説明

流動体吐出ポンプ

【課題】金属製部材を有しないバックサクション効果を有する流動体吐出ポンプの提供。
【解決手段】ポンプ本体のピストン1の上昇によりポンプ室7内に発生する負圧により、ポンプ室7上端の吐出弁12が樹脂製吐出弁弁体10により閉じられるまでの期間、樹脂製吸込弁弁体8が、当該弁体8とポンプ室内壁6との間の摩擦抵抗により、前記負圧に抗して吸込弁9を閉じた状態にしておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流動体吐出ポンプに関し、特に詳しくは流動体を吐出した後に液だれを生じることのない、いわゆるバックサクション効果を有する流動体吐出ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、「バックサクション効果によって排出経路に残存する流動体をポンプの貫通路及び/又はシリンダー内に引き込むことができる新規なポンプ」(特許文献1の段落番号0006参照)として、「・・・ベースキャップと、・・・シリンダと、・・・スライダーと、・・・ヘッドとを備えるポンプであって、前記スライダーの貫通路に、・・・弁体を配設し、前記貫通路と弁体との相互間に、該貫通路を閉塞するまでの弁体の動作を遅延させて該弁体からノズルに至るまでに残存する液体を貫通路及び/又はシリンダ内に呼び込む極僅かな隙間を形成してなることを特徴とする液体排出用ポンプ」が記載されている(特許文献1の請求項1を参照。)。
【0003】
また、別の例では、特許文献2には、「ノズル部内の液の残存を防止することができ、しかも温度変化による液だれをも防止し得るポンプ」(特許文献2の段落番号0009参照)として、「・・・ポンプ本体と、・・・ピストンと、・・・ノズル部と、・・・吸込弁と、・・・吐出弁と、・・・第1のばね部材と、を備え、・・・前記吸込弁に、前記ピストンが拡張方向に移動する際に、吐出弁が完全に閉じるまでの間吸込弁を閉塞状態に保持してノズル部に残存する液体をポンプ室に戻し、さらに、温度変化による容器内の内圧増大に抗して吸込弁を閉塞状態に保持するべく、吸込弁の弁体を弁座に対して付勢する第2のばね部材を設けたことを特徴とするポンプ」が記載されている(特許文献2の請求項1参照)。
【0004】
従来、かかる吐出弁と吸引弁の開閉には、比重の大きい金属製の弁体、特に金属球が広く用いられ、ポンプ室内において前記弁体が上昇するときに弁を開放し、逆に下降するときに弁を閉じる機構が採用されていた。また、前記吸込弁弁体を前記吸込弁側に付勢する前記第2ばね部材にも、市場に広く流通している安価な金属製のスプリングコイルが広く用いられていた。一方、流動体吐出ポンプを構成する容器本自身は軽量な樹脂製のものが広く普及しるために、従来の流動性吐出ポンプの場合、その内容物の流動体を使いきった後、吐出ポンプ容器内に取り込まれた金属製の弁体および第2のばね部材を他の樹脂製の部材と分離して廃棄することが困難であり、効率的な資源の回収および再利用の観点から問題となっていた。
しかしながら、前記吸込弁弁体を比重の小さな樹脂製の弁体とすると、ポンプ室内が負圧となったとき、前記ポンプ室内における流動体中で前記樹脂製弁体が自重により前記吸込弁を閉じておくことができず、適切なバックサクション効果が得られないという欠点があった。また、かかる問題を解消すべく採用されている前記第2ばね部材としての金属製スプリングコイルに替えて、弾性機能を有する高価な樹脂製スプリングコイルを採用することは、コストの面で実用的でないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−137329
【特許文献2】特開平7−96956
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記諸問題に鑑み、本発明においては、前記樹脂製弁体を用いながら、前記第2ばね部材に依らずに適切なバックサクション効果を有する、リサイクリングの容易な流動体吐出ポンプを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、内部に液体を貯溜するポンプ室を備えたポンプ本体と、
前記ポンプ室内で定められた距離区間内を略鉛直方向に往復移動自在に挿入されたピストンと、
ノズル部と、
前記ポンプ室と前記ノズル部とを連通する流通路と、
前記流通路と前記ポンプ室との境界に設けられる吐出弁と、
前記流通路内の前記吐出弁の上側に配置された樹脂製の吐出弁弁体と、
前記ポンプ室と前記ポンプ室外部との境界に設けられる吸込弁と、
前記ポンプ室内部に前記吸込弁の上側に配置された樹脂製の吸込弁弁体と、
前記ピストンを前記往復移動における上死点方向に常時付勢する付勢部材とを備え、
前記ピストンが前記往復移動における下死点にあるとき、
前記吐出弁弁体が、前記吐出弁を開放した状態にあり、
前記吸込弁弁体が、前記吸込弁を閉じた状態にあり、
前記状態の後、前記ピストンが前記下死点から前記付勢部材による付勢により前記上死点へ復動する過程で、
前記吐出弁弁体が前記吐出弁を閉じ、次いで、
前記吸込弁弁体が前記吸込弁を開放した後に、
前記ピストンが前記上死点に達し、かつ
前記吸込弁弁体が前記吸込弁を開放するまで、前記吸込弁弁体が前記吸込弁弁体と前記ポンプ室の内壁との摩擦抵抗により前記吸込弁を閉じていること、
を特徴とする流動体吐出ポンプであり、
請求項2は、前記吐出弁弁体または前記吸込弁弁体が円柱部と前記円柱部の長手方向のいずれか一箇所に前記円柱部の外周に沿って取り付けられたスカート状の鍔とからなる、請求項1の流動体吐出ポンプであり、
請求項3は、前記吐出弁弁体、前記開閉弁、または前記吸込弁弁体が熱可塑性樹脂から成る、請求項1または2に記載の流動体吐出ポンプあり、
請求項4は、前記付勢部材が、樹脂製のスプリングコイルである、請求項1から3のいずれか1項に記載の流動体吐出ポンプである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に依れば、流動体を吐出した後に、前記ポンプ室内と前記ノズル部分とを連通する前記流通路内に残存した前記流動体が、バックサクション効果によりポンプ室へ戻ることができる程度の十分長い期間に亘って、前記樹脂製の吐出弁弁体が、前記吐出弁を開放した後に、前記吐出弁を閉じることができる。
【0009】
また、本発明によれば、前記吐出弁が閉じられるまで、前記樹脂製の吸込弁弁体が前記第2ばね部材の付勢を必要とせずに前記吸込弁を閉じておくことができる。
【0010】
よって、本発明に依れば、全体として、金属製部材を用いずに適切なバックサクション効果を奏することにより液だれを防止することができる、リサイクリングの容易な流動体吐出ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ピストンが下死点にあるときの本願発明にかかる流動体吐出ポンプの断面図である。
【図2】ピストンが復動途中にあるときの本願発明にかかる流動体吐出ポンプの断面図である。
【図3】ピストンが復動の上死点に達した時点での本願発明にかかる流動体吐出ポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の流動体吐出ポンプは、容器本体、ポンプ本体、および付勢部材とを備えて成る。
【0013】
前記容器本体は、その内部に流動体を収容することができるものである。前記容器本体の形状は、この発明の目的を達成でき、かつ前記流動体を収容できる限り特に限定されず、例えば円筒型、多角筒型又は円錐台状筒型等を採用することができる。また、その材質としては、軽量で成型の容易な樹脂製であることが望ましい。
【0014】
前記容器本体内部に収容される前記流動体としては、例えば、洗髪剤又は化粧品等の中高粘度を有する流動体を好適例として挙げることができる。なぜならば、容器本体内に収容される流動体の内、吐出に際して液だれを生じ易いのは中高粘度を有する流動体であるからである。ここで、中高粘度を有する流動体として、1万〜10万Pa・s程度の粘度を有する流動体を挙げることができる。
【0015】
前記ポンプ本体は、少なくとも、押圧ヘッド、ピストン、ノズル部分、流通路、およびポンプ室を有する。
【0016】
前記押圧ヘッドは、前記容器本体に装着された状態で、略鉛直方向に定められた距離区間内で、前記区間の上死点から下死点に向かって移動する往動および前記区間の前記下死点から前記上死点に向かって移動する復動から成る往復動をすることができる。
【0017】
前記ピストンは、前記押圧ヘッドに嵌合されている、略鉛直方向に延長された樹脂製の管状の部材であり、前記押圧ヘッドが前記容器本体に装着されたときに、前記容器本体内部に装着されると共に、押圧ヘッドと共に前記往復動をする部材である。
【0018】
前記ノズル部分は、前記押圧ヘッドがその前記下死点へ向けて前記往動する過程で、前記容器本体に収容されている前記流動体を吐出させるための吐出口を有する部分である。
【0019】
前記流通路は、前記吐出される流動体が通過する通路であり、前記流通路の下部は、前記ピストン上部の内壁により形成される。前記流通路は、その上端に前記ノズル部分を有し、その下端に設けられた開口部である吐出弁を通じて前記ポンプ室と連通している。前記流動通路は、前記流動体が流通することができるように形成されてある限りその管路形状については特に制限はない。
【0020】
また、前記流通路は、その内部の吐出弁上側に樹脂製の吐出弁弁体を有する。前記吐出弁弁体は、前記ピストンの往復動に応じて、前記流通路内を上下動することにより、上記吐出弁の開閉を行う。
前記吐出弁弁体を形成する樹脂は、前記流動体に比べて充分低密度の樹脂である必要があり、この観点から、熱可塑性樹脂が好ましく、さらに好ましくは、低密度ポリエチレンである。
【0021】
前記ポンプ室は、前記容器本体内部に収容される流動体を貯留するための略鉛直方向に延長された略円筒状の空間であり、その上部は、前記ピストン下部の内壁により形成される。前記ポンプ室の上端は、開口部である前記吐出弁を通じて前記流通路と連通し、前記ポンプ室の下端は、開口部である吸込弁を通じて前記ポンプ室の外部と連通すると共に、前記ピストンが装着されている前記容器本体内部とも連通する。
【0022】
前記ポンプ室は、前記ピストンの往復動によりその容積が変化する。すなわち、前記ピストンが、前記下死点に向けて往動するときは、前記容積が減少し、逆に、前記ピストンが前記上死点に向けて復動するときは、前記ポンプ室の容積が増加する。
また、前記ポンプ室は、その内部の前記吸込弁上側に樹脂製の吸込弁弁体を有する。前記吸込弁弁体は、前記ピストンの往復動に応じて、前記ポンプ室内を上下動することにより、前記吸込弁の開閉を行う。
前記吸込弁弁体の形状は、前記上下動の際に、前記吸込弁弁体とこれが接する前記ポンプ室内壁との間に充分な摩擦抵抗が発生する形状である必要がある。例えば、円柱部と前記円柱部の長手方向のいずれか一箇所に前記円柱部の外周に沿って取り付けられたスカート状の鍔とからなる形状のものが好ましい。
【0023】
なお、前記ポンプ室は、前記吐出弁と前記吸込弁の間に、樹脂製の開閉弁を有していても良い。前記開閉弁は、前記ピストンの前記下死点に向かう往動の過程で開き、前記ピストンの前記上死点に向かう復動の過程で閉じる弁であり、前記吐出弁弁体の機能を補強する弁である。
【0024】
前記付勢部材は、前記押圧ヘッド直下で、前記ポンプ室上部および前記流通路下部の外壁周辺に配置され、前記ピストンの下死点から上死点に向かう復動を付勢する弾性を備えた部材である。押圧により前記下死点に達したピストンは、前記押圧が除かれた後、前記付勢部材の弾性力により自動的に復動を開始し、最終的に前記上死点に達する。
前記付勢部材の材質は、かかる弾性力を有するものであれば特に制限は無い。前記押圧ヘッドは、前記ピストンと脱着可能に嵌合させることが可能であるため、この場合、前記付勢部材が金属性であっても、前記流動体を使用済み後、前期押圧ヘッドを前記ピストンから取り外すことにより、前記金属性の付勢部材を樹脂製の前記容器本体等から分離して廃棄することができる。前記付勢部材の材質が前記流動体吐出ポンプの他の部材同様樹脂製であれば、前記付勢部材を分離することなく、本願に係る流動体吐出ポンプ全体をそのまま廃棄できるので、さらに容易な資源回収の観点から好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を示す図を参照しながら、本発明に係る流動体吐出ポンプの各部の作用を説明する。
【0026】
図1において、流動体吐出ポンプは、容器本体3、ポンプ本体、及び付勢部材2とを備えている。
ここで、前記ポンプ本体は、押圧ヘッド13、ピストン5、ノズル部分15、流通路11、およびポンプ室7を有している。前記押圧ヘッド13は、前記容器本体3に装着され、前記ピストン1が、前記押圧ヘッド13に嵌合されて、前記容器本体3内部に装着されている。
また、前記流通路11が、前記ノズル部分15と前記ポンプ室7とを前記吐出弁12を通じて連通している。前記流通路11は、前記吐出弁12の上側に樹脂製の前記吐出弁弁体10を有している。
さらに、前記ポンプ室7が、前記容器本体3の上部に嵌合されたキャップ4のキャップ水平部5の内壁に固定された略中空円錐状のハウジング6の内壁と前記ピストン1の内壁とにより形成されている。前記ポンプ室7の上端が、開口部である前記吐出弁12を通じて前記流通路11と連通し、前記ポンプ室7の下端が、前記吸込弁9を通じて前記ポンプ室の外部と連通することにより、前記容器本体3の内部とも連通している。前記ポンプ室7が、前記吸込弁9の上側に樹脂製の前記吸込弁弁体8を有している。前記吸込弁弁体8は、円柱部8aと前記円柱部の長手方向のいずれか一箇所に前記円柱部の外周に沿って取り付けられたスカート状の鍔8bとからなる形状を有している。
ここで、前記ピストン1の下端部の外壁が、前記ハウジング6の内壁に係合し前記ハウジング6の内壁と摺動可能に上下方向に往復動することにより、前記ポンプ室7の容積が変化する。前記往復動は、前記ピストン1が嵌合した前記押圧ヘッド13に作用する圧力およびこれと逆方向に前記押圧ヘッド13を付勢する前記付勢部材2の弾性力により引き起こされる。
【0027】
図1は、前記ピストン1が、前記付勢部材2の弾性力に抗して前記往動をした後に前記下死点に達した状態にある、本願発明にかかる流動体吐出ポンプの断面図である。
【0028】
図1において、前記ポンプ室7の容積は最小となっており、前記ポンプ室7内には正圧が発生している。かかる正圧に押されて樹脂製の前記吸込弁弁体8が前記吸込弁9を閉じている。同じく、前記正圧の圧力により樹脂製の前記吐出弁弁体10が、前記流通路11内を上方へ移動して、前記吐出弁12を開放している。
前記ポンプ室7内に貯留されていた前記流動体は前記開放された前記吐出弁12および前記流通路11を通じて前記ノズル部15から吐出されており、吐出しきれなかった前記流動体が前記流通路11内に残存している。
【0029】
図2は、図1の状態から、押圧ヘッド13への押圧が除去された後、前記付勢部材2の弾性により前記ピストン1が、前記上死点に向けて復動する過程における本発明に係る流動体吐出ポンプの断面図である。
図2においては、前記ピストン1の前記ポンプ室7内での位置が、図1の位置よりも上昇しており、前記ポンプ室7の容積が図1の状態よりも増加している。そのため、図1の状態から図2の状態へ移行する段階で前記ポンプ室7内に負圧が発生している。
ここで、前記吸込弁弁体の鍔8bと前記ポンプ室7を形成する前記ハウジング6の内壁との係合により発生する摩擦抵抗により、前記負圧にもかかわらず、前記吸込弁弁体8は、図1の状態から前記ポンプ室7内を上方へ移動することなく、前記吸込弁円柱部8aにより前記吸込弁9を閉じ続けている。
【0030】
一方、図1で前記流通路11の上方に移動して前記吐出弁12を開放していた前記吐出弁弁体12は、前記負圧によるバックサクション効果により前記流通路11を下方へ移動した結果、前記吐出弁12を閉じている。
【0031】
また、このとき、前記流通路内11に残存していた前記流動体も前記バックサクション効果により、前記吐出弁弁体10と共に前記流通路11内を前記ポンプ室7の方向へ移動するが、前記吐出弁弁体10の密度が前記残存流動体の密度よりも充分に低いので、前記残存流動体が前記流通路11から上記吐出弁12を通じて前記ポンプ室7内に再び滞留されるまで、前記吐出弁弁体10は前記残存流動体内を浮遊し続け、前記残存流動体が前記ポンプ室7内に再び滞留された後に前記吐出弁12を閉じている。
【0032】
本発明では、上記バックサクション効果により前記流通路11内の残存流動体を除去することにより、前記流通路内の残存流動体による液だれを生じることのない流動体吐出ポンプを提供することができる。
しかも、このとき、前記吸込弁弁体8が、それ自身と前記ポンプ室7の内壁との摩擦抵抗によって、前記吸込弁9を閉じているため、この吸込弁9を閉じるための前記第2ばね部材のような特別の付勢部材を必要としない。よって、本願発明に依れば、従来の流動体吐出ポンプよりも少ない部品点数で、高性能の流動体吐出ポンプを提供することができる。
【0033】
図3は、図2の状態からさらに前記付勢部材2の弾性力により前記ピストン1が復動を続け、前記上死点に達した時点での本発明に係る流動体ポンプの断面図である。
【0034】
図2の状態から図3の状態に移行する過程で、前記ポンプ室7内の容積はさらに増加し、これにより、前記ポンプ室7内にさらなる負圧が発生する。ここで、前記吐出弁12は、前記吐出弁弁体10により閉じられているので、増加する負圧に前記吸込弁弁体の鍔8bと前記ハウジング6の内壁との間の摩擦抵抗力が抗し切れなくなった時点で、前記吸込弁弁体鍔8bと前記ハウジング6の内壁との係合が外れることにより、前記吸込弁弁体8が前記ポンプ室7内を上方ヘ移動した結果、前記吸込弁9が開放されている。
このとき容器本体7に収容されていた前記流動体が前記吸収弁9を通じて前記ポンプ室7内に流入し、前記吸込弁弁体の鍔8bを押す。その際、前記鍔を構成する樹脂の可撓性により、前記鍔8bが、流動体の圧力に屈してすぼまることにより生ずる前記吸込弁弁体鍔8bと前記ハウジング6との間に生ずる間隙を通じて、前記流動体がさらに前記ポンプ室7内を上方へ移動し、前記ポンプ室7内に前記流動体が滞留される。
【0035】
また、このとき、前記容器本体内壁に上下方向摺動可能に装着された容器本体底部14が、大気圧の圧力により前記容器本体内壁に沿って上方へ移動している。
【符号の説明】
【0036】
1 ピストン
2 付勢部材
3 容器本体
4 キャップ
5 キャップ水平部
6 ハウジング
7 ポンプ室
8 吸込弁弁体
8a 吸込弁弁体円柱部
8b 吸込弁弁体鍔
9 吸込弁
10 吐出弁弁体
11 流通路
12 吐出弁
13 押圧ヘッド
14 容器本体底部
15 ノズル部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を貯溜するポンプ室を備えたポンプ本体と、
前記ポンプ室内で定められた距離区間内を略鉛直方向に往復移動自在に挿入されたピストンと、
ノズル部と、
前記ポンプ室と前記ノズル部とを連通する流通路と、
前記流通路と前記ポンプ室との境界に設けられる吐出弁と、
前記流通路内の前記吐出弁の上側に配置された樹脂製の吐出弁弁体と、
前記ポンプ室と前記ポンプ室外部との境界に設けられる吸込弁と、
前記ポンプ室内部に前記吸込弁の上側に配置された樹脂製の吸込弁弁体と、
前記ピストンを前記往復移動における上死点方向に常時付勢する付勢部材とを備え、
前記ピストンが前記往復移動における下死点にあるとき、
前記吐出弁弁体が、前記吐出弁を開放した状態にあり、
前記吸込弁弁体が、前記吸込弁を閉じた状態にあり、
前記状態の後、前記ピストンが前記下死点から前記付勢部材による付勢により前記上死点へ復動する過程で、
前記吐出弁弁体が前記吐出弁を閉じ、次いで、
前記吸込弁弁体が前記吸込弁を開放した後に、
前記ピストンが前記上死点に達し、かつ
前記吸込弁弁体が前記吸込弁を開放するまで、前記吸込弁弁体が前記吸込弁弁体と前記ポンプ室の内壁との摩擦抵抗により前記吸込弁を閉じていること、
を特徴とする流動体吐出ポンプ。
【請求項2】
前記吐出弁弁体または前記吸込弁弁体が円柱部と前記円柱部の長手方向のいずれか一箇所に前記円柱部の外周に沿って取り付けられたスカート状の鍔とからなる、請求項1の流動体吐出ポンプ。
【請求項3】
前記吐出弁弁体、または前記吸込弁弁体が熱可塑性樹脂から成る、請求項1または2に記載の流動体吐出ポンプ。
【請求項4】
前記付勢部材が、樹脂製のスプリングコイルである、請求項1から3のいずれか1項に記載の流動体吐出ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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