説明

流動性物質用カートリッジ

【課題】良好なガスバリア性・気密性・液密性・耐湿性を確保することができ、吐出性が良好であり、しかも充填されている流動性物質を可能な限り使い切ることが可能な流動性物質用カートリッジを提供する。
【解決手段】両端を開放端とした円筒状収容筒10と、この円筒状収容筒の基端部開放端に設けられた底部材13と、先端部の開放端に設けられた天板部材14とを有して成り、円筒状収容筒がガスバリア性及び柔軟性を有する積層フィルムから形成されており、天板部材が吐出口を有する嵌合底面14Bと、嵌合底面の周縁部全周から立ち上がる側周壁14Cとを有する合成樹脂製板材であり、円筒状収容筒の先端部開放端に天板部材が取付固定されており、嵌合底面の対向面であって側周壁に囲まれた外表面の略全面には吐出口14A及び側周壁の内周面を含めて被覆するガスバリア性を有する積層フィルムから成る外装膜15が熱溶着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流動性物質用カートリッジに関し、詳しくは、コーキング剤、シーリング剤又は接着剤の如きペースト状の流動性物質が充填され、これを押出し吐出するカートリッジ式シーラント押出容器として好適な流動性物質用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
建築用のコーキング剤、シーリング剤又は接着剤の如きペースト状の流動性物質を充填したカートリッジタイプの容器は、柔軟性を有する円筒状収容筒の先端部にノズルが装着される天板部材が設けられ、押出しガン(コーキングガン、シーラントガン、カートリッジガン等とも云う。)にセットして基端部の底部材をプランジャ押出しすることによって内容物である流動性物質の吐出を行うものである(例えば、特許文献1〜4等参照)。
【0003】
押出しガンにセットされる流動性物質用カートリッジは、プランジャ押出しにより流動性物質が充填される部分である円筒状収容筒が押出し方向に潰されながら流動性物質を吐出し、全量吐出完了時には円筒状収容筒の略全域が潰れた状態となることによって廃棄物の大幅な減容化が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−269385号公報
【特許文献2】特許第4348640号公報
【特許文献3】特許第3636052号公報
【特許文献4】特開2006−036218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天板部材に設けられた吐出口は、吐出開始時までの流動性物質の固化防止・乾燥防止・品質保持のため、主としてガスバリア性を有する積層フィルムから成るシール部材によって密封されている。
【0006】
特許文献1〜4の技術では、前記シール部材はカートリッジ内部側である天板部材の内側面に貼着されており、吐出開始に際して前記天板部材の吐出口に嵌入装着するノズルの基端の突刺部によって前記シール部材を突き破り円筒状収容筒内とノズルとを連通させる構成となっている。
【0007】
このノズルの突刺部によるシール部材の突き破りの際に、天板部材へのシール部材の貼着が不充分であったり、該シール部材が有する弾力性等の諸条件によっては突き破り方向側への剥離・延伸等が生じてしまって該シール部材の突き破りによる貫通が困難となり吐出性に問題が生じてしまう場合のあることが判った。
【0008】
尚、シール部材の突き破りを確実にするために、ノズルの突刺部を長く設定する構成が考えられるが、かかる構成によれば、天板部材の裏面側から円筒状収容筒内部への前記突刺部の突出が大きくなってしまうため、この突出した突刺部にプランジャ押出しによって移動する底部材が干渉して円筒状収容筒を最後まで押し潰すことが不可能となり、流動性物質を使い切ることができず残存してしまうという問題を抱えることになる。
【0009】
また特許文献1〜3の技術では、シール部材は吐出口を封止するためのものであることから吐出口及び吐出口周辺部のみを被覆するものであり、シール部材の周縁部より外側の天板部材部分ではガスバリア性を保持することができず、流動性物質の変質防止性の点で不充分であることも判った。
【0010】
この点、特許文献4の技術では、シール部材が吐出口及び吐出口周辺だけでなく天板部材の内側の全面は勿論のこと、円筒状収容筒先端部に取り付けられた補強用のリング部材との嵌入接合部分までをも前記シール部材が被覆する構成となっている。
【0011】
しかしながら特許文献4の構成によれば、天板部材を前記リング部材に嵌入接合する際に、嵌入摺合面に位置するシール部材が嵌入圧力等の負荷によって破断乃至は破損したり、折損又は皺・襞が発生する等によって隙間が発生し、ガスバリア性・気密性・液密性・耐湿性の低下だけでなく、程度によっては液漏れが生じてしまう場合があることがわかった。
【0012】
そこで本発明の目的は、良好なガスバリア性・気密性・液密性・耐湿性を確保することができ、吐出性が良好であり、しかも充填されている流動性物質を可能な限り使い切ることが可能な流動性物質用カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
【0014】
1.先端部及び基端部を開放端とした円筒状収容筒と、この円筒状収容筒の基端部開放端に設けられた底部材と、前記先端部の開放端に設けられた天板部材と、を有して成り、内部に流動性物質が充填される流動性物質用カートリッジにおいて、
前記円筒状収容筒が、ガスバリア性及び柔軟性を有する積層フィルムから形成されており、
前記天板部材が、吐出口を有する嵌合底面と、該嵌合底面の周縁部全周から立ち上がる側周壁と、を有する合成樹脂製板材であり、
前記円筒状収容筒の先端部開放端に前記天板部材が取付固定されており、
前記嵌合底面の対向面であって側周壁に囲まれた外表面の略全面には前記吐出口及び前記側周壁の内周面を含めて被覆するガスバリア性を有する積層フィルムから成る外装膜が熱溶着されていること、
を特徴とする流動性物質用カートリッジ。
【0015】
2.前記底部材が、底部と該底部の周縁部が絞り成形により立上り形成された立上部を有すると共に、ガスバリア性を有する積層フィルムから形成されており、
前記立上部が前記円筒状収容筒の基端部の全周と接合されている構成であること、
を特徴とする上記1に記載の流動性物質用カートリッジ。
【0016】
3.前記外装膜が、前記嵌合底面の対向面に熱溶着する外装膜底面部と、該外装膜底面部の周縁部全周が絞り成形により立上り形成された外装膜立上部と、を有して成る構成であることを特徴とする上記1又は2に記載の流動性物質用カートリッジ。
【0017】
4.前記外装膜の外装膜立上部の上端部全周が絞り成形により外側方向に延伸して外装膜フランジ部が形成されており、該外装膜フランジ部が前記側周壁の上端面を被覆する構成であることを特徴とする上記3に記載の流動性物質用カートリッジ。
【0018】
5.前記外装膜が、前記天板部材の吐出口に嵌入される突刺部を有するノズルによって突き破られる構成であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の流動性物質用カートリッジ。
【0019】
6.前記円筒状収容筒の先端部開放端に樹脂成形補強リングが取付固定されている構成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の流動性物質用カートリッジ。
【0020】
7.前記円筒状収容筒が、円筒状外筒体に収容される構成であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の流動性物質用カートリッジ。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に示す発明によれば、良好なガスバリア性・気密性・液密性・耐湿性を確保することができ、吐出性が良好であり、しかも充填されている流動性物質を可能な限り使い切ることが可能な流動性物質用カートリッジを提供することができる。
【0022】
特に、ガスバリア性を有する外装膜によって天板部材の外表面の略全面が被覆された構成により良好なガスバリア性を発揮することができるので、充填する流動性物質の固化防止・乾燥防止・品質保持を容易且つ確実に達成することができる。
【0023】
更に、吐出開始に際して天板部材の吐出口に嵌入装着するノズルの基端の突刺部によってシール部材である外装膜を突き破り円筒状収容筒内とノズルとを連通させる際に、外装膜が天板部材の表面より手前に位置しているため、天板部材の向こう位置である裏側面に位置する場合とは異なり、外装膜を突き破り方向側への剥離が生じることがなく確実に突き破りが可能となる。従って、ノズルの基端部の突刺部の長さを必要充分な長さとするだけでよく、なくとも天板部材の厚み分だけ更に短くすることができ、プランジャ押出時の
底部材との干渉も抑制されるので充填されている流動性物質を可能な限り使い切ることができる。
【0024】
更にまた、天板部材を円筒状収容筒の先端部に取付固定する際に、この取付固定面とは全く異なる位置に外装膜は配設されているため、取付固定時に外装膜が破断乃至は破損する虞が無いだけでなく、折損又は皺・襞等による隙間の発生の虞もなく、ガスバリア性・気密性・液密性・耐湿性の低下や液漏れの問題がない。
【0025】
請求項2に示す発明によれば、円筒状収容筒の基端部におけるガスバリア性をも発揮することができ、しかも絞り成形により継ぎ目無く一体的に形成された積層フィルムから底部材によって充填されている流動性物質の品質保持性をより高めることができる。
【0026】
請求項3に示す発明によれば、絞り成形により継ぎ目無く一体的に形成された外装膜によって極めて高いガスバリア性を有するので、充填されている流動性物質の品質保持性が極めて高い。
【0027】
請求項4に示す発明によれば、天板部材のガスバリア性を更に高めることができるので、充填されている流動性物質の品質保持性をとりわけ特に高めることができる。
【0028】
請求項5に示す発明によれば、ノズルの突刺部によって外装膜を突き破ることにより極めて容易に円筒状収容筒内とノズルとを連通させることができる。
【0029】
請求項6に示す発明によれば、円筒状収容筒への天板部材の取付固定強度を高めることができる。
【0030】
請求項7に示す発明によれば、押出しガンへのセットが容易且つ確実になり、流動性物質の円滑な吐出が可能となる。しかもプランジャ押出しによって円筒状収容筒が円筒状外筒体の内側領域に沿って潰されていくので、全量吐出完了時には該円筒状収容筒の略全域が押出し方向に綺麗にコンパクトに潰れた状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る流動性物質用カートリッジの一実施例の構成状態を説明する一部切欠断面図
【図2】図1に示す流動性物質用カートリッジへのノズル装着状態を説明する要部説明正面図
【図3】ノズルを装着した流動性物質用カートリッジの円筒状外筒体への収容状態を説明する説明正面図
【図4】本発明に係る流動性物質用カートリッジの他の実施例を示す要部一部切欠断面図
【図5】本発明に係る流動性物質用カートリッジの他の実施例を示す要部一部切欠断面図
【図6】本発明に係る流動性物質用カートリッジの他の実施例を示す要部一部切欠断面図
【図7】本発明に係る流動性物質用カートリッジの他の実施例を示す要部一部切欠断面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る流動性物質用カートリッジ(以下、単にカートリッジということもある。)について図面に基づき説明する。
【0033】
本発明は、建築用のコーキング剤、シーリング剤又は接着剤の如きペースト状の流動性物質が充填され、これを押出しガン(コーキングガン、シーラントガン、カートリッジガン等とも云う。)にセットして基端部の底部材をプランジャ押出しすることによって内容物である流動性物質の吐出を行うためのカートリッジ式シーラント押出容器として好適なカートリッジであり、
具体的な実施構成としては、図1に示すように、
先端部11及び基端部12を開放端とした円筒状収容筒10と、この円筒状収容筒10の基端部12開放端に設けられた底部材13と、前記先端部11の開放端に設けられた天板部材14と、を有して成り、内部に流動性物質が充填されるカートリッジ1において、
前記円筒状収容筒10が、ガスバリア性及び柔軟性を有する積層フィルムから形成されており、
前記天板部材14が、吐出口14Aを有する嵌合底面14Bと、該嵌合底面14Bの周縁部全周から立ち上がる側周壁14Cと、を有する合成樹脂製板材であり、
前記円筒状収容筒10の先端部11開放端に前記天板部材14が取付固定されており、
前記嵌合底面14Bの対向面であって側周壁14Cに囲まれた外表面の略全面には前記吐出口14A及び前記側周壁14Cの内周面を含めて被覆するガスバリア性を有する積層フィルムから成る外装膜15が熱溶着されていること、
を主構成とするものである。
【0034】
以下、各構成について更に詳説する。
【0035】
カートリッジ1の本体部分である円筒状収容筒10は、この種の流動性物質用カートリッジの収容筒として公知公用の構成を特別の制限なく採ることができる。例えば、その主構成素材である積層フィルムは、合成樹脂層と酸素バリア層とを有する積層構成であることが好ましい。
【0036】
前記した積層構成のうち合成樹脂層としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体等の二軸延伸フィルム又は一軸延伸フィルムの単体又は積層体が挙げられ、中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0037】
上記した合成樹脂層に酸素や水蒸気等のガスバリア性を付与するために積層される酸素バリア層としては、アルミニウム、マグネシウム等の金属、又は酸化珪素等の酸化物を蒸着した蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン等のバリア性コート剤等をコートしたコートフィルム等が挙げられ、中でも、アルミニウムフィルムが好ましい。
【0038】
円筒状収容筒10の具体的な層構成例としては、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルム層、アルミニウムフィルム層、ポリエチレンテレフタレート層、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルム層の順に積層した4層構成を好ましい例として挙げることができる。尚、本構成の場合、ポリエチレンテレフタレート層を印刷層とし、該印刷層に製品名、容量、使用方法、製造社名等の内容物に関する種々情報を印刷表示することが好ましい。尚、図1において、符号10Aは矩形状の積層フィルムを円筒状に巻きまわした際の筒接合部を示す。
【0039】
上記した積層構成を有する円筒状収容筒10は、基端部12の開放端に設けられる底部材13が、底部13Aと該底部13Aの周縁部が絞り成形により立上り形成された立上部13Bを有すると共に、ガスバリア性を有する積層フィルムから形成されており、前記立上部13Bが前記円筒状収容筒10の基端部12の全周と接合されている構成であることが好ましい。
【0040】
底部材13を形成するガスバリア性を有する積層フィルムとしては、前述した円筒状収容筒10と同様の層構成を有する積層フィルムが好ましい。また、円筒状収容筒10と底部材13との接合は、積層フィルム同士の接合手段として公知公用の溶着・融着・接着・その他の接合手段を特別の制限なく用いることができ、両者の接合面側に位置する層と層とが同種の合成樹脂層であることが該接合部における接合を容易に且つ確実となるので好ましい。
【0041】
底部材13をガスバリア性を有する積層フィルムを絞り成形した構成とすることにより、円筒状収容筒10の基端部12におけるガスバリア性をも発揮することができ、しかも該底部材13は継ぎ目無く一体的に形成された構成によって充填されている流動性物質の品質保持性をより高めることができる。
【0042】
天板部材14としては、この種のカートリッジ1の先端部11の開放端に設けられる天板部材として公知公用の構成を有するものであり、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンの如き合成樹脂製の成形部材から成り、図2に示すように吐出用のノズル2を装着するための被装着部を有する構成となっている。本実施例では、被装着部は吐出口14Aであり、該吐出口14にノズル2の基端に設けられた突刺部21を嵌入することによって装着する構成となっている。
【0043】
天板部材14は、前記円筒状収容筒10の先端部11の開放端に取り付けられるが、この取付けは溶着・融着・接着等の接合手段により直接接合してもよいが、本実施例では前記円筒状収容筒10の先端部11の開放端に樹脂成形補強リング3を溶着・融着・接着等の接合手段により取付固定し、この取付固定した樹脂成形補強リング3に天板部材14を嵌入及び/又は溶着・融着・接着等の接合手段により接合する構成となっている。
【0044】
樹脂成形補強リング3を円筒状収容筒10と天板部材14との間に介在させることによって該天板部材14の取付固定強度を高めることができる。該樹脂成形補強リング3は、天板部材14と同様のポリエチレン又はポリプロピレンの如き合成樹脂製であることが好ましい。
【0045】
天板部材14の外表面を被覆する外装膜15を形成するガスバリア性を有する積層フィルムとしては、前述した円筒状収容筒10と同様の層構成を有する積層フィルムが好ましい。
【0046】
また外装膜15は、前記天板部材14の嵌合底面14Bの対向面に熱溶着する外装膜底面部15Aと、該外装膜底面部15Aの周縁部全周が絞り成形により立上り形成された外装膜立上部15Bと、を有して成る構成であることが好ましい。
【0047】
該外装膜15を絞り成形構成とすることによって継ぎ目の無い一体構成となるので、円筒状収容筒10の先端部11において極めて高いガスバリア性を発揮することになり、充填されている流動性物質の品質保持性をより高めることができる。
【0048】
更に、本実施例において外装膜15は、前記外装膜立上部15Bの上端部全周を絞り成形により外側方向に延伸して外装膜フランジ部15C形成し、該外装膜フランジ部15Cによって前記側周壁14Cの上端面をも被覆する構成とすることによって、天板部材14の外表面の略全面においてガスバリア性を発揮させることができるので、充填されている流動性物質の品質保持性を更に高めることができる。
【0049】
上記構成を有するカートリッジ1内に充填されている流動性物質を吐出するに際しては、先ず、図2に示すように吐出用のノズル2を天板部材14の吐出口14Aに嵌入することによって装着し、この装着の際に該ノズル2の突刺部21が吐出口14A内に位置する外装膜15の一部を突き破ることによってカートリッジ1内とノズル2とを連通させる。
【0050】
次に、ノズル2を装着したカートリッジ1は、押出しガン(図示は省略)にセットする前に図3に示すように円筒状収容筒10部分を円筒状外筒体4に収容する。該円筒状外筒体4の基端部側には、押出しガンによるプランジャ押出し時に押出吐出方向に移動するプランジャ部41が配設されており、押出しガンの操作によりプランジャ部41が押出吐出方向に移動し、この移動するプランジャ部41がカートリッジ1の底部材13を押出吐出方向に押すことによって該カートリッジ1内の流動性物質がノズル2の先端部開口から吐出されることになる。
【0051】
カートリッジ1の円筒状収容筒10の部分を円筒状外筒体4に収容することにより、押出しガンへのセットが容易且つ確実になり、流動性物質の円滑な吐出が可能となる。しかもプランジャ押出しによって、柔軟性を有する積層フィルムから成る円筒状収容筒10が円筒状外筒体4の内側領域に沿って潰されていくので、流動性物質の全量吐出完了時には該円筒状収容筒10の略全域が押出し方向に綺麗にコンパクトに潰れた状態となるため、
廃棄物の大幅な減容化が可能である。
【0052】
以上、本発明に係る流動性物質用カートリッジについて実施例について説明したが、本発明は上記態様に限定されず、本発明の範囲内において他の態様を採ることもできる。
【0053】
例えば、上記実施例では外装膜15は、外装膜立上部15Bの上端部全周を絞り成形により外側方向に延伸して外装膜フランジ部15Cを形成し、該外装膜フランジ部15Cによって前記天板部材14の側周壁14Cの上端面をも被覆する構成としていたが、図4に示すように外装膜フランジ部15Cを省略した構成とすることもできる。かかる構成によれば、必要充分なガスバリア性を保持しつつ、外装膜15のコストダウンが可能である。
【0054】
また、図5に示すように外装膜フランジ部15Cの周縁部の全周を絞り成形により下方に延伸して側周壁外表面被覆部15Dを形成し、該側周壁外表面被覆部15Dによって前記天板部材14の側周壁14Cの外表面をも被覆する構成とすることもできる。かかる構成によれば、天板部材14の外表面の略全面を略隙間無く被覆するので著しく高いガスバリア性を発揮させることができ、充填されている流動性物質の品質保持性を更により高めることができる。
【0055】
更に、上記実施例では円筒状収容筒10と天板部材14との間に樹脂成形補強リング3を介在させる構成としていたが、図6に示すように該樹脂成形補強リング3を省略して円筒状収容筒10の先端部11の開放端に天板部材14を直接接合する構成とすることもできる。かかる構成によれば、部品点数を減じることによるコストダウンが可能である。尚、当該構成を採る場合、外装膜15は上記実施例と同様に外装膜フランジ部15Cが形成された構成であることが好ましいが、かかる構成に限定されず外装膜フランジ部15Cが省略された構成としてもよいし、外装膜フランジ部15Cに加えて側周壁外表面被覆部15Dが形成された構成とすることもできる。
【0056】
更に、上記実施例では円筒状収容筒10の基端部12の開放端に設けられた底部材13として、絞り成形した積層フィルムから形成した構成としていたが、図7に示すように樹脂成形によって形成した構成とすることもできる。かかる構成によれば、円筒状収容筒10の基端部12の保形強度を高めることができる。尚、当該構成を採る場合、樹脂成形した底部材13の内表面又は外表面をガスバリア性を有する積層フィルムで被覆する構成とすることが好ましい。
【0057】
更に、円筒状収容筒10の基端部12と底部材13との接合構成とし、上記実施例では底部材13の立上部13Bを前記基端部12の外側に接合する構成としていたが、立上部13Bを前記基端部12の内側に接合する構成とすることもできる。尚、かかる構成については、底部材13を積層フィルムで形成する態様に限らず、樹脂成形した底部材13を用いた態様についても同様である。
【0058】
更に、円筒状収容筒10の先端部11に樹脂成形補強リング3を接合した構成の場合、上記実施例では該樹脂成形補強リング3の内側に円筒状収容筒10の先端部11の外周面を接合する構成としていたが、樹脂成形補強リング3の外側に円筒状収容筒10の先端部11の内周面を接合する構成とすることもできる。
【0059】
更に、上記実施例では吐出口14Aは天板部材14の嵌合底面14Bの平面部分に穿設された構成としていたが、吐出口14Aが立上部等を設けて外へ突出した構成であってもよく、この場合には外装膜15の構造で対応することができる。
【0060】
更にまた、上記実施例ではカートリッジ1の円筒状収容筒10部分を円筒状外筒体4に収容した状態で押出しガンにセットする構成としていたが、該円筒状外筒体4と同様の機能を有する外筒構成を有する押出しガンを用いる場合には前記円筒状外筒体4を不要とすることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 流動性物質用カートリッジ
10 円筒状収容筒
10A 筒接合部
11 先端部
12 基端部
13 底部材
13A 底部
13B 立上部
14 天板部材
14A 吐出口
14B 嵌合底面
14C 側周壁
15 外装膜
15A 外装膜底面部
15B 外装膜立上部
15C 外装膜フランジ部
15D 側周壁外表面被覆部
2 ノズル
21 突刺部
3 樹脂成形補強リング
4 円筒状外筒体
41 プランジャ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部及び基端部を開放端とした円筒状収容筒と、この円筒状収容筒の基端部開放端に設けられた底部材と、前記先端部の開放端に設けられた天板部材と、を有して成り、内部に流動性物質が充填される流動性物質用カートリッジにおいて、
前記円筒状収容筒が、ガスバリア性及び柔軟性を有する積層フィルムから形成されており、
前記天板部材が、吐出口を有する嵌合底面と、該嵌合底面の周縁部全周から立ち上がる側周壁と、を有する合成樹脂製板材であり、
前記円筒状収容筒の先端部開放端に前記天板部材が取付固定されており、
前記嵌合底面の対向面であって側周壁に囲まれた外表面の略全面には前記吐出口及び前記側周壁の内周面を含めて被覆するガスバリア性を有する積層フィルムから成る外装膜が熱溶着されていること、
を特徴とする流動性物質用カートリッジ。
【請求項2】
前記底部材が、底部と該底部の周縁部が絞り成形により立上り形成された立上部を有すると共に、ガスバリア性を有する積層フィルムから形成されており、
前記立上部が前記円筒状収容筒の基端部の全周と接合されている構成であること、
を特徴とする請求項1に記載の流動性物質用カートリッジ。
【請求項3】
前記外装膜が、前記嵌合底面の対向面に熱溶着する外装膜底面部と、該外装膜底面部の周縁部全周が絞り成形により立上り形成された外装膜立上部と、を有して成る構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の流動性物質用カートリッジ。
【請求項4】
前記外装膜の外装膜立上部の上端部全周が絞り成形により外側方向に延伸して外装膜フランジ部が形成されており、該外装膜フランジ部が前記側周壁の上端面を被覆する構成であることを特徴とする請求項3に記載の流動性物質用カートリッジ。
【請求項5】
前記外装膜が、前記天板部材の吐出口に嵌入される突刺部を有するノズルによって突き破られる構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の流動性物質用カートリッジ。
【請求項6】
前記円筒状収容筒の先端部開放端に樹脂成形補強リングが取付固定されている構成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の流動性物質用カートリッジ。
【請求項7】
前記円筒状収容筒が、円筒状外筒体に収容される構成であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の流動性物質用カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−56692(P2013−56692A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196123(P2011−196123)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(391052781)株式会社ポリマーシステムズ (27)
【Fターム(参考)】