説明

流動層乾燥装置及び石炭を用いたガス化複合発電システム

【課題】システムのコンパクト化を図ることができる流動層乾燥装置及び石炭を用いたガス化複合発電システムを提供する。
【解決手段】低品位炭101を乾燥させる乾燥室本体102と、前記乾燥室本体102から乾燥した乾燥炭101Aを排出する乾燥炭排出ラインL1と、前記乾燥室本体102の下部に流動化ガス107を供給することで低品質炭と共に流動層111を形成する流動化ガス供給ラインL2と、前記乾燥室本体から排出される流動化ガス及び発生蒸気104を排出するガス排出ラインL3と、前記流動層111内に供給された低品位炭101を加熱する加熱手段103と、前記乾燥室本体102内のフリーボードF内に設けられ、流動化ガス及び発生蒸気104に含まれる微粉を除去する電気集塵装置120と、前記電気集塵装置120で分離除去した微粉を流動層へ回収する回収手段122とを具備するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭をガス化するガス化システムに適用できる流動層乾燥装置及び石炭を用いたガス化複合発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、石炭ガス化複合発電設備は、石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電と組み合わせることにより、従来型の石炭火力に比べてさらなる高効率化・高環境性を目指した発電設備である。この石炭ガス化複合発電設備は、資源量が豊富な石炭を利用可能であることも大きなメリットであり、適用炭種を拡大することにより、さらにメリットが大きくなることが知られている。
【0003】
従来の石炭ガス化複合発電設備は、一般的に、給炭装置、乾燥装置、石炭ガス化炉、ガス精製装置、ガスタービン設備、蒸気タービン設備、排熱回収ボイラ、ガス浄化装置などを有している。従って、石炭が乾燥されてから粉砕され、石炭ガス化炉に対して、微粉炭として供給されると共に、空気が取り込まれ、この石炭ガス化炉で石炭が燃焼ガス化されて生成ガス(可燃性ガス)が生成される。そして、この生成ガスがガス精製されてからガスタービン設備に供給されることで燃焼して高温・高圧の燃焼ガスを生成し、タービンを駆動する。タービンを駆動した後の排気ガスは、排熱回収ボイラで熱エネルギが回収され、蒸気を生成して蒸気タービン設備に供給され、タービンを駆動する。これにより発電が行なわれる。一方、熱エネルギが回収された排気ガスは、ガス浄化装置で有害物質が除去された後、煙突を介して大気へ放出される。
【0004】
ところで、このような石炭ガス化複合発電システム(IGCC)にて使用する石炭は、瀝青炭や無煙炭のように高い発熱量を有する高品位の石炭(高品位炭)を用いている。
【0005】
前記石炭ガス化複合発電システム(IGCC)に供給する石炭は、石炭ガス化炉内での反応性や気流搬送の観点より、微粉化する必要があり、微粉炭機として石炭ミルが用いられている。このため、原料として供給される石炭は、先ずクラッシャにより粗粉砕され、その後、乾燥機で乾燥された後、乾燥炭バンカで貯留される。次いで、石炭供給機により、石炭ミルに供給され、そこで粉砕・乾燥され、微粉炭とされ、その後、搬送ガスより搬送されて石炭ガス化炉に供給されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−279621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、乾燥装置から排出された排出ガス中には、微粉の石炭が含有しているので、それを例えば電気集塵機等の捕集手段で除去しているが、除去された微粉は別の搬送設備等を設置して後流設備まで搬送する必要があり、設備が過大となり、システムの大型化となる、という問題がある。
【0008】
よって、石炭をガス化するガス化システムに高効率で供給することができ、低品位炭の乾燥においてシステムのコンパクト化を図ることができる流動層乾燥装置の出現が切望されている。
【0009】
本発明は、前記問題に鑑み、システムのコンパクト化を図ることができる流動層乾燥装置及び石炭を用いたガス化複合発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、被乾燥物を乾燥させる乾燥室本体と、前記乾燥室本体から乾燥した乾燥物を排出する乾燥物排出ラインと、前記乾燥室本体の下部に流動化ガスを供給することで低品質炭と共に流動層を形成する流動化ガス供給ラインと、前記乾燥室本体から排出される流動化ガス及び発生蒸気を排出するガス排出ラインと、前記流動層内に供給された被乾燥物を加熱する加熱手段と、前記乾燥室本体内のフリーボード内に設けられ、流動化ガス及び発生蒸気に含まれる微粉を除去する電気集塵装置と、前記電気集塵装置で分離除去した微粉を流動層へ回収する回収手段とを具備することを特徴とする流動層乾燥装置にある。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記回収手段にガス穴を設け、流動化ガスの一部を供給することを特徴とする流動層乾燥装置にある。
【0012】
第3の発明は、第1又は2の流動層乾燥装置と、前記流動層乾燥装置から供給された乾燥炭を処理してガス化ガスに変換する石炭ガス化炉と、前記ガス化ガスを燃料として運転されるガスタービン(GT)と、前記ガスタービンからのタービン排ガスを導入する排熱回収ボイラで生成した蒸気により運転される蒸気タービン(ST)と、前記ガスタービン及び/又は前記蒸気タービンと連結された発電機(G)とを具備することを特徴とする石炭を用いたガス化複合発電システムにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の流動層乾燥装置によれば、電気集塵装置を乾燥室本体内に設置することで、従来のように、電気集塵装置を外部に別置きにした場合に比べて、配管の加熱・保温が不要になると共に、電気集塵装置からの回収炭の搬送設備が不要となり、システムのコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例1に係る流動層乾燥装置の概略図である。
【図2】図2は、実施例1に係る流動層乾燥装置の平面図である。
【図3】図3は、実施例2に係る石炭を用いたガス化複合発電システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る流動層乾燥装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1に係る流動層乾燥装置の概略図である。図2は、実施例1に係る流動層乾燥装置の平面図である。
図1及び図2に示すように、本実施例に係る流動層乾燥装置100は、被乾燥物である低品位炭101を乾燥させる乾燥室本体102と、前記乾燥室本体102から乾燥した乾燥物である乾燥炭101Aを排出する乾燥炭排出ラインL1と、前記乾燥室本体102の下部に流動化ガス107を供給することで低品質炭と共に流動層111を形成する流動化ガス供給ラインL2と、前記乾燥室本体から排出される流動化ガス及び発生蒸気104を排出するガス排出ラインL3と、前記流動層111内に供給された低品位炭101を加熱する加熱手段である伝熱部材103と、前記乾燥室本体102内のフリーボードF内に設けられ、流動化ガス及び発生蒸気104に含まれる微粉を除去する電気集塵装置120と、前記電気集塵装置120で分離除去した微粉を流動層へ回収する回収手段122とを具備するものである。符号116は整流板を図示する。
本実施例では、図示しない粉砕機にて予め原料の低品位炭101を粉砕している。
【0017】
乾燥室本体102においては、導入される流動化蒸気107により流動されて流動層111を形成する。
【0018】
伝熱部材103は、この流動層111内に配置されている。伝熱部材103内には、例えば150℃の乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aが供給され、その高温の乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aの潜熱を利用して低品位炭101を間接的に乾燥させるようにしている。乾燥に利用された乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aは、例えば150℃の凝縮水Bとして乾燥室本体102の外部に排出されている。
【0019】
すなわち、加熱手段である伝熱部材103内面では、乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aが凝縮して液体(水分)になるので、この際に放熱される凝縮潜熱を、低品位炭101の乾燥の加熱に有効利用している。なお、高温の乾燥用蒸気(過熱蒸気)A以外としては、相変化を伴う熱媒であれば何れでも良く、例えばフロンやペンタンやアンモニア等を例示することができる。また、伝熱部材として熱媒体を用いる以外に電気ヒータを設置してもよい。
【0020】
なお、上述した伝熱部材103として、本実施例はチューブ形状の伝熱部材を例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば板状の伝熱部材を用いるようにしてもよい。
また、乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aを伝熱部材103に供給して低品位炭101を間接的に乾燥させる構成を説明したが、これに限らず、低品位炭101の流動層111を流動させる流動化蒸気107により低品位炭101を直接乾燥させる構成、さらに加熱用の流動化ガスを供給して乾燥させる構成としてもよい。
【0021】
本実施例では、さらに乾燥室本体102のフリーボードF内に、電気集塵装置120を設置している。この電気集塵装置120を内部に設置することにより、流動化ガス及び発生蒸気104に含まれる微粉101aを捕集している。なお、電気集塵装置120は、乾燥室本体とは電気的に絶縁された状態としている。
本実施例に係る電気集塵装置120では、3つの集塵室120A〜120Cを有しており、各々の集塵室120A〜120C内に電極121A〜121Cを設けている。
【0022】
集塵室120A〜120Cの側面には流動化ガス及び発生蒸気104を導入する導入口(図示せず)を設け、各々の集塵室120A〜120Cにおいて微粉を回収する。
【0023】
そして、電気集塵装置120で回収した乾燥炭(微粉)101aを各々の集塵室120A〜120Cの下部から回収手段122上に払い出している。そして、回収手段122に形成してガス穴122aから流動ガスの一部107aを導入して、回収手段122の上面で流動させながら、入口部X側に乾燥炭(微粉)101aを戻して、流動層111内に落下させ、循環させるようにしている。
【0024】
回収手段122は、図2に示すように、電気集塵装置120の下方側にのみ設けており、流動層111の上方の一部にのみ、本実施例では乾燥室本体102の長手方向の側壁に沿って、乾燥炭101Aの出口側(Y)から、低品位炭101の入口側(X)に傾斜するように設らけれている。
【0025】
本実施例のように、電気集塵装置120を乾燥室本体102内に設置することで、従来のように、電気集塵装置を外部に別置きにした場合に比べて、配管の加熱・保温が不要になると共に、電気集塵装置からの回収炭の搬送設備が不要となる。これにより、システムのコンパクト化を図ることができる流動層乾燥装置を提供できる。
【0026】
また、集塵装置120により集塵された後の発生蒸気104は、例えば105〜110℃の蒸気であるので、潜熱回収システム(図示せず)で熱回収されている。なお、集塵装置105により集塵された後の発生蒸気104は、例えば、熱交換器や蒸気タービン等に適用してその熱を有効利用するようにしてもよい。
【0027】
さらに、集塵装置125により集塵された後の発生蒸気104の一部(※1)は、流動化ガス供給ラインL2に介装された例えば循環ファン114により乾燥室本体102内に送られて、低品位炭101の流動層111を流動させる流動化蒸気107として利用される。なお、本実施例では、流動層111を流動化させる流動化媒体としては、発生蒸気104の一部を再利用しているが、これに限定されず、例えば窒素、二酸化炭素またはこれらのガスを含む低酸素濃度の空気を用いてもよい。
【実施例2】
【0028】
図3は、実施例2に係る石炭を用いたガス化複合発電システムの概略構成図である。
【0029】
実施例2の石炭を用いたガス化複合発電システム(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)は、空気を酸化剤として石炭ガス化炉で石炭ガスを生成する空気燃焼方式を採用し、ガス精製装置で精製した後の石炭ガスを燃料ガスとしてガスタービン設備に供給して発電を行っている。即ち、本実施例の石炭ガス化複合発電設備は、空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備である。本実施例では、石炭ガス化炉14に供給する石炭原料として低品位炭を使用している。
【0030】
実施例2において、図3に示すように、石炭ガス化複合発電設備10は、原料炭である石炭101を供給する低品位炭供給設備11と、低品位炭101を乾燥する流動層乾燥装置100と、乾燥低品位炭(乾燥炭)101Aを供給してガス化し可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)200を生成する石炭ガス化炉14と、ガス化ガスである可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)200中のチャー101Cを回収するチャー回収装置15と、可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)200Aを精製するガス精製装置16と、精製された燃料ガス200Bを燃焼させてタービンを駆動するガスタービン設備17と、前記ガスタービン設備17からのタービン排ガスを導入する排熱回収ボイラ(Heat Recovery Steam Generator:HRSG)20で生成した蒸気により運転される蒸気タービン(ST)設備18と、前記ガスタービン設備17及び/又は前記蒸気タービン設備18と連結された発電機(G)19とを具備している。
【0031】
本実施例に係る低品位炭供給設備11は、原炭バンカ21と、石炭供給機22と、粉砕機23とを有している。原炭バンカ21は、低品位炭101を貯留可能であって、所定量の低品位炭101を石炭供給機22に投下することができる。石炭供給機22は、原炭バンカ21から投下された低品位炭101を例えばコンベアなどにより搬送し、粉砕機23に投下することができる。この粉砕機23は、投下された低品位炭101を所定の大きさに破砕し、粉砕石炭101とすることができる。
【0032】
流動層乾燥装置100は、実施例1又は2の装置を用い、低品位炭供給設備11により投入された低品位炭101に対して乾燥用蒸気(例えば150℃程度の過熱蒸気)Aを供給することで、この低品位炭を流動させながら加熱乾燥するものであり、低品位炭101が含有する水分を除去することができる。そして、この流動層乾燥装置100は、外部に取り出された乾燥済の乾燥炭101Aを冷却する冷却器31が設けられ、乾燥冷却済の乾燥炭101Aが乾燥炭バンカ34に貯留される。また、乾燥室本体102は、上部から取り出された発生蒸気104に同伴される乾燥炭の粒子を分離する乾燥炭サイクロン等の集塵装置105が設けられ、発生蒸気104から微粒の乾燥炭の粒子を分離している。なお、サイクロン等の集塵装置105で乾燥炭が分離された蒸気は、蒸気圧縮機で圧縮されてから乾燥室本体102に乾燥用蒸気として供給するようにしてもよい。
【0033】
乾燥室本体102で乾燥され、ついで冷却器31で冷却された乾燥冷却済の乾燥炭101Aは、微粒乾燥炭排出ライン123を介して、その後、バグフィルタ32、ビンシステム33を介して、一時乾燥炭バンカ34に貯留される。
【0034】
石炭ガス化炉14は、乾燥炭バンカ34から供給される乾燥炭101Aが供給可能であると共に、チャー回収装置15で回収されたチャー(石炭の未燃分)101Cが戻されてリサイクル可能となっている。
【0035】
即ち、石炭ガス化炉14は、ガスタービン設備17(圧縮機61)から圧縮空気供給ライン41が接続されており、このガスタービン設備17で圧縮された圧縮空気が供給可能となっている。空気分離装置42は、大気中の空気40から窒素(N2)と酸素(O2)を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン43が石炭ガス化炉14に接続され、この第1窒素供給ライン43は乾燥炭供給ライン123に接続されている。また、第2窒素供給ライン45も石炭ガス化炉14に接続され、この第2窒素供給ライン45にチャー回収装置15から回収されたチャー101Cを戻すチャー戻しライン46が接続されている。更に、酸素供給ライン47は、圧縮空気供給ライン41に接続されている。この場合、窒素(N2)は、乾燥炭101Aやチャー101Cの搬送用ガスとして利用され、酸素(O2)は、酸化剤として利用される。
【0036】
石炭ガス化炉14は、例えば、噴流床形式のガス化炉であって、内部に供給された乾燥炭101A、チャー101C、空気(酸素)、またはガス化剤としての水蒸気を燃焼・ガス化すると共に、一酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)200を発生させ、この可燃性ガス200をガス化剤としてガス化反応を生じさせている。なお、石炭ガス化炉14は、微粉炭の混入した溶融スラグ等の異物を除去する異物除去装置48が設けられている。
本例では、石炭ガス化炉14として噴流床ガス化炉を例示しているが、本発明は、これに限定されず、例えば流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、この石炭ガス化炉14は、チャー回収装置15に向けて可燃性ガス200のガス生成ライン49が設けられており、チャー101Cを含む可燃性ガス200が排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン49にガス冷却器を別途を設けることで、可燃性ガス200を所定温度まで冷却してからチャー回収装置15に供給するとよい。
【0037】
チャー回収装置15は、集塵装置51とチャー供給ホッパ52とを有している。この場合、集塵装置51は、1つまたは複数のバグフィルタやサイクロンにより構成され、石炭ガス化炉14で生成された可燃性ガス200に含有するチャー101Cを分離することができる。そして、チャー101Cが分離された可燃性ガス200Aは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置16に送られる。チャー供給ホッパ52は、集塵装置51で可燃性ガス200から分離されたチャー101Cを貯留するものである。なお、集塵装置51と供給ホッパ52との間にビンを配置し、このビンに複数のチャー供給ホッパ52を接続するように構成してもよい。そして、供給ホッパ52からのチャー戻しライン46が第2窒素供給ライン45に接続されている。
【0038】
ガス精製装置16は、チャー回収装置15によりチャー101Cが分離された可燃性ガス200Aに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置16は、チャー101Cが分離された可燃性ガス200Aを精製して燃料ガス200Bを製造し、これをガスタービン設備17に供給する。なお、このガス精製装置16では、チャー101Cが分離された可燃性ガス200A中にはまだ硫黄分(HS)が含まれているため、例えばアミン吸収液等によって除去することで、硫黄分を最終的には石膏として回収し、有効利用する。
【0039】
ガスタービン設備17は、圧縮機61、燃焼器62、タービン63を有しており、圧縮機61とタービン63は、回転軸64により連結されている。燃焼器62は、圧縮機61から圧縮空気供給ライン65が接続されると共に、ガス精製装置16から燃料ガス供給ライン66が接続され、タービン63に燃焼ガス供給ライン67が接続されている。また、ガスタービン設備17は、圧縮機61から石炭ガス化炉14に延びる圧縮空気供給ライン41が設けられており、中途部に昇圧機68が設けられている。従って、燃焼器62では、圧縮機61から供給された圧縮空気40Aとガス精製装置16から供給された燃料ガス200Bとを混合して燃焼し、タービン63にて、発生した燃焼ガス202により回転軸64を回転することで発電機19を駆動することができる。
【0040】
蒸気タービン設備18は、ガスタービン設備17における回転軸64に連結されるタービン69を有しており、発電機19は、この回転軸64の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ20は、ガスタービン設備17(タービン63)からの排ガスライン70に設けられており、空気40と高温の排ガス203との間で熱交換を行うことで、蒸気204を生成するものである。そのため、排熱回収ボイラ20は、蒸気タービン設備18のタービン69との間に蒸気204を供給する蒸気供給ライン71が設けられると共に、蒸気回収ライン72が設けられ、蒸気回収ライン72に復水器73が設けられている。従って、蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気204によりタービン69が駆動し、回転軸64を回転することで発電機19を駆動することができる。
【0041】
そして、排熱回収ボイラ20で熱が回収された排ガス205は、ガス浄化装置74により有害物質を除去され、浄化された排ガス205Aは、煙突75から大気へ放出される。
【0042】
ここで、実施例2の石炭ガス化複合発電設備10の作動について説明する。
【0043】
実施例2の石炭ガス化複合発電設備10において、低品位炭供給設備11にて、原炭である低品位炭101が原炭バンカ21に貯留されており、この原炭バンカ21の低品位炭101が石炭供給機22により粉砕機23に投下され、ここで所定の大きさに破砕される。そして、破砕された粉砕石炭101は、流動層乾燥装置100により加熱乾燥され、この乾燥炭101Aを微粒乾燥炭排出ライン123を介して抜き出した後、冷却器31により冷却されて冷却済の微粒の乾燥炭101Aとされ、乾燥炭バンカ34に貯留される。
【0044】
乾燥炭バンカ34に貯留された微粒の乾燥炭101Aは、空気分離装置42から供給される窒素により乾燥炭排出ライン123を通して石炭ガス化炉14に供給される。また、後述するチャー回収装置15で回収されたチャー101Cが、空気分離装置42から供給される窒素によりチャー戻しライン46を通して石炭ガス化炉14に供給される。更に、後述するガスタービン設備17から抽気された圧縮空気37が昇圧機68で昇圧された後、空気分離装置42から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン41を通して石炭ガス化炉14に供給される。
【0045】
石炭ガス化炉14では、供給された乾燥炭101A及びチャー101Cが圧縮空気(酸素)37により燃焼し、乾燥炭101A及びチャー101Cがガス化することで、一酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(石炭ガス)200を生成することができる。そして、この可燃性ガス200は、石炭ガス化炉14からガス生成ライン49を通して排出され、チャー回収装置15に送られる。
【0046】
このチャー回収装置15にて、可燃性ガス200は、まず、集塵装置51に供給されることで、ここで可燃性ガス200に含有するチャー101Cが分離される。そして、チャー101Cが分離された可燃性ガス200Aは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置16に送られる。一方、可燃性ガス200から分離した微粒のチャー101Cは、チャー供給ホッパ52に堆積され、チャー戻しライン46を通して石炭ガス化炉14に戻されてリサイクルされる。
【0047】
チャー回収装置15によりチャー101Cが分離された可燃性ガス200Aは、ガス精製装置16にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガス200Bが製造される。そして、ガスタービン設備17では、圧縮機61が圧縮空気40Aを生成して燃焼器62に供給すると、この燃焼器62は、圧縮機61から供給される圧縮空気40Aと、ガス精製装置16から供給される燃料ガス200Bとを混合し、燃焼することで燃焼ガス202を生成し、この燃焼ガス202によりタービン63を駆動することで、回転軸64を介して発電機19を駆動し、発電を行うことができる。
【0048】
そして、ガスタービン設備17におけるタービン63から排出された排ガス203は、排熱回収ボイラ20にて、空気40と熱交換を行うことで蒸気204を生成し、この生成した蒸気204を蒸気タービン設備18に供給する。蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気204によりタービン69を駆動することで、回転軸64を介して発電機19を駆動し、発電を行うことができる。
【0049】
その後、ガス浄化装置74では、排熱回収ボイラ20から排出された排ガス205の有害物質が除去され、浄化された排ガス205Aが煙突75から大気へ放出される。
【0050】
なお、本実施例では、石炭原料として低品位炭を使用したが、高品位炭であっても適用可能であり、また、石炭に限らず、再生可能な生物由来の有機性資源として使用されるバイオマスであってもよく、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などを使用することも可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 石炭ガス化複合発電設備
11 低品位炭供給設備
14 石炭ガス化炉
15 チャー回収装置
16 ガス精製装置
17 ガスタービン設備
18 蒸気タービン設備
19 発電機
20 排熱回収ボイラ
31 冷却器
100 流動層乾燥装置
101 低品位炭
101A 乾燥低品位炭(乾燥炭)
101a 微粉
102 乾燥室本体
103 伝熱部材(加熱手段)
104 発生蒸気
120 電気集塵装置
121A〜C 電極
122 回収手段
A 乾燥用蒸気(過熱蒸気)
B 凝縮水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物を乾燥させる乾燥室本体と、
前記乾燥室本体から乾燥した乾燥物を排出する乾燥物排出ラインと、
前記乾燥室本体の下部に流動化ガスを供給することで低品質炭と共に流動層を形成する流動化ガス供給ラインと、
前記乾燥室本体から排出される流動化ガス及び発生蒸気を排出するガス排出ラインと、
前記流動層内に供給された被乾燥物を加熱する加熱手段と、
前記乾燥室本体内のフリーボード内に設けられ、流動化ガス及び発生蒸気に含まれる微粉を除去する電気集塵装置と、
前記電気集塵装置で分離除去した微粉を流動層へ回収する回収手段と
を具備することを特徴とする流動層乾燥装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記回収手段にガス穴を設け、流動化ガスの一部を供給することを特徴とする流動層乾燥装置。
【請求項3】
請求項1又は2の流動層乾燥装置と、
前記流動層乾燥装置から供給された乾燥炭を処理してガス化ガスに変換する石炭ガス化炉と、
前記ガス化ガスを燃料として運転されるガスタービン(GT)と、
前記ガスタービンからのタービン排ガスを導入する排熱回収ボイラで生成した蒸気により運転される蒸気タービン(ST)と、
前記ガスタービン及び/又は前記蒸気タービンと連結された発電機(G)とを具備することを特徴とする石炭を用いたガス化複合発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−233635(P2012−233635A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102272(P2011−102272)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】