説明

浄水器、および浄水器用カートリッジ

【課題】ストレーナによって浄水器用カートリッジの浄化材表面の目詰まりを防止することのできる浄水器および浄水器用カートリッジを提供する。
【解決手段】水から不純物を除去する浄化材8を具備し、浄水器の収容部5に交換可能に収容されて、上記浄水器内に、原水が上記浄化材8を透過せずに外周側流路14を下流側へ流れる原水流路と、原水が外周側流路14から上記浄化材8を透過して内部流路12に流入し、下流側へ流れる浄水流路とを形成する浄水器用カートリッジ4であって、上記浄化材8より上流側で原水流路に張り出した網素材からなるストレーナ15を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭等の台所等で使用され水道水(原水)から不純物を除去する浄水器、およびこの浄水器に交換可能に収容される浄水器用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭等で水道に接続されて使用される浄水器には、原水から不純物を取り除く浄化材を有する浄水器用カートリッジを交換可能に収容したものがあった。
また、原水をそのまま吐出する原水流路と、原水を浄水器用カートリッジで濾過して得た浄水を吐出する浄水流路とを有し、原水吐出と浄水吐出とを切り換える流路切換弁を設けた浄水器があった。
【0003】
たとえば、特許文献1には、浄水器の筒状のケースに浄水器用カートリッジを収容し、ケースと浄水器用カートリッジ外面との間の外面側流路を原水が通過する原水流路と、原水が外面側流路から浄水器用カートリッジの浄化材を透過して浄水器用カートリッジの内部流路を通過する浄水流路とを形成して、原水流路と浄水流路とを切換可能にした発明が記載されている。
【0004】
この浄水器では、浄水器用カートリッジの浄化材表面よりも下流の原水流路にストレーナを設けていた。
ストレーナは、細い金属線又は合成樹脂線等の網素材をリング状にしたもので、原水流路を通過する原水から固形のゴミを除去することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−30397号公報
【0006】
しかし、特許文献1の浄水器では、ストレーナを浄水器用カートリッジの浄化材よりも下流側に設けたため、浄水吐出時に原水に含まれるゴミが浄化材表面に付着したり、ストレーナでせき止められたゴミが浄化材表面まで及んだりして、浄化材表面に目詰まりを引き起こし、濾過能力が低下しやすかった。
また、ストレーナは、このストレーナの上流側で浄水器用カートリッジから円筒状に突設されたリブと、このストレーナの下流側で浄水器用カートリッジから円筒状に突設された円筒部との間で保持されていたため、リブや円筒部によって原水流路の流路面積が小さくなり、流路抵抗が大きくなるため、吐水量が減少していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、ストレーナによって浄水器用カートリッジの浄化材表面の目詰まりを防止することのできる浄水器および浄水器用カートリッジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、上記課題が解決される手段は以下の通りである。
第1の発明は、原水を内部に導入する接続口と水を吐出する吐出口とを形成するとともに、上記接続口と上記吐出口との間に、浄化材を具備する浄水器用カートリッジを交換可能に収容する収容部を設け、原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成した浄水器であって、上記浄化材より上流側の原水流路で、上記浄水器用カートリッジに保持され、または上記浄水器用カートリッジと一体に設けられた網素材からなるストレーナを有することを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、水から不純物を除去する浄化材を具備し、浄水器の収容部に交換可能に収容されて、上記浄水器内に、原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成する浄水器用カートリッジであって、上記浄化材より上流側で原水流路に張り出した網素材からなるストレーナを設けたことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、上記浄化材の上流側に樹脂からなるキャップ部材を取り付け、このキャップ部材に上記ストレーナを一体に設けたことを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、上記浄化材は円筒状に形成され、上記浄化材の上流側には、ストレーナ保持部材が取り付けられ、このストレーナ保持部材の側面部に上記ストレーナを保持したことを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、上記側面部と接する上記ストレーナの端縁部に、弾性枠部材を配設したことを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、上記収容部の内壁と接する上記ストレーナの端縁部に、弾性枠部材を配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、網素材からなるストレーナが上記浄水器用カートリッジに保持され、または上記浄水器用カートリッジと一体に設けられたことにより、浄水器用カートリッジの交換時に、ストレーナもともに浄水器から取り外され、清掃、交換をすることができるため、ストレーナの目詰まりを防止することができる。
また、ストレーナを上記浄化材より上流側の原水流路に配置したことにより、原水吐出時と浄水吐出時とを問わず、原水がストレーナを通過して微細なゴミが除去される。そのため、浄化材が微細なゴミにより目詰まりを起こすことを防止することができる。
【0015】
第2の発明によれば、網素材からなるストレーナを設けたことにより、浄水器用カートリッジの交換時に、ストレーナもともに浄水器から取り外され、清掃、交換をすることができるため、ストレーナの目詰まりを防止することができる。
また、ストレーナを上記浄化材より上流側で原水流路に張り出したことにより、原水吐出時と浄水吐出時とを問わず、原水がストレーナを通過して微細なゴミが除去される。そのため、浄化材が微細なゴミにより目詰まりを起こすことを防止することができる。
【0016】
第3の発明によれば、上記浄化材の上流側に樹脂からなるキャップ部材を取り付け、このキャップ部材に上記ストレーナを一体に設けたことにより、キャップ部材とストレーナとの間の密閉性が確実になり、原水に必ずストレーナを通過させることができ、微細なゴミが除去されずに下流側へ流れるのを防止することができる。
【0017】
第4の発明によれば、上記浄化材は円筒状に形成され、上記浄化材の上流側には、ストレーナ保持部材が取り付けられ、このストレーナ保持部材の側面部に上記ストレーナを保持したことにより、浄水器用カートリッジにストレーナを容易に保持させることができるとともに、各部品の構成を簡素化して、製造コストを低減させることができる。
【0018】
第5の発明によれば、上記側面部と接する上記ストレーナの端縁部に、弾性枠部材を配設したことにより、弾性枠部材の弾性変形を利用して、ストレーナを浄水器用カートリッジに保持させることができ、容易に組み付けることができる。
また、ストレーナと側面部との間の密閉性が高まって、原水に確実にストレーナを通過させることができ、微細なゴミが除去されずに下流側へ流れるのを防止することができる。
【0019】
第6の発明によれば、上記収容部の内壁と接する上記ストレーナの端縁部に、弾性枠部材を配設したことにより、弾性枠部材の弾性変形を利用して、ストレーナを収容部に密着させることができ、ストレーナと収容部との間の密閉性が高まって、原水に確実にストレーナを通過させることができ、微細なゴミが除去されずに下流側へ流れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態に係る浄水器の縦断面図である。
【図2】同浄水器の収容部の下流側を示す部分拡大断面図である。
【図3】同浄水器の収容部の上流側を示す部分拡大断面図である。
【図4】同浄水器の浄水器用カートリッジを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は部分斜視図、(c)は縦断面図である。
【図5】同浄水器用カートリッジの上流側部分を示す図であり、(a)は部分拡大側方図、(b)は部分拡大斜視図、(c)は部分拡大斜視図である。
【図6】同浄水器用カートリッジの上流側部分を示す部分拡大断面図である。
【図7】同浄水器用カートリッジが保持するストレーナを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側方説明図、(c)は部分拡大側方説明図である。
【図8】同浄水器用カートリッジの上流側キャップの側方説明図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る浄水器の収容部の上流側を示す部分拡大断面図である。
【図10】本発明の第三実施形態に係る浄水器の収容部の上流側を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第一実施形態に係る浄水器および浄水器用カートリッジについて説明する。
図1に示すように、浄水器1は、ホース等を介して水道設備に接続されるとともに、先端に吐出口を形成したシャワーヘッドタイプの浄水器である。
この浄水器1は、吐出口としてストレート吐出口2a、内シャワー吐出口2bおよび外シャワー吐出口2cを有するとともに、ストレート吐出口2aからのストレート吐出、内シャワー吐出口2bからのエコシャワー吐出、内シャワー吐出口2bおよび外シャワー吐出口2cからのシャワー吐出を切り換える吐出切換弁を設けている。
【0022】
図1に示すように、浄水器1の基端には、ホース等から水道水(原水)を導入する接続口3を形成している。
浄水器1の内部には、接続口3から吐出口2a、2b、2cまで連通する流路が設けられており、この流路中に浄水器用カートリッジ4を収容する略筒状の収容部5が形成されている。
浄水器1は、吐出口2a、2b、2cを形成した頭部6と、使用者が片手で持てるようにした把持部7とをネジ結合されており、浄水器用カートリッジ4の製品寿命が尽きたり故障した場合には、頭部6と把持部7とに分解することで新しい浄水器用カートリッジ4と交換することができる。
【0023】
図4(a)から(c)に示すように、浄水器用カートリッジ4は、活性炭を主成分として円筒状に固められた浄化材8と、この浄化材8の上流側に取り付けられた上流側キャップ9と、この浄化材8の下流側に取り付けられた下流側キャップ10とからなる。
原水が浄化材8を透過すると、原水に溶解した化学成分や浮遊している微細な固形物質が浄化材8によって吸着または濾過される。
浄化材8の外周表面は、不織布等で覆ってもよい。
【0024】
図5に示すように、上流側キャップ9は、浄化材8の上流端を閉鎖するとともに、略円筒状のストレーナ保持部9aを上流側に立設している。このストレーナ保持部9aは収容部5の底部に設けられたリブ5aに当接し、浄水器用カートリッジ4を軸方向(上流下流方向)に位置決めして流路を確保する。
【0025】
図4(b)(c)に示すように、下流側キャップ10は、浄化材8の下流端を被覆するとともに、略円筒状の接続端10aを下流側に立設している。図1に示すように、この接続端10aは、浄水器1の頭部6に設けた筒状のカートリッジ受け11に内嵌し、浄水器用カートリッジ4を収容部5内に位置固定する。
下流側キャップ10には、浄化材8の内部流路12と連通する水の流路が形成されており、浄化材8の内部流路12へ流入した水(浄水)がカートリッジ受け11に供給され、頭部6内を通過して吐水口2a、2b、2cから吐出される。下流側キャップ10内の流路には、浄化材8から流出する微粉等を取り除くための不織布10bと、滞留水に菌が繁殖することを防止する殺菌セラミックボール10cとを配置している。不織布10bおよび殺菌セラミックボール10cを収容できるように、下流側キャップ10は二つの部品を組み立てて形成されている。
【0026】
図2に示すように、カートリッジ受け11は、コイルスプリング13cによって弁体13bを弁座13aに付勢してなる止水弁13を有し、浄水器用カートリッジ4を収容していない場合にはカートリッジ受け11から散水口2a、2b、2cまでの流路は閉鎖されている。浄水器用カートリッジ4を収容すると、下流側キャップ10の接続端10aに設けられた押圧部10dが弁体を押圧して、止水弁を開放する。
【0027】
このような浄水器用カートリッジ4を収容することにより、浄水器1内には、接続口3から導入された原水が、浄化材8を透過することなく、浄化材8の外周表面と収容部5内壁との間に形成される外周側流路14を通過して散水口2a、2b、2cへ流れる原水流路が形成される。
また、浄水器内には、接続口3から導入された原水が、外周側流路14から浄化材8を透過して内部流路12に流入し、カートリッジ受け11から散水口2a、2b、2cへ流れる浄水流路が形成される。
頭部6には、押しボタン6aの操作により原水流路と浄水流路とのいずれか一方を選択して閉鎖する流路切換弁を設けている。
【0028】
図4、図5、図6に示すように、浄水器用カートリッジ4は、原水に含まれる微細なゴミを除去するため、網素材からなるストレーナ15を保持している。
図7に示すように、このストレーナ15は幅広環状に形成されており、浄水器1に浄水器用カートリッジ4を収容したときに、浄化材8より上流側の原水流路に張り出すように配置される。
ストレーナ15の外端縁および内端縁は、弾性を有する樹脂製の弾性枠部材16で覆われている。弾性枠部材16は、ストレーナ15の外端縁を覆う外枠部16aと、ストレーナ15の内端縁を覆う内枠部16bと、周上等間隔に配置されて外枠部16aおよび内枠部16bの間を連結する4つの補強枠部16cとからなる。
ストレーナ15および弾性枠部材16の内径は、上流側キャップ9のストレーナ保持部9aの外径に略等しい。
また、弾性枠部材16はストレーナ15よりも厚く形成されて、落下の衝撃等からストレーナ15を保護する。
【0029】
ストレーナ15の材料は特に限定されず、金属網、不織布や樹脂網を用いることができる。このうち、剛性や弾性枠部材との密着性の観点から、特に金属網を用いることが好ましい。
また、金属網の中でも、耐錆性および耐久性に優れたステンレス合金を用いることが特に好ましい。
【0030】
弾性枠部材16の材料には、加硫ゴム部材、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができるが、生産性の観点から熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。なお、樹脂には、ソフトセグメントとハードセグメントとからなる樹脂も含む。
熱可塑性樹脂としては、ストレーナとの密着性、浄水器用カートリッジおよび浄水器(収容部)内壁との密閉性の観点から、PP(ポリプロピレン)およびPE(ポリエチレン)を用いることが特に好ましい。
【0031】
また、弾性枠部材16の材料には、JIS K6922−2の試験方法によって測定される曲げ弾性率が、100〜5000MPaのものを使用することが好ましい。
曲げ弾性率が100MPa未満のものでは、柔らかすぎて弾性枠部材が破損するおそれがある。より好ましくは300MPa以上、さらに好ましくは500MPa以上、さらに好ましくは800MPa以上のものを用いるのがよい。
曲げ弾性率が5000MPaを超えるものでは、硬すぎて後述する密閉性が悪くなるなどのおそれがある。より好ましくは3000MPa以下、さらに好ましくは1500MPa以下、さらに好ましくは1000MPa以下のものを用いるのがよい。
例えば、日本ポリエチレン株式会社のノバッテックHDのHJ360(曲げ弾性率850MPa)、HJ362N(曲げ弾性率820MPa)、HJ560(曲げ弾性率1050MPa)、HJ580N(曲げ弾性率1000MPa)、HJ490(曲げ弾性率1000MPa)、HJ590N(曲げ弾性率1000MPa)等を採用することができる。
【0032】
このような弾性枠部材16を備えたストレーナ15を形成するには、予め幅広環状に加工したストレーナ15を金型内に配置して、金型内に樹脂を流して弾性枠部材16を一体成形する方法によることが好ましい。
このような方法では、別々に成形したストレーナ15と弾性枠部材16とを接着剤で接着する方法に比べて、生産性が高いとともに、ストレーナ15と弾性枠部材16との密着性も高く、ストレーナ15と弾性枠部材16とが剥離しにくい。また、接着剤を使用した場合は、接着剤のはみ出しがおきて、はみ出した接着剤により水の流路10を部分的に塞いでしまう問題も起こりうるが、上述の方法では、その問題を解消することができる。
【0033】
図5(a)(b)、図6に示すように、浄水器用カートリッジ4の上流側キャップ9では、ストレーナ保持部9aの側面部に返し9bが周設されている。
返し9bは、上流側に形成された斜面と、側面部に略垂直に形成された下流側(ストレーナ保持部9aの根元側)の当接面とを有し、ストレーナ保持部9aの根元から、ストレーナ15(および弾性枠部材16)の厚さと同等の高さ位置に形成されている。
浄水器用カートリッジ4にストレーナ15を装着して保持させるには、ストレーナ15をストレーナ保持部9aの先端から押し込んでいく。弾性枠部材16の内枠部16bは、側面部に沿って摺動し、返し9bの斜面では径方向に弾性変形しながら進み、ストレーナ保持部9aの根元まで到達すると原形に復帰するとともに、返し9bの当接面と上流側キャップ9の底面に挟まれて保持される(図6)。
つまり、浄水器用カートリッジ4へのストレーナ15の装着性と保持性を両立させる為に、上流側キャップ9に、上流側に斜面を形成し、側面部側に略垂直に形成された下流側の当接面を備える返し部9bを設けるのが好ましい。なお、斜面の角度は浄水器用カートリッジの径方向に対して、10度以上80度以下とするのがよい。10度未満とすると装着性向上効果が不足しやすくなるので、さらに20度以上、特に30度以上とするのが好ましい。また、80度より大きくすると、返し部9bの浄水器用カートリッジの軸方向の向きの幅が大きくなり過ぎて、浄水器用カートリッジのコンパクト性が低下しやすいので、さらに70度以下、特に60度以下が好ましい。当第一実施形態では、斜面の角度は45度とした。
ストレーナ15および弾性枠部材16は、上流側キャップ9に着脱可能に保持させてもよく、装着後は取り外せないように保持させてもよい。なお、ストレーナ15および弾性枠部材16は、上流側キャップ9に接着剤で接着して固定することもできるが、接着剤を使用した場合は、接着剤のはみ出しがおきて、はみ出した接着剤により水の流路を部分的に塞いでしまう問題も起こりうるので、接着剤を使用せずに、弾性枠部材の弾性力を利用するなどして、上流側キャップ9に保持するのが好ましい。
【0034】
浄水器用カートリッジ4を浄水器1の収容部5に収容すると、図3に示すように、弾性枠部材16の外枠部16aが収容部5の内周壁に密着し、ストレーナ15が浄化材8よりも上流側の外周側流路14(原水流路)に配置される。このため、収容部5に供給された原水は、流路切換弁の浄水吐出時と原水吐出時とを問わず、ストレーナ15を通過して微細なゴミを除去される。
また、図8に示すように、上流側キャップ9の底面の外周縁部は丸みをつけた曲面に面取りし、原水がストレーナ15を通過できる流路面積を大きくして、流路抵抗を低減させるとともにストレーナ15のゴミ除去性能を向上させることが好ましい。
【0035】
この面取り部の高さL1および幅L2は、0.5〜3.0mmに設定するのがよい。
L1およびL2を0.5mm未満にすると、流路面積の拡大化および流路抵抗の低減が不十分になってしまう。0.8mm以上がより好ましく、1.0mm以上がさらに好ましい。
L1およびL2を3.0mmよりも大きくすると、強度が不足し上流側キャップ9を大型化する必要が生じる。2.0mm以下がより好ましく、1.5mm以下がさらに好ましい。
また、面取り部は、滑らかな曲面に形成するのが好ましく、例えばL1、L2を半径とする円弧に形成するのが好ましい。
【0036】
この浄水器1では、網素材からなるストレーナ15を浄水器用カートリッジ4に設けたため、ストレーナ15は浄水器用カートリッジ4の交換時に、ともに浄水器1から取り外される。そのため、浄水器1本体にストレーナ15を設けた場合に比べて、ストレーナ15の清掃、交換が容易かつ確実に行われ、ストレーナ15の目詰まりによる流路抵抗の増加と吐水量の低下を防止することができる。
これにより、ストレーナ15のメッシュ(網の目)をより細かくすることが可能になり、原水からより微細なゴミを除去することができる。
【0037】
また、ストレーナ15を浄化材8よりも上流側の原水流路に配置したことにより、浄水吐出時にも原水がストレーナ15を通過して微細なゴミが除去される。そのため、浄化材8が目詰まりを起こして濾過能力が低下することを防止することができる。
【0038】
さらに、浄水器用カートリッジ4のストレーナ保持部9aと接するストレーナ15の内端縁を、弾性枠部材16の内枠部16bで覆ったことにより、弾性枠部材16の弾性変形を利用して、ストレーナ15を浄水器用カートリッジ4に保持させることができ、容易に組み付けることができる。
また、ストレーナ15と浄水器用カートリッジ4(ストレーナ保持部9a)との間の密閉性が高まって、原水に必ずストレーナ15を通過させることができ、微細なゴミが除去されずに下流側へ流れるのを防止することができる。
【0039】
また、収容部5の内周壁と接するストレーナ15の外端縁を、弾性枠部材16の外枠部16aで覆ったことにより、弾性枠部材16の弾性変形を利用して、ストレーナ15を収容部5に密着させることができ、ストレーナ15と収容部5との間の密閉性が高まって、原水に必ずストレーナ15を通過させることができ、微細なゴミが除去されずに下流側へ流れるのを防止することができる。
たとえば、弾性枠部材16の外枠部16aの外径を収容部5の内周壁の内径よりもわずかに大きく形成して、浄水器用カートリッジ4を収容部5に収容したときに、外枠部16aが下流側にしなりながら収容部5の内周壁に当接するようにすると、ストレーナ15と収容部5との間の密閉性をより向上させることができる。
【0040】
さらに、補強枠部16cを設けたことにより、ストレーナ15の剛性を補強することができて、ゴミ除去性能に優れるが剛性の低い材料もストレーナ15に用いることができる。補強枠部16cの数は、1個以上10個以下がよい。なお、ストレーナ15と弾性枠部材16との外れを防止する効果を高める為には、補強枠部16cの数は、さらに2個以上、特に3個以上とするのが好ましい。また、補強枠部16cの数が多くなり過ぎると、結果として水を流通させるストレーナ15の面積が小さくなって、原水流路の流路面積が低下して流路抵抗が大きくなったり、ストレーナ15が詰まり易くなるので、補強枠部16cの数は、さらに8個以下、特に6個以下とするのが好ましい。
なお、全ての補強枠部16cの面積を合算した面積をS1とし、補強枠部16cの無い部分のストレーナ15の面積、つまり、水が通過可能な部分の面積をS2とした場合に、(S2/(S1+S2))の値は、0.7以上とするのがよい。0.7より小さくなると、水の流路面積及び/又はストレーナのごみ取り部分の面積が小さくなり、流路抵抗が増大化するとともにストレーナ15が詰まり易くなってしまう。さらに0.8以上、とくに0.9以上とするのが好ましい。なお、(S2/(S1+S2))の上限については、ストレーナ15と弾性枠部材16が必要とされる接合強度が維持される範囲で適宜定めればよいが、例えば、0.97以下、さらに0.95以下と定めることができる。当第一実施形態では0.93とした。
【0041】
本第一実施形態では、ストレーナ15を浄水器用カートリッジの外面に、当浄水器用カートリッジの径方向に立ち上がる向きに配置しているので、ストレーナ15の上流側の面に付着したごみなどを、浄水器用カートリッジを浄水器から取り外した際に、容易に目視認識が可能であり、且つ、そのごみ等を容易に清掃することができる。これに対して、例えば、ストレーナを浄水器用カートリッジの外面に平行に配して、ストレーナの上流側の面を内側に配する構成とした場合には、浄水器用カートリッジを浄水器から取り外した際に、ストレーナの上流側の面に付着したごみなどを目視で認識しにくく、また清掃性も悪くなる。
このような弾性枠部材16を設けたことにより、ストレーナ15を保持、配置するために、過度に流路面積を減少させるリブ等を設ける必要がなく、流路面積を大きくすることができて、流路抵抗を低下させることができるとともに、ストレーナ15の狭い範囲に水流が集中せず、目詰まりを起こしにくくすることができる。
【0042】
<第二実施形態>
第一実施形態ではストレーナ15を浄水器用カートリッジ4とそれぞれ別体に形成し、浄水器用カートリッジ4の上流側キャップ9に取り付ける構成としたが、第二実施形態では、幅広環状のストレーナ15を上流側キャップ9と一体に設けている。
この第二実施形態では、図9に示すように、上流側キャップ9から径方向に突出するリング部を設け、このリング部にストレーナ15を一体に設けている。ストレーナ15の外端縁は、第一実施形態と同様に弾性枠部材16で覆うのが好ましい。
【0043】
ストレーナ15を上流側キャップ9と一体に設けるには、樹脂製の上流側キャップ9を成形する際に、予め幅広環状に加工したストレーナ15を金型内に配置して、金型内に樹脂を流して上流側キャップ9を一体成形する。
浄水器用カートリッジ4を浄水器1の収容部5に収容すると、ストレーナ15が上流側キャップ9と収容部5内壁との間の外周側流路14(原水流路)に配置され、流路切換弁の浄水吐出時と原水吐出時とを問わず、収容部5に供給された原水がストレーナ15を通過する際に、微細なゴミが除去される。
【0044】
<第三実施形態>
第一実施形態および第二実施形態では、原水流路となる浄水器用カートリッジ4の外周側流路14に配置される幅広環状のストレーナ15を設けたが、ストレーナ15の形状は幅広環状に限定されず、浄化材8より上流の原水流路を覆うことができる形状であればよい。
第三実施形態では、図10に示すように、第一実施形態と同様に上流側キャップ9から上流側に略筒状のストレーナ保持部9aを立設している。このストレーナ保持部9aは、収容部5底部の接続口3付近に立設された筒部5bに水密に内接して、原水流路を塞いでいる。ストレーナ保持部9aの周面には複数の開口が形成され、この開口にストレーナ15が一体に配置されている。
【0045】
浄水器用カートリッジ4を浄水器1の収容部5に収容すると、接続口3から浄水器1に導入された原水は、筒部5bからストレーナ保持部9a内に流入し、ストレーナ15を通過して外周側流路14へと流れる。このため、流路切換弁の浄水吐出時と原水吐出時とを問わず、収容部5に供給された原水がストレーナ15を通過する際に、微細なゴミが除去される。
【0046】
<その他の実施形態>
第一実施形態では、ストレーナ15の外端縁および内端縁を覆う弾性枠部材16を設けたが、ストレーナ15の保持や流路の密閉性に問題を生じない場合には、弾性枠部材16を省略してもよい。
【0047】
また、本発明の浄水器や浄水器用カートリッジでは、予めストレーナ15を保持させた取り換え用の浄水器用カートリッジを供給して、使用者が浄水器から使用済みの浄水器用カートリッジを取り外した後に、予め別のストレーナ15を保持させた取り換え用の浄水器用カートリッジを浄水器に取り付けるようにしてもよい(第一使用態様)。
【0048】
また、ストレーナ15を浄水器用カートリッジが脱着可能な構成として、使用者が、浄水器から使用済みの浄水器用カートリッジを取り外した後に、別のストレーナ15を装着した新たな浄水器用カートリッジを供給して浄水器に取り付けるようにしてもよい。なお、この場合に、ストレーナ15と、ストレーナ15を装着していない浄水器用カートリッジとをセットにした状態で使用者に供給しても、また、ストレーナ15と、ストレーナ15を装着していない浄水器用カートリッジとを別々に、つまり、別売で使用者に供給してもよい。(第二使用態様)。
【0049】
また、ストレーナ15を浄水器用カートリッジが脱着可能な構成として、使用者が浄水器から使用済みの浄水器用カートリッジを取り外すとともに、その浄水器用カートリッジからストレーナ15を取り外し、必要に応じてストレーナ15の清掃を行った後に、ストレーナ無しの新たな浄水器用カートリッジを供給して、新たな浄水器用カートリッジに清掃したストレーナ15を装着して、浄水器に取り付けるようにしてもよい(第三使用態様)。
【0050】
また、ストレーナ15を浄水器用カートリッジが脱着可能な構成として、ストレーナ無しの浄水器用カートリッジとストレーナ15を別々に供給して、つまり、使用者がストレーナを装着していない浄水器カートリッジとストレーナ15を別々に購入可能として、使用者の浄水消費量やストレーナ15の汚れ具合などに応じて、前記第二使用態様と前記第三使用態様とを使用者が選択可能としてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 浄水器
2a (ストレート)吐出口
2b (内シャワー)吐出口
2c (外シャワー)吐出口
3 接続口
4 浄水器用カートリッジ
5 収容部
5a リブ
5b 筒部
6 頭部
7 把持部
8 浄化材
9 上流側キャップ
9a ストレーナ保持部
9b 返し
10 下流側キャップ
11 カートリッジ受け
12 内部流路
14 外周側流路
15 ストレーナ
16 弾性枠部材
16a 外枠部
16b 内枠部
16c 補強枠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を内部に導入する接続口と水を吐出する吐出口とを形成するとともに、上記接続口と上記吐出口との間に、浄化材を具備する浄水器用カートリッジを交換可能に収容する収容部を設け、
原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、
原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成した浄水器であって、
上記浄化材より上流側の原水流路で、上記浄水器用カートリッジに保持され、または上記浄水器用カートリッジと一体に設けられた網素材からなるストレーナを有することを特徴とする浄水器。
【請求項2】
水から不純物を除去する浄化材を具備し、
浄水器の収容部に交換可能に収容されて、上記浄水器内に、原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、
原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成する浄水器用カートリッジであって、
上記浄化材より上流側で原水流路に張り出した網素材からなるストレーナを設けたことを特徴とする浄水器用カートリッジ。
【請求項3】
上記浄化材の上流側に樹脂からなるキャップ部材を取り付け、
このキャップ部材に上記ストレーナを一体に設けたことを特徴とする請求項2記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項4】
上記浄化材は円筒状に形成され、
上記浄化材の上流側には、ストレーナ保持部材が取り付けられ、
このストレーナ保持部材の側面部に上記ストレーナを保持したことを特徴とする請求項2記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項5】
上記側面部と接する上記ストレーナの端縁部に、弾性枠部材を配設したことを特徴とする請求項4記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項6】
上記収容部の内壁と接する上記ストレーナの端縁部に、弾性枠部材を配設したことを特徴とする請求項3または4記載の浄水器用カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−86080(P2013−86080A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232275(P2011−232275)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】