説明

浄水器

【課題】浄化性能を高く確保しつつ、併せて目詰り耐久性も良好な浄水器を提供する。
【解決手段】原水入口66Aから流入した原水を濾材に通して濾材による濾過作用で浄化し、浄水を浄水出口66Bから流出させる浄水器40において、濾材として、多孔質のセラミックス焼結体から成るセラミックスフィルタ68と、中空糸膜フィルタ90とを併せて用い、且つセラミックスフィルタ68を流れの上流側に、中空糸膜フィルタ90を流れの下流側に配置しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は水道水(原水)を浄化し、浄水として流出させる浄水器に関し、特に中空糸膜を濾材として用いた浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水中には赤錆等各種の粒子状の夾雑物その他の濁りのもととなる成分や残留塩素,農薬,鉛その他有害成分が含まれていることがある。
また水道水中の塩素と有機物質との反応によって生成するトリハロメタンが含まれていることもある。
【0003】
そこで従来、水道水を浄水器に通して浄化した上で使用することが広く一般に行われている。
水道水(原水)は浄水器内部で濾材に通され、そこで濾材による濾過作用によって浄化された上で浄水器から流出する。
【0004】
従来において、かかる浄水器には濾材として中空糸膜フィルタを用いたものが多く、通常は粒状活性炭と併用して用いられている。
中空糸膜には微細孔が無数に形成されており、水道水はこれら微細孔を透過して膜の外から内側へと通過可能で、その際に水道水中に含まれる濁り成分が濾過されて水道水から除去される。
中空糸膜の微細孔は極めて小さなもので、水道水中に含まれている夾雑物等の濁り成分は0.1μm程度の小さなものまでこの中空糸膜まで除去可能である。
【0005】
一方、濾材として多孔質のセラミックス焼結体から成るセラミックスフィルタを用いた浄水器も従来公知である。
例えば下記特許文献1にこの種の浄水器が開示されている。
このセラミックスフィルタにもまた、多数の微細孔が形成されており、水道水がこの微細孔を通過する際に水道水中に含まれている濁り成分がそこで濾過され、水道水から除去される。
【0006】
但し多孔質のセラミックスフィルタの微細孔は、中空糸膜の微細孔に比べると相対的に大きく、かかるセラミックスフィルタでは大きさが0.5μm程度までの濁り成分が除去可能である。
もともとの水道水の水質レベルが通常のものである限り、濾材としてこのセラミックスフィルタを用いた浄水器でも十分に水道水を浄化可能である。
【0007】
しかしながら海外等の水道水には濁り成分であるフミン酸(フミン酸は植物等が微生物により分解された最終生成物の無定形高分子物質で赤褐色,黒褐色を呈している)等の有機物や、浄水場で水中の懸濁粒子を沈降させるために添加された凝集剤(凝集剤として添加されたポリ塩化アルミニウムに由来するアルミ系凝集剤)のフロックが多く含まれた水質レベルの低いものがあり、この場合、上記の中空糸膜フィルタを濾材として用いた浄水器の場合、これら成分を微細なものまで十分に除去し得て浄化性能が高い一方で、早期に中空糸膜が目詰りを起してしまい、すぐに使用寿命に達してしまうといった問題、即ち目詰り耐久性が低いといった問題がある。
【0008】
一方多孔質のセラミックス焼結体から成るセラミックスフィルタを用いた浄水器の場合、中空糸膜フィルタに比べて相対的にフィルタの孔の目が大きく、水道水から除去する濁り成分の大きさが0.5μm程度以上であるため、中空糸膜フィルタを用いたものに比べて目詰り耐久性は相対的に良好である。
【0009】
しかしながら水質レベルの低い水道水に含まれるフミン酸等の濁り成分には0.5μmよりも小さいものも多く、従ってこのようなセラミックスフィルタを用いた浄水器では0.5μmよりも小さな濁り成分を十分に除去できないために、浄化性能の点で十分でないといった問題がある。
即ち濾材として中空糸膜フィルタを用いたもの、セラミックスフィルタを用いたものの何れも、高い浄化性能と良好な目詰り耐久性を確保する上で十分でない。
【0010】
尚、濾材として中空糸膜フィルタを用いた浄水器に関して以下の特許文献2,特許文献3,特許文献4に開示がなされている。
しかしながらこれら特許文献2,3,4に開示のものは何れも粒状活性炭と中空糸膜フィルタを組み合せたもの、或いは粒状活性炭及び活性炭素繊維と中空糸膜とを組み合せたものであり、そこには中空糸膜フィルタとセラミックスフィルタとを組み合せたものについて開示は一切なされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−167742号公報
【特許文献2】特開平11−333446号公報
【特許文献3】特開平10−174969号公報
【特許文献4】特開2002−263639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような事情を背景とし、浄化性能を高く確保しつつ、併せて目詰り耐久性も良好な浄水器を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1のものは、原水入口から流入した原水を濾材に通して該濾材による濾過作用で浄化し、浄水を浄水出口から流出させる浄水器において、前記濾材として、多孔質のセラミックス焼結体から成るセラミックスフィルタと、中空糸膜フィルタとを併せて用い、且つ該セラミックスフィルタを流れの上流側に、該中空糸膜フィルタを流れの下流側に配置してあることを特徴とする。
【0014】
請求項2のものは、請求項1において、前記濾材として粒状活性炭層と、活性炭素繊維層とを更に備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項3のものは、請求項2において、前記流れの上流側から下流側にかけて、前記粒状活性炭層,活性炭素繊維層,セラミックスフィルタ,中空糸膜フィルタの順に配置してあることを特徴とする。
【0016】
請求項4のものは、請求項3において、有底筒状のケース内部の充填空間の外周側に、該ケースの軸方向に沿って粒状活性炭層を断面ドーナツ環状に設け、原水入口から流入した原水を該粒状活性炭層の軸方向の開放端側から該粒状活性炭層内部に流入させて、該粒状活性炭層内部を軸方向に流通移動させた後、前記充填空間の軸方向の底部側且つ粒状活性炭層の内周側に設けた筒体の透水孔を通じて、該筒体の内側に筒状に配置した前記活性炭素繊維層,該活性炭素繊維層の更に内側の中心部に配置した筒状のセラミックスフィルタにそれぞれ径方向内方向きに通し、その後該セラミックスフィルタよりも前記開放端側に且つ前記粒状活性炭層の内側に配置した前記中空糸膜フィルタを通過させて、前記浄水出口から外部に流出させるようになしてあることを特徴とする。
【0017】
請求項5のものは、請求項1において、前記多孔質のセラミックス焼結体から成るセラミックスフィルタが抗菌性を備えているものであることを特徴とする。
【0018】
請求項6のものは、請求項1において、抗菌性を有するセラミックスを粉砕して成る粉体が前記中空糸膜フィルタの収容空間に収容してあることを特徴とする。
【0019】
請求項7のものは、請求項2〜4の何れかにおいて、抗菌性を有するセラミックスを粉砕して成る粉体が前記粒状活性炭層の収容空間に収容してあることを特徴とする。
【0020】
請求項8のものは、請求項4において、前記粒状活性炭層の横断面の断面積が3〜80cm,充填容積が100〜1000cmであり、該粒状活性炭層の断面積と軸方向長さとの比率断面積(cm)/軸方向長さ(cm)が1.0〜3.0の範囲内としてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0021】
以上のように本発明は、浄水器の濾材として多孔質のセラミックス焼結体から成るセラミックスフィルタと、中空糸膜フィルタとを併せて用い、そしてセラミックスフィルタを流れの上流側に、中空糸膜フィルタを流れの下流側に配置したものである。
本発明の浄水器では、水道水に含まれる濁り成分を先ずセラミックスフィルタにて濾過し、そしてセラミックスフィルタを通過したものを中空糸膜フィルタにて濾過し除去する。
【0022】
上記2種類のフィルタのうち、セラミックスフィルタを用いないで中空糸膜フィルタを単独で用いた浄水器の場合、セラミックスフィルタで除去可能な比較的大きな濁り成分をも中空糸膜フィルタ単独で濾過し除去することとなり、中空糸膜フィルタへの負荷が大きくなってしまう。
即ち中空糸膜フィルタにて微細な濁り成分から大きな濁り成分までを濾過することとなり、中空糸膜フィルタの目詰りが顕著となって、早期に中空糸膜フィルタが使用寿命に到ってしまう。即ち耐久寿命に到ってしまう。
【0023】
しかるに本発明では中空糸膜フィルタの前段でセラミックスフィルタが濾過作用を行い、水道水中の濁り成分、詳しくはフィルタへの目詰り物質を除去するため、このセラミックスフィルタを通過した目詰り物質だけが中空糸膜フィルタに到達して、そこでこれが中空糸膜フィルタにて濾過作用により除去される。
この結果中空糸膜フィルタへの負荷が軽減されて、中空糸膜フィルタの目詰りが抑制され、浄水器の使用寿命即ち目詰り耐久寿命が効果的に高められる。
【0024】
一方で本発明の浄水器の場合、セラミックスフィルタと中空糸膜フィルタとが分担して濾過作用を行うことで、比較的粗い目詰り物質から微細な目詰り物質まで良好にそれらフィルタにて除去することができ、水道水に対する高い浄化性能を確保することができる。
【0025】
例えばフミン酸にはセラミックスフィルタにて除去可能な比較的大きなフロック状のものから、セラミックスフィルタにては除去できないような微細なフロック状のもの、例えば0.5μmよりも小さな微細なものが水道水中に含まれることがあり、この場合セラミックスフィルタ単独であるとフミン酸全体を除去できず、一方中空糸膜フィルタ単独であるとフミン酸全体を除去可能であるものの中空糸膜フィルタへの負荷が過大となって、中空糸膜フィルタが早期に目詰りを起してしまう。
【0026】
本発明ではこれらセラミックスフィルタと中空糸膜フィルタとに役割分担させることで、高い浄化性能を確保しつつ浄水器の耐久寿命を効果的に長くすることができる。
ここでセラミックスフィルタは、流れの上流側の面に珪藻土の層を一体に積層した形態で構成しておくことができる。
【0027】
本発明では、濾材として粒状活性炭層と活性炭素繊維層とを更に備えておくことができる(請求項2)。
これら粒状活性炭層,活性炭素繊維層とを更に含んで浄水器を構成しておいた場合、目詰り原因物質であるフミン酸等の有機物その他の濁り成分(濁度粒子)を濾過及び吸着により除去することができるとともに、水道水中に溶存する残留塩素やトリハロメタン、農薬その他の有害成分を吸着作用で除去することができ、浄水器における浄化性能をより一層高めることができる。
【0028】
この場合において、流れの上流側から下流側にかけて粒状活性炭層,活性炭素繊維層,セラミックスフィルタ,中空糸膜フィルタの順に配置しておくことができる(請求項3)。
【0029】
粒状活性炭層,活性炭素繊維層もまた粗い濁り成分の粒子を濾過する働きを有している。
このうち粒状活性炭層は目に見えるような大きな粒子を濾過することができ、一方活性炭素繊維層はこれよりも小さな粒子を濾過することができる。
【0030】
従ってこれら粒状活性炭層,活性炭素繊維層をセラミックスフィルタの上流側に、且つ粒状活性炭層を活性炭素繊維層の更に上流側に配置しておくことで、濁り成分を大きいものから小さいものへと段階的に濾過し、水道水から効率的に除去することができる。
またその結果、中空糸膜フィルタ,セラミックスフィルタ,活性炭素繊維層で除去すべき濁り成分の量も少なくなり、それらへの負荷が軽減されて浄水器全体の目詰り耐久寿命が延長せしめられる。
【0031】
この請求項3においては、浄水器を次のような構造で構成しておくことができる。
即ち、有底筒状のケース内部の充填空間の外周側に、ケースの軸方向に沿って粒状活性炭層を断面ドーナツ環状に設け、原水入口から流入した原水を粒状活性炭層の軸方向の開放端側から粒状活性炭層内部に流入させて、粒状活性炭層内部を軸方向に流通移動させた後、充填空間の軸方向の底部側且つ粒状活性炭層の内周側に設けた筒体の透水孔を通じて、筒体の内側に筒状に配置した活性炭素繊維層,活性炭素繊維層の更に内側の中心部に配置した筒状のセラミックスフィルタに径方向内方向きに通し、その後セラミックスフィルタに対し上記底部とは反対側に且つ粒状活性炭層の内側に配置した中空糸膜フィルタを通過させて、浄水出口から外部に流出させる構造となしておくことができる(請求項4)。
このようにすることで、浄水器をコンパクトに構成しつつ、水道水を粒状活性炭層,活性炭素繊維層,セラミックスフィルタ,中空糸膜フィルタに順次に通して水道水を浄化することができる。
【0032】
次に請求項5は、上記多孔質のセラミックス焼結体から成るセラミックスフィルタに抗菌性を具備させたものである。
例えば特許文献1に開示の浄水器のように、セラミックスフィルタに対して流れの上流側に粒状活性炭層が設けてある場合、粒状活性炭層及びこれよりも下流側に残る滞留水に雑菌が繁殖し易く、またその雑菌の繁殖によるヌメリ(雑菌の死骸や代謝物等)が目詰り原因物質となって、セラミックスフィルタやその下流側の中空糸膜フィルタに付着し、それらセラミックスフィルタ,中空糸膜フィルタの目詰りを助長してしまう。
【0033】
しかるにこの請求項5によれば、セラミックスフィルタの抗菌作用によって、セラミックスフィルタ及び周辺部での雑菌の繁殖が抑制され、その結果、セラミックスフィルタ及びその下流側の中空糸膜フィルタに、雑菌の繁殖により生じたヌメリ物質が付着して目詰りを助長する不具合を防止でき、セラミックスフィルタ及び中空糸膜フィルタの目詰り耐久性を高めることができる。
【0034】
本発明では、請求項6に従って抗菌性を有するセラミックスを粉砕して成る粉体を中空糸膜フィルタの収容空間に、中空糸膜フィルタと併せて収容しておくことができる。
このようにしておけば、中空糸膜フィルタでの雑菌の繁殖をより効果的に防止することができ、雑菌の繁殖により生じたヌメリ物質が中空糸膜フィルタに付着するのをより一層効果的に防止することができ、従って中空糸膜フィルタの目詰り耐久性を更に効果的に高めることができる。
【0035】
尚この請求項6の粉体として、上記のセラミックスフィルタを粉砕したものを用いることができる。但しセラミックスフィルタとは別の抗菌性を有するセラミックスを粉砕して上記の粉体とすることもできる。
これらの場合において、上記粉体を中空糸膜の壁面に分散状に付着させておくことができる。
【0036】
本発明では、上記抗菌性を有する粉体を粒状活性炭層の収容空間に収容しておくことができる(請求項7)。
このようにすれば、粒状活性炭層にも抗菌性を付与することができ、粒状活性炭層において雑菌の繁殖、及び雑菌繁殖による目詰り物質としてのヌメリ物質の発生を防止ないし抑制することができる。
【0037】
この場合において上記粉体は、粒状活性炭と混合状態で収容しておくことができる。
この粉体は中空糸膜の収容空間と粒状活性炭層の収容空間との何れにも収容しておくことができる。
この粉体はまた、活性炭素繊維層の収容空間にも収容しておくことができる。
【0038】
特に抗菌性を有する上記の粉体を中空糸膜の収容空間,粒状活性炭層の収容空間,活性炭素繊維層の収容空間の何れにも収容しておけば、浄水器内部を全体に亘って抗菌状態とすることができる。
尚活性炭素繊維層については、場合によりその成形の段階で銀等の抗菌剤を結合しておくことができ、この場合には活性炭素繊維層への上記粉体の収容を省くことができる。
【0039】
粒状活性炭層を濾材として用いた浄水器にあって、一般の家庭用のものは通常その充填容積が100〜1000cmである。
そこで請求項8では、粒状活性炭層の充填容積を100〜1000cmとしておく。
その上で、この請求項8では粒状活性炭層の横断面の断面積を3〜80cmとして、その断面積/軸方向長さの比率を1.0〜3.0の範囲内としておく。
このようにしておくことで、粒状活性炭層による水道水中の汚れの成分に対する高い浄化性能と、中空糸膜フィルタにおける高い目詰り防止性能とを良好にバランスさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態の浄水器の一使用例を示した図である。
【図2】図1の浄水器の内部構造を示した断面図である。
【図3】中空糸膜フィルタの収容空間におけるセラミックス粒子の抗菌効果を示した図である。
【図4】中空糸膜フィルタの収容空間におけるセラミックス粒子の抗菌効果による目詰り耐久性の向上効果を示した図である。
【図5】粒状活性炭素層の形状効果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳述する。
図1において、1はキッチンに設置された流し台で、2はキャビネット、3はシンク、10はカウンターで、11は流し台1に設置された浄水吐水機能を有する自動水栓である。
自動水栓11は、カウンター10から起立する形態で設けられた基部側の本体部12と、本体部12から延び出した吐水管14とを有している。
ここで吐水管14は、本体部12に対して所定角度回動可能とされている。
【0042】
本体部12には、使用者から見た正面視において吐水管14の右側に偏心した位置にシングルレバー16が設けられている。ここでシングルレバー16は吐水の流量調節と温度調節とを行う。
具体的には、シングルレバー16を図中左右方向に回動操作することで吐水の温度調節が行われ、また上下に回動操作することで流量調節が行われる。
【0043】
吐水管14は、図1に示しているように略U字状のグースネック形状をなしており、管軸方向の略中間部位から先端部にかけて下向きに湾曲した形状をなしている。
同図に示しているように吐水管14は、先端に吐水口18を有し、可撓性のホース20とともに引出し可能な吐水ヘッド22と、吐水ヘッド22を収納位置に保持する吐水ヘッドホルダとしての働きを有する吐水管本体24とを有している。
【0044】
本体部12には給水路26,給湯路28の上端部が接続されており、給水路26,給湯路28を通じて水,湯が本体部12へと供給されるようになっている。
本体部12には、図示を省略する混合弁が内蔵されており、この混合弁から流出路32が延び出していて、この流出路32を通じ、温調水(シングルレバー16の操作により混合弁にて水と湯とが所定比率で混合された温調水で水又は湯だけからなる場合もある。以下温調水を原水とする)が吐水口18へと導かれるようになっている。
【0045】
上記ホース20は、その内側に流出路32を形成している。そしてこの流出路32上に、これを開閉する原水弁(電磁弁)34が設けられている。ここで原水弁34は図示を省略するコントローラにより動作制御される。
また給水路26からは浄水路38が分岐して延び出しており、その先端が原水弁34の下流部において流出路32に接続されている。
【0046】
この浄水路38上には浄水器40及び浄水路38を開閉する浄水弁(電磁弁)42が設けられている。この浄水弁42もまたコントローラにて動作制御される。
尚、46は止水栓である。
【0047】
図1に示しているように吐水管14先端部の上面、詳しくは吐水管14の管軸方向の略中間部位の最上部位から先端側の部分の上面に原水用センサ60と、浄水用センサ58とが管軸方向に前後に並べて配置されている。
ここで原水用センサ60は、差し出された手を検知するごとに吐水口18からの原水(温調水)の吐水と止水とを交互に行わせる交互センサとなしてある。
【0048】
詳しくは、原水用センサ60の上方に手をかざすと、原水用センサ60が非接触で手を検知して、その検知に基づいて吐水口18から原水を吐水させ、その後原水用センサ60から手を引き込めても原水の吐水が継続される。
そして再び手を延ばして原水用センサ60を操作すると、即ち原水用センサ60にて手を検知させると、吐水口18からの原水の吐水が停止する。
浄水用センサ58もまた、手を検知するごとに(人体検知するごとに)吐水口18からの浄水の吐水と吐水停止(止水)とを交互に行わせる。
この実施形態では、原水用センサ60が使用者に近い前側且つ下側に、また浄水用センサ58が原水用センサ60よりも遠い奥側且つ上側に配置されている。
【0049】
図1において、41はキャビネット2内部で浄水器40を保持し且つこれをキャビネット2の側壁部43内面に固定する金属製のブラケットである。
【0050】
ホース38A,38Bは、それぞれその内部に浄水路38の一部を形成している。詳しくはホース38Aは、浄水路38のうち原水を浄水器40に流入させるための流入路を、またホース38Bは、浄水器40で浄化された後の浄水を吐水口18の側へと案内する浄水の流出路を形成している。
図1に示しているようにこれら一対のホース38A,38Bは、固定部52にてキャビネットの側壁部43内面に固定されている。
【0051】
図2に、上記浄水器40の内部構造が具体的に示してある。
図中62は円筒形状をなすケースで、軸方向の一端(図中上端)に開口部を有しており、その開口部が蓋64にて閉鎖されている。
ここで蓋64はケース62に対してねじ結合されている。
【0052】
蓋64には、原水入口66Aと浄水出口66Bとが設けられている。
この原水入口66Aには、原水を浄水器40に導入するための上記の可撓性のホース38Aが接続される。
また浄水出口66Bには、浄水器40からの浄水を流出案内する上記の可撓性のホース38Bが接続される。
【0053】
ケース62内部の充填空間の外周側には、横断面形状が円形のドーナツ環状をなす、粒状活性炭層65のための収容空間63が底部70に到るまで軸方向に形成されており、そこに粒状活性炭66が充填されている。そして充填された粒状活性炭66にて粒状活性炭層65が形成されている。
【0054】
この実施形態において、粒状活性炭66は粒子径が0.1〜0.5mm,平均細孔径5〜20Å,比表面積が800〜3000cm/gのものが用いられている。
ここで粒子径は粒状活性炭の平均粒径を意味する。
この粒子径の0.1〜0.5mmは浄水器で一般的に使われる大きさであり、これよりも粒子径が小さいと、粒子径が小さすぎて粒状活性炭66の充填率が高くなってしまい、圧力抵抗が高くなって水が流れ難くなるので好ましくない。
【0055】
比表面積は、粒状活性炭の粒子の単位重さ当たりの表面積で、これが多いほど吸着性能が高い。
平均細孔径は、粒状活性炭に空いている孔の平均孔径で、この大きさを変えることで吸着される成分を選択することができる。
【0056】
浄水器で一般的に使われる粒状活性炭の平均細径孔は1〜7Åである。
これに対してこの実施形態では、粒状活性炭66の平均細孔径が5〜20Åであり、このことによってフミン酸等の有機物質を良好に吸着することができる。
即ちこの実施形態の粒状活性炭66は、水道水中の残留塩素等も吸着するが、特にフミン酸等の有機物質を選択的に吸着することのできる性能を有している。
【0057】
粒状活性炭層65の内側且つケース62の底部70側即ち図中下側には、円筒形状の筒体72が設けられている。この筒体72は非透水性の材質からなっており、図中下側即ち底部70側の位置に貫通の透水孔74が形成されている。
そしてこの筒体72の内側に、活性炭素繊維層76が収容されている。
図中78はこの活性炭素繊維層76の収容空間を表しており、活性炭素繊維層76は、この収容空間78において筒体72との間に軸方向に沿って環状の隙間を形成する状態で収容されている。
尚、この活性炭素繊維層76の軸方向の両端には非透水性のキャップ82,84が設けられており、活性炭素繊維層76の軸方向の両端面はこれらキャップ82,84によって通水遮断されている。
【0058】
この活性炭素繊維層76は布状の形態をなしていて、後述のセラミックスフィルタ68を芯体として、その周りに巻回状態で設けられている。
この活性炭素繊維層76を構成する活性炭素繊維のそれぞれの表面には、微細な孔(ポア)が無数に形成されており、それら細孔において各種物質を吸着し水道水から除去する。
この活性炭素繊維層76の上記の細孔は、粒状活性炭66の細孔よりも小さいものとされており、粒状活性炭層65で吸着できなかった成分をここで吸着により除去することができる。
【0059】
特にこの実施形態では粒状活性炭66が通常浄水器に用いられる粒状活性炭よりも細孔径が大きくされている結果、水道水中のトリハロメタンや残留塩素に対する吸着能が通常の浄水器で用いられている粒状活性炭に比べて弱いが、それら成分はこの活性炭素繊維層76において良好に吸着され、水道水から除去される。
【0060】
この活性炭素繊維層76はまた、粒状活性炭層65に対して高い濾過機能を有する。
詳しくは、粒状活性炭層65は目に見えるほどの大きな粒子は濾過により除去できるものの、濾過機能はそれほど高くない。
これに対して活性炭素繊維層76は布の性質を併せ有していることから、粒状活性炭層65で除去できないような小さな粒子をもここで濾過により除去することができる。
【0061】
上記セラミックスフィルタ68は、多孔質のセラミックス焼結体から成る円筒形状のもので、その外周面には珪藻土80が全面に亘って一体に積層されている。
ここで珪藻土80はセラミックスフィルタ68に対して焼き付けられている。
【0062】
本実施形態において、セラミックスフィルタ68はアルミノケイ酸カルシウムの多孔質の焼結体から成っている。
詳しくは、質量%でSiO:75〜85%,AlO:5〜10%,及びCaO:10〜20%の組成を有するアルミノケイ酸カルシウムの多孔質焼結体から成っており、水分が付着したり水中に浸漬されたりしたときにCa2+イオンを抗菌成分として除々に放出することで抗菌作用を行う。
【0063】
このアルミノケイ酸カルシウムは、珪質蝋石,石灰石,粘土をSiO,AlO,CaOが上記の比率となるように配合し、これを焼成し焼結することで得られる。
この組成のアルミノケイ酸カルシウムは、焼成によりβ−ワラストナイト(CaO・SiO)を効果的に多く生成する。このβ−ワラストナイトはCa2+イオンを除々に且つ長時間に亘って溶出させて弱アルカリ状態となし、そのことによって抗菌の働きをなす。
【0064】
この組成のアルミノケイ酸カルシウムは公知(特許第3612766号に開示)のもので、本発明ではこの特許第3612766号に開示のものを好適に用いることができる。
尚このアルミノケイ酸カルシウムについては同特許において開示された公知のものであるので、ここでは更に詳しい説明は省略する。
【0065】
このセラミックスフィルタ68は、水道水中に含まれる微細鉄等の粒子状の夾雑物やフミン酸等の有機物,アルミ系凝集剤等のフロックその他の固形分、即ち濁り成分を濾過により除去する働きを有するもので、粒状活性炭層65,活性炭素繊維層76よりも更に微細な濁り成分を濾過し除去する能力を有する。
ここではセラミックスフィルタ68は大きさ0.5μm程度までの濁り成分を濾過作用で除去する能力を有する。
【0066】
これらセラミックスフィルタ68及び活性炭素繊維層76の図中上側且つ粒状活性炭層65の内側には、非透水性の円筒形状の筒体86が設けられていて、その筒体86の内部の収容空間88に中空糸膜フィルタ90が設置されている。
【0067】
中空糸膜フィルタ90は、セラミックスフィルタ68を透過して来た水道水から、セラミックスフィルタ68では除去し切れなかったより細かい濁り成分を濾過作用で除去する働きをなす。
ここでは中空糸膜フィルタ90は0.1μmまでの小さな濁り成分までを濾過により除去可能である。
この中空糸膜フィルタ90を透過し、浄化された水道水(浄水)は上記の浄水出口66Bを通じて外部へと流出せしめられる。
【0068】
尚、中空糸膜フィルタ90を収容する収容空間88の図中上端はキャップ92にて閉鎖されている。
このキャップ92には筒状の雄嵌合部94が設けられて、この雄嵌合部94が、蓋64に設けられた雌嵌合部96に嵌合され、それらによって中空糸膜フィルタ90からの浄水を浄水出口66Bへと案内している。
【0069】
尚蓋64の図中下側には、メッシュフィルタ98が配置されている。
このメッシュフィルタ98は上記の粒状活性炭66に対する押えとしてのものである。
このメッシュフィルタ98はまた筒体72,活性炭素繊維層76,セラミックスフィルタ68,中空糸膜フィルタ90周りの筒体86等をスペーサ部材100を介して押え込む働きもなしている。
【0070】
この実施形態の浄水器40にあっては、原水入口66Aから流入した原水が、先ず粒状活性炭層65を軸方向に流れ、そして筒体72の透水孔74から活性炭素繊維層76の側に流入して、これを半径方向内方に透過する。
そして更にその中心部のセラミックスフィルタ68を外周側から内周側に透過して、その後流れを図中上向きに変え、中空糸膜フィルタ90を透過して流れる。
【0071】
そしてその流れの過程で、水道水中に含まれる目詰り原因物質となる濁り成分が粒状活性炭層65,活性炭素繊維層76,セラミックスフィルタ68によって粗いものから順番に濾過作用によって水道水中から除かれ、そして最終に残った最も細かな濁り成分が中空糸膜フィルタ90にて濾過され、水道水から除去される。
【0072】
また水道水中に溶存している残留塩素やトリハロメタン,農薬その他の有害成分やカビ臭等の臭い成分が、粒状活性炭層65や活性炭素繊維層76による吸着作用によって除かれる。
そして濾過及び吸着により浄化された水道水即ち浄水が、浄水出口66Bから外部に流出する。
【0073】
この実施形態ではまた、中空糸膜フィルタ90の収容空間88及び粒状活性炭層65の収容空間63に、上記のセラミックスフィルタ68を粉砕して成る粉体(アルミノケイ酸カルシウムの粉体)がそれぞれ収容されている。
具体的には、これら収容空間88,63には、粒径が0.15〜0.30mmの粉体がそれぞれ10g,30gの量で収容されている。
尚、粒状活性炭層65の収容空間63には、粉体が粒状活性炭66と混合状態で収容されている。
また中空糸膜フィルタ90の収容空間88には、粉体の大部分が中空糸膜フィルタ90の壁面に付着状態でそこに収容されている。
【0074】
中空糸膜フィルタの壁面への粉体の付着は、次のようにして行うことができる。
即ちキャップ92を取り外して収容空間88内に粉体を添加し、その状態でキャップ92を閉じて全体を震とうすることで、粉体粒子を中空糸膜の壁面に付着させることができる。
【0075】
この実施形態ではまた、活性炭素繊維層76の収容空間78にも上記の粉体を所定量収容し、且つこれを活性炭素繊維層76に付着させておくことができる。
但しこれに代えて、例えば活性炭素繊維を成形する段階で銀等の抗菌剤を結合し、保持させておくこともできる。
【0076】
原水入口66Aから流入した水道水は、最初の粒状活性炭層65で吸着により塩素が除去されることで、特別の抗菌対策がなされていない場合、浄水器40内部全体で雑菌が繁殖し易い状態となる。
しかるにこの実施形態では浄水器40内部全体に抗菌性が付与されているので、塩素除去の下でも菌の繁殖を良好に防止することができる。
【0077】
<実験例1>
容積230cmの中空糸膜フィルタ90の収容空間88に上記のセラミックスの粉体10gを収容したものと、収容しないものとのそれぞれについて、予め残留塩素を除去した水を満水状態に入れて37℃の環境下で培養試験を行い、生菌数を経過時間ごとにJIS K 3835に従い、平板塗抹培養法により測定した。
図3にその結果が示してある。
尚粉体は収容空間88に入れた後に収容空間88をキャップ92で閉じ、その状態で全体を手で振って粉体を中空糸膜の壁面に付着させた。
【0078】
図3に示しているように、粉体を入れなかったものについては時間の経過とともに菌の増殖が認められたが、粉体を入れたものについては時間経過しても菌の発生増殖は認められなかった。
このことから、中空糸膜フィルタ90の収容空間88に粉体を入れておくことで、収容空間88内を良好に抗菌状態としておくことができることが分る。
【0079】
<実験例2>
内部容積1100cmの図2の浄水器40において、容積230cmの中空糸膜フィルタ90の収容空間88に10gのセラミックス粒子の粉体(粒径は0.15〜0.30mm)を入れて、中空糸膜フィルタ90の目詰り耐久試験を行った。
尚、比較のために粉体を入れていないものについても同様の試験を行った。
【0080】
試験はフミン質,凝集剤を混ぜた試験水を1日20L(リットル)ずつ浄水器40に通水させた。その間浄水器40は37℃の環境下に保持した。
目詰り耐久性の評価は、瞬間流量が1.25L/minに減少するまでの積算水量によって行った。
結果を図4に示している。
【0081】
図4に示しているように、セラミックスの粉体を収容空間88に入れなかったものについては約600Lで中空糸膜フィルタが目詰り耐久寿命に到ったが、セラミックスの粉体を入れたものについては約900Lまで目詰り耐久性が延びる結果となった。
この結果から、セラミックスの粉体を中空糸膜フィルタ90の収容空間88に入れておくことで、その抗菌性により中空糸膜フィルタ90の目詰りが大幅に改善されることが見て取れる。
【0082】
尚、目詰りを起した段階で中空糸膜フィルタ90の収容空間88内の生菌数を測定したところ、セラミックスの粉体を入れなかったものについては生菌数(CFU)が8.2×10であったのに対し、セラミックスの粉体を入れたものについては生菌数はゼロであった。
尚、生菌数の測定はJIS K 3835に従い、平板塗抹培養法によって測定した。
【0083】
<実験例3>
フミン質や凝集剤を混ぜて試験水を調製し、断面積/長さの比率が種々異なる形状の試験カラム(試験カラムの容積は480cmに統一した)に粒子径で0.15〜0.30mmの粒状活性炭を充填した。
そしてそのカラムに模擬水を通水して、粒状活性炭による色度除去率を調べた。
ここで色度除去率の測定は以下のようにして行った。
色度:JIS S 3200-7に準拠した透過光測定法で測定した。
除去率:(浄水色度/原水色度)×100で算出した。
【0084】
このとき試験カラムの下流側に膜面積0.75mの中空糸膜モジュールを接続して、中空糸膜モジュールの目詰り耐久性を評価した。
ここで耐久性の測定は、初期流量2.0L/minを通水するときの水圧を維持し、瞬間流量が半分の1.0L/minに減少するまでの積算水量を耐久寿命として判定した。
結果が図5に示してある。
【0085】
図5に示しているように、粒状活性炭による色度除去については断面積/長さの比率が小さくなるほど、即ちドーナツ環状をなす粒状活性炭層が細長くなるほど高い色度除去率を示しており、細長いほど濁り成分の除去率が高くなる結果が得られた。
【0086】
これに対して中空糸膜モジュールの目詰り耐久性は、断面積/長さの比率が小さくなることによって延びているものの、一定以上に断面積/長さの比率が小さくなると、逆に目詰り耐久性が減少傾向に転ずる結果となった。
詳しくは、最大の目詰り耐久性が得られる比率1.6をピークとして、その後数値が小さくなるにつれて目詰り耐久性が低下する結果となった。
【0087】
これらの結果から、粒状活性炭層による水道水の浄水性能と、中空糸膜フィルタの目詰り耐久性とを良好にバランスさせる上で、断面積/長さの比率は1.0〜3.0の範囲内とするのが良い(中空糸膜フィルタの目詰り耐久性は、積算水量Lの目標値を480Lとして判定した)。
尚、中空糸膜フィルタの目詰り耐久寿命が比率1.6を境として減少傾向に転ずるのは、次のような理由によるものと推察される。
【0088】
即ち、断面積/長さの比率が小さくなるほど、即ち粒状活性炭の充填空間が細長くなるほど、粒状活性炭による流れの抵抗が増大するため、初期流量2.0L/minを確保するための水圧が高くなる。
その水圧は中空糸膜にもそのままかかることとなり、その高い水圧によって中空糸膜に濁り成分が押し付けられることで、中空糸膜の微細孔が目つぶしされ易くなることがその原因であると推察される。
【0089】
以上のような本実施形態では、中空糸膜フィルタ90の上流側にセラミックスフィルタ68を配置するとともに、粒状活性炭層65,活性炭素繊維層76をセラミックスフィルタ68の更に上流側に、且つ粒状活性炭層65を活性炭素繊維層76よりも上流側に配置しておくことで、濁り成分を大きいものから小さいものへと段階的に濾過し、水道水から効率的に除去することができる。
またその結果、中空糸膜フィルタ90,セラミックスフィルタ68,活性炭素繊維層76で除去すべき濁り成分の量も少なくなり、それらへの負荷が軽減されて浄水器40全体の目詰り耐久寿命が延長せしめられる。
【0090】
また本実施形態では、抗菌性を有するセラミックスの粉体を中空糸膜フィルタ90の収容空間88,粒状活性炭層65の収容空間63,更には活性炭素繊維層76の収容空間78の何れにも収容しておくことで、浄水器40内部を全体に亘って抗菌状態とすることができ、浄水器40の内部を衛生的に保持することができるとともに、雑菌の繁殖による目詰り耐久性の低下を防止することができる。
【0091】
以上本発明の実施形態を詳述したが、これはあくまで一例示である。
例えば図1に示したものはあくまで浄水器の一使用例を示したに過ぎないもので、浄水器を他の様々な形態で使用する場合においても本発明の適用は可能である。
その他上記実施形態では特定のアルミノケイ酸カルシウムを抗菌性を備えたセラミックスとして用いているが、抗菌性を備えたセラミックスとして上例以外の他のものを用いることも可能であるし、また浄水器の内部構造を上例とは異なった形態で構成することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0092】
40 浄水器
62 ケース
63 収容空間
65 粒状活性炭層
66A 原水入口
66B 浄水出口
68 セラミックスフィルタ
72 筒体
74 透水孔
76 活性炭素繊維層
78 収容空間
88 収容空間
90 中空糸膜フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水入口から流入した原水を濾材に通して該濾材による濾過作用で浄化し、浄水を浄水出口から流出させる浄水器において、
前記濾材として、多孔質のセラミックス焼結体から成るセラミックスフィルタと、中空糸膜フィルタとを併せて用い、且つ該セラミックスフィルタを流れの上流側に、該中空糸膜フィルタを流れの下流側に配置してあることを特徴とする浄水器。
【請求項2】
請求項1において、前記濾材として粒状活性炭層と、活性炭素繊維層とを更に備えていることを特徴とする浄水器。
【請求項3】
請求項2において、前記流れの上流側から下流側にかけて、前記粒状活性炭層,活性炭素繊維層,セラミックスフィルタ,中空糸膜フィルタの順に配置してあることを特徴とする浄水器。
【請求項4】
請求項3において、有底筒状のケース内部の充填空間の外周側に、該ケースの軸方向に沿って粒状活性炭層を断面ドーナツ環状に設け、原水入口から流入した原水を該粒状活性炭層の軸方向の開放端側から該粒状活性炭層内部に流入させて、該粒状活性炭層内部を軸方向に流通移動させた後、前記充填空間の軸方向の底部側且つ粒状活性炭層の内周側に設けた筒体の透水孔を通じて、該筒体の内側に筒状に配置した前記活性炭素繊維層,該活性炭素繊維層の更に内側の中心部に配置した筒状のセラミックスフィルタにそれぞれ径方向内方向きに通し、その後該セラミックスフィルタよりも前記開放端側に且つ前記粒状活性炭層の内側に配置した前記中空糸膜フィルタを通過させて、前記浄水出口から外部に流出させるようになしてあることを特徴とする浄水器。
【請求項5】
請求項1において、前記多孔質のセラミックス焼結体から成るセラミックスフィルタが抗菌性を備えているものであることを特徴とする浄水器。
【請求項6】
請求項1において、抗菌性を有するセラミックスを粉砕して成る粉体が前記中空糸膜フィルタの収容空間に収容してあることを特徴とする浄水器。
【請求項7】
請求項2〜4の何れかにおいて、抗菌性を有するセラミックスを粉砕して成る粉体が前記粒状活性炭層の収容空間に収容してあることを特徴とする浄水器。
【請求項8】
請求項4において、前記粒状活性炭層の横断面の断面積が3〜80cm,充填容積が100〜1000cmであり、該粒状活性炭層の断面積と軸方向長さとの比率断面積(cm)/軸方向長さ(cm)が1.0〜3.0の範囲内としてあることを特徴とする浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−50880(P2011−50880A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202857(P2009−202857)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】