説明

流体荷役装置における緊急切り離し装置

【課題】カップラーの開閉弁をしっかりとした締め切り力によって閉じることができ、開閉弁の閉弁後に速やかに前記カップラーの連結を解放する。
【解決手段】流体荷役装置における緊急切り離し装置1は、クランパー3によるカップラー2,2どうしの連結を解除する操作機構33が、シリンダ装置25と、一方のカップラー2の開閉弁の弁軸4aに固定されており、シリンダ装置25のロッド25aの先端に当接されロッド25aの伸長により弁軸4aを閉弁方向に回転させ、開閉弁の閉弁後に弁軸4aの回転を停止させた状態でロッド25aの伸長を許容するカム面21aを有するカム21と、カム21による弁軸4aの回転が停止された後に、ロッド25aの伸長によって作動されて連結機構8のばねケース17に当接され、連結機構8によるクランパー3の端部クランプ部材どうしの連結を解除するプッシャー31とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、桟橋等に設置されてタンカーと陸上の流体受入設備との間で液化石油ガス等の流体を積み卸しする流体荷役装置における緊急切り離し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流体荷役装置の緊急切り離し装置として、開閉弁が設けられ互いに接続フランジどうしを突き合わせて連結される一対のカップラーと、複数のクランプ部材が連結ロッドを介してヒンジ連結され、突き合わせられた前記各接続フランジの外周部に環状に装着されて前記クランプ部材により各接続フランジどうしを連結するクランパーと、該クランパーの端部に位置する端部クランプ部材どうしを、一方の端部クランプ部材にヒンジ連結された連結ロッドと他方の端部クランプ部材にヒンジ連結された連結リンクとを介して分離可能に連結する連結機構と、前記各カップラー間に互いに分離可能に連結して設けられ、前記各開閉弁の開閉操作を行うリンク機構と、前記開閉弁の開閉動作を行うと共に、緊急時に各開閉弁を閉じた後に、前記クランパーの端部における連結機構の前記連結ロッドを押圧して前記連結リンクと連結ロッドとの連結を解除させる操作機構とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3601983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記緊急切り離し装置は、図7に示すように、前記操作機構50が、前記開閉弁を回動させる弁軸51に固定されたレバー52を、油圧シリンダ53のロッド53aに一端部を回動自在に連結された接続リンク54の他端部に回動自在に連結すると共に、前記油圧シリンダ53のロッド53aの移動方向の先方に該移動方向に沿って進退自在に操作ロッド55を設け、該操作ロッド55によって一端を支点にして回動される操作レバー56の他端部が前記クランパーの連結ロッド57に押圧可能に当接される構成とされておる。
そして、緊急時に、前記油圧シリンダ53のロッド53aが伸長されて前記接続リンク54とレバー52を介して前記弁軸51を回転させて開閉弁を閉じて行き、前記レバー52が90°回転して開閉弁が閉じ終わった後に、更なる油圧シリンダ53のロッド53aの伸長により、該ロッド53aの先端により前記接続リンク54を介して前記操作ロッド55が回動され、該操作ロッド55の回動により、前記クランパーの一方の端部クランプ部材に連結された連結ロッド57が押し動かされ、該連結ロッド57と他方の端部クランプ部材に連結された連結リンクとが、それぞれのヒンジ部を支点にして、連結解除側に回動することにより、前記連結ロッド57と連結リンクとのピン連結部が分離されて、前記カップラーの接続フランジの外周部に装着されて環状に閉じられていた端部クランプ部材が開放されて、前記各端部クラン部材が互いに分離される。
【0004】
しかし、前記緊急切り離し装置は、前記レバー52が90°旋回して開閉弁が閉じる直前には、前記接続リンク54とレバー52とが略直角に交差した状態となり、油圧シリンダ53の推力が前記開閉弁を回動させるトルクに有効に変換されないので、前記開閉弁の口径が大きく、大きな回転トルクが必要な場合は、該開閉弁をしっかりと締め切ることができないおそれがある。また、前記接続リンク54と前記レバー52およびロッド53aとの連結部が長穴にピン軸を嵌合させた組合せた構造となっているため、該連結部が摩耗し易く、僅かな摩耗であっても接続リンク54とレバー52との間および接続リンク54とロッド53aとの間の運動の伝達精度が低下し、前記開閉弁を閉じる際に適切な回転トルクで締め切ることができない懸念が更に生じる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、カップラーの開閉弁をしっかりとした締め切り力によって閉じることができ、開閉弁の閉弁後に速やかに前記カップラーの連結を解放することができる流体荷役装置における緊急切り離し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の点を特徴としている。
すなわち、本発明の請求項1に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置は、開閉弁が設けられ互いに接続フランジどうしを突き合わせて連結される一対のカップラーと、複数のクランプ部材がヒンジで連結されて突き合わせた状態の各接続フランジの外周部に環状に装着され、両端部に位置する端部クランプ部材どうしを連結機構によって分離可能に連結することによって前記一対のカップラーどうしを連結するクランパーと、一対のカップラーの各開閉弁の開閉動作を連動させる連動機構と、一方のカップラーの開閉弁の弁軸を回転操作して各開閉弁を閉弁させた後に、前記クランパーの連結機構を操作して前記端部クランプ部材どうしの連結を解除する操作機構とを備えた流体荷役装置における緊急切り離し装置であって、
前記操作機構が、シリンダ装置と、前記一方のカップラーの開閉弁の弁軸に固定されており、前記シリンダ装置のロッドの先端に当接され該ロッドの伸長により前記弁軸を閉弁方向に回転させ、前記各開閉弁の閉弁後に弁軸の回転を停止させた状態で前記ロッドの伸長を許容するカム面を有するカムとを備え、該カムによる前記弁軸の回転が停止された後に伸長する前記ロッドが前記連結機構を操作するようになっていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置は、請求項1に記載の緊急切り離し装置において、前記カムのカム面が、前記開閉弁が全開したときに前記シリンダ装置のロッドの縮小端位置で該ロッドの伸縮方向に直角となってロッドの先端に当接し、前記ロッドの伸長により前記開閉弁が全閉したときに前記ロッドの伸長方向に平行となってロッドの先端に当接するように形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置は、請求項1または2に記載の緊急切り離し装置において、前記操作機構が、前記カムによる前記弁軸の回転が停止された後に伸長する前記ロッドによって押圧移動されて前記連結機構を操作するプッシャーを備えていることを特徴としている。
【0009】
請求項4に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置は、請求項3に記載の緊急切り離し装置において、前記一方のカップラーには、ロッドの先端に押圧ローラと案内ローラを回転自在に支持した前記シリンダ装置が、前記ロッドの伸縮方向をカップラーの軸方向に一致させて取り付けられ、前記プッシャーが前記ロッドの伸縮方向に直角な方向に移動可能に支持されると共に、前記ロッドの案内ローラを接触させて該ロッドの伸縮方向に案内する案内レールが設置され、前記ロッドの伸長に伴い、前記押圧ローラが前記案内ローラを介して前記案内レールに沿って移動して前記カムに当接して前記弁軸を回転させると共に、カムによる弁軸の回転が停止された後に前記案内ローラが前記プッシャーを押圧移動して前記連結機構に当接させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の優れた効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置によれば、カップラーの開閉弁の弁軸に固定されたカムが、そのカム面をシリンダ装置のロッドの先端に当接されて旋回されることにより、前記弁軸が回転されるので、前記弁軸とシリンダ装置のロッドとの間に、長穴にピンを嵌合させてなる連結部を複数設けたリンク機構を使用しなくて済み、開閉弁の弁軸の回転機構が簡単であると共に、シリンダ装置のロッドの運動を弁軸の回転に的確に伝達することができ、開閉弁をしっかりとした締め切り力によって確実に閉弁することができる。そして、開閉弁の閉弁後は、前記カム面によって開閉弁の閉弁状態を確実に維持しながら、シリンダ装置のロッドの更なる伸長により直ちに連結機構が操作され、該連結機構によるカップラーの連結を解放することができる。
【0011】
また、請求項2に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置によれば、開閉弁の閉弁時に、シリンダ装置のロッドの伸長移動が有効にカムの旋回運動に伝達されて、開閉弁が速やかに閉弁され、閉弁後には、開閉弁の閉弁状態をしっかりと維持したまま前記ロッドが円滑に、かつ速やかに連結機構の操作に移行することができる。
また、請求項3に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置によれば、シリンダ装置のロッドの運動方向をプッシャーによって変換してクランパーの連結機構を確実に操作することができるので、前記連結機構に対するシリンダ装置のカップラー上での取付位置の選択の自由度が高められ、装置の設計、製作が容易となる。
【0012】
また、請求項4に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置によれば、シリンダ装置のロッドが押圧ローラを介してカムを旋回させるときに、前記ロッドを伸縮方向に対して横方向に曲げる力を案内ローラが案内レールに接触することによって効果的に除去して、前記ロッドの伸長移動を円滑に行わせることができると共に、前記案内ローラによるプッシャーの作動を円滑に行わせることができる。また、シリンダ装置がカップラーにその軸方向に沿って取り付けられ、横方向に突出していないので、荷役装置が不用意に動いた場合に、他の設備等に衝突して破損するといったおそれはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置について図面を参照して説明する。
図1〜図3において、1は本発明の一実施の形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置である。この緊急切り離し装置1は、接続フランジ2a,2aどうしを突き合わせてクランパー3によって分離可能に連結される一対のカップラー2,2を備えている。
前記各カップラー2,2は、一端側に前記接続フランジ2aを他端側に流体荷役装置の配管に接続されるフランジ2bをそれぞれ設けたカップラー本体2cの内部に、前記開閉弁(図示の例ではボールバルブ)4が、その弁軸4aをカップラー本体2cの両側(図2で上下側)に設けた一対の軸受部2d,2eに支持されて、開弁位置と閉弁位置との間で角度90°だけ回転するように設けられて構成されている。
【0014】
前記開閉弁4,4は、開弁位置(図1、図2の状態)では一方(図1、図2で左方)のカップラー本体2cのフランジ2bから他方(図1、図2で右方)のカップラー本体2cのフランジ2bに至る流体の通路L,Lが連通され、閉弁位置(開閉弁4,4が図1、図2の状態から90°回転した状態)では、前記開閉弁4,4の弁部(図示せず)が前記接続フランジ2a,2aの内側に装着されている弁座4b,4bに当接されて、前記通路L,Lが遮断されるようになっている。
前記クランパー3は、前記接続フランジ2a,2aの外周側が薄くなるように傾斜した背面に整合させて、台形状の横断面をした円弧状の嵌合溝5aを内側に形成した複数(図示の例では4個)の円弧状のクランプ部材5,5が、隣接するものどうしを連結ロッド6を介してヒンジピン7で連結してなるものである。そして、クランパー3は、図3に示すように、前記カップラー2,2の突き合わせられた接続フランジ2a,2aの外周部に、前記嵌合溝5aを嵌合させて環状に装着され、両端部のクランプ部材5,5(端部クランプ部材5e,5e)どうしを連結機構8によって分離可能に連結することにより、前記接続フランジ2a,2aの突き合わせ面を密着させて前記カップラー2,2を連結するようになっている。
【0015】
前記連結機構8は、一方(図3で下側)の端部クランプ部材5eに基端部をヒンジピン7aで回動自在に連結された長尺の連結ロッド9と、他方の(図3で上側)の端部クランプ部材5eとこれに固定された一対の支持片10,10に、ピン11,11を介して基端部を回動自在に支持され、先端に半円弧の凹部12aを有する一対のリンク12,12とを備えている。前記連結ロッド9の先端部には受け板13が螺合されてナット13aで固定されており、前記受け板13の下端側には、皿ばね14を介して前記ヒンジピン7a側に弾力的に付勢されたピン支持部材15が配置されている。また、前記ピン支持部材15には、前記連結ロッド9が挿通された穴の両側に一対の溝15a,15aが形成され、該溝15a,15aを横切って一対のピン16,16がピン支持部材15に固定されており、前記リンク12,12の先端部が前記溝15a,15aに挿入され、前記凹部12aが前記ピン16,16に当接されるようになっている。なお、前記ピン支持部材15の上端部に有蓋円筒状のばねケース17が前記受け板13と皿ばね14を包囲するように取り付けられ、前記ピン支持部材15が連結ロッド9の軸方向に移動可能とされている。
【0016】
そして、クランパー3を前記接続フランジ2a,2aに装着した場合、図3に示す正面視において、前記ピン16の中心c2が、前記ヒンジピン7aの中心c1と前記ピン11とを結ぶ直線の延長線Sを境にしてカップラー2の中心側に位置されたときは、前記皿ばね14の付勢力によってピン16を介して前記リンク12がカップラー2の中心側に回転力を加えられる。これにより、前記連結ロッド9とリンク12を介してクランパー3の端部クランプ部材5e,5eどうしが、互いに引き付けられるようにして連結され、カップラー2,2の接続フランジ2a,2aをそれらの突き合わせ面が密着するように締め付けた状態とされ、また、この状態から、前記連結ロッド9が、前記ヒンジピン7aを中心として強制的にカップラー2の中心から離れる方向に移動されて、前記ピン16が前記直線Sを外側へ越えると、図3で鎖線で示すように、前記ピン16がリンク12を外側へ回動させて連結ロッド9とリンク12との連結を解除するので、前記クランパー3が、その端部クランプ部材5e,5eどうしの連結を解除されて、前記カップラー2,2の接続フランジ2a,2aを分離し得るようになっている。
【0017】
前記各カップラー2,2における開閉弁4,4の弁軸4a,4aの一端(図2、図3で上端)には、直径方向に伸長されたレバー18、18が固定されており、一方(図1、図2で左方)のカップラー2の弁軸4aに固定されたレバー18の両端には、連動ロッド19,19がその一端部(図1で左端部)を軸ピン18a,18a(図1で上側のレバー19の軸ピン18aは図示を省略されている)で回動自在に連結されている。前記連結ロッド19,19の他端部には、平面視(図1)で先端側にU字状の凹部を設けた係合部19a,19aが結合されており、該係合部19a,19aが、他方(図1、図2で右方)のカップラー2,2における弁軸4aのレバー18の両端に固定された軸ピン18bに前記凹部を当接されている。前記レバー18,18と連結ロッド19,19とピン軸18a,18bとは、両カップラー2,2の開閉弁を連動して開閉させる平行四辺形のリンク機構を構成している。なお、前記カップラー2,2、クランパー3、該クランパー3の連結機構8、開閉弁を連動して開閉させる前記リンク機構の基本構成は従来周知である。
【0018】
前記一方のカップラー2の軸受部2dの一端(図2、図3で上端)には、矩形状平板からなる支持板20が固定されており、前記一方のカップラー2の前記支持板20から突出した弁軸4aの部分には、弁軸4aの半径方向の一方(図1で上方)に突き出したカム21が、そのボス部21aを固着具21bを介して固定して取り付けられている。また、前記ボス部21aには、カム21と反対の半径方向(図1で下方)に突き出してレバー22が固定されている。該レバー22の先端部は、前記支持板20の一端部に固定されたブラケット23に軸23a回りに回動可能に支持された第1のシリンダ装置24のロッド24aの先端に、連結具24bを介して回動可能にピン22aで連結されている。
【0019】
また、前記支持板20の一端部には、前記第1のシリンダ装置24に並列させ、ロッドの25aの方向をカップラー2,2の軸方向(図1で左右方向)に沿って配置した第2のシリンダ装置25が、ブラケット26を介して固定されている。前記第2のシリンダ装置25のロッド25aの先端部には、前記弁軸4aに平行な軸回りに回転する押圧ローラ26aを中央部に、案内ローラ26bを前記押圧ローラ26aの両側(図2で上下)にそれぞれ支軸25cで支持した保持具25bが取り付けられている。そして、前記押圧ローラ26aは、その外周部が前記弁軸4aに固定されたカム21のカム面21aに当接して、前記ロッド25aの伸長によってカム21をイ矢方向に旋回させ、前記弁軸4aを90°だけ回転させるようになっている。
【0020】
前記カム面21aは、前記第2のシリンダ装置25のロッド25aが縮小端位置(図1で実線で示す位置)で前記押圧ローラ26aの外周部に当接するときに、前記ロッド25aの伸縮方向に直角な方向となり、ロッド25aが前記縮小端位置から伸長することによりカム21が90°旋回した(図6に鎖線で示す位置に達した)ときに、前記押圧ローラ26aの外周部に接しかつ前記ロッド25aの伸縮方向に平行となるように形成されている。また、前記支持板20の前記カム21が存在する側には、前記第2のシリンダ装置25のロッド25aの伸縮方向に沿い前記弁軸4aに平行な案内面27aを有する一対の案内レール27,27が、弁軸4aの方向に間隔をあけて固定されており、該案内レール27,27の案内面27a,27aに、前記ロッド25aの保持具25bに支持された案内ローラ26b,26bが、前記弁軸4aと反対側になる外周面を接触され、ロッド25aと一緒に移動するようになっている。
【0021】
また、前記支持板20には、前記シリンダ装置24,25と反対側の位置(前記接続フランジ2a側の位置)に、該支持板20とこれに平行にして固定した他の支持板20aとにより、弁軸4aに平行な軸29に回転自在に支持された複数の案内ローラ30,30が前記第2のシリンダ装置25のロッド25aの伸縮方向に直角な方向に間隔をあけて配置されている。そして、一対の受圧板31a,31aを結合部材31bで連結し、それらの先端側に操作棒31cを固着してなるプッシャー31が、前記受圧板31bの先端側を前記案内ローラ30,30に支持され、前記ロッド25aの伸縮方向に直角な方向に移動するように配置されている。前記受圧板31aのロッド25a側を向く側面には略45°傾斜の受圧面31dが設けられており、前記ロッド25aの先端の案内ローラ26bが、前記カム21のカム面21aがロッド25aの軸方向に平行になった後に前記受圧面31dに当接し、前記ロッド25aの更なる伸長に従って前記プッシャー31がロッド25aの伸縮方向(カップラー2の軸方向)に直角なハ矢方向に前進移動されて、前記操作棒31cの先端部が前記連結機構8のばねケース17の側面の当接部17aに当接し、これにより、前記連結機構8における前記連結ロッド9が前記カップラー2の中心から離れる方向に強制的に移動されて、前記ピン16が前記直線Sを外側へ越えるようになっている。
【0022】
また、前記プッシャー31には、前記ハ矢方向への前進端位置に移動したプッシャー31を元の位置へニ矢方向に移動復帰させる戻し機構32が付設されている。該戻し機構32は、図4に示すように、前記支持板20における前記案内レール27と反対側の端部にプッシャーと31と平行に取り付けた筒状部材32aと、先端部を該筒状部材32aから前記案内レール27の方向に突き出して、筒状部材32aに軸方向に移動自在に挿入された軸部材32bと、筒状部材32a内に装着され前記軸部材32bをその中間部に設けたフランジ部32cを介して前記案内レール27の方向へ付勢する圧縮ばね32dとを備え、前記軸部材32bの先端部が前記プッシャー31の結合部材31bに固定された突片31eに当接されている。
【0023】
次に、前記カップラー2,2の開閉弁3,3を開閉作動させる作動装置(操作機構)33について図6を参照して説明する。図6において、Pは油圧源である。この油圧源Pは、配管34a,34bによってリセット用電磁切換弁35に接続された後、配管36a,36bによって前記第1のシリンダ装置24に接続され、また、配管37a,37bによって切り離し用電磁切換弁38に接続された後、配管39a,39bによって前記第2のシリンダ装置25に接続されている。前記リセット用電磁切換弁35のポートBと前記第1のシリンダ装置24のシリンダ室の一端部とを接続する配管36bには、上流側から順に流量調整弁40とリミット弁41が設けられている。
【0024】
前記リミット弁41は、前記クランパー3がカップラー2,2の接続フランジ2a,2aを連結しているときは、前記リンク12に当接されて前記配管36bの流路を開通し、前記接続フランジ2a,2aのクランパー3による連結が解除され、前記リンク12が前記連結ロッド9のピン16から外れてカップラー2の中心から外側に移動したときは、前記配管36bの流路をを閉じるようになっている。また、前記配管36bにおける前記リミット弁41の下流側は、前記リセット用電磁切換弁35のポートAと前記第1のシリンダ装置24の他端側のシリンダ室とを接続する配管36aに、互いに反対方向への流れを止める一対の逆止弁42a,42bを有する配管42によって接続されている。
【0025】
また、前記配管42における前記配管36b側に寄った位置に配置された一方の逆止弁(パイロット逆止弁)42aは、前記切り離し用電磁切換弁38のポートBと前記第2のシリンダ装置25のヘッド側シリンダ室とを接続する配管39bに、パイロット配管43によって接続されており、パイロット配管43に圧力が加わった際に流路を開き、配管36bから配管36aへの流体の流れを許容するが、常時は、配管36bから配管36aへの流体の流れを遮断するようになっている。
なお、前記切り離し用電磁切換弁38と前記第2のシリンダ装置のロッド側シリンダ室とを接続する配管39aには、流量調整弁44が設けられている。
【0026】
前記のように構成された実施の形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置1においては、例えば、タンカーが桟橋から異常に離れたり、桟橋に対して異常に上下に変動したりして、流体荷役装置の伸縮自在に連結された配管がその許容範囲を越えて伸縮した場合には、その許容範囲がセンサによって検出されると、制御装置が動作して前記切り離し用電磁切換弁38のソレノイドbが励磁されて、油圧源Pからの圧油が配管39bを通って前記第2のシリンダ装置25のヘッド側シリンダ室に入って前記ロッド25aが伸長される。これによって、前記弁軸4aのカム21がイ矢方向に旋回されて、前記一方のカップラー2の開閉弁4を閉弁して行く。その際は、前記配管39bからパイロット配管43を経て流れる圧油によってパイロット弁42aが開いて配管36bから配管36aへの作動油の流れを許容するので、前記カム21の旋回と一緒に旋回する前記レバー22によって第1のシリンダ装置24のロッド24aが自由に縮小移動する。
【0027】
前記カム21が、そのカム面21aを第2のシリンダ装置25のロッド25aの縮小端位置(図6の実線位置)にある前記押圧ローラ26aに当接されている状態から90°旋回されて二点鎖線の状態まで旋回され、前記押圧ローラ26a(案内ローラ26b)の中心が位置e1から位置e2に至ると、前記一方のカップラー2の開閉弁4が前記カム21による弁軸4aの回転により開弁状態から完全な閉弁状態に移行する。前記一方のカップラー2の開閉弁4が閉弁するときには、前記弁軸4aに固定されたレバー18の両端に連結された一対の連結ロッド19,19の一方(図1で上方のもの)が、そのU字状の係合部19aを介して、他方のカップラー2の弁軸4aに固定したレバー18の軸ピン18bに当接して、該レバー18を弁軸4a回りに旋回させるので、前記他方のカップラー2の開閉弁4が一方のカップラー2の開閉弁4と同時に閉弁される。
【0028】
前記開閉弁4,4の閉弁状態では、前記カム21は、前記カム面21aが前記ロッド25aの伸縮方向に平行となるので、ロッド25aの伸長による弁軸4a回りの旋回は行われなくなる。前記開閉弁4,4の閉弁状態から、更に前記ロッド25aが伸長して押圧ローラ26aの中心が位置e3に至ると、前記開閉弁4の閉弁状態が維持されたまま、前記案内ローラ26bが、前記プッシャー31の受圧面31dに当接して、前記戻し機構32の軸部材32bに突片32eが当接し圧縮ばね32dの付勢力を受けている前記プッシャー31を、前記付勢力に抗してハ矢方向(図1参照)に移動させるので、該プッシャー31によって、前記連結部材8のばねケース17がハ矢方向に押されて、前記連結ロッド9のピン16がヒンジピン7aとピン11の中心どうしを結ぶ前記直線Sより外側に移動される。
【0029】
したがって、前記カップラー2,2の接続フランジ2a,2aを連結しているクランパー3の端部クランプ部材5e,5eどうしが互いに分離され、前記カップラー2,2どうしの連結が解除される。これにより、流体荷役装置の伸縮自在に連結されている配管のタンカー側(海上側)と桟橋側(陸上側)とが分離され、流体荷役装置の破損が防止されると共に、前記カップラー2,2どうしが分離される前に開閉弁4,4が完全に閉じられるので、荷役流体がカップラー2,2の接続フランジ2a,2aの開口部から漏れて海水や桟橋が汚染するといった事態が発生することはない。
【0030】
なお、分離されたカップラー2,2を連結して流体荷役装置を荷役可能な状態に復帰させる場合には、適宜治具を用いてカップラー2,2の接続フランジ2a,2どうしを突き合わせ、接続フランジ2a,2aの外周にクランパー3を環状に装着して連結機構8によって、端部クランプ部材5e,5eどうしを連結する。そして、一方のカップラー2のレバー18に連結されている連結ロッド19,19の係合部19a,19aを他方のカップラー2のレバー18に固定されている軸ピン18bに係合させた後に、前記切り離し用電磁切換弁38のソレノイドaを励磁させて油圧源Pから前記第2のシリンダ装置25のロッド側に圧油を送って前記ロッド25aを縮小させた後、前記リセット用電磁切換弁37のソレノイドbを励磁させると、油圧源Pからの圧油が配管36bを経て前記第1のシリンダ装置24のシリンダ室の一端部側に送られて、前記ロッド24aが伸長されて前記レバー22を介して前記一方のカップラー2の弁軸4aがロ矢方向に90°回転され、これにより、一方のカップラー2の開閉弁4が開弁すると同時に、前記弁軸4aに固定されたレバー18と前記連結ロッド19,19を介して他方のカップラー2のレバー18が旋回されて、該他方のカップラー2の弁軸4aが回転され、それに固定された開閉弁4が開弁される。
【0031】
以上説明したように、実施の形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置1は、開閉弁4,4が設けられ互いに接続フランジ2a,2aどうしを突き合わせて連結される一対のカップラー2,2と、複数のクランプ部材5がヒンジピン7と連結ロッド6によるヒンジで連結されて突き合わせた状態の各接続フランジ2a,2aの外周部に環状に装着され、両端部に位置する端部クランプ部材5e,5eどうしを連結機構8によって分離可能に連結することによって前記一対のカップラー2,2どうしを連結するクランパー3と、一対のカップラー2,2の各開閉弁4,4の開閉動作を連動させるレバー18,18と連結ロッド19,19等からなる連動機構と、一方のカップラー2の開閉弁4の弁軸4aを回転操作して各開閉弁4,4を閉弁させた後に、前記クランパー3の連結機構8を操作して前記端部クランプ部材5e,5eどうしの連結を解除する操作機構33とを備え、
前記操作機構33が、第1のシリンダ装置25と、前記一方のカップラー2の開閉弁4の弁軸4aに固定されており、前記第1のシリンダ装置25のロッド25aの先端に当接され該ロッド25aの伸長により前記弁軸4aを閉弁方向に回転させ、前記各開閉弁4,4の閉弁後に弁軸4aの回転を停止させた状態で前記ロッド25aの伸長を許容するカム面21aを有するカム21と、該カム21による前記弁軸4aの回転が停止された後に伸長する前記ロッド25aによって押圧移動されて前記連結機構8を操作するプッシャーを備えた構成とされている。
【0032】
したがって、前記実施の形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置1によれば、一方のカップラー2の開閉弁4の弁軸4aに固定されたカム21が、そのカム面21aを第1のシリンダ装置25のロッド25aの先端に当接されて旋回されることにより、前記弁軸4aが回転されるので、前記弁軸4aと第1のシリンダ装置25のロッド25aとの間に、長穴にピンを嵌合させてなる連結部を複数設けたリンク機構を使用しなくて済み、開閉弁4の弁軸4aの回転機構が簡単であると共に、第1のシリンダ装置25のロッド25aの運動を弁軸4aの回転に的確に伝達することができ、開閉弁4,4をしっかりとした締め切り力によって確実に閉弁することができる。そして、開閉弁4,4の閉弁後は、前記カム面21aによって開閉弁4,4の閉弁状態を確実に維持しながら、第1のシリンダ装置25のロッド25aの伸長により直ちにプッシャー31が作動されて連結機構8によるカップラー2,2の連結を解放することができる。
また、シリンダ装置25のロッド25aの運動方向を前記プッシャー31によって変換してクランパー3の連結機構8を確実に操作することができるので、前記連結機構8に対するシリンダ装置25のカップラー2上での取付位置の選択の自由度が高められ、装置の設計、製作が容易となる。
【0033】
そして、前記流体荷役装置における緊急切り離し装置1は、前記カム21のカム面21aが、前記開閉弁4,4が全開したときに前記第1のシリンダ装置25のロッド25aの縮小端位置で該ロッド25aの伸縮方向に直角となってロッド25aの先端に当接し、前記ロッド25aの伸長により前記開閉弁4,4が全閉したときに前記ロッド25aの伸長方向に平行となってロッド25aの先端に当接するように形成された構成とされているので、開閉弁4,4の閉弁時に、第1のシリンダ装置25のロッド25aの伸長移動が有効にカム21の旋回運動に伝達されて、開閉弁4,4が速やかに閉弁され、閉弁後には、開閉弁4,4の閉弁状態をしっかりと維持したまま前記ロッド25aが円滑に、かつ速やかにプッシャー31を介して前記連結機構8の操作に移行することができる。
【0034】
さらに、前記流体荷役装置における緊急切り離し装置1は、前記一方のカップラー2に、ロッド25aの先端に押圧ローラ26aと案内ローラ26bを回転自在に支持した前記第1のシリンダ装置25が、ロッド25aの伸縮方向をカップラー2,2の軸方向に一致させて取り付けられ、前記プッシャー31が前記ロッド25aの伸縮方向に直角な方向に移動可能に支持されると共に、前記ロッド25aの案内ローラ26bを接触させて該ロッド25aの伸縮方向に案内する案内レール27が設置され、前記ロッド25aの伸長に伴い、前記押圧ローラ26aが前記案内ローラ26bを介して前記案内レール27に沿って移動して前記カム21に当接して前記弁軸4aを回転させると共に、カム21による弁軸4aの回転が停止された後に前記案内ローラ26bが前記プッシャー31を押圧移動して前記連結機構8(ばねケース17)に当接させる構成とされている。
【0035】
したがって、前記第1のシリンダ装置25のロッド25aが押圧ローラ26aを介してカム21を旋回させるときに、前記ロッド25aを伸縮方向に対して横方向に曲げる力を案内ローラ26bが案内レール27に接触することによって効果的に除去して、前記ロッド25aの伸長移動を円滑に行わせることができると共に、前記案内ローラ26bによるプッシャー31の作動を円滑に行わせることができる。また、第1のシリンダ装置25が一方のカップラー2にその軸方向に沿って取り付けられ、横方向に突出していないので、荷役装置が不用意に動いた場合に、他の設備等に衝突して破損するといったおそれはない。
【0036】
なお、前記流体荷役装置における緊急切り離し装置1においては、前記シリンダ装置25のロッド25aがプッシャー31を介して前記クランパー3の連結機構8を操作するようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば、前記シリンダ装置24,25を前記カップラー2の軸方向に直角な方向に配置すると共に、前記ロッド25aの軸線を平面視でカップラー2の接続フランジ2a,2aの接合面内に位置させて、前記ロッド25aが前記開閉弁4の閉弁後に更に伸長した場合に、前記ロッド25aの先端が直接に前記連結機構8のばねケース17に当接してそれを押圧操作するように構成してもよい。このようにすると、前記プッシャー31が不要となり、装置の構成が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置を示す平面図である。
【図2】同じく一部を断面で示した側面図である。
【図3】図2のX矢視図である。
【図4】図1のY−Y断面図である。
【図5】図1のZ−Z断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置の作動系統図である。
【図7】従来の流体荷役装置における緊急切り離し装置の作動説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 緊急切り離し装置
2 カップラー
2a 接続フランジ
3 クランパー
4 開閉弁
4a 弁軸
5 クランプ部材
5e 端部クランプ部材(クランプ部材)
6,9,19 連結ロッド
8 連結機構
17 ばねケース
18 レバー
21 カム
21a カム面
24,25 シリンダ装置
24a,25a ロッド
26a 押圧ローラ
26b 案内ローラ
27 案内レール
31 プッシャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉弁が設けられ互いに接続フランジどうしを突き合わせて連結される一対のカップラーと、複数のクランプ部材がヒンジで連結されて突き合わせた状態の各接続フランジの外周部に環状に装着され、両端部に位置する端部クランプ部材どうしを連結機構によって分離可能に連結することによって前記一対のカップラーどうしを連結するクランパーと、一対のカップラーの各開閉弁の開閉動作を連動させる連動機構と、一方のカップラーの開閉弁の弁軸を回転操作して各開閉弁を閉弁させた後に、前記クランパーの連結機構を操作して前記端部クランプ部材どうしの連結を解除する操作機構とを備えた流体荷役装置における緊急切り離し装置であって、
前記操作機構は、シリンダ装置と、前記一方のカップラーの開閉弁の弁軸に固定されており、前記シリンダ装置のロッドの先端に当接され該ロッドの伸長により前記弁軸を閉弁方向に回転させ、前記各開閉弁の閉弁後に弁軸の回転を停止させた状態で前記ロッドの伸長を許容するカム面を有するカムとを備え、該カムによる前記弁軸の回転が停止された後に伸長する前記ロッドが前記連結機構を操作するようになっていることを特徴とする流体荷役装置における緊急切り離し装置。
【請求項2】
前記カムのカム面は、前記開閉弁が全開したときに前記シリンダ装置のロッドの縮小端位置で該ロッドの伸縮方向に直角となってロッドの先端に当接し、前記ロッドの伸長により前記開閉弁が全閉したときに前記ロッドの伸長方向に平行となってロッドの先端に当接するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体荷役装置における緊急切り離し装置。
【請求項3】
前記操作機構は、前記カムによる前記弁軸の回転が停止された後に伸長する前記ロッドによって押圧移動されて前記連結機構を操作するプッシャーを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の流体荷役装置における緊急切り離し装置。
【請求項4】
前記一方のカップラーには、ロッドの先端に押圧ローラと案内ローラを回転自在に支持した前記シリンダ装置が、前記ロッドの伸縮方向をカップラーの軸方向に一致させて取り付けられ、前記プッシャーが前記ロッドの伸縮方向に直角な方向に移動可能に支持されると共に、前記ロッドの案内ローラを接触させて該ロッドの伸縮方向に案内する案内レールが設置され、前記ロッドの伸長に伴い、前記押圧ローラが前記案内ローラを介して前記案内レールに沿って移動して前記カムに当接して前記弁軸を回転させると共に、カムによる弁軸の回転が停止された後に前記案内ローラが前記プッシャーを押圧移動させて前記連結機構に当接させることを特徴とする請求項3に記載の流体荷役装置における緊急切り離し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−154962(P2007−154962A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349291(P2005−349291)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(303046602)ニイガタ・ローディング・システムズ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】