流路切換装置
【課題】バルブを使用することなく流路の切換えが可能な流路切換装置の提供。
【解決手段】所定の流体の導入路または排出路となる流路が形成された流路ヘッド部と、該流路と連通状態となる流路が形成された流路ポート部と、を少なくとも備え、流路ヘッド部と流路ポート部の両方またはいずかれ一方が二以上設けられており、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることによって、一又は二以上の連通流路が形成される流路切換装置を提供する。
【解決手段】所定の流体の導入路または排出路となる流路が形成された流路ヘッド部と、該流路と連通状態となる流路が形成された流路ポート部と、を少なくとも備え、流路ヘッド部と流路ポート部の両方またはいずかれ一方が二以上設けられており、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることによって、一又は二以上の連通流路が形成される流路切換装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の供給源から送出される流体を、適宜流路を切換えて供給するための流路切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の製造装置や分析装置に対して、ガスや液体等の流体を供給するに際し、装置ごとに流体の供給手段を設けることは、コストの増大や設備の大型化といった問題を生じる要因となっている。このため、流体供給手段から送出される流体を、流路切換装置により適宜流路を切換えて複数の部材へ供給することが考えられている。
【0003】
このような流路切換装置としては、従来、ゲートバルブやニードルバルブ、ダイヤフラムバルブ、回動バルブ(回動バルブについては詳しく後述する)などの各種バルブを採用したものが用いられている。
【0004】
しかし、バルブを採用した流路切換装置では、バルブ容積に起因して流体のデッドボリュームが発生したり、バルブに残留した流体が切換え後の流路へ混入したりする(キャリーオーバーする)ことがあった。また、金属製や樹脂製のバルブから磨耗カス(不純物)が発生し、流体に混入するおそれもあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、バルブを使用することなく流路の切換えが可能な流路切換装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題解決のため、本発明は、所定の流体の導入路または排出路となる流路が形成された流路ヘッド部と、該流路と連通状態となる流路が形成された流路ポート部と、を少なくとも備え、流路ヘッド部と流路ポート部の両方またはいずかれ一方が二以上設けられており、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることによって、一又は二以上の連通流路が形成される流路切換装置を提供する。
本流路切換装置では、流路ヘッド部及び閉塞ヘッド部の流路ポートに対する相対位置を移動させるための駆動手段を設けて、この駆動手段により流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることで、二以上の連通流路を形成させることができる。
本流路切換装置に、二以上の流路ポート部を設けた場合には、少なくとも一つの流路ポート部を閉塞し得る閉塞手段を設けて、該閉塞手段により所望の流路ポート部を閉塞することによって流路の切換えを行うこともできる。
この閉塞手段は、流路ポート部の開口部を圧着して塞ぐ閉塞ヘッド部として構成することができ、該閉塞ヘッド部は流路ヘッド部に併設される。
閉塞手段として閉塞ヘッド部を設けた場合には、流路ヘッド部及び閉塞ヘッド部の流路ポート部に対する相対位置を移動させるための駆動手段を設けて、この駆動手段により流路ヘッド部または閉塞ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることで、流路の切換えを行うこともできる。
このように本流路切換装置は、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることによって流路の切換えを行うものであり、この切換えは駆動手段によって流路ヘッド及び閉塞ヘッドの流路ポートに対する相対位置を移動させることによって行うことができる。従って、バルブを使用することなく流路の切換えを行うことが可能となる。本流路切換装置は、クロマトグラフ装置または質量分析装置に連設して用いることができるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る流路切換装置は、バルブを使用することなく流路の切換えを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0009】
図1は、本発明に係る流路切換装置の第一の実施形態を説明する模式図である。図は、流路ヘッド部及び流路ポート部のみを拡大して示している。本実施形態に係る流路切換装置は、二つの流路ヘッド部11,12と、二つの流路ポート部21,22を備えている。流路ヘッド部11,12には、それぞれ流路111,121が接続され、流路ポート部21,22には、それぞれ流路211,221が接続されている。
【0010】
図1(A)では、流路ヘッド11は流路ポート21に連通し、流路ヘッド12は流路ポート22に連通している。これにより、流路111及び流路211からなる連通流路と、流路121及び流路221からなる連通流路との二つの連通流路が形成されている。
【0011】
一方、図1(B)では、この流路ヘッド部11,12及び流路ポート部21,22との組み合わせを切換えることにより、二つの連通流路は、流路111及び流路221からなる連通流路と、流路121及び流路211からなる連通流路とに変更されている。この流路切換により、図1(A)において流路111及び流路ヘッド部11から、流路ポート部21及び流路211に供給されていた流体は、流路ポート22及び流路221へ供給されることとなる。同様に、流路121及び流路ヘッド部12から供給されていた流体は、流路ポート部21及び流路211へ供給されることとなる。
【0012】
ここで、本実施形態において、流路ヘッド部11,12及び流路111,121は流体の導入路として、流路ポート部21,22及び流路211,221は流体の排出路として説明したが、これに限定されず、それぞれ導入路としても排出路としても機能し得るものとする。
【0013】
本発明では、流路ヘッド11,12及び流路ポート部21,22の組み合わせの切換えを、図示しない駆動手段により、流路ヘッド11,12の流路ポート部21,22に対する相対位置を移動させることにより行うことができる。この駆動手段については、通常用いられる手段を広く採用することが可能であり、特に限定されることはない。
【0014】
図2は、本発明に係る流路切換装置の第二及び第三の実施形態を説明する模式図である。第二の実施形態に係る流路切換装置(図2(A))は、一つの流路ヘッド部11と、二つの流路ポート部21,22を備えている。また、第三の実施形態に係る流路切換装置(図2(B))は、二つの流路ヘッド部11,12と、一つの流路ポート部21を備えている。
【0015】
図2(A)では、流路ヘッド部11が連通する流路ポート部を流路ポート21,22から択一的に選択して組み合わせることにより、流路111と、流路211または流路221とからなる二つの連通流路を形成することができる。
【0016】
また、図2(B)では、流路ポート部21に連通する流路ヘッド部を流路ヘッド21,22から択一的に選択し組み合わせることにより、流路111または流路121と、流路221とからなる二つの連通流路を形成することができる。
【0017】
第二及び第三の実施形態に係る流路切換装置において、各流路ヘッド部、流路ポート部及び流路は、流体の導入路としても排出路としても機能し得る点は上述した通りである。また、流路ヘッド部11,12及び流路ポート部21,22の組み合わせの切換えは、流路ヘッド部11,12の流路ポート部21,22に対する相対位置を駆動手段(図示せず)により移動させることにより行い得る点についても同様である。これらの点は、以下に説明する他の実施形態についても同様である。
【0018】
以上の第一実施形態から第三実施形態で説明したように本発明に係る流路切換装置は、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることによって流路の切換えを行うものであり、この切換えは駆動手段によって流路ヘッドの流路ポートに対する相対位置を移動させることによって行うことができる。従って、バルブを使用することなく流路の切換えを行うことが可能である。
【0019】
第一実施形態から第三実施形態で説明した流路切換装置においては、各流路ポートが個別の独立した流路に接続されている場合を説明した。この場合、流路ヘッド部及び流路ポート部の数は特に限定されることはなく、それぞれ3以上とすることも当然に可能である。また、流路ヘッド部及び流路ポート部は、同数であってもよく(第一実施形態)、一方の数が多くてもよい(第二・第三実施形態)。
【0020】
図3は、本発明に係る流路切換装置の第四の実施形態を説明する模式図である。本実施形態に係る流路切換装置は、流路ポート部21,22が同一の流路211に接続されている点で、上述した第一から第三の実施形態に係る流路切換装置と異なる。
【0021】
図3(A)では、流体は、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部21に供給され、流路211へ導入されるものとする。流路211へ導入された流体は、流路ポート部22を介して、流路ヘッド部22及び流路121へ排出されることとなる。すなわち、流体は、流路211を、流路ポート部21から流路ポート部22へ向かう方向(図中矢印F1参照)で流れている。
【0022】
ここで、流路ヘッド部11,12及び流路ポート部21,22の組み合わせを切換えると(図3(B))は、流体は、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部22に供給されることとなる。これにより、流体の流路211を流れる方向は、流体ポート部22から流体ポート部21へ向かう方向(図中矢印F2参照)へと切換えられることとなる。
【0023】
このように本実施形態に係る流路切換装置は、流路211内における流体の送出方向を切換えることが可能であり、連通流路への流体の送出方向の切換えを行うことを特徴とする。これは図に示すように、流路211内に所望の部材31を設置し、この部材31に異なる方向から繰り返し流体を導入する場合に有用であり、例えば、部材31を溶媒により洗浄する工程に利用することが可能である。
【0024】
さらに、部材31を、図4に示すように内部にろ過フィルター311を配設した構成とすることにより、流体中の微粒子Pを該ろ過フィルター311により濾し取って回収することができる。すなわち、図3(A)に対応する図4(A)の状態では、流体及び流体中の微粒子Pは、図中矢印F1方向に部材31内へ送出され、微粒子Pがろ過フィルター311に濾し取られる。次に、図3(B)に対応する図4(B)の状態で、部材31内へ送出される流体の送出方向を図中矢印F2方向とすることにより、微粒子Pをろ過フィルター311から遊離させ、回収する。このように、本実施形態に係る流路切換え装置では、部材31内における流体の送出方向を切換えることによって、流体中の微粒子をろ過し、回収することが可能である。
【0025】
微粒子Pは、例えば、DNAやRNAを吸着するマイクロビーズや、特定のタンパク質に対する抗体を固定化したセファロースビーズなど、種々の目的物質を担持可能な担体とすることができる。目的物質の吸着後、ろ過フィルター311により担体を回収することにより、回収した担体からさらにDNAやRNA、タンパク質を回収することが可能となる。また、微粒子Pとして固相合成反応の基材となる樹脂ビーズを用いれば、所望の固相合成反応を行った後の樹脂ビーズを回収することができる。さらに、流体として細胞懸濁液を用いれば、細胞を微粒子Pとして回収することも可能である。このように、本実施形態に係る流路切換え装置は、DNAやRNA、タンパク、細胞などの回収工程にも好適に採用することが可能である。
【0026】
図5は、本発明に係る流路切換装置の第五の実施形態を説明する模式図である。本実施形態に係る流路切換装置は、三つの流路ヘッド部11,12,13と、二つの流路ポート部21,22を備えている。流路ヘッド部11,12,13には、それぞれ流路111,121,131が接続され、流路ポート部21,22は、同一の流路211に接続されている。
【0027】
図5(A)では、流体は、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部21に供給され、流路211へ導入されるものとする。この場合、流路211へ導入された流体は、流路ポート部22を介して、流路ヘッド部22及び流路121へ排出されることとなる。
【0028】
ここで、流路ヘッド部11,12,13及び流路ポート部21,22の組み合わせを切換えて、流路ポート部22に連通する流路ヘッド部を流路ヘッド部12から流路ヘッド部13へ変更すると(図5(B))、流体は流路131へ排出されることとなる。
【0029】
図6は、流路ヘッド部を4つ、流路ポート部を3つ設けた流路切換装置であり、本発明に係る流路切換装置の第六の実施形態を説明する模式図である。本実施形態に係る流路装置では、上述の実施形態で説明した構成に加えて、閉塞ヘッド部41を併設している。
【0030】
本実施形態に係る流路切換装置においても、上記の第五実施形態に係る流路切換装置と同様に、流路ヘッド部11,12,13,14及び流路ポート部21,22,23の組み合わせを切換えることで、流路の切換えを行うことができる。図6(A)及び(B)はその一例を示している。図中、矢印F1及びF2は流体の送出方向を示している。
図6(A)では、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部21を介して流路211へ導入された流体は、流路ポート部22もしくは23より、それぞれ流路ヘッド部12及び流路121(図中矢印F1参照)もしくは流路ヘッド部13及び流路131(図中矢印F2参照)へ排出される。
図6(B)では、排出流路は、流路ヘッド部12及び流路121(図中矢印F1参照)と、流路ヘッド部13及び流路131に変えて流路ヘッド部14及び流路141(図中矢印F2参照)へ排出される。
【0031】
さらに、本実施形態に係る流路切換装置においては、流路ヘッド部11,12,13,14に、閉塞ヘッド部41を併設している。閉塞ヘッド部41は、流路ポート部21,22,23の開口部を圧着して塞ぐことが可能な構成とされている。さらに、閉塞ヘッド部41は、流路ヘッド部11,12,13,14と同様に、流路ポート部21,22に対する相対位置を、駆動手段(図示せず)により移動させることが可能である。
【0032】
従って、例えば、図6(C)に示すように、閉塞ヘッド部41により流路ポート部23を塞ぐと、流路切換装置には、流路111、流路ヘッド部11、流路ポート部21、流路211の一部、流路ポート部22、流路ヘッド部12、流路121からなる単一の連通流路(図中矢印F1参照)が形成されることとなる。
【0033】
すなわち、本実施形態に係る流路切換装置においては、図6(A)及び(B)に示したように、一の導入路と二の排出路を形成することも、図6(C)のように一の導入路と一の排出路を形成することも可能である。また、上述した通り、各流路ヘッド部、流路ポート部及び流路は、流体の導入路としても排出路としても機能し得るため、二の導入路と一の排出路を形成することも当然に可能である。
【0034】
このように本発明に係る流路切換装置では、流路ヘッド部、閉塞ヘッド部、流路ポート部の数を自由に設計することにより、連通流路を形成する導入路と排出路の数を適宜変更しながら流路の切換えを行うことが可能である。
【0035】
ここで、本実施形態において、流路ポート部21,22,23の開口部を閉塞するための手段(閉塞手段)は、閉塞ヘッド部41として示した。しかし、閉塞手段については、これに限られず様々な設計が考えられ、各流路ポート部の開口部を閉塞することができる手段であれば広く採用することが可能である。
【0036】
図7は、本発明に係る流路切換装置の第七の実施形態を説明する模式図である。本実施形態に係る流路切換装置では、2つの流路ヘッド部11,12と、1つの閉塞ヘッド部41と、3つの流路ポート部21,22,23が設けられている。流路ヘッド部11,12は、それぞれ流路111,121に接続されている。また、流路ポート部21,22,23は単一の流路211に接続されている。流路211には、図に示すように、部材31と32が介在されており、流路121の対側には部材33が接続されている。
【0037】
図7(A)では、流路ポート部23が閉塞ヘッド部41により塞がれている。このため、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部21を介して流路211へ導入された流体は、部材31を通過して流路ポート部22、流路ヘッド部12、流路121の順に形成された連通流路により、部材33へ供給される(図中矢印F1参照)。すなわち、部材33へ供給される流体は、部材31のみを通過したものとなっている。
【0038】
図7(B)には、流路ヘッド部11,12、閉塞ヘッド部41、流路ポート部21,22,23の組み合わせを変更した際の連通流路を示す。本図では、流路ヘッド部12は流路ポート部23に連通され、流路ポート部22は閉塞ヘッド部41により塞がれた状態となっている。このため、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部21を介して流路211へ導入された流体は、部材31、さらに部材32を通過して流路ポート部23、流路ヘッド部12、流路121の順に、部材33へ供給される(図中矢印F2参照)。すなわち、部材33へ供給される流体は、部材31と部材32を通過したものとなっている。
【0039】
このような流路切換は、例えば、部材31及び部材32が流体のろ過装置であって、部材33が製造装置である場合に有用である。製造段階の第一段階(図7(A)の状態)では、ろ過装置(部材31)のみを経た流体を製造装置(部材33)に供給し、続く第二段階(図7(B)の状態)では、ろ過装置(部材32)によってさらに高度に浄化された流体を製造装置に供給するといった場合、上記のような流路の切換えにより簡単に製造装置に供給される流体の浄化度を変更することが可能となる。
【0040】
図8は、本発明に係る流路切換装置の第八の実施形態を説明する模式図である。本実施形態に係る流路切換装置は、流体中に含まれる目的物質(以下、「試料」という)を濃縮したり、試料を一の流体中から他の流体中へ置き換える(流体の置換を行う)場合に特に有用に用いられる。これを以下に説明する。
【0041】
本実施形態に係る流路切換装置では、3つの流路ヘッド部11,12,13と、1つの閉塞ヘッド部41と、3つの流路ポート部21,22,23が設けられている。流路ヘッド部11,12,13は、それぞれ流路111,121,131に接続されており、流路ポート部21,22,23は単一の流路211に接続されている。また、流路211にはカラム(部材31)が接続されている。
【0042】
図8(A)では、流路ポート部23が閉塞ヘッド部41により塞がれている。このため、図中矢印S1から流路121、流路ヘッド部12、流路ポート部22を介して流路211へ導入された試料を含む流体は、カラム(部材31)を通過して、流路ポート部21、流路ヘッド部11、流路111を経て矢印S2から排出される(図中矢印F1参照)。このとき、流体中に含まれる試料は、カラム(部材31)に吸着されることとなる。なお、カラムには、試料に応じて、該試料と親和性を有する基材からなる各種カラムを特に限定されることなく用いることができる。
【0043】
次に、図8(B)に示すように、流路ヘッド部11,12,13及び閉塞ヘッド部41を流路ポート部21,22,23に対して相対移動させ、流路の組み合わせを変更する。これにより、図中矢印S1から流路121及び流路ヘッド部12により供給される流体は、流路ポート部21から流路211へ導入されることとなる。これにより、先に説明した図8(A)の段階でカラム(部材31)に吸着された試料が、流体中へ再溶出される。このとき、流路ポート部22については、閉塞ヘッド41により圧着され塞がれた状態とされているため、カラム(部材31)から再溶出された試料は、流路ポート部23から流路ヘッド13及び流路131を経て矢印S3へと送出されることとなる(図中矢印F2参照)。
【0044】
図8(A)の工程は、流路ヘッド部12から試料を含む流体を導入し、試料をカラム(部材31)に吸着させるステップであり、図8(B)の工程は、流路ヘッド部12から流体を導入し、試料をカラム(部材31)から再溶出させるステップである。このため、流路ヘッド部12からは、図8(A)では試料を含む流体が、図8(B)では試料をカラムから再溶出させるための流体(再溶出用流体)が送出される必要がある。
【0045】
そこで、本実施形態においては、図9に示すように流体タンクSを設け、流路ヘッド部12にポンプ機能を付与した上で、前述の駆動手段により流路ポート部と流体タンクSとの間を移動可能な構成とした。
【0046】
より具体的に説明すると、図8(A)において、流路ヘッド部12から試料を含む流体を送出する際には、まず、流路ヘッド部12が、図9(A)に示す流体タンクS(a)の位置まで移動する。このとき、流路ヘッド部12の先端部は、流体タンクS(a)内の流体(ここでは、試料を含む流体)中に保持される。ポンプ機能により流路ヘッド部12内部が陰圧とされることで、流路ヘッド部12は、流体タンクS(a)内の流体を内部に導入する。
次に、流路ヘッド部12は、図9(B)に示すように、流路ポート部22に連通する状態へと移動し、ポンプ機能により流路ヘッド部12内部が陽圧とされることで、流体を流路ポート部22から流路211へ送出する。
【0047】
図8(B)の再溶出工程においても、同様に流路ヘッド部12が流路ポート部12と流体タンクS間を移動する。まず、流路ヘッド部12は、溶媒タンクS(b)に移動し、溶媒タンクS(b)内の流体(ここでは、再溶出用流体)を内部に導入する。
次に、今度は流路ポート部21に連通する状態へと移動し、流体を流路ポート部21から流路211へ送出する。
【0048】
このように、本実施形態に係る流路切換装置では、流路ヘッド部12にポンプ機能を付与し、流路ポート部と流体タンクとの間を移動可能な構成とすることにより、図8(A)及び(B)に示す各工程で、2種以上の異なる溶媒をカラムに送出することを可能としている。これにより、上述したように、カラムを用いて流体中に含まれる試料を濃縮したり、あるいは流体の置換を行ったりすることができる。
【0049】
続いて、本発明に係る流路切換装置をクロマトグラフ装置や質量分析装置に連設した場合の好適な実施形態について説明する。なお、本発明において、「クロマトグラフ装置」とは、液体クロマトグラフ(以下、「LC」という)、ガスクロマトグラフの双方を含み得るものとするが、本実施形態ではLCである場合について説明する。
【0050】
まず、図12を用いて、従来の回動バルブ(図中符号V)を連設したLCの簡単な構造を示す。図では、回動バルブVとカラム(図中符号C1及びC2)及びこれらを接続する流路のみを模式的に示した。
【0051】
このようなLCは、プロテオーム解析において質量分析装置に連設されて用いられている。通常、多数のタンパク試料を自動でLCに注入するオートサンプラーと、試料を分離するLC、さらにはフラクション化された試料の質量を解析する質量分析装置が、一連の分析システムとして構築されている。
【0052】
このLCでは、回動バルブVによって流路の切換えが行われる。すなわち、図12(A)の状態では、矢印Q1から流路へ供給された試料は、回動バルブVを通過して、矢印Q2から排出される。この際、試料はプレカラム(図中符号C1)に吸着される。
【0053】
次に、回動バルブを同心円上に60度回転させて流路を切換えると(図12(B)参照)、今度は矢印R1から送出される溶媒がプレカラムC1に導入されることとなる。これにより、プレカラムC1に吸着された試料が再溶出されて、分離カラム(図中符号C2)へと導入される。試料は、分離カラムC2により分離、フラクション化された後に、さらに矢印R2方向へ、例えば紫外線分光光度計や、質量分析装置へ送出される。
【0054】
次に、一般的な回動バルブの構成について、図13に基づいてさらに詳しく説明する。
【0055】
符号Vで示される回動バルブは、固定されたステータXと、該ステータXに接触しながら回転するロータYとから構成されている。なお、図では構造を明らかにするために、ロータYとステータXは離反させて示した。
【0056】
ステータXの周辺部分には、同心円上に60度間隔で、上下に貫通する貫通孔(ポート)A〜Fが設けられている。そして、各ポートにはそれぞれ流路が接続されている。一方、ロータYのステータXとの接触面には、その周辺部分に、同心円上に60度間隔で、凹部G〜Iが交互に設けられている。この凹部G〜Iは、ステータXと密着した状態で、ポートA〜Fのいずれか2つと連通して流路を形成する。
【0057】
回動バルブVが図13(A)に示す状態にある場合には、ポートA、凹部G、ポートB、ポートF、凹部I、ポートEの順で単一の連通流路が形成される。これにより、ポートAへ注入された流体は、ポートEに接続された部材Mへ供給されることとなる(図中矢印参照)。
【0058】
ここで、ロータYを、同心円上時計回りに60度回転させると(図13(B)参照)、連通流路の構成は、ポートA、凹部I、ポートF、ポートB、凹部G、ポートCの順となる。これにより、ポートAへ注入された流体は、ポートCに接続された部材Nへ供給されることとなる(図中矢印参照)。すなわち、ロータYを回転させることで、流体の供給先を部材Mから部材Nへ切換えることが可能とされている。
【0059】
このような回動バルブは、上記のポート及び凹部の数を増やしたり、複数の回動バルブを組み合わせて用いることにより、複雑な流路切換を行うことが可能である。しかし、一方で以下のような問題点がある。
【0060】
回動バルブでは、バルブ内の各ポートや凹部の容積が、バルブ外の流路も含めた流路全体の容積(システム体積)に対して、相当程度の割合を占めることとなる。このため、各ポートや凹部の容積に起因して、流体のデッドボリュームが発生してしまう。また、回動バルブにおける流路の切換えは、バルブ流路内に流体が満たされた状態で行われるため、各ポートや凹部に残留する流体に起因して、流体のキャリーオーバーが発生する。
また、一般に回動バルブでは、ステータは金属製のものが、ロータは樹脂製のものが採用されるが、ロータの回転駆動時に流体が漏れないようにステータとロータは厳密に密着されている。このため、ステータとロータの接着面においてこれら金属や樹脂の磨耗カス(不純物)が発生し、流体に混入することがある。
さらに、回動バルブを用いると流路の全長が長く(システム体積が大きく)なってしまうため、流体が供給手段から所望の部材に到達するまでに時間がかかるといった問題もある。
また、図12に示すような所望の切換え流路を得るためには、回動バルブVの各ポートに流路を適切に接続する必要があり、この接続作業にはある程度の習熟が必要であった。このため、不適切な接続を行い、さらにシステム体積が増大してしまうことがあった。
【0061】
以上のような問題点は、回動バルブを使用した流路切換装置を連設した製造機器において、製品の品質や製造効率の低下を引き起こす要因となっている。また、分析装置に連設した場合には、分析感度や分析速度を低下させる要因ともなっている。そして、同様の問題は、回動バルブに限らず各種バルブを使用した流路切換装置でも生じえる問題である。
【0062】
特に、LCでは、微量の試料を極めて低流速で流路に送出することが必要となる。この際、バルブに起因して、デッドボリュームやキャリーオーバー、不純物の混入が生じると、試料や溶媒のロスやコンタミネーションの原因となり、分析感度が著しく低下してしまう。また、LC分析では、カラムへの試料の吸着、カラムの洗浄、カラムからの試料の溶出等の各工程において、頻繁に流路の切換えを行う必要があるが、従来のバルブを連設した流路では流路の全長が長くなってしまうため、試料や溶媒がカラムに到達するまでに時間がかかり、分析速度が低下していた。
【0063】
これに対して、図10に示す本発明に係る流路切換装置を連設したLCは、このような従来のバルブを使用した流路切換装置を連設したLCの問題点が解消されている。図10は、本発明に係る流路切換装置の第九の実施形態を連設したLCを説明する模式図である。
本実施形態に係る流路切換装置では、2つの流路ヘッド部11,12と、1つの閉塞ヘッド部41と、2つの流路ポート部21,22が設けられている。流路ヘッド部11,12は、それぞれ流路111,121に接続されている。また、流路ポート部21,22は単一の流路211に接続されており、流路211には、LCのプレカラムC1と分離カラムC2が接続されている。ここでプレカラム及び分離カラムには、一般に、メチル、ブチル、オクチル、オクタデシル、ドコシル基などのアルキル基を化学結合したシリカ、ガラスまたは樹脂ビーズあるいはジビニルベンゼン―スチレン共重合体、ポリスチレンなどの樹脂ビーズを充填したものが用いられる。
【0064】
図10(A)において、矢印S1から流路121へ供給された試料を含む溶媒(以下、「サンプル溶液」という)は、流路ヘッド部12及び流路ポート部22から流路211へ導入される。この際、分離カラムC2は高分離能を得るために、プレカラムC1に比べ粒子径の細かい充填剤を長いカラムに充填しているため背圧が高く、これをサンプル溶液が通過するためには高い送出圧が必要となる。従って、流路211へ導入されたサンプル溶液は、分離カラムC2へ送出されることなく、流路ポート部21に連通する流路ヘッド部11及び流路111を通って、図中矢印S2方向へ排出されることとなる(図中矢印F1参照)。この際、試料がプレカラムC1に吸着される。
【0065】
次に、図10(B)に示すように、流路ヘッド部11,12及び閉塞ヘッド部41を流路ポート部21,22に対して相対移動させ、流路の組み合わせを変更する。
この状態では、溶媒は流路ポート21から流路211へ供給されることとなり、プレカラムC1に吸着された試料が溶媒によって再溶出される。このとき、流路ポート部22は閉塞ヘッド部41により塞がれているため、再溶出された試料は流路211に接続された分離カラムC2へ送出されることとなる(図中矢印F2参照)。分離カラムC2に送出された試料は、分離、フラクション化された後、さらに矢印S3向へ紫外線分光光度計や質量分析装置へと送出される。
【0066】
なお、本実施形態に係る流路切換装置でも、図9を用いて説明したように、流路ヘッド部12にポンプ機能を付与し、流路ポート部と流体タンクとの間を移動可能な構成とすることにより、図10(A)(試料吸着工程)及び(B)(試料再溶出工程)の各工程、さらに後述する図10(C)(フラッシュ操作)において、2以上の異なる溶媒を流路ヘッド部から送出することが可能な構成とされている。
【0067】
このように、本実施形態に係る流路切換装置を連設したLCでは、プレカラムC1への試料の吸着と再溶出のための流路切換を、バルブを用いることなく、流路ヘッド部11,12及び閉塞ヘッド部41を移動させることにより簡単に行うことが可能である。従って、バルブに起因したデッドボリュームやキャリーオーバー、不純物の混入が発生せず、試料や溶媒のロスやコンタミネーションをなくして、LCや質量分析装置の分析感度を向上させることが可能となる。また、バルブを省略したことで、流路の全長が短くなるので(図12も参照)、試料や溶媒が分離カラムC2に到達するまでに時間を短縮することが可能で、分析効率を向上させることもできる。
【0068】
さらに、従来のバルブを使用した流路切換装置を連設したLCにはない本実施形態に係る流路切換装置の独自の効果として、プレカラムC1のフラッシュ操作を容易に行い得る点がある。図10(A)(試料吸着工程)及び(B)(試料再溶出工程)の工程を繰り返し行うと、再溶出されずにプレカラムC1の内部に残留した試料によって、プレカラムC1の目詰まりが生じ、カラムの吸着性能が低下する。フラッシュ操作とは、これを防止するため、プレカラムC1を洗浄する操作のことをいい、具体的には、プレカラムC1へ図10(A)の試料吸着工程とは逆の方向に流体を送出し、プレカラムC1内部に残留する試料を排出させる操作である。
【0069】
図10(C)に示すように、流路ヘッド部11,12及び閉塞ヘッド部41を流路ポート部21,22に対して相対移動させ、流路の組み合わせを変更する。この状態では、矢印S1から流路121及び流路ヘッド部12を介して、流路ポート21から流路211へ供給される溶媒によって、プレカラムC1の内部に残留する試料が、図中矢印S2方向へ排出される(図中矢印F3参照)。
【0070】
従来のバルブを使用した流路切換装置を連設したLCにおいては、プレカラムC1のフラッシュ操作は、プレカラムC1をいったん流路から取り外してマニュアル操作により内部を洗浄する操作が行われていた。これに対して、本実施形態に係る流路切換装置を連設したLCでは、図10(A)(試料吸着工程)及び(B)(試料再溶出工程)の各工程から、流路ヘッド部11、流路ヘッド部12及び閉塞ヘッド部41が駆動手段によって相互に位置を入れ替えることにより、自動でプレカラムC1のフラッシュ操作が行われる。
【0071】
図11は、本発明に係る流路切換装置の第十の実施形態を連設した2次元LC(以下、「2D−LC」という)を説明する模式図である。2D−LCは、異なる吸着性能を有する2種類のカラムを用いて、目的試料を2段階で分離することにより、高精度な分離を可能とするLCである。
本実施形態に係る流路切換装置では、2つの流路ヘッド部11,12と、2つの閉塞ヘッド部41,41と、3つの流路ポート部21,22,23が設けられている。流路ヘッド部11,12は、それぞれ流路111,121に接続されている。また、流路ポート部21,22,23は単一の流路211に接続されており、流路211にはLCのプレカラムC11,C12と分離カラムC2が接続されている。
【0072】
図11(A)において、矢印S1から流路121へ供給されたサンプル溶液は、流路ヘッド部12及び流路ポート部23から流路211へ導入される。この際、流路ポート部21はいずれかの閉塞ヘッド41によって塞がれており、また分離カラムC2は分離度が極めて高いため、流路211へ導入されたサンプル溶液は、流路ポート部22に連通する流路ヘッド部11及び流路111を通って、図中矢印S2方向へ排出されることとなる(図中矢印F1参照)。この際、試料はプレカラムC12に吸着される。一般的な2D−LCでは、親水性の高い試料を吸着、保持するために、プレカラムC12としてはイオン交換カラムが用いられる。
【0073】
次に、図11(B)に示すように、流路ヘッド部11及び閉塞ヘッド部41を流路ポート部21,22に対して相対移動させ、相互に入れ替えることにより流路切換えを行う。
これにより、矢印S1から流路121及び流路ヘッド部12を介して、流路ポート23から流路211へ供給される溶媒は、流路ポート部21、流路ヘッド部11及び流路111を経て、図中矢印S2方向へ排出されることとなる(図中矢印F2参照)。
この際、プレカラムC12に吸着された試料は再溶出されて、今度はプレカラムC11に吸着される。一般的な2D−LCでは、プレカラムC12としては逆層カラムが用いられる。
【0074】
続いて、図11(C)に示すように、流路ヘッド部11、12及び閉塞ヘッド部41を流路ポート部21,22,23に対して相対移動させることにより流路切換えを行う。
この状態では、流路ポート部22,23がそれぞれ閉塞ヘッド部41,41により塞がれた状態となっているため、矢印S1から流路121、流路ヘッド部12を介して、流路ポート23から流路211へ供給される溶媒は、分離カラムC2へ送出されることとなる(図中矢印F3参照)。
この際、プレカラムC11から試料が再溶出され、再溶出された試料が分離カラムC2により分離、フラクション化されて、矢印S3方向の紫外線分光光度計や、質量分析装置へと送出される。
【0075】
なお、本実施形態に係る流路切換装置でも、図9を用いて説明したように、流路ヘッド部12にポンプ機能を付与し、流路ポート部と溶媒タンクとの間を移動可能な構成とすることにより、図11(A)〜(C)の各工程において、2以上の異なる溶媒を流露ヘッド部12から送出することが可能な構成とされている。
【0076】
このように、本実施形態に係る流路切換装置を連設したLCでは、プレカラムC11,C12への試料の吸着と再溶出のための流路切換を、バルブを用いることなく、流路ヘッド部11,12及び閉塞ヘッド部41を移動させることにより簡単に行うことが可能である。従って、バルブに起因した種々の問題を解決することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る流路切換装置は、各種製造機器及び分析機器に流体を供給する際の流路の切換えに有用であり、特に、デッドボリュームやキャリーオーバー、不純物の混入の発生が少ないため、製品品質及び製造効率向上や、分析感度及び分析速度向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る流路切換装置の第一の実施形態を説明する模式図である。
【図2】本発明に係る流路切換装置の第二及び第三の実施形態を説明する模式図である。
【図3】本発明に係る流路切換装置の第四の実施形態を説明する模式図である。
【図4】本発明に係る流路切換装置の第四の実施形態の利用例を説明する模式図である。
【図5】本発明に係る流路切換装置の第五の実施形態を説明する模式図である。
【図6】本発明に係る流路切換装置の第六の実施形態を説明する模式図である。
【図7】本発明に係る流路切換装置の第七の実施形態を説明する模式図である。
【図8】本発明に係る流路切換装置の第八の実施形態を説明する模式図である。
【図9】本発明に係る流路切換装置において、2以上の異なる溶媒を流路ヘッド部から送出するための構成を説明する模式図である。
【図10】本発明に係る流路切換装置の第九の実施形態を連設したLCを説明する模式図である。
【図11】本発明に係る流路切換装置の第十の実施形態を連設した2D−LCを説明する模式図である。
【図12】回動バルブを用いた流路切換装置を連設したLCを説明する模式図である。
【図13】回動バルブの簡単な構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0079】
11,12,13,14 流路ヘッド部
21,22,23 流路ポート部
111,121,131,141,211,221 流路
41 閉塞ヘッド部
V 回動バルブ
X ステータ
Y ロータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の供給源から送出される流体を、適宜流路を切換えて供給するための流路切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の製造装置や分析装置に対して、ガスや液体等の流体を供給するに際し、装置ごとに流体の供給手段を設けることは、コストの増大や設備の大型化といった問題を生じる要因となっている。このため、流体供給手段から送出される流体を、流路切換装置により適宜流路を切換えて複数の部材へ供給することが考えられている。
【0003】
このような流路切換装置としては、従来、ゲートバルブやニードルバルブ、ダイヤフラムバルブ、回動バルブ(回動バルブについては詳しく後述する)などの各種バルブを採用したものが用いられている。
【0004】
しかし、バルブを採用した流路切換装置では、バルブ容積に起因して流体のデッドボリュームが発生したり、バルブに残留した流体が切換え後の流路へ混入したりする(キャリーオーバーする)ことがあった。また、金属製や樹脂製のバルブから磨耗カス(不純物)が発生し、流体に混入するおそれもあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、バルブを使用することなく流路の切換えが可能な流路切換装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題解決のため、本発明は、所定の流体の導入路または排出路となる流路が形成された流路ヘッド部と、該流路と連通状態となる流路が形成された流路ポート部と、を少なくとも備え、流路ヘッド部と流路ポート部の両方またはいずかれ一方が二以上設けられており、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることによって、一又は二以上の連通流路が形成される流路切換装置を提供する。
本流路切換装置では、流路ヘッド部及び閉塞ヘッド部の流路ポートに対する相対位置を移動させるための駆動手段を設けて、この駆動手段により流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることで、二以上の連通流路を形成させることができる。
本流路切換装置に、二以上の流路ポート部を設けた場合には、少なくとも一つの流路ポート部を閉塞し得る閉塞手段を設けて、該閉塞手段により所望の流路ポート部を閉塞することによって流路の切換えを行うこともできる。
この閉塞手段は、流路ポート部の開口部を圧着して塞ぐ閉塞ヘッド部として構成することができ、該閉塞ヘッド部は流路ヘッド部に併設される。
閉塞手段として閉塞ヘッド部を設けた場合には、流路ヘッド部及び閉塞ヘッド部の流路ポート部に対する相対位置を移動させるための駆動手段を設けて、この駆動手段により流路ヘッド部または閉塞ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることで、流路の切換えを行うこともできる。
このように本流路切換装置は、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることによって流路の切換えを行うものであり、この切換えは駆動手段によって流路ヘッド及び閉塞ヘッドの流路ポートに対する相対位置を移動させることによって行うことができる。従って、バルブを使用することなく流路の切換えを行うことが可能となる。本流路切換装置は、クロマトグラフ装置または質量分析装置に連設して用いることができるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る流路切換装置は、バルブを使用することなく流路の切換えを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0009】
図1は、本発明に係る流路切換装置の第一の実施形態を説明する模式図である。図は、流路ヘッド部及び流路ポート部のみを拡大して示している。本実施形態に係る流路切換装置は、二つの流路ヘッド部11,12と、二つの流路ポート部21,22を備えている。流路ヘッド部11,12には、それぞれ流路111,121が接続され、流路ポート部21,22には、それぞれ流路211,221が接続されている。
【0010】
図1(A)では、流路ヘッド11は流路ポート21に連通し、流路ヘッド12は流路ポート22に連通している。これにより、流路111及び流路211からなる連通流路と、流路121及び流路221からなる連通流路との二つの連通流路が形成されている。
【0011】
一方、図1(B)では、この流路ヘッド部11,12及び流路ポート部21,22との組み合わせを切換えることにより、二つの連通流路は、流路111及び流路221からなる連通流路と、流路121及び流路211からなる連通流路とに変更されている。この流路切換により、図1(A)において流路111及び流路ヘッド部11から、流路ポート部21及び流路211に供給されていた流体は、流路ポート22及び流路221へ供給されることとなる。同様に、流路121及び流路ヘッド部12から供給されていた流体は、流路ポート部21及び流路211へ供給されることとなる。
【0012】
ここで、本実施形態において、流路ヘッド部11,12及び流路111,121は流体の導入路として、流路ポート部21,22及び流路211,221は流体の排出路として説明したが、これに限定されず、それぞれ導入路としても排出路としても機能し得るものとする。
【0013】
本発明では、流路ヘッド11,12及び流路ポート部21,22の組み合わせの切換えを、図示しない駆動手段により、流路ヘッド11,12の流路ポート部21,22に対する相対位置を移動させることにより行うことができる。この駆動手段については、通常用いられる手段を広く採用することが可能であり、特に限定されることはない。
【0014】
図2は、本発明に係る流路切換装置の第二及び第三の実施形態を説明する模式図である。第二の実施形態に係る流路切換装置(図2(A))は、一つの流路ヘッド部11と、二つの流路ポート部21,22を備えている。また、第三の実施形態に係る流路切換装置(図2(B))は、二つの流路ヘッド部11,12と、一つの流路ポート部21を備えている。
【0015】
図2(A)では、流路ヘッド部11が連通する流路ポート部を流路ポート21,22から択一的に選択して組み合わせることにより、流路111と、流路211または流路221とからなる二つの連通流路を形成することができる。
【0016】
また、図2(B)では、流路ポート部21に連通する流路ヘッド部を流路ヘッド21,22から択一的に選択し組み合わせることにより、流路111または流路121と、流路221とからなる二つの連通流路を形成することができる。
【0017】
第二及び第三の実施形態に係る流路切換装置において、各流路ヘッド部、流路ポート部及び流路は、流体の導入路としても排出路としても機能し得る点は上述した通りである。また、流路ヘッド部11,12及び流路ポート部21,22の組み合わせの切換えは、流路ヘッド部11,12の流路ポート部21,22に対する相対位置を駆動手段(図示せず)により移動させることにより行い得る点についても同様である。これらの点は、以下に説明する他の実施形態についても同様である。
【0018】
以上の第一実施形態から第三実施形態で説明したように本発明に係る流路切換装置は、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることによって流路の切換えを行うものであり、この切換えは駆動手段によって流路ヘッドの流路ポートに対する相対位置を移動させることによって行うことができる。従って、バルブを使用することなく流路の切換えを行うことが可能である。
【0019】
第一実施形態から第三実施形態で説明した流路切換装置においては、各流路ポートが個別の独立した流路に接続されている場合を説明した。この場合、流路ヘッド部及び流路ポート部の数は特に限定されることはなく、それぞれ3以上とすることも当然に可能である。また、流路ヘッド部及び流路ポート部は、同数であってもよく(第一実施形態)、一方の数が多くてもよい(第二・第三実施形態)。
【0020】
図3は、本発明に係る流路切換装置の第四の実施形態を説明する模式図である。本実施形態に係る流路切換装置は、流路ポート部21,22が同一の流路211に接続されている点で、上述した第一から第三の実施形態に係る流路切換装置と異なる。
【0021】
図3(A)では、流体は、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部21に供給され、流路211へ導入されるものとする。流路211へ導入された流体は、流路ポート部22を介して、流路ヘッド部22及び流路121へ排出されることとなる。すなわち、流体は、流路211を、流路ポート部21から流路ポート部22へ向かう方向(図中矢印F1参照)で流れている。
【0022】
ここで、流路ヘッド部11,12及び流路ポート部21,22の組み合わせを切換えると(図3(B))は、流体は、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部22に供給されることとなる。これにより、流体の流路211を流れる方向は、流体ポート部22から流体ポート部21へ向かう方向(図中矢印F2参照)へと切換えられることとなる。
【0023】
このように本実施形態に係る流路切換装置は、流路211内における流体の送出方向を切換えることが可能であり、連通流路への流体の送出方向の切換えを行うことを特徴とする。これは図に示すように、流路211内に所望の部材31を設置し、この部材31に異なる方向から繰り返し流体を導入する場合に有用であり、例えば、部材31を溶媒により洗浄する工程に利用することが可能である。
【0024】
さらに、部材31を、図4に示すように内部にろ過フィルター311を配設した構成とすることにより、流体中の微粒子Pを該ろ過フィルター311により濾し取って回収することができる。すなわち、図3(A)に対応する図4(A)の状態では、流体及び流体中の微粒子Pは、図中矢印F1方向に部材31内へ送出され、微粒子Pがろ過フィルター311に濾し取られる。次に、図3(B)に対応する図4(B)の状態で、部材31内へ送出される流体の送出方向を図中矢印F2方向とすることにより、微粒子Pをろ過フィルター311から遊離させ、回収する。このように、本実施形態に係る流路切換え装置では、部材31内における流体の送出方向を切換えることによって、流体中の微粒子をろ過し、回収することが可能である。
【0025】
微粒子Pは、例えば、DNAやRNAを吸着するマイクロビーズや、特定のタンパク質に対する抗体を固定化したセファロースビーズなど、種々の目的物質を担持可能な担体とすることができる。目的物質の吸着後、ろ過フィルター311により担体を回収することにより、回収した担体からさらにDNAやRNA、タンパク質を回収することが可能となる。また、微粒子Pとして固相合成反応の基材となる樹脂ビーズを用いれば、所望の固相合成反応を行った後の樹脂ビーズを回収することができる。さらに、流体として細胞懸濁液を用いれば、細胞を微粒子Pとして回収することも可能である。このように、本実施形態に係る流路切換え装置は、DNAやRNA、タンパク、細胞などの回収工程にも好適に採用することが可能である。
【0026】
図5は、本発明に係る流路切換装置の第五の実施形態を説明する模式図である。本実施形態に係る流路切換装置は、三つの流路ヘッド部11,12,13と、二つの流路ポート部21,22を備えている。流路ヘッド部11,12,13には、それぞれ流路111,121,131が接続され、流路ポート部21,22は、同一の流路211に接続されている。
【0027】
図5(A)では、流体は、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部21に供給され、流路211へ導入されるものとする。この場合、流路211へ導入された流体は、流路ポート部22を介して、流路ヘッド部22及び流路121へ排出されることとなる。
【0028】
ここで、流路ヘッド部11,12,13及び流路ポート部21,22の組み合わせを切換えて、流路ポート部22に連通する流路ヘッド部を流路ヘッド部12から流路ヘッド部13へ変更すると(図5(B))、流体は流路131へ排出されることとなる。
【0029】
図6は、流路ヘッド部を4つ、流路ポート部を3つ設けた流路切換装置であり、本発明に係る流路切換装置の第六の実施形態を説明する模式図である。本実施形態に係る流路装置では、上述の実施形態で説明した構成に加えて、閉塞ヘッド部41を併設している。
【0030】
本実施形態に係る流路切換装置においても、上記の第五実施形態に係る流路切換装置と同様に、流路ヘッド部11,12,13,14及び流路ポート部21,22,23の組み合わせを切換えることで、流路の切換えを行うことができる。図6(A)及び(B)はその一例を示している。図中、矢印F1及びF2は流体の送出方向を示している。
図6(A)では、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部21を介して流路211へ導入された流体は、流路ポート部22もしくは23より、それぞれ流路ヘッド部12及び流路121(図中矢印F1参照)もしくは流路ヘッド部13及び流路131(図中矢印F2参照)へ排出される。
図6(B)では、排出流路は、流路ヘッド部12及び流路121(図中矢印F1参照)と、流路ヘッド部13及び流路131に変えて流路ヘッド部14及び流路141(図中矢印F2参照)へ排出される。
【0031】
さらに、本実施形態に係る流路切換装置においては、流路ヘッド部11,12,13,14に、閉塞ヘッド部41を併設している。閉塞ヘッド部41は、流路ポート部21,22,23の開口部を圧着して塞ぐことが可能な構成とされている。さらに、閉塞ヘッド部41は、流路ヘッド部11,12,13,14と同様に、流路ポート部21,22に対する相対位置を、駆動手段(図示せず)により移動させることが可能である。
【0032】
従って、例えば、図6(C)に示すように、閉塞ヘッド部41により流路ポート部23を塞ぐと、流路切換装置には、流路111、流路ヘッド部11、流路ポート部21、流路211の一部、流路ポート部22、流路ヘッド部12、流路121からなる単一の連通流路(図中矢印F1参照)が形成されることとなる。
【0033】
すなわち、本実施形態に係る流路切換装置においては、図6(A)及び(B)に示したように、一の導入路と二の排出路を形成することも、図6(C)のように一の導入路と一の排出路を形成することも可能である。また、上述した通り、各流路ヘッド部、流路ポート部及び流路は、流体の導入路としても排出路としても機能し得るため、二の導入路と一の排出路を形成することも当然に可能である。
【0034】
このように本発明に係る流路切換装置では、流路ヘッド部、閉塞ヘッド部、流路ポート部の数を自由に設計することにより、連通流路を形成する導入路と排出路の数を適宜変更しながら流路の切換えを行うことが可能である。
【0035】
ここで、本実施形態において、流路ポート部21,22,23の開口部を閉塞するための手段(閉塞手段)は、閉塞ヘッド部41として示した。しかし、閉塞手段については、これに限られず様々な設計が考えられ、各流路ポート部の開口部を閉塞することができる手段であれば広く採用することが可能である。
【0036】
図7は、本発明に係る流路切換装置の第七の実施形態を説明する模式図である。本実施形態に係る流路切換装置では、2つの流路ヘッド部11,12と、1つの閉塞ヘッド部41と、3つの流路ポート部21,22,23が設けられている。流路ヘッド部11,12は、それぞれ流路111,121に接続されている。また、流路ポート部21,22,23は単一の流路211に接続されている。流路211には、図に示すように、部材31と32が介在されており、流路121の対側には部材33が接続されている。
【0037】
図7(A)では、流路ポート部23が閉塞ヘッド部41により塞がれている。このため、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部21を介して流路211へ導入された流体は、部材31を通過して流路ポート部22、流路ヘッド部12、流路121の順に形成された連通流路により、部材33へ供給される(図中矢印F1参照)。すなわち、部材33へ供給される流体は、部材31のみを通過したものとなっている。
【0038】
図7(B)には、流路ヘッド部11,12、閉塞ヘッド部41、流路ポート部21,22,23の組み合わせを変更した際の連通流路を示す。本図では、流路ヘッド部12は流路ポート部23に連通され、流路ポート部22は閉塞ヘッド部41により塞がれた状態となっている。このため、流路111及び流路ヘッド部11から流路ポート部21を介して流路211へ導入された流体は、部材31、さらに部材32を通過して流路ポート部23、流路ヘッド部12、流路121の順に、部材33へ供給される(図中矢印F2参照)。すなわち、部材33へ供給される流体は、部材31と部材32を通過したものとなっている。
【0039】
このような流路切換は、例えば、部材31及び部材32が流体のろ過装置であって、部材33が製造装置である場合に有用である。製造段階の第一段階(図7(A)の状態)では、ろ過装置(部材31)のみを経た流体を製造装置(部材33)に供給し、続く第二段階(図7(B)の状態)では、ろ過装置(部材32)によってさらに高度に浄化された流体を製造装置に供給するといった場合、上記のような流路の切換えにより簡単に製造装置に供給される流体の浄化度を変更することが可能となる。
【0040】
図8は、本発明に係る流路切換装置の第八の実施形態を説明する模式図である。本実施形態に係る流路切換装置は、流体中に含まれる目的物質(以下、「試料」という)を濃縮したり、試料を一の流体中から他の流体中へ置き換える(流体の置換を行う)場合に特に有用に用いられる。これを以下に説明する。
【0041】
本実施形態に係る流路切換装置では、3つの流路ヘッド部11,12,13と、1つの閉塞ヘッド部41と、3つの流路ポート部21,22,23が設けられている。流路ヘッド部11,12,13は、それぞれ流路111,121,131に接続されており、流路ポート部21,22,23は単一の流路211に接続されている。また、流路211にはカラム(部材31)が接続されている。
【0042】
図8(A)では、流路ポート部23が閉塞ヘッド部41により塞がれている。このため、図中矢印S1から流路121、流路ヘッド部12、流路ポート部22を介して流路211へ導入された試料を含む流体は、カラム(部材31)を通過して、流路ポート部21、流路ヘッド部11、流路111を経て矢印S2から排出される(図中矢印F1参照)。このとき、流体中に含まれる試料は、カラム(部材31)に吸着されることとなる。なお、カラムには、試料に応じて、該試料と親和性を有する基材からなる各種カラムを特に限定されることなく用いることができる。
【0043】
次に、図8(B)に示すように、流路ヘッド部11,12,13及び閉塞ヘッド部41を流路ポート部21,22,23に対して相対移動させ、流路の組み合わせを変更する。これにより、図中矢印S1から流路121及び流路ヘッド部12により供給される流体は、流路ポート部21から流路211へ導入されることとなる。これにより、先に説明した図8(A)の段階でカラム(部材31)に吸着された試料が、流体中へ再溶出される。このとき、流路ポート部22については、閉塞ヘッド41により圧着され塞がれた状態とされているため、カラム(部材31)から再溶出された試料は、流路ポート部23から流路ヘッド13及び流路131を経て矢印S3へと送出されることとなる(図中矢印F2参照)。
【0044】
図8(A)の工程は、流路ヘッド部12から試料を含む流体を導入し、試料をカラム(部材31)に吸着させるステップであり、図8(B)の工程は、流路ヘッド部12から流体を導入し、試料をカラム(部材31)から再溶出させるステップである。このため、流路ヘッド部12からは、図8(A)では試料を含む流体が、図8(B)では試料をカラムから再溶出させるための流体(再溶出用流体)が送出される必要がある。
【0045】
そこで、本実施形態においては、図9に示すように流体タンクSを設け、流路ヘッド部12にポンプ機能を付与した上で、前述の駆動手段により流路ポート部と流体タンクSとの間を移動可能な構成とした。
【0046】
より具体的に説明すると、図8(A)において、流路ヘッド部12から試料を含む流体を送出する際には、まず、流路ヘッド部12が、図9(A)に示す流体タンクS(a)の位置まで移動する。このとき、流路ヘッド部12の先端部は、流体タンクS(a)内の流体(ここでは、試料を含む流体)中に保持される。ポンプ機能により流路ヘッド部12内部が陰圧とされることで、流路ヘッド部12は、流体タンクS(a)内の流体を内部に導入する。
次に、流路ヘッド部12は、図9(B)に示すように、流路ポート部22に連通する状態へと移動し、ポンプ機能により流路ヘッド部12内部が陽圧とされることで、流体を流路ポート部22から流路211へ送出する。
【0047】
図8(B)の再溶出工程においても、同様に流路ヘッド部12が流路ポート部12と流体タンクS間を移動する。まず、流路ヘッド部12は、溶媒タンクS(b)に移動し、溶媒タンクS(b)内の流体(ここでは、再溶出用流体)を内部に導入する。
次に、今度は流路ポート部21に連通する状態へと移動し、流体を流路ポート部21から流路211へ送出する。
【0048】
このように、本実施形態に係る流路切換装置では、流路ヘッド部12にポンプ機能を付与し、流路ポート部と流体タンクとの間を移動可能な構成とすることにより、図8(A)及び(B)に示す各工程で、2種以上の異なる溶媒をカラムに送出することを可能としている。これにより、上述したように、カラムを用いて流体中に含まれる試料を濃縮したり、あるいは流体の置換を行ったりすることができる。
【0049】
続いて、本発明に係る流路切換装置をクロマトグラフ装置や質量分析装置に連設した場合の好適な実施形態について説明する。なお、本発明において、「クロマトグラフ装置」とは、液体クロマトグラフ(以下、「LC」という)、ガスクロマトグラフの双方を含み得るものとするが、本実施形態ではLCである場合について説明する。
【0050】
まず、図12を用いて、従来の回動バルブ(図中符号V)を連設したLCの簡単な構造を示す。図では、回動バルブVとカラム(図中符号C1及びC2)及びこれらを接続する流路のみを模式的に示した。
【0051】
このようなLCは、プロテオーム解析において質量分析装置に連設されて用いられている。通常、多数のタンパク試料を自動でLCに注入するオートサンプラーと、試料を分離するLC、さらにはフラクション化された試料の質量を解析する質量分析装置が、一連の分析システムとして構築されている。
【0052】
このLCでは、回動バルブVによって流路の切換えが行われる。すなわち、図12(A)の状態では、矢印Q1から流路へ供給された試料は、回動バルブVを通過して、矢印Q2から排出される。この際、試料はプレカラム(図中符号C1)に吸着される。
【0053】
次に、回動バルブを同心円上に60度回転させて流路を切換えると(図12(B)参照)、今度は矢印R1から送出される溶媒がプレカラムC1に導入されることとなる。これにより、プレカラムC1に吸着された試料が再溶出されて、分離カラム(図中符号C2)へと導入される。試料は、分離カラムC2により分離、フラクション化された後に、さらに矢印R2方向へ、例えば紫外線分光光度計や、質量分析装置へ送出される。
【0054】
次に、一般的な回動バルブの構成について、図13に基づいてさらに詳しく説明する。
【0055】
符号Vで示される回動バルブは、固定されたステータXと、該ステータXに接触しながら回転するロータYとから構成されている。なお、図では構造を明らかにするために、ロータYとステータXは離反させて示した。
【0056】
ステータXの周辺部分には、同心円上に60度間隔で、上下に貫通する貫通孔(ポート)A〜Fが設けられている。そして、各ポートにはそれぞれ流路が接続されている。一方、ロータYのステータXとの接触面には、その周辺部分に、同心円上に60度間隔で、凹部G〜Iが交互に設けられている。この凹部G〜Iは、ステータXと密着した状態で、ポートA〜Fのいずれか2つと連通して流路を形成する。
【0057】
回動バルブVが図13(A)に示す状態にある場合には、ポートA、凹部G、ポートB、ポートF、凹部I、ポートEの順で単一の連通流路が形成される。これにより、ポートAへ注入された流体は、ポートEに接続された部材Mへ供給されることとなる(図中矢印参照)。
【0058】
ここで、ロータYを、同心円上時計回りに60度回転させると(図13(B)参照)、連通流路の構成は、ポートA、凹部I、ポートF、ポートB、凹部G、ポートCの順となる。これにより、ポートAへ注入された流体は、ポートCに接続された部材Nへ供給されることとなる(図中矢印参照)。すなわち、ロータYを回転させることで、流体の供給先を部材Mから部材Nへ切換えることが可能とされている。
【0059】
このような回動バルブは、上記のポート及び凹部の数を増やしたり、複数の回動バルブを組み合わせて用いることにより、複雑な流路切換を行うことが可能である。しかし、一方で以下のような問題点がある。
【0060】
回動バルブでは、バルブ内の各ポートや凹部の容積が、バルブ外の流路も含めた流路全体の容積(システム体積)に対して、相当程度の割合を占めることとなる。このため、各ポートや凹部の容積に起因して、流体のデッドボリュームが発生してしまう。また、回動バルブにおける流路の切換えは、バルブ流路内に流体が満たされた状態で行われるため、各ポートや凹部に残留する流体に起因して、流体のキャリーオーバーが発生する。
また、一般に回動バルブでは、ステータは金属製のものが、ロータは樹脂製のものが採用されるが、ロータの回転駆動時に流体が漏れないようにステータとロータは厳密に密着されている。このため、ステータとロータの接着面においてこれら金属や樹脂の磨耗カス(不純物)が発生し、流体に混入することがある。
さらに、回動バルブを用いると流路の全長が長く(システム体積が大きく)なってしまうため、流体が供給手段から所望の部材に到達するまでに時間がかかるといった問題もある。
また、図12に示すような所望の切換え流路を得るためには、回動バルブVの各ポートに流路を適切に接続する必要があり、この接続作業にはある程度の習熟が必要であった。このため、不適切な接続を行い、さらにシステム体積が増大してしまうことがあった。
【0061】
以上のような問題点は、回動バルブを使用した流路切換装置を連設した製造機器において、製品の品質や製造効率の低下を引き起こす要因となっている。また、分析装置に連設した場合には、分析感度や分析速度を低下させる要因ともなっている。そして、同様の問題は、回動バルブに限らず各種バルブを使用した流路切換装置でも生じえる問題である。
【0062】
特に、LCでは、微量の試料を極めて低流速で流路に送出することが必要となる。この際、バルブに起因して、デッドボリュームやキャリーオーバー、不純物の混入が生じると、試料や溶媒のロスやコンタミネーションの原因となり、分析感度が著しく低下してしまう。また、LC分析では、カラムへの試料の吸着、カラムの洗浄、カラムからの試料の溶出等の各工程において、頻繁に流路の切換えを行う必要があるが、従来のバルブを連設した流路では流路の全長が長くなってしまうため、試料や溶媒がカラムに到達するまでに時間がかかり、分析速度が低下していた。
【0063】
これに対して、図10に示す本発明に係る流路切換装置を連設したLCは、このような従来のバルブを使用した流路切換装置を連設したLCの問題点が解消されている。図10は、本発明に係る流路切換装置の第九の実施形態を連設したLCを説明する模式図である。
本実施形態に係る流路切換装置では、2つの流路ヘッド部11,12と、1つの閉塞ヘッド部41と、2つの流路ポート部21,22が設けられている。流路ヘッド部11,12は、それぞれ流路111,121に接続されている。また、流路ポート部21,22は単一の流路211に接続されており、流路211には、LCのプレカラムC1と分離カラムC2が接続されている。ここでプレカラム及び分離カラムには、一般に、メチル、ブチル、オクチル、オクタデシル、ドコシル基などのアルキル基を化学結合したシリカ、ガラスまたは樹脂ビーズあるいはジビニルベンゼン―スチレン共重合体、ポリスチレンなどの樹脂ビーズを充填したものが用いられる。
【0064】
図10(A)において、矢印S1から流路121へ供給された試料を含む溶媒(以下、「サンプル溶液」という)は、流路ヘッド部12及び流路ポート部22から流路211へ導入される。この際、分離カラムC2は高分離能を得るために、プレカラムC1に比べ粒子径の細かい充填剤を長いカラムに充填しているため背圧が高く、これをサンプル溶液が通過するためには高い送出圧が必要となる。従って、流路211へ導入されたサンプル溶液は、分離カラムC2へ送出されることなく、流路ポート部21に連通する流路ヘッド部11及び流路111を通って、図中矢印S2方向へ排出されることとなる(図中矢印F1参照)。この際、試料がプレカラムC1に吸着される。
【0065】
次に、図10(B)に示すように、流路ヘッド部11,12及び閉塞ヘッド部41を流路ポート部21,22に対して相対移動させ、流路の組み合わせを変更する。
この状態では、溶媒は流路ポート21から流路211へ供給されることとなり、プレカラムC1に吸着された試料が溶媒によって再溶出される。このとき、流路ポート部22は閉塞ヘッド部41により塞がれているため、再溶出された試料は流路211に接続された分離カラムC2へ送出されることとなる(図中矢印F2参照)。分離カラムC2に送出された試料は、分離、フラクション化された後、さらに矢印S3向へ紫外線分光光度計や質量分析装置へと送出される。
【0066】
なお、本実施形態に係る流路切換装置でも、図9を用いて説明したように、流路ヘッド部12にポンプ機能を付与し、流路ポート部と流体タンクとの間を移動可能な構成とすることにより、図10(A)(試料吸着工程)及び(B)(試料再溶出工程)の各工程、さらに後述する図10(C)(フラッシュ操作)において、2以上の異なる溶媒を流路ヘッド部から送出することが可能な構成とされている。
【0067】
このように、本実施形態に係る流路切換装置を連設したLCでは、プレカラムC1への試料の吸着と再溶出のための流路切換を、バルブを用いることなく、流路ヘッド部11,12及び閉塞ヘッド部41を移動させることにより簡単に行うことが可能である。従って、バルブに起因したデッドボリュームやキャリーオーバー、不純物の混入が発生せず、試料や溶媒のロスやコンタミネーションをなくして、LCや質量分析装置の分析感度を向上させることが可能となる。また、バルブを省略したことで、流路の全長が短くなるので(図12も参照)、試料や溶媒が分離カラムC2に到達するまでに時間を短縮することが可能で、分析効率を向上させることもできる。
【0068】
さらに、従来のバルブを使用した流路切換装置を連設したLCにはない本実施形態に係る流路切換装置の独自の効果として、プレカラムC1のフラッシュ操作を容易に行い得る点がある。図10(A)(試料吸着工程)及び(B)(試料再溶出工程)の工程を繰り返し行うと、再溶出されずにプレカラムC1の内部に残留した試料によって、プレカラムC1の目詰まりが生じ、カラムの吸着性能が低下する。フラッシュ操作とは、これを防止するため、プレカラムC1を洗浄する操作のことをいい、具体的には、プレカラムC1へ図10(A)の試料吸着工程とは逆の方向に流体を送出し、プレカラムC1内部に残留する試料を排出させる操作である。
【0069】
図10(C)に示すように、流路ヘッド部11,12及び閉塞ヘッド部41を流路ポート部21,22に対して相対移動させ、流路の組み合わせを変更する。この状態では、矢印S1から流路121及び流路ヘッド部12を介して、流路ポート21から流路211へ供給される溶媒によって、プレカラムC1の内部に残留する試料が、図中矢印S2方向へ排出される(図中矢印F3参照)。
【0070】
従来のバルブを使用した流路切換装置を連設したLCにおいては、プレカラムC1のフラッシュ操作は、プレカラムC1をいったん流路から取り外してマニュアル操作により内部を洗浄する操作が行われていた。これに対して、本実施形態に係る流路切換装置を連設したLCでは、図10(A)(試料吸着工程)及び(B)(試料再溶出工程)の各工程から、流路ヘッド部11、流路ヘッド部12及び閉塞ヘッド部41が駆動手段によって相互に位置を入れ替えることにより、自動でプレカラムC1のフラッシュ操作が行われる。
【0071】
図11は、本発明に係る流路切換装置の第十の実施形態を連設した2次元LC(以下、「2D−LC」という)を説明する模式図である。2D−LCは、異なる吸着性能を有する2種類のカラムを用いて、目的試料を2段階で分離することにより、高精度な分離を可能とするLCである。
本実施形態に係る流路切換装置では、2つの流路ヘッド部11,12と、2つの閉塞ヘッド部41,41と、3つの流路ポート部21,22,23が設けられている。流路ヘッド部11,12は、それぞれ流路111,121に接続されている。また、流路ポート部21,22,23は単一の流路211に接続されており、流路211にはLCのプレカラムC11,C12と分離カラムC2が接続されている。
【0072】
図11(A)において、矢印S1から流路121へ供給されたサンプル溶液は、流路ヘッド部12及び流路ポート部23から流路211へ導入される。この際、流路ポート部21はいずれかの閉塞ヘッド41によって塞がれており、また分離カラムC2は分離度が極めて高いため、流路211へ導入されたサンプル溶液は、流路ポート部22に連通する流路ヘッド部11及び流路111を通って、図中矢印S2方向へ排出されることとなる(図中矢印F1参照)。この際、試料はプレカラムC12に吸着される。一般的な2D−LCでは、親水性の高い試料を吸着、保持するために、プレカラムC12としてはイオン交換カラムが用いられる。
【0073】
次に、図11(B)に示すように、流路ヘッド部11及び閉塞ヘッド部41を流路ポート部21,22に対して相対移動させ、相互に入れ替えることにより流路切換えを行う。
これにより、矢印S1から流路121及び流路ヘッド部12を介して、流路ポート23から流路211へ供給される溶媒は、流路ポート部21、流路ヘッド部11及び流路111を経て、図中矢印S2方向へ排出されることとなる(図中矢印F2参照)。
この際、プレカラムC12に吸着された試料は再溶出されて、今度はプレカラムC11に吸着される。一般的な2D−LCでは、プレカラムC12としては逆層カラムが用いられる。
【0074】
続いて、図11(C)に示すように、流路ヘッド部11、12及び閉塞ヘッド部41を流路ポート部21,22,23に対して相対移動させることにより流路切換えを行う。
この状態では、流路ポート部22,23がそれぞれ閉塞ヘッド部41,41により塞がれた状態となっているため、矢印S1から流路121、流路ヘッド部12を介して、流路ポート23から流路211へ供給される溶媒は、分離カラムC2へ送出されることとなる(図中矢印F3参照)。
この際、プレカラムC11から試料が再溶出され、再溶出された試料が分離カラムC2により分離、フラクション化されて、矢印S3方向の紫外線分光光度計や、質量分析装置へと送出される。
【0075】
なお、本実施形態に係る流路切換装置でも、図9を用いて説明したように、流路ヘッド部12にポンプ機能を付与し、流路ポート部と溶媒タンクとの間を移動可能な構成とすることにより、図11(A)〜(C)の各工程において、2以上の異なる溶媒を流露ヘッド部12から送出することが可能な構成とされている。
【0076】
このように、本実施形態に係る流路切換装置を連設したLCでは、プレカラムC11,C12への試料の吸着と再溶出のための流路切換を、バルブを用いることなく、流路ヘッド部11,12及び閉塞ヘッド部41を移動させることにより簡単に行うことが可能である。従って、バルブに起因した種々の問題を解決することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る流路切換装置は、各種製造機器及び分析機器に流体を供給する際の流路の切換えに有用であり、特に、デッドボリュームやキャリーオーバー、不純物の混入の発生が少ないため、製品品質及び製造効率向上や、分析感度及び分析速度向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る流路切換装置の第一の実施形態を説明する模式図である。
【図2】本発明に係る流路切換装置の第二及び第三の実施形態を説明する模式図である。
【図3】本発明に係る流路切換装置の第四の実施形態を説明する模式図である。
【図4】本発明に係る流路切換装置の第四の実施形態の利用例を説明する模式図である。
【図5】本発明に係る流路切換装置の第五の実施形態を説明する模式図である。
【図6】本発明に係る流路切換装置の第六の実施形態を説明する模式図である。
【図7】本発明に係る流路切換装置の第七の実施形態を説明する模式図である。
【図8】本発明に係る流路切換装置の第八の実施形態を説明する模式図である。
【図9】本発明に係る流路切換装置において、2以上の異なる溶媒を流路ヘッド部から送出するための構成を説明する模式図である。
【図10】本発明に係る流路切換装置の第九の実施形態を連設したLCを説明する模式図である。
【図11】本発明に係る流路切換装置の第十の実施形態を連設した2D−LCを説明する模式図である。
【図12】回動バルブを用いた流路切換装置を連設したLCを説明する模式図である。
【図13】回動バルブの簡単な構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0079】
11,12,13,14 流路ヘッド部
21,22,23 流路ポート部
111,121,131,141,211,221 流路
41 閉塞ヘッド部
V 回動バルブ
X ステータ
Y ロータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の流体の導入路または排出路となる流路が形成された流路ヘッド部と、該流路と連通状態となる流路が形成された流路ポート部と、を少なくとも備え、
前記流路ヘッド部と前記流路ポート部の両方またはいずかれ一方が二以上設けられており、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることによって、一又は二以上の連通流路が形成される流路切換装置。
【請求項2】
前記流路ヘッドの前記流路ポートに対する相対位置を移動させるための駆動手段を備え、
該駆動手段により、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることを特徴とする請求項1記載の流路切換装置。
【請求項3】
二以上の前記流路ポート部が設けられた構成であって、
少なくとも1つの流路ポート部を閉塞し得る閉塞手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の流路切換装置。
【請求項4】
前記閉塞手段は、前記流路ヘッド部に併設され、前記流路ポート部の開口部を圧着して塞ぐ閉塞ヘッド部であることを特徴とする請求項3記載の流路切換装置。
【請求項5】
前記流路ヘッド部及び前記閉塞ヘッド部の前記流路ポートに対する相対位置を移動させるための駆動手段を備え、
該駆動手段により、流路ヘッド部または閉塞ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることを特徴とする請求項4記載の流路切換装置。
【請求項6】
クロマトグラフ装置または質量分析装置に連設されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の流路切換装置。
【請求項1】
所定の流体の導入路または排出路となる流路が形成された流路ヘッド部と、該流路と連通状態となる流路が形成された流路ポート部と、を少なくとも備え、
前記流路ヘッド部と前記流路ポート部の両方またはいずかれ一方が二以上設けられており、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることによって、一又は二以上の連通流路が形成される流路切換装置。
【請求項2】
前記流路ヘッドの前記流路ポートに対する相対位置を移動させるための駆動手段を備え、
該駆動手段により、流路ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることを特徴とする請求項1記載の流路切換装置。
【請求項3】
二以上の前記流路ポート部が設けられた構成であって、
少なくとも1つの流路ポート部を閉塞し得る閉塞手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の流路切換装置。
【請求項4】
前記閉塞手段は、前記流路ヘッド部に併設され、前記流路ポート部の開口部を圧着して塞ぐ閉塞ヘッド部であることを特徴とする請求項3記載の流路切換装置。
【請求項5】
前記流路ヘッド部及び前記閉塞ヘッド部の前記流路ポートに対する相対位置を移動させるための駆動手段を備え、
該駆動手段により、流路ヘッド部または閉塞ヘッド部と流路ポート部との組み合わせを切換えることを特徴とする請求項4記載の流路切換装置。
【請求項6】
クロマトグラフ装置または質量分析装置に連設されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の流路切換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−298173(P2008−298173A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144768(P2007−144768)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人科学技術振興機構「超高感度質量分析のためのサンプル前処理・導入システムの開発」受託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人科学技術振興機構「超高感度質量分析のためのサンプル前処理・導入システムの開発」受託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】
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