説明

流動体収集容器

【課題】吸引管路又は吸引ポンプが吸引した流動体で汚染されることを防ぐ、流動体収集容器を提供する。
【解決手段】患者側に位置する排液チューブを接続するための分泌物接続部(24)、及び、吸引ポンプに接続するための真空接続部(25)を有し、リブによって分割される内部空間を有する、吸引した流動体を受け入れるための流動体収集容器であって、内部空間は、少なくとも、真空チャンバ(26)及び分泌物チャンバ(29)に分割され、2つのチャンバは、少なくとも1つの通路によって互いに接続されている。真空コネクタ(24)は真空チャンバ(26)に配置され、分泌物コネクタ(25)は分泌物チャンバ(29)に配置される。これによって、吸引した流動体により吸引管路又は吸引ポンプが汚染されることを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の流動体収集容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、特に胸部ドレナージに対しては、体腔又は創傷からの体液又は分泌物の吸引のために、通常、固定吸引システムが使用される。これらの吸引システムは、基本的には、吸引源、特に真空ポンプ、流動体又は分泌物収集容器、これらの間に配置されたサージタンク、並びに、接続管路、つまり、患者から分泌物容器につながる排液管路、前記分泌物容器からサージタンクにつながる接続管路、及び、前記サージタンクを吸引源に接続する真空管路から構成される。
【0003】
実際に、これらの吸引システムは効果的であることが分かっているが、患者ができるだけ早く動けるようになって、自分のベッドを離れられることが、特に胸部外科手術後の治癒過程にとっては不可欠である。
【0004】
従って、患者が少なくとも病院内において、一定の可動性を得られるように、前述の排液システムの構成要素をすべて可動フレーム上に固定することが既に提案されている。
【0005】
さらに、携帯用吸引ユニットが公知であり、これにより、実質的に、患者の移動範囲が向上する。これらの携帯用吸引ユニットは、大抵の創傷ドレナージに使用される。
【0006】
しかしながら、US−A−6,352,525には、胸部ドレナージに適すると言われる携帯型ポンプユニットが開示されている。これは、患者の体に固定することが可能なので、患者は自由かつ比較的スムーズに動くことができる。真空ポンプ、エネルギー源、真空チャンバ、及び、分泌物収集容器が、この排液ポンプユニットに組み込まれている。真空チャンバは第1の部分に、分泌物収集容器は第2の部分に、真空ポンプは第3の部分に配置されている。作動状態での第1及び第3の部分は、第2の部分の上側に配置され、互いに取り外し可能につながれており、第2の部分にも取り外し可能につながれている。排液コネクタ及び真空コネクタは、対応する部分を互いに結合する。この装置は、構造が比較的複雑で、その上、洗浄があまり簡単ではない。
【0007】
WO 99/10024は、外部管路を介して、同じく携帯可能な腎臓型の分泌物収集容器に連結されている、胸部ドレナージ用の携帯型ポンプユニットを記載している。この装置については、2つの別個のユニットを持ち運ばねばならず、さらにそれらが互いにホースでつながれているという欠点がある。
【0008】
さらに、EP−A−1,184,043には、特に創傷ドレナージ用の、小型吸引ポンプが開示されており、これは、吸引した物質の集液容器と蓋を有し、その運転に不可欠なポンプ構成要素はすべて、容器の蓋に組み込まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、吸引管路又は吸引ポンプが吸引した流動体で汚染されることを防ぐ、流動体収集容器を作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有する流動体収集容器により実現される。
【0011】
本発明による流動体収集容器は、患者側に位置する排液管路を接続するための分泌物コネクタと、吸引ポンプに接続するための真空コネクタを有する。この容器は、リブにより分割された内部空間を有し、この内部空間は少なくとも真空チャンバと分泌物チャンバに分割されており、この2つのチャンバは少なくとも1つの狭い通路によって互いに接続されており、真空コネクタは真空チャンバに配置され、分泌物コネクタは前記分泌物チャンバに配置されている。
【0012】
好ましくは、真空チャンバと分泌物チャンバは、互いに直結しているのではなく、間に中間チャンバが接続されている。好ましくは、また、分泌物チャンバの上部領域において、真空チャンバの下側に傾斜リブが設けられており、この傾斜リブにより流動体の急上昇が阻止される。
【0013】
真空チャンバと分泌物チャンバを分離した結果、真空コネクタは、逆止め弁又は膜がなくとも、比較的よく保護される。
【0014】
本発明に係る流動体収集容器は、特に、体液、及び/又は、空気の吸引のための携帯型吸引ポンプユニットのために使用可能である。携帯型吸引ポンプユニットは、ポンプアセンブリを有するポンプアセンブリ筐体、及び、このポンプアセンブリ筐体に取り外し可能に接続された少なくとも1つの分泌物又は流動体収集容器を有する。ポンプアセンブリ筐体は、前壁、後壁、及び、これら2つの壁の間に配置された側壁を有し、前壁と後壁はそれぞれ、この側壁を越えて突出する1つの壁縁を有し、流動体収集容器はこれらの壁縁の間に保持されている。これによって、流動体収集容器を、ポンプアセンブリ筐体に簡単に固定できるが、その中にしっかりと保持し保護することが可能となる。
【0015】
吸引ポンプユニットは、患者に動きやすさを最大限提供し、ユニットの操作を簡単にすることができる。
患者は、多様な方法で、吸引ポンプユニットを身につけて持ち歩くことができる。患者は、吸引ポンプユニットを、ストラップで首からつるすこともできるし、ベルトに固定することもできるし、又は、ストラップで肩にかけることもできる。患者が寝たきりの場合には、ユニットを机の上に置くか、又は単にベッドにぶら下げることも可能である。
【0016】
さらに、同じ筐体で、異なる大きさの流動体収集容器を使用することもできる。これによって、製造及び操作費用を減らすことができる。
【0017】
1つの好ましい実施形態においては、流動体収集容器を壁縁の間に保持し、内外に旋回させることができる。好ましくは、この容器を下部領域で保持してヒンジで動くようにし、上部領域でポンプアセンブリの筐体に係止することができる。
【0018】
好ましくは、容器は筐体から完全に取り外すことができる。容器を筐体にスナップどめ(be snapped into)できる場合には、容器の交換が容易となる。
【0019】
本発明の吸引ポンプユニットは、医療目的、特に胸部ドレナージ及び創傷ドレナージのために使用される。しかしながら、他の分野に利用することも可能で、例えば、外科手術中の体液吸引、又は、脂肪吸引にも使用できる。
【0020】
特に胸部及び創傷ドレナージの場合には、装置を絶えず作動させたままにして、活発に維持される長期的真空をかけることができるようにすると有益である。これにより、治癒の促進だけでなく、従来の装置ほど長く装置を使用することがなく、従って、従来の装置ほど長く借りる必要がないため、操作費用も低減される。
【0021】
さらなる有益な実施形態は、従属請求項に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、第1の実施形態における、本発明の吸引ポンプユニットの斜視図である。
【図2】図2は、図1の吸引ポンプユニットの、筐体の内部をのぞき込んだ図である。
【図3】図3は、流動体収集容器を部分的に外側に旋回させた状態の、図1の吸引ポンプユニットの1つの側から見た斜視図である。
【図4】図4は、図3の吸引ポンプユニットの、第2の側から見た斜視図である。
【図5】図5は、図1の吸引ポンプユニットの上面図である。
【図6】図6は、第2の実施形態における、本発明の吸引ポンプユニットの上面図である。
【図7】図7は、患者側に位置するチューブ用の、本発明のアダプタの斜視図である。
【図8】図8は、第3の実施形態における、筐体の2つのパーツの斜視図である。
【図9】図9は、第3の実施形態における、筐体の2つのパーツの斜視図である。
【図10】図10は、図8及び9の筐体に適合する流動体収集容器の斜視図である。
【図11】図11は、図10の流動体収集容器の第1のパーツの斜視図である。
【図12】図12は、図10の流動体収集容器の第2のパーツの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的を、添付の図の好ましい例示的実施形態を用い、以下、より詳細に述べる。
図1及び2は、本発明の吸引ポンプユニットの第1の例示的実施形態を示す。このユニットは、基本的には、図2のポンプアセンブリ6を内部に配置するポンプアセンブリ筐体1と、少なくとも1つの流動体収集容器2からなる。好ましくは、ちょうど1つの流動体収集容器2が備わっている。ポンプアセンブリ6は、吸引に必要な部分的真空を作り出す。流動体収集容器2は、ポンプアセンブリ6に接続することが可能で、その結果、容器2内に部分的真空を作り出すことができる。収集容器2は、吸引チューブ又は分泌物管路30を介して、体液を吸引する必要のある患者の腔又は創傷に接続され、吸引した体液を容器2が収集する。
【0024】
好ましくは、分泌物管路30だけでなく、例えば、分泌物管路内の圧力又は流量を測定できる計測管路31も、患者のところまで延びている。このため、好ましくは、両管路30,31を含む、二管式の患者チューブ3が使用される。チューブ3はここに描かれているように、筐体1から一直線に外へ延びる(lead out)ことができる。しかしながら、また、曲げて配置してもよいし、チューブ3の挿入が可能な、曲がったアダプタ片を使用することもできる。
【0025】
好ましくは、チューブ3はアダプタ7の上に取り付けられる。このアダプタを、図7に詳しく示す。アダプタは、好ましくは、射出成形技術により、プラスチックから作られる。アダプタは二重管コネクタ片71を有し、その上又は中に、二管式の患者チューブ3を挿入することができる。フランジ70がこの管コネクタ片71に形作られ、このフランジが筐体1の上に載る。このフランジを用いて、例えば締め付けによりアダプタ7を筐体1に固定することができる。筐体内にあるアダプタ7の部分は、筐体側の分泌物コネクタ19用の曲がった連結片72と、計測管路31用の接続片73を有する。連結片72とは反対側にある端部74は閉鎖されている。
【0026】
ポンプアセンブリ6は、基本的に、電気モータ60、蓄電要素61、ここでは電池、及び、真空ポンプ62からなる。モータ60は、好ましくはポンプ62上にフランジ付けされており、真空ポンプ62は、好ましくは筐体1に固定されている。十分に小さく、対応する用途に十分な力を有すれば、よく知られたポンプは全て適している。流量は、好ましくは、約5リットル/分である。好ましくは、二重作用(dual−action)膜ポンプが使用される。
【0027】
アセンブリ6は、好ましくは、筐体1のほぼ真ん中又は中央に配置されている。アセンブリ6は、筐体1とアセンブリ6の共通の重心により、持ち運び時に筐体1が横に傾くことを防止するように配置されることが有益である。
【0028】
ポンプアセンブリの筐体1は、基本的に、直方体として形成されており、後壁10、後壁にほぼ平行に延びる前壁11、これらの壁の間に配置された第1の側壁16、第1の側壁16にほぼ平行に延びる第2の側壁17、及び、上壁12と図では見えない下壁を有する。筐体1は、好ましくは、プラスチック又は金属でできている。後壁10及び前壁11は、平面的に構成することができるが、図3のように、前壁11が、中央の、外側に突出する出っ張り112を有することもできる。後壁10は、人体の形状に合わせて、体によりぴったり合うように、内側へ曲げることができる。それに応じて、前壁11もまた、曲げることができる。
【0029】
好ましくは、後壁10と前壁11は、最も大きい壁面を有する。さらに、上下壁12は、側壁16,17より長く構成されており、その結果、筐体1は水平に置かれた直方体を形成する。
【0030】
図には、携帯型吸引ポンプユニットを運ぶための、対応する留め具やストラップ用の固定手段は描かれていないが、これらは、筐体の後壁又は側壁に設置されることが好ましい。
【0031】
ポンプアセンブリ6用の操作要素は筐体1に備わっている。これらの要素は、好ましくは、上壁12に配置されている。ここに示された例では、ユニット又は装置をオン・オフするために、メインスイッチ5が備わっている。さらに、ディスプレイ及び操作フィールド15があり、ここで、装置についての状態情報、吸引過程、及び、最適な吸引に役立つ他の情報を表示、又は調べることができる。例えば、分泌物管路30を通る空気流量を計測して、表示フィールド15に表すことができる。また、測定データを保存し、適当なコマンド指示を入れることにより、表示フィールド15上にデータを表示するために、筐体1内にデータ蓄積要素を配置することもできる。
【0032】
さらに、真空ポンプ62又はモータ60を、このフィールド15を介して作動させることができ、又は、所望の吸引パラメータを入力又は選択することもできる。好ましくは、フィールド15は、よくあるタイプのタッチスクリーンフィールドである。しかしながら、また、このようなフィールドの代わりに、操作ボタンやスイッチ、及び、任意で、よく知られた液晶ディスプレイを使用することもできる。さらに、これらの要素を、異なる壁に配置することもできる。
【0033】
後壁10及び前壁11は、それらの縁によって、少なくとも第1の側壁16を越えて、好ましくは、両側壁及び上下壁をも越えて突出する。フィールド15は、突出している壁10,11によって、意図しない作動に対し保護される。
【0034】
流動体収集容器2も同様に、ほぼ直方体の形状である。収集容器は、互いに対してほぼ平行に延び、ほぼ平らな2つの壁22を有し、前後壁を形成する。側壁及び上下壁についても同様である。
【0035】
この流動体収集容器2は、筐体1に保持されており、筐体から引き離し、好ましくは完全に取り外すことができる。このため、筐体の後壁10及び前壁11は、第1の側壁16を越えて突き出す前壁縁110及び後壁縁100として図示された領域を有する。これらの壁縁100,110は、好ましくは曲線状に形成されており、それら自身の壁面にへこみを有する。容器2はこれらの壁縁100,110の間に保持され、曲線状の領域により、容器2をつかみやすく、手で保持しやすくなっている。
【0036】
図3及び4からわかるように、容器は、2つの縁100,110の間で内外へ揺れ動くことができるように配置されている。その下部領域において、壁縁100,110の間を揺れ動くことができるように保持されている。好ましくは、容器はこの位置にスナップどめすることができる。このため、対応するボルトが容器2の前後壁22にあり、対応する凹所が壁縁100,110にある。もちろん、ボルトが壁縁100,110にあり、凹所が容器2にあってもよい。さらに、容器2を揺れ動かして取り外すことができるような、他の種類の留め具も可能である。少なくともこの領域においては、容器2の前後壁22の形状は、壁縁100,110の形状に適合する。
【0037】
容器2は、上部領域で筐体1に係止することができる。このため、容器2は、筐体1の保持突起14が係合することのできる凹所20を有する。保持突起14は、解除ボタン又はスイッチ13により、凹所20との係合から解放することができ、その結果、容器2は外側に振り動くことができる。解除ボタン13は、好ましくは、上壁12に配置されている。付加的な支持として、容器2には、壁縁100,110に押しつけられる、突出するくいを、その前壁及び後壁に設けることができるので、係止解放後、容器2が自動的に装置1から脱落することはない。
【0038】
筐体1又はアセンブリ6を流動体収集容器2に接続するために、図3からわかるように、筐体1には、筐体側真空コネクタ18、及び、筐体側分泌物コネクタ19が配置されている。図4には、対になる容器側コネクタを見ることができる。容器側真空コネクタを24、容器側分泌物コネクタを25とする。両コネクタは、容器2の側壁23に配置されている。真空コネクタ24,18は、真空ポンプ62と容器2の間の接続を形成する。分泌物コネクタ19,25は、容器2を、分泌物管路30に接続可能なアダプタ7に接続する。
【0039】
容器2を取り外す場合には、容器側コネクタ25は閉鎖部材4を用いてふさぐことができる。閉鎖部材は、好ましくは、図4に見られるように、容器2につながれており、細長い部分とこの細長い部分の端に配置された閉鎖キャップを有する。閉鎖キャップは、コネクタ25をふさぐのに適している。コネクタ24は、水分が染みこめば、自動的に完全閉鎖するフィルタ(図示せず)によって閉じることもできるし、他の種類の閉鎖もまた可能である。
【0040】
図2から、ポンプアセンブリ筐体1の突出する縁、つまり、後ろ及び前の底縁101,111が、テーブルのような面上に載るための立位面を形成するのがわかる。しかしながら、流動体収集容器2は、好ましくは、この立位面の上方で、その底床を終え、その結果、筐体1に自由に吊り下がっている。しかしながら、図5からわかるように、流動体収集容器は、2つの壁縁100,110の間に案内され保持される。さらに、容器2は、好ましくは1つの側でだけ、筐体1を越えて突き出しているのがわかる。
【0041】
容器2の大きさは変えることができる。図5に比較的短い容器2を、図6により長い容器2を示す。容器は、同じ筐体1に固定することが可能であるように、壁縁100,110の間の領域において、同じ形状を有するだけでよく、残りの形状は任意である。
【0042】
図8及び9は、第3の例示的実施形態におけるポンプアセンブリ筐体1の、2つの向かい合うパーツを示す。これらの2つのパーツは、筐体1の後壁10(図8)、及び、前壁11(図9)を形成する。両パーツは、好ましくは、それぞれ、射出成形工程でプラスチックから一体的に形成されている。
【0043】
この2つのパーツ10,11は、互いから間隔をあけて保持された状態で、互いに挿入しあえるように設計されている。このため、垂直に突出する差込心棒113、及び、これに適合する向かい側の受入スリーブ114が、前記パーツ10,11の内側に配置されている。前記差込心棒113と受入スリーブ114もまた、好ましくは、壁と一体に、射出成形されている。
【0044】
2つの壁のうち1つ又は両方、ここでは後壁10に、取っ手12’を設けることができる。好ましくは、取っ手12’に、とい(trough)120が配置されており、このとい120の出っ張りは上方に解放されている。前記とい120は、患者のチューブ30の受け入れ又は固定に役立ち、チューブを、ポンプに沿って案内されるように保持する。
【0045】
少なくとも1つのパーツ10,11、好ましくは両パーツには、それらの先端側の縁に、上部及び下部ガイドスロット(slotted guide)115,116が設けられている。2つの向かい合う上部ガイドスロット115は、広がった挿入開口部、及び、隣接する、縁から離れて内側に向いて水平に延びる端部領域を有する。2つの向かい合う下部ガイドスロット116も同様に、広がった入り口領域を有する。しかしながら、この領域は、同様に縁から離れて内側に、斜め下方に向いたより下側の端部領域に合流する。前記ガイドスロット115及び116は、流動体収集容器2を支え、保持するために役立つ。
【0046】
対応するプラスチック製流動体収集容器2を、図10に示す。側壁23の領域において、前記流動体収集容器2は、後壁又は前壁上に一体的に射出成形され、そこから実質的垂直に突出する、上部及び下部ピン又はくい21,21’を有する。
【0047】
筐体1に収集容器2を取り外し可能に固定するためには、まず、前記収集容器2を、その下部ピン21’で、下部ガイドスロット116に止まるところまで差し込み、続いて、下部ガイドスロット116の端部位置によって画定される旋回軸周りの旋回運動により、上部ピン21で、上部ガイドスロット115又はその端部位置にスナップどめする。同種の留め具もまた、他の上述の例示的実施形態にとって好ましい。くいが筐体に配置され、ガイドスロットが容器に配置されてもよい。しかしながら、他の種類の留め具も可能である。
【0048】
図10からわかるように、この収集容器2の場合、容器側の真空接続部24と、容器側の分泌物接続部25は、もはや、上記例示的実施形態のものと同じ構造ではない。アダプタ片70もまた、必ずしも前又は後壁10に配置する必要はなく、筐体1の他の場所、例えば先端側に配置することもできる。さらに、凹所の代わりに、容器2に、容器2を筐体1に固定するための係合リブ23’を設け、この係合リブ23’に、筐体1の保持突起を係合することができる。あるいは、突起及び凹所又はリブを、容器又は筐体に配置することもできる。これらの特徴は、任意の所望する方法で、互いに組み合わせることができ、上述の例において使用することもできる。
【0049】
容器2には、1つのチャンバを設けることができる。しかしながら、前記容器2の内部空間は、好ましくは、図11及び12に示すように、分割して設計されている。この容器は、全ての例示的実施形態において使用することができる。さらに、前記容器は、他の種類の吸引ポンプにも適合する。
【0050】
容器2は、つなぎ合わせて共通の容器を形成する、2つのプラスチック射出成形パーツ2’,2’’から構成されている。前記パーツ2’,2’’は、好ましくは、透明に設計されている。2つのパーツ2’,2’’は、互いに差し込め、必要であれば、互いに融合させることができる。両パーツ2’,2’’は、内部空間に各種リブが設けられており、各種リブについて、以下詳細に説明する。2つのパーツ2’,2’’は、合致するリブを有し、その結果、前記パーツ2’,2’’が互いにつなぎ合わさると、共通のチャンバ及び領域を形成する。リブは、好ましくは、気密及び液密結合を作り出すように、互いにつなぎ合わされる際、互いに融合又は接着接合される。
【0051】
容器側の真空接続部24は、容器2の上部領域、好ましくは、筐体1にスナップどめするためのくい21,21’が横方向に設けられている側壁23に配置されている。真空接続部24は前記側壁23に連続開口部によって形成されている。開口部24は、真空通路261を除いて、容器2の内部空間の残りから、完全に密封して分離されている真空チャンバ26,26’に通じている。真空チャンバは、第1のパーツ2’にある第1の湾曲したリブ260と、第2のパーツ2’’にある、前記第1のリブ260と同じ形状の第2のリブ260’によって与えられる。通路261は、第1のパーツ2’、又は、ここで図示されたように、第2のパーツ2’’に配置することができ、又は、2つのリブ260,260’の接続点に配置することができる。真空通路261は、好ましくは、上部領域の、容器2の上壁近傍に配置されている。
【0052】
この真空チャンバ26,26’に隣接し、同様に上壁に沿って、中間チャンバ27,27’が続いている。真空通路261は、真空チャンバ26,26’を中間チャンバ27,27’に接続する。中間チャンバ27,27’は、好ましくは、第1のパーツ2’にある、直角に曲がった、第3のリブ270、及び、第2のパーツ2’’にある合致するリブ270’によって形成されている。また、2つの部分の1つ、又は中間領域には、ここでは中間通路271となっている通路が設けられており、この通路が、中間チャンバ27,27’を容器2の内部空間の残りに接続する。中間通路271は、好ましくは、真空チャンバ26,26’から遠く離れた領域に位置している。
【0053】
2つの通路261及び271は、相対的に狭い構造である。しかしながら、また、複数の通路を設けることも可能である。前記通路は、分泌物又は吸引した流動体の還流をできる限り防ぐには十分小さく、かけた真空でできる限り速やかに容器を作用させることができるには十分に大きくあるべきである。
【0054】
中間チャンバ27,27’の下側、及び、両パーツ2’,2’’内の中間通路271の下側には、それぞれ、中間通路271から真空チャンバ26,26’に向かって下方へ延びる、1つの傾斜リブ28,28’が配置されている。傾斜リブ28,28’は、内部空間を上部及び下部領域に分け、上部領域は下部領域よりかなり小さい体積を囲んでいる。傾斜リブ(28,28’)は、好ましくは、ともに、容器2の幅を全部ではないがかなりの部分に渡って延び、及び、前記容器の奥行き全体に渡って延びる。このようにして、吸引した流動体を、傾斜リブ28,28’に沿って下方に流さなければならない。
【0055】
下部領域にはまた、下部領域の高さのほぼ全体に渡り延びることが可能な、又は、その短い下部分に渡ってのみ延びることが可能な、垂直に走る分割リブ290,290’,291を設けることもできる。
【0056】
分泌物接続部25は、下部領域に配置されている。従って、下部領域は、吸引した流動体の受け入れに役立ち、分泌物チャンバ29,29’を形成する。分割リブ290,290’,291は、前記チャンバを、互いに流体的に接続されている補助チャンバに分ける。しかしながら、この場合、前記補助チャンバは、吸引した流動体が前後に波打つことを防ぐ。傾斜リブ28,28’は、上部領域への流動体の噴き出しを防ぎ、容器がわずかに傾斜した状態にある場合には、上部領域に流動体が逆流することを防ぐ。狭い通路の開口部、及び、特に、中間又は拡張チャンバの結果、迷路のような配置であることにより、それでもなお上部領域に入ってきた流動体が、真空接続部のところまで進むのが阻止される。
【0057】
図示しない1つの実施形態においては、リブを1つだけのパーツに配置し、第2のパーツを平らな構造とし、蓋として使用する。
【0058】
中間チャンバ27,27’は任意であるが、真空チャンバ26,26’と分泌物チャンバ29,29’間の直結を避けるので、好ましい。
【0059】
上記流動体収集容器は全て、異なる大きさで製造することができる。
【0060】
本発明の吸引ポンプユニットによると、流動体収集容器の簡単で確実な取り替えが可能となり、患者の可動性を高める。
【0061】
また、本明細書に開示された発明は以下の各項目1〜14のような構成とすることができる。
1.ポンプアセンブリ(6)を具備するポンプアセンブリ筐体(1)、及び、このポンプアセンブリ筐体(1)に取り外し可能に接続されている少なくとも1つの流動体収集容器(2)を有し、前記ポンプアセンブリ筐体(1)は、前壁(11)、後壁(10)、及び、これら2つの壁(10,11)の間に配置された側壁(16)を有する、体液及び/又は空気の吸引のための携帯型吸引ポンプユニットであって、
前記前壁(11)及び前記後壁(10)はそれぞれ、この側壁(16)を越えて突出する1つの壁縁(110,100)を有し、
前記流動体収集容器(2)は、これらの壁縁(110,100)間に保持されていることを特徴とする吸引ポンプユニット。
2.前記流動体収集容器(2)は、前記壁縁(110,100)間で、内外に旋回可能である、上記項目1に記載の吸引ポンプユニット。
3.前記流動体収集容器(2)は、前記壁縁(110,100)間の下部領域において、保持されヒンジで動くようになっており、上部領域において、前記ポンプアセンブリ筐体(1)に係止することができる、上記項目2に記載の吸引ポンプユニット。
4.解除部材(13)によって、前記流動体収集容器(2)を固定する係合から解放可能な保持突起(14)が備わっている、上記項目3に記載の吸引ポンプユニット。
5.前記流動体収集容器(2)は、前記下部領域において、前記ポンプアセンブリ筐体(1)にスナップ止めすることができる、上記項目3又は4に記載の吸引ポンプユニット。
6.前記容器(2)は突出するくい(21,21’)を有し、前記筐体(1)は横方向のガイドスロット(115,116)を有し、このくい(21,21’)及びガイドスロット(115,116)が、互いに係合状態に置かれることが可能である、上記項目3〜5のいずれか1項に記載の吸引ポンプユニット。
7.前記ポンプアセンブリ筐体(1)は、面上に置くための立位面を有し、前記流動体収集容器(2)は、この立位面の上方でその底床面を終える、上記項目1〜6のいずれか1項に記載の吸引ポンプユニット。
8.前記ポンプアセンブリ筐体(1)は、基本的に直方体として形成されている、上記項目1〜7のいずれか1項に記載の吸引ポンプユニット。
9.前記ポンプアセンブリ(6)は、少なくとも、モータ(60)と真空ポンプ(62)を含み、前記真空ポンプ(62)は膜ポンプで、前記ポンプアセンブリ(6)は、前記ポンプアセンブリ筐体(1)のほぼ中央に配置されている、上記項目1〜8のいずれか1項に記載の吸引ポンプユニット。
10.前記流動体収集容器(2)は、1つの側だけで、前記ポンプアセンブリ筐体(1)を越えて突き出ている、上記項目1〜9のいずれか1項に記載の吸引ポンプユニット。
11.患者チューブ(3)用のコネクタが、前記前壁(11)に配置されている、上記項目1〜10のいずれか1項に記載の吸引ポンプユニット。
12.真空コネクタ(18)及び分泌物コネクタ(19)が、前記ポンプアセンブリ筐体(1)の側壁(16)に配置されている、上記項目1〜11のいずれか1項に記載の吸引ポンプユニット。
13.患者チューブ(3)用のアダプタ(7)があり、前記アダプタ(7)は、前記ポンプアセンブリ筐体(1)の壁(11)に導入することができ、前記アダプタ(7)は、前記ポンプアセンブリ(6)及び前記流動体収集容器(2)に接続することができる、上記項目1〜12のいずれか1項に記載の吸引ポンプユニット。
14.前記コネクタ又はアダプタ(7)は、分泌物チューブ(30)及び計測チューブ(31)から成る、二管式の患者チューブ(3)を収容するように構成されている、上記項目11又は13に記載の吸引ポンプユニット。
【符号の説明】
【0062】
1 ポンプアセンブリ筐体
10 後壁
100 後壁縁
101 後方床面縁
11 前壁
110 前壁縁
111 前方床面縁
112 出っ張り
113 差込心棒
114 受入スリーブ
115 上部ガイドスロット
116 下部ガイドスロット
12 上壁
12’ 取っ手
120 とい
13 解除ボタン
14 保持突起
15 ディスプレイ及び操作フィールド
16 第1の側壁
17 第2の側壁
18 筐体側真空コネクタ
19 筐体側分泌物コネクタ
2 流動体収集容器
2’ 第1のパーツ
2’’ 第2のパーツ
20 凹所
21 上部くい
21’ 下部くい
22 後壁
23 側壁
23’ 係合リブ
24 容器側真空コネクタ
25 容器側分泌物コネクタ
26 真空チャンバの第1の部分
26’ 真空チャンバの第2の部分
260 第1のリブ
260’ 第2のリブ
261 真空通路
27 中間チャンバの第1の部分
27’ 中間チャンバの第2の部分
270 第3のリブ
270’ 第4のリブ
271 中間通路
28 第1の傾斜リブ
28’ 第2の傾斜リブ
29 分泌物チャンバの第1の部分
29’ 分泌物チャンバの第2の部分
290 第1の長い分割リブ
290’ 第2の長い分割リブ
291 短い分割リブ
3 患者のチューブ
30 分泌物管路
31 計測管路
4 閉鎖部材
5 メインスイッチ
6 ポンプアセンブリ
60 モータ
61 電池
62 真空ポンプ
7 アダプタ
70 フランジ
71 管コネクタ
72 連結片
73 接続片
74 端部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者側に位置する排液チューブを接続するための分泌物接続部(24)、及び、吸引ポンプに接続するための真空接続部(25)を有し、リブによって分割される内部空間を有する、吸引した流動体を受け入れるための流動体収集容器であって、
前記内部空間は、少なくとも、真空チャンバ(26,26’)及び分泌物チャンバ(29,29’)に分割され、
前記真空チャンバ(26,26’)は、前記容器(2)の上部領域に配置され、
前記2つのチャンバは、少なくとも1つの通路によって互いに接続されており、
前記真空コネクタ(24)は前記真空チャンバ(26,26’)に配置され、前記分泌物コネクタ(25)は前記分泌物チャンバ(29,29’)に配置され、
前記分泌物チャンバ(29,29’)の上部領域の、前記真空チャンバ(26,26’)の近傍に、傾斜リブ(28,28’)が配置されており、この傾斜リブ(28,28’)は、前記容器(2)の幅全体に渡ってではないが、その幅のかなりの部分に渡って延びており、しかしながら、前記容器(2)の奥行き全体に渡って延びていることを特徴とする流動体収集容器。
【請求項2】
真空チャンバ(26,26’)と分泌物チャンバ(29,29’)との間に、中間チャンバ(27,27’)が配置されており、真空通路(261)が前記真空チャンバ(26,26’)から前記中間チャンバ(27,27’)へ延び、そこから前記分泌物チャンバ(29,29’)へ中間通路(271)が延びる、請求項1に記載の流動体収集容器。
【請求項3】
前記真空チャンバ(26,26’)と前記分泌物チャンバ(29,29’)の間は直結していない、請求項2に記載の流動体収集容器。
【請求項4】
前記分泌物チャンバ(29,29’)は、垂直リブ(290,290’,291)によって、互いに接続された補助チャンバに分割される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の流動体収集容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−183353(P2012−183353A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−122707(P2012−122707)
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【分割の表示】特願2009−508081(P2009−508081)の分割
【原出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(503465052)メデラ ホールディング アーゲー (40)
【Fターム(参考)】