説明

浄化処理のモニタリング

【課題】医療器具のための浄化処理をモニターするための方法を提供する。
【解決手段】この方法は、浄化チャンバーの中に上記の器具を配置する工程と、浄化チャンバーの中に汚れ標準器を配置する工程と、上記の器具および汚れ標準器を浄化用の溶液により浄化する工程と、汚れが上記の汚れ標準器において残っているかを検出する工程と、を含んでいる。この汚れ標準器は2個の実質的に等しい厚さのスペーサにより分離されている2個の実質的に平行な支持体を備えており、隙間が、この隙間の中に汚れを伴って、上記2個の支持体の間に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
発明の背景
〔技術分野〕
本特許出願は汚れ標準器を使用することによる浄化処理のモニタリングに関連している。
【0002】
〔関連技術の説明〕
汚染された医療用の器具および装置の十分な浄化は安全な消毒および滅菌のために不可欠である。体液および体組織から由来する無機質および有機質の汚れを十分に除去できないと、その後の滅菌処置の有効性を阻害して、感染を生じる可能性がある。加えて、その後の侵襲性の処置の間に導入される残留異物は治癒を妨げる発熱性の反応を生じる可能性がある。
【0003】
臨床設備において浄化のために有効であると認められていて、好ましくは浄化の工程の間かその後に滅菌を達成する、浄化のための機械処理を使用することが好ましい。このような選択された浄化処理は特定の試験および場の条件下に十分な結果を生じると共に、例外的な状況および条件下においても十分な浄化が行なわれることを確実にする必要がある。
【0004】
高度な浄化の実行が達成されるだけでなく、その浄化システムが特定の医療用の器具および装置に対する特殊な要求に適合できることが必要である。理想的な浄化システムは柔軟な内視鏡ならびに分解型でモジュール式の器具の内表面部において見られるオリフィス等のような長くて狭い接近不可能なオリフィスを伴う医療用の器具および装置を十分に浄化できるであろう。また、将来にもはや分解できない精巧な器具の場合には、十分な浄化の実行が達成される必要がある。
【0005】
そこで、多様な浄化装置および関連の器具が医療用の器具および装置のために開発されている。
【0006】
ピーターソン(Peterson)に発行されている米国特許第3,640,295号は超音波クリーナーおよび外科器具搬送用ケースを記載しており、この外科器具搬送用ケースは上記の超音波クリーナーとは別にこれから分離して、あるいは、このクリーナーとの組み合わせにおいて使用可能であり、この超音波クリーナーは、超音波浄化処理の間に上記の器具ケースを搬送できる少なくとも1個のシンクおよび振動クレードルを内部に含んでいる。さらに、上記の超音波クリーナーのシンクの中に浄化用の流体を循環させて、その流体から粒子および他の物質を除去するために、ポンプとフィルターがその超音波クリーナーの一部として付加的に備えられている。しかしながら、このピーターソン(Peterson)の‘295号特許は浄化の基準または品質に取り組んでいない。
【0007】
ストルツ(Storz)に発行されていて、ストルツ−エンドスコプ・ジー・エム・ビー・エイチ(Storz-Endoskop GmbH)に譲渡されている米国特許第3,957,252号は医療器具を浄化するための装置を開示している。このストルツ(Storz)の‘252号特許に開示されている装置は、医療器具の浄化において使用するために、従来のシンクの中に洗浄水を引き込むための超音波発信器を取り付けるために備えられている支持手段に関連している。この発明の焦点は独立している特別な超音波浄化槽に対する必要性を排除することである。
【0008】
ヘッケレ(Heckele)に発行されていて、リオプラン・メディジン−テクニシェ・アインリヒツングス−ゲゼルシャフト・ジー・エム・ビー・エイチ(Riwoplan Medizin-Technische Einrichtungs-Gesellshaft GmbH)に譲渡されている米国特許第4,064,886号は、ホルダー装置と、円筒形の浄化用コンテナと、時限制御下に上記ホルダー装置を配置するための時間制御手段と、上記ホルダー装置のための回転可能な取付手段と、を備えている内視鏡を浄化するための装置を開示している。この発明の目的は内視鏡の速やかな自動の浄化および滅菌を可能にすることであり、これらの処理は内視鏡を損傷させることなく行なうことができる。しかしながら、この発明も浄化の基準および品質に取り組んでいない。
【0009】
ホーマン(Hohmann)他に発行されていて、ジーメンス・アクチエンゲゼルシャフト(Siemens Aktiengesellschaft)に譲渡されている米国特許第4,710,233号は、単一の装置の中において行なわれる一連の方法の工程により医療器具を浄化、消毒、および滅菌するための方法および装置、を開示している。この発明は複雑な方法および装置を開示している。この方法の工程は、時間T1の期間にわたり超音波エネルギーにさらした第1の流体の槽を収容しているコンテナの中において器具を予備浄化する処理と、これに続いて、そのコンテナからその第1の流体の槽を取り出す処理と、その第1の流体の槽を浄化剤および塩化ナトリウムを入れた第2の流体の槽に置き換える処理と、その第2の槽を時間T2の期間にわたり超音波エネルギーにさらすことにより上記の器具をよく洗浄し消毒する処理と、その第2の槽を、内部において電気分解による分離を生じさせるために、電圧を加えた電極を有する電気分解セルの中を通して循環させる処理と、さらに、その第2の槽を空にして、その第2の槽をすすぎ槽に置き換える処理と、そのすすぎ槽を超音波エネルギーにさらすことにより時間T3の期間にわたり器具をすすぎ洗いする処理およびそのすすぎ槽を電気分解セルの中を通して循環させた後にそのすすぎ槽を空にする処理と、熱風により上記の器具を乾燥する処理と、を含んでいる。したがって、このホーマン(Hohmann)の‘233号特許の発明は医療器具の十分な浄化および滅菌を行なうように設計されているが、このことは高価で複雑な装置および方法により達成されている。
【0010】
チルダース(Childers)他に発行されていて、アメリカン・ステリライザー・カンパニー(American Sterilizer Company)に譲渡されている米国特許第5,032,186号は病院用または研究室用の材料を洗浄または滅菌するための方法および装置を開示している。この発明は、洗浄される物品をチャンバーに詰め込む処理と、そのチャンバーを洗浄用の流体により所定の高さまで充たす処理と、その洗浄用の流体によりチャンバーを充たしている間に、そのチャンバーの中に蒸気または空気と蒸気の混合物を制御可能に注入する処理であって、その蒸気が洗浄作用を生じて洗浄用の流体を加熱し始めるような乱流の様式で注入される、処理と、上記の物品に洗浄作用を受けさせるように、上記のチャンバーが所定の高さまで充たされた後に、そのチャンバーの中に蒸気を継続的に注入する処理と、を含んでいる。この洗浄段階の後に、上記のチャンバーは排水されて、物品がすすぎ洗いされ、チャンバーが再び排水される。この場合に、この装置の動作パラメータをモニターするために、センサーが用いられている。これらのセンサーは、洗浄作用を生じて洗浄用の流体を加熱し始めるために、その洗浄用の流体により上記チャンバーを充たしている間の特定の時点の後でも、蒸気がそのチャンバーの中に制御可能に注入されるように、スプレー・ノズルおよび蒸気注入装置の動作を制御するために用いられている。しかしながら、この発明も浄化の適切さを確実にするための手段を提供していない。
【0011】
パーカー(Parker)他により出願されていて、キーメド・リミテッド(Keymed Ltd.)に譲渡されている英国特許出願第2,248,188A号は医療器具を浄化および消毒するための方法および装置を開示している。この発明の方法および装置は内視鏡を浄化および消毒するために特に適している。この方法は、閉鎖容器の中に器具を配置する工程と、浄化用の溶液がその器具の表面に供給される浄化段階と、消毒剤の溶液がその器具の表面に供給される消毒段階と、洗い流し用の溶液がその器具の表面に供給されるすすぎ段階と、揮発性の液体がその器具の表面に供給されるパージ段階と、乾燥用のガスがその器具の表面の上に流される乾燥段階と、を器具にかける工程と、を含んでいる。この場合に、上記の浄化段階は内視鏡を外部および内部の両方において完全に浄化するために十分な期間として説明されている。しかしながら、この発明も浄化の適切さを確実にするための手段に取り組んでいない。
【0012】
上記の装置および方法のいずれもが医療用の装置または器具の浄化の適切さを確実にするための手段を提供していない。それゆえ、医療装置のための浄化処理をモニターするための改善された装置および方法に対して要望が依然として存在している。
【0013】
〔発明の概要〕
医療器具のための浄化処理をモニターするための本発明による装置は、器具を受容して、浄化用の液体によりその器具を浄化するための浄化チャンバーと、その浄化チャンバーの中に置かれている取り外し可能な汚れ標準器と、その浄化チャンバーに連結されていて、汚れ標準器における汚れの量の指示を示すよう構成された汚れ検出器と、を備えている。上記の汚れ標準器は2個の実質的に等しい厚さのスペーサにより分離されている2個の実質的に平行な支持体を備えており、隙間がこれらの2個の支持体の間に形成されている。汚れはこの隙間の間に配置され、少なくとも1個のホルダーが上記の2個の支持体と2個のスペーサを一緒に固定する。
【0014】
上記の装置は、汚れ標準器を受容するための、チャンバーの中おける受容用のウェルをさらに含むことができる。また、上記の汚れ検出器は、好ましくは、汚れ標準器の全体に光を照射する光源と、汚れ標準器の全体を照射する光の量を読み取る受光器と、を備えている。好ましくは、上記の光源は既知の波長を有する光を伝達し、上記の支持体および受容用のウェルはその波長における光に対して実質的に透過性である。
【0015】
本発明の一例の態様において、上記のホルダーは支持体に形成されているインターロック式の部分を含んでいる。これらのインターロック式の部分は、好ましくは、支持体の一方における突出部分と、この突出部分を受容するための支持体の他方における開口部と、を含んでいる。また、スペーサは支持体と一体に作成できる。
【0016】
上記の汚れは、好ましくは、有機質の汚れ、無機質の汚れ、およびこれらの混合物、から成る群から選択される。好ましくは、この汚れは支持体の間の場所の中において乾燥されている。上記の隙間は、好ましくは、支持体の間において、約0.05mmである。
【0017】
医療器具のための浄化処理をモニターするための本発明による方法は、浄化チャンバーの中にその器具を配置する工程と、浄化チャンバーの中に汚れ標準器を配置する工程と、その器具と標準器を浄化用の溶液により浄化する工程と、汚れが汚れ標準器において残っているかを検出する工程と、を含んでいる。この汚れ標準器は2個の実質的に等しい厚さのスペーサにより分離されている2個の実質的に平行な支持体を備えており、隙間がこれらの2個の支持体の間に形成されている。汚れはこの隙間の間に配置され、少なくとも1個のホルダーが上記の2個の支持体と2個のスペーサを一緒に固定する。
【0018】
好ましくは、上記の浄化および検出の工程は、汚れ標準器が浄化されるまで、繰り返される。さらに、すすぎ用の溶液により上記の器具および汚れ標準器をすすぐ付加的な工程を設けることができる。
【0019】
好ましくは、上記の汚れの検出は、汚れ標準器の全体に、光源から既知の波長および強度を有する光を伝達して、検出器によりその光の強度を検出する工程を含んでいる。この検出器により受け取られる光の強度は所定の値に対して比較することができ、器具が浄化されていることの決定は、その検出器により受け取られる光の強度が所定の値と同一であるかその値よりも大きい時に、行なわれる。
【0020】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
本発明の一例の態様は、10-6の滅菌保証レベル(SAL)を有する等のような、後続の滅菌処理が無菌の製品を作ることを確実にするように、医療装置が十分に浄化される時を決定することである。すなわち、無菌でない装置を有する確率は百万分の1よりも低い。上記の目的を達成できる技法を開発するために、微生物による表面汚染と、表面の付着物の種類と、その後の医療装置の滅菌処理との間の重要な関係の一部を解明するための研究が行なわれている。
【0021】
最初の実験はステンレス鋼ブレードの上への100マイクロリットルの水の中における種々の濃度の塩水(塩化ナトリウム)中の百万個のバシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)(Bst)の胞子の接種を含んでいる。20個のブレードを、評価する塩水の溶液のそれぞれの濃度について用いた。一晩にわたる乾燥に続いて、これらのブレードを、カリホルニア州、アーバインのアドバンスド・ステリライゼーション・プロダクツ(Advanced Sterilization Products)から市場において入手可能な滅菌装置の中における滅菌の1回の工程に対応する標準的な滅菌プロトコルの処理にかけた。この滅菌プロトコルは、CSRラップ中におけるブレードの二重のラッピングと、59%の過酸化水素溶液から送達されるチャンバー内の6mg/リットルの過酸化水素による完全な滅菌工程と、を含んでいる。その後、これらのブレードをTSB培地の中に置いて、何らかの生存可能な生物が残っているかを決定するために、14日間にわたり55ECでインキュベーションした。次に、塩水のそれぞれの濃度を、合計60個のブレードを伴って、3つの複製物により評価した。これらの結果は以下のとおりである。
【表1】

【0022】
各縦欄の最初の数は滅菌処理に対する曝露後に生存可能な生物を含んでいることが分かったブレードの数を表わしている。また、各縦欄における2番目の数はそれぞれの試行において評価したブレードの数を表わしている。この結果、表面の付着物における塩水の量が少なくなると、残留している生存可能な生物の数が減り、それゆえ、滅菌処理の効果が高くなることが分かった。さらに、希釈されていない時におよそ0.75%の塩を自然に含有している胎児ウシ血清(FBS)の種々の濃度から成る表面の付着物ならびに種々の量の胎児ウシ血清と共に種々の量の塩水から成る表面の付着物を伴って、同様の実験を行なった。これらの結果を以下に示す。
【表2】

【0023】
胎児ウシ血清のみから成る表面の付着物は、希釈されていない時に0.75%の塩を含有しているが、この特定の実験のプロトコルにおける後続の滅菌処理に対して事実上全く障害を示さないことが分かる。このことは、血清中の蛋白質の存在が乾燥処理の間の塩の結晶の形成を妨げると考えられる。これらの塩の結晶は微生物を閉じ込めてこれらを滅菌処理から保護する可能性がある。それゆえ、医療装置の上の表面の付着物における、NaCl等のような、塩の存在は、同時のまたは後続の滅菌処理の間に無菌の装置を得ることに関して特別な課題を与える。本発明の目的は医療装置が滅菌処理されるのに十分に清浄である時を決定することであるので、洗浄処理の間の塩の濃度のモニタリングが極めて重要になる。これにもかかわらず、比較的に低濃度で多種類の塩を含有している水道水は、均一な結晶が形成されにくいために、問題を生じることが少ない。
【0024】
さらに、すすぎや浄化の処理をシミュレーションする追加の実験が、汚れを付着させたステンレス鋼(SS)ブレードまたはステンレス鋼に対応するモデルとしてのポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)(PTFE)のプラスチック片およびプラスチックの医療用の装置および器具において、行なわれている。これらの実験は、シミュレーションされたすすぎまたは浄化の処理の間における、表面の付着物(または汚れ)の種類と放出または浄化の速度との間の重要な関係の一部を解明している。
【0025】
汚れを含んでいる一連の溶液を表3において示されている組成を伴って調製した。
【表3】

【0026】
当業界において知られている、RPMI組織培地は、10%のFBSと組み合わされると、比較的に高い塩の含有量および低い蛋白質の含有量を伴って汚れを生じる。一定の分量の溶液をステンレス鋼の外科ブレードまたはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)のプラスチックの小片のいずれかの上に付着させて乾燥させた。次に、シミュレーションしたすすぎまたは浄化の処理を行ない、塩化ナトリウム(NaCl)に対応する塩化物イオンに対する特定の電極、または全体の蛋白質に対応するo−フタルジアルデヒド(o-phthalic dialdehyde)(OPA)のアッセイに基く分光測光技法により、汚れの放出をモニターした。これらの実験における特定の条件および結果は以下のとおりである。
【0027】
第1の実験において、100マイクロリットルの塩化ナトリウムの溶液をそれぞれのSSブレードの上に付着させた。8個のブレードをこの実験に用いた。それぞれのブレードを35ECでオーブンにおいて70分間にわたり乾燥させた後に、室温において30分間にわたり乾燥させた。8個のガラス・バイアルを、それぞれのブレードに対して1個ずつ、ブレードを浸漬するために用いた。それぞれのバイアルに20mlの脱イオン水を入れた。浸漬時間は0〜60秒の範囲であった。次に、この脱イオン水の中に放出される塩化ナトリウムの量を塩化物イオンに対して選択的な電極によりモニターした。図1はこの実験の結果を示している。すなわち、図1は室温での脱イオン水中における塩化ナトリウムを付着させたステンレス鋼ブレードからの塩化ナトリウムの放出速度のグラフである。
【0028】
第2の実験において、100マイクロリットルのアルブミン溶液を8個のSSブレードのそれぞれに付着させた。それぞれのブレードを35ECでオーブンにおいて70分間にわたり乾燥させた後に、室温においてさらに30分間にわたり乾燥させた。8個のガラス・バイアルを、それぞれのブレードに対して1個ずつ、ブレードを浸漬するために用いた。それぞれのバイアルに20mlの脱イオン水を入れた。これらのブレードを0〜300秒にわたり浸漬し、これらのブレードのそれぞれから脱イオン水の中に放出される蛋白質および塩化ナトリウムの量を上述の適当な技法によりモニターした。図2は室温での脱イオン水中におけるアルブミン溶液を付着させたステンレス鋼ブレードからのアルブミンおよび塩化ナトリウムの放出速度のグラフである。
【0029】
第3の実験において、10%のFBSを伴う100マイクロリットルのRPMI組織培地を8個のSSブレードのそれぞれに付着させた。それぞれのブレードを35ECでオーブンにおいて70分間にわたり乾燥させた後に、室温においてさらに30分間にわたり乾燥させた。8個のガラス・バイアルを、それぞれのブレードに対して1個ずつ、ブレードを浸漬するために用いた。それぞれのバイアルに20mlの脱イオン水を入れた。次に、これらのブレードからの脱イオン水の中への塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度を上述の適当な技法によりモニターした。図3は室温での脱イオン水中におけるRPMI組織培地および10%のFBSにより汚染されたステンレス鋼ブレードからの塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度のグラフである。
【0030】
第4の実験において、100マイクロリットルの胎児ウシ血清を8個のSSブレードのそれぞれに付着させた。それぞれのブレードを35ECでオーブンにおいて70分間にわたり乾燥させた後に、室温においてさらに30分間にわたり乾燥させた。8個のガラス・バイアルを、それぞれのブレードに対して1個ずつ、ブレードを浸漬するために用いた。それぞれのバイアルに20mlの脱イオン水を入れた。次に、これらのブレードからの脱イオン水の中への塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度を上述の適当な技法によりモニターした。図4は室温での脱イオン水中における胎児ウシ血清を付着させたステンレス鋼ブレードからの蛋白質および塩化ナトリウムの放出速度のグラフである。
【0031】
これらの最初の4種類の放出実験の結果は、全ての場合において、塩化ナトリウムの汚れが、蛋白質を含んでいる汚れよりも先に、SSブレードから除去されていること、を示している。加えて、全ての場合において、蛋白質を含んでいる汚れを除去するために必要とされる時間の量は、塩化ナトリウムを除去するために必要とされる時間の2倍よりも多くない。また、全ての場合において、20mlの脱イオン水中における単純な浸漬は5分未満で全てのブレードを浄化していた。
【0032】
次の一連の実験は、浄化速度と、浄化溶液の組成と、浄化条件および表面の種類と、の間の関係を探究している。実験5〜8において、使用した血液の溶液は新鮮なカルシウム再沈着させたウシの血液であり、この血液は、20部のクエン酸塩化したウシの全血を、室温において、1部の0.5モルの塩化カルシウムと共に穏やかに混合することにより、調製されている。
【0033】
第5の実験において、一組のブレードからの血液の放出速度が測定されている。それぞれのブレードの組は12個のSS外科ブレード(バード・パーカー(Bard Parker)、サイズ10番)を含んでいる。5滴の血液の溶液をそれぞれのブレードの上に付着させた。それぞれの液滴は10マイクロリットルであった。次に、これらのブレードを前述の実験におけるのと同様に乾燥させた。放出速度の測定を開始する時に、上記のブレードを、浸漬用の溶液を入れているガラス・ビーカー(150mlの容量)の底に置いた。この浸漬用の溶液は、23ECにおける、100mlの1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate))の溶液および0.2mlの5モルのNaNO3 から成り、200RPMの攪拌速度を伴っていた。この攪拌は、ミキサーにより一定速度で回転されている小形のテフロン(登録商標)の攪拌パドル(ブレード寸法=2インチ(5.08cm)×2インチ(5.08cm)、1/16インチ(1.6mm)の幅)を用いることにより、発生されている。その後、ブレードからの塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度を上述の適当な技法によりモニターした。図5は、23ECおよび200RPMの攪拌速度での、1%のSDS溶液中における、血液の溶液を付着させたステンレス鋼ブレードからの塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度のグラフである。
【0034】
第6の実験において、12個のPTFE片からの血液の放出速度が測定されている。5滴の血液の溶液をそれぞれのプラスチック片(35mm×6mm×2mm)の上に付着させた。それぞれの液滴は10マイクロリットルであった。次に、これらのプラスチック片を前述の実験におけるのと同様に乾燥させた。放出速度の測定を開始する時に、上記のプラスチック片を、浸漬用の溶液を入れているガラス・ビーカー(150mlの容量)の底に置いた。この浸漬用の溶液は、23ECにおける、100mlの1%SDS溶液および0.2mlの5モルのNaNO3 から成り、200RPMの攪拌速度を伴っていた。その後、PTFE片からの塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度を上述の適当な技法により評価した。図6は、23ECおよび200RPMの攪拌速度での、1%のSDS溶液中における、血液の溶液を付着させたPTFE片からの塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度のグラフである。
【0035】
上記2種類の実験の結果は、再び、塩化ナトリウムの汚れが蛋白質の汚れよりも容易に放出されること、を示している。さらに、蛋白質の汚れを除去するために必要とされる時間は塩化ナトリウムの汚れを除去するために必要とされる時間の量よりも著しく長くはない。また、全血の付着物は、1%のSDS溶液および200RPMにおける溶液の攪拌の使用にもかかわらず、それ以前の付着物よりも除去しにくい。また、SSブレードとPTFE片との、2種類の表面の間には、いくらかの違いが存在している。
【0036】
次の実験は浄化溶液の攪拌速度および温度の影響を探究している。
【0037】
第7の実験において、異なる攪拌速度における一組のブレードからの血液の放出が測定されている。それぞれのブレードの組は12個のSSブレード(サイズ10番)を含んでいる。5滴の血液の溶液をそれぞれのブレードの上に付着させた。それぞれの液滴は10マイクロリットルであった。次に、これらのブレードを前述の実験におけるのと同様に乾燥させた。この実験を始める時に、一組のブレードを室温で100mlの浸漬溶液の中に置いて、異なる攪拌速度(0,350,700および1400RPM)に曝した。加えて、一組のブレードを45ECにおいて1400RPMに曝した。上記の浸漬溶液は100mlの1%SDS溶液および0.2mlの5モルのNaNO3 から成っている。図7は、45ECおよび異なる攪拌速度での、1%のSDS溶液中における、血液の溶液を付着させたステンレス鋼ブレードからの蛋白質の放出速度のグラフである。
【0038】
第8の実験において、2種類の異なる温度における、一組のPTFE片からの血液の放出速度が測定されている。それぞれの組は12個のPTFE片を含んでいる。5滴の血液の溶液をそれぞれのプラスチック片の上に付着させた。それぞれの液滴は10マイクロリットルであった。次に、これらのプラスチック片を前述の実験におけるのと同様に乾燥させた。この放出速度の実験を始める時に、上記のプラスチック片を、100mlの浸漬溶液を入れているガラス・ビーカー(150mlの容量)の底に置いた。一組のプラスチック片を45ECにおいて行なった実験のために用い、別の組を23ECにおいて行なった実験のために用いた。これら両方のバッチには全く攪拌は適用されていない。その後、上記のPTFE片からの蛋白質の放出速度を、上述の適当な技法により評価した。図8は、23ECおよび45ECでの、1%のSDS溶液中における、血液の溶液を付着させたPTFE片からの蛋白質の放出速度のグラフである。
【0039】
前述の2種類の実験は、速い攪拌速度または温度の上昇が比較的に短い浄化時間または比較的に速い放出速度を結果として生じること、を示している。
【0040】
要するに、上述の放出速度の結果から、種々の汚れの放出速度を関連づけることにより、十分な浄化が行なわれていることを保証するために、選択された汚れの放出をモニターできることが、見出されている。たいていの状況において、無機質の汚れを除去するために必要とされる時間の量の2〜3倍以下の浄化時間で蛋白質の汚れの十分な除去が実現されていることが保証される。加えて、約45ECまでの温度が浄化速度を高めるために有効に使用できる。また、浄化の効果を高めるために攪拌が使用できる。さらに、浄化溶液の組成も浄化速度に影響するが、多くの場合において、温水(例えば、30〜50℃)が全ての汚れを十分に除去する。
【0041】
本発明の一例の態様は医療装置のための浄化処理をモニターするための装置を提供している。好ましくは、この装置は、医療装置が滅菌できるように、その医療装置が十分に浄化される時を決定できる。この装置は、医療装置の上または浄化において用いられる液体の中の無機質および/または有機質の汚れを検出できる汚れ検出器、または浄化モニタリング法、または医療装置のための清浄さの代わりのインジケータとして役立つことのできる汚れ被覆型の標準器、を含む。
【0042】
無機質の汚れは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよびその他のアルカリおよびアルカリ土類の塩等のような電解質、鉄の塩等のような無機の金属含有化合物、および体内において存在していることが知られていて、使用後に滅菌を必要とする医療装置に接触する可能性のある全ての他の無機化合物、を含む。
【0043】
有機質の汚れは、蛋白質、糖蛋白質、リポ蛋白質、ムチン、アミノ酸、多糖類、糖、脂質、糖脂質、および体内において存在していることが知られていて、使用後に滅菌を必要とする医療装置に接触する可能性のある全ての他の有機化合物、を含む。有機質の汚れはまた、医療装置に接触する可能性のある、全体の、部分的な、生きている、弱った、または死んでいる、微生物も含む。さらに、これらの微生物は、全てのグラム陽性の、グラム陰性の、腸内および非腸内の、微生物、酵母、真菌およびウイルス、を含む。
【0044】
本発明の装置は、外科器具等のような無菌の組織の中に入る緊急用の物品、内視鏡、関節鏡、歯科器具および一部の麻酔器具等のような破損した皮膚または粘膜に接触する半緊急用の物品、および無傷の皮膚に接触する非緊急用の物品、を含む多様な医療装置のための、浄化処理をモニターするために適している。
【0045】
浄化処理において用いられる液体は浄化用およびすすぎ用の液体を含む。さらに、単に浄化をモニターする目的のためにだけ用いられ、従って、汚れ検出器を備えている装置において利用可能である分離している液体も使用できる。さらに、この浄化処理は、自立型の洗浄処理、洗浄工程の後に滅菌工程を含む浄化処理を含んでいる一体型のシステム、および浄化および滅菌が同時に行なわれる浄化処理を含んでいる一体型のシステム、を含む。
【0046】
上記の浄化をモニターするための装置は医療装置のための浄化システムまたは浄化および滅菌のシステムと共に一体化できる。
【0047】
本発明の装置の汚れ検出器は、単独または組み合わせにおいて、浄化をモニターするための種々の検出技法を利用できる。1個のアナライザから得られるデータは別のアナライザから得られるデータの信頼性を確かめるために用いることができる。汚れの検出技法は2種類の基本的な汚れのカテゴリ、すなわち、(1)無機質の汚れを検出するために適している検出技法、および(2)有機質の汚れを検出するために適している検出技法、に分けることができる。しかしながら、多くの場合に、汚れの検出技法は無機質および有機質の両方の汚れを検出するために適する可能性がある。
【0048】
以下は可能な検出の方法である。なお、ここに挙げられない別の適当な汚れの検出技法が存在することが当然に理解されると考える。以下は、本発明において使用できる有用な技法の実例である。
【0049】
無機質の汚れ(例えば、NaCl)
イオン選択電極
塩化物電極法
原理:塩化物電極は、ガラスの本体部分と、基準溶液と、塩化銀/硫化銀の膜と、により構成されている。この膜が塩化物の溶液に接触すると、電極の電位がその膜をまたいで発生する。この電極の電位はpH/mV/イオン計を用いて一定の基準電位に対して測定される。塩化物のイオンの濃度は、測定された電位に対応しており、ネルンストの方程式により表わされる。
E=Eo−SlogX
この場合に、
E=測定した電極の電位(mV)
Eo=基準電位(mV)
S=電極の勾配
X=塩化物イオン濃度(M)、である。
一般的な塩化物電極の検出範囲は1M〜5.0×10-5Mである。
【0050】
ナトリウム電極法
原理:ナトリウム電極は、ガラスの本体部分と、基準溶液と、検出用の膜と、により構成されている。この検出用の膜はゲル化した有機親和性の膜に接触している液体の内部充填用の溶液を有しており、この膜はナトリウムに選択的なイオン交換体を含んでいる。すなわち、この膜がナトリウムの溶液に接触すると、電極の電位がその膜をまたいで発生する。この電極の電位はpH/mV/イオン計を用いて一定の基準電位に対して測定される。ナトリウムのイオンの濃度は、測定された電位に対応しており、ネルンストの方程式により表わされる。
E=Eo−SlogX
この場合に、
E=測定した電極の電位(mV)
Eo=基準電位(mV)
S=電極の勾配
X=ナトリウム・イオン濃度(M)、である。
一般的なナトリウム電極の検出範囲は、飽和状態〜1.0×10-6M、である。
【0051】
汚れ検出器として用いられる場合に、上記の電極プローブは洗浄用またはすすぎ用の液体に接触するよう洗浄チャンバーの中に直接に配置されるか、洗浄チャンバーから分離していて、洗浄用、すすぎ用または浄化モニター用の液体をサンプリングするために用いられる液体の導管の中に置かれる。加えて、2個以上の電極プローブを同時に用いることができる。この後者の場合に、1個のプローブが、新しい洗浄用、すすぎ用または浄化モニター用の液体に対して、連続的または断続的な、あるいは1回の接触で、置かれる。このプローブは汚れを含まない液体に対応する対照の電位の読取値を与えるために役立つ。また、第2のプローブは汚れた医療装置に曝された洗浄用、すすぎ用または浄化モニター用の液体の電位を測定する。その後、上記2個のプローブの電位の読取値が比較されて、これら2個の電位の読取値が実質的に等しいか互いの数パーセント(例えば、3%)の範囲内である時に、上記の装置は十分に浄化されていると見なすことができる。
【0052】
導電率法
原理:溶液中のイオンまたは電解質は電解質の溶液の電気的な伝導性を測定することにより決定および定量化できる。溶液の導電率は存在するイオンの数およびこれらのイオンの移動度に依存する。塩化ナトリウム(NaCl)は強電解質であり、溶液中において完全にイオン化される。その完全なイオン化の結果として、NaClの導電率はその溶液中のNaClの濃度に比例する。一方、酢酸等のような、弱電解質は溶液中において完全にイオン化されず、したがって、低いコンダクタンスを有しているが、希釈によりコンダクタンスが大きく増加し、この場合に、さらに多くのイオン化が生じる。モル伝導率(λ)は以下のように定められる。
λ=k/c
この場合に、
c=添加した電解質のモル濃度
k=導電率、である。
【0053】
溶液の導電率は、一般に、電極の間の電流を測定するために、ホイートストン・ブリッジ等のような、適当な電気回路と共に2個の電極を含んでいるプローブにより測定される。溶液の導電率は存在している強電解質および弱電解質の全てから由来する溶液中のイオンの全数により導かれる。
【0054】
汚れ検出器として用いられる場合に、上記の導電率プローブは洗浄用またはすすぎ用の液体に接触するよう洗浄チャンバーの中に直接に配置されるか、洗浄チャンバーから分離していて、洗浄用、すすぎ用または浄化モニター用の液体をサンプリングするために用いられる液体の導管の中に置かれる。加えて、2個以上の導電率プローブを同時に用いることができる。この後者の場合に、1個のプローブが、新しい洗浄用、すすぎ用または浄化モニター用の液体に対して、連続的または断続的な、あるいは1回の接触で、置かれる。このプローブは汚れを含まない液体に対応する対照の導電率の読取値を与えるために役立つ。また、第2のプローブは汚れた医療装置に曝された洗浄用、すすぎ用または浄化モニター用の液体の導電率を測定する。その後、上記2個のプローブの導電率の読取値が比較されて、これら2個の導電率の読取値が実質的に等しいか互いの数パーセント(例えば、3%)の範囲内である時に、上記の装置は十分に浄化されていると見なすことができる。
【0055】
分光測光法
塩化物イオン試薬
2Cl(−)+Hg(SCN)2 → HgCl2 +2SCN(−)
SCN(−)+Fe+3 → Fe(SCN)++
(赤茶色、460nm)
【0056】
原理:塩化物イオンは塩化物試薬と反応して、460nmにおいて最大吸光度を有するFe(SCN)++イオン(赤茶色)を形成する。好ましくは、分析される汚れの混合物からの着色した種の発生に基いて、分光測光技法と共に自動比色計または測光式自動滴定装置が用いられている。
【0057】
イオン・クロマトグラフィ
原理:イオン交換カラムにおける、あるいは、イオン交換体により含浸されているシートにおける、それぞれの異なる移動による物質の分離に関連している。イオン(アニオンまたはカチオン)はイオンのそれぞれの種類に特徴的であるイオン交換反応に基いて分離される。イオン・クロマトグラフィのための一般的な検出器は、導電率計測、UVおよび電気化学、の検出器である。イオン・クロマトグラフィは、濃度が0.02mg/L〜80mg/Lの検出範囲にある場合に、水中に溶解している塩化物イオンを検出できる。
【0058】
好ましくは、汚れ検出のためにイオン・クロマトグラフィを用いる場合には、自動イオン・クロマトグラフが用いられる。
【0059】
毛細管電気泳動法
原理:電気泳動は電場の中における帯電した種の移動である。毛細管電気泳動法は毛細管を利用している。電気泳動法において毛細管を使用する重要な利点は、分離のための高い電位の使用を可能にする高められた熱の消散である。このような高電位の場の使用は分析時間における劇的な減少を伴う極めて効率的な分離につながる。
【0060】
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)
原理:特定の固体の粒子を詰め込んだカラムを通る液体の流れの中の溶質の異なる移動による溶液の成分の分離に関連している。可能な分離物に含まれるものは、ペプチド(逆相クロマトグラフィによる)、蛋白質および酵素(クロマトグラフィの疎水性およびサイズ排除のモード)、アミノ酸、および無機質および有機金属の化合物である。このHPLCシステムのために選択できるいくつかの検出器が存在している。これらは、UV−可視光吸収、IR吸収、蛍光計測、屈折率、導電率計測、電気化学、および放射能、の検出器である。さらに、サンプルおよび固定相の種類により、いくつかの分離用カラムが選択できる。一般的なカラムは、アフィニティ、ゲル濾過、およびイオン交換、のカラムである。
アフィニティ媒体
有効なアフィニティ分離は、生体特異性のリガンドがクロマトグラフィの床材料、すなわち、基材に共役結合すること、を必要とする。
ゲル濾過
この分離は分析物の分子の大きさおよび/または形状の違いに基いており、この大きさおよび形状はカラムの充填用の粒子の中の孔の空間に対する分析物の接近を左右する。
イオン交換
この方法は、充填材料の帯電された基との溶質の相互作用、およびその後の比較的に高いイオン強度の水性の緩衝液またはpHにおける変化による溶出、を含む。
【0061】
7.結論
多数の異なる技法が無機質の汚れをモニターするために使用できる。電解質の試験のための一例の好都合な製品は、デラウェア州、ニューアークのデイル・インターナショナル(Daile International)から入手可能な「マルチプライ(MultiPLY)」一体型マルチセンサーである。
【0062】
有機質の汚れ(例えば、蛋白質)
分光光度計(可視光−UV、波長:190nm〜900nm)
OPA法
蛋白質−NH2 +o−フタルジアルデヒド(o-phthalic dialdehyde)(OPA)+チオール(Thiol)→l−アルキルチオ−2−アルキルイソインドール(l-alkylthio-2-alkylisoindol)
(OPA) (蛍光性、340nm)
【0063】
原理:蛋白質のアミノ基は、チオール成分(N1 N−ジメチル−2−メルカプト−エチルアンモニウム−クロリド(N1 N-dimethyl-2-mercapto-ethylammonium-chloride))の存在下に、OPAのアルデヒド基と反応して、蛍光性の化合物(1−アルキルチオ−2−アルキルイソインドール(l-alkylthio-2-alkylisoindol))を形成する。この蛍光性の化合物は340nmにおいて最大吸光度を有する。
【0064】
アルブミン試薬法
アルブミン+ブロムクレゾール・パープル(Bromcresol purple) → 安定な錯体
(C2116Br259 FW=540.24) (610nm)
原理:ブロムクレゾール・パープル(Bromcresol purple)は血清アルブミンと定量的に結合して安定な錯体を形成し、この錯体は610nmにおいて検出できる。この製造された錯体の量は溶液中のアルブミンの濃度に線形に比例する。
【0065】
ローリー・マイクロ法(Lowry micro method)
原理:希釈したビウレット試薬はペプチド結合と反応して青紫色の錯体を生じる。この錯体の色はフェノール試薬の添加によりさらに強めることができる。550〜750nmにおいて読み取られる吸光度の増加はサンプル中の蛋白質濃度を決定するために用いられる。
【0066】
マイクロプロテイン−PR法
原理:ピロガロール(pyrogallol)錯体(マイクロプロテインXPR(MicroproteinXPR)試薬中)が蛋白質のアミノ基に結合する時に、試薬の吸光度がシフトする。600nmにおける吸光度の増加はサンプル中の蛋白質の濃度に直接的に比例する。
【0067】
液体クロマトグラフィまたは高速液体クロマトグラフィ(HPLC)
原理:無機質の種の測定におけるのと同様
【0068】
周期ボルタンメトリー
原理:材料(金属、ポリマー等)を血液蛋白質に接触させると、蛋白質(たいていはフィブリノゲン)の層が数秒以内にその界面において形成される。この蛋白質の吸着の結果として、蛋白質を含まない溶液中への蛋白質の添加は周期ボルタンメトリーの測定における金属電極の電流密度の指数関数(電流対電圧)の状況を変化させる。例えば、高濃度の銅の合金(2%が亜鉛)における電流対電圧の状況は、蛋白質(アルブミン、フィブリノゲン等)の添加により、リン酸塩−塩水の電解質を維持する方向に、変わる。
【0069】
放射能
原理:蛋白質はテクネチウム99またはヨウ素125等のような放射性同位元素により標識され、その溶液の放射能は存在している蛋白質の量を決定するために測定される。例えば、蛋白質のフィブリノゲンは2倍モル過剰のヨウ素の一塩化物を用いて 125Iにより標識される。この標識されたフィブリノゲンの生物学的な特性はこの標識の方法により影響を受けない。溶液中のフィブリノゲンの濃度は標識されたフィブリノゲンを含有している溶液の放射能(またはガンマ線の強度)に直接的に比例する。
【0070】
水晶微量天秤(QCM)法
原理:水晶微量天秤は振動石英ウエハに基いている質量感知検出器である。このQCMの応答は固体と溶液との界面における質量の変化に対して極めて感度が高い。例えば、金被覆した水晶を血液蛋白質に接触させると、蛋白質の層が数秒以内にその界面において形成される。この小さな質量の変化はQCMにより容易に検出できる。さらに、この水晶における質量の増加(または、振動の振動数の減少)は溶液中の蛋白質の濃度に直接的に比例する。
【0071】
FTIR分光法(透過型とATR型)
フーリエ変換赤外(FTIR)分光測光法は、溶液中ならびに表面上の両方における、混合物の中の蛋白質を確認して定量するために使用できる。水性の蛋白質の溶液の透過型FTIRによる調査は存在している蛋白質の同一性と量を示す。また、蛋白質の付着した表面の減衰全反射(ATR)型FTIRによる調査は表面上の蛋白質の同一性と量を決定できる。
【0072】
電気泳動法
原理:電気泳動は電場内の帯電した種の移動である。一般に、蛋白質の分子は酸性の溶液中の水素イオンを取り込んで、正に帯電する。電気泳動用の媒体のpHを変えることにより、蛋白質の移動速度を変えることができる。所与の蛋白質において、pI(蛋白質が電気的に中性であるpH値)がそのpH値よりも低ければ、その電荷は負になり、その移動は正電極に向かう。一方、pI>pHの場合の蛋白質の成分は正に帯電し、上記とは反対の方向に移動する。
【0073】
毛細管電気泳動法
原理:無機質の種の測定と同じである。
【0074】
無機質および有機質の両方の汚れを検出するための別の技法は電位差測定、特に、電位差測定式の自動滴定装置、および溶液内の粒子または溶液の浄化度を検出するための技法を含む。この溶液の浄化度はフロー・セルを伴う濁りセンサーにより構成されている濁度計により測定できる。この濁度計は一般的に光電セルと共に動作して、電気信号を生じ、この装置は、浄化制御システム等のような、別のシステムと共に容易に一体化される。あるいは、溶液の浄化度は、液体の色、反射率、吸光度、透過率等、の測定により決定できる。レーザーからの、さらに、サンプルから検出器への、伝送のための光ファイバーを利用しているレーザー・システムは、溶液の浄化度または多くの他の特性の評価のために用いることも可能である。
【0075】
好ましくは、本発明の装置は汚れを検出するための検出技法を用いており、この検出技法は浄化処理において用いられる液体の中の汚れの存在を検出するために適している。好ましくは、上記の液体は浄化処理中に用いられる浄化用およびすすぎ用の液体から成る群から選択される。
【0076】
本発明の装置はまた検出技法を使用することもでき、この検出技法は医療装置の表面上の汚れの存在を検出するために適している。好ましくは、この医療装置の表面上の汚れの存在を検出するために適している検出技法はその装置の表面に接触することなく動作する。例えば、反射分光光度計と組み合わされている光ファイバー技法を用いて、表面の浄化を直接にモニターすることができる。あるいは、医療装置の表面上の汚れの存在を検出するために適している検出技法は直接の表面の接触により動作できる。換言すれば、この検出技法のためのプローブは医療装置の表面に物理的に接触して、これにより、医療装置の清浄さの状態を決定して定量するために、その表面の上に存在している汚れの量を感知できる。たいていの場合において、上記の装置に対するプローブの物理的な接触は一時的である。このような特定の使用のために適している技法は減衰全反射(ATR)分光法である。このATR法はモニターするサンプルの表面に直接に感知用の放射線を伝達する結晶を用いている。この結晶はサンプルの表面に物理的に接触する。ATR分光法は紫外(UV)吸収分光測光法ならびに赤外分光法の技法と共に利用できる。さらに、ATR−UV技法はサンプリング用のプローブとしてサファイアの結晶を用いている。また、フーリエ変換赤外分光法は適当なATR結晶と共に使用できる。
【0077】
あるいは、間接的な検出技法も使用可能である。この手法は上記と同じ物理化学的な検出技法および他の手法において既に述べられている方法を用いている。しかしながら、医療装置自体はその浄化の程度についてモニターされない。むしろ、汚れ付着型の標準器が装置の中に挿入されて、その医療装置自体の代わりにモニターされる。
【0078】
上記の汚れ検出器は液体または医療装置の表面または汚れ被覆型の標準器の継続的なサンプリングを行なうことができ、あるいは、これらの液体または装置または標準器の定期的なまたは1回のサンプリングも行なうことができる。定期的なサンプリングは一定のまたは不定の(すなわち、不規則な)区間で行なうことができる。また、これらの区間の数は1回のサンプリングと同様に、1回とすることができる。さらに、1回のサンプリングの区間は、装置がその後に滅菌できるように、十分な浄化が行なわれるという高い確実さの程度が存在するように、十分な時間の期間にわたり浄化処理が行なわれる状況化において、実行可能である。しかしながら、好ましくは、行なわれた浄化の量を評価するために、2回以上のサンプリングの区間が上記の汚れ検出器により用いられている。さらに好ましくは、3回以上のサンプリングの区間が用いられている。さらに好ましくは、4回以上のサンプリングの区間が上記の検出技法により用いられている。
【0079】
イオン選択電極法は、そのナトリウムや塩化物等のような関連の電解質を測定するための感度および特異性、ならびに、比較的に小形のプローブ、そのプローブの耐久性、使用の容易さ、リアル・タイムの測定の可能性、および動作の電気的な基本原理により、汚れ検出器の中における使用において好ましい。電極電位の測定を継続的にまたは断続的に行なうことが可能であり、浄化用または浄化および滅菌用の装置のための制御システムと容易に一体化できる。なお、浄化処理を制御するための制御システムも本発明の一部になり得る。
【0080】
導電率法も、イオン選択電極法と同じ理由で、汚れ検出器の中における使用において好ましい。
【0081】
本発明の別の態様は医療装置のための浄化処理をモニターするための方法を提供しており、この方法は、汚れ検出器を備えている本発明の装置により医療装置から除去された汚れを測定する工程、を含む。
【0082】
好ましくは、上記の方法は、上記の装置が滅菌できるように十分に浄化される時を決定する工程、をさらに含む。
【0083】
好ましくは、上記の装置は、無菌の組織の中に入る緊急用の物品、破壊された皮膚または粘膜に接触する半緊急用の物品、および無傷の皮膚に接触する非緊急用の物品から成る群から選択される。さらに好ましくは、上記の無菌の組織の中に入る緊急用の物品は外科器具である。さらに好ましくは、上記の破壊された皮膚または粘膜に接触する半緊急用の物品は内視鏡、関節鏡、歯科器具および麻酔器具を含む。
【0084】
好ましくは、本発明の方法は汚れ検出器を備えている装置を用いており、この汚れ検出器は無機質および/または有機質の汚れを検出できる検出技法を利用している。さらに、この無機質の汚れは、無機質の電解質、アルカリおよびアルカリ土類の塩、無機質の金属含有の化合物および医療装置に接触する可能性のある人体の中に存在している他の無機質の化合物から成る群から、選択される。また、有機質の汚れは、蛋白質、糖蛋白質、リポ蛋白質、粘液、アミノ酸、多糖類、糖、脂質、糖脂質、医療装置に接触する可能性のある人体の中に存在している他の有機化合物、微生物およびウイルスから成る群から、選択される。
【0085】
本発明の方法において用いられている検出技法は、イオン選択電極、導電率、分光光度計、イオン・クロマトグラフィ、毛細管電気泳動、高速液体クロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、放射能、重量測定、赤外分光法、電位測定、および濁度測定から成る群から、選択される。
【0086】
本発明の方法においてモニターされる浄化処理は、1つ以上の浄化工程を含む独立している浄化処理、1つ以上の浄化工程の後に滅菌工程を含む浄化処理、および浄化および滅菌が同時に行なわれる浄化処理から成る群から、選択される。
【0087】
本発明の方法において用いられている汚れ検出器を備えている装置は、浄化処理または浄化モニター処理において使用される装置の上または液体の中、あるいは、装置の清浄さのインジケータである汚れ被覆型の標準器の上、の汚れを検出することにより、その装置から除去された汚れを測定する。好ましくは、上記の浄化処理において使用される液体は浄化用の液体である。
【0088】
液体が浄化用の液体であり、検出がその液体の中の汚れである、本発明の方法は、
(a)浄化処理の前に上記の液体の中の汚れを検出する工程と、
(b)浄化処理の間またはその後に上記の液体の中の汚れを検出する工程と、を含んでいる。
【0089】
上記の方法は、好ましくは、工程(b)における汚れが工程(a)における汚れに実質的に等しいか否かを決定する工程をさらに含み、この工程(b)において検出される汚れが工程(a)において検出される汚れに実質的に等しければ、その装置はその装置が滅菌可能である程度に十分に浄化されていると見なされる。
【0090】
すなわち、二つの工程の値が許容可能な範囲内であれば、一つの工程において検出される汚れの量は別の工程において検出される汚れの量に実質的に等しいと見なすことができる。多くの場合に、上記の許容可能な範囲は10%までの違いであり、さらに好ましくは3〜5%の違いと考えられる。
【0091】
一方、上記の工程(b)において、上述の方法において決定される汚れが工程(a)において決定される汚れに対して実質的に等しくなければ、その工程(b)において決定される汚れが工程(a)において決定される汚れに実質的に等しくなるまで、浄化工程またはすすぎ工程のいずれか、あるいは、浄化処理における全ての工程が繰り返される。
【0092】
イオン選択電極に基く汚れ検出器を備えている、医療用の装置または器具のための浄化処理をモニターするための、装置の一例の実施形態が図9において示されている。この図9は、内腔を伴う医療装置22および外科器具24等のような、医療用の装置および器具を洗浄するための洗浄チャンバー20を含んでいる装置10を示している。洗浄チャンバー20は滅菌のために利用することも可能である。この洗浄チャンバー20は弁41を伴う液体の出口40および弁46を伴う液体の入口45を有している。これらの液体の出口40および液体の入口45は洗浄用またはすすぎ用の液体を、洗浄チャンバー20から外にあるいはチャンバー20の中に戻して、移動させるために利用される。この液体の出口40は液体導管50に対して弁41を介して連結されており、この導管50はさらに液体ポンプ60に連結されている。液体導管50は洗浄チャンバー20からポンプ60に洗浄用またはすすぎ用の液体を移動させる。ポンプ60は洗浄チャンバー20から液体の出口40、弁41および液体導管50を通して液体導管55の中に洗浄用またはすすぎ用の液体をポンプ輸送する。この液体導管55は弁46および液体の入口45を通して洗浄チャンバー20に液体を戻す。また、この液体導管55は、弁57および液体の入口56を含んでいる液体導管58、に連結されている。さらに、液体の入口56は洗浄またはすすぎの処理において用いられる液体のあらゆるものの流入のために使用される。また、液体の入口56は、例えば、電位の読取値を導管55の中に置かれている電極プローブ70により読み取り可能にするように、導管55の中への新しい洗浄、すすぎまたは浄化のモニター用の液体の流入を可能にする。洗浄チャンバー20はまた弁47に連結されている液体の出口44も含んでいる。さらに、弁47は導管54に連結されており、この導管54はさらに排水出口59に連結されている。液体の出口44および上述の連結されている各部品は洗浄またはすすぎの工程の後にチャンバー20を排水するために用いられる。
【0093】
電極プローブ70は洗浄用またはすすぎ用の液体の中における汚れの検出のために用いられる。この電極70は第1の電極72および第2の電極74を含んでいる。導管55を通って流れる液体はこれら第1の電極72および第2の電極74の両方のそばを通過する。このことにより、この液体の中のイオンは電流を生じ、この電流は電気ケーブル76および電気ケーブル78を介して電極検出器のための電気回路80に伝達される。この電気回路80は電気的な接続手段90を介して洗浄制御システム30に連結されている。さらに、この洗浄制御システム30は洗浄チャンバー20に直接に連結されていて、洗浄処理の全ての段階を制御する。
【0094】
図9において示されている本発明の装置を利用している、医療装置のための浄化処理をモニターするための本発明の方法は以下のように動作する。まず、全ての弁が最初に閉じている状態にある。次に、弁57が開口されて、新しい、きれいな洗浄用またはすすぎ用の水が洗浄用または浄化用の供給源(図示せず)から入口56の中に流れることが可能になる。その後、汚れを全く含んでいないきれいな洗浄用またはすすぎ用の液体から、電極電位の読取値が電極プローブ70により初期的に読み取られる。好ましくは、この方法の実施形態において、電位の読取値はきれいな洗浄液から読み取られる。この値は時間0の電位の読取値を示す。その後、弁46が開かれて、洗浄液がチャンバー20の中に流入することが可能になり、洗浄工程を準備するためにそのチャンバー20を充たす。あるいは、0時の読取値をチャンバー20の充填時に読み取り可能にするように、弁46および57は同時に開くことも可能である。また、望まれる場合に、0時の読取値を洗浄工程の間に読み取ることも可能である。その後、弁46および57が閉じて、洗浄工程が開始される。この洗浄工程は、存在している医療用の装置および器具の種類により決められる期間にわたり、継続される。一般に、この期間は約1時間よりも短い。好ましくは、この期間は約30分よりも短い。さらに好ましくは、この時間は約15分よりも短い。この洗浄工程の終了時に、弁47が開かれて、汚れた洗浄水が出口59を通してチャンバーから流出することが可能になる。弁47はチャンバーが空になった後に閉じられる。その後、弁45および57が再び開けられて、新しいすすぎ用の水がチャンバー20の中に流入することが可能になる。チャンバー20が充填されると、弁45および57が再び閉じられる。その後、すすぎ工程が行なわれる。この工程は一般に洗浄工程の一部分であるかこれに等しい。このようにして1個以上の電位の読取値がこのすすぎ工程の間またはその終了時においてすすぎ用の液体から測定される。この処理は、電極プローブ70に接触するすすぎ用の液体がチャンバー20の中のすすぎ用の液体に等しくなるまで、導管50および55の中にすすぎ用の液体をポンプ輸送するために、弁41および46を同時に開いてポンプ60をオンにすることにより、行なわれる。その後、洗浄工程の後のすすぎ用の液体の電位が時間0の電位の読取値に実質的に等しくなれば、十分な浄化が達成されていることになる。そうでなければ、すすぎの溶液の電位の読取値が望まれる値に到達するまで、すすぎの工程または洗浄およびすすぎの工程が繰り返される。この段階において、チャンバーの中の医療用の装置22および器具24は、2工程の連続的な浄化および滅菌の処理の内の第2の工程において滅菌できるようになる。
【0095】
イオン選択電極に基く汚れ検出器を備えている、医療用の装置または器具のための浄化処理をモニターするための、装置の別の実施形態が図10において示されている。この図10は、内腔を伴う医療装置22および外科器具24等のような、医療用の装置および器具を洗浄するための洗浄チャンバー20を含んでいる装置11、を示している。この洗浄チャンバー20はまた浄化および滅菌の両方のために利用することもできる。この浄化および滅菌は同時にまたは連続的に行なうことができる。好ましくは、この浄化工程はチャンバー20の中において滅菌工程よりも先に行なわれる。洗浄チャンバー20は水の入口53を有しており、この入口53は水の供給源(図示せず)、および弁52および導管51を介して弁43に連結されている。弁43は洗浄チャンバー20の中に直接につながっている入口42に直接に連結されている。洗浄チャンバー20はまた水の出口44および48も有している。この水の出口44は弁47に連結されており、その後、水の排出口59につながっている導管54に連結されている。水の排出口59は洗浄チャンバー20から汚れた水を放出するために主に用いられる汚れた水の出口である。また、水の出口48は弁49に連結されており、その後、弁62につながっている導管61に連結されている。さらに、弁62はすすぎ用の水の出口63につながっている。水の流入配管の中の導管51は、第1の電極65および第2の電極66を伴っている第1の電極プローブ64、を含んでいる。この第1の電極65は電気ケーブル67に連結されていて、第2の電極66は電気ケーブル68に連結されている。さらに、これらの電極ケーブル67および68は電極プローブ64から電気回路31につながっており、この電気回路31はイオン選択電極の電気回路ならびに洗浄用または洗浄および滅菌用の制御回路を含んでいる。同様に、第2の電極プローブ71は弁49と62との間のすすぎ用の水の出口導管61の中に置かれている。電極プローブ71は第1の電極73および第2の電極75を有している。これらの電極73および75は電気ケーブル77および79にそれぞれ連結されている。さらに、これらの電気ケーブル77および79は電気回路31に直接に連結されている。
【0096】
図10において示されている本発明の装置を利用している、医療装置のための浄化処理をモニターするための本発明の方法は以下のように動作する。まず、水の入口導管51の中の弁52および43が開かれて、洗浄チャンバー20が浄化工程のために十分に充たされるまで、水がチャンバー20の中に水の入口42を通して流入することが可能になる。この水は汚れの無い新しい清浄な水である。電極プローブ64によりその水から電位の読取値が測定され、電気回路31はこの読取値を記憶する。次に、弁52および43が閉じられる。その後、洗浄チャンバー20の中において、最初の浄化工程が行なわれる。この浄化工程は一般に約1時間よりも短い。好ましくは、この浄化工程は約30分よりも短い。さらに好ましくは、この浄化工程は15分よりも短い。その後、この第1の浄化工程の終了時に弁47が開く。この弁47が開いた後に、汚れた洗浄水が出口44を通してチャンバー20から排出される。さらに、この汚れた洗浄水の全てが洗浄チャンバー20から排出された後に、弁47が閉じられる。その後、弁53および43が再び開かれて、きれいな、新しいすすぎ用の水が入口ポート42を通して洗浄チャンバー20の中に流れ込む。このチャンバーの中に入るきれいな、新しいすすぎ用の水の第2の電位の読取値が第1の電極64により読み取ることができる。その後、弁52および43が閉じられて、チャンバー20の中のすすぎ工程が開始される。このすすぎ工程は一般に約1時間よりも短い。好ましくは、このすすぎ工程は約30分よりも短い。さらに好ましくは、このすすぎ工程は約15分よりも短い。このすすぎ工程の終了時に、すすぎ用の水の流出配管61の中の弁49および62が開かれて、すすぎ用の水が第2の電極プローブ71を通して洗浄チャンバー20から流出することが可能になる。電位の読取値が電極プローブ71により読み取られて、電気回路31に送られる。電極プローブ71により読み取られたすすぎ用の水の電位と電極プローブ64により読み取られた新しい、きれいなすすぎ用の水の電位との比較が電気回路31により行なわれる。この結果、これら2個の値が実質的に等価であれば、これらは同等であるか互いに数パーセントの範囲内にあることになり、それゆえ、その後の洗浄およびすすぎは必要とされなくなる。その後、全てのすすぎ液がチャンバー20から排出された後に、弁49および63が閉じられる。しかしながら、上記2個の読取値が絶対値で実質的に等しくなければ、追加のすすぎが前述のように開始されて行なわれる。この第2のすすぎ工程は第1のすすぎ工程の継続時間の一部分としてもよく、あるいは、この第1のすすぎ工程の継続時間と同等にしてもよい。この場合に、第1のすすぎ工程の間に前述のように電位の読取値が読み取られて、すすぎ液が医療用の装置および器具に接触した後のそのすすぎ液の電位の読取値が新しいきれいなすすぎ液の電位の読取値に対して再び比較される。この結果、これら2個の読取値が実質的に同等になれば、十分な浄化が行なわれていることになり、その後の洗浄および浄化は必要とされなくなる。この段階において、チャンバーの中の医療装置22および器具24は2工程の連続的な浄化および滅菌の処理の内の第2の工程において滅菌できるようになる。その後、チャンバー20はドア(図示せず)を介して開くことが可能になり、装置22および器具24が使用のために取り出される。
【0097】
イオン選択電極に基く汚れ検出器を備えている、医療用の装置または器具のための浄化処理をモニターするための、装置の別の実施形態が図11において示されている。この図11は、内腔を伴う医療装置22および外科器具24等のような、医療用の装置および器具を洗浄するためのチャンバー20を含んでいる装置12を示している。この洗浄チャンバー20は滅菌のために使用することも可能である。この滅菌は浄化と同時に行なってもよく、あるいは、浄化工程に続いて行なうことも可能である。上記の装置12は、出口48、弁49、弁62、導管61およびすすぎ水出口63の他は、図10において示されている装置11の部品の全てを含んでいる。また、装置12は図10において示されている装置11とほとんど同様に動作する。しかしながら、図11において示されている装置12の場合には、全ての洗浄用およびすすぎ用の液体は出口44を通して洗浄チャンバー20から出る。ただし、これ以外は、既に説明されていて、図10において示されているような装置11において用いられている、浄化処理をモニターするための本発明の方法の工程の全てが図11において示されている装置12に適用できる。この場合においても、第2の電極プローブ71は、洗浄工程に続くすすぎ工程の間かその終了時に、すすぎ液が医療用の装置および器具24に接触した後に、そのすすぎ液の電位の読取値を読み取る。しかしながら、この特定の実施形態においては、これらの読取値は、図10において示されている装置11におけるような導管61の中ではなく、洗浄チャンバー20の中において読み取られる。なお、図10において示されているような装置11の主な利点は導管61の中の第2の電極プローブ71の配置による利点である。すなわち、この導管61の中の第2の電極プローブ71の配置は、汚れにより過剰汚染されることからのこの第2の電極プローブ71の完全な保護、を可能にしている。このことは、電極プローブ71が正確に精度良く電位の読み取りを繰り返して行なうこと、を確実にしている。しかしながら、一部の場合においては、第2の電極プローブ71を、分離している導管61の中に配置することが必要でないこともある。したがって、図11において示されている装置12は、特に、電極プローブ71の汚染が問題にならないことが知られている場合における、一部の洗浄の適用に対して有用である。
【0098】
図10および図11において示されている装置は、例えば、無機質の汚れを検出する検出器および有機質の汚れを検出する検出器を含むように、さらに改良することが可能である。この装置はチャンバー20と制御可能な流体の連通状態にある第2のチャンバーを有することができ、上記の検出器はこの第2のチャンバーの中に配置できる。また、汚れ被覆型の標準器も、例えば、この第2のチャンバーの中に備えることができ、この汚された標準器における浄化の状況および汚れの範囲が、その標準器の清浄さの程度が浄化される装置の浄化の完全さの指示手段として役立つように、決定される。
【0099】
図12はイオン選択電極に基く汚れ検出器を備えている、医療用の装置または器具のための浄化処理をモニターするための、装置の別の実施形態を示している。図12は、内腔を伴う医療装置22および外科器具24等のような、医療用の装置および器具のための洗浄チャンバー20を含んでいる装置13、を示している。別の実施形態と同様に、この洗浄チャンバー20も滅菌のために使用できる。この洗浄チャンバー20は水の入口42を有しており、この水の入口42は弁43を介して水の入口導管51に連結されている。この水の入口導管51は水の入口53に連結されている。さらに、この水の入口53は水の供給源(図示せず)に連結されている。洗浄チャンバー20はまた部品44,47,54および59も有しており、これらの部品は図10および図11において見られるのと同一の配置、連結状態および排水機能を有している。この図12において示されている本発明の装置の実施形態は第1の電極72および第2の電極74を伴う単一の電極プローブ70を有している。これらの電極72および74は、それぞれ、電気ケーブル76および78に連結されている。さらに、これらの電気ケーブル76および78は電気回路31に直接に連結されている。この電気回路31は図10および図11において示されている本発明の装置において説明されているのと同一の機能を実行する。電極プローブ70は、水の入口42の真下に置かれている小形の水の液だめ81の中に、置かれている。この水の液だめ81は、洗浄チャンバー20の中に送り込まれる水の最初の少量を捉えるように設計されている。このことは、医療用の装置22および器具24に対する洗浄水の接触の前に、新しい洗浄水から電位の読取値を読み取ること、を可能にしている。液だめ81は、液だめ出入口導管83に連結されている液だめ出入口82、を有している。さらに、液だめ出入口導管83は液だめ出入口弁84および液だめ排水出入口85を含んでいる。
【0100】
図12において示されている本発明の装置を用いている医療装置のための浄化処理をモニターするための本発明の方法は以下のように動作する。まず、弁43が開かれて、新しいきれいな水または他の洗浄用またはすすぎ用の液体が入口42を通して洗浄チャンバー20の中に流入することが可能になる。これにより、水の液だめ81が充たされて、電極プローブ70によりその新しいきれいな水から電位の読取値を読み取ることが可能になる。この電位の読取値は対照の電位の読取値として電気回路31に記憶される。水は入口42を通して洗浄チャンバー20の中に流れ続けて液だめ81を充たす。次に、液だめの弁84が開かれる。その後、水は液だめ81から、液だめ導管83および液だめ排水出入口85を通して、洗浄チャンバー20の中に流れる。洗浄チャンバー20は、洗浄工程が開始できるように、洗浄水により十分に充たされる。その後、液だめ弁84が閉じられて、図10および図11において示されている本発明の装置を用いている本発明の方法において説明されているように、洗浄工程が開始される。この洗浄工程の開始に先立って、弁43および47は、液体が洗浄チャンバー20の中にまたは洗浄チャンバー20から全く流れることができないように、閉じられる。
【0101】
この時点において、電極プローブ70は、チャンバー20の中の汚れた洗浄液から、完全にまたは部分的に、分離できる。このことは多数の方法により達成できる。例えば、液だめ81は新しい洗浄液により充たされていて、電極プローブ70はその新しい洗浄液の中に浸されている一方で、浄化がチャンバー20の中で行なわれており、この電極プローブは汚れた洗浄液により生じる汚染から保護されている。また、別の実施例において、電極プローブ70は上記の液体に対して接触および分離して移動可能である。あるいは、液だめ81は浄化処理中に移動可能なキャップ91により被覆することもできる。また、チャンバー20と制御可能な流体を介する連通状態で作成されている閉鎖容器または第2のチャンバーを備えることができ、検出器をこの閉鎖容器の中に配置できる。これにより、浄化処理の間に、チャンバー20と閉鎖容器との間の流体を介する連通状態は、例えば、弁等により遮断され、洗浄液の中の汚れの濃度を測定する際に、その液体の連通状態が回復される。
【0102】
洗浄工程の終了時に、汚れた洗浄水は、出口44および排水用の出口59を通り、排水の目的のために開かれた弁47を通して、洗浄チャンバー20から流出することが可能になる。その後、弁47は閉じられて、新しいすすぎ液が、入口53および入口42を通り、流入の目的のために開かれた弁43を通して、洗浄チャンバー20の中に流入することが可能になる。この場合も、すすぎ液は液だめ81の中に流れて、この液だめ81を充たした後に、前述と同様の処理でのすすぎ工程のためにチャンバー20を充たす。次に、弁43が閉じられて、すすぎ工程が、図10および図11において示されている本発明の装置を用いている本発明の方法において既に説明されているように、すすぎ工程が行なわれる。その後、弁84が開かれて、すすぎ液が液だめ81の中に流入することが可能になる。あるいは、チャンバー20の中のすすぎ液の量が液だめ81の側面の上部よりも高くなり、すすぎ液が液だめ81を充たすことが可能になってもよい。この様式においては、電位の読取値が洗浄チャンバー20の中のすすぎ液を表わすように、正確な電位の読取値が液だめ81の中のすすぎ液により測定できる。この第2の電位の読取値は新しいきれいなすすぎ液から読み取った電位の読取値に対して比較される。この電位の読取値の比較は本明細書において前述したとおりに行なわれ、十分なすすぎおよび/または浄化が行なわれているか、さらに、追加のすすぎまたは洗浄およびすすぎの工程が必要であるか、の決定が行なわれる。
【0103】
図13はイオン選択電極に基く汚れ検出器を備えている医療用の装置または器具のための浄化処理をモニターするための装置の別の実施形態を示している。この図13は、前述のように、医療用の装置および器具を洗浄または洗浄および滅菌するための洗浄チャンバー20を同様に含んでいる装置14、を示している。図13において示されている装置14の全ての部品は、部品30,80および90の他は、図12において示されている装置13において同一に符号が付けられている部品に対して説明されているものと同じである。
【0104】
さらに、部品30,80および90は、図9において示されている部品30,80および90と同一であり、これらと同一の連結状態および機能を有している。部品30は洗浄制御システムである。また、部品80は電極検出器のための電気回路である。この電気回路80は電気的な連結部分90を介して洗浄制御システム30に連結されている。図12において示されている部品31は図9および図13において示されている部品30,80および90と同一の機能を実行する。
【0105】
また、図12において示されている、液だめ81、液だめ出入口82、液だめ出入口弁84、液だめ出入口導管83および液だめ排水出入口85も、図13において示されている装置14においては用いられていない。装置14は図12における装置13と同じ様式で本発明の方法を行なうが、液だめ81および付随の出入口の部品82〜85が電位を読み取るために少量の洗浄液またはすすぎ液を保持してその後にその液を放出するために用いられていないことが異なっている。代わりに、全ての電位の読取値はチャンバー20の中の液体から直接に読み取られる。さらに、第2のプローブ99またはさらに多くのプローブも付加的な汚れをモニターするために使用できる。
【0106】
図14は、既に説明されているような、医療用の装置24および器具22を洗浄または洗浄および滅菌するための洗浄チャンバー20を含んでいる装置15、を示している。この装置15もまたチャンバー20に連結されている閉鎖容器102を有している。この閉鎖容器102はチャンバー20と制御可能な流体を介する連通状態にある。好ましくは、チャンバー20および閉鎖容器102は弁104により分離されている。さらに、閉鎖容器102は、排水路に連結できる別の弁106、を備えている。また、薬品供給源108が弁110を介して閉鎖容器102に連結されている。この薬品供給源の中には、色等のような、検出可能な信号を発生するために、洗浄液の中の汚れに対して反応するために適している薬品が貯蔵されている。このような薬品の例は、塩化物イオン試薬(Hg(SCN)2 )、OPA、アルブミン試薬、ビウレット試薬、およびマイクロプロテイン−PRを含むが、これらに限定されない。
【0107】
使用において、弁104が開かれて、チャンバー20の中の洗浄用、浄化用、またはすすぎ用の液体が、測定を行なう際に、閉鎖容器102の中に流入することが可能になる。この閉鎖容器102の中に導入される洗浄液の量は制御可能である。その後、弁104が閉じられて、薬品が閉鎖容器102の中に導入されるように、弁110が開かれる。薬品が閉鎖容器102の中に導入されると、チャンバー20および閉鎖容器102は、薬品がチャンバー20の中に入らないように、互いに完全に分離される必要がある。測定が終了した後に、閉鎖容器102の中の液体は弁106を通して排出される。さらに、閉鎖容器102は当該閉鎖容器102を浄化するために新しい洗浄液を導入するための別のきれいな洗浄液の入口(図示せず)を有していてもよい。この閉鎖容器102に加えられる薬品の量は制御される。好ましくは、この閉鎖容器102の中の洗浄液の中における薬品の濃度は異なる測定においてほぼ同一であり、その薬品と洗浄液との間の反応により生じる信号の強度はその洗浄液の中の汚れの含有量のみを反映して、薬品の濃度自体には影響されないようになっている。
【0108】
検出器112および光源114を有する分光光度計100が薬品により生じる信号を検出するために備えられている。これらの検出器112および光源114は閉鎖容器102の内部または外部に配置できる。図14において示されているように、これらが閉鎖容器102の外部に置かれている場合に、閉鎖容器102の壁部の少なくとも一部分は光源114からの光に対して透過性である必要があり、これにより、その光は閉鎖容器の中の洗浄液の本体を通して移動して検出器112に到達できる。生じる信号が色である場合に、この信号は視覚的に観察することができ、したがって、人間の目が検出器として役立つことができる。
【0109】
図9〜図13により既に説明されているような構造は図14の装置15と共に組み合わせることができる。随意的に、チャンバー20は真空ポンプまたは真空供給源116にも連結できる。浄化が完了すると、浄化された物品22および24の乾燥を容易にするために、真空をチャンバー20に供給できる。さらに、チャンバー20が滅菌チャンバーとして使用できるように、滅菌システムも備えることができる。これにより、浄化の後に、浄化および滅菌される器具を除去することなく、同一のチャンバー20の中において滅菌処理を行なうことができる。本発明の浄化処理と共に用いられる滅菌システムには全く制約がない。したがって、あらゆる適当な滅菌システムが浄化処理との組み合わせにおいて使用できる。望まれる場合に、浄化および滅菌は、溶解しているオゾンまたは二酸化塩素を伴う溶液等のような、組み合わされた浄化および滅菌用の溶液を用いることにより、同時に行なうことができる。
【0110】
図15a〜図15dは本発明の別の実施形態による種々の装置を示している。これらの実施形態において、汚れにより被覆される標準器120が備えられている。このような汚れ被覆型の標準器の目的は、浄化処理の間に浄化される物品の清浄さの標準化された指示手段を与えることである。換言すれば、この汚された標準器120は浄化される1個以上の物品と共に浄化されて、この汚れ被覆型の標準器120の清浄さがモニターされる。特定の装置の構成における、浄化される物品の清浄さと汚れ被覆型の標準器120の清浄さとの間の相関関係が実験を通して設定できる。これにより、この標準器がある程度に浄化されると、浄化される物品の完全な浄化が達成されたことを指示する。
【0111】
汚れた標準器の使用に伴う幾つかの利点がある。例えば、汚れた標準器を使用することにより、浄化処理中に、その標準器から除去されたまたはその標準器に残っている汚れの検出をモニターするために、その標準器に集中することができ、これにより、そのモニターの処置が標準化できる。この汚れの量および標準器120の浄化効率は制御できる。また、この標準器120は、浄化される物品が曝される環境と同等に効率的であるか効率の低い浄化用の環境に曝すか、あるいはこの標準器120をこれらの物品よりも多く汚すことにより、この標準器が完全に浄化されると、浄化される物品22および24が完全に浄化されていることを保証することが可能である。また、別の選択肢は、標準器120が浄化される前に、浄化される物品22および24が完全に浄化されるように、その標準器120を物品22および24よりも少なく汚して(このことは標準器が比較的に少ない汚れにより被覆されていることを意味する)、その標準器120を相当に効率の低い浄化用の環境の中に置くことである。この選択肢は検出器が曝される汚れの量を減少させて、これにより、その汚れによる検出器の表面の汚染に付随する潜在的な問題を減少させることを可能にしている。一般に、標準器120が特定のレベルに浄化されると、物品22および24が完全に浄化されるように、条件が設定できる。このことは比較的に低い感度の検出器の使用を可能にするであろう。標準器120は、既に述べられているもの、あるいはこれらの組み合わせ等のような、任意の適当な汚れにより被覆できる。好ましくは、標準器120は、浄化される物品22および24の中に含まれている汚れと同じ汚れにより被覆されている。しかしながら、望まれる場合には、標準器120は浄化される物品22および24の汚れとは異なる汚れにより被覆できる。このことは標準器における特定の汚れと、その汚れの種類に対して特に適している好ましい種類の検出技法、の使用を可能にするであろう。さらに、多くの他の選択肢が、標準器120の浄化と物品の浄化との間の適当な相関関係が特定の装置の構成を伴う実験を通して確立される限りにおいて、利用可能である。
【0112】
図15aは閉鎖容器102の中に置かれている汚れ被覆型の標準器120および汚れ検出器122を伴う装置16を示している。この標準器120は汚れにより被覆されている任意の適当な表面とすることができる。例えば、この標準器120は、好ましくは支持体に取り外し可能に連結されているプレートまたは適当な材料片とすることができる。好ましくは、この標準器120と支持体124との間の連結はその標準器の接触領域が汚されないような様式で行なわれている。物品22および24の浄化効率に対して標準器120の浄化効率を制御するための幾つかの方法が存在している。例えば、弁104はチャンバー20と閉鎖容器102との間の流体を介する連通状態を制御するために異なるレベルに調節できる。弁104が大きいほど良好な連通状態を与え、これにより、チャンバー20および閉鎖容器102の中の浄化効率は互いに近づく。別の選択肢は閉鎖容器102、またはチャンバー20、またはこれらの両方の中に調節可能な攪拌システムを供給することである。この攪拌のレベルを調節することにより、閉鎖容器102またはチャンバー20の中の浄化効率は所定のレベルに調節できる。検出器122は適当な種類にすることができ、例えば、この検出器122は電極にすることができる。この装置16の他の部分は図14の装置と類似している。一例の実施形態において、弁104は浄化処理の間に所定のレベルに開かれて、閉鎖容器102の中の洗浄溶液の中の汚れのレベルが検出器122によりモニターされる。
【0113】
別の実施形態において、図14において示されている装置に類似している装置が用いられており、唯一の違いは汚れ被覆型の標準器120が閉鎖容器102の中に置かれていることである。この場合に、標準器120は所定の波長領域に対して透過性である材料により作られている。好ましくは、この標準器120は、薬品供給源108(図14を参照されたい)の中に収容されている薬品と反応して、特定範囲の波長における光を吸収する特定の化合物を作りだす汚れにより被覆されている平坦な表面、を有している。また、薬品供給源を伴わずに、光源114および分光光度計112だけを使用することも可能である。
【0114】
図15bは別の実施形態を示しており、標準器120は閉鎖容器の中に配置されておらず、その代わりに、この標準器120は凹みの中に配置されている。図において示されているように、標準器120は支持体122に取り外し可能に連結されている。好ましくは、この標準器120は片面または両面の上において汚れにより被覆されている表面を伴う平坦なプレートである。また、支持体122は凹み130の壁部に取り付けられている。好ましくは、凹み130の中の標準器120の位置が調節できるように、支持体122は移動可能であり、あるいは、標準器は幾つかの箇所において支持体122に連結できる。凹み130は異なる形状を有することができる。例えば、この凹み130は、図15bにおいて示されているように、チャンバー20の壁部から広がっている2個の側壁部132による傾斜した隙間にすることができる。なお、これら2個の側壁部132は互いに平行に作ることも可能である。望まれる場合に、凹み130は、一端部のみがチャンバー20に対して開口している囲まれた側壁部、を有していてもよい。限定されている空間のために、凹み130の中の浄化効率は物品22および24が置かれている領域よりも低く、この凹み130が深く、さらに狭くなるほど、その浄化効率は低くなる。したがって、標準器120の相対的な浄化効率はこの標準器120を凹み130の中の異なる位置に配置することにより調節できる。また、チャンバー20の中の攪拌のレベルは浄化効率を調節するために使用することもできる。
【0115】
光源114および検出器112は凹み130の両側に備えられている。側壁部132は光源114からの光に対して透過性の材料により作成されている。また、標準器120も光源114からの光に対して透過性の材料により作成されている。したがって、石英がこれらの側壁部132および標準器120の両方のための適当な材料である。図15cおよび図15dは凹み130の2個の別の形態を示している。図15cにおいて示されている装置において、凹み130はチャンバー20の角部に配置されている。光源114は凹み130に隣接している空間の中においてチャンバー20の外側に置かれている。図15dにおいて示されている装置において、凹み130は同様にチャンバー20の角部に配置されているが、外側に突き出している。さらに、光源114および検出器112は凹み130に隣接している空間の中においてチャンバー20の外側に置かれている。用いられる標準器120が平坦な表面を有していれば、この表面は任意の適当な配向、例えば、垂直、水平、または一定の角度を伴って、置くことができる。さらに、光源114からの光線も垂直、水平、または任意の他の角度にすることができる。
【0116】
図15a〜図15dにおいて示されている装置は、1個以上の適当な種類の他の検出器、浄化後に物品を真空乾燥するための真空ポンプまたは真空供給源、滅菌システム、をさらに含むように容易に構成できる。
【0117】
一般に、図9〜図15dにおいて示されている本発明の装置の実施形態は1個以上の追加の汚れ検出器を使用できる。蛋白質を検出するために適している汚れ検出器が特に有用な追加物である。このような実施形態において、蛋白質およびその他の有機質の種を検出するために適している紫外〜可視の分光式の検出器との組み合わせで無機質の汚れを検出するための1個以上の検出器を用いることが好ましい。後者の種類の検出器の例は、体内において見られる全ての蛋白質および多くの有機性の分子に共通している主な紫外吸収波長の一例である、220nmの検出波長を用いている分光光度計である。また、260,265、および280nmを含む、多くの他の波長も適している。別の好ましい汚れ検出器の組み合わせは蛋白質を検出するための比色測定式の自動滴定装置と共に1個以上の検出器を用いている。また、別の好ましい検出器の組み合わせはイオン選択電極検出器および濁度測定式の検出器を用いている。また、上記以外の検出器の組み合わせも使用可能である。図9〜図15dにおいて示されている全ての装置は、真空供給源を伴うチャンバーの中において真空乾燥が行なえるように、真空チャンバーとしても役立つチャンバー20を使用できる。さらに、液相または気相の滅菌処理のための種々の滅菌システムが図9〜図15dにおいて示されている本発明の装置の中に組み込むことができる。例えば、長くて狭い内腔部を有する装置を浄化および/または滅菌する必要がある時に、その内腔部の2個の開口端部が2個のサブ・チャンバーの中に別々に配置される状態で、チャンバー20をシール可能な境界部分により分離されている2個のサブ・チャンバーにさらに分割することができる。その後、その内腔部を通して浄化用または滅菌用の液体が流れるように、圧力の差をその2個のサブ・チャンバーの間に発生させることができる。これにより、その内腔部はさらに効率よく浄化および滅菌できる。
【0118】
適当な浄化はその後の消毒または滅菌の処理のために不可欠である。病院の作業者は、手動により浄化された、あるいは、機械により浄化された医療器具を消毒装置または滅菌装置の中に入れる前に、これらの全ての医療器具を視覚により検査する。したがって、一体化された洗浄装置/消毒装置または洗浄装置/滅菌装置においては、作業者は洗浄の段階と消毒または滅菌の段階との間において器具を取り出してそれらの清浄さを調べることにより、工程を中断させないことを考えるであろう。それゆえ、自動化された洗浄装置/消毒装置または洗浄装置/滅菌装置において医療器具の清浄さを決定する能力は極めて重要である。特に、これらの器具は浄化することが困難である領域を有している。
【0119】
さらに、接合部分、ヒンジ部分、および箱型の係止部分の合わされた表面部分は浄化することが最も問題になる領域であると考えられる。また、鉗子、はさみ、止血鉗子、およびクランプの合わされた表面部分の隙間は約0.05mm程度に小さいことがありえる。したがって、このような合わされた領域をシミュレーションするための適当な浄化インジケータが洗浄装置、洗浄装置/消毒装置、および洗浄装置/滅菌装置の浄化効率を決定するために必要とされる。
【0120】
図16a、図16bおよび図16cは、本発明による浄化インジケータである標準器138、を示している。この浄化インジケータは、上述の浄化用の装置および方法および多くの他の浄化用の方法およびシステムと共に使用できる。単純な形態(図16a)において、この浄化インジケータは、平行に保持されていて一対のスペーサ144により互いに別々の距離で分離されている2個の支持体140および142を備えている。これらのスペーサ144は制御された裕度の厚さを有するフィーラ(feeler)またはその他の材料により形成できる。汚れ146は支持体140と142との間に存在している。好ましくは、この汚れ146は、この汚れ146と支持体140および142との間の良好な粘着を得るために、乾燥されて配置されている。さらに、ホルダー148が支持体140および142、およびスペーサ144を一緒に保持している。
【0121】
標準器138の全体の形状は、長方形、円形、または任意の他の適当な形状にすることができる。好ましくは、標準器138は寸法が0.5インチ(1.27cm)(幅)×1.5インチ(3.81cm)(長さ)の長方形の形状を有している。支持体140および142は形状または材料において同一であってもよく、異なっていてよい。また、これら2個の支持体は異なる厚さを有することができる。さらに、特定の実際の環境の状況をまねるように標準器138bを形成するために、付加的な支持体150(図16b)を使用することも可能である。例えば、シリコーンの表面とステンレス鋼の表面との間に捕捉されている汚れを作ることが望ましいと考えられる。すなわち、シリコーンは柔軟であるので、支持体150をシリコーンにより形成して、よごれ146bをその支持体150と支持体140bとの間に捕捉させてスペーサ144bの間に置いた状態で、剛性の支持体142bにより支持することができる。この場合に、ホルダー148bはこれらの部材片の全てを一緒に保持しており、これらのホルダー148bの一方は浄化装置に対するインターフェイスとなるための位置決めピン152を有している(図16bにおいて図示せず)。
【0122】
上記の支持体140,142および150は透明、半透明、または不透明にすることができ、容易な検査のために、透明な材料が好ましい。また、この支持体は、ステンレス鋼、アルミニウム、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン、ガラス、石英、および多くの他の適当な金属およびポリマー、とすることができる。好ましくは、上記の支持体は剛性の材料である。さらに好ましくは、この支持体は透明である。汚れ146は任意の人工的な試験用の汚れまたは動物の血液とすることができる。また、この汚れは、有機質の汚れ、無機質の汚れ、および有機質の汚れと無機質の汚れの組み合わせ、の任意のものとすることができる。好ましくは、この汚れは支持体の間に乾燥されて配置されていて、スペーサ144の間に置かれている。
【0123】
スペーサ144は支持体140と142との間に所定の隙間を形成している。これらのスペーサは定められた厚さを伴う任意の剛性材料とすることができる。また、これらは支持体140および142と同一の材料により形成することができ、これらの支持体140および142の一体の部分として形成できる。好ましくは、これらのスペーサ144は約0.05mmの厚さを有している。
【0124】
ホルダー148は、クランプ、クリップ、テープ、ねじ、ゴム・バンド、スナップ−オン・キャップ、または上記の部材片の全てを一緒に保持するための他の保持方法、とすることができる。また、2個の分離しているホルダー148ではなく、単一のホルダーの設計も使用可能である。これらのホルダー148は取り外し可能であってもよく、永久的にすることもできる。また、これらのホルダー148は粘着剤または接着剤とすることも可能である。さらに、このホルダー148は、支持体を、一緒に溶接、結合、溶融、スナップ嵌めすることによる機構とするか、支持体140および142を一緒に保持するための任意の他の手段とすることができる。
【0125】
図16cは浄化インジケータ138cを示しており、支持体140cおよびスペーサ144cは一つの部品として形成されており、この部品の2個が一緒に嵌合してインジケータ138cを形成している。突出部分156はスペーサ144cから突出しており、別の同一の支持体140cの開口部154の中にスナップ嵌めされる。さらに、位置決めピン152cが備えられている。
【0126】
浄化工程の間に、浄化インジケータ138は金網製のかごの中に置くことができる。また、このインジケータ138は浄化装置の中に固定するか吊り下げることも可能である。
【0127】
浄化効率は視覚によるか器具により決定できる。好ましくは、一体化された洗浄装置/消毒装置または洗浄装置/滅菌装置においては、浄化効率は分光光度計により決定される。
【0128】
上記の例は例示としてのみ記載されており、本発明の限定として意図されておらず、これらの例の多くの変形が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく可能である。
【0129】
〔実施の態様〕
(1)医療器具のための浄化処理をモニターするための装置において、
浄化用の液体により、前記器具を受容して、浄化するための浄化チャンバーと、
前記浄化チャンバーの中に置かれる取り外し可能な汚れ標準器であって、
2個の実質的に等しい厚さのスペーサにより分離されている2個の実質的に平行な支持体であって、隙間がこれら2個の支持体の間に形成されている、支持体と、
前記隙間の中の汚れと、
前記2個の支持体および前記2個のスペーサを一緒に固定するための少なくとも1個のホルダーと、
を有している、汚れ標準器と、
前記浄化チャンバーに連結されていて、前記汚れ標準器における汚れの量の指示を行なうよう構成された汚れ検出器と、
を備えている、装置。
(2)実施態様1に記載の装置において、
前記汚れ標準器を受容するために、前記チャンバーの中において受容用のウェルをさらに備えている、装置。
(3)実施態様1に記載の装置において、
前記汚れ検出器は汚れ標準器の全体に光を照射する光源と、前記汚れ標準器の全体を照射する光の量を読み取る受光器と、を備えている、装置。
(4)実施態様3に記載の装置において、
前記光源は既知の波長を有する光を伝達し、前記汚れ標準器の支持体および受容用のウェルはその波長における光に対して実質的に透過性である、装置。
(5)実施態様1に記載の装置において、
前記ホルダーは前記支持体において形成されているインターロック式の部分を含んでいる、装置。
【0130】
(6)実施態様5に記載の装置において、
前記インターロック式の部分は、前記支持体の一方における突出部分と、この突出部分を受容するための前記支持体の他方における開口部と、を含んでいる、装置。
(7)実施態様1に記載の装置において、
前記スペーサは前記支持体と一体である、装置。
(8)実施態様1に記載の装置において、
前記汚れは、有機質の汚れ、無機質の汚れ、およびこれらの混合物、から成る群から選択される、装置。
(9)実施態様1に記載の装置において、
前記汚れは前記支持体の間の場所の中において乾燥されている、装置。
(10)実施態様1に記載の装置において、
前記隙間は前記支持体の間において、0.05mmである、装置。
【0131】
(11)医療器具のための浄化処理をモニターするための方法において、
浄化チャンバーの中に前記器具を配置する工程と、
浄化チャンバーの中に汚れ標準器を配置する工程であって、
この汚れ標準器が、
2個の実質的に等しい厚さのスペーサにより分離されている2個の実質的に平行な支持体であって、隙間がこれら2個の支持体の間に形成されている、支持体と、
前記隙間の中の汚れと、
前記2個の支持体および前記2個のスペーサを一緒に固定するための少なくとも1個のホルダーと、
を有している、
工程と、
前記器具および前記標準器を浄化用の溶液により浄化する工程と、
前記汚れ標準器において残留する前記汚れを検出する工程と、
を含む、方法。
(12)実施態様11に記載の方法において、
前記浄化工程および前記検出工程は、前記汚れ標準器が浄化されるまで、繰り返される、方法。
(13)実施態様11に記載の方法において、
前記器具および前記汚れ標準器をすすぎ用の溶液によりすすぐ工程をさらに含む、方法。
(14)実施態様13に記載の方法において、
前記浄化工程、前記検出工程、および前記すすぎ工程は、前記汚れ標準器が浄化されるまで、繰り返される、方法。
(15)実施態様11に記載の方法において、
前記汚れを検出する工程は、前記汚れ標準器の全体に光源から既知の波長および強度を有する光を伝達する工程、を含む、方法。
【0132】
(16)実施態様15に記載の方法において、
前記汚れを検出する工程は検出器により前記光の強度を検出する工程を含む、方法。
(17)実施態様16に記載の方法において、
前記浄化チャンバーの中に前記汚れ標準器を配置する工程は前記光源と前記検出器との間に前記汚れ標準器を置く処理を含む、方法。
(18)実施態様17に記載の方法において、
前記検出器により受け取られる前記光の強度を検査することにより、浄化効率を決定する工程をさらに含む、方法。
(19)実施態様18に記載の方法において、
前記検出器により受け取られる前記光の強度を所定の値に対して比較する工程をさらに含む、方法。
(20)実施態様19に記載の方法において、
前記器具は、前記検出器により受け取られる前記光の強度が前記所定の値と同じかこれよりも高い時に、浄化されている、方法。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】室温での脱イオン水中における塩化ナトリウムを付着させたステンレス鋼ブレードからの塩化ナトリウムの放出速度のグラフである。
【図2】室温での脱イオン水中におけるアルブミン溶液を付着させたステンレス鋼ブレードからのアルブミンおよび塩化ナトリウムの放出速度のグラフである。
【図3】室温での脱イオン水中におけるRPMI組織培養培地と10%ウシ胎児血清(FBS)とにより汚染されたステンレス鋼ブレードからの塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度のグラフである。
【図4】室温での脱イオン水中におけるウシ胎児血清を付着させたステンレス鋼ブレードからの塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度のグラフである。
【図5】23ECおよび200RPMの攪拌速度での1%ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecysulfate)中におけるウシ全血を付着させたステンレス鋼ブレードからの塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度のグラフである。
【図6】23ECおよび200RPMの攪拌速度での1%ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecysulfate)中におけるウシ全血を付着させたポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)片からの塩化ナトリウムおよび蛋白質の放出速度のグラフである。
【図7】21EC,45ECおよび異なる攪拌速度での1%ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecysulfate)中におけるウシ全血により汚染されたステンレス鋼ブレードからの蛋白質の放出速度のグラフである。
【図8】異なる温度での脱イオン水中におけるウシ全血を付着させたポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)片からの蛋白質の放出速度のグラフである。
【図9】本発明の方法が実施可能である本発明の装置の一例の実施形態の概略図である。
【図10】本発明の方法が実施可能である本発明の装置の第2の実施形態の概略図である。
【図11】本発明の方法が実施可能である本発明の装置の第3の実施形態の概略図である。
【図12】本発明の方法が実施可能である本発明の装置の第4の実施形態の概略図である。
【図13】本発明の方法が実施可能である本発明の装置の第5の実施形態の概略図である。
【図14】本発明の別の実施形態による装置の概略図であり、この装置は、汚れの検出を容易にするために、薬品の供給源を有している。
【図15a】本発明の別の実施形態による装置の概略図であり、この装置は汚れにより被覆される標準器を有している。
【図15b】本発明の別の実施形態による装置の概略図であり、この装置は汚れにより被覆される標準器を有している。
【図15c】本発明の別の実施形態による装置の概略図であり、この装置は汚れにより被覆される標準器を有している。
【図15d】本発明の別の実施形態による装置の概略図であり、この装置は汚れにより被覆される標準器を有している。
【図16a】本発明による浄化インジケータのさらに別の実施形態の概略図であり、このインジケータは嵌め合わせ型の外科器具をシミュレーションするための制御された隙間を有している。
【図16b】本発明による浄化インジケータのさらに別の実施形態の概略図であり、このインジケータは嵌め合わせ型の外科器具をシミュレーションするための制御された隙間を有している。
【図16c】本発明による浄化インジケータのさらに別の実施形態の概略図であり、このインジケータは嵌め合わせ型の外科器具をシミュレーションするための制御された隙間を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具のための浄化処理をモニターするための装置において、
浄化用の液体により、前記器具を受容して、浄化するための浄化チャンバーと、
前記浄化チャンバーの中に置かれる取り外し可能な汚れ標準器であって、
2個の実質的に等しい厚さのスペーサにより分離されている2個の実質的に平行な支持体であって、隙間がこれら2個の支持体の間に形成されている、支持体と、
前記隙間の中の汚れと、
前記2個の支持体および前記2個のスペーサを一緒に固定するための少なくとも1個のホルダーと、
を有している、汚れ標準器と、
前記浄化チャンバーに連結されていて、前記汚れ標準器における汚れの量の指示を行なうよう構成された汚れ検出器と、
を備えている、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記汚れ標準器を受容するために、前記チャンバーの中において受容用のウェルをさらに備えている、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記汚れ検出器は汚れ標準器の全体に光を照射する光源と、前記汚れ標準器の全体を照射する光の量を読み取る受光器と、を備えている、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記光源は既知の波長を有する光を伝達し、前記汚れ標準器の支持体および受容用のウェルはその波長における光に対して実質的に透過性である、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記ホルダーは前記支持体において形成されているインターロック式の部分を含んでいる、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記インターロック式の部分は、前記支持体の一方における突出部分と、この突出部分を受容するための前記支持体の他方における開口部と、を含んでいる、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記スペーサは前記支持体と一体である、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記汚れは、有機質の汚れ、無機質の汚れ、およびこれらの混合物、から成る群から選択される、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
前記汚れは前記支持体の間の場所の中において乾燥されている、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、
前記隙間は前記支持体の間において、0.05mmである、装置。
【請求項11】
医療器具のための浄化処理をモニターするための方法において、
浄化チャンバーの中に前記器具を配置する工程と、
浄化チャンバーの中に汚れ標準器を配置する工程であって、
この汚れ標準器が、
2個の実質的に等しい厚さのスペーサにより分離されている2個の実質的に平行な支持体であって、隙間がこれら2個の支持体の間に形成されている、支持体と、
前記隙間の中の汚れと、
前記2個の支持体および前記2個のスペーサを一緒に固定するための少なくとも1個のホルダーと、
を有している、
工程と、
前記器具および前記汚れ標準器を浄化用の溶液により浄化する工程と、
前記汚れ標準器において残留する前記汚れを検出する工程と、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記浄化工程および前記検出工程は、前記汚れ標準器が浄化されるまで、繰り返される、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、
前記器具および前記汚れ標準器をすすぎ用の溶液によりすすぐ工程をさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記浄化工程、前記検出工程、および前記すすぎ工程は、前記汚れ標準器が浄化されるまで、繰り返される、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法において、
前記汚れを検出する工程は、前記汚れ標準器の全体に光源から既知の波長および強度を有する光を伝達する工程、を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記汚れを検出する工程は検出器により前記光の強度を検出する工程を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記浄化チャンバーの中に前記汚れ標準器を配置する工程は前記光源と前記検出器との間に前記汚れ標準器を置く処理を含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記検出器により受け取られる前記光の強度を検査することにより、浄化効率を決定する工程をさらに含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記検出器により受け取られる前記光の強度を所定の値に対して比較する工程をさらに含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記器具は、前記検出器により受け取られる前記光の強度が前記所定の値と同じかこれよりも高い時に、浄化されている、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【図15d】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【公開番号】特開2006−280945(P2006−280945A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−94410(P2006−94410)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】