説明

流量調整デバイス

【課題】低い電圧で駆動するとともに、小型・軽量化が可能な流量調整デバイスを提供すること。
【解決手段】流量調整デバイス10は、流体が流れる管100内に設置され、流体の流量を調整する流量調整デバイス10であって、第1の電極層1と、第1の電極層1と対向するように設けられた第2の電極層2と、第1の電極1と第2の電極2との間に設けられた、変形層3および電解質層4とを有し、酸化還元反応により変形層3の体積が膨張または収縮することにより、流体の流量を調整することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量調整デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野やマイクロマシン分野等において、小型のアクチュエータの必要性が高まっている。
中でも、アクチュエータをマイクロバルブといった流量調整用のデバイスに用いる試みが行われている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来のアクチュエータでは、駆動電圧を十分に低くすることができておらず、所望の変形をさせるのに高い電圧が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−317647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、低い電圧で駆動するとともに、小型・軽量化が可能な流量調整デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の流量調整デバイスは、流体が流れる管内に設置され、前記流体の流量を調整する流量調整デバイスであって、
第1の電極層と、
前記第1の電極層と対向するように設けられた第2の電極層と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた、変形層および電解質層とを有し、
酸化還元反応により前記変形層の体積が膨張または収縮することにより、前記流体の流量を調整することを特徴とする。
これにより、低い電圧で駆動するとともに、小型・軽量化が可能な流量調整デバイスを提供することができる。
【0006】
本発明の流量調整デバイスでは、前記変形層は、酸化還元反応により分子構造が変化する刺激応答性化合物で構成されていることが好ましい。
これにより、より低電圧で流量調整デバイスを駆動させることができる。
本発明の流量調整デバイスでは、前記刺激応答性化合物は、回転軸として機能する結合を有するユニットAと、
前記ユニットAの第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記ユニットAの第2の結合部位に配置された第2のユニットBと、
前記ユニットAの第3の結合部位に配置された第1のユニットCと、
前記ユニットAの第4の結合部位に配置された第2のユニットCと、
を含み、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとは酸化還元反応によって結合し、
前記第1のユニットCおよび前記第2のユニットCは液晶性を有し、重合性官能基を含むことが好ましい。
これにより、より低電圧で流量調整デバイスを駆動させることができる。
【0007】
本発明の流量調整デバイスでは、前記刺激応答性化合物は、回転軸として機能する結合を有するユニットAと、
前記ユニットAの第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記ユニットAの第2の結合部位に配置された第2のユニットBと、
前記第1のユニットBに結合した第1のユニットCと、
前記第2のユニットBに結合した第2のユニットCと、
を有し、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとは、酸化還元反応によって結合するものであり、
前記第1のユニットCおよび前記第2のユニットCは、液晶性を有することが好ましい。
これにより、より低電圧で流量調整デバイスを駆動させることができる。
【0008】
本発明の流量調整デバイスでは、一対のアルキル鎖と、
前記一対のアルキル鎖の間を架橋する架橋部と、
前記一対のアルキル鎖の少なくとも一方に結合した液晶性官能基と、を有し、
前記架橋部は、回転軸として機能する結合を有し、かつ、該結合の一端に位置する第1の基と、前記結合の他端に位置する第2の基とを有するユニットAと、
前記第1の基の第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記第2の基の第1の結合部位に配置された第2のユニットBと、を有し、
前記架橋部は、前記第1の基の第2の結合部位において一方のアルキル鎖と結合し、前記第2の基の第2の結合部位において他方のアルキル鎖と結合しており、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとが、酸化還元反応によって結合することが好ましい。
これにより、より低電圧で流量調整デバイスを駆動させることができる。
【0009】
本発明の流量調整デバイスでは、酸化還元反応によって分子構造が変形する複数の変形基と、
液晶性を有する複数の液晶性官能基と、
前記変形基と前記液晶性官能基とを連結する下記式(12)で表される複数の連結基と、を有し、
前記変形基は、回転軸として機能する結合を有し、かつ、該結合の一端に位置する第1の基と、前記結合の他端に位置する第2の基とを有するユニットAと、
前記第1の基の第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記第2の基の第1の結合部位に配置された第2のユニットBと、を有し、
前記変形基は、前記第1の基の第2の結合部位および前記第2の基の第2の結合部位において、前記連結基と結合しており、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとが、酸化還元反応によって結合することが好ましい。
【化1】

これにより、より低電圧で流量調整デバイスを駆動させることができる。
本発明の流量調整デバイスでは、前記電解質層は、イオン交換樹脂またはカーボンナノチューブを含む材料で構成されていることが好ましい。
これにより、より安定して流量調整デバイスを駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の流量調整デバイスの第1実施形態を示す断面図であり、(a)流量調整デバイスが開いている状態を示す図、(b)流量調整デバイスが閉じている状態を示す図である。
【図2】本発明の流量調整デバイスの第2実施形態を示す断面図である。
【図3】刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。
【図4】刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。
【図5】刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。
【図6】刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。
【図7】刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《第1実施形態》
まず、本発明の流量調整デバイスの第1実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の流量調整デバイスの第1実施形態を示す断面図であり、(a)流量調整デバイスが開いている状態を示す図、(b)流量調整デバイスが閉じている状態を示す図である。
【0012】
図1(a)に示すように、流量調整デバイス10は、管100内を流れる流体の流量を調整するデバイス(マイクロバルブ)であり、管100内に設置され、管100の内壁面側から順に、第1の電極層1と、電解質層4と、変形層3と、第2の電極層2とを有している。
流量調整デバイス10は、酸化還元反応によって変形層3の体積が膨張または収縮し、管100内の流体が流れる流路の断面積が変化するように駆動するものである。
【0013】
第1の電極層1と第2の電極層2とは、図示せぬ電源に接続されており、電解質層4と変形層3に電圧を印加する機能を有する層である。
第1の電極層1および第2の電極層2を構成する材料としては、金属、炭素繊維、導電性高分子等が挙げられる。
変形層3は、第1の電極層1および第2の電極層2に電圧を印加することで生じる酸化還元反応によって体積が膨張または縮小する層である。これにより、管100内の流体の流路を広くしたり狭くしたりすることができる。
【0014】
変形層3を構成する材料(刺激応答性化合物)については、後に詳述する。
電解質層4は、電極間に電位差を生じさせるために設けられる層であるとともに、変形層3内に電位差が生じるのを防止する層である。電解質層4を設けることにより、電位は電解質層4中に掛り、第2の電極層2と変形層3は一体の電極とみなすことができ、変形層3は等電位になる。これにより、変形層3内に電位の分布を生じなくなる。
【0015】
電解質層4を構成する材料としては、例えば、イオン交換樹脂、カーボンナノチューブ、イオン液体等が挙げられ、これの中でも、イオン交換樹脂、または、カーボンナノチューブを用いるのが好ましい。これにより、より安定して流量調整デバイス10を駆動させることができる。
以上説明した流量調整デバイス10では、例えば、還元されると膨張する変形層3を用いた場合、変形層3を還元する電圧印加により、図1(a)に示す状態から、図1(b)に示す状態に変化し、管100内の空間を流量調整デバイス10が埋め、流体の流れが止まる。さらに、印加する電圧の極性を変化させることで、図1(b)に示す状態から、図1(a)に示す状態に戻る。また、印加する電圧を調整することで、変形層3の変形の度合いを調整し、流体の流量を調整することができる。
【0016】
以上説明した流量調整デバイス10によれば、低い電圧で駆動することができるとともに、小型・軽量化を容易に行うことができる。
なお、上記説明では、流量調整デバイス10が、第1の電極層1、電解質層4、変形層3、第2の電極層2の4つの層を有するものとして説明したが、これに限定されず、任意の機能を有する層を有していてもよい。
また、電解質層4と変形層3との位置関係は、逆であってもよい。
【0017】
《第2実施形態》
次に、本発明の流量調整デバイスの第2実施形態について詳細に説明する。
本実施形態では、前述した第1実施形態と異なる点について説明し、同様な構成についてはその説明を省略する。
図2は、本発明の流量調整デバイスの第2実施形態を示す断面図である。
【0018】
本実施形態に係る流量調整デバイス10は、図2に示すように、管100内に設置され、管100の内壁面側から順に、第1の電極層1と、電解質層4と、変形層3と、第2の電極層2との積層体を備え、さらに、管100の内壁面および上記積層体を覆う内膜5を有している点で前述した第1実施形態と異なっている。
内膜5は、図2に示すように、管100の内壁面および積層体を覆うように設けられており、管100の内壁面および上記積層体と管100内を流れる流体とが接触するのを防止する機能を有している。これにより、流体に対する、管100の内壁面および上記積層体の材質等による影響をより小さいものとすることができる。
【0019】
このような内膜5は、変形層3の変形に対して追従可能は材料で構成されている。このような材料としては、例えば、一般的なチューブの材料として用いられているシリコンゴム等が挙げられる。
なお、本実施形態では、管100内全面を内膜5で覆う構成について説明したが、これに限定されず、例えば、上記積層体のみを覆うような構成であってもよい。
【0020】
《刺激応答性化合物の第1実施形態》
次に、変形層3を構成する材料であって、酸化還元反応により分子構造が変化する刺激応答性化合物の第1実施形態について詳細に説明する。
図3、図4は、本実施形態の刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。図3、図4中、○は官能基を意味し、線は結合を意味する。
【0021】
図3(a)に示すように、本実施形態の刺激応答性化合物は、回転軸として機能する結合を有するユニットAと、ユニットAの両末端に結合した2つのユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)と、それぞれのユニットBに結合した2つのユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)とを有している。
刺激応答性化合物は、刺激によって、分子の形状を変形(変位)させる機能を有する化合物のことを指す。
【0022】
刺激応答性化合物を構成するユニットAは、回転軸として機能する結合を有しており、当該結合を軸に回転可能となっている基(ユニット)である。このようなユニットを有することにより、刺激応答性化合物は、変形(変位)可能となっている。
ユニットAとしては、例えば、2つの芳香環が結合した基を用いることができるが、中でも、下記式(1)から(3)なる群から選択される1種の基であるのが好ましい。このような基をユニットAとして用いることにより、刺激応答性化合物は、より円滑な変形(変位)が可能となり、より低電圧で駆動するものとなる。
【0023】
【化2】

【0024】
ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)は、図3(a)に示すように、ユニットAの回転軸方向の両末端(ユニットAの第1の結合部位および第2の結合部位)に結合している基である。すなわち、第1のユニットBがユニットAの第1の結合部位に、第2のユニットBがユニットAの第2の結合部位に結合している。
また、ユニットBは、ユニットB同士で酸化還元反応によって結合を形成する基である(図3(b)参照)。言い換えると、外部から電子の受け取る(還元される)ことによって結合を形成する基である。また、外部に電子を放出する(酸化される)ことで結合を解除する基である。
【0025】
ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)としては、ユニットB同士(第1のユニットBと第2のユニットBと)で酸化還元反応によって結合を形成する基であれば、特に限定されないが、ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)は、下記式(4)で表される基であるのが好ましい。これにより、反応条件を調整することで、ユニットB同士の結合状態と非結合状態とを可逆的にかつ容易に進行させることができる。また、反応性が高いため、刺激応答性化合物は、より円滑で、かつ低電圧で変形が可能となる。
【0026】
【化3】

【0027】
ユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)は、ユニットBに結合した基であり、液晶性を有する基である。第1のユニットBには第1のユニットCが結合しており、第2のユニットBには第2のユニットCが結合している。液晶性を有することにより、ユニットCは、液晶の配向技術を用いることにより、一定の配向性を示す。これにより、激応答性化合物は、その駆動に一定の方向性を有するものとなる。
【0028】
ユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)としては、液晶性を示す基であれば特に限定されず、複数の環構造を有する基、例えば、複数のフェニル基をエステル基で連結したもの、ベンゼン環若しくはシクロヘキサン環が直接連結したものが挙げられる。
ユニットCとしては、特に、複数の環構造のうちの1つの環構造にハロゲン原子が1つ以上結合した基を用いるのが好ましい。これにより、ユニットCの配向時における運動性能をより高いものとすることができ、配向への移行の速度がより早くなる。その結果、刺激応答性化合物は、より速くかつより円滑に変形(変位)が可能となり、さらに低電圧で駆動するものとなる。
【0029】
また、ユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)は、重合性官能基を有しているのが好ましい。この重合性官能基によって、刺激応答性化合物が重合することで、より分子鎖の長い刺激応答性化合物を形成することができる。また、このように分子鎖を長くすることにより、後に詳述するように、分子の変形(変位)の度合いを大きくすることができ、より強い力(応力)で駆動させることが可能となる。
ユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)の具体例としては、以下のようなものが挙げることができる。
【0030】
【化4】

【0031】
以上説明したように、本実施形態の刺激応答性化合物は、軸回転可能なユニットAと、ユニットAの両末端(第1の結合部位および第2の結合部位)に結合した2つのユニットであって、酸化還元反応によりユニット同士で結合を形成することが可能なユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)と、ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)に結合した2つのユニットであって、液晶性を有するユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)とを有している点に特徴を有している。このような特徴を有することにより、低電力で変形(変位)させることができるとともに、変位の度合いを比較的大きくすることができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。
【0032】
すなわち、液晶性を有するユニットCによって複数の刺激応答性化合物分子が配向した(並んだ)状態で存在することができ、その揃った状態で電圧等を印加して1分子内のユニットB同士が酸化還元反応により結合する(架橋する)。このように、ユニットCの配向性(液晶性)とユニットBの刺激による結合性とを利用することで、図3(a)に示す状態から、図3(b)に示す状態へと確実に変形(変位)することができる。特に、ユニットCの配向とユニットB同士の結合は、低い電圧で進行するので、低電圧で、大きな変形(変位)が可能となる。
【0033】
なお、ユニットCが重合性官能基を利用して重合した刺激応答性化合物を用いた場合、上述したように、低電圧で、さらに大きな変形が可能となる。
すなわち、電圧を印加する前(酸化還元反応が進行する前)は、図4(a)に示すように、長い分子が伸びた状態で存在している。そこへ電圧を印加すると、図4(b)に示すように、ユニットAを軸に回転し、隣接するユニットB同士が酸化還元反応により結合し、さらに、液晶性のユニットCが配向することにより、長い分子が折りたたまれた状態となる。このため、変位の度合いを大きなものとすることができる。
【0034】
《刺激応答性化合物の第2実施形態》
次に、変形層3を構成する材料であって、酸化還元反応により分子構造が変化する刺激応答性化合物の第2実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の刺激応答性化合物は、ビチオフェン(ユニットA)と、当該ビチオフェンの2つのα位(ユニットAの第1の結合部位および第2の結合部位)に結合した2つの1,3−ベンゾジチオーリル基(第1のユニットBおよび第2のユニットB)と、ビチオフェンの2つのβ位(ユニットAの第3の結合部位および第4の結合部位)に結合した2つの液晶性を有する液晶性官能基(第1のユニットCおよび第2のユニットC)とを有しており、具体的には、下記式(6)で表すことができる。式(6)中、Rは、液晶性官能基を示す。
【0035】
【化5】

【0036】
刺激応答性化合物とは、刺激によって、分子の形状を変形(変位)させる機能を有する化合物のことを指し、具体的には、アクチュエータやマイクロポンプ等の駆動部を構成する化合物である。
ビチオフェンは、回転軸として機能する結合を有しており、当該結合を軸に回転可能となっている基である。ビチオフェンを有することにより、刺激応答性化合物は、変形(変位)可能となっている。
【0037】
ビチオフェンの2つのα位には、上記式(6)に示すように、1,3−ベンゾジチオーリル基が結合している。また、1,3−ベンゾジチオーリル基は、1,3−ベンゾジチオーリル基同士で酸化還元反応によって結合を形成する基である。言い換えると、外部から電子の受け取る(還元される)ことによって結合を形成する基である。また、外部に電子を放出する(酸化される)ことで結合を解除する基である。
【0038】
本実施形態の刺激応答性化合物が1,3−ベンゾジチオーリル基を有することにより、反応条件を調整することで、1,3−ベンゾジチオーリル基同士の結合状態と非結合状態とを可逆的にかつ容易に進行させることができる。また、反応性が高いため、刺激応答性化合物は、より円滑で、かつ低電圧で変形が可能となる。
また、ビチオフェンの2つのβ位には、液晶性を有する液晶性官能基(式中、Rで表される官能基)が結合している。液晶性を有することにより、液晶性官能基は、液晶の配向技術を用いることにより、一定の配向性を示す。これにより、刺激応答性化合物は、その駆動に一定の方向性を有するものとなる。
【0039】
液晶性官能基としては、液晶性を示す基であれば特に限定されず、複数の環構造を有する基、例えば、複数のフェニル基をエステル基で連結したもの、ベンゼン環若しくはシクロヘキサン環が直接連結したものが挙げられる。中でも特に、高い液晶性を示すことから、上記式(6)中のRで示したような、ベンゼン環若しくはシクロヘキサン環が直接連結したものを用いるのが好ましい。
【0040】
液晶性官能基としては、特に、複数の環構造のうちの1つの環構造にハロゲン原子が1つ以上結合した基を用いるのが好ましい。これにより、液晶性官能基の配向時における運動性能をより高いものとすることができ、配向への移行の速度がより早くなる。その結果、刺激応答性化合物は、より速くかつより円滑に変形(変位)が可能となり、さらに低電圧で駆動するものとなる。
【0041】
また、液晶性官能基は、重合性官能基を有している。この重合性官能基によって、刺激応答性化合物が重合させることができる。その結果、より分子鎖の長い刺激応答性化合物重合体を形成することができる。また、このように分子鎖を長くすることにより、後に詳述するように、分子の変形(変位)の度合いを大きくすることができ、より強い力(応力)で駆動させることが可能となる。
【0042】
重合性官能基としては、特に限定されないが、ビニル基またはアクリル基であるのが好ましい。これにより、刺激応答性化合物を重合して得られる刺激応答性化合物重合体をより容易に得ることができる。また、得られる刺激応答性化合物重合体の運動性を高いものとすることができ、変形の度合い(変形率)をより高いものとすることができる。
また、重合性官能基は、液晶性官能基に、酸素またはメチレン基を介して結合しているのが好ましい。このような構成とすることにより、刺激応答性化合物を重合して得られる刺激応答性化合物重合体の運動性をさらに高いものとすることができ、変形の度合い(変形率)をより高いものとすることができる。
【0043】
また、液晶性官能基は、ビチオフェンと、アルキレン基を介して結合しているのが好ましい。これにより、液晶性官能基の運動性(配向性)を向上させることができ、刺激応答性化合物の変形(駆動)の方向性をより一定なものとすることができる。
このような液晶性官能基の具体例としては、上記第1実施形態で述べたようなユニットC(第1のユニットCと第2のユニットC)の具体例と同様なものを挙げることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の刺激応答性化合物は、軸回転可能なビチオフェン(ユニットA)と、ビチオフェンのα位(ユニットAの第1の結合部位および第2の結合部位)に結合し、酸化還元反応により結合を形成する2つの1,3−ベンゾジチオーリル基(第1のユニットBおよび第2のユニットB)と、ユビチオフェンのβ位(ユニットAの第3の結合部位および第4の結合部位)に結合した2つの重合性の液晶性官能基(第1のユニットCおよび第2のユニットC)とを有している点に特徴を有している。このような特徴を有することにより、変形率が高く、かつ、方向性のある変形が可能な刺激応答性化合物を提供することができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。
【0045】
すなわち、液晶性官能基によって複数の刺激応答性化合物分子が配向した(並んだ)状態で存在することができ、その揃った状態で電圧等を印加して1分子内の1,3−ベンゾジチオーリル基同士が酸化還元反応により結合する(架橋する)。このように、液晶性官能基の配向性(液晶性)と1,3−ベンゾジチオーリル基の結合性とを利用することで、下記式(7)の左に示す状態から、下記式(7)の右に示す状態へと確実に変形(変位)することができる。これにより、液晶性官能基によって分子の変形に一定の方向性を持たせつつ、1,3−ベンゾジチオーリル基の酸化還元反応による結合でその変形の度合いを大きくすることができる。また、液晶性官能基の配向と1,3−ベンゾジチオーリル基同士の結合は、低い電圧で進行するので、低電圧で、大きな変形(変位)が可能となる。
また、刺激応答性化合物は重合性官能基を有しているので、変形率が高く、かつ、方向性のある変形が可能な刺激応答性化合物重合体を容易に形成することができる。
【0046】
【化6】

【0047】
また、本実施形態の刺激応答性化合物としては、上記の化合物をそのまま用いてもよいし、上記の化合物が重合した重合物(刺激応答性化合物重合体)を用いてもよい。以下、刺激応答性化合物重合体について説明する。
図5は、刺激応答性化合物(刺激応答性化合物重合体)の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。
刺激応答性化合物重合体は、上述した刺激応答性化合物が重合性官能基によって重合して得られるものである。
【0048】
刺激応答性化合物が重合することにより、酸化された状態では、図5の上に示される構造のように長い分子が伸びた状態で存在することとなる。そして、そこへ電圧を印加し、電子を与えて還元すると、図5の下に示される構造のように、ビチオフェンを軸に回転し、隣接する1,3−ベンゾジチオーリル基同士が酸化還元反応により結合し、さらに、液晶性官能基が配向することにより、長い分子が折りたたまれた状態となる。このため、変形の度合い(変形率)を大きなものとすることができるとともに、その変形に方向性を持たせることができる。
このような刺激応答性化合物重合体において、構成する刺激応答性化合物は、2重結合またはシクロヘキサンを介して重合しているのが好ましい。これにより、変形の方向性を保持しつつ、構成する刺激応答性化合物の運動性(配向性)が向上させることができ、変形率をより高いものとすることができる。
【0049】
《刺激応答性化合物の第3実施形態》
次に、変形層3を構成する材料であって、酸化還元反応により分子構造が変化する刺激応答性化合物の第3実施形態について詳細に説明する。
図6は、本実施形態の刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。図6中、○および□は官能基を意味し、線は結合を意味する。
【0050】
図6(a)に示すように、本実施形態の刺激応答性化合物は、一対のアルキル鎖と、これらアルキル鎖を架橋する架橋部と、一対のアルキル鎖の一方に結合した液晶性官能基とを有している。なお、図では、説明をわかりやすくするため、架橋部および液晶性官能基が1つずつ記載されているが、実際には複数の架橋部および液晶性官能基が存在している。
【0051】
架橋部は、図6(a)に示すように、回転軸として機能する結合を有し、当該結合の一端に位置する第1の基(図中、A)と、結合の他端に位置する第2の基(図中、A)とを有するユニットAと、第1の基の第1の結合部位に配置された第1のユニットB(図中、B)と、第2の基の第1の結合部位に配置された第2のユニットB(図中、B)とを有している。
【0052】
ユニットAは、回転軸として機能する結合を有しており、当該結合の両端にそれぞれ第1の基および第2の基が結合している。そして、当該結合を軸に回転可能となっている。このようなユニットを有することにより、刺激応答性化合物は、変形(変位)可能となっている。
ユニットAとしては、例えば、2つの芳香環が結合した基を用いることができるが、中でも、上記式(1)から(3)なる群から選択される1種の基であるのが好ましい。このような基をユニットAとして用いることにより、刺激応答性化合物は、より円滑な変形(変位)が可能となり、より低電圧で駆動するものとなる。
【0053】
第1のユニットBは、図6(a)に示すように、ユニットAの第1の基の第1の結合部位に結合している。また、第2のユニットBは、図6(a)に示すように、ユニットAの第2の基の第1の結合部位に結合している。
また、第1のユニットBおよび第2のユニットBは、ユニットB同士で酸化還元反応によって結合を形成する基である(図6(b)参照)。言い換えると、外部から電子の受け取る(還元される)ことによって結合を形成する基である。また、外部に電子を放出する(酸化される)ことで結合を解除する基である。
【0054】
ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)としては、ユニットB同士(第1のユニットBと第2のユニットBと)で酸化還元反応によって結合を形成する基であれば、特に限定されないが、ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)は、上記式(4)で表される基であるのが好ましい。これにより、反応条件を調整することで、ユニットB同士の結合状態と非結合状態とを可逆的にかつ容易に進行させることができる。また、反応性が高いため、刺激応答性化合物は、より円滑で、かつ低電圧で変形が可能となる。
【0055】
また、刺激応答性化合物は、図6(a)に示すように、液晶性官能基を有している。この液晶性官能基は、液晶の配向技術を用いることにより、一定の配向性を示す。このため、激応答性化合物は、その駆動に一定の方向性を有するものとなる。
液晶性官能基としては、液晶性を示す基であれば特に限定されず、複数の環構造を有する基、例えば、複数のフェニル基をエステル基で連結したもの、ベンゼン環若しくはシクロヘキサン環が直接連結したものが挙げられる。
【0056】
液晶性官能基としては、特に、複数の環構造のうちの1つの環構造にハロゲン原子が1つ以上結合した基を用いるのが好ましい。これにより、液晶性官能基の配向時における運動性能をより高いものとすることができ、配向への移行の速度がより早くなる。その結果、刺激応答性化合物は、より速くかつより円滑に変形(変位)が可能となり、さらに低電圧で駆動するものとなる。
なお、本実施形態では、液晶性官能基が一方のアルキル鎖のみに結合している場合について説明したが、これに限定されず、両方のアルキル鎖に結合していてもよい。
液晶性官能基の具体例としては、以下のようなものが挙げることができる。
【0057】
【化7】

【0058】
以上説明したように、本実施形態の刺激応答性化合物は、一対のアルキル鎖と、上述したような軸回転可能なユニットAおよび酸化還元反応によりユニット同士で結合を形成することが可能なユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)を備えた架橋部と、液晶性官能基とを有している点に特徴を有している。このような特徴を有することにより、低電力で変形(変位)させることができるとともに、変位の度合いを比較的大きくすることができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。
【0059】
すなわち、液晶性官能基によって複数の刺激応答性化合物分子が配向した(並んだ)状態で存在することができ、その揃った状態で電圧等を印加することで、ユニットAが軸回転、さらに、1分子内のユニットB同士が酸化還元反応により結合する(架橋する)。このように、液晶性官能基の配向性(液晶性)とユニットBの刺激による結合性とを利用することで、図6(a)に示す状態から、図6(b)に示す状態へと確実に変形(変位)することができる。特に、液晶性官能基の配向とユニットB同士の結合は、低い電圧で進行するので、低電圧で、大きな変形(変位)が可能となる。
【0060】
上述したような刺激応答性化合物は、上述したようなユニットAと、ユニットAの第1の基の第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、ユニットAの第2の基の第1の結合部位に配置された第2のユニットBと、ユニットAの第1の基の第2の結合部位およびユニットAの第2の基の第2の結合部位に結合した重合性官能基とを有する第1モノマーと、液晶性官能基と少なくとも1つの重合性官能基とを有する第2モノマーとを任意の比率で共重合させることにより、製造することができる。
【0061】
重合性官能基としては、特に限定されないが、ビニル基、アクリル基、メタクリル基からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。これにより、刺激応答性化合物をより容易に得ることができる。また、得られる刺激応答性化合物の運動性を高いものとすることができ、変形の度合い(変形率)をより高いものとすることができる。
第1モノマーの具体例としては、例えば、下記式(9)〜(11)を挙げることができる。
【0062】
【化8】

【0063】
また、第2モノマーの具体例としては、例えば、下記式(13)〜(15)を挙げることができる。
【0064】
【化9】

【0065】
《刺激応答性化合物の第4実施形態》
次に、変形層3を構成する材料であって、酸化還元反応により分子構造が変化する刺激応答性化合物の第4実施形態について詳細に説明する。
図7は、本実施形態の刺激応答性化合物の酸化還元反応前後の分子構造を説明するための図である。図7中、○および□は官能基を意味し、線は結合を意味する。
【0066】
図7に示すように、本実施形態の刺激応答性化合物は、分子構造が変形する複数の変形基と、液晶性を有する複数の液晶性官能基と、変形基と液晶性官能基とを連結する複数の連結基とを有している。
変形基は、酸化還元反応によって分子構造が変形する基であり、図7(a)に示すように、回転軸として機能する結合を有し、かつ、当該結合の一端に位置する第1の基(図中、A)と、結合の他端に位置する第2の基(図中、A)とを有するユニットAと、第1の基の第1の結合部位に配置された第1のユニットB(図中、B)と、第2の基の第1の結合部位に配置された第2のユニットB(図中、B)とを有している。
【0067】
ユニットAは、回転軸として機能する結合を有しており、当該結合の両端にそれぞれ第1の基および第2の基が結合している。そして、当該結合を軸に回転可能となっている。このようなユニットを有することにより、刺激応答性化合物は、変形(変位)可能となっている。
ユニットAとしては、例えば、2つの芳香環が結合した基を用いることができるが、中でも、上記式(1)から(3)なる群から選択される1種の基であるのが好ましい。このような基をユニットAとして用いることにより、刺激応答性化合物は、より円滑な変形(変位)が可能となり、より低電圧で駆動するものとなる。
【0068】
第1のユニットBは、図7(a)に示すように、ユニットAの第1の基(A)の第1の結合部位に結合している。また、第2のユニットBは、図7(a)に示すように、ユニットAの第2の基(A)の第1の結合部位に結合している。
また、第1のユニットBおよび第2のユニットBは、ユニットB同士で酸化還元反応によって結合を形成する基である(図7(b)参照)。言い換えると、外部から電子の受け取る(還元される)ことによって結合を形成する基である。また、外部に電子を放出する(酸化される)ことで結合を解除する基である。
【0069】
ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)としては、ユニットB同士(第1のユニットBと第2のユニットBと)で酸化還元反応によって結合を形成する基であれば、特に限定されないが、ユニットB(第1のユニットBと第2のユニットB)は、上記式(4)で表される基であるのが好ましい。これにより、反応条件を調整することで、ユニットB同士の結合状態と非結合状態とを可逆的にかつ容易に進行させることができる。また、反応性が高いため、刺激応答性化合物は、より円滑で、かつ低電圧で変形が可能となる。
【0070】
また、刺激応答性化合物は、図7(a)に示すように、液晶性官能基を有している。この液晶性官能基は、液晶の配向技術を用いることにより、一定の配向性を示す。このため、激応答性化合物は、その駆動に一定の方向性を有するものとなる。
液晶性官能基は、その両末端において後述する連結基と結合しており、当該連結基を介して、前述した変形基の第1の基の第2の結合部位および第2の基の第2の結合部位と接続している。
【0071】
液晶性官能基としては、液晶性を示す基であれば特に限定されず、複数の環構造を有する基、例えば、複数のフェニル基をエステル基で連結したもの、ベンゼン環若しくはシクロヘキサン環が直接連結したものが挙げられる。
液晶性官能基としては、特に、複数の環構造のうちの1つの環構造にハロゲン原子が1つ以上結合した基を用いるのが好ましい。これにより、液晶性官能基の配向時における運動性能をより高いものとすることができ、配向への移行の速度がより早くなる。その結果、刺激応答性化合物は、より速くかつより円滑に変形(変位)が可能となり、さらに低電圧で駆動するものとなる。
液晶性官能基の具体例としては、上記式(8)のようなものが挙げることができる。
上述した変形基と液晶性官能基とを連結する連結基は、下記式(12)で表される基である。
【0072】
【化10】

【0073】
このようなシロキサン結合を備えた連結基を用いて連結することにより、刺激応答性化合物の刺激に対する応答性をより高いものとすることができる。また、図7に示すような刺激応答性化合物の製造を容易に行うことができる。
以上説明したように、本実施形態の刺激応答性化合物は、酸化還元反応により変形可能な変形基と、液晶性官能基と、これらを連結する上記式(12)で表される連結基とを有している点に特徴を有している。このような特徴を有することにより、低電力で変形(変位)させることができるとともに、変位の度合いを比較的大きくすることができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。
【0074】
すなわち、このような刺激応答性化合物では、酸化された状態では、図7(a)に示される構造のように長い分子が伸びた状態で存在することとなる。そして、そこへ電圧を印加し、電子を与えて還元すると、図7(b)に示される構造のように、ユニットAの回転軸を軸に回転し、隣接するユニットB同士が酸化還元反応により結合し、さらに、液晶性官能基が配向することにより、長い分子が折りたたまれた状態となる。このため、変形の度合い(変形率)を大きなものとすることができるとともに、その変形に方向性を持たせることができる。また、変形に酸化還元反応を利用するため、比較的低電力で駆動させることができる。
【0075】
上述したような刺激応答性化合物は、上述したようなユニットAと、ユニットAの第1の基の第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、ユニットAの第2の基の第1の結合部位に配置された第2のユニットBと、ユニットAの第1の基の第2の結合部位およびユニットAの第2の基の第2の結合部位に結合した重合性官能基とを有する第1モノマーと、液晶性官能基と2つの重合性官能基とを有する第2モノマーと、下記式(16)で表される第3モノマーとを、白金等の触媒存在下において、任意の比率で共重合させることにより、製造することができる。
【0076】
【化11】

【0077】
重合性官能基としては、特に限定されないが、ビニル基、アクリル基、メタクリル基からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。これにより、刺激応答性化合物をより容易に得ることができる。また、得られる刺激応答性化合物の運動性を高いものとすることができ、変形の度合い(変形率)をより高いものとすることができる。
第1モノマーの具体例としては、例えば、上記式(9)〜(11)を挙げることができる。
また、第2モノマーの具体例としては、例えば、上記式(13)〜(15)を挙げることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0078】
1…第1の電極層 2…第2の電極層 3…変形層 4…電解質層 5…内膜 10…流量調整デバイス 100…管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる管内に設置され、前記流体の流量を調整する流量調整デバイスであって、
第1の電極層と、
前記第1の電極層と対向するように設けられた第2の電極層と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた、変形層および電解質層とを有し、
酸化還元反応により前記変形層の体積が膨張または収縮することにより、前記流体の流量を調整することを特徴とする流量調整デバイス。
【請求項2】
前記変形層は、酸化還元反応により分子構造が変化する刺激応答性化合物で構成されている請求項1に記載の流量調整デバイス。
【請求項3】
前記刺激応答性化合物は、回転軸として機能する結合を有するユニットAと、
前記ユニットAの第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記ユニットAの第2の結合部位に配置された第2のユニットBと、
前記ユニットAの第3の結合部位に配置された第1のユニットCと、
前記ユニットAの第4の結合部位に配置された第2のユニットCと、
を含み、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとは酸化還元反応によって結合し、
前記第1のユニットCおよび前記第2のユニットCは液晶性を有し、重合性官能基を含む請求項2に記載の流量調整デバイス。
【請求項4】
前記刺激応答性化合物は、回転軸として機能する結合を有するユニットAと、
前記ユニットAの第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記ユニットAの第2の結合部位に配置された第2のユニットBと、
前記第1のユニットBに結合した第1のユニットCと、
前記第2のユニットBに結合した第2のユニットCと、
を有し、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとは、酸化還元反応によって結合するものであり、
前記第1のユニットCおよび前記第2のユニットCは、液晶性を有する請求項2に記載の流量調整デバイス。
【請求項5】
一対のアルキル鎖と、
前記一対のアルキル鎖の間を架橋する架橋部と、
前記一対のアルキル鎖の少なくとも一方に結合した液晶性官能基と、を有し、
前記架橋部は、回転軸として機能する結合を有し、かつ、該結合の一端に位置する第1の基と、前記結合の他端に位置する第2の基とを有するユニットAと、
前記第1の基の第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記第2の基の第1の結合部位に配置された第2のユニットBと、を有し、
前記架橋部は、前記第1の基の第2の結合部位において一方のアルキル鎖と結合し、前記第2の基の第2の結合部位において他方のアルキル鎖と結合しており、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとが、酸化還元反応によって結合する請求項2に記載の流量調整デバイス。
【請求項6】
酸化還元反応によって分子構造が変形する複数の変形基と、
液晶性を有する複数の液晶性官能基と、
前記変形基と前記液晶性官能基とを連結する下記式(12)で表される複数の連結基と、を有し、
前記変形基は、回転軸として機能する結合を有し、かつ、該結合の一端に位置する第1の基と、前記結合の他端に位置する第2の基とを有するユニットAと、
前記第1の基の第1の結合部位に配置された第1のユニットBと、
前記第2の基の第1の結合部位に配置された第2のユニットBと、を有し、
前記変形基は、前記第1の基の第2の結合部位および前記第2の基の第2の結合部位において、前記連結基と結合しており、
前記第1のユニットBと前記第2のユニットBとが、酸化還元反応によって結合する請求項2に記載の流量調整デバイス。
【化1】

【請求項7】
前記電解質層は、イオン交換樹脂またはカーボンナノチューブを含む材料で構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の流量調整デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−41966(P2012−41966A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182822(P2010−182822)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】