説明

流体貯蔵及び分給システム

内部を第一及び第二の可変容積に分ける可動仕切部材を有する圧力容器を含む流体貯蔵及び分給システム。第一の可変容積は製品流体の流入と流出に適合する第一の通路を有し、第二の可変容積は補償ガスの流入と流出に適合する第二の通路を有する。システムは、(1)補償ガスを供給する補償ガス管路、(2)補償ガス管路に設置され上流側と下流側とを有する第一のオリフィス、(3)第二の通路と第一のオリフィスの下流側の間で補償ガス管路に接続される補償ガス排出管路、及び(4)補償ガス排出管路に設置され、流動断面積が第一のオリフィスの流動断面積より小さい第二のオリフィス、を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
統合生産システムによる流体又はガス製品の発生と分給は商業及び工業用途で広く用いられているが、そこでは流体製品の流量需要が変わりやすく、又は断続する。変わりやすい流量需要に応えるために、統合生産システムは普通、製品流体貯蔵タンク又はサージタンクを含み、流体又はガス発生装置の能力を超えるピーク製品流量需要に対応している。そのような用途の一例は、圧力スイング吸着又は膜システムにより空気から窒素を分離するものであり、窒素はパージ、不活性、タイヤ加圧、及び関連用途に用いられる。発生された窒素ガスは普通、適当な圧力でサージタンクに貯蔵されて、吸着又は膜システムの能力を超えるピーク流量需要を満たす。
【0002】
このような用途の多くで、ピーク流量需要は大きなサージタンクを必要とし、それがかなりの据え付け面積を占めて発生及び分給システムの可搬性を制限することがある。必要なシステム据え付け面積を最小限にし、システムを操業現場のあちらこちらに移動することが多くの場合に必要なので、システムの容易な可搬性を可能にする小さな貯蔵タンクを有する改良された流体発生及び分給システムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この必要性は、以下で説明されそして特許請求の範囲で規定される本発明の実施形態で対処される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの実施形態は、
(a)内側表面、内部、外部、及び前記内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器、
(b)前記圧力容器の内部に配置された可動仕切部材であって、該仕切部材は前記内部を第一の可変容積と第二の可変容積に分割し、前記第一の可変容積は前記第二の可変容積と連通していない、可動仕切部材、
(c)前記圧力容器の硬質の壁を通り抜けて前記第一の可変容積に通じている第一の通路であって、該第一の通路は製品流体を前記第一の可変容積に導入し、前記第一の可変容積から前記製品流体を抜き出すようにされた第一の通路、及び、
(d)前記圧力容器の硬質の壁を通り抜けて前記第二の可変容積に通じている第二の通路であって、該第二の通路は補償ガスを前記第二の可変容積に導入し、前記第二の可変容積から前記補償ガスを抜き出すようにされた第二の通路、
を含む流体貯蔵及び分給(dispensing)システムに関する。
【0005】
このシステムはまた、補償ガス供給システムであって、
(1)第二の通路を補償ガス源と連通させる補償ガス管路、
(2)前記補償ガス管路に設置されて上流側と下流側とを有する第一のオリフィス、
(3)前記第二の通路と前記第一のオリフィスの下流側との間の箇所で前記補償ガス管路と連通する補償ガス排出管路であって、該補償ガス排出管路は補償ガスを前記補償ガス管路から大気へ放出するようにされている補償ガス排出管路、及び、
(4)前記補償ガス排出管路に設置され、流動断面積が前記第一のオリフィスの流動断面積よりも小さい第二のオリフィス、
を含む補償ガス供給システムを含む。
【0006】
別の実施形態は、
(a)内側表面、内部、外部、及び前記内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器、
(b)前記圧力容器の内部に配置されたフレキシブル流体容器であって、該フレキシブル流体容器は内部、外側表面、及び該容器の内部を前記圧力容器の硬質の壁を通り抜ける第一の通路に接続する開口を有するフレキシブル流体容器、
(c)前記フレキシブル流体容器の内部によって画定される第一の可変容積であって、前記第一の通路が製品流体供給管路及び製品流体分給管路と連通していて、製品流体を該第一の可変容積に導入し該製品流体を該第一の可変容積から抜き出すようにされている、第一の可変容積、
(d)前記圧力容器の内側表面と前記フレキシブル流体容器の外側表面とによって画定される第二の可変容積であって、該第二の可変容積は該第二の可変容積に補償ガスを導入し該第二の可変容積から該補償ガスを抜き出すようにされている第二の通路と連通している第二の可変容積、及び、
(e)補償ガス供給システムであって、
(1)前記第二の通路を補償ガス源と連通させる補償ガス管路、
(2)前記補償ガス管路に設置されて上流側と下流側とを有する第一のオリフィス、
(3)前記第二の通路と前記第一のオリフィスの下流側との間の箇所で前記補償ガス管路と連通する補償ガス排出管路であって、該補償ガス排出管路は補償ガスを前記補償ガス管路から大気へ放出するようにされている補償ガス排出管路、及び、
(4)前記補償ガス排出管路に設置され、流動断面積が前記第一のオリフィスの流動断面積よりも小さい第二のオリフィス、
を含む補償ガス供給システム、
を含む流体貯蔵及び分給システムを包含する。
【0007】
関連する実施形態は、流体を貯蔵及び分給する方法であって、
(a)次の(1)〜(5)を含む流体貯蔵及び分給システム、すなわち、
(1)内側表面、内部、外部、及び前記内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器、
(2)前記圧力容器の内部に配置されたフレキシブル流体容器であって、該フレキシブル流体容器は内部、外側表面、及び該容器の内部を前記圧力容器の硬質の壁を通り抜ける第一の通路に接続する開口を有するフレキシブル流体容器、
(3)前記フレキシブル流体容器の内部によって画定される第一の可変容積であって、前記第一の通路が製品流体供給管路及び製品流体分給管路と連通していて、製品流体を該第一の可変容積に導入し該製品流体を該第一の可変容積から抜き出すようにされている、第一の可変容積、
(4)前記圧力容器の内側表面と前記フレキシブル流体容器の外側表面とによって画定される第二の可変容積であって、該第二の可変容積は該第二の可変容積に補償ガスを導入し該第二の可変容積から該補償ガスを抜き出すようにされている第二の通路と連通している第二の可変容積、及び、
(5)補償ガス供給システムであって、
(i)前記第二の通路を補償ガス源と連通させる補償ガス管路、
(ii)前記補償ガス管路に設置されて上流側と下流側とを有する第一のオリフィス、
(iii)前記第二の通路と前記第一のオリフィスの下流側との間の箇所で前記補償ガス管路と連通する補償ガス排出管路であって、該補償ガス排出管路は補償ガスを前記補償ガス管路から大気へ放出するようにされている補償ガス排出管路、及び、
(iv)前記補償ガス排出管路に設置され、流動断面積が前記第一のオリフィスの流動断面積よりも小さい第二のオリフィス、
を含む補償ガス供給システム、
を含む流体貯蔵及び分給システムを用意すること、
(b)第一の時間周期中に、前記第一の可変容積から製品流体を抜き出し、それを前記製品流体供給管路からの製品流体と一緒にして一緒にした製品流体とし、該一緒にした製品流体を前記製品流体分給管路に導入し、補償ガスを前記第一のオリフィス及び前記補償ガス管路を通して前記第二の可変容積に導入すること、及び、
(c)第二の時間周期中に、前記製品流体供給管路からの製品流体の第一の部分を前記製品流体分給管路に導入し、前記製品流体供給管路からの製品流体の第二の部分を前記第一の可変容積に導入し、補償ガスを前記第二のオリフィス及び前記補償ガス排出管路を通して前記第二の可変容積から抜き出すこと、
を含む流体貯蔵及び分給方法を包含する。
【0008】
別の関連した実施形態は、ガスの発生、貯蔵及び分給システムであって、
(a)内側表面、内部、外部、及び前記内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器、
(b)前記圧力容器の内部に配置されたフレキシブルガス容器であって、該フレキシブルガス容器は内部、外側表面、及び該容器の内部を前記圧力容器の硬質の壁を通り抜ける第一の通路に接続する開口を有するフレキシブルガス容器、
(c)前記フレキシブルガス容器の内部によって画定される第一の可変容積であって、前記第一の通路が製品ガス供給管路及び製品ガス分給管路と直接連通していて、製品ガスを該第一の可変容積に導入し該製品ガスを該第一の可変容積から抜き出すようにされている、第一の可変容積、
(d)前記圧力容器の内側表面と前記フレキシブル流体容器の外側表面とによって画定される第二の可変容積であって、該第二の可変容積は該第二の可変容積に補償ガスを導入し該第二の可変から前記補償ガスを抜き出すようにされている第二の通路と連通している第二の可変容積、及び、
(e)より強く吸着される成分とそれほど強く吸着されない成分とを含むガス混合物からより強く吸着される成分を優先的に吸着してそれほど強く吸着されない成分を富ませた流出ガスを提供するのに適合した吸着剤物質が入った少なくとも一つの容器を含む圧力スイング吸着システムであって、該圧力スイング吸着システムは前記流出ガスを前記製品ガス供給管路及び前記第一の通路を通して前記第一の可変容積に直接供給するようにされている出口配管を含む圧力スイング吸着システム、
を含むガス発生、貯蔵及び分給システムに関する。
【0009】
別の実施形態は、ガスを発生、貯蔵及び分給するための方法であって、
(a)次の(1)〜(4)を含むガス貯蔵及び分給システム、すなわち、
(1)内側表面、内部、外部、及び前記内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器、
(2)前記圧力容器の内部に配置されたフレキシブルガス容器であって、該フレキシブルガス容器は内部、外側表面、及び該容器の内部を前記圧力容器の硬質の壁を通り抜ける第一の通路に接続する開口を有するフレキシブルガス容器、
(3)前記フレキシブルガス容器の内部によって画定される第一の可変容積であって、前記第一の通路が製品ガス供給管路及び製品ガス分給管路と連通していて、製品ガスを該第一の可変容積に導入し該製品ガスを該第一の可変容積から抜き出すようにされている、第一の可変容積、
(4)前記圧力容器の内側表面と前記フレキシブルガス容器の外側表面とによって画定される第二の可変容積であって、該第二の可変容積は該第二の可変容積に補償ガス管路を通して補償ガスを導入し該第二の可変容積から該補償ガス管路を通して該補償ガスを抜き出すようにされている第二の通路と連通している第二の可変容積、
を含むガス貯蔵及び分給システムを用意すること、及び、
(b)より強く吸着される成分とそれほど強く吸着されない成分とを含む原料ガス混合物を吸着剤物質の入った吸着容器に導入し、より強く吸着される成分の一部を優先的に前記吸着剤物質に吸着させ、前記吸着容器からそれほど強く吸着されない成分を富ませた流出ガスを抜き出して製品ガスとし、この製品ガスを前記製品ガス供給管路に直接導入すること、
を含むガスを発生、貯蔵及び分給するための方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一般的な実施形態の概略フローダイヤグラムである。
【図2】本発明の実施形態において用いられるブラダータイプの貯蔵タンクの断面図である。
【図3】ブラダータイプの貯蔵タンクと一体にした圧力スイング吸着を利用する本発明の具体的実施形態のための概略配管・計装図面である。
【0011】
これらの図面は、図示した構成要素の正確な関係や大きさを示すことなく本発明の実施形態を図示しており、必ずしも縮尺どおりではなく、そしてこれらの実施形態をそこに示されている構成要件のいずれにも限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、加圧流体の流量需要が変動及び/又は断続する用途において、加圧流体を供給するシステム及び方法を提供する。これらの実施形態は、内側表面、内部、外部、及び内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器を含む流体又はガス貯蔵システムを利用する。可動の仕切部材が圧力容器の内部に配置され、この仕切部材が内部を第一の可変容積と第二の可変容積に分割する。第一の可変容積は第二の可変容積と連通しておらず、仕切部材が第一の可変容積を第二の可変容積から隔離している。第一の可変容積と第二の可変容積の合計容積は、一般には本質的に一定であることができる。圧力容器の硬質の壁を通り抜ける第一の通路が第一の可変容積に通じており、第一の通路は製品流体を第一の可変容積に導入し第一の可変容積から製品流体を抜き出すのに適合している。圧力容器の硬質の壁を通り抜ける第二の通路が第二の可変容積に通じており、第二の通路は補償ガスを第二の可変容積に導入し第二の可変容積から補償ガスを抜き出すのに適合している。補償ガスは、製品流体に要求される供給圧力に等しい本質的に一定の圧力で製品流体がフレキシブル流体容器の内部に導入され又はそこから抜き出されるのを可能にする。
【0013】
このシステムは、(1)第二の通路を補償ガスの源と連通させる補償ガス管路、(2)補償ガス管路に設置されて上流側と下流側とを有する第一のオリフィス、(3)第二の通路と第一のオリフィスの下流側との間の箇所で補償ガス管路と連通しており、補償ガスを補償ガス管路から大気へ放出するのに適合している補償ガス排出管路、及び(4)補償ガス排出管路に設置されており、流動断面積が第一のオリフィスの流動断面積よりも小さい第二のオリフィス、を含む補償ガス供給システムを使用する。
【0014】
補償ガスとは、第一の可変容積が収縮又は膨張するにつれて、それぞれ第二の可変容積に導入される又はそこから抜き出されるガスと定義される。補償ガスは、第一の可変容積の圧力と本質的に等しい第二の可変容積の圧力を維持する。
【0015】
圧力容器の内部における第一及び第二の可変容積はいくつかのタイプの可動の仕切部材によって規定することができる。一つの実施形態では、ブラダーバッグを用いることができ、この場合はこのバッグの壁が可動の仕切部材になり、第一の可変容積はブラダーバッグの内部によって画定され、第二の可変容積は圧力容器の内側表面とブラダーバッグの外側表面とによって画定される。もう一つの実施形態では、ベローアセンブリを用いることができ、この場合はベローの壁が可動の仕切部材になり、第一の可変容積はベローの内部によって画定され、第二の可変容積は圧力容器の内側表面とベローの外側表面とによって画定される。
【0016】
別の実施形態では、軟質のダイアフラムアセンブリを用いることができ、この場合はダイアフラムの外周部が圧力容器の内壁にシールされ、ダイアフラムが可動の仕切部材になる。ダイアフラムは曲げるのが可能な及び/又は伸ばすのが可能な材料で形成される。第一の可変容積はダイアフラムの一方の面と、ダイアフラムのそちら側の圧力容器の内側表面とによって画定され、第二の可変容積はダイアフラムの他方の面とダイアフラムのそちら側の圧力容器の内側表面とによって画定される。
【0017】
更に別の実施形態では、ピストンを可動の仕切部材として用いて、圧力容器の内側表面に対して摺動可能なシールを形成することができる。第一の可変容積はピストンの一方の面とピストンのそちら側の圧力容器の内側表面とによって画定され、第二の可変容積はピストンの他方の面とピストンのそちら側の圧力容器の内側表面とによって画定される。
【0018】
他のタイプの可動仕切部材と圧力容器を所望のとおりに用いて、上で規定されたような第一及び第二の可変容積の機能を与えてもよい。
【0019】
本発明の一部の実施形態は、圧力容器の内部に配置されたフレキシブル流体容器を含む流体又はガス貯蔵システムを、フレキシブル流体容器の外側表面と圧力容器の内側表面との間の容積における圧力を制御する補償ガスとともに用いる。フレキシブル流体容器は、例えば、上述のようなブラダーバッグ又はベローアセンブリでよい。補償ガスは、製品流体又はガスを、製品流体又はガスに要求される供給圧力に等しい本質的に一定な圧力でフレキシブル流体容器に導入し又はそこから抜き出すのを可能にする。フレキシブル流体容器は製品ガスを生成する分離装置と統合することができ、統合された流体容器と分離装置は統合されたシステムの大きさを最小にしながら必要なピーク製品流量を供給する。
【0020】
本発明の典型的な実施形態を図1に示す。これは、空気から窒素を回収し、回収した窒素を所望の圧力と製品流量範囲で消費者に分給するためのものである。この例では、大気を管路1を通して約110と約160psigの間の圧力で供給し、その第一の部分が管路3を通って空気分離システム5へと流れる。空気分離は、任意の公知の方法によって、例えば圧力スイング吸着又は膜分離法によって、行うことができる。分離システムは、製品流体供給管路7を通して加圧窒素製品ガスを、最大でシステムの設計流量までの流量で、指定された以上の純度で、提供する。製品ガスは普通、設計製品流量以下の流量、管路1の原料ガス圧力より少し低い圧力、及び約50と90°Fの間の周囲温度で、少なくとも95vol%の窒素を含有する。窒素が減少した廃ガスが排出管路9を通して放出される。空気分離システムが設計製品流量を超えて運転された場合、製品純度は95vol%窒素を下回る。
【0021】
窒素製品ガスは、時間的に変動する流量で製品流体分給管路11を通してエンドユーザーに送給されるが、流量はときには空気分離システム5の生産能力を超えることがある。あるいはまた、もしくはそれに加えて、エンドユーザーによる窒素の需要が断続的になることがある。管路1の原料空気は、製品流体分給管路11におけるガスの圧力要件を満たす十分な圧力で供給される。変動する及び/又は断続する製品需要に応えるために、発生した窒素の一部分は管路13を通して、硬質の壁の圧力容器19の内部に配置されたフレキシブル流体又はガス容器17を含む可変容積ガス貯蔵システム15に振り向けることができる。このシステムは、フレキシブル容器17の内部21によって画定される第一の可変容積と、フレキシブル容器17の外側表面と圧力容器19の内側表面との間に形成される第二の可変容積を形成する。
【0022】
フレキシブル容器17は、製品流体供給管路7及び製品流体分給管路11と管路13を介して連通している通路27に容器内部21を接続する開口25を有する。フレキシブル容器17は、軟質の、膨張できる及び/又は伸長できる壁を有する任意のタイプの可変容積手段、例えば、ポリマー材料で作られるブラダーバッグ又は金属もしくはポリマー材料で作られるベロー、により形成することができる。この実施形態では、フレキシブル容器17はポリマー材料、例えばブチルゴム、で作られるブラダーバッグである。ポリマー材料は、ブラダーバッグに入れられる流体との相性のよいものでなければならない。通路27は、圧力容器19の上方の壁又は鏡板を通り抜ける開口を通過し、それにシールして保持される。第二の可変容積23は、必要ならば弁29及び排出管路31を通して排気することができる。
【0023】
圧力容器19は、補償ガス管路35を通して補償ガスを導入し及び抜き出すための開口33を有する。この実施形態では、補償ガスは空気であるが、フレキシブル容器17の材料との相性のよい任意の適当なガスを用いてもよい。補償ガスは管路1から原料空気の第二の部分として供給され、管路37、三方二位置弁39、及び管路41を通ってオリフィス43へと流れる。管路45が、オリフィス43を補償ガス管路35及び補償ガス排出管路47と連通させる。オリフィス49が、補償ガスの大気への流量をオリフィス49によって制御するため排出管路47に設置される。排出管路51が三方二位置弁39に接続され、オリフィス53が排出管路51に設置されて、下記で説明されるように補償ガスの追加の排出を可能にする。別の実施形態では、三方弁39とフローオリフィス53は含まれず、排出される全ての補償ガスはオリフィス49を通って流れる。
【0024】
補償ガス循環路は、製品ガスがフレキシブル容器17から流出するときに第二の可変容積23に補償空気を供給し、製品ガスがフレキシブル容器に流れ込むときに第二の可変容積23から補償空気を抜き出すように設計される。各オリフィスは普通、流体流動の技術分野において知られているようにオリフィスプレートに穿たれた円形の開口を含む。オリフィス43及び49の流動断面積と直径は、製品ガスをフレキシブル容器17から抜き出すときに補償空気を必要な圧力と流量で第二の可変容積23に供給するように選ばれる。オリフィス43は、補償ガスをフレキシブル容器17から抜き出される製品ガスとほぼ同じモル流量で供給するような大きさに作られる。オリフィス49は、フレキシブル容器17から製品ガスが放出されないときに、必要な製品ガス供給圧力とほぼ等しい背圧を管路35と45に生じさせるような大きさに作られる。三方弁39とフローオリフィス53が含まれる場合、補償ガスは、フレキシブル容器17が窒素製品ガスでいっぱいになっているとき、オリフィス49の他にオリフィス53を通って排気される。三方弁39は管路37を通る補償ガスの流れを遮断して、フレキシブル容器17から製品ガスが放出されていないときに補償ガスを保持する。
【0025】
第一及び第二の領域に対して適用される「連通」という用語は、流体が第一の領域から第二の領域へ、及び/又は第二の領域から第一の領域へ、接続配管及び/又は中間領域を通って流れることができるということを意味する。第一及び第二の領域に対して適用される「接続」という用語は、流体が第一の領域から直接第二の領域へ、又は接続配管を介して第二の領域へ流れることができるということを意味する。流れる流体に対して適用される「直接連通」という用語、及び「直接」という用語は、流体が第一の領域から第二の領域へ、及び/又は第二の領域から第一の領域へ流れることができ、領域間の流れの経路はいかなる容器、貯蔵タンク、又は処理設備とも連通しないが、但し流体の流れの経路は配管及び/又はオリフィスと弁から選択される一つ以上の流量制御装置を含んでもよい、ということを意味する。「富ませた」という用語は、分離プロセスから抜き出された流体又はガスの製品又は副生物の流れであって、その製品又は副生物の流れにおける成分の濃度が分離プロセスへの供給原料におけるその成分の濃度よりも高いものについて言うものである。
【0026】
ここで用いられる一般的な用語の「圧力スイング吸着」(PSA)は、最大圧力と最小圧力の間で運転する全ての吸着分離システムに適用される。最大圧力は普通、大気圧より高い圧力であり、最小圧力は大気圧より高い圧力、大気圧、又は大気圧より低い圧力であることができる。
【0027】
ここで用いられる(原文中の)不定冠詞“a”及び“an”は、明細書及び特許請求の範囲において、記載される本発明の実施形態におけるいずれかの構成要件に適用されるとき、1またはそれ以上を意味する。“a”及び“an”を使用しても、意味を単一の構成要件に限定するものではないが、但しそのような限定が明確に述べられている場合を除く。(原文中の)単数又は複数の名詞又は名詞句に先行する定冠詞“the”は、特定の明示された構成要件(単数又は複数)を表し、それが用いられる文脈に応じて単数又は複数の内包的意味を有することができる。(原文中の)形容詞“any”は、数量の如何によらず一つ、いくつか、又は全てを意味する。第一のものと第二のものの間に置かれた「及び/又は」という用語は、(1)第一のもの、(2)第二のもの、及び(3)第一のものと第二のもの、のうちの一つを意味する。
【0028】
ここで用いられる流体とは、液体、ガス、又は超臨界流体であることができ、一つ以上の成分を含むことができる。
【0029】
再び図1を参照すると、補償ガス循環路は、可変容積ガス貯蔵システム15によって空気分離システム5に最小限の背圧を及ぼし、従って空気分離システム5を通しての圧力降下を最大にする。例えば、補償ガス循環路は、フレキシブル容器17の内部21で約130psigの圧力を維持し、それにより製品流体供給管路7における圧力を約130psigに維持するように設計することができる。原料空気は、管路1を通して約140psigの標準的圧力で供給でき、それによって空気分離システム5を通しての圧力降下を制限し、ひいてはシステムを通る流量を制限することができる。これは窒素製品の最低純度、例えば窒素95vol%という純度を、維持する働きをする。空気分離システム5は、当該技術分野で知られている圧力スイング吸着(PSA)システム又は膜透過システムのいずれであってもよい。現在利用できるPSA及び膜による窒素発生装置の運転では、エンドユーザーからのたくさんの流量需要は窒素発生装置からの送り出し圧力の低下を招くことがあり、それにより窒素発生装置を通しての圧力降下を増大させ、ひいては窒素分離装置における保持時間を短縮して窒素製品の純度の低下をもたらすことがある。
【0030】
図1のシステムは、管路11を介してエンドユーザーが要求する製品ガスのタイミング、持続時間、及び流量に応じて、以下で説明する5つのモードのいずれかによって運転するよう適合される。
【0031】
1)第一のモード又は待機モードでは、ユーザーからの需要がなく、フレキシブル容器17はいっぱいになって圧力容器19の内部全体を占め、可変容積ガス貯蔵システム15の第二の可変容積23における補償ガス容積は本質的にゼロである。空気分離システム5は待機状態にある。このモードでは、第二の可変容積23への補償ガスの流れはなく、オリフィス43を通して供給される補償ガスは管路35の適当な背圧を維持しつつオリフィス49を通して排出される。オプションとしての三方二位置弁39とオリフィス53が用いられる場合、弁は管路37に対して閉じられ、管路41と51の間で開いて、補償ガス循環路をオリフィス53を通して大気に開放する。このオプションでは、どの管路でもガスの流れはない。
【0032】
2)第二の運転モードでは、製品流体分給管路11を通しての製品ガスの需要が製品流体供給管路7における製品ガスの利用できる流量を超え、フレキシブル容器17には貯蔵された製品ガスが入っている。これは、(a)システムが待機モードにあった後にユーザーによってガスが最初に要求されたときに、及び/又は(b)ユーザーの需要が設計純度での空気分離システムの能力より多いときに、起こることがある。これらの状況で、この運転モードでは、製品の不足分はフレキシブル容器17からの管路13によるガスの流出によって供給される。製品ガスがフレキシブル容器17から流出すると、補償ガスが管路35を通って第二の可変容積23に、製品ガスとほぼ同じモル流量と圧力で流入する。
【0033】
3)第三の運転モードでは、製品流体分給管路11を通しての製品ガスの需要が製品流体供給管路7における製品ガスの流量より少なく、フレキシブル容器17は製品ガスで満たされていない。この状況では、製品ガスが管路13を通ってフレキシブル容器17に流れ込む一方で、製品ガスは製品流体分給管路11を通ってユーザーへと流れる。製品ガスがフレキシブル容器17に流れ込むと、第二の可変容積23からの補償ガスが管路35を通って、製品ガスがフレキシブル容器17に流れ込むのとほぼ同じモル流量と圧力で流れる。過剰な補償ガスは管路47とオリフィス49を通して排出される。オプションとしての三方弁39とオリフィス53が用いられる場合、追加の補償ガスが管路51とオリフィス53を通して排出され、管路37の補償ガスの流れは遮断される。
【0034】
4)第四の運転モードでは、フレキシブル容器17は製品ガスで満たされており、ユーザーの製品ガス需要は設計純度での空気分離システム5の能力に等しいかそれ未満である。このモードでは、第二の可変容積23への補償ガスの流れはなく、オリフィス43を通して供給される補償ガスはオリフィス49を通して排出され、その間管路35では適当な背圧が維持される。オプションとしての三方弁39とオリフィス53が用いられ、管路11における製品ガスの流量が所定の値(例えば、1.2SCFM)より小さい場合、追加の補償ガスが管路51とオリフィス53を通して排出され、管路37の補償ガスの流れは遮断されて、管路35の圧力は大気圧になる。管路11の製品流量が所定の値(例えば、1.2SCFM)に等しいかそれより多い場合、オプションとしての三方弁39が作動して37からの補償ガスが33に送給されるのを可能にする。
【0035】
5)第五の運転モードでは、製品流体分給管路11を通しての製品ガス需要が設計純度での空気分離システム5の能力を超え、フレキシブル容器17は空になっている。このモードはめったに起こらないが、起こった場合には、空気分離システム5は低下した製品純度でより多くの製品流量を供給する。このモードでは、第二の可変容積23はいっぱいになっており、そこに補償ガスが流入することはない。オリフィス43を通して供給される補償ガスはオリフィス49を通して排出される一方で、管路35及び第二の可変容積23において適当な背圧を維持する。
【0036】
上の説明で用いられる補償ガスは、定義からして、第二の可変容積23においてフレキシブル容器17における圧力と本質的に等しい圧力を維持する役目をする。「本質的に等しい」の意味は、第二の可変容積23と第一の可変容積21のガスの圧力差が通常は無視できるほど又はゼロであるが、上述のいくつかの運転モードの始め又は終わりにはわずかに変化することがあるということである。
【0037】
第二の可変容積23に流れ込む補償ガスは、フレキシブル容器17から抜き出される製品ガスの容積に取って代わる。第二の可変容積23とフレキシブル容器17の間には、ガスをフレキシブル容器17から押し出すほどの実質的な圧力差はなく、第二の可変容積23は製品ガスをフレキシブル容器17からエンドユーザーへ送り込むガス圧縮機として機能しない。逆に、補償ガスは、対応する容積の製品ガスがフレキシブル容器17に流れ込むにつれ、第二の可変容積23から流れ出す。フレキシブル容器17と第二の可変容積23の間にはガスをフレキシブル容器17に引き入れるための実質的な圧力差はなく、第二の可変容積23はガスをフレキシブル容器17に引き入れるように機能しない。フレキシブル容器17における製品ガスの圧力は、空気分離システム5からの製品ガス圧力によって維持され、製品流体分給管路11を通してのエンドユーザーへの製品ガス圧力は空気分離システム5からの製品ガス圧力によって与えられる。
【0038】
可変容積ガス貯蔵システム15の代表的な実施形態を図2Aと2Bに示す。この実施形態では、図1の可変容積21は、例えばブチルゴムなどのポリマー材料で作られた、ブラダーバッグである。ポリマー材料はブラダーバッグに入れられる流体に適合すべきである。図2Aで、ブラダーバッグ17は圧力容器203の内部に、ブラダーバッグが本質的に製品ガス圧力でいっぱいになったときにブラダーバッグの壁が容器の内壁に接触するように設置される。可変容積のガス貯蔵システム15は、このモードでブラダーバッグの形が圧力容器203の内側表面の形をなぞり、又はそれに合致し、第二の可変容積219が本質的にゼロになるように都合よく設計することができる。このモードでのブラダーバッグのポリマー材料は伸ばされていない状態にあることができ、この場合ブラダーバッグの外側表面に概ね平行な方向のポリマー材料の引っ張り歪みは無視できるほどであるか又はゼロである。あるいはまた、このモードでのブラダーバッグのポリマー材料は伸ばされた状態にあってもよく、この場合ブラダーバッグの外側表面に概ね平行な方向のポリマー材料の引っ張り歪みは正である。
【0039】
ブラダーバッグ17の入口/出口通路205は圧力容器203の同様な形のネック207を通り抜けて、容器フランジ211の面と接触しているフランジセクション209によって開口の出口でシール可能に保持される。対になるフランジ(図示せず)がフランジセクション209を容器フランジ211の面に対してシールする。ブラダーバッグの壁の望ましくない引き伸ばしの可能性を最小にするか又はなくす、ブラダーバッグ17の出口を圧力容器203の出口に対してシールする他の方法を、考えることができる。圧力容器203は本質的に硬質の壁を有し、圧力容器203は運転圧力範囲で十分に硬い任意の材料で作ることができる。この材料は、普通、炭素鋼又はその他の合金鋼であるが、繊維強化ポリマー材料、又は圧力容器の技術分野で公知のその他の非金属材料であってもよい。圧力容器203は、補償ガス入口/出口213、及びオプションの排気用継手215を含む。
【0040】
図2Bは、可変容積ガス貯蔵システム15が、ガスをブラダーバッグ17の内部から抜き出して空気分離システム5の窒素生産能力を超える流量の製品ガスをエンドユーザーへ提供するモードにあるときのブラダーバッグ201の形状を示している。このモードでは、図示のように内部容積21が減少し第二の可変容積219が増加するにつれバッグは収縮して折り曲がる。ブラダーバッグが収縮すると、バッグは圧力容器203の内部構造部品によって拘束されていないので、壁は最小の曲げ応力で曲がる。開口205を通して抜き出される製品ガスと本質的に同じモル流量及び本質的に同じ圧力で補償ガスが入口/出口213に流れ込むので、内部容積21の減少は第二の可変容積219の増加に対応する。
【0041】
可変容積ガス貯蔵システム15と図1の補償ガス制御装置との組み合わせは、少なくとも二つの運転上の機能、すなわち、(1)エンドユーザーの需要が空気分離システム5の生産能力を超えたときにそれが製品ガスを供給すること、及び(2)それが空気分離システム5への背圧を制御してそれにより製品純度を維持すること、を有する。可変容積ガス貯蔵システムは、空気分離システム5が製品を産出しない時間を有するサイクルで運転するPSAシステムである場合に、第三の機能を有する。この第三の機能は、PSAの非生産期間の間に製品をエンドユーザーに供給できるように、バッファー容積を提供する。この非生産期間は、例えば、単一床PSAシステムで又は床間のガス移動の工程のある2床PSAシステムで、起こることがある。
【0042】
図3には、ブラダータイプの貯蔵タンクと統合した圧力スイング吸着を利用してエンドユーザーに窒素製品を供給する本発明の非限定の実施形態についての概略配管・計装図面が示されている。この実施形態では、加圧原料空気を管路301を通して110〜160psigで供給し、オプションとしてフィルタ303でフィルター処理し、逆止弁305を通して流す。加圧原料空気は、フィルター処理され乾燥されるべきであるが、エンドユーザーにより供給されてもよく、あるいは別の空気圧縮システム(図示せず)によって供給されてもよい。原料空気の第一の部分は管路307を流れ、第二の部分は管路309を流れて、下記で説明するように弁の作動のためのパイロットエアを供給する。管路307の空気の一部は管路311を流れ、2床のPSAシステムへの原料空気を供給し、第二の部分は管路313を流れて、下記で説明するようにブラダーバッグへ補償ガスを供給する。
【0043】
圧力スイング吸着システム315は、カーボンモレキュラーシーブ物質などの酸素の選択的吸着剤の入った2つの吸着容器317と319を含む。このPSAシステムは、容器の原料端部の流れ制御弁321、容器の製品端部の流れ制御弁323、及び容器の製品端部間の流れ制御弁325を含む。これらの流れ制御弁は循環式に作動してガスの流れを導き、下記で説明するようにPSAプロセスの循環工程を実現する。これらの弁は、当該技術分野で知られているように、任意のタイプのロータリー弁、ソレノイド作動弁、又は任意の空気圧作動弁でよい。この実施形態では、弁はソレノイド作動のパイロットエア流制御を備えた空気作動式のスプールアンドスリーブ弁でよい。
【0044】
パイロットエアは、信号線335、337、及び339を介してPSAロジックコントローラ333によってそれぞれに制御される流れ制御弁321、323、及び325のソレノイドへ流れる。PSAロジックコントローラ333は、ロジックコントローラ343から信号線341を介して制御信号を受信し、PSAシステムが動作しているとき信号線335、337、及び339を介してPSAサイクルの工程を制御する。ロジックコントローラ343は、下記で説明するように、エンドユーザーへのガス流量、ブラダータンクのガス圧力、及び補償空気管路のガス圧力に基づいて、PSAシステムの運転を開始及び停止する。あるいはまた、ロジックコントローラ333と343を組み合わせて単一のロジックコントローラにしてもよい。
【0045】
この実施形態では、二つの吸着容器317と319は原料端部で、それぞれ管路345と347を通して流れ制御弁321と連通している。加圧原料空気は管路311を通して制御弁321に供給される。流れ制御弁321からのPSA廃ガスは、管路349、351、及び352を通ってサイレンサー353へと流れ、そしてこの廃ガスは管路355を通して大気へ排出される。吸着容器317と319の製品端部は、それぞれ管路357と359を介して制御弁323と連通する。これらの吸着容器の製品端部は、管路361、オリフィス363、及び制御弁325を介して連通している。制御弁323は管路365を介してオリフィス367及び逆止弁369と連通し、製品窒素は製品流体供給管路371を通して供給される。
【0046】
PSAシステムは、ロジックコントローラ333及び制御弁321、323、及び325によって制御されるとき、以下の典型的なサイクル工程に従って運転することができる。
(1)加圧原料空気が弁321と管路345を通って吸着容器317の原料端部に流れ込み、容器は原料ガスによって運転圧力まで加圧され、酸素がそこで選択的に吸着されて、製品窒素が管路357と弁323を通して抜き出される。この吸着容器317の加圧/製品製造工程の間、吸着容器319は再生又はブローダウン工程で運転し、それまでに吸着された酸素が脱着されて、空隙空間のガスとともに管路347、弁321、管路349、管路351、管路352、及びサイレンサー353を通って流れ、廃ガスが管路355を通して大気へ排出される。
(2)吸着容器317の製品端部が、ブローダウン又は再生工程を完了したばかりの吸着容器319の製品端部と連通され、再加圧ガスが吸着容器317から吸着容器319へ流れて、容器内を中間レベルまで加圧する。この工程の間、システムは窒素製品ガスを産出しない。
(3)吸着容器317がブローダウン又は再生工程で運転し、それまでに吸着された酸素が脱着されて、空隙空間のガスとともに管路345、弁321、管路349、管路351、管路352、及びサイレンサー353を通って流れ、廃ガスが管路355を通して大気へ排出される。この間に、原料空気は弁321と管路347を通って吸着容器の原料端部へと流れ込み、酸素がそこで選択的に吸着されて、製品窒素が管路359と弁323を通して抜き出される。
(4)吸着容器317の製品端部が、加圧/製品製造工程を完了したばかりの吸着容器319の製品端部と連通され、再加圧ガスが吸着容器319から吸着容器317へと流れて、それにより容器の圧力を中間レベルまで高める。この工程の間、システムは窒素製品ガスを産出しない。
【0047】
工程(1)〜(4)が循環式に繰り返される。各工程の間に短い非流動期間を挿入して、弁321、323、及び325が次の位置に変わるための時間的余裕を持たせてもよい。一つの典型的な実施形態では、各工程の持続時間は、次のとおり、すなわち、(1)加圧/製品製造工程、55.5秒、(2)容器間のガス移動による減圧、4.5秒、(3)ブローダウン又は再生の短い非流動期間、55.5秒、(4)容器間のガス移動による加圧、4.5秒、でよく、そして工程間の短い非流動期間はおのおの約0.5秒でよい。この例における1サイクルの全持続時間は122秒である。
【0048】
必要に応じて、他の数の吸着容器及び他のPSAサイクルを使用してもよい。例えば、単一容器のシステムも用いることができるが、ブローダウン/再生工程の間は製品ガスが産出しないので、大きな可変容積ガス貯蔵システムが必要になる。あるいはまた、中断なしの製品の送給を可能にする、3つ以上の吸着容器を用いることができるが、必要な配管や弁操作はもっと複雑になる。
【0049】
上述したPSAシステムに可変容積ガス貯蔵システム及び補償ガスシステムを統合して、エンドユーザーに必要な製品ガス流量を提供することができる。再び図3を参照すると、管路313の加圧原料空気の主要部分は管路371を通って弁373に流れ、少量部分が弁373を作動させるためパイロットエアを管路375を通して供給する。弁373は、信号線377を介するロジックコントローラ343からの信号に従って次の二つのモード、すなわち、空気が管路379を通して補償ガスとして供給される第一のモード、及び、管路371からの空気の流れが遮断される一方で、補償ガス循環路の残留補償ガスが弁373、オリフィス381、管路383、排出管路351と352、及びサイレンサー353を通って流れ出る第二のモード、のいずれかで動作する。
【0050】
弁373が第一のモードで作動すると、補償ガスが管路379、オリフィス385、及び管路387を通って可変容積ガス貯蔵システム15の第二の可変容積23へ流れる。このガスの流れは、製品流体分給管路11を通るユーザーへの製品ガス要求量がPSAシステム315の能力を超えたときにブラダーバッグ又はフレキシブル容器17から流出する製品窒素ガスを補償する。オリフィス385から出るガスの一部は管路389を通ってオリフィス391へ流れ、そこから管路392と352、サイレンサー353、及び管路355を通して排出される。オリフィスの流動断面積は、(1)第二の可変容積23への補償ガスのモル流量がブラダーバッグ又は第一の可変容積21から管路13を通って出てゆく製品ガスのモル流量を補償するのに十分であり、且つ、(2)管路387及び第二の可変容積23における圧力がブラダーバッグ又は第一の可変容積21における圧力と本質的に等しくなるように、選ばれる。
【0051】
弁373が第二のモードで作動すると、管路371からの空気の流れは遮断され、補償ガス循環路の残留補償ガスは弁373、オリフィス381、管路383、排出管路351と352、及びサイレンサー353を通って流れ出す。更に、補償ガスは管路389、オリフィス391、及び管路392を通って管路352、サイレンサー353、及び排出管路355へ流れ出す。排出するガスは、管路13を通ってブラダーバッグ又は第一の可変容積21に入ってくる製品ガスを補償する。ブラダーバッグ又は第一の可変容積21がいっぱいのときは、全ての補償ガスが排出されて、補償ガス管路の圧力はほぼ大気圧になる。
【0052】
流量感知スイッチ393は流量を感知して、製品流体分給管路11の流量が所定の流量を超えると信号線394を介して信号をロジックコントローラ343に送る。流量感知スイッチ393は、所定の流量未満では標準的に開いており、この流量以上で閉じる。
【0053】
圧力感知スイッチ395は補償ガス管路387の圧力を感知して、管路387の圧力が第一の所定圧力を超えると信号線396を介して信号をロジックコントローラ343に送る。圧力感知スイッチ395は、第一の所定の圧力未満では標準的に開いており、この圧力以上で閉じる。
【0054】
圧力感知スイッチ397は管路13の圧力(ブラダーバッグ又は第一の可変容積17の圧力と本質的に同等である)を感知して、管路13の圧力が第二の所定の圧力を超えると信号線398を介して信号をロジックコントローラ343に送る。圧力感知スイッチ397は、第二の所定の圧力未満では標準的に閉じており、この圧力以上で開く。
【0055】
典型的な作動シーケンスを記述して本発明の実施形態を説明することができる。このシーケンスは第一のモードから開始し、このモードでは図3のシステムは待機中であり、製品流体分給管路11を通してのエンドユーザーによる流量需要はなく、ブラダーバッグ又は第一の可変容積21はエンドユーザーに要求される通常の圧力でいっぱいになっており、そしてPSAシステム315は作動していない。この第一のモードでは、流量スイッチ393は開いており、圧力感知スイッチ395は開いており、圧力感知スイッチ397は閉じている。ロジックコントローラ343が弁373を第一の位置に保持しており、この場合管路371を通る補償ガスの流れは遮断されて、補償ガス排出管路383が管路352、サイレンサー353、及び排出管路355を介して大気と連通している。ロジックコントローラ343はまた、PSAロジックコントローラ333に指令して弁321、323、及び325を非作動状態にする。
【0056】
エンドユーザーが製品流体分給管路11を介して製品を要求すると、第二の運転モードが始まる。エンドユーザーへのガスの流れは、管路13を通してブラダーバッグ又は第一の可変容積21から直ちに供給され、流量感知スイッチ393は速やかに閉じ、そしてスイッチからの信号が信号線394を介してロジックコントローラ343へ伝わる。このロジックコントローラは、弁373を作動させて補償ガスを管路371から、管路379、オリフィス385、及び管路387を通して第二の可変容積23に送り、それによりブラダーバッグ又は第一の可変容積21から抜き出された製品ガスを補償する信号を、信号線377を介して送る。ブラダーバッグ又は第一の可変容積21の製品ガスの圧力と本質的に等しい第二の可変容積23における要求圧力を維持するために、前述のように、一部の補償ガスはオリフィス391を通して排出されるように流れる。
【0057】
第三の運転モードは、そのすぐ後に始まり、このモードでは圧力感知スイッチ395が閉じ、このスイッチからの信号が信号線396を介してロジックコントローラ343に伝わる。このロジックコントローラは、信号線341を介して信号をPSAロジックコントローラ333に送り、そしてそれれがPSAシステム315の運転を開始させる。PSAシステムからの製品窒素が、管路365、流量制御オリフィス367、逆止弁369、及び管路371を通って流れ始める。エンドユーザーの製品需要がPSAシステムの設計生産量よりも少ない場合、管路371からの製品ガスの一部が管路11を通ってエンドユーザーへ流れ、残りの部分は管路13を通ってブラダーバッグ又は第一の可変容積21を再び満たすように流れる。これはブラダーバッグがいっぱいになるまで続く。エンドユーザーの製品需要がPSAシステムの設計生産量よりも多い場合は、管路371からの全ての製品ガスが管路11を通ってエンドユーザーに流れ、残りの製品ガスはブラダーバッグ又は第一の可変容積21から管路13を通して供給される。これはブラダーバッグが空になるまで続くことができるが、通常は、統合されたシステムが、PSAシステム315の生産能力とブラダーバッグ又は第一の可変容積21の容積がエンドユーザーの最大製品需要を満たすのに十分であるように設計される。
【0058】
第四の運転モードは、エンドユーザの製品需要が終止したときに始まる。流量スイッチ393が開き、このスイッチからの信号が信号線394を介してロジックコントローラ343に伝わる。このロジックコントローラは信号線377を介して、弁373を非作動状態にして管路371からの補償ガスを遮断する信号を送る。PSAシステムは所定の期間作動したままであり、必要ならばこの期間のうちの最初の部分でブラダーバッグ又は第一の可変容積21を充填するように運転する。この期間の残りの部分の間は、PSAシステムは、管路365を通る流れがないとは言いながら弁321、323、及び325が作動し続けるように作動したままである。例えば約5分であることができる、この所定の期間の終わりに、システムは上述のような第一のモードに戻り、弁321、323、及び325は作動を停止する。
【0059】
製品ガスがブラダーバッグ又は第一の可変容積21に流れ込んでいる運転期間にわたって、オリフィス385を通る補償ガスのモル流量とオリフィス391を通る補償ガスのモル流量の差の平均絶対値は、製品流体供給管路371の製品ガスのモル流量と製品ガス分給管路11の製品ガスのモル流量の差の平均絶対値と本質的に等しい。同様に、製品ガスがブラダーバッグ又は第一の可変容積21から流出している運転期間にわたって、オリフィス385を通る補償ガスのモル流量とオリフィス391を通る補償ガスのモル流量の差の平均絶対値は、製品流体供給管路371の製品ガスのモル流量と製品ガス分給管路11の製品ガスのモル流量の差の平均絶対値と本質的に等しい。
【0060】
上記では窒素ガス製品の供給に関して流体の産出、貯蔵及び分給システムを説明してはいるが、このシステムは、PSAシステム、ブラダーバッグ、配管及び計装構成部品の材料との相性のよい任意のガス、超臨界流体、又は液体を提供するのに用いることができる。
【実施例】
【0061】
ビードシーティング、タイヤ取付、及びタイヤを加圧する工程のための自動車用タイヤサービスシステムに窒素ガス製品を供給するために、図3のシステムを運転した。純度99.5vol%の窒素を、製品流体分給管路11を通して約140psigの送給圧力及び周囲温度で供給した。流量は、たいていの場合0と8SCFMの間であり、時によりビードシーティング工程で25SCFMのピーク流量に達した。ガス製品需要は不規則に変動し、タイヤ取付システムの作業員の作業に依存した。
【0062】
上述のようなPSAシステム315で、内径5.9インチ、長さ39インチの吸着容器を用い、各容器には26.5ポンドのカーボンモレキュラーシーブが入っている。PSAシステムは、サイクル持続時間122秒で上述したサイクルに従って運転し、最大で4SCFMまでの生産速度で少なくとも99vol%の製品純度が得られるように設計されている。製品純度は製品流量が4SCFMを超えると低下し、7SCFM生産速度では96vol%に低下する。
【0063】
供給空気は、エンドユーザーの施設により管路301を通して150psigで提供される。管路371のPSA製品圧力、ブラダーバッグ又は第一の可変容積21の製品ガス圧力、及び第二の可変容積23の補償ガス圧力は、平均して140psigである。ブラダーバッグ又は第一の可変容積21はブチルゴム製であり、いっぱいになって圧力容器19の内側表面と接触すると容積は4.7立方フィートになる。
【0064】
流量感知スイッチ393は1.2SCFMより少ない流量で標準的に開いており、この流量以上では閉じる。圧力感知スイッチ395は80psig未満で標準的に開いており、この圧力以上では閉じる。圧力感知スイッチ397は95psig未満で標準的に閉じており、この圧力以上では開く。オリフィスの直径は、363が0.100インチ、367が0.100インチ、381が0.021インチ、385が0.050インチ、391が0.018インチである。
【0065】
上述した貯蔵及び分給システムの実施形態は、任意のタイプの用途向けに加圧ガスを変動及び断続する流量で供給するために利用することができる。一部の代表的な用途としては、タンク及び容器の不活性化、製品の包装、パイプラインのパージング、及び自動車タイヤ工場の設備の運転操作が挙げられるが、用途はこれに限定されない。後者の用途では、例えば、取付及び脱離設備、タイヤの加圧、及びインパクトレンチやその他のガス作動式の工具などのためにガスを使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(a)〜(e)を含む流体貯蔵及び分給システム。
(a)内側表面、内部、外部、及び前記内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器
(b)前記圧力容器の内部に配置された可動仕切部材であって、該仕切部材は前記内部を第一の可変容積と第二の可変容積に分割し、前記第一の可変容積は前記第二の可変容積と連通していない、可動仕切部材
(c)前記圧力容器の硬質の壁を通り抜けて前記第一の可変容積に通じている第一の通路であって、該第一の通路は製品流体を前記第一の可変容積に導入し、前記第二の可変容積から前記製品流体を抜き出すようにされた第一の通路
(d)前記圧力容器の硬質の壁を通り抜けて前記第二の可変容積に通じている第二の通路であって、該第二の通路は補償ガスを前記第二の可変容積に導入し、前記第一第二の容積から前記補償ガスを抜き出すようにされた第二の通路
(e)補償ガス供給システムであって、
(1)前記第二の通路を補償ガス源と連通させる補償ガス管路、
(2)前記補償ガス管路に設置されて上流側と下流側とを有する第一のオリフィス、
(3)前記第二の通路と前記第一のオリフィスの下流側との間の箇所で前記補償ガス管路と連通する補償ガス排出管路であって、該補償ガス排出管路は補償ガスを前記補償ガス管路から大気へ放出するようにされている補償ガス排出管路、及び、
(4)前記補償ガス排出管路に設置され、流動断面積が前記第一のオリフィスの流動断面積よりも小さい第二のオリフィス、
を含む補償ガス供給システム
【請求項2】
前記圧力容器の内部の前記第一及び第二の可変容積が、ブラダーバッグ、ベロー、軟質ダイアフラム、及び前記圧力容器の内側表面との摺動可能なシールを形成するピストンからなる群から選択される可動仕切部材によって画定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
次の(a)〜(e)を含む流体貯蔵及び分給システム。
(a)内側表面、内部、外部、及び前記内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器
(b)前記圧力容器の内部に配置されたフレキシブル流体容器であって、該フレキシブル流体容器は内部、外側表面、及び該容器の内部を前記圧力容器の硬質の壁を通り抜ける第一の通路に接続する開口を有するフレキシブル流体容器
(c)前記フレキシブル流体容器の内部によって画定される第一の可変容積であって、前記第一の通路が製品流体供給管路及び製品流体分給管路と連通していて、製品流体を該第一の可変容積に導入し該製品流体を該第一の可変容積から抜き出すようにされている、第一の可変容積
(d)前記圧力容器の内側表面と前記フレキシブル流体容器の外側表面とによって画定される第二の可変容積であって、該第二の可変容積は該第二の可変容積に補償ガスを導入し該第二の可変容積から該補償ガスを抜き出すようにされている第二の通路と連通している第二の可変容積
(e)補償ガス供給システムであって、
(1)前記第二の通路を補償ガス源と連通させる補償ガス管路、
(2)前記補償ガス管路に設置されて上流側と下流側とを有する第一のオリフィス、
(3)前記第二の通路と前記第一のオリフィスの下流側との間の箇所で前記補償ガス管路と連通する補償ガス排出管路であって、該補償ガス排出管路は補償ガスを前記補償ガス管路から大気へ放出するようにされている補償ガス排出管路、及び、
(4)前記補償ガス排出管路に設置され、流動断面積が前記第一のオリフィスの流動断面積よりも小さい第二のオリフィス、
を含む補償ガス供給システム
【請求項4】
前記製品流体が窒素ガスである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記補償ガスが空気である、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記フレキシブル流体容器がポリマー材料製のブラダーバッグである、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記第二の可変容積が本質的にゼロであるように前記ブラダーバッグの外側表面が前記硬質の圧力容器の内側表面と接触しているとき、前記ブラダーバッグのポリマー材料が引き伸ばされていない状態にある、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
加圧空気原料の流れから窒素ガスを回収するのに適合する圧力スイング吸着システムを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
加圧空気原料の流れから窒素ガスを回収するのに適合する膜分離システムを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
第一のポート、第二のポート、及び第三のポートを有する三方弁を含み、該第一のポートは前記補償ガス源に接続され、該第二のポートは前記第一のオリフィスの上流の前記補償ガス管路に接続され、該第三のポートは別の排出管路に接続され、そして第三のオリフィスが該別の排出管路に設置されていて、該三方弁は、前記補償ガス源を前記第一のオリフィスの上流の前記補償ガス管路に連通させる一方で該別の排出管路を閉鎖する第一の位置で作動するのと、前記第三の排出管路を前記第一のオリフィスの上流の前記補償ガス管路に連通させる一方で前記補償ガス源を閉鎖する第二の位置で作動するのとに適合している、請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
流体を貯蔵及び分給する方法であって、
(a)次の(1)〜(5)を含む流体貯蔵及び分給システム、すなわち、
(1)内側表面、内部、外部、及び前記内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器、
(2)前記圧力容器の内部に配置されたフレキシブル流体容器であって、該フレキシブル流体容器は内部、外側表面、及び該容器の内部を前記圧力容器の硬質の壁を通り抜ける第一の通路に接続する開口を有するフレキシブル流体容器、
(3)前記フレキシブル流体容器の内部によって画定される第一の可変容積であって、前記第一の通路が製品流体供給管路及び製品流体分給管路と連通していて、製品流体を該第一の可変容積に導入し該製品流体を該第一の可変容積から抜き出すようにされている、第一の可変容積、
(4)前記圧力容器の内側表面と前記フレキシブル流体容器の外側表面とによって画定される第二の可変容積であって、該第二の可変容積は該第二の可変容積に補償ガスを導入し該第二の可変容積から該補償ガスを抜き出すようにされている第二の通路と連通している第二の可変容積、及び、
(5)補償ガス供給システムであって、
(i)前記第二の通路を補償ガス源と連通させる補償ガス管路、
(ii)前記補償ガス管路に設置されて上流側と下流側とを有する第一のオリフィス、
(iii)前記第二の通路と前記第一のオリフィスの下流側との間の箇所で前記補償ガス管路と連通する補償ガス排出管路であって、該補償ガス排出管路は補償ガスを前記補償ガス管路から大気へ放出するようにされている補償ガス排出管路、及び、
(iv)前記補償ガス排出管路に設置され、流動断面積が前記第一のオリフィスの流動断面積よりも小さい第二のオリフィス、
を含む補償ガス供給システム、
を含む流体貯蔵及び分給システムを用意すること、
(b)第一の時間周期中に、前記第一の可変容積から製品流体を抜き出し、それを前記製品流体供給管路からの製品流体と一緒にして一緒にした製品流体とし、該一緒にした製品流体を前記製品流体分給管路に導入し、補償ガスを前記第一のオリフィス及び前記補償ガス管路を通して前記第二の可変容積に導入すること、及び、
(c)第二の時間周期中に、前記製品流体供給管路からの製品流体の第一の部分を前記製品流体分給管路に導入し、前記製品流体供給管路からの製品流体の第二の部分を前記第一の可変容積に導入し、補償ガスを前記第二のオリフィス及び前記補償ガス排出管路を通して前記第二の可変容積から抜き出すこと、
を含む流体貯蔵及び分給方法。
【請求項12】
第三の時間周期中に、前記製品流体供給管路からの全ての製品流体を前記製品流体分給管路に導き、補償ガスを前記第二の可変容積に導入せずあるいはそこから抜き出さない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記製品流体が窒素ガスであり、前記補償ガスが空気である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
次の(a)〜(e)を含む、ガスの発生、貯蔵及び分給システム。
(a)内側表面、内部、外部、及び前記内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器
(b)前記圧力容器の内部に配置されたフレキシブルガス容器であって、該フレキシブルガス容器は内部、外側表面、及び該容器の内部を前記圧力容器の硬質の壁を通り抜ける第一の通路に接続する開口を有するフレキシブルガス容器
(c)前記フレキシブルガス容器の内部によって画定される第一の可変容積であって、前記第一の通路が製品ガス供給管路及び製品ガス分給管路と直接連通していて、製品ガスを該第一の可変容積に導入し該製品ガスを該第一の可変容積から抜き出すようにされている、第一の可変容積
(d)前記圧力容器の内側表面と前記フレキシブル流体容器の外側表面とによって画定される第二の可変容積であって、該第二の可変容積は該第二の可変容積に補償ガスを導入し該第二の可変から該補償ガスを抜き出すようにされている第二の通路と連通している第二の可変容積
(e)より強く吸着される成分とそれほど強く吸着されない成分とを含むガス混合物からより強く吸着される成分を優先的に吸着してそれほど強く吸着されない成分を富ませた流出ガスを提供するのに適合した吸着剤物質が入った少なくとも一つの容器を含む圧力スイング吸着システムであって、該圧力スイング吸着システムは前記流出ガスを前記製品ガス供給管路及び前記第一の通路を通して前記第一の可変容積に直接供給するようにされている出口配管を含む圧力スイング吸着システム
【請求項15】
前記フレキシブル流体容器がポリマー材料製のブラダーバッグである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第二の可変容積が本質的にゼロであるように前記ブラダーバッグの外側表面が前記硬質の圧力容器の内側表面と接触しているとき、前記ブラダーバッグのポリマー材料が引き伸ばされていない状態にある、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
ガスを発生、貯蔵及び分給するための方法であって、
(a)次の(1)〜(4)を含むガス貯蔵及び分給システム、すなわち、
(1)内側表面、内部、外部、及び前記内部と外部の間の硬質の壁を有する圧力容器、
(2)前記圧力容器の内部に配置されたフレキシブルガス容器であって、該フレキシブルガス容器は内部、外側表面、及び該容器の内部を前記圧力容器の硬質の壁を通り抜ける第一の通路に接続する開口を有するフレキシブルガス容器、
(3)前記フレキシブルガス容器の内部によって画定される第一の可変容積であって、前記第一の通路が製品ガス供給管路及び製品ガス分給管路と連通していて、製品ガスを該第一の可変容積に導入し該製品ガスを該第一の可変容積から抜き出すようにされている、第一の可変容積、
(4)前記圧力容器の内側表面と前記フレキシブルガス容器の外側表面とによって画定される第二の可変容積であって、該第二の可変容積は該第二の可変容積に補償ガス管路を通して補償ガスを導入し該第二の可変容積から前記補償ガス管路を通して該補償ガスを抜き出すようにされている第二の通路と連通している第二の可変容積、
を含むガス貯蔵及び分給システムを用意すること、及び、
(b)より強く吸着される成分とそれほど強く吸着されない成分とを含む原料ガス混合物を吸着剤物質の入った吸着容器に導入し、より強く吸着される成分の一部を優先的に前記吸着剤物質に吸着させ、前記吸着容器からそれほど強く吸着されない成分を富ませた流出ガスを抜き出して製品ガスとし、この製品ガスを前記製品ガス供給管路に直接導入すること、
を含むガス発生、貯蔵及び分給方法。
【請求項18】
(c)第一の時間周期中に、前記第一の可変容積から製品ガスを抜き出し、それを前記製品ガス供給管路からの製品ガスと一緒にして一緒にした製品ガスとし、該一緒にした製品ガスを前記製品ガス分給管路に導入し、補償ガスを前記第一のオリフィス及び前記補償ガス管路を通して前記第二の可変容積に導入し、及び、
(d)第二の時間周期中に、前記製品ガス供給管路からの製品ガスの第一の部分を製品ガス分給管路に導入し、前記製品ガス供給管路からの製品ガスの第二の部分を前記第一の可変容積に導入し、補償ガスを前記第二のオリフィス及び前記補償ガス排出管路を通して前記第二の可変容積から抜き出す、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第一の時間周期又は前記第二の時間周期中に、前記第一のオリフィスを通る前記補償ガスのモル流量と前記第二のオリフィスを通る前記補償ガスのモル流量の差の平均絶対値が、前記製品流体供給管路における前記製品ガスのモル流量と前記製品ガス分給管路における前記製品ガスのモル流量の差の平均絶対値と本質的に等しい、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記原料ガス混合物が空気であり、前記それほど強く吸着されない成分が窒素である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記補償ガスが空気である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記原料ガス混合物と前記補償ガスが共通の加圧空気供給源によって提供される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第一の可変容積における製品ガス圧力を感知し、前記第二の可変容積における補償ガス圧力を感知し、前記製品ガス分給管路における製品ガス流量を感知することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記第二の可変容積における補償ガス圧力が第一の指定された圧力より高いとき、前記第一の可変容積における製品ガス圧力が第二の指定された圧力より低いとき、及び前記製品ガス分給管路における製品ガス流量が指定された流量より大きいときに、(i)前記原料ガス混合物の流れを前記吸着容器に導入し、前記吸着容器から製品ガスの流れを抜き出し、該製品ガスを前記製品ガス供給管路に直接導入し、及び、(ii)補償ガスの流れを前記第二の可変容積に導入し又は補償ガスの流れを前記第二の可変容積から抜き出す、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第二の可変容積における補償ガス圧力が第一の指定された圧力より低いとき、前記第一の可変容積における製品ガス圧力が第二の指定された圧力より低いとき、及び前記製品ガス分給管路における製品ガス流量が指定された流量より小さいときに、(i)前記吸着容器への前記原料ガス混合物の流れを終了し、前記吸着容器から抜き出される製品ガスの流れを終了し、及び、(ii)前記第二の可変容積への補償ガスの流れを終了し又は前記第二の可変容積から抜き出される補償ガスの流れを終了する、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−538223(P2009−538223A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512116(P2009−512116)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/012237
【国際公開番号】WO2007/139802
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】