説明

浄化処理槽、浄化処理システムおよび浄化処理方法

【課題】製造コストやランニングコストの低減を図りつつ、処理対象液の浄化処理能力を十分に向上させ得る浄化処理槽を提供する。
【解決手段】筒状に形成されると共に少なくともその表面部位に光触媒が配設された光触媒体33と、光触媒体33を収容する処理槽本体30とを備えて、処理対象液が光触媒体33の内周面を伝って流下するように光触媒体33が処理槽本体30内に収容された浄化処理槽3であって、処理対象液が内周面を伝って螺旋状に流下するように処理対象液を案内する案内機構を備えている。具体的には、上記の案内機構は、一例として、光触媒体33の筒長方向と交差する向きで光触媒体33の内周面に向かって処理対象液を噴出するノズル35を備えて、ノズル35から噴出した処理対象液を光触媒体33の内周面を伝って螺旋状に流下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽本体内に収容された光触媒体によって処理対象液を浄化可能に構成された浄化処理槽、そのような浄化処理槽を備えて構成された浄化処理システム、および処理槽本体内に収容された光触媒体によって処理対象液を浄化する浄化処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2002−186966号公報には、廃水に含まれる有害有機物質を光触媒によって酸化分解することで廃水を浄化可能に構成された「光触媒を用いた濡れ壁式水処理装置(以下、単に「水処理装置」ともいう)」が開示されている。この水処理装置は、光触媒体、および光触媒体に紫外線を照射するための光源が反応器内に収容されて構成されている。
【0003】
具体的には、この水処理装置は、光源から光触媒体に紫外線を照射しつつ、反応器の中程(光触媒体の下端部よりも下方であって、反応器の下方部位に規定された液溜めの上方部位)に設けられた廃水供給口から反応器内に廃水を供給し、この廃水を循環ポンプで汲み上げて、反応器の上方に設置されたスプレーノズルから光触媒体の表面に噴射することにより、光触媒体の表面に廃水の薄膜(濡れ壁)を形成させた状態で垂直方向に流下させる構成が採用されている。また、この水処理装置では、光触媒体の表面を流下した廃水が液溜めに貯留され、この廃水が循環ポンプによってスプレーノズルに供給されて、光触媒体の表面を再び流下させられる構成が採用されている。
【0004】
この場合、この水処理装置では、光触媒体の表面に、凹凸状、階段状およびスパイラル状などの各種形状の起伏を設けることにより、廃水が光触媒体の表面に接した状態で移動する移動距離(光触媒体に対する廃水の接触長さ)を増加させる構成が採用されている。また、この水処理装置では、光触媒体を流下させられる廃水と、光源が収容されている反応器内管との間に隙間を生じさせることにより、反応器内管の表面に、光触媒体に対する紫外線の照射を妨げる汚れが生じるのを回避する構成が採用されている。これにより、この水処理装置では、光源から光触媒体に十分な量の紫外線を照射可能な状態が長期間に亘って維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−186966号公報(第3−4頁、第1−4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の水処理装置には、以下の問題点が存在する。すなわち、従来の水処理装置では、廃水が光触媒体に接触した状態で移動する移動距離を増加させるために、光触媒体の表面に起伏を設けている。この場合、従来の水処理装置の構成において、廃水の移動距離をさらに増加させようとしたときには、光触媒体の表面の起伏量をさらに大きくするか、または、光触媒体を垂直方向に対してさらに長くする必要が生じる。しかしながら、起伏量を過剰に大きくした場合には、起伏部の上側基部から起伏部の先端まで垂直方向に流下した廃水が、起伏部の下側基部まで流下することなく、先端部から下方に直接的に滴り落ちてしまう。このため、起伏量を過剰に大きくした場合には、光触媒体の表面に接した状態で廃水を流下させること自体が困難となる。また、光触媒体を長くした場合には、水処理装置が大型化することとなる。
【0007】
したがって、従来の水処理装置では、廃水が光触媒体に接触した状態で移動する移動距離を十分に長くするのが困難となっており、結果として、光触媒体を流下した廃水(液溜めに貯留された廃水)を循環ポンプによってスプレーノズルに供給して光触媒体の表面を再び流下させる(廃水を循環させる)処理が必要となっている。このため、従来の水処理装置には、廃水を循環させるための循環ポンプや接続配管の分だけ、その製造コストが高騰しているという問題点がある。
【0008】
一方、特開平11−138156号公報には、半導体用純水製造システム等で使用される試料水を浄化する紫外線酸化装置が開示されている。この紫外線酸化装置は、細長い透明な螺旋状石英管で構成された液体通路手段が紫外線照射ランプの周囲に配設されると共に、表面に酸化チタンを被覆した複数の中空ガラスビーズが螺旋状石英管(液体通路手段)内に収容されて構成されている。この紫外線酸化装置のような構成を採用することにより、処理対象液(廃水:試料水)が光触媒(酸化チタン)の表面に接した状態で移動する移動距離を十分に長くすることが可能となる。
【0009】
しかしながら、この従来の紫外線酸化装置には、螺旋状石英管が非常に高価であることに起因して、その製造コストの低減が困難であるという問題点が存在する。また、従来の紫外線酸化装置では、螺旋状石英管内に封入した中空ガラスビーズ(光触媒体)に汚れが生じたときに、螺旋状石英管から中空ガラスビーズを取り出す作業、中空ガラスビーズを洗浄する作業、および洗浄を完了した中空ガラスビーズを螺旋状石英管内に再び封入する作業等が非常に煩雑となっている。このため、従来の紫外線酸化装置には、メンテナンスに要するランニングコストの低減が困難となっているという問題点もある。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストやランニングコストの低減を図りつつ、処理対象液の浄化処理能力を十分に向上させ得る浄化処理槽、浄化処理システム、および浄化処理方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の浄化処理槽は、筒状、柱状および錐形状のいずれかの形状に形成されると共に少なくともその表面部位に光触媒が配設された光触媒体と、当該光触媒体を収容する処理槽本体とを備えて、処理対象液が前記光触媒体の内周面および外周面の少なくとも一方の面を伝って流下するように当該光触媒体が前記処理槽本体内に収容された浄化処理槽であって、前記処理対象液が前記少なくとも一方の面を伝って螺旋状に流下するように当該処理対象液を案内する案内機構を備えている。
【0012】
また、請求項2記載の浄化処理槽は、請求項1記載の浄化処理槽において、前記光触媒体は、筒状に形成され、前記案内機構は、前記光触媒体の筒長方向と交差する向きで当該光触媒体の前記内周面に向かって前記処理対象液を噴出する噴出機構を備えて、当該噴出機構から噴出した前記処理対象液を前記光触媒体の前記内周面を伝って螺旋状に流下させる。
【0013】
また、請求項3記載の浄化処理槽は、請求項1記載の浄化処理槽において、前記案内機構は、前記光触媒体における前記少なくとも一方の面に設けられて前記処理対象液が流動する螺旋状の流路を形成する案内用突出部を備えて構成されている。
【0014】
さらに、請求項4記載の浄化処理槽は、請求項1から3のいずれかに記載の浄化処理槽において、前記光触媒体に紫外線を照射する光源ランプを備え、筒状に形成された前記光触媒体の内側に前記光源ランプが配設されると共に前記処理対象液が当該光触媒体の前記内周面を伝って流下するように構成されている。
【0015】
また、請求項5記載の浄化処理槽は、板状に形成されて少なくともその表面部位に光触媒が配設された光触媒体と、当該光触媒体を収容する処理槽本体とを備えて、処理対象液が前記光触媒体の板面を伝って流下するように当該光触媒体が前記処理槽本体内に収容された浄化処理槽であって、前記光触媒体の前記板面に設けられて前記処理対象液が当該光触媒体の幅方向で葛折り状に流動する流路を形成する案内用突出部を備えている。
【0016】
さらに、請求項6記載の浄化処理槽は、請求項5記載の浄化処理槽において、前記光触媒体に紫外線を照射する光源ランプを備え、当該光源ランプが前記光触媒体の前記板面に対向させられて当該光触媒体と共に前記処理槽本体内に収容されている。
【0017】
また、請求項7記載の浄化処理システムは、請求項1から6のいずれかに記載の浄化処理槽を備えて前記処理対象液を浄化可能に構成されている。
【0018】
また、請求項8記載の浄化処理システムは、請求項7記載の浄化処理システムにおいて、前記浄化処理槽の上流側に配設された気液分離槽を備え、当該気液分離槽において気体が分離された前記処理対象液を前記浄化処理槽によって浄化する。
【0019】
また、請求項9記載の浄化処理方法は、筒状、柱状および錐形状のいずれかの形状に形成されると共に少なくともその表面部位に光触媒が配設された光触媒体の内周面および外周面の少なくとも一方の面を伝って処理対象液が流下するように当該光触媒体が処理槽本体内に収容された浄化処理槽を用いて当該処理対象液を浄化する浄化処理方法であって、前記処理対象液が前記少なくとも一方の面を伝って螺旋状に流下するように当該処理対象液を案内する。
【0020】
また、請求項10記載の浄化処理方法は、板状に形成されて少なくともその表面部位に光触媒が配設された光触媒体の板面を伝って処理対象液が流下するように当該光触媒体が処理槽本体内に収容された浄化処理槽を用いて当該処理対象液を浄化する浄化処理方法であって、前記処理対象液が前記光触媒体の幅方向で葛折り状に流下するように当該処理対象液を案内する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の浄化処理槽では、光触媒体の内周面および外周面の少なくとも一方の面を伝って処理対象液が螺旋状に流下するように処理対象液を案内する案内機構を備えている。また、請求項7記載の浄化処理システムでは、上記の浄化処理槽を備えて処理対象液を浄化可能に構成されている。さらに、請求項9記載の浄化処理方法では、光触媒体の内周面および外周面の少なくとも一方の面を伝って処理対象液を螺旋状に流下させるように案内する。
【0022】
したがって、請求項1記載の浄化処理槽、および請求項7記載の浄化処理システム、並びに請求項9記載の浄化処理方法によれば、浄化処理槽の大型化を招くことなく、処理槽本体内に導入された処理対象液が光触媒体の表面に接した状態で移動する移動距離を十分に長くすることができるため、処理対象液が光触媒体を伝って流下する間に、光触媒反応によって十分に浄化することができる。このため、従来の水処理装置のような循環ポンプや循環用の接続配管が不要となる結果、その製造コストを十分に低減しつつ、処理対象液を好適に浄化することができる。また、従来の紫外線酸化装置のように高価な螺旋状石英管を使用しないため、その分だけ、製造コストの低減を図ることができると共に、螺旋状石英管内に中空ガラスビーズ(光触媒体)が封入されている構成と比較して、容易に洗浄することができるため、そのランニングコストも十分に低減することができる。
【0023】
また、請求項2記載の浄化処理槽によれば、光触媒体の筒長方向と交差する向きで光触媒体の内周面に向かって処理対象液を噴出する噴出機構を備えて案内機構を構成して、噴出機構から噴出した処理対象液を光触媒体の内周面を伝って螺旋状に流下させることにより、比較的簡易な構成であるにも拘わらず、処理対象液が光触媒体の表面に接した状態で移動する移動距離を確実かつ容易に長くすることができる。また、その構成が簡易であることで、汚れが付着したときに容易に洗浄することができるため、そのランニングコストを一層低減することができる。
【0024】
また、請求項3記載の浄化処理槽によれば、光触媒体における少なくとも一方の面に設けられて処理対象液が流動する螺旋状の流路を形成する案内用突出部を備えて案内機構を構成したことにより、浄化処理槽の大型化を招くことなく、処理槽本体内に導入された処理対象液が光触媒体の表面に接した状態で移動する移動距離を十分に長くすることができるため、処理対象液が光触媒体を伝って流下する間に、光触媒反応によって十分に浄化することができる。このため、従来の水処理装置のような循環ポンプや循環用の接続配管が不要となる結果、その製造コストを十分に低減しつつ、処理対象液を好適に浄化することができる。また、従来の紫外線酸化装置のように高価な螺旋状石英管を使用しないため、その分だけ、製造コストの低減を図ることができると共に、螺旋状石英管内に中空ガラスビーズ(光触媒体)が封入されている構成と比較して、容易に洗浄することができるため、そのランニングコストも十分に低減することができる。
【0025】
さらに、請求項4記載の浄化処理槽によれば、光源ランプを光触媒体の内側に配設すると共に処理対象液が光触媒体の内周面を伝って流下させることにより、光源ランプからの紫外線を光触媒体に対して効率良く、かつ満遍なく照射することができるため、光触媒体の内周面の各部に光触媒反応を好適に生じさせることができる。
【0026】
請求項5記載の浄化処理槽では、光触媒体の板面に設けられて処理対象液が光触媒体の幅方向で葛折り状に流動する流路を形成する案内用突出部を備えている。また、請求項7記載の浄化処理システムでは、上記の浄化処理槽を備えて処理対象液を浄化可能に構成されている。さらに、請求項10記載の浄化処理方法では、処理対象液が光触媒体の幅方向で板面を伝って葛折り状に流下するように処理対象液を案内する。
【0027】
したがって、請求項5記載の浄化処理槽、および請求項7記載の浄化処理システム、並びに請求項10記載の浄化処理方法によれば、浄化処理槽の大型化を招くことなく、処理槽本体内に導入された処理対象液が光触媒体の表面に接した状態で移動する移動距離を十分に長くすることができるため、処理対象液が光触媒体を伝って流下する間に、光触媒反応によって十分に浄化することができる。このため、従来の水処理装置のような循環ポンプや循環用の接続配管が不要となる結果、その製造コストを十分に低減しつつ、処理対象液を好適に浄化することができる。また、従来の紫外線酸化装置のように高価な螺旋状石英管を使用しないため、その分だけ、製造コストの低減を図ることができると共に、螺旋状石英管内に中空ガラスビーズ(光触媒体)が封入されている構成と比較して、容易に洗浄することができるため、そのランニングコストも十分に低減することができる。
【0028】
さらに、請求項6記載の浄化処理槽によれば、光源ランプを光触媒体の板面に対向させて光触媒体と共に処理槽本体内に収容したことにより、光源ランプからの紫外線を光触媒体に対して満遍なく照射することができるため、光触媒体の板面の各部に光触媒反応を好適に生じさせることができる。
【0029】
また、請求項8記載の浄化処理システムによれば、浄化処理槽の上流側に配設された気液分離槽を備えて、気液分離槽において気体が分離された処理対象液を浄化処理槽によって浄化することにより、浄化処理槽内に導入される以前に大きな油滴を浮上分離させることができるため、光触媒体に大きな油滴が付着して光触媒体に対する紫外線の照射が妨げられたり、光触媒体における光触媒反応が低下したりする事態を招くことなく、処理対象液の浄化処理能力を長期間に亘って好適な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係る浄化処理システム1の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る浄化処理システム1における浄化処理槽3の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る浄化処理システム1(浄化処理槽3)における光触媒体33の外観斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る浄化処理システム1(浄化処理槽3)における光触媒体33に対するドレン水Wの噴出方向について説明するための平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る浄化処理システム1,1Aにおける流量調整機構4の構成を示す構成図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る浄化処理システム1Aの構成を示す構成図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る浄化処理システム1Aにおける浄化処理槽3Aの構成を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係る浄化処理システム1A(浄化処理槽3A)における光触媒体33および案内板36の外観斜視図である。
【図9】本発明のさらに他の実施の形態に係る浄化処理システム(浄化処理槽)における光触媒体33aおよび案内板36aの外観斜視図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態に係る浄化処理システム(浄化処理槽)における光触媒体33bおよび案内板36bの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る浄化処理槽、浄化処理システム、および浄化処理方法の実施の形態について説明する。
【0032】
図1に示す浄化処理システム1は、一例として、エアーコンプレッサや圧縮空気除湿装置などの「ドレン水発生源」から排水されたドレン水W(油分等を含んで汚れたドレン水W:「処理対象液」の一例)を対象とする浄化処理を実行可能に構成されたシステムであって、気液分離槽2、浄化処理槽3および流量調整機構4を備えて構成されている。この場合、本例の浄化処理システム1では、図示しない接続用配管を介して気液分離槽2がドレン水発生源に接続されている。また、この浄化処理システム1では、送水用配管11および流量調整機構4を介して気液分離槽2と浄化処理槽3とが相互に接続されると共に、排水用配管12を介して浄化処理槽3が図示しない排水溝(または、処理済みのドレン水Wを貯留するタンク等)に接続されている。
【0033】
気液分離槽2は、ドレン水W(液体)と圧縮空気(気体)とが混ざり合った状態でドレン水発生源から排出される混合流体を液体と気体とに分離させ、かつ、分離させた液体に含まれている油滴を浮上させて分離させるための分離槽であって、容器体21および蓋体22で構成された処理槽本体20を備えている。この場合、容器体21には、分離させたドレン水Wを排水するための排水口21aが設けられ、蓋体22には、上記の混合流体を導入するための導入口22aが設けられている。また、この気液分離槽2は、容器体21と蓋体22との隙間を通じて内部空間が気液分離槽2の外部(大気)と連通した状態となっている。なお、浄化処理システム1の構成についての理解を容易とするために、容器体21および蓋体22だけの簡易な構成の処理槽本体20で「気液分離槽」を構成した例について説明するが、上記の気液分離槽2の構成に代えて、「混合流体」を「液体」と「気体」とに分離させ得る各種構成の「気液分離槽」を採用することができる。
【0034】
浄化処理槽3は、図2に示すように、光触媒体33および光源ランプ34が処理槽本体30内に収容されて構成されている。また、処理槽本体30は、浄化処理したドレン水Wを排水するための排水口31aが設けられた容器体31と、処理対象のドレン水Wを導入するための導入口32aが設けられた蓋体32とを備えて構成されている。光触媒体33は、一例として、セラミックス等で形成した骨材の表面にTiO(「光触媒」の一例)がコーティングされて(「少なくともその表面部位に光触媒が配設されて」との構成の一例)、全体として円筒状に形成されている。なお、骨材については、セラミックス以外の任意の材料(金属やガラス等)で形成することができ、骨材にコーティングする「光触媒」についても、必要に応じて、TiOに任意の添加物(Agなど)を添加したものを使用することができる。
【0035】
この場合、本例の浄化処理槽3では、光触媒体33の内周面が垂直となるように処理槽本体30内に光触媒体33が設置されると共に、処理槽本体30における蓋体32の導入口32aにノズル(旋回流発生用ノズル)35が設けられて、後述するようにして、このノズル35から噴出したドレン水Wが光触媒体33の内周面を伝って螺旋状に流下するように構成されている(「光触媒体の内周面および外周面の少なくとも一方の面」が「内周面」の構成の一例)。具体的には、ノズル35は、「案内機構」としての「噴出機構」に相当し、図3に示すように、光触媒体33の内周面に向かって、光触媒体33の筒長方向と交差する向き(この例では、矢印Aの向き)でドレン水Wを噴出することで噴出したドレン水Wを光触媒体33の内周面を伝って螺旋状に流下させるように構成されている。
【0036】
より具体的には、この浄化処理槽3では、ノズル35から噴出したドレン水Wが光触媒体33の内周面に当接する当接部位(図4に示す位置P)およびノズル35を結ぶ線分(ノズル35からのドレン水Wの噴出方向と一致する線分:この例では、図4に示す一点鎖線La)と、平面視において光触媒体33の内周面と一致する円における上記の当接部位の接線(この例では、図4に示す二点鎖線Lb)との平面視における交差角度(この例では、図4に示す角度θa)が0度に近い鋭角(言い替えれば、図4に示す角度θbが180度に近い鈍角)となるようにノズル35からドレン水を噴出する構成が採用されている。
【0037】
光源ランプ34は、図2に示すように、光触媒体33の内側に配設されて、光触媒体33に対して紫外線を照射する。この場合、本例の光源ランプ34は、一例として、直管型の蛍光管を光源として備えて全体として棒状に形成されている。この光源ランプ34は、一例として、光触媒体33の筒径方向における中心部に位置するように、蓋体32の下面に下向きに取り付けられている。
【0038】
流量調整機構4は、気液分離槽2から浄化処理槽3に一定量のドレン水Wを所定の圧力で供給する(すなわち、浄化処理槽3に対するドレン水Wの供給量を調整する)機構であって、図5に示すように、容器体41、三方弁42、コントローラ43および逆止弁44を備えて構成されている。容器体41は、前述した送水用配管11に接続されると共に、気液分離槽2の高さ方向における中程に位置するように設置されている。三方弁42は、一例として、aポートが容器体41の内部空間に接続され、bポートが大気開放され、cポートが図示しないエアー供給源に接続されている。また、三方弁42は、一例として、コントローラ43による制御が行われていない常態においてaポートに対してbポートが連通させられ、かつ、コントローラ43による制御時には、その制御に従い、aポートに対してcポートを連通させる。
【0039】
コントローラ43は、容器体41内のフロート41aの浮上量に応じて三方弁42を制御する。逆止弁44は、送水用配管11における容器体41と気液分離槽2との間に接続されて容器体41から気液分離槽2へのドレン水W等の逆流を規制する。なお、三方弁42をコントローラ43によって制御する構成に代えて、容器体41の内部空間と図示しない大気開放口とを連通/閉塞させる二方弁、および容器体41の内部空間と図示しないエアー供給源とを連通/閉塞させる二方弁を設けて、両二方弁をコントローラ43によって制御することで、容器体41の内部空間を大気開放口およびエアー供給源のいずれかに選択的に連通させる構成を採用することもできる。
【0040】
この浄化処理システム1によってドレン水Wを浄化処理する際には、まず、図示しない接続用配管を介してドレン水発生源と気液分離槽2とを相互に接続すると共に、排水用配管12の下流側端部を排水溝に敷設する。なお、気液分離槽2および浄化処理槽3の設置や、送水用配管11を介しての気液分離槽2および浄化処理槽3の接続に関しては、既に完了しているものとして説明を省略する。
【0041】
次いで、図示しない電源スイッチを操作して浄化処理槽3内の光源ランプ34を点灯させて光触媒体33に対する紫外線の照射を開始させる。この際に、この浄化処理槽3では、前述したように、光源ランプ34が光触媒体33の筒径方向の中心部に位置するように設置されている。したがって、光源ランプ34から出射された紫外線が光触媒体33における内周面の各部に対して均一に照射される。また、容器体41内にドレン水Wが流入していないこの時点においては、コントローラ43による三方弁42に対する制御が行われていないため、前述したように、三方弁42のaポートに対してbポートが連通させられた状態となっている。したがって、送水用配管11内および容器体41内が三方弁42のbポートを介して大気開放された状態となっている。
【0042】
続いて、ドレン水発生源と気液分離槽2とを接続している接続用配管に設けられたバルブ(図示せず)を開放操作する。この際には、ドレン水Wおよび圧縮空気の混合流体が導入口22aから処理槽本体20内に導入され、この混合流体が、処理槽本体20内においてドレン水Wと圧縮空気とに分離される。また、分離された圧縮空気は、容器体21と蓋体22との隙間から大気中に開放され、分離されたドレン水Wは、処理槽本体20内に順次貯留される。さらに、貯留されたドレン水Wに含まれている油滴(比較的大きな油の塊)は、処理槽本体20内において浮上させられてドレン水Wから分離される。
【0043】
また、気液分離槽2内に貯留されたドレン水Wの水位が上昇したときには、この水位の上昇に伴って排水口21aから送水用配管11内に進入しているドレン水Wが逆止弁44を通過して容器体41内に流入する。この際には、容器体41内のドレン水Wの水位の上昇に伴い、容器体41内においてフロート41aが浮上する。また、コントローラ43は、フロート41aの浮上によって容器体41内のドレン水Wの水位が、予め規定された水位に達したと判別した際には、三方弁42を制御してaポートに対してcポートを連通させる。
【0044】
この際には、エアー供給源からのエアー(圧縮空気)が三方弁42を介して容器体41内に供給される結果、容器体41内に貯留されているドレン水Wが、所定の圧力で浄化処理槽3に向かって圧送される。また、このドレン水Wの圧送に伴って、容器体41内のドレン水Wの水位が低下したときに、コントローラ43は、三方弁42に対する制御を停止する。この際には、三方弁42のaポートに対してbポートが連通した状態となり、容器体41内へのエアーの供給が停止して容器体41内が大気圧となる結果、浄化処理槽3へのドレン水Wの圧送が停止する。これにより、送水用配管11を介して浄化処理槽3に一定量のドレン水Wが供給され、このドレン水Wが導入口32aから処理槽本体30内に導入されると共に、気液分離槽2内のドレン水Wが送水用配管11を介して容器体41内に流入する。
【0045】
また、処理槽本体30内に導入されたドレン水Wは、導入口32aに取り付けられているノズル35から光触媒体33の内周面に向かって噴出させられる。この際に、上記したように、本例の浄化処理槽3では、光触媒体33の筒長方向と交差する向き(この例では、図3,4に示す矢印Aの向き)で光触媒体33の内周面に向かってドレン水Wを噴出するようにノズル35が蓋体32に取り付けられている。したがって、このノズル35から噴出されたドレン水Wは、図3に矢印Bで示すように、光触媒体33の内周面を伝って螺旋状に流下させられる。このため、本例の浄化処理槽3では、廃水が光触媒体の内周面を垂直方向に流下するだけの従来の水処理装置と比較して、ドレン水Wが光触媒体33の表面に接した状態で移動する移動距離が非常に長くなっている。
【0046】
また、光源ランプ34の点灯に伴って光触媒体33に十分な量の紫外線が照射されているため、光触媒体33の内周面を螺旋状に流下させられるドレン水Wが、光触媒反応によって十分に浄化される。したがって、光触媒体33の下端部に達するまでにドレン水Wが好適に浄化される。この後、光触媒体33の下端部(処理槽本体30の底面)まで流下したドレン水Wは、排水口31aから排水用配管12内に流入して、排水溝(または、処理済みのドレン水Wを貯留するタンク等)に排水される。以上により、ドレン水Wの浄化処理が完了する。
【0047】
一方、長期間に亘る使用に伴って処理槽本体30内や、光触媒体33の表面に汚れが付着したときには、これらを洗浄処理する。具体的には、導入口32aから送水用配管11を取り外した状態において、容器体31から蓋体32を取り外すと共に光触媒体33を取り出す。次いで、例えば、高圧洗浄装置を用いて、処理槽本体30内や光触媒体33の表面に付着した汚れを除去する。続いて、洗浄が完了した光触媒体33を容器体31内に収容して、容器体31に蓋体32を取り付けた後に、導入口32aに送水用配管11を接続する。以上により、洗浄処理が完了し、浄化処理槽3(浄化処理システム1)の浄化能力が復帰する。
【0048】
このように、この浄化処理槽3では、光触媒体33の内周面および外周面の少なくとも一方の面(本例では、内周面)を伝ってドレン水Wが螺旋状に流下するようにドレン水Wを案内する「案内機構」を備えている。また、この浄化処理システム1では、浄化処理槽3を備えてドレン水Wを浄化可能に構成されている。さらに、この浄化処理槽3(浄化処理システム1)を用いたドレン水Wの浄化処理方法では、光触媒体33の内周面および外周面の少なくとも一方の面(本例では、内周面)を伝ってドレン水Wを螺旋状に流下させるように案内する。
【0049】
したがって、この浄化処理槽3、および浄化処理システム1、並びに浄化処理槽3(浄化処理システム1)を用いたドレン水Wの浄化方法によれば、浄化処理槽3の大型化を招くことなく、処理槽本体30内に導入されたドレン水Wが光触媒体33の表面(本例では、内周面)に接した状態で移動する移動距離を十分に長くすることができるため、ドレン水Wが光触媒体33を伝って流下する間に、光触媒反応によって十分に浄化することができる。このため、従来の水処理装置のような循環ポンプや循環用の接続配管が不要となる結果、その製造コストを十分に低減しつつ、ドレン水Wを好適に浄化することができる。また、従来の紫外線酸化装置のように高価な螺旋状石英管を使用しないため、その分だけ、製造コストの低減を図ることができると共に、螺旋状石英管内に中空ガラスビーズ(光触媒体)が封入されている構成と比較して、容易に洗浄することができるため、そのランニングコストも十分に低減することができる。
【0050】
また、この浄化処理槽3によれば、光触媒体33の筒長方向と交差する向きで光触媒体33の内周面に向かってドレン水Wを噴出するノズル35を備えて「案内機構」を構成して、ノズル35から噴出したドレン水Wを光触媒体33の内周面を伝って螺旋状に流下させることにより、比較的簡易な構成であるにも拘わらず、ドレン水Wが光触媒体33の表面(本例では、内周面)に接した状態で移動する移動距離を確実かつ容易に長くすることができる。また、その構成が簡易であることで、汚れが付着したときに容易に洗浄することができるため、そのランニングコストを一層低減することができる。
【0051】
さらに、この浄化処理槽3によれば、光源ランプを光触媒体33の内側に配設すると共にドレン水Wが光触媒体33の内周面を伝って流下させることにより、光源ランプ34からの紫外線を光触媒体33に対して効率良く、かつ満遍なく照射することができるため、光触媒体33の内周面の各部に光触媒反応を好適に生じさせることができる。
【0052】
また、この浄化処理システム1によれば、浄化処理槽3の上流側に配設された気液分離槽2を備えて、気液分離槽2において気体が分離されたドレン水Wを浄化処理槽3によって浄化することにより、浄化処理槽3内に導入される以前に大きな油滴を浮上分離させることができるため、光触媒体33に大きな油滴が付着して光触媒体33に対する紫外線の照射が妨げられたり、光触媒体33における光触媒反応が低下したりする事態を招くことなく、ドレン水Wの浄化処理能力を長期間に亘って好適な状態に維持することができる。
【0053】
次に、本発明に係る浄化処理槽、浄化処理システム、および浄化処理方法の他の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、上記の浄化処理槽3や浄化処理システム1と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0054】
図6に示す浄化処理システム1Aは、前述した浄化処理システム1における浄化処理槽3に代えて、浄化処理槽3Aを備えて構成されている。浄化処理槽3Aは、図7に示すように、光触媒体33、光源ランプ34および案内板36が処理槽本体30内に収容されて構成されている。この場合、前述した浄化処理槽3と同様にして、本例の浄化処理槽3Aにおいても、光触媒体33の内周面が垂直となるように処理槽本体30内に光触媒体33が設置されている。また、案内板36は、「案内用突出部」の一例であって、一例として、ステンレススチール製の帯状板によって螺旋状に形成されている。この案内板36は、図7,8に示すように、光触媒体33の内周面に接するように光触媒体33内に配設されて、光触媒体33の内周面に沿ってドレン水Wを螺旋状に流動させる流路を形成する(「光触媒体の内周面および外周面の少なくとも一方の面」が「内周面」の構成の一例)。
【0055】
この浄化処理システム1Aによるドレン水Wの浄化処理に際しては、送水用配管11および流量調整機構4を介して気液分離槽2内のドレン水Wが浄化処理槽3Aに供給されたときに、導入口32aから処理槽本体30内に導入されたドレン水Wが、案内板36の上端部に滴下される。この際に、上記したように、本例の浄化処理槽3Aでは、光触媒体33の内側に取り付けられた案内板36によって光触媒体33の内周面に沿ってドレン水Wを螺旋状に流動させる流路が形成されている。したがって、導入口32aから滴下されたドレン水Wは、この流路を移動させられることにより、光触媒体33の内周面に接した状態で(光触媒体33の内周面を伝って)螺旋状に流下させられる。このため、本例の浄化処理槽3Aでは、廃水が光触媒体の内周面を垂直方向に流下するだけの従来の水処理装置と比較して、ドレン水Wが光触媒体33の表面に接した状態で移動する移動距離が非常に長くなっている。
【0056】
また、光源ランプ34の点灯に伴って光触媒体33に十分な量の紫外線が照射されているため、光触媒体33の内周面を螺旋状に流下させられるドレン水Wが、光触媒反応によって十分に浄化される。これにより、光触媒体33を伝って流下するドレン水Wが、光触媒体33の下端部に達するまでに好適に浄化される。この後、光触媒体33の下端部(処理槽本体30の底面)まで流下したドレン水Wは、排水口31aから排水用配管12内に流入して、排水溝(または、処理済みのドレン水Wを貯留するタンク等)に排水される。以上により、ドレン水Wの浄化処理が完了する。
【0057】
一方、長期間に亘る使用に伴って処理槽本体30内や、光触媒体33および案内板36の表面に汚れが付着したときには、これらを洗浄処理する。具体的には、導入口32aから送水用配管11を取り外した状態において、容器体31から蓋体32を取り外すと共に、容器体31から光触媒体33および案内板36を取り出す。次いで、例えば、高圧洗浄装置を用いて、処理槽本体30内や、光触媒体33および案内板36の表面に付着した汚れを除去する。続いて、洗浄が完了した光触媒体33および案内板36を容器体31内に収容して、容器体31に蓋体32を取り付けた後に、導入口32aに送水用配管11を接続する。以上により、洗浄処理が完了し、浄化処理槽3A(浄化処理システム1A)の浄化能力が復帰する。
【0058】
このように、この浄化処理槽3Aでは、光触媒体33における内周面および外周面の少なくとも一方の面(本例では、内周面)に設けられてドレン水Wが流動する螺旋状の流路を形成する案内板36を備えて「案内機構」が構成されている。したがって、この浄化処理槽3A、浄化処理システム1A、および浄化処理槽3A(浄化処理システム1A)を用いたドレン水Wの浄化方法によれば、前述した浄化処理槽3、浄化処理システム1、および浄化処理槽3(浄化処理システム1)と同様の効果を奏することができる。
【0059】
また、この浄化処理槽3Aによれば、光源ランプを光触媒体33の内側に配設すると共にドレン水Wが光触媒体33の内周面を伝って流下させることにより、上記の浄化処理槽3と同様の効果を奏することができる。
【0060】
さらに、この浄化処理システム1Aによれば、浄化処理槽3Aの上流側に配設された気液分離槽2を備えて、気液分離槽2において気体が分離されたドレン水Wを浄化処理槽3Aによって浄化することにより、上記の浄化処理システム1と同様の効果を奏することができる。
【0061】
なお、「筒状に形成された光触媒体」は、上記の浄化処理槽3,3Aにおける光触媒体33のような「円筒状の光触媒体」に限定されず、例えば、図9に示す光触媒体33aのような「角筒状の光触媒体」を採用することもできる。この場合、「角筒状の光触媒体」を採用したときには、一例として、その内周面が垂直となるように光触媒体33aを設置すると共に、同図に示すように、例えばステンレススチール製の帯状板で形成した案内板36a(「案内用突出部」の他の一例)を光触媒体33aの内周面に接するように配設し、この案内板36aによって、光触媒体33aの内周面に沿ってドレン水Wを螺旋状に流動させる流路を形成することができる。これにより、光触媒体33内に案内板36を配設した上記の例と同様にして、ドレン水Wが光触媒体33aの表面(本例では、内周面)に接した状態で移動する移動距離を十分に長くすることができる。なお、「筒状の光触媒体」は、その筒径が一定の筒体に限定されず、長手方向の各部において筒径が相違する筒体(例えば、外形が円錐形や角錐形の筒体)を採用することもできる(図示せず)。
【0062】
また、光触媒体33,33aの内側に案内板36,36aを配設することで、光触媒体33,33aの内周面を伝ってドレン水Wが螺旋状に流下するように構成した例について説明したが、この構成に代えて(または、この構成に加えて)、例えば、外周面が垂直となるように設置した光触媒体33,33aの外側に「案内用突出部」を設けて(「光触媒体の内周面および外周面の少なくとも一方の面」が「外周面」(または、「内周面および外周面の両面」)の構成の一例)、光触媒体33,33aの外周面を伝ってドレン水Wが螺旋状に流下する構成を採用することができる(図示せず)。このような構成を採用した場合においても、ドレン水Wが光触媒体33,33aの表面(外周面)に接した状態で移動する移動距離を十分に長くすることができる結果、ドレン水Wを好適に浄化することができる。
【0063】
さらに、「光触媒体」の外周面を伝ってドレン水Wを流下させる構成を採用する場合にも、「円柱状の光触媒体」、「角柱状の光触媒体」、「円錐形状の光触媒体」および「角錐形状の光触媒体」などの任意の形状の「光触媒体」を採用することができる。これらの「光触媒体」を採用した場合においても、「案内機構」によってドレン水Wを案内することで、ドレン水Wが「光触媒体」の表面に接した状態で移動する移動距離を十分に長くすることができる。
【0064】
次いで、本発明に係る浄化処理槽、浄化処理システム、および浄化処理方法のさらに他の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、上記の浄化処理槽3,3Aや浄化処理システム1,1Aと同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0065】
図10に示す光触媒体33bでは、「板状に形成された光触媒体」によってドレン水Wを浄化する構成および方法が採用されている。具体的には、一例として、光触媒体33bの板面に、ドレン水Wが光触媒体33bの幅方向で葛折り状に流動する流路が形成されるように、ステンレススチール製の帯状板で形成した複数の案内板36bを取り付けると共に、上記の板面が垂直となるように設置する。また、案内板36bの取付け面に対向させて光源ランプ34を光触媒体33bと共に処理槽本体30内に収容する。これにより、この構成を採用した浄化処理槽によれば、最上部の案内板36bに滴下されたドレン水Wが光触媒体33bの板面に沿って葛折り状に流動する結果、ドレン水Wが光触媒体33bの板面に沿って垂直方向に流下するだけの構成と比較して、ドレン水Wが光触媒体33bの表面(板面)に接した状態で移動する移動距離が十分に長くなると共に、光触媒体33bの表面(案内板36bの取付け面)に紫外線を好適に照射することができる。
【0066】
このように、この浄化処理槽、および浄化処理システム、並びに浄化処理方法によれば、前述した浄化処理槽3、浄化処理システム1、および浄化処理槽3(浄化処理システム1)などと同様の効果を奏することができる。
【0067】
また、この浄化処理槽によれば、「光源ランプ」を光触媒体33bの板面に対向させて光触媒体33bと共に「処理槽本体」内に収容したことにより、光源ランプ34からの紫外線を光触媒体33に対して満遍なく照射することができるため、光触媒体33bの板面の各部に光触媒反応を好適に生じさせることができる。
【0068】
なお、「浄化処理槽」および「浄化処理システム」の構成は、上記した浄化処理槽3や浄化処理システム1の構成に限定されるものではない。例えば、気液分離槽2の下流側に1つの浄化処理槽3(3A)を接続した浄化処理システム1(1A)を例に挙げて説明したが、気液分離槽2の下流側に複数の浄化処理槽3(3A)等を接続してドレン水Wを浄化する「浄化処理システム」を構成することができる(図示せず)。また、気液分離槽2を備えて構成した浄化処理システム1(1A)を例に挙げて説明したが、「気液分離槽」を設けることなく「浄化処理システム」を構成することもできる。
【0069】
さらに、直管型の光源を有する光源ランプ34に代えて、球状の光源ランプを有する「光源ランプ」(図示せず)を採用することもできる。また、「光源ランプ」からの紫外線を利用することなく、例えば、太陽光等の外光を利用して「光触媒体」によって「処理対象液」を浄化する構成を採用することもできる。この場合、太陽光を利用する構成においては、「光触媒体」において「処理対象液」が流下させられる面を太陽に向けるように「光触媒体」を傾けて設置するのが好ましい。
【0070】
また、ステンレススチール製の帯状板で形成した案内板36,36a,36bを「案内用突出部」として光触媒体33,33a,33bに取り付けて「流路」を構成する例について説明したが、ステンレススチール以外の各種材料で形成した部材を「案内用突出部」として取り付けたり、帯状板以外の各種形状の部材を「案内用突出部」として取り付けたりして、「流路」を形成する構成を採用することができる。この場合、「案内用突出部」を構成する部材については、少なくとも「処理対象液(ドレン水W)」に接する面に「光触媒」を配設することで、「流路」を移動している間に「案内用突出部」に接している「処理対象液」を光触媒反応によって一層好適に浄化することができる。加えて、濾過フィルタや吸着フィルタ等の各種フィルタと、本願発明に係る「浄化処理槽」とを相互に接続して「浄化処理システム」を構成することもできる。
【符号の説明】
【0071】
1,1A 浄化処理システム
2 気液分離槽
3,3A 浄化処理槽
4 流量調整機構
30 処理槽本体
31 容器体
31a 排水口
32 蓋体
32a 導入口
33,33a,33b 光触媒体
34 光源ランプ
35 ノズル
36,36a,36b 案内板
W ドレン水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状、柱状および錐形状のいずれかの形状に形成されると共に少なくともその表面部位に光触媒が配設された光触媒体と、当該光触媒体を収容する処理槽本体とを備えて、処理対象液が前記光触媒体の内周面および外周面の少なくとも一方の面を伝って流下するように当該光触媒体が前記処理槽本体内に収容された浄化処理槽であって、
前記処理対象液が前記少なくとも一方の面を伝って螺旋状に流下するように当該処理対象液を案内する案内機構を備えている浄化処理槽。
【請求項2】
前記光触媒体は、筒状に形成され、
前記案内機構は、前記光触媒体の筒長方向と交差する向きで当該光触媒体の前記内周面に向かって前記処理対象液を噴出する噴出機構を備えて、当該噴出機構から噴出した前記処理対象液を前記光触媒体の前記内周面を伝って螺旋状に流下させる請求項1記載の浄化処理槽。
【請求項3】
前記案内機構は、前記光触媒体における前記少なくとも一方の面に設けられて前記処理対象液が流動する螺旋状の流路を形成する案内用突出部を備えて構成されている請求項1記載の浄化処理槽。
【請求項4】
前記光触媒体に紫外線を照射する光源ランプを備え、筒状に形成された前記光触媒体の内側に前記光源ランプが配設されると共に前記処理対象液が当該光触媒体の前記内周面を伝って流下するように構成されている請求項1から3のいずれかに記載の浄化処理槽。
【請求項5】
板状に形成されて少なくともその表面部位に光触媒が配設された光触媒体と、当該光触媒体を収容する処理槽本体とを備えて、処理対象液が前記光触媒体の板面を伝って流下するように当該光触媒体が前記処理槽本体内に収容された浄化処理槽であって、
前記光触媒体の前記板面に設けられて前記処理対象液が当該光触媒体の幅方向で葛折り状に流動する流路を形成する案内用突出部を備えている浄化処理槽。
【請求項6】
前記光触媒体に紫外線を照射する光源ランプを備え、当該光源ランプが前記光触媒体の前記板面に対向させられて当該光触媒体と共に前記処理槽本体内に収容されている請求項5記載の浄化処理槽。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の浄化処理槽を備えて前記処理対象液を浄化可能に構成されている浄化処理システム。
【請求項8】
前記浄化処理槽の上流側に配設された気液分離槽を備え、当該気液分離槽において気体が分離された前記処理対象液を前記浄化処理槽によって浄化する請求項7記載の浄化処理システム。
【請求項9】
筒状、柱状および錐形状のいずれかの形状に形成されると共に少なくともその表面部位に光触媒が配設された光触媒体の内周面および外周面の少なくとも一方の面を伝って処理対象液が流下するように当該光触媒体が処理槽本体内に収容された浄化処理槽を用いて当該処理対象液を浄化する浄化処理方法であって、
前記処理対象液が前記少なくとも一方の面を伝って螺旋状に流下するように当該処理対象液を案内する浄化処理方法。
【請求項10】
板状に形成されて少なくともその表面部位に光触媒が配設された光触媒体の板面を伝って処理対象液が流下するように当該光触媒体が処理槽本体内に収容された浄化処理槽を用いて当該処理対象液を浄化する浄化処理方法であって、
前記処理対象液が前記光触媒体の幅方向で葛折り状に流下するように当該処理対象液を案内する浄化処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−245476(P2012−245476A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119840(P2011−119840)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】