説明

流路接続部材及び流路接続構造

【課題】電食が抑制されるように異種金属材より成る流路構造体を接続することができる流路接続部材、流路接続構造を得る。
【解決手段】配管継手アセンブリ10は、非導電性を有する管状部材としての高圧ゴムホース28と、高圧ゴムホース28の一端に設けられ鉄より成る第1継手としての鉄製継手30と、高圧ゴムホース28の他端に設けられ鉄とは異種の金属材であるアルミニウムより成る第2継手としてのアルミ製継手32と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば配管等の流路構造体を他の流路構造体と接続するための流路接続部材及び流路接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
端部同士を固相接合した異種金属間の接合部内周に、接合部を覆い隠して保護する耐食性の被覆体を設けた異種金属管継手が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭63−49082
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の如き従来の技術では、異種金属同士の接触部分に接触腐食(いわゆる電食)が生じる恐れがある。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、電食が抑制されるように異種金属材より成る流路構造体を接続することができる流路接続部材、流路接続構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明に係る流路接続部材は、非導電性を有する管状部材と、前記管状部材の一端に設けられた金属製の第1継手と、前記管状部材の他端に設けられ、前記第1継手とは異種の金属材より成る第2継手と、を備えている。
【0006】
請求項1記載の流路接続部材では、第1継手が該第1継手と同種の金属材より成る流路構造体(例えば、配管や熱交換器等の機器)に接続されると共に、第2継手が該第2継手と同種の金属材より成る流路構造体に接続される。ここで、本流路接続部材では、第1継手と第2継手とが非導電性の管状部材を介して接続されているので、換言すれば、異種金属同士の接触部が形成されることがないので、接触腐食すなわち電食の発生が効果的に抑制される。
【0007】
このように、請求項1記載の流路接続部材では、電食が抑制されるように異種金属材より成る流路構造体を接続することができる。なお、本発明における管状部材の非導電性は、上記の通り電食が抑制される(設計寿命が満たされる)程度に、第1継手、第2継手を構成する金属材に対し電気抵抗値が大であれば良く、完全な電気絶縁性が要求されるものではない。
【0008】
請求項2記載の発明に係る流路接続部材は、請求項1記載の流路接続部材において、前記管状部材は、可撓性を有する。
【0009】
請求項2記載の流路接続部材では、管状部材が可撓性を有するので、接続される流路構造体間の位置ずれを管状部材の変形にて吸収することができる。
【0010】
請求項3記載の発明に係る流路接続構造は、請求項1又は請求項2記載の流路接続部材と、前記流路接続部材の前記第1継手と同種の金属材より成り、該第1継手に接続された第1流路構造体と、前記流路接続部材の前記第2継手と同種の金属材より成り、該第2継手に接続された第2流路構造体と、を備えている。
【0011】
請求項3記載の流路接続構造では、第1の流路構造体に該第1の流路構造体と同種金属より成る第1継手が接続されると共に、第2の流路構造体に該第1の流路構造体と同種金属より成る第1継手が接続されている。ここで、流路接続部材の第1継手と第2継手とが非導電性の管状部材を介して接続されているので、換言すれば、異種金属同士の接触部が形成されることがないので、接触腐食すなわちいわゆる電食の発生が効果的に抑制される。
【0012】
このように、請求項1記載の流路接続部材では、電食が抑制されるように異種金属材より成る流路構造体を接続することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明に係る流路接続部材、流路接続構造は、電食が抑制されるように異種金属材より成る流路構造体を接続することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る流路接続部材としての配管継手アセンブリ10について、図1及び図2に基づいて説明する。先ず、配管継手アセンブリ10が適用された車両用燃料系システム12の概略構成を説明し、次いで配管継手アセンブリ10の構成を詳細に説明することとする。
【0015】
(車両用燃料系システムの構成)
図2には、車両用燃料系システム12の概略構成が模式図にて示されている。この図に示される如く、車両用燃料系システム12は、内燃機関であるエンジン14に供給する燃料を貯留するための燃料タンク16と、該燃料タンク16とエンジン14とを連通する燃料メインライン18とを備えている。この実施形態では、車両用燃料系システム12は、液化石油ガス(LPG)をエンジン14に供給する構成とされている。
【0016】
燃料メインライン18には、図示しない燃料ポンプが設けられ、該燃料ポンプの作動によって、燃料タンク16からエンジン14へ燃料メインライン18を経由して燃料が供給されるようになっている。燃料メインライン18は、鉄を主成分とする鉄鋼のパイプ材(管)にて構成されている。
【0017】
また、車両用燃料系システム12は、エンジン14から燃料タンク16に燃料を戻すための燃料リターンライン20を備えている。燃料リターンライン20の中間部には、エンジン14からの比較的高温の燃料(LPG)を冷却するための燃料冷却装置22が設けられている。
【0018】
燃料冷却装置22は、燃料と冷媒との熱交換器として構成されており、燃料流路24と冷媒流路26とを有する。燃料流路24、冷媒流路26は、それぞれアルミニウム又はアルミニウム合金より成るパイプ材にて構成されている。このアルミニウムの採用により、燃料冷却装置22は、燃料に冷却効率が高い構成とされている。一方、燃料流路24に接続される燃料リターンライン20は、鉄を主成分とする鉄鋼のパイプ材(管)にて構成されている。
【0019】
そして、車両用燃料系システム12では、燃料リターンライン20を構成する鉄製(鋼製)パイプと燃料流路24を構成するアルミ製パイプとが、燃料冷却装置22における燃料の入口部及び出口部において、配管継手アセンブリ10を介して接続されている。すなわち、この実施形態では、燃料リターンライン20を構成する鉄製パイプが本発明における第1の流路構造体に相当し、燃料流路24を構成するアルミ製パイプが本発明における第2の流路構造体に相当する。
【0020】
(配管継手アセンブリの構成)
図1には、配管継手アセンブリ10が一部切り欠いた平面図にて示されている。この図に示される如く、配管継手アセンブリ10は、管状部材としての高圧ゴムホース28と、高圧ゴムホース28の一端部に設けられた第1継手としての鉄製(鋼製)継手30と、高圧ゴムホース28の他端部に設けられた第2継手としてのアルミ製継手32とを主要部として構成されている。高圧ゴムホース28は、合成ゴム材より成り、非導電性、可撓性を有する。
【0021】
鉄製継手30は、高圧ゴムホース28の一端部に挿入された挿入部34と、燃料リターンライン20を構成する鉄製パイプに接続される接続部36とを有する継手本体38と、継手本体38を高圧ゴムホース28に強固に接続するための筒状の固定部材40とを備える。継手本体38と固定部材40とは、それぞれ鉄製とされている。
【0022】
固定部材40は、挿入部34が挿入された高圧ゴムホース28に外側から嵌合され、軸方向の複数箇所(この実施形態では2箇所)がかしめられると共に、高圧ゴムホース28の外側で継手本体38における挿入部34と接続部36との間の部分に周方向の全周に亘りロウ付けされている。すなわち、固定部材40の外周には、かしめにより凹んだ2つの被かしめ部40Aが形成され、固定部材40の端面側には、継手本体38とのロウ付け部Bが形成されている。これにより、高圧ゴムホース28と鉄製継手30との接続部は、4MPaの保証圧が確保されている。
【0023】
この実施形態では、接続部36は、燃料リターンライン20の鉄製パイプに接合されるおねじ部36Aと、工具(スパナ)により締め付け力が入力される六角部36Bとが、挿入部34側に対し相対回転可能に設けられている。この継手本体38自体の保証圧は、4MPa以上とされている。
【0024】
一方、アルミ製継手32は、高圧ゴムホース28の他端部に挿入された図示しない挿入部と、燃料冷却装置22の燃料流路24を構成するアルミ製パイプに接続される接続部41を有する継手本体42と、継手本体42を高圧ゴムホース28に強固に接続するための筒状の固定部材44とを備える。継手本体42と固定部材44とは、それぞれアルミ製とされている。
【0025】
図示は省略するが、固定部材44は、鉄製継手30の固定部材40と同様の構造で高圧ゴムホース28に強固に接続されている。したがって、固定部材44の外周には、かしめにより凹んだ2つの被かしめ部44Aが形成され、固定部材44の端面側には、継手本体42とのロウ付け部Bが形成されている。これにより、高圧ゴムホース28とアルミ製継手32との接続部は、4MPaの保証圧が確保されている。
【0026】
この実施形態では、接続部41は、燃料流路24のアルミ製パイプに接合されるめねじ部41Aを有し、めねじ部41Aの外周は、工具(スパナ)により締め付け力が入力される六角部とされている。この継手本体42自体の保証圧は、4MPa以上とされている。
【0027】
以上により、配管継手アセンブリ10は、全体として4MPaのシール保証圧が確保されている。このシール保証圧は、LPGのように常温・一定空間で高圧となる燃料を使用する車両用燃料系システム12への適用に十分なシール保証圧とされている。
【0028】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0029】
上記構成の配管継手アセンブリ10は、鉄製継手30(接続部36)が燃料リターンライン20を構成する鉄製パイプに接続されると共に、アルミ製継手32が燃料冷却装置22の燃料流路24を構成するアルミ製パイプに接続されて、車両用燃料系システム12(車両用燃料系システム12)の一部を構成している。この状態で配管継手アセンブリ10は、4MPaのシール保証圧を確保している。
【0030】
ここで、配管継手アセンブリ10では、燃料リターンライン20の鉄製パイプに接続される鉄製継手30と、燃料冷却装置22を構成する燃料流路24のアルミ製パイプに接続されるアルミ製継手32とが非導電性を有する高圧ゴムホース28を介して接続されているため、異種金属同士を接触させることなく、燃料リターンライン20と燃料冷却装置22の燃料流路24とを接続することができる。これにより、配管継手アセンブリ10、該配管継手アセンブリ10が適用された車両用燃料系システム12では、異種金属同士の接触部位で発生が懸念される接触腐食(いわゆる電食)の発生が防止又は効果的に抑制される。
【0031】
このように、本発明の実施形態に係る配管継手アセンブリ10、該配管継手アセンブリ10が適用された車両用燃料系システム12では、異種金属材より成る燃料リターンライン20と燃料冷却装置22の燃料流路24とを、電食が抑制されるように接続することができる。
【0032】
また、配管継手アセンブリ10では、鉄製継手30とアルミ製継手32とが可撓性を有する高圧ゴムホース28を介して接続されているため、燃料リターンライン20における鉄製継手30との接続部位と、燃料冷却装置22の燃料流路24におけるアルミ製継手32との接続部位との位置ずれを、高圧ゴムホース28の変形によって吸収することができる。したがって、配管継手アセンブリ10は、組付性が良好である。
【0033】
すなわち、配管継手アセンブリ10では、電食が抑制される状態での異種金属ライン同士の接合、十分なシール圧の確保、組付性の確保が果たされ、異種金属ラインを有する車両用燃料系システム12(の燃料リターンライン20)への汎用性が高い。
【0034】
例えば、配管継手アセンブリ10に代えて金属配管のフレア結合を用いた構成では、配管継手アセンブリ10よりも高いシール保証圧を得ることができるものの、異種金属同士の接触部が生じてしまうので、電食発生が懸念され、また燃料リターンライン20と燃料流路24との相対位置に対し高い寸法精度が要求される。これらにより、フレア結合では、車両用燃料系システム12(の燃料リターンライン20)への汎用性が低い。また例えば、配管継手アセンブリ10に代えて、ゴムホースを用いた構成やナイロンチューブにクイックコネクタを用いた構成では、異種金属の接触部を生じさせず、また燃料リターンライン20と燃料流路24との相対位置に対する要求精度が低いものの、LPG系の車両用燃料系システム12に対し要求されるシール保証圧を得ることが困難である。これらについても、車両用燃料系システム12(の燃料リターンライン20)への汎用性が低い。
【0035】
これらに対して配管継手アセンブリ10では、鉄製継手30とアルミ製継手32とが高圧ゴムホース28を介して接続されているので、上記の通り、電食が抑制される状態での異種金属ライン同士の接合、十分なシール圧の確保、組付性の確保が果たされ、異種金属ラインを有する車両用燃料系システム12への汎用性が高い。
【0036】
なお、上記の実施形態では、配管継手アセンブリ10が車両用燃料系システム12に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の用途に配管継手アセンブリ10を適用しても良い。したがって、本発明の第1継手、第2継手の材質は、鉄(鋼)、アルミニウム(合金)に限られることもなく、適用装置の接続部と同種の金属材に設定すれば良い。
【0037】
また、上記した実施形態では、流路構造体としてのパイプに鉄製継手30、アルミ製継手32が接続された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、エンジン14、燃料タンク16、燃料冷却装置22や他の機器(のハウジング、シェル、ジャケット等)に設けられ接続部に鉄製継手30、アルミ製継手32が接続されるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る配管継手アセンブリの平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る配管継手アセンブリが適用された車両用燃料系システムを模式的に示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0039】
10 配管継手アセンブリ(流路接続部材)
12 車両用燃料系システム(流路接続構造)
20 燃料リターンライン(第1の流路構造体)
24 燃料流路(第1の流路構造体)
28 高圧ゴムホース(管状部材)
30 鉄製継手(第1継手)
32 アルミ製継手(第2継手)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性を有する管状部材と、
前記管状部材の一端に設けられた金属製の第1継手と、
前記管状部材の他端に設けられ、前記第1継手とは異種の金属材より成る第2継手と、
を備えた流路接続部材。
【請求項2】
前記管状部材は、可撓性を有する請求項1記載の流路接続部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の流路接続部材と、
前記流路接続部材の前記第1継手と同種の金属材より成り、該第1継手に接続された第1流路構造体と、
前記流路接続部材の前記第2継手と同種の金属材より成り、該第2継手に接続された第2流路構造体と、
を備えた流路接続構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−180335(P2009−180335A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21306(P2008−21306)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】