説明

流量調整システム、および空気により運ばれる検体を検出するための前記流量調整システムを備える監視装置

少なくとも1つのポンプと、質量流量センサと、周囲温度センサと、周囲圧力センサと、前記質量流量センサの温度を測定する温度補償センサと、制御システムとを備える安定した空気流量を維持するための流量調整システムが開示され、前記流量調整システムを用いて流量を測定するための方法、サンプリング装置と、濃縮トラップ1と、較正およびチューニングモジュールと、ブランクモジュールと、前記流量調整システムと、クロマトグラフィーユニットと、検出ユニットとを備える気相と粒子相との両方における空気中に存在する空気により運ばれる化合物を監視するための装置、ならびに前記監視装置を用いて空気流中の空気により運ばれる化合物を検出するための方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのポンプと、質量流量センサと、周囲温度センサと、周囲圧力センサと、前記質量流量センサの温度を測定する温度補償センサと、制御システムとを備える安定した空気流量を維持するための流量調整システム、および前記流量調整システムを用いて空気流量を測定するための方法に関する。
【0002】
本発明は、また、気相と粒子相との両方において存在する空気により運ばれる化合物を監視するための監視装置において、サンプリング装置と、濃縮トラップと、較正およびチューニングモジュールと、ブランクモジュールと、前記流量調整システムと、クロマトグラフィーユニットと、検出ユニットとを備える監視装置、および前記検出のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
曝露された個人の健康に影響を与える可能性がある空気により運ばれる化合物の監視に対する明らかな需要が存在する。化合物のレベルが十分に低いことを保証するために行政体により設定された職業上の曝露限界値を有する化合物についての大きい関心が存在する。多くの場合、空気汚染物質がどのような物質で構成されるかは知られておらず、この理由のため、これらの「未知の」化合物の性質についてのさらなる詳細を学び、最も支配的な化合物の素性を明らかにすることが関心の対象である。別の関心対象分野は、例えば「真の」換気効率を確認するために空気中におけるこれらのレベルを低下させるための方策、または空気レベルを制御する他の方策の効果を研究および確認することである。また、この目的のための装置は、圧縮空気および呼吸保護装置における空気の品質を監視するためにも用いることが可能である。かかる装置の他の適用分野は、例えば、食物中に存在する異なる揮発性化合物の制御である。かかる化合物は、特定の食物成分の劣化についてのマーカとして、または十分な品質を保証するために原材料を監視するために、用いることが可能である。また、かかる装置は、他の化合物が食物を汚染していないことを保証するためにも用いることが可能である。病院において、かかる装置は、例えば麻酔ガスの空気レベルを確認するために、および職員、患者、または他の人が有毒なレベルに曝露されていないことを保証するために、用いることが可能である。化学兵器剤は、その存在を明らかにするために、および個人が曝露されていないことを保証するために、確認される必要がある化合物である。
【0004】
環境分析では、都市、公共の場所、および自然における空気の品質を監視する必要がある。1つの目的は、統計的研究用のバックグラウンドデータを得て、レベルが国内および国際団体により設定されたレベルを下回るかを確認することである。また、それらのデータは、産業性汚染物質が排出された結果、自然または居住エリアにおいて曝露が生じるかを確認するためにも用いることが可能である。得られたデータは、決定および特定の状況の解釈に影響を与える可能性がある。このため、十分に高い品質のデータに対する需要が存在する。
【0005】
気相と粒子相との両方において発生する大気汚染物質の多くの例が存在する。下気道に到達する可能性がある粒群が特別な関心の対象である。毒性は、化学的性質それ自体のみでなく、人体における異なる標的器官への分布によっても異なると思われる理由がある。空気中に存在する呼吸可能な粒子分への曝露についてより多くを知る必要性が存在する。
【0006】
空気により運ばれる化合物を監視するための数多くの装置が存在し、多様な技術が用いられている。原則的に、装置は、選択的装置と非選択的装置とにグループ化することが可能である。非選択的装置は、いくつかの化合物に対して応答を与え、2つまたはいくつかの化合物を区別せず、誤った肯定的な結果を生じ得る。かかる装置は、恐らくは低いコストのために、今日も依然として用いられている。多くのアプリケーションにおいて、誤った肯定的な結果により、無効なデータにより費用がかかる測定が行われれば、高いコストがユーザに生じる可能性がある。
【0007】
選択的装置は、選択された化合物または化合物群に対して特定の応答を与える。存在する他の化合物は、結果に干渉しない。誤った肯定的な結果が生じる頻度は、非選択的監視と比較してはるかに低い。得られるデータの品質は、非常に重要である。データの品質を説明する典型的な因子には、反復性、再現性、線形性(切片およびバックグラウンドを有する較正グラフ特性)、検出限界、および定量化限界がある。加えて、他の化合物からの干渉に関する知識が必要である。特定の化合物は、それ自体は応答を生じさせない場合であっても、結果に影響を与える可能性があることに言及しておく必要がある。
【0008】
空気により運ばれる化合物を検出するための同様の手法には、例えば、光イオン化検出器(PID、Thermo Scientific,Franklin,MA,USA)、炎イオン化検出器(FID、Thermo Scientific,Franklin,MA,USA)、赤外線検出器(IR)、可搬型ガスクロマトグラフィー(GC)−PID(PID Analyzers,Pembroke MA,USA)、可搬型GC−質量分析計(MS、Inficon Inc.,New York,USA)、GC−DMS((差動式移動性分光法)、Sionex Inc.,Bedford,MA,USA)が含まれる。すべての手法は、特定の検体に対して応答を与えるが、濃度を知るためには、多かれ少なかれ緻密な較正曲線からの情報を用いて応答を濃度に変換する必要がある。上記の手法の多くについて、応答は、経年変化、検出器の汚染(信号を低下させる)、および他の変数により時間とともに変化する。
【0009】
上述のGC−DMS手法は、MicroAnalyser器具(Sionex Inc.,Bedford,MA,USA)において用いられている。GC−DMS手法は、化合物の揮発性に関してはGC分離に基づき、サイズ形状、電荷などの他の分子的特性に関してはDMSセンサにおける分離に組み合わせられる。
【0010】
現行型の器具には、いくつかの欠点が存在する。PIDおよびFIDでは、個々の化学物質の識別が不可能である。PIDおよびFID検知器は、VOC(揮発性有機化合物)の合計を測定する。赤外線検出器には、推定についての問題がある。IR検出器は、他の干渉する化合物が存在するときは、低濃度のVOCを監視する際に用いることが不可能である。
【0011】
GC−PID(例えばEnvironment s.a(www.environnementsa.com)のVOC71M)およびGC−DMS器具(例えばSionex Inc.,Bedford,MA,USA)を用いる直接監視については、検体の不正確な識別および定量化に通じる限界が存在し、外部から補足的に事前または事後較正を行う必要がある。既存の製品については、現場で自動的に較正を行うことが不可能である。さらに、サンプリング時間と決定された濃度との間に非線形的関係が発生する問題があり、それにより、量が較正範囲を越える場合は長時間のサンプリングを行うことができない。さらに、ある体積が収集されると、体積に対して較正が行われる必要があり、恐らくは周囲温度および空気圧について修正する必要がある。特定サンプリング体積の容器または吸収剤によりある体積をサンプリングし、続いて昇温脱離(吸収剤の場合)を行い、その後収集された化合物をGCに注入すると、クロマトグラフのピークは、クロマトグラフィーの解像度が影響を受けるように広げられる。
【0012】
既知の手法における別の問題は、大きく異なる濃度を有する異なる検体を分析することである。サンプリングシステムに導入された化合物は、分析対象サンプルにキャリーオーバーの問題およびメモリ効果を引き起こす。実際、環境からの真のサンプルが収集される前後にベースラインまたはバックグラウンドまたはブランクを表すサンプルが分析されるのでなければ、推定された濃度が真であることを保証する実際的な手段は存在しない。
【0013】
このエリアにおける別の重要なパラメータは、検出のために用いられる装置において検出される化合物、すなわち検体を含む気体の流量である。空気中の化合物をサンプリングしている間、サンプル中の含有量と収集された空気の体積との間に直接の相関があるため、サンプリング装置を通る空気の取得量の流量および体積を制御および記録することが可能であることが重要である。また、同時にいくつかのサンプルを取ることも、3つの理由から、より正確には特定のサンプルの精度を増加させ、誤ったサンプルを検出し、および異なる化合物を同時に取得するために、重要である。サンプリング結果を取り扱う際は、サンプルの収集方法、時間、流量、温度、圧力、および湿度を追跡することが可能であることも重要である。
【0014】
サンプリング中に安定した流量を維持する既存の解決策は、長時間に亘り安定した流量を維持することが判明しておらず、現場での較正を要求する。サンプリング速度が正確で長時間に亘り変化しないことを保証するために、サンプリング前後に流速を較正する必要がある。また、記録機能も欠落している。
【0015】
試行された既存の解決策には、圧力差センサが流量システムの背圧における変化が発生したことを示し、この変化を補償するようにポンプ制御信号を調節するSKC AirChekポンプ(www.skcinc.com参照)がある。しかし、この解決策は、時間とともにドリフト誤差が生じることが判明しており、そのポンプに特定の流量を設定するために外部の流量計を用いる較正が要求される。
【0016】
別の既存の解決策には、Casella Apexポンプシステム(www.casellameasurement.com参照)がある。このシステムは、記録機能、記録データをPCに転送する機能、およびディスプレイおよびボタンを介して流量を制御する機能を有する。本発明の発明者らは、2006年にこれらのポンプに試験を行ったが、結果はその仕様と一致せず、特定の背圧を生じさせるサンプラをポンプに取り付けたところポンプは安定した流量を保つことができなかった。高い背圧を有するサンプラについては、Casella Apexはまったく役に立たなかった。
【0017】
既存のポンプシステムの問題は、それらに組み込まれた流量センサが流量センサの電子装置の温度とともに変更し得ることである。気体流量を実際に測定するために異なる手法を用いるほとんどの流量センサは、測定された流量に対応する出力電圧信号を有する。しかし、出力信号は、流量センサにおける電子装置コンポーネントの温度により容易に影響される。
【0018】
空気により運ばれる化合物を検出するための既存の装置におけるさらなる問題は、異なる検体化合物およびシステムを通過した検出される関心の対象でない他の化合物に鑑みシステムにおいてメモリ効果が発生することである。この現象により、不正確かつ誤った検出結果が生じる。器具は、ほとんどの場合、十分に柔軟であり、測定スポットから器具までを配管で接続する必要がある。配管は、多くの場合、長くすることが可能であり、特定の体積を含む。代表的サンプルが器具およびサンプリング装置に導入されるために、その体積は、配管の体積と比較して数倍の体積で洗浄される必要がある。
【0019】
これに鑑み、空気により運ばれる化合物または検体を検出するための改良された直接監視装置、およびかかる化合物または検体を検出するための改良された方法に対する大きい需要が存在する。
【0020】
さらに、空気により運ばれる化合物を上述のように検出するための監視装置のための改良されたポンプ、正確な測定のために要求される適正な圧送性能を提供する機能を有するポンプに対しても大きい需要が存在する。
【発明の概要】
【0021】
本発明の目的は、上述の問題を解消し、異なる関心対象場所における空気により運ばれる検体の検出を改良する装置および方法を提供することである。
【0022】
本発明によれば、この目的は、付帯の独立請求項に記載の流量調整システムを含む監視装置、空気により運ばれる検体を検出するための方法、および前記流量調整システムを用いて流量を測定するための方法により達成される。有用な実施形態が従属請求項に記載されている。
【0023】
一態様によれば、本発明は、安定した空気流量を維持するための流量調整システムにおいて、少なくとも1つのポンプと、少なくとも1つの質量流量センサと、周囲温度センサと、周囲圧力センサと、前記質量流量センサの温度を測定する温度補償センサと、制御システムとを備える流量調整システムに関する。上述のセンサから制御システムへの入力は、安定した質量流量を保つために前記少なくとも1つのポンプを調整するように適合されている。
【0024】
別の態様によれば、本発明は、気相と粒子相との両方における空気流中に存在する空気により運ばれる化合物を検出するための監視装置において、サンプリング装置と、濃縮トラップと、較正およびチューニングモジュールと、ブランクモジュールと、前記流量調整システムと、クロマトグラフィーユニットと、検出ユニットとを備える監視装置に関する。
【0025】
さらなる態様によれば、本発明は、本発明による監視装置の使用により空気により運ばれる検体を検出するための方法において、本方法は:
a)異なる検体の基準を含む1つ以上の異なる較正およびチューニングモジュールを監視装置に挿入するステップと、
b)空気により運ばれる検体を含む空気流と試薬とをサンプリング装置に導入し、サンプリング装置において互いに反応させるステップと、
c)サンプリング装置に吸着された検体を放出するため、サンプリング管、フィルタ、および吸収剤、または第1の吸収剤、フィルタ、および第2の吸収剤を含むサンプリング装置を加熱するステップと、
d)前記サンプリング装置から放出された検体を1つ以上の濃縮トラップにおいて収集するステップと、
e)検体をクロマトグラフィーステップにかけるステップと、
f)検体を量的および質的に検出するステップと
が連続的に行われる方法に関する。
【0026】
さらに別の態様によれば、本発明は、上記による前記流量調整システムを用いて流量を測定するための方法に関する。本方法は:
質量流量センサを用いて質量流量を測定するステップと、
前記温度補償センサを用いて質量流量センサの温度を測定するステップと、
温度に関連する誤差の所定の較正および前記温度補償センサからの測定信号により質量流量測定値を調節するステップと、
測定された質量流量、周囲温度、および周囲圧力を用いて前記質量流量測定値から体積流量を算出するステップと
を含む。体積流量の算出は、質量流量、周囲温度、および周囲圧力の前記測定値、ならびに理想気体の法則を利用して行われる。
【0027】
背圧センサにより、空気のサンプリングがどのように進行しているか、およびサンプリングの品質についての情報を提示するために空気のサンプリングがどのように記録されているかをリアルタイムで監視することが可能になる。さらに、背圧センサおよび/または質量流量センサにより、流量脈動特性を監視することが可能になる。これにより、相殺パルスを生じさせる装置を導入することにより流量脈動を低減することが可能になる。
【0028】
流量調整システムは、積層させるか、または収集された空気サンプルを検証するための流量調整システムのクラスタの一部であることが可能である。いくつかの流量調整システムを積層させた状態で、同時のサンプル収集を行うことが可能である。前記流量調整システムの2つが同時に用いられ、前記システムの一方が他方の例えば半分の流量を有するとき、ブレイクスルーまたはサンプルの過負荷を評価することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明による方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【図2】図2は、本発明による監視装置における1つ以上の濃縮トラップに接続されたサンプリング管の実施形態を示す。
【図3】図3は、本発明による監視装置における1つ以上の濃縮トラップに接続されたサンプリング管の実施形態を示す。
【図4】図4は、本発明による監視装置における1つ以上の濃縮トラップに接続されたサンプリング管の実施形態を示す。
【図5】図5は、本発明による監視装置における1つ以上の濃縮トラップに接続されたサンプリング管の実施形態を示す。
【図6A】図6Aは、本発明による粒径選択的サンプリング装置の一実施形態を示す。
【図6B】図6Bは、図6Aに示すサンプリング装置のインパクタ13を詳細に示す。
【図7】図7は、本発明による監視装置における較正およびチューニング装置の一実施形態を示す。
【図8A】図8Aは、本発明による監視装置における気体流量調整システムおよびコンピュータ調整ポンプの一実施形態を詳細に示す。
【図8B】図8Bは、本発明による監視装置における気体流量調整システムおよびコンピュータ調整ポンプの一実施形態を詳細に示す。
【図9】図9は、本発明による方法において用いられるサンプリングシーケンスの例を示す。
【図10】図10は、サンプリングシーケンスからのGC−DMSクロマトグラムを示す。
【図11】図11は、繰り返されたベンゼン測定からのGC−DMS応答を示す。
【図12】図12は、熱差動式流量センサの温度応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明者らは、本発明による監視装置および空気により運ばれる検体を検出するための方法を提供することにより、異なる環境における空気により運ばれる化合物の検出のエリアにおける既知の手法に関連する上述の問題を解消または低減した。
【0031】
検出される関心の対象である検体は、一般に、以下を含む:
溶媒:1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1−ブタノール、1−ブタノン、2−メチルナフタレン、4−メチルベンズアルデヒド、アセトン、アセトニトリル、アセトフェノン、アセトアルデヒド、アセチレン、ベンズアルデヒド、ベンゼン、ブロモメタン、COS(硫化カルボニル)、シアヌル酸、シアン、塩化物、シクロヘキサン、デカン、ジクロロメタン、ジメチルエーテル、DIMP、DMMP、DPM、エタノール、酢酸エチル、エチルベンゼン、ユーカリプトール、フルオロエタン1112/フレオン134a、フレオン22CFFM、フレオン152a、ヘキサデカン、ヘキサナール、ヘキサン、塩酸、イソブチレン、イソプロパノール、mキシレン、メタノール、酢酸メチル、メチルシクロヘキサン、MES(硫化メチルエチル)、サリチル酸メチル、ナフタレン、二酸化窒素、ノナナール、oキシレン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタン、pキシレン、ペンタメチル−ジエチレントリアミン、ペンタン、スチレン、二酸化硫黄、TBM(tert−ブチルメルカプタン)、テトラリン、テトラヒドロチオフェン、トルエン、トリデカン、トリス(1−クロロ−2−プロピル)ホスフェート、尿素、ならびにイソシアネート、イソチオシアネート、アミン、アルデヒド、ケトン、エーテル、エステル、フェノール類などの官能基を含む化合物。
爆薬:AN、DNT、EGDN、TATP、o−MNT、DMNB、p−MNT、NG、HMTD、RDX/C4、TNT、PETN、テトリル
化学兵器剤:VX、GA(タブン)、GB(サリン)、GD(ソマン)、GF(シクロサリン)、HD(硫黄マスタード)、L(ルイサイト)、HN3(窒素マスタード)、AC(シアン化水素)、CK(塩化シアン)、しかし原則的に、空気流中に存在するいずれの化合物も、サンプラ内に捕集することが可能であれば、本発明を用いて検出することが可能である。本願の文章を通じて用いられる「検体」との用語は、分析対象空気流中で検出される具体的な化合物または化合物群を意味することが意図される。また、「サンプル化合物」または「検体化合物」との用語も、同意語として用いることが可能である。
【0032】
本発明は、軍隊、石油産業、化学産業、製油産業、プラスチック産業、航空産業、食品産業、化粧品産業、呼吸保護装置産業において、環境分析、作業環境分析、品質管理に関連して、および報知器具として、特に環境および作業環境アプリケーションにおいて有用であるが、原則的に不健康的または他のいずれかの理由により不利益な空気により運ばれる化合物が存在することが疑われるいずれのエリアにおいても有用である。
【0033】
図1は、本発明による方法の一実施形態を概略的に示す。空気サンプルがサンプル入口を介してサンプリング装置に導入される。ブランクもブランク入口を介してサンプリング装置に導入される。検体がサンプリング装置において収集され、次いで、昇温脱離が行われ、検体は、サンプリング装置を出て濃縮トラップに輸送される。さらなる昇温脱離ステップ後、検体は、濃縮トラップから出て、次いで、クロマトグラフィーにより分離される。次いで、検体は、イオン化されてイオンフィルタを通され、続いて質的および量的検出ステップが行われる。
【0034】
空気または大気をサンプリング装置に配送する入口が存在する必要がある。入口は、サンプリング装置を通じてサンプリング大気から規定された空気流を配送すべきである。入口は、分析対象の空気をサンプリング装置に輸送する間の毛管の壁と検体との間の表面相互作用を最小化する加熱された毛管であってもよい。任意選択により、例えば空気流が監視装置からある距離だけ離れているときなど、空気流を高い信頼性で測定可能な場所に監視装置を編成することが困難なエリアにおいてサンプリングを容易にするため、入口の開口に取り付けられた筒状装置を入口に設けてもよい。1つまたはいくつかの配管または搬送ラインを器具またはサンプリング装置に取り付けることが可能である。
【0035】
本発明による監視装置は、監視装置に導入された空気流中の検体をサンプリングするためのサンプリング装置を備える。空気流中の気体と粒子との両方を効率的に制御下でサンプリングすることが要求される。本発明のサンプリング装置は、空気流の気相および/または粒子相において存在する検体間を区別する機能を有する。この区別機能を有する同様のサンプリング装置(EasySampler)が国際公開第00/75622号パンフレットおよび米国特許出願公開第2006−0239857号(Gunnar SkarpingおよびMarianne Dalene)において開示されている。図2〜図5を参照して、サンプリング装置に関する4つの異なる実施形態を以下で開示する。
【0036】
第1の実施形態において、デヌーダとも呼ばれるサンプリング管8を用いて、監視装置の入口に導入された空気流2の気相における検体が収集され、フィルタ5を用いて、前記空気流2の粒子相における検体が収集される。図2から分かるように、フィルタ5は、空気流2がまずサンプリング管8を通過し次いでフィルタを通過するように、サンプリング管8の下方に編成されるとともにサンプリング管8に接続されている。分析対象の空気流2の導入と同時に、試薬3の流れが別の入口を介してサンプリング装置に押し込まれる。サンプリングステップ中、空気流2の気相における検体は、サンプリング管8の壁上で吸収され、そこで導入された試薬と反応する。また、サンプリング装置は、気相の検体を収集するためのキャリア4を含んでもよい。前記試薬は、反応性検体と反応して反応性検体をさらなる劣化から保護する揮発性化合物である。反応生成物は、次いで、昇温脱離されて分析される。例えば、検体がイソシアネートである場合、試薬は、DBA(ジ−n−ブチルアミン)または別の種類の第2級アミンである。検体を運ぶ粒子は、サンプリング管8において収集されない。代わりに、サンプリング管8を通過してフィルタ5に到達する粒子上の検体は、フィルタ5に存在する試薬と反応し、前記フィルタ5上で収集される。前記粒子は、次いで、フィルタ5上で捕集される。フィルタ5上で捕集された粒子から出た気相の検体を収集するための吸収剤6が、フィルタ5の下方に配設されるとともにフィルタ5に接続されている。サンプリングステップ(10秒〜最大数時間)後、サンプリング装置の異なる部分(サンプリング管8、フィルタ5、吸収剤6)の昇温脱離ステップが行われ(50〜400℃、10秒〜数時間、電気抵抗ヒータまたはペルチェ素子またはマイクロ波加熱で加熱)、サンプリング装置の前記部分の各々から検体が放出される。検体の濃度または気体および粒子の濃度を別々に決定するために、第1の実施形態による昇温脱離は、図2に示すように、サンプリング管8、フィルタ5、および吸収剤6について別々に行われる。昇温脱離ステップ中にサンプリング装置の異なる部分から出た検体は、図2に示すように、配管/導管/管9を介してサンプリング装置の前記部分の各々からの出口を通じて輸送され、次いで、フォーカシングトラップ1上でそれぞれ捕集される。
【0037】
全体的な検体の濃度を決定するために、第2の実施形態によれば、サンプリング装置の全体について昇温脱離が行われ、サンプリング装置の異なる部分から放出された検体は、図3に示すように、吸収剤6の底における出口7を介して、導管9を介して濃縮トラップ1に輸送される。
【0038】
図4に示す第3の実施形態によれば、空気流2の気相における検体を収集するためにサンプリング装置8の代わりに筒状吸収剤10が用いられる。従って、この第3の実施形態におけるサンプリング装置は、第1の吸収剤10と第2の吸収剤6との両方を備える。それ以外は、前記第3の実施形態によるサンプリング装置の作用は、第1の実施形態の作用に対応する。さらに、図5に示す第4の実施形態によれば、サンプリング装置の全体における全体的な検体の濃度を、第2の実施形態に開示された方法で決定することができる。
【0039】
図2および図3は、安定誘導体に誘導体化された反応性化合物(例えばイソシアネート)のサンプリングを示す。サンプリング後、検体は、昇温脱離され、濃縮トラップに輸送される。濃縮トラップ上での捕集後、化合物は、昇温脱離され、クロマトグラフィーカラムに注入される。図3では、異なるサンプラの部分8、5、および6における検体がともに分析され、すべての検体の合計が1回のクロマトグラフィーにおいて分析される。図2では、異なるサンプラの部分8、5、および6における検体が別々に分析される。気相および粒子相における検体に関する情報が得られる。加えて、吸収剤6を分析することにより、フィルタ5におけるサンプルを逃れた検体に関するデータが得られる。
【0040】
図4および図5では、ベンゼン、トルエンなどの非反応性化合物についてサンプリングが行われる。サンプリング後、検体は、昇温脱離され、濃縮トラップに輸送される。濃縮トラップ上での捕集後、化合物は、昇温脱離され、クロマトグラフィーカラムに注入される。図5では、異なるサンプラの部分8、5、および6における検体がともに分析され、すべての検体の合計が1回のクロマトグラフィーにおいて分析される。図5では、異なるサンプラの部分8、5、および6における検体が別々に分析される。気相および粒子相における検体に関する情報が得られる。加えて、吸収剤6を分析することにより、フィルタ5におけるサンプルを逃れた検体に関するデータが得られる。
【0041】
図6Aにおいて、空気により運ばれる化合物のための本発明による粒径選択的サンプリング装置の例が提示されている。典型的には100nmよりも大きい直径を有する大きい粒子を除去するため、サンプリング装置の入口にプリセレクタ11が編成されている。プリセレクタ11は、大きい粒子を除去し、それらの粒子がサンプリング装置のデヌーダ8(サンプリング管)に進入することを防止するという目的を有する。プリセレクタ11における流れ方向が変更され、大きい粒子がプリセレクタ11において堆積する。デヌーダ8におけるキャリア4が気相の化合物を収集する。例えばイソシアネートの場合、デヌーダ8は、酢酸とジ−n−ブチルアミン(DBA)との混合物で被覆されたガラスフィルタで内側が覆われている。イソシアネートは、DBAと効率的に反応して安定した尿素誘導体となり、デヌーダ8において捕集される。続いて、吸入可能(<100nm)または呼吸可能(<4μm)なサイズよりも大きい粒子を分離する(遮断する)ため、インパクタプレート13が編成されている。管13:4を通過した分離された粒子は、フィルタ12において収集される。図6Bに示すように、流れは、線形流を速める小ノズル13.2を有するコーン13:1を通過する。流れストリームは、前記粒子を捕集するインパクタプレート13:3に方向付けられる。インパクタプレート13:3は、粒子が衝突して堆積および保持される小さい板であることが可能である。代替として、インパクタプレート13:3は、遮断サイズよりも大きい粒子を主たる流れストリームから分離するために、主たる流れの約1/5〜1/1000、典型的には1/10の小さい流れを有する管13:4に接続される。さらに続いて、吸入可能または呼吸可能な粒子を収集するフィルタ5が編成されている。かかる呼吸可能または吸入可能な粒子は、前記フィルタ5(例えば0.4μm)上で効率的に収集される。一実施形態において、前記フィルタ5は、DBA−酢酸が含浸されている。サンプリング中、フィルタ5は、デヌーダ8から蒸発したDBAで洗浄される。これにより、イソシアネートの効率的な誘導体化が可能になる。
【0042】
イソシアネートのためのインパクタ13について説明した。インパクタ13は、粒子により運ばれる他の空気により運ばれる有機および無機の化合物についても用いることが可能である。さらに、インパクタ13は、<100μmの他のサイズの粒群を分離するように修正することが可能である。スタンドアローン型サンプラとしての粒径選択的サンプリング装置について説明したが、直読式器具の一体化された一部であることも可能である。
【0043】
本粒径選択的サンプリング装置は、本発明による監視装置におけるサンプリング装置として有用である。さらに、前記粒径選択的サンプリング装置自体が過去に既知でないため、本発明は、粒径選択的サンプリング装置自体に関するものでもある。
【0044】
本発明による監視装置は、また、監視装置に対して取付可能および取外可能な較正およびチューニングモジュールも備える。前記較正およびチューニングモジュールは、検出される検体に鑑み1つ以上の異なる基準化合物を含むカセットに設けてもよい。所望されるときは、本モジュールを、同じまたは他の基準化合物を有する新しいモジュールで置換してもよい。
【0045】
すべての電子監視装置は、工場において較正される必要があり、現場において較正が検証される必要があることが周知である。既知の手法における監視装置は、較正機能を有さないか、または例えば上述のSionex社のGC−DMS器具などの複雑なまたは費用がかかる較正方策を要求する。較正は、ブランクおよび異なる濃度レベルの基準標準を分析することにより行われる。
【0046】
本発明による較正およびチューニングモジュールは、ユーザの介在をほとんど要求しない。較正モードの間、較正およびチューニング装置に接続されたコンピュータが自動的にフローバルブ、タイミング、およびデータ分析を管理する。ユーザの相互作用が要求される数少ないステップでは、ユーザは、各ステップを説明するユーザフレンドリなグラフィカルインターフェイスを介して案内される。ユーザが較正パラメータの全制御を行う高度較正モードも利用可能である。工場での較正と合わせて、連続的なチューニングおよび較正を行うことにより、非線形データと結果との間の関係が関連する区間内において厳密に単調である限り、非線形データを線形的な結果に変換する較正データが利用可能であることが保証される。この変換は、関与するコンピュータのソフトウェアにおいて行われる。
【0047】
較正ステップの間、規定された濃度および規定された体積質量の関連する較正化合物が較正およびチューニングモジュールからサンプリング装置に配送され、これは、ドリフトの発生を確認するために数回行われる。
【0048】
較正およびチューニングモジュールの一実施形態の一部を示す図7を参照して、前記モジュールは、気体の形態または液体もしくは溶液の形態の1つ以上の基準化合物を含む閉じたユニット、好ましくは円筒状または筒状ユニット、例えば典型的にはシリコーン、テフロン、または別の種類の不活性透過性ポリマで作製された透過管を含む。前記ユニットは、入口と出口とを有し、加熱装置により好ましくは同心的に囲まれ、前記ユニットの加熱中、前記1つ以上の基準化合物は、規定された流量で放出され、閉じたユニットの壁を貫通する。
【0049】
較正およびチューニングモジュールの閉じたユニットを電子的に識別するためには、いくつかの解決策が存在する。1つの解決策は、容器にユニークなIDを提供することが可能なロジックを含む集積回路を有することである。主たるコントローラに接続されたときに電圧が測定されるいくつかの電気抵抗であることも可能である。一連の電圧により、モジュールにユニークな特徴が与えられる。量的較正のため、較正モジュールは、時間単位当たり特定量の化合物を配送する能力により特徴付けられる。温度を変化させることにより、時間単位当たりの放出量が影響を受ける。濃縮トラップに導入されたとき、捕集される量は、時間と較正装置の温度とに依存する。
【0050】
本願を通じて用いられる「較正およびチューニングモジュール」との表現は、前記モジュールが、量的測定のために監視装置を基準化合物に対して較正する機能と、測定場所において監視装置を特定の検体に対してチューニングする機能とを同時に有し、監視装置が特定の検体を認識し、フォーカスし、前記特定の検体の測定がそうでない場合よりもより正確で信頼性が高くなるように検出パラメータを調節することを意味する。前記チューニングは、コンピュータにより調整される。
【0051】
より正確には、RF電圧および補償電圧など、例えばDMS機器のための検出器パラメータを、最適化する必要がある。また、GCカラムでの保持時間も、最適化する必要がある。チューニングは、基準標準をサンプリング装置に導入するか、または検出ユニット、例えばDMSセンサに直接導入することにより行われる。
【0052】
コンピュータにおいてチューニングを制御するソフトウェアは、問題の特定の化合物についての結果を予測するものであってもよい。予測は、工場での較正または過去のチューニングから行うことが可能である。チューニングモジュールのサンプリングが行われると、予測は、サンプリング結果により新しい較正にチューニングされる。
【0053】
本発明は、請求項1に記載の流量調整システム、ならびに前記流量調整システムを備える監視装置に関する。前記空気流量調整システムは、とりわけ、ポンプを調整するコンピュータ、分析対象の気体のための質量流量センサ、温度センサ、および圧力センサを備え、前記センサおよびいずれかのさらなるセンサから前記コンピュータへの入力により、前記少なくとも1つのポンプが調整され、安定した質量流量が保たれる。これは、当該技術において用いられている既知の器具および装置では不可能であった。
【0054】
安定した規定された気体の体積流量により、流量から導出される誤差が低減される。これは、本発明によれば、分析中に監視装置において許容可能な流量が維持される限り、請求項1に記載の流量調整システムとは異なる従来の流量調整システムによっても達成することが可能である。しかし、本発明の一態様によれば、安定した規定された気体の体積流量は、コンピュータにより制御された前記流量調整システムにより達成される。コンピュータは、いくつかのセンサ、例えば質量流量センサ、周囲温度センサ、周囲圧力センサ、流量システム背圧センサ、ならびに流量センサの温度を測定するとともに温度に対するその非線形挙動を補償する温度センサから、信号を取得する。これらのセンサからのデータにより、コンピュータは、所望される流量に可能な限り近い安定した流量を保つためにポンプを調整する。流量システムについての流量、温度、圧力、湿度は、すべて記録される。
【0055】
発明者らは、不安定な空気および気体流に関する上述の問題に対する解決策を創出した。発明者らの目標は、サンプリング装置を通る気体の流量を所望される流量に設定することが可能な一方で、制御システムが、適正なサンプリングを保証するとともにサンプリングがどのように行われたかを追跡するために、流量を所望される流量において安定した状態に保つために流量を測定および制御するとともに流量を記録する、解決策を見出すことであった。また、解決策は、いくつかのサンプリングを同時に行う方法を含むべきである。流量の測定は、いくつかの自由度、すなわち関連する大気条件における温度および圧力スパン(適正な体積流量の変換を行うため)、ならびに既存の「重い」サンプル(最大15kPa)についての背圧レベルに対して、ロバストであるべきである。また、解決策は、流量、時間、温度、および圧力の記録データをPCに転送し、適正なサンプリング取得を行うために装置を設定することを可能にすべきである。無線接続を介して、1つのポンプがマスターとして、他のポンプがスレーブとして働き、ポンプのネットワークをマスターポンプから、またはマスターとして働くPCから制御してもよい。
【0056】
本発明の一態様による気体流量調整システム内のコンポーネントの概略フローチャートを図8Aに示す。図8Aの気体流量調整システムは、図1のサンプリング装置の後に配置される。
【0057】
ポンプ(PMP1)は、正確な流量測定値と比較される、ユーザにより規定された設定点において安定した流量を保つために制御される。この測定値は、下記の「流量測定システム」セクションに記載の質量流量センサおよびいくつかの補償ステップを介して行われる。
【0058】
気体流は、4つのバッフルを有する回転翼型ポンプ(PMP1)により生じる。気体流は、いずれかの電気気体ポンプ、または電子的に制御することが可能で流れを生じさせることが可能ないずれかの装置によって生じさせることも可能である。流量は、質量流量センサ(PMP2)により測定され、質量流量センサの信号は、温度および圧力に対する質量流量センサの非理想的な特性について補償される。流量測定手順は、下記の「流量測定システム」セクションにおいてより詳細に説明する。塵埃および他の粒子により、高感度な流量センサが汚染されるかもしれない。粒子フィルタ(PMP9)により、流量システムの汚染が防止される。IECEx(International Electrotechnical Commision,Explosive atmospheres)およびATEX(EU指令94/9/EC:Appareils destines a etre utilises en ATmospheres EXplosibles)を考慮し(火花緩和)、焼結フィルタ(PMP8)も流量システムに含まれている。
【0059】
流量システムは、1ml/分〜4000ml/分の範囲で設定し得る所望される流量から2%を超えて逸脱しない、安定した流量を維持することが可能である。
【0060】
流量調整システム
制御システムは、流量を正確に測定することが可能であることに依拠する。流量の正確な測定値を取得するために、図8Bに示すステップが行われる。
【0061】
各ステップは、正確な流量の測定値を取得するために重要である。各ステップの解決策および代替を以下で説明する。
【0062】
流量を制御するための主たるセンサは、差動式質量流量センサ(PMP2)である。このセンサの原理は、気体がこのセンサ内の加熱素子が配置された通路を通過することである。加熱素子の前後に、温度差センサが配置されている。気体は、加熱素子を通過するときに加熱される。加熱素子前後の温度差は、特定の流量に対応する。質量流量センサの出力信号は、1V〜5Vの電圧である。また、小型化することが可能な他の質量流量センサ、例えばコリオリ質量流量センサを用いることも可能である。
【0063】
質量流量センサの出力信号は、ポンプが生じさせる非層流に主に起因する雑音を含む。出力信号は、5Hzの遮断周波数を有する電子アクティブローパスフィルタ(PMP7)によりフィルタ処理される。
【0064】
また、ローパスフィルタは、
a)抵抗、インダクタ、およびキャパシタを有するパッシブローパスフィルタ、
b)平均化または高速フーリエ変換の使用のいずれかによるソフトウェアアルゴリズム、または
c)流量におけるパルスを低減し、当初の流量センサ信号をより雑音が少ないものにする流量パルスフィルタ
として実装することも可能である。
【0065】
電圧は、14ビットADC(アナログ−デジタル変換器(PMP12))を用いてデジタル値に変換される。ADCは、逐次近似を用いる。ADCは、10ビットよりも大きいいずれの解像度を有することも可能であり、ΣΔ型または積分型であることも可能である。質量流量センサは、すべての条件について理想的ではなく、背圧の増加とともにドリフトが生じ得る。このため、質量流量センサを関連する背圧(0〜15kPa)について使用可能にするための背圧センサ(PMP13)が導入されている。背圧センサは、大気圧と流量システム内の圧力との間の差を測定する圧力差センサである。この値は、ソフトウェアにおける補償アルゴリズムにおいて用いられる。背圧の測定値は:
a)流量システム内に絶対圧力センサを有し、読取値を絶対大気圧センサと比較することにより、または
b)流量システム内に絶対圧力センサを有し、大気圧を読み取るための圧力差センサを用いることにより
測定することも可能である。
【0066】
質量流量センサの信号は、その温度とともにドリフトする。このため、異なる大気温度についての正確な流量を取得するために、質量流量センサの温度を測定しなければならない。温度補償センサ(PMP14)を質量流量センサの本体に取り付けることにより、質量流量センサの温度ドリフトを補償することが可能になる。質量流量センサの電圧信号と実際の流量との間の関係は、線形ではなく、流量センサの個体間で異なる。このため、質量流量信号を質量流量に変換するために工場較正データ表(PMP6)が確立される。較正データ表は、信号値と対応する質量流量とを有するいくつかのポストを含む。値を流量に変換する際、構成表における直近の値の間で補間が行われる。
【0067】
較正データ表は、質量流量とセンサ信号との間の関係を記述した多項式関数で置換することも可能である。
【0068】
質量流量の値を体積流量に変換するために、理想気体の法則が適用され、大気圧および温度が大気条件補償センサ(PMP4)により測定される。この測定は、温度および圧力のための別々のセンサにより行うことも可能である。圧力測定は、流量システム内の絶対圧力センサおよび流量システムと大気との間の圧力差センサを用いて行うことも可能である。
【0069】
流量の制御または調整は、マイクロコントローラコンピュータモジュール上で実行されるアプリケーションとして実装される。また、組み込みPC上で実行されることも可能である。制御システムは、上記の「流量測定システム」セクションに記載のように、流量の正確な測定値を必要とする。流量測定値は、ユーザにより設定された所望される流量と比較される。この比較は、ソフトウェアPIDコントローラにおいて行われる。PIDコントローラにより、ポンプへの出力信号が制御される。
【0070】
ソフトウェアにおけるファジー論理部により、特定の背圧が与えられた特定の流量を維持するためにポンプに必要な制御信号が評価される。これらのデータから、ファジー論理部は、より高速な応答を達成するために、流量システムにおける条件が劇的に変更される(背圧、所望される流量)ときにPIDコントローラをオーバーライドすることが可能である。流れを生じさせるポンプは、パルス幅変調信号により制御される。また、D/A変換器からの出力電圧により制御することも可能である。
【0071】
流量システムにおける機械部品は、時間とともに摩耗する。流量システムのための診断は、以下の3つの特性、すなわち流量システムの背圧、ポンプ制御信号、および質量流量センサにより測定された流量を比較することにより実装される。内圧センサ(PMP3)、質量流量センサ(PMP2)からのデータ、およびポンプ(PMP1)への信号レベルを比較することにより、流量システムの診断を達成することが可能である。診断ソフトウェアは、例えば「測定された背圧と流量とのいずれも高くないにもかかわらずポンプが高い制御信号を必要とする場合、ポンプは悪条件にある」など、いくつかの仮定を有する。
【0072】
測定された流量は、デジタル(フラッシュ)メモリ(PMP7)上に記録される。記録される追加のパラメータは、温度、圧力、湿度、GPS位置、および時間である。記録ファイルは、USBを有するコンピュータ上で管理することが可能である。ポンプは、USBを介してPCに接続することが可能である。いくつかのポンプを同時に制御するためには、ポンプを互いに接続する必要がある。ポンプは、Bluetoothを介してPCまたは他のポンプに接続することが可能である。他の無線接続(すなわちZigBee、WiFi)を実装することが可能である。
【0073】
ポンプは、1つまたはいくつかのLiイオンバッテリを含む。バッテリは、コンピュータへのUSB接続を介して、またはUSB電源アダプタを介してのいずれかにより充電してもよい。バッテリレベルをユーザに表示するためのバッテリインジケータが利用可能である。バッテリインジケータは、1つまたはいくつかのLEDとして実装されるか、またはグラフィカルユーザインターフェイスに一体化されてもよい。ポンプの動作時間は、標準的なサンプリング条件については12時間であると推定される。装置は、現在の流量を表示するOLEDディスプレイが装備される。
【0074】
ディスプレイは、省略するか、または7セグメントディスプレイ、グラフィカルLCD、マトリクス文字LCD(例えばHD4470)、適正な流量を示すLED、およびEペーパーディスプレイにより置換することも可能である。ユーザは、ユーザインターフェイスのメニュー状態によって異なる目的を有するいくつかのボタンを介してポンプを制御する。一例として2つのボタンがあり、一方のボタンによりグラフィカルメニューの選択肢を進み、他方のボタンにより選択されたメニューを修正する。
【0075】
本発明による監視装置は、ブランクモジュールも備える。サンプリングサイクル中、ブランクサンプルが収集される。ブランクサンプリングのみに用いられる追加の入口が、監視装置に存在する。入口は、前記ブランクモジュールに接続され、かかるブランクモジュールは、清浄な基準空気を保証するために化合物を捕集するフィルタと吸収剤とを含む。装置は、特定の濃度の検体について特定の応答を与える。応答を濃度情報に変換するために、較正曲線についての情報が存在する必要がある。較正曲線は、線形であるか、またはより複雑であることが可能である。切片は、原点を通過することもしないことも可能である。切片について知るためには、電気的応答を濃度に変換するための有効な較正曲線を有するために、ブランクサンプルを分析する必要がある。
【0076】
本発明による監視装置は、ケーシングに封入される。前記装置は、手持ち型装置として用いることが可能であるが、特定のホルダを用いて現場に配置するか、または例えば三脚にクランプ固定することも可能である。また、ベルトクリップまたはハーネスを用いて運ぶことも可能である。ポンプは、爆発性環境において用いるためには、IECEx認証を受けるとともにATEX承認を受ける。ポンプは、1つのコネクタ、すなわちUSBコネクタが露出している。USBコネクタは、有線通信および充電のために役立つ。装置を爆発性エリアにおいて用いる際、このコネクタは、塵密、気密、および水密シールにより覆われる。ポンプのディスプレイは、IECExおよびATEXの要件に準拠する透明な表面に覆われている。従って、気相および粒子相の両方において存在する空気により運ばれる化合物の改善された質的および量的監視のための直読式装置が提供される。また、監視装置は、例えば加熱により揮発性にすることが可能な表面上または基質中の化合物のために用いることも可能である。
【0077】
サンプリング時のポンプの用途は、典型的には、以下の5つのシナリオを対象とする:
1)手動サンプリング:
装置が電源投入される。グラフィカルユーザインターフェイスを介して、所望される流量が特定の量(ml/分)に設定される。
ポンプは、ユーザインターフェイスを介して特定の時間後に停止するようにプログラムされる。ポンプは、次いで、グラフィカルユーザインターフェイスを介して始動される。ポンプ制御システムは、所望される流量に可能な限り近い流量を維持する。ポンプは、特定の時間後に(事前にプログラムされていなければ手動で)停止される。
2)事前設定サンプリング:
装置は、USBを介してコンピュータ上で事前にプログラムされる。装置の始動後、ユーザは、「事前に規定されたサンプリングを実行」を選択することが可能であり、ポンプは、特定の時間の間特定の流量で運転し、次いで停止する。
3)スレーブモード:
ポンプは、現場に配置され、コンピュータアプリケーションを介して、または他のポンプを遠隔的に制御するように構成された別のポンプ装置から、遠隔的に制御することが可能である。また、このモードは、任意の数のポンプを同時に制御することが可能であるとともに、逐次サンプリングのためのスケジュールをコンピュータアプリケーションにおいて設定し得る実験室環境においても用いることが可能である。
4)記録データの転送:
ポンプは、スイッチ投入され、USBを介してコンピュータに接続される。ポンプは、コンピュータアプリケーションを介して管理される。アプリケーションを介して、ポンプ装置の1つまたはいくつかの記録ファイルをコンピュータに転送し、および/またはポンプ装置のメモリから削除することが可能である。
5)他の装置におけるコンポーネントとして:
このアセンブリは、安定した体積流量を取得するための解決策であり、安定した流量の生成が必要とされるいずれの装置におけるモジュールまたはコンポーネントとしても用いることが可能である。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、検出ユニットは、イオンフィルタ(DMS)を含む。空気流中の異なる検体の分離は、イオンフィルタの前、すなわちクロマトグラフィーユニットにおけるそれらの検体の揮発性に基づいて行われる。
【0079】
フォーカシングトラップがクロマトグラフィーカラムの前に追加されている。検体が別々の分析または全体的な分析のいずれかのためにサンプリング装置から昇温脱離され、次いで1つ以上の濃縮トラップ1において捕集されると、検体は、各濃縮トラップ1から昇温脱離される。すると、検体は、サンプリング装置からのときよりも気体体積が小さくなり、GCカラムなどのクロマトグラフィーユニットに入る前にフォーカス効果が達成される。濃縮トラップの使用により、ピーク幅が低減され、GCクロマトグラムにおけるピーク対称性が増加し、その結果、より低い検出限界および改善された反復性が得られる。
【0080】
本発明による検出ユニットシステムのイオンフィルタ実施形態において、クロマトグラフィーにより分離された検体のイオン化は、イオンフィルタ(DMS)に入る前に行われる。より正確には、クロマトグラフィーカラムから溶離した検体がイオン化される。安定した再現可能なイオン化が正確な監視のために必要である。例えば光イオン化、Ni63イオン化などに基づくイオン化手法が用いられる。
【0081】
十分な選択性のために、イオン化された化合物を1兆分の1領域におけるそれらの運動性差に基づいて分離および検出するため、イオン化された検体の追加の分離を行う必要がある。この目的のために、microDMx(商標)センサチップ(Sionex Inc.,Bedford,MA,USA)を用いてもよい。
【0082】
上で説明したように、メモリ効果、すなわち検体のキャリーオーバーの問題は、濃縮ピークのサンプリング中に発生し得る。発明者らは、この問題を、サンプリング装置、濃縮トラップ、ならびにすべての接続および必要とされる配管をサンプリングサイクルの間に洗浄する空気洗浄ステップを導入することにより解決した。洗浄は、関連するキャリーオーバーが発生しないことを保証するために行われる。ブランクサンプルの分析によりキャリーオーバーが存在することが示された場合、キャリーオーバーが観測されなくなるまで洗浄パラメータ(流速、持続時間など)が調節される。
【0083】
説明したように、本発明による流量調整システムおよび監視装置は、現在知られている手法と比較していくつかの利点および差異を有する。既知の方法に対する1つの重要な差異は、質量分離器および/または質量フィルタ(サンプリング装置)および/またはイオンフィルタおよび/または質量分析計および/またはガスクロマトグラフおよび/または検出器および/または分析器へのサンプルの導入が、気体と粒子との両方により運ばれる化合物が収集され、脱離され、ならびに量的および質的に決定されるように行われるということである。さらに、サンプリング装置により、自動的な体積サンプリングが可能になる。反応性化合物、すなわち例えばイソシアネート、イソチオシアネート、アルデヒド、アミン、無水物などの検体、ならびに分析および決定することが可能な揮発性化合物に誘導体化することが可能な官能基を含む化合物が収集され、安定誘導体に誘導体化され、アクティブ反応性サンプリング装置により脱離および分析される。自動的な現場での較正により有効な結果が得られ、ブレイクスルーの発生についてサンプリングが確認される。キャリーオーバーの化合物およびメモリ効果は、ブランクを自動的に分析することにより確認される。線形性における欠点は、線形の範囲におけるサンプル濃度を達成するためにサンプリング時間を調節することにより保証される。
【0084】
実施例1
図9は、揮発性検体化合物についての測定サイクルの例を示す。本実施形態において用いられるGC−DMSシステムは、検体の濃度を監視し、検体、ブランク、および基準の濃度の監視を交互に行う。
【0085】
実施例2
図10は、異なる濃度のベンゼンを含む4つのサンプルと5ppbのベンゼンを含む基準とで構成されたサンプリングシーケンスからのGC−DMSクロマトグラフの例を示す。サンプルは、システムにおける異なる位置に配置された4つの異なる配管から取られたものである。サンプリングシステムへのサンプルの各収集後に、ブランクサンプルが取られる。図面は、メモリ効果もサンプルまたは基準サンプルからのキャリーオーバーもブランクサンプルにおいて観測されないことを示している。基準5ppbにおいて、追加のクロマトグラフのピークを観測することが可能である。このピークは、ベンゼンでなく、未知の化合物である。クロマトグラフの解像度は、存在し得る他の化合物から検体(ベンゼン)を区別するものである必要がある。
【0086】
実施例3
図11は、2週間の間に行われた59回の測定についてのベンゼン(5ppb)に対するGC−DMS応答を示す。変化(RSD)は<6%であった。図面は、応答が時間とともに変化し、応答が時間とともに減少する傾向があることを示している。図面は、濃度の有効な推定を得るためには、器具を較正する必要があることを示している。応答におけるドリフトは、イオン源、質量分離器(DMS)、および検出器についての設定パラメータにおけるドリフトによるものである。ドリフトは、電子的ドリフトおよび電極の汚染、ならびに/または気体流量についての条件(湿度、流速など)における変化による条件の差異によるものであるかもしれない。図面は、現場での較正およびチューニングの必要性を示し、有効な結果を得るためには工場で設定されたパラメータは不十分であることを示している。
【0087】
実施例4
図12は、熱差動式流量センサの温度応答を示す。熱差動式流量センサの温度ドリフトを調査するために、熱差動式流量センサを温度制御環境に配置し、一定の周知の質量流を供給した。実際の流量を一定に保持し、温度に影響されない別の流量計を用いて測定した。図12において、質量流量センサからの電圧出力は、質量流量計の較正データにより体積流量に変換されている。図12に見られるように、測定された流量は、温度に非常に大きく影響される。センサの温度が3℃から28℃に上昇する際、測定された流量における818ml/分から866ml/分への増加、すなわち概ね6%の増加が認められる。従って、正確かつ高精度な測定結果を発生させることが可能であるためには、センサの温度を補償することが重要である。図12において行われたような、すなわちセンサの温度を変化させながら流量計を通る実際の流量を測定する際の測定結果のいくつかを、流量調整システムを用いる実際の測定においてセンサの温度を補償するために較正曲線として後に用いることが可能である。この較正手順は、異なる流量レベルにおける質量流量センサの電子装置の異なる温度依存性を補償するために、異なる流れについて繰り返される。
【0088】
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定した気体流量を維持するための流量調整システムにおいて、
少なくとも1つのポンプと、
少なくとも1つの質量流量センサと、
周囲温度センサと、
周囲圧力センサと、
前記質量流量センサの温度を測定する温度補償センサと、
制御システムとを備え、
前記センサから前記制御システムへの入力は、安定した質量流量を保つために前記少なくとも1つのポンプを調整するように適合されていることを特徴とする流量調整システム。
【請求項2】
請求項1に記載の流量調整システムにおいて、前記制御システムは電子装置、好ましくはコンピュータであることを特徴とする流量調整システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の流量調整システムにおいて、前記少なくとも1つのポンプは回転翼型ポンプであることを特徴とする流量調整システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の流量調整システムにおいて、3つ以上の流量センサを備えることを特徴とする流量調整システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の流量調整システムにおいて、前記質量流量センサは熱差動式流量センサであることを特徴とする流量調整システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の流量調整システムにおいて、背圧センサをさらに備え、前記背圧センサからの出力は、前記制御システムに接続されていることを特徴とする流量調整システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の流量調整システムにおいて、周囲湿度センサをさらに備え、前記周囲湿度センサからの出力は、前記制御システムに接続されていることを特徴とする流量調整システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の流量調整システムにおいて、質量流量、背圧、周囲温度、周囲圧力、周囲湿度、質量流量センサの温度、GPS位置、および時間の群に含まれる値の1つまたは組み合わせを記録するための記録手段をさらに備えることを特徴とする流量調整システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の流量調整システムにおいて、グラフィカルディスプレイと、前記グラフィカルディスプレイ上に表示されたユーザインターフェイスとをさらに備えることを特徴とする流量調整システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の流量調整システムにおいて、流量調整システムの設定を調節するためのユーザナビゲーション手段をさらに備えることを特徴とする流量調整システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の流量調整システムにおいて、前記流量調整システムを外部電子装置に接続するための接続手段をさらに備えることを特徴とする流量調整システム。
【請求項12】
請求項11に記載の流量調整システムにおいて、前記電子装置は、パーソナルコンピュータ、手持ち型コンピュータ、スマートフォン、デジタルメモリ装置からなる群に含まれる電子装置の1つであることを特徴とする流量調整システム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の流量調整システムにおいて、前記背圧センサ、前記質量流量センサからの入力信号、および前記少なくとも1つのポンプへの信号レベルを利用する診断システムをさらに備えることを特徴とする流量調整システム。
【請求項14】
流量調整システムのクラスターにおいて、請求項1〜13のいずれか一項に記載の少なくとも2つの流量調整システムが直列または並列に接続されていることを特徴とする流量調整システムのクラスター。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の流量調整システムを用いて流量を測定するための方法において、前記方法は:
前記質量流量センサを用いて質量流量を測定するステップと、
前記温度補償センサを用いて前記質量流量センサの温度を測定するステップと、
温度に関連する誤差の所定の較正および前記温度補償センサからの測定信号により質量流量測定値を調節するステップと、
前記測定された質量流量、周囲温度、および周囲圧力を用いて前記質量流量測定値から体積流量を算出するステップとを含むことを特徴とする流量を測定するための方法。
【請求項16】
請求項15に記載の流量を測定するための方法において、前記質量流量調整システムからのアナログ出力信号をデジタル信号に変換するステップをさらに含むことを特徴とする流量を測定するための方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載の流量を測定するための方法において、前記質量流量センサを用いて流量脈動を監視および/または記録するステップをさらに含むことを特徴とする流量を測定するための方法。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法において、前記流量調整システムは背圧センサをさらに備え、前記方法は、前記測定された背圧によっては前記質量流量測定値を所定の増分だけ調節することにより、現在の背圧による前記質量流量測定値における誤差を補償するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法において、前記背圧センサを用いて流量脈動を監視および/または記録するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項15〜19のいずれか一項に記載の方法において、前記流量脈動を低減または相殺する相殺パルスを導入するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
気相と粒子相との両方において空気中に存在する空気により運ばれる化合物を監視するための装置において、前記装置は、サンプリング装置と、濃縮トラップ1と、較正およびチューニングモジュールと、ブランクモジュールと、請求項1〜20のいずれか一項に記載の前記流量調整システムと、クロマトグラフィーユニットと、検出ユニットとを備えることを特徴とする監視装置。
【請求項22】
請求項21に記載の監視装置において、前記サンプリング装置は、空気流のための入口2を有するとともに前記空気流の気相における検体を吸収する機能を有するサンプリング管8と、前記サンプリング管に接続されるとともに前記空気流中の前記検体を吸収する機能を有するフィルタ5と、前記フィルタ5に接続されるとともに前記フィルタ5を通過したいずれの検体も吸収する機能を有する吸収剤6とを備えることを特徴とする監視装置。
【請求項23】
請求項22に記載の監視装置において、濃縮トラップ1は、前記サンプリング管8、前記フィルタ5、および前記吸収剤6からそれぞれ放出された検体を別々に検出するために前記サンプリング管8、前記フィルタ5、および前記吸収剤6の各々に接続されるか、または前記サンプリング装置から放出された検体を全体的に検出するために前記吸収剤6のみに接続されていることを特徴とする監視装置。
【請求項24】
請求項21に記載の監視装置において、前記サンプリング装置は、空気流のための入口2を有するとともに前記空気流の気相における検体を吸収する機能を有する第1の吸収剤10と、前記第1の吸収剤10に接続されるとともに前記空気流の粒子相における前記検体を吸収する機能を有するフィルタ5と、前記フィルタ5に接続されるとともに前記フィルタ5を通過したいずれの検体も吸収する機能を有する第2の吸収剤6とを備えることを特徴とする監視装置。
【請求項25】
請求項24に記載の監視装置において、濃縮トラップ1は、前記第1の吸収剤10、前記フィルタ5、および前記第2の吸収剤6からそれぞれ放出された検体を別々に検出するために前記第1の吸収剤10、前記フィルタ5、および前記第2の吸収剤6の各々に接続されるか、または前記サンプリング装置から放出された検体を全体的に検出するために前記第2の吸収剤6のみに接続されていることを特徴とする監視装置。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれか一項に記載の監視装置において、前記サンプリング装置は、大きい粒子を除去するプリセレクタ11と、気相の検体を収集するデヌーダ8と、吸入可能または呼吸可能なサイズからより大きい粒子を分離するインパクタ13と、吸入可能または呼吸可能な粒子を収集するフィルタ5とを備える粒径選択的サンプリング装置であることを特徴とする監視装置。
【請求項27】
請求項21〜25のいずれか一項に記載の監視装置において、前記較正およびチューニングモジュールは、前記監視装置に対して挿入可能および取外可能であり、前記サンプリング装置と接続され、検体の基準に鑑み前記監視装置を較正およびチューニングするため、コンピュータにより調整されることを特徴とする監視装置。
【請求項28】
請求項27に記載の監視装置において、前記較正およびチューニングモジュールは、前記検体の基準を含む閉じた管を備え、加熱装置により囲まれていることを特徴とする監視装置。
【請求項29】
請求項21〜28のいずれか一項に記載の監視装置において、前記ブランクモジュールは、前記サンプリング装置に接続され、前記監視装置への別の入口を有し、フィルタと吸収剤とを備えることを特徴とする監視装置。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の監視装置において、前記流量調整システムにおける前記少なくとも1つのポンプは、前記濃縮トラップ1と前記クロマトグラフとの間に存在し、任意選択により前記サンプリング装置と前記濃縮トラップとの間にも存在することを特徴とする監視装置。
【請求項31】
請求項21〜30のいずれか一項に記載の監視装置において、前記クロマトグラフユニットはガスクロマトグラフを備えることを特徴とする監視装置。
【請求項32】
請求項21〜31のいずれか一項に記載の監視装置において、前記検出ユニットは、DMS(差動式移動性分光法)に基づくものであるか、またはガスクロマトグラフィー検出器もしくは直読式検出器であることを特徴とする監視装置。
【請求項33】
本発明による監視装置の使用により空気流中の空気により運ばれる検体を検出するための方法において、前記方法は:
a)異なる検体の基準を含む1つ以上の異なる較正およびチューニングモジュールを前記監視装置に挿入するステップと、
b)前記空気により運ばれる検体を含む前記空気流と試薬とを前記サンプリング装置に導入し、前記サンプリング装置において互いに反応させるステップと、
c)前記サンプリング装置に吸着された検体を放出するため、前記サンプリング管8、前記フィルタ5、および前記吸収剤6、または前記第1の吸収剤10、前記フィルタ5、および前記第2の吸収剤6を含む前記サンプリング装置を加熱するステップと、
d)前記サンプリング装置から放出された前記検体を1つ以上の濃縮トラップ1において収集するステップと、
e)前記検体をクロマトグラフィーステップにかけるステップと、
f)前記検体を量的および質的に検出するステップとが連続的に行われることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、各検体の検出後、ブランクがステップa)〜f)にかけられることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項33または34に記載の方法において、前記監視装置は、前記監視装置を通過した検体および他の化合物によるいずれのメモリ効果も解消するため、時折空気で洗浄されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−521495(P2013−521495A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556041(P2012−556041)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/SE2011/050232
【国際公開番号】WO2011/108981
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.BLUETOOTH
3.ZIGBEE
【出願人】(512222183)プロフタガレン アクチエボラグ (1)
【氏名又は名称原語表記】PROVTAGAREN AB
【Fターム(参考)】