説明

浄化処理装置

【課題】浄化処理装置を設置する際に必要な床の面積を可及的小さくすると共に無駄に排出されるオゾンガスの量を可及的少なくすることができる浄化処理装置の提供。
【解決手段】汚染水が貯留された処理槽2内にオゾン含有ガスを供給して汚染水を浄化処理する。処理槽2内に区画壁25a,25b,25cによって鉛直方向に区画室30a,30b,30c,30dを区画形成する。最下段の区画室30dと外部とを連通する連通孔32を介して処理槽2内に汚染水を供給する。上下方向で隣り合う上段の区画室と下段の区画室とを連通する連通孔32を介して下段の区画室から上段の区画室に汚染水を供給する。オゾン含有ガスを各区画室にそれぞれ供給しながら汚染水を各区画室でそれぞれ個別に水中ポンプ4,5,6,7により攪拌する。最上段の区画室30aから浄化処理後の処理水を処理槽2の外部に排出する。処理槽2内のガスをガス抜き管51を介し外部に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物(voLatiLe organic compounds 以下「VOCs」という。)からなる汚染物質が混入した汚染水を浄化するための浄化処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されている従来の浄化処理装置においては、導入口より被処理水をオゾン接触槽内に導入し、オゾン発生装置より発生させたオゾンガスを、オゾン散気装置を経て前記オゾン接触槽内に導入する。被処理水とオゾンガスとを前記オゾン接触槽内で接触・混合することで反応が進行する。前記オゾン接触槽は3つのオゾン接触室を有し、これらのオゾン接触室でオゾン接触・混合を3段階で行っている。そして、被処理水は、オゾン接触槽を経たのち滞留槽内で一定時間滞留した後、排出口より系外に排出され、被処理水と未反応のオゾンガスは、被処理水の流れる経路から見て排出口に最も近いオゾン接触室の上部から排出管を介して排出され、排オゾン処理装置を経て系外に排出されるように構成されている。
【特許文献1】特許第3697933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の浄化処理装置は、3つのオゾン接触室を水平方向に並設しているので、その分、オゾン接触槽を設置する際に必要な床の面積が大きくなるという問題があった。
また、3つのオゾン接触室で隣り合うオゾン接触室同士の上部は連通路を介して互いに連通し、オゾン接触室の上部から排出管を介して排出されるので、被処理水と未反応のままオゾン接触室の上部に上昇したオゾンガスは、3つのオゾン接触室の全てにおいてそのまま排出管を介して排出されるため、被処理水と反応することなく無駄に排出されるオゾンガスの量が多いという問題もあった。
【0004】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、浄化処理装置を設置する際に必要な床の面積を可及的小さくすると共に無駄に排出されるオゾンガスの量を可及的少なくすることができる浄化処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明に係る装置は、汚染水が貯留された処理槽内に、組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスを供給して前記汚染水を浄化処理するようにした浄化処理装置において、前記処理槽内に、一つまたは二つ以上の区画壁によって鉛直方向に並ぶように複数の区画室を区画形成し、前記複数の区画室のうち最下段の区画室と前記処理槽の外部とを連通する連通孔を介して前記処理槽内に汚染水を供給する一方、前記複数の区画室で上下方向で隣り合う上段の区画室と下段の区画室とを連通する連通孔を介して前記下段の区画室から前記上段の区画室に汚染水を供給し、前記オゾン含有ガスをオゾン含有ガス供給装置により前記各区画室にそれぞれ供給しながら各区画室に貯留した汚染水を各区画室でそれぞれ個別に攪拌装置により攪拌し、前記各区画室のうち最上段の区画室から浄化処理後の処理水を前記処理槽の外部に排出し、前記処理槽の外部と前記最上段の区画室とを連通し処理槽内のガスを処理槽の外部に排出するガス抜き孔を処理槽の上部の殻壁に設けたものである。
【0006】
請求項2に記載した発明に係る浄化処理装置は、請求項1に記載の浄化処理装置において、前記複数の区画室で上下方向で隣り合う区画室同士を、上段に位置する区画室の容積を下段に位置する区画室の容積以下になるように形成し、前記各区画室における、前記オゾン含有ガス供給装置による前記オゾン含有ガスの供給量と前記攪拌装置による攪拌能力とを、容積が大きい区画室ほど多くなるようにしたことを特徴とするものとする。
【0007】
請求項3に記載した発明に係る浄化処理装置は、請求項1または請求項2に記載の浄化処理装置において、前記攪拌装置は、前記区画室に供給された汚染水を吸引する吸引口とその吸引した汚染水を同区画室に吐出する吐出口とを備えたポンプからなり、前記ポンプは、前記各区画室に対応してそれぞれ個別に設けられ、前記各ポンプのうち少なくとも何れか一つのポンプの前記吸引口を、前記連通孔の、汚染水が通過する経路から見て下流端となる開口の近傍に位置付けたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項4に記載した発明に係る浄化処理装置は、請求項3に記載の浄化処理装置において、前記処理槽の処理槽本体を、該処理槽を設置したとき処理槽本体の軸芯が鉛直方向に沿うような円筒形状に形成し、前記複数の区画室のうち少なくとも一つの区画室には、前記軸芯を囲むように設けられた複数の連通孔を介して汚染水を供給すると共にこれらの複数の連通孔ごとに対応して前記ポンプをそれぞれ設け、前記軸芯を囲むように設けられた各連通孔の、汚染水が通過する経路から見て下流端となる開口の近傍に前記各ポンプの吸引口をそれぞれ位置付ける一方、これらのポンプの各吐出口を、前記少なくとも一つの区画室において前記軸芯を中心とする同一の旋回方向を指向するように配置したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項5に記載した発明に係る浄化処理装置は、請求項3または請求項4に記載の浄化処理装置において、前記処理槽の外部から前記区画室に前記ポンプを配置可能なポンプ組付用開口を前記処理槽の殻壁に形成し、前記ポンプ組付用開口を蓋部材により液密に閉塞し、前記ポンプ組付用開口を閉塞したとき前記区画室に臨む前記蓋部材の底面部に前記ポンプを固定するようにしたことを特徴とするものとする。
【0010】
請求項6に記載した発明に係る浄化処理装置は、請求項5に記載の浄化処理装置において、前記ポンプは、ポンプ部と該ポンプ部を駆動する電動モータとを備え、前記電動モータに電源を供給する電線と前記オゾン含有ガスを供給するガス管とを、前記蓋部材を貫通して前記処理槽の内外に亘って配索するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項7に記載した発明に係る浄化処理装置は、請求項3ないし請求項6のうち何れか一つに記載の浄化処理装置において、前記オゾン含有ガス供給装置によって前記オゾン含有ガスを前記ポンプの吸引口内に供給するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、処理槽内に、一つまたは二つ以上の区画壁によって鉛直方向に並ぶように複数の区画室を区画形成したので、浄化処理装置を設置する際に必要な床の面積を可及的小さくすることができる。
また、鉛直方向に並ぶように複数の区画室を処理槽内に区画形成し、連通孔を介して処理槽内に汚染水を供給すると共に連通孔を介して区画室同士を連通し、オゾン含有ガスを各区画室にそれぞれ供給しながら攪拌する一方、最上段の区画室から浄化処理後の処理水を処理槽の外部に排出するようにしたので、最上段の区画室より下段の区画室に供給されたオゾン含有ガスで未反応のオゾン含有ガスは、それより上段の区画室で再び汚染水との反応に供されるため、未反応のまま無駄に排出されるオゾンガスの量を可及的少なくすることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、上段に位置する区画室の容積を下段に位置する区画室の容積以下になるように形成し、各区画室におけるオゾン含有ガスの供給量と攪拌装置による攪拌能力とを、容積が大きい区画室ほど多くなるようにしたので、区画室の容積に応じて適切な浄化処理が行われる。また、下段に位置する区画室でその容積に応じた前段階の浄化処理が行われ、ある程度、浄化処理された汚染水がそれより上段に位置する容積が小さい区画室でさらにその容積に応じた後段階の浄化処理が行われることによって、汚染水に対して浄化処理を均一に行うことができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、攪拌装置をポンプで構成してそのポンプを各区画室に対応してそれぞれ個別に設け、各ポンプのうち少なくとも何れか一つのポンプの吸引口を、連通孔の下流端の開口の近傍に位置付けたので、区画室にすでに貯留している汚染水とその区画室に連通孔の開口から供給される汚染水との双方をポンプが同時に吸引することで、それら双方の汚染水がポンプによって確実に攪拌され、汚染水中の汚染物質とオゾンとの反応が適切に行われる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、処理槽の処理槽本体を円筒形状に形成し、複数の区画室のうち少なくとも一つの区画室には、処理槽本体の軸芯を囲むように設けられた複数の連通孔を介して汚染水を供給すると共にこれらの複数の連通孔ごとに対応してポンプをそれぞれ設け、各連通孔の下流端となる開口の近傍に各ポンプの吸引口をそれぞれ位置付け、これらのポンプの各吐出口を、処理槽本体の軸芯を中心とする同一の旋回方向を指向するように配置したので、区画室にすでに貯留している汚染水と区画室に連通孔の開口から供給される汚染水との双方を各ポンプが同時に吸引しながら同一の旋回方向に吐出することで、汚染水がポンプによって十分に攪拌されて汚染水中の汚染物質とオゾン含有ガスとが区画室で十分に接触し、汚染物質とオゾンとの反応が適切に行われる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、処理槽の殻壁に形成したポンプ組付用開口を蓋部材で閉塞したとき区画室に臨む蓋部材の底面部にポンプを組み付けるようにしたので、処理槽のポンプ組付用開口を閉塞するように蓋部材を組み付けるだけで、処理槽の所望の位置にポンプを配設することができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、電動モータに電源を供給する電線とオゾン含有ガスを供給するガス管とを、蓋部材を貫通して処理槽の内外を配索するようにしたので、電線とガス管とを予め蓋部材を貫通して配索しておけば、処理槽のポンプ組付用開口部に蓋部材を組み付けるだけで電線とガス管とを処理槽の内外に亘って容易に配索することができる。
【0018】
請求項7記載の発明によれば、オゾン含有ガス供給装置によってオゾン含有ガスをポンプの吸引口内に供給するようにしたので、汚染水とオゾン含有ガスとがポンプの吸引口内に一緒に吸引されてポンプ内で攪拌されながら吐出されることで、オゾン含有ガスが微細化されオゾン含有ガス中のオゾンが汚染物質に接触しやすくなり汚染物質とオゾンとの反応が適切に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る浄化処理装置の実施の形態を図1ないし図14によって詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る浄化処理装置の構成を示すブロック図、図2は浄化処理装置の処理槽の外観を正面から見た状態を示す外観図、図3は図2の正面から見た処理槽を、紙面に平行な断面で処理槽を中央にて破断した状態を示す中央縦断面図、図4は図2の矢視A−A線に沿って処理槽を破断した状態を示す横断面図、図5は図2の矢視B−B線に沿って処理槽を破断した状態を示す横断面図、図6は図2の矢視C−C線に沿って処理槽を破断した状態を示す横断面図、図7は図2の矢視D−D線に沿って処理槽を破断した状態を示す横断面図、図8は図2の矢視E−E線に沿って処理槽を破断した状態を示す横断面図、図9は図3における左側の一部を拡大した状態を示す拡大縦断面図、図10の(a)は図3の一部を拡大した状態を示す拡大断面図、図10の(b)は図4および図5の一部を拡大した状態を示す拡大断面図、図11の(a)は図3の他の一部を拡大した状態を示す拡大断面図、図11の(b)は図6,図7および図8の一部を拡大した状態を示す拡大断面図、図12は図2の矢視F−F線に沿う断面図、図13の(a)は本発明でいう攪拌装置を構成する水中ポンプを、一部を破断して示した断面図、図13の(b)は図13の(a)の矢視G−G線に沿う断面図、図14の(a)は本発明でいう攪拌装置を構成する他の水中ポンプを、一部を破断して示した断面図、図14の(b)は図14の(a)の矢視H−H線に沿う断面図である。なお、図2および図3については、作図の都合上、それぞれの構成部材の縮尺の比率は互いに異ならせて図示している。
【0020】
図1において、符号1で示すものは、この実施の形態による浄化処理装置を示しており、この浄化処理装置1は、オゾン分解処理による汚染水の浄化処理を行うための処理槽2と、この処理槽2の内部に供給された汚染水を攪拌するための水中ポンプ4,5,6,7と、組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスを生成して、その生成したオゾン含有ガスを各水中ポンプ4,5,6,7を介して処理槽2内に供給するオゾン含有ガス供給装置8と、後述する各種制御を行うための制御装置9とを備えている。前記水中ポンプ4,5,6,7は、請求項1および請求項2に記載の発明でいう攪拌装置を構成すると共に、請求項3ないし請求項7に記載の発明でいうポンプを構成し、それぞれポンプ部10,11,12,13と、ポンプ部10,11,12,13を駆動する電動モータ15a,15b,15c,15dとを備え、ポンプ部10,11,12,13と電動モータ15a,15b,15c,15dとはそれぞれ互いに連結されている(図10および図11を参照)。
【0021】
前記処理槽2内には、給水ポンプ17により汚染水が供給され貯留される。前記電動モータ15a,15b,15c,15dとオゾン含有ガス供給装置8と給水ポンプ17の電動モータとは、電源を供給するための電線19,21,23を介してそれぞれ制御装置9に接続されており、制御装置9によりそれぞれ駆動制御される。制御装置9には、後述する各種操作を作業者が行うための制御盤(図示せず)が配設されている。水中ポンプ4,5,6,7の電動モータ15a,15b,15c,15dのそれぞれの定格出力は150ワット,150ワット,250ワット,400ワットで、水中ポンプ4,5,6,7の単位時間当たり(毎分)の吐出量はそれぞれおよそ113リットル,113リットル,188リットル,300リットルである。
【0022】
前記処理槽2は、円盤状の底面部材2aと、該底面部材2aと同一の大きさの円盤状の上面部材2bと、これらの底面部材2aおよび上面部材2bにより上下面が閉塞された円筒状の処理槽本体2cと、三個の区画壁25a,25b,25c(図9を参照)と、処理槽本体2cに形成された複数の開口部にそれぞれ溶接され固定された矩形断面からなる筒状の枠部材26(図10および図11を参照)と、各枠部材26内に嵌合され固定される有底筐体状の蓋部材27と、処理槽2を所望の場所に接地するための脚部材29とを備える。前記処理槽本体2cは、処理槽2を設置したとき処理槽本体2cの軸芯Oが鉛直方向に沿うような円筒形状に形成されている。処理槽2の底面部材2aと上面部材2bと処理槽本体2cとは、本発明でいう処理槽2の殻壁を構成し、底面部材2aは、本発明でいう処理槽2の下部の殻壁の一部を構成し、上面部材2bは、本発明でいう処理槽2の上部の殻壁の一部を構成する。脚部材29は、四本の支柱29aとこれらの四本の支柱29aの上端に溶接により固着され、かつ、処理槽2の底面部材2aの底面に溶接により固着された矩形状の梁部材29bとを備える。
【0023】
処理槽2内が三個の区画壁25a,25b,25cによって鉛直方向に並ぶように四個の区画室30a,30b,30c,30dが区画形成されている。三個の区画壁25a,25b,25cは、処理槽本体2cの内周面に溶接により固定された固定部材31の上面にそれぞれ当接され溶接により固定されており、固定部材31は、縦断面が逆L字状の環状の板金部材からなる(図9を参照)。処理槽2内の容積、すなわち、四個の区画室30a,30b,30c,30dの各容積の合計は、およそ3000リットルとされ、各区画室30a,30b,30c,30dの容積は、それぞれ400リットル、400リットル、800リットル、1400リットルとされている。
【0024】
そして、前記水中ポンプ4は区画室30aに四台配設され、水中ポンプ5は区画室30bに四台配設され、水中ポンプ6は区画室30cに四台配設され、水中ポンプ7は区画室30dに四台配設されている。この結果、前述した各区画室30a,30b,30c,30dの容積と、各区画室30a,30b,30c,30dにそれぞれ配設される各水中ポンプ4,5,6,7の単位時間当たりの吐出量との関係から、各区画室30a,30b,30c,30dにおける水中ポンプ4,5,6,7による攪拌能力は、容積の大きい区画室ほど多くなっている。
【0025】
各区画壁25a,25b,25cには、処理槽本体2cの軸芯Oを囲むように連通孔32が四個ずつ穿設され(図4ないし図6を参照)、これらの連通孔32…を介して上下方向で隣り合う区画室同士が連通されており、これらの連通孔32…を介して、上下方向で隣り合う下段の区画室から上段の区画室に汚染水が供給される。そして、前記水中ポンプ4,5,6は、各区画壁25a,25b,25cに穿設された各連通孔32…ごとに対応して配設されている。
なお、各区画壁25a,25b,25cに連通孔32を四個ずつ穿設したが、穿設する連通孔の個数を区画壁ごとに変更してもよく、一つの区画壁に一個だけ連通孔を穿設するようにしてもよい。
前記処理槽本体2cの上部には、最上段の区画室30aと処理槽2の外部とを連通し、処理槽2内に供給され処理槽2内で浄化処理された後の処理水を区画室30aから処理槽2の外部に排出するための排水管33が設けられている(図2を参照)。
【0026】
また、前記処理槽本体2cの側面には、各区画室30a,30b,30c,30dごとに4つずつ矩形の開口が形成され、各開口には、枠部材26が溶接によりそれぞれ固着されている。この枠部材26内には蓋部材27が嵌合され、枠部材26の開口は蓋部材27によって閉塞される。枠部材26の開口は、本発明でいうポンプ組付用開口を構成し、該開口によって、処理槽2の外部から各区画室30a,30b,30c,30dに水中ポンプ4,5,6,7が配置可能とされている。
【0027】
図10および図11に示すように、枠部材26の一端部の外周部にはその外側に向かって拡がるように直角に折り曲げられたフランジ部26aが形成されており、一方、蓋部材27にもその一端部の開口部の外周部にはその外側に向かって拡がるように直角に折り曲げられたフランジ部27aが形成されており、これらのフランジ部26a,27aは、両フランジ部26a,27a間に矩形環状のシール部材39が挟まれた状態で両フランジ部26a,27aの全周部に沿って複数のネジ部材41により接合され、これによって、蓋部材27が枠部材26に固定され枠部材26の開口が蓋部材27によって液密に閉塞される。
【0028】
処理槽本体2cの側面に固着された枠部材26に蓋部材27を取り付けたとき、各区画室30a,30b,30c,30dに臨む各蓋部材27の底面部27bには、ステー43a,43b,43c,43dを介して水中ポンプ4,5,6,7がそれぞれ固定されている(図10および図11を参照)。また、各蓋部材27の底面部27bには、水中ポンプ4,5,6,7にオゾン含有ガスを供給するためのガス管45a,45b,45c,45dと前記電線19とを挿通する貫通孔が二個ずつ穿設されており、これらの貫通孔とこれらの貫通孔に挿通された電線19およびガス管45a,45b,45c,45dとの間は、円環状のシール部材47を介して液密にシールされている(図10および図11を参照)。
【0029】
最下段の区画室30dに対応して配置された各水中ポンプ7と、これらのポンプ7が固定された各蓋部材27と、これらの蓋部材27が固定された各枠部材26とは、図7および図8に示すように、処理槽2の左右方向と前後方向とにそれぞれ正対するように配置されている。また、区画室30cに対応して配置された各水中ポンプ6と、これらのポンプ6が固定された各蓋部材27と、これらの蓋部材27が固定された各枠部材26とは、図6に示すように、処理槽2の前後左右の方向にそれぞれ正対するように配置されている。
【0030】
これに対して、区画室30aに対応して配置された各水中ポンプ4と、これらのポンプ4が固定された各蓋部材27と、これらの蓋部材27が固定された各枠部材26とは、図4に示すように、軸芯O回りに時計回りの方向に一定の角度だけ回転した位置にそれぞれ配置されている。また、区画室30bに対応して配置された各水中ポンプ5と、これらのポンプ5が固定された各蓋部材27と、これらの蓋部材27が固定された各枠部材26とは、図5に示すように、軸芯O回りに反時計回りの方向に一定の角度だけ回転した位置にそれぞれ配置されている。このような配置によって、各水中ポンプ4,5,6,7が予め固定された各蓋部材27を各枠部材26に組み付ける際には、先に組み付けた蓋部材27の水中ポンプと、後から組み付ける蓋部材27の水中ポンプとが干渉せずに済む。
なお、前述した各水中ポンプ4,5と、これらのポンプ4,5が固定された各蓋部材27等の図2および図3における位置については、作図の都合上、軸芯O回りに回転した状態ではなく前後左右の方向に正対するように位置付けて示している。
【0031】
各区画室30a,30b,30c,30dに水中ポンプ4,5,6,7を配設する場合は、電線19とガス管45a,45b,45c,45dとを蓋部材27の貫通孔にシール部材47を介して挿通すると共に蓋部材27の底面部27bにステー43a,43b,43c,43dを介して水中ポンプ4,5,6,7をそれぞれ予め取り付けた状態で水中ポンプ4,5,6,7を先に枠部材26の開口に挿通したのち、蓋部材27のフランジ部27aを枠部材26のフランジ部26aに接合してネジ部材41により蓋部材27を枠部材26に固定する。これによって、電線19とガス管45a,45b,45c,45dとが、蓋部材27を貫通して処理槽2の内外に亘って配索される。
なお、水中ポンプ6,7が取り付けられた蓋部材27を枠部材26に取り付ける場合は、水中ポンプ6,7の電動モータ15c,15dが水平になるように傾けた状態で水中ポンプ6,7を枠部材26の開口に挿通したのち、電動モータ15c,15dが直立になるようにして蓋部材27を枠部材26に取り付ける。
【0032】
また、前記各区画壁25a,25b,25cおよび底面部材2aは、水平に対して僅かに傾斜して処理槽本体2cに固定されており、傾斜することで各区画壁25a,25b,25cおよび底面部材2aで最も低くなった部位の近傍の処理槽本体2cには各区画室30a,30b,30c,30dと処理槽2の外部とを連通する水抜孔がそれぞれ穿設され、これらの水抜孔は、ドレンボルト49がそれぞれ螺合され液密にシールされている(図9を参照)。
【0033】
なお、区画室30dと処理槽2の外部とを連通する水抜孔を処理槽本体2cに穿設する代わりに底面部材2aに穿設し、この底面部材2aに穿設した水抜孔にドレンボルト49を螺合するようにしてもよい。
一定の期間、使用された処理槽2内を洗浄する場合は、各区画室30a,30b,30c,30dに洗浄水を流入させて各区画室30a,30b,30c,30dを洗浄したのち、その洗浄後の洗浄水を前記各ドレンボルト49を取り外すことにより各区画室30a,30b,30c,30dから排水する。
【0034】
前記処理槽2の上面部材2bには、最上段の区画室30aと処理槽2の外部とを連通し、処理槽2内に溜まったガスを処理槽2の外部に排出するためのガス抜き管51が上方に向かって突設されている。ガス抜き管51の内部は、本発明でいうガス抜き孔を構成する。ガス抜き管51の突出端部には、ガス抜き管51を介して排出された塩素や塩化水素等のガスを吸着する吸着器53が接続されている。
【0035】
また、前記処理槽2の底面部材2aには、給水ポンプ17により供給された汚染水を処理槽2内に導入するための分配管55が配設され、分配管55の中央部には、一端部が給水ポンプ17に接続された主配管57の他端部が接続されている。分配管55は、主配管57の他端部が接続された中央部の分岐接続管59と、この分岐接続管59の四つの分岐部にそれぞれ接続され、内部にそれぞれ連通孔32を有する接続管61a,61b,61c,61dと、各接続管61a,61b,61c,61dの長手方向中途部にそれぞれ配設された開閉弁63とを備えている。
【0036】
前記各接続管61a,61b,61c,61d内の連通孔32を介して最下段の区画室30dと処理槽2の外部とが連通され、該連通孔32を介して処理槽2内に汚染水が供給される。各接続管61a,61b,61c,61dは、処理槽本体2cの軸芯Oを囲むように配設され、これによって、処理槽2内の最下段の区画室30dに連通する四個の連通孔32は、処理槽本体2cの軸芯Oを囲むように位置付けられる(図7および図8を参照)。なお、四本の接続管61a,61b,61c,61dを介して処理槽2内に汚染水を供給する代わりに、四本以下または五本以上の本数の接続管を介して処理槽2内に汚染水を供給するようにしてもよい。
【0037】
各接続管61a,61b,61c,61dは、それぞれ分岐接続管59に接続された部分から水平方向に延びたのち鉛直方向の上方に延びて処理槽2の底面部材2aを貫通して区画室30dと連通しており、接続管61bと接続管61dとの上端は、底面部材2aの上面と面一とされ、接続管61aと接続管61cとの上端は、底面部材2aの上面より一定の長さだけ上方に突出している。そして、各接続管61a,61b,61c,61dが貫通している底面部材2aの部位と各接続管61a,61b,61c,61dの外周部とは溶接により液密に固着されている。
【0038】
各区画室30a,30b,30c,30dに対応してそれぞれ個別に配設された各水中ポンプ4,5,6,7のポンプ部10,11,12,13は、図13および図14に示すように、複数の羽根が所定の間隔を隔てて円周方向に配置された羽根車65と、羽根車65の回転によるポンプ作用により処理槽2内の各区画室30a,30b,30c,30dの汚染水を吸引するための吸引口10a,11a,12a,13aと、該吸引口10a,11a,12a,13aから吸引した汚染水を各区画室30a,30b,30c,30dに吐出するための吐出口10b,11b,12b,13bとをそれぞれ備えている。
【0039】
各水中ポンプ4,5,6,7は、それらの各吐出口10b,11b,12b,13bが各区画室30a,30b,30c,30dにおいて処理槽本体2cの軸芯Oを中心とする同一の旋回方向M1,M2,M3,M4をそれぞれ指向するように配置されている(図4ないし図8を参照)。なお、吐出口10b,11b,12b,13bの指向する旋回方向は、区画室ごとに同じ方向であればよく、旋回方向M1,M2,M3,M4のうち少なくとも何れか一つの旋回方向を逆向きにしてもよい。
【0040】
羽根車14は、各電動モータ15a,15b,15c,15dの回転軸にそれぞれ一体的に固定され、該回転軸の回転に伴って回転させられる。羽根車14の回転によるポンプ作用により圧送された汚染水が各ポンプ部10,11,12,13内に流入して、その流入の勢いにより渦流を発生したのち各吐出口10b,11b,12b,13bから排出される。各ポンプ部10,11,12,13の吸引口10a,11a,12a,13aは、各連通孔32…の、汚染水が通過する経路から見て下流端となる開口の近傍に位置付けられ、ポンプ部12,13の吸引口12a,13aは、連通孔32に対して一定の間隙を隔てて正対するように位置付けられている。
【0041】
そして、前記区画室30dに配設された四台の水中ポンプ7は、それらのポンプ部13の吸引口13aが各接続管61a,61b,61c,61dの上端に一定の間隔を隔てて正対するように配置されている。これによって、四台の水中ポンプ7は、各接続管61a,61b,61c,61d内の各連通孔32…ごとに対応して配設される。接続管61a,61cの上端が接続管61b,61dの上端より上方に位置しているので、その分、接続管61a,61cの上端に対向する水中ポンプ7の方が接続管61b,61dの上端に対向する水中ポンプ7より上方に位置付けられている。
【0042】
このため、接続管61b,61dに対向する2台の水中ポンプ7により区画室30dの低い部位に滞留する汚染水が吸引されると共にその低い部位に吐出される一方、接続管61a,61cに対向する2台の水中ポンプ7により区画室30dの高い部位に滞留する汚染水が吸引されると共にその高い部位に吐出されることで、区画室30dに滞留する全ての汚染水が四台の水中ポンプ7により均一に攪拌される。
【0043】
また、図1に示すように、区画室30aに配設された四台の水中ポンプ4のポンプ部10の吸引口10aに一端部がそれぞれ固定されたガス管45aは、他端側が集合されて一本となった他端部が流量調整管65aの一端部に接続され、区画室30bに配設された四台の水中ポンプ5のポンプ部11の吸引口11aに一端部がそれぞれ固定されたガス管45bは、他端側が集合されて一本となった他端部が流量調整管65bの一端部に接続されている。
【0044】
また、区画室30cに配設された四台の水中ポンプ6のポンプ部12の吸引口12aに一端部がそれぞれ固定されたガス管45cは、他端側が集合されて一本となった他端部が流量調整管65cの一端部に接続され、区画室30dに配設された四台の水中ポンプ7のポンプ部13の吸引口13aに一端部がそれぞれ固定されたガス管45dは、他端側が集合されて一本となった他端部が流量調整管65dの一端部に接続されている。
而して、オゾン含有ガス供給装置8によってオゾン含有ガスが各水中ポンプ4,5,6,7の各吸引口10a,11a,12a,13a内に供給される。
【0045】
各流量調整管65a,65b,65c,65dの他端部は、それぞれ接続され一本に集合された接続管を介してオゾン含有ガス供給装置8に接続されている。各流量調整管65a,65b,65c,65dは、それらの管内を流れるオゾン含有ガスの流動抵抗が流量調整管65aと流量調整管65bとで同一とされ、流量調整管65a,65bより流量調整管65cの方が少なくなり、さらに、流量調整管65cより流量調整管65dの方が少なくなるように各流量調整管65a,65b,65c,65dの内径と長さとが適宜設定されている。
【0046】
各流量調整管65a,65b,65c,65dによって流量が調整され、各ガス管45a,45b,45c,45dには、大気圧下での容量でそれぞれおよそ毎分0.2リットル,0.2リットル,0.4リットル,0.8リットルの容量のオゾン含有ガスがそれぞれ流れる。この結果、各ガス管45a,45b,45c,45dを流れる単位時間当たりのオゾン含有ガスの流量と前述した各区画室30a,30b,30c,30dの容積との関係から、各区画室30a,30b,30c,30dにおける、オゾン含有ガス供給装置8によるオゾン含有ガスの供給量は、容積が大きい区画室ほど多くなっている。
【0047】
また、図1に示すように、オゾン含有ガス供給装置8には、酸素ガスが収容された酸素ボンベ67が酸素ガス供給管69を介して接続され、酸素ボンベ67の酸素ガスがオゾン含有ガス供給装置8に導入され、オゾン含有ガス供給装置8内で放電管による無声放電によってオゾンが発生し、酸素に対してオゾンが所定の割合で混合されて浄化用ガスが生成される。オゾン含有ガスとしては、例えば、容積比でオゾンが1パーセントないし10パーセントで残りが酸素からなるガスをあげることができる。
【0048】
前述したように構成された浄化処理装置1を使用して汚染水の浄化処理を行う場合は、制御装置9の操作盤を操作して給水ポンプ17を駆動させ、該給水ポンプ17により汚染水を分配管55を介して処理槽2の区画室30dに供給する。そして、汚染水によって区画室30dが充填されたのち、区画室30dと区画室30cとを連通する四個の連通孔32…を介して汚染水が区画室30dから区画室30cに流入し、汚染水によって区画室30cが充填されたのち、区画室30cと区画室30bとを連通する四個の連通孔32…を介して汚染水が区画室30cから区画室30bに流入し、汚染水によって区画室30bが充填されたのち、区画室30bと区画室30aとを連通する四個の連通孔32…を介して汚染水が区画室30bから区画室30aに流入する。
処理槽2内の容積が3000リットルで、給水ポンプ17の給水能力を毎分70リットルとすると、処理槽2内に供給された汚染水は、処理槽2内でおよそ43分間滞留することになる。
【0049】
このようにして、汚染水がすべての区画室30a,30b,30c,30dに貯留されたのち、制御装置9の操作盤を操作して各水中ポンプ4,5,6,7およびオゾン含有ガス供給装置8を駆動する。これによって、オゾン含有ガスがオゾン含有ガス供給装置8により各区画室30a,30b,30c,30dにそれぞれ供給されながら各区画室30a,30b,30c,30dに貯留した汚染水が各区画室30a,30b,30c,30dでそれぞれ個別に各水中ポンプ4,5,6,7により攪拌される。
なお、最上段の区画室30aに水位検出センサを配設して、区画室30aが汚染水によって満水状態になったことを水位検出センサが検出し、その検出信号を制御装置9が受信したとき、各水中ポンプ4,5,6,7およびオゾン含有ガス供給装置8を自動的に駆動するようにしてもよい。
【0050】
而して、処理槽2内に供給された汚染水は、各連通孔32…を介して各区画室30a,30b,30c,30dに流入すると共に、この流入した汚染水と、各区画室30a,30b,30c,30dにすでに貯留された汚染水と、オゾン含有ガス供給装置8により供給されたオゾン含有ガスとが、各連通孔32…に対向して配設された各水中ポンプ4,5,6,7のポンプ部10,11,12,13の吸引口10a,11a,12a,13a内に吸引され、各水中ポンプ4,5,6,7で攪拌されたのち、各水中ポンプ4,5,6,7の吐出口10b,11b,12b,13bからそれぞれ勢い良く排出される。
【0051】
前述したように構成された浄化処理装置1によれば、処理槽2内に、三個の区画壁25a,25b,25cによって鉛直方向に並ぶように四個の区画室30a,30b,30c,30dを区画形成したので、浄化処理装置1を設置する際に必要な床の面積を可及的小さくすることができる。
また、鉛直方向に並ぶように四個の区画室30a,30b,30c,30dを処理槽2内に区画形成し、連通孔32…を介して処理槽2内に汚染水を供給すると共に連通孔32…を介して区画室同士を連通し、オゾン含有ガスを各区画室30a,30b,30c,30dにそれぞれ供給しながら攪拌する一方、最上段の区画室30aから浄化処理後の処理水を処理槽2の外部に排出するようにしたので、最上段の区画室30aより下段の区画室に供給されたオゾン含有ガスで未反応のオゾン含有ガスは、それより上段の区画室で再び汚染水との反応に供されるため、未反応のまま無駄に排出されるオゾンガスの量を可及的少なくすることができる。
【0052】
また、この実施の形態による浄化処理装置1によれば、上段に位置する区画室の容積を下段に位置する区画室の容積以下になるように形成し、各区画室30a,30b,30c,30dにおけるオゾン含有ガスの供給量と水中ポンプ4,5,6,7による攪拌能力とを、容積が大きい区画室ほど多くなるようにしたので、区画室の容積に応じて適切な浄化処理が行われる。また、下段に位置する区画室でその容積に応じた前段階の浄化処理が行われ、ある程度、浄化処理された汚染水がそれより上段に位置する容積が小さい区画室でさらにその容積に応じた後段階の浄化処理が行われることによって、汚染水に対して浄化処理を均一に行うことができる。
【0053】
また、この実施の形態による浄化処理装置1によれば、各水中ポンプ4,5,6,7を各区画室30a,30b,30c,30dに対応してそれぞれ個別に設け、各水中ポンプ4,5,6,7の吸引口10a,11a,12a,13aを、連通孔32…の下流端の開口の近傍に位置付けたので、各区画室30a,30b,30c,30dにすでに貯留している汚染水とそれらの区画室30a,30b,30c,30dに連通孔32…の開口から供給される汚染水との双方をポンプが同時に吸引することで、それら双方の汚染水が各水中ポンプ4,5,6,7によって確実に攪拌され、汚染水中の汚染物質とオゾンとの反応が適切に行われる。
【0054】
また、この実施の形態による浄化処理装置1によれば、処理槽2の処理槽本体2cを円筒形状に形成し、処理槽本体2cの軸芯Oを囲むようにそれぞれ四個ずつ設けられた連通孔32…を介して各区画室30a,30b,30c,30dに汚染水を供給すると共にこれらの連通孔32…ごとに対応して水中ポンプ4,5,6,7をそれぞれ設け、各連通孔32…の下流端となる開口の近傍に各水中ポンプ4,5,6,7の吸引口10a,11a,12a,13aをそれぞれ位置付け、これらの水中ポンプ4,5,6,7の各吐出口10b,11b,12b,13bを、処理槽本体2cの軸芯Oを中心とする同一の旋回方向M1,M2,M3,M4をそれぞれ指向するように配置したので、各区画室30a,30b,30c,30dにすでに貯留している汚染水と各区画室30a,30b,30c,30dに連通孔32…の開口から供給される汚染水との双方を各水中ポンプ4,5,6,7が同時に吸引しながら同一の旋回方向M1,M2,M3,M4にそれぞれ吐出することで、汚染水が水中ポンプ4,5,6,7によって十分に攪拌されて汚染水中の汚染物質とオゾン含有ガスとが各区画室30a,30b,30c,30dで十分に接触し、汚染物質とオゾンとの反応が適切に行われる。
【0055】
また、この実施の形態による浄化処理装置1によれば、処理槽2の処理槽本体2cに固着された枠部材26の開口を蓋部材27で閉塞したとき各区画室30a,30b,30c,30dに臨む蓋部材27の底面部27bに水中ポンプ4,5,6,7を組み付けるようにしたので、枠部材26の開口を閉塞するように蓋部材27を組み付けるだけで、処理槽2の所望の位置に水中ポンプ4,5,6,7を配設することができる。
【0056】
また、この実施の形態による浄化処理装置1によれば、水中ポンプ4,5,6,7の電動モータ15a,15b,15c,15dに電源を供給する電線19とオゾン含有ガスを供給するガス管45a,45b,45c,45dとを、蓋部材27を貫通して処理槽2の内外を配索するようにしたので、電線19とガス管45a,45b,45c,45dとを予め蓋部材27を貫通して配索しておけば、枠部材26の開口に蓋部材27を組み付けるだけで電線19とガス管45a,45b,45c,45dとを処理槽2の内外に亘って容易に配索することができる。
【0057】
さらにまた、オゾン含有ガス供給装置8によってオゾン含有ガスを各水中ポンプ4,5,6,7の吸引口10a,11a,12a,13a内に供給するようにしたので、汚染水とオゾン含有ガスとがポンプの吸引口10a,11a,12a,13a内に一緒に吸引されて各水中ポンプ4,5,6,7のポンプ部10,11,12,13内で攪拌されながら吐出されることで、オゾン含有ガスが微細化されオゾン含有ガス中のオゾンが汚染物質に接触しやすくなり汚染物質とオゾンとの反応が適切に行われる。
【0058】
なお、前述した実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、前記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と明細書との全体から読み取れる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更後の基板検査装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
例えば、前述した実施の形態においては、処理槽2内に四個の区画室30a,30b,30c,30dを形成した例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、処理槽2内に形成する区画室は二個以上であればよい。
【0059】
また、前述した実施の形態においては、各水中ポンプ4,5,6,7を処理槽2内の各区画室30a,30b,30c,30dにそれぞれ配置した例を示したが、これに代えて、各水中ポンプ4,5,6,7を処理槽2の外部に配置し、各水中ポンプ4,5,6,7の吸引口10a,11a,12a,13aと吐出口10b,11b,12b,13bとをそれぞれ配管を介して処理槽2内の各区画室30a,30b,30c,30dにそれぞれ配置するようにしてもよい。
【0060】
また、水中ポンプ4,5,6,7の全ての吸引口10a,11a,12a,13aを、各連通孔32…の、汚染水が通過する経路から見て下流端となる開口の近傍に位置付ける例を示したが、これに代えて、一つまたは二つ以上の一部の吸引口を連通孔32の下流端となる開口の近傍に位置付け、他の残りの吸引口を連通孔32から離間した位置に位置付けるようにしてもよい。
【0061】
さらにまた、各水中ポンプ4,5,6,7の各吐出口10b,11b,12b,13bを各区画室30a,30b,30c,30dにおいて処理槽本体2cの軸芯Oを中心とする同一の旋回方向M1,M2,M3,M4をそれぞれ指向するように配置する例を示したが、これに代えて、区画室30a,30b,30c,30dのうち何れかの三つ以下の区画室において処理槽本体2cの軸芯Oを中心とする同一の旋回方向を指向するように水中ポンプの吐出口を位置付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る浄化処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は浄化処理装置の処理槽の外観を正面から見た状態を示す外観図である。
【図3】図3は図2の正面から見た処理槽を、紙面に平行な断面で処理槽の中央にて破断した状態を示す中央縦断面図である。
【図4】図4は図2の矢視A−A線に沿って処理槽を破断した状態を示す横断面図である。
【図5】図5は図2の矢視B−B線に沿って処理槽を破断した状態を示す横断面図である。
【図6】図6は図2の矢視C−C線に沿って処理槽を破断した状態を示す横断面図である。
【図7】図7は図2の矢視D−D線に沿って処理槽を破断した状態を示す横断面図である。
【図8】図8は図2の矢視E−E線に沿って処理槽を破断した状態を示す横断面図である。
【図9】図9は図3における左側の一部を拡大した状態を示す拡大縦断面図である。
【図10】図10の(a)は図3の一部を拡大した状態を示す拡大断面図、同図の(b)は図4および図5の一部を拡大した状態を示す拡大断面図である。
【図11】図11の(a)は図3の他の一部を拡大した状態を示す拡大断面図、同図の(b)は図6,図7および図8の一部を拡大した状態を示す拡大断面図である。
【図12】図12は図2の矢視F−F線に沿う断面図である。
【図13】図13の(a)は本発明でいう攪拌装置を構成する水中ポンプを、一部を破断して示した断面図、同図の(b)は同図の(a)の矢視G−G線に沿う断面図である。
【図14】図14の(a)は本発明でいう攪拌装置を構成する他の水中ポンプを、一部を破断して示した断面図、同図の(b)は同図の(a)の矢視H−H線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 浄化処理装置
2 処理槽
2a 底面部材(殻壁)
2b 上面部材(殻壁)
2c 処理槽本体(殻壁)
4 攪拌装置(水中ポンプ)
5 攪拌装置(水中ポンプ)
6 攪拌装置(水中ポンプ)
7 攪拌装置(水中ポンプ)
8 オゾン含有ガス供給装置
10 ポンプ部
10a 吸引口
10b 吐出口
11 ポンプ部
11a 吸引口
11b 吐出口
12 ポンプ部
12a 吸引口
12b 吐出口
13 ポンプ部
13a 吸引口
13b 吐出口
15a 電動モータ
15b 電動モータ
15c 電動モータ
15d 電動モータ
19 電線
25a 区画壁
25b 区画壁
25c 区画壁
27 蓋部材
27b 底面部
30a 区画室
30b 区画室
30c 区画室
30d 区画室
32 連通孔
45a ガス管
45b ガス管
45c ガス管
45d ガス管
51 ガス抜き管
O 軸芯
M1 旋回方向
M2 旋回方向
M3 旋回方向
M4 旋回方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染水が貯留された処理槽内に、組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスを供給して前記汚染水を浄化処理するようにした浄化処理装置において、
前記処理槽内に、一つまたは二つ以上の区画壁によって鉛直方向に並ぶように複数の区画室を区画形成し、
前記複数の区画室のうち最下段の区画室と前記処理槽の外部とを連通する連通孔を介して前記処理槽内に汚染水を供給する一方、
前記複数の区画室で上下方向で隣り合う上段の区画室と下段の区画室とを連通する連通孔を介して前記下段の区画室から前記上段の区画室に汚染水を供給し、
前記オゾン含有ガスをオゾン含有ガス供給装置により前記各区画室にそれぞれ供給しながら各区画室に貯留した汚染水を各区画室でそれぞれ個別に攪拌装置により攪拌し、
前記各区画室のうち最上段の区画室から浄化処理後の処理水を前記処理槽の外部に排出し、
前記処理槽の外部と前記最上段の区画室とを連通し処理槽内のガスを処理槽の外部に排出するガス抜き孔を処理槽の上部の殻壁に設けたことを特徴とする浄化処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浄化処理装置において、
前記複数の区画室で上下方向で隣り合う区画室同士を、上段に位置する区画室の容積を下段に位置する区画室の容積以下になるように形成し、
前記各区画室における、前記オゾン含有ガス供給装置による前記オゾン含有ガスの供給量と前記攪拌装置による攪拌能力とを、容積が大きい区画室ほど多くなるようにしたことを特徴とする浄化処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の浄化処理装置において、
前記攪拌装置は、前記区画室に供給された汚染水を吸引する吸引口とその吸引した汚染水を同区画室に吐出する吐出口とを備えたポンプからなり、
前記ポンプは、前記各区画室に対応してそれぞれ個別に設けられ、
前記各ポンプのうち少なくとも何れか一つのポンプの前記吸引口を、前記連通孔の、汚染水が通過する経路から見て下流端となる開口の近傍に位置付けたことを特徴とする浄化処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の浄化処理装置において、
前記処理槽の処理槽本体を、該処理槽を設置したとき処理槽本体の軸芯が鉛直方向に沿うような円筒形状に形成し、
前記複数の区画室のうち少なくとも一つの区画室には、前記軸芯を囲むように設けられた複数の連通孔を介して汚染水を供給すると共にこれらの複数の連通孔ごとに対応して前記ポンプをそれぞれ設け、
前記軸芯を囲むように設けられた各連通孔の、汚染水が通過する経路から見て下流端となる開口の近傍に前記各ポンプの吸引口をそれぞれ位置付ける一方、
これらのポンプの各吐出口を、前記少なくとも一つの区画室において前記軸芯を中心とする同一の旋回方向を指向するように配置したことを特徴とする浄化処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の浄化処理装置において、
前記処理槽の外部から前記区画室に前記ポンプを配置可能なポンプ組付用開口を前記処理槽の殻壁に形成し、
前記ポンプ組付用開口を蓋部材により液密に閉塞し、
前記ポンプ組付用開口を閉塞したとき前記区画室に臨む前記蓋部材の底面部に前記ポンプを固定するようにしたことを特徴とする浄化処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の浄化処理装置において、
前記ポンプは、ポンプ部と該ポンプ部を駆動する電動モータとを備え、
前記電動モータに電源を供給する電線と前記オゾン含有ガスを供給するガス管とを、前記蓋部材を貫通して前記処理槽の内外に亘って配索するようにしたことを特徴とする浄化処理装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のうち何れか一つに記載の浄化処理装置において、
前記オゾン含有ガス供給装置によって前記オゾン含有ガスを前記ポンプの吸引口内に供給するようにしたことを特徴とする浄化処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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