説明

流体管コネクタ構造

【課題】金属部材どうしの嵌合時に発生するかじりを防止するとともに、温感による寸法の伸縮があっても容易に接続できるようにした流体管コネクタ構造を提供すること。
【解決手段】流体管の端部に取り付けた金属製プラグ10をソケット部30に挿入して接続され、金属製プラグ10の挿入状態を支持するための金属製補強部40が設けられている流体管コネクタ構造1において、金属製プラグ10と金属製補強部40との間に、軸方向のスリットを設けた樹脂製ライナ43を介在させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管どうし、または流体管と貯留タンクや処理装置等を接続するための流体管コネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液等を貯める貯留タンクや処理装置等に、その薬液等を流す流体管を接続する流体管コネクタとしては、一般にフランジ構造のものが知られている。薬液等を流す流体管は、たとえば内側チューブ、中間チューブ及び外側チューブからなる三重構造を採用し、内側チューブ等に十分な肉厚を確保するとともに、外側チューブにステンレス管等の鋼材を採用して漏洩防止等の安全対策が施されている。このため、流体管は相当な重量となり、フランジ構造の接続部においては、フランジ接合部の上側を開く方向の力が作用する。
【0003】
このため、流体管の端部に取り付けた金属製プラグをソケット部に挿入して接続する流体管コネクタ構造を採用し、重い流体管を支えて接続部の負担を軽減する目的で、金属製プラグの挿入状態を支持するための金属製補強部をソケット部に設け、確実な連結を可能にした流体管コネクタ構造が提案されている。(たとえば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2002−130574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、金属製プラグとソケット部との確実な連結を維持するためには、金属製プラグの外径と金属補強部の内径との間に隙間を生じない厳しい寸法設定が必要となる。このため、金属部材どうしの嵌合時においては、嵌合時特有な金属のかじり状態が発生するなどして、金属プラグを挿入して接続する作業をスムーズに行うことは困難となる。
また、厳しい寸法設定にした金属部材どうしを嵌合させる場合、環境温度の変化による膨張及び収縮の影響を受けやすいため、温度条件によってはスムーズな接続作業がより一層困難となる場合もある。
【0005】
このような背景から、金属部材どうしの嵌合時に発生するかじりを防止するとともに、温感による寸法の伸縮があっても容易に接続できるようにした流体管コネクタ構造が望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属部材どうしの嵌合時に発生するかじりを防止するとともに、温感による寸法の伸縮があっても容易に接続できるようにした流体管コネクタ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明は、流体管の端部に取り付けた金属製プラグをソケット部に挿入して接続され、前記金属製プラグの挿入状態を支持するための金属製補強部が設けられている流体管コネクタ構造において、前記金属製プラグと前記金属製補強部との間に、軸方向のスリットを設けた樹脂製ライナを介在させたことを特徴とするものである。
【0007】
このような本発明によれば、金属製プラグと金属製補強部との間に、軸方向のスリットを設けた樹脂製ライナを介在させたので、金属製プラグを挿入して嵌合させる場合、金属どうしの接触が防止される。また、樹脂製ライナに設けたスリットは周方向を柔軟にするので、特に、温度変化等による伸縮が生じた場合であっても嵌合を容易にする。
【発明の効果】
【0008】
上述した本発明によれば、軸方向のスリットを設けた樹脂製ライナの採用により、金属部材どうしの嵌合時に発生するかじりを防止するとともに、温感による寸法の伸縮があっても容易に接続できるようにした流体管コネクタ構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る流体管コネクタ構造の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、流体管コネクタ1は、流体管どうし、または流体管と貯留タンクや処理装置等を接続するための部材であり、主に、雄側の連結部材となる金属製プラグ(以下、「プラグ」と呼ぶ)10と、雌側の連結部材となるソケット部30とにより構成されている。流体管コネクタ1による流体管どうしの接続は、ソケット部30の凹部31にプラグ10を挿入してなされる。
【0010】
プラグ10は、流体管11の先端部に取り付けられてソケット部30に嵌合し、流体管どうし、または流体管と貯留タンクや処理装置等を接続するための部材である。このプラグ10は、図2に示すように、先端プラグ部12と、バルブ13と、管支持部14と、固定用ナット15と、回止めナット16とを具備して構成される。
流体管11は三重構造とされ、たとえばフッ素樹脂(PFA等)製の内側チューブと、合成樹脂製の中間チューブと、ステンレス鋼の網材で形成された外側チューブとにより構成されている。
【0011】
先端プラグ部12は、ソケット部30内に直接挿入して連結させるための部材であり、たとえばステンレススチール等の金属製とされる。この先端プラグ部12は略筒状に形成され、その先端開口部にはバルブ13が配設されている。
管支持部14は、流体管11の先端部を固定支持する固定部と、先端から一定距離(たとえば10cm程度)を支持するための筒状部材とを具備してなる金属製部材である。この管支持部14は、その前端に位置する固定部と先端プラグ部12の後端部との間に流体管11の一端部を挟持し、この状態で外周に螺合する固定用ナット15及び回止めナット16により先端プラグ部12と一体に連結されている。なお、固定用ナット15及び回止めナット16は、先端プラグ部12と同様の金属製とされる。
【0012】
このように、管支持部14の筒状部材が流体管11を支持することにより、プラグ10に連結された流体管11の先端部はほとんど撓むことがなくなるので、挟持部の緩みを防止できる。また、管支持部14の筒状部材は流体管11の外径より少し大きい内径を有しているので、流体管11の外周と筒状部材との間に形成される遊びにより流体管11が緩やかに支持され、鋭角的な折れ曲がりが防止される。
【0013】
ソケット部30は、プラグ部10を挿入して接続する凹部31の入口側に金属製補強部40を備えている。この金属製補強部40は、重量の大きいプラグ部10及び流体管11の挿入・接続状態を支持する目的でハウジング32に固定されたリング状の部材であり、金属製のプラグハウジング41と、金属製のフロントカバー42と、樹脂製ライナ43とを具備して構成される。
プラグハウジング41は、ハウジング32の先端に設けたフランジ部33に対し複数のボルト34を用いて固定されている。
フロントカバー42は、プラグハウジング41の前端面に対し複数のボルト35を用いて固定されている。
【0014】
樹脂製ライナ43は、プラグハウジング41及びフロントカバー42の内周面に固定して取り付けられたポリエチレン(PE)等の樹脂製部材である。
この樹脂製ライナ43は、図3及び図4に示すように、軸方向(プラグ挿入方向)のスリット43aが1又は複数設けられた略円筒形状の樹脂製部材であり、プラグ10の挿入時には、プラグ側の金属外周面がソケット部30側に固定された樹脂製ライナ43の内周面に接触する。
具体的に説明すると、プラグ10の挿入が完了したソケット部30との接続状態では、プラグ10の挿入部で最も大きな外径となる固定用ナット15及び回止めナット16の外周面が樹脂製ライナ43の内周面に対して密着に近い状態で接触する。
【0015】
これは、プラグ10とソケット部30との確実な連結を維持するためには、プラグ10の外径と金属補強部40の内径との間に対し、がたつきの原因となるような隙間を生じない厳しい寸法設定が必要となるためである。従って、プラグ10側となる固定用ナット15及び回止めナット16の外径と、ソケット部30側となる樹脂製ライナ43の内径とは実質的に略同じ寸法とされる。換言すれば、固定用ナット15及び回止めナット16の外径は、ソケット部30の金属補強部40に取り付けられた樹脂製ライナ43の内径と略同じ寸法に設定されている。
なお、図中の符号36はソケット部30に接続された外部配管であり、ソケット部30のハウジング32に接続された流体管となる。
【0016】
上述した構成の流体管コネクタ1は、プラグ10の挿入によるソケット部30との嵌合において、樹脂製ライナ43が介在することにより、従来構造の問題である金属部材どうしの嵌合時に特有な金属のかじりを防止することができる。すなわち、プラグ10の挿入時には、金属製のプラグ10が金属と比較して柔らかい樹脂製部材と接触するとともに、周方向を柔軟にするスリット部43aが若干の拡径を可能にするので、たとえ厳しい寸法設定であっても、金属どうしの嵌合で発生するようなかじりが生じることはなく、金属製のプラグ10をソケット部30へスムーズに挿入して接続する作業を容易に実施することが可能となる。
【0017】
また、厳しい寸法設定にした金属部材どうしを嵌合させる場合、環境温度の変化による膨張及び収縮の影響を受けやすいため、スムーズな接続作業はより一層困難となる。しかし、上述した構成の流体管コネクタ1のように、スリット43aを有して周方向に柔軟な樹脂製ライナ43を介在させることにより、特に、温度低下によりソケット側の内径寸法が収縮するような環境温度変化についても、樹脂製ライナ43が柔軟に拡径して対応可能となるので、接続作業を容易に実施することができる。
このように、本発明の流体管コネクタ1は、金属部材どうしの嵌合時に発生するかじりを防止するとともに、温感による寸法の伸縮があっても容易に接続可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る流体管コネクタ構造の一実施形態として、接続状態を示す部分断面斜視図である。
【図2】図1の流体管コネクタ構造について、接続前の状態を示す正面図である。
【図3】本発明で採用した樹脂製ライナを示す平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 流体管コネクタ構造
10 金属製プラグ
11 流体管
12 先端プラグ部
15 固定用ナット
16 回止めナット
30 ソケット部
31 凹部
32 ハウジング
36 外部配管(流体管)
40 金属製補強部
41 プラグハウジング
42 フロントカバー
43 樹脂製ライナ
43a スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の端部に取り付けた金属製プラグをソケット部に挿入して接続され、前記金属製プラグの挿入状態を支持するための金属製補強部が設けられている流体管コネクタ構造において、
前記金属製プラグと前記金属製補強部との間に、軸方向のスリットを設けた樹脂製ライナを介在させたことを特徴とする流体管コネクタ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−8403(P2008−8403A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179312(P2006−179312)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(591257111)サーパス工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】