説明

流路形成部材及び分注装置

【課題】従来の分注装置の高さを低くし、小型の分注装置とする。
【解決手段】注入部8と注出部12を備えた液体の流路を内部に形成してなる平板状の流路形成部材1において、内部の流路に連通する注出部を流路形成部材の側面に開口し、注出部の開口にはこの開口を密封する弾性密封部材14を設ける。この弾性密封部材はPDMS等の弾性の大きなもので製作し、キャピラリを平板状の流路形成部材の側面から弾性密封部材の壁を貫通して内部の流路内に挿入し、流路内の液体を所定量キャピラリ内に吸引した後外部に引き抜くとき、自己弾性によりキャピラリが貫通した壁部分を密封するように構成する。またこの流路形成部材を用い、その注出部に対向する位置にキャピラリ把持装置を移動可能に設け、キャピラリを相対的に移動して弾性密封部材を貫通させて内部の流路内に挿入し、液体を所定量キャピラリ内に吸引した後に引き抜く操作を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は内部に流路を形成して外部から注入した液体の反応等の処理を行い、反応後の液体を外部に抽出することができるようにした流路形成部材、及びその流路形成部材を用いて分注を行う分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在は医学・農学・理学・薬学等の広い分野で、例えば抗体、抗原等の免疫物質、DNAやRNA等の遺伝子物質、最近、その他の医療薬品等の有用物質について、目的物質の分離、抽出または回収を行うために、それに関連する反応、分注、単離、濃縮、攪拌、清澄、懸濁、希釈等の処理または作業を行うことが多くなっている。
【0003】
このような処理は微少な量の液体を用いることが好ましいため、マイクロメータ単位の流路及び処理室をチップ上に形成し、その流路等に極微少な量の所定の液体を注入し、例えば1μリットル未満或いは数μリットル程度の処理室内で反応等の処理を行い、その液体について更なる反応を起こさせるため、或いは反応生成物の分析等を行うために外部に注出することが行われている。
【0004】
このような微少な量の液体を取り扱うため、例えば図10(a)に示すようなマイクロ流路61の溝を表面に形成したPDMS(ポリジメチルシロキサン)等からなる流路基板62を用い、これを基盤63上に貼ると共に、表面をガラスや樹脂等からなるカバー64を貼ってマイクロ流路61の上方を閉じる。
【0005】
このようにして形成されたマイクロ流路61に液体を注入するため、カバー64に対してマイクロ流路61に通じる図中3個の注入孔65を備え、この注入孔65にノズル等を当接させて、外部から反応に必要な所定の液体を圧入或いは真空引き等により注入し、各々バッファ部66を介して反応室67内に各液体を供給する。反応室67で反応した液体、或いはここで生成された蛋白質等の物質は、外部の検査装置等で検査し或いは更に反応処理を行うため、反応室67に通じる排出流路68の端部に設けた外部に通じる注出孔69から、ここに当接させたノズル等を介して外部に注出する。ここで抽出する前記のような蛋白質等を含む液体は単なる液体ということはできないが、以降説明の都合上これらの各種物質を含む液体も「液体」と称する。
【0006】
上記のような作業を行うため、例えば図10(b)に示すような分注装置71を用いる。なお、同図の装置は、図10(a)のようなマイクロチップ70を利用して所望の反応等を行わせる装置の一例の概要を示すものである。図に示す分注装置71においては、上記のようなマイクロチップ70を反転させて、流路を備えた載置台72上に固定すると共にし、この載置台72を基台73に固定している。基台73には注入部74と排出部75とを備えるとともに、注入部74からの液体をマイクロチップ70の注入孔65に供給可能とし、マイクロチップ70の注出孔69から排出部75に供給可能としている。
【0007】
また、注入部74に設けた注入口76にはピペット77等により所定の量の液体を滴下可能とし、また排出部75には排出管77を介してポンプ78を接続し、注入部74に注入した液体を、マイクロチップ70内に吸引し、更にマイクロチップ70内で処理が終わった液体を吸引し、廃液タンク79に排出している。なお、基台73を温度調節装置80上に載置し、所定の温度条件で反応できるようにすることもある。なお、マイクロチップを用いて所望の反応等を行わせる装置としては、多数の反応を効率的に行わせるため、1つのチップ上に例えば図10(a)のようなマイクロ流路を多数形成配置することも行われており、このような技術は例えば特開2006−126011号公報等に開示されている。
【0008】
従来は上記のようなマイクロチップを用いて前記のような所定の作業を行うに際しては、作業者がピペット77などで一つ一つ手作業により液体の定量・分注操作を行わなければならなかった。米国国立労働衛生研究所のレポートでは、こうした作業は一人あたり平均6000回/日行っており、実際に行っている人たちにとって重労働となっている。その対策としてこれらの作業を自動的に行うことができる自動分注装置も開発されている。
【0009】
前記のような自動分注装置としては例えば特開2001−13152号公報等に開示されており、この装置においては多数のマイクロウェルを有するチッププレートに対して、各マイクロウェルに対向して上方に配置した多数のノズルから、所定の液体を同時に供給することができるようにしている。通常用いられている自動分注装置はこのように、チッププレートの多数のマイクロウェルに、或いは前記図10(a)に示すようなマイクロチップの注入孔に、その上方からノズルにより液体を供給することとなる。
【0010】
また、マイクロチップについては図10(a)のような矩形のもののほか、例えば特開2006−126010号公報、及び特開2005−523728号公報に開示されているような円板状のものに放射状にマイクロ流路を多数形成することも提案されている。
【特許文献1】特開2006−126011号公報
【特許文献2】特開2001−13152号公報
【特許文献3】特開2006−126010号公報
【特許文献4】特開2005−523728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の自動分注装置においてマイクロ流路を形成したマイクロチップの液体注入孔に対して液体を供給する際は、前記特許文献2に記載されているような装置を用いて、マイクロチップの上方からノズルを降下し、分注を行うこととなる。更に、反応が終了した液体を注出孔から外部に注出する際には、同様に注出孔の上方から排出管を降下させ、注出孔に密着させ、ポンプにより吸引し、その作業の終了後に排出管を上昇させることとなる。
【0012】
そのため、従来の分注装置ではマイクロチップを載置する台から上方にノズルや排出管の移動スペースを必要とし、更にその移動を行わせるための駆動装置を配置することとなるため、装置全体の高さが高くならざるを得ず、装置が大がかりなものとなっていた。特にマイクロチップの反応室で反応させた後の液体を、他のマイクロ流路を備えたマイクロチップに分注する際には、片方のマイクロチップの注出孔から他方のマイクロチップの注入孔に液体を分注しながら移動する複雑な機構が必要となり、この部分の機構が大がかりなものとならざるを得ない。
【0013】
このことは前記のようなマイクロメータ単位の大きさの流路を形成したマイクロチップとしての流路形成部材を用いるときのほか、例えば断面の高さや幅が1mmを超えるような比較的大きな流路を形成した流路形成部材での分注に際しても同様の問題を生じる。
【0014】
したがって本発明は、従来手作業で行っていた分注作業を自動化し、且つ分注装置の高さを低いものとし、全体として小型化することができ、特に機構が大型化する原因となる、流路形成部材内で処理した液体をキャピラリ内に、更には他の流路形成部材内の流路内に分注する機構について、その部分の高さを低くすることにより、分注装置全体を小型化することができる流路形成部材、及びその流路形成部材を用いた分注装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る流路形成部材は、上記課題を解決するため、注入部と注出部を備えた液体の流路を内部に形成してなる平板状の流路形成部材において、内部の流路に連通する前記注出部を前記流路形成部材の側面に開口し、前記注出部の注出開口部には該注出開口部を密封する密封部材を設け、前記開口から前記注出開口部の密封部材の間に、密封部材を貫通して流路内の液体吸引用のキャピラリを案内するガイド部材を設けたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る他の流路形成部材は、前記流路形成部材において、前記密封部材が、キャピラリを前記開口から前記ガイド部材に沿って前記密封部材を貫通して内部の流路内に挿入し、前記流路内の液体を所定量キャピラリ内に吸引した後外部に引き抜くとき、自己弾性によりキャピラリが貫通した部分を密封する弾性密封部材であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る他の流路形成部材は、前記流路形成部材において、前記キャピラリによる流路内の液体の吸引は、キャピラリの毛細管現象による吸引であり、キャピラリの長さにより前記所定量が規定されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る他の流路形成部材は、前記流路形成部材において、前記ガイド部材を、前記流路形成部材または前記密封部材と一体的に形成したことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る他の流路形成部材は、前記流路形成部材において、 前記流路形成部材を円板状に形成し、前記注入部と注出部間の所定形状の流路構成部を放射状に複数形成したことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る他の流路形成部材は、前記流路形成部材において、 前記注入部と注出部を備えた液体の流路を内部に形成した流路形成部材に、更に前記注出部から注出した液体を供給する流路を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る分注装置は、前記流路形成部材の前記開口とキャピラリ把持装置で把持したキャピラリの端部とが一致するように、流路形成部材とキャピラリ把持装置の少なくとも片方を移動可能に設け、前記流路形成部材とキャピラリの少なくとも片方を相対的に移動することにより、キャピラリの端部を、前記ガイド部材で案内しつつ、前記密封部材を貫通して内部の流路内に挿入し、前記流路内の液体を所定量キャピラリ内に吸引した後、前記移動によりキャピラリを外部に引き抜く操作を繰り返すことにより、前記流路内の液体を分注する分注機構を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る他の分注装置は、前記分注装置において、前記所定量の液体を吸引したキャピラリを、前記流路形成部材と同様の密封部材を備えた他の流路における密封部材の壁を貫通し、前記他の流路形成部材内部の流路に前記所定量の液体を供給して分注することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る他の分注装置は、前記分注装置において、前記キャピラリ把持装置をキャピラリ移動装置に固定し、前記キャピラリ移動装置は、キャピラリ把持装置によりキャピラリ供給位置の未使用キャピラリを把持して分注位置に移動し、前記他の流路内部に液体を供給して分注した後のキャピラリの把持を解放して、該キャピラリを使用済みキャピラリ集積位置に集積することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る他の分注装置は、前記分注装置において、前記円板状の流路形成部材を連続回転及び所定角度ずつ回転するモータを設け、前記モータの作動により前記流路形成部材の連続回転によって流路内の液体を前記注出部側に移動し、また前記流路形成部材の所定角度ずつの回転により複数のマイクロ流路構成部における各注出部の開口を注出位置に回転移動することを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る他の分注装置は、前記分注装置において、前記流路形成部材のたわみを押さえる押さえ具を備え、前記押さえ具には前記把持装置で把持したキャピラリ端部を流路開口に導くガイドを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上記のように構成したので、従来手作業で重労働であった分注作業を自動化し、且つ分注装置の高さを低いものとし、全体として小型化することができる。特にマイクロ流路の場合、重力より表面力が支配的となり、溶液を垂直方向的に取扱う制限がなくなる。そのため、重力を利用しない平面構造の分注を効果的に行うことができる結果、機構が大型化する原因が解消され、マイクロチップ内で反応させた液体を同じあるいは他のマイクロチップ内のマイクロ流路内に分注する機構を単純化し、分注装置全体の小型化することにより分注装置の大幅な低コスト化が可能となる。また、それによりこの種の分注装置のより広範囲な普及に寄与することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は従来の分注装置の高さを低くし、小型の分注装置とするという課題を、注入部と注出部を備えた液体の流路を内部に形成してなる平板状の流路形成部材において、内部の流路に連通する前記注出部を前記流路形成部材の側面に開口し、前記注出部の開口には該開口を密封する弾性密封部材を設け、前記弾性密封部材は、キャピラリを前記平板状の流路形成部材の側面から前記弾性密封部材の壁を貫通して内部の流路内に挿入し、前記流路内の液体を所定量キャピラリ内に吸引した後外部に引き抜くとき、自己弾性によりキャピラリが貫通した壁部分を密封するように構成した流路形成部材を用いることにより解決し、また、前記の流路形成部材を用い、その流路形成部材の注出部に対向する位置にキャピラリ把持装置を移動可能に設け、前記流路形成部材とキャピラリの少なくとも片方を相対的に移動することにより、キャピラリの端部を、前記弾性密封部材を貫通して内部の流路内に挿入し、前記流路内の液体を所定量キャピラリ内に吸引した後、前記移動によりキャピラリを外部に引き抜く操作を繰り返すことにより、前記流路内の液体を分注する分注機構を備えた分注装置とすることにより解決したものである。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明に用いる流路形成部材1の説明図であり、同図(c)の断面図に示すように、従来のマイクロチップと同様にPDMS、アクリル樹脂、ポリカーボネイト、ガラス等の流路形成基板2の表面に、深さマイクロメータオーダーの所定平面形状の流路溝3を形成し、後にガラスやアクリル樹脂等からなるカバー4を設けることによって内部にマイクロ流路5を形成するものであり、特にPDMSのように柔軟性のある流路形成板2の場合には、その裏側に剛性の高い樹脂等からなる基板6を貼り付けて用いる。図示の例では流路形成部材1をCDのディスクと同様の円板状に形成し、その中心から放射方向に延びる、全体として1つのマイクロ流路構成部7を形成し、これを円周上に図中9個設けて1枚の流路形成部材1としている。なお、本発明による流路形成部材は、多くの場合従来のものと同様のマイクロチップとして用いられるが、それ以外に、より流路断面の大きなものにも用いることを考慮し、流路形成部材1と称して説明する。
【0029】
図1(a)に示す1つのマイクロ流路構造7は、同図(b)に拡大して示すように、前記図10(a)と同様の流路構造をなす例を示しており、図示の例ではカバー4に対してマイクロ流路5に通じる図中3個の注入部としての注入部8を備え、この注入部8にノズル等を当接させて、外部から反応に必要な所定の液体を圧入等により注入し、各々バッファ部9を介して反応室10内に各液体を供給する。反応室10で反応した液体、或いはここで生成された蛋白質等の物質は、外部の検査装置等で検査し或いは更に反応処理を行うため、反応室10に通じる排出流路11の端部に設けた比較的幅の広いマイクロ流路部分である注出部12を備えている。したがってこの注出部12は、円板状の流路形成部材1の側面における開口Mに開口する。
【0030】
注出部12の端部に形成される注出開口部13は、PDMS等の弾性体からなり図示実施例では平面視円弧状の弾性密封部材14の中心部に形成されるシール機能部15によって密封状態に保っている。この流路形成板2が例えば剛性の高いアクリル樹脂等の樹脂やガラス製であるときには、弾性密封部材14はPDMS等の弾性の大きな別の部材によって形成され、その際には例えば図2(a)に示すような弾性密封部材14を用いる。この弾性密封部材14はその中心部のシール機能部15が、同図(b)に示すような注出部12の端部における注出開口部13に接して密封するように、弾性密封部材収納部16に収納される。それにより、図2(b)に示すような弾性密封部材収納部16に、同図(a)に示すような弾性密封部材14を、同図(c)に示すように互いに密着状態で収納する。
【0031】
弾性密封部材14は図1及び図2に示すように円弧状をなしている結果、その内側に空間が形成され、その部分に後述するような注出用のキャピラリの挿入を案内するガイド部材17を設けることができる。図2に示す実施例ではこのガイド部材17は流路形成板2と一体的に形成しており、互いに所定の間隙からなるガイド部18が形成されるように、2つのガイド19、19を対向させて配置している。同図に示すガイド19の互いに対向する面には、後述するキャピラリが円滑に案内できるように外方に向けてラッパ状に開口させ、開口Mとしている。
【0032】
図2に示す弾性密封部材14は、流路形成板2が例えばアクリル樹脂、ポリカーボネイト等の剛性の高い樹脂やガラス製であることによりこれとは別部材とし、PDMS等の弾性の大きな素材から形成する例を示している。またガイド部材17は流路形成板2と一体形成した例を示したが、その他例えば図3(a)に示すように、ガイド部材17を弾性密封部材13と同一部材として一体成型してもよい。
【0033】
前記図2の実施例においては、弾性密封部材14の中心部をガイド部材17としての2個のガイド19、19の端部と接触させ、弾性密封部材14をガイド19、19と弾性密封部材収納部16の円弧状壁面との間に挟み込んだ例を示したが、例えば図3(b)のように、2個のガイド19、19の端部21、21を弾性密封部材14から離して配置し、この部分で弾性密封部材14の自由な移動を可能としてもよい。また、図3(a)に示す実施例では弾性密封部材14とガイド部材17を一体的に形成するに際して、図2に示す実施例の態様のまま一体化した例を示したが、その他例えば図3(c)に示すように、弾性密封部材14とガイド部18を備えた一体化した部材を、弾性密封部材収納部16の形状と同様に形成してもよい。
【0034】
また流路形成板2がPDMS等の弾性の大きな素材から形成されるときは、図4(a)に示すように前記弾性シール部材14は単に注出開口部13を塞ぐ弾性壁として一体成形し、この部分をシール機能部15としても良い。その際には中心にガイド部18を備えるように互いに対向してガイド19、19を同様に一体成形することもできる。その時例えば図4(b)に示すように、互いに対向するガイド19を膜状連結部26で連結し、2個のガイド19、19の成形時にこの部分に円滑に液体状のPDMSを流し、後に凝固させることによって正確なガイドを形成するようにしても良い。このとき、ガイド部18を膜状連結部26が封鎖することとなるが、後述するようにこの部分にキャピラリが挿通されるとき、特に障害となることなく貫通することができる。図4(c)には同図(a)のガイド19、19を独立させることなく、全て一体成形した例を示し、このような成形により容易にガイドを形成することができる。
【0035】
上記のような構成からなる流路形成部材1を用いて、反応部10で反応した液体、或いは蛋白質等を含む液体等を外部に抽出する際には、例えば図5に示すようにして行う。図5に示す例においては、前記図2の実施例の弾性密封部材14とガイド部材17の構成を備え、分注用のキャピラリ22をガイド部材17の2個のガイド19、19間のガイド部18に挿入するとき、これらのガイド19、19の対向する内面に案内され、弾性密封部材14のシール機能部15における外側面23に当接し、シール機能部15を外側から注出部12側に向けて押圧する。なお、この際、反応部10から弾性密封部材14のシール機能部15までは、例えば遠心力などを用いて液を満たすようにし、内部に気泡などが残らないことが重要である。また、分注用のキャピラリ22が数マイクロメータ程度の極めて細いときには、キャピラリ22の先端が正確にガイド部18に挿入されにくいので、そのようなときのためにキャピラリ保持ガイド27を設け、その上面或いは内部等に形成したキャピラリ保持ガイド部28にキャピラリ22を嵌合することにより、キャピラリ先端の開口Mへの確実な位置合わせと、安定した摺動が可能となる。
【0036】
その際、キャピラリ保持ガイド27におけるキャピラリ保持ガイド部28へのキャピラリ22の挿入を容易にするため、キャピラリ保持ガイド27のキャピラリ挿入側にキャピラリ受け面29を設ける。それにより、キャピラリ把持装置で把持されたキャピラリの先端がこのキャピラリ受け面29に当接し、このキャピラリ受け面及び周囲の案内壁面に案内されて、容易にキャピラリ保持ガイド部28に導くことができるようにする。
【0037】
更に、流路形成部材1は必ずしも厳密に平板ではないときがあり、500μm程度のたわみを生じていることがある。このようなときでも確実にキャピラリ把持装置に把持されたキャピラリの先端を前記のように流路形成部材1の開口Mに導くため、例えば図5(c)に示すような押さえ具30を用いることができる。図示する押さえ具30においては、先端を流路形成部材1を回転するテーブルの中心支持部に嵌合する嵌合孔を備え、他端側に前記図5(a)に示すようなキャピラリ保持ガイド部28を備えたキャピラリ保持ガイド27を一体的に設けている。このような押さえ具30を用いることにより、図5(c)に示す状態でテーブル上に載置された流路形成部材を上方から押さえ、流路形成部材1内の流路の開口が所定の位置になった状態で、キャピラリ把持装置で把持されたキャピラリの先端をキャピラリ受け面29及び周囲の案内面により案内してキャピラリ保持ガイド部28に導き、以降は前記図5(a)と同様の態様によりキャピラリ先端を開口に確実に導くことができるようになる。
【0038】
キャピラリ22を開口Mから挿入し、シール機能部15を押圧する状態は図6(a)、(b)に断面図で示しており、(a)のようにキャピラリ22をキャピラリ保持ガイド27で案内しながら、流路形成板2側に前記のように移動させ、同図(b)のようにシール機能部15における外側面23を押圧する。それにより弾性密封部材14のシール機能部15は同図(b)に示すように弾性変形する。なお、図示の例ではキャピラリ22を流路形成板2、即ち流路形成部材1側に移動する例を示したが、キャピラリを同図(a)の位置に配置した後、流路形成部材1をキャピラリ側に移動しても同様の機能を行うことができる。また、図6(a)(b)の例においては、前記弾性密封部材14のシール機能部15において、未だ後述するようにキャピラリが挿入されたことのない状態でのキャピラリの挿入操作を示している。
【0039】
図6に示す例において、同図(b)の状態から更にキャピラリ22を分注部12側に移動すると、同図(c)に示すように弾性密封部材14のシール機能部15がキャピラリ22の先端で突き破られ、キャピラリ22の先端が分注部12内に挿入される。このように弾性密封部材14が突き破られる位置は予め実験によって得ておき、それよりも余裕をもって幾分先にキャピラリ22が移動する位置をキャピラリ22の停止位置としておく。
【0040】
図6(c)のようにキャピラリ22が分注部12内に挿入されると、分注部12の液体24がキャピラリ22の毛細管現象により管内に吸い込まれる。したがってキャピラリ22の内径と長さにより分注量を決定することができる。なお、キャピラリ22の内径が大きいとき、或いはその材質が毛細管現象では充分液体を吸い込まないときには、キャピラリ22の別の端部からポンプ等により吸引してもよい。このような作用によりキャピラリ22内に所定の量の液体が吸い込まれた後、キャピラリ22を同図(d)のように抜き取る。
【0041】
このとき前記のようにキャピラリ22で突き破られた弾性密封部材14のシール機能部15は、例えばこの弾性密封部材14がPDMSで作成されているときには、図5(a)の一部拡大図として示す同図(b)において、分注部12の幅Lが600μm、弾性密封部材14において最も薄く、キャピラリ22が挿入される部分の厚さTが60μm、キャピラリの直径Dが200μmのものを作成し、キャピラリ22を前記のように挿入した後引き抜く実験を行ったところ、弾性密封部材14の自己弾性及び自己粘着性によりキャピラリが突き破った部分は自動的に密封されることを確認した。図6(d)にはこの部分を自己密封部25として破線で示している。
【0042】
その後この自己密封部25に他のキャピラリを前記と同様に挿入し引き抜く作業を繰り返した結果、少なくとも数回程度は充分自己粘着性による密封が継続した。このことから、更に多数回のキャピラリの挿入及び引き抜きの操作が可能であることがわかった。したがって、分注部12内に存在する液体は少なくとも数本分のキャピラリ22に分注することが可能となる。また、この密封効果をより高めるためには、自己密封部25にあらかじめ切れ込みを入れておくと良いものと考えられる。
【0043】
上記のような構成からなる流路形成部材を用いる本発明の分注装置は、例えば図7に示すような装置によって分注作業を実施することができる。同図(a)に示す装置においては、中央部に設けたキャピラリ把持搬送装置31を挟んで図中左側に前記CDのような円板状をなす第1流路形成部材32を第1モータ33により回転自在に配置し、第1流路形成部材32とは内部のマイクロ流路が適宜変更される第2流路形成部材34を、第2モータ35により回転自在に図中右側に配置している。
【0044】
例えば第1流路形成部材32については、その断面を図7(b)に示すような第1流路形成部材回転・移動装置38によって回転させ、またその位置をキャピラリ把持搬送装置31側に進退自在に移動することができるようにしている。同図に示す例においては、第1モータ33で回転駆動されるテーブル36上に第1流路形成部材32を載置し、クランプ37により回転自在に挟み、その状態で第1モータ33を連続的に回転することにより第1流路形成部材32を適宜の高速で回転させ、また一定角度ずつ回転可能としている。
【0045】
また、クランプ37を駆動し、モータ33を載置する第1流路形成部材駆動装置38は、フレーム等に固定される第1流路形成部材駆動装置移動部材39のピストン40により、図7(b)のように図中左右に移動可能としている。それにより、第1流路形成部材32の前記のような分注部の開口Mが、前記キャピラリ把持搬送装置31で把持されたキャピラリ22の先端と前記図6(a)のように対向している状態で、第1流路形成部材駆動装置移動部材39のピストン40の作動により、第1流路形成部材駆動装置38をキャピラリ22側に移動すると、前記図6(a)(b)のような作動によって、キャピラリ22の先端が弾性密封部材14を突き破って分注部12内に挿入され、前記のように毛細管現象によって分注部内の液体はキャピラリ22内にその全長に抽出され、所定量抽出することができる。なお、このとき図7(b)に示すように、前記図5に示したようなキャピラリ保持ガイド27を設けることのより、キャピラリ22の先端を確実に開口Mの位置に合うように、またキャピラリ22の先端がシール機能部を突き破るときの力によりキャピラリ22が曲がらないようにすることができる。特に前記図5(b)のような抑え具30を用いることにより、流路形成部材のたわみを押さえ、直径数μm程度のキャピラリ22でも確実な挿入を行うことができる。
【0046】
一方キャピラリ把持搬送装置31は種々の装置によって実施することができるが、図7に示す例においては、左右のレール41、42上にキャピラリ22を多数載置可能とし、またレール41とレール42の間の間隙部43にキャピラリ把持装置44を配置している。図7(c)に示すキャピラリ把持装置44においては、キャピラリ22の片側に位置するクランプ受け部材45をL字形として、その基底部46をキャピラリ搬送装置47に固定し、図示されない駆動装置により図7(c)において例えば左方向等の片方に移動可能としている。
【0047】
図7(c)の例ではクランプ受け部材45の基底部46上に把持駆動部材48を固定し、それにより図中左右に移動するピストン49によってクランプ部材50を図中左右に移動可能とし、それによりキャピラリ22の強固な把持と、把持の解放を行うことができるようにしている。上記のようなキャピラリ把持搬送装置31を用いることにより、図7(a)の例では、レール41、42の片方の長手方向端部側におけるキャピラリ供給位置51に多数載置され、このレールをキャピラリ供給位置51側から他側に向けて適宜下方に傾斜させておく。
【0048】
且つ図示されない上下に進退可能なストッパ等によってた最初のキャピラリ22が常にストッパの位置に存在する状態にして、前記のように別途の装置で移動するキャピラリ把持装置44をこの部分で上昇させ、最初のキャピラリ22を下側から挟み、且つクランプ部材50の移動によってキャピラリを強固に把持する。その後ストッパを降下させ、キャピラリ22を把持した状態で分注位置52に移動する。
【0049】
この分注位置52においては、予め第1モータ33の駆動により図1のように多数放射状に配置されているマイクロ流路構造の内の一つを選択して、その分注部を分注位置52に回転させておき、キャピラリが前記のように分注位置に搬送されたときに、第1流路形成部材駆動装置移動部材39の作動により第1流路形成部材をキャピラリ側に移動すると、前記図6の態様により相対的にキャピラリ22が弾性密封部材を突き破って分注部に挿入され、キャピラリの長さ分だけ毛細管現象により注出する。この状態は本発明による分注装置の一連の作動を示す図8及び図9において、図8(a)の状態として示している。
【0050】
このような注出に必要な所定時間が経過した後、第1流路形成部材駆動装置移動部材39の作動により、第1流路形成部材32をキャピラリから離れる方向に移動する。それにより図8(b)のように第1流路形成部材32はキャピラリ22から引き離される。その後この実施例においては、レール41、42を中心として、第1流路形成部材32と反対側に対称的に配置した第2流路形成部材34に、前記のようにキャピラリ22に分注した液体を注入するようにしている。
【0051】
そのため、図8(b)の状態で第2流路形成部材34を前記第1流路形成部材駆動装置移動部材39と同様の装置によって、第2流路形成部材34をキャピラリ把持搬送装置31側に移動する。その際、同図に示すように第2流路形成部材34内に形成された所定のマイクロ流路に対して、第1流路形成部材32の前記弾性密封部材14と同様の弾性密封部材を備えており、第2流路形成部材34の前記移動により、分注位置52に回転している注入部55をキャピラリ22側に移動する。
【0052】
その結果図9(a)に示すように、キャピラリ22が第2流路形成部材34の弾性密封部材を貫通し、弾性密封部材の内部に形成したマイクロ流路内に挿入される。そのマイクロ流路には第1流路形成部材の注入部と同様の構成で設けている注出孔56に、ポンプの吸入孔と連通している真空配管を接続し、マイクロ流路を介してキャピラリ22内の液体を吸引する。キャピラリ22内の全ての液体を吸引するタイミングで真空配管のバルブを閉鎖する等により吸引を停止する。
【0053】
その後第2流路形成部材34をキャピラリ22と反対側に移動し、前記図8(b)の位置関係とする。但し、その後の作動は同じキャピラリを用い、或いは空になったキャピラリ22をキャピラリ集積位置53側に移動して新しいキャピラリをキャピラリ供給位置51から分注位置52に搬送する。その後分注位置52に把持されているキャピラリ22に対して、前記図8(a)のように第1流路形成部材32を移動して、前記と同様の作動により空のキャピラリ22に未だ残っている分注部の液体を注出する。上記のような作動を繰り返すことにより、第1流路形成部材32内の1つの分注部、或いは反応部に存在する液体を第2流路形成部材34のマイクロ流路に順に分注することができる。
【0054】
その後第1流路形成部材32の1つのマイクロ流路構成部における分注部内の分注が終了した後は、図9(a)(b)に示すように、第1流路形成部材32を分注が終了したマイクロ流路構成部に隣接する次のマイクロ流路構成部の分注部が位置する迄回転する。なお、図9(b)には第2流路形成部材34も回転させた例を示しているが、これは第2流路形成部材34も第1流路形成部材32と同様に回転作動させることができる例を図示している。
【0055】
上記の例においては、第1流路形成部材32の1つのマイクロ流路構成部における分注部に存在する液体を分注するに際して、キャピラリ22の1本ずつを第1流路形成部材からの注出によるキャピラリ22内への分注と、その後直ちに第2流路形成部材34に対してそのキャピラリ22内の液体を注入するようにした例を示したが、その他、第1流路形成部材32の1つのマイクロ流路構成部における分注部に存在する液体について、キャピラリ22の挿入による分注を連続的に行い、液体が注入されたキャピラリをキャピラリ集積部に集積しておき、1つのマイクロ流路構成部の分注作業が全て終了した後、これらを順に分注位置に搬送し、第2流路形成部材34を所定角度ずつ回転させて、分注したキャピラリ22の液体を第2流路形成部材のマイクロ流路内に注入するようにしても良い。また、第1流路形成部材32にキャピラリの端部を挿入した状態で、同時にキャピラリの他端部を第2流路形成部材34に挿入し、第2流路形成部材側から直接吸引することにより、所定量の液体を第2流路形成部材のマイクロ流路に順に分注することもできる。
【0056】
なお、第1流路形成部材32の1つのマイクロ流路構成部の分注量が多いときには、1枚の第2流路形成部材34のマイクロ流路のみでは不足することが考えられるが、その際には従来の音楽用CDのディスクチェンジャのように、同様の流路構成を備えた他の第2流路形成部材34と交換することにより、容易に対応することができる。このことは第1流路形成部材32についても同様であり、同じマイクロ流路で同様の反応を行わせるもの、或いは他のマイクロ流路構成を備えたものを複数用意し、ディスクチェンジャと同様に、分注を行う流路形成部材を順次交換し、分注作業を全て連続的に行わせることもできる。
【0057】
内部の液体を第2流路形成部材34に注入後のキャピラリ22は、レール41、42の前記供給側位置31と反対側の位置である分注済キャピラリ集積位置53に搬送する。このキャピラリ集積位置53の近傍で把持していたキャピラリを解放すると、前記のようにレールが傾斜していることによりキャピラリ集積位置の端部に設けたストッパ54側に順に集積される。なお、分注位置でキャピラリに分注が終了した後には、この部分でキャピラリ22の把持を解放することにより、キャピラリのレール上の転動によって分注済キャピラリをキャピラリ集積位置53に集積させることも可能である。同時にキャピラリ供給位置51で予め次のキャピラリを把持して待機していたキャピラリ把持搬送装置31により、次のキャピラリを前記と同様に分注位置52に移動する。この状態は図8(b)に示している。
【0058】
前記実施例においては第1流路形成部材と第2流路形成部材を用い、第1流路形成部材からキャピラリに所定量分注した液体を第2流路形成部材の流路に吸引供給する例を示したが、そのほか、第2流路形成部材を用いることなく、第1流路形成部材に前記第1流路形成部材と同様の反応室及び注出部を備えた流路を形成すると共に、同一部材の他の部分には前記第2流路形成部材と同様の分注液体を吸引する流路と密封部材を設け、1つの流路形成部材のみによって注出部からキャピラリへの分注、及びその後の分注した液体の吸引供給を行うようにしても良い。
【0059】
なお、前記実施例においては、本発明について効率的に実施できるように流路形成部材をディスク状に形成した例を示したが、それ以外に例えば図10に示した矩形の流路形成部材を用い、内部に複数のマイクロ流路を形成したものを用いる等、種々の態様で実施することができる。
【0060】
更に、前記実施例では本発明をマイクロ流路を形成した流路形成部材に適用した例を示したが、その他1mm以上の適宜の大きさの流路を形成した矩形やディスク状のチップを用いて、その分注部分に前記弾性密封部材を適用して本発明を実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の流路形成部材の実施例を示す図である。
【図2】同実施例の分注部及び弾性密封部材部分の拡大図である。
【図3】本発明の流路形成部材の他の各種実施例を示す図である。
【図4】本発明の流路形成部材の更に他の各種実施例を示す図である。
【図5】本発明の流路形成部材の実施例において、キャピラリを挿入するときの各種態様を示す図である。
【図6】本発明の流路形成部材の実施例において、キャピラリを貫通し引き抜く時の弾性密封部材の作用を説明する図である。
【図7】本発明の流路形成部材を用いて分注を行う分注装置の実施例の模式図である。
【図8】同分注装置を用いて分注を行うときの例を示す図であり、(a)は第1の態様、(b)は第2の態様を示す図である。
【図9】同分注装置を用いて分注を行うときの例を示す図であり、(a)は第3の態様、(b)は第4の態様を示す図である。
【図10】従来の流路形成部材としてのマイクロチップ、及びそのマイクロチップを用いて分注を行う分注装置の例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 流路形成部材
2 流路形成板
3 流路溝
4 カバー
5 マイクロ流路
6 基板
7 マイクロ流路構成部
8 注入部
9 バッファ部
10 反応室
11 排出流路
12 注出部
13 注出開口部
14 弾性密封部材
15 シール機能部
17 ガイド部材
M 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入部と注出部を備えた液体の流路を内部に形成してなる平板状の流路形成部材において、
内部の流路に連通する前記注入部または注出部の少なくともいずれかを前記流路形成部材の側面に開口し、
前記側面に開口する注入部の注入開口部或いは注出部の注出開口部には該開口部を密封する密封部材を設け、
前記開口から前記開口部の密封部材の間に、密封部材を貫通して流路内の液体吸引用のキャピラリを案内するガイド部材を設けたことを特徴とする流路形成部材。
【請求項2】
前記密封部材は、キャピラリを前記開口から前記ガイド部材に沿って前記密封部材を貫通して内部の流路内に挿入し、前記流路内の液体を所定量キャピラリ内に吸引した後外部に引き抜くとき、自己弾性によりキャピラリが貫通した部分を密封する弾性密封部材であることを特徴とする請求項1記載の流路形成部材。
【請求項3】
前記キャピラリによる流路内の液体の吸引は、キャピラリの毛細管現象による吸引であり、キャピラリの長さにより前記所定量が規定されることを特徴とする請求項1記載の流路形成部材。
【請求項4】
前記ガイド部材を、前記流路形成部材または前記密封部材と一体的に形成したことを特徴とする請求項1に記載の流路形成部材。
【請求項5】
前記流路形成部材を円板状に形成し、前記注入部と注出部間の所定形状の流路構成部を放射状に複数形成したことを特徴とする請求項1に記載の流路形成部材。
【請求項6】
前記注入部と注出部を備えた液体の流路を内部に形成した流路形成部材に、更に前記注出部から注出した液体を供給する流路を備えたことを特徴とする請求項1記載の流路形成部材。
【請求項7】
請求項1記載の流路形成部材の前記開口とキャピラリ把持装置で把持したキャピラリの端部とが対向し、キャピラリの軸線が密封部材表面と垂直になるように、流路形成部材とキャピラリ把持装置の少なくとも片方を移動可能に設け、
前記流路形成部材とキャピラリの少なくとも片方を相対的に移動することにより、キャピラリの端部を、前記ガイド部材で案内しつつ、前記密封部材を貫通して内部の流路内に挿入し、
前記流路内の液体を所定量キャピラリ内に吸引した後、前記移動によりキャピラリを外部に引き抜く操作を繰り返すことにより、前記流路内の液体を分注する分注機構を備えたことを特徴とする分注装置。
【請求項8】
前記所定量の液体を吸引したキャピラリを、前記流路形成部材と同様の密封部材を備えた他の流路における密封部材の壁を貫通し、
前記他の流路形成部材内部の流路に前記所定量の液体を供給して分注することを特徴とする請求項7記載の分注装置。
【請求項9】
前記キャピラリ把持装置をキャピラリ移動装置に固定し、
前記キャピラリ移動装置は、キャピラリ把持装置によりキャピラリ供給位置の未使用キャピラリを把持して分注位置に移動し、
前記他の流路内部に液体を供給して分注した後のキャピラリの把持を解放して、該キャピラリを使用済みキャピラリ集積位置に集積することを特徴とする請求項7記載の分注装置。
【請求項10】
請求項5記載の流路形成部材を連続回転及び所定角度ずつ回転するモータを設け、
前記モータの作動により前記流路形成部材の連続回転によって流路内の液体を前記注出部側に移動し、
また前記流路形成部材の所定角度ずつの回転により複数のマイクロ流路構成部における各注出部の開口を注出位置に回転移動することを特徴とする請求項7記載の分注装置。
【請求項11】
前記流路形成部材のたわみを押さえる押さえ具を備え、
前記押さえ具には前記把持装置で把持したキャピラリ端部を流路開口に導くガイドを備えたことを特徴とする請求項7記載の分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−292379(P2008−292379A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139787(P2007−139787)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(506209422)地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター (134)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】