流動力学解析に基づく医療画像アプリケーションにおける固定化した造影剤の検出
医療画像アプリケーションにおける固定化した造影剤の検出を促進するシステム(1300)を提供する。システムは、患者内を循環して生物学的標的で実質的に固定化する造影剤を投与される患者の身体部分(155)を画像化することにより、対応する取得の瞬間に得られた一連の総数の入力画像を提供する手段(1303−1306)と、各入力画像は複数の入力値を含み、各入力値は造影剤をできる限り含む身体部分の対応する部分の呼びかけ信号に対する応答を示し、少なくとも1つの選択された入力画像の身体部分内で循環している造影剤の寄与を低減する手段(1309−1369)と、を有する。低減する手段は、選択された入力画像の一連の入力値を一連の対応するフィルタ処理された値に置き換えることにより、各選択された入力画像に対応するフィルタ処理された画像を生成する手段(1309−1369)を含む。各フィルタ処理された値は選択された入力画像を含む一連の多数の入力画像の身体部分の対応する部分の最小の応答を示し、一連の多数の入力画像は総数未満の数の入力画像で構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像分野に関する。特に、本発明は、固定化した造影剤の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
医療画像は、(医療アプリケーションの設備の分野において)十分に確立した技術であり、実質的に非侵襲的な方法で患者の身体部分を分析することを可能にする。特定の医療画像技術は、身体部分に超音波を当てることにより生じるエコー信号の記録に基づいている。この技術は、有利に、患者に超音波造影剤(UCA)(例えば、リン脂質安定化ガス入りマイクロバブルの検査液からなる。)を投与することにより実施される。造影剤は、有効な超音波反射体としての機能を果たすことにより、造影剤が存在する身体部分内の血管系の視覚化を高める。
【0003】
特定の(生物学的)標的に達し、その後、そこで固定化するのに適した造影剤が、特定の病状(pathologies)の検出を促進するために、ここ数年提案されてきている。特に、これらの造影剤は、特定の相互作用により、選択された組織又は受容体に取り付くことが可能である。例えば、所望の反応が、(例えば、腫瘍性組織と作用し合うことが可能な)造影剤の処方に、標的リガンドを組み込むことにより、達成されうる。さらに、造影剤は、不特定の相互作用により、組織又は臓器などの特定の場所に搬送又は蓄積されうる。例えば、造影剤は、患者の免疫系により、異物として認識されて、それから、肝臓の代謝と除去のために肝臓に移されうる。どんな場合でも、造影剤が(特定又は不特定の相互作用で)標的に達し、そこで固定化すると、造影剤の検出は、他の方法では識別することが難しい病状を識別することを可能にする。
【0004】
固定化した造影剤の検出に関して起こりうる問題は、投与される造影剤の総量のうち、比較的にごく少量しか実際に標的に到達しないということである。逆に、造影剤の大部分が、(例えば、患者の肺及び又は肝臓によって、フィルタにかけられるまで)循環し続ける。測定されたエコー信号は、固定化した造影剤に起因する、循環している(自由に流れている)造影剤と周囲の組織への異なる寄与(contributions)の結果となる。従って、固定化した造影剤により生成されたエコー信号を、循環している造影剤と組織により生成されるエコー信号と区別することは非常に困難である。特に、低濃度の固定化した造影剤(多くの場合、個々に標的に達する単一粒子からなる。)を、より高濃度の循環している造影剤と区別することは、ほとんど不可能である。これは、固定化した造影剤の空間描写と数量化に悪影響を及ぼし、関心のある病状の正確な検知を妨げる。
【0005】
固定化した造影剤の区別を改善する試みが行われている。例えば、「P.A. Dayton, D. Pearson, J. Clark, S. Simon, P. Schumann, R. Zutshi, T. Matsunaga, K.W. Ferrara, Ultrasonic Enhancement of αvβ3 Expressing-Cells With Targeted Contrast Agents, 2003 IEEE Ultrasonics Symposium」は、固定化した造影剤に対応するエコー信号が、循環している造影剤のエコー信号よりもより狭い帯域幅を持つことを観測することによる解決を提案している。この文献は、循環している造影剤について観測されるより広い帯域幅を利用するエコー信号の異なる寄与を識別する可能性を言及している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、固定化した造影剤を検出する技術において、満足できる精度で利用できる解決はない。特に、固定化した造影剤を循環している造影剤と効率よく区別する問題は、まだ解決されていない。また、このような状況において、各位置で固定化した造影剤の濃度を数量化することが望ましい。
【0007】
従って、現今では、固定化した造影剤の識別が可能になる前に、循環している造影剤が完全に存在しなくなるまで待たなければならない。しかしながら、これには、比較的長い時間(最大で数十分)を要する。
【0008】
上述した全てのものは、固定化した造影剤を検出するための現在利用できるコントラストの特有の画像技術の臨床応用を妨げる。
【0009】
本発明は、固定化した造影剤と循環している造影剤の流動力学の違いを利用する解決を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
特に、本発明の態様は、医療画像アプリケーションにおける固定化した造影剤の検出を促進するシステムを提供する。そのシステムは、一連の総数の入力画像を提供する手段(超音波スキャナなど)を有する。入力画像は、造影剤を投与される患者の身体部分を画像化することにより、(対応する取得の瞬間に)得られる(すなわち、画像の少なくとも一部は、造影剤により生成された信号を含む)。造影剤は、生物学的標的で実質的に動かなくなり(すなわち、実質的に固定の位置でとどまり)、そうでなければ(少なくとも、身体から排出される又は身体により代謝される時間がくるまで)患者の身体内を自由に循環することが可能である。例えば、造影剤は、(特定の相互作用により)選択的に特定の組織又は受容体に取り付くことが可能である。また、造影剤は、(不特定の相互作用により)特定の組織又は臓器に搬送又は蓄積されうる。各入力画像は複数の入力値(すなわち、ピクセル値又はボクセル値)を含み、各入力値は造影剤をできる限り含む身体部分の対応する部分の呼びかけ信号(超音波のエコー信号など)に対する応答を示す。システムは、さらに、1以上の選択された入力画像の身体部分内で循環している造影剤の寄与を低減する手段を有する。この目的のために、各選択された入力画像に対応するフィルタ処理された画像が生成される。結果は、選択された入力画像(例えば、所望の関心のある範囲)の一連の入力値を一連の対応するフィルタ処理された値に置き換えることにより、達成される。各フィルタ処理された値は一連の多数の入力画像(選択された入力画像を含む。)の身体部分の対応する部分の最小(lowest)の応答を示す。一連の多数の入力画像は総数未満の数(2以上)の入力画像で構成される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、各フィルタ処理された値は、(一連の多数の入力画像の)対応する入力値の中の最小値からなる。例えば、この結果は、最小値投影法(Minimum Intensity Projection)(Min_IP)アルゴリズムの修正版を適用することにより、達成されうる。
【0012】
一般的には、一連の多数の入力画像は、選択された入力画像と少なくとも1つの以前の入力画像とを順序通り含む。
【0013】
好ましくは、2以上の以前の入力画像が、この目的のために考慮される。
【0014】
好ましい実施形態によれば、以前の入力画像の数は、造影剤の推定の流速に応じて、選択される(例えば、その数は、流速が遅い又は速いときにそれぞれ増加又は減少する)。
【0015】
特定の実施において、以前の入力画像を時間的にサブサンプリング(sub-sample)することが可能である。
【0016】
一般的には、(例えば、コントラスト特有の画像モードで入力画像を取得することにより)入力画像の組織の寄与がすでに十分に取り除かれ、又は少なくとも低減されている。
【0017】
解決をさらに改善する方法は、(例えば、造影剤が身体部分に到着する前に撮られた)背景画像を入力画像から差し引くことである。
【0018】
好ましい実施において、一連の多数の入力画像は、推定された解像度(resolution)に従って(例えば、超音波画像内に一般的に発生するスペックル粒子の大きさに基づいて)、空間的にサブサンプリングされる。
【0019】
さらなる改善として、(選択された参照画像に関して)各入力画像の相対運動を補償することが可能である。
【0020】
さらに、入力画像は、(入力値が身体部分の対応する部分の造影剤の濃度に実質的に比例するように)線形にされてもよい。
【0021】
提案された解決は、特に、各フィルタ処理された画像が、対応する入力画像の取得の瞬間で実質的にリアルタイムに(すなわち、分析処理の完了を待つことなしにわずかの遅れで)表示されるときに特に有利である。
【0022】
好ましくは、フィルタ処理された画像は、対応する選択された入力画像に重ね合わされる。
【0023】
本発明の他の態様は、対応する方法を提案する。
【0024】
本発明のさらに他の態様は、方法を実行するコンピュータプログラムを提案する。
【0025】
本発明の特徴は、添付の特許請求の範囲に記述されている。しかしながら、本発明は、さらなる特徴と利点と共に、限定されない表示により単に与えられた、添付の図面と共に読まれる、下記の詳細な記述を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の実施形態による医療画像システムの例を示す。具体的には、画像システムは、中央装置105と携帯送受信画像化プローブ110(例えば、アレイタイプのプローブ)を有する超音波スキャナ100である。画像化プローブ110は、一連の高周波の音波を当てる超音波パルス(例えば、中心周波数が2〜10MHzの間のパルス)からなる超音波を送信し、超音波パルスの反射により得られる(生の)無線周波数(RF)エコー信号を受信する。この目的のために、画像化プローブ110は、画像化プローブ110をパルス−エコーモードで使用することを可能にする送受信マルチプレクサを備える。
【0027】
中央装置105は、マザーボード115を収容する。マザーボード115には、超音波スキャナ100の動作を制御する電子回路(マイクロプロセッサ、ワーキングメモリ、及びハードディスクドライブなど)が搭載される。さらに、1以上のドーターボード(まとめて120で示されている。)が、マザーボード115に差し込まれている。ドーターボード120は、画像化プローブ110を駆動し、受信するエコー信号を処理する電子回路を提供する。超音波スキャナ100は、リムーバブルディスク130(フロッピーディスクなど)を読むためのドライブ125を備えることができる。モニタ135は、進行中の分析に関連する画像を表示する。超音波スキャナ100の動作は、キーボード140により制御される。キーボード140は、従来の方式で中央装置105に接続されている。好ましくは、キーボードは、モニタ135のスクリーン上のポインタ(図示せず)の位置を操作するのに用いられるトラックボール145を備える。
【0028】
超音波画像アプリケーションにおいて、画像化プローブ110は一般的には分析される身体部分155の領域で、患者150の皮膚と接触して載置される。
【0029】
一般的に、選択された標的で固定化が可能な造影剤が患者に投与され、分析のもとで身体部分が造影剤を受け入れる。選択された画像技術に従って、造影剤は、例えば、超音波画像、磁気共鳴画像、又はX線コンピュータ断層撮影画像の画質を高めるのに特有しうる。造影剤は、(肺を撮像するために)気道への噴霧器により、又は注入により、(例えば、消化管を撮像するために)経口投与されうる。注入による投与は、例えば、血管内(静脈内又は動脈内など)、リンパ管内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、間質、髄腔内、腫瘍内の投与を含む。好ましくは、造影剤は、持続注入(一般的には、ポンプにより)又は急速静注(一般的には、注射器を持った手により)として、注入により静脈内に投与され、分析のもとの身体部分は、造影剤で潅流される。本発明によれば、異なる画像技術に従って、造影剤が身体部分の画像を取得する前及び/又は取得中に患者に投与されうる。
【0030】
造影剤は、分析もとの身体部分により受け入れられるように、実質的に自由に患者内を循環する。例えば、造影剤は、(経口投与の場合)消化管に沿って移動することができ、又は(血管内投与の場合)血管内で動くことができる。しかしながら、造影剤は、分析処理の全継続時間において(又は少なくともその大部分で)、実質的に一定の位置で留まるように、選択された(生物学的)標的で固定化することが可能である。
【0031】
好ましくは、造影剤は、図1のシステムで取得される画像などの超音波画像を向上することができる。
【0032】
超音波画像に適した造影剤は、液体キャリア内に気泡がある懸濁液を含む。一般的には、気泡の直径は、気泡が患者の身体の毛細血管を通ることが可能なように、0.1−5μmである。気泡は、一般的に、気体又はその先駆物質を、乳化剤、油、増粘剤、糖類、蛋白質、又はポリマーを含む種々の系に混入する又は封入することにより、安定化される。安定化された気泡は、気体充填微小胞と呼ばれる。微小胞は、水性溶媒に分散され、界面活性剤、すなわち(超微粒気泡として知られる)両親媒性物質を含む非常に薄いエンベロープにより気液界面で結合する、気泡を含む。これに代えて、微小胞は、気泡が脂質又は天然で形成される固体物質のエンベロープ又は合成ポリマー(マイクロバルーン又はマイクロカプセルとして知られている)により囲まれる、懸濁液を含む。他の種類の造影剤は、ポリマー又は他の固体の多孔性微粒子の懸濁液であって、微粒子の気孔内に閉じこめられる気泡を運ぶ懸濁液を含む。微小胞、特にマイクロバブルとマイクロバルーンとその調合液の適当な水性懸濁液の例は、EP−A−0458745、WO−A−91/15244、EP−A−0554213、WO−A−94/09829、及びWO−A−95/16467(参照することにより、これらの全開示がこの明細書に組み込まれる。)に記載されている。気体充填微小胞を含む市販の超音波造影剤の例として、Bracco International BVのSonoVue(R)がある。
【0033】
好ましくは、造影剤は、それと共に特有の相互作用により所望の標的に選択的に結合する方法で、形成される。この場合、一般に、標的造影剤と呼ばれる。例えば、この作用は、所望の組織又は受容体に(生化学親和性及び/又は静電相互作用により)選択的に結合することが可能な標的リガンドを混合することにより、達成されうる。標的リガンド(マイクロバブルの膜に挿入されうる。)の例は、モノクローナル抗体、ペプチド、又は多糖類である。この用語の組織は、その意味において、細胞膜又は臓器などの細胞集合体だけでなく、個々の細胞を含む。用語は、正常(健康)か又は異常(病気)な細胞又は細胞集合体を参照する。組織は、例えば、心筋組織(心筋細胞(myocardial cells and cardiomyocites)を含む。)、膜性細胞(内皮及び上皮など)、及び結合組織である。病理組織は、例えば、梗塞心臓組織、血栓、動脈硬化性プラーク、及び腫瘍性組織である。受容体は、特定物質に選択的に結合することが可能な、組織上(例えば、細胞内又はそれらの表面上)にある分子構造を含む。受容体は、例えば、(例えば、血栓(blood clots or thrombi)にある)糖タンパク質GPIIbIIIa又はフィブリン、又は(例えば、腫瘍性組織内にある)KDRである。適当な標的造影剤と標的リガンドの例は、「G.M. Lanza and S.A. Wickline, Targeted Ultrasonic Contrast Agents for Molecular Imaging and Therapy, Progress in Cardiovascular Diseases, 44(1), 2001, 13-31」と、2005年8月17日に出願された同時係属の国際特許出願PCT/EP2005/054041に記述されている(参照することにより、これらの全開示がこの明細書に組み込まれる。)。
【0034】
特定標的リガンドのない造影剤は、それにもかかわらず、不特定の相互作用により患者の特定の位置で動かなくなりうる。例えば、それらの処方及び大きさに従って、特定の気体充填微小胞は、血液の非自己成分として急速に受け入れられ、血液中の蛋白質によりオプソニン化され、単球又はマクロファージにより食菌されてもよい。この場合、一般的に、気体充填微小胞の大部分が肝臓に行き着く。これに変えて、(血液の非自己成分として急速に受け入れられることが少ない)気体充填微小胞が、循環時間を少なくとも最大20分に延長してもよい。これらの気体充填微小胞について、ゆっくりした蓄積が特定の臓器(例えば、腎臓)内で発生しうる。それ故、投与後の遅い時間に、気体充填微小胞はゆっくり動くことができる又は完全に臓器内で停止することができる。後期混濁(LPO)として当分野で知られている、上述の現象の数量化は、組織で臓器の状態についての有益な情報を提供してもよい。
【0035】
再び図1を参照すると、造影剤のごく僅かな破壊(総量の20%未満、好ましくは10%未満)を伴うように、低音響エネルギー(機械的指標MI=0.01−0.1)の一連の超音波パルスが身体部分155に当てられる。超音波パルスに応えて時間と共に記録されるエコー信号は、(患者150が造影剤を投与されている間の又はその後の)分析処理中、身体部分155の進化の表示を提供する。それから、エコー信号は、標準の輝度モード(B−mode)の一連のデジタル画像(又はフレーム)に変換される。その画像は、対応する連続的な取得の瞬間(例えば、毎秒10〜30枚の画像のサンプリングレート)での身体部分155を表す。各画像は、それぞれを視覚化する要素、すなわち、基本の画像素子(ピクセル)又は基本のボリュームエレメント(ボクセル)であって、それぞれが身体部分155の基本の位置の場所に対応している要素の値のマトリックス(例えば、512行と512列)からなるビットマップにより規定される。一般的には、ピクセル値は、ピクセルの輝度を定義するグレースケールレベル(例えば、8ビットでコード化される)からなり、ピクセル値は、対応するエコー信号の強度に応じて、0(黒)〜255(白)に増加する。
【0036】
エコー信号と対応する画像は、一般的に、異なる寄与の付加に起因する。異なる寄与は、循環し続けている造影剤と標的で動かなくなった造影剤と周囲の組織とにより生成される。好ましくは、超音波スキャナ100は、(循環している及び固定化した)造影剤の(非線形の)寄与に関して、エコー信号の組織の優性遺伝子の(線形の)寄与を十分に取り除く又は少なくとも低減するために、コントラスト特有の画像モードで動作する。コントラスト特有の画像モードは、例えば、「Rafter et al., Imaging technologies and techniques, Cardiology Clinics 22(2004), pp. 181-197」(参照することにより、その全開示がこの明細書に組み込まれる。)に記載されているような、ハーモニックイメージング(HI)、パルス反転(PI)、電力変調(PM)、及びコントラストパルスシーケンシング(CPS)技術を含む。
【0037】
固定化した造影剤を循環している造影剤と区別可能にするために、以下に記述する解決は、循環している造影剤の寄与が低レベルの相関関係を示しているのと対照的に、固定化した造影剤の寄与が時間と共に高レベルの相関関係を示すことを観測することから始まる。より高い相関性があるエコー信号は、(ある瞬間から別の瞬間への)小さな変化又は変化がないことを示す(同じ位置についての)対応するピクセル値により、一連の画像に表される。逆に、低い相関関係を持つエコー信号は、大きな変化を示す対応するピクセル値により表される。それから、画像は、(小さな変化を示すピクセル値を保護するのと同時に)大きな変化を示すピクセル値を十分に抑制する(又は少なくとも減衰する)ように、処理される。
【0038】
このため、各ピクセル値は、それ自身のピクセル値と前の画像の対応するピクセル値との間の最小値により置き換えられる。さらに正式には、ピクセル値は下記に提案するアルゴリズムを適用することにより得られる。
OP(x,y,k)=MIN[IP(x,y,k),IP(x,y,k−1)]
ここで、OP(x,y,k)は、瞬間kに撮影された画像の空間座標x、y(それぞれ行と列の数を示す。)により識別されるピクセルの(出力)処理後の値であり、IP(x,y,k)とIP(x,y,k−1)は、同一画像と前の画像のピクセルの(入力)原始の値であり、MIN[]は、引数間の最小値を決定する関数である。
【0039】
上述のアルゴリズムの適用の例は、図2a及び図2bに概略的に示される。特に、図2aは、連続的瞬間(T1−T8)に撮影された例示的な画像の一部(5つのピクセルP1〜P5からなる)を示す。簡単にするために、各ピクセルP1〜P5は、造影剤がない場合を完全な黒で示し、造影剤が検出された場合を完全な白で示している。
【0040】
図に示すように、全てのピクセルP1〜P5の始まり(瞬間T1)は黒であり、(組織によりエコー信号の寄与が完全に抑制されていると仮定して)身体部分の対応する領域に造影剤がないこと示す。造影剤の第1の粒子(マイクロバブルなど)は、白になったピクセルP1で示されているように、瞬間T2に同一の領域に入る。それから造影剤の第1の粒子は、左から右の領域に渡り(瞬間T3〜T6の白のピクセルP2〜P5)、瞬間T7でそこから去る。第1の粒子に加えて、造影剤の第2の粒子が瞬間T5に領域に入る(白ピクセルP1)。造影剤の第2の粒子は、瞬間T6で隣のピクセルP2に移動し、それからこの位置で動かなくなる(瞬間T6〜T8)。
【0041】
提案したアルゴリズムを上述した例に適用すると、図2bに示す対応する画像が生成される。特に、全てのピクセルP1〜P5は、連続した画像間で変化するときは(アルゴリズムにより計算された対応する最小値で置き換えられるため)黒になり、逆に(連続した画像間で)同じ状態を保つときはその値のままとなる。その結果、造影剤の第1の(循環している)粒子の寄与は消滅する。造影剤の第2の粒子は、動いているときは示されず(瞬間T5〜T6)、動かなくなるとすぐに検出される(瞬間T7〜T8)。
【0042】
当然、実際の適用において、各ピクセルは、どんなグレースケールレベルでも表されうる。具体的には、ピクセル値は、造影剤の濃度の関数である。ピクセルは、低濃度の造影剤がある場合(固定化されている造影剤の粒子がほとんどない場合など)は非常に黒く、高濃度の造影剤がある場合(循環している造影剤がウォッシュイン(wash-in)段階中、分析もとの身体部分に入る場合など)は非常に明るい。
【0043】
例えば、図3aに示すように、全てのピクセルP1〜P5の始まり(瞬間T1)は黒である(造影剤がない)。瞬間T2で、造影剤の粒子が領域に入る(灰色になったピクセルP1により示されている)。造影剤の粒子は瞬間T3で隣のピクセルP2に移り、それからこの位置で動かなくなる(瞬間T4〜T8)。図3aに示すように、造影剤のさらなる循環する粒子が、瞬間T4〜T8(白ピクセルP1〜P5)と瞬間T6〜T8(白ピクセルP1〜P3)に、左から右に領域を渡る。示されているように、循環している造影剤の寄与は支配的であり、固定化した造影剤の存在を実質的に隠す。
【0044】
提案したアルゴリズムをこの例に適用すると、図3bに示す対応する画像が生成される。この場合も、循環している造影剤の寄与は、固定化した造影剤の寄与のみを残して消滅する(瞬間T4〜T8の灰色ピクセルP2)。
【0045】
言い換えれば、上述した処理は、時間とともにピクセル値の(高輝度)ピークを除去する。この作用を説明するために、同一の場所の一連の対応するピクセル値の例が図4aに示されている。図に示すように、造影剤の粒子は、瞬間約2sにピクセル位置で(ピクセル値のわずかな増加により示されるように)動かなくなる。それから造影剤の循環している粒子の多くが、瞬間約12s、22s、30s、38s、46s、及び54sで、(ピクセル値の非常に大きな増加により示されるように)同じピクセルを渡る。
【0046】
しかし、図4bに示すように、提案したアルゴリズムを適用することにより、ピクセル値のパターンは、(造影剤の固定化した粒子を検出した後)実質的に均一になる。実際に、造影剤の循環している粒子の通過により生じるピークは非常に短くなり、アルゴリズムは、対応する高いピクセル値を造影剤の固定化した粒子による以前の低いピクセル値と常に比較する。このようにして、造影剤の固定化した粒子の寄与のみを残して、ピークは消滅する。
【0047】
提案したアルゴリズムは、最小値投影法(Min_IP)アルゴリズムから導出される。以下、このアルゴリズムを「修正Min_IPアルゴリズム」と呼ぶ。(原始の)Min_IPアルゴリズムでは、各ピクセル値は、それ自身のピクセル値と工程の先の反復から得られる現行の最小値との間で最小値に置き換えられる。それは、以下である。
OP(x,y,k)=MIN[IP(x,y,k),OP(x,y,k−1)]
ここで、OP(x,y,k−1)は、以前の画像のピクセルの(出力)処理後の値である。
【0048】
しかし、Min_IPアルゴリズムでは、固定化した造影剤を検出することは不可能であることに注意すべきである。例えば、図5aにおいては、図2aで提供されたのと同一のシナリオが考察される。
【0049】
Min_IPアルゴリズムをこの例に適用すると、図5bに示す対応する画像が生成される。具体的には、(Min_IPアルゴリズムは、値を現行の最小値に置き換えるため)、黒になった全てのピクセルP1〜P5は、同一の値を常に維持する。それ故、造影剤の粒子が動かなくなると、対応するピクセル(P2)は更新されずに黒のままとなる。
【0050】
同様の考察が最大値投影法(Max_IP)アルゴリズムに適用される。Max_IPアルゴリズムでは、各ピクセル値は、そのピクセル値と工程の先の反復から得られる現行の最大値との間で最大値に置き換えられる。それは、以下である。
OP(x,y,k)=MAX[IP(x,y,k),OP(x,y,k−1)]
ここで、MAX[]は、引数間の最大値を決定する関数である。
【0051】
しかしながら、Max_IPアルゴリズムでも、固定化された造影剤を検出することは不可能である。例えば、図6aでは、図2aで提供されたのと同一のシナリオが再度考察される。
【0052】
Max_IPアルゴリズムをこの例に適用すると、図6bに示す対応する画像が生成される。具体的には、(Max_IPアルゴリズムは、値を現行の最大値に置き換えるため)、白になった全てのピクセルP1〜P5は、同一の値を常に維持する。それ故、循環している造影剤が、一旦、属のピクセルP1〜P5に達すると、循環している造影剤がそこを去っても、このピクセルは白のままとなる。その結果、循環している造影剤は、固定化された造影剤を完全に覆い隠す(ピクセルP2)。
【0053】
Min_IPアルゴリズムとMax_IPアルゴリズムは、医療画像分野で、例えば、血管系の可視化を(例えば、造影剤を投与する前にMin_IPアルゴリズムを適用し、続いて、造影剤を投与した後にMax_IPアルゴリズムを適用することにより)改善するのに用いられている。具体的には、この技術は、US−B−6,436,049で(三次元)投影画像の生成について記載されている。Max_IPアルゴリズムの他の適用は、US−B−6,676,606で記載されている。ここでは、Max_IPアルゴリズムは、小血管の検出を可能にするために、造影剤の粒子の軌跡を投影するのに用いられている(造影剤の個々の粒子が小血管を渡るときに、特に有用である)。
【0054】
修正Min_IPに戻って言及すると、このアルゴリズムは、(多くの実際の適用において、固定化した造影剤を区別するのに非常に効果的であるけれども)、特別な危機状態(critical conditions)で(例えば、造影剤の循環している高濃度の粒子が存在している場合、又は造影剤の循環している粒子がゆっくり移動する場合に)、いくつかの限界を見せるおそれがあることが観測されている。
【0055】
例えば、修正Min_IPアルゴリズムを、造影剤の循環している高濃度の粒子を持つ例示的な状態に適用した例が、図7aと図7bに概略的に示されている。
【0056】
具体的には、図7aに示すように、始まりでは(瞬間T1)、全てのピクセルP1〜P5が黒である(造影剤がない)。造影剤の第1の循環している粒子が左から右に領域を渡る(瞬間T2〜T6の白ピクセルP1〜P5)。造影剤の第2の循環している粒子が、造影剤の第1の循環している粒子のすぐ後に続き、同一の領域を左から右に渡る(瞬間T3〜T7の白ピクセルP1〜P5)。
【0057】
修正Min_IPアルゴリズムを上述した例に適用すると、図7bに示す対応する画像が生成される。前の例では、造影剤の第1の循環している粒子の寄与が消滅する。しかし、(造影剤の循環している粒子が連続してピクセルを渡り、全てのピクセルP1〜P5が2つの連続した瞬間で白のままとなるため)、これは造影剤の第2の循環している粒子には当てはまらない。それ故、造影剤の第2の循環している粒子による寄与は、修正Min_IPアルゴリズムを適用した後も画像内に現れたままとなり、同一の領域における造影剤の実際に固定化した粒子の検出を隠す危険性を伴う。
【0058】
同様に、造影剤の循環している粒子がゆっくり移動している状態の例に修正Min_IPアルゴリズムを適用した場合が、図8a及び図8bに概略的に示されている。
【0059】
具体的には、図8aに示すように、始まりでは(瞬間T1)、全てのピクセルP1〜P5は黒である(造影剤がない)。造影剤のゆっくり移動して循環する粒子は、白になったピクセルP1で示されるように、瞬間T2に領域に入る。造影剤のゆっくり移動して循環する粒子は、次の瞬間T3では同一の場所にいる。それから、造影剤のゆっくり移動して循環する粒子は、ピクセルP2(瞬間T4〜T5)、ピクセルP3(瞬間T6〜T7)、及びピクセルP4(瞬間T8)に移動する。
【0060】
修正Min_IPアルゴリズムを上述した例に適用すると、図8bに示す対応する画像が生成される。図示されているように、ピクセルは同じ状態を保つ(すなわち、瞬間T2〜T3のピクセルP1、瞬間T4〜T5のピクセルP2、及び瞬間T6〜T7のピクセルP3)とすぐに、(瞬間T3、T5、T7でそれぞれ)白になる。それ故、造影剤のゆっくり移動して循環する粒子は、これらの瞬間で動かなくなったと見なされる(これにより、その結果の画像にアーチファクトが取り込まれることになる)。
【0061】
言い換えれば、(上述した形式の)修正Min_IPアルゴリズムは、固定化した造影剤の粒子を、2つの連続した画像の時間間隔より長い期間、同一ピクセルの位置のまわりに留まる循環している造影剤の粒子と区別することができない(なぜなら、それらは互いに近いか又はゆっくり動くからである)。実際に、(造影剤の循環している粒子が、造影剤の固定化した粒子と全く同一の動きをするため)、非常に広範囲にある造影剤の循環している粒子が通過することにより生じるピークを取り除くことができない。
【0062】
しかし、上述した問題は、(最小値を計算するのに考慮される画像の数により規定される)修正Min_IPアルゴリズムのフィルタリングの長さを増加することにより解決できる。例えば、3枚の画像のフィルタリングの長さで修正Min_IPアルゴリズムを規定する式は、以下となる。
OP(x,y,k)=MIN[IP(x,y,k),IP(x,y,k−1),IP(x,y,k−2)]
ここで、IP(x,y,k−2)は、直前の画像のピクセルの(入力)原始の値である。この方法では、造影剤の粒子が3又はそれ以上の連続した画像で同一の位置で留まるときのみ、動かなくなったと考えられる。それ故、より広範囲のピクセル値のピークをフィルタに掛けて取り除くことができる。
【0063】
この作用を説明するために、図7aで提供されたのと同一のシナリオが図9aで考察される。
【0064】
3画像のフィルタリングの長さを持つ修正Min_IPアルゴリズムを、この例に適用すると、図9bに示す対応する画像が生成される。図示されるように、(アルゴリズムが最新の3枚の画像に渡って値を最小値に置き換えるため)全てのピクセルP1〜P5は黒である。それ故、(造影剤の粒子が、2つの連続した瞬間で同一ピクセル位置を渡ったとしても)造影剤の全ての循環している粒子の寄与がここで消滅する。
【0065】
図8aで提供されたシナリオ(図10aで繰り返される)を考察することにより、同様の考えが当てはまる。
【0066】
この場合も、図10aに示すように、全てのピクセルP1〜P5は黒になる。結果として、(造影剤の粒子が、2つの連続した瞬間で同一ピクセル位置に留まったとしても)造影剤のゆっくり動いて循環する粒子の寄与は取り除かれる。
【0067】
さらにほとんどの場合、修正Min_IPアルゴリズムは下記の式により定義されうる。
OP(x,y,k)=MIN[IP(x,y,k),...,IP(x,y,k−n)] n≧1
ここで、nは、フィルタリングの長さを特定する画像の数である。フィルタリングの長さnは、(フィルタリングの長さnと画像のサンプリングレートの逆数との積により与えられる)時間窓に対応する。それは、修正Min_IPアルゴリズムにより適用される時間的な低域フィルタリングの程度を定義する。実際に、修正Min_IPアルゴリズムは、フィルタリング窓の範囲より小さな幅の時間と共にピクセル値のピークを取り除くことができる(より広範囲のピークは、部分的に可視のままである)。これにより、方法のロバスト性(構造安定性)が改善される。よって、固定化した造影剤と循環している造影剤との区別可能性が高まる。
【0068】
フィルタリングの長さnの値(とフィルタリング窓の値)は、分析工程の高精度で且つ速い応答という反対の要求に従って、変化する。具体的には、フィルタリングの長さnをより大きな値にすると、造影剤の高濃度で循環している粒子又は非常にゆっくり動いている造影剤の循環している粒子を取り除くことが可能になる。しかし、これは、(対応するフィルタリング窓の範囲で、造影剤の粒子が同一の位置で留まった後にのみ、対応するピクセルは白になるため)固定化した造影剤の粒子が検出される瞬間を遅らす。さらに、ピクセルは、フィルタリング窓の長さより短い間隔で(例えば、画像のノイズにより)、(たとえ一つの瞬間でも)黒に変わると、その後、黒のままとなる。
【0069】
好ましくは、フィルタリングの長さnは、特定のアプリケーションに従って動的に選択される。具体的には、フィルタリングの長さnは、造影剤が高流速である(動脈内など)ときに、低い値(例えば、n=1〜5。毎秒10画像のサンプリングレートで、0.1〜0.5sのフィルタリング窓に対応する。)に設定される。逆に、フィルタリングの長さnは、造影剤が低流速であるとき(毛細血管内など)に、高い値(例えば、n=3〜12。画像の同一のサンプリングレートで、0.3〜1.2sのフィルタリングの窓に対応する。)に設定される
【0070】
図11に、上述した異なるアルゴリズムの例示的な適用のシミュレーションを示す。具体的には、図は(例えば、気体充填微小胞からなる)造影剤が標的の領域(画像の中央に位置付けられている。)を通過する異なる時刻をシミュレートする総合的なデータセットによって得られた結果を示している。左の欄は、造影剤が標的の領域に達する前の状態(ウォッシュイン段階)を示している。真ん中の欄は、造影剤が標的の領域と重なるときの状態を示している。右の欄は、造影剤が標的の領域を通過したときの状態(ウォッシュアウト(wash-out)段階)を示している。
【0071】
行(A)は、原始のシーケンスを示す。図示しているように、(標的の領域内で)固定化した造影剤は、造影剤の循環している粒子が標的の領域を通り過ぎたあとにのみ、循環している造影剤と区別され(それから検出され)うる。造影剤がボーラス注射で投与される場合、これは数分かかる。一般的に10分続く注入で投与される造影剤において、ウォッシュアウトは、注入が停止した後にのみ開始する。
【0072】
行(B)は、Min_IPアルゴリズムを適用して得られた結果を示している。この場合、上述したように、画像は常に黒のままである。それ故、固定化した造影剤を検出することができる。
【0073】
行(C)は、(フィルタリングの長さn=1を用いた)修正Min_IPアルゴリズムで得られた結果を示している。この場合、循環している造影剤の寄与は部分的に抑制される。しかし、抑制は完全ではなく、造影剤の固定化した粒子は、ウォッシュアウト段階中でのみ、はっきりと認識でき、造影剤の循環している粒子と区別できる。
【0074】
行(D)は、同一の修正Min_IPアルゴリズムで、しかしフィルタリングの長さをより高い値(すなわち、n=9)に設定して、得られた結果を示している。図示されているように、循環している造影剤の寄与はほぼ完全に抑制される。それ故、造影剤のウォッシュアウト段階を待つ必要がなく、造影剤の固定化した粒子は、標的の領域で動かなくなるとすぐに検出できる。
【0075】
最後に、行(E)は、Max_IPアルゴリズムで得られた結果を示している。上述したように、この場合、造影剤の各粒子の軌跡の投影が正確に強調される。しかし、投影された軌跡は、造影剤の固定化した粒子を完全に覆い隠す。(これにより、検出が不可能となる。)
【0076】
図12a〜図12dは、上述した修正Min_IPアルゴリズムの生体内適用の例を示している。このために、モルモット(実験台)の腹部の動脈に血栓を生じさせた。この身体部分は、セコイア(Sequoia)超音波スキャナ(シーメンス(Siemens))に接続された線形アレイタイプ(15L8)の画像化プローブにより分析された。超音波スキャナをCPSモードで動作させた。送信周波数と機械的指標はそれぞれ、10MHzと0.20である。(フィブリン特有のマイクロバブルからなる)造影剤のボーラス注射は、最初の瞬間t=0分で投与された。血栓を含む動脈は、造影剤のウォッシュイン及びウォッシュアウトを含む10分間、連続して走査された。得られた画像は、デジタルビデオレコーダを用いてテープに記録され、オフラインで処理された。図12a〜図12dにおいて、原始の画像が左手側に示されている。修正Min_IPアルゴリズム(フィルタリングの長さn=9)が、血栓のある動脈の一部を含む矩形からなる関心のある領域(ROI)に適用され、その結果が原始の画像に重ねられ、図の右手側に示す(処理された)画像が得られた。
【0077】
具体的には、図12aは造影剤の注入後すぐの瞬間に関する。図示されているように、造影剤は身体部分の対応する領域にまだ到達していないため、対応する処理された画像の選択された矩形は完全に黒である。
【0078】
図12bは、造影剤の注入から2分後の状態を示している(ウォッシュアウト段階中)。原始の画像では、血栓に付着した造影剤の固定化した粒子が造影剤の循環している高濃度の粒子と区別できないことが明らかである。一方、処理された画像では、造影剤の循環している粒子の寄与がうまく抑制されている。このように、造影剤の固定化した粒子は、はっきり見え、血栓の輪郭を完全に描いている。
【0079】
図12cに示すように、注入から8分後、造影剤の少数の粒子のみが循環している。このとき、血栓に付着した造影剤の固定化した粒子は、原始の画像でも見られる。しかし、血栓の描写は、処理された画像で示されるほど明瞭ではない。
【0080】
最後に、実験の最後で、高機械的指標(いわゆる閃光)の超音波パルスが、血栓に付着した造影剤の全ての固定化した粒子を破壊するのに用いられた。得られた結果が図12dに示され、造影剤の付着した粒子により、血栓の強化した可視化が全体的であったことを確かにしている。
【0081】
図13に、本発明の実施形態による解決を実行するのに使用できる主なソフトウェア及びハードウェアの構成要素が、全体として参照1300で示されている。情報(プログラム及びデータ)は、一般的にはハードディスク上に格納され、プログラムを実行するときに(少なくとも部分的に)、オペレーティングシステム及び他のアプリケーションプログラム(図示せず)と共にワーキングメモリにロードされる。プログラムは、最初に、例えば、CD−ROMからハードディスクにインストールされる。
【0082】
具体的には、ドライバ1303は、画像化プローブ(図示せず)を制御する。例えば、画像化プローブドライバ1303は、分析もとの身体部分に当てられる超音波パルスを生成する送信ビーム形成器及びパルス生成器を含む。身体部分からの受信される対応する(アナログRF)エコー信号は、受信プロセッサ1306に供給される。一般的には、受信プロセッサ1306は、アナログRFエコー信号を予め増幅し、事前の減衰補正(TGC)を適用する。それから、アナログRFエコー信号は、アナログデジタル変換器(ADC)によりデジタル値に変換され、受信ビーム形成器により集束される信号に組み合わされる。得られたデジタル信号は、好ましくは、さらなるデジタルアルゴリズムと他の線形又は非線形の信号調節器(後のビーム形成TGCなど)とにより処理される。具体的には、受信プロセッサ1306は、コントラスト特有アルゴリズムを適用し、(例えば、上述したHI、PI、PM、又はCPS技術に基づいて)組織の寄与を抑制する。それから、デジタル信号は、復調され、対数圧縮され、走査変換されて、映像フォーマットになる。この工程は、一連の(映像)入力画像Iiの記録をもたらす。さらに特に、入力画像Iiの各ピクセル値は、該ピクセルに対応する身体部分の位置での音響応答の強度により決定される。任意に、受信プロセッサ1306は動き補償モジュールを含み、参照画像に対して(例えば、患者の動き、患者の呼吸サイクル、又は画像化プローブの不随意の運動が原因の)入力画像Iiの不整合を低減する方法を実行する。この目的に十分に適合する動き補償の方法の例は、2005年8月5日に出願された同時係属の国際特許出願PCT/EP2005/053871に記載されている(参照することにより、全開示がこの明細書に組み込まれる)。
【0083】
描画モジュール1309は、(できる限り位置合わせされた)入力画像Iiについて分析工程のための関心のある領域を事前に定義するために用いられる。その動作は、入力画像Ii(すなわちM×N)と同一サイズの二進値のマトリックスからなる制限マスクMlを生成する。関心のある領域の内側の全ての二進値は論理値「1」を割り当てられ、関心のある領域の外側の二進値は論理値「0」を割り当てられる。
【0084】
プリプロセッサ1312は、(映像)入力画像を対応する線形化入力画像に変換するのに任意に用いられる。各ピクセル値は、造影剤の対応する局所濃度に正比例する。例えば、この結果は(例えば、WO−A−2004/110279に記載されているように(参照することにより、全開示がこの明細書に組み込まれる。))、逆対数圧縮を適用し、得られる値を2乗(squaring)することにより達成されうる。どんな場合でも、プロプロセッサ1312は、原始の(映像)入力画像Ii又は対応する線形化入力画像(ユーザの選択に従う。)からなる、一連の事前に処理された入力画像Ipを出力する。
【0085】
セレクタ1315は、背景画像(Ibで示す。)として用いられる、事前に処理された(映像又は線形化)入力画像Ipの一つを抽出及びラッチするのに用いられる。例えば、背景画像Ibは、造影剤が分析もとの身体部分に達する前に撮られた事前に処理された入力画像Ipの中から選択される。
【0086】
乗算器オペレータ1321は、背景画像Ibを(セレクタ1315から)受け取り、制限マスクMlを(描画モジュール1309から)受け取る。オペレータ1321は、対応する制限された背景画像LIbを生成するために、背景画像Ibに制限マスクMlをピクセル毎に掛ける(この動作は一度だけする必要があるが、工程中いつでも繰り返すことができる)。別の乗算器オペレータ1324は、事前に処理された(映像又は線形化)入力画像Ipを(プリプロセッサ1312から)受け取り、制限マスクMlを(描画モジュール1309)から受け取る。オペレータ1324は、対応する制限された入力画像LIpを生成するために、事前に処理された入力画像Ipに制限マスクMlをピクセル毎に掛ける。その結果、制限された背景画像LIbと制限された入力画像LIpは、それぞれ、(制限マスクMlにより定義された)関心のある領域の内側にある、背景画像Ibと事前に処理された入力画像Ipのピクセル値を含むのみとなる。一方、他のピクセル値は、「0」にリセットされる。
【0087】
差分オペレータ1327は、制限された背景画像LIbを(乗算器1321から)受け取り、制限された入力画像LIpを(乗算器1324から)受け取る。オペレータ1327は、(例えば、受信プロセッサ1306で適用されるコントラスト特有アルゴリズムにより完全に取り除くことができなかった組織の寄与に起因する)残りのクラッタを取り除くために、ピクセル毎に、制限された入力画像LIpから制限された背景画像LIbを減じる。この動作により、一連の訂正画像Icが生成される。一連の訂正画像Icは、空間的サブサンプラ1333に供給される。
【0088】
モジュール1333は、(例えば、2〜6ピクセルと同等の)各寸法に沿った画像化プローブの空間解像度により決定される係数に従って、訂正画像Icを二段抽出(サブサンプリング)する。好ましくは、空間サブサンプリングは、サブサンプリング係数に従ったサブサンプリングが後に続く、低域フィルタリングを含む。ローパスフィルタのカットオフ周波数は、例えばフーリエ解析により決定される、訂正画像Icから選択された一つの画像内にかなりのエネルギーを含む最高周波数成分として選択されうる。それから、サブサンプリング係数は、例えば、結果的に空間サンプリング周波数をカットオフ周波数の2倍に等しくする値として、決定されうる。各訂正画像Icは、(空間的にサブサンプリングされた)画像Isに変換される。
【0089】
画像Isは、上述したアルゴリズムに従ってさらに処理するバッファメモリとして動作するスタック1336に連続して格納される。スタック1336は、m個の画像Isのための記憶装置を提供する。mの値は、関係m=n(p+1)に従って、フィルタリングの深さnと時間的サブサンプリングパラメータp(0〜n−2で変化する。)を選択することにより、決定される。一連のn個の(時間的にサブサンプリングされた)画像SIsが生成され、さらなる処理に利用されうる。最も実用的な状況では、m=nにするために、パラメータpは「0」に設定される。一連の画像SIsは、スタック1336に格納される全ての最後のn個の画像Isからなる(全ての画像Isが考慮される)。逆に、サブサンプリングパラメータpが「0」より大きいとき、n個の画像Isをさらなる処理に利用できるようにするために、m個の画像Is(m>n)はスタック1336に格納されなければならない。この時間的サブサンプリングは、超音波スキャナが超高サンプリングレート(例えば、毎秒100〜500画像)で動作するときに、有利に利用されてもよい。この場合、全ての利用できる画像Isの分析は、有用な利点を少しも提供しない。また、スタック1336は、オーバーラッピング(overlapping)パラメータo(0〜m−1の範囲で変化する)を受け取る。一般的に、オーバーラッピングパラメータはo=m−1であり、スタック1336は各画像Isについて新しい一連の画像SIsを生成する。オーバーラッピングパラメータがo<m−1のとき、スタック1336は、m−o画像Isがスタック1336に入力された後、新しい一連の画像SIsを生成する。
【0090】
同時に、受信プロセッサ1306により提供される原始の(映像)入力画像Iiは、他のスタック1337にラッチされる。他のスタック1337は、mと同じ大きさ(m個の入力画像Iiを格納するため)の先入れ先出し(FIFO)のシフトレジスタである。
【0091】
フィルタ1339は、スタック1336から一連の画像SIsを受け取る。フィルタ1339は、上述した修正Min_IPアルゴリズムを一連の画像Sis(n個の画像Isを含む。)に適用することにより、フィルタ処理された画像Ifsを算出する。
【0092】
それから、得られたフィルタ処理された画像Ifsは、マスク生成器1342に渡される。マスク生成器1342は、(例えば、最大許容値の0〜5%の範囲で変化する)セル値について所定の閾値THを受け取る。マスク生成器1342は、対応するオーバーレイ(overlay)マスクMoを生成する。オーバーレイマスクMoは、(各セルに)その値が閾値THより完全に高い場合、論理値「1」を割り当て、そうでなければ論理値「0」を割り当てることにより、フィルタ処理された画像Ifsから得られる。
【0093】
続いて、オーバーレイマスクMoは、空間的補間器1345に供給される。空間的補間器1345は、入力画像Iiのサイズ(すなわち、M×Nの二進値)に対応する原寸大のオーバーレイマスクMoを復元する。このため、オーバーレイマスクMoの各セルの値は、対応するピクセル群について複製される。この動作により、対応する補間マスクRMoが生成される。
【0094】
同時に、フィルタ処理された画像Ifsは、ポストプロセッサ1348に供給される。ポストプロセッサ1348は、任意に、場合によって利得係数を適用することにより、フィルタ処理された画像Ifsのセル値を対応する離散値(例えば、全てのセルの最低値と最高値の間に均一に分配される64又は128レベルからなる。)に変換する。任意に、入力画像Iiがプリプロセッサ1312により線形化されるとき、ポストプロセッサ1348は、十分に均衡のとれたコントラストの画像を生成するために、非線形処理(対数圧縮など)を適用してもよい。ポストプロセッサ1348は、色のルックアップテーブル1351にアクセスする。色のルックアップテーブル1351は、全ての可能なレベルを対応する色表現(好ましくは、レベルが増加するにつれて明るくなる)に関連付ける。例えば、各色は、実際の仕様を含むパレット内の位置にアクセスする指標により定義される。このように、フィルタ処理された画像Ifsの各セルは、対応する色表現を割り当てられる。
【0095】
(事前に処理された又は最初に形成された)フィルタ処理された画像Ifsは、空間的補間器1354に供給される。空間的補間器1354は、(例えば、最近傍、双一次、又は双三次技術に基づいた)補間技術により、入力画像Iiのサイズ(すなわち、M×Nのピクセル値)に対応する原寸大のフィルタ処理された画像Ifsを復元する。このため、フィルタ処理された画像Ifsの各セルの値は、(最近傍補間法で)対応するピクセル群について複製され、任意に空間的に(例えば、ローパス2D又は3D空間フィルタを用いて)フィルタ処理される。この動作により、対応する補間画像RIが生成される。
【0096】
乗算器オペレータ1357は、補間画像RIを(空間的補間器1354から)受け取り、補間マスクRMoを(空間的補間器1345から)受け取る。オペレータ1357は、ピクセル毎に補間画像RIに補間マスクRMoを掛けて、マスク画像MIを得る。その結果、マスク画像MIは、閾値THより高い、対応する補間画像RIのピクセル値を含むだけとなる(他のピクセル値は「0」にリセットされる)。閾値THは、補間画像RIのマスキングのレベルの調整を可能にする。具体的には、閾値THが「0」に設定された場合、オーバーレイマスクMoと補間されたオーバーレイマスクRMoの全てのピクセルは論理値「1」であり、マスク画像MIは補間画像RIと全く同一となる。それから、マスク画像MIは、(以前の中身を置き換える)単一画像バッファ1358にラッチされる。このように、新しくフィルタ処理された画像Ifsがフィルタ1339によって出力されるたびに、バッファ1358内のマスク画像MIが更新される。そうでなければ、(最後に算出されたフィルタ処理された画像Ifsから得られたマスク画像MIを保持するために)マスク画像MIは変化しない。
【0097】
また、補間マスクRMoは、空間的補間器1345から変換器1360に供給される。変換器1360は、(論理値の「0」と「1」を交換することにより)対応する反転補間マスクRMoを生成する。補間マスクRMoは同様に、(以前の中身を置き換える)他の単一画像バッファ1361にラッチされ、バッファ1358内のマスク画像MIと常に同期される。それから、バッファ1361にラッチされた反転補間マスクRMoは、乗算器オペレータ1363に渡される。乗算器オペレータ1363は、スタック1337から遅延画像Idを受け取る。反転補間マスクRMoがバッファ1361にラッチされるたびに、対応する遅延画像Idがスタック1337から抜け出る。これにより、オペレータ1363は入力をピクセル毎に掛けて、マスク遅延画像MIdを得ることが可能となる。その結果、マスク遅延画像MIdは、対応するマスク画像MIに含まれていない遅延画像Idのピクセル値を含むのみとなる(他のピクセル値は「0」にリセットされる)。
【0098】
加算器オペレータ1369は、(乗算器1363から)マスク遅延画像MIdを受け取り、(バッファ1358にラッチされた)マスク画像MIを受け取る。オペレータ1369は、マスク画像MIとマスク遅延画像MIdを(正確に同期して)ピクセル毎に加算して、オーバーレイ(overlaid)画像Ioを得る。このように、遅延画像Idの各ピクセル値は、後者が有効な(すなわち、閾値THより高い)値を持つときかつそのときに限り、マスク画像MIの対応するピクセル値により覆される。
【0099】
オーバーレイ画像Ioはモニタドライバ1372に渡される。モニタドライバ1372は、その可視化を制御する。同時に、オーバーレイ画像Ioは、リポジトリ1375に加えられる。上述した同一の動作は、記録される新しい入力画像Ii毎に繰り返される。具体的には、新しい入力画像Iiはスタック1337に押し込まれる。これにより、スタック1337内の前の入力画像Iiがシフトし、最も古い入力画像Iiが出力される。同時に(可能な限りの線形化、関心のある所望の領域への限定、背景画像Ibの減算、及び空間的サブサンプリングの後)、対応する新しく訂正された画像Icがスタック1336に加えられる。その結果、オーバーレイ画像Ioは、超音波スキャナのモニタに連続して表示される。各オーバーレイ画像Ioは、(収集時間に関する)遅延により利用できることに注目すべきである。遅延は、(選択されたフィルタリング窓に対応する)全スタック1337を渡るのに必要な時間によって規定される。さらに、得られた一連のオーバーレイ画像Ioは、さらなる分析のためにリポジトリ1375において利用できる。
【0100】
上述した解決は、固定化した造影剤の検出を促進する。具体的には、これは、固定化した造影剤を循環している造影剤(及び動いている組織)と区別することを可能にする。よって、得られる結果の分析の精度は、かなり増加する。
【0101】
さらに特に、この技術は、身体部分の関心のある領域において、固定化した造影剤を空間的に描写することを可能にする。同時に、比較的高精度で各位置の固定化した造影剤の濃度の数量化を可能にする。例えば、これは、別の方法では検出することが難しいいくつかの病状の正しい診断を促進する。
【0102】
固定化した造影剤の検出が、リアルタイムで(画像を表示しながら)可能であることに注目すべきである。具体的には、造影剤の固定化した粒子は、標的に取り付いたままになるとすぐに明らかにされる。それ故、造影剤を投与後の早い時点で(ウォッシュアウトの完了を待つ必要なしに)、分析の結果を利用することができる。
【0103】
上記の全ては、標的にされた造影剤の使用に基づく、新しい画像化技術の開発の成功に貢献する。
【0104】
一連のオーバーレイ画像の読み出しは、(補間された)フィルタ処理された画像を構築する工程中、セルに割り当てられた色表現により規定される色で表示されるときに、さらに促進される。この場合、それぞれの異なる色は、それ自身の量的な意味を持つ。例えば、この値は、一連のオーバーレイ画像に近くのモニタに表示されるカラーバーから読み出されうる。
【0105】
さらに、フィルタ処理された画像を入力画像に重ね合わせる(オーバーレイする)ことにより、ここで分析もとの身体部分の実際の描写について説明された、固定化した造影剤の視覚認知が高まる。また、閾値THは、不測の要求に従って、オーバーレイの程度を調整することが可能であることに注目すべきである。例えば、閾値THの増加はオーバーレイを低減し、(原始の)入力画像の加工処理の影響を制限する。逆に、閾値THを「0」に設定すると、フィルタ処理された画像を関心のある領域で完全に入力画像に重ね合わすことが可能となる。
【0106】
変形例
当然、局所及び特定の要求を満たすために、当業者は上述した解決に多くの改良及び変更を適用してもよい。特に、本発明について、好ましい実施形態を参照して、ある程度詳細に説明したけれども、他の実施形態に加え、形式及び細部について、種々の省略、置換、及び変更が可能であることは理解されるべきである。さらに、本発明で開示された実施形態に関連して説明された特定の要素及び/又は方法のステップが、設計上の選択の一般的な事項として、他の実施形態に組み込まれても良いことは、明白に意図される。
【0107】
例えば、超音波スキャナが異なる構造を有し、すなわち(例えば、線形、凸状、段階的、又はマトリックスのアレイタイプの画像化プローブを備える)他のユニットを含む場合、同様の考察が適用される。これに代えて、提案された解決は、超音波スキャナと別個のコンピュータ(又は同等のデータ処理システム)とを含む医療画像システムに適用される。この場合、測定されたデータは、(例えば、リムーバブルディスク、メモリーキー、又はネットワーク接続により)超音波スキャナから処理用のコンピュータに転送される。いずれの場合にも、磁気共鳴画像(MRI)又はX線コンピュータ断層撮影(CT)に基づいた他の医療画像アプリケーションへの適用は、本発明の範囲に含まれる。
【0108】
同様に、本発明の解決は、どの(生物学的)標的についても同等の造影剤で実現するのに役立つ。例えば、上述した代替のアプリケーションでは、造影剤が磁気共鳴画像又はX線コンピュータ断線撮影画像を向上させるのに特有である。
【0109】
どんな場合でも、(関心のある領域を選択せずに)全画像への提案した処理の適用を妨げるものはない。
【0110】
上述したように、本発明の解決は、好ましくは、(造影剤の循環している粒子により生成されるスペックル粒子を重ね合わせる影響を取り除くのを促進するために)関連性のあるピクセル値間の最小値を計算することにより実行される。しかし、これに限定しようというものではなく、実際は、代替のアルゴリズムが(例えば、ピクセル値の加重平均に基づいて)関連のあるセットの最低値を一般的に示す値を計算するのに用いられても良い。さらに一般的には、提案された解決は、入力画像のピクセル値を、対応するピクセルの位置の(超音波パルスへの)最低の応答を示すフィルタ処理された値と交換する。それ故、これは、陰性の画像(ピクセル値がエコー信号の強度とともに減少する。)に基づくシステムにおいて、セットの最大値を計算することを意味する。
【0111】
本発明の原理から離れることなしに、フィルタリング窓(及びフィルタリングの長さ)は、異なる方法で規定されてもよい。どんな場合でも、所定の(例えば、最も標準の状況で許容できる性能を提供する値に設定された)フィルタリング窓の使用を妨げるものはない。
【0112】
また、入力画像の時間的サブサンプリングは、他の基準に従って実行されてもよい(又は、完全に省略されてもよい)。
【0113】
さらに、入力画像を取得するどの他の技術(例えば、ドップラーに基づくアルゴリズムを用いたもの)も本発明の範囲内に含まれる。
【0114】
背景画像の減算に関する特徴は、絶対に必要なものではない(本発明のある実行では省略してもよい。)ことは、明らかである。
【0115】
入力画像が(例えば、所定のサブサンプリング係数に従って)異なる技術でサブサンプリングされる場合も、同様の考察が適用される。どんな場合でも、(上述した空間的サブサンプリングにより規定されるピクセル群のレベルの代わりの)ピクセルレベルで提案された解決を適用することは、排除されない。
【0116】
同様に、(例えば、入力画像の動きが造影剤の流れよりもはるかに遅いとき)入力画像の動きを補償することを省略することもできる。
【0117】
また、空間的サブサンプリングは、対応するスタックに格納される前に適用される代わりに、画像のフィルタリング後に適用されてもよい。
【0118】
フィルタ処理された画像を入力画像に重ね合わせることの選択は、ユーザの好みに任せることもできる。例えば、フィルタ処理された画像は、入力画像に重ね合わされることなしに単独で表示されてもよいし、関心のある領域内の入力画像のピクセル値が、コントラストを改善する黒を背景にしてフィルタ処理された画像を表示するために、ゼロに設定されてもよい。代替の実施形態によれば、フィルタ処理された画像は、非コントラスト特有画像(受信プロセッサにより供給されるコントラスト特有画像から抽出された基本波のBモード画像など)に重ね合わされる。それにもかかわらず、フィルタ処理された画像は、好ましくは、コントラスト特有画像モードにより供給される画像から生成される。さらに、本発明は、特にリアルタイムでの使用のために設計されたけれども、得られた結果をオフラインで分析するように発明された解決の応用性が熟慮される。
【0119】
異なるフィルタリングの長さで修正Min_IPアルゴリズムを利用する2以上のフィルタを並行に実行することにより、方法を拡張することができる。これは、異なる流速の造影剤の粒子(造影剤の早く動く粒子、ゆっくり動く粒子、及び固定化した粒子など)を同時に識別することを可能にする。
【0120】
(本発明を実行するのに用いられうる)プログラムが異なる方法で構成されている場合、又は追加のモジュール又は機能が提供される場合でも、同様の考察が当てはまる。同様に、メモリ構造は他のタイプであってもいいし、又は同等のエンティティ(必ずしも物理的な記憶媒体を有しない。)と置き換えられても良い。さらに、提案された解決は、同等の方法(異なる順序で、同様の又は追加のステップを持つ。)で実行されるのに適する。どんな場合でも、プログラムは、外部又は内部のソフトウェア、ファームウェア、又は(オブジェクトコード又はソースコードの)マイクロコードなどのどんなデータ処理システムでも、そのシステムによって使用される又は関連して使用されるのに適した形態を取ってもよい。さらに、プログラムは、コンピュータが使用可能な媒体について提供されてもよい。その媒体は、プログラムを含み、格納し、伝達し、伝搬し、又は転送するのに適したどんな要素であってもよい。このような媒体の例としては、(プログラムが予めロードされている)固定ディスク、リムーバブルディスク、テープ、カード、電線、ファイバ、無線接続、ネットワーク、放送波などがある。例えば、媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体の種類であってもよい。
【0121】
どんな場合であっても、本発明による解決は、(例えば、半導体物質のチップに一体化された)ハードウェア構造で、又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで、実行されるのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の実施形態による解決が適用される超音波スキャナの画像表示
【図2a】本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図2b】本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図3a】本発明の同一の実施形態による解決の異なる例示的な適用の概略表示
【図3b】本発明の同一の実施形態による解決の異なる例示的な適用の概略表示
【図4a】本発明の実施形態による解決の動作を説明する時間図
【図4b】本発明の実施形態による解決の動作を説明する時間図
【図5a】当技術分野で知られている最小値投影法アルゴリズムの適用の概略表示
【図5b】当技術分野で知られている最小値投影法アルゴリズムの適用の概略表示
【図6a】当技術分野で知られている最大値投影法アルゴリズムの適用の概略表示
【図6b】当技術分野で知られている最大値投影法アルゴリズムの適用の概略表示
【図7a】危機状態における、本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図7b】危機状態における、本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図8a】他の危機状態における、本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図8b】他の危機状態における、本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図9a】本発明のさらなる実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図9b】本発明のさらなる実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図10a】本発明の同一の実施形態による解決の異なる例示的な適用の概略表示
【図10b】本発明の同一の実施形態による解決の異なる例示的な適用の概略表示
【図11】異なるアルゴリズムの例示的な適用のシミュレーション
【図12a】本発明の実施形態による解決の生体の適用の例
【図12b】本発明の実施形態による解決の生体の適用の例
【図13】本発明の実施形態による解決を実行するのに使用されうる主なソフトウェアとハードウェアの構成を示す図
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像分野に関する。特に、本発明は、固定化した造影剤の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
医療画像は、(医療アプリケーションの設備の分野において)十分に確立した技術であり、実質的に非侵襲的な方法で患者の身体部分を分析することを可能にする。特定の医療画像技術は、身体部分に超音波を当てることにより生じるエコー信号の記録に基づいている。この技術は、有利に、患者に超音波造影剤(UCA)(例えば、リン脂質安定化ガス入りマイクロバブルの検査液からなる。)を投与することにより実施される。造影剤は、有効な超音波反射体としての機能を果たすことにより、造影剤が存在する身体部分内の血管系の視覚化を高める。
【0003】
特定の(生物学的)標的に達し、その後、そこで固定化するのに適した造影剤が、特定の病状(pathologies)の検出を促進するために、ここ数年提案されてきている。特に、これらの造影剤は、特定の相互作用により、選択された組織又は受容体に取り付くことが可能である。例えば、所望の反応が、(例えば、腫瘍性組織と作用し合うことが可能な)造影剤の処方に、標的リガンドを組み込むことにより、達成されうる。さらに、造影剤は、不特定の相互作用により、組織又は臓器などの特定の場所に搬送又は蓄積されうる。例えば、造影剤は、患者の免疫系により、異物として認識されて、それから、肝臓の代謝と除去のために肝臓に移されうる。どんな場合でも、造影剤が(特定又は不特定の相互作用で)標的に達し、そこで固定化すると、造影剤の検出は、他の方法では識別することが難しい病状を識別することを可能にする。
【0004】
固定化した造影剤の検出に関して起こりうる問題は、投与される造影剤の総量のうち、比較的にごく少量しか実際に標的に到達しないということである。逆に、造影剤の大部分が、(例えば、患者の肺及び又は肝臓によって、フィルタにかけられるまで)循環し続ける。測定されたエコー信号は、固定化した造影剤に起因する、循環している(自由に流れている)造影剤と周囲の組織への異なる寄与(contributions)の結果となる。従って、固定化した造影剤により生成されたエコー信号を、循環している造影剤と組織により生成されるエコー信号と区別することは非常に困難である。特に、低濃度の固定化した造影剤(多くの場合、個々に標的に達する単一粒子からなる。)を、より高濃度の循環している造影剤と区別することは、ほとんど不可能である。これは、固定化した造影剤の空間描写と数量化に悪影響を及ぼし、関心のある病状の正確な検知を妨げる。
【0005】
固定化した造影剤の区別を改善する試みが行われている。例えば、「P.A. Dayton, D. Pearson, J. Clark, S. Simon, P. Schumann, R. Zutshi, T. Matsunaga, K.W. Ferrara, Ultrasonic Enhancement of αvβ3 Expressing-Cells With Targeted Contrast Agents, 2003 IEEE Ultrasonics Symposium」は、固定化した造影剤に対応するエコー信号が、循環している造影剤のエコー信号よりもより狭い帯域幅を持つことを観測することによる解決を提案している。この文献は、循環している造影剤について観測されるより広い帯域幅を利用するエコー信号の異なる寄与を識別する可能性を言及している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、固定化した造影剤を検出する技術において、満足できる精度で利用できる解決はない。特に、固定化した造影剤を循環している造影剤と効率よく区別する問題は、まだ解決されていない。また、このような状況において、各位置で固定化した造影剤の濃度を数量化することが望ましい。
【0007】
従って、現今では、固定化した造影剤の識別が可能になる前に、循環している造影剤が完全に存在しなくなるまで待たなければならない。しかしながら、これには、比較的長い時間(最大で数十分)を要する。
【0008】
上述した全てのものは、固定化した造影剤を検出するための現在利用できるコントラストの特有の画像技術の臨床応用を妨げる。
【0009】
本発明は、固定化した造影剤と循環している造影剤の流動力学の違いを利用する解決を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
特に、本発明の態様は、医療画像アプリケーションにおける固定化した造影剤の検出を促進するシステムを提供する。そのシステムは、一連の総数の入力画像を提供する手段(超音波スキャナなど)を有する。入力画像は、造影剤を投与される患者の身体部分を画像化することにより、(対応する取得の瞬間に)得られる(すなわち、画像の少なくとも一部は、造影剤により生成された信号を含む)。造影剤は、生物学的標的で実質的に動かなくなり(すなわち、実質的に固定の位置でとどまり)、そうでなければ(少なくとも、身体から排出される又は身体により代謝される時間がくるまで)患者の身体内を自由に循環することが可能である。例えば、造影剤は、(特定の相互作用により)選択的に特定の組織又は受容体に取り付くことが可能である。また、造影剤は、(不特定の相互作用により)特定の組織又は臓器に搬送又は蓄積されうる。各入力画像は複数の入力値(すなわち、ピクセル値又はボクセル値)を含み、各入力値は造影剤をできる限り含む身体部分の対応する部分の呼びかけ信号(超音波のエコー信号など)に対する応答を示す。システムは、さらに、1以上の選択された入力画像の身体部分内で循環している造影剤の寄与を低減する手段を有する。この目的のために、各選択された入力画像に対応するフィルタ処理された画像が生成される。結果は、選択された入力画像(例えば、所望の関心のある範囲)の一連の入力値を一連の対応するフィルタ処理された値に置き換えることにより、達成される。各フィルタ処理された値は一連の多数の入力画像(選択された入力画像を含む。)の身体部分の対応する部分の最小(lowest)の応答を示す。一連の多数の入力画像は総数未満の数(2以上)の入力画像で構成される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、各フィルタ処理された値は、(一連の多数の入力画像の)対応する入力値の中の最小値からなる。例えば、この結果は、最小値投影法(Minimum Intensity Projection)(Min_IP)アルゴリズムの修正版を適用することにより、達成されうる。
【0012】
一般的には、一連の多数の入力画像は、選択された入力画像と少なくとも1つの以前の入力画像とを順序通り含む。
【0013】
好ましくは、2以上の以前の入力画像が、この目的のために考慮される。
【0014】
好ましい実施形態によれば、以前の入力画像の数は、造影剤の推定の流速に応じて、選択される(例えば、その数は、流速が遅い又は速いときにそれぞれ増加又は減少する)。
【0015】
特定の実施において、以前の入力画像を時間的にサブサンプリング(sub-sample)することが可能である。
【0016】
一般的には、(例えば、コントラスト特有の画像モードで入力画像を取得することにより)入力画像の組織の寄与がすでに十分に取り除かれ、又は少なくとも低減されている。
【0017】
解決をさらに改善する方法は、(例えば、造影剤が身体部分に到着する前に撮られた)背景画像を入力画像から差し引くことである。
【0018】
好ましい実施において、一連の多数の入力画像は、推定された解像度(resolution)に従って(例えば、超音波画像内に一般的に発生するスペックル粒子の大きさに基づいて)、空間的にサブサンプリングされる。
【0019】
さらなる改善として、(選択された参照画像に関して)各入力画像の相対運動を補償することが可能である。
【0020】
さらに、入力画像は、(入力値が身体部分の対応する部分の造影剤の濃度に実質的に比例するように)線形にされてもよい。
【0021】
提案された解決は、特に、各フィルタ処理された画像が、対応する入力画像の取得の瞬間で実質的にリアルタイムに(すなわち、分析処理の完了を待つことなしにわずかの遅れで)表示されるときに特に有利である。
【0022】
好ましくは、フィルタ処理された画像は、対応する選択された入力画像に重ね合わされる。
【0023】
本発明の他の態様は、対応する方法を提案する。
【0024】
本発明のさらに他の態様は、方法を実行するコンピュータプログラムを提案する。
【0025】
本発明の特徴は、添付の特許請求の範囲に記述されている。しかしながら、本発明は、さらなる特徴と利点と共に、限定されない表示により単に与えられた、添付の図面と共に読まれる、下記の詳細な記述を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の実施形態による医療画像システムの例を示す。具体的には、画像システムは、中央装置105と携帯送受信画像化プローブ110(例えば、アレイタイプのプローブ)を有する超音波スキャナ100である。画像化プローブ110は、一連の高周波の音波を当てる超音波パルス(例えば、中心周波数が2〜10MHzの間のパルス)からなる超音波を送信し、超音波パルスの反射により得られる(生の)無線周波数(RF)エコー信号を受信する。この目的のために、画像化プローブ110は、画像化プローブ110をパルス−エコーモードで使用することを可能にする送受信マルチプレクサを備える。
【0027】
中央装置105は、マザーボード115を収容する。マザーボード115には、超音波スキャナ100の動作を制御する電子回路(マイクロプロセッサ、ワーキングメモリ、及びハードディスクドライブなど)が搭載される。さらに、1以上のドーターボード(まとめて120で示されている。)が、マザーボード115に差し込まれている。ドーターボード120は、画像化プローブ110を駆動し、受信するエコー信号を処理する電子回路を提供する。超音波スキャナ100は、リムーバブルディスク130(フロッピーディスクなど)を読むためのドライブ125を備えることができる。モニタ135は、進行中の分析に関連する画像を表示する。超音波スキャナ100の動作は、キーボード140により制御される。キーボード140は、従来の方式で中央装置105に接続されている。好ましくは、キーボードは、モニタ135のスクリーン上のポインタ(図示せず)の位置を操作するのに用いられるトラックボール145を備える。
【0028】
超音波画像アプリケーションにおいて、画像化プローブ110は一般的には分析される身体部分155の領域で、患者150の皮膚と接触して載置される。
【0029】
一般的に、選択された標的で固定化が可能な造影剤が患者に投与され、分析のもとで身体部分が造影剤を受け入れる。選択された画像技術に従って、造影剤は、例えば、超音波画像、磁気共鳴画像、又はX線コンピュータ断層撮影画像の画質を高めるのに特有しうる。造影剤は、(肺を撮像するために)気道への噴霧器により、又は注入により、(例えば、消化管を撮像するために)経口投与されうる。注入による投与は、例えば、血管内(静脈内又は動脈内など)、リンパ管内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、間質、髄腔内、腫瘍内の投与を含む。好ましくは、造影剤は、持続注入(一般的には、ポンプにより)又は急速静注(一般的には、注射器を持った手により)として、注入により静脈内に投与され、分析のもとの身体部分は、造影剤で潅流される。本発明によれば、異なる画像技術に従って、造影剤が身体部分の画像を取得する前及び/又は取得中に患者に投与されうる。
【0030】
造影剤は、分析もとの身体部分により受け入れられるように、実質的に自由に患者内を循環する。例えば、造影剤は、(経口投与の場合)消化管に沿って移動することができ、又は(血管内投与の場合)血管内で動くことができる。しかしながら、造影剤は、分析処理の全継続時間において(又は少なくともその大部分で)、実質的に一定の位置で留まるように、選択された(生物学的)標的で固定化することが可能である。
【0031】
好ましくは、造影剤は、図1のシステムで取得される画像などの超音波画像を向上することができる。
【0032】
超音波画像に適した造影剤は、液体キャリア内に気泡がある懸濁液を含む。一般的には、気泡の直径は、気泡が患者の身体の毛細血管を通ることが可能なように、0.1−5μmである。気泡は、一般的に、気体又はその先駆物質を、乳化剤、油、増粘剤、糖類、蛋白質、又はポリマーを含む種々の系に混入する又は封入することにより、安定化される。安定化された気泡は、気体充填微小胞と呼ばれる。微小胞は、水性溶媒に分散され、界面活性剤、すなわち(超微粒気泡として知られる)両親媒性物質を含む非常に薄いエンベロープにより気液界面で結合する、気泡を含む。これに代えて、微小胞は、気泡が脂質又は天然で形成される固体物質のエンベロープ又は合成ポリマー(マイクロバルーン又はマイクロカプセルとして知られている)により囲まれる、懸濁液を含む。他の種類の造影剤は、ポリマー又は他の固体の多孔性微粒子の懸濁液であって、微粒子の気孔内に閉じこめられる気泡を運ぶ懸濁液を含む。微小胞、特にマイクロバブルとマイクロバルーンとその調合液の適当な水性懸濁液の例は、EP−A−0458745、WO−A−91/15244、EP−A−0554213、WO−A−94/09829、及びWO−A−95/16467(参照することにより、これらの全開示がこの明細書に組み込まれる。)に記載されている。気体充填微小胞を含む市販の超音波造影剤の例として、Bracco International BVのSonoVue(R)がある。
【0033】
好ましくは、造影剤は、それと共に特有の相互作用により所望の標的に選択的に結合する方法で、形成される。この場合、一般に、標的造影剤と呼ばれる。例えば、この作用は、所望の組織又は受容体に(生化学親和性及び/又は静電相互作用により)選択的に結合することが可能な標的リガンドを混合することにより、達成されうる。標的リガンド(マイクロバブルの膜に挿入されうる。)の例は、モノクローナル抗体、ペプチド、又は多糖類である。この用語の組織は、その意味において、細胞膜又は臓器などの細胞集合体だけでなく、個々の細胞を含む。用語は、正常(健康)か又は異常(病気)な細胞又は細胞集合体を参照する。組織は、例えば、心筋組織(心筋細胞(myocardial cells and cardiomyocites)を含む。)、膜性細胞(内皮及び上皮など)、及び結合組織である。病理組織は、例えば、梗塞心臓組織、血栓、動脈硬化性プラーク、及び腫瘍性組織である。受容体は、特定物質に選択的に結合することが可能な、組織上(例えば、細胞内又はそれらの表面上)にある分子構造を含む。受容体は、例えば、(例えば、血栓(blood clots or thrombi)にある)糖タンパク質GPIIbIIIa又はフィブリン、又は(例えば、腫瘍性組織内にある)KDRである。適当な標的造影剤と標的リガンドの例は、「G.M. Lanza and S.A. Wickline, Targeted Ultrasonic Contrast Agents for Molecular Imaging and Therapy, Progress in Cardiovascular Diseases, 44(1), 2001, 13-31」と、2005年8月17日に出願された同時係属の国際特許出願PCT/EP2005/054041に記述されている(参照することにより、これらの全開示がこの明細書に組み込まれる。)。
【0034】
特定標的リガンドのない造影剤は、それにもかかわらず、不特定の相互作用により患者の特定の位置で動かなくなりうる。例えば、それらの処方及び大きさに従って、特定の気体充填微小胞は、血液の非自己成分として急速に受け入れられ、血液中の蛋白質によりオプソニン化され、単球又はマクロファージにより食菌されてもよい。この場合、一般的に、気体充填微小胞の大部分が肝臓に行き着く。これに変えて、(血液の非自己成分として急速に受け入れられることが少ない)気体充填微小胞が、循環時間を少なくとも最大20分に延長してもよい。これらの気体充填微小胞について、ゆっくりした蓄積が特定の臓器(例えば、腎臓)内で発生しうる。それ故、投与後の遅い時間に、気体充填微小胞はゆっくり動くことができる又は完全に臓器内で停止することができる。後期混濁(LPO)として当分野で知られている、上述の現象の数量化は、組織で臓器の状態についての有益な情報を提供してもよい。
【0035】
再び図1を参照すると、造影剤のごく僅かな破壊(総量の20%未満、好ましくは10%未満)を伴うように、低音響エネルギー(機械的指標MI=0.01−0.1)の一連の超音波パルスが身体部分155に当てられる。超音波パルスに応えて時間と共に記録されるエコー信号は、(患者150が造影剤を投与されている間の又はその後の)分析処理中、身体部分155の進化の表示を提供する。それから、エコー信号は、標準の輝度モード(B−mode)の一連のデジタル画像(又はフレーム)に変換される。その画像は、対応する連続的な取得の瞬間(例えば、毎秒10〜30枚の画像のサンプリングレート)での身体部分155を表す。各画像は、それぞれを視覚化する要素、すなわち、基本の画像素子(ピクセル)又は基本のボリュームエレメント(ボクセル)であって、それぞれが身体部分155の基本の位置の場所に対応している要素の値のマトリックス(例えば、512行と512列)からなるビットマップにより規定される。一般的には、ピクセル値は、ピクセルの輝度を定義するグレースケールレベル(例えば、8ビットでコード化される)からなり、ピクセル値は、対応するエコー信号の強度に応じて、0(黒)〜255(白)に増加する。
【0036】
エコー信号と対応する画像は、一般的に、異なる寄与の付加に起因する。異なる寄与は、循環し続けている造影剤と標的で動かなくなった造影剤と周囲の組織とにより生成される。好ましくは、超音波スキャナ100は、(循環している及び固定化した)造影剤の(非線形の)寄与に関して、エコー信号の組織の優性遺伝子の(線形の)寄与を十分に取り除く又は少なくとも低減するために、コントラスト特有の画像モードで動作する。コントラスト特有の画像モードは、例えば、「Rafter et al., Imaging technologies and techniques, Cardiology Clinics 22(2004), pp. 181-197」(参照することにより、その全開示がこの明細書に組み込まれる。)に記載されているような、ハーモニックイメージング(HI)、パルス反転(PI)、電力変調(PM)、及びコントラストパルスシーケンシング(CPS)技術を含む。
【0037】
固定化した造影剤を循環している造影剤と区別可能にするために、以下に記述する解決は、循環している造影剤の寄与が低レベルの相関関係を示しているのと対照的に、固定化した造影剤の寄与が時間と共に高レベルの相関関係を示すことを観測することから始まる。より高い相関性があるエコー信号は、(ある瞬間から別の瞬間への)小さな変化又は変化がないことを示す(同じ位置についての)対応するピクセル値により、一連の画像に表される。逆に、低い相関関係を持つエコー信号は、大きな変化を示す対応するピクセル値により表される。それから、画像は、(小さな変化を示すピクセル値を保護するのと同時に)大きな変化を示すピクセル値を十分に抑制する(又は少なくとも減衰する)ように、処理される。
【0038】
このため、各ピクセル値は、それ自身のピクセル値と前の画像の対応するピクセル値との間の最小値により置き換えられる。さらに正式には、ピクセル値は下記に提案するアルゴリズムを適用することにより得られる。
OP(x,y,k)=MIN[IP(x,y,k),IP(x,y,k−1)]
ここで、OP(x,y,k)は、瞬間kに撮影された画像の空間座標x、y(それぞれ行と列の数を示す。)により識別されるピクセルの(出力)処理後の値であり、IP(x,y,k)とIP(x,y,k−1)は、同一画像と前の画像のピクセルの(入力)原始の値であり、MIN[]は、引数間の最小値を決定する関数である。
【0039】
上述のアルゴリズムの適用の例は、図2a及び図2bに概略的に示される。特に、図2aは、連続的瞬間(T1−T8)に撮影された例示的な画像の一部(5つのピクセルP1〜P5からなる)を示す。簡単にするために、各ピクセルP1〜P5は、造影剤がない場合を完全な黒で示し、造影剤が検出された場合を完全な白で示している。
【0040】
図に示すように、全てのピクセルP1〜P5の始まり(瞬間T1)は黒であり、(組織によりエコー信号の寄与が完全に抑制されていると仮定して)身体部分の対応する領域に造影剤がないこと示す。造影剤の第1の粒子(マイクロバブルなど)は、白になったピクセルP1で示されているように、瞬間T2に同一の領域に入る。それから造影剤の第1の粒子は、左から右の領域に渡り(瞬間T3〜T6の白のピクセルP2〜P5)、瞬間T7でそこから去る。第1の粒子に加えて、造影剤の第2の粒子が瞬間T5に領域に入る(白ピクセルP1)。造影剤の第2の粒子は、瞬間T6で隣のピクセルP2に移動し、それからこの位置で動かなくなる(瞬間T6〜T8)。
【0041】
提案したアルゴリズムを上述した例に適用すると、図2bに示す対応する画像が生成される。特に、全てのピクセルP1〜P5は、連続した画像間で変化するときは(アルゴリズムにより計算された対応する最小値で置き換えられるため)黒になり、逆に(連続した画像間で)同じ状態を保つときはその値のままとなる。その結果、造影剤の第1の(循環している)粒子の寄与は消滅する。造影剤の第2の粒子は、動いているときは示されず(瞬間T5〜T6)、動かなくなるとすぐに検出される(瞬間T7〜T8)。
【0042】
当然、実際の適用において、各ピクセルは、どんなグレースケールレベルでも表されうる。具体的には、ピクセル値は、造影剤の濃度の関数である。ピクセルは、低濃度の造影剤がある場合(固定化されている造影剤の粒子がほとんどない場合など)は非常に黒く、高濃度の造影剤がある場合(循環している造影剤がウォッシュイン(wash-in)段階中、分析もとの身体部分に入る場合など)は非常に明るい。
【0043】
例えば、図3aに示すように、全てのピクセルP1〜P5の始まり(瞬間T1)は黒である(造影剤がない)。瞬間T2で、造影剤の粒子が領域に入る(灰色になったピクセルP1により示されている)。造影剤の粒子は瞬間T3で隣のピクセルP2に移り、それからこの位置で動かなくなる(瞬間T4〜T8)。図3aに示すように、造影剤のさらなる循環する粒子が、瞬間T4〜T8(白ピクセルP1〜P5)と瞬間T6〜T8(白ピクセルP1〜P3)に、左から右に領域を渡る。示されているように、循環している造影剤の寄与は支配的であり、固定化した造影剤の存在を実質的に隠す。
【0044】
提案したアルゴリズムをこの例に適用すると、図3bに示す対応する画像が生成される。この場合も、循環している造影剤の寄与は、固定化した造影剤の寄与のみを残して消滅する(瞬間T4〜T8の灰色ピクセルP2)。
【0045】
言い換えれば、上述した処理は、時間とともにピクセル値の(高輝度)ピークを除去する。この作用を説明するために、同一の場所の一連の対応するピクセル値の例が図4aに示されている。図に示すように、造影剤の粒子は、瞬間約2sにピクセル位置で(ピクセル値のわずかな増加により示されるように)動かなくなる。それから造影剤の循環している粒子の多くが、瞬間約12s、22s、30s、38s、46s、及び54sで、(ピクセル値の非常に大きな増加により示されるように)同じピクセルを渡る。
【0046】
しかし、図4bに示すように、提案したアルゴリズムを適用することにより、ピクセル値のパターンは、(造影剤の固定化した粒子を検出した後)実質的に均一になる。実際に、造影剤の循環している粒子の通過により生じるピークは非常に短くなり、アルゴリズムは、対応する高いピクセル値を造影剤の固定化した粒子による以前の低いピクセル値と常に比較する。このようにして、造影剤の固定化した粒子の寄与のみを残して、ピークは消滅する。
【0047】
提案したアルゴリズムは、最小値投影法(Min_IP)アルゴリズムから導出される。以下、このアルゴリズムを「修正Min_IPアルゴリズム」と呼ぶ。(原始の)Min_IPアルゴリズムでは、各ピクセル値は、それ自身のピクセル値と工程の先の反復から得られる現行の最小値との間で最小値に置き換えられる。それは、以下である。
OP(x,y,k)=MIN[IP(x,y,k),OP(x,y,k−1)]
ここで、OP(x,y,k−1)は、以前の画像のピクセルの(出力)処理後の値である。
【0048】
しかし、Min_IPアルゴリズムでは、固定化した造影剤を検出することは不可能であることに注意すべきである。例えば、図5aにおいては、図2aで提供されたのと同一のシナリオが考察される。
【0049】
Min_IPアルゴリズムをこの例に適用すると、図5bに示す対応する画像が生成される。具体的には、(Min_IPアルゴリズムは、値を現行の最小値に置き換えるため)、黒になった全てのピクセルP1〜P5は、同一の値を常に維持する。それ故、造影剤の粒子が動かなくなると、対応するピクセル(P2)は更新されずに黒のままとなる。
【0050】
同様の考察が最大値投影法(Max_IP)アルゴリズムに適用される。Max_IPアルゴリズムでは、各ピクセル値は、そのピクセル値と工程の先の反復から得られる現行の最大値との間で最大値に置き換えられる。それは、以下である。
OP(x,y,k)=MAX[IP(x,y,k),OP(x,y,k−1)]
ここで、MAX[]は、引数間の最大値を決定する関数である。
【0051】
しかしながら、Max_IPアルゴリズムでも、固定化された造影剤を検出することは不可能である。例えば、図6aでは、図2aで提供されたのと同一のシナリオが再度考察される。
【0052】
Max_IPアルゴリズムをこの例に適用すると、図6bに示す対応する画像が生成される。具体的には、(Max_IPアルゴリズムは、値を現行の最大値に置き換えるため)、白になった全てのピクセルP1〜P5は、同一の値を常に維持する。それ故、循環している造影剤が、一旦、属のピクセルP1〜P5に達すると、循環している造影剤がそこを去っても、このピクセルは白のままとなる。その結果、循環している造影剤は、固定化された造影剤を完全に覆い隠す(ピクセルP2)。
【0053】
Min_IPアルゴリズムとMax_IPアルゴリズムは、医療画像分野で、例えば、血管系の可視化を(例えば、造影剤を投与する前にMin_IPアルゴリズムを適用し、続いて、造影剤を投与した後にMax_IPアルゴリズムを適用することにより)改善するのに用いられている。具体的には、この技術は、US−B−6,436,049で(三次元)投影画像の生成について記載されている。Max_IPアルゴリズムの他の適用は、US−B−6,676,606で記載されている。ここでは、Max_IPアルゴリズムは、小血管の検出を可能にするために、造影剤の粒子の軌跡を投影するのに用いられている(造影剤の個々の粒子が小血管を渡るときに、特に有用である)。
【0054】
修正Min_IPに戻って言及すると、このアルゴリズムは、(多くの実際の適用において、固定化した造影剤を区別するのに非常に効果的であるけれども)、特別な危機状態(critical conditions)で(例えば、造影剤の循環している高濃度の粒子が存在している場合、又は造影剤の循環している粒子がゆっくり移動する場合に)、いくつかの限界を見せるおそれがあることが観測されている。
【0055】
例えば、修正Min_IPアルゴリズムを、造影剤の循環している高濃度の粒子を持つ例示的な状態に適用した例が、図7aと図7bに概略的に示されている。
【0056】
具体的には、図7aに示すように、始まりでは(瞬間T1)、全てのピクセルP1〜P5が黒である(造影剤がない)。造影剤の第1の循環している粒子が左から右に領域を渡る(瞬間T2〜T6の白ピクセルP1〜P5)。造影剤の第2の循環している粒子が、造影剤の第1の循環している粒子のすぐ後に続き、同一の領域を左から右に渡る(瞬間T3〜T7の白ピクセルP1〜P5)。
【0057】
修正Min_IPアルゴリズムを上述した例に適用すると、図7bに示す対応する画像が生成される。前の例では、造影剤の第1の循環している粒子の寄与が消滅する。しかし、(造影剤の循環している粒子が連続してピクセルを渡り、全てのピクセルP1〜P5が2つの連続した瞬間で白のままとなるため)、これは造影剤の第2の循環している粒子には当てはまらない。それ故、造影剤の第2の循環している粒子による寄与は、修正Min_IPアルゴリズムを適用した後も画像内に現れたままとなり、同一の領域における造影剤の実際に固定化した粒子の検出を隠す危険性を伴う。
【0058】
同様に、造影剤の循環している粒子がゆっくり移動している状態の例に修正Min_IPアルゴリズムを適用した場合が、図8a及び図8bに概略的に示されている。
【0059】
具体的には、図8aに示すように、始まりでは(瞬間T1)、全てのピクセルP1〜P5は黒である(造影剤がない)。造影剤のゆっくり移動して循環する粒子は、白になったピクセルP1で示されるように、瞬間T2に領域に入る。造影剤のゆっくり移動して循環する粒子は、次の瞬間T3では同一の場所にいる。それから、造影剤のゆっくり移動して循環する粒子は、ピクセルP2(瞬間T4〜T5)、ピクセルP3(瞬間T6〜T7)、及びピクセルP4(瞬間T8)に移動する。
【0060】
修正Min_IPアルゴリズムを上述した例に適用すると、図8bに示す対応する画像が生成される。図示されているように、ピクセルは同じ状態を保つ(すなわち、瞬間T2〜T3のピクセルP1、瞬間T4〜T5のピクセルP2、及び瞬間T6〜T7のピクセルP3)とすぐに、(瞬間T3、T5、T7でそれぞれ)白になる。それ故、造影剤のゆっくり移動して循環する粒子は、これらの瞬間で動かなくなったと見なされる(これにより、その結果の画像にアーチファクトが取り込まれることになる)。
【0061】
言い換えれば、(上述した形式の)修正Min_IPアルゴリズムは、固定化した造影剤の粒子を、2つの連続した画像の時間間隔より長い期間、同一ピクセルの位置のまわりに留まる循環している造影剤の粒子と区別することができない(なぜなら、それらは互いに近いか又はゆっくり動くからである)。実際に、(造影剤の循環している粒子が、造影剤の固定化した粒子と全く同一の動きをするため)、非常に広範囲にある造影剤の循環している粒子が通過することにより生じるピークを取り除くことができない。
【0062】
しかし、上述した問題は、(最小値を計算するのに考慮される画像の数により規定される)修正Min_IPアルゴリズムのフィルタリングの長さを増加することにより解決できる。例えば、3枚の画像のフィルタリングの長さで修正Min_IPアルゴリズムを規定する式は、以下となる。
OP(x,y,k)=MIN[IP(x,y,k),IP(x,y,k−1),IP(x,y,k−2)]
ここで、IP(x,y,k−2)は、直前の画像のピクセルの(入力)原始の値である。この方法では、造影剤の粒子が3又はそれ以上の連続した画像で同一の位置で留まるときのみ、動かなくなったと考えられる。それ故、より広範囲のピクセル値のピークをフィルタに掛けて取り除くことができる。
【0063】
この作用を説明するために、図7aで提供されたのと同一のシナリオが図9aで考察される。
【0064】
3画像のフィルタリングの長さを持つ修正Min_IPアルゴリズムを、この例に適用すると、図9bに示す対応する画像が生成される。図示されるように、(アルゴリズムが最新の3枚の画像に渡って値を最小値に置き換えるため)全てのピクセルP1〜P5は黒である。それ故、(造影剤の粒子が、2つの連続した瞬間で同一ピクセル位置を渡ったとしても)造影剤の全ての循環している粒子の寄与がここで消滅する。
【0065】
図8aで提供されたシナリオ(図10aで繰り返される)を考察することにより、同様の考えが当てはまる。
【0066】
この場合も、図10aに示すように、全てのピクセルP1〜P5は黒になる。結果として、(造影剤の粒子が、2つの連続した瞬間で同一ピクセル位置に留まったとしても)造影剤のゆっくり動いて循環する粒子の寄与は取り除かれる。
【0067】
さらにほとんどの場合、修正Min_IPアルゴリズムは下記の式により定義されうる。
OP(x,y,k)=MIN[IP(x,y,k),...,IP(x,y,k−n)] n≧1
ここで、nは、フィルタリングの長さを特定する画像の数である。フィルタリングの長さnは、(フィルタリングの長さnと画像のサンプリングレートの逆数との積により与えられる)時間窓に対応する。それは、修正Min_IPアルゴリズムにより適用される時間的な低域フィルタリングの程度を定義する。実際に、修正Min_IPアルゴリズムは、フィルタリング窓の範囲より小さな幅の時間と共にピクセル値のピークを取り除くことができる(より広範囲のピークは、部分的に可視のままである)。これにより、方法のロバスト性(構造安定性)が改善される。よって、固定化した造影剤と循環している造影剤との区別可能性が高まる。
【0068】
フィルタリングの長さnの値(とフィルタリング窓の値)は、分析工程の高精度で且つ速い応答という反対の要求に従って、変化する。具体的には、フィルタリングの長さnをより大きな値にすると、造影剤の高濃度で循環している粒子又は非常にゆっくり動いている造影剤の循環している粒子を取り除くことが可能になる。しかし、これは、(対応するフィルタリング窓の範囲で、造影剤の粒子が同一の位置で留まった後にのみ、対応するピクセルは白になるため)固定化した造影剤の粒子が検出される瞬間を遅らす。さらに、ピクセルは、フィルタリング窓の長さより短い間隔で(例えば、画像のノイズにより)、(たとえ一つの瞬間でも)黒に変わると、その後、黒のままとなる。
【0069】
好ましくは、フィルタリングの長さnは、特定のアプリケーションに従って動的に選択される。具体的には、フィルタリングの長さnは、造影剤が高流速である(動脈内など)ときに、低い値(例えば、n=1〜5。毎秒10画像のサンプリングレートで、0.1〜0.5sのフィルタリング窓に対応する。)に設定される。逆に、フィルタリングの長さnは、造影剤が低流速であるとき(毛細血管内など)に、高い値(例えば、n=3〜12。画像の同一のサンプリングレートで、0.3〜1.2sのフィルタリングの窓に対応する。)に設定される
【0070】
図11に、上述した異なるアルゴリズムの例示的な適用のシミュレーションを示す。具体的には、図は(例えば、気体充填微小胞からなる)造影剤が標的の領域(画像の中央に位置付けられている。)を通過する異なる時刻をシミュレートする総合的なデータセットによって得られた結果を示している。左の欄は、造影剤が標的の領域に達する前の状態(ウォッシュイン段階)を示している。真ん中の欄は、造影剤が標的の領域と重なるときの状態を示している。右の欄は、造影剤が標的の領域を通過したときの状態(ウォッシュアウト(wash-out)段階)を示している。
【0071】
行(A)は、原始のシーケンスを示す。図示しているように、(標的の領域内で)固定化した造影剤は、造影剤の循環している粒子が標的の領域を通り過ぎたあとにのみ、循環している造影剤と区別され(それから検出され)うる。造影剤がボーラス注射で投与される場合、これは数分かかる。一般的に10分続く注入で投与される造影剤において、ウォッシュアウトは、注入が停止した後にのみ開始する。
【0072】
行(B)は、Min_IPアルゴリズムを適用して得られた結果を示している。この場合、上述したように、画像は常に黒のままである。それ故、固定化した造影剤を検出することができる。
【0073】
行(C)は、(フィルタリングの長さn=1を用いた)修正Min_IPアルゴリズムで得られた結果を示している。この場合、循環している造影剤の寄与は部分的に抑制される。しかし、抑制は完全ではなく、造影剤の固定化した粒子は、ウォッシュアウト段階中でのみ、はっきりと認識でき、造影剤の循環している粒子と区別できる。
【0074】
行(D)は、同一の修正Min_IPアルゴリズムで、しかしフィルタリングの長さをより高い値(すなわち、n=9)に設定して、得られた結果を示している。図示されているように、循環している造影剤の寄与はほぼ完全に抑制される。それ故、造影剤のウォッシュアウト段階を待つ必要がなく、造影剤の固定化した粒子は、標的の領域で動かなくなるとすぐに検出できる。
【0075】
最後に、行(E)は、Max_IPアルゴリズムで得られた結果を示している。上述したように、この場合、造影剤の各粒子の軌跡の投影が正確に強調される。しかし、投影された軌跡は、造影剤の固定化した粒子を完全に覆い隠す。(これにより、検出が不可能となる。)
【0076】
図12a〜図12dは、上述した修正Min_IPアルゴリズムの生体内適用の例を示している。このために、モルモット(実験台)の腹部の動脈に血栓を生じさせた。この身体部分は、セコイア(Sequoia)超音波スキャナ(シーメンス(Siemens))に接続された線形アレイタイプ(15L8)の画像化プローブにより分析された。超音波スキャナをCPSモードで動作させた。送信周波数と機械的指標はそれぞれ、10MHzと0.20である。(フィブリン特有のマイクロバブルからなる)造影剤のボーラス注射は、最初の瞬間t=0分で投与された。血栓を含む動脈は、造影剤のウォッシュイン及びウォッシュアウトを含む10分間、連続して走査された。得られた画像は、デジタルビデオレコーダを用いてテープに記録され、オフラインで処理された。図12a〜図12dにおいて、原始の画像が左手側に示されている。修正Min_IPアルゴリズム(フィルタリングの長さn=9)が、血栓のある動脈の一部を含む矩形からなる関心のある領域(ROI)に適用され、その結果が原始の画像に重ねられ、図の右手側に示す(処理された)画像が得られた。
【0077】
具体的には、図12aは造影剤の注入後すぐの瞬間に関する。図示されているように、造影剤は身体部分の対応する領域にまだ到達していないため、対応する処理された画像の選択された矩形は完全に黒である。
【0078】
図12bは、造影剤の注入から2分後の状態を示している(ウォッシュアウト段階中)。原始の画像では、血栓に付着した造影剤の固定化した粒子が造影剤の循環している高濃度の粒子と区別できないことが明らかである。一方、処理された画像では、造影剤の循環している粒子の寄与がうまく抑制されている。このように、造影剤の固定化した粒子は、はっきり見え、血栓の輪郭を完全に描いている。
【0079】
図12cに示すように、注入から8分後、造影剤の少数の粒子のみが循環している。このとき、血栓に付着した造影剤の固定化した粒子は、原始の画像でも見られる。しかし、血栓の描写は、処理された画像で示されるほど明瞭ではない。
【0080】
最後に、実験の最後で、高機械的指標(いわゆる閃光)の超音波パルスが、血栓に付着した造影剤の全ての固定化した粒子を破壊するのに用いられた。得られた結果が図12dに示され、造影剤の付着した粒子により、血栓の強化した可視化が全体的であったことを確かにしている。
【0081】
図13に、本発明の実施形態による解決を実行するのに使用できる主なソフトウェア及びハードウェアの構成要素が、全体として参照1300で示されている。情報(プログラム及びデータ)は、一般的にはハードディスク上に格納され、プログラムを実行するときに(少なくとも部分的に)、オペレーティングシステム及び他のアプリケーションプログラム(図示せず)と共にワーキングメモリにロードされる。プログラムは、最初に、例えば、CD−ROMからハードディスクにインストールされる。
【0082】
具体的には、ドライバ1303は、画像化プローブ(図示せず)を制御する。例えば、画像化プローブドライバ1303は、分析もとの身体部分に当てられる超音波パルスを生成する送信ビーム形成器及びパルス生成器を含む。身体部分からの受信される対応する(アナログRF)エコー信号は、受信プロセッサ1306に供給される。一般的には、受信プロセッサ1306は、アナログRFエコー信号を予め増幅し、事前の減衰補正(TGC)を適用する。それから、アナログRFエコー信号は、アナログデジタル変換器(ADC)によりデジタル値に変換され、受信ビーム形成器により集束される信号に組み合わされる。得られたデジタル信号は、好ましくは、さらなるデジタルアルゴリズムと他の線形又は非線形の信号調節器(後のビーム形成TGCなど)とにより処理される。具体的には、受信プロセッサ1306は、コントラスト特有アルゴリズムを適用し、(例えば、上述したHI、PI、PM、又はCPS技術に基づいて)組織の寄与を抑制する。それから、デジタル信号は、復調され、対数圧縮され、走査変換されて、映像フォーマットになる。この工程は、一連の(映像)入力画像Iiの記録をもたらす。さらに特に、入力画像Iiの各ピクセル値は、該ピクセルに対応する身体部分の位置での音響応答の強度により決定される。任意に、受信プロセッサ1306は動き補償モジュールを含み、参照画像に対して(例えば、患者の動き、患者の呼吸サイクル、又は画像化プローブの不随意の運動が原因の)入力画像Iiの不整合を低減する方法を実行する。この目的に十分に適合する動き補償の方法の例は、2005年8月5日に出願された同時係属の国際特許出願PCT/EP2005/053871に記載されている(参照することにより、全開示がこの明細書に組み込まれる)。
【0083】
描画モジュール1309は、(できる限り位置合わせされた)入力画像Iiについて分析工程のための関心のある領域を事前に定義するために用いられる。その動作は、入力画像Ii(すなわちM×N)と同一サイズの二進値のマトリックスからなる制限マスクMlを生成する。関心のある領域の内側の全ての二進値は論理値「1」を割り当てられ、関心のある領域の外側の二進値は論理値「0」を割り当てられる。
【0084】
プリプロセッサ1312は、(映像)入力画像を対応する線形化入力画像に変換するのに任意に用いられる。各ピクセル値は、造影剤の対応する局所濃度に正比例する。例えば、この結果は(例えば、WO−A−2004/110279に記載されているように(参照することにより、全開示がこの明細書に組み込まれる。))、逆対数圧縮を適用し、得られる値を2乗(squaring)することにより達成されうる。どんな場合でも、プロプロセッサ1312は、原始の(映像)入力画像Ii又は対応する線形化入力画像(ユーザの選択に従う。)からなる、一連の事前に処理された入力画像Ipを出力する。
【0085】
セレクタ1315は、背景画像(Ibで示す。)として用いられる、事前に処理された(映像又は線形化)入力画像Ipの一つを抽出及びラッチするのに用いられる。例えば、背景画像Ibは、造影剤が分析もとの身体部分に達する前に撮られた事前に処理された入力画像Ipの中から選択される。
【0086】
乗算器オペレータ1321は、背景画像Ibを(セレクタ1315から)受け取り、制限マスクMlを(描画モジュール1309から)受け取る。オペレータ1321は、対応する制限された背景画像LIbを生成するために、背景画像Ibに制限マスクMlをピクセル毎に掛ける(この動作は一度だけする必要があるが、工程中いつでも繰り返すことができる)。別の乗算器オペレータ1324は、事前に処理された(映像又は線形化)入力画像Ipを(プリプロセッサ1312から)受け取り、制限マスクMlを(描画モジュール1309)から受け取る。オペレータ1324は、対応する制限された入力画像LIpを生成するために、事前に処理された入力画像Ipに制限マスクMlをピクセル毎に掛ける。その結果、制限された背景画像LIbと制限された入力画像LIpは、それぞれ、(制限マスクMlにより定義された)関心のある領域の内側にある、背景画像Ibと事前に処理された入力画像Ipのピクセル値を含むのみとなる。一方、他のピクセル値は、「0」にリセットされる。
【0087】
差分オペレータ1327は、制限された背景画像LIbを(乗算器1321から)受け取り、制限された入力画像LIpを(乗算器1324から)受け取る。オペレータ1327は、(例えば、受信プロセッサ1306で適用されるコントラスト特有アルゴリズムにより完全に取り除くことができなかった組織の寄与に起因する)残りのクラッタを取り除くために、ピクセル毎に、制限された入力画像LIpから制限された背景画像LIbを減じる。この動作により、一連の訂正画像Icが生成される。一連の訂正画像Icは、空間的サブサンプラ1333に供給される。
【0088】
モジュール1333は、(例えば、2〜6ピクセルと同等の)各寸法に沿った画像化プローブの空間解像度により決定される係数に従って、訂正画像Icを二段抽出(サブサンプリング)する。好ましくは、空間サブサンプリングは、サブサンプリング係数に従ったサブサンプリングが後に続く、低域フィルタリングを含む。ローパスフィルタのカットオフ周波数は、例えばフーリエ解析により決定される、訂正画像Icから選択された一つの画像内にかなりのエネルギーを含む最高周波数成分として選択されうる。それから、サブサンプリング係数は、例えば、結果的に空間サンプリング周波数をカットオフ周波数の2倍に等しくする値として、決定されうる。各訂正画像Icは、(空間的にサブサンプリングされた)画像Isに変換される。
【0089】
画像Isは、上述したアルゴリズムに従ってさらに処理するバッファメモリとして動作するスタック1336に連続して格納される。スタック1336は、m個の画像Isのための記憶装置を提供する。mの値は、関係m=n(p+1)に従って、フィルタリングの深さnと時間的サブサンプリングパラメータp(0〜n−2で変化する。)を選択することにより、決定される。一連のn個の(時間的にサブサンプリングされた)画像SIsが生成され、さらなる処理に利用されうる。最も実用的な状況では、m=nにするために、パラメータpは「0」に設定される。一連の画像SIsは、スタック1336に格納される全ての最後のn個の画像Isからなる(全ての画像Isが考慮される)。逆に、サブサンプリングパラメータpが「0」より大きいとき、n個の画像Isをさらなる処理に利用できるようにするために、m個の画像Is(m>n)はスタック1336に格納されなければならない。この時間的サブサンプリングは、超音波スキャナが超高サンプリングレート(例えば、毎秒100〜500画像)で動作するときに、有利に利用されてもよい。この場合、全ての利用できる画像Isの分析は、有用な利点を少しも提供しない。また、スタック1336は、オーバーラッピング(overlapping)パラメータo(0〜m−1の範囲で変化する)を受け取る。一般的に、オーバーラッピングパラメータはo=m−1であり、スタック1336は各画像Isについて新しい一連の画像SIsを生成する。オーバーラッピングパラメータがo<m−1のとき、スタック1336は、m−o画像Isがスタック1336に入力された後、新しい一連の画像SIsを生成する。
【0090】
同時に、受信プロセッサ1306により提供される原始の(映像)入力画像Iiは、他のスタック1337にラッチされる。他のスタック1337は、mと同じ大きさ(m個の入力画像Iiを格納するため)の先入れ先出し(FIFO)のシフトレジスタである。
【0091】
フィルタ1339は、スタック1336から一連の画像SIsを受け取る。フィルタ1339は、上述した修正Min_IPアルゴリズムを一連の画像Sis(n個の画像Isを含む。)に適用することにより、フィルタ処理された画像Ifsを算出する。
【0092】
それから、得られたフィルタ処理された画像Ifsは、マスク生成器1342に渡される。マスク生成器1342は、(例えば、最大許容値の0〜5%の範囲で変化する)セル値について所定の閾値THを受け取る。マスク生成器1342は、対応するオーバーレイ(overlay)マスクMoを生成する。オーバーレイマスクMoは、(各セルに)その値が閾値THより完全に高い場合、論理値「1」を割り当て、そうでなければ論理値「0」を割り当てることにより、フィルタ処理された画像Ifsから得られる。
【0093】
続いて、オーバーレイマスクMoは、空間的補間器1345に供給される。空間的補間器1345は、入力画像Iiのサイズ(すなわち、M×Nの二進値)に対応する原寸大のオーバーレイマスクMoを復元する。このため、オーバーレイマスクMoの各セルの値は、対応するピクセル群について複製される。この動作により、対応する補間マスクRMoが生成される。
【0094】
同時に、フィルタ処理された画像Ifsは、ポストプロセッサ1348に供給される。ポストプロセッサ1348は、任意に、場合によって利得係数を適用することにより、フィルタ処理された画像Ifsのセル値を対応する離散値(例えば、全てのセルの最低値と最高値の間に均一に分配される64又は128レベルからなる。)に変換する。任意に、入力画像Iiがプリプロセッサ1312により線形化されるとき、ポストプロセッサ1348は、十分に均衡のとれたコントラストの画像を生成するために、非線形処理(対数圧縮など)を適用してもよい。ポストプロセッサ1348は、色のルックアップテーブル1351にアクセスする。色のルックアップテーブル1351は、全ての可能なレベルを対応する色表現(好ましくは、レベルが増加するにつれて明るくなる)に関連付ける。例えば、各色は、実際の仕様を含むパレット内の位置にアクセスする指標により定義される。このように、フィルタ処理された画像Ifsの各セルは、対応する色表現を割り当てられる。
【0095】
(事前に処理された又は最初に形成された)フィルタ処理された画像Ifsは、空間的補間器1354に供給される。空間的補間器1354は、(例えば、最近傍、双一次、又は双三次技術に基づいた)補間技術により、入力画像Iiのサイズ(すなわち、M×Nのピクセル値)に対応する原寸大のフィルタ処理された画像Ifsを復元する。このため、フィルタ処理された画像Ifsの各セルの値は、(最近傍補間法で)対応するピクセル群について複製され、任意に空間的に(例えば、ローパス2D又は3D空間フィルタを用いて)フィルタ処理される。この動作により、対応する補間画像RIが生成される。
【0096】
乗算器オペレータ1357は、補間画像RIを(空間的補間器1354から)受け取り、補間マスクRMoを(空間的補間器1345から)受け取る。オペレータ1357は、ピクセル毎に補間画像RIに補間マスクRMoを掛けて、マスク画像MIを得る。その結果、マスク画像MIは、閾値THより高い、対応する補間画像RIのピクセル値を含むだけとなる(他のピクセル値は「0」にリセットされる)。閾値THは、補間画像RIのマスキングのレベルの調整を可能にする。具体的には、閾値THが「0」に設定された場合、オーバーレイマスクMoと補間されたオーバーレイマスクRMoの全てのピクセルは論理値「1」であり、マスク画像MIは補間画像RIと全く同一となる。それから、マスク画像MIは、(以前の中身を置き換える)単一画像バッファ1358にラッチされる。このように、新しくフィルタ処理された画像Ifsがフィルタ1339によって出力されるたびに、バッファ1358内のマスク画像MIが更新される。そうでなければ、(最後に算出されたフィルタ処理された画像Ifsから得られたマスク画像MIを保持するために)マスク画像MIは変化しない。
【0097】
また、補間マスクRMoは、空間的補間器1345から変換器1360に供給される。変換器1360は、(論理値の「0」と「1」を交換することにより)対応する反転補間マスクRMoを生成する。補間マスクRMoは同様に、(以前の中身を置き換える)他の単一画像バッファ1361にラッチされ、バッファ1358内のマスク画像MIと常に同期される。それから、バッファ1361にラッチされた反転補間マスクRMoは、乗算器オペレータ1363に渡される。乗算器オペレータ1363は、スタック1337から遅延画像Idを受け取る。反転補間マスクRMoがバッファ1361にラッチされるたびに、対応する遅延画像Idがスタック1337から抜け出る。これにより、オペレータ1363は入力をピクセル毎に掛けて、マスク遅延画像MIdを得ることが可能となる。その結果、マスク遅延画像MIdは、対応するマスク画像MIに含まれていない遅延画像Idのピクセル値を含むのみとなる(他のピクセル値は「0」にリセットされる)。
【0098】
加算器オペレータ1369は、(乗算器1363から)マスク遅延画像MIdを受け取り、(バッファ1358にラッチされた)マスク画像MIを受け取る。オペレータ1369は、マスク画像MIとマスク遅延画像MIdを(正確に同期して)ピクセル毎に加算して、オーバーレイ(overlaid)画像Ioを得る。このように、遅延画像Idの各ピクセル値は、後者が有効な(すなわち、閾値THより高い)値を持つときかつそのときに限り、マスク画像MIの対応するピクセル値により覆される。
【0099】
オーバーレイ画像Ioはモニタドライバ1372に渡される。モニタドライバ1372は、その可視化を制御する。同時に、オーバーレイ画像Ioは、リポジトリ1375に加えられる。上述した同一の動作は、記録される新しい入力画像Ii毎に繰り返される。具体的には、新しい入力画像Iiはスタック1337に押し込まれる。これにより、スタック1337内の前の入力画像Iiがシフトし、最も古い入力画像Iiが出力される。同時に(可能な限りの線形化、関心のある所望の領域への限定、背景画像Ibの減算、及び空間的サブサンプリングの後)、対応する新しく訂正された画像Icがスタック1336に加えられる。その結果、オーバーレイ画像Ioは、超音波スキャナのモニタに連続して表示される。各オーバーレイ画像Ioは、(収集時間に関する)遅延により利用できることに注目すべきである。遅延は、(選択されたフィルタリング窓に対応する)全スタック1337を渡るのに必要な時間によって規定される。さらに、得られた一連のオーバーレイ画像Ioは、さらなる分析のためにリポジトリ1375において利用できる。
【0100】
上述した解決は、固定化した造影剤の検出を促進する。具体的には、これは、固定化した造影剤を循環している造影剤(及び動いている組織)と区別することを可能にする。よって、得られる結果の分析の精度は、かなり増加する。
【0101】
さらに特に、この技術は、身体部分の関心のある領域において、固定化した造影剤を空間的に描写することを可能にする。同時に、比較的高精度で各位置の固定化した造影剤の濃度の数量化を可能にする。例えば、これは、別の方法では検出することが難しいいくつかの病状の正しい診断を促進する。
【0102】
固定化した造影剤の検出が、リアルタイムで(画像を表示しながら)可能であることに注目すべきである。具体的には、造影剤の固定化した粒子は、標的に取り付いたままになるとすぐに明らかにされる。それ故、造影剤を投与後の早い時点で(ウォッシュアウトの完了を待つ必要なしに)、分析の結果を利用することができる。
【0103】
上記の全ては、標的にされた造影剤の使用に基づく、新しい画像化技術の開発の成功に貢献する。
【0104】
一連のオーバーレイ画像の読み出しは、(補間された)フィルタ処理された画像を構築する工程中、セルに割り当てられた色表現により規定される色で表示されるときに、さらに促進される。この場合、それぞれの異なる色は、それ自身の量的な意味を持つ。例えば、この値は、一連のオーバーレイ画像に近くのモニタに表示されるカラーバーから読み出されうる。
【0105】
さらに、フィルタ処理された画像を入力画像に重ね合わせる(オーバーレイする)ことにより、ここで分析もとの身体部分の実際の描写について説明された、固定化した造影剤の視覚認知が高まる。また、閾値THは、不測の要求に従って、オーバーレイの程度を調整することが可能であることに注目すべきである。例えば、閾値THの増加はオーバーレイを低減し、(原始の)入力画像の加工処理の影響を制限する。逆に、閾値THを「0」に設定すると、フィルタ処理された画像を関心のある領域で完全に入力画像に重ね合わすことが可能となる。
【0106】
変形例
当然、局所及び特定の要求を満たすために、当業者は上述した解決に多くの改良及び変更を適用してもよい。特に、本発明について、好ましい実施形態を参照して、ある程度詳細に説明したけれども、他の実施形態に加え、形式及び細部について、種々の省略、置換、及び変更が可能であることは理解されるべきである。さらに、本発明で開示された実施形態に関連して説明された特定の要素及び/又は方法のステップが、設計上の選択の一般的な事項として、他の実施形態に組み込まれても良いことは、明白に意図される。
【0107】
例えば、超音波スキャナが異なる構造を有し、すなわち(例えば、線形、凸状、段階的、又はマトリックスのアレイタイプの画像化プローブを備える)他のユニットを含む場合、同様の考察が適用される。これに代えて、提案された解決は、超音波スキャナと別個のコンピュータ(又は同等のデータ処理システム)とを含む医療画像システムに適用される。この場合、測定されたデータは、(例えば、リムーバブルディスク、メモリーキー、又はネットワーク接続により)超音波スキャナから処理用のコンピュータに転送される。いずれの場合にも、磁気共鳴画像(MRI)又はX線コンピュータ断層撮影(CT)に基づいた他の医療画像アプリケーションへの適用は、本発明の範囲に含まれる。
【0108】
同様に、本発明の解決は、どの(生物学的)標的についても同等の造影剤で実現するのに役立つ。例えば、上述した代替のアプリケーションでは、造影剤が磁気共鳴画像又はX線コンピュータ断線撮影画像を向上させるのに特有である。
【0109】
どんな場合でも、(関心のある領域を選択せずに)全画像への提案した処理の適用を妨げるものはない。
【0110】
上述したように、本発明の解決は、好ましくは、(造影剤の循環している粒子により生成されるスペックル粒子を重ね合わせる影響を取り除くのを促進するために)関連性のあるピクセル値間の最小値を計算することにより実行される。しかし、これに限定しようというものではなく、実際は、代替のアルゴリズムが(例えば、ピクセル値の加重平均に基づいて)関連のあるセットの最低値を一般的に示す値を計算するのに用いられても良い。さらに一般的には、提案された解決は、入力画像のピクセル値を、対応するピクセルの位置の(超音波パルスへの)最低の応答を示すフィルタ処理された値と交換する。それ故、これは、陰性の画像(ピクセル値がエコー信号の強度とともに減少する。)に基づくシステムにおいて、セットの最大値を計算することを意味する。
【0111】
本発明の原理から離れることなしに、フィルタリング窓(及びフィルタリングの長さ)は、異なる方法で規定されてもよい。どんな場合でも、所定の(例えば、最も標準の状況で許容できる性能を提供する値に設定された)フィルタリング窓の使用を妨げるものはない。
【0112】
また、入力画像の時間的サブサンプリングは、他の基準に従って実行されてもよい(又は、完全に省略されてもよい)。
【0113】
さらに、入力画像を取得するどの他の技術(例えば、ドップラーに基づくアルゴリズムを用いたもの)も本発明の範囲内に含まれる。
【0114】
背景画像の減算に関する特徴は、絶対に必要なものではない(本発明のある実行では省略してもよい。)ことは、明らかである。
【0115】
入力画像が(例えば、所定のサブサンプリング係数に従って)異なる技術でサブサンプリングされる場合も、同様の考察が適用される。どんな場合でも、(上述した空間的サブサンプリングにより規定されるピクセル群のレベルの代わりの)ピクセルレベルで提案された解決を適用することは、排除されない。
【0116】
同様に、(例えば、入力画像の動きが造影剤の流れよりもはるかに遅いとき)入力画像の動きを補償することを省略することもできる。
【0117】
また、空間的サブサンプリングは、対応するスタックに格納される前に適用される代わりに、画像のフィルタリング後に適用されてもよい。
【0118】
フィルタ処理された画像を入力画像に重ね合わせることの選択は、ユーザの好みに任せることもできる。例えば、フィルタ処理された画像は、入力画像に重ね合わされることなしに単独で表示されてもよいし、関心のある領域内の入力画像のピクセル値が、コントラストを改善する黒を背景にしてフィルタ処理された画像を表示するために、ゼロに設定されてもよい。代替の実施形態によれば、フィルタ処理された画像は、非コントラスト特有画像(受信プロセッサにより供給されるコントラスト特有画像から抽出された基本波のBモード画像など)に重ね合わされる。それにもかかわらず、フィルタ処理された画像は、好ましくは、コントラスト特有画像モードにより供給される画像から生成される。さらに、本発明は、特にリアルタイムでの使用のために設計されたけれども、得られた結果をオフラインで分析するように発明された解決の応用性が熟慮される。
【0119】
異なるフィルタリングの長さで修正Min_IPアルゴリズムを利用する2以上のフィルタを並行に実行することにより、方法を拡張することができる。これは、異なる流速の造影剤の粒子(造影剤の早く動く粒子、ゆっくり動く粒子、及び固定化した粒子など)を同時に識別することを可能にする。
【0120】
(本発明を実行するのに用いられうる)プログラムが異なる方法で構成されている場合、又は追加のモジュール又は機能が提供される場合でも、同様の考察が当てはまる。同様に、メモリ構造は他のタイプであってもいいし、又は同等のエンティティ(必ずしも物理的な記憶媒体を有しない。)と置き換えられても良い。さらに、提案された解決は、同等の方法(異なる順序で、同様の又は追加のステップを持つ。)で実行されるのに適する。どんな場合でも、プログラムは、外部又は内部のソフトウェア、ファームウェア、又は(オブジェクトコード又はソースコードの)マイクロコードなどのどんなデータ処理システムでも、そのシステムによって使用される又は関連して使用されるのに適した形態を取ってもよい。さらに、プログラムは、コンピュータが使用可能な媒体について提供されてもよい。その媒体は、プログラムを含み、格納し、伝達し、伝搬し、又は転送するのに適したどんな要素であってもよい。このような媒体の例としては、(プログラムが予めロードされている)固定ディスク、リムーバブルディスク、テープ、カード、電線、ファイバ、無線接続、ネットワーク、放送波などがある。例えば、媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体の種類であってもよい。
【0121】
どんな場合であっても、本発明による解決は、(例えば、半導体物質のチップに一体化された)ハードウェア構造で、又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで、実行されるのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の実施形態による解決が適用される超音波スキャナの画像表示
【図2a】本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図2b】本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図3a】本発明の同一の実施形態による解決の異なる例示的な適用の概略表示
【図3b】本発明の同一の実施形態による解決の異なる例示的な適用の概略表示
【図4a】本発明の実施形態による解決の動作を説明する時間図
【図4b】本発明の実施形態による解決の動作を説明する時間図
【図5a】当技術分野で知られている最小値投影法アルゴリズムの適用の概略表示
【図5b】当技術分野で知られている最小値投影法アルゴリズムの適用の概略表示
【図6a】当技術分野で知られている最大値投影法アルゴリズムの適用の概略表示
【図6b】当技術分野で知られている最大値投影法アルゴリズムの適用の概略表示
【図7a】危機状態における、本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図7b】危機状態における、本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図8a】他の危機状態における、本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図8b】他の危機状態における、本発明の実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図9a】本発明のさらなる実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図9b】本発明のさらなる実施形態による解決の例示的な適用の概略表示
【図10a】本発明の同一の実施形態による解決の異なる例示的な適用の概略表示
【図10b】本発明の同一の実施形態による解決の異なる例示的な適用の概略表示
【図11】異なるアルゴリズムの例示的な適用のシミュレーション
【図12a】本発明の実施形態による解決の生体の適用の例
【図12b】本発明の実施形態による解決の生体の適用の例
【図13】本発明の実施形態による解決を実行するのに使用されうる主なソフトウェアとハードウェアの構成を示す図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療画像アプリケーションにおける固定化した造影剤の検出を促進するシステム(1300)であって、
患者内を循環して生物学的標的で実質的に固定化する造影剤を投与される患者の身体部分(155)を画像化することにより、対応する取得の瞬間に得られた一連の総数の入力画像を提供する手段(1303−1306)と、
各入力画像は複数の入力値を含み、各入力値は前記造影剤をできる限り含む身体部分の対応する部分の呼びかけ信号に対する応答を示し、
少なくとも1つの選択された入力画像の身体部分内で循環している造影剤の寄与を低減する手段(1309−1369)と、
を有し、
前記低減する手段(1309−1369)は、選択された入力画像の一連の入力値を一連の対応するフィルタ処理された値に置き換えることにより、各選択された入力画像に対応するフィルタ処理された画像を生成し、各フィルタ処理された値は選択された入力画像を含む一連の多数の入力画像の身体部分の対応する部分の最小の応答を示し、前記一連の多数の入力画像は総数未満の数の入力画像で構成される、ことを特徴とするシステム(1300)。
【請求項2】
各入力値は前記身体部分の対応する部分の呼びかけ信号に対する応答と共に増加し、各フィルタ処理された値は、前記一連の多数の入力画像の対応する入力値の中の最小値からなる、請求項1に記載のシステム(1300)。
【請求項3】
前記一連の多数の入力画像は、選択された入力画像と少なくとも1つの以前の入力画像とを順序通り含む、請求項1又は請求項2に記載のシステム(1300)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの以前の入力画像は、複数の以前の入力画像である、請求項3に記載のシステム(1300)。
【請求項5】
前記身体部分の造影剤の推定の流速に応じて、前記以前の入力画像の数を選択する手段(1336、1337)をさらに有する、請求項3又は請求項4に記載のシステム(1300)。
【請求項6】
前記以前の入力画像をサブサンプリングする手段(1336)をさらに有する、請求項1から請求項5のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項7】
前記身体部分は組織を含み、
前記一連の入力画像を提供する手段(1303−1306)は、前記入力画像の組織の寄与を低減する手段(1306)を有する、請求項1から請求項6のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項8】
前記フィルタ処理された画像を生成する手段(1309−1639)は、
前記一連の入力画像の背景画像を選択する手段(1315)と、
前記一連の多数の入力画像から前記背景画像を差し引く手段(1321−1327)と、
を含む、請求項1から請求項7のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項9】
前記フィルタ処理された画像を生成する手段(1309−1369)は、
推定された解像度に従って、前記一連の多数の入力画像を空間的にサブサンプリングする手段(1333)を含む、
請求項1から請求項8のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)
【請求項10】
前記一連の入力画像の参照画像を選択し、前記参照画像に対して各入力画像の動きを補償する手段(1306)をさらに有する、
請求項1から請求項9のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項11】
前記一連の多数の入力画像を線形にして(1333)、各入力値を前記身体部分(155)の対応する部分の前記造影剤の濃度に実質的に比例させる手段(1312)をさらに有する、請求項1から請求項10のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項12】
前記対応する選択された入力画像の取得の瞬間で実質的にリアルタイムに各フィルタ処理された画像を表示する手段(1372)をさらに有する、請求項1から請求項11のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項13】
前記フィルタ処理された画像を生成する手段(1309−1369)は、
閾値に達していない、前記フィルタ処理された画像の各フィルタ処理された値をリセットする手段と(1342−1357)と、
前記フィルタ処理された画像を前記対応する選択された入力画像に重ね合わせる手段(1337;1360−1369)と、
を含む、請求項1から請求項12のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項14】
医療画像アプリケーションにおける固定化した造影剤の検出を促進する方法(1300)であって、
患者内を循環して生物学的標的で実質的に固定化する造影剤を投与される患者の身体部分(155)を画像化することにより、対応する取得の瞬間に得られた一連の総数の入力画像を提供するステップ(1303−1306)と、
各入力画像は複数の入力値を含み、各入力値は前記造影剤をできる限り含む身体部分の対応する部分の呼びかけ信号に対する応答を示し、
少なくとも1つの選択された入力画像の身体部分内で循環している造影剤の寄与を低減するステップ(1309−1369)と、
を含み、
各選択された入力画像に対して、前記低減するステップは、選択された入力画像の一連の入力値を一連の対応するフィルタ処理された値に置き換えることにより、対応するフィルタ処理された画像を生成すること(1309−1369)を含み、各フィルタ処理された値は選択された入力画像を含む一連の多数の入力画像の身体部分の対応する部分の最小の応答を示し、前記一連の多数の入力画像は総数未満の数の入力画像で構成される、ことを特徴とする方法(1300)。
【請求項15】
コンピュータプログラムがデータ処理システム(100)上で実行されるときに、請求項14に記載の方法(1300)を実行するコンピュータプログラム(130)。
【請求項16】
コンピュータプログラムを組み入れるコンピュータ使用可能な媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムは、データ処理システム上で実行されるときに医療画像アプリケーションにおける固定化した造影剤の検出を促進する方法を前記システムに実行させるものであり、
前記方法は、
患者内を循環して生物学的標的で実質的に固定化する造影剤を投与される患者の身体部分を画像化することにより、対応する取得の瞬間に得られた一連の総数の入力画像を提供するステップと、
各入力画像は複数の入力値を含み、各入力値は前記造影剤をできる限り含む身体部分の対応する部分の呼びかけ信号に対する応答を示し、
少なくとも1つの選択された入力画像の身体部分内で循環している造影剤の寄与を低減するステップと、
を含み、
各選択された入力画像に対して、前記低減するステップは、選択された入力画像の一連の入力値を一連の対応するフィルタ処理された値に置き換えることにより、対応するフィルタ処理された画像を生成することを含み、各フィルタ処理された値は選択された入力画像を含む一連の多数の入力画像の身体部分の対応する部分の最小の応答を示し、前記一連の多数の入力画像は総数未満の数の入力画像で構成される、ことを特徴とする、コンピュータプログラム製品。
【請求項1】
医療画像アプリケーションにおける固定化した造影剤の検出を促進するシステム(1300)であって、
患者内を循環して生物学的標的で実質的に固定化する造影剤を投与される患者の身体部分(155)を画像化することにより、対応する取得の瞬間に得られた一連の総数の入力画像を提供する手段(1303−1306)と、
各入力画像は複数の入力値を含み、各入力値は前記造影剤をできる限り含む身体部分の対応する部分の呼びかけ信号に対する応答を示し、
少なくとも1つの選択された入力画像の身体部分内で循環している造影剤の寄与を低減する手段(1309−1369)と、
を有し、
前記低減する手段(1309−1369)は、選択された入力画像の一連の入力値を一連の対応するフィルタ処理された値に置き換えることにより、各選択された入力画像に対応するフィルタ処理された画像を生成し、各フィルタ処理された値は選択された入力画像を含む一連の多数の入力画像の身体部分の対応する部分の最小の応答を示し、前記一連の多数の入力画像は総数未満の数の入力画像で構成される、ことを特徴とするシステム(1300)。
【請求項2】
各入力値は前記身体部分の対応する部分の呼びかけ信号に対する応答と共に増加し、各フィルタ処理された値は、前記一連の多数の入力画像の対応する入力値の中の最小値からなる、請求項1に記載のシステム(1300)。
【請求項3】
前記一連の多数の入力画像は、選択された入力画像と少なくとも1つの以前の入力画像とを順序通り含む、請求項1又は請求項2に記載のシステム(1300)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの以前の入力画像は、複数の以前の入力画像である、請求項3に記載のシステム(1300)。
【請求項5】
前記身体部分の造影剤の推定の流速に応じて、前記以前の入力画像の数を選択する手段(1336、1337)をさらに有する、請求項3又は請求項4に記載のシステム(1300)。
【請求項6】
前記以前の入力画像をサブサンプリングする手段(1336)をさらに有する、請求項1から請求項5のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項7】
前記身体部分は組織を含み、
前記一連の入力画像を提供する手段(1303−1306)は、前記入力画像の組織の寄与を低減する手段(1306)を有する、請求項1から請求項6のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項8】
前記フィルタ処理された画像を生成する手段(1309−1639)は、
前記一連の入力画像の背景画像を選択する手段(1315)と、
前記一連の多数の入力画像から前記背景画像を差し引く手段(1321−1327)と、
を含む、請求項1から請求項7のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項9】
前記フィルタ処理された画像を生成する手段(1309−1369)は、
推定された解像度に従って、前記一連の多数の入力画像を空間的にサブサンプリングする手段(1333)を含む、
請求項1から請求項8のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)
【請求項10】
前記一連の入力画像の参照画像を選択し、前記参照画像に対して各入力画像の動きを補償する手段(1306)をさらに有する、
請求項1から請求項9のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項11】
前記一連の多数の入力画像を線形にして(1333)、各入力値を前記身体部分(155)の対応する部分の前記造影剤の濃度に実質的に比例させる手段(1312)をさらに有する、請求項1から請求項10のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項12】
前記対応する選択された入力画像の取得の瞬間で実質的にリアルタイムに各フィルタ処理された画像を表示する手段(1372)をさらに有する、請求項1から請求項11のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項13】
前記フィルタ処理された画像を生成する手段(1309−1369)は、
閾値に達していない、前記フィルタ処理された画像の各フィルタ処理された値をリセットする手段と(1342−1357)と、
前記フィルタ処理された画像を前記対応する選択された入力画像に重ね合わせる手段(1337;1360−1369)と、
を含む、請求項1から請求項12のいずれかの請求項に記載のシステム(1300)。
【請求項14】
医療画像アプリケーションにおける固定化した造影剤の検出を促進する方法(1300)であって、
患者内を循環して生物学的標的で実質的に固定化する造影剤を投与される患者の身体部分(155)を画像化することにより、対応する取得の瞬間に得られた一連の総数の入力画像を提供するステップ(1303−1306)と、
各入力画像は複数の入力値を含み、各入力値は前記造影剤をできる限り含む身体部分の対応する部分の呼びかけ信号に対する応答を示し、
少なくとも1つの選択された入力画像の身体部分内で循環している造影剤の寄与を低減するステップ(1309−1369)と、
を含み、
各選択された入力画像に対して、前記低減するステップは、選択された入力画像の一連の入力値を一連の対応するフィルタ処理された値に置き換えることにより、対応するフィルタ処理された画像を生成すること(1309−1369)を含み、各フィルタ処理された値は選択された入力画像を含む一連の多数の入力画像の身体部分の対応する部分の最小の応答を示し、前記一連の多数の入力画像は総数未満の数の入力画像で構成される、ことを特徴とする方法(1300)。
【請求項15】
コンピュータプログラムがデータ処理システム(100)上で実行されるときに、請求項14に記載の方法(1300)を実行するコンピュータプログラム(130)。
【請求項16】
コンピュータプログラムを組み入れるコンピュータ使用可能な媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムは、データ処理システム上で実行されるときに医療画像アプリケーションにおける固定化した造影剤の検出を促進する方法を前記システムに実行させるものであり、
前記方法は、
患者内を循環して生物学的標的で実質的に固定化する造影剤を投与される患者の身体部分を画像化することにより、対応する取得の瞬間に得られた一連の総数の入力画像を提供するステップと、
各入力画像は複数の入力値を含み、各入力値は前記造影剤をできる限り含む身体部分の対応する部分の呼びかけ信号に対する応答を示し、
少なくとも1つの選択された入力画像の身体部分内で循環している造影剤の寄与を低減するステップと、
を含み、
各選択された入力画像に対して、前記低減するステップは、選択された入力画像の一連の入力値を一連の対応するフィルタ処理された値に置き換えることにより、対応するフィルタ処理された画像を生成することを含み、各フィルタ処理された値は選択された入力画像を含む一連の多数の入力画像の身体部分の対応する部分の最小の応答を示し、前記一連の多数の入力画像は総数未満の数の入力画像で構成される、ことを特徴とする、コンピュータプログラム製品。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図13】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図13】
【公表番号】特表2009−515577(P2009−515577A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539438(P2008−539438)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068305
【国際公開番号】WO2007/054544
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(398063065)ブラッコ・リサーチ・ソシエテ・アノニム (13)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO RESEARCH S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068305
【国際公開番号】WO2007/054544
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(398063065)ブラッコ・リサーチ・ソシエテ・アノニム (13)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO RESEARCH S.A.
【Fターム(参考)】
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