説明

流路孔検査方法及びその装置

【課題】 対向する長円開口間の流路孔を効率よく検査することができる流路孔検査方法及びその装置を目的とするものである。
【解決手段】 長円開口Cの短径より大きく長径より小さい長手幅で、奥行きが長円開口Cの短径より小さい投光部3aと受光部4aとを、各長円開口Cの長軸方向にその長手方向を合わせて流路孔V内に挿入した投光部3aと受光部4aとを断面横長の流路孔内において、所定角度回動させて投光部3aと受光部4aとを流路孔内において投・受光に最適な向い合せ角度とする方法及び、大口径投光器3と大口径受光器4は長円開口の短径より大きく長径より小さい長手幅を有し、奥行きを長円開口の短径より小さくした投光部3aと受光部4aを備え、該投光部3aと受光部4aの長円開口への重ね合わせ移動と、投光部3aと受光部4aの流路孔V内への挿入とを行なう可動機構60と流路孔V内の投光部と受光部を投・受光に最適な向い合せ角度にする回動機構13,14,30を設けた装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋳造により形成されるシリンダブロック、シリンダヘッド等に形成される冷却水路等の流路孔の閉塞度を測定する流路孔検査方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダヘッドやシリンダブロック等の鋳造品に形成される冷却水路の内部検査として、被検査体に対して昇降及び旋回可能として中空経路内に挿入される投光部と、該投光部からの拡散光を被検査体に対して昇降及び旋回可能として中空経路内に挿入された撮像部に撮像するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、中空経路内に投光部や撮像部は砂抜き穴を通じて挿入するため、投光部や撮像部を砂抜き穴より小さく、中空経路内面全体の照明や、中空経路内面全体を撮像するのが難しく、投光部や撮像部を旋回させたり、挿入位置を変えたりして検査を繰り返す必要があり、検査に時間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−161057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、鋳造部品に形成される断面横長の流路孔路に沿って連通される多数の長円開口から前記流路孔内に大口径投光器と大口径受光器の投光部と受光部を挿入し、流路孔内での投・受光により流路孔の閉塞度を測定する流路孔検査方法であって、前記長円開口の短径より大きく長径より小さい長手幅で、奥行きが長円開口の短径より小さい投光部と受光部とを、各長円開口の長軸方向にその長手方向を合わせて流路孔内に挿入し、投光部と受光部とを断面横長の流路孔内において、所定角度回動させて投光部と受光部とを流路孔内において投・受光に最適な向い合せ角度とすることを特徴とする流路孔検査方法及び、鋳物部品に形成される断面横長の流路孔に沿って形成される多数の長円開口から前記流路孔に挿入される大口径投光器と大口径受光器の投光部と受光部により流路孔の閉塞度を測定する流路孔検査装置であって、大口径投光器と大口径受光器は長円開口の短径より大きく長径より小さい長手幅を有し、奥行きを長円開口の短径より小さくした投光部と受光部を備えるとともに、該投光部と受光部の長円開口への重ね合わせ移動と投光部と受光部の流路孔内への挿入とを行なう可動機構と流路孔内の投光部と受光部を投・受光に最適な向い合せ角度にする回動機構を設けたことを特徴とする流路孔検査装置である。
【0006】
なお、大口径投光器が凹面鏡の焦点に発光面を配置したものとしたり、大口径受光器が凹面鏡の焦点に集光面を配置したものとしたりしてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、対向する長円開口間の流路孔を効率よく検査することができる流路孔検査方法及びその装置を提供することを目的とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、長円開口の短径より大きく長径より小さい長手幅で、奥行きが長円開口の短径より小さい投光部と受光部とを、各長円開口の長軸方向にその長手方向を合わせて流路孔内に挿入し、投光部と受光部とを断面横長の流路孔内において、所定角度回動させて投光部と受光部とを流路孔内において投・受光に最適な向い合せ角度とすることにより、大口径投光器の投光部により流路孔内を広範囲にスポット光で照射できるうえに、流路孔内を広範囲に照射した検査光を大口径受光器の受光部により広範囲に受光することができるので、対向する長円開口間の流路孔の閉塞度を一回で測定することができ、検査時間が短縮され、製造ラインに組み込んで鋳造品をリアルタイムで全品検査することが可能となる。
【0009】
また、請求項3のように、大口径投光器が凹面鏡の焦点に発光面を配置したものとすることにより、一つの光源を凹面鏡により大口径のスポット光として流路孔内全体を十分な照度で照射することができる。
【0010】
請求項4のように、大口径受光器が凹面鏡の焦点に集光面を配置したものとすることにより、一つの受光素子で流路孔内全体を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施例を示す一部切欠正面図である。
【図2】(a)同じく大口径投光器または大口径受光器の流路孔内への挿入過程を示す断面図である。(b)同じく大口径投光器または大口径受光器の回動前を示す断面図である。(c)同じく大口径投光器または大口径受光器の回動後を示す断面図である。
【図3】同じく大口径投光器と大口径受光器による流路孔検査を示す断面図である。
【図4】導光棒の正面図である。
【図5】導光棒を光源または受光面とした時の光経路を示す断面図である。
【図6】本発明によるシリンダヘッドの冷却水孔検査を示す平面図である。
【図7】同じく縦断断面図である。
【図8】(a)大径スポット投光と大径集光受光による流路孔検査を示す縦断面図である。(b)スポット投光とスポット受光による流路孔検査を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第2の実施例を示す一部切欠正面図である。
【図10】同じく一部切欠側面図である。
【図11】同じく平面図である。
【図12】同じく図10のA−A拡大断面図である。
【図13】(a)プリント基板に4つのLED素子を設けた平面型の大口径投光器を示す正面図である。(b)プリント基板に一つのLED素子を設けた平面型の大口径投光器を示す正面図である。(c)プリント基板に一つのCdS素子を取り付けた平面型の大口径受光器を示す正面図である。
【図14】大口径投光器と大口径受光器をロボットアームに取り付けた他の実施例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の好ましい実施形態を図に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1〜6は流路孔検査装置1の第1の実施例を示すものであり、流路孔検査装置1は図3に示されるように、各可動機構60に取付ベース5,6をもって取り付けられる大口径投光器3と大口径受光器4とからなる。各可動機構60により大口径投光器3と大口径受光器4は被検査体Sの長円開口C位置への移動と、図6に示されるように、長円開口Cに大口径投光器3の投光部3aと大口径受光器4の受光部4aとの外形形状を重ね合わせる回動と、投光部3aと受光部4aとの流路孔V内への挿入とが行なわれる。次いで、流路孔V内に挿入された投光部3aと受光部4aが図6に示されるように、流路孔V内において所定角度回動させて投光部3aと受光部4aとを流路孔V内において投・受光に最適な向い合せ角度とする回動機構13,14が大口径投光器3と大口径受光器4とに組み込まれている。
【0014】
前記大口径投光器3と大口径受光器4の投光部3aと受光部4aとは円形の開口面を有する円筒状のもので、同サイズとしている。投光部3aと受光部4aの長手幅(外径)は長円開口Cの短径より大きく長径より小さく、奥行きを長円開口Cの短径より小さいものとしており、長円開口Cより投光部3aと受光部4aを流路孔V内に挿通させることができる大きさとしている。また、流路孔Vは断面横長でその長径は長円開口Cの短径よりも大きいものとしている。なお、投光部3aと受光部4aの形状は円形に限らず長方形としてもよいことは勿論である。
【0015】
また、大口径投光器3の投光部3aは図1に示されるように、放物面鏡等の凹面鏡19と、該凹面鏡19の焦点に配置された発光面20とよりなるもので、大径スポット光を投光する。該発光面20は導光棒21の先端円錐部を光ファイバー22を介して図示しないLED光あるいはレーザ光により発光させるもので、図5に示されるように、凹面鏡19の焦点位置に配置させた導光棒21の先端円錐部を発光させ、該発光を凹面鏡19により略平行なスポット光として流路孔内を強力に照射するものである。なお、導光棒21を用いることにより熱に弱いLEDやレーザを高温の測定個所から遠ざけることができるので熱影響による劣化を抑えることができる。
【0016】
大口径受光器4の受光部4aは図1に示されるように、放物面鏡等の凹面鏡23と、該凹面鏡23の焦点に配置させた集光面24とよりなるもので、大径集光受光を行なう。導光棒25の先端円錐部を集光面24とし、光ファイバー26を介して図示しない受光素子により照射光を検出させるもので、図5に示されるように、流路孔V内に照射された大径スポット光を凹面鏡23の焦点に導き、集光する導光棒25の先端円錐部を集光面24とするものである。なお、導光棒25を用いることにより熱に弱い受光素子を高温の測定個所から遠ざけることができるので熱影響を防ぎ検出精度の低下を防止できる。
【0017】
また、前記取付ベース5,6は大口径投光器3、大口径受光器4の外筒9に取り付けられており、該外筒9にはスライド自在なストッパ7付きの筒状ホルダ8が嵌挿され、前記外筒9にスライド自在に内筒10が嵌挿される。各内筒10には投光部3aと受光部4aとを内筒10から張出させた大口径投光器3と大口径受光器4とが取り付けられている。
【0018】
内筒10の先端には筒状ホルダ8を挟持するように凹溝10aが形成され、筒状ホルダ8と内筒10とを一体化している。また、内筒10は基端に段部11が形成されて、外筒9に抜け止め係止されるようになっている。12は取付ベース5,6の下面と筒状ホルダ8の上端縁間に形成される間隙に介在される圧縮ばねで、該圧縮ばね12により筒状ホルダ8は取付ベース5に対して常時ばねに弾発され、被検査体Sにストッパ7が当接した際の衝撃を吸収するようになっている。
【0019】
13,14は投光部3aと受光部4aの回動機構であり、該回動機構13,14は外筒9に固定されたカムピン15と、該カムピン15と係合するよう内筒10に形成された螺旋状のカム溝16と、前記カムピン15と係合するよう筒状ホルダ8に形成された軸線方向の直線溝17と、外筒9の下端縁と内筒10の鍔部10b間の間隙に介在される圧縮ばね18とよりなる。
【0020】
ストッパ7が被検査体Sに当接後も可動機構60による下降が大口径投光器3と大口径受光器4に行なわれると、筒状ホルダ8に固定される内筒10は下降せず、流路孔V内の投光部3aと受光部4aは停止したまま外筒9は下降する。該外筒9のカムピン15は筒状ホルダ8の直線溝17にガイドされるので、外筒9は回動することなく下降する。
【0021】
下降するカムピン15は内筒10の螺旋状のカム溝16に係合しているので、カムピン15は下降量に基づいて内筒10を所定角度回動させることとなる。この回動により内筒10,10に取り付けられている投光部3aと受光部4bは一定角度回動することとなる。この回動は投光部3aと受光部4bとが流路孔V内において検査光が最も効率よく照射されて最も効率よく受光できるような角度に向い合わせるものである。
【0022】
このように構成されたものは、まず、大口径投光器3と大口径受光器の導光棒21,25と投光部3aと受光部4aとを被套するステンレス製の外套体21a、25aを引き上げたうえ、各内筒10のクランプ10cにより外套体21a,25aをクランプする。次いで、可動機構60を下端位置まで下降させれば、大口径投光器3と大口径受光器4のストッパ7は被検査体Sに当接して各回動機構13,14を作動させるので、投光部3aと受光部4aは回動した状態となる。
【0023】
次に、各クランプ10cを解き外套体21a,25aを自由にして投光部3aと受光部4aの位置(深さ、方向)を最適位置に調整する。調整後、外套体21a,25aをクランプ10cにより内筒10にクランプする。続いて、可動機構60を上昇させ、ストッパ7が被検査体Sとの当接が解かれると、大口径投光器3と大口径受光器の投光部3aと受光部4aは自動的に復帰回動して長円開口Cと重なり合うので、投光部3aと受光部4aは長円開口Cに衝突することなく流路開口Vより抜き出され設定は完了する。なお、投光部3aと受光部4aの回動角度は可動機構60の下降距離と相関するので、投光部3aと受光部4aの必要とする回動角度に基づいてストッパ7の長さも調整される。
【0024】
このような設定調整が完了後、可動機構60により被検査体Sの測定すべき流路孔V間に連通する各長円開口C上の長軸方向に大口径投光器3と大口径受光器4の投光部3aと受光部4aの長手方向を沿わせ、投光部3aと受光部4aの外形と長円開口C形とが重なり合うように配置させる。この配置状態で筒状ホルダ8のストッパ7が被検査体Sに当接するまで大口径投光器3と大口径受光器4とを下降させて投光部3aと受光部4aとを流路孔V内の所定深さまで挿入する。
【0025】
筒状ホルダ8のストッパ7により投光部3aと受光部4aとは流路孔V内の所定深さに位置決めされる。この位置決め後も可動機構60により大口径投光器3と大口径受光器4とをさらに下降するので、取付ベース5,6に取り付けられている外筒9は筒状ホルダ8内をスライドして下降し、図2(b),(c)に示されるように、筒状ホルダ8に取り付けられている投光部3aと受光部4aは位置決めされたままとなる。外筒9に取り付けられたカムピン15は筒状ホルダ8の直線溝17にガイドされるので外筒9は回動することがない。
【0026】
しかし、下降するカムピン15は内筒10の螺旋状のカム溝16と係合しているので、内筒10は螺旋状のカム溝16により回動される。螺旋状のカム溝16に係合しているカムピン15の下降距離と内筒10のカム溝16の螺旋とは相関関係にあるので、必要とする回動角度に基づいてカムピン15の下降量、すなわち、外筒9の下降量を設定する。この回動操作により投光部3aと受光部4aは流路孔V内において投・受光に最適な向い合せ角度となる。回動動作の完了後、大口径投光器3の投光部3aにより流路孔V内を大径スポット光により照射するとともに、大口径受光器4の受光部4aにより流路孔V内に照射された大径スポット光よりなる検査光を大径集光受光する。このようにして検出された測定値に基づいて流路孔Vの閉塞度を検査する。
【0027】
なお、大径スポット投光と大径集光受光による測定と従来行なわれていたスポット投光とスポット受光との違いは、図8(a)に示されるように、大口径投光器3により流路孔V内に全角10°〜20°位に広がる近似的平行光の大径スポット光が投光され、流路孔V内全体は大径スポット光により均一な明るさで照射されるので、流路孔内面に部分的な閉塞がある場合、閉塞の度合いに応じて照射された光量は減少することとなって流路孔全体の閉塞状況を精度よく1度で検出できるのに対して、図8(b)に示されるように、スポット投光では1φ位の小径スポット光で全角60°位に広がる強い放射光となるので、図に示されるように部分的な閉塞がある場合、開口を通じて直射光が受光されることによって全通と判断する恐れがある。
【0028】
また、図9〜12は本発明の第2の実施例を示すもので、流路検査装置1は大口径投光器3と大口径受光器4とを備えたものであり、可動機構60により大口径投光器3と大口径受光器4は被検査体Sの長円開口C位置への移動と、長円開口Cと大口径投光器3と大口径受光器4の投光部3aと受光部4aとの外形を重ね合わせる回動操作と、投光部3aと受光部4aとの流路孔V内への挿入操作とが行なわれる。また、流路孔V内に挿入された投光部3aと受光部4aは回動機構30により流路孔V内において向い合うように回動が行なわれる。なお、前記第1の実施例と同じ構成は同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
大口径投光器3と大口径受光器4とは支持杆31,31を介して取付ベース5に取り付けられている。該支持杆31,31は図10に示されるように、取付ベース5に取り付けられたフランジ付きの摺動軸受32に中間部をスライドガイドされるとともに、上部小径部31a,31aにストッパ板33と座板34とがスリーブ35を介して定間隔下に取り付けられており、ストッパ板33は下面を摺動軸受32にフランジに当接させて大口径投光器3と大口径受光器4とを吊下げている。
【0030】
また、支持杆31,31の下部小径部31b,31bに上下の挟持板36,36がスリーブ37を介して定間隔に取り付けられ、該挟持板36,36にカム筒38の上下小径部39,39を嵌着挟持してカム筒38,38を保持している。
【0031】
40は圧縮ばねで、該圧縮ばね40は支持杆31,31に巻装され、上部の挟持板36と前記フランジ付きの摺動軸受32の下縁間に配置され、吊下げられている大口径投光器3と大口径受光器4が被検査体S等に接触した際、大口径投光器3と大口径受光器4とを圧縮ばね40の付勢力に抗して上方にスライドさせることにより接触圧を低減して投光部3aと受光部4aの破損を防止するものである。
【0032】
また、流路孔V内の投光部3aと受光部4aとを一定角度回動させる回動機構30はカム筒38の外周面に形成された螺旋状のカム溝38aと、該カム溝38aに係合されるカムピン41と、該カムピン41が取り付けられ下部小径部31b,31bにガイドされる駆動板42と、カム筒38に巻装されて駆動板42と下部挟持板36間に介在される戻しばね43と、駆動板42を押圧する押出ピン44,44と、押出ピン44,44を押出板45を介して同時に駆動する前記座板34に取り付けられるシリンダ46とからなり、螺旋状のカム溝38aはカム筒38の上端から下端まで180°の角度で形成されているが、90°あれば十分である。また、該駆動板42は下部小径部31b、31bを嵌挿することにより回り止めされる。
【0033】
前記座板34に取り付けたシリンダ46を作動させて押出板45を下降させれば、押出ピン44,44も下降して戻しばね43の付勢力に抗して駆動板42は押し下げられる。駆動板42が押し下げられると、カム溝38aに係止されるカムピン41も押し下げられる。
【0034】
下部小径部31b,31bに駆動板42はガイドされるため、駆動板42のカムピン41は垂直に下降することとなり、カム溝38aと係合するカムピン41によりカム筒38を所定角度回動させることとなる。カム筒38,38の回動により投光部3aと受光部4aは一定角度回動し、流路孔V内において投光部3aと受光部4aとが向い合わせられる。
【0035】
このように構成されたものは、可動機構60により被検査体Sの測定すべき流路孔V間に連通する各長円開口C上に大口径投光器3と大口径受光器4の投光部3aと受光部4aとを沿わせて配置させる。この配置は長円開口Cの長軸方向と投光部3aと受光部4aの長手方向を一致させて長円開口Cに投光部3aと受光部4aの外形を重なり合わせる。この状態で大口径投光器3と大口径受光器4とを決められた深さまで下降させて投光部3aと受光部4aとを流路孔V内の所定深さに位置決めする。
【0036】
可動機構60の下降端検出信号により、回動機構30のシリンダ46は作動して押出板45を押し下げるので、押出ピン44、44により駆動板42は押し下げられ、駆動板42に取り付けられて下降するカムピン41は、カムピン41と係合するカム溝38aによりカム筒38を回動させることとなる。螺旋状のカム溝38aに係合しているカムピン41の下降距離とカム筒38のカム溝38aの螺旋とは相関関係にあるので、その回動角度に基づいてカムピン41の下降量を設定する。
【0037】
この回動操作により投光部3aと受光部4aは流路孔V内において投・受光に最適な向い合せ角度となる。回動動作の完了後、大口径投光器3の投光部3aにより流路孔V内を大径スポット光により照射するとともに、大口径受光器4の受光部4aにより流路孔V内に照射された大径スポット光よりなる検査光を集光受光する。このようにして検出された測定値に基づいて流路孔Vの閉塞度を検査する。
【0038】
また、前記第1,2の実施例では、大口径投光器3と大口径受光器4は放物面鏡等の凹面鏡を用いて大径スポット光の投光と大径スポット光を集光受光するものとするが、図13(a)に示されるように、大口径投光器3を一つの平面発光のLEDとしたり、図13(b)に示されるように、四つの平面発光のLEDを組み合わせたりしてもよい。また、大口径受光器4は図13(c)に示されるように、平面受光のCdSとしてもよい。平面発光や平面受光とする場合、検査光は広範囲に投・受光されて流路孔V内を検査でき、大径スポット投光や大径集光受光と同様に一回で流路孔内の検査を行なうことができる。
【0039】
また、図14に示されるように、流路孔検査装置1の大口径投光器3と大口径受光器4とをロボットアーム50にホルダ51を介して取り付けることにより、可動機構60と回動機構13,14,30の機能を兼ねさせることができ、投光部3aと受光部4aの長円開口への重ね合わせ移動と、投光部3aと受光部4aの流路孔V内への挿入と、流路孔V内の投光部3aと受光部4aを投・受光に最適な向い合せ角度にすることができるうえに、被検査体Sの種類により異なる長円開口Cの位置や、流路孔Vの深さ、流路孔V径の違い等の違いをプログラムを変更するだけで対応することができるものとなる。
【符号の説明】
【0040】
1 流路孔検査装置
3 大口径投光器
3a 投光部
4 大口径受光器
4a 受光部
5 取付ベース
6 取付ベース
7 ストッパ
8 筒状ホルダ
9 外筒
10 内筒
10a 凹溝
10b 鍔部
10c クランプ
11 段部
12 圧縮ばね
13 回動機構
14 回動機構
15 カムピン
16 カム溝
17 直線溝
18 圧縮ばね
19 凹面鏡
20 発光面
21 導光棒
21a 外套体
22 光ファイバー
23 凹面鏡
24 集光面
25 導光棒
25a 外套体
26 光ファイバー
30 回動機構
31,31 支持杆
31a,31a 上部小径部
31b,31b 下部小径部
32 摺動軸受
33 ストッパ板
34 座板
35 スリーブ
36 挟持板
37 スリーブ
38 カム筒
38a カム溝
39 上下小径部
40 圧縮ばね
41 カムピン
42 駆動板
43 戻しばね
44 押出ピン
45 押出板
46 シリンダ
50 ロボットアーム
51 ホルダ
60 可動機構
C 長円開口
S 被検査体
V 流路孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造部品に形成される断面横長の流路孔路に沿って形成される多数の長円開口から前記流路孔内に大口径投光器と大口径受光器の投光部と受光部を挿入し、流路孔内での投・受光により流路孔の閉塞度を測定する流路孔検査方法であって、前記長円開口の短径より大きく長径より小さい長手幅で、奥行きが長円開口の短径より小さい投光部と受光部とを、各長円開口の長軸方向にその長手方向を合わせて流路孔内に挿入し、前記投光部と受光部とを断面横長の流路孔内において、所定角度回動させて投光部と受光部とを流路孔内において投・受光に最適な向い合せ角度とすることを特徴とする流路孔検査方法。
【請求項2】
鋳物部品に形成される断面横長の流路孔に沿って形成される多数の長円開口から前記流路孔に挿入される大口径投光器と大口径受光器の投光部と受光部により流路孔の閉塞度を測定する流路孔検査装置であって、大口径投光器と大口径受光器は長円開口の短径より大きく長径より小さい長手幅を有し、奥行きを長円開口の短径より小さくした投光部と受光部を備えるとともに、該投光部と受光部の長円開口への重ね合わせ移動と、投光部と受光部の流路孔内への挿入とを行なう可動機構と流路孔内の投光部と受光部を投・受光に最適な向い合せ角度にする回動機構を設けたことを特徴とする流路孔検査装置。
【請求項3】
大口径投光器が凹面鏡の焦点に発光面を配置したものであることを特徴とする請求項2に記載の流路孔検査装置。
【請求項4】
大口径受光器が凹面鏡の焦点に集光面を配置したものであることを特徴とする請求項2または3に記載の流路孔検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−47534(P2012−47534A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188507(P2010−188507)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(393011038)菱栄エンジニアリング株式会社 (59)
【Fターム(参考)】