説明

浄水器

【課題】比較的簡易な構成によって濾材の汚れ具合を判断することが可能であって、且つ、確実に必要最低限の水量で濾材を洗浄することが可能である浄水器を提供する。
【解決手段】浄水器100は、フィルタ11を有するフィルタ槽10と、流路30と、流量計5とを備えている。流路30は、水を流通させるためのものである。フィルタ槽10は、流路30のうちの主流路32に配置され、主流路32を流通する水を濾過する。流量計5は、主流路32を流通する水の量を測定する。また、浄水器100は、フィルタ11を洗浄する場合に、流量計5によって測定された水量の積算値に応じて、フィルタ11に水を流通させる時間、フィルタ11を流通させる水の量、および、フィルタ11を流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾材を洗浄する機能を有する浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
濾材を洗浄する機能を有する浄水器等について、例えば、特開平5−84488号公報(特許文献1)に記載された浄水器と、特開平7−68258号公報(特許文献2)に記載された浄水器と、特開平7−108259号公報(特許文献3)に記載された浄水器と、特開2005−87875号公報(特許文献4)に記載された浄水器カートリッジ用逆洗再生装置とが従来から知られている。
【0003】
特開平5−84488号公報(特許文献1)に記載された浄水器と、特開平7−68258号公報(特許文献2)に記載された浄水器と、特開平7−108259号公報(特許文献3)に記載された浄水器と、特開2005−87875号公報(特許文献4)に記載された浄水器カートリッジ用逆洗再生装置とにおいて、浄水器等の濾材の洗浄の開始時期と終了時期とは、使用者による所定の操作によって決定される。
【0004】
特開平11−19485号公報(特許文献5)には、膜を用いた水処理の方法が記載されている。特開平11−19485号公報(特許文献5)に記載された水処理の方法は、濾過時に膜の差圧を測定し、差圧の程度に応じて、逆圧水洗浄の時間または逆圧水洗浄の圧力を操作するものである。膜の差圧とは、膜モジュールの入口の圧力と出口の圧力との差である。膜モジュールの入口と出口とには、それぞれ、膜の入口圧を測定する圧力計と、膜の出口圧を測定する圧力計とが設置されている。
【0005】
膜モジュールの入口圧としては、原水タンクと膜モジュールとを接続する流路を流れる原水の圧力が、圧力計によって測定されている。原水タンクは、被処理水を貯留するためのものである。原水タンクから膜モジュールに向かって被処理水が供給されるためには、原水ポンプの作動が必要である。原水ポンプは、原水タンクと膜モジュールとを接続する流路に配置されている。一方、膜モジュールの出口圧としては、膜モジュールと濾過水タンクとを接続する流路を流れる濾過水の圧力が、他の圧力計によって測定されている。濾過水タンクは、膜モジュールによって濾過された濾過水を貯留するためのものである。
【0006】
また、特開平11−19485号公報(特許文献5)に記載された水処理の方法は、膜の差圧が所定の差圧に達した段階で、被処理水の膜モジュールへの通水を停止し、逆圧水ポンプを使って膜モジュールに濾過水を通水し、洗浄水を排出させる逆圧水洗浄を行うものである。逆圧水洗浄が行われる際には、二つの圧力計より得られた膜差圧の計算値に応じて、逆圧水の通水時間および圧力をインバータで制御して、逆圧水ポンプの出力を変化させている。
【0007】
特開平11−19485号公報(特許文献5)に記載された水処理の方法においては、膜差圧が高いときには、逆圧水洗浄の時間を長くすること、または、逆圧水の圧力を高くすることにより、膜表面の付着層および膜表面に目詰まりした物質をより多く取り除くことができる。一方、膜差圧が低いときには、逆圧水洗浄の時間を短くすること、または、逆圧水の圧力を低くすることにより、逆圧水洗浄に使用する濾過水の容量を抑制することができる。このように、この方法によれば、濾材としての膜モジュールの汚れ具合に応じて且つ必要最低限の水量で濾材を洗浄することができる。
【0008】
特開平11−300116号公報(特許文献6)には、逆洗洗浄水を削減する方法が記載されている。この方法によれば、濾過機の濾材を洗浄した水の濁度が濁度計によって測定され、測定された濁度に基づいて濾材の洗浄の終了時期が判断されている。濁度計は、逆洗水配管に配置されている。濾材を洗浄した後に濾過機から流出した逆洗水は、逆洗水配管を流通する。また、この方法によれば、濁度計が測定する値が所定の値以下であるように濾材の洗浄が進行した場合には、濾材の逆洗行程が終了され、再び濾過工程が開始される。
【0009】
このように、特開平11−300116号公報(特許文献6)に記載された逆洗洗浄水を削減する方法によれば、逆洗が必要最小限の時間で済むため、逆洗水を節約することができる。また、濾材が非常に汚れているような場合でも、比較的長い時間において濾材に逆洗水を供給することにより、濾材を十分に洗浄することができる。つまり、この方法によれば、濾材の汚れ具合に応じて且つ必要最低限の水量で濾材を洗浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−84488号公報
【特許文献2】特開平7−68258号公報
【特許文献3】特開平7−108259号公報
【特許文献4】特開2005−87875号公報
【特許文献5】特開平11−19485号公報
【特許文献6】特開平11−300116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来の浄水器等のうち、特開平5−84488号公報(特許文献1)と、特開平7−68258号公報(特許文献2)と、特開平7−108259号公報(特許文献3)と、特開2005−87875号公報(特許文献4)とに記載されたものにおいて、濾材の洗浄の開始時期と終了時期とは、上述のように使用者によって決定されている。そのため、濾材の洗浄が不十分であるような事態、または、濾材の洗浄のための水が余分に消費されるような事態が発生する。また、特開平5−84488号公報(特許文献1)に記載された浄水器と、特開平7−68258号公報(特許文献2)に記載された浄水器と、特開平7−108259号公報(特許文献3)に記載された浄水器と、特開2005−87875号公報(特許文献4)に記載された浄水器カートリッジ用逆洗再生装置とは、濾材の洗浄に必要な水量を変化させるような技術思想について考慮されたものではない。
【0012】
特開平11−19485号公報(特許文献5)に記載された水処理の方法によれば、必要最小限の容量の水を濾材の洗浄に用いること、または、必要最小限の時間で濾材を洗浄することができるため、濾材としての膜モジュールを効率的に洗浄することができる。しかしながら、特開平11−19485号公報(特許文献5)に記載された水処理の方法を利用した装置は、膜モジュールの入口圧と出口圧との差圧を測定するために、二つの圧力計が必要である。
【0013】
このように、特開平11−19485号公報(特許文献5)に記載された水処理の方法によれば、当該水処理の方法を利用した装置において膜モジュールの汚れ具合を判断するためには二つの圧力計が必要であるため、当該装置に係る構成が複雑化する。
【0014】
一方、特開平11−300116号公報(特許文献6)に記載された逆洗洗浄水を削減する方法においては、濁度計を用いて濾材の洗浄の終了時期が判断されている。濁度計は、濾材を洗浄した後に濾過機から流出した逆洗水の濁度を測定する。しかしながら、濾過機から流出した逆洗水に気泡が含まれている場合、または、濾過機から流出した逆洗水の濁度が一定ではない場合には、濁度計によって測定される値には誤差が含まれ易い。そのため、特開平11−300116号公報(特許文献6)に記載された逆洗洗浄水を削減する方法は、確実に必要最低限の水量で濾材を洗浄することができるものではない。
【0015】
以上のような次第で、比較的簡易な構成によって濾材の汚れ具合を判断することが可能であって、且つ、確実に必要最低限の水量で濾材を洗浄することが可能である浄水器が望まれていた。
【0016】
そこで、本発明の目的は、比較的簡易な構成によって濾材の汚れ具合を判断することが可能であって、且つ、確実に必要最低限の水量で濾材を洗浄することが可能である浄水器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に従った浄水器は、流路とフィルタと流量計とを備えている。流路は、水を流通させるためのものである。フィルタは、流路に配置され、流路を流通する水を濾過する。流量計は、流路を流通する水の量を測定する。また、本発明に従った浄水器は、フィルタを洗浄する場合に、流量計によって測定された水量の積算値に応じて、フィルタに水を流通させる時間、フィルタを流通させる水の量、および、フィルタを流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を変化させる。
【0018】
本発明によれば、流量計が測定する流量の積算値に基づいて、フィルタの汚れ具合を推定することができる。この場合には、流路を流通する水の量を測定する流量計を備えるといった比較的簡易な構成により、フィルタの汚れ具合を判断することが可能である。
【0019】
また、本発明に従った浄水器は、フィルタを洗浄する場合には、流量計によって測定された水量の積算値に応じて、フィルタに水を流通させる時間、フィルタを流通させる水の量、および、フィルタを流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を変化させる。そのため、必要最低限の水量でフィルタを洗浄することができる。当該浄水器において、各物理量のうち、例えば所定の量の水をフィルタに流通させた後には、フィルタの洗浄が終了される。このように、本発明に従った浄水器では、フィルタを洗浄した後にフィルタから流出した洗浄水の濁度に基づいてフィルタの洗浄の終了時期が判断されるものではない。すなわち、フィルタを洗浄した後の洗浄水の濁度が一定でない場合であっても、各物理量のうちの例えば所定の水量がフィルタを流通し終わるまで、フィルタの洗浄が継続される。このように、本発明に従った浄水器によれば、確実に必要最低限の水量で濾材を洗浄することが可能である。
【0020】
このようにすることにより、比較的簡易な構成によって濾材の汚れ具合を判断することが可能であって、且つ、確実に必要最低限の水量で濾材を洗浄することが可能である浄水器を提供することができる。
【0021】
本発明に従った浄水器は、流路に配置された圧力計をさらに備えていることが好ましい。また、本発明に従った浄水器は、フィルタを洗浄する場合に、流量計によって測定された水量と、圧力計によって測定された水の圧力との比に応じて、フィルタに水を流通させる時間、フィルタを流通させる水の量、および、フィルタを流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を変化させることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、流量計によって測定された水量と、圧力計によって測定された水の圧力との比に応じて、つまり、フィルタの濾過抵抗に応じて、フィルタの詰り具合を推定することができる。例えば流量計が測定する流量の積算値のみを判断に用いる場合には、突発的に濁度の大きい水が流路を流れることによってフィルタが詰るような事態が発生したときであっても、フィルタによる水の濾過が継続される。しかしながら、本発明に従った浄水器の構成によれば、突発的に濁度の大きい水が流路を流れることによってフィルタが詰るような事態が発生する場合には、フィルタの詰り具合つまり汚れ具合に応じて、必要最低限の水量で濾材を洗浄することが可能である。
【0023】
本発明に従った浄水器、フィルタを洗浄する場合に、流量計によって測定された水量の積算値、および、流量計によって測定された水量と圧力計によって測定された水の圧力との比に応じて、フィルタに水を流通させる時間、フィルタを流通させる水の量、および、フィルタを流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を変化させることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、流量計が測定する流量の積算値に基づいて、フィルタの汚れ具合を推定することができ、且つ、流量計によって測定された水量と、圧力計によって測定された水の圧力との比(つまり、フィルタの濾過抵抗)に応じて、フィルタの詰り具合を推定することができる。そのため、各物理量のうちの例えば水量の所定の変化量を、流量計が測定する流量の積算値と、フィルタの濾過抵抗とに応じて、より詳細に定めることができる。したがって、この構成によれば、より確実に必要最低限の水量で濾材を洗浄することができる。
【0025】
本発明に従った浄水器は、流量計によって測定された水量と、圧力計によって測定された水の圧力との比の値が所定の値以上である場合には、フィルタの洗浄を停止することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、フィルタの洗浄が開始されてから、流量計によって測定された水量と、圧力計によって測定された水の圧力との比の値が所定の値以上である場合に、フィルタの洗浄が終了される。その結果として、フィルタが洗浄される場合には、フィルタに水が流通する時間が変化する。
【0027】
また、この構成によれば、フィルタの洗浄の終了が、フィルタの詰り具合が解消されたことを示す所定の値に基づいて判定される。つまり、フィルタの汚れが適度に除去されたことが判定される場合に、フィルタの洗浄が終了される。したがって、この構成によれば、確実に必要最低限の水量で効率的に濾材を洗浄することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、比較的簡易な構成によって濾材の汚れ具合を判断することが可能であって、且つ、確実に必要最低限の水量で濾材を洗浄することが可能である浄水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る浄水器の全体を模式的に示す図であって、浄水器が浄水を生成する場合の水の流れを示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る浄水器の制御ブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る浄水器の全体を模式的に示す図であって、浄水器がフィルタを洗浄する場合の水の流れを示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る浄水器の制御を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る浄水器において、流量計によって測定される流量の積算値とフィルタの洗浄時間との関係の一例を示すグラフである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る浄水器の全体を模式的に示す図であって、浄水器が浄水を生成する場合の水の流れを示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る浄水器の制御ブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る浄水器の全体を模式的に示す図であって、浄水器がフィルタを洗浄する場合の水の流れを示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る浄水器の制御を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態に係る浄水器において、流量計によって測定された水量と圧力計によって測定された水の圧力との比と、フィルタの洗浄時間との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(第1実施形態)
図1に本発明の第1実施形態に係る浄水器100を示す。図1に示すように、浄水器100は、流路30とフィルタ槽10と流量計5とを備えている。流路30は、水を流通させるためのものである。浄水器100は、流路30として、流入路31と、流路33,34,35,36,37,38,39とを備えている。流入路31と、流路33,34,35,36,37,38,39とは、例えばホース等の管状部材で形成されている。流入路31の一部と、流路35の一部と、流路39の一部とは、浄水器100の外郭を形成するケースの外方に配置されている。流入路31と流路33と流路34とにより、主流路32が構成されている。
【0032】
浄水器100の使用者が図示しない水道蛇口を開放することにより、原水としての水道水が浄水器100に供給される。ただし、原水は、水道水に限定されず、井戸水、または河川水等であってもよい。
【0033】
フィルタ槽10は、主流路32に配置されている。フィルタ槽10には、フィルタ11が収容されている。フィルタ11は、流路33からフィルタ槽10に流入した水を濾過する。フィルタ11には、除去する対象物によって精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)、ナノ濾過膜(NF膜)、または逆浸透膜(RO膜)等が利用されている。
【0034】
主流路32のうちの流路33は、開口12を介してフィルタ槽10に接続されている。開口12は、フィルタ槽10に形成されている。開口12は、流路33を流れる水をフィルタ槽10に流入させるための流入口としての機能を有している。フィルタ槽10には、開口13と開口14とがさらに形成されている。流路34は、開口13を介してフィルタ槽10に接続されている。また、流路38は、開口14を介してフィルタ槽10に接続されている。
【0035】
主流路32において、流入路31と流路33との間には、電磁弁21が配置されている。流入路31には、接続部61を介して流路36の一端が接続されている。流路36の他端は、電磁弁23に接続されている。また、電磁弁23には、流路37の一端が接続されている。流路37の他端は、接続部62を介して主流路32のうちの流路34に接続されている。流路36と流路37とは、フィルタ11を洗浄するための水を流通させる流路であって、逆洗浄用の流路である。浄水器100がフィルタ11を洗浄する場合には、フィルタ11が水を濾過するときにフィルタ11を流通する方向と逆方向に、水がフィルタ11を流通する。
【0036】
流路34と流路35との間には、電磁弁22が配置されている。一方、流路38は、電磁弁24とフィルタ槽10の開口14との間に延びている。また、電磁弁24には、流路39の一端が接続されている。
【0037】
浄水器100において浄水が生成される場合には、電磁弁21と電磁弁22とが開放され且つ電磁弁23と電磁弁24とが閉塞されている。開口12からフィルタ槽10に流入した水が、フィルタ11によって濾過された後に開口13から流路34に流出する。この場合には、開口13は、浄水の流出口としての機能を有する。流路34に流出した浄水は、電磁弁22を通った後に流路35を流通することによって浄水器100の外部に供給される。
【0038】
流量計5は、主流路32において、接続部61よりも下流側に配置されている。流量計5は、主流路32を流通する水の量つまりフィルタ11を通過する水の流量を測定する。浄水器100は、制御部410を備えている。浄水器100の作動は、制御部410によって制御されている。電磁弁21,22,23,24は、制御部410によって制御されている。
【0039】
図2に示すように、制御部410は、流量検知部41とメモリ42とタイマ43と演算部44と変化量決定部45と電磁弁制御部46とを有している。メモリ42には、浄水器100の作動に必要なデータ等が格納されている。浄水器100の作動に必要な制御に関する判定は、制御部410が判断している。また、制御部410は、判定結果に基づき、浄水器100の作動に必要なデータをメモリ42に記録している。
【0040】
流量検知部41は、流量計5の測定値を検知する。なお、流量検知部41によって検知される流量は、単位時間当たりに主流路32を流れる水の流量である。流量検知部41は、検知した流量の値を演算部44に出力する。
【0041】
演算部44は、流量検知部41が検知した流量計5の測定値に基づいてフィルタ11を通過した水の流量の積算値を算出する。変化量決定部45は、演算部44の演算結果に基づいてフィルタ11の洗浄に係る物理量の変化量を決定する。フィルタ11の洗浄に係る物理量とは、浄水器100がフィルタ11に水を流通させる時間、浄水器100がフィルタ11を流通させる水の量、および、浄水器100がフィルタ11を流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量である。
【0042】
電磁弁制御部46は、電磁弁21,22,23,24を制御する。浄水器100がフィルタ11を洗浄する場合には、電磁弁制御部46は、電磁弁21が主流路32を流れる水の流れを閉塞し、且つ、電磁弁23が流路36と流路37との間を開放するように、少なくとも電磁弁21と電磁弁23とを制御する。また、電磁弁制御部46は、後述するように変化量決定部45が決定した洗浄に係る物理量の変化量に基づき、電磁弁21,22,23,24を制御する。
【0043】
図3に示すように、フィルタ11が逆洗浄される場合には、電磁弁21と電磁弁22とが閉塞され且つ電磁弁23と電磁弁24とが開放されている。フィルタ11が逆洗浄される場合には、流路36と流路37と流路34とを流通する水が、開口13からフィルタ槽10に流入する。この場合には、開口13は、逆洗浄用水の流入口としての機能を有する。フィルタ槽10において、浄水が生成されるときにフィルタ11を流れる方向と逆方向にフィルタ11を流れた水は、開口14から流路38に流出する。流路38に流出した浄水は、電磁弁24を通った後に流路39を流通することによって浄水器100の外部に排出される。
【0044】
浄水器100は、使用者によって操作される洗浄ボタン4(図1参照)を備えている。浄水器100では、使用者が洗浄ボタン4を押下することにより、フィルタ11の洗浄が開始される。洗浄ボタン4が操作された場合には、制御部410は制御信号を受信する。制御部410は、制御信号を受信することに基づき、洗浄ボタン4が操作されたことを判定する。この判定結果に基づき、電磁弁21,22,23,24が電磁弁制御部46(図2参照)に制御される。
【0045】
制御部410は、警告部47を有している。警告部47は、フィルタ11の洗浄が必要である旨を表示部81に表示させる。あるいは、警告部47は、フィルタ11の洗浄が必要である場合に、警音部82に警告音を発生させる。警告部47は、例えば流量検知部41が検出する流量の積算値が所定の値を超える場合に、フィルタ11の洗浄が必要である旨を表示部81に表示させる。表示部81の表示、または、警音部82による警告音への対処として浄水器100の使用者が洗浄ボタン4を押下することにより、フィルタ11の洗浄が開始される。
【0046】
表示部81は、例えば液晶画面によって構成されている。表示部81は、流量の積算値のデジタル値を液晶画面に表示する。また、例えば、表示部81は、フィルタ11の洗浄が必要とされる日時までの残りの日時(または時間)を表示するものであってもよい。さらに、表示部81には、複数の発光体(例えばLED)が用いられていてもよい。複数の発光体のうち、所定の色の発光体が発光することにより、表示部81がフィルタ11の洗浄がまだ不要である旨を表示する。複数の発光体のうち、他の所定の色の発光体が発光することにより、表示部81がフィルタ11の洗浄が必要である旨を表示する。
【0047】
次に、浄水器100においてフィルタ11が洗浄されるときの制御について、フローチャートを用いて説明する。図4に示すように、ステップS101において、洗浄ボタン4(図1参照)が押下されたか否か、つまり、使用者によってフィルタ11(図1参照)の洗浄の開始が指示されたか否かが判定される。ステップS101において洗浄ボタン4が操作されたことが判定される場合には、ステップS102に進む。ステップS101において洗浄ボタン4が操作されていないことが判定される場合には、ステップS106に進む。
【0048】
ステップS106では、浄水が生成されるように、電磁弁21,22,23,24(図1参照)が制御部410によって制御される。ステップS106では、電磁弁21,22が開放され、且つ、電磁弁23,24が閉塞される。これにより、上述したように、流入路31と流路33とを通ってフィルタ槽10に原水が流入する(図1参照)。さらに、フィルタ11によって濾過された浄水は、流路35を通って浄水器100の外部に供給される(図1参照)。
【0049】
ステップS106に続いて、ステップS107では、流量計5によって測定された水の流量が都度積算されることにより、積算流量が都度更新される。ステップS107の後には、ステップS101に戻る。
【0050】
一方、ステップS102では、フィルタ11の濾過量つまり流量計5によって測定された水の流量の積算値に基づいて、フィルタ11が洗浄される場合にフィルタ11に水を流通させる時間(図4には洗浄時間および時間T1と記載されている)が算出される。
【0051】
フィルタ11の濾過量またはフィルタ11の汚れ具合と、洗浄時間との関係は、予め実験によって定められている。フィルタ11の汚れ具合に対応する、フィルタ11が洗浄される場合にフィルタ11に水を流通させる時間は、例えばメモリ42に格納されている。
【0052】
図5は、流量計5によって測定された水の流量の積算値(積算流量)と、フィルタ11が洗浄される場合にフィルタ11に水を流通させる時間(洗浄時間)との関係を示すグラフである。図5に示すように、積算流量と洗浄時間との関係は、単調増加によって示される。洗浄時間は、積算流量の増加に伴って徐々に大きくなる。なお、図5の点線に示すように、洗浄時間は、積算流量に対してステップ状に設定されていてもよい。また、メモリ42は、洗浄時間としての値を、流量計5によって測定された水の流量の積算値に対してマップ状に格納していてもよい。
【0053】
ステップS102に続いて、ステップS103では、フィルタ11(図3参照)が逆洗浄されるように、電磁弁21,22,23,24が制御部410によって制御される。ステップS103では、電磁弁23,24が開放され、且つ、電磁弁21,22が閉塞される。これにより、上述したように、流入路31から流路36に流入した原水は、流路36と流路37と流路34とを通った後に、開口13を介してフィルタ槽10に流入する(図3参照)。さらに、フィルタ槽10において、フィルタ11が逆洗浄されることにより、フィルタ11に付着していた汚染物質が除去される。汚損物質が混入された汚水は、流路38と流路39とを通った後に、浄水器100の外部に排出される(図3参照)。
【0054】
続いて、ステップS104では、フィルタ11の逆洗浄が開始されてから所定の時間T1が経過したか否かが判定される。時間T1を含む浄水器100の作動に必要な時間は、タイマ43が計時している。時間T1は、フィルタ11の逆洗浄の開始から終了までの時間である。また、時間T1は、洗浄に係る物理量の変化量であって、変化量決定部45が決定した時間である。ステップS104において、時間T1が経過していることが判定される場合には、ステップS105に進む。ステップS104において、時間T1が経過していないことが判定される場合には、ステップS104に戻り、フィルタ11の逆洗浄が継続される。
【0055】
ステップS105では、積算流量がリセットされる。このとき、積算流量は、ゼロにリセットされていてもよく、フィルタ11の洗浄が開始された時点の積算流量よりも小さい所定の値にリセットされていてもよい。
【0056】
ステップS105の後には、ステップS101に戻る。
【0057】
上述したように、変化量決定部45は、演算部44の演算結果に基づき、フィルタ11の洗浄に係る物理量の変化量として、フィルタ11を流通する水の量の変化量、または、フィルタ11を流通する水の圧力の変化量を決定していてもよい。フィルタ11の洗浄に係る物理量の変化量として、フィルタ11を流通する水の量の変化量が変化量決定部45によって決定される場合には、ステップS104において、決定された所定の変化量分の水量がフィルタ11を流通したか否かが判定される。なお、フィルタ11の洗浄に係る物理量の変化量として、フィルタ11を流通する水の量の変化量が変化量決定部45によって決定される場合には、接続部61は、主流路32において、流量計5よりも下流側に配置されていることが好ましい。あるいは、流量計5よりも下流側に配置された他の流量計を、浄水器100が備えていてもよい。
【0058】
フィルタ11の洗浄に係る物理量の変化量として、フィルタ11を流通する水の圧力の変化量が変化量決定部45によって決定される場合には、ステップS104において、決定された所定の変化量の水圧がフィルタ11に負荷されているか否かが判定されていてもよい。あるいは、この場合には、所定の変化量分の水量がフィルタ11を流通したか否かが判定されていてもよく、または、フィルタ11の逆洗浄が開始されてから所定の時間T1が経過したか否かが判定されていてもよい。浄水器100において、電磁弁23の開度が調整されることにより、フィルタ11を流通させる水の圧力が変化する。なお、フィルタ11の洗浄に係る物理量の変化量として、フィルタ11を流通する水の圧力の変化量が変化量決定部45によって決定される場合には、浄水器100は、流路36と流路37とを流通する水の圧力を測定する圧力計を備えていることが好ましい。
【0059】
以上のように、浄水器100は、フィルタ11を有するフィルタ槽10と、流路30と、流量計5とを備えている。流路30は、水を流通させるためのものである。フィルタ槽10は、流路30のうちの主流路32に配置され、主流路32を流通する水を濾過する。流量計5は、主流路32を流通する水の量を測定する。また、浄水器100は、フィルタ11を洗浄する場合に、流量計5によって測定された水量の積算値に応じて、フィルタ11に水を流通させる時間、フィルタ11を流通させる水の量、および、フィルタ11を流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を変化させる。
【0060】
浄水器100によれば、流量計5が測定する流量の積算値に基づいて、フィルタ11の汚れ具合を推定することができる。この場合には、主流路32を流通する水の量を測定する流量計5を備えるといった比較的簡易な構成により、フィルタ11の汚れ具合を判断することが可能である。
【0061】
また、浄水器100は、フィルタ11を洗浄する場合には、流量計5によって測定された水量の積算値に応じて、フィルタ11に水を流通させる時間、フィルタ11を流通させる水の量、および、フィルタ11を流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を変化させる。そのため、必要最低限の水量でフィルタ11を洗浄することができる。浄水器100において、各物理量のうち、例えば所定の量の水をフィルタ11に流通させた後には、フィルタ11の洗浄が終了される。このように、浄水器100では、フィルタ11を洗浄した後にフィルタ11から流出した洗浄水の濁度に基づいてフィルタ11の洗浄の終了時期が判断されるものではない。すなわち、フィルタ11を洗浄した後の洗浄水の濁度が一定でない場合であっても、各物理量のうちの例えば所定の水量がフィルタを流通し終わるまで、フィルタ11の洗浄が継続される。このように、浄水器100によれば、確実に必要最低限の水量でフィルタ11を洗浄することが可能である。
【0062】
このようにすることにより、比較的簡易な構成によってフィルタ11の汚れ具合を判断することが可能であって、且つ、確実に必要最低限の水量でフィルタ11を洗浄することが可能である浄水器100を提供することができる。
【0063】
なお、浄水器100において、フィルタ11の洗浄の開始を指示するための構成として、洗浄ボタン4であることに限定されない。フィルタ11の洗浄の開始を指示するための構成としては、ボタンの構成に限定されず、洗浄を開始するための信号を制御部410に送信するように構成されているものであればよい。さらに、フィルタ11の洗浄は、制御部410の制御によって自動的に開始されるものであってもよい。フィルタ11の洗浄は、例えば、流量検知部41が検出する流量の積算値が所定の値を超える場合に、自動的に開始されるものであってもよい。また、例えば、図示しない濁度センサ等の検知部が検出する被浄化対象液体の濁度の値が所定の値を超える場合に、フィルタ11の洗浄が自動的に開始されるものであってもよい。
【0064】
(第2実施形態)
図6に本発明の第2実施形態に係る浄水器200を示す。浄水器200が第1実施形態の浄水器100と異なる点は、図6に示すように、浄水器200が圧力計6を備えていることである。なお、以下において、第1実施形態に係る浄水器100の構成と同様の機能を有する構成には同符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
圧力計6は、流路30のうちの主流路32に配置されている。圧力計6は、主流路32において、フィルタ11が水を濾過するときに水が流れる方向のフィルタ11よりも上流側且つ流量計5よりも下流側に配置されている。圧力計6は、主流路32を流通する水の圧力を測定する。後述するように、浄水器200は、流量計5によって測定された水量と、圧力計6によって測定された水の圧力との比に応じて、つまり、フィルタ11の濾過抵抗に応じて、フィルタ11の詰り具合を推定することができる。
【0066】
浄水器200は、制御部420を備えている。浄水器200の作動は、制御部420によって制御されている。図7に示すように、制御部420は、圧力検知部48と、流量検知部41とメモリ42とタイマ43と演算部44と変化量決定部45と電磁弁制御部46とを有している。制御部420のその他の構成は、第1実施形態に係る浄水器100の制御部410と同様であるとして、説明を省略する。
【0067】
圧力検知部48は、圧力計6の測定値を検知する。圧力検知部48は、検知した主流路32の圧力の値を演算部44に出力する。
【0068】
演算部44は、圧力検知部48が検知した圧力計6の測定値と、流量検知部41が検知した流量計5の測定値とに基づき、フィルタ11に負荷される抵抗として、流量と圧力との比の値を算出する。変化量決定部45は、演算部44の演算結果に基づいてフィルタ11の洗浄に係る物理量の変化量を決定する。フィルタ11の洗浄に係る物理量とは、浄水器200がフィルタ11に水を流通させる時間、浄水器200がフィルタ11を流通させる水の量、および、浄水器200がフィルタ11を流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量である。なお、演算部44は、圧力と流量との比を算出していてもよい。
【0069】
浄水器200において浄水が生成される場合には、電磁弁21と電磁弁22とが開放され且つ電磁弁23と電磁弁24とが閉塞されている。図6に示すように、開口12からフィルタ槽10に流入した水が、フィルタ11によって濾過された後に開口13から流路34に流出する。流路34に流出した浄水は、電磁弁22を通った後に流路35を流通することによって浄水器200の外部に供給される。
【0070】
フィルタ11が逆洗浄される場合には、電磁弁21と電磁弁22とが閉塞され且つ電磁弁23と電磁弁24とが開放されている。図8に示すように、フィルタ11が逆洗浄される場合には、流路36と流路37と流路34とを流通する水が、開口13からフィルタ槽10に流入する。フィルタ槽10において、浄水が生成されるときにフィルタ11を流れる方向と逆方向にフィルタ11を流れた水は、開口14から流路38に流出する。流路38に流出した浄水は、電磁弁24を通った後に流路39を流通することによって浄水器200の外部に排出される。
【0071】
次に、浄水器200においてフィルタ11が洗浄されるときの制御について、フローチャートを用いて説明する。図9に示すステップS201は、図4に示すステップS101と同様のステップである。ステップS201において洗浄ボタン4が操作されたことが判定される場合には、ステップS202に進む。ステップS201において洗浄ボタン4が操作されていないことが判定される場合には、ステップS205に進む。
【0072】
ステップS205では、浄水が生成されるように、電磁弁21,22,23,24(図6参照)が制御部420によって制御される。ステップS205では、電磁弁21,22が開放され、且つ、電磁弁23,24が閉塞される。これにより、上述したように、流入路31と流路33とを通ってフィルタ槽10に原水が流入する(図6参照)。さらに、フィルタ11によって濾過された浄水は、流路35を通って浄水器200の外部に供給される(図6参照)。
【0073】
ステップS205の後には、ステップS201に戻る。
【0074】
一方、ステップS202では、流量計5によって測定された水の流量と、圧力計6によって測定された水圧との比に基づいて、フィルタ11が洗浄される場合にフィルタ11に水を流通させる時間(図9には洗浄時間および時間T2と記載されている)が算出される。
【0075】
フィルタ11の汚れ具合またはフィルタ11の詰り具合を示す流量と水圧との比と、洗浄時間との関係は、予め実験によって定められている。図10は、水の流量と圧力との比(圧力/流量)と、フィルタ11が洗浄される場合にフィルタ11に水を流通させる時間(洗浄時間)との関係を示すグラフである。図10に示すように、(圧力/流量)と洗浄時間との関係は、単調増加によって示される。なお、グラフの横軸が(流量/圧力)である場合には、(流量/圧力)と洗浄時間との関係は、単調減少によって示される。また、メモリ42は、洗浄時間としての値を、算出された圧力/流量に対してマップ状に格納していてもよい。
【0076】
ステップS202に続いて、ステップS203では、フィルタ11(図8参照)が逆洗浄されるように、電磁弁21,22,23,24が制御部410によって制御される。ステップS203では、電磁弁23,24が開放され、且つ、電磁弁21,22が閉塞される。
【0077】
続いて、ステップS204では、フィルタ11の逆洗浄が開始されてから所定の時間T2が経過したか否かが判定される。時間T2を含む浄水器200の作動に必要な時間は、タイマ43が計時している。時間T2は、フィルタ11の逆洗浄の開始から終了までの時間である。また、時間T2は、洗浄に係る物理量の変化量であって、変化量決定部45が決定した時間である。ステップS204において、時間T2が経過していることが判定される場合には、ステップS201に戻る。ステップS204において、時間T2が経過していないことが判定される場合には、ステップS204に戻り、フィルタ11の逆洗浄が継続される。
【0078】
なお、第1実施形態に係る浄水器100と同様に、浄水器200においても、変化量決定部45は、演算部44の演算結果に基づき、フィルタ11の洗浄に係る物理量の変化量として、フィルタ11を流通する水の量の変化量、または、フィルタ11を流通する水の圧力の変化量を決定していてもよい。
【0079】
以上のように、浄水器200は、主流路32に配置された圧力計6を備えている。また、浄水器200は、フィルタ11を洗浄する場合に、流量計5によって測定された水量と、圧力計6によって測定された水の圧力との比に応じて、フィルタ11に水を流通させる時間、フィルタ11を流通させる水の量、および、フィルタ11を流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を変化させる。
【0080】
この構成によれば、流量計5によって測定された水量と、圧力計6によって測定された水の圧力との比に応じて、つまり、フィルタ11の濾過抵抗に応じて、フィルタ11の詰り具合を推定することができる。例えば流量計5が測定する流量の積算値のみを判断に用いる場合には、突発的に濁度の大きい水が主流路32を流れることによってフィルタ11が詰るような事態が発生したときであっても、フィルタ11による水の濾過が継続される。しかしながら、浄水器200の構成によれば、突発的に濁度の大きい水が主流路32を流れることによってフィルタ11が詰るような事態が発生する場合には、フィルタ11の詰り具合つまり汚れ具合に応じて、必要最低限の水量でフィルタ11を洗浄することが可能である。
【0081】
なお、浄水器200において、フィルタ11の洗浄は、流量計5によって測定された水量と、圧力計6によって測定された水圧との比の値が所定の値以上である場合に停止されるものであってもよい。この構成によれば、フィルタ11の洗浄が開始されてから、流量計5によって測定された水量と、圧力計6によって測定された水の圧力との比の値が所定の値以上である場合に、フィルタ11の洗浄が終了される。その結果として、フィルタ11が洗浄される場合には、フィルタ11に水が流通する時間が変化する。
【0082】
また、この構成によれば、フィルタ11の洗浄の終了が、フィルタ11の詰り具合が解消されたことを示す所定の値に基づいて判定される。つまり、フィルタ11の汚れが適度に除去されたことが判定される場合に、フィルタ11の洗浄が終了される。したがって、この構成によれば、確実に必要最低限の水量で効率的にフィルタ11を洗浄することができる。
【0083】
さらに、浄水器200において、演算部44は、逆洗直後の流量の測定値と水圧の測定値とに基づき、(流量/圧力)の値を算出していてもよい。この構成によれば、逆洗によるフィルタ11の詰り具合の解消の度合いを評価することが可能である。
【0084】
なお、フィルタ11の洗浄終了の判定に、流量と圧力との比の値が用いられる場合には、流路36と主流路32とが接続される接続部61は、主流路32において圧力計6よりも下流側に配置されていることが好ましい。あるいは、流路36に配置された他の圧力計と流量計とを、浄水器200が備えていてもよい。
【0085】
(第3実施形態)
以下では、第3実施形態に係る浄水器について説明する。なお、以下において、第1実施形態に係る浄水器100の構成と第2実施形態に係る浄水器200の構成と同様の機能を有する構成には同符号を付し、その説明を省略する。
【0086】
第3実施形態に係る浄水器は、フィルタ11を洗浄する場合に、流量計5によって測定された水量の積算値、および、流量計5によって測定された水量と圧力計6によって測定された水の圧力との比に応じて、フィルタ11に水を流通させる時間、フィルタ11を流通させる水の量、および、フィルタ11を流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を変化させる。
【0087】
この構成によれば、流量計5が測定する流量の積算値に基づいて、フィルタ11の汚れ具合を推定することができ、且つ、流量計5によって測定された水量と、圧力計6によって測定された水の圧力との比(つまり、フィルタの濾過抵抗)に応じて、フィルタ11の詰り具合を推定することができる。そのため、各物理量のうちの例えば水量の所定の変化量を、流量計5が測定する流量の積算値と、フィルタ11の濾過抵抗とに応じて、より詳細に定めることができる。したがって、この構成によれば、より確実に必要最低限の水量でフィルタ11を洗浄することができる。
【0088】
なお、第3実施形態に係る浄水器において、フィルタ11の洗浄は、流量計5によって測定された水量と、圧力計6によって測定された水圧との比の値が所定の値以上である場合に停止されるものであってもよい。
【0089】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0090】
30:流路、32:主流路、10:フィルタ槽、11:フィルタ、5:流量計、6:圧力計、100,200:浄水器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を流通させる流路と、
前記流路に配置され、前記流路を流通する水を濾過するフィルタと、
前記流路を流通する水の量を測定する流量計とを備え、
前記フィルタを洗浄する場合に、前記流量計によって測定された水量の積算値に応じて、前記フィルタに水を流通させる時間、前記フィルタを流通させる水の量、および、前記フィルタを流通させる水の圧力からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を変化させる、浄水器。
【請求項2】
前記流路に配置された圧力計をさらに備え、
前記フィルタを洗浄する場合に、前記流量計によって測定された水量と、前記圧力計によって測定された水の圧力との比に応じて、前記物理量を変化させる、
請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記フィルタを洗浄する場合に、前記流量計によって測定された水量の積算値、および、前記流量計によって測定された水量と前記圧力計によって測定された水の圧力との比に応じて、前記物理量を変化させる、請求項2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記流量計によって測定された水量と、前記圧力計によって測定された水の圧力との比の値が所定の値以上である場合には、前記フィルタの洗浄を停止する、
請求項2または請求項3に記載の浄水器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−22516(P2013−22516A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159707(P2011−159707)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】