説明

浄水器

【課題】濾材を収容するフィルタ槽を備えた浄水器であって、濾材を洗浄した後に当該浄水器から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれないように構成され且つ比較的簡易に構成された浄水器を提供する。
【解決手段】流路61と流路62との間には、電磁弁23が配置されている。流路66と流路67との間には、電磁弁25が配置されている。接続部41は、主流路31において、フィルタ槽10よりも、浄化方向の下流側に配置され、主流路31と流路62とを接続する。接続部42は、主流路31において、フィルタ槽10および接続部41よりも、浄化方向の下流側に配置され、主流路31と流路66とを接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾材を洗浄する機能を有する浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
濾材を洗浄する機能を有する浄水器等について、例えば、特開平6−226059号公報(特許文献1)に記載された濾過装置と、特開平8−84989号公報(特許文献2)に記載された中空糸膜型浄水器とが従来から知られている。
【0003】
特開平6−226059号公報(特許文献1)に記載された濾過装置は、中空糸膜を収容する濾過容器を備えている。特開平6−226059号公報(特許文献1)に記載された濾過装置において、中空糸膜が洗浄される場合には、原水が中空糸膜で濾過される方向と逆の方向に原水が中空糸膜を流通する。
【0004】
一方、特開平8−84989号公報(特許文献2)に記載された中空糸膜型浄水器は、少なくとも二つの中空糸膜槽を備えている。これら二つの中空糸膜槽は、浄水吐水管によって互いに接続され、当該浄水器において並列に配置されている。特開平8−84989号公報(特許文献2)に記載された中空糸膜型浄水器において中空糸膜が洗浄される場合には、一の中空糸膜槽によって浄化された浄水が他の中空糸膜槽を通過することにより、他の中空糸膜槽が洗浄される。そして、他の中空糸膜槽を洗浄した後に、他の中空糸膜槽によって浄化された浄水が一の中空糸膜槽を通過することにより、一の中空糸膜槽が洗浄される。
【0005】
このような二つの中空糸膜槽を用いた洗浄動作により、特開平8−84989号公報(特許文献2)に記載された中空糸膜型浄水器は、他の中空糸膜槽を洗浄した後に浄水吐水管に残った汚水を、一の中空糸膜槽を洗浄するときに浄水吐水管の外部に排出することができる。このように、特開平8−84989号公報(特許文献2)に記載された中空糸膜型浄水器は、中空糸膜槽が洗浄された後に当該浄水器から供給される浄水に、浄水吐水管に残った汚水が含まれないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−226059号公報
【特許文献2】特開平8−84989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特開平8−84989号公報(特許文献2)に記載された中空糸膜型浄水器は、二つの中空糸膜槽を元来備えているものであるため、当該浄水器に係る構成または構造が複雑である。
【0008】
一方、特開平6−226059号公報(特許文献1)に記載された濾過装置は、中空糸膜を洗浄した後の水を、浄水が流通する経路から排出している。そのため、中空糸膜が洗浄された後に当該濾過装置から供給される浄水に、洗浄後の汚水が含まれてしまうおそれがある。このように、特開平6−226059号公報(特許文献1)に記載された濾過装置によれば、中空糸膜の洗浄後に当該装置が供給する浄水に、悪影響が及ぼされるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、濾材を収容するフィルタ槽を備えた浄水器であって、濾材を洗浄した後に当該浄水器から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれないように構成され且つ比較的簡易に構成された浄水器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従った浄水器は、フィルタ槽と、主流路と、第1の洗浄流路と、第2の洗浄流路と、第1の分岐部分と、第2の分岐部分とを備えている。フィルタ槽は、水を濾過する濾材を有する。主流路は、フィルタ槽に水を流通させる。第1の洗浄流路は、濾材が水を濾過するときに濾材を流通する方向と逆方向に濾材を流通することによってフィルタ槽を洗浄するための水を流通させる流路である。第1の洗浄流路は、主流路に接続されている。また、第1の洗浄流路には、第1の弁が配置されている。第2の洗浄流路は、濾材が水を濾過するときに濾材を流通する方向と同じ方向に濾材を流通することによってフィルタ槽を洗浄した後の水を流通させる流路である。第2の洗浄流路は、主流路に接続されている。また、第2の洗浄流路には、第2の弁が配置されている。第1の分岐部分は、主流路において、フィルタ槽よりも、濾材が水を濾過するときに水が主流路を流れる方向の下流側に配置され、主流路と第1の洗浄流路とを接続する。第2の分岐部分は、主流路において、フィルタ槽および第1の分岐部分よりも、濾材が水を濾過するときに水が主流路を流れる方向の下流側に配置され、主流路と第2の洗浄流路とを接続する。
【0011】
本発明によれば、第1の弁が開放され且つ第2の弁が閉塞されることによって第1の洗浄流路から主流路を介してフィルタ槽に水が流入する。これにより、フィルタ槽の濾材には、濾材が水を濾過するときと逆の方向から水が流れる。一方、第2の弁が開放され且つ第1の弁が閉塞されることによってフィルタ槽から主流路に流出された水が第2の洗浄流路に流出される。これにより、フィルタ槽の濾材には、濾材が水を濾過するときと同じ方向から水が流れる。
【0012】
さらに、第1の洗浄流路から主流路を介してフィルタ槽に水を流入させることによって濾材を洗浄した後の所定の時間に、第2の弁を開放し且つ第1の弁を閉塞することにより、フィルタ槽から主流路に流出した水を第2の洗浄流路に流出させることができる。つまり、濾材を逆洗浄した後にフィルタ槽と第1の分岐部分との間とフィルタ槽の内部とに残った水を、主流路から第2の洗浄流路に流出させることができる。
【0013】
このようにすることにより、濾材を洗浄した後には、濾材を逆洗浄した後の汚水がフィルタ槽と主流路とに残らないため、濾材を洗浄した後に当該浄水器から供給される浄水には洗浄後の汚水が含まれない。すなわち、本発明に従った浄水器は、濾材を洗浄した後に当該浄水器から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれないように構成されている。
【0014】
また、本発明に従った浄水器は、二つのフィルタ槽を備えているものではなく、主流路に配置された一つのフィルタ槽を備えている。そのため、当該浄水器に係る構成または構造は、比較的簡易である。
【0015】
したがって、本発明によれば、濾材を収容するフィルタ槽を備えた浄水器であって、濾材を洗浄した後に当該浄水器から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれないように構成され且つ比較的簡易に構成された浄水器を提供することができる。
【0016】
本発明に従った浄水器において、第1の分岐部分は、第2の分岐部分よりも鉛直下方に配置されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、第1の洗浄流路を流通する水は、重力の影響を受けることにより、第1の分岐部分から第2の分岐部分に向かって鉛直上方に移動することが抑制される。そのため、フィルタ槽の逆洗浄に用いられる水のうち、主流路に残る水の量を低減させることができる。すなわち、この構成によれば、濾材を洗浄した後に当該浄水器から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれることを、効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明に従った浄水器は、第3の弁をさらに備えていることが好ましい。第3の弁は、主流路において、第2の分岐部分よりも、濾材が水を濾過するときに水が主流路を流れる方向の下流側に配置されていることが好ましい。また、第3の弁は、フィルタ槽が洗浄されるときに閉塞されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、フィルタ槽が洗浄されるときに第3の弁が閉塞されていることにより、第1の洗浄流路を流通する水と、主流路から第2の洗浄流路に流出する水とが、第3の弁よりも下流側に流出することを防止することができる。つまり、フィルタ槽の逆洗浄に用いられる水が第3の弁よりも下流側に流出することと、フィルタ槽の逆洗浄後に、第2の分岐部分とフィルタ槽との間と、フィルタ槽の内部とに残った汚水が第3の弁よりも下流側に流出することとが防止されている。このように、この構成によれば、濾材を洗浄した後に当該浄水器から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれることを、効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、濾材を収容するフィルタ槽を備えた浄水器であって、濾材を洗浄した後に当該浄水器から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれないように構成され且つ比較的簡易に構成された浄水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る浄水器の系統図であり、浄水器が浄水を生成するときの水の流れを示す図である。
【図2】本発明に係る浄水器の系統図であり、フィルタ槽の濾材を逆洗浄するときの水の流れを示す図である。
【図3】本発明に係る浄水器の系統図であり、フィルタ槽の濾材を順洗浄するときの水の流れを示す図である。
【図4】本発明に係る浄水器の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1に、本発明に従った浄水器100を示す。浄水器100は、主流路31と第1の洗浄流路と第2の洗浄流路とを有する流路30と、フィルタ槽10とを備えている。流路30は、液体としての水を流通させるものである。流路30は、主流路31と、流路61と、流路62と、流路63と、流路64と、流路67と、流路66と、排水路65とを有している。主流路31は、少なくとも流入路32と、流路33,34と浄水供給路35とを有している。上述した各流路は、例えばホース等の管状部材で形成されている。
【0024】
フィルタ槽10は、水を濾過するフィルタ11を有している。濾材の一例としてのフィルタ11には、除去する対象物によって精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)、ナノ濾過膜(NF膜)、または逆浸透膜(RO膜)等が利用されている。
【0025】
主流路31は、フィルタ槽10に水を流通させる。浄水器100の外部から内部に流入した原水は、流路30のうちの流入路32を流通する。原水は、例えば水道水である。ただし、原水は、水道水に限定されず、井戸水または河川水等であってもよい。浄水器100において浄水が生成される場合には、流入路32、流路33、フィルタ槽10、流路34、および、浄水供給路35の順に、水が主流路31を流通する。
【0026】
流路61と流路62とは、第1の洗浄流路の一例である。流路61と流路62とは、フィルタ11が水を濾過するときにフィルタ11を流通する方向と逆方向にフィルタ11を流通することによってフィルタ槽10を洗浄するための水を流通させる流路である。以下では、フィルタ11が水を濾過するときにフィルタ11を水が流通する方向のことを、浄化方向と呼ぶ。一方、フィルタ11が水を濾過するときにフィルタ11を水が流通する方向と逆方向のことを、逆洗浄方向と呼ぶ。
【0027】
第1の洗浄流路のうちの流路61は、流入路32に接続されている。第1の洗浄流路のうちの流路62は、流路34に接続されている。また、流路61と流路62との間には、電磁弁23が配置されている。また、流路63と流路64とは、逆洗浄後の水が流通する経路である。
【0028】
流路66と流路67とは、第2の洗浄流路の一例である。流路66と流路67とは、浄化方向にフィルタ11を流通することによってフィルタ槽10を洗浄した後の水(つまり、順洗浄に用いられた水)を流通させる流路である。第2の洗浄流路のうちの流路66は、流路34に接続されている。流路66と流路67との間には、電磁弁25が配置されている。
【0029】
浄水器100は、接続部41と接続部42とを備えている。接続部41と接続部42とは、主流路31において流路34に配置されている。接続部41は、第1の分岐部分の一例である。接続部42は、第2の分岐部分の一例である。
【0030】
接続部41は、主流路31において、フィルタ槽10よりも、浄化方向の下流側に配置されている。接続部41は、主流路31のうちの流路34と流路62とを接続する。接続部42は、主流路31において、フィルタ槽10および接続部41よりも、浄化方向の下流側に配置されている。接続部42は、主流路31のうちの流路34と流路66とを接続する。
【0031】
図1〜3は、流路30の水の流れを模式的に示す図である。そのため、浄水器100の上下方向は図1〜3には示されていない。図1〜3において、接続部41は、接続部42よりも上方に位置するように描かれている。しかしながら、浄水器100において、接続部41は接続部42よりも鉛直下方に配置されている。
【0032】
主流路31のうちの流路33は、開口12を介してフィルタ槽10に接続されている。開口12は、フィルタ槽10に形成されている。開口12は、流路33を流れる水をフィルタ槽10に流入させるための流入口としての機能を有している。フィルタ槽10には、開口13と開口14とがさらに形成されている。流路34は、開口13を介してフィルタ槽10に接続されている。また、流路63は、開口14を介してフィルタ槽10に接続されている。
【0033】
浄水器100において浄水が生成される場合には、開口12からフィルタ槽10に流入した水は、フィルタ11によって濾過された後に開口13から流路34に流出する。この場合には、開口13は、浄水の流出口としての機能を有する。フィルタ11が逆洗浄される場合には、流路61と流路62と流路34とを流通する水が、開口13からフィルタ槽10に流入する。この場合には、開口13は、逆洗浄用水の流入口としての機能を有する。さらに、後述するように、フィルタ11が逆洗浄された後に、少なくとも開口13と接続部42との間に残った汚水が排水される場合には、開口12からフィルタ槽10に流入した水が開口13から流路34に流出する。この場合には、開口13は、順洗浄用水の流出口としての機能を有する。
【0034】
主流路31において、流入路32と流路33との間には、電磁弁21が配置されている。流入路32には、接続部43を介して流路61の一端が接続されている。流路61の他端は、電磁弁23に接続されている。また、電磁弁23には、流路62の一端が接続されている。電磁弁23は、第1の弁の一例である。流路62の他端は、接続部41を介して主流路31のうちの流路34に接続されている。
【0035】
流路34には、接続部42を介して流路66の一端が接続されている。流路66の他端は、電磁弁25に接続されている。また、電磁弁25には、流路67の一端が接続されている。電磁弁25は、第2の弁の一例である。流路67の他端は、接続部44を介して排水路65に接続されている。また、接続部44には、流路64の一端が接続されている。流路64の他端は、電磁弁24に接続されている。電磁弁24とフィルタ槽10の開口14との間には、流路63が延びている。
【0036】
主流路31において、接続部42よりも浄水方向の下流側には、電磁弁22が配置されている。電磁弁22は、第3の弁の一例である。フィルタ11が逆洗浄される場合と、逆洗浄後の汚水が浄水器100の外部に排出される場合とに、電磁弁22は閉塞されている。図1に示すように、浄水器100から外部に浄水が供給されるときには、電磁弁22が開放されることにより、フィルタ11によって濾過された浄水が、浄水供給路35を通って浄水器100の外部に排出される。浄水器100から外部に浄水が供給されるときには、電磁弁21と電磁弁22とが開放され、且つ、電磁弁23と電磁弁24と電磁弁25とが閉塞されている。
【0037】
図2に示すように、逆洗浄方向からフィルタ11に水が流れることによってフィルタ11を洗浄する場合(つまり、逆洗浄が行われる場合)には、原水が接続部43を介して流入路32から流路61に流入する。流路61を流通する原水は、流路62を通った後に接続部41を介して流路34に流入する。さらに、原水は、開口13を介して流路34からフィルタ槽10に流入する。フィルタ槽10に流入した原水は、フィルタ11を通過した後に開口14を介して流路63に流出する。流路63を流通する原水は、流路64を通った後に接続部44を介して排水路65に流出することにより、浄水器100の外部に排出される。フィルタ11が逆洗浄される場合には、電磁弁23と電磁弁24とが開放され、且つ、電磁弁21と電磁弁22と電磁弁25とが閉塞されている。
【0038】
一方、図3に示すように、浄化方向からフィルタ11に水が流れることによってフィルタ11を洗浄する場合(つまり、順洗浄が行われる場合)には、原水が流入路32と流路33とを通って、開口12を介してフィルタ槽10に流入する。さらに、フィルタ槽10に流入した原水は、フィルタ11を通過した後に開口13を介して流路34に流出する。この際、フィルタ11を通過することにより、原水が浄化される。流路34を流通する水は、接続部41を通過した後に、接続部42を介して流路66に流入する。流路66を流通する水は、流路67を通った後に接続部44を介して排水路65に流出することにより、浄水器100の外部に排出される。フィルタ11が順洗浄される場合には、電磁弁21と電磁弁25とが開放され、且つ、電磁弁22と電磁弁23と電磁弁24とが閉塞されている。
【0039】
排水路65は、逆洗浄時と順洗浄時とで兼用されている。逆洗浄時に浄水器100の内部を流通している水と順洗浄時に浄水器100の内部を流通している水とを使用者が視覚的に区別することができるか否かにかかわらず、浄水器100においてフィルタ11の逆洗浄と順洗浄とが行われる。このように、浄水器100は、逆洗浄と順洗浄とが合わさったフィルタ11の洗浄が行われていることを、使用者に認識させることが図られている。浄水器100では、例えば流入路32の一部と浄水供給路35の一部と排水路65の一部とを除く他の部材が、本体を形成するケース(図示せず)に収容されている。
【0040】
浄水器100は、マイコン40を備えている。浄水器100の作動は、マイコン40によって制御されている。マイコン40は、図示しないメモリを有している。メモリには、浄水器100の作動に必要なデータ等が記録されている。マイコン40は、浄水器100の作動に必要な制御に関する判定を判断している。また、マイコン40は、判定結果に基づき、浄水器100の作動に必要なデータをメモリに記録している。
【0041】
浄水器100は、使用者によって操作される洗浄ボタン4を備えている。浄水器100では、使用者が洗浄ボタン4を押下することにより、フィルタ11の洗浄が開始される。洗浄ボタン4が操作された場合には、マイコン40は制御信号を受信する。マイコン40は、制御信号を受信することに基づき、洗浄ボタン4が操作されたことを判定する。この判定結果に基づき、電磁弁21,22,23,24,25がマイコン40に制御される。
【0042】
一方、浄水器100では、フィルタ11の洗浄が開始されてから所定の時間が経過する場合に、洗浄が終了される。マイコン40には、タイマ5が含まれている。浄水器100の作動に必要な時間は、タイマ5によってカウントまたは計算されている。
【0043】
次に、浄水器100においてフィルタ11が洗浄されるときの制御について、フローチャートを用いて説明する。図4に示すように、ステップS101において、洗浄ボタン4(図1参照)が押下されたか否か、つまり、使用者によってフィルタ11(図1参照)の洗浄の開始が指示されたか否かが判定される。ステップS101において洗浄ボタン4が操作されたことが判定される場合には、ステップS102に進む。ステップS101において洗浄ボタン4が操作されていないことが判定される場合には、ステップS106に進む。
【0044】
ステップS106では、浄水が生成されるように、電磁弁21,22,23,24,25がマイコン40によって制御される。ステップS106では、電磁弁21,22が開放され、且つ、電磁弁23,24,25が閉塞される。これにより、上述したように、流入路32と流路33とを通ってフィルタ槽10に原水が流入する(図1参照)。さらに、フィルタ11によって濾過された浄水は、浄水供給路35を通って浄水器100の外部に排出される(図1参照)。
【0045】
一方、ステップS102では、フィルタ11(図2参照)が逆洗浄されるように、電磁弁21,22,23,24,25がマイコン40によって制御される。ステップS102では、電磁弁23,24が開放され、且つ、電磁弁21,22,25が閉塞される。これにより、上述したように、流入路32から流路61に流入した原水は、流路61と流路62と流路34とを通った後に、開口13を介してフィルタ槽10に流入する(図2参照)。さらに、フィルタ槽10において、フィルタ11が逆洗浄されることにより、フィルタ11に付着していた汚染物質が除去される。汚損物質が混入された汚水は、流路63と流路64とを通った後に、排水路65を介して浄水器100の外部に排出される(図2参照)。
【0046】
続いて、ステップS103では、逆洗浄が開始されてから所定の時間T1が経過したか否かが判定される。時間T1は、予め定められた時間であって、フィルタ11の逆洗浄の開始から終了までの時間である。ステップS103において、時間T1が経過していることが判定される場合には、ステップS104に進む。ステップS103において、時間T1が経過していないことが判定される場合には、ステップS103に戻り、フィルタ11の逆洗浄が継続される。
【0047】
ステップS104では、開口13と接続部42との間と、フィルタ槽10の内部とに残った逆洗浄後の汚水が浄水器100の外部に排出されるように、電磁弁21,22,23,24,25がマイコン40によって制御される。ステップS104では、電磁弁21,25が開放され、且つ、電磁弁22,23,24が閉塞される。これにより、上述したように、流入路32と流路33とを通って、原水がフィルタ槽10に流入する。さらに、フィルタ槽10に流入した原水は、フィルタ11を通過した後に流路34に流出する。流路34に流出した水は、接続部42を介して流路34から流路66に流入する。流路66を流通する水は、流路67と排水路65とを通った後に、浄水器100の外部に排出される。
【0048】
続いて、ステップS105では、逆洗浄が終了されてから所定の時間T2が経過したか否かが判定される。時間T2は、予め設定された時間であって、汚水の排水する制御が開始されてから終了されるまでの時間である。ステップS105において、時間T2が経過していることが判定される場合には、ステップS101に戻る。ステップS101において、洗浄ボタン4が押下されていないことが判定されることにより、浄水が生成される状態に戻る。一方、ステップS105において、時間T2が経過していないことが判定される場合には、ステップS105に戻り、逆洗浄後の汚水の排出が継続される。なお、設定される時間T2の長さは、時間T1の長さよりも短いことが好ましい。
【0049】
以上の制御によれば、フィルタ11を逆洗浄した後の所定の時間T2に、少なくとも電磁弁25を開放し且つ電磁弁23を閉塞することにより、フィルタ槽10から流路34に流出した水を、流路34から流路66に流出させることができる。つまり、流路61および流路62から流路34を介してフィルタ槽10に水を流入させることによってフィルタ11を逆洗浄した後に、流路34のうちの開口13と接続部42との間と、フィルタ槽10の内部とに残った水を、主流路31から流路66と流路67とに流出させることができる。
【0050】
以上のように、浄水器100は、フィルタ槽10と、主流路31と、流路61および流路62と、流路66および流路67と、接続部41と、接続部42とを備えている。フィルタ槽10は、水を濾過するフィルタ11を有する。主流路31は、フィルタ槽10に水を流通させる。流路61と流路62とは、逆洗浄方向にフィルタ11を流通することによってフィルタ槽10を洗浄するための水を流通させる流路である。流路61は、主流路31のうちの流入路32に接続されている。流路62は、主流路31のうちの流路34に接続されている。また、流路61と流路62との間には、電磁弁23が配置されている。流路66および流路67は、浄化方向にフィルタ11を流通することによってフィルタ槽10を洗浄した後の水を流通させる流路である。流路66と流路67とのうち、流路66は、主流路31に接続されている。また、流路66と流路67との間には、電磁弁25が配置されている。接続部41は、主流路31において、フィルタ槽10よりも、浄化方向の下流側に配置され、主流路31と流路62とを接続する。接続部42は、主流路31において、フィルタ槽10および接続部41よりも、浄化方向の下流側に配置され、主流路31と流路66とを接続する。
【0051】
浄水器100によれば、電磁弁23が開放され且つ電磁弁25が閉塞されることによって流路61と流路62とから主流路31を介してフィルタ槽10に水が流入する。これにより、フィルタ槽10のフィルタ11には、逆洗浄方向から水が流れる。一方、電磁弁25が開放され且つ電磁弁23が閉塞されることによってフィルタ槽10から主流路31に流出された水が流路66に流出される。これにより、フィルタ槽10のフィルタ11には、フィルタ11が水を濾過するときと同じ方向から水が流れる。
【0052】
さらに、流路61と流路62とから主流路31を介してフィルタ槽10に水を流入させることによってフィルタ11を洗浄した後の所定の時間に、電磁弁25を開放し且つ電磁弁23を閉塞することにより、フィルタ槽10から主流路31に流出した水を流路66に流出させることができる。つまり、フィルタ11を逆洗浄した後に、開口13と接続部41との間と、フィルタ槽10の内部とに残った水を、主流路から第2の洗浄流路に流出させることができる。
【0053】
このようにすることにより、フィルタ11を洗浄した後には、フィルタ11を逆洗浄した後の汚水がフィルタ槽10と主流路31とに残らないため、フィルタ11を洗浄した後に浄水器100から供給される浄水には洗浄後の汚水が含まれない。すなわち、浄水器100は、フィルタ11を洗浄した後に浄水器100から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれないように構成されている。
【0054】
また、浄水器100は、二つのフィルタ槽を備えているものではなく、主流路31に配置された一つのフィルタ槽10を備えている。そのため、浄水器100に係る構成または構造は、比較的簡易である。
【0055】
このようにすることにより、フィルタ11を収容するフィルタ槽10を備え、フィルタ11を洗浄した後に浄水器100から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれないように構成され且つ比較的簡易に構成された浄水器100を提供することができる。
【0056】
浄水器100において、接続部41は、接続部42よりも鉛直下方に配置されている。この構成によれば、流路66と流路67とを流通する水は、重力の影響を受けることにより、接続部41から接続部42に向かって鉛直上方に移動することが抑制される。そのため、フィルタ槽10の逆洗浄に用いられる水のうち、主流路31に残る水の量を低減させることができる。すなわち、この構成によれば、フィルタ11を洗浄した後に浄水器100から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれることを、効果的に抑制することができる。
【0057】
浄水器100は、電磁弁22を備えている。電磁弁22は、主流路31において、接続部42よりも、浄化方向の下流側に配置されている。また、電磁弁22は、フィルタ槽10が洗浄されるときに閉塞されている。
【0058】
この構成によれば、フィルタ槽10が洗浄されるときに電磁弁22が閉塞されていることにより、流路61および流路62を流通する水と、主流路31から流路66に流出する水とが、電磁弁22よりも下流側に流出することを防止することができる。つまり、フィルタ槽10の逆洗浄に用いられる水が電磁弁22よりも下流側に流出することと、フィルタ槽10の逆洗浄後に、接続部42とフィルタ槽10との間と、フィルタ槽10の内部とに残った汚水が電磁弁22よりも下流側に流出することとが防止されている。このように、この構成によれば、フィルタ11を洗浄した後に浄水器100から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれることを、効果的に抑制することができる。
【0059】
このように、浄水器100は、フィルタ11を収容するフィルタ槽10を備え、フィルタ11を洗浄した後に浄水器100から供給される浄水に洗浄後の汚水が含まれないように構成され且つ比較的簡易に構成されている。
【0060】
逆洗浄に用いられる水と、順洗浄に用いられる水とは、浄水器100の外部から流入路32に流入されるものに限定されない。逆洗浄に用いられる水と、順洗浄に用いられる水とは、浄水を生成させるために外部から供給される水が流通する経路と、異なる流路を流通することによって浄水器100の内部に流入していてもよい。つまり、浄水器100は、接続部43を備えていなくてもよい。
【0061】
フィルタ11の洗浄の開始を指示するための構成として、洗浄ボタン4であることに限定されない。フィルタ11の洗浄の開始を指示するための構成としては、ボタンの構成に限定されず、洗浄を開始するための信号をマイコン40に送信するように構成されているものであればよい。さらに、フィルタ11の洗浄は、マイコン40の制御によって自動的に開始されるものであってもよい。例えば、図示しない濁度センサ等の検知部が検出する被浄化対象液体の濁度の値が所定の値を超える場合に、フィルタ11の洗浄が開始されるものであってもよい。
【0062】
フィルタ槽10には、開口13と異なり、浄水の流出口としての機能を有する開口と、逆洗浄用水の流入口としての機能を有する開口とがそれぞれ別に形成されていてもよい。
【0063】
所定の時間T1は、フィルタ11の汚れ具合等に応じて、適宜変更される時間であってもよい。また、所定の時間T2は、フィルタ11の汚れ具合等または時間T1の変化に応じて、適宜変更される時間であってもよい。
【0064】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0065】
4:洗浄ボタン、10:フィルタ槽、11:フィルタ、12:開口、13:開口、14:開口、22:電磁弁、23:電磁弁、25:電磁弁、30:流路、31:主流路、34:流路、40:マイコン、41:接続部、42:接続部、61:流路、62:流路、66:流路、67:流路、100:浄水器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を濾過する濾材を有するフィルタ槽と、
前記フィルタ槽に水を流通させる主流路と、
前記濾材が水を濾過するときに前記濾材を流通する方向と逆方向に前記濾材を流通することによって前記フィルタ槽を洗浄するための水を流通させる流路であって、前記主流路に接続され、第1の弁が配置された第1の洗浄流路と、
前記濾材が水を濾過するときに前記濾材を流通する方向と同じ方向に前記濾材を流通することによって前記フィルタ槽を洗浄した後の水を流通させる流路であって、前記主流路に接続され、第2の弁が配置された第2の洗浄流路と、
前記主流路において、前記フィルタ槽よりも、前記濾材が水を濾過するときに水が前記主流路を流れる方向の下流側に配置され、前記主流路と前記第1の洗浄流路とを接続する第1の分岐部分と、
前記主流路において、前記フィルタ槽および前記第1の分岐部分よりも、前記濾材が水を濾過するときに水が前記主流路を流れる方向の下流側に配置され、前記主流路と前記第2の洗浄流路とを接続する第2の分岐部分とを備えた、浄水器。
【請求項2】
当該浄水器において、前記第1の分岐部分は、前記第2の分岐部分よりも鉛直下方に配置されている、請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記主流路において、前記第2の分岐部分よりも、前記濾材が水を濾過するときに水が前記主流路を流れる方向の下流側に配置され、前記フィルタ槽が洗浄されるときに閉塞された第3の弁をさらに備えた、請求項1または請求項2に記載の浄水器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−17927(P2013−17927A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151659(P2011−151659)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】