説明

流動体塗布方法及び流動体塗布装置

【課題】三角形状や円弧形状のフラップを有する封筒であっても、封緘時に糊や水を良好に塗布することができる技術を提供する。
【解決手段】ベルトコンベア2による搬送経路の途中には、エッジ位置計測用センサ24が配置されている。エッジ位置計測用センサ24の計測範囲をフラップF1が通過するとき、その遮光量に応じてエッジ位置を計測することができる。エンコーダ18の一定パルスごとにエッジ位置を計測し、計測した位置の変化量をΔy、一定パルス間の封筒E1の移動量をΔxとして、エッジの傾きΔy/Δxを算出する。この傾きに合わせてスプレーノズル26を移動させ、フラップF1の形状に合わせて糊又は水を塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の表面に流動体を塗布するための流動体塗布方法及び流動体塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の塗布方法又は塗布装置に関する先行技術として、封筒のフラップ部分に糊を塗布する糊付装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術では、封緘される前の封筒をチェーンコンベアで搬送しながら、そのフラップ部分に対向させた糊ノズルから糊を流出させることで、フラップ部分の表面に対して筋状に糊が塗布される。特に先行技術では、搬送中の封筒の位置を駆動軸の回転位相から検出しているため、糊ノズルの真下をフラップ部分が通過するタイミングを計って正確に糊付けをすることができると考えられる。
【特許文献1】特開平6−226887号公報(第3−4頁、図1、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した先行技術は、単純に封筒の搬送方向へ筋状に糊を塗布していくものである。このため先行技術は、横に長細い台形状のフラップ部分のように、その糊しろが搬送方向と平行な直線状である場合には無理なく適用することができる。しかしながら、フラップ部分が三角形状や円弧形状である場合、その糊しろが搬送方向に対して傾斜していたり、途中で折れ曲がっていたり、あるいはカーブしていたりするため、先行技術では糊しろの形状に合わせて糊を塗布することができない。
【0004】
この点、先行技術の糊ノズルに代えて、フラップ部分の長さ全体をカバーするだけの充分に大きな幅を有した刷毛やローラ等で糊を塗布すれば、結果的に糊しろを含む広範囲に糊を塗布することも可能である。しかしながら、このような手法では糊しろ以外の部分にまで糊が塗布されてしまうため、余分な糊が付着して封筒が汚れやすくなるという不具合が生じる。
【0005】
そこで本発明は、対象物を汚すことなく、多様な形状に対応して流動体を塗布することができる技術の提供を課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の基準線に対して端部分の少なくとも一部の輪郭線が平行でない形状を有した対象物の端部分に流動体を塗布するための流動体塗布方法である。所定の基準線は、端部分の付け根や基端となる位置に規定される直線が該当する。あるいは、対象物の本体に該当する部分の輪郭線を基準線とすることもできる。なお、端部分は輪郭線の全体が基準線と平行でない場合もあるし、基準線と平行でない部分の他に平行な部分が含まれている場合もある。いずれにしても、基準線に対して端部分の輪郭線が傾斜していたり、カーブしていたりする場合、その形状に沿わせて流動体を塗布する技術手段が必要である。
【0007】
このような輪郭線の形状に対応するため、本発明は所定の搬送経路を通じて基準線と平行な方向に対象物を搬送しながら、この搬送過程で、搬送に伴い対象物が一定の距離を移動するごとに搬送経路上に規定される計測地点で対象物の搬送方向と交差する方向にみた端部分の輪郭線の位置を計測する計測処理と、搬送に伴う対象物の移動量と計測した輪郭線の位置の変化量との関係から、搬送経路上に投影した端部分の輪郭線の形状を算出する算出処理と、搬送経路上の計測地点よりも下流に規定される塗布地点に塗布器具を配置するとともに、この塗布地点を対象物の端部分が通過するとき、算出した輪郭線の形状に基づいて塗布器具を対象物の搬送方向と交差する方向へ移動させることで、端部分の輪郭線に沿う部位のみに流動体を塗布する塗布処理とを実行する流動体塗布方法を提供する。
【0008】
また本発明は、上記の塗布方法を実行するため流動体塗布装置を提供する。流動体塗布装置は、対象物の搬送にコンベアを用いる。このコンベアは、搬送経路に沿って対象物を基準線と平行な方向に搬送するものである。このため対象物の端部分では、単純に搬送方向へ直線状に流動体を塗布しても、その輪郭線の傾斜やカーブの形状に沿わせて糊付けしたり、水を塗ったりすることはできない。
【0009】
そこで流動体塗布装置は、コンベアによる対象物の搬送速度に比例して周期的にパルスを発生させるパルス発生器と、搬送経路上に規定される計測地点に設けられ、パルス発生器により一定数のパルスが発生されるごとに、計測地点で対象物の搬送方向と交差する方向にみた端部分の輪郭線の位置を計測する計測器と、対象物の搬送に伴いパルス発生器により発生されたパルス数と計測器により計測された輪郭線の位置の変化量との関係から、搬送経路の表面上に投影した輪郭線の形状を算出する演算回路と、搬送経路上の計測地点よりも下流に規定される塗布地点で対象物に対向して設けられ、この塗布地点を対象物が通過するのに伴い、その端部分に流動体を塗布する塗布器具と、コンベアによる対象物の搬送に伴いその端部分が塗布地点を通過するとき、演算回路により算出された輪郭線の形状に基づいて塗布器具を対象物の搬送方向と交差する方向へ移動させることで、端部分の輪郭線に沿う部位のみに流動体を塗布させる塗布制御回路とを備える。
【0010】
この場合、搬送に伴う対象物の移動量は、これに同期して発生するパルス数から求めることができる。一方、搬送経路上に計測地点を規定し、この計測地点で搬送経路と交差する方向にみた端部分の輪郭線の位置を計測しておけば、対象物の移動量に対する輪郭線の位置の変化量を求めることができる。そして演算回路では、これらパルス数及び計測した位置の変化量の関係から、端部分の輪郭線の形状を二次元的に算出することができる。搬送経路を平面として考えると、算出された二次元形状はその平面上に投影された図形として捉えることができる。このように、端部分の輪郭線を二次元形状として算出しておけば、この形状に基づいて塗布器具の位置を容易に制御することができる。
【0011】
特に、対象物の端部分の少なくとも一部の輪郭線が基準線に対して傾斜した形状を有する場合、計測した輪郭線の位置の変化量を対象物の移動量で除することで、基準線に対する端部分の輪郭線の傾きを算出することができる。そして、この算出した輪郭線の傾きに基づいて、搬送に伴う対象物の移動量に対する塗布器具の搬送方向と交差する方向への移動量を決定することができる。
【0012】
このように、塗布器具の位置を制御することで、端部分の輪郭線よりも内側だけに正確に流動体を塗布することができる。このため、流動体が端部分の外側にはみ出たり、本来塗布するべきでない所に流動体を塗布したりすることがなく、不要な塗布によって対象物が汚れる事態を未然に防止することができる。
【0013】
また、本発明では端部分の際(輪郭線の直ぐ内側)まで流動体を塗布することができるため、糊しろとなる全ての部分に流動体を塗布することができる。この点、先行技術では端部分の際まで流動体を塗布することができず、塗布もれを生じるため、未封緘や封緘不良が生じるおそれがあるが、本発明では確実に封緘を完了させることができる。
【0014】
上記の塗布器具は、搬送される対象物の端部分の表面から離れた位置に配置されており、塗布器具からの吹き付けにより対象物の端部分に流動体が塗布される態様が好ましい。この場合、対象物が存在しない状態で塗布器具が搬送経路に接触しないため、搬送経路に不要な流動体が付着せず、それによって対象物が汚されることがない。また、塗布器具と対象物(端部分)とが直に接触しないことから、搬送途中で対象物が塗布器具に引っ掛かる心配がなく、搬送経路上で搬送詰まりが生じることはない。
【0015】
また、塗布器具が離れた位置にある場合、塗布器具と対象物の端部分の表面との間の距離を変更することにより、流動体の塗布幅を広げたり、狭くしたりする調整が可能となる。すなわち、流動体は塗布器具の噴出口から次第に拡がって塗布されるため、塗布器具と対象物の表面との間の距離を近づければ、それだけ塗布幅が狭くなり、反対に距離を遠ざければ、それだけ塗布幅は広くなる。この場合、実際に塗布される流動体の範囲を細かく調整できるという利点がある。
【0016】
より好ましい手法として、本発明では対象物の搬送に伴いその端部分が塗布地点に到達する開始タイミングと塗布地点を通過し終える終了タイミングとを計数し、この計数した開始タイミングから終了タイミングまでの期間にわたり塗布器具による流動体の塗布を行う。
【0017】
この場合、対象物が存在しない状態で塗布器具から流動体が塗布(噴射、流出等)されることがないので、対象物の汚れが確実に防止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、対象物が三角形状や円弧形状のフラップを有した封筒であっても、その輪郭線の形状を二次元的に算出し、その算出した結果に基づき、搬送される対象物に対して流動体を塗布するべき位置を正確に制御することができる。このため、輪郭線の形状が搬送方向に対して傾斜していたり、カーブしていたり、あるいは折れ曲がっていたりしても、その形状に付き従って所望の位置に流動体を塗布することができる。
【0019】
また本発明は、対象物(封筒)を搬送しながら流動体を塗布するため、多数の対象物に対して連続的に流動体を塗布する用途に適する。特に本発明は、互いに輪郭線の形状が異なる複数の対象物が続けて搬送されてきても、その一つ一つについて個別に輪郭線の形状を算出し、その算出結果に基づいて塗布器具を個別に移動させることができる。したがって、1つのコンベア(搬送経路)を用いて複数種類の形状を有する対象物(封筒)に流動体を塗布することができることから、本発明の産業上の利便性や利用価値は極めて高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、2種類の封筒E1,E2について、その封緘前の状態を裏面から示している。これら封筒E1,E2は、いずれも長辺部分にフラップF1,F2を有した横型洋形タイプのものである。このような横型の封筒E1,E2は内容物を自動的に封入する用途に適することから、その封入及び封緘作業が機械によって行われることが多い。
【0021】
図1中(A)に示される封筒E1は、一般に「ダイヤモンド貼り」と称される貼り方で成形されている。ダイヤモンド貼りでは、封筒E1のフラップF1、両サイドS1及びボトムB1がいずれも三角形状となる。封筒E1を封緘すると、そのフラップF1の先端(頂点)が封筒E1の中心付近に位置し、このとき封筒E1の裏側にできる合わせ目(重ねしろ)は、四隅から中心付近に集まるようにして形成される。
【0022】
一方、図1中(B)に示される封筒E2は、そのフラップF2が円弧形状(またはアーチ形状)である。このような形状のフラップF2を有する封筒E2は、例えば装飾的なデザインを重視した用途に用いられる。封筒E2は、一般に「内カマス貼り」と称される貼り方で成形されている。内カマス貼りでは、両サイドS2を折り込んだ上に台形のボトムB2が貼り合わせられる。そして封筒E2を封緘すると、ボトムB2の上に円弧形状のフラップF2が貼り合わせられる。
【0023】
いずれにしても、封緘機によって封筒E1,E2を機械的に封緘するためには、それぞれのフラップF1,F2を折り込む前に、糊しろP1,P2に糊を塗布する必要がある。もしくは糊しろP1,P2に乾燥した最湿糊(アラビア糊)が予め塗布されている場合、これを湿らせるために水を塗布する必要がある。これら糊しろP1,P2は、それぞれ折り込み線L1,L2に対して傾斜していたり、カーブしていたりするため、これらに対して機械的に糊や水を塗布する際に、本発明の流動体塗布装置を好適に用いることができる。以下に本発明の流動体塗布装置を封緘機に適用して、封筒に糊や水などの流動体を塗布する流動体塗布方法について説明する。
【0024】
図2及び図3は、一実施形態の流動体塗布装置の構成を概略的に示している。本実施形態では、先に挙げた2種類の封筒E1,E2のうち、ダイヤモンド貼りタイプの封筒E1を例として用いるが、封筒E2を用いることも可能である。
【0025】
流動体塗布装置はベルトコンベア2を備えている。このベルトコンベア2は、例えば2本の平行な搬送ベルト4を同一方向に周回させながら、これらの上面に封筒E1を載せた状態で封筒E1を水平方向(この例では右方向)に搬送する。搬送ベルト4の上方には、適度な間隔をおいてガイドローラ6が搬送方向に列をなして配置されている。これらガイドローラ6の列は、上面から封筒E1を適度な力で搬送ベルト4に押し付け、そのスリップや位置ずれを防止している。このため封筒E1は、搬送ベルト4の上面とガイドローラ6との間に挟み込まれながら、搬送ベルト4の走行に追随して搬送される。
【0026】
ベルトコンベア2には、搬送方向でみて例えば下流端の位置に駆動ローラ8が設置されている。駆動ローラ8は同一の駆動軸10に取り付けられており、図示しない駆動源(例えばモータ)により駆動軸10が回転される。なお、駆動ローラ8の反対側(搬送方向でみて上流端)には、各搬送ベルト4に対応して2つの従動ローラ12が設置されている。これら従動ローラ12もまた、同一の従動軸14に取り付けられている。各搬送ベルト4は、駆動ローラ8と従動ローラ12との間に掛け回された状態で、駆動ローラ8の回転力により走行する。また図示されていないが、各搬送ベルト4の内周位置には、搬送ベルト4の下面を支えるガイド板(またはガイドローラ)が設置されている。
【0027】
図2に示されているように、封緘される前の封筒E1は、フラップF1が本体(内容物を収容する部分)から飛び出た状態にある。この状態で、フラップF1は封筒E1の表面、つまり搬送ベルト4の上面と同じ平面上に位置する。2本並んだ搬送ベルト4の両外側でみた最大幅は、封筒E1の短辺の長さとほぼ同じに設定されている。このため、封緘される前の封筒E1がベルトコンベア2上に設置されたとき、そのフラップF1は搬送ベルト4の側方に突き出た状態となる。なお、ここでは特に図示していないが、封筒E1がベルトコンベア2に到達する前の工程で、封筒E1の中(収容部)には書類等の内容物が充填されている。
【0028】
本実施形態では、搬送方向でみてベルトコンベア2の側方に隣接して搬送ガイド16が設置されている。搬送ガイド16は一定の幅を有した板状材から成形されており、その上面に滑らかな搬送面を有している。この搬送面は、搬送ベルト4の上面と同じ平面内に位置し、かつ搬送ベルト4と平行に延びている。搬送ガイド16の幅はフラップF1の突出長さ(三角形の高さに相当する)よりも大きい。このためベルトコンベア2によって封筒E1が搬送されるとき、フラップF1は搬送ガイド16の搬送面上を滑りながら移動する。
【0029】
ベルトコンベア2には、各種の電子機器が付属している。先ずベルトコンベア2の駆動軸10には、ロータリ式のエンコーダ18が接続(ここでは直結)されている。このエンコーダ18は、駆動軸10の回転に同期したパルスを発生させる。
【0030】
次に、ベルトコンベア2の上方には、2本の搬送ベルト4の間に位置してエッジ位置計測開始用センサ20及び吹き付けタイミング制御用センサ22が設置されている。これら2つのセンサ20,22は搬送方向へ間隔をおいて配置されており、このうちエッジ位置計測開始用センサ20が上流に位置する。なお、これら2つのセンサ20,22はいずれも反射型のスポットビームセンサであるが、透過型のセンサを用いてもよい。ベルトコンベア2による搬送に伴い封筒E1がセンサ20,22の下方を通過するとき、それぞれの反射光から封筒E1の有無が検出される。
【0031】
またベルトコンベア2の側方で、搬送ガイド16と同じくフラップF1の突出する方向には、一組のエッジ位置計測用センサ24が設置されている。エッジ位置計測用センサ24は透過型のスクリーンビームセンサであり、その一組をなす投光器及び受光器が搬送ガイド16を挟んで上下に分かれて配置されている。エッジ位置計測用センサ24は、搬送方向だけでみると、ちょうどエッジ位置計測開始用センサ20と同じ地点で検出光(スクリーンビーム)を送受している。
【0032】
エッジ位置計測用センサ24の検出光(スクリーンビーム)は、その照射範囲が搬送方向と直交する方向に延びている。この照射範囲は、搬送方向と直交する方向でみて封筒E1のフラップF1が通過する全領域(フラップF1の突出長さ)よりも大きい幅を有している。このような照射範囲内をフラップF1が通過する間、その瞬間の遮光量に応じた値がエッジ位置計測用センサ24の出力値(最小値から最大値までの間)として得られる。なお図2に示されているように、搬送方向でみると搬送ガイド16は途中で分割されており、その間にエッジ位置計測用センサ24の照射範囲(光路)が確保されている。
【0033】
また流動体塗布装置は、スプレーノズル26を備えている。このスプレーノズル26もまた、ベルトコンベア2の側方で、搬送ガイド16と同じくフラップF1の突出する方向に配置されている。スプレーノズル26は、搬送方向でみると上記の吹き付けタイミング制御用センサ22よりも下流に位置する。この位置でスプレーノズル26は、例えば圧縮ガスによって下向きに流動体(糊溶液又は水)を霧状にして吹き付ける機能を有する。スプレーノズル26の吹き出し口は、ちょうどフラップF1が通過する領域に向けられている。
【0034】
スプレーノズル26は、水平移動用アクチュエータ28及び高さ調整用アクチュエータ30により支持されている。これらアクチュエータ28,30はいずれも直動タイプである。このうち高さ調整用アクチュエータ30は、固定具32を介して図示しないコンベアフレームに固定されており、これによって動作軸線が鉛直な状態に保持されている。
【0035】
もう一方の水平移動用アクチュエータ28は、その本体部分が高さ調整用アクチュエータ30の可動テーブルに取り付けられている。このため高さ調整用アクチュエータ30が作動すると、水平移動用アクチュエータ28が全体として上下に移動する。この状態で水平移動用アクチュエータ28は、その動作軸線が水平な状態で、かつベルトコンベア2の搬送方向に直交する状態で保持されている。
【0036】
スプレーノズル26は、水平移動用アクチュエータ28の可動テーブルに固定されている。このため水平移動用アクチュエータ28が作動すると、スプレーノズル26が水平方向、つまり搬送方向と直交する方向に移動する。
【0037】
図4は、本実施形態の流動体塗布装置における制御上の構成を示したブロック図である。流動体塗布装置は制御装置34を備えている。この制御装置34は、例えば中央演算処理装置(CPU)や記憶装置(ROM,RAM)、大容量磁気記録装置(ハードディスク)、入出力インタフェース(I/O)等を有した電子計算機から構成されている。制御装置34は専用に設計されたものであってもよいが、本実施形態では汎用のプログラマブルコントローラ(シーケンサ)を用いている。もしくは、既製品のパーソナルコンピュータやワークステーション等をカスタマイズして、制御装置34として用いることもできる。
【0038】
制御装置34には、上記のエンコーダ18からエンコーダパルスが入力される。制御装置34は入力されたエンコーダパルスを読み込み、これを分周処理して用いることができる。また制御装置34には、上記のエッジ位置計測開始用センサ20や吹き付け開始タイミング制御用センサ22、エッジ位置計測用センサ24からそれぞれセンサ信号が入力されている。
【0039】
一方、上記の水平移動用アクチュエータ28は、制御装置34から出力される指示信号に基づいて動作する構成となっている。なおここでは特に図示していないが、水平移動用アクチュエータ28には、その可動テーブルの位置を検出する位置センサが付属している。この位置センサからの検出信号は制御装置34に入力されている。本実施形態の場合、高さ調整用アクチュエータ30については制御装置34による制御ではなく、手動による調整が行われるものとなっている。スプレーノズル26からは下方に向けて放射状に流動体が塗布されるため、高さ調整用アクチュエータ30を操作してスプレーノズル26の位置を低くすると、それだけ流動体の塗布幅(領域)が狭くなる。反対に、スプレーノズル26の位置を高くすると、それだけ流動体の塗布幅(領域)広くなる。このように高さ調整用アクチュエータ30を手動で微調整し、スプレーノズル26の噴出口と封筒E1との間の距離を変更することで、流動体の塗布幅(領域)を変更することができる。これにより、実際に塗布される流動体の範囲を微調整することができる。なお、高さ調整用アクチュエータ30を制御装置34による制御対象としてもよい。
【0040】
また、上記のスプレーノズル26には吹き付け制御用ソレノイド36が内蔵されており、この吹き付け制御用ソレノイド36もまた、制御装置34から出力される指示信号に基づいて動作する。吹き付け制御用ソレノイド36は、圧縮ガスの流路(図示されていない)を開閉することで、スプレーノズル26から流動体を吹き出させたり、あるいはその吹き出しを停止させたりする。糊や水などの流動体は、図示しない供給ポンプから一定圧でスプレーノズル26まで供給(圧送)されている。
【0041】
その他、本実施形態では制御装置34に操作パネル40が接続されている。操作パネル40は、オペレータによる操作を受け付けたり、あるいは流動体塗布装置の動作に関する情報(作動時間、処理速度、処理枚数等)を表示したりする機能を有する。本実施形態では制御装置34にプログラマブルコントローラ(シーケンサ)を用いているが、パーソナルコンピュータやワークステーション等を用いた場合、操作パネル40はキーボードやマウス等の入力装置及びディスプレイ等の表示装置で代用することができる。
【0042】
〔流動体塗布装置の動作例〕
次に、流動体塗布装置の動作例について説明する。図5は、流動体塗布装置の動作に関連して発生する各種の信号や状態の時間的な変化を示している。本実施形態では、流動体の塗布を行う間のベルトコンベア2による搬送速度は一定に制御されている。このためエンコーダ18から出力されるエンコーダパルスは、一定の周期とパルス幅で連続的な波形を描いている。なお、図5には制御装置34にて分周されたエンコーダパルスが示されている。
【0043】
ベルトコンベア2により封筒E1が受け取られた初期の段階では、エンコーダパルスの他にはいずれのセンサ20,22,24にも信号の変化がみられない(図中の時刻t0)。また、この段階で制御装置34は吹き付け指示信号を出力しておらず、スプレーノズル26は待機位置にて停止している。この待機位置は、例えば水平移動用アクチュエータ28の可動ストロークの一端(ベルトコンベア2に近い方の端)である。
【0044】
次に、ベルトコンベア2による封筒E1の搬送に伴い、最初に封筒E1がエッジ位置計測用センサ24による検出地点(スポットビームの光軸上)に到達すると、制御装置34にはエッジ位置計測用センサ24から検出信号が入力される(図中の時刻t1)。またこの時点から、エッジ位置計測用センサ24のスクリーンビームがフラップF1によって遮光され、その入力値に変化が現れ始める。制御装置34には、エッジ位置計測開始用センサ20の検出信号が入力されている間(時刻t1〜t4)、分周したエンコーダパルスが発生するごとにエッジ位置計測用センサ24の入力値が読み込まれる。
【0045】
また封筒E1の搬送に伴い、封筒E1が吹き付けタイミング制御用センサ22による検出地点(スポットビームの光軸上)に到達すると、制御装置34には吹き付けタイミング制御用センサ22から検出信号が入力される(時刻t2)。
【0046】
吹き付けタイミング制御用センサ22から検出信号が入力された後に、制御装置34から吹き付け制御用ソレノイド36に対して吹き付け指示信号が出力される(時刻t3)。また、これと同時にスプレーノズル26が搬送方向と直交する方向に移動を開始する。吹き付け指示信号の出力により、スプレーノズル26からフラップF1に向けて糊又は水が吹き付けられる。このとき封筒E1の移動に伴い、これと直交する方向にスプレーノズル26が移動することで、フラップF1の輪郭線のすぐ内側(糊しろP1)の部分を正確にトレースするようにして糊又は水が塗布される。
【0047】
そして、吹き付けタイミング制御用センサ22の検出信号が入力されなくなると(時刻t5)、その後に制御装置34は吹き付け指示信号の出力を停止する(時刻t6)。これにより、吹き付け制御用ソレノイド36は糊又は水の吹き付けを停止させる状態に切り替わる。またこのとき、スプレーノズル26は待機位置に復帰する。
【0048】
以上が流動体塗布装置の動作の概略であるが、この間に制御装置34は演算処理を実行している。この演算処理は、エンコーダパルスの出力に合わせてフラップF1のエッジ位置を計測し、この計測したエッジ位置をもとにフラップF1の輪郭線の傾きを算出する処理である。そして制御装置34は、算出した輪郭線の傾きをもとにスプレーノズル26の位置を制御する処理を行っている。これら制御装置34の演算及び制御機能により、本実施形態の流動体塗布装置を用いて流動体塗布方法を実施することができる。
【0049】
以下に、制御装置34による各種処理の実行に伴って実行される流動体塗布方法について説明する。図6は、制御装置34により実行される形状算出処理の一例を示している。この形状算出処理では、最初に制御装置34はエッジ位置計測開始用センサ20から検出信号が入力されるのを待ち受ける(ステップS10)。検出信号が入力されたことを確認すると(ステップS10=Yes)、制御装置34は分周したエンコーダパルスが発生するごとにエッジ位置計測用センサ24からの入力値を読み込む(ステップS12)。なお、先の図5には、このとき読み込まれた入力値が丸い点印で示されている。
【0050】
エッジ位置計測用センサ24からの入力値を読み込むと、制御装置34はその入力値を用いてフラップF1の輪郭線の傾きを算出する(ステップS14)。そして制御装置34は、算出結果をRAM等の記憶装置に蓄積する(ステップS16)。なお、エッジ位置計測開始用センサ20から検出信号が入力されなくなると(ステップS10=No)、制御装置34はエッジ位置計測用センサ24からの入力値の読み込みを終了する。
【0051】
図7は、フラップF1によりエッジ位置計測用センサ24の検出光(スクリーンビーム)が遮光される様子を示している。上述のように、エッジ位置計測用センサ24は、その検出光の計測範囲が封筒E1の搬送方向と直交する方向に延びている。この計測範囲内にフラップF1がさしかかったとき、フラップF1による遮光量Yがエッジ位置計測用センサ24からの入力値として現れる。
【0052】
封筒E1の搬送に伴い、遮光量Yは0から最大値までの間で変化する。フラップF1が計測範囲内になく、未だ遮光量Yが0である場合、エッジ位置計測用センサ24からの入力値は最小(図5中MIN)となる。フラップF1が計測範囲内に進入し、遮光量Yが増えていくと、これに伴ってエッジ位置計測用センサ24からの入力値が増加する。そして、フラップF1の最も長く突出した部分が計測範囲を通過するとき、その瞬間の遮光量Yが最大値となり、エッジ位置計測用センサ24からの入力値は最大となる(図5中MAX)。
【0053】
このようにエッジ位置計測用センサ24からの入力値は、その瞬間におけるフラップF1の遮光量Yに対応する。そして図7に示されているように、このときの遮光量Yは、搬送方向と直交する方向にみたフラップF1の輪郭線の位置(Y座標)を表している。このため制御装置34は、エッジ位置計測用センサ24からの入力値からフラップF1の輪郭線の位置を計測することができる(計測処理)。なお輪郭線の位置は、計測範囲内のY座標や検出光の端点(遮光量Y=0の点)からの距離等によって特定される。
【0054】
一方、エンコーダパルスは、ベルトコンベア2による封筒E1の搬送速度に比例した周期で発生することから、制御装置34にてカウントされるエンコーダパルスの数は、搬送に伴う封筒E1の移動量に対応している。そして、制御装置34はエンコーダパルスの一定数(ここでは分周された1パルス)ごとにフラップF1の輪郭線の位置を計測し、パルス間の差をとることで、封筒E1の移動量に対応するフラップF1の輪郭線の位置の変化量を求めることができる。このとき輪郭線の位置の変化量(Δy)を封筒E1の移動量(Δx)で除することで、分周パルス間のフラップF1の輪郭線の傾き(Δy/Δx)が求められる。なお、ここでは傾き0が搬送方向と平行であることを意味し、傾き無限大が搬送方向に垂直であることを意味する。
【0055】
フラップF1が計測範囲を通り過ぎるまでの間、制御装置34がエッジ位置計測用センサ24からの入力値を読み込みながら上記の演算を行うことで、フラップF1の輪郭線の形状が二次元的に算出される。このとき得られた算出結果は、フラップF1が通過する搬送面上に投影した図形に相当する。
【0056】
次に図8は、制御装置34により実行される塗布制御処理の一例を示している。上記の形状算出処理と並行して、制御装置34はこの塗布制御処理を実行する。制御装置34は、例えばエッジ位置計測開始用センサ20から検出信号が入力されたことを開始トリガとして、この糊塗布制御処理を開始することができる。
【0057】
塗布制御処理では、制御装置34はスプレーノズル26が待機位置にあるか否かを確認する(ステップS20)。この確認は、例えば水平移動用アクチュエータ28の位置センサを用いて行われる。
【0058】
スプレーノズル26が未だ待機位置にあると判断した場合(ステップS20=Yes)、制御装置34は水平移動用アクチュエータ28に対する動作指令を出力し、スプレーノズル26を吹き付け開始位置に移動させる(ステップS22)。この吹き付け開始位置は、糊しろP1の最も先頭の部分が通過する位置(フラップF1の折り込み線L1に最も近い位置)に相当する。なお、スプレーノズル26が既に吹き付け開始位置に移動していれば(ステップS20=No)、制御装置34は次の手順に進む。
【0059】
続いて制御装置34は、吹き付けタイミング制御用センサ22からの検出信号が入力されているか否か確認する(ステップS24)。封筒E1が未だ吹き付けタイミング制御用センサ22の検出地点に到達していない場合(No)、次に制御装置34は流動体を吹き付け中であるか否かを判断する(ステップS32)。この段階では、スプレーノズル26から吹き付けを開始する前であるため(No)、制御装置34はそのまま塗布制御処理をリターンする。
【0060】
封筒E1が吹き付けタイミング制御用センサ22の検出地点に到達し、その検出信号が入力されると(ステップS24=Yes)、次に制御装置34は流動体を吹き付け中であるか否かを判断する(ステップS26)。封筒E1が吹き付けタイミング制御用センサ22の検出地点に到達した最初の段階では、未だスプレーノズル26から吹き付けを開始していないので(No)、この場合、制御装置34はその時点(図5中の時刻t2に相当)からm秒経過後に吹き付けを開始させる(ステップS28)。なお、ここでいうm秒は、封筒E1が吹き付けタイミング制御用センサ22の検出地点に到達してから、糊しろP1の先頭部分がちょうどスプレーノズル26の真下に移動するまでの所要時間に相当する。
【0061】
スプレーノズル26による吹き付けを開始すると、制御装置34はエンコーダパルスと形状算出処理にて算出した傾きに基づきスプレーノズル26を移動させる(ステップS30)。これにより、スプレーノズル26がフラップF1の輪郭線の傾きに沿って移動し、その内側にある糊しろP1の部分を正確にトレースしながら流動体を塗布していくことになる(図5中の時刻t3〜t5の動きに相当)。
【0062】
なお、スプレーノズル26により水又は糊を塗布する動作については、図5中の吹き付け指示信号に示されているように、水や糊をある一定の流量で連続的に塗布するパターンだけでなく、これを間欠的に塗布するパターンを用いることができる。例えば、制御装置34はエンコーダパルスを参照しながら一定の周期で吹き付け制御用ソレノイド36に対する指示信号を間欠的に出力(ON/OFF)してもよい。この場合、吹き付け指示信号は周期的な矩形波を描くことになる。吹き付け指示信号が出力されている(ON)期間は、スプレーノズル26の移動に伴い糊しろP1に水又は糊が塗布されていくが、出力されていない(OFF)期間は、スプレーノズル26が移動していくだけで水又は糊は塗布されない。これにより、糊しろP1に沿って断続的に水又は糊が塗布されることになるので、連続的に塗布した場合と比較すると、フラップF1の折り込み後に接着される領域が全体として少なくなり、また接着される領域同士の間に糊付けされていない領域が存在することになるため、封筒E1の開封時にユーザがフラップF1を剥がし易くなる。
【0063】
この後、封筒E1が検出地点を通り過ぎた時点で、吹き付けタイミング制御用センサ22から検出信号が出力されなくなる(ステップS24=No)。この場合、制御装置34は吹き付け中であることを確認し(ステップS32=Yes)、そこからn秒経過後に吹き付けを停止させる(ステップS34)。なお、ここでいうn秒は、封筒E1が吹き付けタイミング制御用センサ22の検出地点を通り過ぎた時点から糊しろP1の最後尾部分がちょうどスプレーノズル26の真下に移動するまでの所要時間に相当する。
【0064】
スプレーノズル26からの吹き付けを停止させると、最後に制御装置34はスプレーノズル26を待機位置に復帰させ(ステップS36)、塗布制御処理をリターンする。これにより、封筒E1への流動体の塗布は終了したことになる。
【0065】
制御装置34が以上の手順を実行することで、本実施形態の流動体塗布装置を用いて流動体塗布方法を実行することができる。この後、封筒E1はベルトコンベア2から次工程へと引き継がれ、そこでフラップF1の折り込み、そして糊しろP1の部分の接着が行われる。これにより、封筒E1の封緘が完了となる。
【0066】
上述した一実施形態の流動体塗布装置及びこれを用いて行われる流動体塗布方法によれば、フラップの輪郭線の形状に合わせて、正確に糊しろの部分だけに流動体(糊又は水)を塗布することができる。このため、その他の余計な箇所に糊や水分が付着することがないので、封筒E1の汚損や材料の延び、皺の発生などを抑えることができる。
【0067】
また、例えば1つのベルトコンベア2に2種類の封筒E1,E2を混在させて運転した場合であっても、その1つ1つについて形状算出処理を行い、その算出結果をもとに塗布制御処理を行うことで、個別のフラップF1,F2の形状に合わせてスプレーノズル26を移動させることができる。このため、同一の封緘機で他品種の封筒E1,E2を一度に扱うことができることから、実用上の価値が極めて高い。
【0068】
さらには、フラップの形状に製品個体差によるばらつきがある場合であっても、個々の製品ごとにフラップの輪郭線の形状を算出することができるため、全ての封筒に対して塗布位置の不良が生じることはない。この点、産業用ロボットのように予めプログラムされた動作しかできない装置では、封筒の種類の違いや製品個体差による形状のばらつきに対処することができない。これに対し、本実施形態では個別の製品に合わせて常に最適な位置をトレースするように流動体を塗布することができるという優れた利点がある。
【0069】
なお一実施形態では、透過型のスクリーンビームセンサを用いてフラップF1の輪郭線の位置を計測しているが、これに代えてCCDカメラを用いることもできる。この場合、CCDカメラにより得た画像データを認識処理し、そこから輪郭線の位置を抽出することで一実施形態と同様に輪郭線の形状(傾き)を算出することができる。
【0070】
また一実施形態では、対象物として2種類の封筒E1,E2を挙げているが、本発明は封筒に限らず、基準線に対して端部分の少なくとも一部の輪郭線が平行でない形状を有する対象物に流動体を塗布する用途に広く適用することができる。一実施形態では輪郭線の全体が傾斜又はカーブしている場合を挙げているが、本発明は輪郭線の一部が基準線に対して平行であり、その他の部分が傾斜やカーブしている場合でも適用できる。
【0071】
一実施形態では流動体の塗布器具としてスプレーノズル26を挙げているが、スプレーノズル26に代えて刷毛やローラを用いてもよい。この場合、吹き付け指示信号を高さ調整用アクチュエータ30に出力し、これを用いて刷毛又はローラを上下に移動させることで、その接触状態と非接触状態とを切り替えることができる。
【0072】
その他、一実施形態で挙げた各種センサや機器の配置はいずれも好ましい例示であり、本発明の実施に際して機器の配置を適宜に変更可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】一実施形態で取り上げる2種類の封筒について、その封緘前の状態を裏面から示した図である。
【図2】流動体塗布装置の概略的な構成を示した平面図である。
【図3】流動体塗布装置の概略的な構成を示した正面図である。
【図4】流動体塗布装置の制御に関する構成を表すブロック図である。
【図5】流動体塗布装置の動作に関連して発生する各種の信号や状態の時間的な変化を示したタイミングチャートである。
【図6】形状算出処理のフローチャートである。
【図7】輪郭線の位置を計測することでその形状を算出する原理を説明するための図である。
【図8】塗布制御処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
2 ベルトコンベア
4 搬送ベルト
16 搬送ガイド
18 エンコーダ
20 エッジ位置計測開始用センサ
22 吹き付けタイミング制御用センサ
24 エッジ位置計測用センサ
26 スプレーノズル(塗布器具)
28 水平移動用アクチュエータ
30 高さ調整用アクチュエータ
34 制御装置
E1,E2 封筒
F1,F2 フラップ
P1,P2 糊しろ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の基準線に対して端部分の少なくとも一部の輪郭線が平行でない形状を有した対象物の端部分に流動体を塗布するための流動体塗布方法において、
所定の搬送経路を通じて前記基準線と平行な方向に対象物を搬送し、この搬送過程で、
搬送に伴い対象物が一定の距離を移動するごとに前記搬送経路上に規定される計測地点で対象物の搬送方向と交差する方向にみた端部分の輪郭線の位置を計測する計測処理と、
搬送に伴う対象物の移動量と計測した輪郭線の位置の変化量との関係から、前記搬送経路上に投影した端部分の輪郭線の形状を算出する算出処理と、
前記搬送経路上の前記計測地点よりも下流に規定される塗布地点に塗布器具を配置するとともに、この塗布地点を対象物の端部分が通過するとき、前記算出した輪郭線の形状に基づいて前記塗布器具を対象物の搬送方向と交差する方向へ移動させることで、端部分の輪郭線に沿う部位のみに流動体を塗布する塗布処理と
を実行することを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項2】
請求項1に記載の流動体塗布方法において、
対象物の端部分の輪郭線が前記基準線に対して傾斜した形状を有する場合、
前記算出処理では、計測した輪郭線の位置の変化量を対象物の移動量で除することにより前記基準線に対する端部分の輪郭線の傾きを算出し、
前記塗布処理では、前記算出した輪郭線の傾きに基づいて、搬送に伴う対象物の移動量に対する前記塗布器具の搬送方向と交差する方向への移動量を決定することを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流動体塗布方法において、
前記塗布処理では、搬送される対象物の端部分の表面から離れた位置に前記塗布器具が配置されており、前記塗布器具からの吹き付けにより対象物の端部分に流動体が塗布されることを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項4】
請求項3に記載の流動体塗布方法において、
前記塗布処理では、搬送される対象物の端部分の表面と前記塗布器具との間の距離を変更することにより、前記塗布器具による流動体の塗布幅を変更可能であることを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の流動体塗布方法において、
対象物の搬送に伴いその端部分が前記塗布地点に到達する開始タイミングと前記塗布地点を通過し終える終了タイミングとを計数する計数処理をさらに実行し、
前記塗布処理では、前記計数された開始タイミングから終了タイミングまでの期間にわたり前記塗布器具による流動体の塗布を実行することを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の流動体塗布方法において、
前記計測処理では、対象物の搬送速度に比例して周期的にパルスを発生させながら、対象物の搬送に伴い一定数のパルスが発生するごとに端部分の輪郭線の位置を計測することを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項7】
内容物を収容する収容部分と、この収容部分に折り込み線を介して連結され、収容部分の外面に折り込んだ状態で接着されることにより収容部分を封緘するフラップ部分とを有し、このフラップ部分の少なくとも一部の輪郭線がその折り込み線に対して平行でない形状を有した封筒を封緘する前段階でそのフラップ部分に流動体を塗布する流動体塗布方法において、
収容部分に対してフラップ部分が折り込まれていない状態で、所定の搬送経路を通じて封筒をフラップ部分の折り込み線と平行な方向に搬送し、この搬送過程で、
搬送に伴い封筒が一定の距離を移動するごとに前記搬送経路上に規定される計測地点で封筒の搬送方向と交差する方向にみたフラップ部分の輪郭線の位置を計測する計測処理と、
搬送に伴う封筒の移動量と計測したフラップ部分の輪郭線の位置の変化量との関係から、前記搬送経路上に投影したフラップ部分の輪郭線の形状を算出する算出処理と、
前記搬送経路上の前記計測地点よりも下流に規定される塗布地点に塗布器具を配置するとともに、この塗布地点を封筒のフラップ部分が通過するとき、前記算出した輪郭線の形状に基づいて前記塗布器具を封筒の搬送方向と交差する方向へ移動させることで、フラップ部分の輪郭線に沿う塗布範囲内のみに流動体を塗布する塗布処理と
を実行することを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項8】
請求項7に記載の流動体塗布方法において、
封筒のフラップ部分の輪郭線がその折り込み線に対して傾斜した形状を有する場合、
前記算出処理では、計測した輪郭線の位置の変化量を封筒の移動量で除することにより折り込み線に対するフラップ部分の輪郭線の傾きを算出し、
前記塗布処理では、前記算出した輪郭線の傾きに基づいて、搬送に伴う封筒の移動量に対する前記塗布器具の搬送方向と交差する方向への移動量を決定することを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の流動体塗布方法において、
前記塗布処理では、搬送される封筒のフラップ部分の表面から離れた位置に前記塗布器具が配置されており、前記塗布器具からの吹き付けによりフラップ部分に流動体が塗布されることを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項10】
請求項9に記載の流動体塗布方法において、
前記塗布処理では、搬送される封筒のフラップ部分の表面と前記塗布器具との間の距離を変更することにより、前記塗布器具による流動体の塗布幅を変更可能であることを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項11】
請求項7から10のいずれかに記載の流動体塗布方法において、
封筒の搬送に伴いそのフラップ部分が前記塗布地点に到達する開始タイミングと前記塗布地点を通過し終える終了タイミングとを計数する計数処理をさらに実行し、
前記塗布処理では、前記計数された開始タイミングから終了タイミングまでの期間にわたり前記塗布器具による流動体の塗布を実行することを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項12】
請求項7から11のいずれかに記載の流動体塗布方法において、
前記計測処理では、封筒の搬送速度に比例して周期的にパルスを発生させながら、対象物の搬送に伴い一定数のパルスが発生するごとにフラップ部分の輪郭線の位置を計測することを特徴とする流動体塗布方法。
【請求項13】
所定の基準線に対して端部分の少なくとも一部の輪郭線が平行でない形状を有した対象物を所定の搬送経路に沿って前記基準線と平行な方向に搬送するコンベアと、
前記コンベアによる対象物の搬送速度に比例して周期的にパルスを発生させるパルス発生器と、
前記搬送経路上に規定される計測地点に設けられ、前記パルス発生器により一定数のパルスが発生されるごとに、前記計測地点で対象物の搬送方向と交差する方向にみた端部分の輪郭線の位置を計測する計測器と、
対象物の搬送に伴い前記パルス発生器により発生されたパルス数と前記計測器により計測された輪郭線の位置の変化量との関係から、前記搬送経路の表面上に投影した輪郭線の形状を算出する演算回路と、
前記搬送経路上の前記計測地点よりも下流に規定される塗布地点で対象物に対向して設けられ、この塗布地点を対象物が通過するのに伴い、その端部分に流動体を塗布する塗布器具と、
前記コンベアによる対象物の搬送に伴いその端部分が前記塗布地点を通過するとき、前記演算回路により算出された輪郭線の形状に基づいて前記塗布器具を対象物の搬送方向と交差する方向へ移動させることで、端部分の輪郭線に沿う部位のみに流動体を塗布させる塗布制御回路と
を備えたことを特徴とする流動体塗布装置。
【請求項14】
請求項13に記載の流動体塗布装置において、
対象物の端部分の輪郭線が前記基準線に対して傾斜した形状を有する場合、
前記演算回路は、前記パルス発生器により一定パルス数が発生される間に前記計測器により計測された輪郭線の位置の変化量を一定パルス数で除することにより前記基準線に対する端部分の輪郭線の傾きを算出し、
前記塗布制御回路は、前記演算回路により算出された輪郭線の傾きに基づいて、前記パルス発生器により発生されたパルス数に対する前記塗布器具の搬送方向と交差する方向への移動量を制御することを特徴とする流動体塗布装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の流動体塗布装置において、
前記塗布器具は、搬送される対象物の端部分の表面から離れた位置に配置されており、この位置から流動体を対象物の端部分に吹き付けて塗布することを特徴とする流動体塗布装置。
【請求項16】
請求項15に記載の流動体塗布装置において、
搬送される対象物の端部分の表面と前記塗布器具との間の距離を変更することにより、前記塗布器具による流動体の塗布幅を変更可能とする塗布幅変更手段をさらに備えることを特徴とする流動体塗布装置。
【請求項17】
請求項13から16のいずれかに記載の流動体塗布装置において、
前記搬送経路上で対象物の端部分が通過する通過領域内で前記塗布地点よりも上流の検出位置に設けられ、この検出位置を対象物の端部分が通過しているか否かを検出する通過検出器と、
前記検出器による検出結果に基づき、対象物の搬送に伴いその端部分が前記塗布地点に到達する開始タイミングと前記塗布地点を通過し終える終了タイミングとを計数する計数回路とをさらに備え、
前記塗布制御回路は、前記計数回路により計数された開始タイミングから終了タイミングまでの期間にわたり前記塗布器具による流動体の塗布を実行させることを特徴とする流動体塗布装置。
【請求項18】
内容物を収容する収容部分と、この収容部分に折り込み線を介して連結され、収容部分の外面に折り込んだ状態で接着されることにより収容部分を封緘するフラップ部分とを有し、このフラップ部分の少なくとも一部の輪郭線がその折り込み線に対して平行でない形状を有した封筒を封緘する前段階でそのフラップ部分に流動体を塗布する流動体塗布装置において、
収容部分にフラップ部分が折り込まれていない状態で、所定の搬送経路を通じて封筒をフラップ部分の折り込み線と平行な方向に搬送するコンベアと、
前記コンベアによる封筒の搬送速度に比例して周期的にパルスを発生させるパルス発生器と、
前記搬送経路上に規定される計測地点に設けられ、前記パルス発生器により一定数のパルスが発生されるごとに、前記計測地点で封筒の搬送方向と交差する方向にみたフラップ部分の輪郭線の位置を計測する計測器と、
封筒の搬送に伴い前記パルス発生器により発生されたパルスの数と前記計測器により計測されたフラップ部分の輪郭線の位置の変化量との関係から、前記搬送経路の表面上に投影したフラップ部分の輪郭線の形状を算出する演算回路と、
前記搬送経路上の前記計測地点よりも下流に規定される塗布地点で封筒のフラップ部分に対向して設けられ、この塗布地点を封筒が通過するのに伴い、そのフラップ部分に流動体を塗布する塗布器具と、
前記コンベアによる封筒の搬送に伴いそのフラップ部分が前記塗布地点を通過するとき、前記演算回路により算出された輪郭線の形状に基づいて前記塗布器具を封筒の搬送方向と交差する方向へ移動させることで、フラップ部分の輪郭線に沿う部位のみに流動体を塗布させる塗布制御回路と
を備えたことを特徴とする流動体塗布装置。
【請求項19】
請求項18に記載の流動体塗布装置において、
封筒のフラップ部分の輪郭線がその折り込み線に対して傾斜した形状を有する場合、
前記演算回路は、前記パルス発生器により一定パルス数が発生される間に前記計測器により計測された輪郭線の位置の変化量を一定パルス数で除することにより前記折り込み線に対するフラップ部分の輪郭線の傾きを算出し、
前記塗布制御回路は、前記演算回路により算出された輪郭線の傾きに基づいて、前記パルス発生器により発生されたパルス数に対する前記塗布器具の搬送方向と交差する方向への移動量を制御することを特徴とする流動体塗布装置。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の流動体塗布装置において、
前記塗布器具は、搬送される封筒のフラップ部分の表面から離れた位置に配置されており、この位置から流動体をフラップ部分に吹き付けて塗布することを特徴とする流動体塗布装置。
【請求項21】
請求項18から20のいずれかに記載の流動体塗布装置において、
前記搬送経路上で封筒のフラップ部分が通過する通過領域内で前記塗布地点よりも上流の検出位置に設けられ、この検出位置を封筒のフラップ部分が通過しているか否かを検出する通過検出器と、
前記検出器による検出結果に基づき、封筒の搬送に伴いそのフラップ部分が前記塗布地点に到達する開始タイミングと前記塗布地点を通過し終える終了タイミングとを計数する計数回路とをさらに備え、
前記塗布制御回路は、前記計数回路により計数された開始タイミングから終了タイミングまでの期間にわたり前記塗布器具による流動体の塗布を実行させることを特徴とする流動体塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−650(P2008−650A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170517(P2006−170517)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】