説明

浄水器

【課題】 新たな部品を必要としない簡単な装置構造であって、貯水部内の水位がどの位置にある場合でもその水位を容易に視認可能である浄水器を提供する。
【解決手段】 精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜のうちのいずれかの膜でろ過処理する膜ろ過部と、膜ろ過処理水を貯留する貯水部100とを備えた浄水器であって、貯水部100のタンクは、浄水器の前面近傍に配設され、タンクの全部または一部が内部透視可能な樹脂材料で構成され、浄水器の前面側ケーシングにタンク視認用の窓部3
もしくは開口部が設けられ、かつ、窓部もしくは開口部に対応する位置のタンク部分が内部透視可能な樹脂材料で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜のうちのいずれかの膜により膜ろ過処理する膜ろ過部を備える浄水器に関する。さらに詳しくは、水道水などの原水を膜ろ過部で処理して貯水部に貯留し、その膜ろ過処理水を必要に応じて供給する浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水などの原水を浄化する浄水器としては、蛇口に直接取り付けるタイプの他に、卓上に据え置くタイプ、キッチン内部に収納設置するタイプ、電気分解を行うアルカリイオン整水器等、様々な種類の浄水器が使用されている。また、浄水器に組込む浄化手段としては、活性炭と精密ろ過レベルの中空糸膜とを組み合わせた浄化処理カートリッジが一般的に用いられている。この浄化処理カートリッジを複数取り付けてろ過能力を高めた浄水器や、ろ過精度の高い逆浸透膜を用いた浄水器も提案されている。このようにろ過処理された水が浄水器中の浄化処理カートリッジから直接供給されるタイプの浄水器のほか、浄化処理された水を一旦タンク内に貯水し、使用時に必要な量だけ供給して使用するタイプの浄水器も提供されている。
【0003】
貯水部のタンクに浄化処理された水を貯めておく浄水器の場合、貯水部内の水位が浄水器の外部から視認できるようになっていると、使用者はどの程度の量の浄水を使用できるか一目で把握することができる。そこで、貯水部のタンク内の水位を視認するための手段として、貯水部の側部の視認可能な位置に、透明な樹脂やガラスからなる液量表示管を設け、タンク内と連通させてタンク内の水位が表示されるようにしたもの(例えば、特許文献1参照)や、また、貯水部のタンク正面に、スペーサーを介して透明な紫外線カット樹脂から形成された円形の目盛付き水位表示板を取り付け、水位表示板を介して水位を視認できるようにしたもの(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−164394号公報
【特許文献2】特開2001−2078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前者のようにタンクと連通する液量表示管を別に取り付ける場合には、部品点数が増加し、液量表示管に滞留する浄水に直射日光が当たると、浄水に藻やバクテリアが発生し、液量表示管や貯水部内部の汚染につながる恐れがある。また、後者のような円形の水位表示板では、貯水部内の水位がその水位表示板の範囲内である場合にしか水位を表示することができず、表示板範囲外で満水の時や空の状態である時には、水位表示板からは水位を視認することが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、新たな部品を必要としない簡単な装置構造であって、貯水部内の水位がどの位置にある場合でもその水位を容易に視認可能である浄水器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜のうちのいずれかの膜でろ過処理する膜ろ過部と、膜ろ過処理水を貯留する貯水部とを備えた浄水器であって、貯水部は前面近傍に配設され、全部または一部が内部透視可能な樹脂材料で構成され、内部透視可能な樹脂材料の少なくとも一部が前面に位置している浄水器である。
【0008】
また、前面側ケーシングの窓部もしくは開口部が、タンク内の満水位から空水位近辺までをカバーする縦長のスリット状の窓部もしくは開口部であることを特徴としている。
さらに、前面側ケーシングの窓部および/またはタンクが、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ノルボルネン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、環状オレフィン共重合体のうちのいずれかの透視可能な樹脂であることも好ましい。
【0009】
さらにまた、透視可能な樹脂材料に、抗菌性を有する金属イオンを含有する抗菌剤が練りこまれていたり、抗菌性を有する金属イオンを含有する抗菌コーティングが施されていることも好ましい態様である。
また、前面側ケーシングの窓部もしくは開口部と、内部透視可能な樹脂材料からなるタンク部分とを通して視認できる浮き部材が、タンク内に配設されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の浄水器によれば、貯水部のタンクの少なくとも前面側が透明樹脂材料で構成され、貯水部を覆うケーシングの前面側に、タンク委任用の窓部もしくは開口部が設けられているので、新たな部品を用いない簡単な装置構造でもって、貯水部内の水位がどの位置にある場合でもその水位を容易に直接視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の浄水器について、実施の形態を例示する図を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態にかかる浄水器の概略を示す外観斜視図(正面右側からの斜視図)である。図2は、背面側の本体カバーを取り外した状態を示す背面側からの斜視図であり、図3は、背面側から見た組立て斜視図である。図4は、その外観(但し、浄水吐水口144にホースを取り付けている)を示す六面図である。また、図5〜8は、断面図であり、図5は背面側部分の配置状態を示す縦断面図、図6は正面側部分の配置状態を示す縦断面図、図7は右側部分の配置状態を示す縦断面図、図8は上面側部分の配置状態を示す横断面図である。
【0013】
図1〜図8に示す実施態様の浄水器では原水として水道水を使用するので、浄水器1の原水流入口7は、開閉弁5を介して水道管6と直結されている。水道水は、原水流入口7に配された入口弁ユニット部10から、粗ろ過手段31と銀添着活性炭32とから構成される前処理部20を通過し、次いで、ろ過膜エレメント60を有する膜ろ過部50を通過し、さらに、第2抗菌ユニット部90、浄水を貯留するタンク100、吐水ポンプ140、浄水吐水口144の順に流れて、外部へ浄水として吐出される。ここで、膜ろ過部50を通過する際に、水道水は濃縮水と透過水とに分離され、透過水は第2抗菌ユニット部90へと流入し、濃縮水は排水口71から外部へ排出される。
【0014】
入口弁ユニット部10は、後述する制御部200によって開閉する原水電磁弁、水道水の水圧を調整する減圧弁、水道水を誤って下流側の前処理部20に流さないための逃がし弁から構成されている。前処理部20と膜ろ過部50との間には、原水流量センサ40が設けられている。また、膜ろ過部50の濃縮水出口54には、その下流側に濃縮水流量センサ80と定流量弁70とが順に設けられて、次いで、排水口71へとつながっている。
【0015】
膜でろ過された透過水は、透過水出口55から第2抗菌ユニット部90を経てタンク100の内部に貯められる。このタンク100の内部には、水位センサ110が備えられており、制御部200は、水位センサ110からの信号に基づいて、原水電磁弁11等の操作を制御する。また、タンク100の底部には排水電磁弁150が設けられ、タンク100内の透過水が一定時間吐出されなかった時には、制御部200からの指令により排水電磁弁150が開いて、強制的に排水するようになっている。
【0016】
浄水器1の本体上部には、表示部220と操作ボタン部240が設けられている。操作ボタン部240に配された各種ボタンの操作やセンサからの信号に基づいて、電磁弁を開閉したり、第2抗菌ユニット部90を制御したりすることは制御部200が行い、この制御部200は表示部220や操作パネル230の内側に設けられている。
【0017】
本発明の浄水器は、膜ろ過により高度な浄化が可能であって、浄化水を貯留するタンクを備えているので、水道水等の水質が劣る生活圏での利用に好適である。キッチン等の居宅エリア内に設置するためには極力小型であることが望ましいので、例えば、浄水器の大きさは、横幅(A)が250〜350mm程度、奥行(B)が150〜200mm程度、高さが(C)が350〜450mm程度であることが好ましい。横幅(A)、奥行(B)が前記の大きさを超えると、キッチン等に設置することが難しくなる。また、高さ(C)が高くなると、後述するカートリッジ交換がしにくくなったり、キッチン等に設置しても上蓋が開かなくなるなどの不都合が生じる。
【0018】
次に、本発明の浄水器に設置されている各構成要素について説明する。
【0019】
入口弁ユニット部10内に配された原水電磁弁は、タンク100内に設けた水位センサ110の信号に基づいて開閉する。原水電磁弁が開くと水道水が流入し、原水電磁弁を閉じると水道水の流入を停止する。タンク100内の水量が一定量以下になったり、一度に多量の透過水を使用したりする場合には原水電磁弁が開の状態となり、また、透過水を製造する途中で異常が発生した場合には原水電磁弁が遮断されて閉の状態となる。原水電磁弁は、水道水圧で十分に閉止できればよく、また、十分な水道水の流量が確保できれば、弁の開閉の方式は特に制限せず、いずれの方法を用いてもよく、交流用でも直流用でもどちらでもよい。また、原水電磁弁の材質は、水道水と長期間接触しても劣化しなければよく、ステンレスや黄銅、プラスチック等、公知の材料を用いることができる。
【0020】
入口弁ユニット部10内に配された減圧弁は、所定の水道水圧より高い水圧で水道水が供給された場合、適正な水道水圧へと調整するものであり、流入する水道水の流量に応じて水道水圧を調整できるものであれば、オリフィス、バルブ等、公知の技術を用いることができる。
【0021】
また、入口弁ユニット部10内に配された逃がし弁は、意図せずに水道水が入口弁ユニット部10内に流入してきた場合、あるいは一時に多量の水道水が流入してきた場合等において、流入した水道水を前処理部20へ供給することなく、浄水器1の外部に排出する機能を有する。逃がし弁は、原水電磁弁が開いた時に逃がし弁が閉じ、原水電磁弁が閉じた時は逃がし弁が開くように、原水電磁弁と連動する構造や、一定の水圧がかかると弁が開く構造等、前処理部20に流入させないようにできれば、逃がし弁の開閉方法は公知の方法を使用することができる。
【0022】
また、上記の原水電磁弁、減圧弁及び逃がし弁を1つの弁として設計した弁とすることもでき、部品点数も少なくなり、浄水器をよりコンパクトに設計できるので、好ましい態様である。
【0023】
次に、前処理部20について説明する。
前処理部20は、粗ろ過手段31と銀添着活性炭32等が一体的に構成された前処理カートリッジ30と、前処理カートリッジ30を収納し固定するための前処理部容器21、および前処理部フタ22から構成されている。
【0024】
粗ろ過手段31は略円筒形であり、仕切板33を介して、銀添着活性炭32を充填する銀添着活性炭ケース34に固定されている。粗ろ過手段31において、水道水は略円筒形の外表面から内表面に向かって流れるようになっており、水道水中に混入している鉄錆等の異物を捕捉する役割を果たしている。その材質は特に限定されないが、耐薬品性に優れ、吸水性の低いポリエチレンやポリプロピレンが好適に用いられる。さらに、接着剤を使用しないスパンボンド不織布を、熱処理により3次元的に融着させた成形体を、粗ろ過手段31として用いれば溶出や脱落の心配がない。内層と外層とで密度を変化させたデプスフィルタを用いれば、様々な大きさの異物をフィルタ内部で捕捉することができ、外表面のみで捕捉するフィルタに比べて長期間使用できる。
【0025】
粗ろ過手段31のフィルタ精度としては0.5〜5μmが好ましく、より好ましくは0.5〜1μmがよい。フィルタ精度が0.5μmより小さくなると短期間でフィルタが目詰まりしてしまい、水道水の流量や水圧が低下してしまう。また、5μmより大きいと異物が十分に除去できず、下流側に配置した膜ろ過部50を傷つける恐れがある。
【0026】
仕切板33は、中央に円孔のある円盤の上に円筒を同軸で連結した形状であり、その中央には流路用の貫通穴が形成されている。貫通穴の一断面にメッシュクロスが一体成形されていて、銀添着活性炭32が粗ろ過手段31側に移動しないようになっている。その中央の円筒部の外周面はおねじとなっていて、粗ろ過手段31の内径側にねじ込まれる。円盤部の外周面もおねじとなっていて、銀添着活性炭ケース34の上部にねじ込まれて締結されている。仕切板33と銀添着活性炭ケース34との間には、シール用のOリング(図示せず)を配してあり、銀添着活性炭32が外部に漏れないようになっている。
【0027】
銀添着活性炭ケース34は有底(底中央に開口あり)の略円筒形で、底部中央の開口を塞ぐために活性炭保持部材37が嵌め込まれている。活性炭保持部材37はメッシュクロスを一体成形した成形品で、銀添着活性炭32の流出を防ぐとともに、銀添着活性炭32に接触した水を通過させる機能をもつ。仕切板33や活性炭保持部材37は、水道水が銀添着活性炭32に満遍なく接触するよう、複数の孔を設けたり、孔に傾斜した羽根をとりつけるなど、公知の偏流防止手段をあわせて使用することができる。
【0028】
銀添着活性炭ケース34に充填した銀添着活性炭32は、水道水中の残留塩素を分解し、有機物を吸着し、さらに抗菌性を有する銀イオンを水道水中に溶出する役割(第1抗菌ユニットとしての機能)を持っている。残留塩素を分解することで、残留塩素によりろ過膜が劣化して分離能力が低下することを防止できる。一方、残留塩素を分解すると細菌が繁殖する可能性があり、特にろ過膜エレメント内部でバイオファウリングが発生し透過水量が低下する恐れがある。抗菌性を有する銀イオンを溶出させることで、細菌の繁殖を防ぐことができ、あわせてろ過膜エレメントのバイオファウリングによる透過水量の低下を防止する。
【0029】
銀添着活性炭32としては、椰子柄を原料とした粒状活性炭に銀を添着したものを用いることが好ましい。比較的安価に入手でき容易に充填できるからである。ここで用いる活性炭は、木炭やフェノール樹脂などを原料とした活性炭であってもよく、繊維状活性炭や、繊維状活性炭や粒状活性炭を混ぜ合わせてバインダを用いて成形したものや、粒状活性炭や粉末活性炭をブロック状に成形した活性炭を使用してもよい。
【0030】
銀添着活性炭32の粒度が細かくなると残留塩素の分解能力が上がるものの、通水抵抗が大きくなる。従って、10〜150メッシュ(0.1〜2.0mm)の範囲の粒度を選択することが好ましく、48〜100メッシュ(0.15〜0.3mm)を選択することがより好ましい。
【0031】
銀添着活性炭32を通過した後の水中の銀イオン濃度は、1μg/l以上100μg/l以下が好ましく、数ヶ月間から1年間安定してこの銀イオン濃度水準を維持できることが望ましい。そのためには、銀添着活性炭32の銀添着量が0.01〜1重量%であることが好ましく、0.01〜0.1重量%であることがより好ましい。活性炭への銀イオンの添着方法は特に限定されるものではなく、例えば、硝酸銀と硝酸マグネシウムを蒸留水に溶解し、これを活性炭に均一に散布した後、乾燥する方法が挙げられる。銀イオン濃度は、ICP発光分析装置(誘導結合プラズマ発光分析装置)や原子吸光法で測定することが好ましいが、これ以外の方法であっても構わない。
【0032】
前処理カートリッジ30を装填させるための前処理部容器21は、有底の略円筒形であり、前処理カートリッジ30を収納した後に前処理部フタ22を装着することで流路が形成されるものである。前処理部容器21の底部には、前処理部流入口23と前処理部吐出口24が設けられていて、前処理部流入口23から流入した水道水は、前処理容器の内壁と前処理カートリッジの外壁との間を流れて、粗ろ過手段31の外周側に達した後、粗ろ過手段31、次いで、銀添着活性炭32の順に流れ、前処理部吐出口24から吐出される。ただし、前処理カートリッジ30は、上流側に銀添着活性炭32、下流側に粗ろ過手段31を設けた構造のもの(図示なし)でもよく、その場合は、水中に混入した活性炭の微粉を粗ろ過手段31で捕捉することができる。さらに、粗ろ過手段31、銀添着活性炭32、粗ろ過手段31のサンドイッチ構造の前処理カートリッジ(図示なし)を用いてもよい。
【0033】
前処理部容器21の内側底部の中央の前処理部吐出口24の周囲には、円環状パッキン36を配置し、前処理部流入口23から入ってくる水道水と、前処理部吐出口24から吐出する前処理水とが混ざり合わないようにしてある。
【0034】
前処理部流入口23側の部材には逆止弁25が設けられ、何らかの誤操作があったときに水道管4に異物が逆流しないようになっている。この逆止弁25は前処理カートリッジ30側に取り付けてもよい。前処理部のフタ22はOリング(図示せず)を介して前処理部容器21に脱着可能に固定されている。固定方法は、メートルネジや台形ネジ等のネジ固定式でも、バヨネット式でもよい。これらの固定方法を用いると、前処理部フタ22をわずかな力で取り外すことができるため、浄水器の内部や周囲を水で汚すことなく、簡単にカートリッジを交換することができる。
【0035】
前処理カートリッジ30は、粗ろ過手段31と銀添着活性炭32が一体的に装着されている浄水カートリッジであるので、粗ろ過手段31と銀添着活性炭32を1回の作業で容易に交換することができる。なお、粗ろ過手段31と銀添着活性炭32の寿命が著しく異なる等の場合には、粗ろ過手段31と銀添着活性炭32をそれぞれユニット化し、独立して交換可能な構成としてもよい。この場合、粗ろ過手段31と銀添着活性炭32のそれぞれを寿命に達するまで使用することができる。
【0036】
次に、前処理部20から膜ろ過部50への流路途中に配設した原水流量センサ40について説明する。
【0037】
原水流量センサ40は、図10に示すように、磁石42を内蔵した羽根車41と磁気スイッチ43とから構成される。羽根車41が1回転すると磁気スイッチ43から制御部200にパルス信号が2パルス送られるようになっている。羽根車式の流量計であるので、流路を大幅に太径化することなく設置でき、省スペース化を実現できる。ただし、差圧式やフロート式、非接触式等、羽根車式以外の流量センサを用いてもよい。原水流量センサ40は前処理部20の下流側に配設されているので、大きな異物が流入することなく、流量を精度よく計測することができる。
【0038】
次に、膜ろ過部50について説明する。
膜ろ過部50は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜のうちのいずれかの膜を、膜ろ過できるように組み込んでなるろ過膜エレメント60、このろ過膜エレメント60を挿入して固定するための膜ろ過部容器51と膜ろ過部フタ52から構成される。この膜ろ過部容器(本体)51は、浄水器本体の内部に設置され、そのフタ52が容器(本体)51の上部に着脱可能に配設されている。この容器(本体)51やそのフタ52には樹脂成形品が用いられる。
【0039】
平膜状のろ過膜スパイラル状に組み込んでなるろ過膜エレメント60の構造を図11及び図12に例示する。この場合、ろ過機能層(芳香族ポリアミド複合膜等からなる)を外側に向けて袋状に二つ折りしたろ過膜61の内側に透過水流路材63を挟み、一端が折り目となる二辺を接着剤で封止したもの(リーフと呼ぶ)を1部もしくは複数用意し、リーフとリーフとの間に原水流路材62を挟みつつ、集水管64の周りに巻回したスパイラル構造を持つスパイラル型エレメントである。スパイラル型エレメントは平膜状のろ過膜61をコンパクトにまとめることができ、交換等の取り扱いも容易である。スパイラル型以外にも、チューブラー型エレメント、プレートアンドフレーム型エレメントを用いることができる。また、中空糸膜形態のろ過膜を用いる場合は、U字型やI字型に束ねて筐体中に納めたモジュール形態として用いればよい。
【0040】
ろ過膜61としては、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜のうちのいずれかの膜が使用される。逆浸透膜やナノろ過膜は、膜表面の荷電状態等により、原水の溶存イオンを選択的に除去できるという特長がある。一方、精密ろ過膜や限外ろ過膜は、膜表面の孔径や膜内部の網目構造により分画ろ過できるという特長がある。
【0041】
逆浸透膜は、原水濃度に応じた浸透圧以上の圧力をかけることにより、原水中の溶存イオンをほとんど透過させず、水分子をろ過することができるので、原水中の溶存イオンの95〜99.8%を除去することが可能である。ろ過対象とする原水としては、100mg/l程度の水道水レベルから、3.5〜4.5%程度の海水レベルまで、幅広い濃度範囲をとることができ、多種の原水の膜ろ過に適用することができる。
【0042】
一方、ナノろ過膜は、逆浸透膜よりイオンが通過しやすい性質を有している。特に、イオン半径の小さい1価イオンは通過しやすく、2価以上の多価イオンは逆浸透膜と同等の脱塩率を有するものが一般的である。例えば、NaCl濃度が500mg/lの原水を操作圧力0.5MPaで膜ろ過する場合、脱塩率は10〜93%を示す。また、2価イオンとしてCaSOを濃度1000mg/lで含む原水を、操作圧力0.5MPaで膜ろ過する場合、脱塩率は90〜99%を示す。なお、脱塩率は、原水中の溶存イオンが除去される割合(%)をいう。
【0043】
逆浸透膜やナノろ過膜としては、芳香族ポリアミドからなる機能層を有する平膜であれば、幅広いpH範囲で安定した脱塩性能や造水能力が得られ、保存も容易であることから好ましい。ろ過膜の機能層を構成する樹脂としては、芳香族ポリアミド以外にも、酢酸セルロース、脂肪族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエーテルスルホン等を用いることができる。
【0044】
限外ろ過膜は、膜表面に孔径0.01μm程度の微細孔を有する膜であり、孔径より大きな物質は膜の孔や網目構造によって補足され、分画ろ過機能を有する。限外ろ過膜では、細菌やウィルス、1〜100万程度の高分子を分画ろ過することが可能である。
【0045】
他方、精密ろ過膜は、限外ろ過膜より孔径が大きく、孔径0.1μm程度の孔を有する膜である。限外ろ過膜よりも孔径が大きいので、捕捉できる物質は濁質や細菌が中心となるが、ろ過処理できる水量を多く取ることができる利点を有する。
限外ろ過膜や精密ろ過膜は、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等の素材を用いて製造され、平膜あるいは中空糸膜の形状をとることができる。
【0046】
浄水器に供給される原水の状態によって、使用する膜を適宜選択することができるが、溶存物質を選択的に除去でき、目標とする水質に調整しやすい点から、ナノろ過膜を使用することが好ましい。
【0047】
ナノろ過膜が持つ選択的な除去能力を利用し、1価イオンの脱塩率を10〜93%の範囲内とすれば、水道水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の2価のミネラル成分を膜ろか水中に程よく残存させることができる。脱塩率が10%以下では水道水中のイオン成分がほとんど除去できず、逆に脱塩率が93%以上になるとイオン成分はほとんど除去されてしまう。1価イオンと2価以上の多価イオンの脱塩率のバランスは、市販されているろ過膜の特性により種々調整することができる。一例として、溶存イオン濃度が低く、清澄な水道水等を原水として使用できる場合、ろ過膜の脱塩率は低くてもよく、脱塩率10〜40%が好ましい。井戸水等を原水として用いる場合は、安全性を考慮して脱塩率の高いろ過膜を使用することが好ましく、例えば、脱塩率70〜93%のろ過膜が好ましい。一般的な水道水を原水とする場合40〜70%の脱塩率であればよく、好ましくは50〜60%である。なお、脱塩率の範囲は、原水中の溶存成分や濁質に応じて適宜選択することができる。
【0048】
原水流路材62としては、ポリエチレン(PE)製の格子状薄板の成形物が用いられ、格子の目開き(ピッチ)によって水道水がろ過膜61全体に拡散できるようになっている。原水流路材62の厚さは0.5〜2mm程度が好ましい。0.5mm以下のように薄過ぎると、通水抵抗が大きくなり、水道水がろ過膜全体に拡散しにくくなる。また、厚さが2mm以上のように厚過ぎると、エレメント径が大きくなり、浄水器全体が大型化する恐れがある。ポリエチレン以外にも、ポリプロピレン(PP)等、溶出が少なく成形が容易で、安価に入手できる素材であればよい。
【0049】
透過水流路材63としては、ポリエステルで作られた凹凸溝を有するシート状物(例えば、ポリエステル繊維製トリコット編物等を基材とするシート状物)が用いられる。この透過水流路材63は、ナノろ過膜61で膜ろ過された透過水が、平膜状のナノろ過膜の間を流れることができるように水通過スペースを確保するためのものであり、を集水管64に集めやすい。透過水流路材63の厚みも、原水流路材62と同様、0.5〜2mm程度が好ましい。
【0050】
ろ過膜エレメント60中に配置した集水管64としては、円筒管の側面に集水用の穴を複数設けたノリル樹脂製のパイプが用いられる。パイプの素材は、ノリル樹脂以外であっても、溶出が少なく容易に加工できるものであれば、アクリルニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)やポリプロピレン樹脂(PP)等を用いてもよい。
【0051】
集水管64内部を流れる透過水が、前処理水や濃縮水と混ざらないようにするため、後述する膜ろ過部容器51や膜ろ過部フタ52との接続部分にあたる管の端部近傍外周に、Oリング等のシール部材66を取り付けられるよう、1本もしくは複数本の溝が設けられている。もしくは、膜ろ過部容器51の流入口53と接続する端部近傍の管の内部に、透過水が流入口53に流入させないストッパーを、集水管64と一体に成形加工してもよい。
【0052】
ろ過膜エレメント60は、有底の略円筒形を有する膜ろ過部容器51に収納し、さらに膜ろ過部フタ52を装着して使用する。
【0053】
膜ろ過部容器51の底には、ろ過膜エレメント60の集水管64を嵌入固定できる管固定用孔部を有する流入口53、側面には濃縮水出口54がそれぞれ設けられている。さらに、膜ろ過部容器51の内壁のうち、濃縮水出口54の下側には、後述するろ過膜エレメントの外周に取り付けられたリング状のシール部材65を所定位置に配置するための段差が設けられている。この段差の内径は、シール部材65が所定位置に配置されたとき、膜ろ過部容器51の内部で、前処理水と濃縮水とが混ざらないように区分できるように、シール部材65が押し潰される内径となっている。シール部材65を押し潰す程度は、シール部材65の外径もしくは内径、断面形状や断面の大きさによって規格化されている。このシール部材は所定位置に配置され、原水と濃縮水とを区分するためのシール機能を果たす。
【0054】
膜ろ過部フタ52には、上部に透過水出口55と、透過水出口55と接続し、膜ろ過部フタ52の内側に設けられた、ろ過膜エレメント60の集水管64を嵌入固定するための管固定用孔部がそれぞれ設けられている。また、膜ろ過部容器51とは、Oリング等のシール部材66を介して脱着可能に固定されている。膜ろ過部容器51との固定方法は、メートルネジや台形ネジ等のネジ固定式、バヨネット式等の固定方法を用いることができる。これらの固定方法を用いると、前処理部フタ22をわずかな力で取り外すことができるため、浄水器の内部や周囲を水で汚すことなく、簡単にろ過膜エレメント60を交換することができる。
【0055】
ろ過膜エレメント60の外周には、前処理水と濃縮水とを混ざらないようにするためのシール部材65が、ろ過膜エレメント60の外周に固定せずに取り付けられている。シール部材65の素材は、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)やアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等、溶出が少なく食品用途に適したゴムが好ましく用いられる。また、シール部材65の断面は、略円形のOリング、V字状のVパッキンやU字状のUパッキン等、確実にシールできる形状であれば、特にその形状は限定しない。この中では、安価に購入でき、サイズ加工が容易な略円形断面のOリングが好ましい。
【0056】
膜ろ過部容器の内部にろ過膜エレメントを収納して膜ろ過部フタを嵌め合わせた状態において、膜ろ過部容器の上部側の内部に膜ろ過フタの下端部が嵌合され、膜ろ過容器の上部側の内周面における段差部と、膜ろ過フタの下端部と、ろ過膜エレメントの外周との間のリング状空間内に、シール部材65が配置されるものであり、この所定位置にシール部材65が配置されることにより、原水と濃縮水とを区分するためのシール機能の役割を果たす。原水と濃縮水が混ざると、原水濃度が上昇するため、透過水濃度が高くなったり、浸透圧が高くなって透過水量が下がる問題が発生する。この点を確実に防止するためにも、確実にシールできることが好ましい。膜ろ過部容器51からろ過膜エレメント60を抜き出すとき、シール部材65がろ過膜エレメント60の外周に固定して取り付けられていると、濡れた状態ではシール部材65と膜ろ過部容器51の内壁との滑りが悪く、抜き出すためには多大な労力が必要になる。さらに、交換した新しいろ過膜エレメント60を収納するにも、シール部材65と内壁との摩擦により大きな抵抗力が生じ、収納に多大な力を加えることになり、膜ろ過部容器51がタンク100から外れる等の破損が生じる恐れがある。このような破損を防ぐため、シール部材65はろ過膜エレメント60の外周には固定しないことが好ましい。
【0057】
ろ過膜エレメント60の外周にシール部材65を固定しないまま膜ろ過部容器51に収納すると、ろ過膜エレメント60はスムーズに膜ろ過部容器51に挿入することができる。即ち、ろ過膜エレメントの外周にリング状シール部材を非固定状態で配置させた状態で膜ろ過部容器内にろ過膜エレメントを挿入した後、膜ろ過部フタを嵌め合せて、膜ろ過部容器と膜ろ過部フタとを固定させると、シール部材65は、前述した膜ろ過部容器51の内壁に設けた段差と、膜ろ過部フタ52の端部との間に生じるリング状空間である所定位置に配置され、前処理水と濃縮水とを分離するシール機能の役割を果たすことができる。
【0058】
ろ過膜エレメント60は、組み込むろ過膜の種類、ろ過性能(脱塩率等)、ろ過水量等により、種々の性能のものを作ることができる。従って、膜ろ過部に取付けるろ過膜エレメント60の種類は、処理する原水の水質等によって、適宜選択することができる。そこで、膜ろ過部に取付けられたろ過膜エレメント60の種類を識別するための識別手段(図示なし)がろ過膜エレメント60に設けられている。その識別手段としては、例えば、脱塩率の高いろ過膜を用いたろ過膜エレメントには集水管の一端に突起を設け、その突起が膜ろ過部容器51に設けた識別用スイッチを押すことにより接点が閉じ、その信号が制御部200に伝えられ、高脱塩率タイプのろ過膜エレメントが取付けられていることが表示されるシステムを採用してもよい。その識別手段としては、突起ではなく切り欠きや凹凸でもよく、その他にもICチップ、磁気情報、バーコード、文字情報等でもよく、任意の方法が使用できる。
【0059】
次に、定流量弁70について説明する。
膜ろ過部の濃縮水出口54の下流側に設けられた定流量弁70は、流量絞り機構を内部に有し、一定水量以上の濃縮水が流出しないように機能する。この定流量弁70により、原水流量が増えても濃縮水を一定水量以下に維持することができる。 ここで用いる定流量弁70は、バルブ等の圧力調整機能を持つ定流量弁でもよいが、調整不要な絞り弁が好適に用いられる。
【0060】
次に、濃縮水流量センサ80について説明する。
【0061】
濃縮水流量センサ80としては、前述した原水流量センサ40と同様に、磁石を内蔵した羽根車と磁気スイッチとから構成され、羽根車が1回転すると磁気スイッチから制御部200にパルス信号が2パルス送られるような構造の流量センサが用いられる。羽根車式の流量計であるので、流路を大幅に太径化することなく設置できることも、原水流量センサ40と同様である。前述の原水流量センサ40から発信するパルス数から、濃縮水流量センサ80のパルス数を減じると、透過水の流量が算出できる。算出した透過水流量の値に基づき、後述する第2抗菌ユニット部90の抗菌機能を制御することができる。
【0062】
次に、膜ろ過により得られた透過水を貯めるためのタンク100について説明する。
【0063】
タンク100は、膜ろ過により得られた透過水を、後述する第2抗菌ユニット部90を通過させて銀イオンを含ませた後に貯めるものである。タンク100は、タンク本体101、タンク蓋102、タンク蓋支持部材103とから構成されている。タンク蓋102とタンク蓋支持部材103の一部を凹ませて、そのタンク外側にチャンバー93を配設しており、タンク蓋102の凹ませた部分には、銀イオンを含ませた透過水を流出させるためのチャンバー流出口95が、タンク蓋支持部材103の凹ませた部分には、銀イオンを含ませた透過水を流入させるためのチャンバー流入口94が設けられている。
【0064】
タンク本体101の底部にはタンク吐水口130があり、タンク吐水口130から出た透過水は、浄水器1の底部に設置した吐水ポンプ140によって、浄水器1の外部へと供給される。また、タンク内部には水位センサ110が設けられている。
【0065】
タンク本体101、タンク蓋102、タンク蓋支持部材103は、ともに溶出が少なく精度よく成形できるABS樹脂からなる成形体である。タンク本体101とタンク蓋102、タンク蓋支持部材103は、それぞれがビス止め式あるいは嵌め込み式で相互に固定されており、使用者は必要に応じて、タンク蓋支持部材103、タンク蓋102を取り外して、タンク本体101の内部を洗浄することができる。タンクの材質は、ABS樹脂以外にも、透過水中への溶出が少ない樹脂であればよく、例えば、アクリルニトリル樹脂(AS樹脂)を代表とするアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリメタクリル酸メチル、ノルボルネン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、環状オレフィン共重合体等を用いてもよい。タンク本体101やタンク蓋、タンク蓋支持部材103は、白色系等の熱を蓄えにくい色が好ましい。後述するようにタンク本体101の一部もしくは全体を透明にすると、タンク本体101に残存する透過水の水量を外部から視認することができる。このとき、タンク本体101やタンク蓋102、タンク蓋支持部材103の内側に、抗菌性金属イオン(銀イオン等)の抗菌コーティングを施してもよいし、また、抗菌性金属イオン(銀イオン等)を含有する抗菌剤を樹脂に練り込んだ抗菌樹脂組成物を成形してタンクとしておくと、タンク本体101の内部で細菌が繁殖しにくくなり、衛生上好ましい態様である。
【0066】
タンク本体101の形状(即ち、貯水部の形状)は、図8(a)や図8(b)に示すように、2つの凹部を有する形状であり、水平断面において、略方形の2つの角部分にそれぞれ凹部が切欠けられていることにより略T字状のような形状になっている。このタンク形状で、2つの凹部がタンクの左右対称位置に設けられていて、凹部の片方に略縦長形状の前処理部20が、他方に略縦長形状の膜ろ過部50が、それぞれ縦長の向きで配置することができる。即ち、このような形状にしているので、2つの凹部に、前処理部20、膜ろ過部50をそれぞれ立設することができ、浄水器1の設置面積を抑えることができる。
【0067】
このタンクの貯水容量は、浄水器の使用目的や浄水器全体の大きさ等に応じて最適な容量とすればよいが、例えば、家庭内のキッチン使用の浄水器の場合には、貯水容量を3〜12リットル程度とすればよい。標準的な4人家族の家庭において、1回の料理に使用する平均な水量は4〜5リットル程度と言われており、この水量を確保できるタンクの貯水容量が好ましい。より好ましい貯水容量は、5〜10リットル程度である。
【0068】
タンク本体101の凹部の外周には、凹部に嵌合、設置された前処理部20の容器21を固定するための固定具120、及び、膜ろ過部50の容器51を固定するための固定具121が設けられている。前処理部フタ22や膜ろ過部フタ52を開けて前処理カートリッジ30やろ過膜エレメント60を交換する場合にも、前処理部容器21や膜ろ過部容器51がタンク本体101から外れることなく、容易に交換作業を行うことができる。
【0069】
また、略T字状のタンクの側面の全部又は一部を透明にしておき、その透明部分が外部から視認できるように、タンクを浄水器の前面近傍に配置しておくと、浄水器1の外部からタンク本体101内部の水位が直接視認できるようになる。例えば、図1や図3や図4に示すように、浄水器の前面板2に、タンク内の浄水の水位を知ることができる水位表示用窓3を設けておけばよい。この水位表示用窓3は、タンク本体101内部の浄水の水面位置の視認用の透明窓であり、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、PP樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ノルボルネン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、環状オレフィン共重合体等の透明樹脂を材料とすることが好ましい。この透明窓の代わりに、開口部(図示なし)を設けてもよい。この透明窓部や開口部は、タンクの満水位から空水位近辺までをカバーする縦長のスリット状であることが好ましい。
【0070】
また、透明窓や開口部の代わりに、水位に連動して変動する表示部材をタンク本体101の内部に設けたり、タンク本体101の透明部分にあわせて前面板2の一部に開口部を設けてもよい。さらに、透明窓や、開口部に対応するタンク本体101の透明部分に、1リットル単位で残存する水量が把握できるような目盛を設けてもよい。目盛は、1リットルに限定せず、1リットルを2〜5等分した目盛であってもよく、リットル以外にも使用する国に応じた容積の単位を適宜採用することができる。
【0071】
タンク内の水位を検知するための水位センサ部110には、タンク上方から順に、HHセンサ111、Hセンサ112、Lセンサ113、LLセンサ114の4つのセンサが設けられていて、これら各センサにより水位が所定範囲に比しての相対的水位を知ることができる。これら各センサには光の反射を利用して水位を検知するものが用いられる。これら各センサは、タンクの内側に設けて、タンク内の水位を直接測定できることが好ましい。4つの水位センサ111〜114の一例として、浮き部材を用いた態様が挙げられる。タンク内に4つの浮き子を設置し、水位が下がると浮き子が可動するように設置されているため、浮き子が移動すると制御部200に信号を発し、水位を検知できるようになっている。また、タンク内に、光の発信部と受信部をそれぞれ内部に有する配管を設け、光の反射を利用したり屈折率等を計測して水位を検知する方法を用いることも、非接触で検知できる点で好ましい態様である。
【0072】
タンクの下部のタンク吐水口130から吐出された透過水は、吐水ポンプ140により浄水器1本体の上部に設けられた浄水吐水口144へと送られ、浄水吐水口144から外部に吐出される。浄水吐水口144からの水吐出がされない間、透過水を供給する管路141内に滞留する透過水は、添加された銀イオンの働きにより細菌の繁殖が抑制されている。また、仮に浄水吐水口144から細菌が侵入することがあっても、吐水ポンプと浄水吐水口144との間の管路途中に設けられた逆止弁142により、汚染された透過水が、透過水を供給する管路内に逆流することはなく、透過水の管路やタンク100の内部で細菌が繁殖することなく、透過水の水質を安全を保つことができる。
【0073】
この逆止弁は、吐水口側から0.01MPaの圧力が負荷されても開かない機能を有することが好ましく、例えば、弁座と弁体とスプリングで構成される構造の逆止弁であって、弁座と弁体が、抗菌剤を含有する樹脂で構成される樹脂成形体であるものを用いることができる。抗菌剤を含有する樹脂を使用すると、逆止弁142内部に滞留する水や、逆止弁近傍における細菌繁殖を防止することができる。
【0074】
浄水吐水口144の設置個所は、貯水部100内の水面の上限位置よりも上方に位置させると、浄水吐水口144へ供給する管路に滞留する浄水が貯水部へ逆流しないようにすることできる点で好ましく、例えば、浄水器1本体の上部に設ければよい。
【0075】
吐水ポンプ140は、透過水の吐出指令の操作信号に呼応して、透過水を浄水吐水口144へと送給する。このポンプの形式は特に問わず、公知の方法による水供給用ポンプを使用することができる。
【0076】
タンク100の上部位置に設けられたオーバーフロー管160は、タンク内の透過水の水位がHHセンサ111位置を超えて高くなった場合に、透過水の余剰分がオーバーフロー管160を通して排水口71へと流出し、タンク内水位をHHセンサ111位置まで下げる機能をもつ。また、タンク100の内部を洗浄した場合等には、余剰の透過水や洗浄に使用した水を排水口71へと排水させるために、オーバーフロー管を利用することができ、タンク100内部の安全性を保つために役立つ。
【0077】
次に、第2抗菌ユニット部90について説明する。第2抗菌ユニット部90は、膜ろ過により得られた透過水に、抗菌作用を有する銀イオンを所定の濃度の範囲で添加し、前述のタンク100へ送水するものである。
【0078】
第2抗菌ユニット部90の断面図を、図13に示す。第2抗菌ユニット部90には、銀イオンを溶出する銀電極91、タンク蓋102とタンク蓋支持部材103の一部を凹ませて設けたチャンバー93、タンク蓋支持部材103の凹ませた部分に設けたチャンバー流入口94、タンク蓋102の凹ませた部分に設けたチャンバー流出口95、接続管96、キャップ97、銀電極91の下流側のスケール防止フィルタ98、電気伝導度計99が配設されている。
【0079】
チャンバー93は、タンク蓋102とタンク蓋支持部材103の一部を凹ませて設けられた、略直方体状の空間であり、タンク蓋支持部材103を凹ませた部分がチャンバー93の略直方体の上半分に、タンク蓋102を凹ませた部分がチャンバー93の略直方体の下半分に、それぞれ相当するような凹みを設けている。また、それぞれの凹み同士は、水漏れしないように接続部分をOリング等でシール固定されている。この空間に後述する銀電極91を設置し、透過水に銀イオンを添加することができる。
【0080】
タンク蓋支持部材103を凹ませた部分には、透過水を流入させる管状のチャンバー流入口94が、タンク蓋支持部材103と一体に成形されている。ここで、チャンバー流入口94は、チャンバー93の略鉛直下向きに突き出ている。
【0081】
また、タンク蓋102を凹ませた部分には、銀イオンを添加した透過水をタンク100へ送る管状のチャンバー流出口95が、タンク蓋102と一体に成形され、チャンバー93の略鉛直上向きに突き出ている。チャンバー流入口94の下端は、チャンバー流出口95の上端より下方に設けてあるため、チャンバー93に流入した透過水は、チャンバー流出口95の上端に達するまでは、ほぼ一定量の透過水がチャンバー93に貯まるようになっている。
【0082】
膜ろ過された透過水が流入するチャンバー流入口94は、膜ろ過部50の透過水出口55と接続するための接続管96が挿入されている。接続管96にはシール部材(図示せず)が取り付けられており、チャンバー流入口94から透過水が漏れないようになっている。チャンバー流入口94から接続管96が外れないように、接続管96には鍔(図示せず)が設けられており、キャップ97で接続管96の鍔(図示せず)を締め付け固定している。
【0083】
銀電極91は、板状の銀電極2枚を一対として、向かい合わせに配置している。この銀電極91の素材は、銀単独でもよいし、それ以外に、銀と銅の合金や銀と亜鉛の合金等でもよいし、抗菌性を有する金属イオンのもとになる他の金属と組み合わせた合金でもよい。
銀電極91は、タンク蓋支持部材103の一部を凹ませた、チャンバー93を構成する部分に、タンク蓋支持部材103と一体に接合されている。銀電極91の一部は、チャンバー93から上方に突出しており、この突出した接続部92は、後述する制御部200と結線できるようになっている。
【0084】
後述する制御部200からの信号に基づいた電圧を銀電極91に印加することで、銀イオンを透過水中に溶出させる。このとき、一対の銀電極の陽極側と陰極側を固定したままにすると、陽極側に塩化銀スケールが発生し、銀イオン溶出量が次第に低下する。スケール発生を防止するため、銀電極に印加する電圧の極性を、1〜10秒程度の周期で定期的に反転させることが好ましい。10秒以上同一の極性で印加すると、陽極側の銀電極に塩化銀スケールが析出し、銀電極から剥離した塩化銀析出物が透過水中に混入する恐れがある。塩化銀スケールをタンク100内に流入させないようにするためには、銀電極91の下流側に、塩化銀スケールを捕捉するスケール防止フィルタ98を設置すればよい。
【0085】
スケール防止フィルタ98としては、メッシュクロスを一体成形した成形品、あるいは、耐薬品性に優れ、吸水性の低いポリエチレンやポリプロピレンを材料に用いた、接着剤を使用しないスパンボンド不織布が好適に用いられる。
【0086】
銀電極91の上流側には、電気伝導度計99を設置して、透過水の抵抗(導電率)を測定し、その結果を制御部200に送るようにしてもよい。電気伝導度計93は、オンラインで水の電気抵抗を測定できるサイズのものであれば、特に測定方法は問わず、公知の電気伝導度計を使用することができる。
銀電極91は、第2抗菌ユニット部90から取り外しできるように取り付けられているので、銀電極にスケールが付着した場合や、銀イオンを一定量溶出した場合に交換することができる。
【0087】
ここで、透過水の銀イオン濃度について説明する。
透過水の銀イオン濃度は、日本の水道水質では管理項目にはないものの、WHO(世界保健機構)のガイドラインには100μg/l以下とすることが望ましい、との記載がある。また、USEPA(米国環境保護庁)が規定している安全飲料水法水質基準において、WHOと同じ100μg/l以下と定められている。本発明においては、この基準からさらに安全性を考慮し、透過水中の銀イオン濃度の上限値を、基準値の半分である50μg/l以下とするように設計した。
【0088】
一方、銀イオン濃度の最低値は、抗菌効果が確認できる10μg/l以上とするように設計した。銀イオン濃度が10μg/l未満になると、細菌に対する抗菌作用が不十分となり、培養により細菌が増殖する。これらの知見から、透過水中の銀イオン濃度は、10〜50μg/lの範囲になるように、銀電極91へ印加する電圧、印加時間を調整する。この調整の手段として、制御部200でのプログラムを用いる。
【0089】
次に、制御部200について説明する。
図14に示すように、制御部は、電源部表示部、表示部、操作ボタン部、及び、演算部から構成される。
【0090】
電源部は、図15に示すように、電池211が電池ケース212内に収納されていて、電池ケースの本体213内に設けた陽極金具、陰極金具(図示せず)と、リード線217が接続されていて、リード線217により、後述する表示部220、操作ボタン部240、演算部250へと電源供給されている。
【0091】
ここで、使用する電池211は1本でも複数本でもよいし、また、電池の代わりに交流電源を使用することもできる。
電池211としては、マンガン乾電池、アルカリ乾電池、オキリライド乾電池、ニッケル水素やリチウムイオンタイプの充電型電池等、様々な種類のものがあり、後述する表示部220、操作ボタン240、演算部250を数ヶ月〜1年以上安定して作動できれば、特に種類は問うことなく使用できる。
【0092】
電池211を入れる電池ケース212は、電池ケース本体213と電池ケースフタ214からなり、電池ケース本体213内には陽極金具、陰極金具(図示せず)とが設けられている。電池ケース本体213の陽極金具、陰極金具からリード線217が出る出口には、リード線を伝って水が電池ケース本体213内に入って来ないように、防水部材215が取り付けられている。
【0093】
電池ケースフタ214にも、浄水器1外部から水が浸入して来ないように、本体との接続部分にOリング(図示せず)等の防水部材を設けている。電池ケース本体213と電池ケースフタ214とは、バヨネット式、ネジ込み式、差込式等の方法で取り付けできるようになっている。電池ケースフタ214には、コインで開けられるような溝(図示せず)を設けていることが好ましい。
交流電源を使用する場合には、そのままの電圧では表示部や演算部等を操作するには電圧が高すぎるため、変圧器を使って電圧を2〜12V程度にまで下げ、銀電極91に直接印加すればよい。変圧器の変圧方法は特に制限するものではなく、公知のものを使用することができるがその大きさは、浄水器1をコンパクトに設計するために小型のものを採用することが好ましい。
【0094】
表示部220は、表示部ケース内にまとめて配置され、浄水器1本体の上部または前面の、使用者から見やすい位置に設けられている。例えば図16に示すように、液晶表示部(LCD)221内に、電源LED228、排水LED229、給水LED230、前処理カートリッジ交換LED231、ろ過膜カートリッジ交換LED232、保守LED233等が配置されている。LCD221や各種LED228〜233からは、後述する演算部250の基板252と接続するリード線237が結線されている。この結線部分は、浄水器1本体中の浸水によって錆が発生したり、接触不良が起こらないように、防水のためのポッティング剤で封止してある。ポッティング剤は、2液混合型の硬化性樹脂であるウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂のポッティング剤が好んで用いられるが、防水能力を有していれば材質は特に制限するものではない。
【0095】
LCD部221内には、浄水器1の状態を表示するための表示も含まれている。電源に電池を使用した場合の電池寿命表示223、前処理カートリッジが寿命に達するまでの残存期間を表示する前処理カートリッジ寿命表示224、ろ過膜エレメントが寿命に達するまでの残存期間を表示するろ過膜エレメント寿命表示225、ろ過膜エレメントの種類を表示するろ過膜エレメント種類表示226、原水流量センサ40や濃縮水流量センサ80の積算流量や瞬時流量等を示すデジタル表示部227が、それぞれLCD部221内に表示されるようになっている。
【0096】
電池寿命表示223、前処理カートリッジ寿命表示224、ろ過膜エレメント寿命表示225は、図16に示すように、数個のブロックを、点灯、消灯、点滅することや、点滅の周期を変えること、あるいはこれらの組み合わせることで、寿命に到達することを表示することができる。例えば、前処理カートリッジ寿命表示224やろ過膜エレメント寿命表示225において、3つのブロックで寿命を表示する場合、使用開始時には3つのブロックを全て点灯させ、積算流量が設定した寿命の80%に到達するとブロックを1つ消灯し、90%で2つ目を消灯し、100%に達すると全て消灯するとともに、ブロックを囲む枠が点滅するようにすればよい。これ以外の表示方法であっても、段階的に寿命に到達していることを使用者が認知できる方法であれば、その方法は適宜選択することができる。
【0097】
ろ過膜エレメント種類表示226は、膜ろ過部容器51に設けた識別部56の識別信号を後述する演算部250が検知し、その結果をLCD部221で表示するものであればよい。
【0098】
また、LCD部221の背面にバックライトを設けることができる。バックライトは、運転中点灯し続けてもよく、給水操作や排水操作した時のみ点灯させたり、後述する操作ボタンを操作してから一定時間点灯させてもよく、例示した以外の方法であってもよい。
バックライトの点灯効果をだすために、LCD部221に透過性を持たせるとともに、LCD部221とバックライトとの間に、表面に複数の凹凸を有する光拡散部材を設ける。
【0099】
使用電力を抑えるためには、バックライトを常時点灯させず、操作ボタンを操作した時から一定時間点灯させたり、周期的に点灯させる方法が好ましい。さらに、前処理カートリッジ30やろ過膜エレメント60が寿命に近づいたり、寿命に達したりした場合には、バックライトの色が変更されて、使用者に注意を促すようにしてもよい。例えば、通常に使用している場合はバックライトを緑色表示とし、前処理カートリッジ30やろ過膜エレメント60が寿命に達するとオレンジ色表示に変化させて点滅させることでもよい。もちろん、バックライトの色は、例示した色以外を採用してもよく、点滅の周期を変える方法も好ましい態様である。
【0100】
操作ボタン部240は、浄水器1本体上部または前面に、使用者から操作しやすい位置に設けてある。この操作ボタン部240は、例えば図17に示すように、電源ボタン241、排水ボタン242、給水ボタン243、リセットボタン244が、操作ボタン部エリア内に配置されている。この操作ボタン部エリアの内部には基板が収納されており、各ボタン241〜244の操作を信号に変換して、後述する演算部250へリード線を経由して信号を伝達する。ボタンは機械的に押しこむタイプのもの、フェザータッチ、タッチパネル等、いずれの方法を用いてもよい。ボタンは頻繁に使用するものであり、耐久性や防水性に優れたものが好ましい。一例として、フェザータッチ式のボタンを採用すると、ボタン周辺から水が浸入する隙間ができない点で好ましい。押し下げボタン式を採用する場合、防水のためにスイッチゴムを被覆することが好ましい。
【0101】
基板は、操作ボタンエリアの内部に配置し、前述した表示部220と同様に、防水のためのポッティング剤で封止することが好ましい。ポッティング剤は、2液混合型の硬化性樹脂であるウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂のポッティング剤が好んで用いられるが、防水能力を有していれば材質は特に制限するものではない。
【0102】
リセットボタン244が運転中に誤って押されてしまうと正確な寿命表示ができなくなるため、3秒以上の長押しで操作できるようにすることや、操作ボタン240とは別の場所に独立に設けることにしてもよい。
【0103】
演算部250は、図18に示すように、CPU251が設けられた基板252と、この基板252を収納する演算部ケース253とから構成されている。
【0104】
CPU251では、電源部210から電源供給を受け、原水流量センサ40、濃縮水流量センサ80、水位センサ110からのパルス信号や、操作ボタン240からの操作信号に基づいて演算を行ったり、膜ろ過部50に設けた識別部56からの信号で識別したろ過膜エレメントの種類を表示部220に表示するための出力信号を送ったり、前処理カートリッジ30やろ過膜エレメント60を取り付けてからの経過時間を計測したりすることが行われる。CPU251と基板252とは、演算部ケース253内に収納され、防水のためポッティング剤254により封止されている。ポッティング剤254は、2液混合型の硬化性樹脂であるウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂のポッティング剤が好んで用いられるが、防水能力を有していれば材質は特に制限するものではない。電源部210からの電源供給や、操作ボタン240からの信号、表示部220への出力信号は、リード線で相互に結線されている。
【0105】
また、演算部250内にはメモリ機能が設けられており、演算した積算流量や瞬時流量、ろ過膜エレメントの種類、前処理カートリッジやろ過膜エレメントが取り付けられてからの経過時間等を記憶することができる。また、識別したろ過膜エレメントの種類によって寿命が異なる場合、識別結果から寿命表示するための寿命設定値をCPU251に信号を送り、演算した積算流量と寿命設定値を比較することにより、LCD221のろ過膜エレメント寿命表示225を正確に表示することができる。
【0106】
続いて、制御部200による動作(操作)について説明する。
制御部の操作として、排水操作、造水操作、給水操作、流量データ処理、銀電極制御、の順に説明する。
【0107】
最初に、排水操作について説明する。
【0108】
浄水器1の電源コンセントを接続して電源オンとしたとき、タンク100内に残存する透過水の水位がLLセンサ114以下の場合には、原水電磁弁11を閉じ、排水電磁弁150を開き、吐水ポンプ140を運転して、タンク100内に残存する透過水が強制的に排水口71から排水される(以後、この操作を排水操作状態と称する)。その後、操作パネル240にある電源ボタン241を3秒以上長押しすると、浄水器1は通常運転状態に入る。Keyスイッチ処理によりスイッチをONにし、浄水器1の上蓋部4の開閉を確認する。ここで上蓋部4が開いていた場合は、前処理カートリッジ30もしくはろ過膜エレメント60の交換作業を行っているとみなし、表示部220にある排水LED229や保守LED233を点灯させる。ただし、10秒以内に上蓋部4を閉じた場合には通常運転状態に復帰する。
排水操作は次の場合に行われる。手動で排水する場合には、操作ボタン240にある排水ボタン242を3秒以上長押しすると、前述の排水操作状態に入り、タンク100に残存する透過水が排水される。また、連続して48時間以上給水動作が行われない場合は、制御部200に設けられたタイマにより、強制的に排水操作状態に入り、タンク100内に残存する透過水が排水される。
【0109】
次に、造水操作について説明する。
造水操作は、タンク100内の透過水の水位が、Hセンサ112より上にある場合は行われず、水位がHセンサ112を下回ると、原水電磁弁11を開いて造水を開始し、水位がHHセンサ111に達すると原水電磁弁11を閉じて、造水を終了させる。造水量よりも多量の透過水が吐水されることによりLLセンサ114以下にまで水位が下がった場合には、水位がLセンサ113位置に回復するまで吐水ポンプ140の動作を停止させる。
【0110】
次に、給水動作について説明する。
給水動作は、操作ボタン240の中の給水ボタン243を一度押すことにより、吐水ポンプ140が作動して連続的に、タンク内の透過水が浄水吐水口144へと給水され、再度給水ボタン243を押すと、給水は停止する。給水ボタン243を押し続けた場合のみ給水する方法であってもよい。
【0111】
次に流量データ処理について説明する。
水道水が原水流量センサ40を通過したり、濃縮水が濃縮水流量センサ80を通過したりすると、それぞれの流量センサに組み込まれた羽根車が回転し、発生したパルス信号が制御部200へと送られ、演算処理される。演算処理した結果は、制御部200に内蔵するメモリ部に蓄積される。メモリ部に蓄積されたデータに基づき、前処理カートリッジ30やろ過膜エレメント60の交換時期を判断し、表示部220に交換を促す表示を行う。以下に、それぞれの交換時期の判断方法について説明する。
【0112】
最初に、前処理カートリッジ30の交換方法について説明する。
【0113】
原水流量センサ40を通過した積算流量が所定値(例えば3,000L)を超えた場合、もしくは、瞬時流量が所定水準(例えば200ml/分)以下の状態が3分間継続した時には、前処理カートリッジ30が寿命に達したと判断し、表示部220にある前処理カートリッジ交換LED231を点灯させる。前処理カートリッジ交換LED231の点灯により交換時期が到来したことを知ることができる。交換前には前述した手動の排水操作を行なった後に、浄水器1の上蓋部4を開いて、排水LED229が消灯していることを確認してから、前処理部フタ22を開いて前処理カートリッジ30を交換する。交換した後には、前処理部フタ22、浄水器1の上蓋部4を元通りに取り付け、操作ボタン230にあるリセットボタン244を押し、メモリ部に蓄積されたデータを消去し、通常動作に復帰させる。
【0114】
次に、ろ過膜エレメント60の交換方法について説明する。
【0115】
原水流量センサ40を通過した積算流量が所定値(例えば5,000L)を超えた場合、ろ過膜エレメント60を膜ろ過部50にセットしてから1年間(8,760時間後)経過した場合、もしくは、原水流量センサ40の瞬時流量と濃縮水流量センサ80の瞬時流量との差が所定水準(例えば50ml/分)以下の状態が3分間継続した場合、その時点でろ過膜エレメント60が寿命に達したと判断し、表示部220にあるろ過膜エレメント交換LED232を点灯させる。ろ過膜エレメント交換LED232の点灯により交換時期が到来したことを知ることができる。交換前には前述した手動の排水操作を行なった後に、浄水器1の上蓋部4を開いて、排水LED229が消灯していることを確認してから、膜ろ過部フタ52を開いてろ過膜エレメント60を交換する。交換した後には、膜ろ過部フタ52、浄水器1の上蓋部4を元通りに取り付け、操作ボタン230にあるリセットボタン244を押し、メモリ部に蓄積したデータを消去し、通常動作に復帰させる。
【0116】
ここで、前処理カートリッジ30やろ過膜エレメント60を通過した積算流量は、表示部220に表示させることができる。表示方法は、LCD部221に数字で寿命をカウントダウン/カウントアップする方法や、複数のブロックを消灯、点灯、点滅あるいはその組み合わせにより表示する方法が用いられる。その他にも、1色もしくは複数の色のLED部を使用して、色別で判断できるようにしてもよい。
【0117】
次に、銀電極制御について説明する。
透過水に銀イオンを添加する際、透過水中の銀イオン濃度は、前述した銀イオン濃度の説明から、10〜50μg/lの範囲になるように制御する。前述のチャンバー93には、ほぼ一定量の透過水を貯めることができるため、チャンバー93に流入する透過水の流速がわかれば、単位時間あたり必要な銀イオン添加量を決めることができる。また、水温や透過水の抵抗値(導電率)も、添加する銀イオン濃度に影響する因子であるため、測定結果を制御部200にフィードバックできるようにする。
【0118】
本発明における浄水器は、造水操作と連動させて所定の電圧(例えば±2V(±1%))を銀電極91に印加し、銀イオンを透過水中に溶出させることで、銀イオンを透過水中に添加させている。電圧印加は+2V側から行い、5秒間隔で+2V、−2Vを繰り返させる。+2Vから−2Vへは直ちに反転させず、休止時間を設ける。休止時間は、電圧印加4秒後に流れる電流値を0.1秒間隔で5回測定し、その平均値から演算した透過水の抵抗値(導電率)と、原水流量センサ40の瞬時流量と濃縮水流量センサ80の瞬時流量との差とから、あらかじめ制御部200に組み込まれた休止時間プログラムに基づいて休止時間を決定する。電圧を印加する間隔は5秒間に固定する必要はなく、前述したように1〜10秒間で適宜決めることができる。この場合、休止時間を決めるために電流値を測定する回数、間隔も、印加する間隔に応じて適宜決めることができる。また、透過水の抵抗値は、電流値から演算する方法以外にも、電気伝導度計93の信号に基づいて演算する方法をとることでもよい。
【0119】
銀電極91の制御は、印加する電圧ではなく電流を制御する方法でもよい。所定の電流を銀電極91に印加する場合、前述した電圧を印加した場合と同様に、透過水の抵抗値や電気伝導度計93から得られる導電率に応じて、電流を印加しない休止時間を設けることができる。また、透過水の抵抗値や電気伝導度計93から得られる導電率に応じて、電流を印加する時間を適宜調整する方法としてもよい。
【0120】
透過水の積算流量は、原水流量センサ40の積算流量と濃縮水流量センサ80の積算流量との差から計算することができるので、透過水の積算流量が所定値(例えば3,000L)に達した場合には、表示部210にある第2抗菌ユニット交換LED234を点灯させて交換を促すことができる。第2抗菌ユニット交換LED234を交換する前には、前述した手動の排水操作を行なった後に、浄水器1の上蓋部4を開いて、排水LED229が消灯していることを確認してから、タンク100上部に設置してある第2抗菌ユニット部90を交換する。交換した後には、浄水器1の上蓋部4を元通りに取り付け、操作ボタン240にあるリセットボタン244を押し、メモリ部に蓄積されたデータを消去し、通常動作に復帰させる。
【0121】
上記の構成を持つ浄水器1によると、水道水等の原水を膜ろ過して、ミネラル成分が残った透過水を製造することができる。さらに、この透過水には、第2抗菌ユニット部90から銀イオンが添加され抗菌処理されているため、タンク100内に貯蔵している間や、管路に滞水している間の透過水中の細菌繁殖を防ぐことができる。さらに、前処理カートリッジ30の通過時に、原水(水道水)から残留塩素を除去すると同時に銀イオンを添加させているため、下流側に配置したろ過膜エレメント60や濃縮水中での細菌繁殖を防ぐことができる。
【0122】
本発明の浄水器は、以下のように変形した態様で実施することも可能である。
(1)前処理カートリッジ30の交換時期を判定する方法として、前処理部20の下流側に残留塩素濃度計を設置し、残留塩素濃度が一定値以上に達した場合には、表示部210にある「前処理カートリッジ交換」を点灯することができる。
(2)前処理カートリッジ30の交換時期を判定する更に別の方法として、前処理部20の前後に圧力センサを取り付け、2つの圧力センサの差圧が一定値以上に達した場合には、表示部210にある「前処理カートリッジ交換」を点灯するようにする。圧力センサ以外にも、差圧計を取り付けてもよい。
【0123】
(3)原水流量センサ40や濃縮水流量センサ80の瞬時流量を測定して、前述したように、一定の流量以下になった状態が3分以上継続した場合には交換を促すLEDを点灯させる態様以外にも、前処理カートリッジ30やろ過膜エレメント60を交換した直後の瞬時流量をメモリ部に記憶し、記憶した瞬時流量から20%以上低下した場合には、表示部210にある「前処理カートリッジ交換」を点灯する方法としてもよい。低下の程度は20%である必要はなく、ろ過対象とする水道水等の原水の水質によって適宜決めることができる。
【0124】
(4)ろ過膜61として、脱塩率が90%近いものを使用すると、前処理カートリッジ30で添加された銀イオンは濃縮されて排出される。しかし、脱塩率が40〜70%程度のろ過膜を使用した場合、銀イオンもNaイオンと同じ1価イオンであるため、40〜70%程度の銀イオンは透過水中に含まれてくる。透過水の銀イオン濃度は、前述のように10〜50μg/lの範囲とするため、ろ過膜61の種類によって、第2抗菌ユニット部90から溶出させる銀イオン濃度を減らすプログラムを、制御部200にあらかじめ組み込んでおくことができる。このためには、ろ過膜の脱塩率を基準としてろ過膜の種類を識別できるように、ろ過膜エレメントの集水管に識別手段65を、膜ろ過部容器51の内側もしくは外側に識別部56を設けておくとよい。第2抗菌ユニット部90から溶出させる銀イオン濃度を減らせると、第2抗菌ユニット部90の寿命を延ばせたり、コンパクトに設計することができるようになる。
【0125】
(5)またさらに、ろ過膜の脱塩率は温度依存性があり、一般的には温度が上がるほど脱塩率は低下する。この性質を利用すると、第2抗菌ユニット部90の手前に水温計を設置し、透過水の水温が一定温度に達した場合には、第2抗菌ユニット部90に電圧印加しないようにしたり、印加する電圧を段階的に小さくしたりすることも可能である。一例として、水温が25℃以上の場合には印加する電圧を50%に落とし、30℃以上になると電圧を印加しない方法がある。
【0126】
(6)本発明の膜ろ過部50では、ナノろ過膜を用いたろ過膜エレメント60を使用することが好ましいが、ナノろ過膜以外にも、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、逆浸透膜(RO膜)を使用することができる。
このうち、MF膜とUF膜は、膜に設けた微細孔で物理的なろ過を行う機能を有した膜である。MF膜は、微細孔の孔径が約0.1μm程度であり、水道水中にある懸濁物質、コロイド、細菌をろ過できるが、ウィルスは十分にろ過できない。UF膜は、MF膜より孔径が小さく、約0.01μm程度であるため、ウィルスや高分子等をふるい分けることができる。
【0127】
MF膜やUF膜の素材は、ポリスルホン(PS)やポリエチレン(PE)、ポリアクリロニトリル(PAN)等の高分子材料を使うと、耐久性がよく、単位膜面積あたりの透過水量が大きい膜を提供することができる。また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリプロピレン(PP)を用いると、その疎水性により、滞留する空気を逃がしやすい点で好ましい。
MF膜やUF膜として中空糸膜形状のろ過膜を用いる場合には、複数の中空糸膜をU字型やI字型に束ねて筐体に納めたモジュールを使用することができる。
【0128】
RO膜は、ナノろ過膜と同じく水道水中に溶存するイオンを選択的に除去できる分離膜である。ナノろ過膜より除去性能が高く、前述したNaClの脱塩率は99%以上(評価条件は同じ)を有している。RO膜の素材は、ナノろ過膜と同じく芳香族ポリアミドが好ましく、幅広いpH範囲で安定した脱塩性能や造水能力が得られ、保存も容易である。芳香族ポリアミド以外にも、酢酸セルロース、脂肪族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエーテルスルホン等を用いることができる。
RO膜を使用する場合、脱塩率を99%以上達成するための操作圧力が低いものを選択すると、減圧弁で調整した水道水圧でも十分な透過水量を得ることができる。しかし、操作圧力の高いものを選択すると、水道水圧だけでは十分な透過水量が得られないため、膜ろ過部50の直前、あるいは前処理部20の上流側に、水圧を上げるための昇圧ポンプを取り付ける必要がある。
【0129】
(7)本発明において、銀電極91への印加する電圧の制御方法について、原水流量センサ40の瞬時流量と濃縮水流量センサ80の瞬時流量から透過水の瞬時流量を算出し、透過水の瞬時流量に比例して印加する電圧を変化させることができる。銀電極91から溶出する銀イオンはほぼ一定であるのに対し、例えば、透過水の瞬時流量が大きいと相対的に透過水中の銀イオン濃度が低下するように、透過水の瞬時流量に影響を受けず、ほぼ一定の銀イオン濃度を添加することが可能となる。
【0130】
(8)銀電極91に電圧を印加している間に電流値を測定し、測定結果から透過水の抵抗(導電率)を算出する態様を説明したが、銀電極91の上流側に設置した電気伝導度計93で透過水の抵抗(導電率)を測定してもよい。
また、透過水の抵抗(導電率)は、透過水中の塩素イオン濃度にほぼ比例していることから、透過水中で銀イオンと塩素イオンとが結合して塩化銀として析出しないように、銀電極91に印加する電圧を制御することも可能である。
(9)銀電極91で塩化銀スケールが発生した場合に備えて、スケール防止フィルタ98を取り付ける態様を説明したが、銀電極91を鉛直上向きの管路に設けたチャンバー93の内部に設置することもできる。銀電極91から剥離する塩化銀スケールを管路やチャンバー93の下方へ落下させ、タンク100への流入を防ぐことができる。
【0131】
(10)銀イオン濃度を10〜50μg/lとするため、電圧印加後に休止時間を設けているが、電極の素材を純銀以外を用いて銀イオン溶出量を抑えることができれば、休止時間を設けることなく、電極に電圧を印加できるようにしてもよい。この場合、制御プログラムに休止時間を算出する演算機能を設ける必要がなくなる。
(11)第2抗菌ユニット部90を通過する透過水全量に対して銀イオンを添加する態様を説明したが、第2抗菌ユニット部90の直前にバイパスを設けるとともに、第2抗菌ユニット部90に向かう管路に定流量弁を取り付け、一定の瞬時流量の透過水を第2抗菌ユニット部90に通すこともできる。この場合、瞬時流量による銀イオン濃度のばらつきを考慮する必要がなくなるため、制御部200のプログラムを単純化したり、原水流量センサ40や濃縮水流量センサ80を省略したりすることもでき、装置のコンパクト化、省部品化に寄与できる。
【0132】
(12)制御部200のうち、表示部220、操作ボタン240、演算部250をそれぞれ独立した部材を設ける態様を説明したが、表示部220のLCD221や各種LED228〜233、操作ボタン240の各種ボタン241〜244、CPU251を設けた基板252を、1つのケースに収め、防水のためにポッティング剤で封止してもよい。制御部200を1つにまとめることができ、省部品化できる。また、CPU251を設けた基板252に、各種ボタン241〜244を設けると、ボタン用の基板245を省略することもできる。表示部220と操作ボタン240との組み合わせ、表示部220と演算部250、操作ボタン240と演算部250との組み合わせであってもよい。
(13)水位センサ部110を構成する4つのセンサ111〜114は、タンク100の内部に設けた態様を説明したが、タンク100の外側に光の発信部と受信部を設けて水位を検知してもよい。この場合、水位センサ部110を設置する場所を確保するため、タンク100の一部を凸状の突起を設け、突起を挟み込むように4つのセンサ111〜114を配設してもよい。さらに、2つ以上のセンサを1つの凸状の突起にまとめて設置することも好ましい態様である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明に係る浄水器の一実施形態の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の浄水器を、背面側の本体カバーを取り外した状態で示す背面側からの斜視図である。
【図3】図1の浄水器を背面側から見た組立て斜視図である。
【図4】図1の浄水器の外観を示す六面図である。
【図5】本発明に係る浄水器について、前処理カートリッジ及びろ過膜エレメントのある背面側部分での配置状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明に係る浄水器について、第2抗菌ユニット位置のある正面側部分での配置状態を示す縦断面図である。
【図7】本発明に係る浄水器について、前処理カートリッジのある右側面部分での配置状態を示す縦断面図である。
【図8(a)】本発明に係る浄水器について、前処理カートリッジ及びナノろ過膜エレメントのある上部分での配置状態の一実施形態を示す横断面図である。
【図8(b)】本発明に係る浄水器について、前処理カートリッジ及びナノろ過膜エレメントのある上部分での配置状態の他の一実施形態を示す横断面図である。
【図9】本発明の浄水器で用いた前処理カートリッジの一実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明の浄水器における流量センサの一実施形態を示す概略図である。
【図11】本発明の浄水器で用いたナノろ過膜エレメントの一実施形態を示す概略図である。
【図12】図11のナノろ過膜エレメントにおける内部構造の概略を示す一部破断斜視図である。
【図13】本発明の浄水器における第2抗菌ユニット及びその近傍部分を拡大して示す部分破断斜視図である。
【図14】本発明の浄水器における制御部の一実施形態を示す概略図である。
【図15】本発明の浄水器における電源部の一実施形態を示す概略図である。
【図16】本発明の浄水器における表示部の一実施形態を示す概略図である。
【図17】本発明の浄水器における操作ボタンの一実施形態を示す概略図である。
【図18】本発明の浄水器で用いた演算部の一実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0134】
1:浄水器本体部
2:前面板
3:水位表示用窓
4:浄水器上蓋
5:開閉弁
6:水道管
7:原水流入口
10:入口弁ユニット部
11:原水電磁弁
12:減圧弁
13:逃がし弁
20:前処理部
21:前処理部容器
22:前処理部の蓋
23:前処理部流入口
24:前処理部吐出口
25:逆止弁
30:前処理カートリッジ
31:粗ろ過手段
32:銀添着活性炭
33:仕切り板
34:銀添着活性炭のケース
35:活性炭ケースの出口
36:円環状のパッキン
37:活性炭保持部材
40:原水流量センサ
41:羽根車
42:磁石
43:磁気スイッチ
【0135】
50:膜ろ過部
51:膜ろ過部の容器
52:膜ろ過部のフタ
53:流入口
54:濃縮水出口
55:透過水出口
56:識別部
60:ろ過膜エレメント
61:ろ過膜
62:原水流路材
63:透過水流路材
64:集水管
65:リング状のシール部材
66:シール部材
70:定流量弁
71:排水口
80:濃縮水流量センサ
90:第2抗菌ユニット部
91:銀電極
92:接続部
93:チャンバー
94:チャンバー流入口
95:チャンバー流出口
96:接続管
97:キャップ
98:スケール防止フィルタ
99:電気伝導度計
100:タンク(貯水部)
101:タンク本体
102:タンク蓋
103:タンク蓋支持部材
110:水位センサ
111:HHセンサ
112:Hセンサ
113:Lセンサ
114:LLセンサ
120:固定具
121:固定具
130:タンク吐水口
140:吐水ポンプ
141:管路
142:逆止弁
143:吐水口キャップ
144:浄水吐水口
150:排水電磁弁
160:オーバーフロー管
【0136】
200:制御部
210:電源部
211:電池
212:電池ケース
213:電池ケース本体
214:電池ケース蓋
215:防水部材
217:リード線
220:表示部
221:液晶表示部(LCD)
223:電池寿命表示
224:前処理カートリッジの寿命表示
225:ろ過膜エレメントの寿命表示
226:ろ過膜エレメントの種類表示
227:デジタル表示部
228:電源LED
229:排水LED
230:給水LED
231:前処理カートリッジ交換LED
232:ろ過膜エレメント交換LED
233:保守LED
234:第2抗菌ユニット交換LED
240:操作ボタン部
241:電源ボタン
242:排水ボタン
243:給水ボタン
244:リセットボタン
250:演算部
251:CPU
252:基板
253:演算部ケース
254:ポッティング剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜のうちのいずれかの膜でろ過処理する膜ろ過部と、膜ろ過処理水を貯留する貯水部とを備えた浄水器であって、貯水部のタンクは、浄水器の前面近傍に配設され、タンクの全部または一部が内部透視可能な樹脂材料で構成され、浄水器の前面側ケーシングにタンク視認用の窓部もしくは開口部が設けられ、かつ、窓部もしくは開口部に対応する位置のタンク部分が内部透視可能な樹脂材料で構成されていることを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前面側ケーシングの窓部もしくは開口部が、タンク内の満水位から空水位近辺までをカバーする縦長のスリット状の窓部もしくは開口部であることを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前面側ケーシングの窓部および/またはタンクが、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ノルボルネン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、環状オレフィン共重合体のうちのいずれかの透視可能な樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水器。
【請求項4】
透視可能な樹脂材料に、抗菌性を有する金属イオンを含有する抗菌剤が練りこまれていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の浄水器。
【請求項5】
透視可能な樹脂材料に、抗菌性を有する金属イオンを含有する抗菌コーティングが施されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−326041(P2007−326041A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159400(P2006−159400)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】