説明

流量計モジュール

【課題】実際の排気ガス流量に基づく様々なガス状汚染物質の質量流量のリアルタイムの測定を規定するものであり、且つ試験を受けるべき車両に対して何の修正も要求しないように成した流量計モジュールを提供するものである。
【解決手段】車両搭載型の排気物試験システムの中に、車両の当該排気管に対して取外し可能に接続されるように成した排気ガスの流れを規定する流量計モジュールを包含する。当該計器モジュールは、当該排気ガスの流量の測定を許容する差圧プローブと、当該排気ガスのサンプルをガス分析器に対して連続的に送り込むためのガス・サンプリング管とを包含する。流量計モジュールはまた、その内部に装着されて粒状物質を送り込むように成した第2のガス・サンプリング管を備えた粒状物質検出器を更に包含することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の可搬式の排気測定システムにおいて使用するための流量計モジュールに関するものであり、より詳細には、グラム数/運転マイル数におけるガス状排気物(HC、CO、CO2、NO、及びO2)の量だけでなく、燃料経済、エンジン及び車両の運転パラメータ、エンジンの空気燃料比率、及び道路勾配についても、すべてがユーザー選択可能な更新比率であるようにして、連続的に測定し、表示して、記録するように成した、リアルタイム走行時の車両排気物通報システムにおいて使用するための流量計モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
合衆国環境保護庁(EPA)によって制定された排気ガス排出数値基準は、連邦試験手順(FTP)を使用して試験を受ける車両に対して適用される。当該FTPは、排気物がサンプリングされる比速度・時間トレースの全体に渡って当該車両が「駆動」されているように成した、制御的な環境条件の下におけるダイナモメータを使用して実験室の中において実施される。それと同じ速度・時間トレースは、すべての乗用車及び軽荷重トラックを試験する際にも使用されるものであり、理論的には典型的な使用時の駆動を表わすことになる。当該試験の間、当該ダイナモメータは、当該車両の各速度に関して道路上において遭遇される実際の道路荷重及び動荷重をシミュレーションして、当該車両に対して定常状態の慣性負荷を適用する。定容サンプラー(CVS)は、当該車両の排気ガス流量が変化するときもその希釈されたガス流量が一定に維持されるようにして空気で当該排気ガスを希釈するものとして使用され、当該試験の3つの段階の各々の間における当該希釈された排気ガスの適当なサンプルを入手するために使用される。このようにして、各々の汚染物質の当該サンプルの濃度は、本質的に、当該汚染物質の排気物質量に比例するのである。そのようなシステムの典型的なものは、従来的な固定式のダイナモメータ試験台と、当該排気ガスに対して希釈空気を追加するようにして操作されるCVSとを組合せて包含するように成して、米国特許明細書第4,727,746号において開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許明細書第4,727,746号
【特許文献2】米国特許明細書第5,099,680号
【特許文献3】米国特許明細書第5,105,651号
【特許文献4】米国特許明細書第5,709,082号
【特許文献5】米国特許明細書第5,099,680号
【特許文献6】米国特許明細書第5,105,651号
【特許文献7】米国特許明細書第5,639,957号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラクター、トレーラー、トラック及び市街バスのような重荷重エンジンを採用する車両の場合、それに関連する当該EPA排気物基準は、当該EPAの「過渡試験」の全体に渡って操作されている間にエンジン・ダイナモメータにおいて排気物試験を受けるように成して、それらの車両のエンジンに対して適用される。当該排気物サンプリング・システム及びCVSは、乗用車に関して上述したものと同様である。しかし、試験を受けるべき当該エンジンは、指定されたトルク及びエンジン速度を適用するように成した当該エンジン・ダイナモメータに対して取り付けられる。当該エンジンは、搭載されているならば、試験の前にその関連車両から取り外されなければならない。時に応じて、車両速度センサのように当該エンジンの燃料供給システムに対して入力される車両ベースの電子的なセンサは、当該排気物試験の間、接続を断たれていなければならないか、或いはシミュレーション値を有するものでなければならない。これは、実ワールド値とは異なった排気物測定値を導き出すかもしれないということになる。
【0005】
製造業者が特定の系統の車両又はエンジンの販売を許容する適合性の証明書を獲得しようとする場合、当該製造業者は、適用可能なEPA排気物基準に対する適合性を証明しなければならない。当該証明の主要な部分は、乗用車及び軽荷重車両の場合には、当該FTPに合格することであり、及び/又は、重荷重エンジンの場合には、当該過渡試験に合格することである。通常はそれに対立することになる製造業者が適合させようとするもう1つの目標は、車両の性能又は燃料経済を最大化することである。それらの2つの目標は、通常は互いに対立するものであり、当該FTP及び過渡試験が有効に規定された繰返し可能なものであるので、当該排気物基準検定に合格させることは、しばしば、当該排気物数値基準が当該FTPに「合格」し且つ当該車両の「有効寿命」の「合格」レベルを維持するために足りるだけのマージンを備えて満足されるまで、当該車両の電子的燃料噴射システムによって使用される当該較正値を「微調整」するプロセスであるということになる。
【0006】
特定の系統の車両の較正が当該FTPに合格すべく「微調整」される場合には、試験結果は、同じ環境条件及び車両速度スケジュールに従ってさえも、必ずしも、当該車両を道路上において運転させることから生じることになる当該車両の排気物を反映するものではない。それらの排気物は、運転される速度、マイル数及び勾配に依存するだけでなく、特定の運転手、運転されるコースに精通していること、交通事情などにも依存する。
【0007】
責任ある車両製造業者にとって重要なことは、様々な競合する較正及び設計の下において車両に関する実際の走行時の排気性能を知り、それによって最終的な設計又は較正を選択することになるパラメータの環境的な検討を行う機会を有するということである。更に、排気物規制者にとって重要であることは、各製造業者からの車両の道路上における排気性能をモニタすることである。今日の精巧な電子エンジン制御を使用すれば、空気を清浄に保つために役立つ当該FTP及び過渡試験の有効性を決定するためだけでなく、排気物調査一覧表の推定のためにも道路試験データが必要である。車両に関する実際の走行時の排気物を知ることによってのみ、これらの排気物を規制する有効な政策が展開され得るのである。
【0008】
道路上における車両の排気性能をモニタするためには、ユーザーにとって使い勝手が良くて、可搬式であり、容易に積換え可能である走行時排気物測定システムが必要とされる。理論的には、そのようなシステムの装着は、試験を受けるべき車両の修正を必要とすることになるものではない。更に、任意のシステムの排気物測定値は、両者のシステムが同時に作動されるときには、実験室のFTP試験のものと有効に符合しなければならない。
【0009】
車両搭載型のガス排気物モニタ・システムは、フルニエその他(Fournier et al)に対して発行された米国特許明細書第5,099,680号、ガットマン(Gutmann)に対して発行された米国特許明細書第5,105,651号、及びハリスその他(Harris et al)に対して発行された米国特許明細書第5,709,082号に開示されている。しかしながら、これらの先行技術の搭載型システムのいずれのものも、実際の排気ガス流量を測定するものではなく、各車両の間において容易に積み換えられ得るように成した計器モジュールを提供するものでもない。
【0010】
米国特許明細書第5,099,680号は、多数の排気ガス成分の分析のための搭載型システム(コラム3の45行目から47行目)と、そのエンジン・コンピュータとのインターフェース(コラム3の15行目から18行目)とを開示している。この先行技術のシステムは、コラム4の3行目から20行目において説明されたように、明白に車両速度及びエンジン排気容量に基づいて、1マイル当りのグラム数における車両排気物の計算を企図している。
【0011】
米国特許明細書第5,105,651号は、図2の実施例において搭載型システムを開示している。当該排気ガスの一酸化炭素及び炭化水素の含有量が、モニタされ(コラム4の28行目から30行目)、排気ガス分析データが、コラム6の42行目からコラム7の23行目において説明されたように、車両運転に対して相関されるのである。
【0012】
米国特許明細書第5,639,957号は、排気ガス流に関する理論的な数値と実際の数値の間における差違に起因するガス状汚染物質の排気物の計算における30%から50%という誤差に注目している。この先行技術の引例は、理論的な排気ガス流の測定に関する改良された計算を提案しているのである。
【0013】
本発明の1つの目的は、実際の排気ガス流量に基づく様々なガス状汚染物質の質量流量のリアルタイムの測定を規定するものであり、且つ試験を受けるべき車両に対して何の修正も要求しないように成した、種々の車両の間において積換え可能である可搬式の搭載型排気物試験システムにおいて使用するための流量計モジュールを提供することである。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、当該排気ガスに対して接触することを要求される各センサが、車両に対して取外し可能に装着され得るものであり、且つ1台の車両からもう1台へと容易に積み換えられることが可能であるように成したモジュールの中にすべてが組み込まれるように成して、そのような排気物試験システムにおいて使用するための流量計モジュールを提供することである。
【0015】
本発明の更なる1つの目的は、車両運転パラメータの測定が可能であり、汚染物質質量流量に対するそれらの車両運転パラメータのリアルタイムでの相関も可能であるように成した、そのようなシステムにおいて使用するための流量計モジュールを提供することである。
【0016】
本発明の更なるもう1つの目的は、車両位置を連続的にモニタするための全地球位置把握システムの受信器を包含して、前記汚染物質質量流量を車両の運転サイクル又は運転スケジュールに対して相関させるように成した、そのようなシステムにおいて使用するための流量計モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の各目的を達成するために、本発明は、試験を受けるべき車両に対して取外し可能に装着されるようにして設計されるモジュールと、当該モジュールを当該車両のボディ部分に対して取外し可能に固定するためのサポート手段とを包含するように成した、可搬式の車両搭載型試験システムにおいて使用するための流量計モジュールを提供する。好ましくはエラストマー・ブーツを包含するものである接続手段は、当該モジュールを当該車両の排気管に対して取外し可能に接続することを許容するものであり、それにより、当該車両の排気ガスの流量は、当該モジュールの中に一体的に装着される流量検出要素によって検出されることが可能になる。当該モジュールの中に更に組み込まれるものは、当該排気ガスを連続的にサンプリングして、当該サンプリングされた排気ガスを下流のガス分析器に対してルーティングするように成して、当該流量検出要素に極めて接近して配置されるサンプリング管である。当該下流のガス分析器は、当該下流のサンプル管、即ち例えば触媒コンバータのような処理装置の後において排気ガスの下流に配置されるサンプル管を介してサンプリングされる当該排気ガスの中における多数のガス状汚染物質の各々の濃度を検出する。コンピュータは、当該排気ガスの当該検出された濃度及び当該検出された流量に基づいて、ガス状汚染物質の各々の質量流量を計算するための計算手段として機能する。
【0018】
当該排気ガスの温度及び絶対圧を検出するための各プローブもまた、当該モジュールの中に組み込まれることが可能である。そのような各プローブを可能な限り当該流量検出要素に接近して配置し、すべての読取り値が同時に同じ排気サンプルに対応するように為すことが好適である。
【0019】
本発明は、上述のような排気物試験システムの中において利用される当該計器モジュールを提供するものである。当該計器モジュールは、当該排気ガスの流量を測定するための要素(以下では「流量検出要素」)と、当該排気ガスを連続的にサンプリングして、当該サンプリングされた排気ガスをガス分析器に対してルーティングするように成したサンプル管とを、内部に固定装着して包含する。上述のように、当該モジュールは、当該排気ガスの温度及び絶対圧を測定するための各プローブを、内部に固定して包含することも可能である。当該モジュールは、正確な検出のための必要な上流及び下流の流路を設けるべく、それらのプローブの対向側面において直管の長さ部分を包含すべきである。もう1つの任意選択的な特徴は、例えば前述の計器プローブの上流において当該モジュールの中に装着される多数の平行翼板のような整流手段の設備である。粒状物質(PM)検出の目的のためには、当該モジュールは、ガス・サンプルをPM分析器に対して送り込むための第2の端部開放式ガス・サンプリング管をも組み込むことになる。
【0020】
当該任意選択的な粒状物質(PM)検出ユニットは、ディーゼル駆動車両用のものとして特に適している。当該PM検出ユニットにおいて利用する当該計器モジュールは、排気ガス・サンプルから粒状物質を取り除くための少なくとも1つのフィルタ要素を包含するものであり、当該要素は、それが当該排気ガス・サンプルを受け入れて、そこから粒状物質を捕集することになる所定の時間の前後において計量を受けるべく取り出されることが可能である。当該PM検出器を包含する1つの実施例では、第2の端部開放式ガス・サンプリング管が、当該ガス分析器に対して供給されたサンプルから独立して別個に当該PM検出器に対してサンプルを供給すべく、前述のモジュールの中に固定される。
【発明の効果】
【0021】
任意選択的に、当該システムにおいて使用する流量計モジュールは、第2の5種ガス分析器を組み込ものであり、触媒コンバータ効率試験の実行を許容することになる。当該第1分析器に対する当該ガス・サンプルは、当該触媒コンバータ又はその他の後処理装置の下流における当該車両/エンジン排気システムからのものである。当該第2分析器に対する当該ガス・サンプルは、当該触媒コンバータの上流における当該車両/エンジン排気システムからのものである。当該触媒コンバータの上流及び下流のガス濃度を比較することにより、当該コンバータ効率は、リアルタイムで測定されることが可能である。当該車両の搭載コンピュータによって検出される入力値をモニタすべく、自動的な走査器具が使用されることも可能である。典型的にモニタされる検出パラメータの具体例は、エンジン速度(RPM)、マニホルド空気圧(MAP)、スロットル位置(TPS)、酸素センサ電圧などを包含する。当該ユーザーが、それらのパラメータのいずれかをモニタするように選択するのである。選択されたそれらのパラメータの数値は、その後、当該ガス排気物データと同じスクリーン上において表示されるだけでなく、それと同じデータファイルに対して記憶されることにもなる(図10を参照)。それらのパラメータ数値は、当該ガス排気物データと組合せられて、如何なる条件下において高い排気ガス排気物(即ち汚染物質)が生成されるのかを決定するために役立ち、高い排気物の原因の理解を導き出すのである。
【0022】
従って、本発明は、移動車両上において使用されるべく設計されるコンピュータ・ベースの排気物測定システムにおいて使用する流量計モジュールなのである。それは、例えば炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)及び窒素酸化物(NO)のような多数のガスのリアルタイムの排気物質量(グラム数)を測定する。それは、それらの排気物の各々の濃度を測定するための5種ガス分析器と、標準条件に対して(排気ガスの温度及び圧力の測定によって)補正される排気ガス体積流量を測定するためのモジュール式排気ガス流量計とを使用することによって、更にはそれらの排気物の各々の密度を知ることによって、それを成し遂げるのである。
【0023】
車両速度及び走行距離もまた、全地球位置把握システム(GPS)を使用することによって、及び/又は当該車両の搭載コンピュータによって検出される速度信号をモニタすることによって測定される。当該車両によって走行された距離だけでなくリアルタイムの排気物質量をも知ることによって、本発明の当該システムにおいて利用する流量計モジュールは、走行距離当りの排気物質量(1マイル当りのグラム数)をも計算するものであり、更には炭素バランス技術を使用して、当該エンジンが運転される燃料経済(1ガロン当りのマイル数)及び空気燃料比率の両者をも測定することになる。当該質量測定値、当該ガス濃度、排気ガス流量、空気燃料比率、燃料経済などの結果は、すべてが当該コンピュータ上に表示されてリアルタイムで更新されるだけでなく、当該コンピュータのデータファイルの中に記憶されるものでもある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の流量計モジュールが適応する全排気物通報システムの概略図である。
【図2】図1で示した本発明の流量計モジュールの概略図である。
【図3】図2の当該流量計モジュールの一部に関する概略図である。
【図4】粒状物質検出ユニット(PM検出器)を追加して包含し、ディーゼル駆動車両用として設計されるように成した、本発明の流量計モジュールの概略図である。
【図5】図4の当該PM検出器のプローブの断面図である。
【図6】図1及び図2の両者の実施例において使用されるトランスデューサ・ボックスの電気的なダイアグラムである。
【図7】乗用車に搭載される図2の当該流量計モジュールを示している。
【図8】本発明の流量計モジュールが適応する当該排気物通報システムのためのものとして好適である主要なオペレーティング・プログラムのフローチャートである。
【図9】当該オペレーティング・プログラムの連続的な計測ループ(図8のステップS4)のためのサブルーチンのフローチャートである。
【図10】グラフィカル・ユーザー・インターフェースを提供するディスプレイ・スクリーンを描写している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、車両のテール・パイプ4に対して取り付けられるように成した流量計及びガス・サンプリング・モジュール10と、汚染物質濃度を測定するためのガス分析器30とを包含するものとして、その全システムを示している。図1は、当該テール・パイプ4、マフラー6及び触媒コンバータ7を包含するものとして、その車両排気システムをも示している。当該流量計及びガス・サンプリング・モジュール10及び当該ガス分析器30からの出力は、排気物コンピュータ40によって受信される。排気物コンピュータ40は、キーボード41又はその他のユーザー入力手段からの信号をも受信する。更に、走査器具70は、エンジン・コンピュータ20の搭載ポート又はその他のポート21に対して接続し、直列出力を有し、当該エンジン・コンピュータ20からのデータストリームを解釈し、当該排気物コンピュータ40に対して信号を出力するものである。
【0026】
任意選択的に、当該システムは、当該排気ガス・ストリームの中においてラムダ・センサ27を使用するように成した独立した空気燃料比率計26、及び/又は全地球位置把握システムの受信器60を更に包含する。
【0027】
上述のコンポーネントの各々は、以下に続く議論において更に詳細に説明されることになる。
【0028】
「流量計モジュール10」
当該モジュール式排気ガス流量計10の設計が、図2に示されている。当該モジュール式の設計は、種々の車両の間における容易な積換えを許容する。直管部分11は、1台の車両からもう1台に対して容易に積換え可能である単一のアセンブリの中にすべてが位置するようにして、整流器8(多数の平行翼板)、流量検出要素13、圧力検出器14、熱電対15、及び端部閉鎖式排気ガス・サンプル管12のためのハウジングとして機能する。直管部分11は、以下で説明されるように、当該流量検出要素13の上流及び下流の必要な直管走路部分を設けるためのものとしても機能する。
【0029】
当該好適な流量検出要素13は、ドーヴァー・インダストリーズ社(Dover Industries)の子会社であるコロラド州ボールダーのディートリッヒ・スタンダード社(Dieterich
Standard of Boulder, Colorado)によって製造され、登録商標アニュバー・ダイヤモンド(ANNUBAR DIAMOND)の下において市販されているものであり、差圧形式のものである。当該流量検出要素13は、当該排気ガス・ストリームの中において、当該直管部分11の軸に対して垂直に装着されるプローブ131を包含する。当該プローブ131の廻りを流れる当該排気ガスは、当該プローブ131の上流側と下流側の間において差圧を生じさせることになる。当該差圧の大きさが、当該直管部分11を介して流れる当該排気ガスの流量を表示するのである。
【0030】
「流量検出要素」
図3において更に詳細に示されたように、当該アニュバー流量検出要素13の当該プローブ131は、高圧(上流)の長手方向流路131cと、低圧(下流)の長手方向流路131dとを有する。当該プローブ131は、ダイヤモンド形状の断面を有するものであり、上流に面するエッジ131aと下流に面するエッジ131bとを提示するようにして、直管部分11の中において方向付けされる。当該上流に面するエッジ131aは、その長さに沿って離間配置され、当該排気ガス・ストリームと当該高圧流路131cの間における流体連絡を提供するように成した、多数の開口131eを有する。同様にして、当該下流に面するエッジ131bは、その長さに沿って離間配置され、当該排気ガス・ストリームと当該低圧流路131dの間における流体連絡を提供するように成した、多数の開口131fを有する。131e及び131fの各開口の当該離間配置は、プローブ131の各端部ではその中心部よりも接近している。続いて、131c及び131dの各流路は、当該上流及び下流の圧力を、当該アニュバー流量検出要素13の当該ヘッド132の中における各チャンバ132A及び132Bに対して連絡させ、更には、そこから各ライン134,135を介して電子機器ユニット50の中に収容された単一の差圧トランスデューサ501に対して連絡させるのである。当該圧力トランスデューサ501は、0−10インチのH2O差圧トランスデューサである、PX164−010D5Vである。133では、本質的に、当該プローブ131を捩じ込み可能に受け入れて支持すべく管部分11に対して溶接されるネジ付きのスチール・ニップル即ちラグであるように成した、「溶接Oレット」が示されている。当該プローブは、それぞれに当該プローブ位置における真っ直ぐな流れを保証するに足る十分な長さのものであるように成した、直管長さ部分「A」の下流及び第2の直管長さ部分「B」の上流に配置される。例えば、3.5インチ又は5インチの直径(外径)を有する管部分11の場合、「A」は、好ましくは最小限34インチのものであり、「B」は、好ましくは最小限30インチのものである。3.5インチ以下の外径を有するパイプ又はチューブは、更に短めの最小寸法の「A」及び「B」を有することになる。例えば、2インチの外径のパイプは、最小限17インチの長さ部分「A」と、最小限12インチの長さ部分「B」とを有することになるのである。
【0031】
「圧力及び温度の検出」
図3は、更に、環状ジャケット141と、管部分11の壁部を貫通して穿孔され、管部分11の周囲の廻りの円の中において均等に離間配置され、ジャケット141の内部に対する排気ガスの流体連絡を規定するように成した、多数の1/16インチの孔142とを包含するものとして、圧力検出器14の詳細を示している。当該排気ガスの圧力は、コンジット142を介して、電子機器ユニット50の中に収容された第2の圧力トランスデューサ502に対して送り込まれるのである。圧力トランスデューサ502は、0−15プサイア(絶対圧)の範囲を備えた、PX142−015A5Vである。
【0032】
当該排気ガスの温度は、管部分11の中における当該排気ガス・ストリームの中に延在するプローブ151を有するJ型の熱電対15によって検出される。当該熱電対15は、非線形の電圧信号を出力するものであり、当該信号は、電子機器ユニット50の中において、コンバータ503であるTAC−386−JFによって線形の電圧信号に変換される。当該J型の熱電対は、それが当該排気ガスの予測温度の範囲内における温度変化の程度に対して大きな電圧(信号)の変化を提示するので、選択されたものである。
【0033】
図6は、当該圧力トランスデューサ502(0−15プサイア絶対圧のPX142−015A5V)と、差圧トランスデューサ501(0−10インチのH2
O差圧のPX164−010D5V)と、電圧コンバータ503(TAC−386−JF)と、電圧調整器505(LM317T)と、LED507(RS276−963)とを包含するものとして、当該電子機器ユニット50を示している。
【0034】
「ガス分析器」
当該ガス分析器30は、サン/スナップ・オン社(Sun/Snap-on)によって市販されているモデルMT−3505である。それは、当該排気ガス・サンプルのHC、CO、CO2、O2及びNOの濃度だけでなく、エンジンRPM、当該分析器熱電対によって検出される温度、及び当該測定された排気ガス成分に基づいて計算される当該空気燃料比率をも分析して表示するものである。グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)(図10)において示される当該ガス濃度は、常に、実分析器ディスプレイにおいて示されるものと全く同じであることになる。当該サンプル・プローブにおける当該排気物サンプルの出現と当該分析器による当該濃度測定の間にサンプル搬送の時間遅延が存在するので、当該分析器のバーチャル計器は、秒単位における当該時間遅延のためのユーザー入力を有する。当該時間遅延は、図10において示されたようにして適用される。
【0035】
各々のガス状汚染物質iの当該濃度Xiは、サン/スナップ・オン社によって製造された組込み式のサンプル・ポンプを備えた当該サン/スナップ・オンMT−3505の可搬式排気物分析器30を使用して連続的に測定される。当該分析器は、HC(n−ヘキサン)、CO及びCO2の分析のために非分散形赤外線方式(NDIR)を使用する。当該分析器30は、電気化学的NO分析をも提供するものであり、酸素センサが、ガス・サンプルの酸素濃度を測定するために使用される。
【0036】
当該MT−3505分析器30の上述の機能に加えて、それは、当該排気ガス成分の炭素バランスに基づいて当該車両のエンジンに対する燃料混合物の空気燃料比率をも計算する。当該MT−3505分析器は、1つのk型の熱電対入力をも更に提供する。このk型の熱電対は、その長いサンプル管に沿って当該サンプルから凝縮する水蒸気を補正するための水蒸気補正ファクタを測定する目的のために、当該分析器の中に進入する際の当該ガス・サンプルの温度を測定するためのものとして使用される。
【0037】
当該MT−3505分析器30は、それが当該測定された濃度をRS−232直列データ・ストリームの中に連続的に出力するようにして形成されることが可能であるので、更に大型の排気物試験システムの一部として特に有益である。
【0038】
任意選択的に、30のものと全く同じである第2のガス分析器32が、触媒効率チェックを提供するという目的のために当該触媒コンバータの上流に配置されるそのサンプリング・プローブと共に利用されることも可能である。
【0039】
図2において示されたように、当該ガス分析器30の当該サンプル・ラインに対して接続される当該プローブ12は、密閉される末端部分と、その周囲の廻りに穿孔されて、すべてが当該先端の1インチの範囲内に位置するように成した6個の3/32インチの孔とを備えた、ステンレス・スチール管(3/8インチ外径)である。当該プローブ12は、当該スチール・エルボー16の壁部を貫通して進入するものであり、直管部分11に対して同心的である。
【0040】
「走査器具」
当該走査器具70は、SPX社(SPX Corporation)の事業部であるOTCによって市販されている拡張モニタ4000である。それは、車両速度、エンジン速度、更に所定の事例ではエンジン出力トルクなどをも包含する様々な車両及びエンジンの運転パラメータの測定のための手段として機能する。
【0041】
以下で説明される好適なオペレーティング・プログラムは、それに付随するOTC走査器具によって当該ユーザーがいずれのECMデータ・ストリーム・アイテムをモニタすることを希望するのかということを当該ユーザーが選択することを許容する。図10において示されたように、当該所望のアイテムに関連するチェックボックスは、当該アイテムを、選択させ、表示させ、記録させるものであり、その他の計算のために利用可能にするものでもある。各々の車両は、それ自身に関連する選択可能なアイテムのリストを有することになる。以下で説明される当該プログラムにおいて、当該「テキストから数字へ」という配列は、数値をブール・テキスト値に置換して、ファイルなどに記憶されるべき当該データから各ユニットを取り除くものである。当該データをファイルの中に記憶する前に非数文字を除去することは、当該試験が完了したときに当該データをスプレッドシートにおいて容易に使用可能なものにする。それらのすべての変換と削除された文字のリストは、創設される各々のデータ・ファイルの中に記憶されるので、当該データのユーザーは、規則がどのようなものであったのかということを知ることになる。当該ユーザーは、変換すべき補足的なブール・テキスト値、或いは取り除くべき各ユニットを追加するというオプションをも有する。
【0042】
「排気物質量の計算」
当該流量計モジュール10は、規制される各々の汚染物質の排気物質量が1秒当り及び1マイル毎のベースで計算されることを許容する。グラム数/マイル数(gm/mi)における測定は、当該FTPを使用して獲得される連邦検定試験の結果、及び当該EPA排気物基準に対する直接的な比較を許容する。
【0043】
例えば汚染物質iである汚染物質の時間tにおける排気物は、以下の公式によって計算されることが可能である。
Pi(t)=p1Xi(t)Qs(t)・3600/v(t) (1)
ここで、Pi(t)は、時間tにおいて生成されるgm/miにおける排気物即ち汚染物質iであり、piは、標準条件における汚染物質iの密度であり、Xi(t)は、測定された汚染物質iの濃度であり、Qs(t)は、時間t(t)における標準条件での排気ガスの体積流量であり、v(t)は、時間tにおけるmphでの道路上の車両速度である。それらの変数のすべては、時間従属的なものである。
【0044】
方程式(1)におけるQsはアニュバー製造業社によって供給された流量方程式に従って計算されるものであり、当該方程式は、以下のように記されることが可能である。
Qs=C’√hw√Pf (2)
ここで、hwは、当該流量計を横断して展開される差圧であり、Pfは、流出する当該ガスの絶対圧であり、
C’=FNAKD2FRAYAFMFAAFl (3)
ここで、それらのファクタは、以下のように定義される:
【0045】
FNA − 各ユニット変換ファクタであり、定数である。
【0046】
K − アニュバー形式に従属する基底流量係数であり、FRAによって変更される定数である。
【0047】
D − 基底温度におけるパイプの内径であり、FAAによって変更される定数である。
【0048】
FRA − レイノルズ数ファクタであり、ここで使用される当該アニュバー・ダイヤモンドの流量検出要素についての定数である。
【0049】
YA − 当該ガス速度が変化するときの当該計器要素の廻りにおける当該ガス流の密度における変化を補正するための膨張ファクタである。このファクタは、予測される流れ条件の全範囲に渡って0.9955から1.0000(又は0.5%)まで変化するものであり、従って無視されることも可能である。
【0050】
FM − 液体充填マノメータに関して使用されるマノメータ・ファクタであり、ここでは適用され得るものではない。
【0051】
FAA − 温度の影響に起因する計器要素の廻りにおけるパイプの流れ面積の変化を補正するための熱膨張ファクタである。スチールの排気管の場合、このファクタは、華氏68度における1.000と、予測される最大値の流れ温度である華氏675度における1.009の間で変化する。
【0052】
Fl − 様々な緯度及び高度での重力定数における変化の影響を説明する計器位置ファクタである。このファクタは、0.9982(10,00フィートにおける緯度0度)と、1.0013(海抜における緯度90度)の間で変化する。結果として、地球上の任意の2つの個所の間における最大の変化は、0.3%であり、従って無視される。
【0053】
好適には、上述のそれらのファクタのすべての積として当該流量を計算する代わりに、搭載される当該流量計モジュールの全体は、以下のような公式(4)に従って較正されることも可能である。方程式(4)に従った較正は、より有効な精度を提示するものであり、変化する流れ条件の下における当該流量計算を簡略化するものでもあり、当該車両への搭載から独立している。即ち、当該流量計算は、以下のように簡略化されるのである。
【0054】
Qs=CFAA√hw√Pf(293/(T+273))1/2 (4)
ここで、Cは、以下のような当該流量計較正によって決定されるべき定数であり、Tは、熱電対15によって検出されるケルビン絶対温度における当該流出ガスの温度であり、Pfは、圧力検出器14によって検出される当該流出するガスの絶対圧であり、FAAは、上で提示されたようなものである。hwは、当該差圧トランスデューサ134によって検出される当該流量要素131からの差圧であり、当該トランスデューサは、hwに比例するアナログ電圧を出力する。この信号は、並列ポートA/Dコンバータ16によってデジタル形式に変換され、続いて、その並列ポートを介して当該コンピュータ40によって読み取られ、その後、以下で説明されるオペレーティング・プログラムによって圧力の物理装置に対してスケーリングされることになる。
【0055】
上述のように、当該排気温度Tは、当該モジュール式の排気流量計10の中に装着された当該J型の熱電対15によって検出される。当該熱電対の電圧は、冷接点補正を受けて、線形化されるものであり、熱電対によって増幅され、ミリボルト・コンバータに対して送られる。当該出力電圧は、続いて、当該並列ポートA/Dコンバータ16に対して入力され、その後、その並列ポートを介して当該コンピュータ40によって読み取られるのである。
【0056】
当該A/Dコンバータを使用して読み取られた当該アナログ入力電圧は、すべてが当該オペレーティング・プログラムによってスケーリングされ、温度(華氏温度)及び圧力(インチH2O及びインチHg)の物理装置における読取りを提示することになる。必要なスケーリング値は、それらのトランスデューサの較正を介して決定され、図10で示された「アナログ差入力」セクションにおいて示されたようなGUIを介して当該オペレーティング・プログラムに対して入力されるのである。
【0057】
「流量計の較正」
各々の流量計モジュールは、それを既知の流量計標準器及び送風機のような真空供給源と共に直列に配置することによって、空気を使用して個別的に較正される。当該流量計モジュールの電気的な接続は、通常の試験設備の中における場合と同様に形成されるので、当該流量センサの差圧、及びガスの絶対圧及び温度は、当該コンピュータに対して入力される。それと同時に、この目的のために開発された較正ソフトウェアの制御の下において、当該流量標準器の流量を決定するために必要とされる当該圧力値及び温度は、当該システム・コンピュータによってすべてが同時に読み取られることになる。当該較正ソフトウェアは、バタフライ・バルブの調節によって選択される各々の流量に関して当該流量標準器を介する流量を決定する。方程式2における当該定数C’は、その後、当該所定の流量計モジュールに関して予測される流量の範囲内における各々の流量セッティングに関して決定され得ることになる。当該予測される流量範囲の全体に渡って個々の値の平均値が使用されるのである。C’の値は、当該予測される範囲に渡って非常に僅かな量だけしか異ならないことになる。結果として生じるC’の較正値は、関連の当該流量計が後続の排気物試験のために使用されるときにはいつでも、当該較正された流量計と、当該オペレーティング・プログラムに対して入力されるデータのアイテムとに関して特有のものである。
【0058】
大抵の軽荷重の車両のエンジン制御システムは、これで、スロットル位置、冷却剤温度、車両速度などのような数多くのエンジン及び車両の運転パラメータを包含するシリアル・データ・ストリームを連続的に出力する能力を有することになる。当該ストリームのフォーマットは、専有のものである。当該OTC拡張モニタ4000である走査器具は、そのような専有のデータ・ストリームを入力し、それを解釈し、当該車両の運転パラメータを包含する二次的なRS232シリアル・データ・ストリームをASCIIコードで出力するという能力を有するものである。
【0059】
本発明は、当該コンピュータによって当該走査器具RS232ポートをインターフェースさせることによって、当該走査器具70のデータ・ストリームのリモート・セットアップ及びアクセスを許容するように成して、当該拡張モニタ4000である走査器具70のケイパビリティを利用する。
【0060】
利用可能であるそのようなデータ・ストリームを有する車両の場合、当該システムは、当該車両の速度vをモニタして、この速度を、各々の連続的なサンプリング・インターバルΔtjに渡って当該車両によって走行される増分距離Δdj
を測定するための根拠として使用するようにして形成されることが可能である。当該増分距離は、以下のように表現され得ることになる。
Δdj=vΔtj
【0061】
アクセス可能なデータ・ストリームを有するものではない車両の場合、当該速度vは、パスファインダー(PATHFINDER…登録商標)トリンブル(Trimble)という全地球位置受信器60のデータ・ストリームから入手されることが可能である。
【0062】
重荷重車両は、典型的には、それらのアクセス可能なストリームの中においてエンジン・トルクを包含する。エンジン・トルクにエンジン速度及び時間を乗算することによって、出力の値が入手され得るのである。従って、そのような重荷重車両に関する質量排気率は、制動・馬力・時間当りのグラム数として表現されることが可能である。
【0063】
「空気燃料比率計」
上述のように、当該空気燃料比率は、ガス状排気物の濃度の炭素バランスに基づいて当該MT3505排気物分析器30によって連続的に計算される。二者択一的に、当該空気燃料比率は、ラムダ・センサを採用する独立した空気燃料NTK比率計26によって提供されることも可能である。当該排気システムの中における当該ラムダ・センサの設置は、当該センサの温度をその機能閾値の上に保つべく、可能な限り当該排気マニホルドに接近しているべきである。当該NTK空気燃料比率計26又は一般のアナログ出力を備えたその他の任意の装置のアナログ電圧出力は、当該コンピュータによってその並列ポートを介して読み取られるデジタル・データに変換されるべく、当該A/Dハードウェアに対して接続されることが可能である。当該データは、その後、リアルタイムで表示されるのである。
【0064】
「GPS受信器(オプション)」
当該全地球位置把握システム(GPS)の磁気取付けアンテナ60は、トリンブル・ナビゲーション社(Trimble
Navigation)によって市販されているものであり、当該ユーザーによって選択されるとき、以下で説明される当該オペレーティング・プログラム(ROVER(登録商標)ソフトウェア)がそれに対して連絡することを許容するように成した、トリンブル・パスファインダー(登録商標)GPS PCカード115及びトリンブルGPSソフトウェアと組合せて使用される。
【0065】
「PM検出器(オプション)」
図4は、初めに説明された実施例のものと類似しているが、粒状物質(PM)検出器80を追加してディーゼル駆動車両用として設計されるように成した、本発明のもう1つの実施例を示している。生の排気ガス・サンプルは、真空ポンプ811を使用して、端部開放式の高温サンプル・プローブ801を介して引き込まれる。当該生のサンプルは、それぞれに2つのフィルタ803,804によって直列に構成される2つのフィルタ・バンクの一方を通過する前に、質量流量コントローラ802を使用して正確に流量調整される可変量のフィルタ処理空気によってミキサー806の中において希釈される。希釈のための空気は、希釈空気ポンプ816によって質量流量コントローラ802に対して送り込まれる。当該希釈されたサンプルの質量流量は、第2の質量流量コントローラ805によって一定に保たれる。当該希釈空気の量は、排気ガス全体の質量流量に比例する当該生のサンプルの質量流量を維持して、釣り合ったサンプルを保証するようにして、リアルタイムで変更される。二者択一的に、当該希釈された質量流量は、質量流量コントローラ802によって希釈の割合を維持しつつ、排気ガス全体の質量流量に比例するようにして、質量流量コントローラ805によって制御されることも可能である。当該粒状物質は、当該連邦手順における場合と同様な様式で当該フィルタの上に残ることになる。それらの初期質量に対して比較される当該試験の終了時におけるそれらのフィルタ803,804の質量増加は、試験を受けている当該車両/エンジンの粒状排気物の質量を測定することを許容する。当該生のサンプル及び当該希釈サンプルの各温度は、モニタされるものであり、いずれかが閾値レベル以下まで下がる場合には、当該生のサンプルは、温度コントローラ817の制御下において当該サンプル・プローブ加熱器要素(図5におけるニクロム線813を参照)を介して加熱される。典型的には、これは、「常温」エンジンの試験の間に実行されることになるものであり、即ち、それは、如何なるときも、凝縮が当該サンプリング・システムの中において形成され得るようにして測定されるのである。更に、当該絶対圧及び当該フィルタ・バンクを横断する当該圧力降下もまた、モニタされる。当該希釈サンプルの流量は、当該圧力降下が閾値を越える以前に完全な試験(当該オペレータが意図していることに応じて)が完了され得るようにして選択される。これは、フィルタ処理されたサンプルが当該PMサンプルの揮発性成分の損失を引き起こすことになる低圧又は高速の環境に置かれていないということを保証するためである。当該連邦手順に対する等値性は、極めて重要である。何故なら、当該連邦手順が、連邦規制に対する適合性を決定するために使用される手段だからである。当該フィルタを横断する当該圧力降下は、更に、当該コンピュータ・データファイルの中において1秒毎に記録されるものでもある。これは、当該選択された試験の間における当該PM排気物質量を知ることを許容するだけでなく、当該データを後処理して、当該PM排気物が、如何なる時点で、エンジン又は車両が如何なる運転条件下にあって、排出されたのかということを(上述のように、当該車両上において検出されるパラメータ値を使用することによって)決定することをも許容することになる。これは、ガス状排気物に関して上述されたものと類似した様式において高いPM排気量の原因を決定するために役立つのである。
【0066】
ソリッドステート・リレー810は、(1)フィルタ803及び804の第1のバンクの間、及び(2)フィルタ803及び804の第2のバンクの間におけるプローブ801からの当該ガス・サンプル流の切換えを許容するように成した、3方向弁を制御する。フィルタの当該第2のバンクは、サンプリングにおける所望の休止のためのバイパスとしても機能することが可能である。
【0067】
図5において理解されるように、プローブ812は、当該プローブ812を加熱するためにセラミック814の中に埋設される当該ニクロム線813から絶縁されるサンプル・プローブと、当該プローブを取り囲む当該排気ガスに対する熱伝達を削減するためのその他の絶縁物の層815とを包含する。
【0068】
図4の当該実施例は、図1において示されたその他のシステム・コンポーネントをも更に包含するものである。
【0069】
「スモーク・メータ(オプション)」
光学容量計900(図4)が、当該システムと組合せて使用されることも可能である。当該スモーク・メータ・ヘッド900は、当該排気ガスの不透明度を光学的に検出するものであり、コンピュータ40に伝送するためのものとしてアナログ電圧信号を当該A/Dコンバータ16に対して伝送する。テロニック・バークリー・モデル(Telonic Berkeley
Model)300の計器は、当該スモーク・メータ即ち光学密度計900として好適に使用される。
【0070】
「オペレーティング・プログラム」
本発明の当該システムのオペレーションのためのプログラムの1つの好適な実施例が、図8及び図9において示された当該フローチャートによって図示されている。
【0071】
図8の当該フローチャートは、試験を受けるべき当該車両に対して搭載された後における当該排気物通報システムのオペレーションのための好適な主要オペレーティング・プログラム(ROVER(登録商標)ソフトウェア)を示している。当該オペレータは、図10において示された当該グラフィカル・ユーザー・インターフェースの利用可能な選択によって如何なるデータが収集されるべきであるのかということを指定する(ステップS1)。その後、当該プログラムを開始させる(ステップS2)と直ちに、ドキュメンテーション・ウィンドウが開き、当該車両及び実行されるべき試験に関する通達を入力する(ステップS3)ことを技術者に許容することになる。それらの通達は、当該コンピュータ・キーボード41を使用して入力される。試験前の当該ドキュメンテーションが完了すると、当該ドキュメンテーション・ウィンドウが閉じ、当該プログラムは、当該所望のデータを連続的に捕捉して、必要な計算を実行し(ステップS4)、当該排気物及び車両のデータを当該コンピュータ・スクリーンの上及び記憶されるコンピュータ・ファイルの中において表示する。当該プログラムは、当該オペレータによって停止されるまで、このオペレーションのモード(S4のループ)に留まることになる。一旦、当該オペレータが当該プログラムを停止させることを選択する(ステップS5)と、当該ユーザー・ドキュメンテーション・ウィンドウは、当該コンピュータ・スクリーン上において再び開き、試験後のドキュメンテーションと当該車両及び実施されたばかりの試験に関する通達とを入力する(ステップS6)ことを許容するのである。
【0072】
図9は、図8の当該「連続測定ループ」(S4)に関するサブルーチンを示している。各々の繰返しの間において、且つ典型的には1Hzである設定周波数において、生のデータが、図示されたソースS401−S405の各々から収集される。それらのソースの各々に付随して周知の特性である小さな時間遅延が存在するので、時間ベースの調節が、図示されたようにして適用される(S406−S410)。加えて、当該分析器によって測定された当該ガス濃度は、当該分析器への途上にある当該サンプル管に沿って発生する水蒸気の凝縮に関して補正される(S411)。標準条件における排気ガスの流量は、当該適切な物理装置に対してスケーリングされる当該アナログ入力電圧を使用して、方程式4に従って測定される(S412)。当該補正されたガス濃度及び排気ガスの流量からは、質量計算が、その後、当該既知のガス密度の追加パラメータのみを使用して実行される(S415)。更に、当該速度信号(S413)及び繰返し時間(S414)を追加して、1マイル当りのグラム数が、当該繰返しに関して測定されるのである(S415)。当該データは、その後、当該コンピュータ・スクリーン上において表示され(S416)、コンピュータ・データファイルに対して記憶されることになる(S417)。
【0073】
「排気ガス接続部及びモジュール・サポート」
図7は、乗用車100の後部に装着される流量計/ガス・サンプリング・プローブ・モジュール10を示している。本発明の当該モジュール10を車両100の当該排気管4に対して接続するための接続手段の1つの具体例は、直管部分11の上流端部に対してクランプ取付けされるスチール管エルボー17と、エルボー17の上流端部及び当該排気管101に対してホース・クランプ91及び92によって接続されるエラストマー・ブーツ90との組合せとして示されている。当該エラストマー・ブーツは、車両の排気管を排気物試験において使用される従来的な(固定式の)試験台に対して接続するために使用される形式のものである高温耐性シリコーンゴム管であることが可能である。絶縁コンジット99は、当該モジュール10から当該ガス分析器30まで達する当該サンプル管を担持するものであり、当該圧力トランスデューサ501,502、熱電対15などから当該A/Dコンバータ16に至り、その後、コンピュータ40にまで至ることになる。
【0074】
本発明の当該モジュールを支持するための当該手段は、図7では、車両100のシャーシに対して接続されるロッド95,96によって支持されることになる、1対のパイプ・ハンガー93,94として示されている。ゴムのストラップ97,98は、当該モジュール10のために更なるサポートを提供するものとして機能する。その他の手段が、当該流量計モジュールを安全に徹して固定するために使用されることも可能である。
【符号の説明】
【0075】
4 排気管
8 平行翼板
10 流量計モジュール
11 直管部分
12 サンプリング管
13 流量検出要素
14 圧力検出器
15 温度プローブ
17 接続手段
30 ガス分析器
40 計算手段
50 圧力検出器
80 エンジン・コンピュータ
90 接続手段
91 接続手段
92 接続手段
93 サポート手段
94 サポート手段
95 サポート手段
96 サポート手段
100 車両
131 棒材
131c 第1流路
131d 第2流路
131e 第1列の開口
131f 第2列の開口
141 環状ジャケット
142 孔
501 圧力トランスデューサ手段
801 端部開放式ガス・サンプリング管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行運転時における車両(100)の排気管に対して接続される流量計モジュール(10)であって:
直径Dの断面を備えた開放内部を有する直管部分(11)を包含するモジュール・ハウジングと;
前記直管部分(11)を当該車両(100)のボディ部分に対して取り付けるためのサポート手段(93,94,95,96)と;
前記直管部分(11)の一方の端部を当該排気管(4)に対して接続し、当該排気管(4)から前記開放内部を介して流れる排気ガス流を設けるように成した、接続手段(17,90,91,92)と;
前記直管部分(11)の当該開放内部を介する当該排気ガス流の速度を測定するために前記直管部分(11)の中に装着されるように成した、流量検出要素(13)と;
当該排気ガスのサンプルを入手して、当該サンプルをガス分析器(30)に送り込むために前記流量検出要素(13)に対して固定された位置において前記開放内部の中に延在するように成した、ガス・サンプリング管(12)とを含んで成るように成した、
頭記走行運転時における車両(100)の排気管に対して接続される流量計モジュール(10)。
【請求項2】
前記流量検出要素(13)は、少なくとも直径Dの主要な部分を横断して前記開放内部の中に延在する棒材(131)を含んで成り、前記棒材(131)は、前記直管部分(11)の上流端部に面して、前記棒材(131)の中において長手方向に延在する第1流路(131c)に対する当該排気ガスの連絡を設けるように成した第1列の開口(131e)と、前記直管部分(11)の下流端部に面して、前記棒材(131)の中において長手方向に延在する第2流路(131d)に対する当該排気ガスの連絡を設けるように成した第2列の開口(131f)とを有するように成し;
前記第1及び第2の流路(131c,131d)のそれぞれの中における上流及び下流の圧力の間の差を検出するための圧力トランスデューサ手段(501)をも含んで成るように成した、請求項1に記載の流量計モジュール(10)。
【請求項3】
前記流量検出要素(13)に隣接する当該排気ガス流の圧力を検出するための圧力検出器(14)と;
前記流量検出要素(13)に隣接する当該排気ガス流の温度を検出するための温度プローブ(15)と;
前記上流及び下流の圧力の間の差に基づいてガス流量を計算し、当該検出された温度及び当該検出された圧力に基づいて当該計算されたガス流量を補正するように成した計算手段(40)とを更に含んで成る、請求項2に記載の流量計モジュール(10)。
【請求項4】
当該排気ガス流を整流するために前記流量検出要素(13)の上流において前記開放内部の中に装着されるように成した、多数の平行翼板(8)を更に含んで成るように成した、請求項1に記載の流量計モジュール(10)。
【請求項5】
当該流量検出要素(13)に隣接する当該排気ガス流の圧力を検出するための圧力検出器(14)を更に含んで成り、前記圧力検出器(14)は、前記直管部分(11)の外側の廻りにおいて密閉される環状ジャケット(141)と、前記直管部分(11)を貫通して延在し、前記直管部分(11)の周囲の廻りにおける円の中に配列されるように成した多数の離間配置される孔(142)とを含んで成り、前記多数の孔(142)は、前記環状ジャケット(141)と流体連絡して、前記開放内部と前記環状ジャケット(141)と圧力検出器(50)の間における流体連絡を設けるように成した、請求項1に記載の流量計モジュール(10)。
【請求項6】
前記圧力検出器(14)は、前記直管部分(11)の外側の廻りにおいて密閉される環状ジャケット(141)と、前記直管部分(11)を貫通して延在し、前記直管部分(11)の周囲の廻りにおける円の中に配列されるように成した多数の孔(142)とを含んで成り、前記多数の孔(142)は、前記環状ジャケット(141)と流体連絡して、前記開放内部と前記環状ジャケット(141)と圧力トランスデューサ(50)の間における流体連絡を設けるように成した、請求項3に記載の流量計モジュール(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−103723(P2009−103723A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29502(P2009−29502)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【分割の表示】特願2000−527814(P2000−527814)の分割
【原出願日】平成11年1月5日(1999.1.5)
【出願人】(500311923)ユナイテッド ステイツ エンバイロメンタル プロテクション エージェンシー (5)
【Fターム(参考)】