Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
浄化装置
説明

浄化装置

【課題】小さく軽い浄化装置を提供する。
【解決手段】浄化装置14は、空間11を挟んで対向して設けられた光源部7と光触媒部10とを備え、前記光源部7は、第1基体1と、第1基体1の前記光触媒部10側に設けられた第1電極3と、第1電極3上に設けられ、かつ、発光体を内部に有する誘電体層5と、前記誘電体層5の上に設けられた透光性電極6とを備え、前記光触媒部10は、第2基体8と、第2基体8の前記光源部7側に設けられ、かつ、前記空間11と接する光触媒層9とを備え、第1電極3と前記透光性電極6の間に電圧を印加することにより前記発光体を発光させ、前記発光体が発した光を前記光触媒層9が受光することにより前記空間11に存在する気体または液体を浄化することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酸化チタンなどの光触媒に紫外線光源(ブラックライト、水銀灯など)を照射することにより、光触媒の表面に接触する有機物をCO2などに酸化する浄化装置が知られている(例えば、特許文献1)。これらの浄化装置により、例えば、光触媒の表面に水などを接触させると、水中の汚染物質の分解や殺菌を行うことができる。また、例えば、光触媒の表面に空気を接触させると、空気中の有機物質などを酸化することができる。
【0003】
光触媒による有機物の酸化分解機構は、光触媒が受光することにより、光触媒の価電子帯の電子が励起され、伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が形成され、この正孔が光触媒の表面に吸着するOH−と反応し、OHラジカルが生成するためと考えられている。
OHラジカルは活性種の中でも強い酸化力を有するため(酸化電位:OHラジカル:約3.0eV、塩素:1.36eV、オゾン:2.07eV)、水中や空気中の有機物や細菌、真菌、ウイルスなどの有機性不純物を酸化分解することができる。また、光触媒が受光することにより発生するOHラジカルは、従来殺菌のために使われてきたオゾン、塩素などと違い残留性がないという利点も有している。
【0004】
光触媒としては、酸化チタン(TiO2)が一般的に使われている。酸化チタンは、一般に入手容易であるとともに、約388nm以下の波長の光を受光することにより光触媒活性を有する。また、酸化チタンは、バンドギャップが3.2eV であり、電子と正孔の再結合が起こりにくく、再結合による失活率が小さいという利点も有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−211851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の光触媒を利用した浄化装置では、光触媒を活性化させる光源として水銀ランプなどの比較的大きいものを用いるため、より小型化した浄化装置が望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、小さく軽い浄化装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、空間を挟んで対向して設けられた光源部と光触媒部とを備え、前記光源部は、第1基体と、第1基体の前記光触媒部側に設けられた第1電極と、第1電極上に設けられ、かつ、発光体を内部に有する誘電体層と、前記誘電体層の上に設けられた透光性電極とを備え、前記光触媒部は、第2基体と、第2基体の前記光源部側に設けられ、かつ、前記空間と接する光触媒層とを備え、第1電極と前記透光性電極の間に電圧を印加することにより前記発光体を発光させ、前記発光体が発した光を前記光触媒層が受光することにより前記空間に存在する気体または液体を浄化することを特徴とする浄化装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1電極と透光性電極との間に電圧を印加することにより、誘電体層の内部の発光体を発光させることができ、発光体から発せられた光を光触媒層に照射することができる。このことにより、光触媒の表面の光触媒活性を高くすることができ、光触媒の表面に接触する有機物などを酸化することができる。従って、気体や液体を光源部と光触媒部との間の空間に存在させることにより、気体や液体を光触媒の表面に接触させることができ、気体や液体を浄化することができる。
【0009】
本発明によれば、第1基体と、第1電極と、発光体を内部に有する誘電体層と、透光性電極とからなる光源部により光触媒に光を照射するため、光源部の厚さを1mm以下とすることができ、小さく軽い浄化装置を提供することができる。また、このため、携帯用の浄化装置とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の浄化装置の構成を示す概略平面図である。
【図2】図1の一点鎖線B−B’における浄化装置の概略断面図である。
【図3】図1の点線A−A’における浄化装置の概略断面図である。
【図4】図3の点線Cで囲んだ範囲の拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態の浄化装置の構成を示す概略断面図である。
【図6】本発明の一実施形態の浄化装置の構成を示す概略断面図である。
【図7】EL測定実験のために作製した発光素子の発光スペクトルを示したグラフである。
【図8】種々の温度で熱処理を行って作製した発光素子についてのEL波長測定結果を示したグラフである。
【図9】種々のGe濃度の発光素子についてのEL波長測定結果を示したグラフである。
【図10】(a)は種々の深さで測定したXPSスペクトルを示す。(b)は、種々の深さでのGe、Ge2+、Ge4+の割合を示すグラフである。
【図11】種々の深さでの酸化ゲルマニウム全体(Ge4++Ge2+)に対するGe2+、Ge4+の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の浄化装置は、空間を挟んで対向して設けられた光源部と光触媒部とを備え、前記光源部は、第1基体と、第1基体の前記光触媒部側に設けられた第1電極と、第1電極上に設けられ、かつ、発光体を内部に有する誘電体層と、前記誘電体層の上に設けられた透光性電極とを備え、前記光触媒部は、第2基体と、第2基体の前記光源部側に設けられ、かつ、前記空間と接する光触媒層とを備え、第1電極と前記透光性電極の間に電圧を印加することにより前記発光体を発光させ、前記発光体が発した光を前記光触媒層が受光することにより前記空間に存在する気体または液体を浄化することを特徴とする。
【0012】
本発明の浄化装置において、前記発光体は、ゲルマニウム原子を含む微粒子であることが好ましい。
このような構成によれば、第1電極と透光性電極の間に電圧を印加することにより発光体から388nm以下の発光波長を有する光を発光させることができる。このことにより、光触媒層の光触媒に酸化チタンなどの紫外線を受光して光触媒活性を示す材料を使用することができ、光触媒の酸化活性を高くすることができる。
本発明の浄化装置において、前記発光体は、ゲルマニウム原子を前記誘電体層にイオン注入し、熱処理することにより形成されることが好ましい。
このような構成によれば、誘電体層の内部にゲルマニウム原子を含む微粒子を形成することができる。
【0013】
本発明の浄化装置において、前記発光体は、酸化ゲルマニウムを含み、前記酸化ゲルマニウムは、+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子を含むことが好ましい。
このような構成によれば、発光体の発光強度を大きくすることができる。
本発明の浄化装置において、前記発光体は、前記酸化ゲルマニウムに含まれる+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子の合計を100%としたとき、+2価のゲルマニウム原子を10%以上含むことが好ましい。
このような構成によれば、発光体の発光強度をより大きくすることができる。
【0014】
本発明の浄化装置において、前記発光体は、1nm以上20nm以下の最大粒径を有することが好ましい。
このような構成によれば、発光体の発光強度をより大きくことができる。
本発明の浄化装置において、前記発光体は、第1電極と前記透光性電極の間に電圧を印加することにより340nm〜440nmの範囲内に発光波長のピークを有するエレクトロルミネッセンスを示すことが好ましい。
このような構成によれば、光触媒層の光触媒に酸化チタンなどの紫外線を受光して光触媒活性を示す材料を使用することができ、光触媒の酸化活性を高くすることができる。
【0015】
本発明の浄化装置において、2つ以上の開口をさらに備えることが好ましく、2つ以上の開口は、それぞれ前記空間と前記浄化装置の外部とを通じさせ、前記空間に存在する気体または液体は、それぞれ前記浄化装置の外部に存在する気体または液体と置換可能であることが好ましい。
このような構成によれば、光源部と光触媒部との間の空間に存在する気体または液体と、浄化装置の外部に存在する気体または液体とを置換することができ、浄化装置を設置した場所の気体または液体を連続して浄化することができる。
本発明の浄化装置において、前記透光性電極の上に防水層をさらに備えることが好ましい。
このような構成によれば、光源部と光触媒部との間に水を導入したても、水による透光性電極の腐食やリーク電流の発生を防止することができる。
本発明の浄化装置において、前記光源部と前記光触媒部は、前記空間を挟んで対向するように接合されることが好ましい。
このような構成によれば、光源部と光触媒部との間の空間を確保でき、本発明の浄化装置を小型化することができる。
【0016】
本発明の浄化装置において、第1基体は、半導体基板であり、第1電極は、前記半導体基板にn型不純物が拡散した部分であることが好ましい。
このような構成によれば、誘電体層を半導体基板の表面を酸化することにより容易に形成することができ、また、n型不純物を拡散させることにより第1電極を容易に形成することができる。また、光源部の厚さを1mm以下とすることができる。
本発明の浄化装置において、前記半導体基板は、シリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコン化合物基板またはゲルマニウム化合物基板であることが好ましい。
このような構成によれば、誘電体層および第1電極を容易に形成することができる。
【0017】
本発明の浄化装置において、前記誘電体層は、前記半導体基板の表面酸化膜であることが好ましい。
このような構成によれば、誘電体層、例えば、酸化絶縁体層を半導体基板の表面を酸化することにより容易に形成することができる。
本発明の浄化装置において、前記透光性電極は、300nm以上500nm以下の波長を有する光の透過率が60%以上99.99%以下であることが好ましい。
このような構成によれば、発光体が発した光を効率よく光触媒層に照射することができる。
【0018】
本発明の浄化装置において、前記光触媒層は、酸化チタンからなることが好ましい。
このような構成によれば、光触媒である酸化チタンの表面で有機物を酸化させることができ、気体または液体を浄化することができる。
本発明の浄化装置において、前記光触媒層は、Pt、Pd、Ru、Rh、Au、Ag、Cu、Fe、Ni、Zn、Ga、Ge、InおよびSnのうち少なくとも1つの金属が担持された酸化チタンからなることが好ましい。
このような構成によれば、光触媒層の浄化能力を高くすることができる。
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0020】
浄化装置の構成
図1は本発明の一実施形態の浄化装置の構成を示す概略平面図であり、図2は図1の一点鎖線B−B’における浄化装置の概略断面図であり、図3は図1の点線A−A’における浄化装置の概略断面図であり、図4は図3の点線Cで囲んだ範囲の拡大図である。また、図5、6は本発明の一実施形態の浄化装置の構成を示す概略断面図である。
【0021】
本実施形態の浄化装置14は、空間11を挟んで対向して設けられた光源部7と光触媒部10とを備え、光源部7は、第1基体1と、第1基体1の光触媒部10側に設けられた第1電極3と、第1電極3上に設けられ、かつ、発光体15を内部に有する誘電体層5と、誘電体層5の上に設けられた透光性電極6とを備え、光触媒部10は、第2基体8と、第2基体8の光源部7側に設けられ、かつ、空間11と接する光触媒層9とを備え、第1電極3と透光性電極6の間に電圧を印加することにより発光体15を発光させ、発光体15が発した光を光触媒層9が受光することにより空間11に存在する気体または液体を浄化することを特徴とする。
【0022】
また、本実施形態の浄化装置14は、防水層18さらに有してもよい。
以下、本実施形態の浄化装置14について説明する。
【0023】
浄化装置
1.浄化装置
浄化装置14は、空間11に存在する気体または液体を浄化する装置である。気体を浄化する場合、浄化装置14は、気体中に設置され、例えば、室内の空気を浄化する場合、室内に設置される。液体を浄化する場合、浄化装置14は、液体中に設置され、例えば、水槽内の水を浄化する場合、浄化装置14は、水槽中に設置される。
【0024】
2.空間
空間11は、光源部7と光触媒部10との間に形成され、浄化する液体や気体が存在する。また、空間11は、光触媒層9に接する。このことにより、空間11に存在する液体や気体は、光触媒の表面に接触することができ、液体や気体に含まれる有機物を光触媒により酸化することにより、液体や気体を浄化することができる。
また、空間11は、2つ以上の開口12を介してそれぞれ浄化装置14の外部と通じていてもよい。このことにより、浄化装置14の外部の浄化したい気体や液体を交換して空間11に存在させ浄化することができ、浄化装置14を設置した場所の気体や液体を浄化することができる。
また、空間11に存在させる液体または気体の置換は、自然対流により置換してもよく、液体または気体の温度分布を形成することにより対流させてもよく、ファンやポンプなどにより強制的に置換してもよい。
【0025】
3.光源部
光源部7は、光触媒部10に照射する光を発光する部分であり、第1基体1と、第1電極3と、誘電体層5と、透光性電極6とを備える。また、光源部7は、浄化する気体または液体を存在させる空間11を挟んで光触媒部10と対向する。また、光源部7は、空間11を形成するように光触媒部10と接合部材13などで接合されてもよい。また、光源部7が発する光は、光触媒層9に照射され光触媒の酸化活性を高くするために用いられるが、照明として利用することもできる。
【0026】
光源部7は、第1電極3と透光性電極6との間に電圧を印加することができるように形成され、第1電極3と透光性電極6との間に電圧を印加することにより誘電体層5に含まれる発光体15が発光する。この発光体15が発光する原理は、第1電極3と透光性電極6との間に電圧を印加することにより誘電体層5に電流が流れ、この電流により発光体15が発光すると考えられる。
【0027】
光源部7が発する光の波長は、光触媒層9に含まれる光触媒の酸化活性を高くすることができる波長であれば特に限定されないが、例えば、波長のピークが340〜440nm(より厳密には、350〜430nm,360〜420nm,370〜410nm,380〜400nm又は385〜395nm)の範囲内である。
光源部7は、透光性電極6と第1電極3との間に電圧を印加することにより発光することができる。例えば、透光性電極6に負の電圧を印加し、第1電極3に正の電圧を印加することにより、発光させることができる。
【0028】
透光性電極6と第1電極3との間に印加する電圧の大きさは、発光体15を発光させることができれば特に限定されないが、例えば、誘電体層5に電界強度が5MV/cm 〜 12MV/cmの電界を形成することができる電圧を透光性電極6と第1電極3との間に印加することができる。
【0029】
3.第1基体
第1基体1は、第1電極3と、誘電体層5と、透光性電極6を形成するための基体となるものであれば、特に限定されない。第1基体1は、例えば、半導体基板、SiO2基板、ガラス板などとすることができる。特に、第1基体1を半導体基板とすることにより、第1電極3を半導体基板に不純物が拡散した部分とすることができ、誘電体層5を半導体基板の表面酸化膜とすることができる。このような構成により、光源部7の厚さを1mm以下とすることができる。
【0030】
半導体基板としては、例えば、p型シリコン基板、n型シリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコン化合物基板、ゲルマニウム化合物基板などを用いることができる。また、第1電極3が形成された第1基体1としては、例えば、p型のシリコン基板の上部にn型領域が形成されたものでもよく、n型のシリコン基板の上部にp型領域が形成されたものでもよい。また、SiO2基板などの上にp型シリコン層またはn型シリコン層を形成したものでもよく、Si基板の上にSiO2などの誘電体層を形成し、その上にp型シリコン層またはn型シリコン層を形成したものでもよく、SOI(Silicon On Insulator)基板であってもよい。
【0031】
4.第1電極
第1電極3は、第1基体1の光触媒部10側に設けられる。また、第1電極3は、誘電体層5に電圧を印加することができるように形成される。第1電極3は、例えば、第1基体1上に形成された金属膜、ITO電極などであり、また、第1基体1を半導体基板の場合、半導体基板の一部にn型不純物またはp型不純物が拡散した部分であってもよい。このことにより、第1基体1の光触媒部10側に第1電極3を形成することができる。
【0032】
例えば、第1電極3が第1基体1である半導体基体にn型不純物を拡散させた部分である場合、第1電極3は第1基体1であるp型シリコン基板に所望の形状でマスクを形成し、n型不純物であるリンをイオン注入し、アニールすることによって、第1電極3を形成することができる。この場合、第1電極に含まれるn型不純物の濃度は、特に限定されないが、例えば1×1014〜1×1018/cm3である。
【0033】
5.誘電体層
誘電体層5は、第1電極3の上に設けられ、内部に発光体15を有する。誘電体層5は、第1電極3と透光性電極6との間に電圧を印加することにより発光する発光体15を内部に有する誘電体であれば特に限定されないが、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンまたは酸化ゲルマニウムなどからなる。また、誘電体層5は透光性を有することができる。このことにより、発光体15が発した光を光触媒層9に照射することができる。
【0034】
また、誘電体層5は、例えば、第1基体1が半導体基板であり、第1電極3が半導体基板に不純物が拡散した部分である場合、半導体基板の表面に形成される表面酸化膜であってもよい。この場合、半導体基板に表面酸化膜を形成することにより誘電体層5を形成することができるため、容易に誘電体層5を形成することができる。
【0035】
また、誘電体層5を酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンとした場合、これらは通常のシリコン半導体プロセスで製膜可能であるので量産性に優れる上、他の電子回路と組み合わせることが可能である。また、誘電体層5が酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンであり、発光体15がゲルマニウム原子を含む微粒子の場合、熱処理によりゲルマニウム原子を凝集させ微粒子を形成する工程において、この微粒子に含まれるGe2+の割合を調節しやすくなる。つまり、シリコンはゲルマニウムよりも酸素と結合しやすいためゲルマニウム原子が不必要に酸素と結合することを抑制することができる。また酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンは比較的酸素を透過しにくいのでゲルマニウム原子が外気の浸透によって酸化されないので、発光体の発光が安定し劣化も少なくすることができる。
【0036】
誘電体層5の厚さは、例えば10nm以上100nm以下(例えば10、20、30、40、50、60、70、80、90及び100nmのうちいずれか2つの間の範囲)である。
【0037】
なお、誘電体層5の光透過率は、例えば波長300〜500nmの光の透過率が80%以上であることが好ましい。発光体15がゲルマニウム原子を含む微粒子の場合、発光体15から放出される光のピーク波長は390nm前後であるので、波長300〜500nmでの光透過率が高ければその分だけ光取り出し効率が高くなるからである。
また、誘電体層5は、酸化シリコンや窒化シリコンをCVDやスパッタリングで第1電極3の上に堆積し形成することもできる。
【0038】
6.発光体
発光体15は、誘電体層5の内部に形成され、第1電極3と透光性電極6との間に電圧を印加することにより発光するものであれば特に限定されないが、例えば、例えば微粒子、金属原子、金属イオンであり、また、例えば、ゲルマニウム、シリコン又はスズの微粒子である。また、発光体15は、ゲルマニウム原子を含む微粒子であることが好ましい。このことにより発光体15を発光させることができる。また、発光体15が発光する光は、紫外線であってもよい。このことにより、光触媒層9を形成する光触媒に酸化チタンなどの紫外線を受光することにより光触媒活性を有する材料を用いることができる。
【0039】
発光体15は、ゲルマニウム原子を誘電体層5にイオン注入し、熱処理することにより形成されてもよい。熱処理により誘電体層5にイオン注入されたゲルマニウム原子が凝集しゲルマニウム原子を含む微粒子を誘電体層5の内部に形成することができる。
発光体15は、酸化ゲルマニウムを含み、この酸化ゲルマニウムは、+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子を含んでもよい。また、この場合、発光体15は、ゲルマニウム単体を含んでいてもよい。ここで、+2価のゲルマニウム原子とは、一酸化ゲルマニウム(GeO)の結晶構造を構成するゲルマニウム原子であってもよく、二酸化ゲルマニウム(GeO2)が酸素欠損を有するためにGeO2の結晶構造中に存在するゲルマニウム原子であってもよい。また、+4価のゲルマニウム原子とはGeO2の結晶構造を構成するゲルマニウム原子である。
【0040】
なお、発光体15は、誘電体層5がSiO2などの酸化物の場合、ゲルマニウム原子を誘電体層5にイオン注入し熱処理することにより、ゲルマニウム原子がSiO2に含まれる酸素などとゲルマニウム原子が反応し酸化ゲルマニウムを形成することができる。また、イオン注入後の熱処理において酸素を含む雰囲気ガスを用いることによっても、酸化ゲルマニウムを形成することができる。
【0041】
また、酸化ゲルマニウムを含む発光体15は、酸化ゲルマニウムに含まれる+2価のゲルマニウム原子(Ge2+と略す)と+4価のゲルマニウム原子(Ge4+と略す)の合計を100%としたとき、+2価のゲルマニウム原子を10%以上含むことができる。このことにより、発光体15の発光強度を大きくすることができる。Ge2+の割合が小さすぎると発光しなかったり発光強度が小さくなりすぎる可能性がある。Ge2+の割合は、具体的には例えば10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99、100%である。Ge2+の割合は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0042】
酸化ゲルマニウムに含まれる(Ge4++Ge2+)に対するGe2+の割合は、XPSスペクトルのGeの3dピーク付近のスペクトルにおいて、Ge4+に起因するピークの面積SGe4+と、Ge2+に起因するピークの面積SGe2+を求め、SGe2+/(SGe4++SGe2+)を算出することによって求めることができる。XPS測定のためのX線源には、例えば単色化したAl、Kα線(1486.6eV)を用いることができる。Ge4+に起因するピークとGe2+に起因するピークは、裾野が重なるが、ガウスフィッティングを行ってSGe4+に起因するピークとGe2+に起因するピークとを波形分離することによって面積SGe4+及びSGe2+を求めることができる。Ge4+及びGe2+のピークエネルギーは、それぞれ約33.5,32eVである。
【0043】
ところで、XPSスペクトルのGeの2pピーク付近のスペクトルにおいて、ゲルマニウム単体(Ge)に起因するピークの面積SGeと、酸化ゲルマニウム(Ge2++Ge4+)に起因するピークの面積S酸化Geを求め、S酸化Ge/(SGe+S酸化Ge)を算出することによってGeの酸化率を求めることができる。この酸化率の平均値は、特に限定されないが、例えば、1,5,10,15,20,25,30,34.9,35,40,45,50,55,60,60.1,65,70,70.1,75,80,85,90,95,99,100%である。この酸化率の平均値は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0044】
発光体15は、1nm以上20nm以下の最大粒径を有する微粒子であってもよい。このことにより、発光体15の発光強度を大きくすることができる。本発明において、「最大粒径」とは、誘電体層5の任意の断面の100nm角の範囲をTEM観察した場合に観察できた微粒子のうち粒径が最も大きいものの粒径を意味する。また、本発明において「粒径」とは、断面TEM写真で見た場合に、TEM写真に射影され微粒子の平面像が含むことのできる最も長い線分の長さを意味する。微粒子の最大粒径は、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9、10、12、14、16、18又は20nmである。微粒子の最大粒径は、ここで例示した何れか2つの数値の間の範囲内であってもよく、何れか1つの数値以下であってもよい。
【0045】
また、発光体15は、第1電極3と透光性電極6の間に電圧を印加することにより340nm〜440nmの範囲内に発光波長のピークを有するエレクトロルミネッセンスを示すことができる。このことにより、紫外線を光触媒層9に照射することができ、光触媒層9の浄化効果を高くすることができる。
誘電体層5中の発光体15の数密度は、特に限定されないが例えば、1×1016個/cm3〜1×1021個/cm3である。
【0046】
誘電体層5の内部に発光体15を形成する方法は、特に限定されないが、発光体15がゲルマニウム原子を含む微粒子の場合、誘電体層5に対してゲルマニウムをイオン注入し、その後、熱処理を行う方法が考えられる。イオン注入後の熱処理によってイオンが凝集して多数の微粒子が誘電体層4中に形成されるとともにイオン注入したゲルマニウム原子が酸化されて酸化ゲルマニウムが形成される。ゲルマニウムのイオン注入は、例えば、注入エネルギー5〜500keVで注入量1×1014〜1×1017ions/cm2の条件で行うことができる。
【0047】
発光体15である微粒子が酸化ゲルマニウムを含む場合、Ge2+とGe4+の割合は、ゲルマニウムの注入量、熱処理時間、熱処理温度、熱処理雰囲気等を変化させることによって適宜調節することができる。具体的には熱処理雰囲気中の酸素の分圧や流量を調整することによってGe2+の割合を高めることができる。例えば膜厚100nmの酸化シリコン中のイオン注入したゲルマニウム原子の濃度が10%以下の誘電体層5を、真空ポンプによる吸引と不活性ガスの供給(毎分50ミリリットル)をしながら1時間、800℃の熱処理をした場合、イオン注入したゲルマニウム原子は凝集し微粒子となり、微粒子に含まれる一部のゲルマニウム原子が酸化シリコンに含まれる酸素により酸化され、少しの酸化ゲルマニウムが形成される。この酸化ゲルマニウムの形成は酸素が不足した状態で行われるため、酸化ゲルマニウムにはGe2+とGe4+とが含まれる。
【0048】
また、ゲルマニウムのイオン注入を行った誘電体層5の熱処理を不活性ガスに体積20%の酸素を混合した1気圧の雰囲気中で行った場合、イオン注入したゲルマニウム原子は、凝集し微粒子となり、ゲルマニウム原子の大部分が雰囲気中の酸素により酸化され酸化ゲルマニウムが形成される。この酸化ゲルマニウムの形成は酸素が十分にある状態で行われるため、酸化ゲルマニウム中のGe4+の割合が増加し、Ge2+の割合が減少する。
【0049】
誘電体層5に含まれる発光体15である微粒子中のGe2+の割合を高めるのに適した熱処理中の雰囲気は、ゲルマニウムの注入条件や熱処理時間、温度など他のパラメーターにも左右されるが、一例では、イオン注入するゲルマニウムの原子濃度を比較的高くし、不活性ガスに酸素を混合したガスの供給と真空引きとを行いながら熱処理を行うことによってGe2+の割合を高めることができる。
【0050】
また、ゲルマニウムは、誘電体層5中のゲルマニウム濃度が0.1〜10.0原子%になるようにイオン注入することが好ましい。1時間、600℃の熱処理において、真空引きしながら不活性ガスを供給(毎分50ミリリットル)した場合は、この範囲であれば発光効率が比較的高くなるからである。誘電体層5中のゲルマニウム濃度は、具体的には例えば0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1.0,2.0,3.0,4.0,5.0,6.0,7.0,8.0,9.0,10.0原子%である。この濃度は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。誘電体層5中のゲルマニウム濃度は、例えば高分解能RBS(ラザフォード後方散乱)法によって測定することができる。その他、SIMS(二次イオン質量分析法)等の様々な分析法によって測定することが可能である。なお、誘電体層5中ゲルマニウム濃度の測定は、誘電体層5中ゲルマニウム濃度がピーク値の1/100以上となる範囲で行う。熱処理の温度は、400〜900℃が好ましく500〜800℃がさらに好ましい。この範囲であれば発光効率が比較的高くなるからである。
【0051】
7.透光性電極
透光性電極6は、誘電体層5の上に設けられ、誘電体層5に電圧を印加できるように形成される。透光性電極6は、例えば、ITOなどの金属酸化物薄膜またはAl、Ti、Taなどの金属薄膜またはSi、SiC、GaNなどの半導体薄膜である。また、透光性電極6は、Agなどの金属のフィンガー電極であってもよい。
透光性電極6は、300nm以上500nm以下の波長を有する光の透過率が60%以上99.99%以上であってもよい。このことにより、発光体15が発光した光をより効率よく光触媒層9に照射することができる。
透光性電極6は、例えば、塗布法、スパッタリング法などにより形成することができる。
【0052】
透光性電極6は、誘電体層5の上に形成した金属酸化物薄膜、金属薄膜または半導体薄膜を図6のように絶縁部22で並列に分割し、分割した金属酸化物薄膜の上にそれぞれ金属配線20を形成したものであってもよい。
本実施形態の浄化装置14が図1に示した点線A−A’方向の長さが長い場合、透光性電極6の電気抵抗によって誘電体層5にかかる電界が均一にならない可能性が生じる。透光性電極6よりも電気抵抗が低い金属配線20を用いることによって、誘電体層5に形成される電界の強度の不均一性を少なくすることができる。このことにより、誘電体層5の電流が流れる部分のむらを少なくすることができ、光源部7を均一に発光させることができる。金属配線20は、例えば、アルミニウム、銀または銅などにより形成することができる。
【0053】
8.光触媒部
光触媒部10は、光源部7から照射された光を光触媒が受光し、光触媒の表面で気体または液体の浄化を行う部分であり、第2基体8と、光触媒層9を備える。また、光触媒部10は、浄化する気体または液体を存在させる空間11を挟んで光源部7と対向する。
【0054】
9.第2基体
第2基体8は、光触媒層9を形成するための基体となるものであれば特に限定されない。第2基体8は、例えば、金属、ガラス、セラミックスなどにより形成することができる。また、第2基体8の形状は、光触媒層9を形成することができれば特に限定されないが、板状であってもよい。
【0055】
10.光触媒層
光触媒層9は、第2基体8の光源部7側に設けられ、かつ、空間11に接する。また、光触媒層9は、発光体15の発する光を受光することができ、受光することにより光触媒層に接する空間に存在する気体や液体を浄化することができる。光触媒層9は、光触媒を含み、例えば、TiO2、ZnO、CdS、Na2Ti613、K2Ti613、KTiNbO5などを含むことができる。特にTiO2が好ましい。酸化チタンは一般に入手容易であるとともに、388nmより短波長の励起光を照射することにより光触媒活性を有するからである。
【0056】
例えば、光触媒層9に含まれる酸化チタンにバンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射すると、価電子帯の電子が伝導帯へ励起され、伝導帯に電子が価電子帯に正孔が生じる。また、酸化チタンは、バンドギャップが3.2eV であり、光励起により生じた電子と正孔の再結合が起こりにくいため、この再結合による失活率が小さいという特性を有する。酸化チタンはルチル型よりアナターゼ型であることが好ましい。これは、アナターゼ型の酸化チタンは、バンドギャップは3.23eVであり、ルチル型の酸化チタンのバンドギャップ3.02 eVよりバンドギャップが大きいため、光励起により生じた電子と正孔のエネルギーが大きく、光触媒活性が高いためである。
【0057】
また、光触媒層9は、光触媒を含む薄膜であってもよく、厚膜であってもよい。光触媒層9が薄膜の場合、例えば、CVD法やスパッタ法などにより第2基体8上に光触媒層9を形成することができる。また、光触媒層9が厚膜の場合、光触媒の粉末のペーストを第2基体8上に塗布し、乾燥後焼成することにより光触媒層9を形成することができる。
【0058】
光触媒層9は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)およびスズ(Sn)のうち少なくとも1つの金属が担持された光触媒を含んでもよい。このことにより、光触媒の酸化活性を高くすることができる。また、上記の金属を少量含有することによって、励起波長帯が拡大したり、電子と正孔の発生効率が向上するという効果が期待できるからである。
【0059】
11.防水層
本実施形態では、図5に示すように、防水層18を光源部7の透光性電極6の上に形成することができる。空間11に水を存在させ光触媒層9により水を浄化する場合、防水層18を設けることにより、水と透光性電極6とが接触することを防止することができる。このことにより、水が原因によるリーク電流を防止することができ、また、透光性電極6の腐食を防止することができる。
防水層18は、透光性電極6と空間11に存在する水との接触を防止することができれば、特に限定されないが、例えば、光源部7全体を覆うように形成されていてもよい。このことにより、光源部7の腐食を防止することができ、リーク電流が流れることを防止することができる。
【0060】
防水層18は、透光性を有することが好ましい。このことにより、発光体15が発する光を効率よく光触媒層に形成することができる。
防水層18を形成する材料は、特に限定されないが、例えば、SiO2により形成することができる。SiO2からなる防水層18は、例えば、CVD法により透光性電極6の上に形成することができる。
【0061】
12.接合部材
接合部材13により、光源部7と光触媒部10とを接合することができる。このことにより、光源部7と光触媒部10とを空間11を挟んで対向して設けることができる。
【0062】
EL実験
以下の方法で本発明の浄化装置に含まれる光源部であって、発光体にゲルマニウム原子を含む微粒子としたときの、光源部から発光する光の発光波長特性および発光原因を確認するための参考実験としてEL実験を行った。
【0063】
まず酸素雰囲気中において、1050℃でシリコン基板を100分間熱処理することによってシリコン基板の表面にシリコン熱酸化膜を形成した。
次に、このシリコン熱酸化膜中にGeイオンを50keVで1.4×1016ions/cm2、20keVで3.2×1015ions/cm2、10keVで2.2×1015ions/cm2の条件でこの順番で多重に注入した。
【0064】
次に、得られたシリコン基板を、真空ポンプによる吸引と、窒素ガスの導入とを同時に行っている雰囲気下において、800℃で1時間熱処理した。この熱処理により、イオン注入したゲルマニウム原子は、凝集し微粒子が形成し、一部が酸化ゲルマニウムに酸化される。なおこの酸化ゲルマニウム中には、+2価のゲルマニウム原子(以下Ge2+と略す)、+4価のゲルマニウム原子(以下Ge4+と略す)が含まれていると考えられる。なお、単体で存在するゲルマニウム原子はGeと略す。
【0065】
次に、シリコン熱酸化膜上にITO電極を形成し、シリコン基板側にアルミニウム電極を形成し、EL実験に用いる発光素子を得た。
この発光素子のITO電極とアルミニウム電極の間に30V程度の電圧を印加したところ青色の発光が確認された。
また、この青色の発光の発光スペクトルを図7に示す。図7を参照すると、確認された青色の発光は、340nmから550nmの波長の光であり、340nmから440nmの間にピークを有するエレクトロルミネッセンス発光であることが分かった。
【0066】
発光体に含まれる酸化ゲルマニウム(Ge2+及びGe4+を含む)と発光との関係
以下に示す方法によって、発光体に含まれる酸化ゲルマニウム(Ge2+及びGe4+を含む)が本発明の浄化装置に含まれる発光部の発光に関与していることを確認した。
【0067】
まず、発光機構について2つの仮説を考えた。第1の仮説は、Geナノ粒子が量子サイズ効果によって発光が起こっているというものである。この発光機構は、通常のナノ粒子の発光機構と同じであり、発光波長が粒子サイズに依存する。第2の仮説は、酸化ゲルマニウム(Ge2+及びGe4+を含む)が発光に関与するというものである。GeOの励起状態と基底状態のエネルギー準位差は、2.9〜3.2eV(387〜427nm)であるので(L. Skuja, J. Non-Cryst. Solids, 239 (1998) 16-48.を参照)、第2の仮説によれば、発光波長は、387〜427nm程度になり、この波長は粒子サイズに依存しないと考えられる。
【0068】
これらの仮説のどちらが正しいのかを検証するために、互いに異なる種々の温度条件と注入条件で発光素子を作製し、この素子に上記の方法で電圧を印加したときのEL波長を測定した。EL波長の測定には、「島津製作所製 分光蛍光光度計RF−5300PC」を用いた。発光素子の作製方法は、熱処理温度やGe注入量を適宜変化させた以外は上記の発光素子の作製方法と同様である。
【0069】
得られた結果を図8,図9に示す。図8中の温度は、熱処理温度(時間は1時間)を示す。図9中の「原子%」は、Ge注入後のシリコン酸化膜内でのGe濃度を示す。図8でのGe濃度は5.0原子%であり、図9での熱処理温度は700℃(時間は1時間)である。
【0070】
図8、図9を参照すると、熱処理温度やGe濃度が変わってもELのピーク波長は、ほぼ390nmで一定であることが分かる。熱処理温度やGe濃度が変わると、形成されるナノ粒子のサイズも変化するので、発光機構が第1の仮説に従うのであればELのピーク波長がずれるはずである。従って、図8、図9で確認されたELの波長は、第1の仮説では説明ができない。一方、波長390nmは、第2の仮説で予測された発光波長(387〜427nm)の範囲内である。
【0071】
以上より、本発明の発光素子からのEL波長は、第1の仮説では説明できず、第2の仮説で説明できることが分かる。従って、本発明の発光素子の発光には、酸化ゲルマニウム(Ge2+及びGe4+を含む)が関与していることが確認できた。
【0072】
ところで、図8を参照すると、熱処理温度は、600〜700℃が好ましいことが分かる。また、図9を参照すると、Ge濃度は、3.0原子%以上が好ましく、3.0〜5.0原子%がさらに好ましいことが分かる。
【0073】
Ge、Ge2+、Ge4+の割合の深さ方向分布
Ge濃度を5.0原子%とし、熱処理温度を800℃(時間は1時間)として発光素子を作製し、シリコン酸化膜内でのGe、Ge2+、Ge4+の割合の深さ方向分布を調べた。
XPSは通常試料表面から深さ数nmの範囲の分析ができるので、アルゴンイオンビームによるエッチングとXPS測定を交互に行うことによって、深さ50nmまでの領域においてGe、Ge2+、Ge4+の割合の深さ方向の変化を調べた。アルゴンイオンビームのエネルギーは4kV,ビーム電流は15mAで、1回当り300秒照射した。その時のXPS測定結果を各深さについて、分かり易いように縦方向にグラフを平行移動して並べたものを図10(a)に示す。また、各深さに含まれるGe原子の状態を、Ge、Ge2+、Ge4+の割合で示したグラフを図10(b)に示す。
【0074】
これによると、イオン注入したGeの濃度が比較的高い深さ10〜50nmの領域では、単体Geの割合は30〜70%である。Ge4+は0〜20%の間で、およそ10%である。Ge2+は10〜50%の間である。
【0075】
各深さでのGe、Ge2+、Ge4+の割合は、スペクトルのGeの3dピーク付近のXPSスペクトルにおいて、Geに起因するピークの面積SGeと、Ge2+に起因するピークの面積SGe2+と、Ge4+に起因するピークの面積SGe4+とを求め、SGe/(SGe+SGe2++SGe4+)、SGe2+/(SGe+SGe2++SGe4+)、SGe4+/(SGe+SGe2++SGe4+)を各深さで算出することによって求めた。
また、各深さでの、酸化ゲルマニウムに含まれるゲルマニウム原子全体(Ge4++Ge2+)に対するGe2+、Ge4+の割合を図11のグラフに示す。
【0076】
これによると、酸化ゲルマニウムの内、完全に酸化されてGe4+となっている割合は、ゲルマニウムの濃度が低く、雰囲気の影響を強く受けてゲルマニウムが完全に酸化されやすい表面近傍を除いて、およそ20〜60%の間で、Geが完全に酸化されず一部酸化したGe2+はおよそ40〜80%の間である。ゲルマニウムのイオン注入方法でGeの注入濃度が比較的高い深さ10〜40nmの領域では、酸化ゲルマニウムの内、完全に酸化されてGe4+となっている割合はおよそ50%以下で、およそ20〜30%である。Geが完全に酸化されず一部酸化したGe2+はおよそ50%以上で70〜80%である。各深さでのGe2+、Ge4+の割合は、スペクトルのGeの3dピーク付近のXPSスペクトルにおいて、Ge2+に起因するピークの面積SGe2+と、Ge4+に起因するピークの面積SGe4+とを求め、(SGe2+,SGe4+)/(SGe2++SGe4+)を各深さで算出することによって求めた。XPSスペクトルは、X線源として単色化したAl、Kα線(1486.6eV)を用いて測定した。
【符号の説明】
【0077】
1: 第1基体 3:第1電極 4:電源 5:誘電体層 6:透光性電極 7:光源部 8:第2基体 9:光触媒層 10:光触媒部 11:空間 12:開口 13:接合部材 14:浄化装置 15:微粒子 18:防水層 20:金属配線 22:絶縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を挟んで対向して設けられた光源部と光触媒部とを備え、
前記光源部は、第1基体と、第1基体の前記光触媒部側に設けられた第1電極と、第1電極上に設けられ、かつ、発光体を内部に有する誘電体層と、前記誘電体層の上に設けられた透光性電極とを備え、
前記光触媒部は、第2基体と、第2基体の前記光源部側に設けられ、かつ、前記空間と接する光触媒層とを備え、
第1電極と前記透光性電極の間に電圧を印加することにより前記発光体を発光させ、前記発光体が発した光を前記光触媒層が受光することにより前記空間に存在する気体または液体を浄化することを特徴とする浄化装置。
【請求項2】
前記発光体は、ゲルマニウム原子を含む微粒子である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記発光体は、ゲルマニウム原子を前記誘電体層にイオン注入し、熱処理することにより形成される請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記発光体は、酸化ゲルマニウムを含み、
前記酸化ゲルマニウムは、+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子を含む請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記発光体は、前記酸化ゲルマニウムに含まれる+2価のゲルマニウム原子と+4価のゲルマニウム原子の合計を100%としたとき、+2価のゲルマニウム原子を10%以上含む請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記発光体は、1nm以上20nm以下の最大粒径を有する請求項2〜5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記発光体は、第1電極と前記透光性電極の間に電圧を印加することにより340nm〜440nmの範囲内に発光波長のピークを有するエレクトロルミネッセンスを示す請求項2〜6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
2つ以上の開口をさらに備え、
2つ以上の開口は、それぞれ前記空間と前記浄化装置の外部とを通じさせ、
前記空間に存在する気体または液体は、それぞれ前記浄化装置の外部に存在する気体または液体と置換可能である請求項1〜7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記透光性電極の上に防水層をさらに備える請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
前記光源部と前記光触媒部は、前記空間を挟んで対向するように接合された請求項1〜9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
第1基体は、半導体基板であり、
第1電極は、前記半導体基板にn型不純物が拡散した部分である請求項1〜10のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
前記半導体基板は、シリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコン化合物基板またはゲルマニウム化合物基板である請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記誘電体層は、前記半導体基板の表面酸化膜である請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記透光性電極は、300nm以上500nm以下の波長を有する光の透過率が60%以上99.99%以下である請求項1〜13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
前記光触媒層は、酸化チタンからなる請求項1〜14のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
前記光触媒層は、Pt、Pd、Ru、Rh、Au、Ag、Cu、Fe、Ni、Zn、Ga、Ge、InおよびSnのうち少なくとも1つの金属が担持された酸化チタンからなる請求項1〜15のいずれか1つに記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−251269(P2011−251269A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127957(P2010−127957)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】