説明

流体荷役装置における緊急切り離し装置

【課題】構造をより簡易にし、設計、製作を容易にすることができるとともに、装置自体のコンパクト化を図ることが可能な流体荷役装置における緊急切り離し装置を提供する。
【解決手段】開閉弁が設けられて互いに連結される一対のカップラー2、2と、一対のカップラー2、2同士を連結するクランパー3と、カップラー2、2の弁軸4a、4aを回転操作した後に、クランパー3の連結機構8を操作して連結を解除する流体荷役装置における緊急切り離し装置1において、シリンダ装置24に接続された連結ロッド25の前進又は後退に従動して開閉方向に回転可能なカム21、21を備え、該カム21、21による弁軸4a、4aの閉弁方向への回転が停止されると同時に、連結ロッド25が連結機構8を操作するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、桟橋等に設置されてタンカーと陸上の流体受入設備との間で液化石油ガス等の流体を積み卸しする流体荷役装置における緊急切り離し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流体荷役装置の緊急切り離し装置として、開閉弁が設けられ互いに接続フランジ同士を突き合わせて連結される一対のカップラーと、複数のクランプ部材がヒンジで連結されて突き合わせた状態の各接続フランジの外周部に環状に装着され、両端部に位置する端部クランプ部材同士を連結機構によって分離可能に連結することによって前記一対のカップラー同士を連結するクランパーと、一対のカップラーの各開閉弁の開閉動作を連動させる連動機構と、一方のカップラーの開閉弁の弁軸を回転操作して各開閉弁を閉弁させた後に、前記クランパーの連結機構を操作して前記端部クランプ部材同士の連結を解除する操作機構とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この緊急切り離し装置における上記の操作機構には、第1のシリンダ装置と、一方のカップラーの開閉弁の弁軸に固定されており、第1のシリンダ装置のロッドの先端が当接することで弁軸を閉弁方向に回転させるカムと、該カムによる弁軸の回転が停止された後にロッドによって押圧移動されて連結機構を操作するプッシャーとが設けられている。
そして、緊急時には、第一のシリンダ装置が伸張しこれによりカムが回転させられて一方のカップラーの開閉弁を閉弁していく。この際、連動機構により他方のカップラーの開閉弁も同様に閉弁される。そして、閉弁後には、ロッドの押圧によってプッシャーが作動されて連結機構によるクランプ部材の連結が解除されカップラーが分離されるようになっている。
なお、分離されたカップラーを連結して流体荷役装置を荷役可能な状態に復帰させる場合には、カップラー同士を突き合わせてクランパーで連結するとともに、第一のシリンダとは別に設けられた第二のシリンダーの伸張により弁軸を上記とは逆方向に回転させることによって開閉弁を開弁する。
【特許文献1】特開2007−154962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来の緊急切り離し装置においては、第一のシリンダ装置が伸張してカムに当接して押圧することにより該カムを一方向(閉弁方向)に回転させる構成とされているため、この第一のシリンダ装置でもってカムを逆方向に回転することはできない。即ち、当該第一のシリンダは開閉弁を閉弁させる動作しかできないため、復帰する際に開閉弁を開弁させるための第二のシリンダ装置を別個に設ける必要があった。
また、このように第一、第二の二つのシリンダ装置を設けた場合には、両者は開弁と閉弁との対となる動作をするため、例えば第一のシリンダ装置が伸張して開弁動作がなされる場合には、第二のシリンダは収縮可能な状態となる必要があり、これらシリンダ装置を作動させる油圧回路が複雑になるという問題があった。
さらに、シリンダ装置のロッドによる一方のカムの回転動作を他方のカムに伝達するために該ロッドとは別に連動機構を設けているため、装置の構造が複雑となってしまいコンパクト化を図ることが困難であるという問題があった。
【0005】
この発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、より簡易な構造でもって、一対のカップラーの開閉弁の開閉を行うことができるとともに、装置自体のコンパクト化を図ることが可能な流体荷役装置における緊急切り離し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置は、開閉弁が設けられ互いに接続フランジ同士を突き合わせて連結される一対のカップラーと、複数のクランプ部材が突き合わされた状態の各接続フランジの外周部に環状に装着され、このクランプ部材同士を連結機構によって分離可能に連結することによって一対の前記カップラー同士を連結するクランパーと、各前記開閉弁の弁軸を回転操作して閉弁させるとともに、前記連結機構を操作して前記クランプ部材同士の連結を解除する操作機構とを備えた流体荷役装置における緊急切り離し装置であって、前記操作機構は、ロッドを前進又は後退させるシリンダ装置と、各前記弁軸に固定されており、前記ロッドの前進又は後退に従動して閉弁方向又は開弁方向に互いに同期して回転する一対のカムとを備え、該カムの閉弁方向への回転が停止されると同時に、前記ロッドが前記連結機構を操作することを特徴としている。
【0007】
このような特徴の流体荷役装置における緊急切り離し装置によれば、弁軸に固定されるカムが、ロッドが前進又は後退する際に、該ロッドに従動して閉弁方向又は閉弁方向に回転することができるため、ただ一つのシリンダ装置でもって開閉弁の閉弁及び開弁を行うことが可能となる。従ってカムの回転方向に応じて複数のシリンダ装置を設ける必要がなく、該シリンダ装置の作動回路を簡易にすることができる。
また、ロッドが直接的に二つのカムを駆動させるため、これらカムの回転を同期させる機構を別個に設ける必要がなく、構造を簡易にすることができる。
【0008】
また、本発明に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置においては、前記ロッドに二つのカムフォロアが設けられ、各前記カムに、該カムフォロアが係合することで前記ロッドの前進又は後退に伴って該カムを回転させるカム溝が形成されていることを特徴としている。
カムフォロアの動きにカム溝を沿わせるようにしてカムが従動することで、ロッドの前進又は後退に伴って各カップラーのカムが閉弁方向又は閉弁方向へ回転することが可能となる。
【0009】
さらに、本発明に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置においては、前記ロッドは、基端側に設けられ、前記シリンダ装置側の一方の前記カムの前記カム溝に係合可能な前記カムフォロアを備えた第一ロッドと、該第一ロッドの先端側に配され、他方の前記カムの前記カム溝に係合可能な前記カムフォロアを備えた第二ロッドとが、着脱自在に連結されてなることを特徴とする。
これにより、必要に応じて、第一ロッドと第二ロッドの連結を切り離すことにより、シリンダ装置側の開閉弁のみを開閉させ、他方の開閉弁の閉弁状態又は開弁状態を維持することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置においては、前記操作機構は、該カムによる前記弁軸の閉弁方向への回転が停止されると同時に、前記カムフォロアよって押圧移動されることで前記連結機構を操作するプッシャーを備えていることを特徴とする。
これによりロッドが前進して開閉弁が閉弁されると同時に、ロッドの運動方向をプッシャーにより変換してクランパーの連結機構を操作することができるため、迅速かつ適確にカップラーを分離させることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置によれば、単一のシリンダ装置でもって両カップラーの開閉弁の閉弁及び閉弁を同時になし得るため、構造をより簡易にし、設計、製作を容易にすることができるともに、装置自体のコンパクト化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置について図面1から図8を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置を示す側面図、図2は本発明の一実施形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置が閉弁されている状態を示す平面図、図3は図2は本発明の一実施形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置が開弁されている状態を示す平面図、図4は図1におけるX方向矢視図、図5は伝達ロッドの(a)平面図及び(b)側面図、図6は図2又は図3のY−Y断面図、図7は本発明の一実施形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置の作動系統図である。
【0013】
図1から図4に示すように、緊急切り離し装置1は、接続フランジ2a、2a同士を突き合わせてクランパー3によって分離可能に連結される一対のカップラー2、2を備えている。
各カップラー2、2は、一端側に接続フランジ2aを他端側に流体荷役装置の配管に接続されるフランジ2bをそれぞれ設けたカップラー本体2cの内部に、開閉弁(図示の例ではボールバルブ)4が、その弁軸4aをカップラー本体2cの上下両側に設けた一対の軸受部2d、2eに支持されて、開弁位置と閉弁位置との間で角度90°だけ回転するように設けられて構成されている。なお、この弁軸4aにおいては、図2及び図3に示す時計回りの回転方向を閉弁方向T、反時計回りの回転方向を開弁方向Uとしている。
【0014】
開閉弁4、4は、開弁位置(図1、図2に示す状態)では一方(図1、図2で左方)のカップラー本体2cのフランジ2bから他方(図1、図2で右方)のカップラー本体2cのフランジ2bに至る流体の通路L、Lが連通され、閉弁位置(開閉弁4、4が図1の状態から90°回転した状態及び図3)では、開閉弁4、4の弁部(図示せず)が接続フランジ2a、2aの内側に装着されている弁座(図示省略)に当接されて、通路L、Lが遮断されるようになっている。
【0015】
クランパー3は、接続フランジ2a、2aの外周側が薄くなるように傾斜した背面に整合させて、台形状の横断面をした円弧状の嵌合溝5aを内側に形成した複数(本実施形態においては4つ)の円弧状のクランプ部材5、5が、隣接するもの同士をクランプロッド6を介してヒンジピン7で連結してなるものである。
そして、クランパー3は、図4に示すように、カップラー2、2の突き合わせられた接続フランジ2a、2aの外周部に、嵌合溝5aを嵌合させて環状に装着され、両端部のクランプ部材5、5(端部クランプ部材5e、5e)同士を連結機構8によって分離可能に連結することにより、接続フランジ2a、2aの突き合わせ面を密着させてカップラー2、2を連結するようになっている。
【0016】
連結機構8は、図1及び図4に示すように、一方(図4で下側)の端部クランプ部材5eに基端部をヒンジピン7で回動自在に連結された長尺の連結ロッド9と、他方の(図3で上側)の端部クランプ部材5eとこれに固定された一対の支持片10、10に、ピン11、11を介して基端部を回動自在に支持され、先端に半円弧の凹部12aを有する一対のリンク12、12とを備えている。
図4に示すように、連結ロッド9の先端部には受け板13が螺合されてナット13aで固定されており、受け板13の下端側には、皿ばね14を介してヒンジピン7側に弾力的に付勢されたピン支持部材15が配置されている。
【0017】
また、ピン支持部材15には、連結ロッド9が挿通された穴の両側に一対の溝15a、15aが形成され、該溝15a、15aを横切って一対のピン16、16がピン支持部材15に固定されており、リンク12、12の先端部が溝15a、15aに挿入され、凹部12aがピン16、16に当接されるようになっている。なお、ピン支持部材15の上端部に有蓋円筒状のばねケース17が受け板13と皿ばね14を包囲するように取り付けられ、ピン支持部材15が連結ロッド9の軸方向に移動可能とされている。
【0018】
そして、クランパー3を接続フランジ2a、2aに装着した場合、図4に示す正面視において、ピン16の中心c2が、ヒンジピン7の中心c1とピン11とを結ぶ直線の延長線Sを境にしてカップラー2の中心側に位置されたときは、皿ばね14の付勢力によってピン16を介してリンク12がカップラー2の中心側に回転力を加えられる。
【0019】
これにより、連結ロッド9とリンク12を介してクランパー3の端部クランプ部材5e、5e同士が、互いに引き付けられるようにして連結され、カップラー2、2の接続フランジ2a、2aをそれらの突き合わせ面が密着するように締め付けた状態とされ、また、この状態から、連結ロッド9が、ヒンジピン7を中心として強制的にカップラー2の中心から離れる方向に移動されて、ピン16が直線Sを外側へ越えると、図3で鎖線で示すように、ピン16がリンク12を外側へ回動させて連結ロッド9とリンク12との連結を解除するので、クランパー3が、その端部クランプ部材5e、5e同士の連結を解除されて、カップラー2、2の接続フランジ2a、2aを分離し得るようになっている。
【0020】
各カップラー2、2の軸受部2dの一端(図1、図4で上端側)には、矩形状平板からなる支持板20a、20bが固定されており、各カップラー2、2の支持板20a、20bから突出した弁軸4a、4aの部分には、弁軸4aの半径方向の一方(図2、図3で上方)に板状に延びるカム21、21が、その基端側にあるボス部21a、21aが弁軸4aに回動可能に固定されることで取り付けられている。
このカム21、21には、鉛直方向(図1における上下方向)に貫通するカム溝22が設けられている。このカム溝22は、図2及び図3に示すように、平面視にて弁軸4aから離間するに従い閉弁方向Tに向かって湾曲するように一定範囲に延びている。
なお、これら二つのカム21、21はカム溝22も含めてその寸法形状は等しいものとされている。
【0021】
また、一方の支持板20aの一端部には、その作動方向をカップラー2、2の軸方向(図1、図2及び図3で左右方向)に沿って配置したシリンダ装置24が、ブラケット26を介して固定されている。このシリンダ装置24の伸縮ロッド24aの先端部には、連結ロッド25取り付けられており、該連結ロッド25は、詳しくは図5に示すように、該シリンダ装置24の基端側に位置する第一ロッド51と、該第一ロッド51の先端側に位置する第二ロッド52とから構成されている。これら第一及び第二ロッド51、52はシリンダ装置24の伸縮ロッド24aの作動方向に沿うように、連結部53を介して着脱自在に連結されている。
【0022】
これら第一及び第二ロッド51、52には、図5(b)の平面視に示すように、延在方向全域に亘って間隙51a、51bが設けられている。即ち、第一及び第二ロッド51、52はそれぞれ、一方向に延在する2枚の板が一定間隔を空けて対向配置されることで構成され、これにより当該2枚の板間に間隙51a、52aが形成されている。そして、これら間隙51a、52aには、上述のカム21、21をそれぞれ挟み込まれるようにして挿入されている。
【0023】
また、図5に示すように、これら第一ロッド51の延在方向の略中間部と、第二ロッド52の先端部には、間隙51a、52aを挟みつつ鉛直方向に貫通するカムフォロア挿入孔51b、52bが形成されている。そして、このカムフォロア挿入孔51b、52bには、カム21、21を間隙51a、51bに挟み込んだ状態で、カム21、21のカム溝22、22を貫くようにして、軸状をなすカムフォロア26a、26aが挿入されている。
【0024】
これによって、シリンダ装置24が作動して連結ロッド25が前進又は後退移動する際には、カムフォロア26a、26aの動きにカム溝22、22を沿わせるようにしてカム21、21が閉弁方向Tまたは開弁方向Uに回転動作をする。また逆にカム22、22から見た場合、カムフォロア26a、26aはカム溝22、22に案内されるように当該カム溝22、22の形成範囲内を移動することになる。従って、連結ロッド25を原動節を、カム21、21が従動節を構成することになり、連結ロッド25の直線運動が、カムの弁軸4a、4bを中心軸とする回転運動に変換される。
また、二つのカム21、21は同様の寸法形状をしており、いずれも第一ロッド51及び第二ロッド52が連結されてなる単一の連結ロッド25によって動作が伝達されるため、二つのカム21、21は互いに等しい動きをすることになる。
【0025】
また、上記カムフォロア26a、26aの軸両端部には、当該軸回り、即ち弁軸4aと平行な軸線回りに回転可能な案内ローラ26b、26bが取り付けられている。
さらに、支持板20a、20b上には、図1から図3及び図6に示すように、シリンダ装置25の連結ロッド25aの伸縮方向に沿う案内面27aを有する案内レール27が、弁軸4aの方向に間隔をあけてそれぞれ固定されており、該案内レール27の案内面27aに、案内ローラ26b、26bが接触して連結ロッド25とともにに移動するようになっている。
【0026】
また、シリンダ装置24側の支持板20aには、図2及び図3に示すように、シリンダ装置24と反対側の位置(接続フランジ2a側の位置)に、弁軸4aに平行な軸に回転自在に支持された複数の誘導ローラ30、30が連結ロッド25移動方向に直角な方向に間隔をあけて配置されている。
【0027】
そして、詳しくは図6に示すように、一対の受圧板31a、31aを結合部材31bで連結し、それらの先端側に操作棒31cを固着してなるプッシャー31が、受圧板31bの先端側を誘導ローラ30、30に支持され、連結ロッド25の移動方向に直角な方向に移動するように配置されている。
【0028】
図2及び図3に示すように、受圧板31aの連結ロッド25側を向く側面には略45°傾斜の受圧面31dが設けられており、カムフォロア26aに付された案内ローラ26bが、受圧面31dに当接しプッシャー31が連結ロッド25の移動方向に直角な方向に前進移動されて、操作棒31cの先端部が連結機構8のばねケース17の側面の当接部17aに当接し、これにより、連結機構8における前記連結ロッド9が前記カップラー2の中心から離れる方向に強制的に移動されて、ピン16が前記直線Sを外側へ越えるようになっている。
【0029】
次に、カップラー2、2の開閉弁4、4を開閉作動させる作動装置(操作機構)33について図7を参照して説明する。
図7において、シリンダ装置24内に設けられるシリンダ34の内部には、伸縮ロッド24aに接続されるピストン35がシリンダ34の内周壁に密接しながらその長手方向に摺動可能に収容されており、当該ピストン35の両側にロッド側シリンダ室34aとヘッド側シリンダ室34bが区画形成されている。
またPは油圧源であり、該油圧Pは、配管37a、37bによって電磁切換弁38に接続された後、配管39a、39bによって、シリンダ34のロッド側シリンダ室34a及びヘッド側シリンダ室34bにそれぞれ接続されている。電磁切換弁38のポートAとロッド側シリンダ室34aとを接続する配管39aには、上流からリミット弁40、流量調整弁41及びパイロット弁42が設けられている。
【0030】
リミット弁40は、クランパー3がカップラー2、2の接続フランジ2a、2aを連結しているときは流路を開通し、接続フランジ2a、2aのクランパー3による連結が解除されたときは流路を閉じるようになっている。このリミット弁40には、逆止弁44が設けられた配管45が並列に接続されている。
また、パイロット弁42は、配管39bにパイロット配管43を介して接続されており、パイロット配管43に圧力が加わった際には流路を開くが、常時は当該流路を遮断するようになっている。
【0031】
以上ように構成された実施の形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置1においては、例えば、タンカーが桟橋から異常に離れたり、桟橋に対して異常に上下に変動したりして、流体荷役装置の伸縮自在に連結された配管がその許容範囲を越えて伸縮した場合には、その許容範囲がセンサによって検出されると、制御装置が動作して切り離し用電磁切換弁38が励磁されて、油圧源Pからの圧油が配管39bを通ってシリンダ34におけるヘッド側シリンダ室34bに入り、ピストン35の移動されることにより伸縮ロッド24aが伸張される。なお、この際、シリンダ装置24内では、配管39bからパイロット配管43を経て流れる圧油によってパイロット弁42が開いてヘッド側シリンダ室34aから排出される作動油の流れを許容するので、ピストン35は円滑に作動することができる。
【0032】
このようにして伸縮ロッド24aが伸張すると、これに接続されている連結ロッド25が伸張方向へ前進移動する。これに伴って、連結ロッド25の第一ロッド51及び第二ロッド52にそれぞれ設けられたカムフォロア26a、26aがカム21、21のカム溝22、22内ををそれぞれ移動することにより、カム21、21が当該カムフォロア26a、26aに沿って移動するようにして閉弁方向Tへ回転させられ、両カップラー2、2の開閉弁4、4が同時に閉弁されていく。
【0033】
そして、カム21、21が閉弁方向Tに回転されて停止位置まで至り開閉弁4、4が完全に閉弁されると、シリンダ装置24側に位置する第一ロッド51のカムフォロア26aに付された案内ローラが26bがプッシャー31の受圧面31dに当接する。これによって、該プッシャー31は連結ロッド25から離間する方向へ移動させられるので、連結部材8のばねケース17が押圧されて、連結ロッド9のピン16がヒンジピン7とピン11の中心同士を結ぶ前記直線Sより外側に移動される。
【0034】
したがって、カップラー2、2の接続フランジ2a、2aを連結しているクランパー3の端部クランプ部材5e、5e同士同士が互いに分離され、流体荷役装置の伸縮自在に連結されている配管のタンカー側(海上側)と桟橋側(陸上側)とが分離され、流体荷役装置の破損が防止されると共に、カップラー2、2同士が分離される前に開閉弁4、4が完全に閉じられるので、荷役流体がカップラー2、2の接続フランジ2a、2aの開口部から漏れて海水や桟橋が汚染するといった事態が発生することはない。
なお、カップラー2、2同士の連結が解除されることに伴ってリミット弁40によって配管39aの流路が閉じられるため、この際に電磁開閉弁38の励磁を解除しても、圧油が配管39aを通過してヘッド側シリンダ室34aに至ることはないため、開閉弁4の閉弁状態は維持される。
【0035】
なお、分離されたカップラー2、2を連結して流体荷役装置を荷役可能な状態に復帰させる場合には、適宜治具を用いてカップラー2、2の接続フランジ2a、2同士を突き合わせ、接続フランジ2a、2aの外周にクランパー3を環状に装着して連結機構8によって、端部クランプ部材5e、5e同士を連結する。これによって、リミット弁40が開かれる。そして、電磁切換弁38の励磁を解除すると、油圧源Pからの圧油が配管39aを通ってシリンダ34におけるヘッロッド側シリンダ室34aに入り、ピストン35が移動されることにより伸縮ロッド24aが収縮される。そして、連結ロッド25が収縮方向へ後退移動すると、カム21、21が開弁方向Uに回転させられ、両カップラー2、2の開閉弁4、4が開弁される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置によれば、開閉弁4の弁軸4aに回動可能に固定されるカム21、21が、連結ロッドの前進又は後退移動に従動して、閉弁方向又は開弁方向の両方向に回転することができるため、ただ一つのシリンダ装置24でもって開閉弁4、4の閉弁及び開弁を行うことが可能となる。
よって、カム21、21の回転方向に応じて複数のシリンダ装置24を設ける必要がなく、さらに該シリンダ装置24の作動回路を簡易にすることができる。また、連結ロッド25が二つのカム21、21直接的に駆動させるため、これらカム21、21を連結して連動させるための機構を別個に設ける必要がなく、構造を簡易にすることが可能となる。
従って、一のシリンダ装置でもって、かつ簡易な構成で両カップラー2、2の開閉弁4、4の閉弁及び閉弁を同時になし得るため、当該装置の設計、製作を容易にすることができるともに、装置自体のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0037】
また、連結ロッド25を構成する第一ロッド51及び第二ロッド52のそれぞれにカムフォロア26aを設けるとともに各カム21、21にこれらが係合するカム溝22、22を形成して、連結ロッド25を原動節と、カム21、21を従動節とする機構を構成することによって、連結ロッド25の前進又は後退移動により開閉弁4、4の開閉を確実かつ円滑に行うことが可能となる。
【0038】
また、本実施形態においては、連結ロッド25は、第一ロッド51と第二ロッド52が着脱可能に連結されて構成されているため、必要に応じて、第一ロッド51と第二ロッド52との連結を切り離すことにより、シリンダ装置24側のカップラー2の開閉弁4のみを開閉させ、他方のカップラー2の開閉弁4についてはそれまでの閉弁状態又は開弁状態を維持させることも可能である。
【0039】
さらに、第一ロッド51のカムフォロア26aに付された案内ローラが26bがプッシャー31の受圧面31dに当接することで連結部材8のばねケース17が押圧されて、連結ロッド9のピン16がヒンジピン7とピン11の中心同士を結ぶ前記直線Sより外側に移動されカップラーの連結を解除することができるため、迅速かつ適確にカップラーを分離させることが可能となる。
【0040】
以上、本発明である流体荷役装置の緊急切り離し装置について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置が閉弁されている状態を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置が開弁されている状態を示す平面図である。
【図4】図2におけるX方向矢視図である。
【図5】連結ロッドの(a)平面図及び(b)側面図である。
【図6】図1のY−Y断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る流体荷役装置における緊急切り離し装置の作動系統図である。
【符号の説明】
【0042】
1 切り離し装置
2 カップラー
2a 接続フランジ
2b フランジ
3 クランパー
4 開閉弁
4a 弁軸
5 クランプ部材
7 ヒンジピン
8 連結機構
21 カム
22 カム溝
24 シリンダ装置
25 連結ロッド
25a カムフォロア
31 プッシャー
33 作動機構(操作機構)
51 第一ロッド
52 第二ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉弁が設けられ互いに接続フランジ同士を突き合わせて連結される一対のカップラーと、
複数のクランプ部材が突き合わされた状態の各接続フランジの外周部に環状に装着され、このクランプ部材同士を連結機構によって分離可能に連結することによって一対の前記カップラー同士を連結するクランパーと、
各前記開閉弁の弁軸を回転操作して閉弁させるとともに、前記連結機構を操作して前記クランプ部材同士の連結を解除する操作機構とを備えた流体荷役装置における緊急切り離し装置であって、
前記操作機構は、
ロッドを前進又は後退させるシリンダ装置と、
各前記弁軸に固定されており、前記ロッドの前進又は後退に従動して閉弁方向又は開弁方向に互いに同期して回転する一対のカムとを備え、
該カムの閉弁方向への回転が停止されると同時に、前記ロッドが前記連結機構を操作することを特徴とする流体荷役装置における緊急切り離し装置。
【請求項2】
前記ロッドに二つのカムフォロアが設けられ、
各前記カムに、該カムフォロアが係合することで前記ロッドの前進又は後退に伴って該カムを回転させるカム溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体荷役装置における緊急切り離し装置。
【請求項3】
前記ロッドは、
基端側に設けられ、前記シリンダ装置側の一方の前記カムの前記カム溝に係合可能な前記カムフォロアを備えた第一ロッドと、
該第一ロッドの先端側に配され、他方の前記カムの前記カム溝に係合可能な前記カムフォロアを備えた第二ロッドとが、着脱自在に連結されてなることを特徴とする請求項3に記載の流体荷役装置における緊急切り離し装置。
【請求項4】
前記操作機構は、該カムによる前記弁軸の閉弁方向への回転が停止されると同時に、前記カムフォロアよって押圧移動されることで前記連結機構を操作するプッシャーを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の流体荷役装置における緊急切り離し装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−185881(P2009−185881A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25661(P2008−25661)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(303046602)ニイガタ・ローディング・システムズ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】