説明

流動性の材料を適用するためのカートリッジシステム

【課題】製造が簡単でかつ廉価であると同時に、カートリッジの確実で簡単な開放を保証するようなカートリッジシステムを提供する。
【解決手段】カートリッジ1のカートリッジ頭部5に設けられた保持部22内に、回転可能な弁20が回転可能に支承されているか、該弁20が、閉鎖された位置では各カートリッジの全ての開口12を密に閉鎖しており、開いた位置では貫通孔34が、開口12に接続されているので、カートリッジ内容物が、流出開口26を通じて押出し可能であり、弁20を回転させることにより、該弁が、閉鎖された位置から開いた位置へ変位可能であり、前記弁の運動が、カートリッジシステム内に配置されている圧縮ガスカートリッジ48の開放を生ぜしめるようになっていて、この場合、該圧縮ガスカートリッジが、カートリッジシステムに設けられた開放装置52に対して相対的に運動するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性の材料、特に医療用のセメントを注入等により適用(Applizieren)するためのカートリッジシステムであって、該カートリッジシステムが少なくとも1つのカートリッジを有しており、該少なくとも1つのカートリッジが、複数のカートリッジ壁と、それぞれ1つのカートリッジ頭部と、該カートリッジ頭部に対向した、カートリッジ内容物を駆出するためのそれぞれ1つの圧送ピストンとを有しており、前記1つまたは複数のカートリッジが、カートリッジ頭部またはカートリッジ壁に設けられた少なくとも1つの開口を有しており、該開口が、弁によって閉鎖可能である形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
混合物の混合および適用もしくは注入のためのカートリッジシステムは、複数のコンポーネントから成っていてよく、そしてその使用前に少なくとも2つのカートリッジ内のコンポーネントのための確実な保管および確実な閉鎖を保証することが望ましい。混合物の適用の直前に、当該カートリッジシステムは確実にかつ迅速に開放され得ることが望ましい。この場合、個々のカートリッジの同期的な開放が目標とされる。
【0003】
反応性のペースト状の2成分系または多成分系はその製造後に、これらの成分の意図されない早期の反応を阻止するために、適用時まで別個に保管されなければならない。ペースト状の2成分系または多成分系の適用のためのカートリッジシステムは、数十年来知られている。たとえば、このためにはスイス国特許出願公開第669164号明細書、欧州特許出願公開第0607102号明細書、欧州特許出願公開第0236129号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3440893号明細書、米国特許第4690306号明細書、米国特許出願公開第2009/062808号明細書、欧州特許出願公開第0787535号明細書、国際公開第2006/005206号パンフレット、欧州特許出願公開第0693437号明細書、欧州特許出願公開第0294672号明細書、欧州特許出願公開第0261466号明細書および欧州特許出願公開第2008707号明細書が挙げられる。カートリッジを反応性のペーストで充填した後に、カートリッジは適用時まで確実に閉鎖されたままでなければならない。ペース状の2成分系または多成分系の混合は、直接に適用時に通常では、スタティックミキサを用いて行われる。このためには、たとえば英国特許第1188516号明細書、米国特許第2125245号明細書、米国特許第5968018号明細書、米国特許第4068830号明細書、米国特許出願公開第2003/179648号明細書、欧州特許出願公開第0664153号明細書および欧州特許出願公開第0289882号明細書が挙げられる。この場合、可動のプランジャがカートリッジ底部をシールしていて、引き続き適用時にペーストの押出しのために使用される。
【0004】
カートリッジシステムのカートリッジシステムヘッドを閉鎖するためには、一連の解決手段が提案されている。
【0005】
単純であり、しかも極めて有効である原理は、回転可能な閉鎖体を用いてカートリッジ頭部を閉鎖することにある(欧州特許出願公開第0431347号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2017292号明細書、米国特許第3215298号明細書)。この閉鎖体は適用の前にねじ出される。引き続き、送出管が、カートリッジ頭部に設けられたねじ山にねじ込まれるか、またはねじ山を模倣したピンシステムによって位置固定される。この場合に不都合となるのは、ペースト材料が駆出され得るようになるまで、使用者はねじ出しとねじ込みの回転運動を2回も実施しなければならないことにある。さらに、閉鎖体がねじ出された後で、だいぶあとになってから送出管が装着されることも起こり得る。カートリッジの開放と送出管の挿入との間では、特にペースト材料中に揮発性の物質が含まれている場合には、ペースト材料の成分の蒸発が生じる恐れがある。
【0006】
現在極めて頻繁に、特に接着剤・シール剤工業において使用されている閉鎖体は、カートリッジ頭部においてカートリッジの壁材料が極めて薄く形成されているので、この壁が容易に突き通され得ることに基づいている。突通しの際には、壁から粒子が剥離され、これらの粒子はこれによってペースト材料に侵入する。
【0007】
別のカートリッジシステムは、ペースト状の多成分系をチューブ袋内に包装することに基づいている(国際公開第2010/006455号パンフレット)。封印されたチューブ袋はこの場合、カートリッジ内に導入される。チューブ袋には、次のような利点がある。すなわち、チューブ袋は、揮発性の成分を含有するペースト材料を包装するために適している。このためには、複合材料から成るチューブ袋、たとえばアルミニウム複合体袋が適している。チューブ袋の開放は、送出管のねじ込み時に一緒に回転するカッタによって行われる。カッタの回転運動の際にチューブ袋が切り開かれ、こうしてカートリッジに設けられた、内容物を送出するための開口が提供される。このペースト状の袋内容物は引き続き、カートリッジに設けられた前記開口を通じて、スタティックミキサの方向に押し出される。
【0008】
この場合に不都合となるのは、チューブ袋内および付加的にカートリッジ内でのペースト状材料の包装に極めてコストがかかり、このような包装が特殊な使用のためにしか使用され得ないことである。
【0009】
多くの使用、とりわけ医療分野における使用のためには、さらに、切り開かれたチューブ袋の一部が剥離する恐れがあり、その場合、チューブ袋の一部がペースト状の成分に侵入し、こうして混合物を汚染してしまう恐れがあることが問題となる。
【0010】
カートリッジシステムからのペースト状の成分の押出しは、現在、たいていは接着剤およびシールコンパウンドにおいて、機械的な押出し装置によって行われる。この押出し装置は使用者の手運動により作動させられる。この場合に不都合となるのは、特に大きな容量を押し出す際に使用者が肉体的に著しく負荷されることである。その他に、特に、連続的にペースト状の材料が比較的短い時間に適用されなければならないようなカートリッジシステムの工業的な使用の際には、圧縮空気を用いて作動される押出し装置が汎用されている。この押出し装置は圧縮空気ホースを介してコンプレッサまたは圧縮空気管路に接続されている。
【0011】
その他にさらに、カートリッジを、圧縮されたガスによって押し出すことも可能である。このガスは、押出し装置内部に設けられた圧縮ガスカートリッジ内に貯えられている。このシステムは原理的には数十年以来知られている。
【0012】
米国特許第2818899号明細書には、グリップ部分に圧縮ガスカートリッジを内蔵したシールガンが提案されている。圧縮ガスカートリッジの圧縮されたガスは、この圧縮ガスカートリッジの開放後にカートリッジ内部のプランジャをカートリッジ頭部の方向に押圧する。ペースト状の材料の流れの制御は、カートリッジを貫いた中央のロッドにより行われる。このロッドはカートリッジに設けられた流出開口を閉鎖することができる。
【0013】
1976年の米国特許第39838709号明細書には、ガス圧によって、中空のガンボディの内部に設けられたチューブが押し出される送出装置が記載されている。この場合、ガス流は、ばねを備えた単純なピン弁によって達成される。このピン弁はハンドレバーによって操作され得る。この場合、ガスを排出するための装置は設けられていない。このことは、ガス適用の中断にもかかわらず、存在する残留圧によってガンが材料を後押出しすることを意味する。
【0014】
1985年の欧州特許出願公開第0169533号明細書には、粘性剤のための注出器具が開示されている。この注出器具では、圧縮ガス適用の中断後に押出しは継続しない。なぜならば、吐出開口に、粘性剤の流れを遮断する注出制御弁が配置されているからである。この場合に重要となるのは、引き金式グリップの弁によって1回でガス適用が制御されると同時に、粘性剤の流出も制御され得ることである。圧縮されたガスを用いた負荷が行われなくなると、注出制御弁は閉弁する。
【0015】
米国特許第4925061号明細書にも、同様のシステムが記載されている。しかし、このシステムでは、注出制御弁が、引き金式グリップに結合されたロッドを介して操作される。
【0016】
欧州特許出願公開第1118313号明細書には、骨セメントを押し出すためのガンが開示されている。この場合、駆動は、やはりガスカートリッジにより行われる。重要となるのは、この極めて複雑なシステムが、送出管内に含まれているセメント残量を駆出するために規定されているロッドを有していることである。この精密な技術的解決手段は、コンベンショナルなポリメチルメタクリレート骨セメントのために極めて好適である。しかし、複数の成分をスタティックミキサによって混合するためのカートリッジシステムのためには、上記ガンは使用不可能である。さらに、このガンの製作は極めて手間がかかる。
【0017】
米国特許出願公開第2004/0074927号明細書には、米国特許第4925061号明細書に開示されているものとほぼ同じ特徴を有する押出しガンが記載されている。
【0018】
米国特許出願公開第2005/0230433号明細書、米国特許出願公開第2005/0247740号明細書および米国特許第6935541号明細書には、欧州特許出願公開第0169533号明細書に基づき既に公知である手段と基本的に同じ技術的な解決手段が提案されている。
【0019】
国際公開第2008/109439号パンフレットには、圧縮されたガスにより作動される送出装置が開示されている。この送出装置はハイドロリック媒体を使用し、このハイドロリック媒体を、圧縮されたガスが押圧する。
【0020】
ガスカートリッジを用いて駆動されかつ複雑な機械的構造を有する従来公知の送出装置は、使い捨て製品としての製作のためには条件付きでのみ適していると云えるか、または全く適していないことが判った。特に提案されている弁は極めて高価であり、かつこれにより使い捨て製品としての送出装置の使用を困難にしている。さらに、提案されている技術的な解決手段は、プラスチック射出成形部品として実施するためには極めて困難である。
【0021】
医療分野では、数十年以来、全関節体内プロステーシス(Totalgelenkendoprothesen)の永続的な機械的固定のためにポリメチルメタクリレート骨セメントが使用されている。このポリメチルメタクリレート骨セメントは、粉末−液体系を主体としている。最近では、セメントペーストの使用に基づいたポリメチルメタクリレート骨セメントも提案されている(ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007050762号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008030312号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007052116号明細書)。このようなセメントのためには、これまで適当なカートリッジシステムが提案されていなかった。
【0022】
全関節体内プロステーシスの固定のために骨セメントが使用される場合、このような手術の際に手術者が時間的に圧迫されていることが常に考慮されなければならない。したがって、カートリッジシステムが、ペースト状のポリメチルメタクリレート骨セメントを適用するために医療的に使用される場合、このカートリッジシステムは基本的に、使用者ミスに対して十分な防止性を有し、かつストレス状況においても迅速かつ確実に操作され得るように形成されていることが望ましい。
【0023】
ペースト状のポリメチルメタクリレート骨セメントの主要成分は、モノマのメチルメタクリレートである。このモノマは容易に蒸発し、かつ室温で極めて高い蒸気圧を有する。それゆえに、メチルメタクリレートを含有するペーストの使用時では、酸化エチレンを用いた滅菌の枠内での脱ガスの場合のような真空作用の際に、カートリッジ内のカートリッジプランジャが、蒸発したメチルメタクリレートによって運動させられ、そして極端な場合にはカートリッジから突き出されてしまう恐れがあることを必ず注意しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】スイス国特許出願公開第669164号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0607102号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0236129号明細書
【特許文献4】ドイツ連邦共和国特許出願公開第3440893号明細書
【特許文献5】米国特許第4690306号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/062808号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0787535号明細書
【特許文献8】国際公開第2006/005206号パンフレット
【特許文献9】欧州特許出願公開第0693437号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第0294672号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第0261466号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第2008707号明細書
【特許文献13】英国特許第1188516号明細書
【特許文献14】米国特許第2125245号明細書
【特許文献15】米国特許第5968018号明細書
【特許文献16】米国特許第4068830号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2003/179648号明細書
【特許文献18】欧州特許出願公開第0664153号明細書
【特許文献19】欧州特許出願公開第0289882号明細書
【特許文献20】欧州特許出願公開第0431347号明細書
【特許文献21】ドイツ連邦共和国特許出願公開第2017292号明細書
【特許文献22】米国特許第3215298号明細書
【特許文献23】国際公開第2010/006455号パンフレット
【特許文献24】米国特許第2818899号明細書
【特許文献25】米国特許第3938709号明細書
【特許文献26】欧州特許出願公開第0169533号明細書
【特許文献27】米国特許第4925061号明細書
【特許文献28】欧州特許出願公開第1118313号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2004/0074927号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2005/0230433号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2005/0247740号明細書
【特許文献32】米国特許第6935541号明細書
【特許文献33】国際公開第2008/109439号パンフレット
【特許文献34】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007050762号明細書
【特許文献35】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008030312号明細書
【特許文献36】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007052116号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
すなわち、本発明の課題は、製造が簡単でかつ廉価であると同時に、カートリッジの確実で簡単な開放を保証するようなカートリッジシステムを提供することである。ペースト状の成分のための確実な保管および確実な閉鎖が付加的に保証されていることが望まれる。ペーストの適用の直前に、カートリッジシステムが、できるだけ僅かな手間をかけるだけで確実にかつ迅速に開放され、これにより手術中での簡単な使用が可能となり、こうして従来のカートリッジシステムおよびその閉鎖システムの問題が減少されるか、もしくは克服されることが望まれる。また、できるだけ使用者の操作ミスが回避され得ることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この課題を解決するために本発明の構成では、冒頭で述べた形式のカートリッジシステムにおいて、前記1つまたは複数のカートリッジ頭部に設けられた保持部内に、回転可能な弁が回転可能に支承されているか、または前記1つまたは複数のカートリッジに設けられた保持部内に、移動可能な弁が移動可能に支承されており、該弁が、該弁を貫いた、流出開口に接続された少なくとも1つの貫通孔を有しており、前記弁が、閉鎖された位置では少なくとも1つのカートリッジの少なくとも1つの開口、特に各カートリッジの全ての開口を密に閉鎖しており、前記弁の開いた位置では前記1つまたは複数の貫通孔が、前記1つまたは複数の開口に接続されているので、カートリッジ内容物が、前記1つまたは複数のカートリッジから前記流出開口を通じて押出し可能であり、前記回転可能な弁を回転させるか、または前記移動可能な弁を移動させることにより、該弁が、閉鎖された位置から開いた位置へ変位可能であり、前記弁の運動が、当該カートリッジシステム内に配置されているか、または当該カートリッジシステム内に取付け可能であるガス圧カートリッジもしくは圧縮ガスカートリッジの開放を生ぜしめるようになっていて、この場合、該圧縮ガスカートリッジが、当該カートリッジシステムに設けられた開放装置に対して相対的に運動するようにした。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、製造が簡単でかつ廉価であると同時に、カートリッジの確実で簡単な開放を保証するようなカートリッジシステムが得られる。ペースト状の成分のための確実な保管および確実な閉鎖が付加的に保証されている。ペーストの適用の直前に、カートリッジシステムが、できるだけ僅かな手間をかけるだけで確実にかつ迅速に開放され、これにより手術中での簡単な使用が可能となり、これにより従来のカートリッジシステムおよびその閉鎖システムの問題が克服されている。また、できるだけ使用者の操作ミスを回避することができる。
【0028】
本発明の有利な実施態様では、圧縮ガスカートリッジが、前記1つまたは複数のカートリッジ壁に固く結合されていて、前記開放装置が、前記弁の運動によって運動可能であるか、または前記開放装置が、前記1つまたは複数のカートリッジ壁に固く結合されていて、ガス圧カートリッジもしくは圧縮ガスカートリッジが、前記弁の運動によって運動可能である。
【0029】
また、本発明の別の実施態様では、圧縮ガスカートリッジまたは前記開放装置が、前記1つまたは複数のカートリッジの長手方向に線状に移動可能な弁に固く結合されている。
【0030】
これに対して択一的な実施態様では、圧縮ガスカートリッジまたは前記開放装置が、前記1つまたは複数のカートリッジに並んで、特に前記複数のカートリッジの間の中間室内に、移動可能に配置されており、前記回転可能な弁が、前記流出開口とは反対側に延長部を有しており、該延長部が、前記回転可能な弁の回転時に圧縮ガスカートリッジまたは前記開放装置を、閉鎖された状態から開いた状態へカートリッジ底部の方向に移動させ、これにより前記開放装置を用いて圧縮ガスカートリッジを開放するようになっている。
【0031】
本発明によるカートリッジシステムは、前記開放装置が、圧縮ガスカートリッジの弁を開放するための心棒もしくはマンドレルを有していることによっても特徴付けられていてよい。
【0032】
この場合、有利な実施態様では、前記マンドレルが、通過部を有しており、該通過部を通じて、開放された圧縮ガスカートリッジからガスが案内可能であり、有利には前記通過部内に絞り弁が配置されている。
【0033】
さらに、当該カートリッジシステムが、カートリッジ底部のところでカバーによって、特にガス密に閉鎖されていることが提案される。
【0034】
さらに本発明によれば、開放された圧縮ガスカートリッジの開口が、前記弁の開いた位置において圧力室内に配置されており、該圧力室が、前記1つまたは複数のカートリッジに並んで、特に前記複数のカートリッジの間に配置されていて、有利には周辺環境からガス密に閉鎖されていることが提案される。
【0035】
この場合、有利な実施態様では、前記圧力室が、少なくとも1つの接続部を介して前記1つまたは複数のカートリッジの後側の範囲に接続されていて、前記流出開口が開放されていると、前記圧力室内の圧力の増大時に、前記1つまたは複数の圧送ピストンが、前記1つまたは複数のカートリッジ頭部の方向に運動するようになっている。
【0036】
本発明のさらに別の有利な実施態様では、当該カートリッジシステムが、混合物を製造するための、互いに平行に配置された少なくとも2つの、有利には3つのカートリッジを有している。
【0037】
この場合、有利な実施態様では、前記カートリッジの圧送ピストンが、少なくとも1つのウェブによって互いに結合されており、カートリッジ壁が、スリットを有しており、該スリットが、カートリッジ底部から、前記カートリッジのほぼ1/2のところにまで達しており、前記圧送ピストンの、カートリッジ頭部寄りの側が、その出発位置においても、カートリッジに設けられた前記スリットよりも深く配置されていて、カートリッジ内容物のための、またはカートリッジ内容物を有するカートリッジの前側の範囲が、カートリッジの後側の範囲から、特にガス密に分離されており、前記スリットは、該スリットを通じた前記ウェブの運動を可能にするような幅を有している。
【0038】
さらに本発明によれば、前記弁または前記管片に送出管が配置されており、該送出管が、前記流出開口を起点として延びていて、前記貫通孔を送出管先端部にまで延長しており、有利には前記送出管が、その内部にスタティックミキサを有していることが提案される。
【0039】
この場合、有利な実施態様では、前記送出管内に送出管弁が配置されており、該送出管弁によって、適用したい材料の容量流が遮断可能、特に制御可能である。
【0040】
さらに本発明によれば、前記弁に設けられた1つまたは複数の開口および/または前記カートリッジの前記1つまたは複数の開口のところで、カートリッジ壁またはカートリッジ頭部と前記弁との間に少なくとも1つのシールリングが配置されていて、前記弁の開放された位置で、前記1つまたは複数のカートリッジに設けられた前記少なくとも1つの開口から前記1つまたは複数の貫通孔への少なくとも1つの流体密な接続部が提供されていることが提案される。
【0041】
さらに、特に円筒状に成形されているか、または円筒体区分として成形されている前記弁が、開いた位置および閉鎖された位置において、前記1つまたは複数のカートリッジ頭部または前記1つまたは複数のカートリッジ壁に設けられた前記開口の上でプレス嵌めの形で配置されていて、該開口を密に閉鎖しているか、または該開口を前記1つまたは複数の貫通孔に密に接続していることが提案される。
【0042】
したがって、本発明の根底を成す意想外の認識は、カートリッジシステムの操作可能性の単純化を達成するために、カートリッジシステムを開放し、ひいてはカートリッジシステムを材料の適用のために準備するために使用される弁の運動と、圧縮ガスカートリッジの開放との連動が可能になることである。この弁を運動させる際に加えられなければならない力は、マンドレルを、このために設けられた圧縮ガスカートリッジの弁内に押し込み、これによって圧縮ガスカートリッジを開放するために使用され得る。ガス圧は次いで、カートリッジシステムの本発明による構造では、当該カートリッジシステムの1つのカートリッジに設けられた1つの圧送ピストンまたは複数のカートリッジに設けられた複数の圧送ピストンの送りを生ぜしめ、この圧送ピストンによって、カートリッジシステム内に貯蔵された材料が駆出可能となる。材料送出を制御するためには、圧縮ガスカートリッジと圧送ピストンとの間、およびカートリッジシステムの送出開口/流出開口に、絞り弁が設けられていてよい。
【0043】
カートリッジシステムが直接に圧縮ガスカートリッジおよび送出管を有していると、カートリッジシステムは直ちに使用可能であり、唯一つの運動、つまり回転可能な弁の回転または移動可能な弁の移動によって準備されている。このことは、たとえばOP領域(手術領域)における骨セグメントのためのカートリッジシステムとしての使用における困難な使用条件下では、重要な利点となり得る。
【0044】
新規開発となるのは、組み込まれた駆動機構を有するカートリッジシステムである。これにより、付加的な押出し装置、たとえば押出しガンはもはや必要とならない。前記1つまたは複数のカートリッジ頭部における送出位置への送出管の変位は、さらに、カートリッジの開放と同期的に行われ、これにより使用者の操作ミスは回避される。それと同時に、カートリッジの開放は駆動システムの作動と同期的に行われる。本発明によるカートリッジシステムのカートリッジの開放時に、粒子は放出され得ない。
【0045】
このようなカートリッジシステムは完全に、廉価なプラスチック射出成形部分から製作され得る。オプショナルに存在する圧縮ガスカートリッジおよびオプショナルに存在するばねは、金属から製作されていると有利である。カートリッジシステムは、カートリッジシステムヘッドの方向への力が作用すると、複数の圧送ピストンをカートリッジ内で同期的に運動させて、ひいては流動性の材料を均一に押出し、これによってペーストの相互の混合比が保証される。
【0046】
「流動性の材料」とは、本発明よれば、液状の材料、粘稠性の材料ならびに圧力負荷を受けた際にしか流れない高粘性の材料を意味する。
【0047】
本発明において「移動可能な閉鎖部」とは、まず出発位置において固い結合部によって中間室の壁に、たとえば薄いブリッジによって結合されている閉鎖部をも意味する。ただしこの場合には、この固い結合部が目標破断個所を有していて、この目標破断個所が、当該閉鎖体への力作用時に破断し、こうして力作用を受けて閉鎖体の移動を可能にする。
【0048】
この場合、混合物内への、もしくは混合物の原料成分内への破断個所の粒子の搬入を阻止するために、目標破断個所を有するこの固い結合部が、カートリッジの開口から見て、閉鎖体が開放時に運動する方向に設けられていることが提案される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】開放された閉鎖部を有する本発明によるカートリッジシステムの長手方向で断面した横断面図である。
【図2】図1に示した本発明によるカートリッジシステムの側面図である。
【図3】本発明によるカートリッジシステムの第2実施形態を示す、長手方向で断面した横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。
【0051】
図1には、本発明によるカートリッジシステムを概略的に示す横断面図が示されている。このカートリッジシステムは2種または2種以上の成分から成る混合物を混合するために適している。このためには、カートリッジシステムが、少なくとも2つのカートリッジ1を有している。これらのカートリッジ1内には、混合物の、流動性の材料から成る原料成分が内蔵されている。図1に示した2つのカートリッジ1の他に、たとえば図示の両カートリッジ1の背後に配置された別のカートリッジが設けられていてもよい。カートリッジ1は側方ではカートリッジ壁3によって画定され、前側ではカートリッジ頭部5によって画定されている。カートリッジ底部9の方向から、カートリッジ1は圧送ピストン10によってガス密に閉鎖されているので、流動性のカートリッジ内容物は、圧送ピストン10を圧縮空気によって負荷することによりカートリッジ1から押出し可能である。両カートリッジ1は1つのウェブ11を介して互いに固く結合されている。カートリッジ頭部5には、それぞれ開口12が設けられている。
【0052】
両開口12の上では、カートリッジ頭部5に1つの弁20が配置されている。この弁20は、カートリッジ頭部5に固く結合された保持部22に回転軸線Aを中心にして回転可能に支承されている。弁20の一方の側には、円筒状の管片24が配置されており、この管片24は中空体として形成されていて、流出開口26と雄ねじ山28とを有している。保持部22はこの範囲に流出部を有している。このためには、保持部22が2つの部分から形成されていてよい。雄ねじ山28は、螺合する雌ねじ山32を備えた送出管30を取り付けるために適している。また、送出管30は弁20に固く、つまり雌ねじ山32や雄ねじ山28なしに、結合されていてもよい。回転軸線Aを中心にして弁20を回転させることにより、開口12を閉鎖し、ひいてはカートリッジシステムを閉鎖することができる。その場合、カートリッジシステムは閉鎖されており、弁20はこの場合、閉鎖された位置に位置している。
【0053】
弁20の内部には、2つの貫通孔34が設けられている。これらの貫通孔34は、図1に図示した弁20の開放された位置では、流出開口26に対するカートリッジ1の両開口12の一貫した接続を形成する。圧送ピストン10に圧力が加えられると、カートリッジ1内に内蔵された流動性の材料(図示しない)はカートリッジ1から開口12と貫通孔34とを通って管片24内へ押し出される。流出開口26には、送出管30が取り付けられており、この送出管30はスタティックミキサ36を有しているので、両原料成分は送出管30内で良好に混合される。次いで混合物は送出管30の送出管先端部38を介して適用され得る。送出管30には、コック40が配置されており、このコック40を介して送出管弁42が操作可能となる。送出管弁42は送出管30を閉鎖することができ、そしてコック40を介して再び開放され得る。送出管弁42は絞り弁であると有である。この絞り弁を用いて、混合物の流れが外部から調整可能となる。すなわち、この場合、送出管弁42は開閉され得るだけでなく、送出管30を通る通過部の横断面をも制御することができる。
【0054】
回転可能な弁20の、管片24とは反対の側には、丸められた形状を有する延長部44が配置されている。回転可能な弁20が、開放された位置へ回転させられると、この延長部44は両カートリッジ1の間でカートリッジ軸線の方向に可動であるプランジャ46を押圧する。このプランジャ46内には、圧縮ガスカートリッジ48が挿入可能である。すなわち、弁20が回転させられると、可動のプランジャ46内に配置された圧縮ガスカートリッジ48が、延長部44によってカートリッジ底部9の方向へ押圧される。両カートリッジ1の間の範囲では、カートリッジ底部9と、可動のプランジャ46との間にウェブ50が配置されている。このウェブ50には、中空の心棒もしくはマンドレル52が配置されている。このマンドレル52の先端部は可動のプランジャ46に向けられている。中空のマンドレル52を取り囲むように、ばね54が圧縮ガスカートリッジ48にまで配置されている。回転可能な弁20の開放時では、延長部44が、可動のプランジャ46を、ばね54によって位置決めされている圧縮ガスカートリッジ48と共に押圧し、こうして圧縮ガスカートリッジ48を中空のマンドレル52に押し被せ、この場合、ばね54は緊縮される。このときに、圧縮ガスカートリッジ48は開放され、ガスが逃出し得る。
【0055】
中空のマンドレル52の内部には、通過部56が設けられており、ガスはこの通過部56を通って圧縮ガスカートリッジ48から逃出することができる。この通過部56は、マンドレル52が配置されているウェブ50をも貫いて延びている。可動のプランジャ46の方向に向けられたカートリッジ壁3は、側方で、外部に対して閉じられた圧力室58をも画定している。この圧力室58内に通過部56が開口しており、ひいては開放された圧縮ガスカートリッジ48が通じている。圧縮ガスカートリッジ48からのガス流出を制御するためには、通過部56に絞り弁60が配置されている。この絞り弁60によって、通過部56を通るガス流もしくは圧縮ガスカートリッジ48からのガス流が制御可能となり、ひいては圧力室58内の圧力が制御可能となる。このためには、絞り弁60にコック、レバーまたはねじヘッド(図示しない)が配置されており、このコック、レバーまたはねじヘッドを用いて絞り弁60は外部から操作可能である。
【0056】
カートリッジ壁3はカートリッジ1の、カートリッジ底部9寄りの範囲でスリット付けされており、しかもこの場合、圧送ピストン10は、この圧送ピストン10からカートリッジ頭部5にまで達するカートリッジ1の前側の範囲を、カートリッジ1のスリット付けされた後側の範囲からガス密に分離している。このためには、圧送ピストン10にシール部材(図示しない)が設けられている。このシール部材は、スリット付けされていないカートリッジ壁3と共に密に閉じていて、ガスが後側の範囲から前側の範囲へ流入し得ることを阻止している。カートリッジ壁3のスリット付けされた部分は、図1には斜線により描かれている。このスリット62は圧力室58の壁をも貫いて延びていて、こうして圧力室58をカートリッジ1の後側の範囲に接続している。しかし、スリット62は外部に対して接続を有していない。スリット62は、ウェブ50を収容しかつスリット62に沿ったウェブ50の運動を可能にするために十分な幅を有している。
【0057】
カートリッジ底部9の方向において、カートリッジシステムはカバー64によって外部に対してガス密に閉鎖されている。このためには、カバー64が係止部の形の固定手段66を有している。この固定手段はカートリッジ底部9、カートリッジ壁3および圧力室58の壁に設けられた対応係止部の形の固定手段68に係合し、これによって圧力室58およびカートリッジ1の後側の範囲を周辺環境からガス密に分離する。カートリッジ底部9におけるカートリッジシステムの適当な円形の構造では、択一的な固定手段66,68として雌ねじ山66および雄ねじ山68が設けられていてもよい。カバー64は扁平(フラット)に形成されていてもよく、その場合には簡単にフランジ締結され得る。カートリッジの後側の範囲と圧力室58とに対するカバー64の結合部をシールするためには、カバー64の範囲にシール部材(図示しない)が設けられていてよい。カバー64がカートリッジ壁3と圧力室58の壁とに固く、特にガス密に結合されていることも本発明の枠内である。
【0058】
出発状態もしくは初期状態(図1には図示しない)では、送出管30が、両カートリッジ1の間の範囲に、直角の角度で離反するように位置しているか、またはその間の位置に位置しており、開口12は回転可能な弁20によって閉鎖されている。なぜならば、回転可能な弁20の貫通孔34が、この位置では開口12に接続されていないからである。カートリッジシステムの使用者は送出管30を作業位置へ回転させるだけで済む。この場合、使用者は回転軸線Aを中心にして弁20を回転させるので、送出管30はカートリッジ1の対称軸線を延長する。弁20の回転により、カートリッジ1は開放される。なぜならば、この場合には開口12が貫通孔34を介して送出管30に接続されているからである。それと同時に、延長部44は圧縮ガスカートリッジ48を備えたプランジャ46を中空のマンドレル52に押し被せるので、圧縮ガスカートリッジ48は開放される。ガスは圧縮ガスカートリッジ48から流れ、こうして圧力室58内で圧力を形成する。圧力室58はスリット62を介してカートリッジ1の後側の部分に接続されていると同時に、外部に対しては密に閉鎖されているので、ガスは圧送ピストン10の、カートリッジ底部9に面した側を押圧する。圧送ピストン10はカートリッジ1内の圧力によってカートリッジ頭部5の方向へ駆動される。それと同時に、圧送ピストン10を互いに結合しているウェブ11が、カートリッジ1とスリット62と圧力室58とを通って前方へ向かって押し出される。
【0059】
カートリッジ1の前側の範囲はカートリッジ内容物(図示しない)で充填されている。このカートリッジ内容物は圧送ピストン10の運動によって開口12に押し通され、送出管30の流出開口26とスタティックミキサ36とにおいて混合され、最終的に送出管先端部38から駆出される。ウェブ11により、種々異なるカートリッジ内容物に基づいてカートリッジ1内の種々の圧送ピストン10の運動のために互いに異なる抵抗が生ぜしめられても、圧送ピストン10が同じ速度でカートリッジ頭部5の方向に運動することが確保されるに過ぎない。圧送ピストン10の運動のために互いになる抵抗が予想され得ない場合には、ウェブ11を不要にすることもできるので、その場合には圧縮ガスカートリッジ48からのアイソスタティックな圧力(均衡圧)が両圧送ピストン10を均一に運動させる。その場合には、スリット62を小さな開口により代えることもできる。これらの小さな開口は圧力室58をカートリッジ1の後側の範囲に接続する。これらの開口の横断面は通過部56の横断面もしくは完全に開放された絞り弁60の開放横断面よりも大きく形成されていることが望ましく、これにより圧力は圧力室58の開口を通じてカートリッジ1の後側の範囲へ問題なく伝播することができる。
【0060】
絞り弁60および/または送出管弁42を用いて、送出管先端部38から流出する、適用したい混合物の流れを制御することができる。絞り弁60は通過部56の横断面を制御し、ひいては圧送ピストン10の背面を負荷する圧力を制御する。これにより、圧送ピストン10に作用する送り力が制御可能となる。送出管弁42は送出管30の内側の横断面を決定し、こうして送出管30を通る混合物の流れの抵抗を制御する。
【0061】
図1に示した、2つのカートリッジ1を備えたカートリッジシステムは、1つのカートリッジ1しか備えていないカートリッジシステムへ容易に簡易化され得るか、または3つ、4つ、5つまたはそれ以上のカートリッジ1を備えたカートリッジシステムへも容易に一般化され得る。すなわち、たとえば図1に示した両カートリッジ1の背後になお1つまたは2つの別のカートリッジが配置されていてよい。この別のカートリッジの圧送ピストンは同じくウェブ50または付加的なウェブを介してカートリッジ壁に設けられたスリットを通じて互いに接続されている。その場合、回転可能な弁20は各カートリッジのためにそれぞれ1つの貫通孔34を有しており、この貫通孔34はカートリッジ頭部に設けられた開口を、流出開口26もしくは送出管30に接続する。各カートリッジは後側の範囲において圧力室58に接続されている。
【0062】
種々異なるカートリッジ直径が選択されると、カートリッジ内容物の、同じ含量の場合に生ぜしめられる混合比とは異なる混合比を生ぜしめることができる。
【0063】
図2には、図1に示した本発明によるカートリッジシステムの側面図が示されている。外部からは、互いに平行に配置された2つのカートリッジ1が設けられていることが判る。両カートリッジ1の間には、外部に対して閉鎖された圧力室58が配置されている。圧力室58からは、この圧力室58に沿って可動のプランジャ46が突出している。このプランジャ46内には、1つの圧縮ガスカートリッジが配置されている。カートリッジ頭部には、回転可能な弁20のための軸受け22が配置されている。
【0064】
回転可能な弁20の前側には、送出管30が配置されている。この送出管30はコック40を備えた送出管弁42を有している。回転可能な弁20の背面には、延長部44が配置されており、この延長部44は図示の適用位置において、可動のプランジャ46を圧力室58内へ押し込む。このカートリッジシステムは底部側でカバー64によって閉鎖されている。
【0065】
1つまたは複数のカートリッジ頭部5の方向への送出管30の回転と同時に、延長部44は下方へ向かって回転させられる。このときに、延長部44は円筒状の弁20の回転運動が増大するにつれて、可動のプランジャ46を押圧する。これによって、可動のプランジャ46は、ばね54に抗して圧縮ガスカートリッジ48を下方へ向かって中空のマンドレル52の方向に押圧する。ばね54のばね力は、摩擦に対して付加的に克服されなければならない。圧縮ガスカートリッジ48は中空のマンドレル52へ接近する方向に運動して、このマンドレル52によって穿通される。これによって、圧縮されたガスが流出し得る。カバー64によって、閉鎖されたカートリッジシステムからのコントロールされていないガス流出が阻止され、ガスは圧送ピストン10を押圧する。これにより、カートリッジ1内の流動性の材料が、カートリッジ頭部5の方向に押圧される。
【0066】
送出管30は、少なくとも2つのヨーク形の軸受け22に設けられた回転可能な弁20を介してカートリッジ1に接続されている。本発明によるカートリッジシステムは、閉鎖された状態において送出管30がカートリッジ底部9の方向に旋回させられているように機能する。送出管30はカートリッジ1に対して平行に位置していると有利である。開放のためには、下方へ向かってカートリッジ底部9の方向に旋回させられた送出管30が、上方へ向かってカートリッジ頭部5の方向へ簡単に旋回させられる。送出管30が下方へ向かってカートリッジ底部9の方向に旋回させられていると、回転可能な弁20の開口はカートリッジ頭部5の開口12に対して整合して位置していない。送出管30を上方へ向かって旋回させることにより、回転可能な弁20は、この回転可能な弁20の開口がカートリッジ頭部5の開口12に対して整合するように回転させられる。
【0067】
このことは、カートリッジ1を開放するためには、使用者が、送出管30を上方へ向かってカートリッジ頭部5の方向へ適用位置にまで旋回させるか、またはカートリッジシステム内へ内方旋回させるだけでよいことを意味する。使用者が送出管30をカートリッジ1に結合させる必要はない。
【0068】
回転可能な円筒体として加工成形された弁20が円筒体の両短辺側において閉じられていて、有利には一方の短辺側から他方の短辺側へ向かって円錐状に減径されているような構成も本発明の枠内である。これにより、回転可能な弁20を問題なく軸受け22に組み付けることが可能になる。
【0069】
さらに、回転可能な弁20が、ヨーク形の軸受け22内に、またはカートリッジ壁103に、有利にはプレス嵌めの形で設けられていることも本発明の枠内である。プレス嵌めにより、十分なシール作用が達成される。また、本発明の枠内では、カートリッジ1内に貯蔵したい流動性の材料の特性に基づいて必要であると思われる場合には、付加的なシールリングが弁20に配置されていてよい。
【0070】
さらに、本発明の構成では、送出管30が、回転可能な弁20と送出管30との間の結合個所のすぐ上方で、有利にはヨーク形の両軸受け22の間の間隔に等しいかまたは該間隔よりも小さい外径を有している。送出管30は両軸受け22の間で弁20を位置固定する。これにより、弁20は滑脱し得なくなる。
【0071】
本発明による多成分カートリッジシステムのシール性にとって重要となるのは、第1の軸受け22が第2の軸受け22よりも大きな内径を有していて、送出管30に対する回転可能な弁20の結合個所が、第1の軸受け22に対して、回転可能な弁20と送出管30との結合個所のすぐ上方における送出管30の外径の1/2よりも小さく形成された間隔をおいて位置していることである。これにより、回転可能な弁20の組付けは簡単化される。送出管30の外径の1/2が、回転可能な弁20と送出管30との結合個所の中央部の間隔よりも少しだけ大きい場合には、送出管30が、回転可能な弁20を軸受け22内に圧入する。これにより、一方では、回転可能な弁20の滑脱が阻止され、他方では、回転可能な弁20が軸受け22内にしっかりと圧入されるので、良好なシール作用が達成される。
【0072】
さらに、本発明の構成では、送出管30の軸線が、1つまたは複数のカートリッジ1の長手方向軸線に対して平行に位置していて、送出管30の開口38が、1つまたは複数のカートリッジ頭部5とは逆向きの方向に位置している場合に、回転可能な弁20の開口が、1つまたは複数のカートリッジ頭部5の開口12と共に、カートリッジ1の内室の間の、流動性の材料に対して通過性の、つまり流動性の材料の通過を許す、少なくとも1つの接続部を形成している。
【0073】
さらに、本発明の構成では、送出管30の軸線が、1つまたは複数のカートリッジ1の長手方向軸線に対して平行に位置していて、送出管30の開口38が、1つまたは複数のカートリッジ底部9に向けられた方向に位置している場合に、回転可能な弁20の開口が、1つまたは複数のカートリッジ頭部5の開口12と共に、両カートリッジ1の内室の間の、流動性の材料に対して非通過性の、つまり流動性の材料の通過を許さない、少なくとも1つの接続部を形成している。
【0074】
圧縮ガスカートリッジ48の開放のためには、延長部44が有利には半円形に形成されていることが有利である。延長部44の半円形の加工成形により、延長部44は、弁20がその軸線を中心にして回転運動する際に容易に、可動のプランジャ46を押圧し、ひいては圧縮ガスカートリッジ48の開放を生ぜしめることができる。
【0075】
図3には、挿入された送出管130を備えたカートリッジシステムの択一的な別の実施形態を示す概略的な縦断面図が示されている。この実施形態では、2つのカートリッジ101の間に位置決めされた、カートリッジ中間室の長手方向に線状に移動可能な弁120と、送出管130とが1つのユニットを形成している。両部分、つまり弁120と送出管130とは互いに固く結合されている。送出管130はさらに、送出管先端部138と、固定手段128と、スタティックミキサ136と、送出管弁142とを有しており、この送出管弁142はコック140によって操作可能である。弁壁には、貫通孔134が設けられている。
【0076】
図3に示した出発位置では、弁120が、2つのカートリッジ101の間に設けられた、円筒体壁を用いて閉じられた中間室にプレス嵌めの形で差し込まれている。両カートリッジ101は圧送ピストン110によって底部側で閉じられている。この位置において、弁120は、カートリッジ101の内室を、閉じられた前記中間室に接続する2つの開口112を閉鎖している。これらの開口112は、前記中間室寄りのカートリッジ壁103に設けられている。閉じられた前記中間室を延長する管片124が設けられており、この管片124は内側に固定手段132を有している。この固定手段132は送出管130に設けられた固定手段128と協働することができる。これらの固定手段128,132は、たとえば雌ねじ山と雄ねじ山であってよい。両ねじ山は弁120の出発位置においても、既に所定の範囲にわたって互いに螺合していてよい。弁120と送出管130とから成るシステムがねじ込まれるか、もしくは固定されると、弁120は、前記開口112が露出されるように移動させられ、その場合、最終位置において前記開口112は貫通孔134と重なる。
【0077】
閉じられた中間室および弁120の下方には、閉じられた圧力室158が設けられている。閉じられた中間室および圧力室158は原理的に同じ円筒体壁によって画定されて、弁120の底部によって互いに分離される。移動可能な弁120を備えた送出管130がカートリッジシステムから取り除かれると、閉じられた中間室と圧力室158とは、カートリッジ頭部105の方向に開放された1つの円筒状の中空室を形成する。両圧送ピストン110はウェブ111を介して互いに結合されている。カートリッジ壁103と圧力室の円筒体壁とは、カートリッジ底部109の方向にスリット付けされているので、ウェブ111はスリット162を通じて容易に運動することができる。
【0078】
カートリッジ底部109の方向でカートリッジシステムはカバー164によって密に閉鎖されている。複数のカートリッジ壁103のうちの1つからは、移動可能な弁120の方向に向けられた心棒もしくはマンドレル152を備えたウェブ150が突出している。このウェブ150と、スリット162を用いて圧送ピストン110を結合するためのウェブ111とは、マンドレル152を備えたウェブ150が、スリット162内で圧送ピストン110を結合するためのウェブ111の運動を妨げないようにカートリッジ壁103に配置されている。このためには、圧送ピストン110を結合するためのウェブ111とスリット162とが、圧力室158の真ん中には配置されていないことが有利である。それにもかかわらず、圧力室158は外部に対して密に形成されていなければならない。すなわち、スリット162は外部に対する接続を有していてはならない。択一的にウェブ150は、圧送ピストン110がカートリッジ頭部105に到達したあとでしかウェブ111がウェブ150に当接しなくなるように管片124の方向にずらされている。
【0079】
移動可能な弁120の底部では、圧力室158内に圧縮ガスカートリッジ148が配置されている。圧縮ガスカートリッジ148は、ばね154によってウェブ150と圧縮ガスカートリッジ148との間に位置固定される。しかし、圧縮ガスカートリッジ48は移動可能な弁120の底部に設けられた位置固定装置(図示しない)に解離可能に結合されていてもよい。その場合、ばね154を不要にすることもできる。その場合、弁120と送出管130とから成るシステムをカートリッジシステム内に挿入する前に、圧縮ガスカートリッジ148を、移動可能な弁120の底部に位置固定することができる。位置固定装置としては、たとえばバヨネットクロージャまたはピンを備えた係止装置が挙げられる。しかし、弁120は圧縮ガスカートリッジ148を収容するための中空室を有していてもよい。この中空室内に圧縮ガスカートリッジ148が挿入され、引き続き、弁120の一部を形成するカバーを用いて閉鎖され、たとえばねじによって閉鎖される。このためには、カバーが開口を有していなければならず、この開口を通じて圧縮ガスカートリッジ148が開放され得るか、またはこの開口から圧縮ガスカートリッジ148のヘッドが突出する。また、圧縮ガスカートリッジ148は弁120および送出管130と共に1つの固定の構成部分を形成することができる。
【0080】
送出管130に設けられた雄ねじ山128が、管片124に設けられた雌ねじ山132にねじ込まれると、移動可能な弁120は圧縮ガスカートリッジ148と共に圧力室158内へ移動させられる。このときに、カートリッジ壁103に設けられた開口112は弁120に設けられた貫通孔134によって開放され、そして互いに接続される。それと同時に、圧縮ガスカートリッジ148はマンドレル152に押し被され、これによって開放される。次いで、圧力室158内には、圧縮ガスカートリッジ148からの圧力が生ぜしめられ、この圧力はスリット162を通ってカートリッジ101の底部側の範囲へ伝播する。この圧力はカートリッジ101内の圧送ピストン110を移動させ、これによりカートリッジ101の内容物は開口112と、貫通孔134と、弁120に設けられた中空室と、送出管130に設けられたスタティックミキサ136と、最後に送出管先端部138とを通って駆出される。圧送ピストン110による圧力の受け止めを改善するために、圧送ピストン110は適当な形に形成されていてよい。圧送ピストン110には、シール部材(図示しない)が配置されており、このシール部材はカートリッジ内容物を圧力室158から、有利にはガス密に分離する。すなわち、圧力室158からの圧力が、圧送ピストン110とカートリッジ壁103との間を通ってカートリッジ101の前側の部分へ流入することができてはならない。
【0081】
すなわち、本発明は、カートリッジ1,101の開放が、強制的に圧縮ガスカートリッジ48の開放と時間的に同期的に行われる、圧縮ガスカートリッジ48を備えた多成分カートリッジシステムにも関する。
【0082】
すなわち、本発明によれば、以下のa)〜r)により特徴付けられた多成分カートリッジシステムも提供される;
a)内側の中空円筒体58,158あるいは不規則的または規則的に成形された内側の中空体58,158を取り囲むように、2つまたは複数のカートリッジ1,101が配置されており、該カートリッジの長手方向軸線が、内側の中空円筒体58,158あるいは規則的または不規則的に成形された内側の中空体58,158の軸線に対して平行であり、
b)カートリッジ頭部5,105および/またはカートリッジ壁3,103に1つまたは複数の開口12,112が配置されており、
c)送出管30,130が配置されており、
d)該送出管30,130の一方の端部が、回転可能な円筒体20または線状に移動可能な円筒体120に結合されており、
e)前記回転可能または移動可能な円筒体20,120が、互いに接続された少なくとも2つの開口を有していて、少なくとも1つの開口が、送出管30,130に一貫して接続されており、
f)前記回転可能な円筒体20が、少なくとも2つのヨーク形の軸受け内22に支承されており、該軸受け22が、前記1つまたは複数のカートリッジ頭部5に結合されており、
g)前記1つまたは複数のカートリッジ頭部5および/または1つまたは複数のカートリッジ頭部、103に少なくとも1つの開口12,112が設けられており、該開口12,112が、前記1つまたは複数のカートリッジ1,101の内室に通過性に接続されており、
h)前記回転可能な円筒体20に結合された送出管30,130が、前記ヨーク形の軸受け22の間に配置されているか、または前記移動可能な円筒体120に結合された送出管30,130が、前記移動可能な円筒体120に設けられた貫通孔34,134を延長しており、
i)前記回転可能な円筒体20が、その円筒体軸線を中心にして少なくとも80゜だけ回転可能に配置されており、
j)前記回転可能な円筒体20が、回転軸線に対して直角に、送出管30,130の接続個所とは反対の側に延長部44を有しており、
k)内側の中空円筒体58,158あるいは不規則的または規則的に成形された内側の中空体58,158内に可動のプランジャ46が配置されていて、該プランジャ46が、カートリッジ頭部5の方向で内側の中空円筒体58,158あるいは不規則的または規則的に成形された内側の中空体58,158から突出しており、
l)内側の中空円筒体58,158あるいは不規則的または規則的に成形された内側の中空体58,158内に、可動のプランジャ46の下方で圧縮ガスカートリッジ48,148が配置されており、該圧縮ガスカートリッジ48,148は、その開口がカートリッジ底部9,109の方向に向けられており、
m)内側の中空円筒体58,158あるいは不規則的または規則的に成形された内側の中空体58,158の内部にウェブ50,150が配置されており、該ウェブ50,150に中空マンドレル52,152が設けられており、該中空マンドレル52,152が、圧縮ガスカートリッジ48,148の開口の方向に向けられており、
n)前記中空マンドレル52,152を取り囲むようにばね54,154が設けられており、該ばね54,154はウェブ50,150に載着されていて、かつ前記中空マンドレル52,152の上方で、圧縮ガスカートリッジ48,148の開口が前記中空マンドレル52,152と接触しないように圧縮ガスカートリッジ48,148に接触しており、
o)カートリッジ1,101が圧送ピストン10,110によって閉鎖されており、
p)該圧送ピストン10,110が、カートリッジ底部9,109とは反対の側でウェブ50,150によって互いに結合されており、
q)内側の中空円筒体58,158とカートリッジ1,101とが、カートリッジ底部9,109を起点としてその長さの1/2のところまで少なくとも1つのスリット62,162によって接続されており、該スリット62,162が、前記ウェブ50,150の横断面よりも小さな横断面を有しており、
r)前記カートリッジ底部9,109が、ディスクによって互いに結合されており、該ディスクが、カバー64,164によって閉鎖されており、該カバー64,164が、ねじ山またはスナップ結合部によって前記ディスクに結合されている。
【0083】
これにより、適用時の組付けミスが最初から排除されている。多成分カートリッジシステムの使用時では、全てのカートリッジ1,101が同期的に送出管30の回転、ひいては回転可能な円筒体として加工成形された弁20の回転または送出管130のねじ込みまたは差込み、ひいては移動可能な弁120の押込みによって開放される。さらに、送出管30,130が多成分カートリッジに結合されていることも有利である。これにより、送出管30,130は適用前に包装手段からの開梱時に紛失し得なくなる。さらに、送出管30,130のための別個の包装手段がもはや必要とされなくなる。
【0084】
本発明によるカートリッジシステムの主要な利点は、該カートリッジシステム内に駆動媒体である圧縮されたガスが既に内蔵されていてよく、カートリッジ1,101の開放に対して同期的に圧縮ガスカートリッジ48,148も開放されることにある。これにより、カートリッジシステムの操作の最大限の簡単化が達成される。
【0085】
使用者には、本発明によるカートリッジシステムによって、迅速で簡単でかつ確実に操作することのできる装置が提供されている。
【0086】
軸受け22または送出管130には、有利な構成として、プラスチック工業において汎用の係止装置、たとえば一方の方向に可動のピンの形の係止装置が配置されていてよい。この係止装置は送出管30,130を適用位置に位置固定し、適用位置からの送出管30,130の戻り回転を阻止する。さらに別の有利な構成としては、弁20,120の下面に、プラスチック工業において汎用の係止装置が設けられていることが考えられる。その場合、この係止装置は適用位置からの送出管30,130の戻り回転または戻り移動を阻止する。
【0087】
さらに、本発明の構成では、送出管30,130の内部にスタティックミキサ36,136が配置されている。また、送出管30,130に弁20,120に対する結合個所の上方で弁装置42が配置されていることも考えられる。この弁装置を用いて、流動性の材料の送出速度を調整することができる。
【0088】
カートリッジ1,101にハンドグリップが配置されていて、該ハンドグリップが、有利には折畳み可能であることも本発明の枠内である。このハンドグリップによって、カートリッジシステムは使用者によって容易に保持されかつ案内され得る。
【0089】
本発明によれば、カートリッジシステムを開放しかつ駆動装置を作動させるための方法も提供される。この方法は、1つまたは複数のカートリッジ頭部5,105の方向とは逆向きに位置する、回転可能な弁20に配置された送出管30,130の送出開口26,38,138が、カートリッジ頭部5,105の方向に旋回させられて、その結果、送出管30,130が1つまたは複数のカートリッジ1,101の軸線に対して直角またはほぼ直角に位置しかつ送出開口26,38,138が1つまたは複数のカートリッジ頭部5,105とは逆向きの方向に向けられるか、または送出管30,130が、移動可能な弁120に設けられた管片24,124内に差し込まれるか、またはねじ込まれ、この場合、弁20,120の開口が、1つまたは複数のカートリッジ頭部5,105もしくは1つまたは複数のカートリッジ壁3,103の開口12,112に接続され、これにより流動性の材料に対して通過性の少なくとも1つの接続部を形成し、送出管30,130の旋回時または押込み時に、回転可能な円筒体20,120の裏面に配置された延長部44が、下方へ向かってカートリッジ底部9,109の方向に回転して、可動のプランジャ46を押圧し、該プランジャ46が、ばね54,154に抗して圧縮ガスカートリッジ48,148を押圧し、その結果、中空マンドレル52,152が、圧縮ガスカートリッジ48,148の開口を穿通し、圧縮されたガスが放出されるか、または圧縮ガスカートリッジ48,148が直接に弁20,120に配置されていて、したがって圧縮ガスカートリッジ48,148が、ばね54,154に抗して押圧され、その結果、中空マンドレル52,152が圧縮ガスカートリッジ48,148の開口を穿通し、圧縮されたガスが放出されることにより特徴付けられている。
【0090】
さらに、圧縮ガスカートリッジ48,148の圧縮されたガスにより圧送ピストン10,110がカートリッジ頭部5,105の方向に押圧され、弁装置42,142の操作によって、流動性の材料の送出速度が制御されるような、多成分カートリッジシステムを押し出すための方法も本発明の枠内である。
【0091】
本発明によるカートリッジシステムは、ペースト状の骨セメント、歯科用の多成分調製物、接着剤、シールコンパウンド、化粧品および食料品の包装、貯蔵および適用のために使用される。この多成分カートリッジシステムは、特にペースト状のポリメチルメタクリレート骨セメントの貯蔵および適用のために適している。
【0092】
前記発明の詳細な説明ならびに特許請求の範囲、図面および実施形態に開示された本発明の特徴は、個々の形でも、それぞれ任意に組み合わされた形でも、本発明を種々の実施態様の形で実現するために重要となり得る。
【符号の説明】
【0093】
1,101 カートリッジ
3,103 カートリッジ壁
5,105 カートリッジ頭部
9,109 カートリッジ底部
10,110 圧送ピストン
11,111 ウェブ
12,112 開口
20,120 弁
22 軸受け
24,124 管片
26 流出開口
28,128 雄ねじ山
30,130 送出管
32,132 雌ねじ山
34,134 貫通孔
36,136 スタティックミキサ
38,138 送出管先端部
40,140 コック
42,142 送出管弁
44 延長部
46 プランジャ
48,148 圧縮ガスカートリッジ
50,150 ウェブ
52,152 マンドレル
54,154 ばね
56 通過部
58,158 圧力室
60 絞り弁
62,162 スリット
64,164 カバー
66 雌ねじ山
68 雄ねじ山
A 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性の材料、特に医療用のセメントを適用するためのカートリッジシステムであって、該カートリッジシステムが少なくとも1つのカートリッジ(1,101)を有しており、該少なくとも1つのカートリッジ(1,101)が、複数のカートリッジ壁(3,103)と、それぞれ1つのカートリッジ頭部(5,105)と、該カートリッジ頭部(5,105)に対向した、カートリッジ内容物を駆出するためのそれぞれ1つの圧送ピストン(10,110)とを有しており、前記1つまたは複数のカートリッジ(1,101)が、カートリッジ頭部(5,105)またはカートリッジ壁(3,103)に設けられた少なくとも1つの開口(12,112)を有しており、該開口(12,112)が、弁(20,120)によって閉鎖可能である形式のものにおいて、前記1つまたは複数のカートリッジ頭部(5,105)に設けられた保持部(22)内に、回転可能な弁(20)が回転可能に支承されているか、または前記1つまたは複数のカートリッジ(1,101)に設けられた保持部内に、移動可能な弁(120)が移動可能に支承されており、該弁(20,120)が、該弁(20,120)を貫いた、流出開口(26,38,138)に接続された少なくとも1つの貫通孔(34,134)を有しており、前記弁(20,120)が、閉鎖された位置では少なくとも1つのカートリッジ(1,101)の少なくとも1つの開口(12,112)、特に各カートリッジ(1,101)の全ての開口(12,112)を密に閉鎖しており、前記弁(20,120)の開いた位置では前記1つまたは複数の貫通孔(34,134)が、前記1つまたは複数の開口(12,112)に接続されているので、カートリッジ内容物が、前記1つまたは複数のカートリッジ(1,101)から前記流出開口(26,38,138)を通じて押出し可能であり、前記回転可能な弁(20)を回転させるか、または前記移動可能な弁(120)を移動させることにより、該弁(20,120)が、閉鎖された位置から開いた位置へ変位可能であり、前記弁(20,120)の運動が、当該カートリッジシステム内に配置されているか、または当該カートリッジシステム内に取付け可能である圧縮ガスカートリッジ(48,148)の開放を生ぜしめるようになっていて、この場合、該圧縮ガスカートリッジ(48,148)が、当該カートリッジシステムに設けられた開放装置(52,152)に対して相対的に運動するようになっていることを特徴とする、カートリッジシステム。
【請求項2】
圧縮ガスカートリッジ(48,148)が、前記1つまたは複数のカートリッジ壁(3,103)に固く結合されていて、前記開放装置(52,152)が、前記弁(20,120)の運動によって運動可能であるか、または前記開放装置(52,152)が、前記1つまたは複数のカートリッジ壁(3,103)に固く結合されていて、圧縮ガスカートリッジ(48,148)が、前記弁(20,120)の運動によって運動可能である、請求項1記載のカートリッジシステム。
【請求項3】
圧縮ガスカートリッジ(48,148)または前記開放装置(52,152)が、前記1つまたは複数のカートリッジ(1,101)の長手方向に移動可能な弁(120)に固く結合されている、請求項1または2記載のカートリッジシステム。
【請求項4】
圧縮ガスカートリッジ(48,148)または前記開放装置(52,152)が、前記1つまたは複数のカートリッジ(1,101)に並んで、特に前記複数のカートリッジ(1,101)の間の中間室内に、移動可能に配置されており、前記回転可能な弁(20)が、前記流出開口(26,38)とは反対側に延長部(44)を有しており、該延長部(44)が、前記回転可能な弁(20)の回転時に圧縮ガスカートリッジ(48,148)または前記開放装置(52,152)を、閉鎖された状態から開いた状態へカートリッジ底部(9,109)の方向に移動させ、これにより前記開放装置(52,152)を用いて圧縮ガスカートリッジ(48,148)を開放するようになっている、請求項1または2記載のカートリッジシステム。
【請求項5】
前記開放装置(52,152)が、圧縮ガスカートリッジ(48,148)の弁を開放するためのマンドレル(52,152)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項6】
前記マンドレル(52,152)が、通過部(56)を有しており、該通過部(56)を通じて、開放された圧縮ガスカートリッジ(48,148)からガスが案内可能であり、有利には前記通過部(56)内に絞り弁(60)が配置されている、請求項5記載のカートリッジシステム。
【請求項7】
当該カートリッジシステムが、カートリッジ底部(9,109)のところでカバー(64,164)によって、特にガス密に閉鎖されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項8】
開放された圧縮ガスカートリッジ(48,148)の開口が、前記弁(20,120)の開いた位置において圧力室(58,158)内に配置されており、該圧力室(58,158)が、前記1つまたは複数のカートリッジ(1,101)に並んで、特に前記複数のカートリッジ(1,101)の間に配置されていて、有利には周辺環境からガス密に閉鎖されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項9】
前記圧力室(58,158)が、少なくとも1つの接続部(62,162)を介して前記1つまたは複数のカートリッジ(1,101)の後側の範囲に接続されていて、前記流出開口(26,38,138)が開放されていると、前記圧力室(58,158)内の圧力の増大時に、前記1つまたは複数の圧送ピストン(10,110)が、前記1つまたは複数のカートリッジ頭部(5,105)の方向に運動するようになっている、請求項8記載のカートリッジシステム。
【請求項10】
当該カートリッジシステムが、混合物を製造するための、互いに平行に配置された少なくとも2つの、有利には3つのカートリッジ(1,101)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項11】
前記カートリッジ(1,101)の圧送ピストン(10,110)が、少なくとも1つのウェブ(11,111)によって互いに結合されており、カートリッジ壁(3,103)が、スリット(62,162)を有しており、該スリット(62,162)が、カートリッジ底部(9,109)から、前記カートリッジ(1,101)のほぼ1/2のところにまで達しており、前記圧送ピストン(10,110)の、カートリッジ頭部(5,105)寄りの側が、その出発位置においても、カートリッジ(1,101)に設けられた前記スリット(62,162)よりも深く配置されていて、カートリッジ内容物のための、またはカートリッジ内容物を有するカートリッジ(1,101)の前側の範囲が、カートリッジ(1,101)の後側の範囲から、特にガス密に分離されており、前記スリット(62,162)は、該スリット(62,162)を通じた前記ウェブ(11,111)の運動を可能にするような幅を有している、請求項10記載のカートリッジシステム。
【請求項12】
前記弁(20,120)または前記管片(24,124)に送出管(30,130)が配置されており、該送出管(30,130)が、前記流出開口(26)を起点として延びていて、前記貫通孔(34,134)を送出管先端部(38,138)にまで延長しており、有利には前記送出管(30,130)が、その内部にスタティックミキサ(36,136)を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項13】
前記送出管(30,130)内に送出管弁(42,142)が配置されており、該送出管弁(42,142)によって、適用したい材料の容量流が遮断可能、特に制御可能である、請求項12記載のカートリッジシステム。
【請求項14】
前記弁(20,120)に設けられた1つまたは複数の開口および/または前記カートリッジの前記1つまたは複数の開口(12,112)のところで、カートリッジ壁(3,103)またはカートリッジ頭部(5,105)と前記弁(20,120)との間に少なくとも1つのシールリングが配置されていて、前記弁(20,120)の開放された位置で、前記1つまたは複数のカートリッジ(1,101)に設けられた前記少なくとも1つの開口(12,112)から前記1つまたは複数の貫通孔(34,134)にまでの少なくとも1つの流体密な接続部が提供されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項15】
特に円筒状に成形されているか、または円筒体区分として成形されている前記弁(20,120)が、開いた位置および閉鎖された位置において、前記1つまたは複数のカートリッジ頭部(5,105)または前記1つまたは複数のカートリッジ壁(3,103)に設けられた前記開口(12,112)の上でプレス嵌めの形で配置されていて、該開口(12,112)を密に閉鎖しているか、または該開口(12,112)を前記1つまたは複数の貫通孔(34,134)に密に接続している、請求項1から14までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−235102(P2011−235102A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103860(P2011−103860)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(508316210)ヘレーウス メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Medical GmbH
【住所又は居所原語表記】Philipp−Reis−Str. 8/13, D−61273 Wehrheim, Germany
【Fターム(参考)】