説明

流水検知装置

【課題】従来用いられている消火設備配管上に設置される流水検知装置よりも更に省スペース化・軽量化が図られ、さらに施工やメンテナンスにおいても作業性のよい流水検知装置を提供する。
【解決手段】流水検知装置に設置される試験弁14をアングル弁構造として、試験弁14の設置高さを低くする。試験弁14を接続する水路15をエルボ状に形成して、試験弁14を管継手を介さずに直接接続可能とする。水路15の末端を流水検知装置の後方に設けることで、流水検知装置の設置スペースの幅を狭くする。さらに試験弁接続部15Aを流水検知装置の軸から偏芯して設けたことでさらに設置スペースの幅を狭くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火設備配管上に設置される流水検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流水検知装置は、消火設備配管上に設置され、流水検知装置の二次側配管に設置されているスプリンクラーヘッドや一斉開放弁等の作動による消火設備配管内の流水を検知して信号を出力する機能を有するものである。近年において流水検知装置は小型化・簡略化が図られており、特に高層マンション等の共同住宅に設置される流水検知装置については、コンパクト化と機器の集約化の傾向が顕著である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されている流水検知装置は、通常、流水検知装置の一次側配管に設置される制御弁を流水検知装置に一体に設けたり、信号を出力する複数のスイッチ手段を、一つのスイッチボックス内に納めたことで施工の際の省力化および省スペース化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−114174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の流水検知装置は、配管との接続がネジ式になっている。ネジ式である場合、フランジ式のものと比較して軽量であるので運搬は容易であるが、配管に設置する際には多大なトルクをかけて締め付け作業を行わなければならない。また設置後に交換の必要性が生じた場合に取り外すことが非常に困難となる。
【0006】
さらに、流水検知装置の開口部を塞ぐカバーも大径のプラグ形状となっており、上記と同様に多大なトルクをかけなければ蓋が開かず、メンテナンス作業における手間や労力が大きいものであった。
【0007】
また、共同住宅に設置される流水検知装置は、各戸毎に設置されることから1物件で数十から数百台の流水検知装置が設置される。従って施工や点検に要する時間や手間も多大なものとなり、端子台へ結線作業を行う際にターミナルボックスの蓋の取外し・取付けも短時間で着脱可能なものが要望されている。
【0008】
点検作業においては、流水検知装置からの出力信号を外部に出力させない手段として、電気的手段により外部への移報を停止するものや、点検ピース等によって物理的にスイッチの作動を阻止する手段が用いられているが、後者においては点検ピースの紛失や点検後の取外し忘れが危惧されていた。
【0009】
メンテナンス作業において、従来の共同住宅向けの流水検知装置では、試験弁として操作が容易であり所定の流量を放出させるためにボール弁が試験弁として多く使用されてきた。しかしながら時間の経過とともに配管内部のゴミがボール弁の一次側に堆積することがあった。このゴミを除去するために試験弁を流水検知装置から取り外して清掃作業を行っていたが、流水検知装置はガス管等が設置されているダクトの狭いスペースに設置されることも多く、作業者は試験弁の着脱作業に大変な労力を費やしていた。
【0010】
本発明においては、上記の流水検知装置よりも更に省スペース化・軽量化が図られ、さらに施工やメンテナンスにおいても作業性のよい流水検知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、消火設備配管上に設置される本体に、配管内の流水を検知して信号が出力される信号出力手段が設けられており、さらに二次側に設置されるスプリンクラーヘッドのノズル放出量と同等な放出量である試験弁が設置されている流水検知装置について、前記本体には外部に突出する水路が形成されており、前記試験弁は流路が屈曲するアングル弁構造であり、その一端が前記水路の末端に接続される流水検知装置である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記水路がエルボ状に屈曲されている請求項1記載の流水検知装置である。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記水路を流水検知装置の後方に設ける請求項1記載の流水検知装置である。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記水路の本体側端部を本体の軸から偏芯して設ける請求項1記載の流水検知装置である。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記試験弁は牡ネジによって前記水路と接続される請求項1記載の流水検知装置である。
【0016】
請求項6記載の発明は、前記試験弁の弁体は試験弁本体から着脱可能な請求項1記載の流水検知装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、流水検知装置に設置される試験弁をアングル弁構造としたことで、試験弁の設置高さを短縮できる効果を有する。さらにボンネットを着脱可能としたことで、試験弁にゴミが詰まった場合にも試験弁を流水検知装置から取り外すことなくボンネットを取り外して試験弁内部のゴミを容易に除去できる。
【0018】
請求項2から5記載の発明によれば、流水検知装置の本体から外部に突出する水路(試験弁接続部)をエルボ状に形成したことで、試験弁を管継手を介さずに直接接続可能とした。また流水検知装置の後方に水路の末端を設けたことで、流水検知装置の設置スペースの幅を狭くすることが可能となる。さらに水路の末端を流水検知装置の軸から偏芯して設けたことでさらに設置スペースの幅を狭くすることができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、試験弁の弁体を試験弁本体から着脱可能としたことで、前述の試験弁内にゴミが詰まった場合に容易に対応可能であることと、さらに試験弁内のパッキン等の止水部材の交換の際にも試験弁を流水検知装置から取り外すことなく交換作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による流水検知装置の斜視図。
【図2】図1の流水検知装置の正面図。
【図3】図1のターミナルボックスの内部構成を示す説明図。
【図4】図2のX−X断面図。
【図5】図1の流水検知装置の底面図。
【図6】図1の試験弁の断面図
【図7】ターミナルボックスの内部構成の詳細を示す説明図。
【図8】弁体回動検出手段をターミナルボックスに取り付ける際の分解図。
【図9】一実施形態による信号出力停止手段の外観図
【図10】図7のY−Y断面図(信号出力停止手段が装着された状態)。
【図11】図1のターミナルボックスの蓋を回動した際の俯瞰図。
【図12】図11のP部拡大断面図であり分図(a)は蓋を閉じた状態を示す図、分図(b)は蓋を回動させた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の流水検知装置において、流水検知装置本体の開口を塞ぐカバーは複数本のボルトによって本体に固定されるものであり、ボルトの設置位置は流水検知装置本体の軸より0度を越え90度まで傾いた位置に設けるもので、好ましくは10〜30度の位置に設けるとよい。
【0022】
上記構成に加え、軸上には圧力計の接続口を設けることが可能である。圧力計の接続口はフランジ側面から流水検知装置の内部へ貫通する穴としてもよい。
【0023】
また、流水検知装置の一次側に設けたボール弁構造の制御弁において、ボールが収容される空間と一次側配管とを連通可能な一次側流体通過手段として、ボールを前記空間内に保持する押さえ部材に前記空間と一次側配管内とを連通可能な穴または切欠きを形成することで構成してもよく、あるいは流水検知装置の内周面に前記空間と一次側配管内とを連通可能な穴または切欠きを形成することや、前記空間と一次側配管内とを連通可能なバイパスを設けること、さらに前記ボールに穿設されている通水路と垂直に交わる位置に穴を穿設することで構成してもよい。
【0024】
フランジの側面を切欠いて形成される平面は、一つのフランジに複数箇所設けてもよい。切欠いて形成された平面は、流水検知装置内部と連通する接続口や貫通穴を設けることが可能である。また平面に刻印を打つことも可能である。
【0025】
また、フランジの配管側との接続面にリング状の段を形成する場合、リングの直径はフランジのボルト穴にかからない程度の寸法にすることが好ましい。
【0026】
さらに上記構成に加えて、フランジのボルト穴内面に牝ネジを螺刻して設けてもよい。
【0027】
配管内の流水を検知して信号出力手段により出力される信号を外部に送信させない信号出力停止手段は、点検時のみ使用されるもので着脱可能とし、平時においてはターミナルボックス内に収納されることが好ましい。
【0028】
点検時において、信号出力停止状態を確実なものとするために信号出力停止手段がリミットスイッチとリミットスイッチ押圧手段の間の所定の位置に確実に設置されるようにリミットスイッチ等の近傍に信号出力停止手段のガイド部を設けておくことも可能である。
【0029】
点検終了後に信号出力停止手段の解除を確実なものとするため、信号出力停止手段を施した状態ではターミナルボックスの蓋が閉まらない構造とすることが好ましい。
【0030】
また、信号出力停止手段の紛失を防止するために、ターミナルボックス内に信号出力停止手段の収納スペースを設けたり、信号出力停止手段を糸や鎖でターミナルボックスや配管等に結わえてもよい。
【0031】
試験弁は点検時に開いて流水検知装置の機能を確認するのに使用されるが、長年使用しているうちに配管内のゴミが試験弁内に堆積することがある。よって試験弁の内部を清掃できるようにボンネットや弁体が着脱可能とし、内部を清掃可能な構成とすることが好ましい。
【0032】
流水検知装置を小型にするために試験弁も小型のものを使用することが好ましいが、所定の流量を放出させるためには試験弁の口径はある程度の大きさが必要であることから、流路が屈曲しているアングル弁構造の試験弁を用いることが好ましい。また、試験弁の開閉操作ハンドルは、流水検知装置の正面から見える位置にあるのが好ましい。
【0033】
一方、ハンドル位置が流水検知装置の本体からあまりにも離れた位置にあると、流水検知装置の設置幅が広くなってしまうので、試験弁が接続される流水検知装置本体の接続部を流水検知装置の軸からずらしてハンドル位置が適切な位置となるようにすることも可能である。
【0034】
以下、この発明の実施例1を図1から図12を参照して説明する。図1は本発明の流水検知装置の斜視図、図2は流水検知装置の正面図、図3はターミナルボックスの内部、図4は図2のX−X断面図、図5は流水検知装置の底面図、図6は試験弁の断面図、図7はターミナルボックスの内部構成図、図8は弁体回動検出手段をターミナルボックスに取り付ける際の分解図、図9は信号出力停止手段の外観図、図10は図7のY−Y断面図であり信号出力停止手段が装着された状態、図11はターミナルボックスの蓋を回動した際の俯瞰図、図12は図11のP部拡大断面図である。尚、図中において、各種スイッチ類と端子台を接続する信号線の図示は省略している。
【0035】
図1から5に示す流水検知装置は、本体1、弁体2、弁体回動検出手段3、制御弁4、ターミナルボックス5から構成されている。
【0036】
本体1は、筒状であり上下に配管と接続するためのフランジ6A、6Bが形成されている。フランジ6A、6Bは正面を除いた両側面と背面が直線上に切欠かれており、フランジ側面に平面部が形成されている。またフランジ6Bの正面と左側面の間には三角形状の段部6Cが設けられ、段部6C上の平面には刻印が打てるように構成されている。
【0037】
フランジ6A、6Bにおいて、配管と接続する面のボルト穴6Eより内側には、段部6Dが形成されており該段部6Dのリング状平面が配管側のフランジと接触する部分となる。段部6Dを設けたことによって、配管側のフランジと接触する面のみを切削加工すればよく、加工面積が減り作業効率の向上が図られるものである。
【0038】
本体1の内部は隔壁7によって一次側Iと二次側IIに分けられている。本体1の二次側IIにはメンテナンス用の開口8が形成されており、該開口8はカバー9によって閉塞されている。カバー9は複数本のボルト9Aによって本体1に設置されているが、ボルト9Aの位置は、図2に一点鎖線で示す本体1の中心軸よりも10〜30度傾いた位置に設けられている。
【0039】
本構造とすることで上下のフランジ6A、6Bの間の寸法が本体の中心軸上にボルトを設置した場合と比較して短縮することができるので軽量化が図れるものである。
【0040】
本体1内部の隔壁7には一次側Iと二次側IIとを連通する連通口が形成され、連通口上には円筒形状の弁座10が設置されている。弁座10の二次側IIの面には円盤状の弁体2が設置される。弁体2は周縁の一部に円筒状の軸受け部11が形成されており、該軸受け部11にヒンジピン12を挿通させて、弁体2が回動自在な構成となっている。
【0041】
ヒンジピン12は弁体2の回動と共に回る構造となっており、図示はしていないが軸受け部11に設けた溝に、ヒンジピン12の一端に形成された突起が噛合う構造となっている。ヒンジピン12の他端側は、本体1より外部に突出されており、ヒンジピン12の他端にはカム13が固定設置され、弁体回動検出手段3によって弁体2が開放した場合には信号が出力可能な構成となっている。
【0042】
弁体回動検出手段3の構造に関する詳細な説明は、特開2005−292113号に記載されているので説明は省略する。また、信号出力停止手段については後述する。
【0043】
本体1の二次側IIには、二次側II内部の水を外部に排出可能であり、流水検知装置の二次側に設置されるスプリンクラーヘッドのノズル放水量と同等な放出量である試験弁14が接続されている。試験弁14は本体1の背面から水平に外部に延びた水路15の末端に設けられている。水路15の末端はエルボ状に流路が屈曲しており、牝ネジが螺刻され試験弁接続部15Aが形成されている。
【0044】
水路15は末端側に向かって下り勾配が付けられていることが好ましい。試験弁14はアングル弁構造となっており、図1において試験弁接続部15Aとの接続部は水平であり、排水口16は下方に向いていることから、従来のようにエルボ等の継手を介して排水口16を下方に向ける手間を省くことができる。
【0045】
水路15は図5に示すように、流水検知装置の軸から少しずれた位置に突出して形成されている。位置をずらしたことで試験弁14のハンドル位置が流水検知装置に近い位置となり、流水検知装置の設置スペース幅を抑えることができる。
【0046】
試験弁14は前述のようにアングル弁構造をしている。図6に示す試験弁は流水検知装置との接続部が牡ネジ14Aとなっており、牡ネジ14Aから90°回転した位置に牝ネジが螺刻された排水口16が設けられている。牡ネジ14の内部には弁座14Bが形成され、弁座14B上に弁体14C、軸14D、ボンネット14Eが同軸上に設けられている。
【0047】
弁体14Cの弁座面側には止水部材14Fが組み込まれている。また弁座面と反対側は軸14Dに螺合される柱部が形成されている。軸14Dは棒状であり一端は前述の弁体14Cの柱部が螺入される牝ネジ14Gが形成されている。他端側はボンネット14Eを貫き試験弁14の外部に突出しており、端部にハンドルが固定設置されている。
ボンネット14Eは試験弁14本体に螺合されており、着脱可能な構成となっている。
【0048】
排水口16の内部にはオリフィス14Hが形成されている。該オリフィス14Hによってスプリンクラーヘッドのノズルの放出量と同等な放出量が確保される。
【0049】
制御弁4は本体1の一次側I内に設置される。一次側Iには通水路21Aが形成されたボール21が収容される空間22が形成されている。空間22の弁体側には、ボール21を受けるシートリング23が設けられており、対向する一次側フランジ6A側にも同様にシートリング24が設置されている。シートリング24は、リング状で外周面に牡ネジが螺刻されたシートキャップ25の内周面側に形成された段部に26に嵌め入れられており、シートキャップ25の牡ネジは空間22の下部内壁に形成された牝ネジ部27と螺合されている。
【0050】
空間22の牝ネジ部27には、図5に示すように切欠き28が形成されており、一次側フランジ6側から空間22に一次側配管内の水が空間22へ連通可能な構造となっている。さらに空間22には本体1のカバー9が設けられている正面へと通じる穴29が穿設されており、穴29には図示しない圧力計が接続され、一次側配管の圧力を計測することができる。
【0051】
ボール21は本体1の外部に設置されたハンドル30によりボール21を回転可能であり、図1に示すようにハンドル30が立った状態にあるときはボール21の通水路21Aによって一次側配管から弁体2の間が連通可能となり(図4の状態)、ハンドル30がカバー側に90度回動され倒れた状態にあるときはボール21は90度回転して通水路21Aが空間22の内壁側に位置する。空間22内の水はシートリング23により止水されるので一次側配管から弁体2の間は水が不通となる。
【0052】
ハンドル30とボール21はステム31によって接続されているが、ステム31はフランジ6Aの右側面から空間22の間に肉盛りされた凸部32を貫通して設置されている。
【0053】
ターミナルボックス5は、前述の弁体回動検出手段3が内部に収容され、さらに流水検知装置からの信号を図示しない管理室等に設置されている監視装置に伝えるための信号線が接続される端子台41が設けられている。端子台41は、端子台41の側面に結線部が設けられており結線部の接続穴42に信号線を差し込んで接続する構造のものが用いられている。これによって信号線を本体1の正面側から接続穴42へ差し込むことができ、ターミナルボックス5の幅を短縮することができる。
【0054】
ターミナルボックス5は、筐体51、蓋52から構成される。蓋52は1本のネジNで筐体51に固定されている。内部には複数の仕切りが形成されており、筐体51内を区画割りしている。図7に筐体51の内部構成を示す。図中、左側が流水検知装置の正面側であり、右側が背面側となる。筐体51内は仕切り53によって大きく2つの区画に分けられている。
【0055】
仕切り53の上下には円筒部54、54が形成されており、該円筒部54に端子台41を固定設置するためのビスが螺入される。仕切り53および円筒54は所定の高さを有しており、端子台41は筐体51の流水検知装置との接続面55から、ある程度の空間を隔てて筐体51内に設置される。
【0056】
仕切り53より右側には、前述の弁体回動検出手段3が設置される。弁体回動検出手段3と仕切り53の間には、開口56が設けられ、該開口56からヒンジピン12が筐体51内に突出された状態となる。ヒンジピン12の端には円盤を切り欠いた形状のカム13が固定設置されている。
【0057】
カム13の円弧部13A付近には略く字型のレバー57の一端が接触している。レバー57は屈曲部付近で軸支されており回動可能な構成となっている。レバー57の他端は、弁体回動検出手段3に含まれるリミットスイッチ押圧手段58を係止している。
【0058】
弁体回動検出手段3内には信号出力手段としてのリミットスイッチ59が含まれており、該リミットスイッチ59によって弁体が開放した際に信号を出力可能な構成となっている。具体的には、流水検知装置の弁体2が開放すると、弁体2とともに回動するヒンジピン12の先端に固定設置されたカム13も回動する。カム13の回動によりカム13の円弧部13Aがレバーに接触し、レバー57も図中点線で示すように回動してリミットスイッチ押圧手段58の係止が解除される。
【0059】
リミットスイッチ押圧手段58はレバー57の係止が解除されたことにより、リミットスイッチ59の方向に移動してリミットスイッチ59のボタンを押すことでリミットスイッチ59から電気信号が送られるものである。
【0060】
図8に示すようにリミットスイッチ押圧手段58およびリミットスイッチ59を含む弁体回動検出手段3はユニットとして筐体51内に設置されるが、リミットスイッチ押圧手段58およびリミットスイッチ59等を筐体51の所定位置に設置する支持板60により弁体回動検出手段3が筐体に設置される。
【0061】
支持板60には筐体51の台座に載置される複数の脚61が支持板60を屈曲させて設けられている。また、レバー57の軸受け部や弁体回動検出手段3および支持板60を筐体51に設置するためのネジ孔等が設けられている。さらに、リミットスイッチからの信号を外部に出力させない手段である信号出力停止手段62を装着するためのガイド63が形成されている。
【0062】
ガイド63は、支持板60の脚61を形成するために屈曲前の脚61周辺を切り抜いて形成された開口部の縁に凹状の切欠きを形成したものである。尚、弁体回動検出手段3の表面にもガイド63と同じ位置に開口が形成されており、リミットスイッチ59の一部が露出している。該開口から信号出力停止手段62がリミットスイッチ押圧手段58とリミットスイッチ59の間に装着できるようにしている。
【0063】
ガイド63に装着される信号出力停止手段62は図9に示すように棒状であり、ガイド63の奥に挿入される信号停止部62A、中間部に設けられた係止部62B、信号出力停止手段62を手で掴む把持部62Cから構成される。信号停止部62Aの軸と把持部62Cの軸は偏芯しており、係止部62Bには段が形成されている。
【0064】
信号停止部62Aの断面形状はガイド63の切欠き形状と略同じ形をしており、ガイド63に沿ってガイド63の奥に挿入可能である。図10に示すリミットスイッチ押圧手段58は矢印方向に付勢されているが、レバー57によって矢印方向への動きを阻止されている。信号停止部62Aをガイド63の奥に挿入すると、信号停止部62Aはリミットスイッチ押圧手段58とリミットスイッチ59の間に介在され、レバー57の係止が解除されてもリミットスイッチ押圧手段58がリミットスイッチ59側へ移動することを阻止する。
【0065】
係止部62Bの段は、信号停止部62Aをガイド63の奥に挿入した状態で段がリミットスイッチ59の表面に接触する。また把持部62Cは信号出力停止手段62がガイド63に装着された状態で筐体51の外部にはみ出る程の長さを有しており、この状態においては蓋52を閉じられない構成になっている。
【0066】
信号出力停止手段62は、図7の二点鎖線で示すように常時は筐体51内の収納部64に設置されている。
【0067】
仕切り53より左側の空間には点検スイッチ65が設置される。該空間は、施工現場にて端子台に結線を行うためのスペースである為、点検スイッチ以外の構成品は仕切り53より右側の空間に配置されている。
【0068】
図11に示す筐体51は箱型で流水検知装置の正面側の面と右側面が開口となっている。対して蓋52は前述の開口を塞ぐ略L字型に屈曲した板状となっている。筐体51と蓋52の接触部である縁には段部が形成されており、筐体51の段部71Aの外面と、蓋52の段部71Bの内面が重なり面接触する構造となっている。
【0069】
図12は図11のP部拡大断面図である。筐体51の背面側の段部は外部に突出して形成された回動軸部72が形成されており、角部に面取り73が施されている。該回動軸部72に対応する蓋52側には断面コ字型の軸受け部74が形成されており、軸受け部74の内面側にも角部を切欠いた逃げ部75が施されている。
【0070】
回動軸部72の面取り73および軸受け部74の面取り75によって、蓋52は所定角度まで回動可能され、回動後に蓋52を背面方向に移動させることで蓋52を筐体51から取り外すことができる。
【0071】
以上の実施形態から発明として把握することのできる技術的思想の例を列挙する。
【0072】
流水検知装置の開口8を塞ぐカバー9を固定するボルト9Aの位置を、流水検知装置の軸から傾けて設けることで、軸上にボルト位置を設置した場合と比較して、上下のフランジ6A,6Bの間の寸法を短縮することができる。
【0073】
流水検知装置の一次側に形成されたボール21を収容する空間22と、流水検知装置の一次側に接続される配管(以下、「一次側配管」という)内の流体を前記空間22に通過可能な一次側流体通過手段としての切欠き28を設けたことで、一次側配管内の流体の圧力を検知するために前記空間22に連通している穴29に圧力計を接続することで検知可能な構成となる。これによってボール21を収容する空間22内が一次側配管内の流体圧力と等しくなり、前記空間へ通じる穴29に圧力計を設置することで一次側配管内の流体の圧力を測定することができる。
【0074】
本体1はフランジ6A,6Bの周縁の一部を切欠いたことで軽量化が図られ、さらに切欠きによってフランジ6A,6Bの側面に平面が形成され該平面部分に圧力計の接続口や、制御弁4の弁軸となるステム31を突出させてハンドル30を設けることができる。
【0075】
流水検知装置に刻印が打ちやすい位置としてフランジ6Bの周縁に刻印用台座としての段部6Cを設けたものであり、刻印の打刻作業を効率的に行えるものである。
【0076】
フランジ6A,6Bのボルト穴6Eを牝ネジとすることで、配管側のフランジ穴にボルトを通して流水検知装置のフランジ6A,6Bの牝ネジ6Eに螺合させることで流水検知装置が配管と接続できる。従来のように配管側のフランジのボルト穴と流水検知装置のフランジのボルト穴にボルトを貫通させてナットで締結する場合と比較して、ナットが不要となりまたボルトの長さもナットと螺合する部分が不要となることから短縮できる。
【0077】
流水検知装置の弁体2が開放する際の変位により流水を検知して信号が出力される信号出力手段59が設けられた流水検知装置に、信号出力停止手段62を設けたことで流水検知装置の点検の際に信号を外部に出力させないことが可能になる。
【0078】
信号出力手段59がリミットスイッチ59であり、信号出力停止手段62はリミットスイッチ59とリミットスイッチ押圧手段58の間に設置されるもので、装着時は信号出力停止手段62の一部がターミナルボックス5の外部に突出されることから、ターミナルボックス5の蓋52が閉じられない状態となり、信号出力停止手段62の取外し忘れを防止できるものである。
【0079】
また、信号出力停止手段62に信号出力停止手段62を所定位置へ係止可能な係止部62Bを設け、さらにターミナルボックス5におけるリミットスイッチ59とリミットスイッチ押圧手段58の近傍に、信号出力停止手段をリミットスイッチとリミットスイッチ押圧手段の間に設置可能な信号出力停止手段62の設置箇所を定めたことで、信号出力停止手段62を正しい位置に装着可能であり、装着時は係止された状態となるので信号出力停止手段62が所定の位置に安定して装着される。
【0080】
信号出力停止手段62を紛失してしまうと点検の際に代用品を準備する等の手間が発生することから、筐体51には紛失防止手段としての収納部64が設けられる。
【0081】
流水検知装置に設置される試験弁14をアングル弁構造としたことで、試験弁14の設置高さを短縮できる効果を有する。さらにボンネット14Eを着脱可能としたことで、試験弁14にゴミが詰まった場合にも試験弁14を流水検知装置から取り外すことなくボンネット14Eを取り外して試験弁14内部のゴミを容易に除去できる。
【0082】
流水検知装置の本体1から外部に突出する水路15(試験弁接続部15A)をエルボ状に形成したことで、試験弁14を管継手を介さずに直接接続可能とした。また流水検知装置の後方に試験弁接続部15A(水路15の末端)を設けたことで、流水検知装置の設置スペースの幅を狭くすることが可能となる。さらに試験弁接続部15Aを流水検知装置の軸から偏芯して設けたことでさらに設置スペースの幅を狭くすることができる。
【0083】
試験弁14の弁体14Cを試験弁本体から着脱可能としたことで、前述の試験弁14内にゴミが詰まった場合に容易に対応可能であることと、さらに試験弁14内のパッキン等の止水部材14Fの交換の際にも試験弁14を流水検知装置から取り外すことなく交換作業ができる。
【0084】
ターミナルボックス5の蓋52をウイング状に回動させて取外し可能とし、蓋52が閉じた状態において蓋52側の段部71Bの内面と筐体51側の段部71Aの外面とを面接触させたことによりターミナルボックス5内に水が浸入しにくい構造としたものである。
【0085】
ターミナルボックス5の蓋52の一辺に軸受け部74を設け、該辺に対応する筐体51の側の辺には外部に突出しており軸受け部74にて回動支持される回動軸部72を設け、ターミナルボックス5の蓋52の軸受け部74の断面形状が、前記回動軸部72を囲うコ字状に形成されており、軸受け部74の内側には角部を切り欠いた逃げ部75を設けることで、蓋52がスムーズに回動可能であり、取外しも容易に行うことができるものである。
【0086】
ターミナルボックス5の蓋の固定を1本のネジNで行うことにより、蓋52の開閉にかかる作業の効率化が図られる。
【符号の説明】
【0087】
1 本体
2 弁体
3 弁体回動検出手段
4 制御弁
5 ターミナルボックス
6A、6B フランジ
9 カバー
12 ヒンジピン
13 カム
14 試験弁
21 ボール
22 空間
23、24 シートリング
25 シートキャップ
30 ハンドル
31 ステム
41 端子台
51 ターミナルボックス筐体
52 ターミナルボックス蓋
58 リミットスイッチ押圧手段
59 リミットスイッチ
60 支持板
62 信号出力停止手段
63 ガイド
65 点検スイッチ
71A、71B 段部
72 回動軸部
74 軸受け部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火設備配管上に設置される本体に、配管内の流水を検知して信号が出力される信号出力手段が設けられており、さらに二次側に設置されるスプリンクラーヘッドのノズル放出量と同等な放出量である試験弁が本体に設置されている流水検知装置において、
前記本体には外部に突出する水路が形成されており、
前記試験弁は流路が屈曲するアングル弁構造であり、その一端が前記水路の末端に接続されることを特徴とする流水検知装置。
【請求項2】
前記水路がエルボ状に屈曲されている請求項1記載の流水検知装置。
【請求項3】
前記水路を流水検知装置の後方に設ける請求項1記載の流水検知装置。
【請求項4】
前記水路の本体側端部を本体の軸から偏芯して設ける請求項1記載の流水検知装置。
【請求項5】
前記試験弁は牡ネジによって前記水路と接続される請求項1記載の流水検知装置。
【請求項6】
前記試験弁の弁体は試験弁本体から着脱可能である請求項1記載の流水検知装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−297585(P2009−297585A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230389(P2009−230389)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【分割の表示】特願2009−538908(P2009−538908)の分割
【原出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000199186)千住スプリンクラー株式会社 (87)
【Fターム(参考)】