説明

流体製品投与弁、および、そのような弁を有する流体製品ディスペンサ

本発明の流体製品ディスペンサ用の制御弁は、弁本体(1)と、前記弁本体内で休止位置と投与位置との間をスライド移動する弁(10)とを有し、その特徴となるのは、前記弁(10)が、充填位置と操作位置との間で移動可能な充填部品(15)を有し、前記充填位置では前記弁(10)を介してのディスペンサの充填が行われ、前記充填部品(15)は前記弁部材(10)に隙間なく固定されていること、である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品を投与する弁、並びに、そのような弁を有する流体製品ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
さらに具体的に言えば、本発明に関する弁は、当該弁が取り付けられたディスペンサの充填を簡単にするものである。流体製品を投与する弁は公知のものである。それらは弁本体を有し、当該弁本体の中では弁部材または弁ステムが休止位置と投与位置との間をスライド移動する、という形が一般的であり、投与位置では弁部材によって、貯蔵器(連続弁(continuous valve)の場合)または計量チャンバ(計量弁の場合)が外部と接続された状態となる。流体製品は、推進ガスにより、弁部材を通して投与される。従って、貯蔵器の内容物は圧力を受けており、こうした状態の貯蔵器に流体製品および推進体を充填することは、いくつかの問題を引き起こす。具体的には、大きなストレスが弁のガスケットに加わることでガスケットが損傷する危険がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、流体製品投与弁であって、上記の問題の生じないものを提供することを目的とする。
さらに具体的には、本発明は、充填プロセスの間、弁の機能ガスケットに圧力を加えないようにしつつ、充填動作を改善する、という流体製品投与弁を提供することを目的とする。
【0004】
本発明はまた、流体製品投与弁であって、当該弁が取り付けられるディスペンサの充填動作を単純化する、という弁を提供することを目的とする。
具体的には、本発明は、製造および取り付けが簡単かつ安価である、という弁を提供することを目的とする。
本発明はまた、上に述べたような流体製品ディスペンサ用の計量弁、すなわち、投与される量の正確かつ完全な再現性を保証し、具体的には、操作と操作との間、弁の休止期間の間に物質が少しも失われない、という弁を提供することを目的とする。
【0005】
そうして、本発明はまた、製品投与の際、弁の充填フェーズおよび弁操作フェーズのいずれにおいても、使用の信頼性が高い、という弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明が提供するのは、流体製品ディスペンサ用の投与弁であって、弁本体と、前記弁本体内で休止位置と投与位置との間をスライド移動する弁部材とを有し、前記弁部材が、充填位置と操作位置との間で移動可能な充填部品を有し、前記充填位置では前記弁部材を介してのディスペンサの充填が可能であり、前記操作位置では前記充填部品が前記弁部材に密閉様態で装着されている、という前記弁である。
【発明の効果】
【0007】
また、前記充填部品は、スナップ留め動作によって前記弁部材に装着されること、とするのが効果的である。
また、前記弁部材は中央貫通チャネルを有し、当該チャネルは円錐チャネル部分を有し、前記充填部品は円すい形ヘッドを有し、当該ヘッドは、操作位置において、前記弁部材の前記円錐チャネル部分にはまることにより、これを密閉様態で閉じること、とするのが効果的である。
【0008】
また、前記充填部品は、操作位置にある弁部材内での充填部品の密閉装着を保証するために密閉ガスケットを有すること、とするのが効果的である。
また、前記弁は、計量チャンバを有する計量弁であること、とするのが効果的である。
また、前記計量チャンバは、弁部材が休止位置にある際、密封状態で閉じられていること、とするのが効果的である。
【0009】
また、弁本体は2つの部分で作られており、これら部分は、具体的にはスナップ留め動作によって一体にされていること、とするのが効果的である。
また、本発明はまた、流体製品を格納した貯蔵器を有する流体製品ディスペンサであって、上で述べたような弁を有するもの、を提供する。
また、前記弁は計量チャンバを有する計量弁であって、前記計量チャンバは、弁部材の休止位置および投与位置において、貯蔵器から隔絶されていること、とするのが効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に関する他の特徴および効果は、添付図面を参照しながら示す、本発明に関わる1つの特定の実施の形態(非限定的な例として示すもの)に関して以下に記す詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
図面は本発明に関わる1つの効果的な実施の形態を表すものであり、これを参照すると分かるように、ここでの弁は、弁本体(1)ならびに弁部材または弁ステム(10)を有し、弁部材または弁ステム(10)は、前記弁本体の中で休止位置(図2に示す)と投与位置(図3に示す)との間をスライド移動する。図面に示す弁は計量弁であり、それは、弁の各駆動において投与製品量を正確に測定する計量チャンバ(2)を当該弁が有することを意味する。図面に示す例では、弁本体(1)は2つの部分で作られており、計量チャンバ(2)を有する上側部分(1a)と、具体的にはクリック留め又はスナップ留めの動作によって当該上側部分(1a)に固定された下側部分(1b)とを有する。こうした形での実装によって弁の組立は単純化されるが、それについては以下の部分で更に詳細に説明する。弁を流体製品ディスペンサの貯蔵器(図示せず)に組み付ける手段については、装着カプセル(40)を用いるのが好ましく、これはどんな種類のものでもよいが、具体的には、スナップ留め、ネジ留め、またはクリンプ留めが可能なものが考えられる。一般的には、弁ガスケット(5)およびネックガスケット(6)が、前記装着カプセル(40)と弁本体(1)および貯蔵器(図示せず)のネックとの間にそれぞれ挿入される。同様に、容器端部リングと呼ばれるリング(7)を弁本体(1)の外側に取り付けることができるが、これは、第1に、貯蔵器に格納されている製品とネックガスケット(6)との接触面積を小さくすることを目的とし、第2に、デッドボリュームを満たすことで、貯蔵器に入っている製品の最大限投与を保証することを目的とする。この容器端部リング(7)を貯蔵器に固定する様態はいかなるものでもよいが、具体的には、図面に示すようなクリック取り付けやスナップ留めが可能である。もちろん、弁本体と一体の単一部分として作ることも可能であろう。
【0011】
弁部材(10)は、中央貫通チャネル(11)ならびに側面チャネル(12)を有し、側面チャネルは、図3から分かるように、弁部材が投与位置にある際は計量チャンバ(2)に通じる形となる。弁部材(10)はバネ(8)によって休止位置方向に押されるが、当該バネについては、弁本体の下側、特に、図に示す弁本体の下側部分(1b)に配置するのが好ましい。効果的な構成として弁部材はガスケット(51)を有するが、当該ガスケットは、O−リングの形で作るのが好ましく、弁部材(10)を囲む形で取り付けられる。そして、弁部材が投与位置(図3で示す)に達した際には、計量チャンバ(2)の内側で、ガスケット(51)は弁本体のうち径の小さい部分(3)にはまり、それによって計量チャンバを密封状態で閉じる。効果的な様態では、弁部材はさらに第2のガスケット(52)を有し、これもまた、環状または類似の形に作るのが好ましい。そして、当該ガスケット(52)は、図2に示すように、弁部材(10)の休止位置において弁本体に接することで、計量チャンバ(2)を密閉様態で閉じる、という形に作られている。図に示す実装の形では、この第2のガスケット(52)は弁部材の支持部品(50)の一部を形成しているが、当該部品(50)は直接的にバネ(8)と接触しており、さらに、弁部材(10)が休止位置にある際は、バネ(8)からの力を受けて弁本体(1)の一部と接触させられている(図2参照)。そして、それによって、第2のガスケット(52)は密閉様態で計量チャンバ(2)を閉じることになる。その結果、図面に示す弁は、弁が休止状態にある際、その中にある計量チャンバが密封状態で閉じられて完全に隔絶されている、というものになる。これは以下のことを意味する。すなわち、計量チャンバの中身は、弁の保管期間の長さに関わらず、変化する可能性がなく、また、それによって、この保管期間中に製品量が減少する危険もない。計量チャンバが充填されるのは、製品所定量が投与された後、弁部材がその投与位置から休止位置に向かって戻る際(その時、貯蔵器(図示せず)と計量チャンバとが接続される)であり、第1のガスケット(51)が径の小さい部分(3)に接していない状態になった瞬間から、第2のガスケット(52)が弁本体の上述部分と接触状態になる瞬間までの間である。
【0012】
弁本体は、2つの部分、すなわち上側部分(1a)と当該上側部分(1a)に具体的にはスナップ留めによって固定された下側部分(1b)とで成る構造であり、こうした構造は、前記支持体要素(50)の挿入を可能とすると共に、図示した実施の形態、すなわち、第2のガスケット(52)が弁本体の径の小さい部分(3)に軸方向に接する、という形態にとっても都合がよい。
【0013】
本発明による弁部材(10)は、充填位置(図1に示す)と操作位置(図2、3に示す)との間で移動可能な充填部品(15)を有する。充填位置では、充填部品(15)は弁部材(10)の中央貫通チャネル(11)を閉じておらず、そのため、ディスペンサは弁部材の前記中央チャネル(11)を介して充填を行うことができる。こうした形の充填であれば、弁のガスケットに損傷ストレスが加わることはない。充填後、充填部品(15)はその操作位置に向かって移動させられ、当該操作位置では、密閉様態で弁部材(10)に固定され、弁部材(10)の前記貫通チャネル(11)を密閉様態で閉じることになる。効果的な構成として、こうした密閉装着は、弁部材(10)の内部で充填部品(15)をスナップ留めまたはクリック留めで取り付けることにより実現される。また、やはり効果的な構成として、図面で分かるように、充填部品(15)は円すい形ヘッドを有し、これには、好ましい構成として密閉ガスケット(18)が取り付けられている。また、貫通チャネル(11)は、効果的な構成として円錐チャネル部分(13)を有し、当該部分(13)は、充填部品(15)が操作位置にある際、当該部品(15)の前記円すい形ヘッドに上からはまる形となる。密閉ガスケット(18)を用いることで、明らかに、この密閉作用は改善される。また、効果的な構成として、充填部品(15)はスナップ留めラグ(19)を有し、当該ラグ(19)は、操作位置では、弁部材(10)の座(17)の中にスナップで留まる(座(17)はこの目的のために設計されたものである)。さらに、効果的な構成として、充填部品(15)は前記支持部材(50)に接続されている。充填後の、弁部材(10)への充填部品(15)の装着は、具体的にはスナップ留め動作によるが、例えば、弁部材(10)を弁本体内部で完全に下まで押し込むことによって実現でき、そうすることで、突起(19)が前記の座(17)の内部にスナップではまる。
このスナップ留め動作の後、支持部材(50)は弁部材(10)と一体の単一ブロックを形成し、それにより、この弁部材を上述したように休止位置と投与位置との間で移動させることで、製品の投与に用いることができる。
【0014】
以上、本発明について、その特定の1つの実施の形態を参照しながら説明したが、上に示し説明した例だけに本発明を限定する意図はない。それどころか、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱しない形で、いかなる必要な変更も施すことができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に関わる1つの効果的な実施の形態による投与弁の断面を示す概略図であり、充填状態において示す図である。
【図2】図1と同様の図であり、操作状態にある弁部材の充填部品を示す図であり、弁部材が休止位置にある。
【図3】図2と同様の図であり、投与位置にある弁部材を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品ディスペンサ用の投与弁であって、弁本体(1)と、前記弁本体内で休止位置と投与位置との間をスライド移動する弁部材(10)とを有し、
特徴となるのは、
前記弁部材(10)が、充填位置と操作位置との間で移動可能な充填部品(15)を有し、前記充填位置では前記弁部材(10)を介してのディスペンサの充填が可能であり、前記操作位置では前記充填部品(15)が前記弁部材(10)に密閉様態で装着されていること、である
という前記弁。
【請求項2】
前記充填部品(15)は、スナップ留め動作によって前記弁部材(10)に装着されること、
を特徴とする請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記弁部材(10)は中央貫通チャネル(11)を有し、当該チャネル(11)は円錐チャネル部分(13)を有し、
前記充填部品(15)は円すい形ヘッドを有し、当該ヘッドは、操作位置において、前記弁部材(10)の前記円錐チャネル部分(13)にはまることにより、これを密閉様態で閉じること、
を特徴とする請求項1または2に記載の弁。
【請求項4】
前記充填部品(15)は、操作位置にある弁部材(10)内での充填部品(15)の密閉装着を保証するために密閉ガスケット(18)を有すること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の弁。
【請求項5】
前記弁は、計量チャンバ(2)を有する計量弁であること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の弁。
【請求項6】
前記計量チャンバ(2)は、弁部材(10)が休止位置にある際、密封状態で閉じられていること、
を特徴とする請求項5に記載の弁。
【請求項7】
弁本体(1)は2つの部分(1a,1b)で作られており、これら部分は、具体的にはスナップ留め動作によって一体にされていること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の弁。
【請求項8】
流体製品を格納した貯蔵器を有する流体製品ディスペンサであって、請求項1乃至7のいずれかに記載の弁を有すること、
を特徴とするディスペンサ。
【請求項9】
前記弁は計量チャンバ(2)を有する計量弁であって、前記計量チャンバ(2)は、弁部材の休止位置および投与位置において、貯蔵器から隔絶されていること、
を特徴とする請求項8に記載のディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−516132(P2007−516132A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518275(P2006−518275)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001703
【国際公開番号】WO2005/012138
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】