流量調節装置
【課題】 騒音が小さく、消費電力の少ない流量調節装置を提供する。
【解決手段】 リニアアクチュエータ(L)の可動子(8)と連動して間欠的に直線移動する流量調節用の弁体(4)を具備し、前記弁体(4)の移動量によって流体回路の流量を調節する流量調節装置に於いて、前記可動子(8)は、該可動子(8)の移動域に沿って配列された複数の電磁石(71)(73)で引き付けられて前記間欠的に直線移動するものであり、前記電磁石(71)(73)は、前記可動子(8)に対して非接触状態に設けられていること。
【解決手段】 リニアアクチュエータ(L)の可動子(8)と連動して間欠的に直線移動する流量調節用の弁体(4)を具備し、前記弁体(4)の移動量によって流体回路の流量を調節する流量調節装置に於いて、前記可動子(8)は、該可動子(8)の移動域に沿って配列された複数の電磁石(71)(73)で引き付けられて前記間欠的に直線移動するものであり、前記電磁石(71)(73)は、前記可動子(8)に対して非接触状態に設けられていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス器具のガス回路に配設される流量調節装置に関するもので、水回路や空気回路等に配設して使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
この種の流量調節装置として、特許文献1に開示されたものがある。
このものは、図11に示す構成で、弁箱(B)内には、弁口(920)が開設された固定ディスク(92)とその下面に重ねられた回転ディスク式の弁体(91)が装填されている。弁体(91)は、前記弁口(920)に対応する透孔(910)を具備していると共に、モータ(90)に動力伝達状態に連結された回転軸(93)で回転されるようになっている。
このものでは、モータ(90)に連結された回転軸(93)で弁体(91)が回転されると、該弁体(9)に開設された透孔(910)と固定ディスク(92)の弁口(920)との重なり部の面積が変化し、これにより、流路(94)の流出口(95)から吐出される流体の流量が調節される。
【特許文献1】特開2002−323218号公報(図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のものでは次の問題があった。
1.流量調節装置を屋内器具に適用する場合には、特別な防音対策を講じる必要がある。
流量調節装置のコンパクト化の要請からモータ(90)のサイズを小さくすると、モータ(90)に内蔵された回転子も小さくなって回転トルクが弱くなる。このことから、一般的には、前記トルクを増幅させる為の複数の減速ギヤがモータ(90)に組み込まれている。
従って、弁作動時には、前記減速ギヤが噛み合いながら回転する際の騒音が発生することから、上記従来の流量調節装置を屋内器具に適用する場合には、特別な防音対策を講じる必要がある。
2.モータ(90)の回転子の回転トルクは、上記減速ギヤを介して弁体(91)側の回転軸(93)に伝達されるから、減速ギヤの部分でトルクの伝達ロスが生じ、その分、消費電力が増加する。
本発明は上記の点に鑑みて成されたもので、騒音が小さく、消費電力の少ない流量調節装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[請求項1に係る発明]
上記課題を解決する為の本発明の技術的手段は、
『リニアアクチュエータの可動子と連動して間欠的に直線移動する流量調節用の弁体を具備し、前記弁体の移動量によって流体回路の流量を調節する流量調節装置に於いて、
前記可動子は、該可動子の移動域に沿って配列された複数の電磁石で引き付けられて前記間欠的に直線移動するものであり、
前記電磁石は、前記可動子に対して非接触状態に設けられている』ことである。
上記技術的手段によれば、流量調節用の弁体はリニアアクチュエータと連動することによって流量調節を行なうから、既述従来の流量調節装置と相違し、モータ(90)に組み込まれた回転子の回転トルクを増幅する減速ギヤが不要となり、該減速ギヤが噛み合いながら回転する際の騒音が生じない。
又、前記減速ギヤによるトルクの伝達ロスが生じないから、その分、電力消費が抑えられる。
【0005】
[請求項2に係る発明]
請求項1に係る発明に於いて、
『前記可動子には、前記電磁石の各磁極で引き付けられる突子が前記電磁石の配列方向に一定ピッチで配設されており、
前記電磁石の配設数の整数倍を1単位とする数のパルスを各電磁石に順次印加する制御を繰り返して、前記各1単位のパルス中の最終パルスを予め定めた特定の電磁コイルに印加することにより前記可動子を単位距離ずつ移動させる』ものとすることができる。
このものでは、各電磁石にパルスが順次印加されると、可動子に配設された突子が各電磁石に順次引き付けられ、これにより、可動子が直線移動すると共に、可動子に連動する弁体で流量調節が行われる。
又、1単位のパルス中の最終パルスは、予め定められた特定の電磁コイルに印加され、これにより、可動子を単位距離だけ移動させる単位制御が完了する。この単位制御が繰り返されると、可動子が単位距離ずつ間欠的に直線移動する。
従って、可動子に配設された突子が常に前記特定の電磁石の磁極に最接近した状態で各単位制御が完了するから、各単位制御の完了時には前記特定の電磁石を基準として可動子を停止させることができる。よって、基準となる電磁石が特定されない場合に比べ、各電磁石の配設ピッチにバラツキがあっても、可動子の移動距離の精度が高くなる。
【0006】
[請求項3に係る発明]
請求項1又は請求項2に係る発明に於いて、
『前記流体回路はガス回路であり、
前記ガス回路には前記弁体と直列に電磁安全弁が配設されており、
前記可動子は、前記弁体がその移動域中の流量調節範囲より更に移動した範囲で前記電磁安全弁を開弁させるものであり、
前記可動子で前記電磁安全弁を開弁させた後に、前記弁体が前記流量調節範囲に復帰移動するまで前記可動子を移動させてガス流量を調節する流量制御手段を具備する』ものとすることができる。
このものでは、可動子は、弁体を流量調節範囲から更に移動させた範囲で電磁安全弁を開弁させる。従って、弁体が流量調節範囲にあるときには、可動子が電磁安全弁を開弁させないから、電磁安全弁が閉弁する異常時に、可動子が電磁安全弁の閉弁動作を妨げることがない。
【0007】
[請求項4に係る発明]
請求項3に係る発明に於いて、
『前記可動子の移動位置を検出する位置検出手段と、
前記流量制御手段で前記ガス流量の調節制御を行なっているときに前記可動子が前記弁体の流量調節範囲に対応する移動範囲から外れたことが前記位置検出手段の出力に基づいて確認された場合に脱調信号を出力する脱調判定手段と、
前記脱調信号が出力された場合は、前記可動子を前記弁体の流量調節範囲に対応する移動範囲に復帰移動させた後に前記調節制御を再開する』ものでは次の作用が生じる。
ガス流量の調節制御時に、制御不良により弁体が流量調節範囲から外れると、このときの可動子の移動位置が位置検出手段で検出され、該位置検出手段の出力に基づいて脱調判定手段が脱調信号を出力する。すると、可動子が弁体の流量調節範囲に対応する移動範囲に復帰移動され、その後、前記調節制御が再開される。従って、ガス流量の調節制御時に於いては、弁体が必ず流量調節範囲に維持され、これにより、適正な流量制御が行なえる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は次の特有の効果を有する。
弁体はリニアアクチュエータの可動子と連動して流量調節するから、既述従来の流量調節装置と相違し、モータ(90)に組み込まれた回転子の回転トルクを増幅する減速ギヤが不要となり、該減速ギヤが噛み合いながら回転する際の騒音が生じない。
又、前記減速ギヤによるトルクの伝達ロスが生じないから、その分、電力消費が抑えられ、消費電力の少ない流量調節装置が提供できる。
請求項2に係る発明では、各単位制御の完了時には特定の電磁石を基準として可動子を停止させることができるから、基準となる電磁石が特定されない場合に比べ、各電磁石の配設ピッチにバラツキがあっても、可動子の移動距離の精度が高くなる。
請求項3に係る発明では、弁体が流量調節範囲にあるときには可動子が電磁安全弁を開弁させる位置に存在しないから、電磁安全弁が閉弁する異常時に、可動子が電磁安全弁の閉弁動作を妨げることがない。
又、既述従来の流量調節装置の減速ギヤに相当するものが不要であるから、その分、動作の応答性が良好になる。従って、請求項3の流量調節装置をガス燃焼装置のガス回路に組み込んだ場合、電磁安全弁を開弁させた後に弁体を流量調節範囲に迅速に移動させることができる。よって、電磁安全弁の開弁直後に異常状態(例えば、ガスバーナの点火ミス等)が発生して前記電磁安全弁が閉弁動作する時には、可動子が電磁安全弁の閉弁動作を妨げない位置(流量調節範囲に対応する位置)に迅速に移動しているので、電磁安全弁が確実に閉弁する。
請求項4に係る発明では、ガス流量の調節制御時には、弁体は必ず流量調節範囲に維持されるから、適正な流量制御が行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、システムキッチンのカウンタートップ(K)に開設された開口(K1)に落とし込み状態に装着されるガス燃焼装置たるドロップインコンロの斜視図である。
コンロ天板(30)には、五徳(31)(32)(33)が載置されていると共に、その下方にはガスバーナ(34)(35)(36)が臨んでいる。又、コンロ本体(3)の正面中央に設けられたグリル扉(20)の近傍のコンロ操作部(21)にはガスバーナ(34)(35)(36)の点・消火と火力調整機能を兼備した操作摘み(24)(25)(26)が配設されている。
ガスバーナ(34)(35)(36)は、操作摘み(24)(25)(26)の押圧操作によって点・消火される一方、操作摘み(24)(25)(26)の回転操作によって火力調節される。
【0010】
コンロ本体(3)内に形成されたガス供給用の上流回路(10)には、図2に示すように、元電磁弁(11)が配設されていると共に、該元電磁弁(11)の下流側にはガスバーナ(34)(35)(36)へ分岐するガス回路(a)(a)が形成されている。
ガスバーナ(34)(35)(36)への各ガス回路(a)には、図2に示す流量調節装置(V)が配設されており、該流量調節装置(V)は、流量調節用の弁体(40)を具備する流量調節部(4)と、電磁安全弁(50)を具備する安全弁部(5)と、更に、これら流量調節部(4)及び安全弁部(5)を作動させるリニアアクチュエータ(L)から構成されている。以下、各部の詳細を更に説明する。
【0011】
[リニアアクチュエータ(L)]
リニアアクチュエータ(L)は、安全弁部(5)の弁箱(51)から延長された基盤(52)に載置固定された磁力発生器(7)と、磁力発生器(7)で直線移動される可動子(8)から構成されていると共に、可動子(8)の移動位置は位置検出手段たるポテンショメータ(6)で監視されるようになっている。尚、基盤(52)及び可動子(8)は磁性体で構成されている。
【0012】
《磁力発生器(7)》
磁力発生器(7)は、可動子(8)の移動域に沿って配列された第1,第2電磁石(71)(73)(既述発明特定事項たる電磁石に対応する。)及び、これらの下側に各別に配設された第1,第2永久磁石(72)(74)とから構成されている。尚、第1,第2電磁石(71)(73)は可動子(8)に対して非接触状態に設けられている。
図3に示すように、第1,第2電磁石(71)(73)はU字状の鉄心(710)(730)と、これらに巻回されたコイル巻線(711)(731)を備えている。
第1電磁石(71)のコイル巻線(711)の巻回方向は、第1端子(714)に+電圧を印加し且つ第2端子(715)にー電圧を印加した場合、第1磁極(712)がS極になり第2磁極(713)がN極になるような方向に設定されている。
【0013】
一方、第2電磁石(73)のコイル巻線(731)の巻回方向は、第3端子(734)に+電圧を印加し且つ第4端子(735)にー電圧を印加した場合、第3磁極(732)がS極になり第4磁極(733)がN極になるような方向に設定されている。
第1永久磁石(72)の極性は、第1電磁石(71)側がN極に、基盤(52)側がS極に設定されている。これとは逆に、第2永久磁石(74)の極性は、第2電磁石(73)側がS極に、基盤(52)側がN極に設定されている。
尚、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチP(図3の(イ)参照。)は、後述する可動子(8)の下面形状たる凹凸波形の波長(以下、単に「波長」という。)の「13/4」の長さに設定されている。即ち、前記配設ピッチPは前記波長の整数倍より、1/4波長だけ長い。
【0014】
《可動子(8)》
図2,図3に示すように、可動子(8)の下面形状は第1,第2山部(81a)(81b)(既述発明特事項たる「突子」に対応する。)・・・と第1谷部(82a),第2谷部(82b)・・・が交互に繰り返す凹凸波状に形成されており、第1電磁石(71)に於ける第1,第2磁極(712)(713)相互のピッチ及び、第2電磁石(73)に於ける第3,第4磁極(732)(733)相互のピッチは、前記凹凸波の波長の3/2の長さに設定されている。即ち、前記第1,第2磁極(712)(713)相互のピッチ及び第3,第4磁極(732)(733)相互のピッチは、前記波長より1/2波長だけ長く設定されている。
可動子(8)の上面には、その先端部から基端部に亙って凹凸歯(84)が形成されており、該凹凸歯(84)にはポテンショメータ(6)の回転歯車(60)が噛み合っている。
【0015】
《リニアアクチュエータ(L)の動作原理》
次に、リニアアクチュエータ(L)の動作原理を図3に基づいて説明する。
(イ)は初期状態を示している。
初期状態では、可動子(8)の第2山部(81b)は第1電磁石(71)の第1磁極(712)に対向しており、可動子(8)の第5山部(81e)は第2電磁石(73)の第3磁極(732)の対向位置から前記波長の1/4の距離だけ左側にずれている。又、可動子(8)の第7山部(81g)は、第2電磁石(73)の第4磁極(733)の対向位置から前記波長の1/4の距離だけ右側にずれている。
リニアアクチュエータ(L)内に形成される主な磁力線は、(イ)の矢印で示すように、第1永久磁石(72)→第1電磁石(71)の第1磁極(712)→可動子(8)の第2山部(81b)→可動子(8)内と繋がり、その後、可動子(8)の第5山部(81e)と第7山部(81g)に分岐し、第2電磁石(73)の第3磁極(732)及び第4磁極(733)→第2永久磁石(74)→基盤(52)→第1永久磁石(72)の経路で繋がり、同図に示す閉ループ状の磁気回路が形成される。
【0016】
(ロ)は第1番目のパルスを第2電磁石(73)に印加したときの磁力線の状態を示し、(ハ)は前記パルスの印加で移動した後の可動子(8)の位置を示している。
第1番目のパルスが第2電磁石(73)に印加されると、第3端子(734)が+電圧に、第4端子(735)が−電圧に維持される。この状態では、コイル巻線(731)の電流により、第3磁極(732)側の鉄心内には上端から下端側(第2永久磁石(74)側)に向かう新たな磁力線((イ)の初期状態で形成されていた磁力線を強める方向の磁力線)が生成される一方、第4磁極(733)側の鉄心内には下方から上方に向かう新たな磁力線((イ)の初期状態で形成されていた磁力線を打ち消す方向の磁力線)が生成される。
【0017】
これにより、同図(ロ)に示すように、第2電磁石(73)の第4磁極(733)と可動子(8)間の磁力線は実質的に消失する結果、可動子(8)の第5山部(81e)が第2電磁石(73)の第3磁極(732)に引き付けられ、これにより、(ハ)に示すように、可動子(8)の第5山部(81e)が第2電磁石(73)の第3磁極(732)に対向する位置まで移動する。従って、移動後の状態を示す(ハ)の状態では、第2電磁石(73)の第3磁極(732)には可動子(8)の第5山部(81e)が最接近する。一方、第1電磁石(71)の第1磁極(712)と可動子(8)の第2山部(81b)の距離、及び、第2磁極(713)と第3山部(81c)の距離は等しい。従って、この状態で第2電磁石(73)のコイル巻線(731)を非通電状態(パルスの印加を解除した状態)にすると、リニアアクチュエータ(L)内に生成される主な磁力線は(ハ)の矢印で示す状態になり、可動子(8)はこの位置でバランスして停止する。尚、第2電磁石(73)の第4磁極(733)と可動子(8)の第5山部(81f)及び第6山部(81g)の距離は等しいので、第2電磁石(73)から可動子(8)を横方向に移動させる力は働かない。
【0018】
(ニ)は第2番目のパルスを第1電磁石(71)に印加したときの主な磁力線を示しており、(ホ)は前記パルスの印加で移動した後の可動子(8)の位置を示している。
第2番目のパルスが第1電磁石(71)に印加されると、第1端子(714)が+電圧に、第2端子(715)が−電圧に維持される。この状態では、コイル巻線(711)の電流により、第1磁極(712)側の鉄心内には上端から下端側(第1永久磁石(72)側)に向かう新たな磁力線((ハ)の状態で形成されていた磁力線を打ち消す方向の磁力線)が生成される一方、第2磁極(713)側の鉄心内には下方から上方に向かう新たな磁力線((ハ)の状態で形成されていた磁力線を強める方向の磁力線)が生成される。
【0019】
これにより、同図(ニ)に示すように、第1電磁石(71)の第1磁極(712)と可動子(8)間の磁力線は実質的に消失する結果、可動子(8)の第3山部(81c)が第1電磁石(71)の第2磁極(713)に引き付けられ、これにより、(ホ)に示すように、可動子(8)の第3山部(81c)が第1電磁石(71)の第2磁極(713)に対向する位置まで移動する。従って、移動後の状態を示す(ホ)の状態では、第1電磁石(71)の第2磁極(713)には可動子(8)の第3山部(81c)が最接近する。一方、第2電磁石(73)の第3磁極(732)と可動子(8)の第5山部(81e)の距離、及び、第4磁極(733)と第6山部(81f)の距離は等しい。従って、この状態で第1電磁石(71)のコイル巻線(711)を非通電状態(パルスの印加を解除した状態)にすると、リニアアクチュエータ(L)内に生成される主な磁力線は(ホ)の矢印で示す状態になり、可動子(8)はこの位置でバランスして停止する。尚、第1電磁石(71)の第1磁極(712)と可動子(8)の第1山部(81a)及び第2山部(81b)の距離は等しいので、第1電磁石(71)から可動子(8)を横方向に移動させる力は働かない。
【0020】
そして、図3の(イ)に示す初期状態では第1電磁石(71)の第1磁極(712)に可動子(8)の第2山部(81b)が対向しているのに対し、(ホ)の状態(磁力発生器(7)に2個のパルスを印加した後の状態)では前記第2山部(81b)に隣接する第1谷部(82a)が前記第1磁極(712)に対向している。従って、第1,第2電磁石(71)(73)の配設数のパルス(第1,第2パルス)を磁力発生器(7)に印加すると、可動子(8)の下面形状たる凹凸波の波長の1/2の距離(単位距離)だけ可動子(8)を移動させる単位制御が完了する。そして、次に第2電磁石(73)に第3パルス(第3端子(734)を−,第4端子(735)を+)を印加した後、第1電磁石(71)に第4パルス(第1端子(714)を−,第2端子(715)を+)を印加すると、上記と同様の理由により、可動子(8)が前記波長の1/2の距離だけ更に移動し、可動子(8)の第1山部(81a)が第1電磁石(71)の第1磁極(712)に対向する。従って、第1,第2電磁石(71)(73)の配設数の整数倍のパルスを磁力発生器(7)に印加すると、前記波長の1/2の距離ずつ可動子(8)が間欠移動する。又、第1,第2電磁石(71)(73)に対して上記と逆の順序でパルスを印加すると、上記と逆方向に可動子(8)が間欠移動する。
【0021】
次に、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチPに誤差Xがある場合でも、可動子(8)が前記波長の1/2の距離(単位距離)ずつ間欠移動することを図5に基づいて説明する。
図5の(A)(B)は、夫々、図3の(イ)(ホ)の状態において第1電磁石(71)のコイル巻線(711)に通電している状態(パルスを印加している状態)を示している。
(A)の状態では、第1電磁石(71)の第1磁極(712)に可動子(8)の第2山部(81b)が対向しているので、第1電磁石(71)の第1磁極(712)が可動子(8)の第2山部(81b)を引き付ける力の横方向成分は0である。第1電磁石(71)の第2磁極(713)に対して可動子(8)の第3山部(81c)と第4山部(81d)は左右対称な位置に存在するから、第2磁極(713)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分も0である。従って、第1電磁石(71)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分は0である。
一方、(B)の状態では第1電磁石(71)の第2磁極(713)に可動子(8)の第3山部(81c)が対向しており、第1磁極(712)に対して可動子(8)の第1山部(81a)と第2山部(81b)は左右対称な位置に存在するから、上記と同様の理由により、第1電磁石(71)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分は0である。
【0022】
次に、(A)(B)に於いて、第2電磁石(73)から可動子(8)に作用する力を比較する。
(A)の状態では、可動子(8)の第6山部(81f)の中心が鉄心(730)の左右中央から誤差Xだけ左にずれている。一方、(B)の状態では、可動子(8)の第5谷部(82e)の中心が鉄心(730)の左右中央から誤差Xだけ左側にずれている。従って、(A)に於ける第3磁極(732)と第5山部(81e)の距離S1と(B)に於ける第4磁極(733)と第6山部(81f)の距離S4は等しい。このことから、(A)の第3磁極(732)と(B)の第4磁極(733)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分F1,F4は方向及び大きさが等しい。一方、(A)に於ける第4磁極(733)と第7山部(81g)の距離S2と(B)に於ける第3磁極(732)と第5山部(81e)の距離S3は等しい。よって、(A)の第4磁極(733)と(B)の第3磁極(732)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分F2,F3は方向及び大きさが等しい。
【0023】
従って、(A)と(B)の状態では、第2電磁石(73)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分は方向及び大きさが共に等しい。よって、(A)と(B)の状態でコイル巻線(711)への通電を解除すると、可動子(8)は同じ距離だけ横方向へ微小移動して停止する。従って、磁力発生器(7)に2パルス印加した((A)から(B)の状態にした)後に第1電磁石(71)を非通電状態にすると、可動子(8)が既述波長の1/2の距離だけ正確に移動することとなる。
よって、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチに誤差があっても、可動子(8)の移動距離は正確である。即ち、上記のものでは、特定の第1電磁石(71)を基準として可動子(8)を停止させるから、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチPにバラツキがあっても、可動子(8)の移動距離の精度が高くなる。
【0024】
[流量調節部(4)]
次に、流量調節部(4)について説明する。
流量調節部(4)の弁箱(41)には、ガス流入口(42)から水平通路(44)を経てガス出口(43)に至るガス通路(45)が貫通しており、前記水平通路(44)にはその後端開口(47)からシリンダ(46)が圧入されている。シリンダ(46)の後端に同心状態に設けられたガイド筒(460)には弁体(40)に連設されたスライド軸(401)が摺動自在に挿入されており、スライド軸(401)の基端部外周のフランジ(402)とシリンダ(46)の後端近傍の内周壁(461)との間には弁体(40)を閉方向に付勢するバネ(462)が介在されている。
図4に示すように、弁体(40)は先端に向かって第1〜第3径部(404)〜(406)の順序で段階的に細くなっており、基端部(403)は弁口(408)に密嵌するようになっている。
【0025】
一方、弁箱(41)の下部構成壁には、後述の安全弁部(5)内のガス通路から水平通路(44)内にガスをリークさせるオリフィス(48)が設けられており、弁体(40)が最絞り位置(図4に示す位置)にあるときには、オリフィス(48)で設定される流量のガスが流量調節部(4)のガス通路(45)を介してガスバーナ(34)に供給されるようになっている。
弁体(40)の中心孔(407)には、弁軸(49)の一端が摺動自在に挿入されていると共に、該弁軸(49)の端部近傍には弁体(40)を開弁方向に押す為の押圧フランジ(490)が周設されている。又、弁軸(49)は、シリンダ(46)の先端から延びた支持アーム(463)の先端孔(464)と、弁箱(41)に開設された軸孔(410)を摺動自在に貫通しており、更に弁軸(49)の先端(491)はナット(492)で可動子(8)に固定されている。
【0026】
従って、既述した可動子(8)が磁力発生器(7)で直線移動されると、これに弁軸(49)が追随移動し、該弁軸(49)の先端の弁体(40)が弁口(408)に対して侵入する量が変化する。これにより、弁体(40)の第1〜第3径部(404)〜(406)と弁口(408)の寸法差に応じた流量調節が行なえる。この場合、第1〜第3径部(404)〜(406)は、弁体(40)の軸方向に長いストレート部が階段状に連続したものであるから、弁体(40)が目標位置から前記ストレート部の長さ未満ずれても、弁口(408)と弁体(40)の間隙は一定に保たれ、制御誤差が生じ難い。
【0027】
[安全弁部(5)]
上記流量調節部(4)の下側に分離可能に結合された安全弁部(5)の弁箱(51)には、ガス入り口(53)からガス吐出部(54)に繋がるガス通路(55)が形成されており、その途中の弁室(57)には、電磁安全弁(50)が収容されている。そして、電磁安全弁(50)の弁体(500)によって、ガス通路(55)に形成された弁口(501)が開閉されるようになっている。
電磁安全弁(50)の弁体(500)は、バネ(502)で弁口(501)方向に付勢されていると共に、開弁軸(58)で開弁方向に押し込まれる構成で、開弁軸(58)は弁箱(51)の構成壁の貫通孔(59)に気密摺動自在に挿通されている。又、開弁軸(58)は、その先端フランジ(580)と弁箱(51)の間に介装されたバネ(5a)で可動子(8)に押し付けられている。
従って、可動子(8)で開弁軸(58)が押し込まれると、該開弁軸(58)の先端で弁体(500)が押されて開弁する。
このものでは、安全弁部(5)と流量調節部(4)が分離可能に結合されているから、ガス種に適合したオリフィス(48)と弁体(40)が設けられた流量調節部(4)を安全弁部(5)に付け替えるだけで、種々のガス種に対応することができる。
【0028】
[制御装置]
図6は、コンロ本体(3)に組み込まれた制御回路の概略の構成図である。
制御装置(62)には、操作摘み(24)(25)(26)の操作信号やポテンショメータ(6)の出力、更に、ガスバーナ(34)(35)(36)の炎を検知する熱電対(37)の出力が印加されていると共に、制御装置(62)の出力によって磁力発生器(7),元電磁弁(11)及びガスバーナ(34)(35)(36)へ点火するイグナイタ(I)が制御されるようになっている。
【0029】
[動作]
制御装置(62)には、図7のフローチャートで示す内容の制御プログラムが格納されたマイクロコンピュータが組み込まれている。以下、コンロ本体(3)の動作を図7のフローチャートに従って説明する。
尚、操作摘み(24)(25)(26)の操作に基づく各ガスバーナ(34)(35)(36)の動作は同一であるから、以下に於いては、操作摘み(24)が操作された場合を例示的に説明する。
先ず、ステップ(ST1)で操作摘み(24)による点火操作が確認されると、ステップ(ST2)で元電磁弁(11)を開弁させ、その後、ステップ(ST3)で点火タイマ(T1)を「0」にセットする。
【0030】
次に、ステップ(ST4)でイグナイタ(I)を作動させると共に電磁安全弁(50)に通電し、これと同時に電磁安全弁(50)を開弁軸(58)で押圧開弁させる。即ち、流量調節部(4)の弁体(40)がその移動域中の流量調節範囲(図2に於いて、電磁安全弁(50)の開弁軸(58)の先端(58a)が弁口(501)より左側に存在する範囲)より更に大流量側(図2に於ける右側)に対応する位置まで可動子(8)が移動するのに必要な数のパルスを磁力発生器(7)に印加する。尚、パルス数は、点火操作前にマイクロコンピュータに記憶させてある弁体(40)の位置データから判断する。従って、本実施の形態では、流量調節部(4)の弁体(40)が流量調節範囲(燃焼量調節範囲)にあるときには、可動子(8)がこれに連結された開弁軸(58)を介して電磁安全弁(50)を開弁させることがない。よって、異常時に電磁安全弁(50)が閉弁する場合でも、開弁軸(58)が電磁安全弁(50)の閉弁動作を妨げることがない。
【0031】
次に、ステップ(ST5)で、弁体(40)を火力調節範囲内の点火位置(中火位置)に戻す。
その後、ステップ(ST6)(ST7)で、ガスバーナ(34)の炎を検知する熱電対(37)の出力を点火タイマ(T1)を用いて2秒間監視し、2秒以内に炎が検知されない場合は、ステップ(ST8)で電磁安全弁(50)への通電を停止させると共に、点火ミスが発生したことを音声等で報知した後、ステップ(ST1)に制御を戻す。一方、前記2秒以内に炎が検知された場合は、ステップ(ST6)からステップ(ST9)に制御が進んでイグナイタ(I)を停止させる。その後、ステップ(ST10)を実行し、操作摘み(24)で設定された火力に対応する位置に弁体(40)を移動させ、この状態でガスバーナ(34)を燃焼させる。尚、本実施の形態では、弁体(40)を火力調節範囲に戻した後、操作摘み(24)で設定された火力に対応する位置に弁体(40)を移動させるステップ(ST10)が、請求項3の発明特定事項たる「流量制御手段」に対応する。
【0032】
次に、ステップ(ST11)で弁体(40)が火力調節範囲から逸脱したか否かを、ポテンショメータ(6)の出力に基づいて判断し、逸脱している場合はステップ(ST12)を実行し、操作摘み(24)による設定火力になるまで弁体(40)を移動させる。即ち、ポテンショメータ(6)の出力に基づいて可動子(8)の位置を判断し、これにより、弁体(40)を流量調節範囲中の設定火力が確保できる位置まで弁体(40)を移動させる。従って、ガス流量の調節制御時に於いては、流量調節部(4)の弁体(40)が必ず流量調節範囲に維持されるから、適正な流量制御が行なえる。
よって、本実施の形態では、ステップ(ST11)の制御を実行するマイクロコンピュータの機能部が請求項4の発明特定事項たる脱調判定手段に対応する。
【0033】
次に、ステップ(ST13)で消火操作がされたことが確認されるまで、上記ステップ(ST10)〜ステップ(ST13)を繰り返し、消火操作が確認されるとステップ(ST14)で電磁安全弁(50)への通電を停止して閉弁させ、これにより、ガスバーナ(34)を消火させる。
以上説明したように、上記実施の形態に係るドロップインコンロに組み込まれた流量調節装置(V)では、流量調節部(4)の弁体(40)は可動子(8)と共に直線移動することにより流量調節するから、既述従来の流量調節装置のように、モータ(90)に組み込まれた回転子の回転トルクを増幅する減速ギヤの騒音が生じることがない。又、前記減速ギヤによるトルクの伝達ロスによる電力消費が生じないから、その分、消費電力が少なくなる。
【0034】
[変形例]
1.第1変形例1
図8は、リニアアクチュエータ(L)の第1変形例の説明図である。
このものでは、第1電磁石(71)の鉄心(710)は、第1永久磁石(72)に載置される水平部(710a)とその両端から起立し且つコイル巻線(711)が巻回された一対の極脚(710b)(710c)を具備し、各極脚(710b)(710c)の先端には、可動子(8)の第1,第2山部(81a)(81b)・・・と同一ピッチで並んだ3個の分岐子(710d)(710d)(710d)(710e)(710e)(710e)が突設されている。そして、一方の分岐子(710d)(710d)(710d)が可動子(8)の第1〜第3山部(81a)(81b)(81c)に対向した状態では、他方の分岐子(710e)(710e)(710e)は可動子(8)の第4〜第6谷部(82d)(82e)(82f)に対向している。従って、一方の分岐子(710d)(710d)(710d)群と他方の分岐子(710e)(710e)(710e)群は、図3に於ける第1電磁石(71)の第1,第2磁極(712)(713)と同様、可動子(8)の下面形状たる凹凸波形の波長の1/2の長さだけずれている。
【0035】
又、第2電磁石(73)も第1電磁石(71)と同一構造を有しており、鉄心(730)の両側に起立する極脚(730b)(730c)の先端には、可動子(8)の下面の各山部と同一ピッチで並んだ分岐子(730d)(730d)(730d)(730e)(730e)(730e)が突設されている。そして、一方の分岐子(730d)(730d)(730d)群と他方の分岐子(730e)(730e)(730e)群は、図3に於ける第2電磁石(73)の第3磁極(732)及び第4磁極(733)と同様、可動子(8)の下面形状たる凹凸波形の波長の1/2の長さだけずれている。
このものでは、第1電磁石(71)の先端の分岐子(710d)(710d)(710d)群と第2電磁石(73)の(730b)の先端の分岐子(730d)(730d)(730d)群は、図3に於ける第1電磁石(71)及び第2電磁石(73)と同様、可動子(8)の下面形状たる凹凸波形の長さの1/4の長さだけずれている。
【0036】
従って、図3のものと同様、コイル巻線(731)とコイル巻線(711)に、順次パルスを印加すると可動子(8)が前記波長の1/2の距離だけ移動する。
又、図3のものと同様、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチに誤差があっても、可動子(8)の移動距離に誤差が生じることはない。
このものでは、多数の分岐子(730d)(730d)(730d)(730e)(730e)(730e)が可動子(8)に対向するから、該可動子(8)の引き付け力が大きくなる。
【0037】
2.第2変形例
図9はリニアアクチュエータ(L)の第2変形例の説明図である。
このものでは、図3の第1,第2永久磁石(72)(74)に代えて、図10に示すように、可動子(8)に永久磁石(87)を具備させている。又、第1,第2電磁石(71)(73)のコイル巻線(711)(731)は第1磁極(712)と第4磁極(733)に巻回されている。
第1電磁石(71)に於けるコイル巻線(711)の巻回方向は、第1端子(714)に−電圧を印加すると共に第2端子(715)に+電圧を印加した場合、第1磁極(712)がS極になり第2磁極(713)がN極になるような方向に設定されている。
【0038】
一方、第2電磁石(73)に於けるコイル巻線(731)の巻回方向は、第3端子(734)に−電圧を印加すると共に第4端子(735)に+電圧を印加した場合、第3磁極(732)がS極になり第4磁極(733)がN極になるような方向に設定されている。
図10に示すように、ブロック状の永久磁石(87)のS極とN極の夫々には第1磁性板(85)と第2磁性板(86)が各別に当接されていると共に、第1磁性板(85)から下方に延長された第2山部(81b),第4山部(81d)・・・の中間に第2磁性板(86)の第1山部(81a),第3山部(81c)・・・が位置している。
このものでは、図9の(イ)に示す初期状態では、可動子(8)の第2,第3山部(81b)(81c)の組が第1電磁石(71)に於ける第1,第2磁極(712)(713)の中間位置にあり、この状態で、安定している。
【0039】
次に、(ロ)に示すように、第2電磁石(73)の第3磁極(732)がS極,第4磁極(733)がN極となるようにコイル巻線(731)にパルスを印加すると、可動子(8)の第5,第6山部(81e)(81f)の組が第2電磁石(73)に於ける第3,第4磁極(732)(733)の中間位置まで引き付けられる。続いて、(ハ)に示すように、第1電磁石(71)の第1磁極(712)がS極,第2磁極(713)がN極となるように、コイル巻線(711)にパルスを印加すると、可動子(8)の第1,3山部(81a)(81c)の組の中間に第1電磁石(71)の第1,第2磁極(712)(713)が位置するまで可動子(8)が移動する。そして、この状態でコイル巻線(711)へのパルスを消失させると、可動子(8)は(ハ)の状態に保たれる。可動子(8)の第1,第3山部(81a)(81c)の組の中間に第1電磁石(71)の第1,第2磁極(712)(713)が位置してバランスした状態にあるからである。
【0040】
従って、このものでも、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設数の整数倍のパルスを印加することにより、特定の第1電磁石(71)を基準として可動子(8)を停止させることができるから、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチPにバラツキがあっても、可動子(8)の移動距離の精度を高くすることができる。
尚、上記実施の形態では、流量調節装置(V)をドロップインコンロに組み込んだ例を説明したが、流量調節装置(V)は給湯機のガス回路や水回路、更には、種々の空気回路等の流体回路に組み込むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態を説明するドロップインコンロの斜視図
【図2】本発明の実施の形態に係るドロップインコンロに組み込まれた流量調節装置(V)の断面図
【図3】リニアアクチュエータ(L)の作動原理図
【図4】流量調節部(4)の弁体(40)部分の拡大断面図
【図5】リニアアクチュエータ(L)の作動原理図
【図6】制御回路の概略構成図
【図7】制御動作を説明するフローチャート
【図8】リニアアクチュエータ(L)の第1変形例の説明図
【図9】リニアアクチュエータ(L)の第2変形例の説明図
【図10】リニアアクチュエータ(L)の第2変形例の説明図
【図11】従来例の説明図
【符号の説明】
【0042】
(40)・・・弁体
(6)・・・ポテンショメータ
(8)・・・可動子
(71)・・・第1電磁石
(73)・・・第2電磁石
(L)・・・リニアアクチュエータ
(712)(713)(732)(733)・・・第1〜第4磁極
(a)・・・ガス回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス器具のガス回路に配設される流量調節装置に関するもので、水回路や空気回路等に配設して使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
この種の流量調節装置として、特許文献1に開示されたものがある。
このものは、図11に示す構成で、弁箱(B)内には、弁口(920)が開設された固定ディスク(92)とその下面に重ねられた回転ディスク式の弁体(91)が装填されている。弁体(91)は、前記弁口(920)に対応する透孔(910)を具備していると共に、モータ(90)に動力伝達状態に連結された回転軸(93)で回転されるようになっている。
このものでは、モータ(90)に連結された回転軸(93)で弁体(91)が回転されると、該弁体(9)に開設された透孔(910)と固定ディスク(92)の弁口(920)との重なり部の面積が変化し、これにより、流路(94)の流出口(95)から吐出される流体の流量が調節される。
【特許文献1】特開2002−323218号公報(図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のものでは次の問題があった。
1.流量調節装置を屋内器具に適用する場合には、特別な防音対策を講じる必要がある。
流量調節装置のコンパクト化の要請からモータ(90)のサイズを小さくすると、モータ(90)に内蔵された回転子も小さくなって回転トルクが弱くなる。このことから、一般的には、前記トルクを増幅させる為の複数の減速ギヤがモータ(90)に組み込まれている。
従って、弁作動時には、前記減速ギヤが噛み合いながら回転する際の騒音が発生することから、上記従来の流量調節装置を屋内器具に適用する場合には、特別な防音対策を講じる必要がある。
2.モータ(90)の回転子の回転トルクは、上記減速ギヤを介して弁体(91)側の回転軸(93)に伝達されるから、減速ギヤの部分でトルクの伝達ロスが生じ、その分、消費電力が増加する。
本発明は上記の点に鑑みて成されたもので、騒音が小さく、消費電力の少ない流量調節装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[請求項1に係る発明]
上記課題を解決する為の本発明の技術的手段は、
『リニアアクチュエータの可動子と連動して間欠的に直線移動する流量調節用の弁体を具備し、前記弁体の移動量によって流体回路の流量を調節する流量調節装置に於いて、
前記可動子は、該可動子の移動域に沿って配列された複数の電磁石で引き付けられて前記間欠的に直線移動するものであり、
前記電磁石は、前記可動子に対して非接触状態に設けられている』ことである。
上記技術的手段によれば、流量調節用の弁体はリニアアクチュエータと連動することによって流量調節を行なうから、既述従来の流量調節装置と相違し、モータ(90)に組み込まれた回転子の回転トルクを増幅する減速ギヤが不要となり、該減速ギヤが噛み合いながら回転する際の騒音が生じない。
又、前記減速ギヤによるトルクの伝達ロスが生じないから、その分、電力消費が抑えられる。
【0005】
[請求項2に係る発明]
請求項1に係る発明に於いて、
『前記可動子には、前記電磁石の各磁極で引き付けられる突子が前記電磁石の配列方向に一定ピッチで配設されており、
前記電磁石の配設数の整数倍を1単位とする数のパルスを各電磁石に順次印加する制御を繰り返して、前記各1単位のパルス中の最終パルスを予め定めた特定の電磁コイルに印加することにより前記可動子を単位距離ずつ移動させる』ものとすることができる。
このものでは、各電磁石にパルスが順次印加されると、可動子に配設された突子が各電磁石に順次引き付けられ、これにより、可動子が直線移動すると共に、可動子に連動する弁体で流量調節が行われる。
又、1単位のパルス中の最終パルスは、予め定められた特定の電磁コイルに印加され、これにより、可動子を単位距離だけ移動させる単位制御が完了する。この単位制御が繰り返されると、可動子が単位距離ずつ間欠的に直線移動する。
従って、可動子に配設された突子が常に前記特定の電磁石の磁極に最接近した状態で各単位制御が完了するから、各単位制御の完了時には前記特定の電磁石を基準として可動子を停止させることができる。よって、基準となる電磁石が特定されない場合に比べ、各電磁石の配設ピッチにバラツキがあっても、可動子の移動距離の精度が高くなる。
【0006】
[請求項3に係る発明]
請求項1又は請求項2に係る発明に於いて、
『前記流体回路はガス回路であり、
前記ガス回路には前記弁体と直列に電磁安全弁が配設されており、
前記可動子は、前記弁体がその移動域中の流量調節範囲より更に移動した範囲で前記電磁安全弁を開弁させるものであり、
前記可動子で前記電磁安全弁を開弁させた後に、前記弁体が前記流量調節範囲に復帰移動するまで前記可動子を移動させてガス流量を調節する流量制御手段を具備する』ものとすることができる。
このものでは、可動子は、弁体を流量調節範囲から更に移動させた範囲で電磁安全弁を開弁させる。従って、弁体が流量調節範囲にあるときには、可動子が電磁安全弁を開弁させないから、電磁安全弁が閉弁する異常時に、可動子が電磁安全弁の閉弁動作を妨げることがない。
【0007】
[請求項4に係る発明]
請求項3に係る発明に於いて、
『前記可動子の移動位置を検出する位置検出手段と、
前記流量制御手段で前記ガス流量の調節制御を行なっているときに前記可動子が前記弁体の流量調節範囲に対応する移動範囲から外れたことが前記位置検出手段の出力に基づいて確認された場合に脱調信号を出力する脱調判定手段と、
前記脱調信号が出力された場合は、前記可動子を前記弁体の流量調節範囲に対応する移動範囲に復帰移動させた後に前記調節制御を再開する』ものでは次の作用が生じる。
ガス流量の調節制御時に、制御不良により弁体が流量調節範囲から外れると、このときの可動子の移動位置が位置検出手段で検出され、該位置検出手段の出力に基づいて脱調判定手段が脱調信号を出力する。すると、可動子が弁体の流量調節範囲に対応する移動範囲に復帰移動され、その後、前記調節制御が再開される。従って、ガス流量の調節制御時に於いては、弁体が必ず流量調節範囲に維持され、これにより、適正な流量制御が行なえる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は次の特有の効果を有する。
弁体はリニアアクチュエータの可動子と連動して流量調節するから、既述従来の流量調節装置と相違し、モータ(90)に組み込まれた回転子の回転トルクを増幅する減速ギヤが不要となり、該減速ギヤが噛み合いながら回転する際の騒音が生じない。
又、前記減速ギヤによるトルクの伝達ロスが生じないから、その分、電力消費が抑えられ、消費電力の少ない流量調節装置が提供できる。
請求項2に係る発明では、各単位制御の完了時には特定の電磁石を基準として可動子を停止させることができるから、基準となる電磁石が特定されない場合に比べ、各電磁石の配設ピッチにバラツキがあっても、可動子の移動距離の精度が高くなる。
請求項3に係る発明では、弁体が流量調節範囲にあるときには可動子が電磁安全弁を開弁させる位置に存在しないから、電磁安全弁が閉弁する異常時に、可動子が電磁安全弁の閉弁動作を妨げることがない。
又、既述従来の流量調節装置の減速ギヤに相当するものが不要であるから、その分、動作の応答性が良好になる。従って、請求項3の流量調節装置をガス燃焼装置のガス回路に組み込んだ場合、電磁安全弁を開弁させた後に弁体を流量調節範囲に迅速に移動させることができる。よって、電磁安全弁の開弁直後に異常状態(例えば、ガスバーナの点火ミス等)が発生して前記電磁安全弁が閉弁動作する時には、可動子が電磁安全弁の閉弁動作を妨げない位置(流量調節範囲に対応する位置)に迅速に移動しているので、電磁安全弁が確実に閉弁する。
請求項4に係る発明では、ガス流量の調節制御時には、弁体は必ず流量調節範囲に維持されるから、適正な流量制御が行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、システムキッチンのカウンタートップ(K)に開設された開口(K1)に落とし込み状態に装着されるガス燃焼装置たるドロップインコンロの斜視図である。
コンロ天板(30)には、五徳(31)(32)(33)が載置されていると共に、その下方にはガスバーナ(34)(35)(36)が臨んでいる。又、コンロ本体(3)の正面中央に設けられたグリル扉(20)の近傍のコンロ操作部(21)にはガスバーナ(34)(35)(36)の点・消火と火力調整機能を兼備した操作摘み(24)(25)(26)が配設されている。
ガスバーナ(34)(35)(36)は、操作摘み(24)(25)(26)の押圧操作によって点・消火される一方、操作摘み(24)(25)(26)の回転操作によって火力調節される。
【0010】
コンロ本体(3)内に形成されたガス供給用の上流回路(10)には、図2に示すように、元電磁弁(11)が配設されていると共に、該元電磁弁(11)の下流側にはガスバーナ(34)(35)(36)へ分岐するガス回路(a)(a)が形成されている。
ガスバーナ(34)(35)(36)への各ガス回路(a)には、図2に示す流量調節装置(V)が配設されており、該流量調節装置(V)は、流量調節用の弁体(40)を具備する流量調節部(4)と、電磁安全弁(50)を具備する安全弁部(5)と、更に、これら流量調節部(4)及び安全弁部(5)を作動させるリニアアクチュエータ(L)から構成されている。以下、各部の詳細を更に説明する。
【0011】
[リニアアクチュエータ(L)]
リニアアクチュエータ(L)は、安全弁部(5)の弁箱(51)から延長された基盤(52)に載置固定された磁力発生器(7)と、磁力発生器(7)で直線移動される可動子(8)から構成されていると共に、可動子(8)の移動位置は位置検出手段たるポテンショメータ(6)で監視されるようになっている。尚、基盤(52)及び可動子(8)は磁性体で構成されている。
【0012】
《磁力発生器(7)》
磁力発生器(7)は、可動子(8)の移動域に沿って配列された第1,第2電磁石(71)(73)(既述発明特定事項たる電磁石に対応する。)及び、これらの下側に各別に配設された第1,第2永久磁石(72)(74)とから構成されている。尚、第1,第2電磁石(71)(73)は可動子(8)に対して非接触状態に設けられている。
図3に示すように、第1,第2電磁石(71)(73)はU字状の鉄心(710)(730)と、これらに巻回されたコイル巻線(711)(731)を備えている。
第1電磁石(71)のコイル巻線(711)の巻回方向は、第1端子(714)に+電圧を印加し且つ第2端子(715)にー電圧を印加した場合、第1磁極(712)がS極になり第2磁極(713)がN極になるような方向に設定されている。
【0013】
一方、第2電磁石(73)のコイル巻線(731)の巻回方向は、第3端子(734)に+電圧を印加し且つ第4端子(735)にー電圧を印加した場合、第3磁極(732)がS極になり第4磁極(733)がN極になるような方向に設定されている。
第1永久磁石(72)の極性は、第1電磁石(71)側がN極に、基盤(52)側がS極に設定されている。これとは逆に、第2永久磁石(74)の極性は、第2電磁石(73)側がS極に、基盤(52)側がN極に設定されている。
尚、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチP(図3の(イ)参照。)は、後述する可動子(8)の下面形状たる凹凸波形の波長(以下、単に「波長」という。)の「13/4」の長さに設定されている。即ち、前記配設ピッチPは前記波長の整数倍より、1/4波長だけ長い。
【0014】
《可動子(8)》
図2,図3に示すように、可動子(8)の下面形状は第1,第2山部(81a)(81b)(既述発明特事項たる「突子」に対応する。)・・・と第1谷部(82a),第2谷部(82b)・・・が交互に繰り返す凹凸波状に形成されており、第1電磁石(71)に於ける第1,第2磁極(712)(713)相互のピッチ及び、第2電磁石(73)に於ける第3,第4磁極(732)(733)相互のピッチは、前記凹凸波の波長の3/2の長さに設定されている。即ち、前記第1,第2磁極(712)(713)相互のピッチ及び第3,第4磁極(732)(733)相互のピッチは、前記波長より1/2波長だけ長く設定されている。
可動子(8)の上面には、その先端部から基端部に亙って凹凸歯(84)が形成されており、該凹凸歯(84)にはポテンショメータ(6)の回転歯車(60)が噛み合っている。
【0015】
《リニアアクチュエータ(L)の動作原理》
次に、リニアアクチュエータ(L)の動作原理を図3に基づいて説明する。
(イ)は初期状態を示している。
初期状態では、可動子(8)の第2山部(81b)は第1電磁石(71)の第1磁極(712)に対向しており、可動子(8)の第5山部(81e)は第2電磁石(73)の第3磁極(732)の対向位置から前記波長の1/4の距離だけ左側にずれている。又、可動子(8)の第7山部(81g)は、第2電磁石(73)の第4磁極(733)の対向位置から前記波長の1/4の距離だけ右側にずれている。
リニアアクチュエータ(L)内に形成される主な磁力線は、(イ)の矢印で示すように、第1永久磁石(72)→第1電磁石(71)の第1磁極(712)→可動子(8)の第2山部(81b)→可動子(8)内と繋がり、その後、可動子(8)の第5山部(81e)と第7山部(81g)に分岐し、第2電磁石(73)の第3磁極(732)及び第4磁極(733)→第2永久磁石(74)→基盤(52)→第1永久磁石(72)の経路で繋がり、同図に示す閉ループ状の磁気回路が形成される。
【0016】
(ロ)は第1番目のパルスを第2電磁石(73)に印加したときの磁力線の状態を示し、(ハ)は前記パルスの印加で移動した後の可動子(8)の位置を示している。
第1番目のパルスが第2電磁石(73)に印加されると、第3端子(734)が+電圧に、第4端子(735)が−電圧に維持される。この状態では、コイル巻線(731)の電流により、第3磁極(732)側の鉄心内には上端から下端側(第2永久磁石(74)側)に向かう新たな磁力線((イ)の初期状態で形成されていた磁力線を強める方向の磁力線)が生成される一方、第4磁極(733)側の鉄心内には下方から上方に向かう新たな磁力線((イ)の初期状態で形成されていた磁力線を打ち消す方向の磁力線)が生成される。
【0017】
これにより、同図(ロ)に示すように、第2電磁石(73)の第4磁極(733)と可動子(8)間の磁力線は実質的に消失する結果、可動子(8)の第5山部(81e)が第2電磁石(73)の第3磁極(732)に引き付けられ、これにより、(ハ)に示すように、可動子(8)の第5山部(81e)が第2電磁石(73)の第3磁極(732)に対向する位置まで移動する。従って、移動後の状態を示す(ハ)の状態では、第2電磁石(73)の第3磁極(732)には可動子(8)の第5山部(81e)が最接近する。一方、第1電磁石(71)の第1磁極(712)と可動子(8)の第2山部(81b)の距離、及び、第2磁極(713)と第3山部(81c)の距離は等しい。従って、この状態で第2電磁石(73)のコイル巻線(731)を非通電状態(パルスの印加を解除した状態)にすると、リニアアクチュエータ(L)内に生成される主な磁力線は(ハ)の矢印で示す状態になり、可動子(8)はこの位置でバランスして停止する。尚、第2電磁石(73)の第4磁極(733)と可動子(8)の第5山部(81f)及び第6山部(81g)の距離は等しいので、第2電磁石(73)から可動子(8)を横方向に移動させる力は働かない。
【0018】
(ニ)は第2番目のパルスを第1電磁石(71)に印加したときの主な磁力線を示しており、(ホ)は前記パルスの印加で移動した後の可動子(8)の位置を示している。
第2番目のパルスが第1電磁石(71)に印加されると、第1端子(714)が+電圧に、第2端子(715)が−電圧に維持される。この状態では、コイル巻線(711)の電流により、第1磁極(712)側の鉄心内には上端から下端側(第1永久磁石(72)側)に向かう新たな磁力線((ハ)の状態で形成されていた磁力線を打ち消す方向の磁力線)が生成される一方、第2磁極(713)側の鉄心内には下方から上方に向かう新たな磁力線((ハ)の状態で形成されていた磁力線を強める方向の磁力線)が生成される。
【0019】
これにより、同図(ニ)に示すように、第1電磁石(71)の第1磁極(712)と可動子(8)間の磁力線は実質的に消失する結果、可動子(8)の第3山部(81c)が第1電磁石(71)の第2磁極(713)に引き付けられ、これにより、(ホ)に示すように、可動子(8)の第3山部(81c)が第1電磁石(71)の第2磁極(713)に対向する位置まで移動する。従って、移動後の状態を示す(ホ)の状態では、第1電磁石(71)の第2磁極(713)には可動子(8)の第3山部(81c)が最接近する。一方、第2電磁石(73)の第3磁極(732)と可動子(8)の第5山部(81e)の距離、及び、第4磁極(733)と第6山部(81f)の距離は等しい。従って、この状態で第1電磁石(71)のコイル巻線(711)を非通電状態(パルスの印加を解除した状態)にすると、リニアアクチュエータ(L)内に生成される主な磁力線は(ホ)の矢印で示す状態になり、可動子(8)はこの位置でバランスして停止する。尚、第1電磁石(71)の第1磁極(712)と可動子(8)の第1山部(81a)及び第2山部(81b)の距離は等しいので、第1電磁石(71)から可動子(8)を横方向に移動させる力は働かない。
【0020】
そして、図3の(イ)に示す初期状態では第1電磁石(71)の第1磁極(712)に可動子(8)の第2山部(81b)が対向しているのに対し、(ホ)の状態(磁力発生器(7)に2個のパルスを印加した後の状態)では前記第2山部(81b)に隣接する第1谷部(82a)が前記第1磁極(712)に対向している。従って、第1,第2電磁石(71)(73)の配設数のパルス(第1,第2パルス)を磁力発生器(7)に印加すると、可動子(8)の下面形状たる凹凸波の波長の1/2の距離(単位距離)だけ可動子(8)を移動させる単位制御が完了する。そして、次に第2電磁石(73)に第3パルス(第3端子(734)を−,第4端子(735)を+)を印加した後、第1電磁石(71)に第4パルス(第1端子(714)を−,第2端子(715)を+)を印加すると、上記と同様の理由により、可動子(8)が前記波長の1/2の距離だけ更に移動し、可動子(8)の第1山部(81a)が第1電磁石(71)の第1磁極(712)に対向する。従って、第1,第2電磁石(71)(73)の配設数の整数倍のパルスを磁力発生器(7)に印加すると、前記波長の1/2の距離ずつ可動子(8)が間欠移動する。又、第1,第2電磁石(71)(73)に対して上記と逆の順序でパルスを印加すると、上記と逆方向に可動子(8)が間欠移動する。
【0021】
次に、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチPに誤差Xがある場合でも、可動子(8)が前記波長の1/2の距離(単位距離)ずつ間欠移動することを図5に基づいて説明する。
図5の(A)(B)は、夫々、図3の(イ)(ホ)の状態において第1電磁石(71)のコイル巻線(711)に通電している状態(パルスを印加している状態)を示している。
(A)の状態では、第1電磁石(71)の第1磁極(712)に可動子(8)の第2山部(81b)が対向しているので、第1電磁石(71)の第1磁極(712)が可動子(8)の第2山部(81b)を引き付ける力の横方向成分は0である。第1電磁石(71)の第2磁極(713)に対して可動子(8)の第3山部(81c)と第4山部(81d)は左右対称な位置に存在するから、第2磁極(713)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分も0である。従って、第1電磁石(71)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分は0である。
一方、(B)の状態では第1電磁石(71)の第2磁極(713)に可動子(8)の第3山部(81c)が対向しており、第1磁極(712)に対して可動子(8)の第1山部(81a)と第2山部(81b)は左右対称な位置に存在するから、上記と同様の理由により、第1電磁石(71)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分は0である。
【0022】
次に、(A)(B)に於いて、第2電磁石(73)から可動子(8)に作用する力を比較する。
(A)の状態では、可動子(8)の第6山部(81f)の中心が鉄心(730)の左右中央から誤差Xだけ左にずれている。一方、(B)の状態では、可動子(8)の第5谷部(82e)の中心が鉄心(730)の左右中央から誤差Xだけ左側にずれている。従って、(A)に於ける第3磁極(732)と第5山部(81e)の距離S1と(B)に於ける第4磁極(733)と第6山部(81f)の距離S4は等しい。このことから、(A)の第3磁極(732)と(B)の第4磁極(733)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分F1,F4は方向及び大きさが等しい。一方、(A)に於ける第4磁極(733)と第7山部(81g)の距離S2と(B)に於ける第3磁極(732)と第5山部(81e)の距離S3は等しい。よって、(A)の第4磁極(733)と(B)の第3磁極(732)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分F2,F3は方向及び大きさが等しい。
【0023】
従って、(A)と(B)の状態では、第2電磁石(73)が可動子(8)を引き付ける力の横方向成分は方向及び大きさが共に等しい。よって、(A)と(B)の状態でコイル巻線(711)への通電を解除すると、可動子(8)は同じ距離だけ横方向へ微小移動して停止する。従って、磁力発生器(7)に2パルス印加した((A)から(B)の状態にした)後に第1電磁石(71)を非通電状態にすると、可動子(8)が既述波長の1/2の距離だけ正確に移動することとなる。
よって、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチに誤差があっても、可動子(8)の移動距離は正確である。即ち、上記のものでは、特定の第1電磁石(71)を基準として可動子(8)を停止させるから、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチPにバラツキがあっても、可動子(8)の移動距離の精度が高くなる。
【0024】
[流量調節部(4)]
次に、流量調節部(4)について説明する。
流量調節部(4)の弁箱(41)には、ガス流入口(42)から水平通路(44)を経てガス出口(43)に至るガス通路(45)が貫通しており、前記水平通路(44)にはその後端開口(47)からシリンダ(46)が圧入されている。シリンダ(46)の後端に同心状態に設けられたガイド筒(460)には弁体(40)に連設されたスライド軸(401)が摺動自在に挿入されており、スライド軸(401)の基端部外周のフランジ(402)とシリンダ(46)の後端近傍の内周壁(461)との間には弁体(40)を閉方向に付勢するバネ(462)が介在されている。
図4に示すように、弁体(40)は先端に向かって第1〜第3径部(404)〜(406)の順序で段階的に細くなっており、基端部(403)は弁口(408)に密嵌するようになっている。
【0025】
一方、弁箱(41)の下部構成壁には、後述の安全弁部(5)内のガス通路から水平通路(44)内にガスをリークさせるオリフィス(48)が設けられており、弁体(40)が最絞り位置(図4に示す位置)にあるときには、オリフィス(48)で設定される流量のガスが流量調節部(4)のガス通路(45)を介してガスバーナ(34)に供給されるようになっている。
弁体(40)の中心孔(407)には、弁軸(49)の一端が摺動自在に挿入されていると共に、該弁軸(49)の端部近傍には弁体(40)を開弁方向に押す為の押圧フランジ(490)が周設されている。又、弁軸(49)は、シリンダ(46)の先端から延びた支持アーム(463)の先端孔(464)と、弁箱(41)に開設された軸孔(410)を摺動自在に貫通しており、更に弁軸(49)の先端(491)はナット(492)で可動子(8)に固定されている。
【0026】
従って、既述した可動子(8)が磁力発生器(7)で直線移動されると、これに弁軸(49)が追随移動し、該弁軸(49)の先端の弁体(40)が弁口(408)に対して侵入する量が変化する。これにより、弁体(40)の第1〜第3径部(404)〜(406)と弁口(408)の寸法差に応じた流量調節が行なえる。この場合、第1〜第3径部(404)〜(406)は、弁体(40)の軸方向に長いストレート部が階段状に連続したものであるから、弁体(40)が目標位置から前記ストレート部の長さ未満ずれても、弁口(408)と弁体(40)の間隙は一定に保たれ、制御誤差が生じ難い。
【0027】
[安全弁部(5)]
上記流量調節部(4)の下側に分離可能に結合された安全弁部(5)の弁箱(51)には、ガス入り口(53)からガス吐出部(54)に繋がるガス通路(55)が形成されており、その途中の弁室(57)には、電磁安全弁(50)が収容されている。そして、電磁安全弁(50)の弁体(500)によって、ガス通路(55)に形成された弁口(501)が開閉されるようになっている。
電磁安全弁(50)の弁体(500)は、バネ(502)で弁口(501)方向に付勢されていると共に、開弁軸(58)で開弁方向に押し込まれる構成で、開弁軸(58)は弁箱(51)の構成壁の貫通孔(59)に気密摺動自在に挿通されている。又、開弁軸(58)は、その先端フランジ(580)と弁箱(51)の間に介装されたバネ(5a)で可動子(8)に押し付けられている。
従って、可動子(8)で開弁軸(58)が押し込まれると、該開弁軸(58)の先端で弁体(500)が押されて開弁する。
このものでは、安全弁部(5)と流量調節部(4)が分離可能に結合されているから、ガス種に適合したオリフィス(48)と弁体(40)が設けられた流量調節部(4)を安全弁部(5)に付け替えるだけで、種々のガス種に対応することができる。
【0028】
[制御装置]
図6は、コンロ本体(3)に組み込まれた制御回路の概略の構成図である。
制御装置(62)には、操作摘み(24)(25)(26)の操作信号やポテンショメータ(6)の出力、更に、ガスバーナ(34)(35)(36)の炎を検知する熱電対(37)の出力が印加されていると共に、制御装置(62)の出力によって磁力発生器(7),元電磁弁(11)及びガスバーナ(34)(35)(36)へ点火するイグナイタ(I)が制御されるようになっている。
【0029】
[動作]
制御装置(62)には、図7のフローチャートで示す内容の制御プログラムが格納されたマイクロコンピュータが組み込まれている。以下、コンロ本体(3)の動作を図7のフローチャートに従って説明する。
尚、操作摘み(24)(25)(26)の操作に基づく各ガスバーナ(34)(35)(36)の動作は同一であるから、以下に於いては、操作摘み(24)が操作された場合を例示的に説明する。
先ず、ステップ(ST1)で操作摘み(24)による点火操作が確認されると、ステップ(ST2)で元電磁弁(11)を開弁させ、その後、ステップ(ST3)で点火タイマ(T1)を「0」にセットする。
【0030】
次に、ステップ(ST4)でイグナイタ(I)を作動させると共に電磁安全弁(50)に通電し、これと同時に電磁安全弁(50)を開弁軸(58)で押圧開弁させる。即ち、流量調節部(4)の弁体(40)がその移動域中の流量調節範囲(図2に於いて、電磁安全弁(50)の開弁軸(58)の先端(58a)が弁口(501)より左側に存在する範囲)より更に大流量側(図2に於ける右側)に対応する位置まで可動子(8)が移動するのに必要な数のパルスを磁力発生器(7)に印加する。尚、パルス数は、点火操作前にマイクロコンピュータに記憶させてある弁体(40)の位置データから判断する。従って、本実施の形態では、流量調節部(4)の弁体(40)が流量調節範囲(燃焼量調節範囲)にあるときには、可動子(8)がこれに連結された開弁軸(58)を介して電磁安全弁(50)を開弁させることがない。よって、異常時に電磁安全弁(50)が閉弁する場合でも、開弁軸(58)が電磁安全弁(50)の閉弁動作を妨げることがない。
【0031】
次に、ステップ(ST5)で、弁体(40)を火力調節範囲内の点火位置(中火位置)に戻す。
その後、ステップ(ST6)(ST7)で、ガスバーナ(34)の炎を検知する熱電対(37)の出力を点火タイマ(T1)を用いて2秒間監視し、2秒以内に炎が検知されない場合は、ステップ(ST8)で電磁安全弁(50)への通電を停止させると共に、点火ミスが発生したことを音声等で報知した後、ステップ(ST1)に制御を戻す。一方、前記2秒以内に炎が検知された場合は、ステップ(ST6)からステップ(ST9)に制御が進んでイグナイタ(I)を停止させる。その後、ステップ(ST10)を実行し、操作摘み(24)で設定された火力に対応する位置に弁体(40)を移動させ、この状態でガスバーナ(34)を燃焼させる。尚、本実施の形態では、弁体(40)を火力調節範囲に戻した後、操作摘み(24)で設定された火力に対応する位置に弁体(40)を移動させるステップ(ST10)が、請求項3の発明特定事項たる「流量制御手段」に対応する。
【0032】
次に、ステップ(ST11)で弁体(40)が火力調節範囲から逸脱したか否かを、ポテンショメータ(6)の出力に基づいて判断し、逸脱している場合はステップ(ST12)を実行し、操作摘み(24)による設定火力になるまで弁体(40)を移動させる。即ち、ポテンショメータ(6)の出力に基づいて可動子(8)の位置を判断し、これにより、弁体(40)を流量調節範囲中の設定火力が確保できる位置まで弁体(40)を移動させる。従って、ガス流量の調節制御時に於いては、流量調節部(4)の弁体(40)が必ず流量調節範囲に維持されるから、適正な流量制御が行なえる。
よって、本実施の形態では、ステップ(ST11)の制御を実行するマイクロコンピュータの機能部が請求項4の発明特定事項たる脱調判定手段に対応する。
【0033】
次に、ステップ(ST13)で消火操作がされたことが確認されるまで、上記ステップ(ST10)〜ステップ(ST13)を繰り返し、消火操作が確認されるとステップ(ST14)で電磁安全弁(50)への通電を停止して閉弁させ、これにより、ガスバーナ(34)を消火させる。
以上説明したように、上記実施の形態に係るドロップインコンロに組み込まれた流量調節装置(V)では、流量調節部(4)の弁体(40)は可動子(8)と共に直線移動することにより流量調節するから、既述従来の流量調節装置のように、モータ(90)に組み込まれた回転子の回転トルクを増幅する減速ギヤの騒音が生じることがない。又、前記減速ギヤによるトルクの伝達ロスによる電力消費が生じないから、その分、消費電力が少なくなる。
【0034】
[変形例]
1.第1変形例1
図8は、リニアアクチュエータ(L)の第1変形例の説明図である。
このものでは、第1電磁石(71)の鉄心(710)は、第1永久磁石(72)に載置される水平部(710a)とその両端から起立し且つコイル巻線(711)が巻回された一対の極脚(710b)(710c)を具備し、各極脚(710b)(710c)の先端には、可動子(8)の第1,第2山部(81a)(81b)・・・と同一ピッチで並んだ3個の分岐子(710d)(710d)(710d)(710e)(710e)(710e)が突設されている。そして、一方の分岐子(710d)(710d)(710d)が可動子(8)の第1〜第3山部(81a)(81b)(81c)に対向した状態では、他方の分岐子(710e)(710e)(710e)は可動子(8)の第4〜第6谷部(82d)(82e)(82f)に対向している。従って、一方の分岐子(710d)(710d)(710d)群と他方の分岐子(710e)(710e)(710e)群は、図3に於ける第1電磁石(71)の第1,第2磁極(712)(713)と同様、可動子(8)の下面形状たる凹凸波形の波長の1/2の長さだけずれている。
【0035】
又、第2電磁石(73)も第1電磁石(71)と同一構造を有しており、鉄心(730)の両側に起立する極脚(730b)(730c)の先端には、可動子(8)の下面の各山部と同一ピッチで並んだ分岐子(730d)(730d)(730d)(730e)(730e)(730e)が突設されている。そして、一方の分岐子(730d)(730d)(730d)群と他方の分岐子(730e)(730e)(730e)群は、図3に於ける第2電磁石(73)の第3磁極(732)及び第4磁極(733)と同様、可動子(8)の下面形状たる凹凸波形の波長の1/2の長さだけずれている。
このものでは、第1電磁石(71)の先端の分岐子(710d)(710d)(710d)群と第2電磁石(73)の(730b)の先端の分岐子(730d)(730d)(730d)群は、図3に於ける第1電磁石(71)及び第2電磁石(73)と同様、可動子(8)の下面形状たる凹凸波形の長さの1/4の長さだけずれている。
【0036】
従って、図3のものと同様、コイル巻線(731)とコイル巻線(711)に、順次パルスを印加すると可動子(8)が前記波長の1/2の距離だけ移動する。
又、図3のものと同様、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチに誤差があっても、可動子(8)の移動距離に誤差が生じることはない。
このものでは、多数の分岐子(730d)(730d)(730d)(730e)(730e)(730e)が可動子(8)に対向するから、該可動子(8)の引き付け力が大きくなる。
【0037】
2.第2変形例
図9はリニアアクチュエータ(L)の第2変形例の説明図である。
このものでは、図3の第1,第2永久磁石(72)(74)に代えて、図10に示すように、可動子(8)に永久磁石(87)を具備させている。又、第1,第2電磁石(71)(73)のコイル巻線(711)(731)は第1磁極(712)と第4磁極(733)に巻回されている。
第1電磁石(71)に於けるコイル巻線(711)の巻回方向は、第1端子(714)に−電圧を印加すると共に第2端子(715)に+電圧を印加した場合、第1磁極(712)がS極になり第2磁極(713)がN極になるような方向に設定されている。
【0038】
一方、第2電磁石(73)に於けるコイル巻線(731)の巻回方向は、第3端子(734)に−電圧を印加すると共に第4端子(735)に+電圧を印加した場合、第3磁極(732)がS極になり第4磁極(733)がN極になるような方向に設定されている。
図10に示すように、ブロック状の永久磁石(87)のS極とN極の夫々には第1磁性板(85)と第2磁性板(86)が各別に当接されていると共に、第1磁性板(85)から下方に延長された第2山部(81b),第4山部(81d)・・・の中間に第2磁性板(86)の第1山部(81a),第3山部(81c)・・・が位置している。
このものでは、図9の(イ)に示す初期状態では、可動子(8)の第2,第3山部(81b)(81c)の組が第1電磁石(71)に於ける第1,第2磁極(712)(713)の中間位置にあり、この状態で、安定している。
【0039】
次に、(ロ)に示すように、第2電磁石(73)の第3磁極(732)がS極,第4磁極(733)がN極となるようにコイル巻線(731)にパルスを印加すると、可動子(8)の第5,第6山部(81e)(81f)の組が第2電磁石(73)に於ける第3,第4磁極(732)(733)の中間位置まで引き付けられる。続いて、(ハ)に示すように、第1電磁石(71)の第1磁極(712)がS極,第2磁極(713)がN極となるように、コイル巻線(711)にパルスを印加すると、可動子(8)の第1,3山部(81a)(81c)の組の中間に第1電磁石(71)の第1,第2磁極(712)(713)が位置するまで可動子(8)が移動する。そして、この状態でコイル巻線(711)へのパルスを消失させると、可動子(8)は(ハ)の状態に保たれる。可動子(8)の第1,第3山部(81a)(81c)の組の中間に第1電磁石(71)の第1,第2磁極(712)(713)が位置してバランスした状態にあるからである。
【0040】
従って、このものでも、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設数の整数倍のパルスを印加することにより、特定の第1電磁石(71)を基準として可動子(8)を停止させることができるから、第1電磁石(71)と第2電磁石(73)の配設ピッチPにバラツキがあっても、可動子(8)の移動距離の精度を高くすることができる。
尚、上記実施の形態では、流量調節装置(V)をドロップインコンロに組み込んだ例を説明したが、流量調節装置(V)は給湯機のガス回路や水回路、更には、種々の空気回路等の流体回路に組み込むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態を説明するドロップインコンロの斜視図
【図2】本発明の実施の形態に係るドロップインコンロに組み込まれた流量調節装置(V)の断面図
【図3】リニアアクチュエータ(L)の作動原理図
【図4】流量調節部(4)の弁体(40)部分の拡大断面図
【図5】リニアアクチュエータ(L)の作動原理図
【図6】制御回路の概略構成図
【図7】制御動作を説明するフローチャート
【図8】リニアアクチュエータ(L)の第1変形例の説明図
【図9】リニアアクチュエータ(L)の第2変形例の説明図
【図10】リニアアクチュエータ(L)の第2変形例の説明図
【図11】従来例の説明図
【符号の説明】
【0042】
(40)・・・弁体
(6)・・・ポテンショメータ
(8)・・・可動子
(71)・・・第1電磁石
(73)・・・第2電磁石
(L)・・・リニアアクチュエータ
(712)(713)(732)(733)・・・第1〜第4磁極
(a)・・・ガス回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアアクチュエータの可動子と連動して間欠的に直線移動する流量調節用の弁体を具備し、前記弁体の移動量によって流体回路の流量を調節する流量調節装置に於いて、
前記可動子は、該可動子の移動域に沿って配列された複数の電磁石で引き付けられて前記間欠的に直線移動するものであり、
前記電磁石は、前記可動子に対して非接触状態に設けられている、流量調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流量調節装置に於いて、
前記可動子には、前記電磁石の各磁極で引き付けられる突子が前記電磁石の配列方向に一定ピッチで配設されており、
前記電磁石の配設数の整数倍を1単位とする数のパルスを各電磁石に順次印加する制御を繰り返して、前記各1単位のパルス中の最終パルスを予め定めた特定の電磁コイルに印加することにより前記可動子を単位距離ずつ移動させる、流量調節装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の流量調節装置に於いて、
前記流体回路はガス回路であり、
前記ガス回路には前記弁体と直列に電磁安全弁が配設されており、
前記可動子は、前記弁体がその移動域中の流量調節範囲より更に移動した範囲で前記電磁安全弁を開弁させるものであり、
前記可動子で前記電磁安全弁を開弁させた後に、前記弁体が前記流量調節範囲に復帰移動するまで前記可動子を移動させてガス流量を調節する流量制御手段を具備する、流量調節装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流量調節装置に於いて、
前記可動子の移動位置を検出する位置検出手段と、
前記流量制御手段で前記ガス流量の調節制御を行なっているときに前記可動子が前記弁体の流量調節範囲に対応する移動範囲から外れたことが前記位置検出手段の出力に基づいて確認された場合に脱調信号を出力する脱調判定手段と、
前記脱調信号が出力された場合は、前記可動子を前記弁体の流量調節範囲に対応する移動範囲に復帰移動させた後に前記調節制御を再開する、流量調節装置。
【請求項1】
リニアアクチュエータの可動子と連動して間欠的に直線移動する流量調節用の弁体を具備し、前記弁体の移動量によって流体回路の流量を調節する流量調節装置に於いて、
前記可動子は、該可動子の移動域に沿って配列された複数の電磁石で引き付けられて前記間欠的に直線移動するものであり、
前記電磁石は、前記可動子に対して非接触状態に設けられている、流量調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流量調節装置に於いて、
前記可動子には、前記電磁石の各磁極で引き付けられる突子が前記電磁石の配列方向に一定ピッチで配設されており、
前記電磁石の配設数の整数倍を1単位とする数のパルスを各電磁石に順次印加する制御を繰り返して、前記各1単位のパルス中の最終パルスを予め定めた特定の電磁コイルに印加することにより前記可動子を単位距離ずつ移動させる、流量調節装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の流量調節装置に於いて、
前記流体回路はガス回路であり、
前記ガス回路には前記弁体と直列に電磁安全弁が配設されており、
前記可動子は、前記弁体がその移動域中の流量調節範囲より更に移動した範囲で前記電磁安全弁を開弁させるものであり、
前記可動子で前記電磁安全弁を開弁させた後に、前記弁体が前記流量調節範囲に復帰移動するまで前記可動子を移動させてガス流量を調節する流量制御手段を具備する、流量調節装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流量調節装置に於いて、
前記可動子の移動位置を検出する位置検出手段と、
前記流量制御手段で前記ガス流量の調節制御を行なっているときに前記可動子が前記弁体の流量調節範囲に対応する移動範囲から外れたことが前記位置検出手段の出力に基づいて確認された場合に脱調信号を出力する脱調判定手段と、
前記脱調信号が出力された場合は、前記可動子を前記弁体の流量調節範囲に対応する移動範囲に復帰移動させた後に前記調節制御を再開する、流量調節装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−215778(P2006−215778A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27406(P2005−27406)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】
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