説明

流動体貯留容器および流動体流出装置

【課題】 流動体貯留容器内部に貯留される流動体と外気とが接触することを防止することができ、汎用の容器を利用することができる流動体貯留容器および流動体貯留容器用の流動体流出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 流動体貯留容器は、内部に流動体を貯留する流動体貯留容器本体10と、軟質材料から構成され、流動体貯留容器本体10の内部に配置される袋状部材20と、流動体貯留容器本体における開口部11に着脱可能な流通部材30と、流動体貯留容器本体内部と外部との間で流動体を流通不可能に閉止する弁部材40および蓋部材50と、流動体貯留容器本体10と流通部材30とを固定する結合部材60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流動体貯留容器本体内に貯留した流動体を当該流動体貯留容器本体の下端部に形成された開口部より流下させる流動体貯留容器に関する。また、この発明は、流動体貯留容器本体内に貯留した流動体を当該流動体貯留容器本体の下端部に形成された開口部より流下させる流動体貯留容器の開口部に付設される流動体貯留容器用の流動体流出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンクリートを搬送する技術分野においては、流動体貯留容器本体の下端部に形成された開口部より流動体を流下させる流動体貯留容器として、例えば、特許文献1に記載の容器が知られている。
【0003】
特許文献1には、流動体12を収容する容器部18と、容器部18の下部に配置される流動体12を流出させる流出口20と、流出口20から流出する流動体12の量を制御する開閉手段22と、開閉手段22を通って流出口20から流出する流動体12を導く可撓性を有する筒状体24と、を備える容器が記載されている。
【0004】
この容器によれば、筒状体24を有するため、流動体12を目的方向へ確実に流出させることが可能となる。
【特許文献1】特開平9−124099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば化粧品等の流動体を貯留する容器においては、その変質を防止するための外気との接触をできる限り避ける必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の容器を化粧品等の流動体を貯留する容器に適用した場合に、容器部18の内部と外部との間に外気の流通路が形成される場合には、容器部18に貯留される流動体12が外気と接触する。このため、流動体12が変質する可能性がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の容器における開閉手段22の構成が複雑であるために、この開閉手段22を汎用の容器に適用することが困難である。
【0007】
この発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、流動体貯留容器内部に貯留される流動体と外気とが接触することを防止することができ、汎用の容器を利用することができる流動体貯留容器および流動体貯留容器用の流動体流出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、流動体貯留容器本体内に貯留した流動体を当該流動体貯留容器本体の下端部に形成された開口部より流下させる流動体貯留容器であって、軟質材料から構成され、前記流動体貯留容器本体内部に配置される袋状部材と、前記流動体貯留容器本体における開口部に対して着脱可能な形状を有し、前記袋状部材の開口部と結合する結合部と、前記流動体貯留容器本体の内部と外部とを連通する流動体用通路と、前記袋状部材内部と前記流動体貯留容器本体の外部とを連通する気体用通路と、が形成された流通部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の流動体貯留容器において、前記流動体貯留容器本体内部と外部との間で流動体を流通不可能に閉止する流出防止部材を備える。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の流動体貯留容器において、前記流出防止部材は、前記流通部材における流動体用通路と前記流通部材における気体用通路とを閉止する蓋部材である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の流動体貯留容器において、前記流出防止部材は、前記流通部材における流動体用通路に備えられる、前記流動体貯留容器本体内部と外部との間で流動体を流通可能に開放する開放位置と、前記流動体貯留容器本体内部と外部との間で流動体が流通不可能に閉止する閉止位置との間で移動する弁部材である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の流動体貯留容器において、前記弁部材は、平面方向において前記流通部材における流動体用通路に嵌合する弁部と、前記弁部と結合し、前記弁部を平面方向と垂直方向とに回転移動させる回転軸と、を備える。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の流動体貯留容器において、前記流動体貯留容器本体は、可撓性を有する材質から構成される。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の流動体貯留容器において、前記流通部材に、前記流動体用通路から流動体貯留容器本体の内部側に向かう流動体の流路を形成する筒状流通部を付設した。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の流動体貯留容器において、前記流動体流通保護部材における流通部には、流動体が流通可能な孔部が形成される。
【0016】
請求項9に記載の発明は、流動体貯留容器本体内に貯留した流動体を当該流動体貯留容器本体の下端部に形成された開口部より流下させる流動体貯留容器の開口部に付設される流動体貯留容器用の流動体流出装置であって、軟質材料から構成される袋状部材と、円筒形状の本体と、前記袋状部材の開口部と結合する結合部と、前記本体の上底と下底との間に形成される流動体用通路と、前記本体の上底と下底との間に形成され、前記結合部を介して前記袋状部材内部と外部とを連通する気体用通路と、を有する流通部材と、を備えること特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項4に記載の流動体貯留容器において、前記流動体用通路内部に弁座として機能する円形の開口部を有する弁座部が形成され、前記弁部材は、前記流動体流通路に固定される環状の支持部と、前記弁座部における円形の開口部と対応する形状を有する弁体と、前記支持部と前記弁体とを連結する複数の連結部とを有し、前記複数の連結部の可撓性により、前記弁体が、当該弁体が前記弁座部における開口部を閉鎖する閉鎖位置と前記開口部を開放する開放位置との間で移動可能に構成される。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の流動体貯留容器において、前記支持部と前記弁体とは、3個以上の連結部により連結されている。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の流動体貯留容器において、前記連結部は、屈曲部を有する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、軟質材料から構成され、流動体貯留容器本体内部に配置される袋状部材と、流動体貯留容器本体における開口部に対して着脱可能な形状を有し、袋状部材の開口部と結合する結合部と、流動体貯留容器本体の内部と外部とを連通する流動体用通路と、袋状部材内部と流動体貯留容器本体の外部とを連通する気体用通路と、が形成された流通部材とを備えることから、流動体貯留容器本体内部と外部との間の圧力差が生じることを防止するとともに、流動体貯留容器内部に貯留される流動体と外気とが接触することを防止することが可能となる。また、流動体貯留容器本体として汎用の容器を利用することが可能となる。
【0021】
請求項2乃至請求項4に記載の発明によれば、流動体貯留容器本体内部と外部との間で流動体を流通不可能に閉止する流出防止部材を備えることから、流動体貯留容器本体内部に貯留される流動体と外気とが接触することを確実に防止することが可能となる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、弁部材は、平面方向において前記流通部材における流動体用通路に嵌合する弁部と、弁部と結合し、弁部を平面方向と垂直方向とに回転移動させる回転軸と、を備えることから、簡易な構成でありながら、流動体貯留容器本体内部に貯留される流動体内部に貯留される流動体と外気とが接触することを確実に防止することが可能となる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、流動体貯留容器本体は、可撓性を有する材質から構成されることから、流動体貯留容器本体内部に貯留される流動体の粘度が高い場合であっても、流動体貯留容器本体を外部から押圧することにより、内部の流動体を加圧して外部へ流出させることが可能となる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、流通部材に、流動体用通路から流動体貯留容器本体の内部側に向かう流動体の流路を形成する筒状流通部を付設したことから、袋状部材等により流動体用通路が閉鎖されることを防止することが可能となる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、流動体流通保護部材における流通部には、流動体が流通可能な孔部が形成されることから、流動体貯留容器本体内部に貯留される流動体の量が減少した場合であっても、流動体を流出させることが可能となる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、軟質材料から構成される袋状部材と、円筒形状の本体と、袋状部材の開口部と結合する結合部と、本体の上底と下底との間に形成される流動体用通路と、本体の上底と下底との間に形成され、結合部を介して袋状部材内部と外部とを連通する気体用通路と、を有する流通部材とを備えることから、汎用の容器に適用することが可能となる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、複数の連結部の可撓性により、弁体が弁座部における開口部を閉鎖する閉鎖位置と開口部を開放する開放位置との間で移動可能に構成されることから、簡易な構成でありながら流動体貯留容器本体内部と外部との間で確実に流動体を流通不可能に閉止することができ、また、弁体に付与された圧力に応じて流動体用通路を通過する流動体の流量を任意に変更することが可能となる。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、支持部と弁体とは、3個以上の連結部により連結されていることから、弁体に不適切な傾きが生ずることを防止することが可能となる。
【0029】
請求項12に記載の発明によれば、連結部が屈曲部を有することから、連結部がより適切な弾性復元力を有することとなり、弁体をより良好に閉鎖位置と開放位置との間で移動させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0031】
図1は、この発明の第1実施形態に係る流動体貯留容器を示す断面図である。
【0032】
この発明の第1実施形態に係る流動体貯留容器は、流動体貯留容器本体内に貯留した流動体を当該流動体貯留容器本体の下端部に形成された開口部11より流下させるものである。
【0033】
この流動体貯留容器は、美容の分野で使用されるヘアージェルやクレンジングジェル等の一般にジェルと呼称されるゲル(gel)、または、栄養クリームやマッサージクリーム等のクリーム状物、あるいは、化粧水等の液体などを貯留するための化粧品用の容器として使用されるものである。なお、この流動体貯留容器を、一般の薬品や溶剤あるいは食品等の容器として使用してもよい。この明細書においては、高粘度の液体や半流動体あるいはゾルがジェリー状に固化したゲルやクリーム状物等と通常の液体とを含めて流動体と呼称する。
【0034】
この流動体貯留容器は、内部に流動体を貯留する流動体貯留容器本体10と、軟質材料から構成され、流動体貯留容器本体10の内部に配置される袋状部材20と、流動体貯留容器本体における開口部11に対して着脱可能な形状を有する流通部材30と、流動体貯留容器本体内部と外部との間で流動体を流通不可能に閉止するための弁部材40および蓋部材50と、流動体貯留容器本体10と流通部材30とを固定する結合部材60とを備える。
【0035】
流動体貯留容器本体10と流通部材30とは、流動体貯留容器本体10における開口部11において、気密な状態で装着される。また、流動体貯留容器本体10と結合部材60とは、流動体貯留容器本体10の開口部11の外周部に形成される雄ネジ部12と、結合部材60の内部側面に形成される雌ネジ部61とが螺合することにより結合される。また、流通部材30と結合部材60とは、流通部材30に形成される係合部35と、結合部材60に形成される係合部62とが係合することにより結合される。さらに、蓋部材50と結合部材60とは、蓋部材50の内部側面に形成される雌ネジ部51と、結合部材60に形成される雄ネジ部63とが螺合することにより結合される。
【0036】
図2は、流通部材30を示す説明図である。このうち、図2(a)は流通部材30の平面、図2(b)はその断面、図2(c)はその裏面を示している。
【0037】
流通部材30は、円筒形状であって、汎用の瓶等の開口部に嵌合可能である。この流通部材30には、袋状部材の開口部21と結合する結合部31と、上底と下底との間に形成され流動体貯留容器本体10の内部と外部とを連通する流動体用通路32と、上底と下底との間に形成され袋状部材20内部と流動体貯留容器本体10の外部とを連通する気体用通路33と、が形成される。また、流通部材30には、後述する弁部材40における回転軸42の軸受け部34と、結合部材60と係合する係合部35とが形成される。
【0038】
図3は、弁部材40を示す説明図である。このうち、図3(a)は弁部材40の右側側面、図3(b)はその平面、図3(c)はその左側側面を示している。
【0039】
弁部材40は、弁部41と、弁部と結合する回転軸42と、回転軸42と結合する摘部43とを備える。
【0040】
弁部41は、平面方向において流通部材30における流動体用通路32に嵌合する形状を有する。回転軸42は、流通部材30における軸受け部34に挿嵌されることにより、弁部41を平面方向と垂直方向とに回転移動させる機能を有する。これにより、弁部材40は、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間で流動体を流通可能に開放する開放位置と、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間で流動体が流通不可能に閉止する閉止位置との間で移動することが可能となる。
【0041】
図4は、蓋部材50を示す説明図である。このうち、図4(a)は蓋部材50の平面、図4(b)はその断面、図4(c)はその裏面を示している。
【0042】
蓋部材50は、有底筒形状を有し、内部側面に結合部材60と螺合可能な雌ネジ部51が形成される。これにより、結合部材60と螺合して、流通部材30における流動体用通路32と流通部材30における気体用通路33とを閉止することが可能となる。
【0043】
図5は、流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【0044】
この流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体を流出させるときには、蓋部材50を結合部材60から取り外し、弁部材40における摘部43を捻ることにより弁部材40を開放位置に移動させる。これにより、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間で流動体が流通可能となるとともに、袋状部材20の内部と外部との間で気体が流通可能となる。このため、流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体が、自重により流通部材30における流動体用通路32を通過して、流動体貯留容器の外部へ流下する。
【0045】
流動体が流動体貯留容器の外部へ流出することにより、流動体貯留容器本体10の内部が減圧される。このため、外気が、流動体貯留容器本体10内部の減圧による吸引力により流通部材30における気体用通路33を通過して、袋状部材20の内部へ流入する。
【0046】
このような構成から、この流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間の圧力差が生じることを防止することが可能となる。また、この流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体と外気とが接触することを防止することが可能となる。
【0047】
そして、この流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体の流出を停止させるときには、弁部材40における摘部43を捻ることにより弁部材40を閉止位置に移動させる。さらに、蓋部材50を結合部材60に再び取り付ける。これにより、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間で流動体が流通不可能となるとともに、袋状部材20の内部と外部との間で気体が流通不可能となる。
【0048】
この流動体貯留容器においては、流動体用通路32および気体用通路33が形成された流通部材30を備えることから、流動体貯留容器本体10に対して流動体用通路や気体用通路等の加工をする必要がない。このため、この流通部材30が流動体貯留容器本体10の開口部11の形状と液密な状態で嵌合可能な場合には、汎用の容器を流動体貯留容器本体10として利用することが可能となる。
【0049】
また、この流動体貯留容器においては、流動体のみを通過させるための流動体用通路32と気体のみを通過させるための気体用通路33とを別々に備えることから、内部に貯留する流動体をスムースに流出させることが可能となる。
【0050】
図6は、第1の方法により流動体貯留容器本体10の内部に流動体を充填する状態を示す説明図である。
【0051】
この方法により、流動体貯留容器本体10の内部に流動体を充填するときには、まず、流動体貯留容器を天地逆方向に向ける。そして、流動体貯留容器本体10と、流通部材30および結合部材60とを取り外す。この状態で、流動体貯留容器本体10の内部に開口された開口部11から流動体が充填される。
【0052】
図7は、第2の方法により流動体貯留容器本体10の内部に流動体を充填する状態を示す説明図である。
【0053】
この方法により、流動体貯留容器本体10の内部に流動体を充填するときには、第1の方法による場合と同様に、流動体貯留容器を天地逆方向に向ける。そして、蓋部材50を結合部材60から取り外す。さらに、弁部材40を開放位置に移動させる。一方、流動体を流動体貯留容器に充填するための流動体容器70は、その流動体の流出口71が流動体貯留容器を構成する流通部材30における流動体用通路32に挿入可能な形状を有する。この流動体容器70における流出口71を流通部材30における流動体用通路32に挿入した状態で、流動体貯留容器本体10の内部に流動体が充填される。
【0054】
第2の方法による充填では、流動体容器70の流出口71が流動体貯留容器本体10の内部に挿入されて流動体が充填されるため、充填時に流動体が外気と接触することを防止することが可能となる。また、充填時に流動体が流動体貯留容器外部に飛散することを防止することが可能となる。
【0055】
次に、この発明の他の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部材については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
図8は、この発明の第2実施形態に係る流動体貯留容器を示す断面図である。
【0057】
第2実施形態に係る流動体貯留容器は、第1実施形態に係る流動体貯留容器における流通部材30に代えて流通部材80を備える点で、第1実施形態に係る流動体貯留容器とは異なる。
【0058】
図9は、流通部材80を示す説明図である。
【0059】
第2実施形態に係る流動体貯留容器における流通部材80も、また、円筒形状であって、汎用の瓶等の開口部に嵌合可能である。
【0060】
この流通部材80には、袋状部材20の開口部21と結合する結合部81と、上底と下底との間に形成され流動体貯留容器本体10の内部と外部とを連通する流動体用通路82と、上底と下底との間に形成され袋状部材20の内部と流動体貯留容器本体10の外部とを連通する気体用通路83と、弁部材40における回転軸42の軸受け部84と、結合部材60と係合する係合部85とが形成される。
【0061】
この流通部材80には、さらに、流動体用通路82から流動体貯留容器本体10の内部側に向かう流動体の流路を形成する筒状流通部86が付設される。そして、筒状流通部86には、流動体が流通可能な孔部87が形成される。
【0062】
第2実施形態に係る流動体貯留容器によれば、筒状流通部86を備えることから、袋状部材20等により流動体用通路が閉鎖されることを防止することが可能となる。また、筒状流通部86に孔部87が形成されることから、流動体貯留容器本体内部に貯留される流動体の量が減少した場合であっても、流動体を流出させることが可能となる。
【0063】
図10は、第2実施形態に係る流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【0064】
この流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体を流出させるときには、蓋部材50を結合部材60から取り外し、弁部材40における摘部43を捻ることにより弁部材40を開放位置に移動させる。これにより、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間で流動体が流通可能となるとともに、袋状部材20の内部と外部との間で気体が流通可能となる。このため、流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体が、自重により孔部87から筒状流通部86を介して流通部材80における流動体用通路82に流出する。そして、さらに、この流動体が流動体用通路82を通過して、流動体貯留容器の外部へ流下する。
【0065】
流動体が流動体貯留容器の外部へ流出することにより、流動体貯留容器本体10の内部が減圧される。このため、外気が、流動体貯留容器本体10内部の減圧による吸引力により流通部材30における気体用通路83を通過して、袋状部材20の内部へ流入する。
【0066】
このような構成から、この流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間の圧力差が生じることを防止することが可能となる。また、この流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体と外気とが接触することを防止することが可能となる。
【0067】
そして、この流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体の流出を停止させるときには、弁部材40における摘部43を捻ることにより弁部材40を閉止位置に移動させる。さらに、蓋部材50を結合部材60に再び取り付ける。これにより、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間で流動体が流通不可能となるとともに、袋状部材20の内部と外部との間で気体が流通不可能となる。
【0068】
図11は、この発明の第3実施形態に係る流動体貯留容器を示す断面図である。
【0069】
第3実施形態に係る流動体貯留容器は、第1実施形態に係る流動体貯留容器における弁部材40を備えない点で、第1実施形態に係る流動体貯留容器とは異なる。
【0070】
第3実施形態に係る流動体貯留容器によれば、弁部材40を備えないことから、さらに簡易な構成でありながら、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間の圧力差が生じることを防止するとともに、流動体貯留容器10の内部に貯留される流動体と外気とが接触することを防止することが可能となる。
【0071】
図12は、この発明の第3実施形態に係る流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【0072】
この流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体を流出させるときには、蓋部材50を結合部材60から取り外す。
【0073】
これにより、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間で流動体が流通可能となるとともに、袋状部材20の内部と外部との間で気体が流通可能となる。このため、流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体が、自重により流通部材30における流動体用通路32を通過して、流動体貯留容器の外部へ流下する。
【0074】
流動体が流動体貯留容器の外部へ流出することにより、流動体貯留容器本体10の内部が減圧される。このため、外気が、流動体貯留容器本体10内部の減圧による吸引力により流通部材30における気体用通路33を通過して、袋状部材20の内部へ流入する。
【0075】
このような構成から、この流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間の圧力差が生じることを防止することが可能となる。また、この流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体と外気とが接触することを防止することが可能となる。
【0076】
そして、この流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体の流出を停止させるときには、蓋部材50を結合部材60に再び取り付ける。これにより、流動体貯留容器本体10の内部と外部との間で流動体が流通不可能となるとともに、袋状部材20の内部と外部との間で気体が流通不可能となる。
【0077】
図13は、この発明の第4実施形態に係る流動体貯留容器を示す断面図である。
【0078】
第4実施形態に係る流動体貯留容器は、第3実施形態に係る流動体貯留容器における流動体貯留容器本体10に代えて流動体貯留容器本体90を備える点で、第3実施形態に係る流動体貯留容器とは異なる。
【0079】
第4実施形態に係る流動体貯留容器における流動体貯留容器本体90は、可撓性を有する材質から構成される。この流動体貯留容器は、第3実施形態に係る流動体貯留容器と同様に、軟質材料から構成され、流動体貯留容器本体90の内部に配置される袋状部材20と、流動体貯留容器本体における開口部91に対して着脱可能な形状を有する流通部材30と、流動体貯留容器本体内部と外部との間で流動体を流通不可能に閉止するための弁部材40および蓋部材50と、流動体貯留容器本体90と流通部材30とを固定する結合部材60と、を備える。そして、第4実施形態に係る流動体貯留容器において、流動体貯留容器本体90と流通部材30とは、流動体貯留容器本体90における開口部91において、気密な状態で装着される。
【0080】
第4実施形態に係る流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体90が可撓性を有する材質から構成されることから、流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体の粘度が高い場合であっても、流動体貯留容器本体90を外部から押圧することにより、内部の流動体を加圧して外部へ流出させることが可能となる。
【0081】
図14および図15は、この発明の第4実施形態に係る流動体貯留容器から流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【0082】
この流動体貯留容器から流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体を流出させるときには、蓋部材50を結合部材60から取り外す。これにより、流動体貯留容器本体90の内部と外部との間で流動体が流通可能となるとともに、袋状部材20の内部と外部との間で気体が流通可能となる。この状態で、図14に示すように、流動体貯留容器本体90自体を外部から押圧することにより、流動体貯留容器本体90の内部を加圧する。加圧された流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体は流通部材30における流動体用通路32を通過して、流動体貯留容器の外部へ流出する。
【0083】
流動体が流動体貯留容器の外部へ流出することにより、流動体貯留容器本体90の内部が減圧される。このため、図15に示すように、外気が、流動体貯留容器本体90内部の減圧による吸引力により流通部材30における気体用通路33を通過して、袋状部材20の内部へ流入する。
【0084】
このような構成から、この流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体90の内部と外部との間の圧力差が生じることを防止することが可能となる。また、この流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体と外気とが接触することを防止することが可能となる。
【0085】
図16は、この発明の第5実施形態に係る流動体貯留容器を示す断面図である。
【0086】
第5実施形態に係る流動体貯留容器は、第4実施形態に係る流動体貯留容器における流通部材30に代えて流通部材100および弁部材110を備える点で、第4実施形態に係る流動体貯留容器とは異なる。
【0087】
図17は、流通部材100を示す説明図である。このうち、図17(a)は流通部材100の平面、図2(b)はその断面、図2(c)はその裏面を示している。
【0088】
第5実施形態に係る流通部材100には、袋状部材20の開口部21と結合する結合部101と、上底と下底との間に形成され流動体貯留容器本体90の内部と外部とを連通する流動体用通路102と、上底と下底との間に形成され袋状部材20の内部と流動体貯留容器本体90の外部とを連通する気体用通路103と、弁座部104と、結合部材60と係合する係合部105とが形成される。弁座部104は、流動体用通路102内部に後述する弁部材110の弁座として機能する円形の開口部を有するものである。そして、弁座部104における弁部材110との当接側には、一対の突起部が形成されている。
【0089】
図18は、弁部材110を示す説明図である。このうち、図18(a)は弁部材110の断面、図18(b)はその平面を示している。
【0090】
第5実施形態に係る弁部材110は、流通部材100における流動体用通路102の内部に固定される環状の支持部111と、弁座部104における円形の開口部と対応する形状を有する弁体112と、支持部111と弁体112とを連結する4個の連結部113とを有する。4個の連結部113は、各々、一対の屈曲部114を有する。この弁部材110においては、4個の連結部113の可撓性により、弁体112が、当該弁体112が弁座部104における開口部を閉鎖する閉鎖位置と開口部を開放する開放位置との間で移動可能に構成されている。このように、支持部111と弁体112とは、3個以上の連結部113により連結されていることから、弁体112に不適切な傾きが生ずることを防止することが可能となる。また、連結部113が屈曲部114を有することから、連結部113がより適切な弾性復元力を有することとなり、弁体112をより良好に閉鎖位置と開放位置との間で移動させることが可能となる。
【0091】
このような構成を有する弁部材110と弁座部104とを流出防止部材として使用する第5実施形態の流動体貯留容器によれば、簡易な構成でありながら流動体貯留容器本体内部と外部との間で確実に流動体を流通不可能に閉止することができ、また、弁体112に付与された圧力に応じて流動体用通路を通過する流動体の流量を任意に変更することが可能となる。
【0092】
図19および図20は、この発明の第5実施形態に係る流動体貯留容器から流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【0093】
この流動体貯留容器から流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体を流出させるときには、図19に示すように、流動体貯留容器本体90自体を外部から押圧することにより、流動体貯留容器本体90の内部を加圧する。加圧された流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体は流通部材100における流動体用通路102内部の弁体112に対して圧力を付与することとなる。これにより、弁体112が弁座部104における開口部を閉鎖する閉鎖位置から開口部を開放する開放位置に移動する。そうすると、流動体が弁座部104における開口部を通過して、流動体貯留容器の外部へ流出する。
【0094】
流動体が流動体貯留容器の外部へ流出することにより、流動体貯留容器内部の容積が小さくなる。この状態で、流動体貯留容器本体90自体への外部からの押圧を停止すると、可撓性を有する流動体貯留容器本体90のが元の状態に復元しようとして、流動体貯留容器本体90の内部が減圧される。このため、図20に示すように、外気が、流動体貯留容器本体90内部の減圧による吸引力により流通部材30における気体用通路33を通過して、袋状部材20の内部へ流入する。
【0095】
このような構成から、この流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体90の内部と外部との間の圧力差が生じることを防止することが可能となる。また、この流動体貯留容器によれば、流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体と外気とが接触することを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】この発明の第1実施形態に係る流動体貯留容器を示す断面図である。
【図2】流通部材30を示す説明図である。
【図3】弁部材40を示す説明図である。
【図4】蓋部材50を示す説明図である。
【図5】流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【図6】第1の方法により流動体貯留容器本体10の内部に流動体を充填する状態を示す説明図である。
【図7】第2の方法により流動体貯留容器本体10の内部に流動体を充填する状態を示す説明図である。
【図8】この発明の第2実施形態に係る流動体貯留容器を示す断面図である。
【図9】流通部材80を示す説明図である。
【図10】第2実施形態に係る流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【図11】この発明の第3実施形態に係る流動体貯留容器を示す断面図である。
【図12】この発明の第3実施形態に係る流動体貯留容器から流動体貯留容器本体10の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【図13】この発明の第4実施形態に係る流動体貯留容器を示す断面図である。
【図14】この発明の第4実施形態に係る流動体貯留容器から流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【図15】この発明の第4実施形態に係る流動体貯留容器から流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【図16】この発明の第5実施形態に係る流動体貯留容器を示す断面図である。
【図17】流通部材100を示す説明図である。
【図18】弁部材110を示す説明図である。
【図19】この発明の第5実施形態に係る流動体貯留容器から流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【図20】この発明の第5実施形態に係る流動体貯留容器から流動体貯留容器本体90の内部に貯留される流動体を流出させる状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0097】
10 流動体貯留容器本体
11 開口部
12 雄ネジ部
20 袋状部材
21 開口部
30 流通部材
31 結合部
32 流動体用通路
33 気体用通路
34 軸受け部
35 係合部
40 弁部材
41 弁部
42 回転軸
43 摘部
50 蓋部材
51 雌ネジ部
60 結合部材
61 雌ネジ部
62 係合部
63 雄ネジ部
70 流動体容器
71 流出口
80 流通部材
81 結合部
82 流動体用通路
83 気体用通路
84 軸受け部
85 係合部
86 筒状流通部
87 孔部
90 流動体貯留容器本体
91 開口部
100 流通部材
101 結合部
102 流動体用通路
103 気体用通路
104 弁座部
105 係合部
110 弁部材
111 支持部
112 弁体
113 連結部
114 屈曲部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体貯留容器本体内に貯留した流動体を当該流動体貯留容器本体の下端部に形成された開口部より流下させる流動体貯留容器であって、
軟質材料から構成され、前記流動体貯留容器本体内部に配置される袋状部材と、
前記流動体貯留容器本体における開口部に対して着脱可能な形状を有し、前記袋状部材の開口部と結合する結合部と、前記流動体貯留容器本体の内部と外部とを連通する流動体用通路と、前記袋状部材内部と前記流動体貯留容器本体の外部とを連通する気体用通路と、が形成された流通部材と、
を備えることを特徴とする流動体貯留容器。
【請求項2】
請求項1に記載の流動体貯留容器において、
前記流動体貯留容器本体内部と外部との間で流動体を流通不可能に閉止する流出防止部材を備える流動体貯留容器。
【請求項3】
請求項2に記載の流動体貯留容器において、
前記流出防止部材は、前記流通部材における流動体用通路と前記流通部材における気体用通路とを閉止する蓋部材である流動体貯留容器。
【請求項4】
請求項2に記載の流動体貯留容器において、
前記流出防止部材は、前記流通部材における流動体用通路に備えられる、前記流動体貯留容器本体内部と外部との間で流動体を流通可能に開放する開放位置と、前記流動体貯留容器本体内部と外部との間で流動体が流通不可能に閉止する閉止位置との間で移動する弁部材である流動体貯留容器。
【請求項5】
請求項4に記載の流動体貯留容器において、
前記弁部材は、
平面方向において前記流通部材における流動体用通路に嵌合する弁部と、
前記弁部と結合し、前記弁部を平面方向と垂直方向とに回転移動させる回転軸と、
を備える流動体貯留容器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の流動体貯留容器において、
前記流動体貯留容器本体は、可撓性を有する材質から構成される流動体貯留容器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の流動体貯留容器において、
前記流通部材に、前記流動体用通路から流動体貯留容器本体の内部側に向かう流動体の流路を形成する筒状流通部を付設した流動体貯留容器。
【請求項8】
請求項7に記載の流動体貯留容器において、
前記筒状流通部には、流動体が流通可能な孔部が形成される流動体貯留容器。
【請求項9】
流動体貯留容器本体内に貯留した流動体を当該流動体貯留容器本体の下端部に形成された開口部より流下させる流動体貯留容器の開口部に付設される流動体貯留容器用の流動体流出装置であって、
軟質材料から構成される袋状部材と、
円筒形状の本体と、前記袋状部材の開口部と結合する結合部と、前記本体の上底と下底との間に形成される流動体用通路と、前記本体の上底と下底との間に形成され、前記結合部を介して前記袋状部材内部と外部とを連通する気体用通路と、を有する流通部材と、
を備えること特徴とする流動体貯留容器用の流動体流出装置。
【請求項10】
請求項4に記載の流動体貯留容器において、
前記流動体用通路内部に弁座として機能する円形の開口部を有する弁座部が形成され、
前記弁部材は、前記流動体流通路に固定される環状の支持部と、前記弁座部における円形の開口部と対応する形状を有する弁体と、前記支持部と前記弁体とを連結する複数の連結部とを有し、前記複数の連結部の可撓性により、前記弁体が、当該弁体が前記弁座部における開口部を閉鎖する閉鎖位置と前記開口部を開放する開放位置との間で移動可能に構成される流動体貯留容器。
【請求項11】
請求項10に記載の流動体貯留容器において、
前記支持部と前記弁体とは、3個以上の連結部により連結されている流動体貯留容器。
【請求項12】
請求項11に記載の流動体貯留容器において、
前記連結部は、屈曲部を有する流動体貯留容器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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