説明

流路構造体、分離方法、抽出方法及び反応方法

【課題】混合流体に含まれる複数の流体同士の相互作用が生じた後、その混合流体から所望の流体又は生成物を分離する分離作業を簡略化する。
【解決手段】流路構造体では、流通路2は、互いに混合された第1流体と第2流体からなる混合流体が流れる第1混合流体流路28と、第1混合流体流路28の下流側に繋がり、第1混合流体流路28から流入した混合流体が比重の小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重の大きい重質流体とに比重差によって分離するような断面形状を有する分離空間30と、分離空間30のうち重質流体が溜まる部分に繋がり、分離空間30から重質流体が流入する重質流路32と、分離空間30のうち軽質流体が溜まる部分に繋がり、分離空間30から軽質流体が流入する軽質流路34とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路構造体、分離方法、抽出方法及び反応方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の流体同士を合流させて相互作用を生じさせる手段としての流路構造体が知られている。下記特許文献1には、このような流路構造体からなるマイクロリアクタが示されている。
【0003】
特許文献1に示されたマイクロリアクタは、2流体を合流させて流すための流路が形成されたプレートを備えている。このプレートに形成された流路は、2流体のうち一方の流体である第1流体を流すための第1流路と、もう一方の流体である第2流体を流すための第2流路と、これらの両流路を流れる流体が合流した後、その混合流体が流れる混合流体流路とを有している。第1流路と第2流路の上流側の各端部には、各流路に流体を導入するための入口がそれぞれ形成されており、第1流路と第2流路は、それらの入口から下流側へ向かうにつれて徐々に互いに接近するように延びている。そして、第1流路の下流側の端部と第2流路の下流側の端部は、混合流体流路の上流側の端部に繋がっている。混合流体流路の下流側の端部には、当該混合流体流路を通って流れる混合流体を取り出すための出口が形成されている。混合流体流路では、上記混合流体が、微小長さを有する第1流体の複数のスラグと微小長さを有する第2流体の複数のスラグとが流通方向に沿って交互に並ぶスラグ流の状態で下流側へ流れつつ、その混合流体中で第1流体と第2流体との接触界面を介して両流体同士の相互作用が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−233483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のマイクロリアクタでは、混合流体において第1流体と第2流体との相互作用が生じた後、その混合流体に含まれる第1流体、第2流体及び相互作用によって生じた生成物等が全て混ざり合った状態で混合流体流路の出口から排出されるため、その排出された流体から第1流体と第2流体を分離したり、生成物を分離したりするための分離作業が非常に煩雑になるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、混合流体に含まれる複数の流体同士の相互作用が生じた後、その混合流体から所望の流体又は生成物を分離する分離作業を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明による流路構造体は、流体を流通させるための流通路を内部に有する流路構造体であって、前記流通路は、互いに混合された複数種類の流体からなる混合流体が流れる混合流体流路と、前記混合流体流路の下流側に繋がり、前記混合流体流路から流入した前記混合流体が比重の小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重の大きい重質流体とに比重差によって分離するような断面形状を有する分離空間と、前記分離空間のうち前記重質流体が溜まる部分に繋がり、前記分離空間から前記重質流体が流入する重質流路と、前記分離空間のうち前記軽質流体が溜まる部分に繋がり、前記分離空間から前記軽質流体が流入する軽質流路とを有する。
【0008】
この流路構造体では、混合流体流路の下流側に繋がる分離空間は、混合流体が比重の小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重の大きい重質流体とに比重差によって分離するような断面形状を有し、その分離空間のうち重質流体が溜まる部分に重質流路が繋がり、その分離空間のうち軽質流体が溜まる部分に軽質流路が繋がっているため、例えば、混合流体から分離したい物質が重質流体に含まれる場合には分離空間から重質流路を通じてその物質が含まれる重質流体を分離することができ、混合流体から分離したい物質が軽質流体に含まれる場合には分離空間から軽質流路を通じてその物質が含まれる軽質流体を分離することができる。すなわち、この流路構造体では、混合流体流路を流れる混合流体中でその混合流体に含まれる複数の流体同士の相互作用が生じた後、その混合流体から所望の流体を分離することができる。さらに、この流路構造体では、流路構造体内の分離空間で混合流体が重質流体と軽質流体に分離されるため、その重質流体又は軽質流体が所望の流体である場合には流路構造体から取り出した後の重質流体又は軽質流体について分離作業を行う必要がなく、その重質流体又は軽質流体に所望の生成物が含まれる場合のその重質流体又は軽質流体からの生成物の分離は、流通路を流れる複数種類の流体及び生成物が全て混ざり合った混合流体からの生成物の分離に比べて簡略な分離作業で行える。従って、この流路構造体では、混合流体に含まれる複数の流体同士の相互作用が生じた後、その混合流体から所望の流体又は生成物を分離する分離作業を簡略化することができる。
【0009】
上記流路構造体において、前記分離空間に流入する前記混合流体の流れ方向に対して直交する方向における前記分離空間の断面は、当該分離空間に流入する前記混合流体についてのフルード数が1よりも小さくなるように設定された相当直径を有することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、分離空間に流入した混合流体に作用する重力の影響をその混合流体の流れ方向への慣性力よりも大きくすることができる。具体的には、分離空間に流入した混合流体についてのフルード数Frは、Fr=U/(D・g)1/2という数式で表される。ここで、Uは、分離空間に流入した混合流体の流速であり、Dは、混合流体の流れ方向に対して直交する方向における分離空間の断面の相当直径であり、gは、重力加速度である。なお、分離空間の断面の相当直径Dとは、任意の形状に形成された分離空間の断面に対して等価な円形断面を想定する場合のその円形断面の直径のことを意味し、その相当直径をD、分離空間の断面積をA、分離空間の断面の周長(分離空間内の濡れ縁の長さ)をuとすると、相当直径D=4A/uという数式で表される。フルード数Frが1よりも小さい場合には、分離空間に流入した流体の流れ方向への慣性力よりも重力の影響の方が支配的であることを意味する。このため、本構成のように分離空間の断面が当該分離空間に流入する混合流体についてのフルード数が1よりも小さくなるように設定された相当直径を有していれば、分離空間に流入した混合流体に作用する重力の影響をその流体の流れ方向への慣性力よりも支配的にすることができ、その結果、分離空間内で混合流体のうちの重質流体を下方へ沈ませて重質流体と軽質流体とを分離することができる。従って、本構成によれば、混合流体流路から流入した混合流体が軽質流体と重質流体とに比重差によって分離するような断面形状を有する分離空間の具体的な構成を得ることができる。
【0011】
上記流路構造体において、前記流通路は、第1流体が導入される第1導入路と、第2流体が導入される第2導入路と、前記第1導入路の下流側の端部及び前記第2導入路の下流側の端部に繋がり、前記第1導入路を流れる前記第1流体と前記第2導入路を流れる前記第2流体とが混合するようにそれら両流体同士を合流させる合流部とを有し、前記混合流体流路は、前記合流部の下流側に繋がり、当該混合流体流路には、前記合流部で合流して互いに混合された前記第1流体と前記第2流体からなる混合流体が流入してもよい。
【0012】
この構成によれば、第1導入路に第1流体を導入するとともに第2導入路に第2流体を導入するだけで、それら両流体が合流部で互いに混合するように合流し、混合流体流路においてその混合した両流体同士の相互作用が生じ、その後、分離空間で自動的に混合流体が比重差によって軽質流体と重質流体とに分離する。すなわち、本構成では、流路構造体内で第1流体と第2流体との混合から比重差による分離までの工程を全て行うことができる。このため、例えば、流通路が第1導入路、第2導入路及び合流部を備えておらず、流路構造体の外部で第1流体と第2流体を混合してからその混合流体を混合流体流路に導入する必要がある流路構造体に比べて、両流体の混合に要する装置を省略することができる。このため、本構成によれば、簡略な構成の流路構造体によって第1流体と第2流体との混合から比重差による分離までの工程を全て行うことができる。
【0013】
上記流路構造体において、前記重質流路は、当該重質流路の下流側の端部に配置され且つ前記流路構造体の外面に開口するように形成され、当該重質流路から前記重質流体を導出するための重質流体導出口を有することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、分離空間で分離された重質流体を重質流路を通じて重質流体導出口から流路構造体の外部へ導出することができる。このため、例えば混合流体から除去したい物質が重質流体に含まれる場合には、その除去したい物質を重質流体とともに混合流体から分離して流路構造体の外部へ排出することができる。また、混合流体のうち取得したい物質が重質流体に含まれる場合には、その物質を重質流体とともに混合流体から分離して流路構造体の外部へ取り出すことができる。
【0015】
上記流路構造体において、前記流通路は、前記軽質流体に混合するための流体が導入され、その流体を前記軽質流路を流れる前記軽質流体に合流させるように前記軽質流路に繋がる軽質流路側導入路を有していてもよい。
【0016】
この構成によれば、軽質流路に流れる軽質流体に対して軽質流路側導入路から追加の流体を合流させることができるため、軽質流体に対して追加の流体を混合させて相互作用させることができる。しかも、この構成では、分離空間で重質流体と分離した軽質流体に対して追加の流体を混合させることができるので、例えば混合流体中に軽質流体と追加の流体との相互作用の効率を低下させる物質が含まれていてその物質の大部分が分離空間で分離した重質流体中に含まれる場合に、その物質の含有率の低下した軽質流体に対して追加の流体を合流させて相互作用させることができる。このため、軽質流体と追加の流体との相互作用の効率を向上することができる。
【0017】
上記流路構造体において、前記軽質流路は、当該軽質流路の下流側の端部に配置され且つ前記流路構造体の外面に開口するように形成され、当該軽質流路から前記軽質流体を導出するための軽質流体導出口を有していてもよい。
【0018】
この構成によれば、分離空間で分離された軽質流体を軽質流路を通じて軽質流体導出口から流路構造体の外部へ導出することができる。このため、例えば混合流体から除去したい物質が軽質流体に含まれる場合には、その除去したい物質を軽質流体とともに混合流体から分離させて流路構造体の外部へ排出することができる。また、混合流体のうち取得したい物質が軽質流体に含まれる場合には、その物質を軽質流体とともに混合流体から分離して流路構造体の外部へ取り出すことができる。
【0019】
上記流路構造体において、前記流通路は、前記重質流体に混合するための流体が導入され、その流体を前記重質流路を流れる前記重質流体に合流させるように前記重質流路に繋がる重質流路側導入路を有していてもよい。
【0020】
この構成によれば、重質流路に流れる重質流体に対して重質流路側導入路から追加の流体を合流させることができるため、重質流体に対して追加の流体を混合させて相互作用させることができる。しかも、この構成では、分離空間で軽質流体と分離した重質流体に対して追加の流体を混合させることができるので、例えば混合流体中に重質流体と追加の流体との相互作用の効率を低下させる物質が含まれていてその物質の大部分が分離空間で分離した軽質流体中に含まれる場合に、その物質の含有率の低下した重質流体に対して追加の流体を合流させて相互作用させることができる。このため、重質流体と追加の流体との相互作用の効率を向上することができる。
【0021】
上記流路構造体において、前記流路構造体は、基板と、その基板の厚み方向における一方側に積層された第1封止板と、その基板の厚み方向における他方側に積層された第2封止板とを有し、前記基板は、その厚み方向において一方側を向く第1面と、その第1面と反対側を向く第2面とを有し、前記基板には、第1面側溝部が当該基板の前記第1面に沿って延び且つその第1面に開口するように形成されていて、前記第1面に形成された当該第1面側溝部の開口が前記第1封止板によって封止されることにより前記混合流体流路及び前記軽質流路が形成され、前記基板には、第2面側溝部が当該基板の前記第2面に沿って延び且つその第2面に開口するように形成されていて、前記第2面に形成された当該第2面側溝部の開口が前記第2封止板によって封止されることにより前記重質流路が形成され、前記基板には、前記第1面側溝部のうち前記混合流体流路の下流側の端部を構成する部位と前記軽質流路の上流側の端部を構成する部位との間に位置する部位において当該基板を前記第1面側から前記第2面側へ貫通し且つ前記第2面側溝部のうち前記重質流路の上流側の端部を構成する部位に繋がる穴部が形成されていて、当該穴部の前記第1面側の開口が前記第1封止板によって封止されるとともに当該穴部の前記第2面側の開口が前記第2封止板によって封止されることにより前記分離空間が形成されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、上記流路構造体を簡易に構成可能な具体的な構造を得ることができる。具体的には、この構成では、流路構造体を基板と第1封止板と第2封止板との積層構造で構成することにより、第1面に溝部を有する基板と第1封止板との間に混合流体流路および軽質流路を形成させることができ、第2面に溝部を有する基板と第2封止板との間に重質流路を形成させることができ、さらに、基板を第1面側から第2面側へと貫通する分離空間を形成することができる。
【0023】
上記流路構造体において、前記流路構造体は、基板と、その基板の厚み方向における一方側に積層された第1封止板と、その基板の厚み方向における他方側に積層された第2封止板とを有し、前記基板は、その厚み方向において一方側を向く第1面と、その第1面と反対側を向く第2面とを有し、前記基板には、第1面側溝部が当該基板の前記第1面に沿って延び且つその第1面に開口するように形成されていて、前記第1面に形成された前記第1面側溝部の開口が前記第1封止板によって封止されることにより前記軽質流路が形成され、前記基板には、第2面側溝部が当該基板の前記第2面に沿って延び且つその第2面に開口するように形成されていて、前記第2面に形成された前記第2面側溝部の開口が前記第2封止板によって封止されることにより前記混合流体流路及び前記重質流路が形成され、前記基板には、前記第2面側溝部のうち前記混合流体流路の下流側の端部を構成する部位と前記重質流路の上流側の端部を構成する部位との間に位置する部位において当該基板を前記第2面側から前記第1面側へ貫通し且つ前記第1面側溝部のうち前記軽質流路の上流側の端部を構成する部位に繋がる穴部が形成されていて、当該穴部の前記第1面側の開口が前記第1封止板によって封止されるとともに当該穴部の前記第2面側の開口が前記第2封止板によって封止されることにより前記分離空間が形成されていることが好ましい。
【0024】
この構成によっても、上記流路構造体を簡易に構成可能な具体的な構造を得ることができる。具体的には、この構成では、流路構造体を基板と第1封止板と第2封止板との積層構造とすることにより、第1面に溝部を有する基板と第1封止板との間に軽質流路を形成することができ、第2面に溝部を有する基板と第2封止板との間に混合流体流路および重質流路を形成することができ、さらに、基板を第1面側から第2面側へと貫通する分離空間を形成することができる。
【0025】
本発明による分離方法は、上記流路構造体を用いて、互いに混合された複数種類の流体からなる混合流体を比重が小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重が大きい重質流体に分離する分離方法であって、前記混合流体を前記混合流体流路に流す混合流体流通工程と、前記混合流体を前記混合流体流路から前記分離空間に流入させてその分離空間内で当該混合流体を軽質流体と重質流体とに比重差によって分離させ、その分離した重質流体を前記重質流路に流入させるとともに、その分離した軽質流体を前記軽質流路に流入させる分離工程とを備えている。
【0026】
この分離方法では、混合流体流通工程において混合流体流路を流れた混合流体が、分離工程において分離空間に流入してその分離空間内で軽質流体と重質流体とに分離され、その分離した重質流体は重質流路へ流れる一方、その分離した軽質流体は軽質流路へ流れるため、混合流体中で流体同士の相互作用が生じた後、流路構造体内で混合流体を重質流体と軽質流体とに分離することができる。このため、流路構造体から排出された後の流体についての分離作業に係る作業負担を軽減することができる。
【0027】
本発明による抽出方法は、上記流通路が第1導入路、第2導入路及び合流部を有しているとともに混合流体流路が合流部の下流側に繋がっている流路構造体を用いて、抽出対象物を含む被抽出流体とその被抽出流体から前記抽出対象物を抽出するための流体である抽出剤とを混合し、前記被抽出流体から前記抽出剤へ前記抽出対象物を抽出させる抽出方法であって、前記被抽出流体と前記抽出剤のうちの一方の流体である一流体を前記第1導入路に導入するとともに、前記被抽出流体と前記抽出剤とのうちの他方の流体である他流体を前記第2導入路に導入する流体導入工程と、前記第1導入路に導入した前記一流体と前記第2導入路に導入した前記他流体が前記合流部で互いに混合するように合流し、その合流した両流体からなる混合流体が前記混合流体流路を流れながら、その混合流体中において前記被抽出流体と前記抽出剤との接触界面を介して前記被抽出流体から前記抽出剤へ前記抽出対象物を抽出させる抽出工程と、前記混合流体が前記混合流体流路から前記分離空間に流入してその分離空間内で比重が小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重が大きい重質流体とに比重差によって分離し、分離した重質流体が前記重質流路に流れ、分離した軽質流体が前記軽質流路に流れる分離工程とを備えている。
【0028】
この抽出方法では、抽出工程において、被抽出流体の複数のスラグと抽出剤の複数のスラグが交互に並ぶスラグ流の状態で混合流体流路を流れながら被抽出流体から抽出剤へ抽出対象物が抽出されるため、被抽出流体と抽出剤との接触界面の面積を増やして被抽出流体から抽出剤への抽出対象物の抽出を促進することができる。しかも、この抽出方法では、抽出工程後の混合流体が分離空間で軽質流体と重質流体とに分離されて、重質流体は重質流路へ流れ、軽質流体は軽質流路へ流れるため、例えば、抽出対象物を抽出した抽出剤が重質流体である場合にはその抽出対象物を含む抽出剤を分離空間から重質流路へ分離することができ、抽出対象物を抽出した抽出剤が軽質流体である場合にはその抽出対象物を含む抽出剤を分離空間から軽質流路へ分離することができる。さらに、この抽出方法では、流路構造体内の分離空間で抽出対象物を含む抽出剤を分離することができるため、流路構造体から排出された後の流体についての抽出対象物の分離作業に係る作業負担を軽減することができる。
【0029】
本発明による反応方法は、上記流通路が第1導入路、第2導入路及び合流部を有しているとともに混合流体流路が合流部の下流側に繋がっている流路構造体を用いて、互いに反応し得る流体からなる第1反応剤と第2反応剤とを混合してそれら両反応剤同士を反応させる反応方法であって、前記第1反応剤を前記第1導入路に導入するとともに前記第2反応剤を前記第2導入路に導入する反応剤導入工程と、前記第1導入路に導入した前記第1反応剤と前記第2導入路に導入した前記第2反応剤が前記合流部で互いに混合するように合流し、その合流した両反応剤からなる混合流体が前記混合流体流路を流れながら、その混合流体中において前記第1反応剤と前記第2反応剤との接触界面を介して前記第1反応剤と前記第2反応剤とを相互に反応させる反応工程と、前記混合流体が前記混合流体流路から前記分離空間に流入してその分離空間内で比重が小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重が大きい重質流体とに比重差によって分離し、分離した重質流体が前記重質流路に流れ、分離した軽質流体が前記軽質流路に流れる分離工程とを備えている。
【0030】
この反応方法では、反応工程において、第1反応剤と第2反応剤がそれらのスラグが交互に並ぶスラグ流の状態で混合流体流路を流れながら第1反応剤と第2反応剤との接触界面を介した反応が生じるため、混合流体流路において第1反応剤と第2反応剤との接触界面の面積を増やしてそれら両反応材同士の反応を促進することができる。しかも、この反応方法では、反応工程後の混合流体が分離空間で軽質流体と重質流体とに分離されて、重質流体は重質流路へ流れ、軽質流体は軽質流路へ流れるため、例えば、反応生成物が重質流体に含まれる場合にはその反応生成物を含む重質流体を分離空間から重質流路へ分離することができ、反応生成物が軽質流体に含まれる場合にはその反応生成物を含む軽質流体を分離空間から軽質流路へ分離することができる。さらに、この反応方法では、流路構造体内の分離空間で反応生成物を含む流体を分離することができるため、流路構造体から排出された後の流体についての反応生成物の分離作業に係る作業負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、混合流体に含まれる各流体同士の相互作用が生じた後、その混合流体から所望の流体又は生成物を分離する分離作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態による流路構造体の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による流路構造体を構成する基板の上面図である。
【図3】図2に示した基板の下面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による流路構造体の図2中のIV−IV線に沿った部分的な断面図である。
【図5】図4中のV−V線に沿った流路構造体の部分的な断面図である。
【図6】図4中のVI−VI線に沿った流路構造体の部分的な断面図である。
【図7】図4中のVII−VII線に沿った流路構造体の部分的な断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態による流路構造体において第1混合流体流路から分離空間に流入した混合流体が重質流体と軽質流体に分離して流れる様子を説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態による流路構造体の斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態による流路構造体において第1混合流体流路から分離空間に流入した混合流体が重質流体と軽質流体に分離して流れる様子を説明するための図である。
【図11】本発明の一変形例による流路構造体の斜視図である。
【図12】本発明の一変形例による流路構造体の流通路に沿った図4に対応する断面図である。
【図13】本発明の別の変形例による流路構造体の流通路に沿った図4に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0034】
(第1実施形態)
まず、図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態による流路構造体の構成について説明する。
【0035】
この第1実施形態による流路構造体は、複数の流体同士を混合させて相互作用を生じさせるために用いられるものであり、複数の流体が互いに混合するようにそれらの流体を流通させるための流通路2(図4参照)を内部に有する。
【0036】
具体的には、この流路構造体は、例えば、マイクロリアクタ、熱交換器または抽出装置等に用いられる。この流路構造体がマイクロリアクタに用いられる場合には、互いに反応し得る複数種類の反応剤の流体が当該流路構造体内の流通路2を流通して混合されることにより、それらの流体同士の相互作用として化学反応が生じ、所望の反応生成物が得られる。また、この流路構造体が熱交換器に用いられる場合には、流路構造体内の流通路2に流通させる複数種類の流体のうちの所定の流体から別の流体への伝熱が行われる。また、この伝熱により、流体の蒸発又は凝縮が行われる場合がある。また、この流路構造体が抽出装置に用いられる場合には、抽出対象物を含む一方の流体と抽出媒体である他方の流体とが当該流路構造体内の流通路2を流通して混合されることにより、一方の流体から他方の流体へ抽出対象物が抽出される。
【0037】
流路構造体は、図1に示すように、複数の基板4と、複数の封止板6を備えている。これらの基板4及び封止板6は、矩形状の平板によってそれぞれ形成されている。
【0038】
基板4は、その厚み方向において一方側を向く表面4a(図2参照)と、この表面4aと反対側を向く裏面4b(図3参照)とを有する。表面4aは、本発明の第1面の概念に含まれ、裏面4bは、本発明の第2面の概念に含まれる。
【0039】
基板4には、複数の第1溝部10が当該基板4の表面4aに沿って延び且つその表面4aに開口するようにエッチング加工によって形成されている。この複数の第1溝部10は、基板4の長手方向に沿ってその基板4の長手方向の一端から他端へ直線的に延びている。また、複数の第1溝部10は、基板4の長手方向に直交する幅方向に等間隔で互いに平行に並ぶように配置されている。なお、この第1溝部10は、本発明の第1面側溝部の概念に含まれるものである。
【0040】
また、基板4には、複数の第2溝部12と、複数の第3溝部14と、複数の第4溝部16とが当該基板4の裏面4bに沿って延び且つその裏面4bに開口するようにエッチング加工によって形成されている。第2溝部12、第3溝部14及び第4溝部16は、それぞれ同数設けられており、その数は、基板4の表面4aに形成された第1溝部10の数と同じである。そして、基板4の裏面4bに形成された各第2溝部12、各第3溝部14及び各第4溝部16と、基板4の表面4aに形成された各第1溝部10とは、互いに対応している。各第2溝部12は、基板4の幅方向の一端から他端側へ向かって延び、対応する第1溝部10の裏側の位置で屈曲してその第1溝部10に沿って基板4の長手方向の前記他端側へ延びている。複数の第3溝部14は、複数の第2溝部12に対して基板4の長手方向の前記他端側へ間隔をあけて配置されている。この複数の第3溝部14の形状は、複数の第2溝部12の形状と同様である。なお、この第3溝部14は、本発明の第2面側溝部の概念に含まれるものである。複数の第4溝部16は、複数の第3溝部14に対して基板4の長手方向の前記他端側へ間隔をあけて配置されている。この複数の第4溝部16の形状は、複数の第2溝部12の形状と同様である。
【0041】
また、基板4には、複数の第1穴部18、複数の第2穴部19及び複数の第3穴部20が形成されている。
【0042】
各第1穴部18は、基板4のうち当該基板4の表面4aに垂直な方向から見て各第1溝部10と重なる各第2溝部12の端部が位置する部位にそれぞれ設けられている。各第1穴部18は、基板4を表面4aから裏面4bへ当該基板4の厚み方向に貫通して各第2溝部12とその表側に位置する第1溝部10とを連通させている。
【0043】
各第2穴部19は、基板4のうち当該基板4の表面4aに垂直な方向から見て各第1溝部10と重なる各第3溝部14の端部が位置する部位にそれぞれ設けられている。各第2穴部19は、基板4を表面4aから裏面4bへ当該基板4の厚み方向に貫通して各第3溝部14とその表側に位置する第1溝部10とを連通させている。具体的には、第2穴部19は、第1溝部10のうち後述する第1混合流体流路28の下流側の端部を構成する部位と後述する軽質流路34の上流側の端部を構成する部位との間に位置する部位において基板4を表面4aから裏面4bへ当該基板4の厚み方向に貫通し、後述する重質流路32の上流側の端部を構成する第3溝部14の端部に繋がっている。この第2穴部19は、本発明の穴部の概念に含まれるものである。
【0044】
各第3穴部20は、基板4のうち当該基板4の表面4aに垂直な方向から見て各第1溝部10と重なる各第4溝部16の端部が位置する部位にそれぞれ設けられている。各第3穴部20は、基板4を表面4aから裏面4bへ当該基板4の厚み方向に貫通して各第4溝部16とその表側に位置する第1溝部10とを連通させている。
【0045】
封止板6は、基板4の厚み方向における一方側と他方側とにそれぞれ積層されている。具体的には、基板4と封止板6は、上下方向において交互に積層されている。基板4の表側(基板4の厚み方向における一方側)に積層された封止板6は、基板4の表面4aを覆った状態でその表面4aに拡散接合されており、基板4の裏側(基板4の厚み方向における他方側)に積層された封止板6は、基板4の裏面4bを覆った状態でその裏面4bに拡散接合されている。なお、基板4の表側に積層された封止板6は、本発明の第1封止板の概念に含まれ、基板4の裏側に積層された封止板6は、本発明の第2封止板の概念に含まれる。基板4の表側に積層された封止板6は、基板4の表面4aに形成された第1溝部10、第1穴部18、第2穴部19及び第3穴部20の各々の開口を封止している。基板4の裏側に積層された封止板6は、基板4の裏面4bに形成された第2溝部12、第3溝部14、第4溝部16、第1穴部18、第2穴部19及び第3穴部20の各々の開口を封止している。
【0046】
流路構造体は、当該流路構造体を構成する基板4と封止板6の積層方向(基板4及び封止板6の厚み方向)が鉛直方向に一致するように構成されている。具体的には、流路構造体は、各基板4の裏面4bが重力方向下側を向くように配置されている。また、流路構造体は、複数の流通路2を内部に有している。流路構造体内では、基板4の面方向において並列に配置された複数の流通路2を1組として、複数組の流通路2が基板4及び封止板6の積層方向に等間隔に並ぶように配置されている。複数の流通路2は、封止板6によって開口が封止された複数の第1〜第4溝部10,12,14,16及び複数の第1〜第3穴部18,19,20によって形成されている。
【0047】
各流通路2は、第1導入路22と、第2導入路24と、第1合流部26と、第1混合流体流路28と、分離空間30と、重質流路32と、軽質流路34と、軽質流路側導入路36と、第2合流部38と、第2混合流体流路40とを有する。
【0048】
第1導入路22は、第1流体が導入されて流れる部分である。この第1導入路22は、当該第1導入路22に第1流体を導入するための第1導入口22aを有する。第1導入口22aは、流路構造体のうち基板4の表面4aに平行な当該流路構造体の長手方向において一方側を向く側面に開口しており、第1導入路22の上流側の端部に配置されている。第1導入路22は、その第1導入口22aから流路構造体の長手方向に沿って水平方向に直線的に延びている。第1導入路22は、基板4の表面4aに形成された開口が封止板6によって封止された第1溝部10のうち第1穴部18に対して第2穴部19と反対側に位置する部分によって形成されている。第1導入路22を流れる第1流体の流通方向(第1導入路22の長手方向)に対して直交する方向における当該第1導入路22の断面の形状は、図5に示すように、円弧状の部分が下側(基板4の裏面4b側)を向く半円状となっている。
【0049】
第2導入路24は、第2流体が導入されて流れる部分である。この第2導入路24は、当該第2導入路24に第2流体を導入するための第2導入口24aを有する。第2導入口24aは、流路構造体のうち基板4及び封止板6の積層方向及び当該流路構造体の前記長手方向に対して直交する幅方向において一方側を向く側面に開口しており、第2導入路24の上流側の端部に配置されている。第2導入路24は、その第2導入口24aが形成された流路構造体の側面から反対側の側面へ向かって水平に延び、その第2導入路24が属する流通路2の第1導入路22の下方の位置で屈曲してその第1導入路22に沿ってその第1導入路22の下流側へ水平且つ直線的に延びている。第2導入路24は、基板4の裏面4bに形成された開口が封止板6によって封止された第2溝部12によって形成されている。第2導入路24を流れる第2流体の流通方向に対して直交する方向における当該第2導入路24の断面の形状は、図5に示すように、円弧状の部分が上側(基板4の表面4a側)を向く半円状となっている。この第2導入路24の断面形状は、第1導入路22の断面形状と対称形となっている。
【0050】
第1合流部26(図4参照)は、第1導入路22を流れる第1流体と第2導入路24を流れる第2流体とが互いに混合するようにそれらの両流体同士を上下方向(基板4の厚み方向)において合流させる部分である。この第1合流部26は、本発明の合流部の概念に含まれる。第1合流部26は、第1導入路22の下流側の端部及び第2導入路24の下流側の端部と繋がっている。第1合流部26は、基板4の表面4a側の開口がその表面4aに接合された封止板6によって封止され且つ基板4の裏面4b側の開口がその裏面4bに接合された封止板6によって封止された第1穴部18によって形成されている。第1導入路22を流れる第1流体の流通方向に対して直交する方向における第1合流部26の断面の形状は、上下方向において互いに対称的に配置された2つの半円がその頂点近傍の部分で互いに結合されたような形状となっている。この第1合流部26では、第1導入路22から第1流体が直線的に流入し、その第1流体に対して第2導入路24から当該第1合流部26に流入した第2流体が上側(基板4の表面4a側)へ移動しながら合流する。
【0051】
第1混合流体流路28(図4参照)は、第1合流部26で合流して互いに混合された第1流体と第2流体からなる混合流体が流れる部分である。この第1混合流体流路28は、本発明の混合流体流路の概念に含まれる。第1混合流体流路28は、混合流体がその流通方向に沿って第1流体の複数の微小なスラグと第2流体の複数の微小なスラグが交互に並ぶスラグ流の状態で流れるように構成されている。第1混合流体流路28の上流側の端部は、第1合流部26の下流側に繋がっており、その第1合流部26の上流側に繋がる第1導入路22と同一直線上において、当該第1混合流体流路28は、その第1導入路22と同方向に水平且つ直線的に延びている。混合流体は、この第1混合流体流路28内をスラグ流の状態で下流側へ水平に流れ、その混合流体中で第1流体のスラグと第2流体のスラグとの接触界面を介して第1流体と第2流体との相互作用が生じる。また、第1混合流体流路28は、第1導入路22と等しい高さ位置に配置されている。第1混合流体流路28は、基板4の表面4aに形成された開口がその基板4の表側に積層された封止板6によって封止された第1溝部10のうち第1穴部18と第2穴部19との間に位置する部分によって形成されている。第1混合流体流路28を流れる流体の流通方向(第1混合流体流路28の長手方向)に対して直交する方向における当該第1混合流体流路28の断面の形状は、図6に示すように、円弧状の部分が下側(基板4の裏面4b側)を向く半円状となっている。この第1混合流体流路28の断面形状は、第1導入路22の断面形状と同じである。
【0052】
分離空間30は、第1混合流体流路28から流入した混合流体を比重の小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重の大きい重質流体とに分離させるための部分である。この分離空間30は、第1混合流体流路28の下流側の端部に繋がっている。分離空間30は、基板4の表面4a側の開口がその基板4の表側に積層されてその表面4aに接合された封止板6によって封止され且つ基板4の裏面4b側の開口がその基板4の裏側に積層されてその裏面4bに接合された封止板6によって封止された第2穴部19によって形成されている。分離空間30は、第1混合流体流路28から流入した混合流体が軽質流体と重質流体とに比重差によって自然に分離するような断面形状を有している。具体的には、第1混合流体流路28から分離空間30に流入する混合流体の流通方向に対して直交する方向における分離空間30の断面は、当該分離空間30に流入する混合流体についてのフルード数が1よりも小さくなるように設定された相当直径を有する。詳しくは、分離空間30に流入する混合流体についてのフルード数をFrとすると、このフルード数Frは、次式(1)で表され、当該フルード数Frが1よりも小さくなるように分離空間30の断面の相当直径Dが設定されている。
【0053】
Fr=U/(D・g)1/2・・・(1)
この式(1)において、Uは、分離空間30に流入する混合流体の流速であり、gは、重力加速度である。なお、流通路2に流通させる流体の流量が約10ml/min以下である場合には、分離空間30の相当直径が約2mm以上であれば、前記フルード数Frは、1よりも小さくなる。
【0054】
前記フルード数Frが1よりも小さくなるということは、分離空間30に流入した混合流体の流れ方向への慣性力よりもその混合流体に作用する重力の影響の方が支配的になることを意味する。このため、分離空間30に流入した混合流体のうちの重質流体は、慣性力よりも重力の影響を強く受けて下方へ沈み、その結果、混合流体中の重質流体と軽質流体が自然に分離する。分離空間30内において、重質流体は、当該分離空間30の下部領域(基板4の裏面4b寄りの領域)に溜まり、軽質流体は、その重質流体の上側(基板4の表面4a側)に浮いた状態となる。
【0055】
前記第1混合流体流路28の下流側の端部は、分離空間30の上端の位置(基板4の表面4aの位置)から上下方向(基板4の厚み方向)における分離空間30の中央の位置よりも少し上側の位置(表面4a寄りの位置)までの範囲で分離空間30と繋がっている。なお、分離空間30の断面は、図7に示すような、上下方向において互いに対称的に配置された2つの半円がその頂点近傍の部分で互いに結合された形状を有する。また、分離空間30に対する混合流体の流入方向における当該分離空間30の長さは、前記第1合流部26に対する第1流体の流入方向におけるその第1合流部26の長さよりも大きい。
【0056】
重質流路32は、分離空間30から重質流体が流入し、その重質流体を流路構造体の外部へ導出するための流路である。この重質流路32の上流側の端部は、分離空間30のうち重質流体が溜まる部分に繋がっている。具体的には、重質流路32の上流側の端部は、分離空間30の下端の位置(基板4の裏面4bの位置)から上下方向における分離空間30の中央の位置よりも少し下側の位置(裏面4b寄りの位置)までの範囲で分離空間30と繋がっている。また、この重質流路32の上流側の端部は、第1混合流体流路28の下流側の端部の下方の位置で分離空間30と繋がっている。重質流路32は、分離空間30との接続箇所から第1混合流体流路28に沿ってその第1混合流体流路28の上流側へ水平に延びた後、屈曲して前記第2導入口24aが形成された流路構造体の側面へ向かって水平に延びている。
【0057】
また、重質流路32は、当該重質流路32から重質流体を導出するための重質流体導出口32a(図1参照)を有する。重質流体導出口32aは、重質流路32の下流側の端部に配置されており、前記第2導入口24aが形成された流路構造体の側面に開口するように形成されている。分離空間30から重質流路32に流入した重質流体は、水平方向において、前記第1混合流体流路28内の混合流体の流れと逆向きに流れた後、当該重質流路32の屈曲形状に応じて向きを変えて重質流体導出口32a側へ流れ、その重質流体導出口32aから流路構造体の外部へ導出される。また、重質流路32は、基板4の裏面4bに形成された開口が封止板6によって封止された第3溝部14によって形成されている。重質流路32を流れる重質流体の流通方向に対して直交する方向における当該重質流路32の断面の形状は、前記第2導入路24の断面形状と同様である。
【0058】
軽質流路34は、分離空間30から軽質流体が流入する流路である。この軽質流路34の上流側の端部は、分離空間30のうち軽質流体が溜まる部分に繋がっている。具体的には、軽質流路34の上流側の端部は、分離空間30の上端の位置(基板4の表面4aの位置)から上下方向(基板4の厚み方向)における分離空間30の中央の位置よりも少し上側の位置(表面4a寄りの位置)までの範囲で分離空間30と繋がっている。この軽質流路34の上流側の端部は、重質流路32の上流側の端部よりも上側の位置で分離空間30と繋がっている。また、この軽質流路34の上流側の端部は、分離空間30のうち第1混合流体流路28との接続箇所に対して反対側に位置する箇所に繋がっている。軽質流路34は、第1混合流体流路28と等しい高さ位置に配置されており、第1混合流体流路28と同一直線上でその第1混合流体流路28が延びる方向と同方向に直線的に延びている。分離空間30から軽質流路34に流入した軽質流体は、水平方向において当該軽質流路34に沿って下流側へ流れる。軽質流路34は、基板4の表面4aに形成された開口が封止板6によって封止された第1溝部10のうち第2穴部19と第3穴部20との間に位置する部分によって形成されている。軽質流路34を流れる軽質流体の流れ方向(軽質流路34の長手方向)に対して直交する方向における当該軽質流路34の断面の形状は、前記第1導入路22の断面形状及び前記第1混合流体流路28の断面形状と同様である。
【0059】
軽質流路側導入路36は、軽質流体に混合するための追加の流体が導入される部分である。この軽質流路側導入路36は、当該軽質流路側導入路36に導入された追加の流体を軽質流路34を流れる軽質流体に合流させるように軽質流路34に繋がっている。具体的には、軽質流路側導入路36は、第2合流部38を介して軽質流路34と接続されている。軽質流路側導入路36は、当該軽質流路側導入路36に流体を導入するための軽質流路側導入口36aを有する。この軽質流路側導入口36aは、当該軽質流路側導入路36の上流側の端部に配置されており、前記第2導入口24a及び前記重質流体導出口32aが形成された流路構造体の側面に開口するように形成されている。また、軽質流路側導入路36は、基板4の裏面4bに形成された開口が封止板6によって封止された第4溝部16によって形成されている。この軽質流路側導入路36の上記以外の構成は、前記第2導入路24と同様である。なお、前記追加の流体は、前記第1流体及び前記第2流体と異なる種類の流体、前記第1流体と同じ種類の流体、又は、前記第2流体と同じ種類の流体であってもよい。
【0060】
第2合流部38は、軽質流路34を流れる軽質流体と軽質流路側導入路36を流れる追加の流体とを上下方向(基板4の厚み方向)において合流させる部分である。この第2合流部38は、軽質流路34の下流側の端部及び軽質流路側導入路36の下流側の端部と繋がっている。第2合流部38は、基板4の表面4a側の開口がその表面4aに接合された封止板6によって封止され且つ基板4の裏面4b側の開口がその裏面4bに接合された封止板6によって封止された第3穴部20によって形成されている。この第2合流部38では、軽質流路34から軽質流体が直線的に流入し、その軽質流体に対して軽質流路側導入路36から当該第2合流部38に流入した追加の流体が上側(基板4の表面4a側)へ移動しながら合流する。この第2合流部38の上記以外の構成は、前記第1合流部26と同様である。
【0061】
第2混合流体流路40は、第2合流部38で合流した軽質流体と追加の流体からなる混合流体が流れる流路である。第2混合流体流路40の上流側の端部は、第2合流部38の下流側に繋がっており、その第2合流部38の上流側に繋がる軽質流路34と同一直線上において、当該第2混合流体流路40は、その軽質流路34と同方向に水平且つ直線的に延びている。第2混合流体流路40を流れる混合流体は、スラグ流の状態で下流側へ水平に流れ、その混合流体中で当該混合流体を構成する各流体同士の相互作用が生じる。この第2混合流体流路40のこれ以外の構成は、前記第1混合流体流路28の上記した構成と同様である。
【0062】
以上のように構成されたこの第1実施形態による流路構造体は、上記したように、マイクロリアクタ、熱交換器または抽出装置等に用いられるが、次に、それらの使用例のうち当該第1実施形態による流路構造体を抽出装置として用いる場合及びマイクロリアクタ(反応装置)として用いる場合について説明する。
【0063】
まず、この第1実施形態による流路構造体を抽出装置として用いる場合、すなわち、当該第1実施形態による流路構造体を用いた抽出方法について説明する。
【0064】
この抽出方法では、上記流路構造体を用いて、抽出対象物を含む被抽出流体とその被抽出流体から抽出対象物を抽出するための流体である抽出剤とを混合し、その被流出流体から抽出剤へ抽出対象物を抽出させる。
【0065】
具体的には、被抽出流体を各流通路2の第1導入口22aから第1導入路22に所定の流量で導入するとともに、抽出剤を各流通路2の第2導入口24aから第2導入路24に所定の流量で導入する。
【0066】
第1導入路22に導入された被抽出流体は、第1導入路22内を流れて第1合流部26に流入し、第2導入路24に導入された抽出剤は、第2導入路24内を流れて第1合流部26に流入する。そして、この被抽出流体と抽出剤は、第1合流部26で互いに混合するように合流する。第1合流部26で合流した被抽出流体と抽出剤からなる混合流体は、第1混合流体流路28に流入し、その第1混合流体流路28内を被抽出流体の複数の微小なスラグと抽出剤の複数の微小なスラグとが当該混合流体の流通方向に沿って交互に並ぶスラグ流の状態で下流側へ流れる。この混合流体中において、被抽出流体のスラグと抽出剤のスラグとの接触界面を介して被抽出流体から抽出剤へ抽出対象物が抽出される。
【0067】
この後、混合流体は、第1混合流体流路28から分離空間30へ流入し、その分離空間30内で軽質流体と重質流体とに比重差によって分離する。ここで、例えば、抽出剤が被抽出流体よりも比重が大きい場合には、抽出剤が重質流体として下方に沈み、被抽出流体が軽質流体として抽出剤の上側に浮いた状態となる。この下方に沈んだ重質流体としての抽出剤には、抽出対象物が多く含まれ、その抽出剤の上側に浮いた軽質流体としての被抽出流体中の抽出対象物の含有率は、第1導入路22に導入した被抽出流体における抽出対象物の含有率に比べて小さくなっている。
【0068】
そして、分離空間30で分離された重質流体は、重質流路32に流れ、重質流体導出口32aを通じて流路構造体の外部へ排出される。一方、分離空間30で分離された軽質流体は、軽質流路34に流れ、その軽質流路34から第2合流部38に流入する。
【0069】
そして、軽質流路側導入口36aから軽質流路側導入路36に新しい抽出剤を所定の流量で導入し、その抽出剤を軽質流路側導入路36を通じて第2合流部38へ流入させて軽質流体に合流させる。
【0070】
第2合流部38で合流した軽質流体と抽出剤からなる混合流体は、第2混合流体流路40に流れ、その第2混合流体流路40内を被抽出流体の複数の微小なスラグと抽出剤の複数の微小なスラグとがその流通方向に沿って交互に並ぶスラグ流の状態で下流側へ流れる。この混合流体中において、被抽出流体から抽出剤への抽出対象物のさらなる抽出が行われる。最終的に、各流通路2の最終導出口40aから混合流体がそれぞれ排出されて回収される。
【0071】
以上のようにして、第1実施形態による流路構造体を用いた抽出方法が行われる。
【0072】
次に、第1実施形態による流路構造体をマイクロリアクタとして用いる場合、すなわち、当該第1実施形態による流路構造体を用いた反応方法について説明する。
【0073】
この反応方法では、上記流路構造体を用いて、互いに反応し得る第1反応剤の流体と第2反応剤の流体とを混合してそれら両反応剤同士を反応させる。
【0074】
具体的には、第1反応剤を各流通路2の第1導入口22aから第1導入路22に所定の流速で導入するとともに、第2反応剤を各流通路2の第2導入口24aから第2導入路24に所定の流速で導入する。
【0075】
第1導入路22に導入された第1反応剤は、第1導入路22内を流れて第1合流部26に流入し、第2導入路24に導入された第2反応剤は、第2導入路24内を流れて第1合流部26に流入する。そして、この第1反応剤と第2反応剤は、第1合流部26で互いに混合するように合流する。第1合流部26で合流した第1反応剤と第2反応剤からなる混合流体は、第1混合流体流路28に流入し、その第1混合流体流路28内を第1反応剤の複数の微小なスラグと第2反応剤の複数の微小なスラグとが当該混合流体の流通方向に沿って交互に並ぶスラグ流の状態で下流側へ流れる。この混合流体中において、第1反応剤のスラグと第2反応剤のスラグとの接触界面を介してそれらの反応剤同士の反応が生じ、反応生成物が生成される。
【0076】
この後、混合流体は、第1混合流体流路28から分離空間30へ流入し、分離空間30内で軽質流体と重質流体とに比重差によって分離する。ここで、例えば、反応生成物の流体が混合流体中の他の成分よりも比重が大きい場合には、反応生成物の流体が重質流体として下方に沈み、それ以外の成分の流体が軽質流体として反応生成物の流体の上側に浮いた状態となる。この軽質流体は、未反応の第1反応剤及び第2反応剤からなる。
【0077】
そして、分離空間30で分離された重質流体としての反応生成物は、重質流路32に流れ、重質流体導出口32aを通じて流路構造体の外部へ取り出される。一方、分離空間30で分離された軽質流体は、軽質流路34に流れ、その軽質流路34から第2合流部38に流入する。
【0078】
そして、軽質流路側導入口36aから軽質流路側導入路36に追加の第2反応剤を所定の流量で導入し、その第2反応剤を軽質流路側導入路36を通じて第2合流部38へ流入させて軽質流体に合流させる。この軽質流体と追加の第2反応剤からなる混合流体は、第2混合流体流路40に流れ、その第2混合流体流路40内を未反応の第1反応剤の複数の微小なスラグと未反応の第2反応剤に追加の第2反応剤が加わったものの複数の微小なスラグとがその流通方向に沿って交互に並ぶスラグ流の状態で下流側へ流れる。この混合流体中において、第1反応剤と第2反応剤とのさらなる反応が生じ、反応生成物が生成される。最終的に、各流通路2の最終導出口40aから反応生成物を含む混合流体がそれぞれ排出されて回収される。
【0079】
以上のようにして、この第1実施形態による流路構造体を用いた反応方法が行われる。
【0080】
この第1実施形態では、流通路2の第1混合流体流路28において混合流体が第1流体の複数のスラグと第2流体の複数のスラグとが交互に並ぶスラグ流の状態で流れるため、混合流体の単位体積当たりにおける第1流体と第2流体との接触界面の面積を増やしてそれら第1流体と第2流体との相互作用を促進することができる。具体的には、この第1実施形態による流路構造体を用いた抽出方法では、第1流体としての被抽出流体と第2流体としての抽出剤との接触界面の面積を増やして、被抽出流体から抽出剤への抽出対象物の抽出を促進することができる。また、この第1実施形態による流路構造体を用いた反応方法では、第1流体としての第1反応剤と第2流体としての第2反応剤との接触界面の面積を増やして、それら両反応剤同士の反応を促進することができる。
【0081】
また、この第1実施形態では、第1混合流体流路28の下流側に繋がる分離空間30がその分離空間30に流入する混合流体についてのフルード数Frが1よりも小さくなるように設定された相当直径を有するため、この分離空間30に流入した混合流体に対する重力の影響が流れ方向への慣性力の影響に比べて強くなり、当該分離空間30内で混合流体が軽質流体と重質流体とに比重差によって自然に分離する。そして、分離空間30のうち重質流体が溜まる部分には重質流路32が繋がり、その重質流路32の下流側の端部に配置された重質流体導出口32aが流路構造体の側面に開口するように形成されているため、分離空間30で分離した重質流体を重質流体導出口32aから流路構造体の外部へ導出することができる。このため、混合流体から分離して除去したい物質が重質流体に含まれる場合や、混合流体から取得したい物質が重質流体に含まれる場合に、その物質を含む重質流体を流路構造体の外部へ取り出すことができる。具体的には、抽出方法において、被抽出流体から抽出対象物を抽出した抽出剤が重質流体である場合には、その抽出対象物を含む抽出剤を重質流体導出口32aから流路構造体の外部へ取り出すことができる。また、反応方法において、第1反応剤と第2反応剤との反応によって生じた反応生成物を含む流体が重質流体である場合には、その反応生成物を含む流体を重質流体導出口32aから流路構造体の外部へ取り出すことができる。
【0082】
また、この第1実施形態では、流路構造体内の流通路2の分離空間30で混合流体が重質流体と軽質流体に分離されるため、流路構造体から外部へ流体が排出された後に分離作業に要する作業負担を軽減することができる。具体的には、仮に、流通路を流れる複数種類の流体及び生成物が全て混ざり合った状態で流路構造体の外部に排出される場合には、その排出された流体から所望の流体又は物質を取得しようとすると分離作業が非常に煩雑になる。これに対して、この第1実施形態では、流路構造体内で混合流体から重質流体が分離されるので、その重質流体が所望の流体である場合には、分離作業を行う必要がなく、その重質流体中に所望の物質が含まれる場合には、流通路を流れる複数種類の流体及び物質が全て混ざり合った状態の混合流体から所望の物質を分離する場合に比べて簡略な分離作業で重質流体から所望の物質を分離することができる。
【0083】
また、この第1実施形態では、軽質流路34に流れる軽質流体に対して軽質流路側導入路36及び第2合流部38を通じて追加の流体を合流させることができるため、軽質流体に対して追加の流体を相互作用させることができる。しかも、この第1実施形態では、分離空間30で重質流体と分離した軽質流体に対して追加の流体が合流するので、混合流体中に軽質流体と追加の流体との相互作用の効率を低下させる物質が含まれていてその物質の大部分が重質流体に含まれる場合に、その物質の含有率の低下した軽質流体に対して追加の流体を合流させて相互作用させることができる。このため、軽質流体と追加の流体との相互作用の効率を向上することができる。具体的には、抽出方法では、混合流体中に抽出対象物を抽出した後の抽出剤が多く含まれている場合には、抽出効率が低下するため、その抽出後の抽出剤を重質流体として分離した後の軽質流体に対して新しい抽出剤を追加の流体として合流させて、抽出効率を向上させることができる。また、反応方法では、混合流体中に第1反応剤と第2反応剤との反応によって生じた反応生成物が多く含まれている場合には、反応効率が低下するため、その反応生成物を含む重質流体を分離した後の軽質流体に対して新しい第2反応剤を追加の流体として合流させて、反応効率を向上させることができる。
【0084】
(第2実施形態)
次に、図9及び図10を参照して、本発明の第2実施形態による流路構造体の構成について説明する。
【0085】
この第2実施形態の流路構造体は、上記第1実施形態の横向きに配置した流路構造体を縦向きに配置したものである(図9参照)。具体的には、この第2実施形態による流路構造体は、各基板4の表面4a及び裏面4bが鉛直方向に平行となるように配置される。詳しくは、この第2実施形態による流路構造体は、第1導入口22aが形成された側面が重力方向下側を向き、最終導出口40aが形成された側面が上側を向くように配置される。これにより、流路構造体内の各流通路2の第1導入路22、第1混合流体流路28、軽質流路34及び第2混合流体流路40は、上下方向(鉛直方向)に延びるように配置されている。また、各流通路2の第2導入路24のうち第1導入路22に沿って延びる部分、各流通路2の重質流路32のうち第1混合流体流路28に沿って延びる部分、及び、各流通路2の軽質流路側導入路36のうち軽質流路34に沿って延びる部分も、上下方向(鉛直方向)に延びるように配置されている。
【0086】
また、第1導入路22及び第2導入路24は、第1合流部26の下端に繋がっており、その第1合流部26の上端に第1混合流体流路28の上流側の端部が繋がっている。また、第1混合流体流路28の下流側の端部及び重質流路32の上流側の端部は、分離空間30の下端に繋がっている。また、軽質流路34の上流側の端部は、分離空間30の上端に繋がっており、軽質流路34の下流側の端部及び軽質流路側導入路36の下流側の端部は、第2合流部38の下端に繋がっている。また、第2混合流体流路40の上流側の端部は、第2合流部38の上端に繋がっている。
【0087】
この第2実施形態の流路構造体では、下方から第1導入口22aを通じて第1導入路22に第1流体を導入し、側方から第2導入口24aを通じて第2導入路24に第2流体を導入する。第1導入路22に導入された第1流体は、第1導入路22内を下から上へ流れて第1合流部26に流入し、第2導入路24に導入された第2流体は、第2導入路24の屈曲した形状に沿って流れる向きを上向きに変えて第1合流部26に流入する。そして、第1合流部26では、上方へ直線的に流れる第1流体に対して第2流体が略水平方向において近づいて合流する。第1合流部26で合流した第1流体と第2流体からなる混合流体は、スラグ流の状態で第1混合流体流路28を上方へ流れ、その混合流体中で第1流体と第2流体との相互作用が生じる。そして、この第1混合流体流路28を流れる混合流体は、分離空間30に下から流入する。
【0088】
分離空間30では、図10に示すように、混合流体が軽質流体と重質流体とに上下に分離する。具体的には、混合流体中の重質流体は、分離空間30内の下部領域、すなわち分離空間30のうち重質流路32及び第1混合流体流路28寄りの領域に溜まり、混合流体中の軽質流体は、分離空間30内の上部領域、すなわち分離空間30のうち軽質流路34寄りの領域に溜まる。この状態では、第1混合流体流路28から分離空間30に流入してくる混合流体のうちの軽質流体が、分離空間30に溜まった重質流体の層中を通り抜けてその重質流体の層上に浮き上がる。そして、分離空間30で分離した重質流体は、重質流路32に下向きに流入し、その後、重質流路32の屈曲した形状に沿って流れる向きを変えて重質流体導出口32aから流路構造体の側方へ導出される。一方、分離空間30で分離した軽質流体は、軽質流路34を下から上へ流れて第2合流部38に流入する。
【0089】
そして、流路構造体の側方から軽質流路側導入口36aを通じて追加の流体を導入すると、この追加の流体は、第2導入路24内を流れる第2流体と同様に軽質流路側導入路36内を流れて第2合流部38で軽質流体と合流する。第2合流部38で合流した軽質流体と追加の流体からなる混合流体は、第2混合流体流路40に流入し、その第2混合流体流路40を下から上へスラグ流の状態で流れる。この混合流体中では、相互作用が生じる。そして、最終導出口40aから流路構造体の上側へ混合流体が導出される。
【0090】
この第2実施形態による流路構造体では、分離空間30の下端に第1混合流体流路28が接続されているため、第1混合流体流路28から分離空間30に流入する混合流体のうちの軽質流体が分離空間30内で溜まっている重質流体の層中を通り抜けて上方へ浮き上がる。この際、軽質流体と重質流体との接触界面の更新が生じ、軽質流体と重質流体との相互作用を分離空間30内で促進することができる。
【0091】
この第2実施形態の流路構造体による上記以外の効果は、上記第1実施形態の流路構造体による効果と同様である。
【0092】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0093】
例えば、図11に示す1つの変形例のように、軽質流路34は、その軽質流路34から軽質流体を導出するための軽質流体導出口34aを有していてもよい。具体的には、例えば、軽質流路34が上記実施形態の重質流路32のような屈曲した形状で流路構造体の側面まで延びていてその側面に当該軽質流路34の下流側の端部に配置された軽質流体導出口34aが形成されていてもよい。
【0094】
この変形例による流路構造体を形成する場合には、例えば、上記第1実施形態において基板4の裏面4bに沿って延びるように形成していた第2〜第4溝部12,14,16を基板4の表面4aに沿って延び且つその表面4aに開口するように形成し、基板4の表面4aに沿って延びるように形成していた第1溝部10を基板4の裏面4bに沿って延び且つその裏面4bに開口するように形成し、その基板4の表側と裏側にそれぞれ封止板6を積層することによって流路構造体を形成してもよい。この場合には、基板4の表面4aに沿って延びるように形成された第2〜第4溝部12,14,16のうちの第3溝部14が本発明の第1面側溝部の概念に含まれ、基板4の裏面4bに沿って延びるように形成された第1溝部10が本発明の第2面側溝部の概念に含まれる。そして、この場合には、図12に示すように、第1導入路22、第1混合流体流路28、重質流路32及び第2混合流体流路40が基板4の裏面4b側(下側)に配置され、第2導入路24、軽質流路34及び重質流路側導入路42が基板4の表面4a側(上側)に配置される。
【0095】
この変形例では、第1導入路22は、基板4の裏面4bに形成された開口がその基板4の裏側に積層された封止板6によって封止された第1溝部10のうち第1穴部18に対して第2穴部19と反対側に位置する部分によって形成される。また、第2導入路22は、基板4の表面4aに形成された開口がその基板4の表側に積層された封止板6によって封止された第2溝部12によって形成される。また、第1混合流体流路28は、基板4の裏面4bに形成された開口がその基板4の裏側に積層された封止板6によって封止された第1溝部10のうち第1穴部18と第2穴部19との間に位置する部分によって形成される。
【0096】
また、軽質流路34は、基板4の表面4aに形成された開口がその基板4の表側に積層された封止板6によって封止された第3溝部14によって形成され、重質流路32は、基板4の裏面4bに形成された開口がその基板4の裏側に積層された封止板6によって封止された第1溝部10のうち第2穴部19と第3穴部20との間に位置する部分によって形成される。すなわち、軽質流路34は、分離空間30の上部に繋がり、上記第1実施形態の重質流路32に対応する屈曲した形状で流路構造体の第2導入口24aが形成された側面まで延び、重質流路32は、第1混合流体流路28と同一直線上で同方向に直線的に延びている。そして、この重質流路32の下流側の端部が、第2合流部38と繋がっている。
【0097】
また、第2穴部19は、基板4の裏面4bに沿って延びる第1溝部10のうち第1混合流体流路28の下流側の端部を構成する部位と重質流路34の上流側の端部を構成する部位との間に位置する部位において基板4を裏面4b側から表面4a側へ基板4の厚み方向に貫通し、基板4の表面4aに沿って延びる第3溝部14のうち軽質流路34の上流側の端部を構成する部位に繋がっている。この第2穴部19の表面4a側の開口が基板4の表側に積層された封止板6によって封止されるとともに当該第2穴部19の裏面4b側の開口が基板4の裏側に積層された封止板6によって封止されることにより分離空間30が形成される。
【0098】
また、第2混合流体流路40は、基板4の裏面4bに形成された開口がその基板4の裏側に積層された封止板6によって封止された第1溝部10のうち第3穴部20に対して第2穴部19と反対側に位置する部分によって形成される。この第2混合流体流路40の上流側の端部は、第2合流部38の下部に繋がっている。
【0099】
前記重質流路側導入路42は、重質流体に混合するための追加の流体が導入される部分であり、当該重質流路側導入路42を流れる流体が重質流路32を流れる重質流体に合流するように第2合流部38を介して重質流路32に対して接続されている。この重質流路側導入路42は、基板4の表面4aに形成された開口が封止板6によって封止された第4溝部16によって形成される。すなわち、重質流路側導入路42は、上記第1実施形態の軽質流路側導入路36に対応する屈曲した形状に形成され、第2合流部38の上部に繋がっている。また、重質流路側導入路42は、当該重質流路側導入路42に流体を導入するための重質流路側導入口42aを有している。この重質流路側導入口42aは、重質流路側導入路42の上流側の端部に配置され、流路構造体のうち第2導入口24a及び軽質流体導出口34aが形成された側面に開口するように形成されている。
【0100】
この変形例の構成によれば、分離空間30で分離された軽質流体を軽質流路34を通じて軽質流体導出口34aから流路構造体の外部へ導出することができる。このため、混合流体から除去したい物質が軽質流体に含まれる場合には、その除去したい物質を含む軽質流体を混合流体から分離させて流路構造体の外部へ排出することができる。また、混合流体のうち取得したい物質が軽質流体に含まれる場合には、その物質を含む軽質流体を混合流体から分離して流路構造体の外部へ取り出すことができる。
【0101】
また、この変形例の構成によれば、重質流路32に流れる重質流体に対して重質流路側導入路42から追加の流体を合流させることができるため、重質流体に対して追加の流体を相互作用させることができる。しかも、この構成では、分離空間30で軽質流体と分離した重質流体に対して追加の流体を合流させることができるので、例えば混合流体中に重質流体と重質流路側導入路42から導入する流体との相互作用の効率を低下させる物質が含まれていてその物質の大部分が分離空間30で分離した軽質流体中に含まれる場合に、その物質の含有率の低下した重質流体に対して重質流路側導入路42から流体を合流させて相互作用させることができる。このため、重質流体と重質流路側導入路42から導入する流体との相互作用の効率を向上することができる。
【0102】
なお、上記第1実施形態による流路構造体をその天面が底面になるように上下逆に配置することによって、上記第1実施形態の重質流路32を分離空間30で分離した軽質流体を外部へ導出するための軽質流路として用い、上記第1実施形態の軽質流路34を第2合流部38に繋がる重質流路として用い、上記第1実施形態の軽質流路側導入路36を重質流路に繋がる第4流路として用いるようにしてもよい。
【0103】
また、流通路を構成する各部の構造は、上記した構造以外の各種構造に形成されていてもよい。
【0104】
例えば、第1導入路は、第1混合流体流路が延びる方向に対して斜め方向に延びていたり、屈曲していたりしてもよい。また、第2導入路は、屈曲しないで直線的に延びていてもよい。この場合には、第2導入路は、第1導入路が延びる方向に対して平行な方向、斜め方向又は直交する方向に延びていてもよい。また、第1混合流体流路は、混合流体の流れ方向において屈曲していてもよい。また、重質流路は、分離空間から直線的に延びていてもよく、第1混合流体流路に対して斜め方向に延びていてもよい。また、重質流路は、分離空間から第1混合流体流路に対して直交する方向に延びていてもよい。また、軽質流路は、分離空間から第1混合流体流路が延びる方向と異なる方向、例えば、第1混合流体流路に対して直交する方向や、第1混合流体流路に対して斜め方向に延びていてもよい。また、軽質流路は、軽質流体の流れ方向において屈曲した形状に形成されていてもよい。また、軽質流路側導入路は、屈曲しないで直線的に延びていてもよい。この場合には、軽質流路側導入路は、軽質流路が延びる方向に対して斜め方向又は直交する方向に延びていてもよい。また、第2混合流体流路は、混合流体の流れ方向において屈曲したり、所定回数折返されていてもよい。また、流通路を構成する各部の断面形状は、上記以外の形状であってもよい。
【0105】
また、図13に示す別の変形例のように、流通路2は、第1混合流体流路28、分離空間30、重質流路32及び軽質流路34のみからなっていてもよい。具体的には、この変形例では、第1混合流体流路28が、流路構造体のうち基板4の表面4aに平行な当該流路構造体の長手方向において一方側を向く側面まで延びており、当該側面に開口する導入口28aを有している。すなわち、この変形例では、第1導入路、第2導入路及び第1合流部は設けられておらず、流路構造体の外部で複数種類の流体が混合されることによって調製された混合流体が導入口28aを通じて第1混合流体流路28に導入される。また、この変形例では、軽質流路34が、流路構造体のうち前記導入口28aが開口している側面と反対側の側面まで延びており、当該側面に開口する軽質流体導出口34aを有している。すなわち、この変形例では、軽質流路側導入路、第2合流部及び第2混合流体流路は設けられておらず、分離空間30で分離して軽質流路34に流入した軽質流体は、下流側へ流れて軽質流体導出口34aから排出される。この変形例による流路構造体の上記以外の構成は、上記第1実施形態による流路構造体の構成と同様である。
【0106】
この変形例による流路構造体は、外部で調製された混合流体を軽質流体と重質流体とに分離するための分離装置として用いることができる。以下、このような流路構造体を分離装置として用いた混合流体の分離方法について以下説明する。
【0107】
この分離方法では、まず、流路構造体の外部で複数種類の流体を混合して混合流体を調製しておく。そして、その調製した混合流体を第1混合流体流路28の導入口28aからその第1混合流体流路28に所定の流速で導入し、その混合流体を第1混合流体流路28の下流側へ流す。
【0108】
この混合流体は、第1混合流体流路28から分離空間30へ流入し、分離空間30内で軽質流体と重質流体とに比重差によって分離する。そして、分離空間30で分離した重質流体は、重質流路32へ流れて重質流体導出口(図13では図略)から排出され、分離空間30で分離した軽質流体は、軽質流路34へ流れて軽質流体導出口34aから排出される。
【0109】
このようにして、当該変形例による流路構造体を用いた混合流体の分離方法が行われる。
【0110】
この分離方法では、混合流体中で流体同士の相互作用が生じた後、流路構造体内の分離空間30で混合流体を重質流体と軽質流体とに分離することができるため、流路構造体から排出された後の流体についての分離作業に係る作業負担を軽減することができる。
【0111】
なお、図13に示した流路構造体を上下逆にして用いても良い。この場合には、図13における軽質流路34が重質流路となり、図13における重質流路32が軽質流路となる。
【0112】
また、上記各実施形態において、流通路のうち軽質流路側導入路及び第2合流部を省略してもよい。すなわち、上記各実施形態において、軽質流路の下流側の端部に、流路構造体の外面に開口する導出口が設けられていてもよい。また、図11及び図12に示した変形例において、流通路のうち重質流路側導入路及び第2合流部を省略してもよい。すなわち、この変形例において、重質流路の下流側の端部に、流路構造体の外面に開口する導出口が設けられていてもよい。
【0113】
また、流通路に複数の分離空間が設けられていてもよい。
【0114】
また、流路構造体は、流通路を形成するための溝が形成された単一の基板の表裏に封止板が接合された1つの構造体のみからなっていてもよい。
【0115】
また、流路構造体内には、基板及び封止板の積層方向において隣り合う流通路同士の間に、温度調節用の流体を流すための温調用流路が配設されていてもよい。
【0116】
また、上記の第1流体、第2流体、軽質流体に混合する追加の流体及び重質流体に混合する追加の流体は、それぞれ、液体又は気体のいずれであってもよい。
【0117】
また、第1混合流体流路及び第2混合流体流路は、それらの流路を流れる混合流体が必ずしもスラグ流の状態で流れるように構成されていなくてもよい。すなわち、第1混合流体流路及び第2混合流体流路は、それらの流路を流れる混合流体が、例えば層流の状態で流れるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0118】
2 流通路
4 基板
4a 表面(第1面)
4b 裏面(第2面)
6 封止板(第1封止板、第2封止板)
22 第1導入路
24 第2導入路
26 第1合流部(合流部)
28 第1混合流体流路(混合流体流路)
30 分離空間
32 重質流路
32a 重質流体導出口
34 軽質流路
34a 軽質流体導出口
36 軽質流路側導入路
42 重質流路側導入路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流通させるための流通路を内部に有する流路構造体であって、
前記流通路は、互いに混合された複数種類の流体からなる混合流体が流れる混合流体流路と、前記混合流体流路の下流側に繋がり、前記混合流体流路から流入した前記混合流体が比重の小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重の大きい重質流体とに比重差によって分離するような断面形状を有する分離空間と、前記分離空間のうち前記重質流体が溜まる部分に繋がり、前記分離空間から前記重質流体が流入する重質流路と、前記分離空間のうち前記軽質流体が溜まる部分に繋がり、前記分離空間から前記軽質流体が流入する軽質流路とを有する、流路構造体。
【請求項2】
前記分離空間に流入する前記混合流体の流れ方向に対して直交する方向における前記分離空間の断面は、当該分離空間に流入する前記混合流体についてのフルード数が1よりも小さくなるように設定された相当直径を有する、請求項1に記載の流路構造体。
【請求項3】
前記流通路は、第1流体が導入される第1導入路と、第2流体が導入される第2導入路と、前記第1導入路の下流側の端部及び前記第2導入路の下流側の端部に繋がり、前記第1導入路を流れる前記第1流体と前記第2導入路を流れる前記第2流体とが混合するようにそれら両流体同士を合流させる合流部とを有し、
前記混合流体流路は、前記合流部の下流側に繋がり、当該混合流体流路には、前記合流部で合流して互いに混合された前記第1流体と前記第2流体からなる混合流体が流入する、請求項1又は2に記載の流路構造体。
【請求項4】
前記重質流路は、当該重質流路の下流側の端部に配置され且つ前記流路構造体の外面に開口するように形成され、当該重質流路から前記重質流体を導出するための重質流体導出口を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の流路構造体。
【請求項5】
前記流通路は、前記軽質流体に混合するための流体が導入され、その流体を前記軽質流路を流れる前記軽質流体に合流させるように前記軽質流路に繋がる軽質流路側導入路を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流路構造体。
【請求項6】
前記軽質流路は、当該軽質流路の下流側の端部に配置され且つ前記流路構造体の外面に開口するように形成され、当該軽質流路から前記軽質流体を導出するための軽質流体導出口を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の流路構造体。
【請求項7】
前記流通路は、前記重質流体に混合するための流体が導入され、その流体を前記重質流路を流れる前記重質流体に合流させるように前記重質流路に繋がる重質流路側導入路を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の流路構造体。
【請求項8】
前記流路構造体は、基板と、その基板の厚み方向における一方側に積層された第1封止板と、その基板の厚み方向における他方側に積層された第2封止板とを有し、
前記基板は、その厚み方向において一方側を向く第1面と、その第1面と反対側を向く第2面とを有し、
前記基板には、第1面側溝部が当該基板の前記第1面に沿って延び且つその第1面に開口するように形成されていて、前記第1面に形成された当該第1面側溝部の開口が前記第1封止板によって封止されることにより前記混合流体流路及び前記軽質流路が形成され、
前記基板には、第2面側溝部が当該基板の前記第2面に沿って延び且つその第2面に開口するように形成されていて、前記第2面に形成された当該第2面側溝部の開口が前記第2封止板によって封止されることにより前記重質流路が形成され、
前記基板には、前記第1面側溝部のうち前記混合流体流路の下流側の端部を構成する部位と前記軽質流路の上流側の端部を構成する部位との間に位置する部位において当該基板を前記第1面側から前記第2面側へ貫通し且つ前記第2面側溝部のうち前記重質流路の上流側の端部を構成する部位に繋がる穴部が形成されていて、当該穴部の前記第1面側の開口が前記第1封止板によって封止されるとともに当該穴部の前記第2面側の開口が前記第2封止板によって封止されることにより前記分離空間が形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の流路構造体。
【請求項9】
前記流路構造体は、基板と、その基板の厚み方向における一方側に積層された第1封止板と、その基板の厚み方向における他方側に積層された第2封止板とを有し、
前記基板は、その厚み方向において一方側を向く第1面と、その第1面と反対側を向く第2面とを有し、
前記基板には、第1面側溝部が当該基板の前記第1面に沿って延び且つその第1面に開口するように形成されていて、前記第1面に形成された前記第1面側溝部の開口が前記第1封止板によって封止されることにより前記軽質流路が形成され、
前記基板には、第2面側溝部が当該基板の前記第2面に沿って延び且つその第2面に開口するように形成されていて、前記第2面に形成された前記第2面側溝部の開口が前記第2封止板によって封止されることにより前記混合流体流路及び前記重質流路が形成され、
前記基板には、前記第2面側溝部のうち前記混合流体流路の下流側の端部を構成する部位と前記重質流路の上流側の端部を構成する部位との間に位置する部位において当該基板を前記第2面側から前記第1面側へ貫通し且つ前記第1面側溝部のうち前記軽質流路の上流側の端部を構成する部位に繋がる穴部が形成されていて、当該穴部の前記第1面側の開口が前記第1封止板によって封止されるとともに当該穴部の前記第2面側の開口が前記第2封止板によって封止されることにより前記分離空間が形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の流路構造体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の流路構造体を用いて、互いに混合された複数種類の流体からなる混合流体を比重が小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重が大きい重質流体に分離する分離方法であって、
前記混合流体を前記混合流体流路に流す混合流体流通工程と、
前記混合流体を前記混合流体流路から前記分離空間に流入させてその分離空間内で当該混合流体を軽質流体と重質流体とに比重差によって分離させ、その分離した重質流体を前記重質流路に流入させるとともに、その分離した軽質流体を前記軽質流路に流入させる分離工程とを備えた、分離方法。
【請求項11】
請求項3に記載の流路構造体を用いて、抽出対象物を含む被抽出流体とその被抽出流体から前記抽出対象物を抽出するための流体である抽出剤とを混合し、前記被抽出流体から前記抽出剤へ前記抽出対象物を抽出させる抽出方法であって、
前記被抽出流体と前記抽出剤のうちの一方の流体である一流体を前記第1導入路に導入するとともに、前記被抽出流体と前記抽出剤とのうちの他方の流体である他流体を前記第2導入路に導入する流体導入工程と、
前記第1導入路に導入した前記一流体と前記第2導入路に導入した前記他流体が前記合流部で互いに混合するように合流し、その合流した両流体からなる混合流体が前記混合流体流路を流れながら、その混合流体中において前記被抽出流体と前記抽出剤との接触界面を介して前記被抽出流体から前記抽出剤へ前記抽出対象物を抽出させる抽出工程と、
前記混合流体が前記混合流体流路から前記分離空間に流入してその分離空間内で比重が小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重が大きい重質流体とに比重差によって分離し、分離した重質流体が前記重質流路に流れ、分離した軽質流体が前記軽質流路に流れる分離工程とを備えた、抽出方法。
【請求項12】
請求項3に記載の流路構造体を用いて、互いに反応し得る流体からなる第1反応剤と第2反応剤とを混合してそれら両反応剤同士を反応させる反応方法であって、
前記第1反応剤を前記第1導入路に導入するとともに前記第2反応剤を前記第2導入路に導入する反応剤導入工程と、
前記第1導入路に導入した前記第1反応剤と前記第2導入路に導入した前記第2反応剤が前記合流部で互いに混合するように合流し、その合流した両反応剤からなる混合流体が前記混合流体流路を流れながら、その混合流体中において前記第1反応剤と前記第2反応剤との接触界面を介して前記第1反応剤と前記第2反応剤とを相互に反応させる反応工程と、
前記混合流体が前記混合流体流路から前記分離空間に流入してその分離空間内で比重が小さい軽質流体とその軽質流体よりも比重が大きい重質流体とに比重差によって分離し、分離した重質流体が前記重質流路に流れ、分離した軽質流体が前記軽質流路に流れる分離工程とを備えた、反応方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−103155(P2013−103155A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247670(P2011−247670)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(504358148)株式会社神鋼エンジニアリング&メンテナンス (8)
【Fターム(参考)】