流体計量のためのマイクロフルイディック箔構造体
本発明は、液体をマイクロフルイディックネットワーク内で計量供給するマイクロフルイディック器具に関する。マイクロフルイディックチャネル又はチャンバが、基板キャリヤの上方に設けられたフィルム中への適当な構造の導入により少なくとも部分的に形成され、その結果、ネットワークを通る流体の流れの少なくとも幾分かが基板の平面の上方で起こるようになる。安定したチャネル構造又はチャンバ構造をフィルム中に形成するために、フィルムを基板に結合したときにフィルム材料の粘性流れによって材料のウェッジを非取り付け領域と取り付け領域との間の縁部ゾーンに形成することが計画され、このウェッジは、チャンバ壁と基板との間の移行部となると共にチャンバ壁を基板の平面の上方に持ち上げる。完成状態のマイクロフルイディック構造体を作製する一実施形態では、平べったい平面状のフィルムを平べったいシート状基板上に積層する。積層の際、少なくとも1つの凹部又は開口部を備えたマスクを圧力下で且つ/或いは熱の作用下でフィルムに押し付けると共に基板に押し付ける。それにより、フィルムは、凹部又は開口部の付近へのフィルム及び/又は基板媒体の粘性流れが生じる温度になり、その結果、材料のウェッジが形成されると共にフィルムが凹部の付近で膨出してチャンバを形成するようになる。本発明は更に、マイクロフルイディックネットワーク内で少なくとも1種類の液体を計量する方法に関し、この方法では、フィルムを作動させることによって毛管作用停止部に打ち勝ち、フィルムは、毛管作用停止部を除去すると浸潤される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された、液体をマイクロフルイディックネットワーク内で計量する構造体及びこの種の構造体の作製方法並びにこのような構造体を用いて液体を計量方法に関する。
【0002】
本発明は、詳細には、液体を運搬するために毛管作用効果又は圧力差を利用するマイクロフルイディック構造体及び器具に関し、この場合、マイクロフルイディック構造体のうちの少なくとも幾つかは、板状基板(基体)の上方に設けられた箔により形成されるチャンバ及び/又はチャネルである。
【背景技術】
【0003】
弾性メンブレンがマイクロフルイディック弁を開閉するために用いられる弁構造体が先行技術で知られている。
【0004】
米国特許出願公開第2005/0205816(A1)号明細書は、特にマイクロフルイディックチャネル内の流れを制御するマイクロフルイディック構造体用の弁を開示しており、流れは、フローチャネルの一部にわたって配置された軟質メンブレンにより中断可能である。この目的のため、圧縮空気をメンブレンに隣接して位置するチャンバに適用し、メンブレンは、これがチャネルの経路中に動かされてこれを閉塞するよう撓む。
【0005】
米国特許第5,811,291号明細書は、2種類のポリマー箔、特にPE箔を互いに積層することによって作製されたマイクロフルイディック器具を記載している。箔は、圧力及び熱の作用により部分的に互いに接合され、その結果、チャンバ及びチャネルが液体の導入によって非連結状態の積層領域に形成できるようになる。米国特許第5,811,291号明細書は、特に、キュベットに関する。
【0006】
米国特許出願公開第2006/0076068(A1)号明細書は、マイクロフルイディックポンプ、マイクロフルイディック弁及びこれらの作製方法を開示しており、弁は、キャリヤ材料に設けられたチャネル構造を覆うメンブレンによって形成される。弁は、メンブレンが弁の付近に取り付けられていないままの状態で、選択的積層を用いて作製される。
【0007】
米国特許出願公開第2006/0057030(A1)号明細書は、液体をリザーバから運ぶマイクロフルイディックデバイス、いわゆるMEMSデバイスを開示しており、液体リザーバは、ベースプレートに形成される。リザーバ及び液体運搬構造体としてチャネルを備えたベースプレートは、第1のポリマーフィルムで覆われている。第1のポリマーフィルムは、リザーバに開口した開口部及びチャネルに開口した開口部を有している。次に、第2のポリマーフィルムが第1のポリマーフィルム上に配置され、第2のフィルムは、部分的にドーム状になっており、その結果、チャンバが凸により形成されるようになっている。これらチャンバは、互いに流体的に分離されて空気で満たされ、他方、例えばチャンバを互いに押し付けることにより十分な圧力を加えることにより、分離点が第1のフィルムと第2のフィルムとの間で壊れて開き、圧縮空気が開口部を通って逃げ出て液体をリザーバから押し退けてこれをチャネル内に流入させる。
【0008】
米国特許第6,902,706(B1)号明細書は、分析チップ内の液体を制御する弁を開示している。この弁は、基板中のチャネル端部を覆う箔を有している。箔は、チャネル端部の付近ではドーム状に凸状になっており、箔は、このドーム状チャンバによりこれら端部を互いに連結する。ドームを空気圧円錐形アクチュエータによって下降させることができ、それにより弁が閉じる。
【0009】
米国特許出願公開第2005/0037471(A1)号明細書は、マイクロフルイディック弁又はマイクロフルイディックポンプの作製方法を記載しており、この場合、第1のチャネルを平べったいエラストマープラスチックシートに形成する。第2の通路を用いて第2のチャネルを第2のエラストマー層に形成する。第1のシートは、チャネル側が第2の層の平べったい平らな平面上に置かれてこれにくっつけられる。次に、下側のプレートを第2のチャネルが依然として開かれた状態で平べったい平らなキャリヤ基板、例えばガラスシート上に置かれる。第1のチャネルを通って運ばれる液体は、第1のチャネルと第2のチャネルとの交差箇所のところでエラストマー分離材料によって形成されたメンブレンを撓ませることができ、弁として働く。
【0010】
米国特許出願公開第2005/02058816(A1)号明細書は、マイクロフルイディックメンブレン弁を開示している。フローチャネルの上方に配置された軟質メンブレンが用いられる。空気圧又は真空をメンブレンに隣接したチャンバ内に導入することにより、メンブレンを撓ませ、このメンブレンはフローチャネルを閉じ又は開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0205816(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第5,811,291号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0076068(A1)号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0057030(A1)号明細書
【特許文献5】米国特許第6,902,706(B1)号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0037471(A1)号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/02058816(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の開示による弁構造体又は計量素子を得るためには、一般的な手順では、エラストマー箔又はエラストマープラスチックシートを変形させることによってチャネル構造体を形成する。したがって、これに関する欠点は、形成されるべき輪郭が成形ダイで高精度に作られなければならないということにある。この種の三次元微細構造化ダイの作製は、コストが嵩む。
【0013】
さらに、このようなダイを作製する機械加工技術は、現時点においては、構造体の或る特定の最小サイズまでしか使用できない。1ミクロンを相当下回る寸法の構造体では、ダイを作るのに光技術を用いた方法が必要であり、それによりダイのコストが更に一段と増大する。
したがって、本発明の目的は、マイクロフルイディック構造体の作製方法及びこの作製方法により経済的に作製できるマイクロフルイディック構造体を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、サイズがナノメートルオーダ又は一桁のミクロンオーダのマイクロフルイディック構造体を作製する別の方法を提供すると共に流体運搬特性が向上したこのような構造体を作製することにある。
【0015】
先行技術によれば、弁は、一般に、弾性メンブレンがキャリヤ基板中の流体運搬構造体の上に載り、弛緩状態でこれら流体チャネルを閉塞する要素によって作られている。
【0016】
内圧を液体に加えることにより又は外部から加えられた圧力を弁部材に加えることにより、メンブレンを撓ませ、このメンブレンは、流体経路を開く。
【0017】
また、弾性シート材料中に流体運搬構造体を形成し、このようにして得られた流体ネットワークを平べったい基板上に置くことが知られている。このようなチャネルをこれを標的にする仕方で作動させると共に制御するため、1つ又は2つ以上のチャネルシステムを互いに上下に層状化し、例えば空気圧又は油圧により拡張させ、それによりチャネルを別の平面内において開閉する。通常、大きな労働力を有すると共に費用が高くつく構造化技術がこの種の流体ネットワークを構成するのに必要である。
【0018】
この技術背景に鑑みて、本発明の目的は、基板、箔又はメンブレンをあらかじめ構造化する必要なく、流体弁を単一の作業ステップで作製することができるこのような構造体の単純な作製方法を提供することにある。
【0019】
本発明の別の目的は、液体を運搬する特性が向上した受動型マイクロフルイディック制御素子を作製するためにマイクロフルイディック制御部材、例えば弁の作動を単純化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の目的は、請求項1記載のマイクロフルイディック構造素子、請求項31記載のこの種のマイクロフルイディック構造体の作製方法及びこの種のマイクロフルイディック構造体を用いて請求項37記載の液体を計量する方法によって達成される。
【0021】
本発明によれば、平べったい箔又はフィルムは、平べったい基板又はキャリヤに被着されるべきであり、より具体的に言えば、このキャリヤに密着させられるべきであることが想定される。
【0022】
密封、特に積層は、キャリヤとフィルムを互いに上下に配置することによって実施される。この場合、積層のため、マスク(加熱ダイ)がフィルム上に置かれる。マスクは、凹部又は開口部を有し、このような凹部又は開口部の付近では、マスク(ダイ)とフィルムは接触しない。
【0023】
ダイの熱及び接触圧力の作用の結果として、フィルム及び/又は基板の材料は、流れ始め、材料は、凹部及び/又は開口部内に動く。
【0024】
その結果、凹部又は開口部の内縁部領域では、材料は、基板とフィルムとの間にウェッジの形態で堆積する。
【0025】
本発明の意味におけるウェッジという用語は、フィルムと基板との間の非固定フィルム片の縁部におけるフィルム及び/又は基板材料の堆積又は盛り上がりを意味する。形状は、ウェッジの本来の意味とは異なっている場合があり、結果的に、材料のウェッジは、ビード、三角形、円の一部、楕円形並びにこれら形状の組み合わせ及び部分の形態を取る場合がある。
【0026】
多層フィルムが用いられる場合、これは、基板内部の密封層と同じほど融点が低いプラスチック材料を有すると共にカバー層/カバーフィルムの形態をした融点の高い外部材料を有する。密封フィルム材料は、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)又はエチレンアクリル酸(EAA)であるのが良く、カバーフィルムの材料は、典型的には、ポリプロピレン(PP)又はポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン又はアクリレートである。
【0027】
有利には、EVAは、積層中、一様に融解する。粘度の低いこの材料は、融解中、フィルムの下のマスク中の空間内に押し込められ、ビード又はウェッジを形成し、それにより、フィルムは、開口部内で膨れると共に/或いはフィルムの膨れがこの開口部の付近で安定化される。
【0028】
材料のウェッジは、フィルムを固定部分と非固定部分との間の縁部ゾーンで基板の平面を持ち上げる。
【0029】
有利には、融解温度が60℃〜190℃、特に85℃〜130℃のプラスチック材料が密封層に用いられる。
【0030】
密封層と関連して用いられる被覆層又はカバーフィルムの融解温度は、これとは異なるべきであり、しかもこれよりも高いことが必要である。したがって、カバーフィルム材料は、150℃〜400℃、特に200℃〜300℃の融解温度に達するべきである。
【0031】
プラスチックの結合又は架橋を達成するため、全体の融解が起こらなければならない。変形例として、密封層が60℃〜190℃、特に85℃〜130℃で軟化し、軟化した材料を架橋すれば、それで十分な場合がある。また、カバーフィルムの架橋又は結合が上述の温度条件下における材料の軟化の結果として起こっても良い。
【0032】
また、用いられるプラスチックの粘度に応じて、積層が材料を融解させ又はべとつくようにしないで、起こっても良い。フィルムは、フィルム材料が軟化するまで加熱されるに過ぎず、フィルム材料は、次に、粘稠な状態で流動する。
【0033】
また、変形例として、溶剤を用いて積層を実施することが可能である。溶剤を取り付けられるべき基板の領域に塗布する。選択的塗布のため、溶剤を例えばマスクを介して吹き付け、塗装し又はスタンプしても良い。
【0034】
次に、積層されるべきフィルムを頂部上に載せ、別のマスク又はダイによって押し付ける。この取り付けは又、熱を加えないで周囲温度で実施可能である。この実施形態では、好ましくは、あらかじめ付形されたフィルムを積層する。溶剤により溶解し始めた材料をフィルムのあらかじめ形成されたチャンバ領域中に押し込み、この材料は、材料のウェッジを形成する。
【0035】
「チャンバ」という用語は、本発明においては、三次元の形をした任意の流体運搬構造、例えば弁又はパウチに通じる細長いチャネル、ラインを意味している。用いられる流体は、液体及び気体であるのが良い。
【0036】
有利には、滑らかな平べったい基板がマイクロフルイディック器具のベースとして用いられる。ベース又は基板も又、フィルムによって形成できる。この場合、マイクロフルイディック構造体は、チャンバだけで、特に入口チャンバ、サンプルチャンバ、比率チャンバ及びチャネルだけで形成され、これらチャンバは、フィルムに三次元構造として形成され、非構造化基板の平面の上方に持ち上げられる。
【0037】
チャンバ及びチャネルは、基板表面の上方に完全なマイクロフルイディックネットワークを形成する。
【0038】
また、有利には、基板内の流体運搬構造には、フィルム中のチャンバ、例えば特に基板のチャネル部分又は開口部が被さったように位置するのが良い。基板に設けられた開口部は、基板の頂部及び底部に設けられたフルイディックネットワークを互いに結合することができ又は基板に設けられ、サンプル流体をマイクロフルイディックネットワーク中に導入することができるようにする開口部と協働して入口領域を形成することができる。
【0039】
基板の開口部の口又はチャネルの端部は、基板の表面で終端し、又、開口部又はチャネルが基板中に延びるので、基板の平面の上方に配置された段部をフィルムのチャンバに対して形成する。
【0040】
毛管作用手段により稼働されるマイクロフルイディック器具では、この種の段部は、毛管作用停止部を形成することができる。
【0041】
本発明によれば、この毛管作用停止部に受動的に又は能動的に打ち勝つことができる。このため、チャンバ壁又はチャンバベースを基板の段部から湿潤させなければならない。
【0042】
フィルム内のチャンバ又はチャネル構造は、キュポラ、特にドームのように基板の平面から持ち上げられる。
【0043】
チャンバ壁とチャンバベースとの間の縁部領域は、2°〜90°、有利には、特に5°〜25°の角度をなす。小さい孔角度では、チャンバの縁部のところに僅かな隙間が形成される。この僅かな隙間の高さは、チャンバのベースの付近に大きな毛管力を生じさせる。
【0044】
毛管作用停止部に受動的に打ち勝つようにするためには、チャンバの外側縁部は、1ミクロン〜50ミクロン、特に10ミクロン〜50ミクロンの毛管隙間が段部縁と段部縁を覆っているチャンバ壁との間に残されるよう横方向ボアの段部縁又はチャネル端部の上方に配置される。動作中、液体前面が段部のところで累積して膨れることによりこの毛管隙間に打ち勝つことができる。
【0045】
図示していない別の実施形態では、毛管作用停止部は、疎水性領域によって形成される。この種の毛管作用停止部は、例えば、疎水性プラスチックの使用又は被覆により作られるのが良い。また、隣り合うフィルム壁の湿潤によりこの毛管作用停止部に打ち勝つことができる。
【0046】
本発明の一実施形態では、メンブレンがフィルムと基板との間に配置される。この種のメンブレンは、例えば、供給されるサンプル液体中の粒子の濾過又は分離を実施するために提供されるのが良い。有利には、メンブレンは、例えば、基板の貫流開口部上に若しくはこの中に又は大気に開口しているサンプル液体の供給チャンバ内に配置される。
【0047】
メンブレンは、特に、フィルムと基板との間の隙間内に配置されるのが良く、したがって、メンブレンは、毛管作用停止部を跨いで湿潤支援手段としての役目を果たすことができるようになっている。
【0048】
フィルムを段部の縁の上に押し下げることにより毛管作用停止部に能動的に打ち勝つことができ、毛管隙間は、チャンバの湿潤が基板中の流体運搬構造から始まる箇所まで減少するようになっている。
【0049】
有利には、この種の構造は、弁として働くことができる。基板を貫通して設けられた貫流開口部にはチャンバが被さったように位置している。貫流開口部により形成された毛管作用停止部は、開口部のところでの流体の流れを妨げる。
【0050】
次にフィルムをチャンバ、即ち、貫流開口部の上方のチャンバ壁の付近で押し下げた場合、湿潤が起こることにより流体の流れを前方に運ぶことができる。弾性チャンバ壁は、マイクロフルイディックネットワーク中の可逆式弾性開放弁として働く。フィルム材料は、その弾性寸法安定性により、その元の位置に戻り、その結果、最初に計量された量の流体がいったん流出すると、流体の次の量を計量することができるようになる。
【0051】
本発明の一実施形態では、フィルムは、基板の頂部と底部の両方上に積層され、このようなフィルムは、マイクロフルイディック構造体をここで覆い又はマイクロフルイディックチャンバを形成する。
【0052】
また、ダイ若しくはパンチ又はチャンバ壁を押し下げることによって湿潤可能にフィルムを変形させる他の電気機械ツールに代えて、圧縮空気の導入により又は基板を曲げることにより流体を計量することが可能である。
【0053】
この目的のため、弾性基板が基板キャリヤ上の接触点又は案内のところで一方の側部又は両方の側部にクランプされ、次に機械的に曲げられる。基板に正の曲げ及び/又は曲率が存在している場合、表面は、基板の変形‐中立コア線との比較によって引き伸ばされ、その結果、フィルムも又引き伸ばされる。
【0054】
これによりチャンバ壁は、毛管段部に対して動かされ、湿潤が生じる。曲げが大きい場合、チャネル又はチャンバは、全体として閉鎖される場合がある。
【0055】
また、補助容量を提供するため、基板は、フィルムから見て遠くに位置する基板の側に特にウェッジ又は切欠きの形態をした凹部を有するのが良い。基板を曲げると、大きな曲げ半径がこれらの領域に得られ、かくしてチャンバ壁のための特に高度の調節のための移動が得られる。
【0056】
有利には、曲げ中、基板を支持し又は可動ダイとして働き、曲げを基板キャリヤに導入する支持部材、特にアンビルが設けられる。
曲げ中、チャネル又はチャンバの断面積は、曲げの数学的符号に応じて、小さくなり又は大きくなる。チャネル又はチャンバ内の流れをこのようにして故意に絞ることができる。
【0057】
チャネル又はチャンバの開閉は、定期的に且つ有向的に実施可能であり、その結果、フィルム内のチャネル又はチャンバは、ポンプとして働く。例えば、2つのチャネルの端部を覆うフィルムチャンバの場合、最初に、フィルムをダイによってチャンバ壁の形態で押し下げることによって一方のチャネル端部を閉じ、次に、ダイを、依然として開いている第2のチャネル端部に向かって動かし、開放チャンバ領域内に入っている量の液体を第2のチャネル中に押し込むことが考えられる。
【0058】
また、このポンプ機構の変形例として、蠕動ポンプの原理を利用することができ、この場合、ドラムをフィルムチャネル上に一方向に動かす。ポンプの直線形実施形態では、互いに前後に配置された一連のアクチュエータを波動状態で作動させ、このようにして、液体を管状弾性フィルムチャネル内で前方に運ぶ。
【0059】
有利には、曲げ振動、例えば基板又は流体で満たされた弾性フィルムシステムの調波の固有共振により基板を励振させても良く、その結果、横波、特にこれに沿って動いている縦波を液体柱中に押し込み、このような波が液体をこれに沿って駆動し又は毛管作用停止部に打ち勝つようにする。
【0060】
本発明により、特に、容積が0.01マイクロリットル、0.1マイクロリットル、0.2マイクロリットル、0.5マイクロリットル、1マイクロリットル、3マイクロリットル、5マイクロリットル、10マイクロリットル、20マイクロリットル又は他の容積量であり、特に、上述の容積の組み合わせから得られる中間サイズの極めて僅かな収容力のチャンバを作ることが可能である。
【0061】
フィルム内に形成されたチャンバは、好ましくは、断面が円板の形をしており、チャンバの断面幅は、チャンバの高さの少なくとも20倍である。一実施形態では、断面高さは、断面の頂点領域のところが10〜15ミクロン、縁部と頂点又は頂点領域との間の中央断面領域が5〜10ミクロンであり、縁部領域が0.1〜0.5ミクロンである。
【0062】
互いに異なるサイズの粒子、例えばサイズが1〜4ミクロンの血小板及びサイズが7〜8ミクロンの赤血球を運ぶサンプル流体がこのような断面のチャネルを通って流れる場合、白血球が断面の頂点領域に堆積し、赤血球が中央領域に堆積し、血小板が断面の縁部領域に堆積する。
【0063】
このようにして、特に流れを分離した場合、即ち、例えば、断面がそれに従って枝分かれし又は関連の断面直径を備えたチャネル又は貫流開口部の状態に合体する場合、血液成分を分離することが可能である。
【0064】
一実施形態では、チャンバの頂点又はドームを下降させることが想定される。これにより、高い毛管作用がフィルムチャンバの外側隙間領域とチャンバの中央の両方においてマイクロフルイディック構造体内で働くようになる。
【0065】
或る特定のプラスチック材料は、熱の作用下で形状を変え、次に再び取ることができる機能を有するのが良い。
【0066】
この形状記憶特性を利用するため、ポリエチレン又はポリアミドのフィルム材料をいわゆる活性化温度を超える温度まで加熱し、この温度でフィルムに所望の形状が与えられる。特に、この温度では、チャンバ及び/又はチャネルが特にこれらチャンバを本発明に従って付形することにより又は特に加熱状態のフィルムを熱成形することによりフィルム中に導入される。次に、フィルムを迅速に冷却してフィルムがその変形形状を保持するようにする。次いでフィルムを、活性化温度を超える温度まで加熱することにより、フィルムは、その元の形状に戻る。
【0067】
このようにして処理された形状記憶プラスチック材料からチャネルを局所的に加熱することにより、チャネルを加熱部分に沿って開閉することができる。
【0068】
貫流開口部又はチャネル部分を介してチャンバを閉じる手段としてのクロージャ弁も又、このようにして作ることができる。
【0069】
本発明の別の特徴は、実施例及び図面により以下の実施形態から推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】基板平面の上方にチャンバを備えたマイクロフルイディック構造要素を示す図である。
【図2】二層フィルムを備えたマイクロフルイディック構造要素を示す図である。
【図3】フィルムにより覆われた貫流開口部を示す図であり、毛管段部がチャネルに設けられている状態を示す図である。
【図4】図3の稼働状態のマイクロフルイディック弁要素を示す図である。
【図5】懸濁液の成分を分離するマイクロフルイディックチャネルを示す図である。
【図6】非固定状態のフィルム部分が2つのチャネル端部を覆っている弁要素を示す図である。
【図7】基板を曲げることによって作動される弁要素を示す図である。
【図8】空気圧の作用で動作する弁要素を示す図である。
【図9】曲げバーの一部分に設けられ、機械的に絞ることができるチャネル要素を示す図である。
【図10】曲げバーの一部分に設けられ、機械的に絞ることができるチャネル要素を示す図である。
【図11】製造中におけるフィルムチャネルを示す図である。
【図12】下降した中央を有するフィルムチャネルを示す図である。
【図13】付形ツール内のフィルムチャネルを示す図である。
【図14a】密封及び圧力フィルムを備えたフィルムチャネルを示す図である。
【図14b】密封及び圧力フィルムを備えたフィルムチャネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、液体の計量又は操作のためのマイクロフルイディック構造体を断面で示している。
マイクロフルイディック構造体は、基板(1)によって形成され、この基板は、ボアの形態をした切れ目又は開口部(8)を有する。
フィルム(2)が基板キャリヤ(1)に少なくとも部分的に又は別々の領域で取り付けられている。
【0072】
非取り付け部分又は非取り付け領域では、フィルムは、平坦な基板表面上に膨れ、その結果、非取り付け状態のフィルム部分は、平らな基板平面(21)上にチャンバ(6)、特にチャネル(5)を形成するようになっている。
フィルム部分は、好ましくは、チャンバ(6)を環境から流体密状態に密封する。
【0073】
基板に示されている開口部(8)(これは、具体的にいえば、マイクロフルイディックネットワークの入口開口部である)の代替手段として、チャネル部分(5,20)又はチャンバ(6)及び弁空間も又、以下の説明で理解されるようにフィルムによって基板中に構成可能である。
【0074】
有利には、マイクロフルイディックチャンバ(6)及びチャネル(5)は、基板キャリヤ(1)の費用の高くつく微細構造化を回避するために非構造化基板表面を覆うようにしてフィルム内に形作られるのが良い。
【0075】
マイクロフルイディック器具を作るため、熱可塑性プラスチック材料から成る基板を先ず最初に金型内で温めて注型し、又は成形可能なプラスチック中に金型のネガの構造の刻印を作ることによってチャネル構造を導入する。有利には、少なくとも部分的に平面状であり且つ/或いは平坦である表面を備えた非構造化基板シートをこの種のマイクロフルイディック器具に用いるのが良い。基板シートの平坦であり且つ/或いは平面状の表面領域を互いに対して段部又はテラスの状態に配置するのが良く、その結果、個々の平面領域は、平均表面高さに対して互いに異なる高さ位置にあるようになる。
【0076】
フィルムが特に積層又は貼り合わせにより基板の表面に取り付けられている。
【0077】
図11は、プラスチックで作られた平面状の非構造化基板(1)を、積層プロセスの相手方支持体を形成する支持シート(31)で支持するシール又は積層法を示している。熱可塑性プラスチック材料のフィルム(2)を基板上に載せ、加熱可能な加圧ダイ(31)によってこれを圧力Pで押し下げる。
【0078】
基板材料は、好ましくは、純粋ポリオレフィン若しくはポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレンの配合物又はこれらとエチレン又はプロピレンのコポリマーとの混合配合物から成る。
【0079】
フィルム材料として、好ましくは、スチレン/エチレン/ブチレンポリマーを主成分とする熱可塑性エラストマー(TPE)、EPR(エチレン及びポリプロピレンを主成分とする合成ゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマーを主成分とするターポリマー)、ポリアミド(PA)とポリオレフィンのアロイ、PP/EPR/PE、PP/EPDM若しくはPE/EVA/EPDMの配合物、EAA又はポリプロピレンコポリマーが用いられる。
【0080】
また、変形例として、湿潤性が貧弱なプラスチックが用いられる場合、フィルム材料として充填剤、例えば青銅、ガラス又は、PTFEフィルム、PTFE配合物又はカーボンを含むPTFEを用いることが可能である。
【0081】
加圧ダイ(31)は、開口部を有し、その結果、開口部の付近で基板上に位置するフィルムには接触圧力Pが加わらない。
【0082】
加圧ダイ(31)を加熱状態で定位置に置き、それにより、フィルム材料及び/又は基板材料が融解し、「融解」という用語は、材料が完全に液体状態ではなく、圧力下で流動する粘度に達し又は圧力下で塑性変形可能であることを意味している。
【0083】
材料の積層、即ち、材料を互いに流動させて架橋させることは、圧力と積層温度の両方に依存しているので、これらパラメータは、広い範囲内で変化する場合がある。
【0084】
したがって、加圧ダイの加圧面の幾何学的形状、密封圧力、密封温度及び密封時間は、フィルム(2)の所望の強度及び基板(1)へのフィルム(2)の接着を達成するよう選択されなければならない。
【0085】
フィルムが金型から取り出し可能である場合、積層は、容易に取り出し可能な結合部が得られるようにするためには2〜5N/10mm又は一層強固な接着結合部を得るためには5〜20N/10mmの接着強度を与えるよう調節されるべきである。
【0086】
固定された層の積み重ねを得るため、20〜80N/10mmの接着力が用いられ、このような接着力は、幅10mmの試験片による引っ張り試験に基づいている。利用される接触圧力Pの値は、70℃〜170℃の密封温度では0.2〜20N/mm2である。想定される密封時間は、0.2秒〜200秒である。
【0087】
サブスレート材料は、フィルム材料よりも高い融解温度及び/又はガラス転移温度を有する。積層が選択された温度範囲で実施される場合、この結果、フィルム材料の大幅な軟化が得られ、フィルム材料は、積層条件下において基板よりも容易に流動することができるようになる。
【0088】
ダイ(31)が圧力Pをフィルム(2)及び基板(1)に及ぼすと、フィルム材料は、特に、低い剪断粘度の結果として流動する。このような圧力及び剪断により、フィルム材料は、特に、接触圧力を受けないダイ(31)の領域中に押し退けられ、材料のウェッジ(11)がそれにより、ダイの開口部の縁部領域に形成される。好ましくは、ダイ(31)のこの開口部の付近にはフィルム(2)及び基板(1)の結合が生じず、非取り付け領域(25)が形成される。材料の流動の結果として、フィルムは、非取り付け領域で膨出し、基板フィルムとの間に流体運搬構造を形成する。これらは、例えば図11に示されたチャネル(5)、若しくはチャンバ(6)又は微小弁であるのが良い。
【0089】
このようにして形成された材料ウェッジ(11)は、フィルムを非取り付け領域中で上方に押しやると共にこのフィルム構造を支持する。
【0090】
有利には、フィルムチャンバ(6)を基板(1)に設けられたボア(8)又は貫流開口部(8)上に配置するのが良い。フィルムが弾性なので、フィルムは、容易に変形可能であり、その結果、基板チャネル(5)内の流れ又は基板の頂部と底部との間の貫流開口部(8)を通る流れを制御することができる。図1で理解できるように、フィルムチャンバ(6)をこれが環境に対して流体密になるようにするために積層によって取り付けられた領域(24)によって密封可能である。
【0091】
フィルムチャンバ(6)又はフィルムチャネル(5)の形状は、フィルム材料の積層条件、例えば圧力、積層時間及び積層温度と加圧ダイ(31)の幾何学的形状の両方で決まる。
【0092】
図12は、互いに異なるサイズの開口部を備えた加圧ダイ(31)を用いる積層法を示している。小径の右側の開口部の付近と加圧ダイ(31)の中間部に位置する大径の凹部の付近の両方において、フィルム(2)は、上方に膨出し、材料ウェッジ(11)が形成される。
【0093】
中央領域の膨らみにより、基板(1)に対するフィルム(2)の波状の断面が得られ、それにより、2つのチャネル(5)が形成される。有利には、貫流開口部(8)の付近におけるこの種の波形構造を用いるのが良い。というのは、フィルム(2)の中央ゾーンが図12に示されているように貫流開口部(8)内に突き出るからである。これにより、フィルムの垂れ下がり中央領域を湿潤させることにより開口部(8)により形成される毛管作用停止部に打ち勝つ。
【0094】
図13及び図14から理解できるように、有利には、最終的なフィルムチャンバを加圧ダイによって付形すべきであるということが想定される。この目的のため、加圧ダイ(31)は、加圧面に半円形の凹部を有する。加圧プロセス中、フィルム(2)は、これが凹部の表面に当接し、その結果、図13に示されているように半円形の形状を取るまで上方に膨出する。
【0095】
フィルム材料の特に強力な変位は、フィルムが密封層を備えた状態で生じる。
【0096】
図2に示されているように、この種のフィルム(2)は、カバーフィルム(3)と密封フィルム(4)とから成る。密封フィルムは、好ましくは、EVAで作られ、この密封フィルムは、カバーフィルム(3)及び基板(1)よりも低い融点を有する。加熱すると共に圧力Pを加えている間、主として、選択された積層温度において最も低い剪断粘度を有する密封フィルムの材料が非取り付け領域(25)中に押し退けられてウェッジ(11)を形成する。押し退けられた材料の量、膨らみの度合い及び材料ウェッジのサイズは、パラメータ、即ち、積層時間、接触圧力及び温度に依存する。
【0097】
図2、図14a及び図14bは、温度が一定のままの状態で互いに異なる密封時間後における流体チャネルを作る積層法又は密封法を示している。第1の密封時間t1後においては、密封フィルム(4)とカバーフィルム(3)とから成るフィルム構造体は、図14aに従って半円形凹部内に膨出しており、部分的にこれを満たしている。
【0098】
密封フィルム(4)の構成材料は、ウェッジ形状(11)内で盛り上がってフィルムを持ち上げ、これを基板の表面から遠ざける。図14aとの比較により図14bに示されているように、密封フィルム(4)の材料の厚さは、密封時間が増加するにつれて減少する。比較的長い密封時間t2後においては、密封フィルム(4)の厚さは、著しく減少し、材料は、今やカバーフィルム(3)により完全に満たされている加圧ダイ(31)の半円形キャビティ内に流れ込んでいる。
【0099】
側部が密封材料により境界づけられた当初半円形のチャネル(5)は、少なくとも側部領域及び底部領域において、密封時間t2後においては、図14bに従って今やほぼ円形である。
【0100】
密封フィルム(4)の材料の流動の結果として、カバーフィルム(3)と基板(1)との間に形成された空間を完全に満たすことができる。有利には、中間の空間(6)の0.1%〜90%、特に有利には0.1%〜30%、特に0.1%〜5%の充填レベルが実現される。
【0101】
ウェッジのサイズは、チャネル構造(5)の縁部領域の毛管力に実質的に影響を及ぼす。基板(1)とチャネル(5)の壁との間の開放角度が1°〜10°であり、孔角度が5°であり、開口部の断面がほぼ三角形である場合、幅250μmのチャネル(5)では約10ミクロンの中央高さ又は頂点高さが得られる。
【0102】
幅10μmの縁部領域では、ウェッジ(11)が存在していない場合、隙間高さは、1μm未満である。このオーダーの縁部隙間は、低い高さの結果として強力な毛管作用を有し、プレシュータ(preshooter)を形成し、即ち、毛管作用フロントがこれに先行する。ウェッジ(11)の存在により、有利には、これら高い毛管作用縁部領域が故意に充填され、望ましくないプレシュータ効果が阻止される。
【0103】
図1に示されている孔の角度及び頂点(13)の高さにより、製造中におけるフィルムチャンバ(6)及びフィルムチャネル(5)の毛管特性を標的状態で調節することができる。
【0104】
有利には、フィルムチャンバ(6)の寸法決めにダイ(31)の凹部の幾何学的形状と凹部の付近に設けられたダイ(31)のベントの両方によって影響を及ぼすことができる。
【0105】
例えば空気圧を外部から製造装置中に導入することにより対抗圧力をベントに加えることができる。このようにすると、膨出プロセスの速度を制御することが可能である。
【0106】
図3及び図4は、基板の頂部と底部の両方に被着されたフィルムによって覆われているマイクロフルイディック器具を示している。チャネル(5)が基板(2)の頂部及び底部に形成され、これらチャネルは、横方向ボア(8)を介して互いに流体結合されている。
【0107】
頂部の横方向ボア(8)の出口のところには縁部又は段部(12)が設けられている。底部のチャネルを通過し、横方向ボア(8)内で上昇した液体は、横方向ボアの上端部のところでフィルムチャンバ(6)内に突き出たメニスカス(9)を形成する。
【0108】
チャンバの内部の上方に膨出するフィルムは、当初、液体のメニスカスと接触関係をなさない。したがって、ボア(8)の縁部は、ボア(8)内で上昇する液体の毛管作用停止部として働く。
【0109】
また、この種の毛管作用停止部を段部(12)なしで作ることが可能である。フィルムとボアの壁との間の距離は、構造体の湿潤が縁部のところで停止し、即ち、毛管作用停止部が存在しないようなものでなければならない。弾性フィルムが用いられる場合、フィルムを動かすことによって毛管作用停止部に打ち勝つことができる。このように、液体を制御された仕方で計量することができる。毛管作用停止部に打ち勝つため、ドーム状又は凸状のフィルム(2)をパンチ又はピストンの形態をしたアクチュエータ(10)によって貫流開口部(8)の付近で押し下げて湿潤がメニスカス(9)からフィルム壁まで起こるようにする。アクチュエータ(10)を完全に押し下げた場合、これは又、計量プロセスを故意に終了させることができる。というのは、押し下げられたフィルム(2)が基板の頂部に沿うと共に段部に沿ってボア(8)を閉鎖し、シールが形成されるからである。
【0110】
アクチュエータ(9)を戻した場合、チャンバ(6)は、フィルム材料の弾性復元力の結果として且つ/或いは計量されるべき液体の流体圧力の結果として開く。計量プロセス中、作動されたフィルムチャンバ(6)は、種々の機能、即ち、アクチュエータ(10)によってチャンバ(6)を開閉することによる弁機能及び部分閉鎖による絞り機能を実行することができる。開閉の制御によりポンプ送り機能も得ることができる。
【0111】
また、アクチュエータに代えて、チャンバ壁又はチャネル壁を動かすための或る特定のプラスチック材料、例えばポリエチレン又はポリアミドの形状記憶特性を利用することが可能である。この目的のため、プラスチック材料を製造中、特定の活性化温度を超える温度まで加熱し、これは、積層法によって行われる。このようにして得られた形状、例えば、上述の形状のうちの1つは、急速冷却によって凍結保持される。次に、材料を活性化温度を超える温度まで再び加熱した場合、この材料は、その元の形状を再び取る。すると、半円形の凸を備えたフィルム壁は、例えばそのドーム形状を失い、付形プロセスの結果として、図3に示されているように横方向ボア(8)を閉鎖する。毛管作用停止部に打ち勝つチャンバ壁の押し退けは、変形によっても達成できる。
【0112】
加熱は、サーモード(thermode)、フラット加熱ダイ又は1つ若しくは2つ以上の放熱装置(ヒートラジエータ)によって局所的に実施できる。この種の材料は又、50℃未満、特に20℃〜40℃の活性化温度について得られるので、サンプル材料による熱活性化も又想定できる。このために、器具は、活性化温度よりも低い温度、例えば25℃まで冷却され、活性化温度は、例えば30℃である。サンプル液体を活性化温度を超える温度、例えば35℃で導入し、それにより、このようなサンプル液体は、フィルム壁の変形を自動的に引き起こし、それによりマイクロフルイディック毛管作用停止部及び弁を開閉する。
【0113】
或る特定のプラスチックは、UV光と同様な仕方で反応するので、この種の形状記憶効果をUV光による照射によっても発揮させることができる。UV光の局所結合導入及びフィルムの運動の促進は、例えば、制御型遠隔UVレーザによって又は光ファイバを用いて光をチャネル内に結合することによって可能である。
【0114】
また、図4に示された横方向ボア(8)のところに実現可能性のある毛管作用停止部に受動的に打ち勝つことができる。このために、チャンバ頂点(13)及びチャンバ壁は、1ミクロン〜20ミクロン、特に3ミクロン〜10ミクロンの毛管隙間が横方向ボア(8)の縁部の上方に残るよう作られると共に三次元に形作られる。
【0115】
横方向ボア(8)内で上方に流れる液体は、メニスカス(9)を形成し、このメニスカスは、この種の毛管隙間を橋渡しし、それにより毛管作用停止部を受動的に閉鎖する。
【0116】
有利には、フィルムチャンバ(6)は、このチャンバの縁部領域の大きな毛管力が毛管ブリッジを形成するよう用いられるように段部の縁寄りに配置される。また、有利には、湿潤を助ける親水性被膜も又移行領域に与えられるのが良い。
【0117】
本発明の製造方法は、幅がチャネル高さの倍数である基板上に流体チャネル(5)を作るのに特に適している。チャネル幅は、チャネル高さの少なくとも5倍であり、特にチャネル高さの10〜50倍である。
【0118】
この種の構造を図5で理解することができる。このマイクロフルイディックチャネル(5)の高さは、好ましくは、中央領域A(13)のところが10ミクロンであり、隣接の領域Bのところが5ミクロン〜10ミクロンであり、縁部領域Cのところが2〜5ミクロンである。フィルムチャネル(5)の垂直方向の広がりが制限されているので、フィルムチャネルは、血液成分を分離するために使用できる。大きな血液粒子、例えば赤血球は、チャネルを通って流れると、好ましくは、これら自体領域A内に位置し、中程度の粒子、例えば血小板は、好ましくは、これら自体領域B内に位置し、小さな血漿成分は、好ましくは、これら自体領域C内に位置する。領域を分離することにより、例えば流れ領域に設けられた対応の開口部を備えた横方向ボアに枝分かれし又は逸らすことにより、血液成分を類別し、分離し又は濾過することができる。フィルム(2)上の規定された点が基板に取り付けられていない場合且つこの領域がマイクロフルイディックシステムに流体結合されている場合、この構造をマイクロフルイディック弁として用いることができる。例えば、フィルムの機械的性質を適切に選択することにより、或る特定の圧力/体積流れ比を設定することができる。さらに、フルイディック容量部及びリザーバを制御された仕方でシステム中に導入することができる。
【0119】
図6の弁では、弾性フィルム(2)が基板(1)に基板の平面(21)に沿って取り付けられている。取り付け後、弾性フィルム(2)は、基板の非取り付け領域(25)で支持される。次に、液体を或る特定の圧力で導入した場合、フィルム(2)は、領域(25)のところが膨れ、その結果、2つのチャネル端部(20)が基板内で互いに流体結合されるようになる。
【0120】
圧縮空気(30)の適用により、追加の復元力がフィルムに及ぼされる。圧縮空気によって弁を開閉することができる。変形例として、この実施形態では、図6の破線で示されているように、製造後、チャネル(5)の端部を互いに流体結合する凸状チャンバ(6)も又得られる。この実施形態においても、圧縮空気又はダイによってチャンバを開閉することができる。
【0121】
図7の別の実施形態では、マイクロフルイディック器具を接触点(23)のところでクランプし、矢印で示されているように曲げる。箔‐基板組み合わせの曲げの結果として、上方曲げの場合、フィルム(2)を持ち上げて非取り付け表面(25)から遠ざけ、それにより流体が流通することができるようにし、しかも/或いは下方曲げの場合、フィルム(2)を引き伸ばし、それにより非取り付け領域(25)に押し付ける。このように、曲げによって弁、ポンプ又は絞り機能を達成することができる。有利には、曲げ部の存在場所を突き止めると共にこれを増強するため、基板には凹部が設けられる。これは、最大曲げ半径を達成すべき箇所、即ち、好ましくは、マイクロフルイディック位置決め要素の下に配置される。
【0122】
液体又は粉末の貯蔵及び放出は、ラボ・オン・ア・チップ(lab-on-a-chip)用途においては重要な事柄である。多くの場合、液体又は粉末をパッケージ化し、チップとは別個に貯蔵することが有利である。必要ならば、この場合、容器をチップに取り付けるのが良い。しかしながら、チップのフルイディックシステムへの容器のフルイディック結合は、一般的に言って問題がある。
【0123】
液体又は懸濁液をマイクロフルイディック器具、即ち、チップ中に導入する実施形態が図8に示されている。
【0124】
容器又はブリスタ(21)を容器に液体又は懸濁液を充填した後、拡散防止フィルムで密封する。液体は、特に分析物又は検体であるのが良い。粘着性又は自己密封層又はフィルムが容器(28)の密封フィルムに被着される。容器は、この状態で貯蔵されるのが良い。容器を用いるため、容器を基板(1)に設けられた凹部(22)内に配置し、次に、接着剤層(29)が基板との密封結合状態になる。この取り付け又は組み立て中、例えば針(34)を用いて容器を開封する。粘着性層は、チップと接触し、これをチップ及び容器の開口部に密着させる。器具の頂部上のところにはチャネル(5)が基板に形成されている。針(34)は、特に接着剤により基板のボア(8)内に固定される中空針である。変形例として、基板キャリヤ(1)の成形又は射出成形中、インサート成形又は射出成形により針(34)を形成しても良い。チャネル(5)は、フィルム(2)の開口部(8)を介してチャネル(5)に流体結合される。開口部(8)を疎水性ベント、ガスに対して透過性であり、水性液を事実上通さない疎水性弁によって覆う。フィルム(2)の表面を非取り付け領域が針開口部及びチャネル端部のところに位置した状態で基板に取り付ける。フィルムは、シールを形成するよう非取り付け領域で支持される。フィルムは、図8に破線で示されているように圧縮空気(30)の導入によって上方に膨出するようになっている。圧縮空気は、第1の中空針(34)を通って容器内に流入し、そして第2の中空針(34)を通って分析物をチャネル(5)内に押し退ける。
【0125】
チャネルを通る体積流れを制御された仕方で絞る実施形態が図10に示されている。段階的厚さを備えた基板(1)が第1の領域に大きな厚さを有している。この領域には、入口(35)及び出口(36)が設けられている。入口(35)及び出口(36)は、マイクロフルイディックネットワーク(図示せず)の他のフルイディック構造に結合されるのが良い。2つのチャネル(5)が入口(35)及び出口(36)から枝分かれしており、これらチャネルは、基板中に延び、フィルム(2)によって覆われている。隣接の領域では、基板の厚さは、図9に断面で示されているように著しく減少している。第1の領域でチャネルに流体結合されたフィルムチャネル(5)は、第2の領域に形成され、これらチャネルは、その箇所では平らである基板の平面の上方に位置した状態で延びている。
【0126】
厚さの減少した基板(1)は、支持部材(26)、特にアンビルで支持される。基板の端部に対して作用するアクチュエータ(10)を用いてこの基板領域を曲げることができる。曲げにより、図10に示されているようにフィルムチャネル(5)が引き伸ばされ、フィルムチャネル(5)中の体積流れが絞られる。
【符号の説明】
【0127】
1 基板
2 フィルム
3 カバーフィルム
4 密封フィルム
5 チャネル
6 チャンバ
7 液体
8 ボア/貫流開口部
9 メニスカス
10 アクチュエータ
11 材料のウェッジ
12 段部/縁部
13 頂点
15 血小板
16 赤血球
17 血漿
20 チャネル端部
21 支持体平面
22 凹部/切欠き
23 接触点
24 取り付け領域
25 非取り付け領域
26 支持部材
27 疎水性ベント
28 容器/ブリスタ
29 粘着性層
30 圧縮空気
31 加圧ダイ
32 支持板
33 ベント
34 針
35 入口
36 出口
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された、液体をマイクロフルイディックネットワーク内で計量する構造体及びこの種の構造体の作製方法並びにこのような構造体を用いて液体を計量方法に関する。
【0002】
本発明は、詳細には、液体を運搬するために毛管作用効果又は圧力差を利用するマイクロフルイディック構造体及び器具に関し、この場合、マイクロフルイディック構造体のうちの少なくとも幾つかは、板状基板(基体)の上方に設けられた箔により形成されるチャンバ及び/又はチャネルである。
【背景技術】
【0003】
弾性メンブレンがマイクロフルイディック弁を開閉するために用いられる弁構造体が先行技術で知られている。
【0004】
米国特許出願公開第2005/0205816(A1)号明細書は、特にマイクロフルイディックチャネル内の流れを制御するマイクロフルイディック構造体用の弁を開示しており、流れは、フローチャネルの一部にわたって配置された軟質メンブレンにより中断可能である。この目的のため、圧縮空気をメンブレンに隣接して位置するチャンバに適用し、メンブレンは、これがチャネルの経路中に動かされてこれを閉塞するよう撓む。
【0005】
米国特許第5,811,291号明細書は、2種類のポリマー箔、特にPE箔を互いに積層することによって作製されたマイクロフルイディック器具を記載している。箔は、圧力及び熱の作用により部分的に互いに接合され、その結果、チャンバ及びチャネルが液体の導入によって非連結状態の積層領域に形成できるようになる。米国特許第5,811,291号明細書は、特に、キュベットに関する。
【0006】
米国特許出願公開第2006/0076068(A1)号明細書は、マイクロフルイディックポンプ、マイクロフルイディック弁及びこれらの作製方法を開示しており、弁は、キャリヤ材料に設けられたチャネル構造を覆うメンブレンによって形成される。弁は、メンブレンが弁の付近に取り付けられていないままの状態で、選択的積層を用いて作製される。
【0007】
米国特許出願公開第2006/0057030(A1)号明細書は、液体をリザーバから運ぶマイクロフルイディックデバイス、いわゆるMEMSデバイスを開示しており、液体リザーバは、ベースプレートに形成される。リザーバ及び液体運搬構造体としてチャネルを備えたベースプレートは、第1のポリマーフィルムで覆われている。第1のポリマーフィルムは、リザーバに開口した開口部及びチャネルに開口した開口部を有している。次に、第2のポリマーフィルムが第1のポリマーフィルム上に配置され、第2のフィルムは、部分的にドーム状になっており、その結果、チャンバが凸により形成されるようになっている。これらチャンバは、互いに流体的に分離されて空気で満たされ、他方、例えばチャンバを互いに押し付けることにより十分な圧力を加えることにより、分離点が第1のフィルムと第2のフィルムとの間で壊れて開き、圧縮空気が開口部を通って逃げ出て液体をリザーバから押し退けてこれをチャネル内に流入させる。
【0008】
米国特許第6,902,706(B1)号明細書は、分析チップ内の液体を制御する弁を開示している。この弁は、基板中のチャネル端部を覆う箔を有している。箔は、チャネル端部の付近ではドーム状に凸状になっており、箔は、このドーム状チャンバによりこれら端部を互いに連結する。ドームを空気圧円錐形アクチュエータによって下降させることができ、それにより弁が閉じる。
【0009】
米国特許出願公開第2005/0037471(A1)号明細書は、マイクロフルイディック弁又はマイクロフルイディックポンプの作製方法を記載しており、この場合、第1のチャネルを平べったいエラストマープラスチックシートに形成する。第2の通路を用いて第2のチャネルを第2のエラストマー層に形成する。第1のシートは、チャネル側が第2の層の平べったい平らな平面上に置かれてこれにくっつけられる。次に、下側のプレートを第2のチャネルが依然として開かれた状態で平べったい平らなキャリヤ基板、例えばガラスシート上に置かれる。第1のチャネルを通って運ばれる液体は、第1のチャネルと第2のチャネルとの交差箇所のところでエラストマー分離材料によって形成されたメンブレンを撓ませることができ、弁として働く。
【0010】
米国特許出願公開第2005/02058816(A1)号明細書は、マイクロフルイディックメンブレン弁を開示している。フローチャネルの上方に配置された軟質メンブレンが用いられる。空気圧又は真空をメンブレンに隣接したチャンバ内に導入することにより、メンブレンを撓ませ、このメンブレンはフローチャネルを閉じ又は開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0205816(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第5,811,291号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0076068(A1)号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0057030(A1)号明細書
【特許文献5】米国特許第6,902,706(B1)号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0037471(A1)号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/02058816(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の開示による弁構造体又は計量素子を得るためには、一般的な手順では、エラストマー箔又はエラストマープラスチックシートを変形させることによってチャネル構造体を形成する。したがって、これに関する欠点は、形成されるべき輪郭が成形ダイで高精度に作られなければならないということにある。この種の三次元微細構造化ダイの作製は、コストが嵩む。
【0013】
さらに、このようなダイを作製する機械加工技術は、現時点においては、構造体の或る特定の最小サイズまでしか使用できない。1ミクロンを相当下回る寸法の構造体では、ダイを作るのに光技術を用いた方法が必要であり、それによりダイのコストが更に一段と増大する。
したがって、本発明の目的は、マイクロフルイディック構造体の作製方法及びこの作製方法により経済的に作製できるマイクロフルイディック構造体を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、サイズがナノメートルオーダ又は一桁のミクロンオーダのマイクロフルイディック構造体を作製する別の方法を提供すると共に流体運搬特性が向上したこのような構造体を作製することにある。
【0015】
先行技術によれば、弁は、一般に、弾性メンブレンがキャリヤ基板中の流体運搬構造体の上に載り、弛緩状態でこれら流体チャネルを閉塞する要素によって作られている。
【0016】
内圧を液体に加えることにより又は外部から加えられた圧力を弁部材に加えることにより、メンブレンを撓ませ、このメンブレンは、流体経路を開く。
【0017】
また、弾性シート材料中に流体運搬構造体を形成し、このようにして得られた流体ネットワークを平べったい基板上に置くことが知られている。このようなチャネルをこれを標的にする仕方で作動させると共に制御するため、1つ又は2つ以上のチャネルシステムを互いに上下に層状化し、例えば空気圧又は油圧により拡張させ、それによりチャネルを別の平面内において開閉する。通常、大きな労働力を有すると共に費用が高くつく構造化技術がこの種の流体ネットワークを構成するのに必要である。
【0018】
この技術背景に鑑みて、本発明の目的は、基板、箔又はメンブレンをあらかじめ構造化する必要なく、流体弁を単一の作業ステップで作製することができるこのような構造体の単純な作製方法を提供することにある。
【0019】
本発明の別の目的は、液体を運搬する特性が向上した受動型マイクロフルイディック制御素子を作製するためにマイクロフルイディック制御部材、例えば弁の作動を単純化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の目的は、請求項1記載のマイクロフルイディック構造素子、請求項31記載のこの種のマイクロフルイディック構造体の作製方法及びこの種のマイクロフルイディック構造体を用いて請求項37記載の液体を計量する方法によって達成される。
【0021】
本発明によれば、平べったい箔又はフィルムは、平べったい基板又はキャリヤに被着されるべきであり、より具体的に言えば、このキャリヤに密着させられるべきであることが想定される。
【0022】
密封、特に積層は、キャリヤとフィルムを互いに上下に配置することによって実施される。この場合、積層のため、マスク(加熱ダイ)がフィルム上に置かれる。マスクは、凹部又は開口部を有し、このような凹部又は開口部の付近では、マスク(ダイ)とフィルムは接触しない。
【0023】
ダイの熱及び接触圧力の作用の結果として、フィルム及び/又は基板の材料は、流れ始め、材料は、凹部及び/又は開口部内に動く。
【0024】
その結果、凹部又は開口部の内縁部領域では、材料は、基板とフィルムとの間にウェッジの形態で堆積する。
【0025】
本発明の意味におけるウェッジという用語は、フィルムと基板との間の非固定フィルム片の縁部におけるフィルム及び/又は基板材料の堆積又は盛り上がりを意味する。形状は、ウェッジの本来の意味とは異なっている場合があり、結果的に、材料のウェッジは、ビード、三角形、円の一部、楕円形並びにこれら形状の組み合わせ及び部分の形態を取る場合がある。
【0026】
多層フィルムが用いられる場合、これは、基板内部の密封層と同じほど融点が低いプラスチック材料を有すると共にカバー層/カバーフィルムの形態をした融点の高い外部材料を有する。密封フィルム材料は、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)又はエチレンアクリル酸(EAA)であるのが良く、カバーフィルムの材料は、典型的には、ポリプロピレン(PP)又はポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン又はアクリレートである。
【0027】
有利には、EVAは、積層中、一様に融解する。粘度の低いこの材料は、融解中、フィルムの下のマスク中の空間内に押し込められ、ビード又はウェッジを形成し、それにより、フィルムは、開口部内で膨れると共に/或いはフィルムの膨れがこの開口部の付近で安定化される。
【0028】
材料のウェッジは、フィルムを固定部分と非固定部分との間の縁部ゾーンで基板の平面を持ち上げる。
【0029】
有利には、融解温度が60℃〜190℃、特に85℃〜130℃のプラスチック材料が密封層に用いられる。
【0030】
密封層と関連して用いられる被覆層又はカバーフィルムの融解温度は、これとは異なるべきであり、しかもこれよりも高いことが必要である。したがって、カバーフィルム材料は、150℃〜400℃、特に200℃〜300℃の融解温度に達するべきである。
【0031】
プラスチックの結合又は架橋を達成するため、全体の融解が起こらなければならない。変形例として、密封層が60℃〜190℃、特に85℃〜130℃で軟化し、軟化した材料を架橋すれば、それで十分な場合がある。また、カバーフィルムの架橋又は結合が上述の温度条件下における材料の軟化の結果として起こっても良い。
【0032】
また、用いられるプラスチックの粘度に応じて、積層が材料を融解させ又はべとつくようにしないで、起こっても良い。フィルムは、フィルム材料が軟化するまで加熱されるに過ぎず、フィルム材料は、次に、粘稠な状態で流動する。
【0033】
また、変形例として、溶剤を用いて積層を実施することが可能である。溶剤を取り付けられるべき基板の領域に塗布する。選択的塗布のため、溶剤を例えばマスクを介して吹き付け、塗装し又はスタンプしても良い。
【0034】
次に、積層されるべきフィルムを頂部上に載せ、別のマスク又はダイによって押し付ける。この取り付けは又、熱を加えないで周囲温度で実施可能である。この実施形態では、好ましくは、あらかじめ付形されたフィルムを積層する。溶剤により溶解し始めた材料をフィルムのあらかじめ形成されたチャンバ領域中に押し込み、この材料は、材料のウェッジを形成する。
【0035】
「チャンバ」という用語は、本発明においては、三次元の形をした任意の流体運搬構造、例えば弁又はパウチに通じる細長いチャネル、ラインを意味している。用いられる流体は、液体及び気体であるのが良い。
【0036】
有利には、滑らかな平べったい基板がマイクロフルイディック器具のベースとして用いられる。ベース又は基板も又、フィルムによって形成できる。この場合、マイクロフルイディック構造体は、チャンバだけで、特に入口チャンバ、サンプルチャンバ、比率チャンバ及びチャネルだけで形成され、これらチャンバは、フィルムに三次元構造として形成され、非構造化基板の平面の上方に持ち上げられる。
【0037】
チャンバ及びチャネルは、基板表面の上方に完全なマイクロフルイディックネットワークを形成する。
【0038】
また、有利には、基板内の流体運搬構造には、フィルム中のチャンバ、例えば特に基板のチャネル部分又は開口部が被さったように位置するのが良い。基板に設けられた開口部は、基板の頂部及び底部に設けられたフルイディックネットワークを互いに結合することができ又は基板に設けられ、サンプル流体をマイクロフルイディックネットワーク中に導入することができるようにする開口部と協働して入口領域を形成することができる。
【0039】
基板の開口部の口又はチャネルの端部は、基板の表面で終端し、又、開口部又はチャネルが基板中に延びるので、基板の平面の上方に配置された段部をフィルムのチャンバに対して形成する。
【0040】
毛管作用手段により稼働されるマイクロフルイディック器具では、この種の段部は、毛管作用停止部を形成することができる。
【0041】
本発明によれば、この毛管作用停止部に受動的に又は能動的に打ち勝つことができる。このため、チャンバ壁又はチャンバベースを基板の段部から湿潤させなければならない。
【0042】
フィルム内のチャンバ又はチャネル構造は、キュポラ、特にドームのように基板の平面から持ち上げられる。
【0043】
チャンバ壁とチャンバベースとの間の縁部領域は、2°〜90°、有利には、特に5°〜25°の角度をなす。小さい孔角度では、チャンバの縁部のところに僅かな隙間が形成される。この僅かな隙間の高さは、チャンバのベースの付近に大きな毛管力を生じさせる。
【0044】
毛管作用停止部に受動的に打ち勝つようにするためには、チャンバの外側縁部は、1ミクロン〜50ミクロン、特に10ミクロン〜50ミクロンの毛管隙間が段部縁と段部縁を覆っているチャンバ壁との間に残されるよう横方向ボアの段部縁又はチャネル端部の上方に配置される。動作中、液体前面が段部のところで累積して膨れることによりこの毛管隙間に打ち勝つことができる。
【0045】
図示していない別の実施形態では、毛管作用停止部は、疎水性領域によって形成される。この種の毛管作用停止部は、例えば、疎水性プラスチックの使用又は被覆により作られるのが良い。また、隣り合うフィルム壁の湿潤によりこの毛管作用停止部に打ち勝つことができる。
【0046】
本発明の一実施形態では、メンブレンがフィルムと基板との間に配置される。この種のメンブレンは、例えば、供給されるサンプル液体中の粒子の濾過又は分離を実施するために提供されるのが良い。有利には、メンブレンは、例えば、基板の貫流開口部上に若しくはこの中に又は大気に開口しているサンプル液体の供給チャンバ内に配置される。
【0047】
メンブレンは、特に、フィルムと基板との間の隙間内に配置されるのが良く、したがって、メンブレンは、毛管作用停止部を跨いで湿潤支援手段としての役目を果たすことができるようになっている。
【0048】
フィルムを段部の縁の上に押し下げることにより毛管作用停止部に能動的に打ち勝つことができ、毛管隙間は、チャンバの湿潤が基板中の流体運搬構造から始まる箇所まで減少するようになっている。
【0049】
有利には、この種の構造は、弁として働くことができる。基板を貫通して設けられた貫流開口部にはチャンバが被さったように位置している。貫流開口部により形成された毛管作用停止部は、開口部のところでの流体の流れを妨げる。
【0050】
次にフィルムをチャンバ、即ち、貫流開口部の上方のチャンバ壁の付近で押し下げた場合、湿潤が起こることにより流体の流れを前方に運ぶことができる。弾性チャンバ壁は、マイクロフルイディックネットワーク中の可逆式弾性開放弁として働く。フィルム材料は、その弾性寸法安定性により、その元の位置に戻り、その結果、最初に計量された量の流体がいったん流出すると、流体の次の量を計量することができるようになる。
【0051】
本発明の一実施形態では、フィルムは、基板の頂部と底部の両方上に積層され、このようなフィルムは、マイクロフルイディック構造体をここで覆い又はマイクロフルイディックチャンバを形成する。
【0052】
また、ダイ若しくはパンチ又はチャンバ壁を押し下げることによって湿潤可能にフィルムを変形させる他の電気機械ツールに代えて、圧縮空気の導入により又は基板を曲げることにより流体を計量することが可能である。
【0053】
この目的のため、弾性基板が基板キャリヤ上の接触点又は案内のところで一方の側部又は両方の側部にクランプされ、次に機械的に曲げられる。基板に正の曲げ及び/又は曲率が存在している場合、表面は、基板の変形‐中立コア線との比較によって引き伸ばされ、その結果、フィルムも又引き伸ばされる。
【0054】
これによりチャンバ壁は、毛管段部に対して動かされ、湿潤が生じる。曲げが大きい場合、チャネル又はチャンバは、全体として閉鎖される場合がある。
【0055】
また、補助容量を提供するため、基板は、フィルムから見て遠くに位置する基板の側に特にウェッジ又は切欠きの形態をした凹部を有するのが良い。基板を曲げると、大きな曲げ半径がこれらの領域に得られ、かくしてチャンバ壁のための特に高度の調節のための移動が得られる。
【0056】
有利には、曲げ中、基板を支持し又は可動ダイとして働き、曲げを基板キャリヤに導入する支持部材、特にアンビルが設けられる。
曲げ中、チャネル又はチャンバの断面積は、曲げの数学的符号に応じて、小さくなり又は大きくなる。チャネル又はチャンバ内の流れをこのようにして故意に絞ることができる。
【0057】
チャネル又はチャンバの開閉は、定期的に且つ有向的に実施可能であり、その結果、フィルム内のチャネル又はチャンバは、ポンプとして働く。例えば、2つのチャネルの端部を覆うフィルムチャンバの場合、最初に、フィルムをダイによってチャンバ壁の形態で押し下げることによって一方のチャネル端部を閉じ、次に、ダイを、依然として開いている第2のチャネル端部に向かって動かし、開放チャンバ領域内に入っている量の液体を第2のチャネル中に押し込むことが考えられる。
【0058】
また、このポンプ機構の変形例として、蠕動ポンプの原理を利用することができ、この場合、ドラムをフィルムチャネル上に一方向に動かす。ポンプの直線形実施形態では、互いに前後に配置された一連のアクチュエータを波動状態で作動させ、このようにして、液体を管状弾性フィルムチャネル内で前方に運ぶ。
【0059】
有利には、曲げ振動、例えば基板又は流体で満たされた弾性フィルムシステムの調波の固有共振により基板を励振させても良く、その結果、横波、特にこれに沿って動いている縦波を液体柱中に押し込み、このような波が液体をこれに沿って駆動し又は毛管作用停止部に打ち勝つようにする。
【0060】
本発明により、特に、容積が0.01マイクロリットル、0.1マイクロリットル、0.2マイクロリットル、0.5マイクロリットル、1マイクロリットル、3マイクロリットル、5マイクロリットル、10マイクロリットル、20マイクロリットル又は他の容積量であり、特に、上述の容積の組み合わせから得られる中間サイズの極めて僅かな収容力のチャンバを作ることが可能である。
【0061】
フィルム内に形成されたチャンバは、好ましくは、断面が円板の形をしており、チャンバの断面幅は、チャンバの高さの少なくとも20倍である。一実施形態では、断面高さは、断面の頂点領域のところが10〜15ミクロン、縁部と頂点又は頂点領域との間の中央断面領域が5〜10ミクロンであり、縁部領域が0.1〜0.5ミクロンである。
【0062】
互いに異なるサイズの粒子、例えばサイズが1〜4ミクロンの血小板及びサイズが7〜8ミクロンの赤血球を運ぶサンプル流体がこのような断面のチャネルを通って流れる場合、白血球が断面の頂点領域に堆積し、赤血球が中央領域に堆積し、血小板が断面の縁部領域に堆積する。
【0063】
このようにして、特に流れを分離した場合、即ち、例えば、断面がそれに従って枝分かれし又は関連の断面直径を備えたチャネル又は貫流開口部の状態に合体する場合、血液成分を分離することが可能である。
【0064】
一実施形態では、チャンバの頂点又はドームを下降させることが想定される。これにより、高い毛管作用がフィルムチャンバの外側隙間領域とチャンバの中央の両方においてマイクロフルイディック構造体内で働くようになる。
【0065】
或る特定のプラスチック材料は、熱の作用下で形状を変え、次に再び取ることができる機能を有するのが良い。
【0066】
この形状記憶特性を利用するため、ポリエチレン又はポリアミドのフィルム材料をいわゆる活性化温度を超える温度まで加熱し、この温度でフィルムに所望の形状が与えられる。特に、この温度では、チャンバ及び/又はチャネルが特にこれらチャンバを本発明に従って付形することにより又は特に加熱状態のフィルムを熱成形することによりフィルム中に導入される。次に、フィルムを迅速に冷却してフィルムがその変形形状を保持するようにする。次いでフィルムを、活性化温度を超える温度まで加熱することにより、フィルムは、その元の形状に戻る。
【0067】
このようにして処理された形状記憶プラスチック材料からチャネルを局所的に加熱することにより、チャネルを加熱部分に沿って開閉することができる。
【0068】
貫流開口部又はチャネル部分を介してチャンバを閉じる手段としてのクロージャ弁も又、このようにして作ることができる。
【0069】
本発明の別の特徴は、実施例及び図面により以下の実施形態から推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】基板平面の上方にチャンバを備えたマイクロフルイディック構造要素を示す図である。
【図2】二層フィルムを備えたマイクロフルイディック構造要素を示す図である。
【図3】フィルムにより覆われた貫流開口部を示す図であり、毛管段部がチャネルに設けられている状態を示す図である。
【図4】図3の稼働状態のマイクロフルイディック弁要素を示す図である。
【図5】懸濁液の成分を分離するマイクロフルイディックチャネルを示す図である。
【図6】非固定状態のフィルム部分が2つのチャネル端部を覆っている弁要素を示す図である。
【図7】基板を曲げることによって作動される弁要素を示す図である。
【図8】空気圧の作用で動作する弁要素を示す図である。
【図9】曲げバーの一部分に設けられ、機械的に絞ることができるチャネル要素を示す図である。
【図10】曲げバーの一部分に設けられ、機械的に絞ることができるチャネル要素を示す図である。
【図11】製造中におけるフィルムチャネルを示す図である。
【図12】下降した中央を有するフィルムチャネルを示す図である。
【図13】付形ツール内のフィルムチャネルを示す図である。
【図14a】密封及び圧力フィルムを備えたフィルムチャネルを示す図である。
【図14b】密封及び圧力フィルムを備えたフィルムチャネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、液体の計量又は操作のためのマイクロフルイディック構造体を断面で示している。
マイクロフルイディック構造体は、基板(1)によって形成され、この基板は、ボアの形態をした切れ目又は開口部(8)を有する。
フィルム(2)が基板キャリヤ(1)に少なくとも部分的に又は別々の領域で取り付けられている。
【0072】
非取り付け部分又は非取り付け領域では、フィルムは、平坦な基板表面上に膨れ、その結果、非取り付け状態のフィルム部分は、平らな基板平面(21)上にチャンバ(6)、特にチャネル(5)を形成するようになっている。
フィルム部分は、好ましくは、チャンバ(6)を環境から流体密状態に密封する。
【0073】
基板に示されている開口部(8)(これは、具体的にいえば、マイクロフルイディックネットワークの入口開口部である)の代替手段として、チャネル部分(5,20)又はチャンバ(6)及び弁空間も又、以下の説明で理解されるようにフィルムによって基板中に構成可能である。
【0074】
有利には、マイクロフルイディックチャンバ(6)及びチャネル(5)は、基板キャリヤ(1)の費用の高くつく微細構造化を回避するために非構造化基板表面を覆うようにしてフィルム内に形作られるのが良い。
【0075】
マイクロフルイディック器具を作るため、熱可塑性プラスチック材料から成る基板を先ず最初に金型内で温めて注型し、又は成形可能なプラスチック中に金型のネガの構造の刻印を作ることによってチャネル構造を導入する。有利には、少なくとも部分的に平面状であり且つ/或いは平坦である表面を備えた非構造化基板シートをこの種のマイクロフルイディック器具に用いるのが良い。基板シートの平坦であり且つ/或いは平面状の表面領域を互いに対して段部又はテラスの状態に配置するのが良く、その結果、個々の平面領域は、平均表面高さに対して互いに異なる高さ位置にあるようになる。
【0076】
フィルムが特に積層又は貼り合わせにより基板の表面に取り付けられている。
【0077】
図11は、プラスチックで作られた平面状の非構造化基板(1)を、積層プロセスの相手方支持体を形成する支持シート(31)で支持するシール又は積層法を示している。熱可塑性プラスチック材料のフィルム(2)を基板上に載せ、加熱可能な加圧ダイ(31)によってこれを圧力Pで押し下げる。
【0078】
基板材料は、好ましくは、純粋ポリオレフィン若しくはポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレンの配合物又はこれらとエチレン又はプロピレンのコポリマーとの混合配合物から成る。
【0079】
フィルム材料として、好ましくは、スチレン/エチレン/ブチレンポリマーを主成分とする熱可塑性エラストマー(TPE)、EPR(エチレン及びポリプロピレンを主成分とする合成ゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマーを主成分とするターポリマー)、ポリアミド(PA)とポリオレフィンのアロイ、PP/EPR/PE、PP/EPDM若しくはPE/EVA/EPDMの配合物、EAA又はポリプロピレンコポリマーが用いられる。
【0080】
また、変形例として、湿潤性が貧弱なプラスチックが用いられる場合、フィルム材料として充填剤、例えば青銅、ガラス又は、PTFEフィルム、PTFE配合物又はカーボンを含むPTFEを用いることが可能である。
【0081】
加圧ダイ(31)は、開口部を有し、その結果、開口部の付近で基板上に位置するフィルムには接触圧力Pが加わらない。
【0082】
加圧ダイ(31)を加熱状態で定位置に置き、それにより、フィルム材料及び/又は基板材料が融解し、「融解」という用語は、材料が完全に液体状態ではなく、圧力下で流動する粘度に達し又は圧力下で塑性変形可能であることを意味している。
【0083】
材料の積層、即ち、材料を互いに流動させて架橋させることは、圧力と積層温度の両方に依存しているので、これらパラメータは、広い範囲内で変化する場合がある。
【0084】
したがって、加圧ダイの加圧面の幾何学的形状、密封圧力、密封温度及び密封時間は、フィルム(2)の所望の強度及び基板(1)へのフィルム(2)の接着を達成するよう選択されなければならない。
【0085】
フィルムが金型から取り出し可能である場合、積層は、容易に取り出し可能な結合部が得られるようにするためには2〜5N/10mm又は一層強固な接着結合部を得るためには5〜20N/10mmの接着強度を与えるよう調節されるべきである。
【0086】
固定された層の積み重ねを得るため、20〜80N/10mmの接着力が用いられ、このような接着力は、幅10mmの試験片による引っ張り試験に基づいている。利用される接触圧力Pの値は、70℃〜170℃の密封温度では0.2〜20N/mm2である。想定される密封時間は、0.2秒〜200秒である。
【0087】
サブスレート材料は、フィルム材料よりも高い融解温度及び/又はガラス転移温度を有する。積層が選択された温度範囲で実施される場合、この結果、フィルム材料の大幅な軟化が得られ、フィルム材料は、積層条件下において基板よりも容易に流動することができるようになる。
【0088】
ダイ(31)が圧力Pをフィルム(2)及び基板(1)に及ぼすと、フィルム材料は、特に、低い剪断粘度の結果として流動する。このような圧力及び剪断により、フィルム材料は、特に、接触圧力を受けないダイ(31)の領域中に押し退けられ、材料のウェッジ(11)がそれにより、ダイの開口部の縁部領域に形成される。好ましくは、ダイ(31)のこの開口部の付近にはフィルム(2)及び基板(1)の結合が生じず、非取り付け領域(25)が形成される。材料の流動の結果として、フィルムは、非取り付け領域で膨出し、基板フィルムとの間に流体運搬構造を形成する。これらは、例えば図11に示されたチャネル(5)、若しくはチャンバ(6)又は微小弁であるのが良い。
【0089】
このようにして形成された材料ウェッジ(11)は、フィルムを非取り付け領域中で上方に押しやると共にこのフィルム構造を支持する。
【0090】
有利には、フィルムチャンバ(6)を基板(1)に設けられたボア(8)又は貫流開口部(8)上に配置するのが良い。フィルムが弾性なので、フィルムは、容易に変形可能であり、その結果、基板チャネル(5)内の流れ又は基板の頂部と底部との間の貫流開口部(8)を通る流れを制御することができる。図1で理解できるように、フィルムチャンバ(6)をこれが環境に対して流体密になるようにするために積層によって取り付けられた領域(24)によって密封可能である。
【0091】
フィルムチャンバ(6)又はフィルムチャネル(5)の形状は、フィルム材料の積層条件、例えば圧力、積層時間及び積層温度と加圧ダイ(31)の幾何学的形状の両方で決まる。
【0092】
図12は、互いに異なるサイズの開口部を備えた加圧ダイ(31)を用いる積層法を示している。小径の右側の開口部の付近と加圧ダイ(31)の中間部に位置する大径の凹部の付近の両方において、フィルム(2)は、上方に膨出し、材料ウェッジ(11)が形成される。
【0093】
中央領域の膨らみにより、基板(1)に対するフィルム(2)の波状の断面が得られ、それにより、2つのチャネル(5)が形成される。有利には、貫流開口部(8)の付近におけるこの種の波形構造を用いるのが良い。というのは、フィルム(2)の中央ゾーンが図12に示されているように貫流開口部(8)内に突き出るからである。これにより、フィルムの垂れ下がり中央領域を湿潤させることにより開口部(8)により形成される毛管作用停止部に打ち勝つ。
【0094】
図13及び図14から理解できるように、有利には、最終的なフィルムチャンバを加圧ダイによって付形すべきであるということが想定される。この目的のため、加圧ダイ(31)は、加圧面に半円形の凹部を有する。加圧プロセス中、フィルム(2)は、これが凹部の表面に当接し、その結果、図13に示されているように半円形の形状を取るまで上方に膨出する。
【0095】
フィルム材料の特に強力な変位は、フィルムが密封層を備えた状態で生じる。
【0096】
図2に示されているように、この種のフィルム(2)は、カバーフィルム(3)と密封フィルム(4)とから成る。密封フィルムは、好ましくは、EVAで作られ、この密封フィルムは、カバーフィルム(3)及び基板(1)よりも低い融点を有する。加熱すると共に圧力Pを加えている間、主として、選択された積層温度において最も低い剪断粘度を有する密封フィルムの材料が非取り付け領域(25)中に押し退けられてウェッジ(11)を形成する。押し退けられた材料の量、膨らみの度合い及び材料ウェッジのサイズは、パラメータ、即ち、積層時間、接触圧力及び温度に依存する。
【0097】
図2、図14a及び図14bは、温度が一定のままの状態で互いに異なる密封時間後における流体チャネルを作る積層法又は密封法を示している。第1の密封時間t1後においては、密封フィルム(4)とカバーフィルム(3)とから成るフィルム構造体は、図14aに従って半円形凹部内に膨出しており、部分的にこれを満たしている。
【0098】
密封フィルム(4)の構成材料は、ウェッジ形状(11)内で盛り上がってフィルムを持ち上げ、これを基板の表面から遠ざける。図14aとの比較により図14bに示されているように、密封フィルム(4)の材料の厚さは、密封時間が増加するにつれて減少する。比較的長い密封時間t2後においては、密封フィルム(4)の厚さは、著しく減少し、材料は、今やカバーフィルム(3)により完全に満たされている加圧ダイ(31)の半円形キャビティ内に流れ込んでいる。
【0099】
側部が密封材料により境界づけられた当初半円形のチャネル(5)は、少なくとも側部領域及び底部領域において、密封時間t2後においては、図14bに従って今やほぼ円形である。
【0100】
密封フィルム(4)の材料の流動の結果として、カバーフィルム(3)と基板(1)との間に形成された空間を完全に満たすことができる。有利には、中間の空間(6)の0.1%〜90%、特に有利には0.1%〜30%、特に0.1%〜5%の充填レベルが実現される。
【0101】
ウェッジのサイズは、チャネル構造(5)の縁部領域の毛管力に実質的に影響を及ぼす。基板(1)とチャネル(5)の壁との間の開放角度が1°〜10°であり、孔角度が5°であり、開口部の断面がほぼ三角形である場合、幅250μmのチャネル(5)では約10ミクロンの中央高さ又は頂点高さが得られる。
【0102】
幅10μmの縁部領域では、ウェッジ(11)が存在していない場合、隙間高さは、1μm未満である。このオーダーの縁部隙間は、低い高さの結果として強力な毛管作用を有し、プレシュータ(preshooter)を形成し、即ち、毛管作用フロントがこれに先行する。ウェッジ(11)の存在により、有利には、これら高い毛管作用縁部領域が故意に充填され、望ましくないプレシュータ効果が阻止される。
【0103】
図1に示されている孔の角度及び頂点(13)の高さにより、製造中におけるフィルムチャンバ(6)及びフィルムチャネル(5)の毛管特性を標的状態で調節することができる。
【0104】
有利には、フィルムチャンバ(6)の寸法決めにダイ(31)の凹部の幾何学的形状と凹部の付近に設けられたダイ(31)のベントの両方によって影響を及ぼすことができる。
【0105】
例えば空気圧を外部から製造装置中に導入することにより対抗圧力をベントに加えることができる。このようにすると、膨出プロセスの速度を制御することが可能である。
【0106】
図3及び図4は、基板の頂部と底部の両方に被着されたフィルムによって覆われているマイクロフルイディック器具を示している。チャネル(5)が基板(2)の頂部及び底部に形成され、これらチャネルは、横方向ボア(8)を介して互いに流体結合されている。
【0107】
頂部の横方向ボア(8)の出口のところには縁部又は段部(12)が設けられている。底部のチャネルを通過し、横方向ボア(8)内で上昇した液体は、横方向ボアの上端部のところでフィルムチャンバ(6)内に突き出たメニスカス(9)を形成する。
【0108】
チャンバの内部の上方に膨出するフィルムは、当初、液体のメニスカスと接触関係をなさない。したがって、ボア(8)の縁部は、ボア(8)内で上昇する液体の毛管作用停止部として働く。
【0109】
また、この種の毛管作用停止部を段部(12)なしで作ることが可能である。フィルムとボアの壁との間の距離は、構造体の湿潤が縁部のところで停止し、即ち、毛管作用停止部が存在しないようなものでなければならない。弾性フィルムが用いられる場合、フィルムを動かすことによって毛管作用停止部に打ち勝つことができる。このように、液体を制御された仕方で計量することができる。毛管作用停止部に打ち勝つため、ドーム状又は凸状のフィルム(2)をパンチ又はピストンの形態をしたアクチュエータ(10)によって貫流開口部(8)の付近で押し下げて湿潤がメニスカス(9)からフィルム壁まで起こるようにする。アクチュエータ(10)を完全に押し下げた場合、これは又、計量プロセスを故意に終了させることができる。というのは、押し下げられたフィルム(2)が基板の頂部に沿うと共に段部に沿ってボア(8)を閉鎖し、シールが形成されるからである。
【0110】
アクチュエータ(9)を戻した場合、チャンバ(6)は、フィルム材料の弾性復元力の結果として且つ/或いは計量されるべき液体の流体圧力の結果として開く。計量プロセス中、作動されたフィルムチャンバ(6)は、種々の機能、即ち、アクチュエータ(10)によってチャンバ(6)を開閉することによる弁機能及び部分閉鎖による絞り機能を実行することができる。開閉の制御によりポンプ送り機能も得ることができる。
【0111】
また、アクチュエータに代えて、チャンバ壁又はチャネル壁を動かすための或る特定のプラスチック材料、例えばポリエチレン又はポリアミドの形状記憶特性を利用することが可能である。この目的のため、プラスチック材料を製造中、特定の活性化温度を超える温度まで加熱し、これは、積層法によって行われる。このようにして得られた形状、例えば、上述の形状のうちの1つは、急速冷却によって凍結保持される。次に、材料を活性化温度を超える温度まで再び加熱した場合、この材料は、その元の形状を再び取る。すると、半円形の凸を備えたフィルム壁は、例えばそのドーム形状を失い、付形プロセスの結果として、図3に示されているように横方向ボア(8)を閉鎖する。毛管作用停止部に打ち勝つチャンバ壁の押し退けは、変形によっても達成できる。
【0112】
加熱は、サーモード(thermode)、フラット加熱ダイ又は1つ若しくは2つ以上の放熱装置(ヒートラジエータ)によって局所的に実施できる。この種の材料は又、50℃未満、特に20℃〜40℃の活性化温度について得られるので、サンプル材料による熱活性化も又想定できる。このために、器具は、活性化温度よりも低い温度、例えば25℃まで冷却され、活性化温度は、例えば30℃である。サンプル液体を活性化温度を超える温度、例えば35℃で導入し、それにより、このようなサンプル液体は、フィルム壁の変形を自動的に引き起こし、それによりマイクロフルイディック毛管作用停止部及び弁を開閉する。
【0113】
或る特定のプラスチックは、UV光と同様な仕方で反応するので、この種の形状記憶効果をUV光による照射によっても発揮させることができる。UV光の局所結合導入及びフィルムの運動の促進は、例えば、制御型遠隔UVレーザによって又は光ファイバを用いて光をチャネル内に結合することによって可能である。
【0114】
また、図4に示された横方向ボア(8)のところに実現可能性のある毛管作用停止部に受動的に打ち勝つことができる。このために、チャンバ頂点(13)及びチャンバ壁は、1ミクロン〜20ミクロン、特に3ミクロン〜10ミクロンの毛管隙間が横方向ボア(8)の縁部の上方に残るよう作られると共に三次元に形作られる。
【0115】
横方向ボア(8)内で上方に流れる液体は、メニスカス(9)を形成し、このメニスカスは、この種の毛管隙間を橋渡しし、それにより毛管作用停止部を受動的に閉鎖する。
【0116】
有利には、フィルムチャンバ(6)は、このチャンバの縁部領域の大きな毛管力が毛管ブリッジを形成するよう用いられるように段部の縁寄りに配置される。また、有利には、湿潤を助ける親水性被膜も又移行領域に与えられるのが良い。
【0117】
本発明の製造方法は、幅がチャネル高さの倍数である基板上に流体チャネル(5)を作るのに特に適している。チャネル幅は、チャネル高さの少なくとも5倍であり、特にチャネル高さの10〜50倍である。
【0118】
この種の構造を図5で理解することができる。このマイクロフルイディックチャネル(5)の高さは、好ましくは、中央領域A(13)のところが10ミクロンであり、隣接の領域Bのところが5ミクロン〜10ミクロンであり、縁部領域Cのところが2〜5ミクロンである。フィルムチャネル(5)の垂直方向の広がりが制限されているので、フィルムチャネルは、血液成分を分離するために使用できる。大きな血液粒子、例えば赤血球は、チャネルを通って流れると、好ましくは、これら自体領域A内に位置し、中程度の粒子、例えば血小板は、好ましくは、これら自体領域B内に位置し、小さな血漿成分は、好ましくは、これら自体領域C内に位置する。領域を分離することにより、例えば流れ領域に設けられた対応の開口部を備えた横方向ボアに枝分かれし又は逸らすことにより、血液成分を類別し、分離し又は濾過することができる。フィルム(2)上の規定された点が基板に取り付けられていない場合且つこの領域がマイクロフルイディックシステムに流体結合されている場合、この構造をマイクロフルイディック弁として用いることができる。例えば、フィルムの機械的性質を適切に選択することにより、或る特定の圧力/体積流れ比を設定することができる。さらに、フルイディック容量部及びリザーバを制御された仕方でシステム中に導入することができる。
【0119】
図6の弁では、弾性フィルム(2)が基板(1)に基板の平面(21)に沿って取り付けられている。取り付け後、弾性フィルム(2)は、基板の非取り付け領域(25)で支持される。次に、液体を或る特定の圧力で導入した場合、フィルム(2)は、領域(25)のところが膨れ、その結果、2つのチャネル端部(20)が基板内で互いに流体結合されるようになる。
【0120】
圧縮空気(30)の適用により、追加の復元力がフィルムに及ぼされる。圧縮空気によって弁を開閉することができる。変形例として、この実施形態では、図6の破線で示されているように、製造後、チャネル(5)の端部を互いに流体結合する凸状チャンバ(6)も又得られる。この実施形態においても、圧縮空気又はダイによってチャンバを開閉することができる。
【0121】
図7の別の実施形態では、マイクロフルイディック器具を接触点(23)のところでクランプし、矢印で示されているように曲げる。箔‐基板組み合わせの曲げの結果として、上方曲げの場合、フィルム(2)を持ち上げて非取り付け表面(25)から遠ざけ、それにより流体が流通することができるようにし、しかも/或いは下方曲げの場合、フィルム(2)を引き伸ばし、それにより非取り付け領域(25)に押し付ける。このように、曲げによって弁、ポンプ又は絞り機能を達成することができる。有利には、曲げ部の存在場所を突き止めると共にこれを増強するため、基板には凹部が設けられる。これは、最大曲げ半径を達成すべき箇所、即ち、好ましくは、マイクロフルイディック位置決め要素の下に配置される。
【0122】
液体又は粉末の貯蔵及び放出は、ラボ・オン・ア・チップ(lab-on-a-chip)用途においては重要な事柄である。多くの場合、液体又は粉末をパッケージ化し、チップとは別個に貯蔵することが有利である。必要ならば、この場合、容器をチップに取り付けるのが良い。しかしながら、チップのフルイディックシステムへの容器のフルイディック結合は、一般的に言って問題がある。
【0123】
液体又は懸濁液をマイクロフルイディック器具、即ち、チップ中に導入する実施形態が図8に示されている。
【0124】
容器又はブリスタ(21)を容器に液体又は懸濁液を充填した後、拡散防止フィルムで密封する。液体は、特に分析物又は検体であるのが良い。粘着性又は自己密封層又はフィルムが容器(28)の密封フィルムに被着される。容器は、この状態で貯蔵されるのが良い。容器を用いるため、容器を基板(1)に設けられた凹部(22)内に配置し、次に、接着剤層(29)が基板との密封結合状態になる。この取り付け又は組み立て中、例えば針(34)を用いて容器を開封する。粘着性層は、チップと接触し、これをチップ及び容器の開口部に密着させる。器具の頂部上のところにはチャネル(5)が基板に形成されている。針(34)は、特に接着剤により基板のボア(8)内に固定される中空針である。変形例として、基板キャリヤ(1)の成形又は射出成形中、インサート成形又は射出成形により針(34)を形成しても良い。チャネル(5)は、フィルム(2)の開口部(8)を介してチャネル(5)に流体結合される。開口部(8)を疎水性ベント、ガスに対して透過性であり、水性液を事実上通さない疎水性弁によって覆う。フィルム(2)の表面を非取り付け領域が針開口部及びチャネル端部のところに位置した状態で基板に取り付ける。フィルムは、シールを形成するよう非取り付け領域で支持される。フィルムは、図8に破線で示されているように圧縮空気(30)の導入によって上方に膨出するようになっている。圧縮空気は、第1の中空針(34)を通って容器内に流入し、そして第2の中空針(34)を通って分析物をチャネル(5)内に押し退ける。
【0125】
チャネルを通る体積流れを制御された仕方で絞る実施形態が図10に示されている。段階的厚さを備えた基板(1)が第1の領域に大きな厚さを有している。この領域には、入口(35)及び出口(36)が設けられている。入口(35)及び出口(36)は、マイクロフルイディックネットワーク(図示せず)の他のフルイディック構造に結合されるのが良い。2つのチャネル(5)が入口(35)及び出口(36)から枝分かれしており、これらチャネルは、基板中に延び、フィルム(2)によって覆われている。隣接の領域では、基板の厚さは、図9に断面で示されているように著しく減少している。第1の領域でチャネルに流体結合されたフィルムチャネル(5)は、第2の領域に形成され、これらチャネルは、その箇所では平らである基板の平面の上方に位置した状態で延びている。
【0126】
厚さの減少した基板(1)は、支持部材(26)、特にアンビルで支持される。基板の端部に対して作用するアクチュエータ(10)を用いてこの基板領域を曲げることができる。曲げにより、図10に示されているようにフィルムチャネル(5)が引き伸ばされ、フィルムチャネル(5)中の体積流れが絞られる。
【符号の説明】
【0127】
1 基板
2 フィルム
3 カバーフィルム
4 密封フィルム
5 チャネル
6 チャンバ
7 液体
8 ボア/貫流開口部
9 メニスカス
10 アクチュエータ
11 材料のウェッジ
12 段部/縁部
13 頂点
15 血小板
16 赤血球
17 血漿
20 チャネル端部
21 支持体平面
22 凹部/切欠き
23 接触点
24 取り付け領域
25 非取り付け領域
26 支持部材
27 疎水性ベント
28 容器/ブリスタ
29 粘着性層
30 圧縮空気
31 加圧ダイ
32 支持板
33 ベント
34 針
35 入口
36 出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(1)と、非取り付け部分(25)を備えた状態で前記基板(1)に平らに取り付けられたフィルム(2)とを有するマイクロフルイディック構造体であって、チャンバ(6)又はチャネル(5)が前記非取り付け部分(25)内において前記基板の平面(21)の上方に形成されるように構成されているマイクロフルイディック構造体において、
前記フィルム(2)を前記基板(1)に結合しているときに前記フィルム材料の粘性流れによって材料のウェッジ(11)が前記非取り付け部分(25)と取り付け部分(24)との間のエッジゾーンに形成され、前記材料ウェッジ(11)は、前記チャンバ壁と前記基板(1)との間の移行部となり、前記チャンバ壁を持ち上げて前記基板平面(21)から離している、
ことを特徴とするマイクロフルイディック構造体。
【請求項2】
前記フィルム(2)は、多層フィルム、特に二層フィルムである、
請求項1記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項3】
前記フィルム(2)は、前記基板に被着された密封層(4)と、前記密封層の上方に配置された被覆層(3)とから成る、
請求項2記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項4】
前記密封層(4)は、前記被覆層(3)よりも低い融解温度及び/又は軟化温度を有する、
請求項3記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項5】
前記密封層(4)の軟化温度は、60℃〜200℃、特に85℃〜110℃である、
請求項4記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項6】
前記被覆層(3)の軟化温度は、150℃〜350℃、特に200℃〜300℃である、
請求項4記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項7】
前記チャンバ(6)及び/又は前記チャネル(5)によってマイクロフルイディックネットワークが前記基板平面の上方に形成されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項8】
チャネル(5)の形態をした凹部(22)が前記基板(1)に形成され、前記フィルム内に設けられたチャンバ(6)又はチャネル(5)が前記基板内のチャネル区分(5)の一端部を覆うように位置している、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項9】
前記基板(1)の前記チャネル区分の壁は、前記フィルム(2)内における前記チャンバ(6)又は前記チャネル(5)に対して段部を形成している、
請求項8記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項10】
前記チャンバ(6)又は前記チャネル(5)は、前記基板(1)を貫通した貫流開口部(8)、特に横方向ボア(8)に被さるように位置している、
請求項7又は9記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項11】
前記チャンバ(6)の外縁部は、1ミクロン〜20μm、特に3〜10ミクロンの毛管隙間が前記チャンバ壁と前記段部の縁(12)との間に作られるよう前記横方向ボア(8)の上方に配置されている、
請求項10記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項12】
チャネル(5)は、前記横方向ボア(8)内に頂部及び底部のところで開口している、
請求項9又は10記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項13】
前記フィルム(2)は、前記基板の頂部及び底部に被着されている、
請求項12記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項14】
前記チャンバ(6)及び/又は前記チャネル(5)は、断面が円板の形、特に球台の形をしており、その断面幅は、断面高さの少なくとも20倍であり、前記断面の縁領域の前記チャンバ壁と前記基板平面(21)とのなす角度は、1°〜20°、特に5°〜12°である、
請求項1又は2記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項15】
前記チャンバ高さは、前記チャンバの頂点(13)のところの第1の断面領域では10〜15ミクロンであり、前記頂点(13)と前記縁部との間の第2の断面領域では5〜10μmであり、第3の縁領域では0.1μm〜5μmであり、断面高さが変化している結果として、互いに異なるサイズの流体粒子がこれら自体互いに異なる流れ領域内に位置するようになる、
請求項14記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項16】
前記流体は、血液である、
請求項15記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項17】
主として赤血球が前記第1の領域中を流れ、主として血小板が前記第2の領域中を流れ、主として結晶が前記第3の領域中を流れる、
請求項16記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項18】
前記基板の平面(21)に対するキュポラ又はドームの中心(13)は、前記ドームの前記中心からの前記基板平面(21)の距離が前記ドームと前記基板平面(21)との間の最大垂直距離の半分未満であるよう外側領域に対して下げられている、
請求項14記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項19】
チャネル(5)又は貫流開口部(8)、特に横方向ボア(8)が前記チャンバドーム(13)の下に配置され、前記ドームの前記下げられている中心は、毛管作用開始箇所として働く、
請求項18記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項20】
前記段部の縁(12)は、毛管作用停止部を形成し、柔軟性の前記チャンバ壁の作動により、前記チャンバ壁と前記段部の前記縁との間の隙間間隔を変更することができ、前記隙間が湿潤させるようにする、
請求項9ないし11のいずれか1項に記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項21】
前記基板に形成された少なくとも2つのチャネル端部は、前記ドーム形チャンバによって覆われている、
請求項14記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項22】
前記基板(1)は、前記フィルムから見て遠くに位置する前記非取り付け状態のフィルム部分の下の領域に、特に基板の底部に設けられた凹部(22)を有する、
請求項21記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項23】
前記凹部(22)は、くさび形、球形、半球形、又は長方形である、
請求項22記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項24】
前記基板(1)は、柔軟性であり、特に曲げ応力を受けることができ、特に、前記くさび領域について可逆的に弾性的に曲げ可能である、
請求項22記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項25】
前記基板(1)は、機械的クランプ手段を有する、
請求項24記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項26】
前記クランプ手段は、ガイド及び接触点(23)である、
請求項25記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項27】
前記基板材料は、弾性である、
請求項1又は2記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項28】
前記基板厚さは、チャンバ及び/又はチャネルの広がりの一部分に沿って減少しており、この領域は、小さな曲げ力を受けて変形し、特に前記フィルム内の前記流体チャンバ又は流体チャネルの断面の変化を生じさせるようになっている、
請求項27記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項29】
厚さの減少した基板を支持するための支持部材(26)、特にアンビルが前記基板(1)の下に配置されている、
請求項28記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項30】
前記流体チャネルは、前記マイクロフルイディック構造体を曲げることによって調節できる絞りを形成している、
請求項28又は29記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項31】
特に請求項1ないし30のいずれか1項に記載のマイクロフルイディック構造体を作製する方法であって、平べったい平面状フィルム(2)を平べったいシート状基板(1)に積層する方法において、
前記積層のため、少なくとも1つの凹部(22)又は開口部を備えたマスク(31)を圧力下で且つ/或いは熱の作用下で前記基板上の前記フィルム(2)に押し付け、それにより、前記フィルムを少なくとも前記凹部又は前記開口部の付近へのフィルム及び/又は基板媒体の粘性流れが生じる温度に至らせて材料のウェッジを形成すると共にフィルムを凹部の付近で膨出させてチャンバを形成するようにする、
ことを特徴とする方法。
【請求項32】
板状マスク(31)が用いられる、
請求項31記載の方法。
【請求項33】
少なくとも二層フィルム(2)を前記フィルム層が前記基板に隣接した状態で前記基板に積層し、特に、前記密封層(4)は、外側被覆フィルム(3)よりも低い軟化温度及び/又は融解温度を有し、前記積層中、前記密封フィルム(4)の前記融解温度及び/又は前記軟化温度に近い温度を設定する、
請求項31又は32記載の方法。
【請求項34】
70℃〜350℃、特に120℃〜150℃の積層温度を設定する、
請求項33記載の方法。
【請求項35】
ローラダイの形態をしたマスクを用いて前記フィルム(2)を前記基板(1)上に積層する、
請求項31ないし34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記フィルムをダイラミネータの形態をしたマスクによって前記基板上に積層する、
請求項31ないし34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1種類の液体をマイクロフルイディックネットワーク内で計量する方法であって、前記ネットワークは、基板平面上に成形されたフィルム(2)によってそれぞれ形成された少なくとも1つの液体運搬チャネル(5)及び/又は液体運搬チャンバ(6)を有し、貫流開口部又は横方向ボア(8)を覆う前記チャネル(5)及び/又は前記チャンバ(6)は、毛管停止部を形成し、前記フィルムを作動させることによって、前記チャンバの壁と前記横方向ボアとの間の隙間のサイズを減少させて前記フィルムが前記毛管停止部がなくなることによって湿潤されるようになる、
ことを特徴とする方法。
【請求項38】
ダイ(10)を用いて前記チャンバ(6)又はチャネルの頂部を前記貫流開口部(8)の方向に押し下げる、
請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記フィルム(2)と前記基板(1)との間に配置されたメンブレンを前記メンブレンが湿潤されるまで押し下げる、
請求項38記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1種類の液体をマイクロフルイディックネットワーク内で計量する方法であって、前記ネットワークは、基板平面(21)上に成形されたフィルム(2)によってそれぞれ形成された少なくとも1つの液体運搬チャネル(5)及び/又は液体運搬チャンバ(6)を有する方法において、
前記基板(1)を曲げることにより、前記液体運搬チャネル(5)又は液体運搬チャンバ(6)の高さを少なくとも部分的に変化させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項41】
前記基板(1)を前記基板(1)に設けられた凹部(22)の付近で曲げる、
請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記基板(1)を曲げることにより、その断面を変更して前記マイクロフルイディック構造体を通る流量を調節することができるようにし、前記マイクロフルイディック構造体は、特に、絞りとして働く、
請求項40又は41記載の方法。
【請求項43】
前記基板(1)を曲げることにより、前記流体運搬構造体の断面を閉じ、その結果、前記マイクロフルイディック構造体は、特に弁又はポンプとして働く、
請求項40又は41記載の方法。
【請求項44】
前記基板(1)の前記曲げは、調波の固有共振による励振によって実施される、
請求項40又は41記載の方法。
【請求項45】
前記基板の前記曲げは、前記流体の運搬及び/又は伝搬方向における毛管による湿潤を助ける横波、特に垂直連続波により実施される、
請求項40又は41記載の方法。
【請求項46】
少なくとも1種類の液体をマイクロフルイディックネットワーク内で計量する方法であって、前記ネットワークは、基板平面(21)上に成形されたフィルム(2)によってそれぞれ形成された少なくとも1つの液体運搬チャネル(5)及び/又は液体運搬チャンバ(6)を有する方法において、
前記フィルム材料を活性化温度よりも高い温度に加熱し、それにより前記フィルム材料が特に該フィルム材料の形状記憶効果により形状を変える、
ことを特徴とする方法。
【請求項47】
前記形状変化中、弁を開き又は閉じる、
請求項46記載の方法。
【請求項48】
チャネル(5)を開き又は閉じる、
請求項46記載の方法。
【請求項1】
基板(1)と、非取り付け部分(25)を備えた状態で前記基板(1)に平らに取り付けられたフィルム(2)とを有するマイクロフルイディック構造体であって、チャンバ(6)又はチャネル(5)が前記非取り付け部分(25)内において前記基板の平面(21)の上方に形成されるように構成されているマイクロフルイディック構造体において、
前記フィルム(2)を前記基板(1)に結合しているときに前記フィルム材料の粘性流れによって材料のウェッジ(11)が前記非取り付け部分(25)と取り付け部分(24)との間のエッジゾーンに形成され、前記材料ウェッジ(11)は、前記チャンバ壁と前記基板(1)との間の移行部となり、前記チャンバ壁を持ち上げて前記基板平面(21)から離している、
ことを特徴とするマイクロフルイディック構造体。
【請求項2】
前記フィルム(2)は、多層フィルム、特に二層フィルムである、
請求項1記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項3】
前記フィルム(2)は、前記基板に被着された密封層(4)と、前記密封層の上方に配置された被覆層(3)とから成る、
請求項2記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項4】
前記密封層(4)は、前記被覆層(3)よりも低い融解温度及び/又は軟化温度を有する、
請求項3記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項5】
前記密封層(4)の軟化温度は、60℃〜200℃、特に85℃〜110℃である、
請求項4記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項6】
前記被覆層(3)の軟化温度は、150℃〜350℃、特に200℃〜300℃である、
請求項4記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項7】
前記チャンバ(6)及び/又は前記チャネル(5)によってマイクロフルイディックネットワークが前記基板平面の上方に形成されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項8】
チャネル(5)の形態をした凹部(22)が前記基板(1)に形成され、前記フィルム内に設けられたチャンバ(6)又はチャネル(5)が前記基板内のチャネル区分(5)の一端部を覆うように位置している、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項9】
前記基板(1)の前記チャネル区分の壁は、前記フィルム(2)内における前記チャンバ(6)又は前記チャネル(5)に対して段部を形成している、
請求項8記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項10】
前記チャンバ(6)又は前記チャネル(5)は、前記基板(1)を貫通した貫流開口部(8)、特に横方向ボア(8)に被さるように位置している、
請求項7又は9記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項11】
前記チャンバ(6)の外縁部は、1ミクロン〜20μm、特に3〜10ミクロンの毛管隙間が前記チャンバ壁と前記段部の縁(12)との間に作られるよう前記横方向ボア(8)の上方に配置されている、
請求項10記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項12】
チャネル(5)は、前記横方向ボア(8)内に頂部及び底部のところで開口している、
請求項9又は10記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項13】
前記フィルム(2)は、前記基板の頂部及び底部に被着されている、
請求項12記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項14】
前記チャンバ(6)及び/又は前記チャネル(5)は、断面が円板の形、特に球台の形をしており、その断面幅は、断面高さの少なくとも20倍であり、前記断面の縁領域の前記チャンバ壁と前記基板平面(21)とのなす角度は、1°〜20°、特に5°〜12°である、
請求項1又は2記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項15】
前記チャンバ高さは、前記チャンバの頂点(13)のところの第1の断面領域では10〜15ミクロンであり、前記頂点(13)と前記縁部との間の第2の断面領域では5〜10μmであり、第3の縁領域では0.1μm〜5μmであり、断面高さが変化している結果として、互いに異なるサイズの流体粒子がこれら自体互いに異なる流れ領域内に位置するようになる、
請求項14記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項16】
前記流体は、血液である、
請求項15記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項17】
主として赤血球が前記第1の領域中を流れ、主として血小板が前記第2の領域中を流れ、主として結晶が前記第3の領域中を流れる、
請求項16記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項18】
前記基板の平面(21)に対するキュポラ又はドームの中心(13)は、前記ドームの前記中心からの前記基板平面(21)の距離が前記ドームと前記基板平面(21)との間の最大垂直距離の半分未満であるよう外側領域に対して下げられている、
請求項14記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項19】
チャネル(5)又は貫流開口部(8)、特に横方向ボア(8)が前記チャンバドーム(13)の下に配置され、前記ドームの前記下げられている中心は、毛管作用開始箇所として働く、
請求項18記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項20】
前記段部の縁(12)は、毛管作用停止部を形成し、柔軟性の前記チャンバ壁の作動により、前記チャンバ壁と前記段部の前記縁との間の隙間間隔を変更することができ、前記隙間が湿潤させるようにする、
請求項9ないし11のいずれか1項に記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項21】
前記基板に形成された少なくとも2つのチャネル端部は、前記ドーム形チャンバによって覆われている、
請求項14記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項22】
前記基板(1)は、前記フィルムから見て遠くに位置する前記非取り付け状態のフィルム部分の下の領域に、特に基板の底部に設けられた凹部(22)を有する、
請求項21記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項23】
前記凹部(22)は、くさび形、球形、半球形、又は長方形である、
請求項22記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項24】
前記基板(1)は、柔軟性であり、特に曲げ応力を受けることができ、特に、前記くさび領域について可逆的に弾性的に曲げ可能である、
請求項22記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項25】
前記基板(1)は、機械的クランプ手段を有する、
請求項24記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項26】
前記クランプ手段は、ガイド及び接触点(23)である、
請求項25記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項27】
前記基板材料は、弾性である、
請求項1又は2記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項28】
前記基板厚さは、チャンバ及び/又はチャネルの広がりの一部分に沿って減少しており、この領域は、小さな曲げ力を受けて変形し、特に前記フィルム内の前記流体チャンバ又は流体チャネルの断面の変化を生じさせるようになっている、
請求項27記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項29】
厚さの減少した基板を支持するための支持部材(26)、特にアンビルが前記基板(1)の下に配置されている、
請求項28記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項30】
前記流体チャネルは、前記マイクロフルイディック構造体を曲げることによって調節できる絞りを形成している、
請求項28又は29記載のマイクロフルイディック構造体。
【請求項31】
特に請求項1ないし30のいずれか1項に記載のマイクロフルイディック構造体を作製する方法であって、平べったい平面状フィルム(2)を平べったいシート状基板(1)に積層する方法において、
前記積層のため、少なくとも1つの凹部(22)又は開口部を備えたマスク(31)を圧力下で且つ/或いは熱の作用下で前記基板上の前記フィルム(2)に押し付け、それにより、前記フィルムを少なくとも前記凹部又は前記開口部の付近へのフィルム及び/又は基板媒体の粘性流れが生じる温度に至らせて材料のウェッジを形成すると共にフィルムを凹部の付近で膨出させてチャンバを形成するようにする、
ことを特徴とする方法。
【請求項32】
板状マスク(31)が用いられる、
請求項31記載の方法。
【請求項33】
少なくとも二層フィルム(2)を前記フィルム層が前記基板に隣接した状態で前記基板に積層し、特に、前記密封層(4)は、外側被覆フィルム(3)よりも低い軟化温度及び/又は融解温度を有し、前記積層中、前記密封フィルム(4)の前記融解温度及び/又は前記軟化温度に近い温度を設定する、
請求項31又は32記載の方法。
【請求項34】
70℃〜350℃、特に120℃〜150℃の積層温度を設定する、
請求項33記載の方法。
【請求項35】
ローラダイの形態をしたマスクを用いて前記フィルム(2)を前記基板(1)上に積層する、
請求項31ないし34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記フィルムをダイラミネータの形態をしたマスクによって前記基板上に積層する、
請求項31ないし34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1種類の液体をマイクロフルイディックネットワーク内で計量する方法であって、前記ネットワークは、基板平面上に成形されたフィルム(2)によってそれぞれ形成された少なくとも1つの液体運搬チャネル(5)及び/又は液体運搬チャンバ(6)を有し、貫流開口部又は横方向ボア(8)を覆う前記チャネル(5)及び/又は前記チャンバ(6)は、毛管停止部を形成し、前記フィルムを作動させることによって、前記チャンバの壁と前記横方向ボアとの間の隙間のサイズを減少させて前記フィルムが前記毛管停止部がなくなることによって湿潤されるようになる、
ことを特徴とする方法。
【請求項38】
ダイ(10)を用いて前記チャンバ(6)又はチャネルの頂部を前記貫流開口部(8)の方向に押し下げる、
請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記フィルム(2)と前記基板(1)との間に配置されたメンブレンを前記メンブレンが湿潤されるまで押し下げる、
請求項38記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1種類の液体をマイクロフルイディックネットワーク内で計量する方法であって、前記ネットワークは、基板平面(21)上に成形されたフィルム(2)によってそれぞれ形成された少なくとも1つの液体運搬チャネル(5)及び/又は液体運搬チャンバ(6)を有する方法において、
前記基板(1)を曲げることにより、前記液体運搬チャネル(5)又は液体運搬チャンバ(6)の高さを少なくとも部分的に変化させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項41】
前記基板(1)を前記基板(1)に設けられた凹部(22)の付近で曲げる、
請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記基板(1)を曲げることにより、その断面を変更して前記マイクロフルイディック構造体を通る流量を調節することができるようにし、前記マイクロフルイディック構造体は、特に、絞りとして働く、
請求項40又は41記載の方法。
【請求項43】
前記基板(1)を曲げることにより、前記流体運搬構造体の断面を閉じ、その結果、前記マイクロフルイディック構造体は、特に弁又はポンプとして働く、
請求項40又は41記載の方法。
【請求項44】
前記基板(1)の前記曲げは、調波の固有共振による励振によって実施される、
請求項40又は41記載の方法。
【請求項45】
前記基板の前記曲げは、前記流体の運搬及び/又は伝搬方向における毛管による湿潤を助ける横波、特に垂直連続波により実施される、
請求項40又は41記載の方法。
【請求項46】
少なくとも1種類の液体をマイクロフルイディックネットワーク内で計量する方法であって、前記ネットワークは、基板平面(21)上に成形されたフィルム(2)によってそれぞれ形成された少なくとも1つの液体運搬チャネル(5)及び/又は液体運搬チャンバ(6)を有する方法において、
前記フィルム材料を活性化温度よりも高い温度に加熱し、それにより前記フィルム材料が特に該フィルム材料の形状記憶効果により形状を変える、
ことを特徴とする方法。
【請求項47】
前記形状変化中、弁を開き又は閉じる、
請求項46記載の方法。
【請求項48】
チャネル(5)を開き又は閉じる、
請求項46記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【公表番号】特表2011−524815(P2011−524815A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510902(P2011−510902)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003908
【国際公開番号】WO2009/156045
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(503277020)ベーリンガー インゲルハイム マイクロパーツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim microParts GmbH
【住所又は居所原語表記】Hauert 7,D−44227 Dortmund,Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003908
【国際公開番号】WO2009/156045
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(503277020)ベーリンガー インゲルハイム マイクロパーツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim microParts GmbH
【住所又は居所原語表記】Hauert 7,D−44227 Dortmund,Germany
【Fターム(参考)】
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