説明

浄水式電動ポット

【目的】 浄水通路と揚水通路を有する浄水式電動ポットにおいて、浄水ポンプと揚水ポンプとを一台のポンプで兼用し、その他の構成も簡単にしてコストの低減を図ることである。
【構成】 浄水用と揚水用の兼用のポンプ9を、ケーシング17内にら旋羽根18を可逆回転可能に収納し、上記ケーシング17の両端部にそれぞれ揚水通路13及び浄水通路14を接続した構成とした。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、浄水フィルターを備えた浄水式電動ポットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
浄水フィルターを内蔵した電動ポットは、一般に揚水ポンプと浄水ポンプとを備え、内容器の内部と上記の揚水ポンプと浄水ポンプとを介してそれぞれ連通した揚水通路と浄水通路とを有する。上記の揚水通路は吐出口に接続され、また浄水通路は浄水フィルターに接続される。浄水フィルターの出側は上記の内容器に連通される。
【0003】
上記の浄水式電動ポットは、浄水ポンプを駆動させると、内容器内の水が浄水通路を経て循環され、途中の浄水フィルターにおいて浄化される。湯わかしの後揚水ポンプを駆動させると、浄水通路を経て吐出口から湯が吐出される。
【0004】
その他の従来例として、揚水ポンプと浄水ポンプとを1台のポンプで兼用し、浄水通路と揚水通路とを切替装置により適宜切替えて、浄化したり或いは吐出させたりする構成のものもある。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
前記のように、揚水ポンプと浄水ポンプの2台のポンプを用いるものは1台の場合に比べてコスト高になる問題がある。また、1台のポンプを兼用し、浄水通路と揚水通路とを切替えるようにしたものは、切替装置の弁機構やその操作機構が複雑となり、部品点数の増加、組立工数の増加をもたらし、コスト高の原因となる問題がある。
【0006】
そこで、この考案は1台のポンプを用い、しかも複雑な切替装置を必要としない浄水式電動ポットを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この考案は内容器の内部とポンプを介してそれぞれ連通した揚水通路と浄水通路とを有し、上記揚水通路を吐出口に接続すると共に、浄水通路を浄水フィルターに接続し、該浄水フィルターの出側を上記内容器に連通させてなる浄水式電動ポットにおいて、上記ポンプをケーシング内にら旋羽根を可逆回転可能に収納することにより構成し、上記ケーシングの軸方向の一端に上記揚水通路を接続し、他端に浄水通路を接続した構成としたものである。
【0008】
【作用】
浄水を行う際は、ポンプケーシング内の水が浄水通路の方向に押出される方向にら旋羽根をモータにより駆動する。また湯を吐出させるときは、該モータを上記とは反対に回転させる。
【0009】
【実施例】
図1及び図2に示す実施例の浄水式電動ポットは、内容器1の底面にヒータ2を有し、その内容器1を支持するポット肩体のくちばし部3に安全弁4及び吐出口5が設けられている。また、内容器1を開閉する蓋6の内部に浄水フィルター7が設けられ、その浄水フィルター7の出口は内容器1の上端に開放され連通している。
【0010】
上記の内容器1の下方にモータ8により駆動されるポンプ9が設置され、そのポンプ9の2個所の出口11、12にそれぞれ逆止弁10、10’を介して揚水通路13と浄水通路14とが接続される。揚水通路13の上端は前記の安全弁4の入側に接続される。また、浄水通路14の上端部分は、内容器1の上端部周壁から内容器1の内部に貫入され、更に上向きに屈曲されて内容器1の上方で開放されている。浄水通路14の上端は、浄水フィルター7の入側管16と対向しており蓋6が閉められると、両者は水密状態に突き合う。
【0011】
ポンプ9は図2に示すように、先端閉塞の円筒形ケーシング17を横向きに設置し、その内部にら旋羽根18を回転自在に収納し、そのら旋羽根18の水平の回転軸19を可逆モータ8の回転軸に連結している。ケーシング17の入口21はケーシング17の中央部に設けられ、一つの出口11はケーシング17の前端部分に設けられる。その出口11に前述に揚水通路13の下端が接続される。また、ケーシング17の後端部分にもう一つの出口12が設けられ、その出口12に前述の浄水通路14の下端が接続される。
【0012】
図示の場合、モータ8を正回転させるとら旋羽根18は、ケーシング17内の水又は湯を前端側の出口11から揚水通路13に押出す。また、モータ8を逆回転させると、逆に後端側の出口12から浄水通路14に押出す。逆止弁10、10’は、これらの場合において水の逆流を防止する。
【0013】
実施例の浄水式電動ポットは以上のごときものであり、ヒータ2への通電とは別にモータ8に通電してこれを逆回転させると、ポンプ9のら旋羽根18が逆回転して浄水通路19に内容器1内の水を押出す。その水は浄水フィルター7を通過することにより浄化されて内容器1に戻る。モータ8の回転は浄水に必要な時間の経過後自動的に停止される。
【0014】
湯わかしの完了後、湯の吐出ボタンを操作するとモータ8が正回転し、ポンプ9のら旋羽根18が湯を揚水通路13から安全弁4を経て吐出口5から吐出させる。
【0015】
【考案の効果】
以上のように、この考案は浄水用ポンプと揚水用ポンプが1台のポンプで兼用でき、モータの回転を正逆いずれかに制御するだけで、浄水と吐出を切替えることができるので、機構が簡単であり、組立も容易となるので、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の一部を示す概略断面図
【図2】同上の一部拡大断面図
【符号の説明】
1 内容器
2 ヒータ
3 くちばし部
4 安全弁
5 吐出口
6 蓋
7 浄水フィルター
8 モータ
9 ポンプ
11、12 出口
13 揚水通路
14 浄水通路
16 入側管
17 ケーシング
18 ら旋羽根
19 回転軸
21 入口

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 内容器の内部とポンプを介してそれぞれ連通した揚水通路と浄水通路とを有し、上記揚水通路を吐出口に接続すると共に、浄水通路を浄水フィルターに接続し、該浄水フィルターの出側を上記内容器に連通させてなる浄水式電動ポットにおいて、上記ポンプをケーシング内にら旋羽根を可逆回転可能に収納することにより構成し、上記ケーシングの軸方向の一端に上記揚水通路を接続し、他端に浄水通路を接続したことを特徴とする浄水式電動ポット。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate