説明

流路構造体、流体の混合方法、抽出方法及び反応方法

【課題】第1流体と第2流体の混合を多段階で行いつつ、流体同士の混合を促進し、各混合段階において異なった種類の第2流体を第1流体に混合すること及び/又は各混合段階における第1流体への第2流体の混合流量を個別に制御することを可能とする。
【解決手段】流路構造体1では、流通路2は、基板4の表面4a側から裏面4b側へその厚み方向に貫通し、副流路14,18,22に流れる第2流体を主流路12に流れる第1流体に合流させるための複数の合流部16,20,24を含み、各副流路14,18,22の端部は、主流路12の延びる方向に沿って間隔を置いた各位置において主流路12と重なるように配置され、各合流部16,20,24は、主流路12と副流路14,18,22の端部とを連通し、副流路14,18,22に流れる第2流体の流通方向を基板4の厚み方向に変化させてその第2流体を主流路12に流れる第1流体に合流させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路構造体、流体の混合方法、抽出方法及び反応方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の流体同士を合流させて相互作用を生じさせる手段としての流路構造体が知られている。下記特許文献1には、このような流路構造体の一例として、2流体を合流させて一方の流体から他方の流体へ対象物の抽出を行う抽出操作用の流路構造体が示されている。
【0003】
特許文献1に示された流路構造体は、2流体を流通させながら合流させるための流通路を内部に有しており、この流通路は、2流体を多段階で合流させるように構成されている。具体的には、この流路構造体は、下面に第1流路が形成された上基板と、上面に第2流路が形成された下基板とが上下に重ね合わされて互いに接合されることによって形成されている。第1流路は、上基板の下面内において蛇行して延びている。第2流路は、下基板の上面内に形成された単一の導入路とその導入路から分岐した複数の分岐路とを有している。上基板と下基板が上下に重ねられた状態で、前記各分岐路は、蛇行した第1流路の延びる方向に沿って間隔を置いた各部分と上下に重なるように配置されている。第1流路のうち第2流路の各分岐路と重なっていない部分の下向きの開口は、下基板の上面によって封止され、第2流路のうち第1流路と重なっていない部分の上向きの開口は、上基板の下面によって封止されている。このようにして、第1流路の延びる方向に沿って間隔を置いた各部分でその第1流路と第2流路の対応する分岐路とが合流する流通路が流路構造体内に形成されている。第1流路には、第1流体が流され、第2流路には、第2流体が流される。そして、第1流路と第2流路の分岐路とが重なった各部分において、両流体が互いの間に界面を形成しつつ合流する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−75680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の流路構造体では、第1流路を流れる第1流体と第2流路を流れる第2流体とが合流する部分で両流体が界面を介して接触するのみであり、それら両流体同士の混合の促進が困難であるとともに、第1流体に対する第2流体の各混合段階においてそれぞれ異なった種類の第2流体を混合したり、その各混合段階において第1流体に対して混合する第2流体の流量を個別に制御したりすることが困難である。その理由は、以下の通りである。
【0006】
上記流路構造体では、第1流路と第2流路の各分岐路とが重なった各部分において、両流路は、互いに平行に延びている。このため、両流路のこの各部分において第1流体と第2流体が合流する際、両流体は、互いの間に界面を形成し、平行に流れながら合流する。その結果、両流体は、合流しても攪拌されることなく、互いの間に界面を形成した平行な状態を保ちながら下流側へ流れ、それら両流体の混合が促進されない。また、上記流路構造体では、第2流路の単一の導入路から分岐した各分岐路が第1流路の前記各部分と重なって合流しているため、第2流路の導入路を通じて各分岐路に分配された同じ種類の第2流体がその各分岐路から第1流路中の第1流体に合流する。このため、各分岐路からそれぞれ異なった種類の第2流体を第1流路中の第1流体に合流させて混合することができない。また、第2流路の導入路から各分岐路に分配される第2流体の流量比は、その流路形状によって一定に定まり、各分岐路毎に第2流体の流量を個別に操作することができない。このため、各分岐路から第1流路中の第1流体へ第2流体が混合される各段階において、第2流体を混合する流量を個別に制御することができない。
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、流路構造体において、第1流体と第2流体の混合を多段階で行いつつ、それらの流体同士の混合を促進し、各混合段階において異なった種類の第2流体を第1流体に混合すること及び/又は各混合段階における第1流体への第2流体の混合流量を個別に制御することを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による流路構造体は、第1流体と第2流体が互いに混合するようにそれらの流体を流通させるための流路構造体であって、前記第1流体と前記第2流体を流通させるための流通路が形成された基板を備え、前記流通路は、前記基板の表面に形成され、前記第1流体を当該基板の表面に沿って流すための主流路と、前記基板の前記表面と反対方向を向く面である当該基板の裏面に形成され、前記第2流体を前記基板の前記裏面に沿って流すための複数の副流路と、前記基板をその表面側から裏面側へ当該基板の厚み方向に貫通し、複数の前記副流路に流れる前記第2流体を前記主流路に流れる前記第1流体に合流させるための複数の合流部とを含み、前記流通路の前記各副流路は、前記第2流体をその副流路に導入するための導入口をそれぞれ有し、その各導入口は、互いに独立して設けられており、前記各副流路の前記導入口と反対側の端部は、前記基板の前記表面に垂直な方向から見て、前記主流路の延びる方向に沿って間隔を置いた各位置において前記主流路と重なるように配置され、前記各合流部は、前記基板のうち前記主流路と前記各副流路の前記端部とが重なる位置に形成されてその主流路とその副流路の端部とを連通し、当該合流部と繋がる前記副流路に流れる前記第2流体の流通方向を前記基板の厚み方向に変化させてその第2流体を前記主流路に流れる前記第1流体に対して合流させる。
【0009】
この流路構造体では、主流路と複数の副流路とが対応する合流部を通じて主流路の延びる方向に沿って間隔を置いた各位置で連通するため、主流路に流れる第1流体に対してその流通方向に沿って間隔を置いた各位置で第2流体をそれぞれ合流させることができる。これにより、第1流体に対して第2流体を所定流量ずつ多段階で合流させて混合することができる。しかも、この流路構造体では、基板の表面に沿って主流路に流れる第1流体に対して、合流部により基板の厚み方向に流通方向を変化させた第2流体を合流させることができる。このような合流形態では、従来の流路構造体のように両流体を平行に流しながら合流させる場合と異なり、両流体の攪拌が行われるため、両流体同士の混合を促進することができる。さらに、この流路構造体では、各副流路の導入口が互いに独立して設けられているため、その各導入口を通じて、各副流路に異なる種類の第2流体をそれぞれ導入したり、各副流路に導入する第2流体の流量を個別に制御したりすることができる。その結果、主流路に流れる第1流体に対する各副流路及びそれに繋がる合流部からの第2流体の各混合段階において異なった種類の第2流体を第1流体に混合したり、その各混合段階における第1流体への第2流体の混合流量を個別に制御したりすることが可能となる。
【0010】
この場合において、前記各副流路の前記導入口は、前記基板の周縁部に配置されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、各副流路の導入口に個別に第2流体を供給するためのヘッダを取り付けやすくなる。その結果、各副流路にそれぞれ異なった種類の第2流体を導入したり、各副流路に導入する第2流体の流量を個別に制御したりすることが実施しやすくなる。
【0012】
上記流路構造体において、前記基板には、複数の前記流通路が形成され、前記各流通路の前記主流路は、前記基板の前記表面において並列に配置され、前記各流通路の複数の前記副流路のうちその流通路の上流側から下流側へ向かって同じ順番に位置する副流路は、前記基板の前記裏面において互いに並列に配置されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、基板の表面側に各流通路の主流路が並列に配置され、基板の裏面側に各流通路の複数の副流路のうち対応するもの同士が並列に配置されるため、基板の一方の面に各流通路の主流路と副流路が共に設けられるような構成に比べて、基板の面方向において複数の流通路をより密に配置することができる。その結果、同じ大きさの流路構造体であっても、より多くの流通路をその内部に設けることができる。従って、この構成によれば、流路構造体の小型化が可能であり、同じ機器サイズであっても第1流体と第2流体との混合の処理量を増加することができる。
【0014】
本発明による流体の混合方法は、上記流路構造体を用いて第1流体と第2流体とを混合する流体の混合方法であって、前記基板の前記表面に沿って前記主流路に前記第1流体を流すとともに、その第1流体に前記各副流路及びその各副流路に繋がる前記合流部から前記第2流体をそれぞれ前記基板の厚み方向において合流させて混合するものである。
【0015】
この流体の混合方法では、主流路に流す第1流体に対して第2流体を各副流路及び対応する合流部を通じて所定流量ずつ多段階で合流させて混合することができる。このような多段階の合流では、主流路に流れる第1流体に対して全量の第2流体を一度に合流させる一段階の合流形態に比べて、主流路全体を流れる流体の平均流量が小さくなる。このため、この流体の混合方法では、主流路における平均の圧力損失を低減することができる。しかも、この流体の混合方法では、基板の表面に沿って主流路を流れる第1流体に対して各第2流体を基板の厚み方向において合流させて混合することができる。このため、第1流体に対して平行に第2流体を合流させるような場合に比べて、第1流体と第2流体との混合を促進することができる。さらに、この混合方法では、流路構造体の各副流路の独立した導入口を通じて、各副流路に異なる種類の第2流体をそれぞれ導入したり、各副流路に導入する第2流体の流量を個別に制御したりすることができる。その結果、主流路に流れる第1流体に対する各副流路及びそれに繋がる合流部からの第2流体の各混合段階において異なった種類の第2流体を第1流体に混合したり、その各混合段階における第1流体への第2流体の混合流量を個別に制御したりすることが可能となる。
【0016】
本発明による抽出方法は、上記流路構造体を用いて抽出対象物を含む被抽出流体とその被抽出流体から前記抽出対象物を抽出するための抽出媒体とを混合し、前記被抽出流体から前記抽出媒体へ前記抽出対象物を抽出させる抽出方法であって、前記被抽出流体と前記抽出媒体とのうち一方の流体である一流体を前記基板の前記表面に沿って前記主流路に流すとともに、前記被抽出流体と前記抽出媒体とのうち他方の流体である他流体を前記各副流路及びその各副流路に繋がる前記合流部から前記主流路に流れる前記一流体にそれぞれ前記基板の厚み方向において合流させて混合し、前記両流体の混合流体が前記主流路を下流側へ流れながら、その混合流体中で前記被流出流体から前記抽出媒体へ前記抽出対象物が抽出されるものである。
【0017】
この抽出方法では、主流路に流す前記一流体に対して前記他流体を各副流路及びそれに繋がる合流部を通じて多段階で合流させて混合することができる。これにより、上記混合方法と同様、主流路における平均の圧力損失を低減することができる。そして、この抽出方法では、前記一流体に対して前記他流体を多段階で混合させる多段階での抽出操作を行うことができる。このような抽出操作では、一段階での抽出操作に比べて抽出効率を高めることができる。具体的には、一段階での抽出操作では、被抽出流体と抽出媒体との合流・混合が一度しか行われないため、その混合による両流体の接触界面の更新が落ち着くと、抽出速度が低下し、抽出がなかなか進まなくなる。これに対して、本抽出方法のように多段階での抽出操作を行う場合には、被抽出流体と抽出媒体とが合流するたびに両流体の接触界面の更新が行われ、そのたびに抽出が促進される。その結果、一段階での抽出操作に比べて全体での抽出効率を高めることができる。さらに、この抽出方法では、基板の表面に沿って主流路を流れる前記一流体に対して前記他流体が基板の厚み方向において合流するため、その合流時に両流体が攪拌されて被抽出流体と抽出媒体との混合が促進され、被抽出流体と抽出媒体との接触界面の更新がより活発に行われる。そのため、より抽出効率を高めることができる。さらに、この抽出方法では、上記流体の混合方法と同様、主流路に流れる前記一流体に対する各副流路及びそれに繋がる合流部からの前記他流体の各混合段階において異なった種類の前記他流体を前記一流体に混合したり、その各混合段階における前記一流体への前記他流体の混合流量を個別に制御したりすることが可能となる。
【0018】
上記抽出方法の具体的な構成として、前記一流体は、前記被抽出流体であり、前記他流体は、前記抽出媒体であってもよい。
【0019】
一般的な抽出操作では、被抽出流体の種類によっては、抽出媒体として異なった種類のものが用いられることがある。本構成によれば、主流路に流れる被抽出流体に各副流路から異なった種類の抽出媒体を多段で合流させることができるので、抽出媒体の粘性や抽出性能などを考慮して各合流段階で供給する抽出媒体の流量などを設定することができ、様々な種類の抽出操作に対応することができる。
【0020】
本発明による反応方法は、上記流路構造体を用いて第1反応剤と第2反応剤とを混合し、それら両反応剤同士を化学反応させる反応方法であって、前記第1反応剤を前記基板の前記表面に沿って前記主流路に流すとともに、前記第2反応剤を前記各副流路及びその各副流路に繋がる前記合流部から前記主流路に流れる前記第1反応剤にそれぞれ前記基板の厚み方向において合流させて混合し、前記両反応剤の混合流体が前記主流路を下流側へ流れながら、それら両反応剤が互いに化学反応するものである。
【0021】
この反応方法では、主流路に流す第1反応剤に対して第2反応剤を各副流路及びそれに繋がる合流部を通じて多段階で合流させて混合することができる。これにより、上記混合方法と同様、主流路における平均の圧力損失を低減することができる。そして、この反応方法では、第1反応剤に対して第2反応剤を多段階で混合する化学反応を実施することができる。このような反応方法では、第1反応剤に対して全量の第2反応剤を一度に合流・混合させる反応方法に比べて反応効率を高めることができる。具体的には、第1反応剤に対して全量の第2反応剤を一度に合流・混合させると、そのときは両反応剤の接触界面の更新が行われて両反応剤同士の反応が促進されるが、その接触界面の更新が落ち着くと、反応速度が低下する。これに対して、本反応方法のように第1反応剤に対して第2反応剤を多段階で合流・混合させる場合には、第1反応剤と第2反応剤とが合流するたびに両者の接触界面の更新が行われ、そのたびに両反応剤同士の反応が促進される。その結果、全体での反応効率を高めることができる。さらに、この反応方法では、基板の表面に沿って主流路を流れる第1反応剤に対して第2反応剤が基板の厚み方向において合流するため、その合流時に両反応剤が攪拌されて両反応剤の混合が促進され、両反応剤同士の接触界面の更新がより活発に行われる。そのため、より反応効率を高めることができる。さらに、この反応方法では、上記流体の混合方法と同様、主流路に流れる第1反応剤に対する各副流路及びそれに繋がる合流部からの第2反応剤の各混合段階において異なった種類の第2反応剤を第1流体に混合したり、その各混合段階における第1反応剤への第2反応剤の混合流量を個別に制御したりすることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、流路構造体において、第1流体と第2流体の混合を多段階で行いつつ、それらの流体同士の混合を促進し、各混合段階において異なった種類の第2流体を第1流体に混合すること及び/又は各混合段階における第1流体への第2流体の混合流量を個別に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態による流路構造体を備えた流路装置の斜視図である。
【図2】図1に示した流路装置の平面図である。
【図3】流路構造体を構成する基板の表面を示す図である。
【図4】図3に示した基板の裏面を示す図である。
【図5】流路構造体を構成する表側封止板の表面を示す図である。
【図6】流路構造体を構成する表側封止板、基板及び裏側封止板の積層構造のうち所定の流通路の主流路に対する第1副流路と第2副流路の合流部分近傍の主流路に沿った断面図である。
【図7】図6に示した積層構造のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図6に示した積層構造のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】図6に示した積層構造のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】本発明の一実施形態による流路構造体を用いた抽出方法による抽出効率の向上効果を説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
まず、図1〜図9を参照して、本発明の一実施形態による流路構造体及びそれを備えた流路装置の構成について説明する。
【0026】
本実施形態による流路装置Sは、第1流体と第2流体が互いに混合するようにそれらの流体を流通させるための流路構造体1と、複数のヘッダ102,104,106,108,110,114とを備えている。
【0027】
流路構造体1は、第1流体と第2流体を流通させるための複数の微小な流通路2(マイクロチャネル)と、熱媒を流通させるための複数の熱媒流路30とを内部に有している。流路構造体1は、図1に示すように、基板4と、表側封止板6と、裏側封止板8と、熱媒流路封止板9とを備えている。これら各板4,6,8,9は、矩形状の平板によってそれぞれ形成されている。
【0028】
基板4には、前記複数の流通路2が形成されている。各流通路2は、主流路12と、第1副流路14と、第1合流部16と、第2副流路18と、第2合流部20と、第3副流路22と、第3合流部24とを有する。
【0029】
主流路12は、第1流体を基板4のうちその厚み方向において一方側を向く表面4a(図3参照)に沿って流すためのものであり、この基板4の表面4aに形成されている。詳しくは、基板4の表面4aには、複数の主溝部12aがエッチングによって形成されており、それら各主溝部12aの表面4a側の開口を封止するように表側封止板6が基板4の表面4aを覆った状態でその表面4aに接合されている。この主溝部12aの表面4a側の開口が表側封止板6によって封止されることにより、主流路12が形成されている。各主流路12は、基板4の表面4a内において蛇行するように延びている。また、各主流路12は、基板4の表面4a内において並列に配置されている。各主流路12の一端部は、矩形状の基板4の周縁部を構成する4辺のうちの所定の一辺に設けられており、その辺の端部近傍に配設されている。この一端部は、主流路12に第1流体を導入するための第1主流路導入口12bとなっている。各主流路12は、当該主流路12の一端部が設けられた基板4の所定の辺から向かい側の辺へ向かって直線的に延びた後、90度屈曲して延び、その後、前記所定の辺側へ向かうようにさらに90度屈曲して延び、そのような屈曲を繰り返して蛇行するように延びている。そして、各主流路12の一端部に対して反対側の端部である他端部は、基板4の前記所定の辺の向かい側の辺のうち前記一端部から遠い側の端部近傍に配設されている。この他端部は、主流路12から流体が導出される第1主流路導出口12cとなっている。各主流路12の延びる方向に直交する断面は、図7に示すように、基板4の裏面4b側へ向かって凸となるように配置された略半円状を呈している。
【0030】
第1副流路14は、第2流体を基板4のうち表面4aと反対方向を向く裏面4b(図4参照)に沿って流すためのものであり、この基板4の裏面4bに形成されている。詳しくは、基板4の裏面4bには、前記主溝部12aと同数の第1副溝部14aがエッチングによって形成されており、それら各第1副溝部14aの裏面4b側の開口を封止するように裏側封止板8が基板4の裏面4bを覆った状態でその裏面4bに接合されている。この第1副溝部14aの裏面4b側の開口が裏側封止板8によって封止されることにより、第1副流路14が形成されている。各第1副流路14は、主流路12の端部が設けられた基板4の各辺に直交する2辺のうち一方の辺に一端部を有する。この一端部は、第1副流路14に第2流体を導入するための第1副流路導入口14bとなっている。この第1副流路導入口14bは、本発明の導入口の概念に含まれる。各第1副流路14は、その第1副流路導入口14bが設けられた基板4の辺から向かい側の辺へ向かって直線的に主流路12に対して垂直に延び、対応する主流路12の裏面4b側の位置で90度屈曲してその主流路12に沿って下流側へ延びている。すなわち、各第1副流路14の他端部(第1副流路導入口14bと反対側の端部)は、基板4の表面4aに垂直な方向から見て、対応する主流路12と重なるように配置されている。各第1副流路14の延びる方向に直交する断面は、図7に示すように、基板4の表面4a側へ向かって凸となるように配置された略半円状を呈している。
【0031】
第1合流部16は、第1副流路14に流れる第2流体を主流路12に流れる第1流体に合流させるためのものであり、基板4をその表面4a側から裏面4b側へ当該基板4の厚み方向に貫通するように形成されている。具体的には、各第1合流部16は、基板4のうち各主流路12と各第1副流路14の前記他端部とが重なる位置に形成されている。この第1合流部16は、図8に示すように、基板4の表面4aに形成された略半円状断面の第1合流部表側溝部16aの頂部と、基板4の裏面4bに形成された略半円状断面の第1合流部裏側溝部16bの頂部とが繋がることによって基板4を貫通するように形成されている。第1合流部表側溝部16aは、主溝部12aと重なり且つ幅方向の中心が一致するように形成されており、第1合流部裏側溝部16bは、第1副溝部14aの下流側の端部と重なり且つ幅方向の中心が一致するように形成されている。また、第1合流部16は、第1副流路14における第2流体の流通方向の下流側に位置し、その第1副流路14から当該第1合流部16に流入する第2流体の流れに対向するように配置された壁面16dを有する。この壁面16dは、基板4の厚み方向(基板4の表面4a及び裏面4bに対して垂直な方向)に延びている。第1副流路14から第1合流部16に流入した第2流体は、この壁面16dに当たって基板4の裏面4b側から表面4a側へ向かうようにその流通方向を変える。
【0032】
第2副流路18は、第1副流路14と同様に第2流体を基板4の裏面4bに沿って流すためのものである。なお、この第2副流路18に流す第2流体は、必ずしも第1副流路14に流す第2流体と同じ種類の流体である必要はなく、第1副流路14に流す第2流体と異なる種類の流体であってもよい。第2副流路18は、基板4の裏面4bのうち第1副流路14に対して主流路12の下流側の位置に形成されている。具体的には、基板4の裏面4bには、前記主溝部12aと同数の第2副溝部18aが形成されている。この各第2副溝部18aの裏面4b側の開口がその裏面4bに接合された裏側封止板8によって封止されることにより、第2副流路18が形成されている。各第2副流路18は、第1副流路導入口14bが設けられた基板4の辺のうち第1副流路導入口14bに対して前記主流路導入口12bが設けられた辺と反対側の位置に一端部を有する。この一端部が第2副流路18に第2流体を導入するための第2副流路導入口18bとなっている。この第2副流路導入口18bは、本発明の導入口の概念に含まれる。第2副流路18の上記以外の構成は、前記第1副流路14の構成と同様である。なお、各第2副流路18の他端部は、主流路12のうち第1副流路14の前記他端部と重なる位置からその主流路12に沿って下流側に間隔を置いた位置で、基板4の表面4aに垂直な方向から見て、主流路12と重なるように配置されている。
【0033】
第2合流部20は、第2副流路18に流れる第2流体を主流路12に流れる第1流体に合流させるためのものであり、基板4をその表面4a側から裏面4b側へ当該基板4の厚み方向に貫通するように形成されている。この第2合流部20の構造は、第1合流部16の構造と同様であり、基板4のうち各主流路12と各第2副流路18の前記他端部とが重なる位置に形成されている。すなわち、各第2合流部20は、その第2合流部20が含まれる流通路2の第1合流部16からその流通路2の主流路12に沿って下流側へ間隔を置いた位置に配置されている。
【0034】
第3副流路22は、前記副流路14,18と同様に第2流体を基板4の裏面4bに沿って流すためのものである。この第3副流路22に流す第2流体は、前記副流路14,18にそれぞれ流す第2流体のうちのいずれか一方と同じ種類の流体であってもよいし、それら両副流路14,18に流す第2流体のいずれとも異なる流体であってもよい。基板4の裏面4bには、前記主溝部12aと同数の第3副溝部22aが形成されており、この各第3副溝部22aの裏面4b側の開口がその裏面4bに接合された裏側封止板8によって封止されることにより、第3副流路22が形成されている。各第3副流路22は、主流路導入口12bが設けられた基板4の辺と同じ辺の中央部近傍に一端部を有する。この一端部が第3副流路22に第2流体を導入するための第3副流路導入口22bとなっている。この第3副流路導入口22bは、本発明の導入口の概念に含まれる。第3副流路導入口22bと、第1副流路導入口14bと、第2副流路導入口18bとは、互いに独立して設けられている。各第3副流路22は、その第3副流路導入口22bが設けられた基板4の辺から向かい側の辺へ向かって直線的に延びている。各第3副流路22は、対応する主流路12の裏面4b側に配置されている。すなわち、各第3副流路22は、対応する主流路12のうちその第3副流路22の表面4a側に位置する部位に沿って同方向に延びている。これ以外の第3副流路22の構成は、前記第1副流路14の構成と同様である。なお、各第3副流路22の他端部は、主流路12のうち第2副流路18の前記他端部と重なる位置からその主流路12に沿って下流側に間隔を置いた位置で、基板4の表面4aに垂直な方向から見て、主流路12と重なるように配置されている。
【0035】
第3合流部24は、第3副流路22に流れる第2流体を主流路12に流れる第1流体に合流させるためのものであり、基板4をその表面4a側から裏面4b側へ当該基板4の厚み方向に貫通するように形成されている。この第3合流部24の構造は、第1合流部16及び第2合流部20の構造と同様であり、基板4のうち各主流路12と各第3副流路22の前記他端部とが重なる位置に形成されている。すなわち、各第3合流部24は、その第3合流部24が含まれる流通路2の第2合流部20からその流通路2の主流路12に沿って下流側へ間隔を置いた位置に配置されている。
【0036】
表側封止板6は、その厚み方向において一方側を向く表面6a(図5参照)と、その表面6aと反対方向を向く裏面6bとを有する平板である。表側封止板6の裏面6bは、基板4の表面4aに接合されている。表側封止板6の表面6aには、熱媒を流通させるための複数の熱媒流路30が形成されている。詳しくは、表側封止板6の表面6aには、複数の熱媒溝部30aがエッチングによって形成されており、それら各熱媒溝部30aの表面6a側の開口を封止するように熱媒流路封止板9が表側封止板6の表面6aに接合されている。この熱媒溝部30aの表面6a側の開口が熱媒流路封止板9によって封止されることにより、熱媒流路30が形成されている。熱媒流路30は、流通路2と同数設けられている。各熱媒流路30は、前記各主流路12を左右反転させた形状で表側封止板6の表面6a内において蛇行するように延びている。各熱媒流路30の一端部は、矩形状の表側封止板6の周縁部を構成する4辺のうちの一辺に設けられており、表側封止板6が基板4の表面4aに接合された状態で前記主流路導入口12bの向かい側の位置に配置されている。この一端部が、熱媒流路30に熱媒を導入するための熱媒導入口30bとなっている。また、各熱媒流路30の他端部は、表側封止板6においてその熱媒流路30の一端部が設けられた辺の向かい側の辺に設けられており、表側封止板6が基板4の表面4aに接合された状態で前記主流路導出口12cの向かい側の位置に配置されている。この他端部が、熱媒流路30から熱媒が導出される熱媒導出口30cとなっている。各熱媒流路30のうち熱媒導入口30bが設けられた表側封止板6の辺から向かい側の辺へ向かって直線的に延びる各部分は、表側封止板6が基板4の表面4aに接合された状態で主流路12の対応する各部分と重なって同方向に延びるように配置される。各熱媒流路30に熱媒が流通することにより、その熱媒と主流路12を流れる流体との熱交換が行われ、その主流路12を流れる流体が温められるようになっている。
【0037】
裏側封止板8は、その厚み方向において一方側を向く表面8aと、その表面8aと反対方向を向く裏面8bとを有する平板である。この裏側封止板8の表面8aが、基板4の裏面4bに接合されている。
【0038】
主供給ヘッダ102は、各主流路12に第1流体を供給するためのものである。この主供給ヘッダ102は、全ての主流路導入口12bと接続されるように流路構造体1のうち主流路導入口12bが設けられた端面に取り付けられている。主供給ヘッダ102には、図略の流体供給装置から第1流体が供給され、当該主供給ヘッダ102は、その供給された第1流体が各主流路導入口12bに所定流量ずつ導入されるように分配する。
【0039】
第1副供給ヘッダ104は、各第1副流路14に第2流体を供給するためのものである。この第1副供給ヘッダ104は、全ての第1副流路導入口14bと接続されるように流路構造体1のうち第1副流路導入口14bが設けられた端面に取り付けられている。第1副供給ヘッダ104には、図略の流体供給装置から第2流体が供給され、当該第1副供給ヘッダ104は、その供給された第2流体が各第1副流路導入口14bに所定流量ずつ導入されるように分配する。
【0040】
第2副供給ヘッダ106は、各第2副流路18に第2流体を供給するためのものである。この第2副供給ヘッダ106は、全ての第2副流路導入口18bと接続されるように流路構造体1のうち第2副流路導入口18bが設けられた端面に取り付けられている。第2副供給ヘッダ106のこれ以外の構成は、前記第1副供給ヘッダ104の構成と同様である。
【0041】
第3副供給ヘッダ108は、各第3副流路22に第2流体を供給するためのものである。この第3副供給ヘッダ108は、全ての第3副流路導入口22bと接続されるように流路構造体1のうち第3副流路導入口22bが設けられた端面に取り付けられている。第3副供給ヘッダ108のこれ以外の構成は、前記第1副供給ヘッダ104の構成と同様である。
【0042】
流体回収ヘッダ110は、各主流路12の主流路導出口12cから排出される流体を回収するためのものである。この流体回収ヘッダ110は、全ての主流路導出口14cと接続されるように流路構造体1のうち主流路導出口14cが設けられた端面に取り付けられている。流体回収ヘッダ110は、図略の貯留部又は図略の下流側機器と接続されており、当該流体回収ヘッダ110によって回収された流体は、それらの貯留部又は下流側機器へ送られるようになっている。
【0043】
熱媒供給ヘッダ112は、各熱媒流路30に熱媒を供給するためのものである。この熱媒供給ヘッダ112は、全ての熱媒導入口30bと接続されるように流路構造体1のうち熱媒導入口30bが設けられた端面に取り付けられている。熱媒供給ヘッダ112には、図略の熱媒供給装置から昇温された熱媒が供給され、当該熱媒供給ヘッダ112は、その供給された熱媒が各熱媒導入口30bに所定流量ずつ導入されるように分配する。
【0044】
熱媒回収ヘッダ114は、各熱媒流路30の熱媒導出口30cから排出される熱媒を回収するためのものである。この熱媒回収ヘッダ114は、全ての熱媒導出口30cと接続されるように流路構造体1のうち熱媒導出口30cが設けられた端面に取り付けられている。この熱媒回収ヘッダ114は、図略の熱媒供給装置と接続されており、当該熱媒回収ヘッダ114によって回収された熱媒は、熱媒供給装置へ戻されるようになっている。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の流路構造体1では、流通路2において主流路12と各副流路14,18,22とが対応する合流部16,20,24を通じて主流路12の延びる方向に沿って間隔を置いた各位置で連通するため、主流路12に流れる第1流体に対してその流通方向に沿って間隔を置いた各位置で第2流体をそれぞれ合流させることができる。これにより、第1流体に対して第2流体を多段階で合流させて混合することができる。
【0046】
しかも、本実施形態では、基板4の表面4aに沿って主流路12に流れる第1流体に対して、各合流部16,20,24により第2流体を基板4の厚み方向において合流させることができる。このような合流形態では、従来の流路構造体のように両流体を平行に流しながら合流させる場合と異なり、両流体の合流時にそれら両流体の攪拌が行われるため、両流体同士の混合を促進することができる。
【0047】
また、本実施形態では、第1副流路導入口14bと、第2副流路導入口18bと、第3副流路導入口22bとが互いに独立して設けられているため、それら各副流路導入口14b,18b,22bを通じて、異なる種類の第2流体を各副流路14,18,22に導入したり、異なる流量の第2流体を各副流路14,18,22に導入したりすることができる。その結果、各副流路14,18,22及びそれに繋がる合流部16,20,24から主流路12に流れる第1流体に対して異なる種類の第2流体をそれぞれ合流させて混合させたり、各副流路14,18,22及びそれに繋がる合流部16,20,24から主流路12中の第1流体に対して合流・混合させる第2流体の流量を個別に制御したりすることができる。
【0048】
また、本実施形態の流路構造体1は、各種の化学操作方法(混合、抽出、又は反応等)に用いることができるが、目的とする化学操作方法の種類に応じて主流路12及び各副流路14,18,22にそれぞれ流す流体の流速や各合流部16,20,24の開口部の形状を変化させることによって、流体の合流後の流動状態を制御することができる。具体的には、合流後に2相流となる場合にはその2相流の流動状態を制御することができ、合流後にスラグ流となる場合にはそのスラグ流のスラグ間隔を制御することができる。このような合流後の流体の流動状態の制御によって、流体同士の接触界面の面積を制御することもできる。
【0049】
また、本実施形態では、主流路導入口12b及び各副流路導入口14b,18b,22bは、基板4の周縁部に配置されているため、主流路導入口12bに主供給ヘッダ102を接続しやすく、各副流路導入口14b,18b,22bに対応する供給ヘッダ104,106,108を接続しやすい。
【0050】
また、本実施形態では、基板4の表面4aに各流通路2の主流路12が並列に配置される。また、基板4の裏面4bに、各流通路2の第1副流路14同士が並列に配置されるとともに、各流通路2の第2副流路18同士が並列に配置され、さらに各流通路2の第3副流路22同士が並列に配置される。このため、基板の一方の面に各流通路の主流路と副流路が共に設けられるような構成に比べて、基板4の表面4a及び裏面4bに平行な方向において複数の流通路2をより密に配置することができる。その結果、同じ大きさの流路構造体1であっても、より多くの流通路2をその内部に設けることができる。従って、本実施形態によれば、流路構造体1の大型化を抑制しつつ、多数の流通路2により第1流体と第2流体との混合の処理量を増加することができる。
【0051】
(第1実施例)
次に、本発明の第1実施例として、上記の流路構造体1を用いた抽出方法について説明する。
【0052】
この抽出方法では、上記流路構造体1の主流路12に、抽出対象物を含む被抽出流体を導入する。この被抽出流体は、液体である。主流路12に導入された被抽出流体は、主流路12内を下流側へ流れる。
【0053】
一方、流路構造体1の各副流路14,18,22に、被抽出流体から抽出対象物を抽出するための流体である抽出媒体をそれぞれ導入する。この際、各副流路14,18,22には、同じ種類の抽出媒体を導入する。第1副流路14と第2副流路18には、被抽出流体から全量の抽出対象物を抽出するのに要する抽出媒体の必要量の30%の量の抽出媒体をそれぞれ導入し、第3副流路22には、前記必要量の40%の量の抽出媒体を導入する。
【0054】
第1副流路導入口14bから第1副流路14に導入された抽出媒体は、主流路12側へ向かって流れた後、主流路12に沿って下流側へ流れ、第1合流部16に流入する。第1合流部16に流入した抽出媒体は、基板4の厚み方向(基板4の裏面4b側から表面4a側へ向かう方向)にその流通方向を変え、その方向において、主流路12に流れる被抽出流体に合流する。すなわち、抽出媒体は、被抽出流体の流通方向に対して直交する方向においてその被抽出流体に合流する。これにより、抽出媒体は、被抽出流体と攪拌されるように混合され、抽出媒体と被抽出流体との接触界面の更新が活発に行われる。被抽出流体と抽出媒体との混合流体は、主流路12内を下流側へ流れ、その過程で、被抽出流体中の抽出対象物が被抽出流体と抽出媒体との接触界面を通じて抽出媒体へ抽出される。
【0055】
次に、第2副流路導入口18bから第2副流路18に導入された抽出媒体は、第2副流路18から第2合流部20を通じて、主流路12に流れる被抽出流体と抽出媒体との混合流体に合流する。この際の第2副流路18における抽出媒体の流通形態及び第2合流部20を通じての前記混合流体への抽出媒体の合流形態は、上記第1副流路14における抽出媒体の流通形態及び第1合流部16を通じての被抽出流体への抽出媒体の合流形態と同様である。この合流によって、上記第1合流部16での合流と同様に、被抽出流体と抽出媒体との混合が行われ、抽出媒体と被抽出流体との接触界面の更新が活発に行われる。被抽出流体と抽出媒体との混合流体は、主流路12内をさらに下流側へ流れ、その過程で、被抽出流体中の抽出対象物が被抽出流体と抽出媒体との接触界面を通じて抽出媒体へさらに抽出される。
【0056】
次に、第3副流路導入口22bから第3副流路22に導入された抽出媒体は、第3副流路22から第3合流部24を通じて、主流路12に流れる被抽出流体と抽出媒体との混合流体に合流する。この際、抽出媒体は、第3副流路22内を直線的に下流側へ流れ、上記抽出媒体Aが第1合流部16を通じて被抽出流体に合流した形態と同様の合流形態で、主流路12に流れる被抽出流体及び抽出媒体の混合流体に第3合流部24を通じて合流する。これにより、上記の各合流と同様に、被抽出流体と抽出媒体との混合が行なわれ、抽出媒体と被抽出流体との接触界面の更新が活発に行われる。被抽出流体と抽出媒体の混合流体は、主流路12内をさらに下流側へ流れ、その過程で、被抽出流体中の抽出対象物が被流出流体と抽出媒体との接触界面を通じて抽出媒体へさらに抽出される。
【0057】
最後に、各主流路導出口12dから目標抽出率に達した流体が排出されて回収される。
【0058】
以上説明したように、この抽出方法では、主流路12に流す被抽出流体に抽出媒体を各副流路14,18,22及びそれに繋がる各合流部16,20,24を通じて多段階で合流させて混合することができるため、多段階での抽出操作を行うことができる。このような抽出操作では、一段階での抽出操作に比べて抽出効率を高めることができる。
【0059】
具体的には、図10に示すように、一段階での抽出操作(図10中の破線参照)では、図中のM1時点において被抽出流体に対する抽出媒体の合流及び混合が行われると、その混合に起因する両流体の接触界面の更新により抽出率がα(%)まで急上昇するが、その後、混合状態の安定期間t(s)を経た後、抽出が進行しつつ、その抽出速度が低下していき、目標抽出率β(%)を越えた後は、抽出速度が非常に遅くなる。前記安定期間t(s)の後の抽出速度は、前記混合により抽出率がα(%)まで上昇する際の抽出速度に比べて遅くなる。これは、両流体の混合状態が安定し、両流体の接触界面の更新が滞ることに起因すると考えられる。
【0060】
一方、多段階での抽出操作(図10中の実線参照)では、前記M1時点において被抽出流体に対して抽出媒体の合流及び混合が行われて抽出率がα(%)まで急上昇し、安定期間t(s)を経て、抽出が少し進行した後、図中のM2時点において抽出媒体の合流及び混合が再度行われる。これにより、被抽出流体と抽出媒体との接触界面の更新が再度活性化されて抽出が促進され、抽出率が急激に上昇する。その結果、一段階での抽出操作に比べて、短時間で抽出率が目標抽出率β(%)に達する。従って、本実施例による抽出方法では、このような原理により、抽出操作の時間短縮が可能となり、全体としての抽出効率を高めることができる。
【0061】
さらに、この抽出方法では、基板4の表面4aに沿って主流路12を流れる被抽出流体に対して抽出媒体が基板4の厚み方向において合流するため、その合流時に流体が攪拌されて被抽出流体と抽出媒体との混合が促進され、被抽出流体と抽出媒体との接触界面の更新がより活発に行われる。そのため、より抽出効率を高めることができる。
【0062】
しかも、この抽出方法では、主流路12に流す被抽出流体に対して抽出媒体を各副流路14,18,22及びそれに繋がる合流部16,20,24を通じて所定流量ずつ多段階で合流させて混合することに起因して、主流路に流れる被抽出流体に全量の抽出媒体を一度に合流させる場合に比べて、主流路12に流す流体の平均流量を低減することができる。このため、主流路12における平均の圧力損失を低減することができる。
【0063】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例として、上記の流路構造体1を用いた反応方法について説明する。
【0064】
この反応方法では、上記流路構造体1の主流路12に、その主流路導入口12bから第1反応剤の流体を導入する。主流路12に導入された第1反応剤は、主流路12内を下流側へ流れる。
【0065】
一方、上記流路構造体1の各副流路14,18,22に、第1反応剤と化学反応させるための第2反応剤をそれぞれ導入する。この際、各副流路14,18,22には、それぞれ異なった種類の第2反応剤を導入してもよい。また、各副流路14,18,22に同じ種類の第2反応剤を所定流量ずつ分配して導入してもよい。また、副流路14,18,22のうち2つの副流路に同じ種類の第2反応剤を所定流量ずつ分配して導入し、残りの副流路に異なった種類の第2反応剤を導入してもよい。
【0066】
なお、主流路12に導入する第1反応剤と、各副流路14,18,22に導入する第2反応剤は、全て液体又は全て気体であってもよい。また、主流路12に導入する第1反応剤と各副流路14,18,22にそれぞれ導入する第2反応剤とのうちいくつかが液体でそれ以外が気体であってもよい。
【0067】
第1副流路14に導入された第2反応剤は、第1合流部16を通じて、主流路12に流れる第1反応剤に合流し、混合される。この際の第1副流路14における第2反応剤の流通形態及び第1合流部16を通じての第1反応剤への第2反応剤の合流形態は、上記第1実施例の抽出方法における抽出媒体Aの流通形態及び第1合流部16を通じての被抽出流体への合流形態と同様である。第1合流部16から主流路12に流れる第1反応剤に合流した第2反応剤は、その第1反応剤と攪拌されるように混合され、両反応剤同士の接触界面の更新が活発に行われる。両反応剤の混合流体は、主流路12内を下流側へ流れ、その過程で両反応剤同士の化学反応が生じる。
【0068】
次に、第2副流路18に導入された第2反応剤が、第2合流部20を通じて、主流路12に流れる第1反応剤と第1合流部16から合流した第2反応剤との混合流体に合流し、混合される。この際の第2反応剤の流通形態及び合流形態は、前記第1副流路14及び前記第1合流部16における第2反応剤の流通形態及び合流形態と同様である。第2合流部20から主流路12に流れる混合流体への第2反応剤の合流により、その第2反応剤は、主流路12に流れる混合流体と攪拌されるように混合され、第1反応剤と第2反応剤との接触界面の活発な更新が再度行われる。これらの反応剤の混合流体は、主流路12内を下流側へ流れ、その過程で第1反応剤と第2反応剤との化学反応が生じる。
【0069】
次に、第3副流路22に導入された第2反応剤が、第3合流部24を通じて、主流路12に流れる混合流体に合流し、混合される。この際の第3副流路22及び第3合流部24を通じての第2反応剤の流通形態及び合流形態は、上記第1実施例の抽出方法における第3副流路22及び第3合流部24を通じての抽出媒体Cの流通形態及び合流形態と同様である。第3合流部24から主流路12に流れる混合流体への第2反応剤の合流により、その第2反応剤は、主流路12に流れる混合流体と攪拌されるように混合され、第1反応剤と第2反応剤との接触界面の活発な更新がさらに行われる。これらの反応剤の混合流体は、主流路12内を下流側へ流れ、その過程で第1反応剤と第2反応剤との化学反応が生じる。
【0070】
最後に、各主流路導出口12dから反応生成物を含む流体が排出されて回収され、その流体から反応生成物が取り出される。
【0071】
以上説明したように、この反応方法では、主流路12に流す第1反応剤に対して第2反応剤を各副流路14,18,22及びそれに繋がる各合流部16,20,24を通じて所定流量ずつ多段階で合流させて混合することができる。これにより、各合流部16,20,24から主流路12への第2反応剤の合流のたびに第1反応剤と第2反応剤との接触界面の更新が行われ、そのたびに両反応剤同士の化学反応が促進される。その結果、全体での反応効率を高めることができる。
【0072】
さらに、この反応方法では、基板4の表面4aに沿って主流路12を流れる第1反応剤に対して第2反応剤が基板4の厚み方向において合流するため、その合流時に両反応剤が攪拌されて両反応剤の混合が促進され、両反応剤同士の接触界面の更新がより活発に行われる。そのため、より反応効率を高めることができる。
【0073】
また、この反応方法では、流通路2の互いに独立した各副流路導入口14b,18b,22bを通じて各副流路14,18,22に異なる種類の第2反応剤を導入することが可能である。この場合には、主流路12に流れる第1反応剤に対して各副流路14,18,22及びそれに繋がる合流部16,20,24からそれぞれ異なった種類の第2反応剤を混合することができる。これにより、複数の異なった化学反応を段階的に生じさせることができる。なお、主流路12に流れる第1反応剤に対して各副流路14,18,22及びそれに繋がる合流部16,20,24から混合する第2反応剤の各流量を個別に制御することも可能である。
【0074】
しかも、この反応方法では、主流路12に流す第1反応剤に対して第2反応剤を各副流路14,18,22及びそれに繋がる合流部16,20,24を通じて所定流量ずつ多段階で合流させることに起因して、上記第1実施例の抽出方法と同様、主流路12における平均の圧力損失を低減することができる。
【0075】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0076】
例えば、上記流路構造体1を第1流体と第2流体との混合のみを目的として用いてもよい。このような流体の混合方法では、第1流体を各主流路12に導入し、第2流体を各副流路14,18,22に導入する。各副流路14,18,22に導入された第2流体は、上記第1実施例の抽出方法における被抽出流体への抽出媒体の合流形態と同様の合流形態で、主流路12に流れる第1流体に合流し、両流体が混合される。
【0077】
この流体の混合方法では、主流路12に流す第1流体に各副流路14,18,22及びそれに繋がる合流部16,20,24を通じて第2流体を所定流量ずつ多段階で合流させて、それらの流体を混合することができる。この混合方法では、主流路に流れる第1流体に対して全量の第2流体を一度に合流させる混合方法に比べて、主流路12全体における流体の平均流量が小さくなる。このため、主流路12における平均の圧力損失を低減することができる。しかも、この流体の混合方法では、基板4の表面4aに沿って主流路12を流れる第1流体に対して各第2流体を基板4の厚み方向において合流させるため、第1流体の流通方向に対して直交する方向においてその第1流体に第2流体を合流させることができる。このため、第1流体に対して平行に第2流体を合流させるような場合に比べて、第1流体と第2流体との合流時に両流体の混合を促進することができる。また、この流体の混合方法では、流通路2の各副流路14,18,22に互いに独立した各副流路導入口14b,18b,22bを通じて異なる種類の第2流体をそれぞれ導入したり、各副流路に導入する第2流体の流量を個別に制御したりすることができる。その結果、主流路12に流れる第1流体に対する各副流路14,18,22及びそれに繋がる合流部16,20,24からの第2流体の各混合段階において異なった種類の第2流体を第1流体に混合したり、その各混合段階における第1流体への第2流体の混合流量を個別に制御したりすることができる。
【0078】
このような流体の混合方法は、例えば、前記第1流体としての分散媒の液体に対して前記第2流体としての分散質の液体を混合することによってエマルションを得るエマルション化等に用いられる。
【0079】
なお、上記の流体の混合方法において、各副流路14,18,22には、それぞれ異なる種類の第2流体を導入してもよいし、同じ種類の第2流体を所定流量ずつ分配して導入してもよい。
【0080】
また、基板4の表面4a内における主流路12の形状と、基板4の裏面4b内における副流路14,18,22の形状は、上記した形状以外の種々の形状であってもよい。
【0081】
また、流通路が有する副流路の数は、3つに限定されるものではない。すなわち、流通路は、2つ又は4つ以上の副流路を有していてもよい。
【0082】
また、主流路に対して各副流路が合流部を通じて合流する位置は、上記実施形態で示した位置に限定されるものではなく、その合流位置は上記以外の位置であってもよい。
【0083】
また、主流路、各副流路及び各合流部の断面形状は、上記以外の種々の断面形状であってもよい。
【0084】
また、流路構造体は、熱媒流路を備えていなくてもよい。すなわち、上記流路構造体1において、熱媒流路封止板9を省略するとともに、表側封止板6の代わりに熱媒流路30が形成されていない平板からなる表側封止板を基板4の表面4aに接合してもよい。
【0085】
また、流路装置において、上記流路構造体1が複数積層されていてもよい。この構成によれば、抽出や、化学反応、流体の混合等の処理効率をより高めることができる。
【0086】
また、流路構造体内に設けられる流通路の数は、上記実施形態で示した数に限定されない。具体的には、上記実施形態で示した流通路の数よりも少ない数(例えば、1つ)の流通路、もしくは、上記実施形態で示した流通路の数よりも多数の流通路が、流路構造体内に設けられていてもよい。
【0087】
また、主流路導入口、主流路導出口、各副流路の導入口は、基板の周縁に設けられていなくてもよい。例えば、それら導入口及び導出口が基板の面内に設けられていてもよい。この場合には、各流通路の導入口に繋がる貫通穴を基板に形成するとともに、封止板にその貫通穴と連通する貫通穴を形成し、封止板の表面側又は裏面側からその貫通穴を通じて導入口に対応する流体を導入するようにしてもよい。また、同様に、各主流路の主流路導出口に繋がる貫通穴を基板に形成するとともに、封止板にその貫通穴と連通する貫通穴を形成し、その貫通穴を通じて封止板の表面側又は裏面側で流体を回収するようにしてもよい。
【0088】
また、抽出方法において、流通路2の互いに独立した各副流路導入口14b,18b,22bを通じて各副流路14,18,22に異なる種類の抽出媒体を導入してもよい。この場合には、主流路12に流れる被抽出流体に対して各副流路14,18,22及びそれに繋がる合流部16,20,24からそれぞれ異なった種類の抽出媒体を混合して抽出を行うことができる。このような抽出方法は、例えば、被抽出流体に複数の異なる種類の抽出対象物が含まれている場合に用いることができる。具体的には、被抽出流体に含まれる複数種類の抽出対象物の各々に適した抽出媒体を各副流路14,18,22に個別に流して、主流路12に流れる被抽出流体に各合流路16,20,24からその各抽出媒体を合流させることにより、その各抽出媒体に適合する抽出媒体を抽出させることができる。なお、主流路12に流れる被抽出流体に対して各副流路14,18,22及びそれに繋がる合流部16,20,24から合流させる抽出媒体の各流量を個別に制御することも可能である。
【0089】
また、上記抽出方法において、主流路12に抽出媒体を流し、各副流路14,18,22に被抽出流体をそれぞれ所定流量ずつ流してもよい。
【0090】
また、上記抽出方法において、被抽出流体に含まれる抽出対象物は1種類に限定されない。すなわち、複数種類の抽出対象物が被抽出流体に含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 流路構造体
2 流通路
4 基板
4a 表面
4b 裏面
12 主流路
14 第1副流路(副流路)
14b 第1副流路導入口(導入口)
16 第1合流部(合流部)
18 第2副流路(副流路)
18b 第2副流路導入口(導入口)
20 第2合流部(合流部)
22 第3副流路(副流路)
22b 第3副流路導入口(導入口)
24 第3合流部(合流部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と第2流体が互いに混合するようにそれらの流体を流通させるための流路構造体であって、
前記第1流体と前記第2流体を流通させるための流通路が形成された基板を備え、
前記流通路は、前記基板の表面に形成され、前記第1流体を当該基板の表面に沿って流すための主流路と、前記基板の前記表面と反対方向を向く面である当該基板の裏面に形成され、前記第2流体を前記基板の前記裏面に沿って流すための複数の副流路と、前記基板をその表面側から裏面側へ当該基板の厚み方向に貫通し、複数の前記副流路に流れる前記第2流体を前記主流路に流れる前記第1流体に合流させるための複数の合流部とを含み、
前記流通路の前記各副流路は、前記第2流体をその副流路に導入するための導入口をそれぞれ有し、その各導入口は、互いに独立して設けられており、
前記各副流路の前記導入口と反対側の端部は、前記基板の前記表面に垂直な方向から見て、前記主流路の延びる方向に沿って間隔を置いた各位置において前記主流路と重なるように配置され、
前記各合流部は、前記基板のうち前記主流路と前記各副流路の前記端部とが重なる位置に形成されてその主流路とその副流路の端部とを連通し、当該合流部と繋がる前記副流路に流れる前記第2流体の流通方向を前記基板の厚み方向に変化させてその第2流体を前記主流路に流れる前記第1流体に対して合流させる、流路構造体。
【請求項2】
前記各副流路の前記導入口は、前記基板の周縁部に配置されている、請求項1に記載の流路構造体。
【請求項3】
前記基板には、複数の前記流通路が形成され、
前記各流通路の前記主流路は、前記基板の前記表面において並列に配置され、
前記各流通路の複数の前記副流路のうちその流通路の上流側から下流側へ向かって同じ順番に位置する副流路は、前記基板の前記裏面において互いに並列に配置されている、請求項1又は2に記載の流路構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の流路構造体を用いて第1流体と第2流体とを混合する流体の混合方法であって、
前記基板の前記表面に沿って前記主流路に前記第1流体を流すとともに、その第1流体に前記各副流路及びその各副流路に繋がる前記合流部から前記第2流体をそれぞれ前記基板の厚み方向において合流させて混合する、流体の混合方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の流路構造体を用いて抽出対象物を含む被抽出流体とその被抽出流体から前記抽出対象物を抽出するための抽出媒体とを混合し、前記被抽出流体から前記抽出媒体へ前記抽出対象物を抽出させる抽出方法であって、
前記被抽出流体と前記抽出媒体とのうち一方の流体である一流体を前記基板の前記表面に沿って前記主流路に流すとともに、前記被抽出流体と前記抽出媒体とのうち他方の流体である他流体を前記各副流路及びその各副流路に繋がる前記合流部から前記主流路に流れる前記一流体にそれぞれ前記基板の厚み方向において合流させて混合し、
前記両流体の混合流体が前記主流路を下流側へ流れながら、その混合流体中で前記被流出流体から前記抽出媒体へ前記抽出対象物が抽出される、抽出方法。
【請求項6】
前記一流体は、前記被抽出流体であり、
前記他流体は、前記抽出媒体である、請求項5に記載の抽出方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の流路構造体を用いて第1反応剤と第2反応剤とを混合し、それら両反応剤同士を化学反応させる反応方法であって、
前記第1反応剤を前記基板の前記表面に沿って前記主流路に流すとともに、前記第2反応剤を前記各副流路及びその各副流路に繋がる前記合流部から前記主流路に流れる前記第1反応剤にそれぞれ前記基板の厚み方向において合流させて混合し、
前記両反応剤の混合流体が前記主流路を下流側へ流れながら、それら両反応剤が互いに化学反応する、反応方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−196599(P2012−196599A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60717(P2011−60717)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】