説明

流路チップ、送液装置、及び送液システム

【課題】液体の前進および停止を任意のタイミングで制御することが可能な、コンパクトな流路チップ100を提供する。
【解決手段】流路チップ100は、第1開放路112、第2開放路113、第1導入路102、第1合流路103、及び、第1交差位置と第2交差位置との間、あるいは、第2交差位置に配設され、第1導入路102および第1合流路103から流路114へ導入される液体の流れを制御するバルブ141を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の前進および停止を任意のタイミングで制御することが可能な、コンパクトな流路チップ、送液装置、及び送液システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院のベッドサイドや家庭内などの患者に近いところで実施される臨床検査POCT(Point Of Care Testing)に対する関心が高まっている。POCTであれば、検査結果を迅速に患者の治療に活かすことができるとともに、質の高い治療を患者に提供することができる。そのため、POCTを実施するためには、簡便な操作によって迅速な分析を行うことが可能な小型の分析装置が必要となる。
【0003】
ここで、医療分野、生化学分野、アレルゲンなどの測定を行う必要がある分野等において広く使用される分析方法として免疫分析法がある。従来の免疫分析法は、実施に際して大型の機器を必要とする。また、免疫分析法は、操作が煩雑であるため、分析に1日以上の時間を必要とする。このため、従来の免疫分析法をPOCTに適用することはできない。
【0004】
この問題を解決するために、近年、基板中に横断面の小さな流路(例えば、マイクロメートルオーダー)を形成するとともに、当該流路内に抗体等を固定化したチップ(例えば、マイクロ分析チップ)が開発され、実用化されつつある。
【0005】
上記チップは、検体等を含む液体をチップ内の反応部や検出部へ導くとともに、当該液体を反応部や検出部の下流側へ送液するための送液手段を備えている必要がある。
【0006】
このようなチップに使用可能な送液手段としては、マイクロポンプを利用する送液手段を挙げることができる。例えば、特許文献1は、微細加工技術を用いて、装置内にマイクロポンプを組み込む技術を開示している。マイクロポンプを用いれば、確実な送液が行える。
【0007】
一方、多数のポンプを設けずに、流路と液体との間に生じる毛細管現象(界面張力)を利用し、できるだけ簡素な構造で実現できる送液手段も用いられている。これらの方式は、ポンプを必要としないため、特許文献1に記載の技術と比較して、チップのコンパクト化を図り易いという利点がある。
【0008】
例えば、特許文献2は、流路の下流側に設置された吸収体(例えば、多孔質体など)の液体吸収能力を利用して、チップに対して送液を行う技術を開示している。また、特許文献3は、流路を2つに分岐させ、一方の流路で液体を停止させ、もう一方の流路から流れてきた液体と合流させることで送液を再開させる技術を開示している。また、特許文献4は、毛細管現象によって送液する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−128906号公報(2008年6月5日公開)
【特許文献2】特開2001−88096号公報(2001年4月3日公開)
【特許文献3】特開2004−225912号公報(2004年8月12日公開)
【特許文献4】特開2006−220606号公報(2006年8月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、チップを用いて分析を行うには、流路内で所定の反応などを行わせる必要がある。そのためには、サンプル液、反応用溶液、洗浄用溶液および検出用溶液などの複数種類の液体を、各溶液に応じた様式にて流路内を移動させることが必要である。
【0011】
例えば、サンプル液および反応用溶液に関しては、反応を十分に進行させるために、反応を生じさせる領域で流れを一時的に停止または減速させることが好ましい。洗浄用溶液に関しては、洗浄効果を高めるため、または他の液を希釈させないために、反応を生じさせる領域や検出を行う領域の外へ流し出すことが好ましい。
【0012】
この点、特許文献1に記載の技術は、マイクロポンプを用いて確実な送液制御を行う技術を開示しているものの、チップ内へマイクロポンプを組み込むために高度で複雑な加工技術を必要とするという問題点を有する。また、特許文献1に記載の技術は、チップ内にマイクロポンプを収容するためのスペースが必要であるとともに、チップ内にマイクロポンプを駆動するための様々な構成を収容するためのスペースが必要である。そのため、特許文献1に記載の技術は、チップのコンパクト化を図り難いという問題点を有する。
【0013】
また、特許文献2に記載の吸収体を用いる流路チップでは、液体の前進および停止を制御することができない。吸収体を用いた従来の送液技術は、分析操作者の意図に関わりなく、流路から液体が流去してしまったり、流路内に液体が溜まったりする。そのため、特許文献2の流路チップは、反応や測定を安定に行い難いという問題点を有する。
【0014】
また、特許文献3に記載の技術は、二つに分かれた流路での液体の移動に時間差を設けることで、液体を一定時間停止させている。しかしながら、特許文献3に記載の技術は、液体が停止する時間が設計した流路形状に依存しており、任意の時間の間、液体を停止することができない。また、停止時間が送液に必要な時間と比較して長い場合は、流路の設計が困難である。
【0015】
特許文献4に記載の技術は、エレクトロウエッティングバルブを用いるため、液体の流れの停止および前進の制御を一回しか行うことができず、停止から前進へ制御した後に再び液体の流れを停止させるといった複雑な制御ができない。従って、特許文献4に記載された装置を用いて液体の流れの停止および前進の制御を複数回行う場合は、装置またはエレクトロウエッティングバルブを複数個用いる必要があり、やはり、コンパクト化を図り難いという問題点は解決されない。
【0016】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、液体の前進および停止を任意のタイミングで制御することが可能な、コンパクトな流路チップ等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る流路チップは、上記の課題を解決するために、液体が注入される主流路を基板中に有する流路チップであって、大気開放され、かつ、上記主流路の一端側に連通する、上記基板中に形成された第1開放路と、大気開放され、かつ、上記主流路の他端側に連通する、上記基板中に形成された第2開放路と、上記主流路に連通し、上記主流路に液体を導入することが可能な第1導入路と、上記第1導入路と上記第1開放路との間で上記主流路に連通し、上記主流路に液体を導入することが可能な第2導入路と、上記主流路内であって、上記主流路と上記第1導入路とが交差する第1交差位置と上記主流路と上記第2導入路とが交差する第2交差位置との間、あるいは、上記第2交差位置に配設され、上記第1導入路および上記第2導入路から上記主流路へ導入される液体の流れを制御する第1液体制御部と、を備えることを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、たとえば第1導入路および第2導入路に液体が充填されると、第2導入路に充填された液体を第1液体制御部により停止させ、第1導入路に進入した液体を主流路に進入させることができる。このとき、主流路に進入した液体は、外気に開放された第1開放路および第2開放路に分かれて進み、第1開放路側へ進んだ液体は第1液体制御部により停止する。一方、第2開放路側へ進んだ液体を、水頭圧の低下と流路内の抵抗により設定した位置で停止させることができる。
【0019】
この状態において、任意のタイミングで第1液体制御部を動作させると、第2導入路からの液体と第1導入路からの液体とが合流する。そして、第1導入路から導入された液体は第2導入路からの液体の自重および水頭圧により、再び主流路を進む。
【0020】
このように、上述した制御を一例として、第1液体制御部の動作によって、移動を停止していた液体を再び任意のタイミングで移動させることができ、液体の前進および停止を複雑に制御することができる。
【0021】
さらに、本発明に係る流路チップは、主流路内であって、上記主流路と上記第1導入路とが交差する第1交差位置と上記主流路と上記第2導入路とが交差する第2交差位置との間、あるいは、上記第2交差位置に配設され、上記第1導入路および上記第2導入路から上記主流路へ導入される液体の流れを制御する第1液体制御部を備える構成である。
【0022】
したがって、流露チップに第1液体制御部を組み込むために高度で複雑な加工技術を必要とせず、コンパクトな流路チップ等を実現することができる。
【0023】
このように、本発明に係る流路チップは、液体の前進および停止を任意のタイミングで制御することが可能な、コンパクトな流路チップを提供することができる。
【0024】
また、本発明に係る流路チップでは、上記第1液体制御部は、エレクトロウェッティングバルブであってよい。
【0025】
上記構成によれば、エレクトロウェッティングバルブによって、つまり、外部からの電気信号によって、上記主流路内の液体の流れが制御される。
【0026】
それゆえ、第1液体制御部を簡易な構成で実現することができる。
【0027】
また、本発明に係る流路チップでは、上記第1液体制御部は、液体の流れを光の照射によって制御する光バルブである構成であってよい。
【0028】
上記構成によれば、上記第1液体制御部は、光バルブによって実現できる。したがって、外部からの光の照射によって親疎水性が変化する領域を光バルブとし、その光バルブを光の照射で作動させることができる。
【0029】
それゆえ、第1液体制御部を簡易な構成で実現することができる。
【0030】
また、本発明に係る流路チップは、上記第2開放路の内部または近傍に、上記主流路内を流れる液体を吸収する吸収体を有する構成であってよい。
【0031】
上記構成によれば、本発明に係る流路チップは、主流路内の液体を吸収体に吸収させ、主流路内の液を排出(吸収)することができる。
【0032】
これにより、本発明に係る流路チップは、極めてコンパクトに、液体の排出を含む液体の前進および停止を任意のタイミングで制御することができる。
【0033】
また、本発明に係る流路チップは、上記第1導入路から上記主流路への液体の流れを遮断する第1遮断部を備える構成であってよい。
【0034】
上記構成によれば、主流路内に導入する液体を予め第1導入路および第2導入路に導入(注入)したうえで、2つ以上の液体の前進および停止を、任意のタイミングで、かつ、より多様なバリエーションで制御することができる。
【0035】
また、本発明に係る流路チップでは、上記第1遮断部は、気泡を発生させる第1気泡発生部と、発生した気泡の上記主流路への流入を防止する第1流入防止部と、を含む構成であってよい。
【0036】
上記構成によれば、第1気泡発生部が気泡を発生させることで液体を分断でき、さらに、その気泡を、第1流入防止部によって停止させることができる。
【0037】
それゆえ、本発明に係る流路チップは、主流路内への気泡の進入を防止しつつ、主流路への液体の流入を停止させることができる。
【0038】
また、本発明に係る流路チップでは、上記第1流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を防止する、複数の柱状ピラーである構成であってよい。
【0039】
また、本発明に係る流路チップは、上記第1流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を、流路面積の狭窄、あるいは、流路面積の拡大により防止する構成であってよい。
【0040】
また、本発明に係る流路チップは、上記第1流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を、流路の接触角度変化、あるいは、流路の表面粗さ変化により防止する構成であってよい。
【0041】
上記各構成によれば、第1気泡発生部が発生させた気泡により生じる気体と液体との界面張力が、第1流入防止部において、他の部分よりも効果的に働かせることができる。つまり、上記各構成によって、主流路内への気泡の進入を防止しつつ、主流路への液体の流入を停止させることができる。
【0042】
また、本発明に係る流路チップは、上記第1遮断部は、電気、熱、光、磁力、および外力の少なくとも何れかによって上記主流路を変形させる構成であってよい。
【0043】
上記構成によれば、電気、熱、光、磁力、および外力の少なくとも何れかによって主流路自体を単純に変形させて主流路内の液を封鎖できるため、上記第1導入路から上記主流路への液体の流れを容易に遮断することができる。
【0044】
上記第1導入路および上記第2導入路は、上記主流路に液体を導入する共通の第1液体導入口を有する構成であってよい。
【0045】
上記構成によれば、上記第1導入路および上記第2導入路に導入される液体を共通化することができる。
【0046】
また、本発明に係る流路チップは、上記第1開放路と上記第2導入路との間に、さらに、上記主流路に連通し、上記主流路に液体を導入することが可能な第3導入路と、上記第3導入路と上記第1開放路との間で上記主流路に連通し、上記主流路に液体を導入することが可能な第4導入路と、上記主流路内であって、上記主流路と上記第3導入路とが交差する第3交差位置と上記主流路と上記第4導入路とが交差する第4交差位置との間、あるいは、上記第4交差位置に配設され、上記主流路における液体の流れを制御する第2液体制御部と、を備える構成であってよい。
【0047】
上記構成によれば、例えば次のような液体の流れの制御が可能となる。
【0048】
まず、第2合流路に導入された液体を第1液体制御部により停止させ、第4導入路に導入された液体を第2液体制御部により停止させることができる。その一方で、第1導入路に導入された液体を、液体の自重や表面張力の作用により主流路に進入させる。
【0049】
このとき、主流路に進入した液体は、外気に開放された第1開放路および第2開放路に分かれて進み、第1開放路側へ進んだ液体は、第1液体制御部により停止する。一方、第2開放路側へ進んだ液体を、設定した位置で停止させる。
【0050】
その後、任意のタイミングで第1液体制御部を動作させると、第2合流路の液体と主流路内の液体とが合流する。そして、主流路内の液体は、第2合流路からの液体の自重および水頭圧により、再び主流路内を進む。
【0051】
次に、主流路内を進んだ液体が吸収体に達すると、吸収体が液体を吸収し主流路内の液が排出される。
【0052】
そして、任意のタイミングで第3導入路に液体を導入すると、液体は主流路に進入する。その液体は、外気に開放された第1開放路側および第2開放路側に分かれて進み、第1開放路側へ進んだ液体は第2液体制御部により停止する。そして、第2開放路側へ進む液体は、設定した位置で停止しうる。
【0053】
続いて、任意のタイミングで第2液体制御部を動作させると、第4導入路の液体と主流路の液体が合流する。次に、主流路の液体は、第4導入路からの液体の自重および水頭圧により、再び主流路内を進む。そして、主流路内を進む液体が吸収体に達すると、吸収体が液体を吸収し、主流路内の液体が排出される。
【0054】
このように、流路チップは、上述した制御を一例として、移動を停止していた2つ以上の液体を再び任意のタイミングで移動させ、移動後の液体を排出させることができる。
【0055】
ここで、第2液体制御部は、第1液体制御部と同一のプロセスで作製できるものであり、外部からの電気信号によって第2液体制御部を作動させることもできるため、簡易な構成により本発明に係る流路チップを実現することができる。
【0056】
また、本発明に係る流路チップは、上記第2液体制御部は、エレクトロウェッティングバルブである構成であってよい。
【0057】
上記構成によれば、エレクトロウェッティングバルブによって、つまり、外部からの電気信号によって、上記主流路内の液体の流れが制御される。
【0058】
それゆえ、第1液体制御部を簡易な構成で実現することができる。
【0059】
また、本発明に係る流路チップは、上記第2液体制御部は、液体の流れを光の照射によって制御する光バルブである構成であってよい。
【0060】
上記構成によれば、上記第1液体制御部は、光バルブによって実現できる。したがって、外部からの光の照射によって親疎水性が変化する領域を光バルブとし、その光バルブを光の照射で作動させることができる。
【0061】
それゆえ、第1液体制御部を簡易な構成で実現することができる。
【0062】
また、本発明に係る流路チップは、上記第3導入路から上記主流路への液体の流れを遮断する第2遮断部を備える構成であってよい。
【0063】
上記構成によれば、主流路内に導入する液体を予め第3導入路および第4導入路に導入(注入)したうえで、第1動作制御部との協働により、2つ以上の液体の前進および停止を、任意のタイミングで、かつ、より多様なバリエーションで制御することができる。
【0064】
また、本発明に係る流路チップは、上記第2遮断部は、気泡を発生させる第2気泡発生部と、発生した気泡の上記主流路への流入を防止する第2流入防止部と、を含む構成であってよい。
【0065】
上記構成によれば、第2気泡発生部が気泡を発生させることで液体を分断でき、さらに、その気泡を、第2流入防止部によって停止させることができる。
【0066】
それゆえ、本発明に係る流路チップは、主流路内への気泡の進入を防止しつつ、主流路への液体の流入を停止させることができる。
【0067】
また、本発明に係る流路チップは、上記第2流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を防止する、複数の柱状ピラーである構成であってよい。
【0068】
また、本発明に係る流路チップは、上記第2流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を、流路面積の狭窄、あるいは、流路面積の拡大により防止する構成であってよい。
【0069】
また、本発明に係る流路チップは、上記第2流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を、流路の接触角度変化、あるいは、流路の表面粗さ変化により防止する構成であってよい。
【0070】
上記各構成によれば、第2気泡発生部が発生させた気泡により生じる気体と液体との界面張力が、第2流入防止部において、他の部分よりも効果的に働かせることができる。つまり、上記各構成によって、主流路内への気泡の進入を防止しつつ、主流路への液体の流入を停止させることができる。
【0071】
また、本発明に係る流路チップは、上記第2遮断部は、電気、熱、光、磁力、および外力の少なくとも何れかを用いる構成であってよい。
【0072】
上記構成によれば、電気、熱、光、磁力、および外力の少なくとも何れかによって主流路自体を単純に変形させて主流路内の液を封鎖できるため、上記第1導入路から上記主流路への液体の流れを容易に遮断することができる。
【0073】
また、本発明に係る流路チップは、上記第3導入路および上記第4導入路は、上記主流路に液体を導入する共通の第2液体導入口を有する構成であってよい。
【0074】
また、本発明に係る流路チップは、上記主流路に液体が存在するかどうかを検知する少なくとも1つの検知手段を備える構成であってよい。
【0075】
上記構成によれば、検知手段によって主流路内への液の有無を検知することができ、液体の位置を把握することができる。さらに、検知手段が複数存在すれば、より正確に液体の位置を把握することができる。
【0076】
また、本発明に係る流路チップは、上記検知手段は、2つの以上の電極を有しており、その電極間に電圧を印加したときの、当該電極間で変化する電流値変化、あるいは、インピーダンス変化を検知することによって、上記主流路内に液体が存在するかどうかを検知する構成であってよい。
【0077】
上記構成によれば、主流路内への液の有無を電気的な信号として検知することができ、より簡易かつ正確に検知手段を提供することができる。
【0078】
また、本発明に係る流路チップは、上記主流路内に、上記主流路を流れる液体中に含まれる特定物質の含有量を検出する検出手段を備える構成であってよい。
【0079】
上記構成によれば、上記主流路内で液体中に含まれる特定物質の含有量を検出することができ、外部での検出の手間を省くことができる。
【0080】
また、本発明に係る流路チップは、上記主流路を流れる液体中に含まれる特定の物質に対して所定の反応を生じさせるための反応手段を備える構成であってよい。
【0081】
上記構成によれば、上記主流路内で所定の反応を生じさせることができ、外部での反応工程を省略することができる。
【0082】
また、本発明に係る送液装置は、上記何れかの流路チップに送液する送液装置であって、
上記流路チップが、上記主流路に液体が存在するかどうかを検知する少なくとも1つの検知手段を備えるときに、
上記検知手段が検知した信号に基づいて、上記第1遮断部の動作を制御する第1遮断動作制御手段を備える構成であってよい。
【0083】
また、本発明に係る送液装置は、上記何れかに記載の流路チップに送液する送液装置であって、上記流路チップが、上記主流路に液体が存在するかどうかを検知する少なくとも1つの検知手段を備えるときに、上記検知手段が検知した信号に基づいて、上記第2遮断部の動作を制御する第2遮断動作制御手段を備える構成であってよい。
【0084】
上記構成によれば、本発明に係る送液装置は、第1および第2遮断動作制御手段流路チップの検知手段と協働して、流路チップの第1(第2)遮断部を動作させることができ、より的確な流路チップの制御を実現することができる。
【0085】
また、本発明に係る送液システムは、上記何れかに記載の流路チップと、上記送液装置とを含む構成であってよい。
【0086】
上記構成によれば、本発明に係る送液システムは、上記流路チップおよび上記送液装置を含むため、液体の前進および停止を任意のタイミングで制御することが可能な、コンパクトな流路チップを有するシステムを実現することができる。
【発明の効果】
【0087】
本発明に係る流路チップは、以上のように、大気開放され、かつ、上記主流路の一端側に連通する、上記基板中に形成された第1開放路と、上記第1開放路とは異なる通液路であって、大気開放され、かつ、上記主流路の他端側に連通する、上記基板中に形成された第2開放路と、上記主流路に連通し、上記主流路に液体を導入することが可能な第1導入路と、上記第1導入路と上記第1開放路との間で上記主流路に連通し、上記主流路に液体を導入することが可能な第2導入路と、上記主流路と上記第2導入路とが交差する位置に配置され、上記主流路における、上記第1導入路および上記第2導入路から上記主流路へ導入される液体の流れを制御する第1液体制御部と、を備える構成である。
【0088】
それゆえ、液体の前進および停止を任意のタイミングで制御することが可能な、コンパクトな流路チップ等を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施の形態に係る流路チップの平面図である。
【図2】本実施の形態に係る流路チップの概略断面図である。
【図3】本実施の形態に係る送液システムの概略ブロック図を示す。
【図4】本実施の形態に係る流路チップでの液体の流れを説明するための図である。
【図5】他の実施の形態に係る流路チップの平面図である。
【図6】他の実施の形態に係る流路チップの断面図である。
【図7】他の実施の形態に係る流路チップでの液体の流れを説明するための図である。
【図8】さらに他の実施の形態に係る流路チップの平面図である。
【図9】さらに他の実施の形態に係る流路チップでの液体の流れを説明するための図である。
【図10】さらに他の実施の形態に係る流路チップでの液体の流れを説明するための図である。
【図11】さらに他の実施の形態に係る流路チップの平面図である。
【図12】さらに他の実施の形態に係る流路チップでの液体の流れを説明するための図である。
【図13】さらに他の実施の形態に係る流路チップでの液体の流れを説明するための図である。
【図14】さらに他の実施の形態に係る流路チップの平面図である。
【図15】トラップ部としての柱状のピラーを示す図である。
【図16】トラップ部としての第1導入路内の狭窄部を示す図である。
【図17】トラップ部としての表面粗さの異なる領域の例を示す図である。
【図18】トラップ部としてのピラーおよび狭窄部の例を示す図である。
【図19】さらに他の実施の形態に係る流路チップでの液体の流れを説明するための図である。
【図20】さらに他の実施の形態に係る流路チップの平面図である。
【図21】さらに他の実施の形態に係る流路チップの平面図である。
【図22】さらに他の実施の形態に係る流路チップの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態に係る送液システム、流路チップ、及び送液装置について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また、後述する各実施の形態によって得られる効果も、同一の効果については説明を繰り返さない。
【0091】
まず、本願発明に係る送液システム1を図3により説明する。図3は、送液システム1の概略ブロック図を示す。図示するように、送液システム1は、少なくとも、流路チップ100、及び送液装置200を備える。なお、送液システム1は、流路チップ100の代わりに、後述する流路チップ130等の流路チップを備えていてもよい。
流路チップ100等は、環境中の微粒子量、血液、唾液、尿中に含まれている特定の成分(例えば抗原、抗体、酵素、基質、サイトカイン等)に関連する物理量を計測することが可能なチップである。送液装置200は、流路チップ100が各種計測に必要とする検液等を、流路チップ100に供給するものである。
【0092】
なお、流路チップ100と送液装置200とは、互いに通信可能に有線および/または無線で接続されていてよい。
【0093】
〔流路チップについて〕
〔実施の形態1〕
次に、本実施の形態に係る流路チップを図1等を用いて説明する。図1は、流路チップ100の平面図である。
【0094】
図示するように、流路チップ100は、第1開放路112と、第2開放路113と、流路(主流路)114と、第1導入路102と、第1液体導入口121と、第1合流路(第2導入路)103と、第2液体導入口122と、バルブ(第1液体制御部)141とを備える。以下、各部詳細について説明する。
【0095】
〔流路114〕
流路114を図2により説明する。図2は、流路チップ100の概略断面図である。
【0096】
図2に示すように、本実施の形態では、溝が設けられている第2基板111と第1基板110とを重ね合わせることによって流路114が形成されている(第1基板110および第2基板111については後述)。
【0097】
流路114の形成方法は特に限定されず、流路114は、互いに対向して配置される基板の間に形成された空洞によって形成されてもよいし、または、基板の内部を掘削した空洞によって形成されてもよいし、基板の内部に管を配置することによって形成されてもよい。
【0098】
なお、本実施の形態および後述する種々の実施の形態では、第1開放路112と第2開放路113とを接続する流路114を主流路と称することもある。また、流路が分岐している場合や流路が複数存在する場合などには、液体が導入された後に、その液体の流路114への進行・停止が制御されることとなる流路を導入流路と称することもある。また、導入流路から導入された液体と合流(混合)するための液体が導入される経路を合流路と称することもある。
【0099】
主流路、導入流路、合流路等は、流路チップに設けられる流路の一部分であって、排出部および液体受け部の形態に応じてその形状を変化させうる。また、流路114は、送液対象である液体を毛細管現象によって送液できるものが好ましい。
【0100】
(毛細管現象について)
ここで、毛細管現象による送液について説明する。
【0101】
一般に、流路の横断面形状(流路における液体の流れ方向に垂直な断面形状)が円形状であって、この流路の壁面(液体が接する表面)が均一(例えば、同一の材料で構成されている)である場合、液体に作用する圧力(毛細管現象による送液の圧力)Pは、気体−液体界面の界面張力をσ、流路の壁面の接触角をθ、流路の半径をrとするとき、次の式1によって示される。
【0102】
P=2σcosθ/r・・・(式1)
式1において、Pの値が正である場合には、液体は流路内の空間を進むことができ、Pの値が0または負である場合には、液体は流路内の空間を進むことができない。ここで、σおよびrはともに正の値であるため、毛細管現象によって送液する(Pの値を正とする)ためには、流路の表面においてcosθが正である必要がある。つまり、水を溶媒とする液体の場合には、流路面(流路の表面)が親水性であるときに、毛細管現象によって液体を流すことができる。
【0103】
なお、流路面に疎水性部分が存在していてもよい。親水性、疎水性の両方の特性が並存する場合には、それぞれの界面張力の和によって、流路内に生じる毛細管現象が決定されるため、界面張力の和が親水性(cosθが正)となるようにすればよい。
【0104】
ここで、親水性とは、比抵抗が18mΩ・cmよりも大きい純水(25℃)を用いて、1気圧、25℃の条件で測定した接触角が90°未満である場合を表す。疎水性とは、上記純水の接触角が90°以上である場合を表す。ただし、接触角の送液方向に作用する成分である余弦(コサイン)は、90°付近で大きく変動するため、送液機能を安定して確保するという観点から、純水に対する接触角が85°以下であることがより好ましく、接触角が75°以下であることがさらに好ましく、接触角が60°以下であることが最も好ましい。
【0105】
また、流路114は、毛細管現象が生じる程度の大きさであればよい。例えば、流路114の横断面の幅および高さは、0.1μm〜10mmであることが好ましく、10μm〜1mmであることがより好ましい。
【0106】
〔第1基板110および第2基板111〕
第1基板110および第2基板111に用いる材料は、流路チップの目的や用途等に応じて選択すればよく、特に限定されない。例えば、光学的な検出を行う場合には光学的な特性・特徴を考慮し、電気的な検出を行う場合には電気絶縁性を考慮し、溝等の微細加工を必要とする場合には加工し易さを考慮して、それぞれの用途に適した材料を選択すればよい。
【0107】
後述する吸収体に吸収させる液体が水である場合には、第1基板110および第2基板111の少なくとも一方に、親水性の材料を用いるか、又は親水化処理を行うことが好ましい。親水化処理方法としては、例えば、親水処理剤処理、プラズマ処理、UV処理、親水性膜のコーティング、表面粗さの制御等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
また、光学的な操作(検出、バルブ等)を行う場合には、第1基板110および第2基板111の少なくとも一方に透明または半透明の材料を用いることが好ましい。このような透明または半透明な材料としては、ガラス、石英、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、フィルム等が挙げられる。具体的には、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂またはスチレン系樹脂が、透明性や成型性の観点から好ましい。また、光による励起発光が特に少ないプラスチック材料として、ポリメチルメタクリレートの水素原子をフッ素原子に置換したフッ化ポリメチルメタクリレート等のフッ素系のプラスチック材料や、触媒や安定剤等の添加剤に非蛍光材料を用いたポリメチルメタクリレート等が挙げられ、これらを、第1基板110および第2基板111の少なくとも一方に用いることが可能である。
【0109】
電気的な操作(検出、バルブ等)を行う場合には、流路114や第1基板110、第2基板111の表面に電極を形成する必要があるため、第1基板110および第2基板111の材料は、電極を形成することが可能な材料を用いることが好ましい。電極の形成が可能な材料としては、ガラス、石英、シリコン等が挙げられ、これらは、生産性および再現性の観点から好ましい材料である。なお、凹凸面に電極を形成することは難しいため、流路用の溝等の凹凸が形成されていない基板(本実施の形態では第2基板111)に電極を形成するのが好ましい。
【0110】
第1基板110、第2基板111の厚さは特に限定されない。例えば、0.1〜10mmでありうる。更に具体的には、第1基板110の厚さを0.5mm、第2基板111の厚さを2mmとしてもよい。
【0111】
また、本実施の形態では、第1基板110の厚さが0.5mmであって、第1基板110に形成される溝の深さ(流路114の横断面の長さに相当)は、50μmの深さであってもよい。当該溝の深さは、毛細管現象によって送液できる程度の深さであればよく、例えば、5μm〜500μm程度の深さで形成することが好ましい。なお、当該溝は、第1基板をエッチング、切削等の機械的な加工、ホットエンボス法、金型成形法等で形成することができる。
【0112】
流路114を形成する溝は、その断面形状(液体を送液する方向に対して垂直な面における断面形状)が矩形となるように形成されうる。当該断面形状は、毛細管現象を生じ得る形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、円形状、楕円形状、半円状、逆三角形状等であってもよい。
【0113】
〔第1開放路112、第2開放路113〕
第1開放路112は、一端が大気開放され、他端が流路114の一端側に連通し、第2基板111中に形成されている。第2開放路113は、第1開放路112とは異なる通液路であって、一端が大気開放され、他端が流路114の一端側に連通し、第2基板111中に形成されている。第1開放路112および第2開放路113を形成する孔の形状は特に限定されず、例えば直径0.5mm〜10mmの円筒形とすることができる。
【0114】
〔第1導入路102、第1合流路103〕
第1導入路102は、一端が大気開放され、他端が流路114に連通し、第2基板111中に形成されている。第1導入路102から流路114へ液体を注入するには、第1液体導入口121から液体を注入すればよい。第1合流路103は、一端が大気開放され、他端が流路114に連通し、第2基板111中に形成されている。第1合流路103から流路114へ液体を注入するには、第2液体導入口122から液体を注入すればよい。第1開放路112および第2開放路113を形成する孔の形状は特に限定されない。
【0115】
また、図1においては、第1開放路112、第1合流路103、第1導入路102、第2開放路113の順序で流路114に連通しているが、必ずしもこの順序に限られない。
【0116】
〔バルブ141〕
図1に示すように、バルブ141は、流路114内であって、流路114と第1導入路102とが交差する位置(第1交差位置)と流路114と第1合流路103とが交差する位置(第2交差位置)との間、あるいは、第2交差位置に配設され、第1導入路102および第1合流路103から流路114へ導入される液体の流れを制御する。より具体的に、バルブ141は、第1導入路102から第1開放路112への液体の流れ、および、第1合流路103から流路114への液体の流れを停止し、また、停止状態の液体を前進に切り替える、といった役割を有する。
【0117】
つまり、バルブ141は、流路114、および第1合流路103における液体の流れを停止させることができる。流路114内に設けられたバルブ141は、流路114内の第1開放路112方向への液体の流れを停止させ、第1合流路103内に設けられたバルブ141は、第1合流路103内の流路114方向への液体の流れを停止させる。2つの方向からの流れを停止させる効果を有したバルブ141は共通のバルブでも良いし、あるいは、共通でなく個別に設けてもよい。バルブ141は、液体を停止している状態から液体が流れる状態に切り替えることができ、液体が流れる状態に切り替えることで、2つの方向からの液体を合流させることができる。
【0118】
バルブ141としては特に限定されないが、例えば、エレクトロウエッティングバルブ、あるいは、光バルブを使用することが可能である。
【0119】
また、バルブ141は、流路114の壁面に疎水性領域を設け、かつ、当該疎水性領域よりも流路114の上流側に押圧部を設け、当該押圧部に対して外部から圧力を加えることよって流路114内の液体を、疎水性領域を越えて送り出す構成とすることができる。
【0120】
また、バルブ141としては、流路114の壁面に疎水性領域を設け、上記疎水性領域よりも流路の上流側の流路114内に、液体を電気分解して泡を発生させる電極部を設け、当該電極部における電気分解によって生じる泡の圧力によって、疎水性領域を越えて液体を送り出す構成とすることも可能である。
【0121】
エレクトロウエッティングバルブは、電圧を印加しない状態では疎水性であり、電圧を印加することによって電極表面の接触角が親水側に変化し、当該変化によって、停止していた液体を前進させるバルブである。
【0122】
このようなエレクトロウエッティングバルブは、液体の停止状態と前進状態とを切り替える作用電極と、参照電極とを備える構成であればよい。作用電極および参照電極の材料は特に限定されるものではなく、一般的な導電性の材料を用いることができる。例えば、金、白金、銀、塩化銀、銅、イリジウム、アルミニウム、ITO(インジウム錫酸化物)、ニッケル、チタンまたはクロムなどを使用することが可能である。
【0123】
エレクトロウエッティングバルブに液体の停止機能を付与するために、作用電極の表面には、例えば、テトラフルオロエチレン膜等の疎水性膜、または、親水性のきわめて低い膜(例えば、電極用金属の自然酸化膜など)が設けられていることが好ましい。
【0124】
このように、エレクトロウエッティングバルブは、金属電極あるいは金属電極上に誘電体膜を形成された作用電極であって、さらに、電圧を印加するための参照電極を備え、作用電極と参照電極間に電圧を印加することで、作用電極上の濡れ性が変化することにより作動する。上記構成によれば、合流バルブ部に電極を設け、外部からの電気信号によって合流バルブを作動させるため、簡易な構成を実現できる。
【0125】
光バルブとしては、光触媒(例えば、酸化チタンなど)と、光触媒によって分解される疎水性有機物とを、バルブとなる領域に形成した構成を挙げることが可能である。このような光バルブでは、光触媒に対して紫外線などの光を照射することにより、光触媒によって疎水性有機物が分解されて接触角が低下する結果、停止していた液体を前進状態に切り替えることができる。
【0126】
光触媒としては、様々な光触媒膜を用いることが可能である。当該光触媒膜は、スパッタリング法またはリフトオフ法などにより、例えば、第2基板111に対して酸化チタン膜をパターニングすることによって形成できる。また、チタン膜を同様に成膜して、その後に熱処理や化学処理等を行い、チタン膜を酸化させて酸化チタン膜とする方法を用いてもよい。酸化チタンの初期状態の疎水性を向上させるためには、有機単分子膜等を酸化チタン表面に形成することが好ましく、オクタデシルトリクロロシランなどを用いることができる。また。第1基板110には光触媒と反応する光が透過する材料を用いる。
【0127】
上記構成によれば、外部からの光の照射によって親疎水性が変化する領域を光バルブとし、光バルブに光を照射することでバルブを作動させるため、簡易な構成を実現できる。
【0128】
また、エレクトロウエッティングバルブおよび光バルブの停止機能を付与させる目的で、後述する柱状のピラー、流路の内の他の部分とは異なる形状、又は狭窄部からなる部分を設けることもできる。
【0129】
上述したバルブ141の構成は、流路チップ100内に設けられる、あらゆるバルブとして採用し得る。このとき、上述した流路は、各バルブが設けられる流路に置き換えて考えればよい。また、本発明では、あらゆる流路にバルブを設けることが可能である。
【0130】
〔流路チップ100での液体の流れ〕
次に、流路チップ100での液体の流れを図4に説明する。図4は、流路チップ100での液体の流れを説明するための図である。
【0131】
まず、第1導入路102および第1合流路103に液体が充填されると、第1合流路103に充填された液体はバルブ141により停止し、第1導入路102に進入した液体は流路114に進入する(図4(a))。
【0132】
次に、流路114に進入した液体は、外気に開放された第1開放路112および第2開放路113に分かれて進み、第1開放路112側へ進んだ液体はバルブ141により停止する(図4(b))。
【0133】
一方、第2開放路113側へ進んだ液体は、水頭圧の低下と流路内の抵抗により設定した位置で停止する(図4(c))。
【0134】
そして、任意のタイミングでバルブ141を動作させると、第1合流路103からの液体と第1導入路102からの液体とが合流する(図4(d))。
【0135】
その後、第1導入路102から導入された液体は第1合流路103からの液体の自重および水頭圧により、再び流路114を進む(図4(e))。
【0136】
このように、バルブ141の動作によって、つまり、バルブ141の濡れ性が変化することによって、毛細管力による移動を停止していた液体を再び任意のタイミングで移動させることができ、液体の前進および停止を複雑に制御することができる。
【0137】
また、上記構成によれば、第1導入路102に導入された液体が流路114に移動するに従って水頭圧が低下するため、導入される液体の量、流路114および第1導入路102の長さ等を設計することで停止させる動作を実現することができる。
【0138】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2を図5等により説明する。
【0139】
図5は、流路チップ130の平面図である。図6は、流路チップ130の概略断面図である。流路チップ130は、第2開放路113内に吸収体131が設けられている点に特徴があり、これ以外の構成は、実施の形態1と同様である。以下、各構成について説明する。
【0140】
〔吸収体〕
流路チップ130では、第2開放路113の内部に吸収体131が設けられる。この吸収体131は、その一部あるいは全てが、流路114内に配置されうる。吸収体131は、毛細管現象によって液体を吸収することが可能な構造物である。このような構造物としては、繊維、多孔質の材料、および、それらの材料の少なくとも一方を含んだ構造物等を挙げることが可能である。
【0141】
さらに、具体的には、繊維材料(例えば、コットン等の植物繊維、羊毛等の動物繊維、ガラス繊維、化学繊維など)または多孔質材料(例えば、モレキュラーシーブス(ゼオライト)、炭酸カルシウム、多孔質樹脂、レジストなど)が挙げられる。吸収体131の材料自体の親水性が低い場合には、材料に対して親水化処理を行うことによって、吸収体131の親水性を増加させることが可能である。親水化処理としては、例えば、親水処理剤処理、プラズマ処理、UV処理、親水性膜のコーティング、表面粗さの制御等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0142】
〔流路114と吸収体131との配置〕
吸収体131は、第2開放路113内に、あるいは、流路114内に、もしくは、その組み合わせによって配置されてよい。
【0143】
〔流路チップ130での液体の流れ〕
次に、流路チップ130での液体の流れを図7に説明する。図7は、流路チップ130での液体の流れを説明するための図である。
【0144】
第1導入路102および第1合流路103に液体が充填されると、第1合流路103に進入した液体はバルブ141により停止し、第1導入路102に進入した液体は流路114に進入する(図7(a))。
【0145】
次に、流路114に進入した液体は、外気に開放された第1開放路112および第2開放路113に分かれて進み、第1開放路112側へ進んだ液体はバルブ141により停止する(図7(b))。
【0146】
一方、第2開放路113側へ進む液体は、水頭圧の低下と流路内の抵抗により設定した位置で停止する(図7(c))。
【0147】
そして、任意のタイミングでのバルブ141を動作させると、第1合流路103からの液体と第1導入路102からの液体とが合流する(図7(d))。
【0148】
その後、第1導入路102から導入された液体は、第1合流路103からの液体の自重および水頭圧により、再び流路114を進む(図7(e))。
【0149】
そして、流路114内を進む液体が吸収体131に達すると、吸収体131が液体を吸収し、流路114内の液を排出(吸収)する(図7(f))。
【0150】
このように、流路チップ130は、毛細管力による移動を停止していた液体を再び任意のタイミングで移動させ、移動後の液体を排出させることができる。
【0151】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3を図8等により説明する。
【0152】
図8は、流路チップ150の平面図である。流路チップ150と流路チップ100とでは、以下の点に構成上の相違がある。つまり、流路チップ150は、流路チップ100の第2開放路113内に吸収体131を備える。また、流路チップ150は、第1合流路103と第1開放路112との間に、第2導入路104、第3液体導入口123、第2合流路(第4導入路)105、第4液体導入口124、およびバルブ(第2液体制御部)142を備える。
【0153】
バルブ142は、流路114内であって、流路114と第2導入路104とが交差する位置(第3交差位置)と流路114と第2合流路105とが交差する位置(第4交差位置)との間、あるいは、第4交差位置に配設され、流路114における液体の流れを制御する。
【0154】
なお、吸収体131は、実施の形態2の吸収体131と同様の形態である。また、第2導入路104は第1導入路102と、第2合流路105は第1合流路103と、第2のバルブ142はバルブ141と同様の形態であってよい。
【0155】
〔流路チップ150での液体の流れ〕
次に、流路チップ150での液体の流れを図9、図10に説明する。図9は、流路チップ150での液体の流れを説明するための図である。また、図10は、流路チップ150での液体の流れを説明するための図である。
【0156】
まず、第1合流路103に導入された液体はバルブ141により停止し、第2合流路105に導入された液体はバルブ142により停止する。一方、第1導入路102に導入された液体は、液体の自重や表面張力の作用により流路114に進入する(図9(a))。
【0157】
次に、流路114に進入した液体は、外気に開放された第1開放路112および第2開放路113に分かれて進み、第1開放路112側へ進んだ液体は、バルブ141により停止する(図9(b))。一方、第2開放路113側へ進んだ液体は、設定した位置で停止する(図9(c))。
【0158】
その後、任意のタイミングでバルブ141を動作させると、第1合流路103の液体と流路114内の液体とが合流する(図9(d))。
【0159】
そして、流路114内の液体は、第1合流路103からの液体の自重および水頭圧により、再び流路114内を進む(図9(e))。
【0160】
次に、流路114内を進んだ液体が吸収体131に達すると、吸収体131が液体を吸収し流路114内の液を排出する(図9(f))。
【0161】
そして、任意のタイミングで第2導入路104に液体を導入すると、液体は流路114に進入する。その液体は、外気に開放された第1開放路112側および第2開放路113側に分かれて進み、第1開放路112側へ進んだ液体はバルブ142により停止する(図9(g))。
【0162】
そして、第2開放路113側へ進む液体は、設定した位置で停止する(図9(h))。
【0163】
続いて、任意のタイミングでバルブ142を動作させると、第2合流路105の液体と流路114の液体が合流する(図10(a))。
【0164】
次に、流路114の液体は、第2合流路105からの液体の自重および水頭圧により、再び流路114内を進む(図10(b))。
【0165】
そして、流路114内を進む液体が吸収体131に達すると、吸収体131が液体を吸収し、流路114内の液を排出する(図10(c))。
【0166】
つまり、流路チップ150は、毛細管力による移動を停止していた2つ以上の液体を再び任意のタイミングで移動させ、移動後の液体を排出させることができる。
【0167】
ここで、バルブ142は、バルブ141と同一のプロセスで作製できるものであり、外部からの電気信号によってバルブ142を作動させることもできるため、簡易な構成により流路チップ150を実現することができる。
【0168】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4を図11等により説明する。
【0169】
図11は、流路チップ155の平面図である。流路チップ155と実施の形態3に係る流路チップ150とは、以下の点に構成上の相違がある。つまり、流路チップ155は、流路チップ150の第2導入路104から流路114に向かう液体を停止する第3のバルブ156を備えたことに特徴があり、これ以外の構成は、流路チップ150と同様である。
【0170】
〔流路チップ155での液体の流れ〕
次に、流路チップ155での液体の流れを図12、図13に説明する。図12は、流路チップ155での液体の流れを説明するための図である。また、図13は、流路チップ155での液体の流れを説明するための図である。
【0171】
まず、第1合流路103に導入された液体はバルブ141により停止し、第2合流路105に導入された液体はバルブ142により停止する。また、第2導入路104に導入された液体はバルブ156により停止し、第1導入路102に導入された液体は、液体の自重や表面張力の作用により、流路114に進入する(図12(a))。
【0172】
次に、流路114に進入した液体は、外気に開放された第1開放路112および第2開放路113に分かれて進み、第1開放路112側へ進んだ液体はバルブ141により停止する(図12(b))。
【0173】
続いて、第2開放路113側へ進む液体は、設定した位置で停止する(図12(c))。
【0174】
そして、任意のタイミングでバルブ141を動作させると、第1合流路103の液体と流路114内の液体とが合流する(図12(d))。
【0175】
その後、流路114内の液体は、第1合流路103からの液体の自重および水頭圧により、再び流路114内を進む(図12(e))。
【0176】
そして、流路114内を進む液体が吸収体131に達すると、吸収体131が液体を吸収し流路114内の液を排出する(図12(f))。
【0177】
次に、任意のタイミングでバルブ156を動作させると、液体は流路114に進入する。その進入した液体は、外気に開放された第1開放路112側および第2開放路113側に分かれて進み、第1開放路112側へ進んだ液体はバルブ142により停止する(図12(g))。一方、第2開放路113側へ進んだ液体は、設定した位置で停止する(図12(h))。
【0178】
そして、任意のタイミングでバルブ142を動作させると、第2合流路105の液体と流路114の液体とが合流する(図13(a))。
【0179】
続いて、流路114の液体は、第2合流路105からの液体の自重および水頭圧により、再び流路114内を進む。(図13(b))。
【0180】
そして、流路114内を進む液体が吸収体131に達すると、吸収体131が液体を吸収し流路114内の液を排出する(図13(c))。
【0181】
つまり、流路チップ155は、毛細管力による移動を停止していた2つ以上の液体を再び任意のタイミングで移動させ、移動後の液体を排出させることができる。
【0182】
〔実施の形態5〕
次に、実施の形態1の変形例である実施の形態5を図14等により説明する。
【0183】
図14は、流路チップ160の平面図である。流路チップ160と流路チップ100とは、以下の点で構成上の相違がある。つまり、流路チップ160は、第1導入路102の内部または流路114と交差する位置に、液体を遮断する第1遮断部161を設けていることに特徴があり、これ以外の構成は、流路チップ100と同様である。
【0184】
〔第1遮断部161〕
流路チップ160は、第1導入路102内に、液体を遮断する第1遮断部161を設けている。その第1遮断部161は、液体を分断する界面または壁を形成することにより、液体を分断または遮断する。つまり、第1遮断部161は、液体の流れを制御するバルブとして機能する。
【0185】
第1遮断部161の形成には、液体内に気泡を発生させ、液体を分断する方法を使用することが可能である。気泡としては、液体を電気分解して泡を発生させる電極部(気泡発生部)を設け、当該電極部における電気分解によって生じる泡を利用することができる。電極の材料は特に限定されるものではなく、一般的な導電性の材料を用いることができる。例えば、金、白金、銀、塩化銀、銅、イリジウム、アルミニウム、ITO(インジウム錫酸化物)、ニッケル、チタンまたはクロムなどを使用することが可能である。また、電気分解に利用する電極は、エレクトロウエッティングバルブで利用する電極を用いることもできる。
【0186】
電気分解以外の方法としては、熱による方法、外部から気体を注入する方法等があるが、液体内に気体との界面を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0187】
気泡発生を利用した第1遮断部161には、発生した気泡を流路114側への進入を防止するトラップ部(流入防止部)162を設けてよい。そのトラップ部162は、図15から図18に記載する種々の態様で実現することができる。
【0188】
図15は、トラップ部としての柱状のピラー162aを示す図である。図示する構成によれば、気泡の発生により生じる気体と液体の界面張力が、ピラー162aにおいて他の部分よりも効果的に働かせることができるため、簡易な構成で液体の進行を停止させることができる。
【0189】
図16は、トラップ部としての第1導入路102内の狭窄部162bを示す図である。図示する構成によれば、気泡の発生により生じる気体と液体の界面張力が、狭窄部162bにおいて他の部分よりも効果的に働かせることができるため、簡易な構成で液体の進行を停止させることができる。
【0190】
図17は、トラップ部としての表面粗さの異なる領域162cの例を示す図である。図示する構成によれば、気泡の発生により生じる気体と液体の界面張力が、表面粗さまたは接触角度の異なる領域162cにおいて他の部分よりも効果的に働かせることができるため、簡易な構成で液体の進行を停止させることができる。
【0191】
図18は、トラップ部としてのピラーおよび狭窄部162dの例を示す図である。なお、図18に示すトラップ部は、エレクトロウエッティングバルブおよび光バルブの停止機能を付与させる目的で、ピラー状の形状、流路114の内の他の部分とは異なる形状、又は狭窄部からなる部分を設けるものである。また、図18では、トラップ部としてのピラーおよび狭窄部162dは第1合流路103に設けられている点で、図15等のトラップ部とは異なる。本実施の形態では、このように、トラップ部162は、第1導入路102および第1合流路103の何れにも配設されうる。
【0192】
これら各図に示すように、導入流路内の他の部分とは異なる形状、表面状態、又は狭窄部にすることができる。つまり、急拡大や急縮小などの形状の変化する領域、接触角度の異なる領域や表面粗さの異なる領域、他の流路よりも狭い流路の組み合わせやピラーなどの柱状の構造物を配置した流路などを設けることで、液体中の気体をトラップ部162で停止させることができる。なお、これらのトラップ構造は、液体を分断させる遮断部の構成としては必ずしも必要ではない。
【0193】
第1遮断部161の形成には、第1遮断部161に対して外部から圧力を加えることよって流路内の壁等を変形させ、液を遮断する方法を利用することが可能である。
【0194】
外部からの圧力を加える方法以外の方法としては、熱により変形または溶解する方法、熱または光により液体の一部または全部を固体化して固める方法がある、これらの構成によれば、流路114自体を単純に変形させて流路114内の液を封鎖して遮断することができる。ただし、液体の流れを物理的に遮断する方法であれば特に限定されるものではない。
【0195】
本発明では、あらゆる形態の流路チップの流路に第1遮断部161を設けてよく、実施の形態3の第2導入路104内に第1遮断部161を設けてもよい。
【0196】
このように、流路チップ160は、気泡の発生により液体を分断することができ、さらに気泡をトラップ部162で停止させることができるため、流路114内に気泡が進入することを防ぐことができ、かつ、流路114への液体の浸入を停止させることができる。
【0197】
〔流路チップ160での液体の流れ〕
次に、流路チップ160での液体の流れを図19に説明する。図19は、流路チップ160での液体の流れを説明するための図である。
【0198】
まず、第1合流路103に導入された液体はバルブ141により進行が停止し、第1導入路に導入された液体は、液体の自重や表面張力の作用により、流路114に進入する(図19(a))。
【0199】
次に、流路114に進入した液体は、外気に開放された第1開放路112および第2開放路113に分かれて進み、第1開放路112側へ進んだ液体はバルブ141により停止する(図19(b))。
【0200】
そして、任意のタイミングで第1遮断部161を作動させると、第1導入路102内で液体が分断または遮断され、第2開放路113側へ進む液体は停止する(図19(c))。
【0201】
〔実施の形態6〕
次に、実施の形態1の変形例である実施の形態6を図20により説明する。
【0202】
図20は、流路チップ165の平面図である。流路チップ165は、流路114内に液体の有無を検知する検知部(検知手段)166を備えている点に特徴があり、それ以外は流路チップ100と同様の構成を有する。以下、検知部166について説明する。
【0203】
〔検知部166〕
流路114には、液体の有無(換言すれば、液体の位置)を検知するための検知部166が設けられる。
【0204】
例えば、検知部166が電気的な検知手段である場合には、流路114内に作用電極が設けられる。作用電極と対になる参照電極は液体を介して作用電極と繋がる位置に配置されればよく、流路114内でもよいし、あるいは他の位置であってもよい。作用電極は、検知する場所に応じて複数配置してもいい。作用電極および参照電極の材料としては、一般的な電極材料を用いることが可能であって、例えば、金、白金、銀、塩化銀、銅、イリジウム、アルミニウム、ITO(インジウム錫酸化物)、ニッケル、チタンまたはクロムなどを用いることができる。
【0205】
作用電極および参照電極の形状は特に限定されず、例えば、円形、多角形(例えば、三角形、四角形など)または線状であり得る。
【0206】
作用電極、参照電極および対向電極の大きさは特に限定されず、検出電流値に応じた大きさであってよい。例えば、円形である場合には、外径10μm〜10mm程度とし、好ましくは外形0.5mm〜5mm程度とする。円形以外の形状の場合も、円形の場合の面積と同程度の面積になるように大きさを決定することが好ましい。
【0207】
光学的に液を感知する場合は、検知部166の位置の底面または天井面に光学的な検出素子を設ければよい。検出素子は検知する場所に応じて複数配置してもいい。光学的な検出素子の具体的な構成としては特に限定されず、公知の構成を用いることが可能である。
【0208】
そして、流路チップ165は、検知部166で得られた信号を外部の回路または装置(たとえば、送液装置200)に送信し、流路チップに設けたバルブ141、第1遮断部161等を動作させる契機(トリガ)とすることもできる。
【0209】
〔実施の形態7〕
次に、実施の形態1の変形例である実施の形態7を図21により説明する。
【0210】
図21は、流路チップ170の平面図である。流路チップ170は、流路チップ100の流路114内に、液体に含まれる特定の物質の量を検出するための検出部(検出手段)171、および/または、液体中の物質に対して所望の反応を生じさせるための反応部(反応手段)172を設けていることに特徴があり、これ以外の構成は流路チップ100と同様である。
【0211】
〔検出部171〕
流路114には、液体に含まれる特定の物質の量を検出するための検出部171を設けてよく、これにより流路114内で液体に含まれる特定の物質の量を検出することができる。
【0212】
例えば、検出部171が電気化学的な検出手段である場合には、第1開放路112に、作用電極、参照電極および対向電極が設ける。作用電極、参照電極および対向電極の材料としては、一般的な電極材料を用いることが可能であって、例えば、金、白金、銀、塩化銀、銅、イリジウム、アルミニウム、ITO(インジウム錫酸化物)、ニッケル、チタンまたはクロムなどを用いることができる。
【0213】
作用電極、参照電極および対向電極の形状は特に限定されず、例えば、円形、多角形(例えば、三角形、四角形など)または線状でありうる。
【0214】
作用電極、参照電極および対向電極の大きさは特に限定されず、検出電流値に応じた大きさでありうる。例えば、円形である場合には、外径10μm〜10mm程度とし、好ましくは外形0.5mm〜5mm程度とする。円形以外の形状の場合も、円形の場合の面積と同程度の面積になるように大きさを決定することが好ましい。
【0215】
検出部171が、インピーダンスの変化によって液体に含まれる特定の物質の量を検出する場合には、例えば、流路114の底面にインピーダンス検出用の電極を設ける。この構成によれば、流路114内への液の有無を電気的な信号として検知することができる。
【0216】
インピーダンス検出用の電極の材料としては、一般的な電極材料を用いることが可能であって、例えば、金、白金、銀、塩化銀、銅、イリジウム、アルミ、ITO(インジウム錫酸化物)、ニッケル、チタンまたはクロムなどを用いることが可能である。
【0217】
検出部171が、蛍光によって液体に含まれる特定の物質の量を検出する場合には、例えば、流路114の側面または底面に蛍光検出部を設けることが可能である。検出部171は、流路114内に設けられうる。蛍光検出部の具体的な構成としては特に限定されず、公知の構成を用いることが可能である。
【0218】
〔反応部172〕
流路チップには、検出部171に代えて、または検出部171と共に、液体中の物質に対して所望の反応を生じさせるための反応部172を設けてよい。反応部172の具体的な構成としては特に限定されないが、例えば、抗原抗体反応および/または酵素反応を行う反応部を設けることができる。
【0219】
酵素反応を行う場合には、例えば、酵素反応に用いる酵素を流路114の側面若しくは底面、または、流路114内に固定化すればよい。また、酵素を含む液体を、反応部172へ向かって流すことも可能である。
【0220】
抗原抗体反応を行う場合には、上記と同様に、抗原抗体反応に用いる抗体または抗原を流路114の側面若しくは底面、または、流路114内に固定化すればよい。また、抗体または抗原を含む液体を、反応部172へ向かって流すことも可能である。
【0221】
抗原抗体反応や酵素反応を行う反応部172の形状については、特に限定されることはなく、適宜、所望の形状をとることができる。
【0222】
〔実施の形態8〕
次に、実施の形態5の変形例である実施の形態8を図22により説明する。
【0223】
図22は、流路チップ175の平面図である。流路チップ175は、第1導入路102および第1合流路103が、流路114に液体を導入するための共通の液体導入口126を有する点に特徴があり、それ以外は流路チップ100と同様の構成を有する。
【0224】
この構成によれば、第1導入路102と第1合流路103に導入される液体を共通化することができる。
【0225】
〔実施の形態9〕
本実施の形態は、実施の形態5の変形例である。
【0226】
本実施の形態では、実施の形態3の流路チップ150の第2導入路104内に第2遮断部163を設け、かつ、第2導入路104および第2合流路105が、流路114に液体を導入するための共通の液体導入口(第1液体導入口)126を設けていることに特徴があり、これ以外の構成は、実施の形態3と同様である。同様の構成として、図8の流路チップ150において、第2導入路104と第2合流路105が、流路114に液体を導入するための共通の液体導入口(第2液体導入口)を設けることも可能である。
【0227】
以上、本発明に係る流路チップを複数の実施の形態とともに説明した。次に、本発明に係る流路チップを、実施例を用いてさらに説明する。
〔実施例〕
本実施例1に係る流路チップの基本構造は、実施の形態2と同様とし、図1および図2を参照して実施例1の流路チップをさらに具体的に説明する。
【0228】
実施例1では、金型を用いた樹脂成型法によって、流路114として機能する溝を第2基板111に形成した。金型は、シリコン基板にフォトリソ法でレジストパターンを形成した後、ドライエッチングプロセス法によってエッチングを行うことによって作製した。流路114の幅は600μm、流路114の高さは50μm、流路114の長さは15mmとした。
【0229】
第1導入路102は、幅300μm、高さ50μm、長さ1mmとした。第1合流路103は、幅300μm、高さ50μm、長さ1mmとした。
【0230】
そして、作製した金型に型枠を設け、当該型枠内へ、厚さが2mmになるまでシリコンゴム(ポリジメチルシロキサン、東レダウコーニング社製 ジルポット184)を流し込み、100℃にて15分間の加熱を行って、シリコンゴムを硬化させた。硬化させた後、金型と硬化したシリコンゴムとを分離させた。
【0231】
次いで、シリコンゴムを縦20mm、横10mm、厚さ2mmに成形した。当該シリコンゴムに対して、流路に繋がる穴としてポンチを用いて直径2mmの貫通孔を開けて、第1基板110を作製した。第2基板111は、厚さ600μmのテンパックスガラス基板をダイシングソーで縦25mm、横15mmに切断することによって作製した。
【0232】
第2基板111上には、フォトプロセスとスパッタリングによりエレクトロウエッティングバルブに利用する電極を作成し、バルブ141とした。電極サイズは2mm×1mmの作用電極をバルブ141とし、対になる参照電極のサイズは3mm×1mmとした。参照電極は穴121と穴122内で液体と接触する位置に配置した。
【0233】
吸収体131としては、不織布(旭化成繊維製BEMCOT(登録商標))を直径2mmにカットしたものを用いた。
【0234】
作製した第1基板110と第2基板111とを重ね合わせ、実施例1の流路チップを作製した。
【0235】
実施例1の流路チップについて、液体を流す試験を行った。液体としてはリン酸緩衝液(PBS溶液)を用い、リン酸緩衝液(PBS溶液)を第1導入路102に繋がる第1液体導入口121に1μL、第1合流路103に繋がる第2液体導入口122に0.3μL滴下した。
【0236】
このとき、第1合流路103に注入された液体はバルブ141により停止した。第1導入路102に注入された液体は、流路114に進入し、第1開放路112側および第2開放路113側へ別れて進んだ。第1開放路112側へ進んだ液体はバルブ141で停止し、第2開放路113側へ進んだ液は、流路114内の途中で停止した。規定時間(3分)放置した後、バルブ141に電圧を印加し、エレクトロウエッティングバルブを動作させると、バルブ141で停止していた2方向からの液体が合流し、流路114内の途中で停止していた液体が再び第2開放路113側へ進み始めた。第2開放路113へ進んだ液体が吸収体131と接触すると、液が吸収され、流路114内の液が排出された。
【0237】
〔比較例1〕
バルブ141を有しない点、および、第1合流路103を有しない点を除き、実施例1と同じ流路チップを作製した。比較例の流路チップについて、液体を流す実験を、実施例1と同様の方法で行った。
【0238】
リン酸緩衝液(PBS溶液)を第1導入路102に繋がる第1液体導入口121に0.3μL滴下した。第1導入路102に注入された液体は、流路114に進入し、第1開放路112側および第2開放路113側へ別れて進んだ。第1開放路112側へ進んだ液体は第1開放路112の手前で停止し、第2開放路113側へ進んだ液は流路114内の途中で停止した。規定時間(3分)放置した後も流路114内の液体はその場に留まった。
【0239】
実施例1では停止している液体を合流させることにより、再度液の移動を可能とし、さらに吸収体まで液を移動させることで液体の排出を可能とすることが確認された。これに対し、比較例1に係る流路チップでは、一旦停止した液体を再度移動させることはできなかった。この結果、本実施例1に係る流路チップは、液体の前進および停止を任意のタイミングで制御することが可能であることを確認、実証することができた。
【0240】
〔送液システム1および送液装置200〕
次に、図3を参照して送液装置200を説明する。
【0241】
上述したように、流路チップ100等(以下、代表的に流路チップ100とする)は、環境中の微粒子量、血液、唾液、尿中に含まれている特定の成分(例えば抗原、抗体、酵素、基質、サイトカイン等)に関連する物理量を計測する。そのとき、送液装置200は、流路チップ100が上記物理量を測定するために必要な所定の液体を流路チップ100に対して送液する。
【0242】
図3に記載するように、送液装置200は、少なくとも、制御部210と、送液部220とを備える。
【0243】
制御部210は、送液装置200の制御を行うものであり、特に、送液装置200から流路チップ100への適切な送液制御を行う。一例として、制御部210は、第1遮断動作制御部(第1遮断動作制御手段)212と、第2遮断動作制御部(第1遮断動作制御手段)214とを備える。
【0244】
第1遮断動作制御部212は、第1遮断部161を制御することにより、第1導入路102内への液体の通液または遮断を制御することができる。同様に、第2遮断動作制御部214は、第2遮断部163を制御することにより、第2導入路104内への液体の通液または遮断を制御することができる。
【0245】
なお、図3には図示していないが、送液装置200は格納部を有していてよい。格納部は、制御部200が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものである。格納部は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0246】
また、図3に図示していないが、流路チップ100および送液装置200は、互いに通信可能に有線および/または無線で接続されていてよい。
【0247】
〔その他〕
本発明に係る流路チップは、以下の構成によって実現することもできる。
【0248】
本発明に係る流路チップは、外気に開放された第1の穴と、第1の穴に接合されたメイン流路と、メイン流路に接合された第2の穴と、メイン流路に接合された導入流路と、を備えた流路チップにおいて、導入流路よりも第1の穴側のメイン流路に接合された合流流路と、メイン流路内に配置され、合流流路に接する位置に配置された合流バルブと、を備え、前記合流バルブは、導入流路からメイン流路に導入され、メイン流路内で停止状態にある液体Aは第1の穴側において、合流バルブに接して停止しており、合流流路からメイン流路に向かう液体Bは合流バルブに接して停止しており、停止状態の液体A、Bが合流バルブの濡れ性が変化することにより合流し、第2の穴側に進む合流バルブであってよい。
【0249】
また、本発明に係る流路チップは、合流バルブが金属電極あるいは金属電極上に誘電体膜を形成された作用電極であって、さらに、電圧を印加するための参照電極を備え、作用電極と参照電極間に電圧を印加することで、作用電極上の濡れ性が変化することにより作動する、エレクトロウエッティングバルブであってよい。
【0250】
また、本発明に係る流路チップは、合流バルブが光に反応し濡れ性が変化することにより作動する光バルブであってよい。
【0251】
また、本発明に係る流路チップは、第2の穴の内部または接する位置に、合流した液体を吸収する吸収体が備えられていてよい。
【0252】
また、本発明に係る流路チップは、前記合流流路よりも第1の穴側のメイン流路に接合された第2の導入流路と、第2の導入流路よりも第1の穴側のメイン流路に接合された第2の合流流路と、メイン流路内に配置され、第2の合流流路に接する位置に配置された第2の合流バルブと、を備え、第2の合流バルブにおいて、第2の導入流路からメイン流路に導入されるメイン流路内で停止状態にある液体Cは、第1の穴側において第2の合流バルブで停止しており、第2の合流流路からメイン流路に向かう液体Dは第2の合流バルブで停止しており、停止状態の液体C、Dが合流バルブの濡れ性が変化することにより合流し、第2の穴側に進む構成であってよい。
【0253】
また、本発明に係る流路チップは、第2の導入流路からメイン流路に向かう液体が停止し、その停止状態が解除されることで、前記液体がメイン流路へと流入する第2の導入バルブを備えた構成であってよい。
【0254】
また、本発明に係る流路チップは、第2の導入バルブが金属電極あるいは金属電極上に誘電体膜を形成された作用電極であって、さらに、電圧を印加するための参照電極を備え、作用電極と参照電極間に電圧を印加することで、作用電極上の濡れ性が変化することにより作動する、エレクトロウエッティングバルブである構成であってよい。
【0255】
また、本発明に係る流路チップは、第2の導入バルブが光に反応し濡れ性が変化する作用により作動する光バルブである構成であってよい。
【0256】
また、本発明に係る流路チップは、導入流路内の液体がメイン流路に流入することに伴い、液体にかかる水頭圧が低下することにより、メイン流路内で液体を停止させる構成であってよい。
【0257】
また、本発明に係る流路チップは、導入流路内および第2の導入流路内の液体がメイン流路に流入することに伴い、液体にかかる水頭圧が低下することにより、メイン流路内で液体を停止させる構成であってよい。
【0258】
また、本発明に係る流路チップは、導入流路内に導入流路内の液体を分断または遮断することによりメイン流路内で液体の流れを停止させる停止部を備える構成であってよい。
【0259】
また、本発明に係る流路チップは、導入流路内およびまたは第2の導入流路内の液体を分断または遮断することによりメイン流路内で液体の流れを停止させる停止部を備える構成であってよい。
【0260】
また、本発明に係る流路チップは、停止部が、気泡を発生させる気泡発生部と発生した気泡をトラップするトラップ部からなる構成であってよい。
【0261】
また、本発明に係る流路チップは、トラップ部が、導入流路内の停止部に複数の柱状のピラーを配置したピラートラップである構成であってよい。
【0262】
また、本発明に係る流路チップは、トラップ部が、導入流路内の停止部の流路が狭窄部あるいは急拡大部などの流路断面積変化部である構成であってよい。
【0263】
また、本発明に係る流路チップは、トラップ部が、導入流路の他の表面の接触角度と異なる表面状態である構成であってよい。
【0264】
また、本発明に係る流路チップは、停止部が、電気、熱、光、磁力、外力により、流路自体の変形する部位からなる構成であってよい。
【0265】
また、本発明に係る流路チップは、導入流路と合流流路に繋がる共通の共通流路または共通穴を備えている構成であってよい。
【0266】
また、本発明に係る流路チップは、第2の導入流路と第2の合流流路に繋がる共通の第2の共通流路または第2の共通穴を備えた構成であってよい。
【0267】
また、本発明に係る流路チップは、メイン流路内に液体を検知する検知部を備える構成であってよい。
【0268】
また、本発明に係る流路チップは、検知部が、2つ以上の電極で構成され、電極間に電圧を印加し、電極間で変化する電流値変化を検知またはインピーダンスの変化を検知する検知部である構成であってよい。
【0269】
また、本発明に係る流路チップは、導入流路よりも第2の穴側のメイン流路内に、液体に含まれる特定の物質の量を検出するための検出部を備えた構成であってよい。
【0270】
また、本発明に係る装置は、上述の流路チップの送液を制御し、液体を検知した信号に基づき、停止部を作動させるための制御部を備えた構成であってよい。
【0271】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0272】
本発明は、液体の前進および停止を任意のタイミングで制御することが可能な、コンパクトな流路チップ等を提供することができ、特に、流路チップ内で反応および/または検出を行う分析チップ(例えば、マイクロ分析チップ)に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0273】
1 送液システム
100、130、150、155、160、170、175 流路チップ
102 第1導入路
103 第1合流路(第2導入路)
104 第2導入路
105 第2合流路(第2導入路)
110 第1基板
111 第2基板
112 第1開放路
113 第2開放路
114 流路(主流路)
121 第1液体導入口
122 第2液体導入口
123 第3液体導入口
124 第4液体導入口
126 液体導入口
131 吸収体
141、142、156 バルブ(液体制御部)
161 第1遮断部
162 トラップ部(流入防止部)
162a ピラー
162c 領域
162d 狭窄部
163 第2遮断部
166 検知部(検知手段)
171 検出部(検出手段)
172 反応部(反応手段)
200 制御部
200 送液装置
210 制御部
212 第1遮断動作制御部(第1遮断動作制御手段)
214 第2遮断動作制御部(第1遮断動作制御手段)
220 送液部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が注入される主流路を基板中に有する流路チップであって、
大気開放され、かつ、上記主流路の一端側に連通する、上記基板中に形成された第1開放路と、
大気開放され、かつ、上記主流路の他端側に連通する、上記基板中に形成された第2開放路と、
上記主流路に連通し、上記主流路に液体を導入することが可能な第1導入路と、
上記第1導入路と上記第1開放路との間で上記主流路に連通し、上記主流路に液体を導入することが可能な第2導入路と、
上記主流路内であって、上記主流路と上記第1導入路とが交差する第1交差位置と上記主流路と上記第2導入路とが交差する第2交差位置との間、および、上記第2交差位置の少なくともいずれかに配設され、上記第1導入路および上記第2導入路から上記主流路へ導入される液体の流れを制御する第1液体制御部と、
を備えることを特徴とする流路チップ。
【請求項2】
上記第1液体制御部は、エレクトロウェッティングバルブであることを特徴とする請求項1に記載の流路チップ。
【請求項3】
上記第1液体制御部は、液体の流れを光の照射によって制御する光バルブであることを特徴とする請求項1に記載の流路チップ。
【請求項4】
上記第2開放路の内部または近傍に、上記主流路内を流れる液体を吸収する吸収体を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の流路チップ。
【請求項5】
上記第1導入路から上記主流路への液体の流れを遮断する第1遮断部を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の流路チップ。
【請求項6】
上記第1遮断部は、気泡を発生させる第1気泡発生部と、発生した気泡の上記主流路への流入を防止する第1流入防止部と、を含むことを特徴とする請求項5に記載の流路チップ。
【請求項7】
上記第1流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を防止する、複数の柱状ピラーであることを特徴とする請求項6に記載の流路チップ。
【請求項8】
上記第1流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を、流路面積の狭窄、あるいは、流路面積の拡大により防止することを特徴とする請求項6に記載の流路チップ。
【請求項9】
上記第1流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を、流路の接触角度変化、あるいは、流路の表面粗さ変化により防止することを特徴とする請求項6に記載の流路チップ。
【請求項10】
上記第1遮断部は、電気、熱、光、磁力、および外力の少なくとも何れかによって上記主流路を変形させることを特徴とする請求項5に記載の流路チップ。
【請求項11】
上記第1導入路および上記第2導入路は、上記主流路に液体を導入する共通の第1液体導入口を有することを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の流路チップ。
【請求項12】
上記第1開放路と上記第2導入路との間に、さらに、
上記主流路に連通し、上記主流路に液体を導入することが可能な第3導入路と、
上記第3導入路と上記第1開放路との間で上記主流路に連通し、上記主流路に液体を導入することが可能な第4導入路と、
上記主流路内であって、上記主流路と上記第3導入路とが交差する第3交差位置と上記主流路と上記第4導入路とが交差する第4交差位置との間、および、上記第4交差位置の少なくともいずれかに配設され、上記主流路における液体の流れを制御する第2液体制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の流路チップ。
【請求項13】
上記第2液体制御部は、エレクトロウェッティングバルブであることを特徴とする請求項12に記載の流路チップ。
【請求項14】
上記第2液体制御部は、液体の流れを光の照射によって制御する光バルブであることを特徴とする請求項12に記載の流路チップ。
【請求項15】
上記第3導入路から上記主流路への液体の流れを遮断する第2遮断部を備えることを特徴とする請求項12から14の何れか1項に記載の流路チップ。
【請求項16】
上記第2遮断部は、気泡を発生させる第2気泡発生部と、発生した気泡の上記主流路への流入を防止する第2流入防止部と、を含むことを特徴とする請求項15に記載の流路チップ。
【請求項17】
上記第2流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を防止する、複数の柱状ピラーであることを特徴とする請求項16に記載の流路チップ。
【請求項18】
上記第2流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を、流路面積の狭窄、あるいは、流路面積の拡大により防止することを特徴とする請求項16に記載の流路チップ。
【請求項19】
上記第2流入防止部は、発生した気泡の上記主流路への流入を、流路の接触角度変化、あるいは、流路の表面粗さ変化により防止することを特徴とする請求項16に記載の流路チップ。
【請求項20】
上記第2遮断部は、電気、熱、光、磁力、および外力の少なくとも何れかを用いることを特徴とする請求項15に記載の流路チップ。
【請求項21】
上記第3導入路および上記第4導入路は、上記主流路に液体を導入する共通の第2液体導入口を有することを特徴とする請求項12から20の何れか1項に記載の流路チップ。
【請求項22】
上記主流路に液体が存在するかどうかを検知する少なくとも1つの検知手段を備えることを特徴とする請求項1から21の何れか1項に記載の流路チップ。
【請求項23】
上記検知手段は、2つの以上の電極を有しており、その電極間に電圧を印加したときの、当該電極間で変化する電流値変化、あるいは、インピーダンス変化を検知することによって、上記主流路内に液体が存在するかどうかを検知することを特徴とする請求項22に記載の流路チップ。
【請求項24】
上記主流路内に、上記主流路を流れる液体中に含まれる特定物質の含有量を検出する検出手段を備えることを特徴とする請求項1から23に記載の流路チップ。
【請求項25】
上記主流路を流れる液体中に含まれる特定の物質に対して所定の反応を生じさせるための反応手段を備えることを特徴とする請求項1から24に記載の流路チップ。
【請求項26】
請求項5から10に記載の流路チップに送液する送液装置であって、
上記流路チップが、上記主流路に液体が存在するかどうかを検知する少なくとも1つの検知手段を備えるときに、
上記検知手段が検知した信号に基づいて、上記第1遮断部の動作を制御する第1遮断動作制御手段を備えることを特徴とする送液装置。
【請求項27】
請求項15から20に記載の流路チップに送液する送液装置であって、
上記流路チップが、上記主流路に液体が存在するかどうかを検知する少なくとも1つの検知手段を備えるときに、
上記検知手段が検知した信号に基づいて、上記第2遮断部の動作を制御する第2遮断動作制御手段を備えることを特徴とする送液装置。
【請求項28】
請求項5から10の何れか1項に記載の流路チップと、請求項26に記載の送液装置とを含むことを特徴とする送液システム。
【請求項29】
請求項15から20の何れか1項に記載の流路チップと、請求項27に記載の送液装置とを含むことを特徴とする送液システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−108769(P2013−108769A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251962(P2011−251962)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】