説明

流体試料中の検体の判定を行うために使用される光導体検査センサ、およびその製作方法

光学光導体検査センサは、光導体、試薬被覆膜、および網目層を備える。試薬被覆膜および網目層は、光導体の出力端部で光導体に取り付けられる。光導体検査センサは、読取りヘッドとともに使用されたときに、生物学的流体試料中の検体のレベルを検査するために使用されるようになされている。光導体検査センサを製作する方法は、複数の光導体を提供すること、試薬被覆膜のストリップを提供すること、および網目層のストリップを提供することを含む。試薬被覆膜および網目層は、超音波溶接によって光導体に取り付けられる。試薬被覆膜および網目層は、接着剤によって光導体に取り付けられてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、流体試料中の検体の濃度を判定するための検査システムに関し、より詳細には、生物学的流体中の検体の濃度を判定するために使用される光学検査センサに関する。
【背景技術】
【0002】
迅速に血液の試料を得てその血液試料の分析を行うことがしばしば必要である。血液の試料を得る必要がある場合の一例は、使用者が、自分の血液のグルコースレベルを監視するために頻繁に使用しなければならない、血液のグルコース監視システムに関連するものである。
【0003】
人の血液のグルコースレベルを監視する1つの方法は、携帯可能な手持ち式の血液のグルコース検査装置を用いるものである。これらの装置の携帯可能な性質により、使用者は、様々な場所で自分の血液のグルコースレベルを便利に検査することができる。これらの装置のいくつかは、比色検査を使用する。比色分析では、使用者の血液のグルコース濃度のレベルを示す比色反応を生じさせるように試薬が設計される。次いで、検査装置に一体的に組み込まれた光学装置が、比色反応を読み取る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
比色反応を読み取るための光学装置に関連する大きな欠点は、光学装置が生物学的流体で汚染されることである。前回の試料の生物学的流体が、光学系に接触し、次回の試料の検査前に取り除かれない場合に、汚染が生じる。前回の試料の生物学的流体が存在すると、今回の試料と混合する、あるいは光学系の一部分を覆うことによって、今回の試料の検査結果の正確さが低減し、したがって今回の試料の正確な読取りを妨げるおそれがある。したがって、光学系を生物学的流体の試料から分離することができる装置が必要とされている。
【0005】
従来の製作技術を使用して、現在の検査センサを製作する1つの方法では、試薬で被覆された膜のストリップおよび網目層のストリップを、センサに結合する前に所望のサイズに切断することが必要である。あらかじめ切断した試薬被覆膜および網目層は、サイズが小さいので、製作が、時間がかかり大きな労力が必要な困難な仕事となってしまう。したがって、実施するのがより簡単な、検査センサの製作方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によると、光学光導体センサは、光導体、試薬被覆膜、および網目層を備える。光導体は、入力端部および出力端部を有する。試薬被覆膜は、光導体の出力端部にある。試薬は、流体試料と反応すると試料中の検体のレベルを示すようになされている。網目層は、膜に取り付けられる。
【0007】
別の実施形態によると、光学光導体検査センサは、光導体、網目層、および試薬被覆膜を備える。光導体は、入力端部および出力端部を有する。光導体はまた、出力端部に突起部を有する。網目層は、光導体突起部に取り付けられる。光導体の出力端部と網目層の間にギャップが形成される。ギャップは、検査センサを使用しているときに試料を引き込むようになされている。試薬被覆膜は、光導体の出力端部に配置された網目層に取り付けられる。試薬は、流体試料と反応すると試料中の検体のレベルを示すようになされている。
【0008】
本発明の1つの方法によると、生物学的流体中の検体のレベルが検査される。この方法の動作により、光導体、試薬被覆膜、および網目層を有する光導体検査センサが提供される。光導体検査センサとともに動作して生物学的流体中の検体のレベルを検査するようになされている読取りヘッドも提供される。ある人が、流体試料を作成するために身体の一区域を切開する。ある人が、光導体検査センサの試薬被覆膜および網目層で血液の試料を収集する。その人は、読取りヘッドが試料を検査するための定位置にくるように、光導体検査センサを収集された試料に当てる。この方法は、試料から反射した光を測定する方法である。
【0009】
本発明の別の方法によると、光導体検査センサが製作される。突起部を有する複数の光導体が提供される。試薬被覆膜のストリップが提供される。この方法は、光導体突起部が試薬被覆膜のストリップに接触するように、試薬被覆膜のストリップを複数の光導体に載せる。超音波溶接が、突起部を溶融して試薬被覆膜のストリップを複数の光導体に取り付けたり、切断したりする。超音波溶接は、試薬被覆膜の取付けおよび切断をほぼ同時に行う。光導体は、取付けおよび切断のためのダイとして使用される。
【0010】
本発明のさらなる方法によると、光導体検査センサが製作される。突起部を有する複数の光導体が提供される。試薬被覆膜のストリップが提供される。網目層のストリップが提供される。この方法は、光導体突起部が膜ストリップに接触し、網目ストリップが膜ストリップに接触するように、膜ストリップおよび網目ストリップを複数の光導体に載せる。超音波溶接が、突起部を溶融して、試薬被覆膜のストリップおよび網目層のストリップを複数の光導体に取り付け、切断する。超音波溶接は、試薬被覆膜および網目層の取付けおよび切断をほぼ同時に行う。光導体は、取付けおよび切断のためのダイとして使用される。
【0011】
本発明のさらなる方法によると、光導体検査センサが製作される。一方の端部に接着部材が取り付けられた複数の光導体が提供される。試薬被覆膜のストリップも提供される。膜ストリップが接着部材に接触するように、膜ストリップが複数の光導体に接触する。光導体がダイとして働き、膜ストリップがパンチを使用して切断され複数の光導体に取り付けられる。膜は、光導体の接着部材のところで光導体に取り付けられる。膜の切断および光導体への取付けは、ほぼ同時に行われる。
【0012】
本発明のさらなる実施形態によると、光学拡散光導体センサは、入力端部および出力端部を有する照明用光導体を備える。センサはまた、入力端部および出力端部を有する検出用光導体を有し、検出用光導体入力端部は、照明用光導体出力端部に近接する。試薬被覆膜が、照明用光導体の出力端部および検出用光導体の入力端部に取り付けられる。試薬被覆膜は、照明用光導体の出力端部からの光によって照明される。網目層が試薬被覆膜に取り付けられ、試薬被覆膜に直接接触する。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態によると、光学反射光光導体センサシステムは、生物学的試料中の検体の量を判定するようになされた読取りヘッドを備える。読取りヘッドは、試料を照明する光源、および読取りヘッド中に光を導く照明用光学系を備える。読取りヘッドはまた、試料から反射した光を反射光用光学系に向けるビームスプリッタを含む。反射光用光学系は、反射光を検出器に向ける。検出器は、検出器が受けた光を示す出力信号を生成する。出力信号は、受けられた光の量に比例する。光導体検査センサは、検査されるべき試料を収集する。光導体検査センサは、入力端部および出力端部を有する光導体、ならびに光導体の出力端部に取り付けられた試薬被覆膜および網目層を備える。
【0014】
本発明には様々な変形形態および代替形態が可能であるが、その特定の実施形態は、図面に例として示され、以下で詳細に説明される。しかし、本発明は、開示される特定の形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨および範囲に含まれる変形形態、等価形態、および代替形態をすべて包含するものであることを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図面、まず初めに図1を参照すると、本発明の一実施形態による光導体検査センサ10が示されている。一実施形態では、光導体検査センサ10は、患者の体液(例えば、血液、間質液)中のグルコース濃度を測定するための携帯用手持ち式グルコース検査装置とともに使用される。具体的には、本発明の光導体検査センサ10は、試薬が検体と反応する際の比色反応の測定に使用される。光導体検査センサ10は、照明光を送り、光導体12の一方の端部にある試薬被覆膜16で反応する体液試料から反射する光を集める。より具体的には、検査センサ10は、反応によって生じる試薬の色の変化の度合いを測定するために使用される。試薬の色の変化の度合いは、体液中の検体の濃度(例えば、グルコース、フルクトースアミンなど)を示す。比色検査は、米国特許第6,181,417号(名称「Photometric Readhead with Light Shaping Plate」)、第5,518,689号(名称「Diffuse Light Reflectance Readhead」)、および第5,611,999号(名称「Diffuse Light Reflectance Readhead」)に詳細に記載されている。前記各特許の全体は参照により本明細書に援用される。
【0016】
本発明の一実施形態によると、光導体検査センサ10は、光導体12、試薬被覆膜16、および網目層22を含む。光導体12は、アクリル樹脂などの光学的に透明な材料で成形することができる。他の実施形態では、光導体12は、例えば、ポリカーボネートまたはポリエステルなど、他の光学的に透明な材料で成形される。
【0017】
一実施形態によると、光源からの光は、全反射によって、光導体12中を導かれる。光導体12中を進む光は、読取りヘッドによって読み取られることになる。光導体12は、光源によって光導体12の入力端部18に入力された光のうちのかなりの量を、その出力端部20に送ることができる。本発明の一実施形態によると、光導体12は、約2.3mm×約2.3mmの寸法の正方形の横断面を有し、長さ約5cmである。横断面が正方形なので、位置ずれおよび製造上のばらつきの影響を最小限に抑えるように照明光と反射光を混合することが可能になる。光導体12は、光源から、光導体12の出力端部20にある試薬被覆膜16に光を送る。
【0018】
本発明の代替実施形態では、光導体は、透明なコアに、より屈折率の高いクラッドが施された導波管である。光導体は、中空の導波管であってもよく、あるいはセンサ性能を高めるために吸収層または反射層で被覆されてもよい。
【0019】
本発明の別の代替実施形態では、光導体の横断面の形状は、偶数個の等しい辺をもついかなる多角形であってもよい。
本発明のさらに別の代替実施形態では、光導体は、光導体の入力端部における断面積が、光導体の出力端部の断面積よりも大きくなるように、テーパーをつけられている。
【0020】
試薬被覆膜16は、光導体12に取り付けられている。一実施形態によると、試薬被覆膜16は、グルコースのグルコン酸と過酸化水素への酸化反応を触媒することのできる、グルコースオキシダーゼなどの酵素と、指示薬の酸化を触媒することのできる、過酸化活性を有する物質とを含む。試薬被覆膜16は、多孔質高分子膜である。膜16は、例えば、ナイロン、ニトロセルロース、アクリルポリマー、またはそれらの組合せから作成することができる。膜16は、試薬を保持する物理的なマトリックスとして働き、膜の孔により、分析を受ける流体が、迅速に膜の中へ毛管作用によって運ばれ試薬と反応できるようになる。試薬被覆膜16は、反射測定ができるように、拡散反射背景としても働く。試薬被覆膜16中の染料または指示薬は、血液にさらされたとき、視覚的に異なる色調に変わり、その色調が、血液試料中のグルコースのレベルを示す。本発明の一実施形態によると、直径1ミリメートルの光導体では、試料のサイズが70ナノリットル未満である必要がある。試薬被覆膜は、米国特許第6,190,918号にさらに詳細に記載されており、その全体は参照により本明細書に援用される。
【0021】
本発明のさらなる代替実施形態では、試薬被覆膜中で、蛍光または燐光分析が使用されてもよい。
網目層22が試薬被覆膜16に取り付けられ、検査試料の体積および分布を制御する働きをする。図1に示されるように、網目層22は、試薬被覆膜16と直接接触する。網目層22は、流体試料を膜16の表面全体に迅速に広げる。流体試料は、網目層22から試薬被覆膜16に移動することができる。網目層22は、孔のサイズが約10ミクロン〜約200ミクロンである。試料の吸着量をさらに高め、膜16上の試料の分布をさらに拡大させるために、網目層22が湿潤剤を含んでもよいことがさらに企図される。
【0022】
図2に示される本発明の別の実施形態によると、光導体検査センサ100は、光導体120、試薬被覆膜16、網目層22、入力端部180、および出力端部200を含む。光導体120は、アクリル樹脂などの光学的に透明な材料で成形される。代替の実施形態では、光導体は、例えば、ポリカーボネートまたはポリエステルなど、他の光学的に透明な材料で成形されてもよい。
【0023】
引き続き図2を参照すると、光導体120は、突起部122を含む。試薬被覆膜16および網目層22は、光導体120の出力端部200と試薬被覆膜16および網目層22の間にギャップ124をもたらすように、光導体120の突起部122に取り付けられる。ギャップ124は、この実施形態では、毛管路として働く。ギャップ124によって形成される毛管路は、試料を毛管作用によってギャップに引き込む。毛管路の使用は、検査センサ100が収集する検査試料の体積を制御する助けとなる。試料の体積を制御すると検査結果の正確さが上がるので、そうすることが望ましい。
【0024】
図3に示される本発明のさらなる一実施形態では、光導体検査センサ300は、別個の照明用光導体312、および検出用光導体322を含む。光導体センサ300は、試薬被覆膜16および網目層22をさらに備える。この実施形態によると、検出用光導体322中に存在する光は、試薬被覆膜16から反射したものである。照明用光導体312および検出用光導体322を設けると、検出用光導体322内の光の量を減少させることにより、光導体を読み取るための読取りヘッド検出器に供給されるバックグラウンド信号が減少し、したがって読取りがより正確になる。
【0025】
次に、図4を参照すると、光導体検査センサ10が読取りヘッド50によって読み取られているのが示されている。読取りヘッド50は、光を生成するための光源52、照明用光学系54、センサ取付台56、ビームスプリッタ58、反射光用光学系60、検出器62、および電子部品(図示せず)を含む。メータ読取りヘッドは、米国特許第5,611,999号(名称「Diffused Light Reflectance Readhead」)および第5,518,689号(名称「Diffused Light Reflectance Readhead」)に詳細に記載されている。前記各特許の全体は参照により本明細書に援用される。
【0026】
本発明の一実施形態では、光源52は、発光ダイオード(「LED」)である。LEDは、読取りヘッド50の動作を制御する電子部品の一部であるプリント回路基板に搭載される。光源52のLEDは白色光を生成する。複数の単色光源を使用することもできることがさらに企図される。光源52からの光は、読取りヘッド50の照明用光学系54を通過する。照明用光学系54は、絞りおよびレンズを有する。照明用光学系54の一例は、実質上平行な光線を生成するコリメータレンズであるが、それだけに限定されない。照明用光学系54は、光をビームスプリッタ58中に向けてその中を通過させ、光の一部分は光導体検査センサ10中に向けられる。ビームスプリッタ58に到達した光のいくらかは、ビームスプリッタ58によって、基準検出器(図示せず)へと向けられる。光導体センサ10中に向けられた光は、使用者が試薬被覆膜16に付着させた検査試料から反射する。
【0027】
検査のための試料を得るために、使用者が、使用者の指先など、使用者の皮膚Sの一区域を切開し、切開した部位で一滴の血液64が生じる。次いで、使用者は、光導体検査センサ10の、網目層22および試薬被覆膜16側の端部を血液64に接触させる。血液が試薬被覆膜16および網目層22中に集まり、血液が試薬被覆膜16中の試薬と反応して比色反応を生じる。次いで、使用者は、光導体検査センサ10を読取りヘッド50とともに使用して、試料中に存在する検体のレベルを判定する。
【0028】
試薬被覆膜から反射される光は、試料内で反射する光を含む。光導体検査センサ10は、試料内で反射する光の一部分を集め、その光を読取りヘッド50へと向ける。
反射された光を集めた後、光導体検査センサ10は、その反射光を、光導体12を介して読取りヘッド50へと導く。反射光は、ビームスプリッタ58を通過する。ビームスプリッタ58は、反射光を光導体センサ10から反射率光学系60へと向け、光学系60は、光を検出器62へと向ける。検出器62は、検出器によって受けられた光を示す出力信号を生成する。検出器62として使用できる装置には、電荷結合素子、光電池、および光ダイオードが含まれる。検出器62は、受光された反射光に比例する電気応答を生成する。電気応答は、電子部品(図示せず)によって解釈される。電子部品は、検出器62のアナログ電気応答をデジタルデータに変換する。電子部品は、試料中に存在する検体のレベルを判定するために、デジタルデータを記憶しそれを利用して検出器62によって示されるコントラストの変動を計算するマイクロプロセッサ(図示せず)も含む。
【0029】
本発明の代替実施形態では、光導体検査センサが光トラップを含むことがさらに企図される。光トラップは、試薬被覆膜の表面から直接反射する光の鏡面光成分を減少させる。試薬被覆膜の表面から反射する光は、試薬被覆膜の試料部分から反射する光と混合して、検体のレベルの読取りを不正確にするおそれがある。光トラップは、この光の鏡面光成分を吸収し、それにより検査結果の正確さが増す。
【0030】
光導体検査センサの光導体は光ファイバであってもよい。この代替実施形態によると、複数のファイバが照明用光導体として使用され、別個の複数のファイバが検出用光導体として使用される。検出用光導体のために別個の複数のファイバを使用すると、読取りヘッド検出器に供給されるバックグラウンド信号が減少し、したがって読取りがより正確になる。
【0031】
光導体検査センサ10は、超音波溶接を利用する方法によって製作することができる。超音波溶接とは、接合したい2つ以上の部片に高周波(15kHz〜40kHz)の機械的振動が加えられるプロセスである。材料内の振動は、熱を発生させる。この熱が、材料を溶融して結合を形成する。しっかりした結合が確実に形成されるように、振動が加えられている間、部片に圧力が加えられてもよい。本発明の一実施形態によると、図5に示されるように、複数の光導体12a〜cが提供される。光導体12a〜cは、一実施形態によれば、先のとがったエネルギーディレクタとして働く突起部140を含む。先のとがったエネルギーディレクタとして働く突起部140は、超音波エネルギーが集中する場所として働くことが当技術分野で知られている。試薬被覆膜160のストリップも提供される。試薬被覆膜160のストリップが、光導体12a〜cに接触する。それぞれの光導体12a〜c上の膜ストリップが、図1の試薬被覆膜16のように所望のサイズになるように、突起部140が試薬被覆膜ストリップ160に接触する。次いで、部片に超音波溶接が施される。突起部140は、超音波エネルギーの集中する箇所なので、超音波溶接中に溶融する。溶融した突起部140により、試薬被覆膜がそれぞれの光導体12a〜cと結合を形成する。超音波溶接プロセスは、試薬被覆膜を光導体に結合させるだけでなく、試薬被覆膜16a〜cを、図1の試薬被覆膜16など所望のサイズに切断する。
【0032】
試薬被覆膜16が光導体と結合された後、網目層22が取り付けられる。一実施形態によると、網目層22は、所望のサイズにあらかじめ切断され、試薬被覆膜16に接着により結合される。網目層22の試薬被覆膜16への接着結合を形成するために、両面テープが通常使用される。
【0033】
この実施形態では、突起部140がこの製作方法には望ましい。というのは、突起部140が、溶融して試薬被覆膜160の光導体12a〜cとの結合を可能にする材料を提供するからである。突起部140はまた、光導体12a〜cの光学的性質が音波溶接プロセスによって最小限しか影響を受けないようにするので、望ましい。図1の光導体12の出力端部20全体を溶融して試薬被覆膜16を光導体12に結合させた場合、光導体12の光学的特性に悪影響が生じるおそれがあり、センサが同じほど正確には機能しなくなってしまう。
【0034】
突起部140を使用すると、光導体12を型成形または成形プロセスによって製作することが可能になる。
光導体検査センサ10は、超音波溶接だけを利用する、類似の方法によって製作することができる。図6を参照すると、複数の光導体12a〜cが提供される。光導体12a〜cは、先のとがったエネルギーディレクタとして働く突起部140を含む。試薬被覆膜160のストリップが提供される。網目層220のストリップも提供される。試薬被覆膜160のストリップおよび網目220のストリップが、光導体12a〜cに接触する。それぞれの光導体12a〜c上の膜ストリップが、図1の試薬被覆膜16のように所望のサイズになるように、突起部140が試薬被覆膜ストリップ160に接触する。光導体12a〜cの突起部140間の網目ストリップ220の部分もまた、図1の網目層22などの所望のサイズである。次いで、部片に超音波溶接が施される。超音波溶接中に、先のとがったエネルギーディレクタとして働く突起部140、試薬被覆膜ストリップ160、および網目層ストリップ220が溶融する。この溶融は、試薬被覆膜および網目層をそれぞれの光導体12a〜cに結合させる。この超音波溶接による製作方法は、従来の製作方法よりもかなり効率がよい。というのは、試薬被覆膜および網目層のはるかに大きいストリップを、所望のサイズに切断し、超音波溶接によって光導体に結合することが可能になるからである。
【0035】
光導体検査センサ10は、試薬被覆膜16を光導体12に結合させるために接着剤を使用する、別のプロセスによって製作することもできる。この実施形態によると、図7に示されるように、複数の光導体12a〜cが提供される。試薬被覆膜160のストリップも提供される。光導体の試薬膜が取り付けられる端部に、接着剤を塗布しておく。この実施形態で使用することができる接着剤の一例は、透明な両面テープである。試薬被覆膜160のストリップが、光導体12a〜cに接触する。パンチ300が、試薬被覆膜160のストリップおよび光導体12a〜cに接触する。パンチは、試薬被覆膜160のストリップを図1の試薬被覆膜16のサイズなどの所望のサイズ16a〜cに切断するためのダイとして、光導体12a〜cを使用する。パンチはまた、試薬膜160のストリップと光導体12a〜cに圧力を加え、それにより、試薬被覆膜のストリップが切断された後、光導体12a〜cに接触している試薬被覆膜ピース16a〜cが、光導体12a〜cにあらかじめ塗布されてあった接着剤により、光導体に結合される。
【0036】
上記で説明された実施形態に加えて、本発明のいくつかの実施形態が次に説明される。
代替実施形態A
A.入力端部および出力端部を有する光導体と、
光導体の出力端部に配置され光導体に取り付けられた試薬被覆膜であって、試薬は流体試料と反応すると試料中の検体のレベルを示すようになされている、試薬被覆膜と、
膜に取り付けられた網目層とを備える光学光導体検査センサ。
代替実施形態B
B.光学光導体検査センサであって、
入力端部および出力端部を有し、出力端部に配置された突起部をさらに有する光導体と、
光導体突起部に取り付けられた網目層であって、光導体突起部が出力端部と網目層の間にギャップを形成し、センサが使用されているときにギャップが試料を引き込むようになされている、網目層と、
光導体の出力端部に配置された網目層に取り付けられた試薬被覆膜であって、試薬は流体試料と反応すると試料中の検体のレベルを示すようになされている、試薬被覆膜とを備えるセンサ。
代替実施形態C
C.生物学的流体中の検体のレベルを検査する方法であって、
光導体、試薬被覆膜、および網目層を有する光導体検査センサを提供する動作と、
光導体検査センサとともに動作して生物学的流体中の検体のレベルを検査するようになされている読取りヘッドを提供する動作と、
生物学的流体の試料を作成するために身体の一区域を切開する動作と、
光導体検査センサの、試薬被覆膜および網目層で試料を収集する動作と、
読取りヘッドが試料を検査するための定位置にくるように、光導体検査センサを収集された試料に接触させる動作と、
試料から反射した光を測定する動作とを含む方法。
代替実施形態D
D.検体がグルコースである、代替実施形態Cに記載の方法。
代替実施形態E
E.光導体検査センサを製作する方法であって、
第1の端部と第2の端部を有し、第1の端部に突起部を有する複数の光導体を提供する動作と、
試薬被覆膜のストリップを提供する動作と、
光導体の第1の端部にある光導体突起部が膜ストリップに接触するように、膜ストリップを複数の光導体に載せる動作と、
超音波溶接を使用して突起部を溶融し膜ストリップを複数の光導体に結合させることにより、膜ストリップを複数の光導体に取り付けて切断する動作とを含み、取付けおよび切断がほぼ同時に行われ、光導体が取付けおよび切断のためのダイとして使用される方法。
代替実施形態F
F.光導体検査センサを製作する方法であって、
第1の端部と第2の端部を有し、第1の端部に突起部を有する複数の光導体を提供する動作と、
試薬被覆膜のストリップを提供する動作と、
網目層のストリップを提供する動作と、
光導体の第1の端部にある光導体突起部が膜ストリップに接触し、膜ストリップが網目ストリップに直接接触するように、膜ストリップおよび網目ストリップを複数の光導体に載せる動作と、
超音波溶接を使用して突起部を溶融し膜ストリップおよび網目ストリップを複数の光導体に結合させることにより、膜ストリップおよび網目ストリップを複数の光導体に取り付けて切断する動作とを含み、取付けおよび切断がほぼ同時に行われ、光導体が取付けおよび切断のためのダイとして使用される方法。
代替実施形態G
G.光導体検査センサを製作する方法であって、
一方の端部に接着部材が取り付けられた複数の光導体を提供する動作と、
試薬被覆膜のストリップを提供する動作と、
光導体の接着部材が膜ストリップに接触するように、膜ストリップを複数の光導体に接触させる動作と、
パンチを使用し、光導体をダイとして使用して膜ストリップを切断することにより、膜ストリップを複数の光導体に取り付けて切断する動作とを含み、膜が接着部材によって光導体に取り付けられ、切断および取付けがほぼ同時に行われる方法。
代替実施形態H
H.接着部材が両面テープである、代替実施形態Gに記載の方法。
代替実施形態I
I.入力端部と出力端部を有する照明用光導体と、
入力端部と出力端部を有する検出用光導体であって、検出用光導体入力端部が照明用光導体出力端部に接近している、検出用光導体と、
照明用光導体の出力端部および検出用光導体の入力端部に配置された試薬被覆膜であって、照明用光導体および検出用光導体に取り付けられ、照明用光導体の出力端部からの光によって照明される、試薬被覆膜と、
膜に取り付けられ、それに直接接触する網目層とを備える光導体検査センサ。
代替実施形態J
J.光トラップをさらに備える、代替実施形態Iに記載の光導体検査センサ。
代替実施形態K
K.光トラップが照明用光導体の出力端部からの光の鏡面光成分を吸収する、代替実施形態Jに記載の光導体検査センサ。
代替実施形態L
L.照明用光導体の横断面の形状が、偶数個の等しい辺をもつ多角形であり、検出用光導体の横断面の形状が、偶数個の等しい辺をもつ多角形である、代替実施形態Iに記載の光導体検査センサ。
代替実施形態M
M.照明用光導体の横断面の形状が正方形であり、検出用光導体の横断面の形状が正方形である、代替実施形態Lに記載の光導体検査センサ。
代替実施形態N
N.生物学的試料中の検体の量を判定するようになされており、検査すべき試料に照明を当てる光源を備える読取りヘッドと、
光源によって生成された光を読取りヘッドを通して導く照明用光学系と、
試料から反射した光を反射光用光学系に向けるようになされているビームスプリッタであって、反射光用光学系が反射光を検出器に向けるようになされており、検出器が検出器によって受けられた光を示す出力信号を生成するようになされており、出力信号が受けられた反射光の量に比例する、ビームスプリッタと、
試料を収集するようになされた光導体検査センサであって、入力端部および出力端部を有する光導体と、光導体の出力端部にある試薬被覆膜と、膜に取り付けられた網目層とを有する光導体検査センサとを備える光学反射光光導体センサシステム。
【0037】
本発明は1つまたは複数の特定の実施形態に関して説明されてきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、本発明に多くの変更を加えることができることが、当業者には理解されよう。これらの各実施形態、およびその自明の変形形態は、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の趣旨および範囲に含まれることが企図される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態の光導体センサの断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態の光導体センサの断面図である。
【図3】本発明のさらなる実施形態の光導体センサの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態の、読取りヘッドを有する、図1の検査センサの機能的ブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態の光導体センサの製作方法の概略図である。
【図6】本発明の別の実施形態の光導体センサの製作方法の概略図である。
【図7】本発明のさらなる実施形態の光導体センサの製作方法の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端部および出力端部を有する光導体と、
前記光導体の前記出力端部に配置され前記光導体に取り付けられた試薬被覆膜であって、試薬は流体試料と反応すると前記試料中の検体のレベルを示すようになされている、試薬被覆膜と、
前記膜に取り付けられた網目層と、を備える光学光導体検査センサ。
【請求項2】
光学光導体検査センサであって、
入力端部および出力端部を有し、前記出力端部に配置された光導体突起部をさらに有する光導体と、
前記光導体突起部に取り付けられた網目層であって、前記光導体突起部が前記出力端部と前記網目層との間にギャップを形成し、前記センサが使用されているときに前記ギャップが前記試料を引き込むようになされている、網目層と、
前記光導体の前記出力端部に配置された前記網目層に取り付けられた試薬被覆膜であって、試薬は流体試料と反応すると前記試料中の検体のレベルを示すようになされている、試薬被覆膜とを備えるセンサ。
【請求項3】
生物学的流体中の検体のレベルを検査する方法であって、
光導体、試薬被覆膜、および網目層を有する光導体検査センサを提供するステップと、
前記光導体検査センサと協働して前記生物学的流体中の検体のレベルを検査するようになされている読取りヘッドを提供するステップと、
前記生物学的流体の試料を作成するために身体の一区域を切開するステップと、
前記光導体検査センサの、前記試薬被覆膜および網目層で前記試料を収集するステップと、
前記読取りヘッドが前記試料を検査するための定位置にくるように、前記光導体検査センサを前記収集された試料に接触させるステップと、
前記試料から反射した光を測定するステップと、を含む方法。
【請求項4】
前記検体がグルコースである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
光導体検査センサを製作する方法であって、
第1の端部と第2の端部を有し、前記第1の端部に突起部を有する複数の光導体を提供するステップと、
試薬被覆膜のストリップを提供するステップと、
前記光導体の第1の端部にある前記光導体突起部が前記膜ストリップに接触するように、前記膜ストリップを前記複数の光導体に載せるステップと、
超音波溶接を使用して前記突起部を溶融し前記膜ストリップを前記複数の光導体に結合させることにより、前記膜ストリップを前記複数の光導体に取り付けて切断するステップと、を含み、前記取付けおよび切断がほぼ同時に行われ、前記光導体が前記取付けおよび切断のためのダイとして使用される、方法。
【請求項6】
光導体検査センサを製作する方法であって、
第1の端部と第2の端部を有し、前記第1の端部に突起部を有する複数の光導体を提供するステップと、
試薬被覆膜のストリップを提供するステップと、
網目層のストリップを提供するステップと、
前記光導体の第1の端部にある前記光導体突起部が前記膜ストリップに接触し、前記膜ストリップが前記網目ストリップに直接接触するように、前記膜ストリップおよび前記網目ストリップを前記複数の光導体に載せるステップと、
超音波溶接を使用して前記突起部を溶融し前記膜ストリップおよび前記網目ストリップを前記複数の光導体に結合させることにより、前記膜ストリップおよび前記網目ストリップを前記複数の光導体に取り付けて切断するステップと、を含み、
前記取付けおよび切断がほぼ同時に行われ、前記光導体が前記取付けおよび切断のためのダイとして使用される、方法。
【請求項7】
光導体検査センサを製作する方法であって、
一方の端部に接着部材が取り付けられた複数の光導体を提供するステップと、
試薬被覆膜のストリップを提供するステップと、
前記光導体の接着部材が前記膜ストリップに接触するように、前記膜ストリップを前記複数の光導体に接触させるステップと、
パンチを使用し、前記光導体をダイとして使用して前記膜ストリップを切断することにより、前記膜ストリップを前記複数の光導体に取り付けて切断するステップと、を含み、
前記膜が前記接着部材によって前記光導体に取り付けられ、前記切断および取付けがほぼ同時に行われる、方法。
【請求項8】
前記接着部材が両面テープである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
入力端部および出力端部を有する照明用光導体と、
入力端部および出力端部を有する検出用光導体であって、前記検出用光導体入力端部が前記照明用光導体出力端部に接近している、検出用光導体と、
前記照明用光導体の前記出力端部および前記検出用光導体の前記入力端部に配置された試薬被覆膜であって、前記照明用光導体および前記検出用光導体に取り付けられ、前記照明用光導体の前記出力端部からの光によって照明される、試薬被覆膜と、
前記膜に取り付けられ、それに直接接触する網目層と、を備える光導体検査センサ。
【請求項10】
光トラップをさらに備える、請求項9に記載の光導体検査センサ。
【請求項11】
前記光トラップが前記照明用光導体の前記出力端部からの光の鏡面光成分を吸収するようになされている、請求項10に記載の光導体検査センサ。
【請求項12】
前記照明用光導体の横断面の形状が、偶数個の等しい辺をもつ多角形であり、前記検出用光導体の横断面の形状が、偶数個の等しい辺をもつ多角形である、請求項9に記載の光導体検査センサ。
【請求項13】
前記照明用光導体の横断面の形状が正方形であり、前記検出用光導体の横断面の形状が正方形である、請求項12に記載の光導体検査センサ。
【請求項14】
生物学的試料中の検体の量を判定するようになされており、検査すべき試料に照明を当てる光源を備える読取りヘッドと、
前記光源によって生成された光を前記読取りヘッドを通して導く照明用光学系と、
前記試料から反射した光を反射光用光学系に向けるようになされているビームスプリッタであって、前記反射光用光学系が反射光を検出器に向けるようになされており、前記検出器が前記検出器によって受けられた光を示す出力信号を生成するようになされており、前記出力信号が受けられた反射光の量に比例する、ビームスプリッタと、
試料を収集するようになされた光導体検査センサであって、入力端部および出力端部を有する光導体と、前記光導体の前記出力端部にある試薬被覆膜と、前記膜に取り付けられた網目層とを有する光導体検査センサと、を備える光学反射光光導体センサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−505324(P2008−505324A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519532(P2007−519532)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/023771
【国際公開番号】WO2006/014410
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】