説明

流水プール

【目的】あきのこない遊泳を楽しめる流水プールである。
【構成】流水プールを、流水プールを、プール水の吐出口及び該プール水の吸入口が穿設される流水プール本体と、該流水プール本体の吐出口と吸入口とを連通するプール水循環流路と、該プール水循環流路の経路中に配設されて前記流水プール本体のプール水を循環送出する流水吐出ポンプと、該流水吐出ポンプの循環送出量を多段階に調節して前記プール水の流速のパワースペクトルを周波数の逆数に比例させる制御を実行する制御部とから構成している。従って、流水吐出ポンプの回転数を制御して、自然の川の流れと同様に、流水プール本体内の水流の流速を変化することができ、遊泳者はあきのこない遊泳を楽しむことができる。また、流水吐出ポンプの回転数を、無段階ではなく階段的に変化させるようにしたので、プール水の流速制御が簡単となり、制御部を安価なものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自然界における川等の流速を利用して、人体にあきのこない自然な体感変化を与えることができる流水プールに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、本格的なプールを設置するための空間確保の困難性や、その施工費が莫大となることに鑑み、小スペースでかつ安価に設置できる流水プールが開発されている。そして、水をプールの一側端から他側端に向かって流した状態で、遊泳者は、水の流れと逆方向に泳ぐことによって、本格的なプールで泳いでいるのと同様な遊泳感を楽しむことができる。
【0003】また、かかる流水プールは、流水速度を数段階に変えることができ、遊泳者の流速の選択を可能としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の流水プールでは、遊泳者が流水速度を変更しない限り流水速度は一定であるため、単調であり、遊泳者はその選択した流水速度にすぐに慣れ、あきてしまい、川や海を泳いでいる場合に得られるような自然な変化を得ることができず、あきてしまい、長時間遊泳を助長するものになりえなかった。
【0005】本発明は、上記した課題を解決することができる流水プールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、プール水の吐出口及び該プール水の吸入口が穿設される流水プール本体と、該流水プール本体の吐出口と吸入口とを連通するプール水循環流路と、該プール水循環流路の経路中に配設されて前記流水プール本体のプール水を循環送出する流水吐出ポンプと、該流水吐出ポンプの循環送出量を多段階に調節して前記プール水の流速のパワースペクトルを周波数の逆数に比例させる制御を実行する制御部と、を備えることを特徴とする流水プールに係るものである。
【0007】
【実施例】次に、本発明の実施例を、添付図面に基づいて説明する。
【0008】まず、図1を参照して、流水プールの全体構成を説明する。
【0009】流水プール本体Aは、槽壁a1のプール水表面近傍における相対向する箇所に循環入口a2と循環出口a3とが開口され、この循環入口a2と循環出口a3とにわたって強制循環装置Bが接続されている。
【0010】循環出口a3は水表面近傍に相当する槽壁a1部分に出口部5を開口し、その出口部5表側を多孔板で被蓋すると共にその出口部5裏側に漏斗状の水受け部7を固定して形成されている。
【0011】循環入口a2は上記循環出口a3と相対して水表面近傍に相当する槽壁a1部分に入口部8を開口し、その入口部8裏側に外面を開放した円錐台形状の水案内筒体9を固定している。
【0012】強制循環装置Bは前記循環入口a2と循環出口a3とに連絡する常動強制循環濾過手段b1と、循環入口a2と循環出口a3とに連絡する流速可変用強制循環手段b2とで構成されている。
【0013】常動強制循環濾過手段b1は前記循環出口a3を構成する水受け部7の最突端に一端を連通状に接続した強制循環パイプ11の他端、即ち循環用噴出部1(ノズル)を、前記水案内筒体9の最奥端開放部を封水状に閉口する蓋体12a の中心に槽内の水泳部と連通状に接続し、この強制循環パイプ11の中途部にポンプモータM1によって駆動される濾過用ポンプ2, 濾過タンク12, ヘアーキャッチャー13を接続して構成されている。
【0014】流速可変用強制循環手段b2は前記強制循環パイプ11から分岐し中途部にヘアーキャッチャー13を配設した主管15から多枝状に分岐せしめ、各枝管14・・・に、ポンプモータM2によって駆動される流水吐出ポンプ、即ち、プール水吐出用ポンプ2aを接続している。
【0015】また、このプール水吐出用ポンプ2aの各ポンプモータM2のモータ駆動回路D2は、以下に説明するように、制御装置Eに接続され、人為的な押動或いはタッチ行為によって操作するゆらぎ使用スイッチS1等による所望のポンプモータM1, M2の回転数調整及び選択使用が可能になっている。
【0016】図2に上記流水プールにおける濾過用ポンプ2及びプール水吐出用ポンプ2aを制御するための制御回路の全体構成を示す。
【0017】図示するように、制御装置Eの入力インターフェース側には、ゆらぎ使用スイッチS1, 流量調整スイッチS2、及び流速測定スイッチS3を入力するスイッチ入力回路G、及び、プール水循環流路における流速を測定する流速センサf1と流速測定回路f2とからなる回路fが接続されている。
【0018】そして、制御装置Eは、パワースペクトルが周波数の逆数に比例するデータ(図3参照) を抽出し、さらに同抽出データから図4に示す階段状データを作成し、同階段状データを、制御装置Eに内蔵する記憶回路m(図2参照) に記憶・保持する機能を有する。
【0019】一方、制御装置Eの出力インターフェース側には、ポンプモータM1, M2のモータ駆動回路D1, D2が接続されている。そして、制御装置E内では、マイクロプロセッサーCの上記した記憶回路mから階段状データを読出し、モータ駆動回路D2を通してポンプモータM2を駆動し、図4に示すように、プール水吐出用ポンプ2aからの回転速度を、周期的に、かつ階段的に、変化して流水速度を制御することができる。
【0020】次に、図2を参照して、上記流水プールの使用形態について説明する。
【0021】ゆらぎ使用スイッチS1をオンすることによってプール水吐出用ポンプ2aのポンプモータM2が駆動し、同駆動によって、プール水吐出用ポンプ2aが水を流水プール本体A内に吐出し、流水プール本体A内に水流を発生する。そして、遊泳者は、図1に示すように、水流の流れと逆方向に泳ぐことになる。
【0022】かかる流水プールの使用において、制御装置Eには、プール水吐出用ポンプ2aのポンプモータM2のパワースペクトルが周波数の逆数に比例する信号を記憶する記憶回路mを有しており、図4に示すような信号に基づき、マイクロプロセッサーC及びモータ駆動回路D2を介して、プール水吐出用ポンプ2aの回転数を制御するものである。
【0023】このように、自然の川の流れと同様に、流水プール本体A内の水流の流速を変化するので、遊泳者はあきのこない遊泳を楽しむことができる。
【0024】また、図4に示すように、本実施例では、水の特性によって、プール水の流速制御は、きめ細かく制御した場合と、ある程度おおまかに制御した場合とであまり差がないことに鑑み、プール水吐出用ポンプ2aの回転数を、無段階ではなく階段的に変化させるようにしたので、プール水の流速制御が簡単となり、制御装置Cを安価なものとすることができる。
【0025】また、プール水循環流路における流速を測定する回路を付加することにより、流速の制御が記憶回路mに有する制御パターンと略一致するフィードバック系を作ることができ、よりパワースペクトルが周波数の逆数に比例する状態を作り出すことができる。
【0026】
【効果】以上説明してきたように、本発明では、流水プールを、プール水の吐出口及び該プール水の吸入口が穿設される流水プール本体と、該流水プール本体の吐出口と吸入口とを連通するプール水循環流路と、該プール水循環流路の経路中に配設されて前記流水プール本体のプール水を循環送出する流水吐出ポンプと、該流水吐出ポンプの循環送出量を多段階に調節して前記プール水の流速のパワースペクトルを周波数の逆数に比例させる制御を実行する制御部で構成している。
【0027】従って、流水吐出ポンプの回転数の制御によって、自然の川の流れと同様に、流水プール本体内の水流の流速を変化させることができ、遊泳者はあきのこない遊泳を楽しむことができる。また、流水吐出ポンプの回転数を、無段階ではなく階段的に変化させるようにしたので、プール水の流速制御が簡単となり、制御部を安価なものとすることができる。
【0028】また、プール水循環流路における流速を測定する装置を付加し、流速が自然な流速になるようにフィードバックを行うことにより、より川等の流速に近くなり、あきのこない遊泳が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流水プールの横断平面図である。
【図2】同制御回路のブロック図である。
【図3】流速測定装置からの抽出データを示すグラフである。
【図4】制御装置からの出力データを示すグラフである。
【符号の説明】
A 流水プール本体
a1 槽壁
a2 循環入口
a3 循環出口
B 強制循環装置
b1 常動強制循環濾過手段
b2 流速可変用強制循環手段
S3 流速測定装置
2a プール水吐出用ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プール水の吐出口及び該プール水の吸入口が穿設される流水プール本体と、該流水プール本体の吐出口と吸入口とを連通するプール水循環流路と、該プール水循環流路の経路中に配設されて前記流水プール本体のプール水を循環送出する流水吐出ポンプと、該流水吐出ポンプの循環送出量を多段階に調節して前記プール水の流速のパワースペクトルを周波数の逆数に比例させる制御を実行する制御部と、を備えることを特徴とする流水プール。
【請求項2】 流水プール本体のプール水の流速を検出する流速センサを備え、該流速センサの検出結果に基づき、制御部の実行する前記流水吐出ポンプの循環送出量の多段階の調節を修正するフィードバック制御を同時に実行することを特徴とする請求項1記載の流水プール。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平5−76632
【公開日】平成5年(1993)3月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−242099
【出願日】平成3年(1991)9月20日
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)