ、などが理由で通常は融合または合体できない場合でも、1つの液滴へと融合または合体させることができるシステムおよび方法が提供される。いくつかの場合、液滴に関する以下の説明を、例えば部分的に分離された流体等を含んでいるチューブの生成において第1のチューブに正の電荷を加えつつ第2のチューブに負の電荷を加えるなどによって、チューブおよび他の連続的な流体流にも適用可能であることに、注意すべきである。
【0066】
一例として、マイクロ流体システムにおいて、液滴のサイズに対する液滴の表面張力が、液滴の融合または合体の発生を妨げうる。一実施の形態においては、2つの液滴に反対の電荷(すなわち、正および負の電荷であって、必ずしも同じ大きさでなくてもよい)を与えることができ、これにより液滴の融合または合体が生じることができるように、2つの液滴の電気的相互作用を強めることができる。電荷(正または負)は、すでに述べたとおりテイラー・コーンの使用によって液滴に付与することができ、あるいは当業者にとって公知の他の任意の適切な技法で液滴に付与することができる。例えば、液滴を含んでいる反応室に電界を加えることができ、液滴をコンデンサに通過させることができ、液滴を帯電させる化学反応を生じさせることができる、などである。
【0067】
例えば、図5Aに概略的に示されているとおり、互いに接触するに至った帯電していない液滴51および52が、例えばそれらのサイズおよび/または表面張力ゆえに融合または合体することができない。液滴は、いくつかの場合には、たとえ液滴の表面張力を小さくすべく界面活性剤が加えられても、例えばそれら液滴がマイクロ流体の液滴である場合には、それらのサイズが理由で依然として融合することができないかもしれない。そのようなマイクロ流体系の典型的な顕微鏡写真が図5Bに示されており、液滴51および52がいずれも、マイクロ流体チャネル53内に位置する水滴であって、液滴が水供給源57から生じ、チャネル58から生じた担体流体(油)54によって運ばれている。
【0068】
一方、液滴が反対の電荷(必ずしもではないが、同じ大きさであってよい)で電気的に帯電している場合は、液滴が融合または合体できるようになる。例えば、図5Cにおいては、正に帯電した液滴55および負に帯電した液滴56が、反対に帯電した液滴の電気的な相互作用によって液滴が融合液滴57へと融合または合体できるよう、お互いへと導かれている。マイクロ流体系の典型的な顕微鏡写真が図5Dに示されており、液滴55および56がいずれも、マイクロ流体チャネル53内で担体流体(油)54内に含まれている水滴である。このような系の一連の時間連続の顕微鏡写真が、図5E〜5Gに示されており、液滴55および56が融合して液滴57を形成している。
【0069】
いくつかの場合には、液滴を、図6A〜6Cに時間順で示されているように、流体61と62との間の反対の電荷の相互作用によって生じうる液滴間の流体の「橋絡」の形成を通じて融合させることができる。流体の橋絡65の拡大図が図6Dに示されており、流体の液滴の表面が合流している様子が示されている。液滴間の流体の「橋絡」の形成によって、液滴は、物質を交換することができ、あるいは1つの液滴へと融合または合体できる。
【0070】
2つ以上の液滴が「合体」するとき、得られる液滴において、各液滴からの流体の完全な混合が瞬時に生じるわけではないことに、注目すべきである。いくつかの場合には、流体が混合せず、反応せず、あるいはその他の相互作用をしない可能性があり、各流体が分離したまま、あるいは少なくとも一部が分離したままである流体液滴がもたらされる。他の場合には、流体のそれぞれが混ざりあうことが、反応でき、あるいはその他の相互作用が可能であり、混合または部分的に混合された流体液滴がもたらされる。いくつかの場合には、融合した液滴が、例えば水性の液滴の場合には油など、担体流体内に含まれていてよい。
【0071】
或る一連の実施の形態においては、合体した液滴(または、他の流体系)が、流体が分離または少なくとも部分的に分離したままである2つ以上の流体領域を含んでいてよい。例えば、図7Aに示されているとおり、チャネル70において、合体した液滴が、最初は、流体71からなる第1の領域(液滴73から由来)および流体72からなる第2の領域(液滴74から由来)で形成されてよい。各流体領域が、別個の領域のままであってよく、したがって不均一な流体液滴75がもたらされる。いくつかの場合には、液滴内の流体領域が、液滴内における流体の流れゆえに分離したまま(さらなる混合因子なし)であってよい。すなわち、例えば図7Bに示されているように、液滴68が方向77に移動しつつ液滴内部に「逆回転の」流れを呈することができる。液滴内の逆回転の流れによって、いくつかの場合には、液滴内の流体が実質的に混合することがないようにできる。
【0072】
特定の例としては、第1の領域と第2の領域とが視覚的に異なるよう、第1の染料(すなわち、色を含んでいると光学的に判断できる分子)を含んでいる流体からなる第1の領域と第2の染料を含んでいる(あるいは染料を含んでいない)流体からなる第2の領域とを含んでいる合体液滴を、生み出すことができる。例えば、第1の領域が白色(または透明)であって、第2の領域が黒色であってよく、第1の領域がシアン、マゼンタ、および/または黄色であって、第2の領域が黒色または白色(または透明)であってよく、第1の領域が赤色、緑色、および/または青色であって、第2の領域が黒色または白色(または透明)であってよく、以下同様である。このような合体液滴は、例えば、液滴の視覚的外観を変化させるべく液滴に電界または他の外的な場を加えることができるシステムにおいて使用可能である。いくつかの場合には、合体液滴を、例えばすでに述べたとおり粒子へと硬化させることができる。
【0073】
一方で、他の一連の実施の形態においては、合体した液滴(または、他の流体流)における2つ以上の流体領域を、互いに部分的または完全に混合でき、反応でき、あるいは他の相互作用が可能なようにすることができる。例えば、図7Cに示されているとおり、チャネル70において、合体した液滴が、最初は、流体71からなる第1の領域(液滴73から由来)および流体72からなる第2の領域(液滴74から由来)で形成されてよい。次いで、これらの流体領域を混合させ、反応させ、あるいは他に相互作用させることができ、部分的または完全(すなわち、均一に)に混合された合体液滴78が最終的に形成される。合体液滴における流体領域の混合は、例えば拡散(例えば、2つの流体領域間の界面を介する)、流体の相互の反応、および/または液滴内の流体の流れ(すなわち、対流)などの補助なしの自然の方法など、任意の適切な機構によって発生可能にできる。いくつかの実施の形態においては、流体領域の一部または一成分のみ(例えば、後でさらに説明するような反応剤)が、例えば混合、反応、などによって他の流体領域(あるいは、その一部または一成分)と相互作用する。
【0074】
一方、他の実施の形態においては、合体液滴における流体領域の混合を、或るやり方で促進することができる。一例として、合体した液滴を、液滴の方向を変更させる1つ以上のチャネル領域を通過させることができる。方向の変化によって、液滴内の対流パターンを変化させることができ、2つの流体の混合を可能にして、少なくとも部分的に混合された液滴をもたらす。一例として、図7Dにおいては、チャネル70内の1つ以上の屈曲部に液滴76を通すことができ、液滴76の中身を少なくとも部分的に混合させて、液滴79をもたらすことができる。各屈曲部は、それぞれ独立して直角の屈曲部であってよく(例えば、図7Dに示されているとおり)、さらに/あるいは例えば約15°、約30°、約45°、約60°、約75°、約90°、約105°、約120°、約135°、約150°、約165°、などの角度を有する屈曲部など、任意の適切な角度を有する屈曲部であってよい。他の例としては、液滴を、液滴の中身を少なくとも部分的に混合させることができるチャネル内またはチャネル近傍の1つ以上の造作(例えば、うね、柱、突起、はり、くぼみ、傾斜、など)の付近を通過させるようにできる。そのような造作の例は、これらに限られるわけではないが、Stoockらによって「Laminar Mixing Apparatus and Methods」という名称で出願され、2003年2月13日に国際公開第WO03/011443号として公開された2002年7月24日付の国際特許出願第PCT/US02/23462号に開示されており、この国際特許出願は、ここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。
【0075】
或る一連の実施の形態においては、融合または合体させられる液滴(または、他の流体流)が、互いに反応または他の相互作用が可能な反応剤(例えば、化学物質、生体分子、細胞などの生物学的存在、ウイルス、バクテリア、など)を含むことができる。反応剤は、液滴および/または液滴内の流体領域を構成している流体であってよく、さらに/あるいは液滴内および/または液滴の流体領域内の流体によって担持(例えば、溶解、懸濁、など)されてよい。反応は、例えば析出反応であってよく、すなわち反応剤が、量子ドットなどの固体粒子を生み出すべく或るやり方で反応できる。さらに反応剤は、これらに限られるわけではないが、例として反応用薬品、たんぱく質、酵素/基質、核酸、たんぱく質/核酸、酵素/核酸、酸/塩基、抗体/抗原、配位子/受容体、化学物質/触媒、など、ならびにこれらおよび他の反応剤の組み合わせを含むことができる。他の例としては、液滴の一方または両方が、1つ以上の細胞であり、あるいは1つ以上の細胞を含むことができ、例えば両方の液滴が細胞である(あるいは、細胞を含んでいる)場合には、これら2つの細胞を、ハイブリドーマ細胞を生み出すべく融合させることができる。さらに他の例としては、細胞でありあるいは細胞を含んでいる1つの液滴を、流体内に包み込まれた細胞を生成するため、他の液滴と融合させることができる。さらに、いくつかの場合には、固体に包まれた細胞を生成するため、流体を凝固させることができる。さらに他の例としては、1つの液滴が細胞である(あるいは細胞を含む)とともに、他方の液滴が化学物質、生体分子、生物学的存在、など、細胞へと届けるべき作用物質を含むことができ、例えば作用物質を含んでいる液滴を細胞と融合させることによって、作用物質を細胞へと届けることができる。例としては、これらに限られるわけではないが、核酸(例えば遺伝子治療のための例えばDNAまたはRNAなど)、たんぱく質、ホルモン、ウイルス、ビタミン、抗酸化剤、などが含まれる。
【0076】
本発明の一実施の形態は、そのような反応を判断するためのシステムおよび方法を提供する。一例として、反応は、反応剤が接触に至る場所と反応が或る特定の点に達したときの場所との間の距離および/または時間を測定することによって判断できる。例えば、図7Cを参照すると、2つの液滴73、74のそれぞれが、或る特定の反応のための或る反応剤を含んでいる。この2つの液滴が、流体領域71および72を含んでいる合体液滴へと1つに合体し、すなわち或る時刻および/またはチャネル70内の或る地点において、反応が開始される。この液滴がチャネル70を通って移動するとき、反応剤が反応しうる。チャネル内の或る特定の地点dにおいて、例えば液滴78の色の変化を測定することによって、反応が完了したと判断することができる。次いで、反応を、時間の関数として、さらには/あるいはチャネル内における移動距離の関数として(例えば、液滴が一定および/または決定可能または予測可能な速度でチャネルを通過して移動するならば)、判断することができる。本明細書にて使用されるとき、用語「判断する」は、例えば定量的または定性的あるいは種の存在または非存在の検出など、種の分析または測定を広く指している。さらに「判断する」は、例えば定量的または定性的、あるいは相互作用の存在または非存在の検出による、2つ以上の種の間の相互作用の分析または測定を指している。典型的な判断技法には、これらに限られるわけではないが、赤外、吸収、傾向、UV/可視、FTIR(「フーリエ変換赤外分光法」)、またはラマンなどの分光法、重量測定技法、偏光解析法、圧電式測定、免疫学的検定、電気化学的測定、光学密度の測定などの光学的測定、円偏光二色性測定、準電気光散乱などの光散乱測定、偏光分析法、屈折計法、濁度測定、などが含まれる。
【0077】
一実施の形態においては、流体液滴に関する反応を中断でき、さらに/あるいは発生または完了しないようにできる。例えば、液滴内の逆回転の流れによって、反応が発生または完了しないようにでき(例えば、反応に関与する流体の分離によって)、さらに/あるいは反応が発生または完了できるようになるまで、液滴を「固定」または不動化することができる(例えば、液滴の少なくとも一部の凝固によって)。或る特定の例としては、少なくとも2つの反応剤をそれぞれ流体領域内に含んでいる流体液滴を、流体の実質的な混合が生じる前に、或るやり方で乾燥させることができ(例えば、噴霧乾燥、高温への暴露、などによって)、内部に別個の領域を含んでおり各領域内の反応剤が相互に反応することができないようにされている凝固粒子を生成することができる。このように、本発明の一実施の形態は、例えば噴霧乾燥粒子におけるように、互いに反応性である2つ以上の別個の成分または領域からなる安定した粒子を提供する。
【0078】
或る一連の実施の形態においては、液滴(または、他の流体流)について、さらなる反応または他のステップを、例えば合体液滴を形成するための2つ以上の液滴の混合の前および/または後で、実行可能である。例えば、いくつかの場合、流体液滴(または、反応剤などその一部)を、流体液滴を他の流体液滴と合体させる前に、或るやり方で反応させる(例えば、周囲の担体流体および/またはそこに含まれている作用物質と反応させ、光化学反応におけるように光と反応させる、など)。他の例では、合体液滴の流体領域を、例えば合体液滴の他の流体領域および/またはそこに含まれている作用物質などと、或るやり方で反応させる。
【0079】
さらに、すでに述べたものを含むさまざまな技法の組み合わせを、より複雑な組成物を製造するために使用することができる。一例として、図8においては、流体81、82、83、84、および85が、本発明の一実施の形態中を導かれ、流体81および82からなる流体領域86および流体83、84、および85からなる流体領域87を含んでいる流体液滴が形成されている。さらに、いくつかの場合には、この流体液滴を、例えばすでに説明したとおりに粒子へと硬化させることができる。
【0080】
本発明の他の態様は、同期的に形成される液滴などの不連続な流体流に関し、すなわち2つ以上の液滴が2つ以上の流体源(例えば、チャネルの出口)によって、それぞれの液滴が同時に作り出されるように生み出される。いくつかの場合には、本明細書に記載のとおり、それらの液滴を融合または合体させることができる。例として、液滴の生成を同期させるために機械的な技法を用いることができ、液滴を同期して生成するために或るやり方で電界を変調することができ、さらに/または2つのチャネルからの液滴の形成を同期させるために流体の電気的相互作用を使用することができる。そのようなシステムの1つの具体的な例が、図5Bに示されており、2つの水供給源57がそれぞれ、チャネル53内の担体流体54に水の液滴55、56を同期して生成している。
【0081】
或る一連の実施の形態においては、同期的な液滴の生成を、機械的な技法によって達成できる。例えば、液滴を、機械的な力、揺動、振動(周期的であり、或る場合には非周期的である)、または当業者にとって公知の同様の技法によって、流体供給源から離れるように強いることができる。液滴が進入する流体供給源および/またはチャネルを、液滴の生成を同期させるために或るやり方で機械的に乱すことができ、あるいは攪拌することができる。
【0082】
他の一連の実施の形態において、本発明は、2つ以上のチャネルからの2つ以上の液滴の解放を電気的に同期させるためのシステムを含んでいる。例えば、液滴の生成を左右するため(例えば、テイラー・コーンにおけるように、高度に帯電し、あるいは電荷について基本的に飽和した液滴を生成するため)に使用されている電界を、液滴の生成を同期させるために或るやり方で変調する(「変動させる」)ことができる。一実施の形態においては、例えばAC電界(或るいくつかの場合には、オフセットされたAC電界であってよく、すなわちAC電界の平均がゼロでない)など、電界をAC場で変調することができる。これらに限られるわけではないが、AC電界の変調の例が図9A〜9Cに示されている。図9Aにおいて、印加電界を変調するために方形波パルスが使用される一方で、図9Bにおいては、印加電界を変調するために正弦波オフセットが使用され、図9Cにおいては、印加電界を変調するためにのこぎり波が使用されている。他の適切な電気的変調(周期的であってよく、非周期的でもよい)を、当業者であれば容易に特定できるであろう。電界の変調が、形成されつつある液滴に加わる電気的な力を増加させ、液滴をチャネルから同期的に切り離すことができる。
【0083】
さらに他の一連の実施の形態においては、2つ(またはそれ以上)のチャネルが、当該2つのチャネルに形成される液滴間に電気的な相互作用が生じるように配置されている。そのような実施の形態の一例が、図9D〜9Gに概略的に示されている。図9Dにおいて、それぞれがそれぞれのチャネル93および94から形成されつつある液滴91および液滴92が、それらの間に電気的相互作用が生じることができるよう、距離95によって隔てられて位置しており、すなわち液滴が、帯電など一方の液滴の電気的特性が、例えば形状など他方の液滴の物理的および/または電気的特性を左右するように、位置している。この実施の形態においては、液滴91および92がそれぞれ、液滴がお互いに向かって引力を受けるよう、反対の電荷を有している。液滴のサイズが大きくなるにつれ(図9Eおよび9F)、液滴間の間隔95が小さくなり、結果として、間隔が小さくなるにつれて液滴間の電気的相互作用が大きくなる。或る点(図9Gに示されている)において、形成されつつある2つの液滴の間の相互作用が、引力によるチャネルからの液滴の離脱を引き起こすようになる。
【0084】
次いで、或るいくつかの場合には、図9Hに概略的に示されているとおり2つの液滴が融合または合体でき、液滴91および液滴92が融合して液滴97が形成されている。図5Dに示した1つの具体的な例では、2つの水供給源57が、チャネル53内に反対に帯電した水の液滴55、56をそれぞれ生成し、これらが融合して液滴57を形成している。
【0085】
本発明の他の態様は、広くには、本明細書に記載のシステムまたは方法のいずれかを使用して生成できる物品に関する。例えば、或る一連の実施の形態においては、流体流(例えば、液滴またはチューブ)が整列した分子を含むことができ、すなわち例えば図10に液滴(図10A)またはチューブ(図10B)における分子で示されているように、分子を電界によって事実上整列させることが可能である。整列可能な分子の例には、これらに限られるわけではないが、帯電した分子、双極子モーメントを有する分子、などが含まれる。分子は、電界の存在によって整列することができ、すなわち電界が存在しないとき、分子はランダムな構成および配向をとるであろう。いくつかの実施の形態においては、分子が、流体流の電荷によって整列し、すなわち流体流が、形成時に、高度に帯電していてよく、あるいは電荷について基本的に飽和していてよい。電荷が、例えば流体流の形成時に、分子の整列を引き起こすことができる。或る場合には、形成されたチューブまたは液滴を、引き続いて或るやり方で硬化または不動化させる(例えば、化学反応、重合、乾燥、などを使用して)ことができ、分子を事実上整列した状態に保つことができる。
【0086】
他の一連の実施の形態においては、本発明は、広くエマルジョンに関する。エマルジョンは、すでに説明したものなどの液滴、および/またはコロイド粒子を含むことができる。本明細書において使用されるとき、「エマルジョン」には、この技術分野において使用されるとおりの通常の意味が与えられ、すなわち分散液である。いくつかの場合には、エマルジョンは、「マイクロエマルジョン」または「ナノエマルジョン」であってよく、すなわちそれぞれミクロンまたはナノメータの次元の分散剤を有しているエマルジョンであってよい。分散液またはエマルジョンは、いくつかの場合には、均一な直径分布を有する液滴を含むことができ、すなわち液滴が、平均直径が液滴の平均直径の約10%、約5%、約3%、約1%、約0.03%、または約0.01%を超える液滴が液滴の約10%、約5%、約3%、約1%、約0.03%、または約0.01%以下であるような直径分布を有してよい。一例として、そのようなエマルジョンを、適切なサイズの流体液滴を当該流体液滴と非混和性である溶液へと進入できるようにすることによって、生成することができる。
【0087】
当業者であれば、本明細書の教示ならびに例えばフロー・フォーカシング(flow‐focusing)などの当業者にとって公知であるこの分野において利用可能な教示にもとづいて、エマルジョンの形成を制御することができる。例えば、本発明の目的を達成するための流体の選択について、Ganan‐Calvoらの「Generation of Steady Liquid Microthreads and Micron‐Sized Monodispersed Sprays and Gas Streams」、Phys. Rev. Lett.、80:2(1998年1月12日)、ならびに他の多数の文章を参照することができる。いくつかの場合には、進入する流体の流量および/または分散流体と対象流体との流量比についての制御を、対象の流体流および/または液滴サイズ、ならびに最終のエマルジョンの単分散性対多分散性を制御するために、使用することができる。
【0088】
さらに他の一連の実施の形態において、本発明は、例えばリポゾーム、リピッド・チューブ(lipid tubes)などの脂質を含んでいる流体流に関する。一実施の形態においては、チューブまたは液滴などの脂質流体流を、例えば本明細書に記載のシステムおよび方法のいずれかを使用して、水性または疎水性の担体流体中に生成することができる。他の実施の形態においては、リポゾームまたは脂質液滴を引き伸ばすことによって、リピッド・チューブを生成することができる。
【0089】
いくつかの実施の形態において、本発明は、例えばWeitzらによって「Method and Compositions for Encapsulating Active Agents」という名称で出願され、2002年6月20日に国際公開第WO02/47665号として公開された2001年5月25日付の国際特許出願第PCT/US01/46181号に記載されているようなコロイドサム(colloidosomes)の製造のためのシステムおよび方法を提供し、この国際特許出願は、ここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。一実施の形態において、帯電した流体液滴が、コロイドを含んでいる溶液へと向けられ、ここでコロイドは、反対に帯電していてよい。コロイドに対する液滴の電荷の相互作用によって、コロイドを液滴の表面へと集めることができ、溶液中にコロイドサムが形成される、このプロセスの一例を図10Cに見ることができ、帯電した流体液滴105が、コロイド107を含んでいる溶液106へと向けられている。コロイド107は、流体液滴105に対して反対に帯電していてよい。流体液滴105とコロイド107との間の電気的な引力によって、コロイド107を流体液滴105の表面へと引きつけることができ、コロイドサム108を形成することができる。いくつかの場合には、この流体液滴を、例えばすでに述べたとおり、さらに粒子へと硬化させてもよい。
【0090】
以上説明した実施の形態のそれぞれは、例えば薬品(例えば、製薬)、スキンケア製品(例えば、ローション、シャワージェル)、食品(例えば、サラダドレッシング、アイスクリーム)、インクの封じ込め、マイクロ工学材料のマイクロ・テンプレート(例えば、フォトニック結晶、スマートマテリアル、など)など、さまざまな用途に使用することができる。さらに、いくつかの場合には、すでに述べた流体流(例えば、液滴またはチューブ)のそれぞれが、細胞または治療剤を含むことができる。いくつかの用途においては、高度に単分散性であり、かつ/または濃縮された液体結晶および/または凝結液滴を、例えば新規な光デバイスに使用するため、二次元または三次元の構造へとさらに自己組織化させることができる。
【0091】
さらに他の態様によれば、さまざまな材料および方法を、本発明の或る特定の構成要素を形成するために使用することができる。いくつかの場合には、選択されたさまざまな材料が、さまざまな方法に役に立つ。例えば、本発明の構成要素を、チャネルをマイクロ機械加工、スピン・コーティングおよび化学気相成長などのフィルム堆積プロセス、レーザによる製造、写真製版技術、湿式化学プロセスまたはプラズマ・プロセスを含むエッチング法などによって形成できる固体の材料から形成することができる。例えば、AngellらのScientific American、248:44‐55(1983年)を参照されたい。一実施の形態においては、システムの少なくとも一部が、シリコンチップに造作をエッチングすることによってシリコンで形成される。シリコンからの本発明の装置の精密かつ効率的な製造のための技術は、知られている。他の実施の形態においては、当該部位(または、他の部位)をポリマーで形成することができ、弾性ポリマーまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE;テフロン(登録商標))などであってよい。
【0092】
種々の構成要素を、異なる材料で作ることができる。例えば、底壁および側壁を含む基部部分を、シリコンまたはポリジメチルシロキサン(PDMS)などの不透明な材料から作ることができ、流体プロセスの観察および制御のため、上部部分を、ガラスまたは透明ポリマーなどの透明な材料から作ることができる。いくつかの構成要素を、下方の支持材料が正確に所望の機能を有していない場合、内部のチャネル壁面に接触する流体に対して所望の化学的機能を呈するように被覆することができる。例えば、構成要素を、内部のチャネル壁面を他の材料で被覆しつつ、すでに説明したとおりに製作することができる。
【0093】
本発明の装置を製作するために使用される材料、または流体チャネルの内壁を被覆するために使用される材料は、望ましくは、例えば当該装置において使用される流体の存在下で化学的に不活性である材料など、当該装置内を流れる流体に悪影響を及ぼさず、あるいは当該装置内を流れる流体によって影響されることがない材料の中から選択できる。
【0094】
一実施の形態においては、本発明の構成要素が、重合体および/または可撓性および/または弾性材料から製作され、成型(例えば、レプリカ成型、射出成型、鋳造成型、など)による製造を容易にする硬化可能な流体で好都合に形成できる。硬化可能な流体は、基本的に、流体を収容および輸送できる固体へと硬化させることができ、あるいは自発的に硬化する任意の流体であってよい。一実施の形態においては、硬化可能な流体が、重合体の液体または液体重合体前駆体(すなわち、「プレポリマー」)からなる。適切な重合性の液体には、例えば、融点を上回って加熱された熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、またはそのようなポリマーの混合物、あるいは適切な溶媒中の1つ以上のポリマーの溶液であって、例えば蒸発による溶媒の除去によって固体重合体材料が形成される溶液が含まれうる。例えば溶融状態から固化でき、あるいは溶媒の蒸発によって固化できるそのような重合体材料は、当業者にとって公知である。その多くが弾性的である種々の重合体材料が適切であり、さらに母型の一方または両方が弾性材料で構成されている実施の形態において、本発明の構成要素を製造するための金型または母型の形成に適している。そのようなポリマーの例のリストは、これらに限られるわけではないが、シリコーン・ポリマー、エポキシ・ポリマー、およびアクリレート・ポリマーの一般的な等級のポリマーを含む。エポキシ・ポリマーは、一般にエポキシ基、1,2‐エポキシド、またはオキシランと称される三員環エーテル基の存在によって特徴付けられる。例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを、芳香族アミン、トリアジン、および脂環式基幹にもとづく化合物に加えて使用できる。他の例には、公知のノボラック・ポリマーが含まれる。本発明に従って使用するために適したシリコーン・エラストマの例には、メチルクロロシラン、エチルクロロシラン、およびフェニルクロロシランなどのクロロシラン類を含んでいる前駆体から形成されたシリコーン・エラストマが含まれる。
【0095】
或る一連の実施の形態においては、例えばシリコーン・エラストマ・ポリジメチルシロキサン(PDMS)など、シリコーン・ポリマーが好ましい。典型的なポリジメチルシロキサン・ポリマーには、ミシガン州MidlandのDow Chemical Co.によってSylgardという商標で販売されているものが含まれ、とくにはSylgard 182、Sylgard 184、およびSylgard 186が含まれる。PDMSを含んでいるシリコーン・ポリマーは、本発明のマイクロ流体構造の製造を簡単にするいくつかの有益な特徴を有している。第1に、そのような材料は、安価であって容易に入手でき、プレポリマー液体から熱による処理によって凝固させることができる。例えば、PDMSは、典型的には、プレポリマー液体を例えば約1時間の暴露時間の間、例えば約65℃〜75℃の温度に曝すことによって硬化させることができる。第2に、PDMSなどのシリコーン・ポリマーは弾性的であり、したがって本発明の或るいくつかの実施の形態において必要な比較的大きなアスペクト比を有する極めて微細な造作を形成するために有用である。可撓性(例えば、弾性的)の金型または母型は、この点について好都合でありうる。
【0096】
本発明のマイクロ流体構造などの構造を、PDMSなどのシリコーン・ポリマーから形成することの他の利点は、例えば空気プラズマなどの酸素含有プラズマへの暴露によってそのようなポリマーを酸化させることができるという点にあり、したがって酸化された当該構造の表面が、酸化された他のシリコーン・ポリマーの表面と架橋でき、あるいは他のさまざまな重合体および非重合体材料の酸化された表面と架橋できる化学基を含む点にある。このように、構成要素を製造し、次いで酸化させ、他のシリコーン・ポリマー表面または酸化させた当該シリコーン・ポリマー表面と反応できる他の基材の表面へと、別個の接着剤または他の封止手段を必要とせずに基本的に不可逆に密着させることができる。多くの場合、単に酸化させたシリコーン表面を他の表面へと接触させることによって、密封を形成するために追加の圧力を加える必要なく、密封を完了させることができる。すなわち、前もって酸化させたシリコーン表面が、対応する適切な表面に対してコンタクト接着剤として機能する。具体的には、酸化されたPDMSなどの酸化されたシリコーンは、自身へと不可逆に密着可能である点に加え、さらに自分自身以外の或る範囲の酸化された材料にも不可逆に密着させることができ、そのような材料には、PDMS表面と同様なやり方(例えば、酸素含有プラズマへの暴露によって)で酸化された例えばガラス、シリコン、酸化シリコン、石英、チッ化シリコン、ポリエチレン、ポリスチレン、ガラス状炭素、およびエポキシ・ポリマーが含まれる。本発明の文脈において有用な酸化および密封方法、ならびに成型技術の全体が、Duffyらの「Rapid Prototyping of Microfluidic Systems and Polydimethylsiloxane」、Analytical Chemistry、70:474‐480(1998年)に記載されており、この文献はここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。
【0097】
酸化させたシリコーン・ポリマーから本発明のマイクロ流体構造(または内部の流体と接する表面)を形成する他の利点は、それらの表面を典型的な弾性ポリマーの表面よりもはるかに親水性にできる点にある(浸水性の内表面が望まれる場合)。したがって、そのような親水性のチャネル表面は、典型的な酸化されていない弾性ポリマーまたは他の疎水性の材料からなる構成に比べ、水溶液でより容易に満たして濡らすことができる。
【0098】
一実施の形態においては、底壁が、1つ以上の側壁または上壁あるいは他の構成要素と異なる材料で形成される。例えば、底壁の内表面を、シリコンウエハまたはマイクロチップ、あるいは他の基板の表面で構成できる。他の構成要素を、すでに述べたとおり、そのような代案の表面に密着させることができる。シリコーン・ポリマー(例えば、PDMS)からなる構成要素を別の材料からなる基板(底壁)へと密着させたい場合、基板を、酸化させたシリコーン・ポリマーを不可逆的に密着させることができる材料のグループ(例えば、酸化されたガラス、シリコン、酸化シリコン、石英、チッ化シリコン、ポリエチレン、ポリスチレン、エポキシ・ポリマー、およびガラス状炭素表面)から選択することが好ましい。あるいは、当業者にとって明らかであるとおり、これらに限られるわけではないが別個の接着剤の使用、熱接着、溶媒による接着、超音波溶着などを含む他の封止技法を使用することも可能である。
【0099】
以下の実施例は、本発明の或る特定の実施の形態の或る特定の態様を説明しようとするものであり、本発明の技術的範囲の全体を例示するものではない。
【実施例】
【0100】
この実施例においては、2つの非混和性の流体の間の接合部に電界を印加するために、本発明の装置を使用した。この電界が、帯電した液滴および乳化に必要な大きな力を生み出す一方で、接合部は、テイラー・コーンが存在するとき、高い電界であっても液滴の生成を安定させた。この技法の用途は、これらに限られるわけではないが、半径がサブミクロン・サイズを下回り、かつ狭く分布している帯電液滴の生成、および反対に帯電した液滴による制御された液滴の合体を含む。
【0101】
この実施例の装置を、酸化インジウムスズ(「ITO」)から形成された電極111を有するガラス基板112(図11A)上にPDMS113をパターニングすることによって生成し、図11Bに概略的に示す構造を形成した。印加電界(図11C)を生み出すため、電極(図11B)に電位差115を印加した。この装置は、2つの流体注入システムを有しており、導電性の流体が電界の存在下で非導電性の流体へと注入され、導電性流体の液滴が非導電性の流体中に分散されて形成される。液滴を、約1ミクロン〜約100ミクロン未満の直径を備えて生成することができる。これらの液滴は、図11Cに示すとおり、流れの方向に対する電界の符号に応じた電荷の符号で帯電したままである。
【0102】
この装置によって生み出された液滴の画像が、図11D〜11Iに示されている。図11D〜11Gに示されているとおり、電界が存在しない場合には、大きな液滴が生成されたが、電界(E=2V/ミクロン)が存在する場合には、図11Hおよび11Iに示すとおり、テイラー・コーンが先端から均一なサブミクロンの液滴を発しつつ安定化された。さらに、液滴を、さらに下流に位置する接地電極で放電させてもよい。このような装置は、例えばよく制御されたナノエマルジョンの生成など、多くの用途を有している。
【0103】
さらに、反対の電荷の符号を有する液滴を生成するため、反対向きにした装置を使用した。この電荷を使用し、図5Bおよび5Dに示すとおり、液滴を正確またはおおむね定められた位置で合体させた。図5Bにおいては電界が加えられておらず、液滴は合体しなかった。図5E〜5Gにおいては、静電的な引力によって液滴の合体を引き起こすことができる。いくつかの場合には、例えば自動フィードバック機構またはAC変動の使用によって、電界を、中央位置への同時到着を確保するため液滴が生成されるときと引き続く合体との間の局面を制御するために使用することができる。図6A〜6Dに示すとおり、液滴の表面を変形させることができ、静電力が表面張力に打ち勝って、液滴の合体および/または中性化のために液体の橋絡を生み出すことができる。
【0104】
本発明のいくつかの実施の形態を、ここに説明および図示したが、ここに説明した機能の実行ならびに/あるいはここに説明した結果および/または1つ以上の利点の達成のための他のさまざまな手段および/または構造を、当業者であれば思い描くことができ、そのような変形および/または変更はいずれも、本発明の技術的範囲内にあると考えることができる。さらに一般的には、ここに説明したすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示であることを意図しており、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示を用いようとする特定の用途によって応じて決まることを、当業者であれば容易に理解できるであろう。当業者であれば、ここに説明した本発明の特定の実施の形態について多くの均等物を、通常を超える試行錯誤を行なうことなく理解でき、あるいは確認することができるであろう。したがって、以上の実施の形態があくまで例示のために示されており、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲において、具体的に記載され請求された以外のやり方で本発明を実行できることを、理解すべきである。本発明は、本明細書に説明した個々の造作、システム、物品、材料、キット、および/または方法のそれぞれに向けられている。さらに、そのような造作、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせも、そのような造作、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾するのでない限り、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0105】
本明細書にて定義され使用されるすべての定義は、辞書による定義、言及によって本明細書に組み込まれた文献における定義、および/または定義された用語の通常の意味に優先すると理解すべきである。
【0106】
また、そのようでないと明確に示されない限り、ここに請求する2つ以上の行為を含む方法について、当該方法における行為の順序が、必ずしも当該方法の行為についての記載の順序に限られないことを、理解すべきである。
【0107】
特許請求の範囲および明細書においては、「からなる」、「含んでいる」、「担持している」、「有している」、「含有している」、「関係している」、「保持している」、などといった移行句はすべて、限定なしであると理解すべきであり、すなわち「含んでいるが、それだけには限られない」ということを意味すると理解すべきである。米国特許商標局の特許審査手続きマニュアルのセクション2111.03に記載のとおり、「・・・で構成されている(consisting of)」および「・・・で基本的に構成されている(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれ限定的または半限定的な移行句である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1A〜図1Fは、チャネルの出口から流れるさまざまな流体流を示しており、そのいくつかは、本発明の一実施の形態により、チャネルの出口の断面寸法よりも小さい断面寸法を有している。
【図2】図2A〜2Dは、本発明の種々の実施の形態においてチャネルの出口から生み出される流体流の断面寸法を減少させるための或るいくつかのシステムを示している。
【図3】図3A〜3Dは、本発明の或るいくつかの実施の形態によるさまざまな入れ子状テイラー・コーンを示している。
【図4】図4A〜4Cは、本発明のいくつかの実施の形態による種々の流体流の配列を示している。
【図5】図5A〜5Gは、本発明の或るいくつかの実施の形態によるチャネル内の非帯電および帯電液滴を示している。
【図6】図6A〜6Dは、本発明の他の実施の形態による橋絡の形成を示している。
【図7】図7A〜7Dは、本発明の一実施の形態による2つ以上の流体領域を有する液滴を示している。
【図8】図8は、本発明の他の実施の形態による液滴の合体を示している。
【図9A】図9A〜9Hは、本発明の或るいくつかの実施の形態による液滴形成のための電気的相互作用を示している。
【図9B】図9A〜9Hは、本発明の或るいくつかの実施の形態による液滴形成のための電気的相互作用を示している。
【図9C】図9A〜9Hは、本発明の或るいくつかの実施の形態による液滴形成のための電気的相互作用を示している。
【図9D】図9A〜9Hは、本発明の或るいくつかの実施の形態による液滴形成のための電気的相互作用を示している。
【図9E】図9A〜9Hは、本発明の或るいくつかの実施の形態による液滴形成のための電気的相互作用を示している。
【図9F】図9A〜9Hは、本発明の或るいくつかの実施の形態による液滴形成のための電気的相互作用を示している。
【図9G】図9A〜9Hは、本発明の或るいくつかの実施の形態による液滴形成のための電気的相互作用を示している。
【図9H】図9A〜9Hは、本発明の或るいくつかの実施の形態による液滴形成のための電気的相互作用を示している。
【図10】図10A〜10Cは、本発明の或るいくつかの実施の形態を使用して製造できる物品を示している。
【図11A】図11A〜11Iは、本発明の種々の実施の形態において、チャネルの出口から生成された流体流の断面寸法を減少させるための或るいくつかのシステムを示している。
【図11B】図11A〜11Iは、本発明の種々の実施の形態において、チャネルの出口から生成された流体流の断面寸法を減少させるための或るいくつかのシステムを示している。
【図11C】図11A〜11Iは、本発明の種々の実施の形態において、チャネルの出口から生成された流体流の断面寸法を減少させるための或るいくつかのシステムを示している。
【図11D】図11A〜11Iは、本発明の種々の実施の形態において、チャネルの出口から生成された流体流の断面寸法を減少させるための或るいくつかのシステムを示している。
【図11E】図11A〜11Iは、本発明の種々の実施の形態において、チャネルの出口から生成された流体流の断面寸法を減少させるための或るいくつかのシステムを示している。
【図11F】図11A〜11Iは、本発明の種々の実施の形態において、チャネルの出口から生成された流体流の断面寸法を減少させるための或るいくつかのシステムを示している。
【図11G】図11A〜11Iは、本発明の種々の実施の形態において、チャネルの出口から生成された流体流の断面寸法を減少させるための或るいくつかのシステムを示している。
【図11H】図11A〜11Iは、本発明の種々の実施の形態において、チャネルの出口から生成された流体流の断面寸法を減少させるための或るいくつかのシステムを示している。
【図11I】図11A〜11Iは、本発明の種々の実施の形態において、チャネルの出口から生成された流体流の断面寸法を減少させるための或るいくつかのシステムを示している。











【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体が第2の液体流体に囲まれてなる流体流を、第1の流体をチャネルの出口から吐出させることによって生成するステップ
を有しており、
前記流体流において、当該流体流の移動の方向に直交する平均断面寸法が、前記チャネルの出口の平均断面寸法よりも小さい方法。
【請求項2】
前記流体流が液滴からなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液滴の少なくともいくつかにおいて、前記第2の流体が前記第1の流体を完全に囲んでいる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体流が連続的である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約5mm未満である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約1mm未満である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の流体が液体である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記流体流の少なくとも一部分が電荷を有している請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記流体流を、固体の物品を形成するために硬化させるステップ
をさらに有している請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の液体流体が、第2のチャネルの出口から吐出される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のチャネルが前記第1のチャネルを収容している請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記流体流が寸法絞りを通って導かれる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記流体流の少なくとも一部分を鞘流体で囲むステップ
をさらに有している請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記鞘流体が、前記流体流の平均断面寸法を、当該鞘流体が存在しない場合の前記流体流の平均断面寸法に対して減少させる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記流体流の少なくとも一部分に電界を印加するステップ
をさらに有している請求項1に記載の方法。
【請求項18】
チャネル、
前記チャネルの出口を出る流体流の平均断面寸法を減少させるように構成および配置された低減システム、および
前記流体流の少なくとも一部分を第2の液体流体で囲むように構成および配置された第2のチャネル
を有している装置。
【請求項19】
前記低減システムが、電界生成器からなる請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記低減システムが、寸法絞りからなる請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記低減システムが、第2の液体流体からなる請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約5mm未満である請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約1mm未満である請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項18に記載の装置。
【請求項25】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項18に記載の装置。
【請求項26】
第1の流体を第2の流体で、少なくとも部分的には電界の作用によって囲むステップ
を有している方法。
【請求項27】
前記囲むステップが、前記第1の流体を電界を使用して前記第2の流体内に包み込むステップを有している請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記囲むステップが、前記第1の流体を鞘流体を使用して前記第2の流体内に包み込むステップを有している請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記囲むステップが、前記第1の流体を液滴を形成するように前記第2の流体内に包み込むステップを有している請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記液滴の平均断面寸法が、約5mm未満である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記液滴の平均断面寸法が、約1mm未満である請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記液滴の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記液滴の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記囲むステップが、前記第1の流体をチューブを形成するように前記第2の流体内に包み込むステップを有している請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の流体が気体状である請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の流体が空気からなる請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の流体が液体である請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の流体が水からなる請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の流体が液体である請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の流体が水からなる請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第2の流体の粘度が少なくとも1.2cpである請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記第2の流体の粘度が少なくとも2cpである請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の流体の粘度が少なくとも5cpである請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の流体の粘度が少なくとも10cpである請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記第2の流体の粘度が少なくとも50cpである請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の流体の粘度が少なくとも100cpである請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の流体および前記第2の流体を、第3の流体内に包み込むステップ
をさらに有している請求項26に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の流体、前記第2の流体、および前記第3の流体を、第4の流体内に包み込むステップ
をさらに有している請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第2の流体が、事実上整列した分子を含んでいる請求項26に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の流体を硬化させるステップ
をさらに有している請求項26に記載の方法。
【請求項51】
前記第2の流体を硬化させるステップ
をさらに有している請求項26に記載の方法。
【請求項52】
第1の流体を吐出するための出口を有している第1のチャネル、
第2の流体を吐出するための出口を有しており、該第2の流体で所定の位置において前記第1の流体の少なくとも一部分を囲むことができるように配置されている第2のチャネル、および
電界を前記所定の位置の近傍に生成するように配置されている電界生成器
を有している装置。
【請求項53】
前記第2のチャネルが、前記第2の流体で前記第1の流体の液滴を完全に囲むことができるように配置されている請求項52に記載の装置。
【請求項54】
前記第2のチャネルが、前記第2の流体で前記第1の流体のチューブを囲むことができるように配置されている請求項52に記載の装置。
【請求項55】
前記第2のチャネルが前記第1のチャネルを収容している請求項52に記載の装置。
【請求項56】
前記所定の位置の近傍の寸法絞り
をさらに有している請求項52に記載の装置。
【請求項57】
前記第1のチャネルの出口の平均断面寸法が、約5mm未満である請求項52に記載の装置。
【請求項58】
前記第1のチャネルの出口の平均断面寸法が、約1mm未満である請求項52に記載の装置。
【請求項59】
前記第1のチャネルの出口の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項52に記載の装置。
【請求項60】
前記第1のチャネルの出口の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項52に記載の装置。
【請求項61】
液滴からなる流体流を生成するステップ
を有しており、
該液滴が、約60ミクロン未満の平均直径を有するとともに、該平均直径の約10%を上回る直径を有する液滴が液滴の約5%以下であるような直径の分布を有している方法。
【請求項62】
前記平均直径の約5%を上回る直径を有する液滴が、液滴の約5%以下である請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記平均直径の約3%を上回る直径を有する液滴が、液滴の約5%以下である請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記平均直径の約1%を上回る直径を有する液滴が、液滴の約5%以下である請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記平均直径の約0.1%を上回る直径を有する液滴が、液滴の約5%以下である請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記平均直径の約0.01%を上回る直径を有する液滴が、液滴の約5%以下である請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記平均直径の約10%を上回る直径を有する液滴が、液滴の約3%以下である請求項61に記載の方法。
【請求項68】
前記平均直径の約10%を上回る直径を有する液滴が、液滴の約1%以下である請求項61に記載の方法。
【請求項69】
前記平均直径の約10%を上回る直径を有する液滴が、液滴の約0.1%以下である請求項61に記載の方法。
【請求項70】
前記平均直径の約10%を上回る直径を有する液滴が、液滴の約0.01%以下である請求項61に記載の方法。
【請求項71】
前記液滴からなる流体流が、チャネルから生成される請求項61に記載の方法。
【請求項72】
前記液滴が、約50ミクロン未満の平均直径を有している請求項61に記載の方法。
【請求項73】
前記液滴が、約40ミクロン未満の平均直径を有している請求項61に記載の方法。
【請求項74】
前記液滴が、約25ミクロン未満の平均直径を有している請求項61に記載の方法。
【請求項75】
前記液滴が、約10ミクロン未満の平均直径を有している請求項61に記載の方法。
【請求項76】
前記液滴が、約5ミクロン未満の平均直径を有している請求項61に記載の方法。
【請求項77】
前記液滴が、約1ミクロン未満の平均直径を有している請求項61に記載の方法。
【請求項78】
前記液滴が、約0.3ミクロン未満の平均直径を有している請求項61に記載の方法。
【請求項79】
前記液滴が、約0.1ミクロン未満の平均直径を有している請求項61に記載の方法。
【請求項80】
前記液滴が、約0.01ミクロン未満の平均直径を有している請求項61に記載の方法。
【請求項81】
前記液滴からなる流体流の少なくとも一部を液体へと加えるステップ
をさらに有している請求項61に記載の方法。
【請求項82】
流体を吐出させることができる出口を有するとともに、該流体を低減システムへと導くことができるように配置されているチャネル
を有する装置であって、
低減システムが、液滴からなる流体流であって液滴が約60ミクロン未満の平均直径を有するとともに、該平均直径の約10%を上回る直径を有する液滴が液滴の約5%以下であるような直径の分布を有している流体流を、前記流体から生成するように構成および配置されている装置。
【請求項83】
前記低減システムが、電界生成器からなる請求項82に記載の装置。
【請求項84】
前記低減システムが、寸法絞りからなる請求項82に記載の装置。
【請求項85】
前記流体を鞘流体によって包み込むことができるように配置された第2のチャネル
をさらに有している請求項82に記載の装置。
【請求項86】
前記液滴の少なくともいくつかを鞘流体によって包み込むことができるように配置された第2のチャネル
をさらに有している請求項82に記載の装置。
【請求項87】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約5mm未満である請求項82に記載の装置。
【請求項88】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約1mm未満である請求項82に記載の装置。
【請求項89】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項82に記載の装置。
【請求項90】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項82に記載の装置。
【請求項91】
チャネルの出口を出る流体流の断面寸法を電界を使用して減少させるステップ
を有している方法。
【請求項92】
前記流体流が連続的である請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記流体流が液滴からなる請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記減少させるステップが、テイラー・コーンを生成することによって断面寸法を減少させるステップからなる請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約5mm未満である請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約1mm未満である請求項91に記載の方法。
【請求項97】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項91に記載の方法。
【請求項98】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項91に記載の方法。
【請求項99】
前記チャネルの出口を出る流体が、少なくとも約1.2cpの粘度を有する少なくとも1つの成分を含んでいる請求項91に記載の方法。
【請求項100】
前記流体流の少なくとも一部分を鞘流体で囲むステップ
をさらに有している請求項91に記載の方法。
【請求項101】
前記流体流の少なくとも一部分を硬化させるステップ
をさらに有している請求項91に記載の方法。
【請求項102】
出口を有するチャネル、および
前記チャネルの出口を出る流体の断面寸法を減少させるように構成および配置された電界生成器
を有している装置。
【請求項103】
前記電界生成器が、前記流体によってテイラー・コーンを生成できるように構成および配置されている請求項102に記載の装置。
【請求項104】
前記流体を鞘流体によって包み込むことができるように配置された第2のチャネル
をさらに有している請求項102に記載の装置。
【請求項105】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約5mm未満である請求項102に記載の装置。
【請求項106】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約1mm未満である請求項102に記載の装置。
【請求項107】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項102に記載の装置。
【請求項108】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項102に記載の装置。
【請求項109】
細胞を流体液滴内に包み込むステップ
を有している方法。
【請求項110】
前記流体の断面寸法が約1mm未満である請求項109に記載の方法。
【請求項111】
チャネルの出口の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項109に記載の方法。
【請求項112】
チャネルの出口の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項109に記載の方法。
【請求項113】
前記流体を第2の流体内に包み込むステップ
をさらに有している請求項109に記載の方法。
【請求項114】
前記包み込むステップが、前記細胞を液滴内に包み込むステップからなる請求項109に記載の方法。
【請求項115】
前記包み込むステップが、前記細胞を前記流体液滴内に電界を使用して包み込むステップからなる請求項109に記載の方法。
【請求項116】
前記包み込むステップが、前記細胞を前記流体液滴内にテイラー・コーンを使用して包み込むステップからなる請求項109に記載の方法。
【請求項117】
前記包み込むステップが、前記細胞を電荷で帯電させるとともに前記流体を反対の電荷で帯電させるステップからなる請求項109に記載の方法。
【請求項118】
液体内に流体テイラー・コーンを生成するステップ
を有している方法。
【請求項119】
前記生成するステップが、
チャネルの出口を出る第1の流体に、該第1の流体によるテイラー・コーンの形成に充分な電荷を生じさせるステップ、および
前記テイラー・コーンを第2の鞘液体内に収めるステップ
を有している請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記第1の流体を、前記チャネルの出口の下流の寸法絞りを通過させることによって、前記テイラー・コーンを安定させるステップ
をさらに有している請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記第1の流体および前記第2の鞘液体の少なくとも一方を、前記寸法絞りを通過させるステップ
を有している請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記寸法絞りの断面寸法が、前記チャネルの出口の内径よりも小さい請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記第1の流体および前記第2の鞘液体の両方を、前記寸法絞りを通過させるステップ
を有している請求項121に記載の方法。
【請求項124】
前記第1の流体が、粘度が約1.2cpよりも大きい液体からなる請求項118に記載の方法。
【請求項125】
前記テイラー・コーンが、液滴からなる流体流を生成できるようにするステップ
をさらに有している請求項118に記載の方法。
【請求項126】
前記テイラー・コーンが、流体のチューブを生成できるようにするステップ
をさらに有している請求項118に記載の方法。
【請求項127】
出口を有するチャネル、
前記チャネルの出口の近傍に電界を生じるように配置された電界生成器、および
前記チャネルの出口の平均断面寸法よりも小さい断面寸法を有し、前記チャネルと連通している寸法絞り
を有している装置。
【請求項128】
前記寸法絞りが前記チャネルに事実上整列している請求項127に記載の装置。
【請求項129】
前記電界生成器が、前記チャネルの出口を出る流体内にテイラー・コーンを生成するように配置されている請求項127に記載の装置。
【請求項130】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約5mm未満である請求項127に記載の装置。
【請求項131】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約1mm未満である請求項127に記載の装置。
【請求項132】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項127に記載の装置。
【請求項133】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項127に記載の装置。
【請求項134】
出口を有するチャネル、
前記チャネルの出口を出る流体内にテイラー・コーンを生成するように配置された電界生成器、および
前記テイラー・コーンの運動を規制することができる安定化システム
を有している装置。
【請求項135】
前記安定化システムが寸法絞りからなる請求項134に記載の装置。
【請求項136】
前記安定化システムが、前記チャネルに事実上整列している請求項134に記載の装置。
【請求項137】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約5mm未満である請求項134に記載の装置。
【請求項138】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約1mm未満である請求項134に記載の装置。
【請求項139】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項134に記載の装置。
【請求項140】
前記チャネルの出口の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項134に記載の装置。
【請求項141】
出口を有する第1のチャネル、
出口を有する第2のチャネル、および
前記第1のチャネルの出口を出る第1の流体に第1のテイラー・コーンを生成し、かつ前記第2のチャネルの出口を出る第2の流体に第2のテイラー・コーンを生成するように配置された電界生成器
を有している装置。
【請求項142】
前記第2のテイラー・コーンが前記第1のテイラー・コーンを収容している請求項141に記載の装置。
【請求項143】
出口を有する第3のチャネルをさらに有しており、前記電界生成器が、前記第3のチャネルの出口を出る第3の流体に第3のテイラー・コーンを生成するように配置されている請求項141に記載の装置。
【請求項144】
前記第3のテイラー・コーンが、前記第1のテイラー・コーンおよび前記第2のテイラー・コーンを収容している請求項143に記載の装置。
【請求項145】
前記第1の流体および前記第2の流体の少なくとも一方が通過する寸法絞り
をさらに有している請求項141に記載の装置。
【請求項146】
前記寸法絞りが、前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルの少なくとも一方に事実上整列している請求項145に記載の装置。
【請求項147】
前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルの少なくとも一方の平均断面寸法が、約5mm未満である請求項141に記載の装置。
【請求項148】
前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルの少なくとも一方の平均断面寸法が、約1mm未満である請求項141に記載の装置。
【請求項149】
前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルの少なくとも一方の平均断面寸法が、約100ミクロン未満である請求項141に記載の装置。
【請求項150】
前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルの少なくとも一方の平均断面寸法が、約10ミクロン未満である請求項141に記載の装置。
【請求項151】
第1の流体テイラー・コーンと、該第1の流体テイラー・コーンの内部の第2の流体テイラー・コーンとを生成するステップ
を有している方法。
【請求項152】
前記第1の流体テイラー・コーンが液体である請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記第1の流体テイラー・コーンが水からなる請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記第2の流体テイラー・コーンが気体状である請求項151に記載の方法。
【請求項155】
前記第2の流体テイラー・コーンが空気からなる請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記第2の流体テイラー・コーンが液体である請求項151に記載の方法。
【請求項157】
前記第2の流体テイラー・コーンが水からなる請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記第1の流体テイラー・コーンが、少なくとも1.2cpの粘度を有する流体からなる請求項156に記載の方法。
【請求項159】
前記第1の流体テイラー・コーンおよび前記第2の流体テイラー・コーンの少なくとも一方を囲んでいる第3の流体テイラー・コーンを生成するステップ
をさらに有している請求項151に記載の方法。
【請求項160】
前記テイラー・コーンが、液滴からなる流れを生成できるようにするステップ
をさらに有している請求項118に記載の方法。
【請求項161】
前記テイラー・コーンが、流体のチューブを生成できるようにするステップ
をさらに有している請求項118に記載の方法。
【請求項162】
流体テイラー・コーンを生成するステップ、および
前記流体テイラー・コーンから流体のチューブを生成するステップ
を有している方法。
【請求項163】
前記流体テイラー・コーンを生成するステップが、
チャネルの出口を出る流体に、該流体によるテイラー・コーンの形成に充分な電荷を生じさせるステップ、および
前記テイラー・コーンを安定させるステップ
を有している請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記安定させるステップが、前記テイラー・コーンを鞘流体で安定させるステップを含んでいる請求項162に記載の方法。
【請求項165】
前記安定させるステップが、前記テイラー・コーンを寸法絞りで安定させるステップを含んでいる請求項162に記載の方法。
【請求項166】
前記第1のテイラー・コーンの少なくとも一部分を囲んでいる第2のテイラー・コーンを生成するステップ
をさらに有している請求項162に記載の方法。
【請求項167】
前記流体のチューブが中空である請求項162に記載の方法。
【請求項168】
少なくとも約1.2cpの粘度を有する流体からなるテイラー・コーンを生成するステップ
を有している方法。
【請求項169】
前記テイラー・コーンが液滴からなる流体流を生成できるようにするステップ
をさらに有している請求項168に記載の方法。
【請求項170】
前記テイラー・コーンが流体のチューブを生成できるようにするステップ
をさらに有している請求項168に記載の方法。
【請求項171】
空気からなるテイラー・コーンを生成するステップ
を有している方法。
【請求項172】
前記テイラー・コーンの少なくとも一部分を第2のテイラー・コーンで囲むステップ
をさらに有している請求項171に記載の方法。
【請求項173】
液体中の少なくとも或る流体のエマルジョンからなり、
該流体が、平均直径が約1ミクロン未満である液滴であって、直径が該平均直径の約10%を超える液滴が液滴の約5%以下であるような直径の分布を有している液滴で基本的に構成されている物品。
【請求項174】
前記流体と前記液体とが非混和性である請求項173に記載の物品。
【請求項175】
前記液滴において、直径が前記平均直径の約5%を超える液滴が液滴の約5%以下である請求項173に記載の物品。
【請求項176】
前記液滴において、直径が前記平均直径の約3%を超える液滴が液滴の約5%以下である請求項173に記載の物品。
【請求項177】
前記液滴において、直径が前記平均直径の約1%を超える液滴が液滴の約5%以下である請求項173に記載の物品。
【請求項178】
前記液滴において、直径が前記平均直径の約0.1%を超える液滴が液滴の約5%以下である請求項173に記載の物品。
【請求項179】
前記液滴において、直径が前記平均直径の約0.01%を超える液滴が液滴の約5%以下である請求項173に記載の物品。
【請求項180】
前記液滴において、直径が前記平均直径の約10%を超える液滴が液滴の約3%以下である請求項173に記載の物品。
【請求項181】
前記液滴において、直径が前記平均直径の約10%を超える液滴が液滴の約1%以下である請求項173に記載の物品。
【請求項182】
前記液滴において、直径が前記平均直径の約10%を超える液滴が液滴の約0.1%以下である請求項173に記載の物品。
【請求項183】
前記液滴において、直径が前記平均直径の約10%を超える液滴が液滴の約0.01%以下である請求項173に記載の物品。
【請求項184】
液体中に帯電した液滴を含んでなるエマルジョンであって、前記液滴が電荷について基本的に飽和しているエマルジョン
を含んでいる物品。
【請求項185】
前記液滴が、約1ミクロン未満の平均直径を有し、かつ直径が該平均直径の約10%を超える液滴が液滴の約5%以下であるような直径の分布を有している請求項184に記載の物品。
【請求項186】
流体液滴を電荷で帯電させるステップ、および
前記流体液滴を、反対の電荷を有する種を含んでいる溶液内に入れるステップ
を有している方法。
【請求項187】
前記種がコロイドからなる請求項186に記載の方法。
【請求項188】
前記流体液滴および前記種を、結合液滴を生成すべく相互作用できるようにするステップ
をさらに有している請求項186に記載の方法。
【請求項189】
前記流体液滴と前記種とを反応できるようにするステップ
をさらに有している請求項186に記載の方法。
【請求項190】
前記流体液滴が細胞を含んでいる請求項186に記載の方法。
【請求項191】
前記流体液滴が治療剤を含んでいる請求項186に記載の方法。
【請求項192】
電界の存在下で、事実上整列した分子を含んでいる流体からなる実体を生成するステップ
を有している方法であって、
電界が存在していないとき、前記流体が事実上整列した分子を含んでいない方法。
【請求項193】
前記流体が、第2の流体によって包み込まれている請求項192に記載の方法。
【請求項194】
前記実体が液滴である請求項192に記載の方法。
【請求項195】
前記実体がチューブである請求項192に記載の方法。
【請求項196】
前記生成するステップが、流体テイラー・コーンを使用して物品を製造するステップを含んでいる請求項192に記載の方法。
【請求項197】
少なくとも第1の流体を含んでおり、該第1の流体が電界中で事実上整列した分子を含んでいる実体
からなる物品。
【請求項198】
前記実体が液滴である請求項197に記載の方法。
【請求項199】
前記実体がチューブである請求項197に記載の方法。
【請求項200】
前記実体が、さらに第2の流体を含んでいる請求項197に記載の方法。
【請求項201】
前記第1の流体が前記第2の流体を包み込んでいる請求項200に記載の方法。
【請求項202】
前記第1の流体が液体である請求項201に記載の方法。
【請求項203】
前記第1の流体が水からなる請求項202に記載の方法。
【請求項204】
前記第2の流体が気体状である請求項201に記載の方法。
【請求項205】
前記第2の流体が空気からなる請求項204に記載の方法。
【請求項206】
前記第2の流体が液体である請求項201に記載の方法。
【請求項207】
前記第2の流体が水からなる請求項206に記載の方法。
【請求項208】
マイクロチューブの整列した配列からなる物品。
【請求項209】
前記マイクロチューブの配列が、マイクロチューブのメッシュである請求項208に記載の物品。
【請求項210】
前記メッシュが、事実上平行である第1の組のマイクロチューブおよび事実上平行である第2の組のマイクロチューブからなる請求項209に記載の物品。
【請求項211】
前記第1の組のマイクロチューブが、前記第2の組のマイクロチューブに事実上直交している請求項210に記載の物品。
【請求項212】
前記メッシュが膜である請求項209に記載の物品。
【請求項213】
前記メッシュが、平均穴径の約10%を超える直径を有する穴が穴の約5%以下であるように平均穴径を有している請求項209に記載の物品。
【請求項214】
前記メッシュが、平均穴径の約10%を超える直径を有する穴が穴の約3%以下であるように平均穴径を有している請求項209に記載の物品。
【請求項215】
前記メッシュが、平均穴径の約10%を超える直径を有する穴が穴の約1%以下であるように平均穴径を有している請求項209に記載の物品。
【請求項216】
前記メッシュが、平均穴径の約10%を超える直径を有する穴が穴の約0.1%以下であるように平均穴径を有している請求項209に記載の物品。
【請求項217】
前記メッシュが、平均穴径の約10%を超える直径を有する穴が穴の約0.01%以下であるように平均穴径を有している請求項209に記載の物品。
【請求項218】
前記メッシュが、平均穴径の約10%を超える直径を有する穴が穴の約0.001%以下であるように平均穴径を有している請求項209に記載の物品。
【請求項219】
前記マイクロチューブの少なくともいくつかが、第2の流体によって包み込まれた第1の流体からなる請求項208に記載の物品。
【請求項220】
前記第1の流体が空気からなる請求項219に記載の物品。
【請求項221】
前記マイクロチューブの少なくともいくつかが、約100ミクロン未満の断面寸法を有している請求項208に記載の物品。
【請求項222】
前記マイクロチューブの少なくともいくつかが、約60ミクロン未満の断面寸法を有している請求項208に記載の物品。
【請求項223】
前記マイクロチューブの少なくともいくつかが、約10ミクロン未満の断面寸法を有している請求項208に記載の物品。
【請求項224】
事実上平行である第1の組のマイクロチューブを製造するステップ、
事実上平行である第2の組のマイクロチューブを製造するステップ、および
前記第1の組のマイクロチューブと前記第2の組のマイクロチューブとを接触させるステップ
を有している方法。
【請求項225】
事実上平行である第3の組のマイクロチューブを製造するステップ、および
前記第3の組のマイクロチューブを前記第2の組のマイクロチューブに接触させるステップ
をさらに有している請求項224に記載の方法。
【請求項226】
前記第1の組のマイクロチューブを前記第2の組のマイクロチューブへと固定するステップ
をさらに有している請求項224に記載の方法。
【請求項227】
第1の流体と該第1の流体に対して非混和性である第2の流体とからなる液滴であって、約100ミクロン未満の断面寸法を有している液滴を含んでいる液体
からなる物品。
【請求項228】
前記液滴が、約10ミクロン未満の断面寸法を有している請求項227に記載の物品。
【請求項229】
担体液体中で、第1の液体からなり約100ミクロン未満の最大断面寸法を有している第1の液滴を生成するステップ、
第2の液体からなり約100ミクロン未満の最大断面寸法を有している第2の液滴を生成するステップ、および
前記第1の液滴および前記第2の液滴を1つの結合液滴へと合体できるようにするステップ
を有している方法。
【請求項230】
前記第1の液滴が、約10ミクロン未満の断面寸法を有している請求項229に記載の物品。
【請求項231】
前記第1の液体と前記第2の液体とを前記結合液滴内で混合できるようにするステップ
をさらに有している請求項229に記載の方法。
【請求項232】
前記第1の液体と前記第2の液体とが均一に混合される請求項231に記載の方法。
【請求項233】
前記結合液滴の少なくとも一部分を硬化させるステップ
をさらに有している請求項229に記載の方法。
【請求項234】
マイクロ流体チャネル内で、第1の液体からなり担体液体に囲まれている第1の液滴を生成するステップ、
第2の液体からなる第2の液滴を生成するステップ、および
前記第1の液滴および前記第2の液滴を1つの結合液滴へと合体できるようにするステップ
を有している方法。
【請求項235】
すべて相互接続されたマイクロ流体ネットワーク内で、前記第1および第2の液滴のそれぞれを生成し、前記第1の液滴および前記第2の液滴を1つの結合液滴へと合体できるようにする請求項234に記載の方法。
【請求項236】
前記第1の液滴が、約10ミクロン未満の断面寸法を有している請求項234に記載の物品。
【請求項237】
前記第1の液体と前記第2の液体とを前記結合液滴内で混合できるようにするステップ
をさらに有している請求項234に記載の方法。
【請求項238】
前記第1の液体と前記第2の液体とが均一に混合される請求項237に記載の方法。
【請求項239】
前記結合液滴の少なくとも一部分を硬化させるステップ
をさらに有している請求項234に記載の方法。
【請求項240】
第1の流体からなる第1の液滴に電荷を付与し、さらに第2の流体からなる第2の液滴に反対の電荷を付与するステップ、および
前記第1および第2の液滴がそれぞれに付与された電荷が存在しない場合には合体できない条件下で、相互の電荷の引力によって前記第1および第2の液体を1つの結合液滴へと合体できるようにするステップ
を含んでいる方法。
【請求項241】
前記第1の液滴が、約10ミクロン未満の断面寸法を有している請求項240に記載の物品。
【請求項242】
前記第1の液体と前記第2の液体とを前記結合液滴内で混合できるようにするステップ
をさらに有している請求項240に記載の方法。
【請求項243】
前記第1の液体と前記第2の液体とが均一に混合される請求項242に記載の方法。
【請求項244】
前記結合液滴の少なくとも一部分を硬化させるステップ
をさらに有している請求項240に記載の方法。

【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図11C】
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【公表番号】特表2006−523142(P2006−523142A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509830(P2006−509830)
【出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/010903
【国際公開番号】WO2004/091763
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(592257310)プレジデント・アンド・フェロウズ・オブ・ハーバード・カレッジ (31)
【Fターム(参考)】