説明

流動層乾燥設備及び石炭を用いたガス化複合発電システム

【課題】乾燥コストの削減を図ることができる流動層乾燥設備及び石炭を用いたガス化複合発電システムを提供する。
【解決手段】乾燥室に流動化ガス107を供給することで乾燥室に供給された低品位炭を流動させて乾燥させる流動層乾燥装置102と、流動層乾燥装置102の前流側に設けられ、低品位の原料炭101を一時的に流動させつつ貯留する原炭流動層バンカ50と、前記原炭流動層バンカ50の上方側から原炭微粒101Aを抜き出す、原炭微粒抜き出しラインL11と、前記原炭流動層バンカ50の下方側から原炭粗粒101Bを抜き出す、原炭粗粒抜き出しラインL12と、前記原炭粗粒101Bを粉砕する粉砕機56と、粉砕した粉砕炭101Cを乾燥室に供給する粉砕炭供給ラインL1とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭をガス化するガス化システムに適用できる流動層乾燥設備及び石炭を用いたガス化複合発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、石炭ガス化複合発電設備は、石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電と組み合わせることにより、従来型の石炭火力に比べてさらなる高効率化・高環境性を目指した発電設備である。この石炭ガス化複合発電設備は、資源量が豊富な石炭を利用可能であることも大きなメリットであり、適用炭種を拡大することにより、さらにメリットが大きくなることが知られている。
【0003】
従来の石炭ガス化複合発電設備は、一般的に、給炭装置、乾燥装置、石炭ガス化炉、ガス精製装置、ガスタービン設備、蒸気タービン設備、排熱回収ボイラ、ガス浄化装置などを有している。従って、石炭が乾燥されてから粉砕され、石炭ガス化炉に対して、微粉炭として供給されると共に、空気が取り込まれ、この石炭ガス化炉で石炭が燃焼ガス化されて生成ガス(可燃性ガス)が生成される。そして、この生成ガスがガス精製されてからガスタービン設備に供給されることで燃焼して高温・高圧の燃焼ガスを生成し、タービンを駆動する。タービンを駆動した後の排気ガスは、排熱回収ボイラで熱エネルギが回収され、蒸気を生成して蒸気タービン設備に供給され、タービンを駆動する。これにより発電が行なわれる。一方、熱エネルギが回収された排気ガスは、ガス浄化装置で有害物質が除去された後、煙突を介して大気へ放出される。
【0004】
ところで、このような石炭ガス化複合発電システム(IGCC)にて使用する石炭は、瀝青炭や無煙炭のように高い発熱量を有する高品位の石炭(高品位炭)を用いている。
前記石炭ガス化複合発電システム(IGCC)に供給する石炭は、石炭ガス化炉内での反応性や気流搬送の観点より、微粉化する必要があり、微粉炭機として石炭ミルが用いられている。このため、原料として供給される石炭は、先ずクラッシャにより粗粉砕され、その後、乾燥機で乾燥された後、乾燥炭バンカで貯留される。次いで、石炭供給機により、石炭ミルに供給され、そこで粉砕・乾燥され、微粉炭とされ、その後、搬送ガスより搬送されて石炭ガス化炉に供給されている(特許文献1)。
【0005】
ところで、蒸気流動層乾燥で押出式(プラグフロー式)で乾燥を行う場合には、入口部分での水分負荷が最も高くなり、石炭の表面に水分が凝結して流動不良となる、という問題がある。
従来では石炭を乾燥する装置として、被乾燥物である石炭が流動不良とならないように、入口部の流動化ガスの供給量を調整している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−279621号公報
【特許文献2】特開平6−299176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、入口部においては、石炭の水分濃度が高いため、流動化ガス量が過大となり、設備面、ランニングコストが嵩むという、問題がある。
この対策として入口部に乾燥炭を循環させて、入口部の水分負荷を低減する方法も提案されるが、循環のための付帯設備(例えばコンベア、ホッパ等)が大掛かりとなる、という問題がある。
【0008】
また、石炭中に含まれる土砂等の異物があり、クラッシャおよび乾燥装置のトラブルが発生するという問題がある。
さらに、原炭の破砕に関して、原炭中には微粒が含有しており、原炭すべてをクラッシャで破砕した場合には、無駄な動力を消費する、という問題がある。
【0009】
よって、石炭をガス化するガス化システムに高効率で供給することができ、低品位炭の乾燥を行うに際してコストの削減を図ることができる流動層乾燥装置の出現が切望されている。
【0010】
本発明は、前記問題に鑑み、乾燥コストの削減を図ることができる流動層乾燥設備及び石炭を用いたガス化複合発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、乾燥室に流動化ガスを供給することで乾燥室に供給された低品位炭を流動させて乾燥させる流動層乾燥装置と、流動層乾燥装置の前流側に設けられ、低品位の原料炭を一時的に流動させつつ貯留する原炭流動層バンカと、前記原炭流動層バンカの上方側から原炭微粒を抜き出す、原炭微粒抜き出しラインと、前記原炭流動層バンカの下方側から原炭粗粒を抜き出す、原炭粗粒抜き出しラインと、前記原炭粗粒を粉砕する粉砕機と、粉砕した粉砕炭を乾燥室に供給する粉砕炭供給ラインとを具備することを特徴とする流動層乾燥設備にある。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記原炭流動層バンカの流動層内に仕切壁を形成すると共に、仕切壁から抜き出した原炭微粒を排出する原炭微粒抜き出しラインとを具備することを特徴とする流動層乾燥設備にある。
【0013】
第3の発明は、第1又は2の流動層乾燥設備と、前記流動層乾燥装置から供給される乾燥炭を処理してガス化ガスに変換する石炭ガス化炉と、前記ガス化ガスを燃料として運転されるガスタービン(GT)と、前記ガスタービンからのタービン排ガスを導入する排熱回収ボイラで生成した蒸気により運転される蒸気タービン(ST)と、前記ガスタービン及び/又は前記蒸気タービンと連結された発電機(G)とを具備することを特徴とする石炭を用いたガス化複合発電システムにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の流動層乾燥設備によれば、乾燥炭の一部を抜き出して、再度湿った低品位炭に供給することで、低品位炭の投入部の水分負荷の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施例1に係る流動層乾燥設備の概略図である。
【図2】図2は、実施例2に係る流動層乾燥設備の概略図である。
【図3】図3は、実施例3に係る石炭を用いたガス化複合発電システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る流動層乾燥設備の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1に係る流動層乾燥設備の概略図である。
図1に示すように、本実施例に係る流動層乾燥設備100Aは、乾燥室に流動化ガス(蒸気)107を供給することで乾燥室に供給された低品位炭を流動させて乾燥させる流動層乾燥装置102と、流動層乾燥装置102の前流側に設けられ、低品位の原料炭101を一時的に流動させつつ貯留する原炭流動層バンカ50と、前記原炭流動層バンカ50の上方側から原炭微粒101Aを抜き出す、原炭微粒抜き出しラインL11と、前記原炭流動層バンカ50の下方側から原炭粗粒101Bを抜き出す、原炭粗粒抜き出しラインL12と、前記原炭粗粒101Bを粉砕する粉砕機56と、粉砕した粉砕炭101Cを乾燥室に供給する粉砕炭供給ラインL1とを具備するものである。
ものである。
【0018】
図1に示すように、原炭流動層バンカ50は、流動層乾燥装置102の前流側に設けられて、原料の低品位炭を流動化ガス52により予備乾燥するものである。
この予備乾燥の際に、フリーボードF内に舞い上がるガス中には予備乾燥された原炭微粒101Aが存在するので、その原炭微粒101Aを原炭微粒抜き出しラインL11により、抜き出し、原炭微粒抜き出しラインL11に介装したサイクロン54により排ガス55と原炭微粒101Aとを分離している。この分離された原炭微粒101Aは、粉砕機56で粉砕された粉砕炭101Cを供給する粉砕炭供給ラインL1に合流して、流動層乾燥装置102に供給するようにしている。
【0019】
ここで、原炭流動層バンカ50内に整流板51から供給される流動化ガス52としては、例えば窒素、空気又は乾燥炭冷却時の冷却排ガス113を利用している。
【0020】
原炭101中に流動化ガス52を通気することで、セグリゲーションを促し、原炭微粒101Aを上部に、原炭粗粒101Bを下部に分離させるようにしている。
【0021】
流動化ガス52の流量を最適流量に設定することで、原炭微粒101Aは上部からサイクロン54を経由して乾燥装置へ供給されることとなる。
【0022】
これに対し、原炭粗粒101Bは、流動層の下部側に集中し、流動化される際に、大塊の異物53は、下部より抜き出される。
また、原炭粗粒101Bは、流動層の底部から中段にかけての所定の位置から抜き出すことにより、異物53と分離させるようにしている。
【0023】
原炭流動層バンカ50内の原炭微粒101Aは、フリーボードF内に舞い上がった際、風力分級により、原炭微粒抜き出しラインL11によりサイクロン54に抜き出される。
また、原炭粗粒101Bは、異物除去後に粉砕機56に投入されるため、粉砕機56において余分な破砕が不要となる。これにより、粉砕機56の動力の低減を図ることができる。
【0024】
また、大塊の異物53が予め除去されるため、粉砕機56でのトラブル回避に繋がることとなる。なお、異物53は、例えば選別機等で金属や土砂等を分離し、原炭101と共に、再度原炭流動層バンカ50に投入するようにしてもよい。
【0025】
このように、本実施例によれば、原炭流動層バンカ50内でセグリゲーションを促し、原炭101と原炭微粒101A、原炭粗粒101B、大塊の異物53に分類することで、原炭微粒101Aはそのまま流動層乾燥装置102へ供給することで、粉砕機56での粉砕を省略し、粉砕機56の粉砕効率を向上させている。
【0026】
また、大塊の異物53は系外に排出することで、原炭粗粒101Bだけを選択的に粉砕機に供給することができるため、効率的な粉砕が可能となる。よって、粉砕機56の粉砕容量の低減を図ると共に、動力低減を図ることができる。また、予め異物53を除去するので、粉砕時のトラブルを回避することができる。
【0027】
流動層乾燥装置102の乾燥室の上方に設けたガス排出ラインL4には、発生蒸気104中の粉塵を除去するサイクロン等の集塵装置105と、集塵装置105の下流側に介装され、発生蒸気104の熱を回収する潜熱回収システム106が設けられている。
【0028】
流動層乾燥装置102の本体は、整流板116の細孔より導入される流動化蒸気107により流動されて流動層111を形成する。
【0029】
伝熱部材103は、この流動層111内に配置されている。伝熱部材103内には、例えば150℃の乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aが供給され、その高温の乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aの潜熱を利用して粉砕石炭101Cを間接的に乾燥させるようにしている。乾燥に利用された乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aは、例えば150℃の凝縮水Bとして流動層乾燥装置102の外部に排出されている。
【0030】
すなわち、加熱手段である伝熱部材103内面では、乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aが凝縮して液体(水分)になるので、この際に放熱される凝縮潜熱を、粉砕石炭101Cの乾燥の加熱に有効利用している。なお、高温の乾燥用蒸気(過熱蒸気)A以外としては、相変化を伴う熱媒であれば何れでも良く、例えばフロンやペンタンやアンモニア等を例示することができる。また、伝熱部材として熱媒体を用いる以外に電気ヒータを設置してもよい。
【0031】
伝熱部材103によって粉砕された低品位炭101Cが乾燥される際に発生する発生蒸気104は、流動層乾燥装置102内において、流動層111の上部空間に形成されるフリーボードFからガス排出ラインL4により流動層乾燥装置102の外部に排出される。この発生蒸気104は、乾燥し微粉化したものが含まれているので、例えば集塵装置105により集塵して乾燥微粉115として分離する。
この乾燥微粉115は、粉砕機56からの粉砕石炭101Cと合流され、流動層乾燥装置102に投入される。
流動層乾燥装置102から乾燥炭排出ラインL2より抜き出される乾燥炭101Dは、冷却機110で冷却され、冷却乾燥炭11Eは、石炭ガス化炉14(後述する図3参照)に供給される。なお、乾燥微粉115は乾燥炭101Cに合流するようにしてもよい。
冷却機110には窒素又は空気等の冷却ガス112により、乾燥炭101Dを冷却している。
【0032】
一方、集塵装置105により集塵された後の発生蒸気104は、例えば105〜110℃の蒸気であるので、潜熱回収システム106で熱回収された後、水処理部で処理され、冷却水108は、冷却機110にて冷却に寄与されている。なお、集塵装置105により集塵された後の発生蒸気104は、例えば、熱交換器や蒸気タービン等に適用してその熱を有効利用するようにしてもよい。
【0033】
また、集塵装置105により集塵された後の発生蒸気104の一部は、流動化ガス供給ラインL3に介装された例えば循環ファン114により流動層乾燥装置102内に送られて、低品位炭101Aの流動層111を流動させる流動化蒸気107として利用される。なお、本実施例では、流動層111を流動化させる流動化媒体としては、発生蒸気104の一部を再利用しているが、これに限定されず、例えば窒素、二酸化炭素またはこれらのガスを含む低酸素濃度の空気を用いてもよい。
【0034】
なお、上述した伝熱部材103として、本実施例はチューブ形状の伝熱部材を例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば板状の伝熱部材を用いるようにしてもよい。
また、乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aを伝熱部材103に供給して低品位炭101Aを間接的に乾燥させる構成を説明したが、これに限らず、低品位炭101Aの流動層111を流動させる流動化蒸気107により低品位炭101Aを直接乾燥させる構成、さらに加熱用の流動化ガスを供給して乾燥させる構成としてもよい。
【0035】
本実施例では、流動層乾燥装置102での乾燥の前段階において、原炭流動層バンカ50で流動化ガス52により原炭101を流動化させることにより、原炭微粒101Aと原炭粗粒101Bとを分離すると共に、流動ガスにより予備乾燥された原炭粗粒101Bは、粉砕機56により粉砕されるようにしているので、流動層乾燥装置102に供給された低品位炭の乾燥が効率的に行うことができる。
【実施例2】
【0036】
図2は、実施例2に係る流動層乾燥設備の概略図である。
図2に示すように、本実施例に係る流動層乾燥設備100Bでは、原炭流動層バンカ50の流動層の一部に仕切壁61と、流動層の上方近傍において仕切壁の上部をオーバーフローした原炭微粒101Aを抜き出す抜き出し部62とを設けている。
【0037】
そして、仕切壁61の上部をオーバーフローした原炭微粒101Aを抜き出し部62に落下させ、抜き出した原炭微粒101Aを原炭微粒抜き出しラインL13により、粉砕機56で粉砕した粉砕炭101Cを供給する粉砕炭供給ラインL1に合流して、流動層乾燥装置102に供給するようにしている。
【実施例3】
【0038】
図3は、実施例3に係る石炭を用いたガス化複合発電システムの概略構成図である。
【0039】
実施例3の石炭を用いたガス化複合発電システム(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)は、空気を酸化剤として石炭ガス化炉で石炭ガスを生成する空気燃焼方式を採用し、ガス精製装置で精製した後の石炭ガスを燃料ガスとしてガスタービン設備に供給して発電を行っている。即ち、本実施例の石炭ガス化複合発電設備は、空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備である。本実施例では、石炭ガス化炉14に供給する石炭原料として低品位炭を使用している。
【0040】
実施例3において、図3に示すように、石炭ガス化複合発電設備10は、原料炭である石炭101を事前に予備乾燥する原炭流動層バンカ50を備えた石炭101を乾燥する流動層乾燥装置102A(102B)からなる流動層乾燥設備100A(100B)と、冷却乾燥炭(乾燥炭)101Eを供給してガス化し可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)200を生成する石炭ガス化炉14と、ガス化ガスである可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)200中のチャー101Fを回収するチャー回収装置15と、可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)200Aを精製するガス精製装置16と、精製された燃料ガス200Bを燃焼させてタービンを駆動するガスタービン設備17と、前記ガスタービン設備17からのタービン排ガスを導入する排熱回収ボイラ(Heat Recovery Steam Generator:HRSG)20で生成した蒸気により運転される蒸気タービン(ST)設備18と、前記ガスタービン設備17及び/又は前記蒸気タービン設備18と連結された発電機(G)19とを具備している。
【0041】
本実施例に係る低品位炭供給設備11は、原炭流動層バンカ50と、粉砕機56とを有している。原炭バンカ(図示しない)は、石炭(低品位炭)101を貯留可能であって、所定量の石炭101を原炭流動層バンカ50に投下することができる。原炭流動層バンカ50で乾燥された原炭粗粒101Bは、粉砕機56により所定の大きさに破砕し、粉砕石炭101Cとしている。
【0042】
流動層乾燥装置102A(102B)は、実施例1又は2の装置を用いており、原炭流動層バンカ50で予備乾燥と分級をした後、供給された粉砕石炭101Cに対して乾燥用蒸気(例えば150℃程度の過熱蒸気)Aを供給することで、この低品位炭を流動させながら加熱乾燥するものであり、石炭101が含有する水分を除去することができる。そして、この流動層乾燥装置102A(102B)は、外部に取り出された乾燥済の乾燥炭101Dを冷却する冷却機110が設けられ、乾燥冷却済の乾燥炭101Eが乾燥炭バンカ34に貯留される。また、流動層乾燥装置102は、上部から取り出された発生蒸気104に同伴される乾燥炭の粒子を分離する乾燥炭サイクロン等の集塵装置105が設けられ、発生蒸気104から微粒の乾燥炭の粒子を分離している。なお、サイクロン等の集塵装置105で乾燥炭が分離された蒸気は、蒸気圧縮機で圧縮されてから流動層乾燥装置102に乾燥用蒸気として供給するようにしてもよい。
【0043】
流動層乾燥装置102で乾燥され、ついで冷却機110で冷却された乾燥冷却済の乾燥炭101Eは、乾燥炭排出ライン123を介して、その後、バグフィルタ32、ビンシステム33を介して、一時乾燥炭バンカ34に貯留される。
【0044】
石炭ガス化炉14は、乾燥炭バンカ34から供給される微粒の乾燥炭101Eが供給可能であると共に、チャー回収装置15で回収されたチャー(石炭の未燃分)101Fが戻されてリサイクル可能となっている。
【0045】
即ち、石炭ガス化炉14は、ガスタービン設備17(圧縮機61)から圧縮空気供給ライン41が接続されており、このガスタービン設備17で圧縮された圧縮空気が供給可能となっている。空気分離装置42は、大気中の空気40から窒素(N2)と酸素(O2)を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン43が石炭ガス化炉14に接続され、この第1窒素供給ライン43は乾燥炭供給ライン123に接続されている。また、第2窒素供給ライン45も石炭ガス化炉14に接続され、この第2窒素供給ライン45にチャー回収装置15から回収されたチャー101Fを戻すチャー戻しライン46が接続されている。更に、酸素供給ライン47は、圧縮空気供給ライン41に接続されている。この場合、窒素(N2)は、乾燥炭101Eやチャー101Fの搬送用ガスとして利用され、酸素(O2)は、酸化剤として利用される。
【0046】
石炭ガス化炉14は、例えば、噴流床形式のガス化炉であって、内部に供給された乾燥炭101E、チャー101F、空気(酸素)、またはガス化剤としての水蒸気を燃焼・ガス化すると共に、一酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)200を発生させ、この可燃性ガス200をガス化剤としてガス化反応を生じさせている。なお、石炭ガス化炉14は、微粉炭の混入した溶融スラグ等の異物を除去する異物除去装置48が設けられている。
本例では、石炭ガス化炉14として噴流床ガス化炉を例示しているが、本発明は、これに限定されず、例えば流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、この石炭ガス化炉14は、チャー回収装置15に向けて可燃性ガス200のガス生成ライン49が設けられており、チャー101Fを含む可燃性ガス200が排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン49にガス冷却器を別途を設けることで、可燃性ガス200を所定温度まで冷却してからチャー回収装置15に供給するとよい。
【0047】
チャー回収装置15は、集塵装置51とチャー供給ホッパ52とを有している。この場合、集塵装置51は、1つまたは複数のバグフィルタやサイクロンにより構成され、石炭ガス化炉14で生成された可燃性ガス200に含有するチャー101Fを分離することができる。そして、チャー101Fが分離された可燃性ガス200Aは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置16に送られる。チャー供給ホッパ52は、集塵装置51で可燃性ガス200から分離されたチャー101Fを貯留するものである。なお、集塵装置51と供給ホッパ52との間にビンを配置し、このビンに複数のチャー供給ホッパ52を接続するように構成してもよい。そして、チャー供給ホッパ52からのチャー戻しライン46が第2窒素供給ライン45に接続されている。
【0048】
ガス精製装置16は、チャー回収装置15によりチャー101Fが分離された可燃性ガス200Aに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置16は、チャー101Fが分離された可燃性ガス200Aを精製して燃料ガス200Bを製造し、これをガスタービン設備17に供給する。なお、このガス精製装置16では、チャー101Fが分離された可燃性ガス200A中にはまだ硫黄分(HS)が含まれているため、例えばアミン吸収液等によって除去することで、硫黄分を最終的には石膏として回収し、有効利用する。
【0049】
ガスタービン設備17は、圧縮機61、燃焼器62、タービン63を有しており、圧縮機61とタービン63は、回転軸64により連結されている。燃焼器62は、圧縮機61から圧縮空気供給ライン65が接続されると共に、ガス精製装置16から燃料ガス供給ライン66が接続され、タービン63に燃焼ガス供給ライン67が接続されている。また、ガスタービン設備17は、圧縮機61から石炭ガス化炉14に延びる圧縮空気供給ライン41が設けられており、中途部に昇圧機68が設けられている。従って、燃焼器62では、圧縮機61から供給された圧縮空気40Aとガス精製装置16から供給された燃料ガス200Bとを混合して燃焼し、タービン63にて、発生した燃焼ガス202により回転軸64を回転することで発電機19を駆動することができる。
【0050】
蒸気タービン設備18は、ガスタービン設備17における回転軸64に連結されるタービン69を有しており、発電機19は、この回転軸64の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ20は、ガスタービン設備17(タービン63)からの排ガスライン70に設けられており、空気40と高温の排ガス203との間で熱交換を行うことで、蒸気204を生成するものである。そのため、排熱回収ボイラ20は、蒸気タービン設備18のタービン69との間に蒸気204を供給する蒸気供給ライン71が設けられると共に、蒸気回収ライン72が設けられ、蒸気回収ライン72に復水器73が設けられている。従って、蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気204によりタービン69が駆動し、回転軸64を回転することで発電機19を駆動することができる。
【0051】
そして、排熱回収ボイラ20で熱が回収された排ガス205は、ガス浄化装置74により有害物質を除去され、浄化された排ガス205Aは、煙突75から大気へ放出される。
【0052】
ここで、実施例3の石炭ガス化複合発電設備10の作動について説明する。
【0053】
実施例3の石炭ガス化複合発電設備10において、低品位炭供給設備11にて、原炭である石炭101が原炭流動層バンカ50で原炭微粒101Aと原炭粗粒101Bとに分離する。分離された原炭粗粒101Bが粉砕機56に供給され、ここで所定の大きさに破砕される。そして、破砕された粉砕石炭101Cは、流動層乾燥装置102により加熱乾燥され、この乾燥炭101Dを乾燥炭排出ライン123より抜き出した後、冷却機110により冷却されて冷却済の微粒の乾燥炭101Eとされ、乾燥炭バンカ34に貯留される。
【0054】
乾燥炭バンカ34に貯留された冷却済みの乾燥炭101Eは、空気分離装置42から供給される窒素により乾燥炭排出ライン123を通して石炭ガス化炉14に供給される。また、後述するチャー回収装置15で回収されたチャー101Fが、空気分離装置42から供給される窒素によりチャー戻しライン46を通して石炭ガス化炉14に供給される。更に、後述するガスタービン設備17から抽気された圧縮空気37が昇圧機68で昇圧された後、空気分離装置42から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン41を通して石炭ガス化炉14に供給される。
【0055】
石炭ガス化炉14では、供給された乾燥炭101E及びチャー101Fが圧縮空気(酸素)37により燃焼し、乾燥炭101E びチャー101Fがガス化することで、一酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(石炭ガス)200を生成することができる。そして、この可燃性ガス200は、石炭ガス化炉14からガス生成ライン49を通して排出され、チャー回収装置15に送られる。
【0056】
このチャー回収装置15にて、可燃性ガス200は、まず、集塵装置51に供給されることで、ここで可燃性ガス200に含有するチャー101Fが分離される。そして、チャー101Fが分離された可燃性ガス200Aは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置16に送られる。一方、可燃性ガス200から分離した微粒のチャー101Fは、チャー供給ホッパ52に堆積され、チャー戻しライン46を通して石炭ガス化炉14に戻されてリサイクルされる。
【0057】
チャー回収装置15によりチャー101Fが分離された可燃性ガス200Aは、ガス精製装置16にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガス200Bが製造される。そして、ガスタービン設備17では、圧縮機61が圧縮空気40Aを生成して燃焼器62に供給すると、この燃焼器62は、圧縮機61から供給される圧縮空気40Aと、ガス精製装置16から供給される燃料ガス200Bとを混合し、燃焼することで燃焼ガス202を生成し、この燃焼ガス202によりタービン63を駆動することで、回転軸64を介して発電機19を駆動し、発電を行うことができる。
【0058】
そして、ガスタービン設備17におけるタービン63から排出された排ガス203は、排熱回収ボイラ20にて、空気40と熱交換を行うことで蒸気204を生成し、この生成した蒸気204を蒸気タービン設備18に供給する。蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気204によりタービン69を駆動することで、回転軸64を介して発電機19を駆動し、発電を行うことができる。
【0059】
その後、ガス浄化装置74では、排熱回収ボイラ20から排出された排ガス205の有害物質が除去され、浄化された排ガス205Aが煙突75から大気へ放出される。
【0060】
なお、本実施例では、石炭原料として低品位炭を使用したが、高品位炭であっても適用可能であり、また、石炭に限らず、再生可能な生物由来の有機性資源として使用されるバイオマスであってもよく、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などを使用することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 石炭ガス化複合発電設備
11 低品位炭供給設備
14 石炭ガス化炉
15 チャー回収装置
16 ガス精製装置
17 ガスタービン設備
18 蒸気タービン設備
19 発電機
20 排熱回収ボイラ
50 原炭田流動層バンカ
100A、100B 流動層乾燥設備
101 原料炭(低品位炭)
101A 原炭微粒
101B 原炭粗粒
101C 粉砕炭
102A、102B 流動層乾燥装置
103 伝熱部材(加熱手段)
104 発生蒸気
110 冷却機
A 乾燥用蒸気(過熱蒸気)
B 凝縮水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室に流動化ガスを供給することで乾燥室に供給された低品位炭を流動させて乾燥させる流動層乾燥装置と、
流動層乾燥装置の前流側に設けられ、低品位の原料炭を一時的に流動させつつ貯留する原炭流動層バンカと、
前記原炭流動層バンカの上方側から原炭微粒を抜き出す、原炭微粒抜き出しラインと、
前記原炭流動層バンカの下方側から原炭粗粒を抜き出す、原炭粗粒抜き出しラインと、
前記原炭粗粒を粉砕する粉砕機と、
粉砕した粉砕炭を乾燥室に供給する粉砕炭供給ラインとを具備することを特徴とする流動層乾燥設備。
【請求項2】
請求項1において、
前記原炭流動層バンカの流動層内に仕切壁を形成すると共に、仕切壁から抜き出した原炭微粒を排出する原炭微粒抜き出しラインとを具備することを特徴とする流動層乾燥設備。
【請求項3】
請求項1又は2の流動層乾燥設備と、
前記流動層乾燥装置から供給される乾燥炭を処理してガス化ガスに変換する石炭ガス化炉と、
前記ガス化ガスを燃料として運転されるガスタービン(GT)と、
前記ガスタービンからのタービン排ガスを導入する排熱回収ボイラで生成した蒸気により運転される蒸気タービン(ST)と、
前記ガスタービン及び/又は前記蒸気タービンと連結された発電機(G)とを具備することを特徴とする石炭を用いたガス化複合発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−233073(P2012−233073A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102270(P2011−102270)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】