説明

流体貯蔵および供給のためのシステムおよび方法

【課題】コスト、使いやすさおよび性能の点で非常に有利な、選択的にガスを供給するための改良された流体貯蔵および供給システムを提供する。
【解決手段】流体貯蔵および供給システム(10)は流体(17)を所望の圧力にて保持するための容器(12)を含む。この容器は所定の圧力に設定される圧力レギュレータ(26)を有する。このレギュレータは、内部または外部のいずれに位置決めされてもよく、単一段または多段のいずれでもよく、および容器のポートに関連づけられる。供給アセンブリは、たとえばバルブ(20)のような流量制御手段を含み、レギュレータ(26)との間でガス/蒸気を流通するよう構成され、それによって、バルブを開くとガス/蒸気が容器(12)から供給される。この容器内の流体は、たとえば環境温度(室温)のような一般的な温度条件にてその液化圧力を超える圧力で容器内に閉じ込められる液体によって構成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高圧の液体またはその他の流体を貯蔵するのに利用し得る流体貯蔵およびガス供給システムに関し、このシステムは、システムからガスを供給するためかつ供給されたガスを半導体装置および材料の製造などの応用例において利用するためのものである。
【背景技術】
【0002】
広範囲にわたる産業プロセスおよび応用において、信頼性のある処理流体供給源が必要とされる。
【0003】
このようなプロセスおよび応用分野には、半導体製造、イオン注入、フラットパネルディスプレイの製造、医学的介入および療法、水処理、救急呼吸器具、溶接作業、宇宙での液体およびガスの送出などが含まれる。
【0004】
1988年5月17日に発行されたKarl O. Knollmuellerへの米国特許第4,744,221号は、アルシンを約−30℃から約+30℃の温度で細孔の大きさが約5から約15オングストロームの範囲であるゼオライトに接触させてアルシンをゼオライトに吸着させることにより、アルシンを貯蔵し続いて送出する方法を開示している。その後、ゼオライトを十分な時間をかけて約175℃の温度まで加熱してアルシンをゼオライト材料から放出することにより、アルシンは供給される。
【0005】
Knollmueller特許に開示された方法は、ゼオライト材料に対する加熱手段を設けてゼオライトを十分な温度まで加熱し、先に吸着されたアルシンを所望の量だけゼオライトから脱着しなければならないという点において不利である。
【0006】
アルシンを伴っているゼオライトを収容する容器の外側で加熱ジャケットまたはその他の手段を用いることには、この容器の熱容量が一般的に非常に大きいため供給動作に多大なる遅延時間が生じるという点で問題がある。さらに、アルシンの加熱によってアルシンは分解しその結果水素ガスが形成されてプロセスシステムに爆発の危険が生まれる。加えて、このような熱を媒介としたアルシンの分解はプロセスシステムにおけるガス圧力の実質的な上昇を引き起こし、これはシステム寿命および動作効率ならびに安全性の点からすれば非常に不利となり得る。
【0007】
ゼオライト床そのものの内部に加熱コイルまたはその他の加熱要素を配置することには問題がある。なぜならこのような手段を用いてゼオライト床を均一的に加熱して所望のとおりに均一的にアルシンガスを放出することは困難なためである。
【0008】
上記のような欠点は、ゼオライト床が閉じ込められた容器に加熱した搬送ガスを流すことにより克服され得るかもしれないが、加熱搬送ガスによるアルシンの脱着に必要な温度は不本意にも高くさもなければアルシンガスの最終用途に適さず、結果として冷却またはその他の処理を引き続いて行なって最終的な用途に応じて放出ガスを調整することが必要になる。
【0009】
1996年5月21日にGlenn M. TomおよびJames V. McManusの名で発行された米国特許第5,518,528号には、Knollmueller特許に開示されたガス供給プロセスの上記のような欠点を克服する、ガスの貯蔵および供給のためのガス貯蔵供給システムについて述べられている。Tom他特許のガス貯蔵供給システムは、たとえば水素化物ガス、ハロゲ
ン化物ガス、V族有機金属化合物などのガスを貯蔵し供給するための吸着−脱着装置を含む。Tom他特許のガス貯蔵供給容器は、貯蔵された収着質ガスをゼオライトまたは活性炭
材料などの搬送収着媒体に可逆的に吸着させることによってこの収着質ガスの圧力を減じている。
【0010】
より具体的には、この貯蔵供給システムは、固相の物理的収着媒体を収容するためかつガスを選択的に容器に流入させたり容器から流出させたりするために構成された貯蔵供給容器と、上記の貯蔵供給容器に配置された内部ガス圧力の固相の物理的収着媒体と、固相物理的収着媒体に物理的に吸着された収着質ガスと、貯蔵供給容器と間をガスが流れるようにして結合され、貯蔵供給容器の外側の圧力が内側の圧力を下回るようにして固相物理的収着媒体から収着質ガスが脱着し脱着したガスが自身を通して流れるようにする供給アセンブリとを含み、固相物理的収着媒体には、貯蔵供給容器内の収着質ガスの分解を引き起こすかもしれない水、金属、酸化物遷移金属種などの微量成分(たとえば酸化物、亜硫酸塩および/または硝酸塩)などがない。
【0011】
このような微量成分を固相物理的収着媒体から除去することにより、1年後25℃で内部圧力条件に置かれた収着質ガスの分解は非常に低いレベルに保たれ、たとえば分解する収着質ガスは重量比でせいぜい15%ほどである。
【0012】
Tom他特許の貯蔵供給容器はこのように、先行技術の高圧ガスシリンダの使用に関して
いえば当該技術に実質的な進歩をもたらしている。従来の高圧ガスシリンダでは、損傷を受けているかまたは誤作動しているレギュレータアセンブリからの漏れが生じやすく、かつガスの内部の分解によりシリンダ内でガス圧力が急増した場合に破裂を起こしたりシリンダから望ましくない大量のガスが放出されることもありがちである。
【0013】
したがって、当該技術では上記のような種々の欠点を克服する、ガスを選択的に供給するための改良された流体貯蔵および送出システムを提供することが必要とされている。
【0014】
当該技術の状況および以下でより詳細に説明するこの発明に関連する技術は以下の引例を含む。Stennerへの米国特許第3,590,860号(レギュレータ隔壁および作動ば
ねアセンブリを含む液体プロパンカートリッジのための手動調整可能なレギュレータバルブ)、Coffre他への米国特許第4,836,242号(ベローおよび入口バルブを含みベローと低圧出口との間に固体粒子フィルタを備えた電子級ガスを供給するための圧力低減器)、Ollivierへの米国特許第5,230,359号(高圧ガスシリンダ用の隔壁をもとにした圧力レギュレータであり、バルブは圧力をかけられた流体の流れを調節可能に抑制するためにレギュレータ内に配置される)、Baranowski, Jr.への米国特許第3,699
,998号(較正可能圧力レギュレータであり板ばね固定器を利用してレギュレータ構成要素を適所で保持する)、Maysへの米国特許第3,791,412号(低圧の抑制された流体を供給するための1対のバルブ素子を含む高圧ガス容器のための圧力低減バルブ)、Wormserへの米国特許第3,972,346号(Uリング封止ポペットアセンブリを特徴
とする圧力レギュレータ)、Eidsmoreへの米国特許第4,793,379号(バルブ構成要素の磁気作動を用いた、圧力をかけられたガスシリンダの主な遮断および流量制御のためのボタン作動バルブ)、Seneskyへの米国特許第2,615,287号(隔壁および隔
壁クランプ部材素子を含むガス圧力レギュレータ)、Martinへの米国特許第4,173,986号(圧力レギュレータおよび応答ポペットバルブ構造を含む圧力ガス流量制御バルブ)、Baumannへの米国特許第3,388,962号(焼結金属ペレット流れ素子を含む
圧力ガス燃料計量装置)、Jenkinsへの米国特許第1,679,826号(隔壁素子と、
フェルトストリップを含むガスフィルタ手段を利用した高圧容器のための流体圧力レギュレータ)、St. Clairへの米国特許第2,354,283号(振動を減少させるための流
量制限構造を備えた圧力作動隔壁を含む液化石油ガスタンクのための流体圧力レギュレー
タ)、Lhomer他への米国特許第5,566,713号(ピストン型の圧力レギュレータおよびブロック低減器/レギュレータ手段を含むガス流量制御供給アセンブリ)、Amidzichへの米国特許第5,645,192号(封止リング/ばねアセンブリを含む容器において過剰ガス圧力を緩和するためのバルブアセンブリ)、Cannet他への米国特許第5,678,602号(低減器およびインデックス付フローメータバルブを備えたレギュレータ手段を含む圧力ガスタンクのためのガス制御および供給アセンブリ)、Websterへの米国特許
第2,793,504号(圧力低減器およびレギュレータならびにばねバイアス閉鎖手段を含む圧力流体容器のためのバルブ)、Harrisへの米国特許第1,659,263号(隔壁および隔壁とレギュレータの環状シートとの間の反摩擦洗浄器を含む圧力ガスシリンダのためのレギュレータ)、Thomasへの米国特許第2,047,339号(流量制御装置および漏れ防止バルブを含む液化石油ガス貯蔵装置)、およびBaumann他への米国特許第3
,994,674号(レギュレータバルブアセンブリを含む圧力液化可燃ガスの容器のための取外し可能バーナーアセンブリ)である。
【0015】
このように、この発明の目的は、上記の先行技術の実施例の欠点を克服する選択的にガスを供給するための改良された流体貯蔵および供給システムを提供することである。
【0016】
この発明の他の目的は、コスト、使いやすさおよび性能の点で非常に有利であることを特徴とする、選択的にガスを供給するための改良された流体貯蔵および供給システムを提供することである。
【0017】
この発明の他の目的および利点は、以下の開示および添付の請求の範囲からより明らかになるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4,744,221号公報
【特許文献2】米国特許第5,518,528号公報
【特許文献3】米国特許第3,590,860号公報
【特許文献4】米国特許第4,836,242号公報
【特許文献5】米国特許第5,230,359号公報
【特許文献6】米国特許第3,699,998号公報
【特許文献7】米国特許第3,791,412号公報
【特許文献8】米国特許第3,972,346号公報
【特許文献9】米国特許第4,793,379号公報
【特許文献10】米国特許第2,615,287号公報
【特許文献11】米国特許第4,173,986号公報
【特許文献12】米国特許第3,388,962号公報
【特許文献13】米国特許第1,679,826号公報
【特許文献14】米国特許第2,354,283号公報
【特許文献15】米国特許第5,566,713号公報
【特許文献16】米国特許第5,645,192号公報
【特許文献17】米国特許第5,678,602号公報
【特許文献18】米国特許第2,793,504号公報
【特許文献19】米国特許第2,047,339号公報
【特許文献20】米国特許第3,994,674号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明は、半導体製品の製造などの応用例において用いる、流体を貯蔵し供給するた
めのシステムに関する。
【0020】
この発明の流体貯蔵およびガス供給システムは、液体を収容するように構成された貯蔵および供給容器を含み、この液体の蒸気が供給すべき流体を構成する。流体は、たとえばこの流体が液体状態にある圧力で貯蔵および供給容器に収容されている。この貯蔵および供給容器は、出口ポートを含みかつ出口ポートに結合された供給アセンブリを備え、たとえば、容器の液体から得られたガスを選択的に放出するための供給バルブおよび出口を備えたバルブヘッドアセンブリを含む。
【0021】
流体圧力レギュレータは、出口ポートと関連付けられ、たとえば容器の首部で出口ポートと関連付けられた圧力レギュレータ/相分離器アセンブリの一部を構成し、容器内で流体を保持しかつ流体が液体形状であるときに液体が供給バルブおよび出口に漏れないようにしてもよい。圧力レギュレータおよび任意で含まれる相分離器は、出口ポートを通して容器から供給される流体の流路に配置される。圧力レギュレータおよび任意で含まれる相分離器は、容器の中に配置されてもよいし外に配置されてもよい。好ましくは、このような要素は内部に配置されて使用の際に衝撃を受けたり環境にさらされたりする可能性を最小にとどめ、容器に入れられた流体がそこから漏れる経路を最小限にする。圧力レギュレータおよび任意で含まれる相分離器を内側に配置した場合、容器は自身の封止のために出口ポートで片側溶接またはシームを利用してもよい。
【0022】
相分離器は適切に、液体から得られた蒸気またはガスに対する透過性はあるが液体に対する透過性はない多孔性膜を含んでもよく、相分離器は好ましくは、圧力レギュレータの上流に保護モードで配置され、容器に収容された流体が液体のときに、液体が圧力レギュレータ内に入り圧力レギュレータが容器内で液体を保持しかつ液体が容器から出ないようにする機能を妨げないようにする。
【0023】
レギュレータは、予め定められた圧力レベルに設定可能な流量制御装置であり、この圧力レベルでガスまたは蒸気をシリンダから供給することができる。圧力レベル設定ポイントは、供給条件および容器から放出するガスの形態次第で大気圧より高くてもよく、大気圧より低くてもよくまたは大気圧でもよい。
【0024】
この発明の流体貯蔵および供給容器は、本体部分が細長く容器の本体の断面に比べ断面積が小さい首部を有する従来の高圧ガスシリンダの態様で形成することができる。このような構造の容器は、容器を洗浄してからバルブ(手動または自動)と関連する圧力および流量制御素子とをマニホルドに配置したものを含むバルブヘッドアセンブリを設置する従来の製造法を適用しやすい。
【0025】
この発明の流体貯蔵およびガス供給システムを使用する際には収容されている流体の媒体は液体であることが好ましいが、貯蔵して選択的に供給する流体媒体として高圧ガスを利用することも可能である。
【0026】
流体圧力レギュレータを適切な低圧レベルに設定してガスまたは蒸気が圧力レギュレータの設定ポイントを下回るようにすれば、貯蔵および供給容器を容易に充填することができる。これは、ポペット素子を含む従来の圧力レギュレータを用いて行なわれる。ポペット素子は、ばね付勢素子のような付勢素子によって閉位置に付勢され、設定ポイントの圧力を上回る圧力に応じて閉じた位置を保ち、設定ポイントの圧力を下回る圧力に応じて開いて流体を通す。
【0027】
このようにして充填動作を行なって、貯蔵し続いて供給すべき流体を容器に充填することができる。これは、容器内の圧力レベルを圧力レギュレータのポペット素子がその座部
から外れる圧力にしてガスがシステムの供給モードと逆の流れで容器に流れ込むようにして行なう。この態様で、容器をポートを1つのみ備えるように製造することができ、このポートはしたがって、ガスを単一ポートを通して供給のために容器から出したり単一ポートを通して最初に容器を流体で充填したりする役割を果たす。
【0028】
その代わりとして、別々の充填および供給ラインを収容可能な二重流体流通ポートを備えるように容器を構成することが可能である。たとえば、供給ポートが容器の首部に位置し従来のバルブヘッドアセンブリと関連付けられるようにし、充填ポートが容器の構造の別の場所に設けられるようにしてもよい。
【0029】
この発明の容器を、半導体製造作業において使用するために、例として水素化物流体(たとえばアルシン、ホスフィン、スチビン、シランなど)および酸性ガス(たとえばフッ化水素、塩化水素、塩素、ホウ素、三塩化物、三フッ化ホウ素、ハロゲン化シランおよびジシランなど)といった適切な流体の貯蔵および供給のために利用してもよい。
【0030】
使用の際には、供給バルブを容器のポートと関連付けられた供給アセンブリの一部として設けてもよく、このようなバルブを手動でまたは自動的に開放して、ガスが存在するときにはそのガスが多孔性膜または相分離器素子を通して流れ、ガスが流体貯蔵および供給システムから放出されるためにレギュレータを通り、次にイオン注入装置、化学蒸着室、半導体機器洗浄ステーションなどといった下流の処理システムへと流れるようにしてもよい。
【0031】
この発明は他の局面において、流体を貯蔵および供給するための方法に関し、
流体圧力レギュレータに抗して流体流路を閉じて流体を閉じ込めた状態で収容し、流体が流体圧力レギュレータの下流に流れないようにするステップと、
流体流路を開放して流体が流体圧力レギュレータの下流に流れるようにし流体を流体圧力レギュレータが定める速度で放出することによって閉じ込められた流体を選択的に供給するステップとを含み、
任意的に、収容された流体は液体であり、流体は供給中に流体圧力レギュレータの上流で相分離され、閉じ込められた状態で収容された流体からガスのみが放出される。
【0032】
他の局面において、この発明は流体貯蔵および供給システムに関し、
流体を収容するために内部容積を囲む流体貯蔵および供給容器を含み、容器は流体流通ポートを含み、システムはさらに、
間を流体が流れるようにポートと結合された流体供給アセンブリと、
ポートと関連付けられ容器の内部容積において予め定められた圧力を保つようにされた2段流体圧力レギュレータとを含み、
流体供給アセンブリを選択的に作動して容器の内部容積における流体から得られたガスを、そのガスを容器から放出するために2段流体圧力レギュレータおよび流体供給アセンブリを通して流すことが可能である。
【0033】
他の局面において、この発明は流体貯蔵およびガス供給システムに関し、
その蒸気が供給すべき流体を構成する液体を保持するように構成された貯蔵および供給容器を含み、流体は、その流体が液体状態にある圧力で貯蔵および供給容器に収容され、
貯蔵および供給容器は流体流通ポートを含み、システムはさらに、
出力ポートに結合された供給アセンブリと、
容器の内部に配置された2段流体圧力レギュレータ/粒子フィルタアセンブリと、
容器内の液体から得られたガスが、システムから放出されるために、流体レギュレータ/粒子フィルタアセンブリおよび供給アセンブリを通して流れるようにする供給アセンブリを選択的に作動させるための手段とを含む。
【0034】
さらなる局面において、この発明は流体を貯蔵および供給するための方法に関し、
多段流体圧力レギュレータに抗して流体流路を閉じて流体を閉じ込めた状態で収容し、流体が流体圧力レギュレータの下流に流れないようにするステップと、
流体流路を開放して流体が流体圧力レギュレータの下流に流れるようにし流体を流体圧力レギュレータが定める速度で放出することによって閉じ込められた流体を選択的に供給するステップとを含む。
【0035】
この発明の他の局面は半導体製品を製造する方法に関し、
流体圧力レギュレータに抗して流体流路を閉じて流体を閉じ込めた状態で収容し、流体が流体圧力レギュレータの下流に流れないようにするステップと、
流体流路を開放して流体が流体圧力レギュレータの下流に流れるようにし流体を流体圧力レギュレータが定める速度で放出することによって閉じ込められた流体を選択的に供給するステップと、
放出された流体を半導体製品の製造において用いるステップとを含む。
【0036】
この発明のさらなる局面は、流体貯蔵および供給システムに関し、このシステムは、約50psig(ゲージ圧で3.447×105Pa)から約5000psig(ゲージ圧
で3.447×107Pa)の内部圧力でガスが吸着した物理的吸着媒材料を収容する容
器と、容器と結合され選択的に動作してガスを容器から供給することが可能なガス供給アセンブリとを含む。
【0037】
さらなる局面において、この発明は半導体製造システムに関し、このシステムは、ガスを利用する半導体製造装置とこのガスの供給源とを含み、このような供給源は、約50psigから約5000psigの内部圧力でガスが吸着した物理的吸着媒材料を収容する容器と、容器と結合され選択的に動作してガスを容器から供給することが可能なガス供給アセンブリとを含む。
【0038】
この発明のさらなる局面は流体の貯蔵および供給のための方法に関し、
約50から約5000psigの範囲の圧力で少なくとも部分的に吸着した状態で流体を収容するステップと、
流体を吸着状態から脱着し閉じ込められた状態から開放することによって流体を選択的に供給するステップとを含む。
【0039】
この発明の他の局面は流体貯蔵および供給システムに関し、
約50リットル未満の内部容積を囲みかつ1インチ(2.54センチメートル)NGT
よりも大きい入口開口部を有する流体貯蔵および供給容器と、
選択的に容器から流体を供給するようにされた流体供給アセンブリと、
予め定められた内部圧力を維持するようにされた容器の内部容積内の流体圧力レギュレータとを含む。
【0040】
この容器の内部容積は約20リットル未満でもよく、最も好ましくはたとえば約1から約10リットルの範囲の約10リットル未満である。このような容器を以下でより詳細に説明するように構成しその寸法を定めて成形してもよい。この容器は好ましくは圧力能力、すなわち1インチ平方当り約1000ポンド(約6.895×106Pa)以上より好
ましくは1インチ平方当り約5000ポンド(約3.477×107Pa)までの、悪影響を及ぼすことなく(容器の破裂または容器からの流体の漏れ)収容可能な連続サービス圧力レベルを有する。この容器が選択的に下流のガス消費設備たとえば半導体製造設備に供給するようにできる。
【0041】
この発明のさらに他の局面は、ガスおよびこのガスの供給源を利用した半導体製造装置を含む半導体製造システムに関し、この供給源は、
約50リットル未満の内部容積を囲み1インチNGTを上回る入口開口部を備える流体貯蔵および供給容器と、
流体を容器から選択的に供給するようにされた流体供給アセンブリと、
予め定められた内部圧力を維持するようにされた容器の内部容積内の流体圧力レギュレータとを含む。
【0042】
他の局面において、この発明は1.5−11.5NGTのねじ山を備える1.5インチ(3.81センチメートル)NGTの開口部を備え、外形が4.187から4.25インチ(10.635から10.795センチメートル)で、壁の厚みが公称0.094から
0.125インチ(0.234から0.3174センチメートル)で、長さが12.75から13.75インチ(32.385から34.925センチメートル)の、2.0−2.25リットルのDOT 3AA 2015シリンダを含む、流体貯蔵および供給容器に関する。
【0043】
この発明のさらに他の局面は、流体貯蔵および供給アセンブリに関し、このアセンブリは、内部容積が50リットル未満で首部の開口部が1インチ(2.54センチメートル)NGTより大きい容器と、首部開口部に結合された供給アセンブリと、供給アセンブリに結合され容器の内部容積内に配置されたレギュレータとを含む。
【0044】
この発明における他の局面、特徴および実施例は、以下の開示および添付した請求の範囲よりさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明のある実施例に従う流体貯蔵および供給システムの概略断面正面図である。
【図2】この発明のさらなる実施例に従う、図1に示したタイプの貯蔵および供給システムから供給された流体を利用する半導体製造設備の概略図である。
【図3】この発明のさらなる実施例に従う流体貯蔵および供給システムの概略断面正面図である。
【図4】図3の流体貯蔵および供給システムのバルブヘッドアセンブリの斜視図である。
【図5】図3の流体貯蔵および供給システムにおいて用いられるディフューザ装置の正面図である。
【図6】図3の流体貯蔵および供給システムのレギュレータの部分分解図である。
【図7】図3の流体貯蔵および供給システムの流体貯蔵および供給容器の上部の断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
この発明は一部、Tom他の米国特許第5,518,528号の流体貯蔵および供給シス
テムに代わるものとして提示されたタイプの流体貯蔵および供給システムを、流体圧力レギュレータを閉じ込められた液体の容積と、ガス流れ遮断バルブ、集合流れコントローラなどといったガス流れ制御要素を含むガス供給アセンブリとの間に配置することによって、容易に製造することができるということを見出したことに基づいている。
【0047】
この発見に付随して、流体圧力レギュレータを有利に流体貯蔵および供給容器内に配置して、たとえばシリンダケースまたはハウジングなどの容器によりレギュレータを衝撃、環境への露出および損傷から保護できることが見出されている。
【0048】
好ましくは流体圧力レギュレータは流体貯蔵および供給容器内に配置されるが、このような要素を本発明を広く実施した場合においては容器の外側に配置することが可能である。したがってこの発明は広く、容器の流体流通ポートと関連付けられた流体圧力レギュレータ装置を内側および外側に設けることを意図している。
【0049】
流体圧力レギュレータは、たとえばIntegrated Flow Systems, Inc.により市販されて
いるSR4シリーズセット圧力レギュレータなどの適切なタイプのものでよい。この明細書の発明の概要の部分で述べたように、流体圧力レギュレータは、座部構造に対して付勢されて圧力が設定されたポイントの値を超えたときに流れを妨げるポペット素子を含むポペットバルブタイプのものでよい。
【0050】
この設定ポイントは「自然のまま」でもよく、固定された設定ポイント装置でもよく、またはこの装置が可変設定ポイント(調整可能)装置を含んでいてもよい。好ましくは、流体圧力レギュレータは設定ポイント圧力に関しては可変かつ調整可能な装置である。流体圧力レギュレータは例として700Torrという適切なレベルに設定されて、容器の流体流通ポートと関連付けられた供給アセンブリがその流れ制御バルブの開放などにより開いて流れを可能にしたときにこのような設定ポイント圧力レベルで流体が貯蔵および供給容器から流れて供給されるようにできる。
【0051】
流体貯蔵および供給容器内の流体の媒体は、供給すべきガスの供給源として、流体圧力レギュレータにより定められる設定ポイント圧力のたとえば高圧ガスまたはその代わりとして液体といった何らかの適切な流体貯蔵状態にある適切な流体媒体とすることができる。したがって、システム内のガス供給源は高圧ガスまたは液化ガスである。
【0052】
任意にかつ望ましくは、相分離器を利用して、ガスの供給源が高圧液体であるときに液体がレギュレータバルブの座部を通して漏れないようにする。相分離器は何らかの適切な形式をとるものでよいが、好ましくは収容された液体のガスまたは蒸気を通すが液相を通さない多孔質膜を含む。このような相分離器の透過性膜として適切な材料は、適切な多孔度および透過特性を有する種々の重合材料膜を含み、W.L. Gore & Associates, Inc.(メリーランド州エルクトン)により「Gore-Tex」、「Activent」、「DryLoft」および「Gore Windstopper」という商標名で商業的に製造されているいわゆる「呼吸可能な」織物で
ある。
【0053】
圧力レギュレータおよび相分離器を、流体貯蔵および供給容器の中に配置またはその外に配置され得るアセンブリ内において組合せて用いることができる。好ましくは、このような流体圧力レギュレータおよび相分離器アセンブリを貯蔵および供給容器内に配置する。
【0054】
この発明の流体貯蔵および供給容器において用いられる流体は、半導体製造作業におけるたとえば水素化物流体といった適切な流体を含み得る。このような種類の水素化物流体の例には、アルシン、ホスフィン、スチビン、シラン、クロロシランおよびジボランが含まれる。ハロゲン化合物エッチャント、洗浄剤、ソース試薬などとして半導体製造作業において有用性のある、フッ化水素、ホウ素三塩化物、三フッ化ホウ素、塩化水素、ハロゲン化シラン(たとえばSiF4およびジシラン(たとえばSi2F6)などといった酸性ガ
スを含め、半導体製造作業において役立つその他の流体を用いてもよい。
【0055】
この発明の流体貯蔵および供給容器を、従来の流体圧力レギュレータ装置を利用して容易に構成することができる。米国特許第5,518,528号において記載された収着媒に基づいたガス貯蔵および供給システムと関連付けると、この発明の流体貯蔵および供給容器は、流体が液相のときにさらに非常に大きな流体貯蔵容量をもたらす。
【0056】
例として、貯蔵および供給容器として「JY」シリンダを用い、供給するガスに対する収着親和力を有する物理的収着媒材料を収容する、米国特許第5,158,528号において示され記載されたタイプの収着媒に基づくガス貯蔵および供給システムでは、アルシンガスの場合、典型的には約0.5キログラムのオーダのガスを送出する。
【0057】
これに対応するこの発明の流体貯蔵およびガス供給システムの容器には1リットルの液体アルシンを貯蔵することができ1.8キログラムのアルシンガスをこの容器から供給することができる。
【0058】
この発明の流体貯蔵および供給システムは、先行技術の収着媒に基づく貯蔵および供給システムにおいて利用されている収着媒材料に特徴的に存在する潜在的な異物または不純物のない、高純度の流体供給を行なうことができる。
【0059】
さらに、この発明の流体貯蔵および供給システムでは、貯蔵および供給容器をその内側に圧力レギュレータおよび任意の相分離器を配置して製造し、容器の流体流通ポートと関連付けられたシームがこれがなければシームレスの容器構造における唯一の漏れの経路を構成するという点において、流体の分散については高レベルの安全性をもたらす。さらに、従来の流体シリンダの場合、容器の本体の断面と比較して相対的にシリンダの首部が小さいため、ガスの出入りについては漏れの経路は最小であり、ろう付け、溶接、流体に対する透過性が非常に低い密封剤などを用いた接着的封止により漏れ防止が簡単に可能である。
【0060】
加えて上記のように、流体貯蔵および供給容器に流体流通ポートを1つのみ設けて構成することが可能である。流体圧力レギュレータをたとえば700Torrといった適切な圧力レベルに設定すれば、容器の温度を、(供給すべき流体の)ガス蒸気圧がレギュレータの設定ポイントを下回るような温度に下げることができる。このような条件下では、レギュレータのポペット素子は座部から離れガスが外側の供給源から貯蔵容器に流れ込むようにする。
【0061】
次に図面を参照すると、図1は、この発明のある実施例に従う液体貯蔵およびガス供給システム10の概略断面正面図である。
【0062】
流体貯蔵およびガス供給システム10は、液体17を収容し囲まれた内部容積15を定める円筒形の側壁14と、下部の床16と、上側の首部18とを含む貯蔵および供給容器12を含む。液体17は、半導体製造作業において使用するための液体水素化物といった何らかの適切な液体を含み得る。水素化物の例には、アルシン、ホスフィン、スチビン、シラン、ジボランなどが含まれる。液体17を容器12内で十分な圧力下で保持して液相のままであるようにする。
【0063】
容器12の上側の首部18には、バルブ出口22と通じるバルブ20を含むバルブヘッドアセンブリが配置され、この出口から蒸気は矢印Aの方向で容器から供給される。
【0064】
図示されたバルブ20はアクチュエータ24と関連付けられ、アクチュエータはこの発明の所与の最終用途で所望されるとおりの何らかの適切なタイプ(電気的、空気によるものなど)とすることができる。その代わりとして、バルブ20を手動で作動させるまたはバルブに他の流量制御手段を設けることが可能である。
【0065】
バルブ20は、ポペット素子を用いた従来のタイプのものである圧力レギュレータ26と間をガスが流れるように接合され、ポペット素子はたとえば、閉鎖状態ではばねで付勢
されポペット素子を通る圧力差があるレベルを超えたときに移動する。圧力レギュレータ26はたとえば、大気圧よりも低い圧力値、大気圧の圧力値、または大気圧を超える圧力値、例として700Torr(700Torr(9.332×104Pa)に設定することができる。具体的な圧力レベルは、貯蔵および供給動作において適切になるよう、容器に収容される液体またはその他の流体に関して選択される。
【0066】
圧力レギュレータ26には、液体17から得られるガスまたは蒸気を通すが液体そのものを通さない膜素子30を含む相分離器28が結合される。
【0067】
蒸気/ガスを通し、液体を通さない膜は、液体からのガスまたは蒸気のみを通すが液体が自身を通過して流れないようにする適切な材料から形成することができる。実際この膜は、たとえばポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化アセテート、シリコンおよび表面処理されたガラス織物を含む種々の本質的に有用性のある材料から形成することができる。ある好ましい有用な材料は、「Gore-Tex(R)」(Gore-Tex Corporation)の商標名で市販されているようなポリフッ化ビニリデンの「呼吸可能な」織物を含む。膜相分離器材料として使用するために市場で入手可能な他の材料は、Norylフィルム(マサチューセッツ州ピッツフィールドのGeneral Electric Company)を含む。
【0068】
図1の液体貯蔵およびガス供給システムを用いる際には、液体は確実に流動性が得られる予め定められた圧力で貯蔵される。このために、圧力レギュレータ26は、容器の内部容積15内での適切な圧力を確実にする予め定められたレベルに設定される。液体は通さないがガス/蒸気を通す膜30は、たとえ容器がほぼ直立しているが図1に示すような垂直姿勢から傾いても決して液体がガスレギュレータ26に流れ込まないようにする。
【0069】
ガスを容器12から供給することが求められるときには、バルブアクチュエータ24を作動させてバルブ20を開放し、液体から得られたガスまたは蒸気がバルブヘッド供給アセンブリから出口22を通して出るように、ガスまたは蒸気が透過性のある膜30を通して流れるようにする。
【0070】
バルブ20を開放することにより、透過性膜30の放出側では圧力が低下し、液体から得られた蒸気が膜を通過し放出される。同時に、流体圧力レギュレータは、供給されているガスの圧力を設定ポイントの圧力レベルに維持する。
【0071】
図1の実施例の容器12は、図示のように別個の充填ポート42(容器の首部の流体流通ポートと関連する)を備えてもよく、このような別個の充填ポートは容器の充填のために液体の供給源と結合可能である。
【0072】
その代わりとして、圧力レギュレータを充填のために適切な温度レベルに設定して単にこの容器に1つの首部開口を設けてもよい。充填動作では、容器を低温保持または冷却剤槽の中に入れて冷却し、この容器の温度が圧力レギュレータによって確立された予め定められた圧力ポイントを下回るようにしてもよい。こうして流体圧力レギュレータは容器の内部容積15内のガス圧力を有し、この圧力はレギュレータの設定ポイントを下回るので圧力レギュレータのポペット素子はその座部から離れて流体は容器に入り引き続きその中で貯蔵されることとなる。
【0073】
図2は、この発明に従う流体貯蔵および供給システム110を利用した半導体製造システムの概略図である。流体貯蔵および供給システム110は、図1の容器12のラインにほぼ沿うように構成されたほぼ円筒形の容器112を含む。この容器は予め定められた圧力で液体を収容する。バルブヘッドアセンブリはアクチュエータ124を備えるバルブ1
20を含み、アクチュエータは、選択的にバルブを作動しライン142でガスが容器から放出されるようにする。
【0074】
バルブアクチュエータ124は中央プロセッサユニット210により制御され、このプロセッサユニットは、信号伝送線212によりバルブアクチュエータ124と制御の関係で結合されたコンピュータまたはマイクロプロセッサ制御装置を含み得る。
【0075】
中央プロセッサユニット210は、サイクルタイムプログラムに従いバルブを作動するように構成可能である。その代わりとして、中央プロセッサユニット210は、プロセス状態信号伝送線216により半導体製造設備200におけるプロセス状態をモニタしてもよく、この伝送線は、所与のプロセス状態を示す信号を中央プロセッサユニットに送り、ユニットがこれに応じてバルブアクチュエータ124を対応する程度に作動し、半導体製造設備の必要性に比例してライン142のガスの流れを調整する。
【0076】
中央プロセッサユニット210はまた、信号伝送線214で容器の温度に関連する信号を受取ってもよく、この線は容器112と関連づけられる熱センサまたは埋込熱電対と接合されて容器112の温度と関連づけてライン142における流体の流れを補償してもよい。
【0077】
半導体製造設備200は、半導体材料もしくは装置またはこのような材料もしくは装置を含む製品の製造のための半導体プロセス機器の適切な配置を含み得る。
【0078】
たとえば、半導体製造設備200は、イオン注入システム、リソトラック、化学蒸着反応器および関連の試薬供給および気化機器(液体配送機器、バブラーなどを含む)、エッチング装置、洗浄装置などを含み得る。
【0079】
この発明のある具体的な実施例では、液体水素化物流体を容器112内の圧力で保持し、これから得られるガスは選択的にライン142においてイオン注入チャンバを含む半導体製造設備200に供給される。供給されたガスに対し、適切な搬送および/または希釈剤ガスを用いてイオン化が施され、得られたイオン種は半導体装置先駆構造またはサブアセンブリといった基板に注入される。
【0080】
供給されたガスの使用に引続き、半導体製造設備200はライン202において流出ガスの流れを放出し、このガスは最終的にライン206において浄化された流れが処理され放出されるように、流出ガス処理システム204に流れ込む。
【0081】
半導体製造設備は、多岐にわたり、かつ、たとえばこの発明に従い構成されかつ動作する対応の個々の流体貯蔵および供給容器から供給可能な多様なプロセスガスを用いるように構成できることが理解されるであろう。
【0082】
この発明の流体貯蔵および供給装置は、過度の努力または費用なしで圧力をかけて液化可能なアルシンといった流体の大容量貯蔵および送出のための非常に効果的かつ容易に製造される手段を与えることも理解されるであろう。
【0083】
さらに、流体圧力レギュレータを流体貯蔵および供給容器の内部容積内に配置することによって、流体種の出入りのための潜在的な漏れ経路として、容器を首部に1つだけシームを設けて製造することができる。このようにして容器を簡単に製造することができ、使用する際には、内部に配置されたガス圧力レギュレータは、容器の構造的な保全性または動作に悪影響を及ぼし得る衝撃および環境への露出から保護され、かつ貯蔵および供給容器のためのさらなる潜在的な漏れ経路を構成する。
【0084】
図1と関連づけて述べられたシステムの方策はほぼ満足のゆくものであるが、流体容器の長期にわたる貯蔵条件下では、膜の下流側で液体の凝縮が起こる可能性がある。たとえば、もしこの容器が横にされ液体の体積がこのような位置において透過性のある相分離器の膜の高さを超えた場合、小さなポテンシャル傾斜がありこれは上記のような液体の「頭」と関連する重力ポテンシャルに等しい。この液体の頭のポテンシャルを平衡させるために、液体は、膜の対向する側のそれぞれの液体レベルが等しくなるまで膜のバルブ側で凝縮するであろう。
【0085】
加えて、従来三フッ化ホウ素(BF3)のために用いられる高圧シリンダタイプのガス
貯蔵および供給容器について、システムのガス貯蔵容量は通常シリンダの圧力により定められかつ制限される。このような場合のガスの液化に必要な圧力は非常に高い可能性がある。
【0086】
これに加えて、圧縮ガスサービスのために従来用いられるガスシリンダ容器は典型的に、National Gas Taper (NGT) 標準によって測定した場合、3/4インチ(1.905センチメートル)NGT、1/2インチ(1.27センチメートル)NGTおよびそれよりも小さ
なバルブ入口を利用する。「ボトル内レギュレータ」の方策をうまく開発するためには、現在は従来より利用できるものよりも大きなシリンダ入口が必要である。Compressed GasAssociation (CGA) が推奨する最大圧縮ガスシリンダ入口は、最小の直径が1.79イ
ンチ(4.547センチメートル)である1.5インチNGT−11/ 1/2 tpi(1インチ
当りのねじ山)の開口部である。3/4インチNGTよりも大きな開口は典型的に、大量の
流れおよびより大きなシリンダ(内側容積が50リットルよりも大)が必要な応用例に対して設計される。発明者らは、開口が1インチNGTよりも大きく、容積50リットル未満のシリンダには気づいておらず、1インチNGTよりも大きな開口が20リットル未満の容積のシリンダのために用いられることは稀である。
【0087】
市場で「ボトル内レギュレータ」方策を可能にするためには、米国運輸省(USDOT)パッケージ標準を満たし、従来利用できるものよりも大きな入口開口を有し、1平方インチ当り約1000から約5000ポンド(約6.895×106Paから約3.477
×107Pa)の範囲の圧力に耐えることができるシリンダを提供せねばならない。先行
技術ではこのような容器は提案も製造もされておらず、市販されているものもない。
【0088】
流体流通ポートを特徴とする流体貯蔵および供給容器を含み、ポートと間を流体が流れるように結合された流体供給アセンブリを備えるこの発明の流体貯蔵および供給システムにおいては、この発明に従いポートと関連づけられたレギュレータは、上記の相分離の問題を解決するために2段レギュレータを適切に含み得る。
【0089】
上記のように、もし貯蔵および供給容器が相分離ユニットと組合せて1段レギュレータを利用しているならば、容器は横にされた場合に十分な液体を収容し、その結果液体の容積は透過性のある相分離器の膜の高さを超える。このような条件では、液体は膜の対向する側でのそれぞれの液体のレベルが等しくなるまで膜のバルブ側で凝縮するであろう。
【0090】
2段レギュレータを用いることによりこのような欠点が軽減される。もし容器のほぼ全体の内部容積からの液体が2段レギュレータの第1および2段間で移動すれば、2段レギュレータの高圧段の圧力感度素子(高圧段は容器の液体との間で最初に流体が流れるレギュレータの段であり、低圧段は引続いて流体が第1段に流れるレギュレータの段である)は、強制的に閉位置にされる。典型的には、それぞれのレギュレータ段の圧力感度素子はポペットバルブである。高圧段は強制的に閉鎖され、段の間の領域(高圧段と低圧段との間)の圧力が上昇するため、このような段間の上昇した圧力は、第2段から放出される流
体の最終的な圧力に対しほとんど影響を与えない。
【0091】
2段レギュレータの高圧段に対し設定される圧力ポイントを、2段レギュレータの最終段(低圧段)の圧力を上回る適切な圧力レベルに設定することができる。このようにすることによって、単一段レギュレータ装置の液体凝縮の問題は解決され、この場合このようなシステムの充填動作(流体充填)を含め流体貯蔵および供給システムの全体の動作には影響がない。
【0092】
したがって、2段レギュレータを利用した貯蔵および供給システムを、先に延べたようにほぼ図1に示されたようにして構成することができるが、圧力レギュレータ26は単一段レギュレータではなく2段レギュレータである。したがって2段流体圧力レギュレータは容器のポートと関連づけられ、容器の内部容積における予め定められた圧力を保つようにされる。
【0093】
この発明の他の局面は、ガスに対する収着親和力を有する物理的吸着剤材料を入れた容器を含む流体貯蔵および供給システムに関し、このガスは例として、水素化物ガス、ハロゲン化合物ガスおよび有機金属化合物ガスからなる群より選択される。このようなタイプのガス(すなわち物理的吸着剤材料が収着親和力を有するもの)は、1平方インチゲージ当り(psig)約50から約5000ポンド(すなわちゲージ圧で3.477×105
から3.477×107Pa)の内部容器圧力で容器に収容されている。好ましくは、こ
のようなガスの約5から約40%が自由(吸着されていない)状態であり、このガスの約60から約95%が物理的収着媒材料に吸着された状態である。
【0094】
吸着剤材料が入れられている容器は、その開示全体を本明細書に引用により援用する、1996年5月21日にGlenn M. TomおよびJames V. McManusの名で発行された米国特許第5,528,518に記載されているような供給アセンブリまたはその他の放出手段を備えるように構成できる。その代わりにこの容器を本明細書の図1に示したように構成してもよいが、液体17は、物理的吸着剤床の隙間におよび容器の内部容積内の頭部の空間にもあるガス種を収着して保持している物理的吸着剤材料の床に代えられている。
【0095】
先行技術ではたとえば、1998年1月6日にGlenn M. Tom他に対して発行された米国特許第5,704,967号(大気圧を超える圧力が「1200torr(1.5998×105Pa)未満である」と述べている)のように大気圧を上回る圧力でガスを貯蔵お
よび供給することが有利であるとして、米国特許第5,528,518に記載された先に引用したタイプの収着媒を基にしたガス貯蔵および供給システムが開示されているが、先行技術では、上記のような収着媒を基にしたガス貯蔵および送出システムはたとえば約50psig(ゲージ圧で3.477×105Pa)、より好ましくは約100psig(
ゲージ圧で6.895×105Pa)を超える非常に高い圧力でガスを供給するものとし
て有利に用いることができることを意図していない。この状況が生じる理由は、まず収着媒材料の物理的な大きさで体積を吸蔵することは不利であり、容器に貯蔵できるガスの正味量を減じることにもなる「失われた体積」が生まれるように思われるからである。
【0096】
この状況に反して、驚くべきことにかつ予期せぬことに、容器の内部容積内で高圧貯蔵条件を利用する収着媒を基にしたガス貯蔵および供給システムを配備することにより、収着媒を入れた容器の貯蔵容量が大幅に向上することが発見されている。先のTom他の米国
特許第5,518,528号に記載されたように好ましくは分割された形状で固相物理的吸着剤材料でシリンダを充填することにより、従来の高圧ガスシリンダと比較してガス貯蔵容量のめざましい向上を伴い、吸着可能なガスを液相に類似する物理的状態でシリンダ内に貯蔵することができる。
【0097】
このようなガス貯蔵容量の予期せぬ向上は、以下の表1のデータによって例示されており、この表ではBF3の貯蔵容量は吸着剤を充填したガスシリンダおよび従来のガスシリ
ンダにおいて室温(20℃)で比較されている。表1におけるBF3の吸着容量は、内部
容積が2.2リットルのガス貯蔵および供給容器(市販されている「JY」シリンダに匹敵する)について、±20%の予測信頼性を有するコンピュータモデルを用いて求めたものであり、その開示全体を本明細書に引用により援用するTom他の米国特許第5,704
,965号に開示されたタイプの溶球活性炭収着媒材料が吸着剤である。
【0098】
【表1】

【0099】
表1のデータで示されるように、吸着媒を充填したシリンダに含まれる三フッ化ホウ素の総量は、従来の(吸着媒のない)ガスシリンダに含まれる三フッ化ホウ素の量よりも一貫して大きい。たとえば、100psigでは、吸着媒を充填したシリンダに含まれる三フッ化ホウ素の総量は、従来の(吸着媒のない)ガスシリンダに含まれる三フッ化ホウ素の量よりも12.35倍大きい。1500psigでは、吸着媒を充填したシリンダに含まれる三フッ化ホウ素の総量は、従来の(吸着媒のない)ガスシリンダに含まれる三フッ化ホウ素の量よりも1.94倍大きい。
【0100】
この発明の別の局面に従うと、この発明の流体貯蔵および供給システムは、流体流通ポートを伴う流体貯蔵および供給容器と、そのポートとの間で流体を流通させる流体供給アセンブリと、そのポートに関連づけられる流体圧力レギュレータとを含み、以下の特徴を伴って構成されてもよい:
(i) 約50リットル未満、より好ましくは約20リットル未満、最も好ましくはたとえば約1〜約10リットルの範囲にある約10リットル未満の内部容積と
(ii) 1インチNGTよりも大きい入口開口。
【0101】
この容器は、好ましくは、1平方インチにつき少なくとも約1000ポンドまで、より好ましくは1平方センチにつき約5000ポンドまでの圧力能力、つまり、不都合な影響(容器の充満またはそこからの流体の漏洩)なく対応され得る、連続した与えられる圧力レベルを有する。
【0102】
一実施例では、この容器は、入口開口がたとえばIFS設定点レギュレータのようなレギュレータ装置に適合するように十分大きくあるよう、1.5インチNGTシリンダバルブ入口を伴う2.0リットル内部容積のものであってもよい。
【0103】
「ボトル内レギュレータ」構成の場合、そのような特徴(>1インチNGT)の入口開口が必要であり、なぜならば、(1)IFS設定点レギュレータのようなレギュレータの
径は典型的には1.5インチより大きくかつ1.6インチ未満であり、したがって、そのレギュレータをシリンダ内にはめるには1.5インチNGTのオーダの開口を必要とし、さらに、(2)NGT開口は、BF3、AsH3、F2、PH3、SiH4などのガスの貯蔵
および送出を伴う適用例に対し唯一受入れられかつUSDOTにより認可されたシリンダ入口であるからである。雄ねじ接続またはまっすぐなねじのような他のタイプのシリンダバルブ入口は、現在のところ、そのようなガスに対しては、USDOTによって法律上許可され得る接続としては受入れられていない。
【0104】
>1インチNGT入口開口を伴うこのタイプの容器の製造において、そのプロセス製造ステップは、典型的には:
(1) 金属円板を円筒状のカップにコールドプレス成形するステップと、
(2) シリンダの首部を溶銑スピニング加工によって形成するステップと、
(3) 手によるまたは自動化された切削加工のいずれかを用いて容器の首部にシリンダ開口を形成するステップとを含む。
【0105】
このタイプの容器の具体的実施例は、1 1/2〜11 1/2NGTねじ筋を伴う1.5インチNGT開口を有する2.0〜2.25リットルのDOT 3AA 2015シリンダを含み、その容器は、4.187〜4.25インチの外径と、0.094〜0.125インチの公称壁部厚みと、2.5インチの公称首部外径と、引延ばされた状態で1.5インチの最大首部内径と、12.75〜13.75インチの長さとを有する。このような容器は、三フッ化ホウ素がガス種としてその容器内に貯蔵されそこから供給される場合において用いるのに好適である。
【0106】
図3は、この発明の例示的実施例に従う流体貯蔵および供給システム300の概略的な立面断面図である。このシステム300は、概ね円筒形状の流体貯蔵および供給容器302を含み、円筒状の側壁304はその下端が床部部材306によって閉じられている。この容器の上端には首部308が設けられ、それは、この容器の頂部開口を規定しその境界を画する円筒状のカラー310を含む。これら容器壁部、床部部材、および首部によって、図示されるように、内部容積328を封じ込める。
【0107】
この容器の首部において、バルブヘッドアセンブリ314のねじ切りされたプラグ312が、カラー310の雌ねじを切られた開口とねじ込み可能なように係合される。このバルブヘッドアセンブリ314は、自身の中にある中央使用容積キャビティとの間で流体を流通させるように継がれる中央流体流路320を含む。この中央使用容積キャビティは次いで出口324に継がれるが、これは、雄ねじを切られていてもよく、または他の態様ではそれにコネクタおよび関連のパイプ構成、導管などを取付けるよう構成されてもよい。
【0108】
この中央使用容積キャビティ内には、図示される実施例においては手回し車326に継がれるバルブ要素322が配されるが、これは、代替的に、自動バルブアクチュエータまたは他のコントローラもしくは作動手段に継がれてもよい。
【0109】
さらに、バルブヘッドアセンブリ314は、そのバルブブロック内において、容器内における総過剰圧力状態を緩和するために過剰圧力リリーフバルブ318に継がれその容器の内部容積328と連通するガス抜き流路316を特徴とする。
【0110】
このバルブヘッドアセンブリ314内の中央流体流路320はその下端にてコネクタ流通チューブ330に継がれ、これが次いでレギュレータ332に継がれる。このレギュレータは、容器から放出される流体の選択された圧力を維持するよう設定される。レギュレータの下端には管状嵌め合い336が継がれ、これが、次いで、たとえば突合せ溶接などによって、下端にディフューザ端部キャップ331を有するディフューザユニット334
に継がれる。このディフューザユニットは、ステンレス鋼から形成され、そのディフューザ壁はたとえば316Lステンレス鋼のような焼結されたステンレス鋼から形成されてもよい。このディフューザユニットは、所定の径より大きいすべての粒子、たとえばこのシステムからのガスの1分間の流量につき30標準リットルで0.003マイクロメータより大きいすべての粒子の除去を可能にする壁部気孔率を有する。このタイプのフィルタディフューザユニットは、商標WAFERGARDのもとでミリポア・コーポレーション(MilliporeCorporation)(ベッドフォード(Bedford)、MA)から市場で入手可能である。
【0111】
使用時、好適な流体試薬、たとえば、高圧ガスもしくは液化されたガス、または代替的に、収着親和性を有する物理的収着媒に収着されるように保持される収着可能ガスが、容器302の内部容積328内に保持される。この内部容積は、好適な固相の物理的収着媒材料からなる床を含む。流体圧力レギュレータ332は、バルブヘッドアセンブリ314にあるバルブが開かれると供給される流体が流れるよう、選択された、設定された点に設定され、したがって、その流体がディフューザユニット334、嵌め合い336、レギュレータ332、コネクタ流通チューブ330、バルブヘッドアセンブリ314内の中央流体流路320、中央使用容積キャビティおよび出口324を通って流れる。このバルブヘッドアセンブリは、この発明の所与の最終使用適用物において望ましいようにまたは要求に応じて、他のパイプ構成、導管、流量コントローラ、モニタ手段などに継がれてもよい。
【0112】
図4は、図3の流体貯蔵および供給システムのバルブヘッドアセンブリ314の斜視図である。図4では、対応の要素は図3に対応するように番号づけられており、プラグ312は、カラー310の内側面上のねじ筋に対し相補的にねじ筋313を設けられるように示され、それによって、バルブヘッドアセンブリのプラグと容器とが互いに漏出耐密態様にて相補的に噛合される。
【0113】
図5は、図3の流体貯蔵および供給システム300にて用いられるディフューザユニット334の立面図である。このディフューザユニット334は、図示されるとおりでは、ねじ筋337でねじ切られた管状嵌め合い部を有し、図3に示されるレギュレータ332のハウジングと噛み合い可能なように係合する。
【0114】
図6は、図3の流体貯蔵および供給システム300のレギュレータ332の破断図である。このレギュレータ332は例示されるとおりでは下側流体入口333を有し、これにディフューザユニットの管状嵌め合いがねじ筋を介して継がれ得る。このレギュレータ332はその上側端に流体出口335が設けられ、それが図3に示されるコネクタ流通チューブ330に継がれる。このレギュレータは単一段レギュレータであってもよく、または多段レギュレータであってもよい。先に述べたように、2段レギュレータの場合には、容器の逆転または傾きに対する、膜相分離器の使用に付随する流体縮合問題が克服されるという利点があり、その容器は、この発明の所与の最終使用適用例において所望されるように、単一段または多段レギュレータを、そのような膜相分離器ユニットなしで、および粒子濾過ディフューザユニットを伴うかまたは伴わずに用いてもよい。
【0115】
図7は、図3の流体貯蔵および供給システム300の流体貯蔵および供給容器302の上部の部分立面図である。容器302のこの示される部分には、円筒状壁304と、首部308と、カラー310とが含まれる。このカラーの内部表面は、バルブヘッドアセンブリ314のプラグ312上のねじ筋313(図4参照)に対し相補的なねじ筋309でねじ切りされる。この容器は、上に記載されるように製造される、ステンレス鋼材料もしくは他の第一鉄の金属合金、または他の金属もしくは非金属材料の構成から形成され、>1インチNGT首部開口および適切なNGTねじ切りを設けてもよい。
【0116】
ここにおいて例示的に開示されるさまざまな特徴および局面を、別個に、または互いとさまざまに置換もしくは組合わせることによって、具体的な使用用件に対し有用な原料流体装置を構成する流体貯蔵および供給システムを提供してもよい。
【0117】
このように、具体的な要素、特徴および実施例を参照しながらこの発明をここに例示的に記載したが、この発明は構造および動作においてそのようにのみ限定されるものではなく、ここにおける開示に整合して、当業者に対しそれら自身を容易に示唆するように変形物、修正物および実施例を包含するよう広く解釈されるべきであることを認識されたい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
この発明の流体貯蔵および供給システムは、たとえば、エッチング、化学蒸着、イオン注入といったさまざまな単位工程に対しガスを必要とする半導体装置の製造において有利に産業上用いられ得る。このようなガスの多くは有害および/または高価であり、そのガス供給容器は漏出に対し耐密性を有し、かつ原料ガスを精密に供給することにおいて高い信頼性を有し、ならびに好ましくは高い貯蔵能力を有さなければならず、なぜならば、半導体製造設備における空間要件は非常に厳しいものだからである。この発明の貯蔵および供給システムは、そのような適用例に対し、およびそのような基準を満たすことにおいて、非常に効率のよいものである。
【符号の説明】
【0119】
10,110,300 液体貯蔵およびガス供給システム、17 液体、15 内部容積、14 円筒形の側壁、16 下部の床、18 側の首部、12,112 貯蔵および供給容器、22 バルブ出口、20,120 バルブ、24,124 アクチュエータ、26 圧力レギュレータ、30 膜素子、28 相分離器、112 円筒形の容器、210 中央プロセッサユニット,212 信号伝送線、216 プロセス状態信号伝送線、200 半導体製造設備、204 流出ガス処理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体貯蔵および供給システムであって、
開口を有し、内部容積を封じ込める容器と、
前記開口に係合するとともに、流体を供給する出口を有するヘッドアセンブリと、
前記ヘッドアセンブリに連結され、前記容器の前記内部容積内に延びる接続管と、
前記接続管に連結され、前記容器の前記内部容積内に位置する流れ制御装置とを備え、
前記流れ制御装置は、前記流れ制御装置の流出側の圧力が大気圧より低い所定の圧力レベルに等しいかまたはそれよりも低いときに、大気圧より低い圧力でのみ前記容器から前記接続管および前記ヘッドアセンブリを経て前記出口へ流体が供給され、前記流れ制御装置の流出側の圧力が前記所定の圧力レベルよりも高いときには、前記流体を前記容器内に保持するように設定される、流体貯蔵および供給システム。
【請求項2】
前記流れ制御装置が、前記出口における圧力に応じて、流体を供給する開位置と、流体を前記容器内に閉じ込める閉位置との間を移動可能なポペット素子を含む、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項3】
前記流れ制御装置が設定ポイントレギュレータを含む、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項4】
前記設定ポイントレギュレータは調整可能な設定ポイントを有する、請求項3に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項5】
前記設定ポイントレギュレータは固定された設定ポイントを有する、請求項3に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項6】
前記設定ポイントレギュレータは大気圧より低い設定ポイントを有する、請求項3に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項7】
前記流れ制御装置は相分離器を含むアセンブリの一部である、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項8】
前記ヘッドアセンブリは2つのポートを有するバルブヘッドアセンブリである、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項9】
前記ヘッドアセンブリは単一のポートを有するバルブヘッドアセンブリである、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項10】
管状嵌め合いが流れ制御装置の下端に接続され、フィルタが前記管状嵌め合いの下端に接続されている、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項11】
前記容器の前記開口が2.54cm(1インチ)NGTよりも大きい、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項12】
前記流れ制御装置が単一段レギュレータを含む、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項13】
前記流れ制御装置が多段レギュレータを含む、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項14】
前記流体が前記容器内に閉じ込められる、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項15】
前記流体が、アルシン、ホスフィン、および三フッ化ホウ素からなる群から選択される、請求項14に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項16】
前記出口がイオン注入装置に結合される、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項17】
前記容器がアルシンを貯蔵する、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項18】
前記容器が、半導体製造におけるイオン注入工程においてアルシンを供給するために適用される、請求項17に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項19】
前記容器がホスフィンを貯蔵する、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項20】
前記容器が三フッ化ホウ素を貯蔵する、請求項1に記載の流体貯蔵および供給システム。
【請求項21】
流体を貯蔵および供給するための方法であって、
容器の内部容積内に流体を貯蔵する工程を備え、
前記流体は、前記容器の前記内部容積内の、前記容器から流体を供給する流体流路内に位置する流れ制御装置によって封じ込められ、前記流れ制御装置は、前記流れ制御装置の流出側の圧力が大気圧より低い所定の圧力レベルに等しいかまたはそれよりも低いときに、大気圧より低い圧力でのみ前記容器から前記流体流路を経て流体が供給され、前記流れ制御装置の流出側の圧力が前記所定の圧力レベルよりも高いときには、前記流体を前記容器内に保持するように設定される、流体を貯蔵および供給するための方法。
【請求項22】
前記流体が供給されて、イオン注入または化学蒸着のために用いられる、請求項21に記載の流体を貯蔵および供給するための方法。
【請求項23】
前記流体がアルシンである、請求項21に記載の流体を貯蔵および供給するための方法。
【請求項24】
前記流体がホスフィンである、請求項21に記載の流体を貯蔵および供給するための方法。
【請求項25】
前記流体が三フッ化ホウ素である、請求項21に記載の流体を貯蔵および供給するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−231935(P2011−231935A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184501(P2011−184501)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2009−24125(P2009−24125)の分割
【原出願日】平成11年4月28日(1999.4.28)
【出願人】(500313891)アドバンスト・テクノロジィ・マテリアルズ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED TECHNOLOGY MATERIALS, INC.
【Fターム(参考)】