説明

流動媒体をろ過および分離するための装置

【課題】流動媒体をろ過および分離するための装置を提供する。
【解決手段】特に限外ろ過法、逆浸透法およびナノろ過法に従って、膜(13)を用いて流動媒体(15)をろ過するための装置(10)は、膜(13)を内蔵するケース(12)と、装置(10)内に案内される分離すべき流動媒体(15)のための入口(14)と、装置(10)内で発生した浸透液(17)を排出するための出口(16)と、装置(10)から出る残留物(19)のための出口(18)とを備え、実質的に分離ユニット(11)を形成している。この装置(10)はさらに容器(20)を備え、分離すべき流動媒体(21)を少なくとも両分離ユニット(11)に供給するために、共通の1個の入口(22)が設けられるように、少なくとも2個の分離ユニット(11)が容器内に互いに接続して収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜を内蔵するケースと、装置内に案内される分離すべき流動媒体のための入口と、装置内で発生した浸透液を排出するための出口と、残留物のための出口とを備え、実質的に分離ユニットを形成している、特に限外ろ過法、逆浸透法およびナノろ過法に従って、膜を用いて流動媒体をろ過および分離するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は従来技術において多彩な実施形態が知られており、産業分野において船舶、海洋の調査プラットホーム、軍艦、自動車製造、航空機製造で、そして自家用分野において、いろいろな流体混合物を異なる分離目的のために使用され、しかも流体混合物をその成分に分解すべきときに使用される。冒頭に述べた種類の装置は、例えば飲用水または雑用水としての淡水を得るために海水を脱塩すべきときに、据え付けられてしかも船舶等のような移動可能なユニット上で使用される。この種の装置はさらに、例えば発生した純水をためらうことなく環境に放出できるように、ごみ捨て場で発生する滴下水を有害な混合成分から分離するために据え付けて使用される。
【0003】
このような装置の使用の非常に広い分野は、ガス状流体混合物の分離である。この場合、重要な用途は、例えば天然ガスからその中に部分的に含まれる不活性ガスを分離除去するため、あるいは空気とベンジン等のようなガス状炭化水素とからなるガス状混合物から、ベンジンを液化して分離取り出すための石油化学である。この場合、このような混合物が例えば大型のベンジン貯蔵所またはタンク内でベンジン液面の上方に発生し、ベンジン成分を膜分離によって回収することが目的である。
【0004】
そのために使用される膜は一般的に、当業者に周知であるポリマー膜である。特に所望される分離目的のためにその都度、所望される分離目的を達成し得る種々の適切な膜が使用される。
【0005】
冒頭に述べた種類の装置は、その都度所望される分離目的のために十分に大きな膜面積が供されるようにするために、分離すべき媒体または流体混合物の種類に依存しないで、規則的に直列および/または並列に接続配置して設置される。当業者にはしばしば分離モジュールと呼ばれる。この分離モジュールは所望される分離目的の観点から接続しなければならない。これは計画上および構造上きわめて多くの作業を必要とする。というのは、すべての装置またはすべての分離モジュールを他の分離モジュールに接続しなければならず、しかも複雑な管設備によって接続しなければならず、そして分離すべき媒体、すなわち流体混合物のためだけでなく、組み立てられて互いに接続された多数の装置から出る浸透液と、この装置から同様に出る残留物のためにも接続しなければならない。
【0006】
限外ろ過の場合、浸透液はろ液とも呼ばれる。
【0007】
この管継手は最高のシール要求を満足しなければならない。というのは、特にこのような装置の使用時に生じるかまたは予想されるあらゆる圧力条件および温度条件で、管継手を絶対的に封止しなければならないからである。それによって、供給された分離すべき媒体、浸透液および残留物のような3つの成分の混合が回避される。2つの成分の混合が生じると、装置または接続された多数の装置は使用不可能であり、面倒な分解、洗浄、新たな封止および再組み立てを行わなければならない。これは非常に時間がかかる。これは、このような装置構造体の容認できない非信頼性の程度は別として、そのために費やされるコストに直接はねかえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、多数の装置の接続コストが最小に低減され、このような装置の運転信頼性が公知の装置と比べて大幅に高められるように、しかもこのような装置構造体の製作コストを最小限に抑え、かつ装置構造体のために従来必要であった必要スペースを最小限に抑える目的で、多数の装置を接続しかつまとめることができる、冒頭に述べた種類の装置を提供することである。これにより、全体として運転信頼性が高められると共に、生産コストおよび整備コストが大幅に低減され、これは同様に組み立てコストおよび分解コストに当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は本発明に従い、容器が設けられ、分離すべき流動媒体を両分離ユニットに供給するために、共通の1個の入口が設けられるように、少なくとも2個の分離ユニットが容器内に互いに接続して収容されていることによって解決される。
【0010】
本発明に係る解決策の利点は、分離すべき媒体、すなわち当業者に「フィード」と呼ばれる流体を供給するための特別な管継手を必要とせずに、少なくとも2個の分離ユニットが配管作業(Installationaufwand)なしに相互接続または互いに連結可能であることである。両分離ユニットは容器に挿入され、容器内に予め設置された連結手段に接続されるだけである。この設備により、常に分離すべき媒体のための流入部とそこから両分離ユニットに至るまでの間の圧密接続が可能である。さらに、少なくとも2個の分離ユニットのために、配管作業は不要である。その結果、漏れる可能性が大幅に低下し、さらに公知の装置と比べて装置全体の重量がかなり低減される。本発明に係る解決策は、従来は非常に小さくなった外径寸法と重量に基づいて不可能であった装置の使用を可能にする。この使用は例えば移動可能なユニット上での使用、しかも海洋のプラットホーム上での使用である。このようなユニットやプラットホームでは、あらゆる追加重量が極限まで低減され、これは装置にとって必要なスペースについても同様に当てはまる。本発明に係る装置はさらに、所望される膜全体面積に応じて、モジュール原理により、大きな配管作業をせずに、本発明に係る多数の装置を接続して所望される大きな分離ユニットを形成することができる。
【0011】
本発明に係る解決策は前述したような課題のあらゆる点を満足する。
【0012】
冒頭に述べたように、流動媒体または流体のためのこのような分離目的およびろ過目的のために、特別な分離目的のための膜または膜要素が使用される。しかし、使用すべき膜材料、一般的に炭化水素をベースとしたポリマーからなる膜材料の観点から膜を形成することが重要であるだけでなく、機械的な構造に関する膜の種類も重要である。本発明に係る装置のために、膜を中空糸膜および/または毛管膜として形成すると有利であることがわかった。基本的には、例えば膜クッションの形をしたあるいはらせん状に巻回された巻回膜の形をした平らな膜も使用することができる。
【0013】
複数の分離ユニットが実質的に容器軸線に沿って並べて配置されるように、容器が形成されていると有利である。それにより、分離ユニット内への分離すべき媒体または流体のための最小の案内接続部によって、両分離ユニットへの分離すべき媒体の必要な供給が可能である。
【0014】
流動媒体を容器から一方の分離ユニットと他方の分離ユニット内に同時に案内できるように、分離すべき流動媒体のための入口が容器に設けられていると特に有利である。これは、あたかもT字状に形成された継手を経て、分離すべき媒体を分離ユニットに流入させるように行われる。
【0015】
容器自体はほぼ管状に形成可能である。原理的には、他の形成も可能である。例えば、両分離ユニットが横に並んで配置されるように形成することもできる。容器のほぼ管状の形成は、容器内への分離ユニットの迅速で確実な設置を可能にする。この場合、分離ユニットは容器内で自動的に安定するので、容器内における、コストのかかる分離ユニットのための固定手段および配向手段が不要である。それによって、生産コストと修理コストと整備コストがさらに低減される。
【0016】
本装置のさらに有利な実施形態の場合には、容器がほぼ円形横断面を有する。すなわち、容器がほぼ直線の管として形成されていると有利である。それによって、容器に入れられる分離ユニットは事実上直列に相前後して配置されて自動的に安定させられ、かつ配向される。相前後は、分離ユニットの分離機能が続けて行われることまたは常にそうでなければならないことを意味するのではなく、分離ユニットがあたかも直列に相前後して設けられるように機械的に配置されていることを意味する。
【0017】
本装置の他の有利な実施形態の場合には、分離すべき流動媒体のための各々1個の入口が互いにほぼ向き合った容器の箇所に設けられている。すなわち、容器が例えば管状に形成されているときに、入口の箇所が容器の縦方向長さのほぼ中央に配置されていると有利である。従って、分離すべき媒体のための、容器内への全流入横断面が2倍の入口によって簡単に拡大可能であり、それによって容器を通る流動媒体の流れを簡単に増大させることができ、この流れをその都度所望であるより大きな分離出力に簡単に合わせることができる。
【0018】
浸透液のための出口が容器の互いにほぼ向き合った両端に設けられていると有利である。それによって、浸透液を排出するために必要な設備を低減することができ、容器全体を、多数の容器からなるバッテリのように、適当に形成された大きな分離ユニットに挿入することができる。出口自体は適当な封止手段を備え、そして付加的な設備を必要とせずに、同様に封止手段を備え得る収容部に差し込まれる。
【0019】
残留物のための出口が互いにほぼ向き合った両端の領域において容器ケースに対してほぼ横方向に配置されていると有利である。同様に封止手段を備えることができかつ同様に大きな分離ユニット内に配置されている、封止手段を備えた収容部は、容器ケースに対してほぼ横方向に差込み可能である。その際、容器から出る残留物を補集するために他の設備を必要としない。
【0020】
従来技術において知られている装置の欠点、特に装置がかなり重いという欠点に関して、本発明では、全体重量を低減する努力がなされた。これは、容器をプラスチックで形成することによって有利に達成される。この場合、そのために必要なプラスチックの重量をさらに低減するために、プラスチックを炭素繊維またはガラス繊維で強化して形成すると特に有利である。さらに、容器を形成するためのプラスチックは、容器が分離すべき媒体または液状またはガス状の流体混合物に対して実質的に十分な耐食性を有し、かつ軽量であると共に予想される温度範囲において十分に形状安定性があるという利点がある。
【0021】
容器に収容される分離ユニットがそれぞれ、圧力に対して十分な安定性を有していなければならないケースによって収容されるので、ケースおよび/または分離ユニットの両側の閉鎖要素は金属からなっている。それによって、分離ユニット自体の十分な形状安定性が保証され、従って分離ユニットのケースに収容された膜要素の変形が持続的に保証される。しばしば圧力管と呼ぶ少なくともケースは、プラスチックまたはガラス繊維で強化されたプラスチックから形成可能である。端板とも呼ぶ両側の閉鎖要素は通常はアルミニウムからなっている。公知のごとく鋼が非常に良好な強度特性を有するので、従来は分離ユニットのケースと、一般的にこのケースに設けられる両側の閉鎖要素は鋼によって形成されている。しかし、鋼がかなり大きな比重を有し、かつ所定のケースの場合に、装置を公知のものよりも軽量に形成するという冒頭で述べた目的に原理的に矛盾しているので、本発明に従い、少なくとも両側の閉鎖要素をチタンで形成すると有利である。
【0022】
組み立ておよび分解のために、分離ユニットを容器ケース内に迅速にかつ実質的に工具を用いないで入れるためあるいは修理または保守のために取り外すことができるようにするために、容器ケースが少なくとも2個の容器ケース要素に分割可能であり、この容器ケース要素が連結手段を介して互いに連結可能であると有利である。この連結手段はそれ自体任意の適切な種類のものでもよく、例えば嵌め合い継手またはコネクタの形をしていてもよいが、容器ケース要素の連結手段を容器ケース要素に形成されたねじ領域および/または差込み連結部によって形成すると有利である。ねじ継手は自動的にセンタリングして錠止する。これは差込み連結部にも同様に当てはまるので、両ケース要素を固定するための付加的な手段は不要である。従って、課題に従って軽量化することができ、組み立て作業と分解作業を最小限に減らすことができる。
【0023】
次の概略図を参照して、実施形態と実施形態の変形に基づき、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】2個の容器ケース要素からなる、2個の分離ユニットを収容するための容器を備えた、本発明に係る装置の斜視図である。
【図2】中空糸膜および/または毛管膜の形をした膜を備えた1個の分離ユニットを、その詳細を省略し部分的に切断して示す側面図である。
【図3】2個の分離ユニットを収容するための図1に示した容器を部分的に切断してかつ部分的に切り取って示す図である。
【図4】図3の容器の端面図である。
【図5a】図3の容器をそれぞれ90°回転して示す側面図である。
【図5b】図3の容器をそれぞれ90°回転して示す側面図である。
【図5c】図5aと図5bの容器の端面図である。
【図6a】分離すべき流動媒体のための2つの入口を有する容器の、図5aに類似する図である。
【図6b】分離すべき流動媒体のための2つの入口を有する容器の、図5bに類似する図である。
【図6c】分離すべき流動媒体のための2つの入口を有する容器の、図5cに類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
最初に、装置10の基本構造を説明するために、図1と図2を参照する。
【0026】
図1には、装置10の容器20が斜視図で示してある。容器ケース31は2つの容器ケース要素310、311に分割されている。容器ケース要素310、311にはそれぞれ1個の分離ユニット11、110が収容される。この分離ユニット11、110は、通常は同一構造を有するが、考えられる装置10の解決策では、分離ユニット11、110が異なる構造を有し、そしてそれぞれ、両分離ユニット11、110用の1つの入口22に一緒に供給される流動媒体21に関して異なる分離特性を有する。この流動媒体を幾度となく流体または「フィード」と呼ぶ。
【0027】
例えば図2に示すような分離ユニット11、110の基本構造が周知である。図2に示した分離ユニット11、110は中空糸膜および/または毛管膜の形をした膜13を備えている。しかしながら、容器20に収容される分離ユニット11、110は基本的には、クッション膜の形をしたまたはらせん状に巻かれた巻回膜の形をした膜を備えたものが使用可能である。分離ユニット11、110はケース12を備え、このケースはその中の流動媒体15の圧力に耐えることができ、そして通常はプラスチックまたは繊維で強化されたプラスチックによって形成されているが、鋼によって鋼管の形に形成可能である。ケースの両端には、それ自体公知のごとく、閉鎖要素120、121が設けられている。この閉鎖要素の間には、中空糸膜または毛管膜13が張設されている(図2参照)。互いに間隔をおいて適切に保持された閉鎖要素120、121はケース12と共に、圧力を漏らさぬ室を形成している。この室内を、分離すべき流動媒体15が流れる。このような分離ユニット11、110の場合、一般的に、外周に分配配置された穴123を有する中央管122がケース12を通過している。この穴は中央管122の壁を貫通している。この中央管122には浸透液17が集められて排出される。
【0028】
膜13が中空糸膜として形成されているときには、流動媒体15は中空糸を通過する。浸透液17は中空室から中空糸膜の壁を内側から外側へ通過する。
【0029】
閉鎖要素120の外に配置されかつ管122に接続された入口14から、分離すべき流動媒体15が管122内に案内され、そして穴123を通ってケース12の内室に達する。この内室には膜13が配置されている。膜13によって分離される流動媒体15内の混合物成分がそれ自体公知のごとく、膜の壁を通過する。膜13内で、すなわち上記の例では中空糸膜または毛管膜の中空室内で、その中に集められた浸透液17がケース12の一端、場合によっては両端に集められ(詳細に図示せず)、そして出口16を経て浸透液17として外側へ排出される。
【0030】
管122の延長部の出口18を経て分離装置11から出る濃縮された流動媒体15、すなわち膜13を浸透した成分だけ減少した残りの流動媒体15は、残留物19として管22の延長部のケース12から排出される。
【0031】
この形態および類似の形態のこのような分離ユニット11の上記概略的構造は、当業者に周知であるので、分離ユニット11の構造をこれ以上説明する必要はない。しかしながら付言すると、ここで図示した装置10では、両側の閉鎖要素120、121および/またはケース12は例えば重量軽減の理由から並びに機械的安定性および流動媒体15に対する化学的安定性の理由から、鋼の代わりに、アルミニウムまたはチタンで製作可能である。このアルミニウムまたはチタンは高合金鋼よりも強度が大きくかつ軽量である。
【0032】
上記の分離ユニット11は、いろいろな種類の膜(中空糸膜、毛管膜、巻回膜、膜クッション)に依存して、上記のごとくそれ自体同じように運転可能である。使用されるいろいろな種類の膜に依存して、分離すべき流動媒体15の供給と、浸透液17および残留物19の排出は、異なるように行われる。これはしかし、分離すべき流動媒体15の分離原理を変更しない。
【0033】
図3には、2個の分離ユニット11、110を収容するための容器20が示してある。この容器20は、ほぼ円形の内部横断面を有する管状本体からなっているので、その中に分離ユニット11、110を案内収容可能である。というのは、分離ユニット、11、110の横断面が容器20の内部横断面にほぼ一致するからである。容器の縦方向長さ25において、すなわち図1に関連して既に述べたような容器本来の容器ケース31の縦方向長さにおいて、容器20はほぼ同じ大きさの2個の容器ケース要素310、311を有する。この場合、両容器ケース要素310、311の間のほぼ中央に、流動媒体21のための少なくとも1つの入口22が設けられている。この場合、流動媒体21は分離ユニット11の説明に関連して既に説明したような流動媒体15と同じである。
【0034】
両分離ユニット11が容器20内に配置されていると、流動媒体21は入口22を経てそれぞれの分離ユニット11、110の入口14に流入する。これは図3において入口22の両側の矢印15、21によって象徴的に示してある。容器20の入口22とそれぞれの分離ユニット11、110との間の接続は、分離ユニット11、110の入口14の適切な構造的形成と、容器20内の入口22の適当な構造的形成によって保証される。それによって、入口22と入口14との間の機械的に確実な接続と圧密な接続が保証される。
【0035】
容器20の両端28、280(特に図5a〜図6c参照)にはそれぞれ、装置10または容器20から出る浸透液27のための出口26、260が設けられている。この浸透液は他のために使用され、場合によってはもう一度分離されるかまたは排出および補集される。一般的に、出口26、260は容器20を通過する仮想容器軸線23に対して同心的に配置されている。
【0036】
同様に、装置10から出る残留物30のための出口29、290がそれぞれ、容器ケースからほぼ半径方向に出るように、容器20または容器ケース31の端部28、280の領域内に設けられている。この残留物30は分離回路に新たに供給されるかあるいは他の方法で補集されて他の使用に供される。
【0037】
図5a〜図5cに示した装置10は、容器20の両端28、280に、前述のような残留物20用出口29、290を各々1つ備えている。これは図6a〜図6cの装置にも同様に当てはまる。出口29または290は装置10の他の運転方法の場合には、分離ユニット11または分離ユニット11、110のケース22および/または容器20または容器ケースの脱気部としての働きをすることができる。
【0038】
「デッドエンド運転(Dead-End-Betrieb)」と呼ばれる装置10の運転方法の場合には、出口29、290が閉じている。他の運転方法、いわゆる「クロスフロー運転(Cross-Flow-Betrieb)」の場合には、出口29、290が残留物30の排出のために開放されている。
【0039】
図6a〜図6cに係る装置10の実施形態の場合には、図5a〜図5cに係る装置10の実施形態と異なり、流動媒体21用の各々1つの入口22、220が箇所24、240に設けられ、しかも容器軸線23に対して半径方向において直径方向に対向するように設けられている。装置10のこの実施形態は図3と図4にも示してある。それによって、流動媒体21用の入口22を1つだけ有する装置10の実施形態と比べて、装置10への流動媒体21の一層多い単位時間当たり装入と、両分離ユニット11、110またはそれよりも多い分離ユニットにおける、供給された分離すべき流動媒体21の平行分配の改善が可能である。
【0040】
既に述べたように、容器20は少なくとも2個の容器ケース要素310、311を備えている。この容器ケース要素は容器ケース31の中央区間においてそれぞれねじ継手および/またはコネクタを介して接続可能である(図示せず)。このような連結解除可能または分離可能な継手は、容器ケース31の分解および組み立てを容易にし、それによって例えば、修理や整備のためにおよび基本的な最初の組み立てのために、容器ケースに収納された分離ユニット11、110に迅速にアクセスすることができる。容器ケース21は実質的にプラスチック、しかも炭素繊維で強化されたまたはガラス繊維で強化されたプラスチックからなっている。炭素繊維で強化されたプラスチックは軽量で大きな強度を有するという利点がある。
【0041】
浸透液27のためのすべての出口26、260と、残留物30のためのすべての出口29、290は分離すべき流動媒体21のための入口22、220と同様に、次のように構造的に形成されている。すなわち、例えば多数の装置が図示していない分離ユニットまたは分離バッテリ内で一緒に並列にまたは直列にまたは部分的に並列にまたは部分的に直列に接続配置されるときに、他の装置20との迅速な圧密接続を可能にするように構造的に形成されている。
【符号の説明】
【0042】
10 装置
11 分離ユニット
110 分離ユニット
12 ケース
12 閉鎖要素
121 閉鎖要素
122 管
13 膜
14 入口/流動媒体(ケース)
15 流動媒体(ケース)
16 出口/浸透液(ケース)
17 浸透液(ケース)
18 出口/残留物(ケース)
19 残留物(ケース)
20 容器
21 流動媒体(容器)
22 入口/流動媒体(容器)
220 入口/流動媒体(容器)
23 容器軸線
24 箇所
240 箇所
25 縦方向長さ(容器)
26 出口/浸透液(容器)
260 出口/浸透液(容器)
27 浸透液(容器)
28 端部(容器)
280 端部(容器)
29 出口/残留物(容器)
290 出口/残留物(容器)
30 残留物(容器)
31 容器ケース
310 容器ケース要素
311 容器ケース要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に限外ろ過法、逆浸透法およびナノろ過法に従って、膜(13)を用いて流動媒体(15)をろ過および分離するための装置(10)にして、前記膜(13)を内蔵するケース(12)と、前記装置(10)内に案内される分離すべき前記流動媒体(15)のための入口(14)と、前記装置(10)内で発生した浸透液(17)を排出するための出口(16)と、残留物(19)のための出口(18)とを備え、実質的に分離ユニット(11)を形成している、装置(10)において、
容器(20)が設けられ、この容器内に少なくとも2個の分離ユニット(11)が互いに接続して収容され、分離すべき前記流動媒体(21)を少なくとも両分離ユニット(11)に供給するために共通の入口(22)が設けられることを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記膜(13)が中空糸膜か毛管膜の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数の前記分離ユニット(11)が実質的に容器軸線(23)に沿って並べて配置されるように、前記容器(20)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記流動媒体(21)を前記容器から一方の分離ユニット(11)と他方の分離ユニット(110)内に同時に案内できるように、分離すべき前記流動媒体(21)のための前記入口(22)が容器(20)に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記容器(20)がほぼ管状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記容器(20)がほぼ円形横断面を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記容器(20)がほぼ直線の管として形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
分離すべき前記流動媒体(21)のための各々1個の入口(22、220)が、前記容器(20)の互いにほぼ向き合った箇所(24、240)に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記入口(22、220)の前記箇所(24、240)が前記容器(20)の縦方向長さ(25)のほぼ中央に位置していることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記浸透液(27)のための前記出口(26、260)が前記容器(20)の互いにほぼ向き合った両端(28、280)に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記残留物(30)のための前記出口(29、290)が互いにほぼ向き合った両端(28、280)の領域にて前記容器ケース(31)に対してほぼ横方向に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記容器(20)がプラスチックからなっていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記プラスチックが炭素繊維で強化されたプラスチックかガラス繊維で強化されたプラスチックの少なくとも一方であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ケース(12)か、前記分離ユニット(11)の両側の閉鎖要素(120、121)の少なくとも一方が金属からなっていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも両側の前記閉鎖要素(120、121)がチタンからなっていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記容器ケース(31)が少なくとも2個の容器ケース要素(310、311)に分割可能であり、これら容器ケース要素が連結手段を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記連結手段が前記容器ケース要素(310、311)に形成されたねじ領域または差込み連結部であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記流動媒体(21)のための前記入口(22、220)と、前記浸透液(27)のための前記出口(26、260)と、前記残留物(30)のための前記出口(29、290)の少なくともいずれか1つが金属からなっていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記金属が鋼であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記金属がチタンであることを特徴とする請求項18に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【公開番号】特開2013−39555(P2013−39555A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199262(P2011−199262)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(511223280)テーイーゲー アウトマチオーン ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】