説明

浄化装置及び燃焼装置

【課題】ボイラをはじめとする燃焼装置から発生する燃焼ガスG1に含まれるSOを低減、除去し、燃焼ガスG1中の有害ガスを除去する触媒が劣化するのを抑制可能な浄化装置及びこの浄化装置を用いた燃焼装置を提供すること。
【解決手段】燃焼により発生した燃焼ガスG1に含まれるSOを削減するための浄化装置18であって、前記燃焼ガスG1が通過可能とされるガス流路Rと、前記ガス流路Rに配置されたSO酸化触媒Vとを備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃焼装置において発生する燃焼ガス中のSO(硫黄酸化物)を削減することが可能な浄化装置及び燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ等の燃焼装置において、バーナが燃焼して発生する燃焼ガスには、CO(一酸化炭素)、NO(窒素酸化物)等の有害ガスが含まれ、これら有害ガスを所定の数値(例えば、規制値等)以下に削減する場合、燃焼ガスを触媒と反応させて除去することが行われている。
このように、燃焼ガスに含まれる有害ガスを触媒と反応させて除去する技術として、例えば、CO酸化触媒を排ガス通路に配置してCOを酸化、除去する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−69139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、バーナの燃焼により発生した燃焼ガスには、燃料ガスに安全上の観点から添加される付臭剤や重油等の燃料に含まれるS(硫黄)分、又は大気に含まれるSO(硫黄酸化物)に由来するSOが一般的に含有されており、燃焼ガスを排出するにあたってSOを所定値以下に低減することが必要な場合がある。
【0004】
また、バーナの燃焼量に比例してSOが生成されると、SOが上記CO酸化触媒等と接触してSOに起因するS(硫黄)が貴金属等の触媒活性材料と反応して触媒を被毒化して触媒を劣化、寿命低下させるために、CO酸化触媒等に関するランニングコストの増大が発生するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、ボイラをはじめとする燃焼装置から発生する燃焼ガスに含まれるSOを低減、除去し、燃焼ガス中の有害ガスを除去する触媒が劣化するのを抑制可能な浄化装置及び燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1記載の発明は、燃焼により発生した燃焼ガスに含まれるSOを削減するための浄化装置であって、前記燃焼ガスが通過可能とされるガス流路と、前記ガス流路に配置された硫酸生成触媒とを備えてなることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る浄化装置によれば、燃焼ガスが通過可能とされるガス流路に硫酸生成触媒を備えた浄化装置が配置されているので、例えば、燃焼ガスに含まれているSO(二酸化硫黄)、SO(三酸化硫黄)等のSOを吸着するとともに、吸着したSOが酸化されてSOとされる。このSOを水に吸収させて硫酸とすることにより、燃焼ガスに含まれるSOを削減することができる。
この明細書において、硫酸生成触媒とは、少なくとも燃焼ガス中のSOを吸着可能とされ、吸着したSOを触媒反応によって酸化してSOとすることが可能な触媒をいう。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の浄化装置であって、前記ガス流路の前記硫酸生成触媒の下流側に、CO酸化触媒とNO還元触媒の少なくともいずれかを備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る浄化装置によれば、CO酸化触媒とNO還元触媒の少なくともいずれかを備え、ガス流路の硫酸生成触媒の下流側に配置されているので、少なくともCO、NOのいずれかを削減するとともに、これら触媒のS(硫黄)被毒化が抑制されて触媒の寿命が延長される。
【0010】
請求項3記載の発明は、燃焼部と、前記燃焼部で生成された燃焼ガスが流通する排ガス流路とを備えた燃焼装置であって、前記排ガス流路に、請求項1又は請求項2に記載の浄化装置が配置されていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る浄化装置又は燃焼装置によれば、燃焼ガスに含まれるSOから硫酸を生成して燃焼ガスに含まれるSOを削減するので、SO濃度を低減した燃焼ガスを排出することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る浄化装置又は燃焼装置によれば、燃焼ガスに含まれるSOから硫酸を生成するので燃焼ガスに含まれるSOを削減することができる。
その結果、SO濃度が低減された燃焼ガスを排出することができる。
また、浄化装置にCO酸化触媒等、有害ガスを除去する触媒が硫酸生成触媒の下流側に配置されている場合、CO酸化触媒等のS(硫黄)被毒化が抑制され、その結果、触媒の寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図1を参照し、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る小型貫流式のボイラ(燃焼装置)10の縦断面図を示している。
【0014】
ボイラ10は、燃料供給部12と、缶体13と、バーナ14と、排出路17と、浄化装置18と、エコノマイザ19とを備えており、排出路17には、浄化装置18、エコノマイザ19が上流からこの順に設けられている。
また、バーナ14から排出路17の排出口17Aに至るまで間には、バーナ14で発生した燃焼ガスG1が流通するガス流路Rが形成されている。なお、ガス流路Rは燃焼ガスG1が流通しボイラ10外に排出されるための排ガス流路としても用いられている。
【0015】
この明細書において、燃焼ガスG1とは、燃料ガスの燃焼反応が完了したものおよび燃焼反応中の燃料ガスの少なくとも一方を含む概念であり、燃料ガスの燃焼反応が完了したものおよび燃焼反応中の燃料ガスの両方を有する場合、燃焼反応中の燃料ガスのみを有する場合、燃料ガスの燃焼反応が完了したもののみを有する場合の、いずれをも含む概念である。
【0016】
また、実施形態において、ボイラ10の燃料は、例えば、生ガスと燃焼用空気とが混合された燃料ガスとされている。なお、燃料ガスに代えて、重油をはじめとする液体燃料、微粉炭を用いてもよい。
【0017】
燃料供給部12は、燃焼用空気を供給する送風ファン12aと、生ガスを供給するノズル12bとを備え、送風ファン12aから送風された燃焼用空気とノズル12bから供給された生ガスとがダクト内で混合されて燃料ガスが生成されるようになっている。
【0018】
バーナ14は、水管群13B側の面に複数のノズル孔が平面状に配列されたバーナエレメント14Aを有し、燃料供給部12から供給された燃料ガスがバーナエレメント14Aで燃焼するようになっている。
図1においてバーナエレメント14Aから水管群13B側に示した破線部は、バーナエレメント14Aで形成される火炎を概念的に表したものである。
なお、バーナ14に代えて、複数のノズル孔が平面状に配置された予混合式バーナ以外の周知のバーナを用いることも可能である。
【0019】
缶体13は、下部管寄せ13Aと、水管群13Bと、上部管寄せ13Cとを備え、水管群13Bは、複数の内側水管と複数の外側水管とを有し、それぞれの内側水管及び外側水管は、下部管寄せ13Aと上部管寄せ13Cとの間に垂直方向に配置され、下部管寄せ13A及び上部管寄せ13Cと通水可能に接続されている。
【0020】
バーナ14の燃焼で発生した高温の燃焼ガスG1は、缶体13内に形成されたガス流路Rを通過しながら水管群13Bの水を加熱し、排出路17に導入された後に浄化装置18を経由してエコノマイザ19に到達し、エコノマイザ19の水を加熱した後に排出口17Aから排出されるようになっている。
エコノマイザ19は、排出路17を通過する燃焼ガスG1との熱交換により水が加熱され、加熱された水を缶体13に供給するようになっている。
【0021】
浄化装置18は、燃焼ガスG1に含まれているSOから硫酸を生成することによりSOを除去可能とされており、この実施形態に係る浄化装置18は、燃焼ガスG1が通過するガス流路Rに、SO酸化触媒(硫酸生成触媒)Vと、CO(一酸化炭素)を酸化して除去するCO酸化触媒C1とを備え、これらが上流側からこの順番に配置されている。
【0022】
SO酸化触媒Vは、燃焼ガスG1に含まれるSO(二酸化硫黄)、SO(三酸化硫黄)等のSOを吸着し、吸着されたSO(二酸化硫黄)等を酸化してSO(三酸化硫黄)とするものであり、例えば、V(酸化バナジウム)に助触媒としてカリウム塩を添加し、ケイソウ土、シリカゲル等が担体とされた構成の周知の触媒を用いることが可能である。また、SO酸化触媒Vは、430℃以上の温度域に配置されている。
なお、SO酸化触媒Vには図示しない吸収塔が接続されていて、SO酸化触媒Vから移送されたSO(三酸化硫黄)を水に吸収させて硫酸を生成することができるようになっている。
【0023】
CO酸化触媒C1は、例えば、図2に示すように厚さ方向に複数の通気孔Pが形成された矩形平板状の基材C10の表面に、触媒活性材料として、例えば白金が担持されて構成されている。
基材C10は、帯状の平板からなる第1の基材C11と波板からなる第2の基材C12とを交互に重ね合わせたものを側板C13により囲んで固定した構造とされている。
第1の基材C11及び第2の基材C12は、それぞれ排ガスとの接触面積を広くするために表面処理が施されて表面に多数の微小凹凸が形成されたステンレス板からなり、この微小凹凸に触媒活性材料が担特されている。
【0024】
なお、CO酸化触媒C1の構造は、特に限定されるものではなく、基材C10に代えて、例えば、ステンレス以外の金属やセラミックにより形成された通気可能な基材の表面に触媒活性材料を担持させた構成としてもよいし、燃焼ガスG1の通気性を通気孔Pではなく一定しない方向の通気孔Pを有するスポンジ状の多孔性構造、又は通気可能な流路が形成された容器内に触媒活性材料が担持されたペレットを多数収容した構成としてもよい。
なお、触媒活性材料として、白金以外の貴金属(Ag、Au、Rh、Ru、Pt、Pd、Ir)又は金属酸化物(NiO、CuO、C、MnO)を用いてもよい。
【0025】
次に、ボイラ10の作用について説明する。
1)燃料供給部11からバーナ14に供給された燃料ガスが、バーナエレメント14Aのノズル孔から噴出、燃焼して、高温の燃焼ガスG1が生成される。
2)燃焼ガスG1は、ガス流路Rを通過しながら水管群13B内の水を加熱して蒸気とし、水管群13Bを通過した後に燃焼ガス排出路17の排出ロ17Aに向かって移動する。加熱により生じた蒸気は上部管寄せ15を経由して蒸気消費説備に供給される。
3)水管群13Bを通過した燃焼ガスG1は、次いでSO酸化触媒Vを通過して燃焼ガスG1に含まれるSO(二酸化硫黄)、SO(三酸化硫黄)等のSOがSO酸化触媒Vに吸着されて燃焼ガスG1中のSOが削減される。SO酸化触媒Vに吸着されたSO(二酸化硫黄)等は酸化されてSO(三酸化硫黄)となり、吸収塔に移送されて水に吸収されることにより硫酸となる。
4)SO酸化触媒Vを通過した燃焼ガスG1は、次いでCO酸化触媒C1を通過して燃焼ガスG1に含まれたCOが酸化され削減される。
【0026】
ボイラ10及び浄化装置18によれば、燃焼ガスG1が通過可能とされるガス流路RにSO酸化触媒Vを備えた浄化装置が配置されているので、燃焼ガスG1に含まれるSOを削減することができる。
【0027】
また、CO酸化触媒C1がSO酸化触媒Vの下流側に配置されて、CO酸化触媒C1をSOが削減された燃焼ガスG1が通過するので、CO酸化触媒C1のS(硫黄)被毒化が抑制されて寿命を延長することができる。その結果、ランニングコストを削減することができる。また、副産物として、硫酸を生成することができる。
【0028】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、V(酸化バナジウム)に助触媒としてカリウム塩を添加し、ケイソウ土、シリカゲル等が担体とされたSO酸化触媒Vを用いる場合について説明したが、例えば、活性炭、カーボンナノチューブ等を単体でSO酸化触媒として用い、又は活性炭、カーボンナノチューブを担体として触媒活性材料を担持させた構成のSO酸化触媒を適用してもよい。
また、アルカリ金属等、周知の触媒活性材料を上記担体等と組み合わせて適用可能であることは当然である。
また、SO酸化触媒におけるSOが酸化や、SOを吸収して硫酸を生成する場合に、外部から供給した水蒸気、又は燃焼ガスG1に含まれた水蒸気を適用してもよい。
【0029】
なお、上記実施の形態においては、浄化装置18がSO酸化触媒VとCO酸化触媒C1とを備える場合について説明したが、CO酸化触媒C1に代えて、又はCO酸化触媒C1とともにNO還元触媒C2をSO酸化触媒Vの下流側に備える構成としてもよい。
【0030】
また、上記実施の形態において、浄化装置18の下流側にエコノマイザ19が配置される場合について説明したが、燃焼ガスG1の温度によっては、浄化装置18の上流側にエコノマイザ19が配置される構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、燃焼装置が小型貫流型のボイラ10である場合について説明したが、例えば、順流缶体ボイラ、オメガフロータイプボイラ、炉筒煙管ボイラ、給湯器等の種々の構造のボイラ、焼却炉等のボイラ以外の燃焼装置に対しても適用することが可能である。
【0031】
また、上記実施の形態においては、SO酸化触媒V、CO酸化触媒C1が排出路17のガス流路Rに配置される湯合について説明したが、これら触媒をバーナ14と缶体13、缶体13内、又は缶体13と排出路17までの間に配置する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係るボイラの概略を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るCO酸化触媒の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
G1 燃焼ガス
R ガス流路(排ガス流路)
C1 CO酸化触媒
V SO酸化触媒(硫酸生成触媒)
10 ボイラ(燃焼装置)
14 バーナ(燃焼部)
17 排出路(排ガス流路、ガス流路)
18 浄化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼により発生した燃焼ガスに含まれるSOを削減するための浄化装置であって、
前記燃焼ガスが通過可能とされるガス流路と、
前記ガス流路に配置された硫酸生成触媒とを備えてなることを特徴とする浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浄化装置であって、
前記ガス流路の前記硫酸生成触媒の下流側に、CO酸化触媒とNO還元触媒の少なくともいずれかを備えていることを特徴とする浄化装置。
【請求項3】
燃焼部と、
前記燃焼部で生成された燃焼ガスが流通する排ガス流路とを備えた燃焼装置であって、
前記排ガス流路に、請求項1又は請求項2に記載の浄化装置が配置されていることを特徴とする燃焼装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−172476(P2009−172476A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11843(P2008−11843)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】