説明

浄水整水装置

【課題】水を浄化した上に、さらなる機能を付加した整水を容易に調製できる浄水整水装置を提供する。
【解決手段】閉鎖された底面と、側壁面を有し、一端が開放された筒形状の本体と、本体の内部にあって、少なくとも外側から不織布層、活性炭濾過層、焼成セラミックス層、複数の孔が穿設された芯材とで構成された浄化フィルターと、浄化フィルターの空洞部に収容される整水剤と、整水剤が流れ出ない孔を持ったネットと、本体と浄化フィルターの間に連通する処理前の水が取り込まれる流入口と、ネットの閉鎖部とを連通する処理された水を流出する流出口を備えた上蓋部材とで構成されて、流入口より流入した水が、本体と浄化フィルターの間から浄化フィルターを通過し、更に浄化フィルター内部で水流で攪拌される整水剤と接触した後、ネットの開放部から流出口に流通することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水整水装置に係り、より詳しくは、水を浄化した上に、さらなる機能を追加する浄水整水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康志向が高まる中、水に対する不安も手伝って、家庭用の浄水器は一般家庭に普及していった。浄水器導入の初期の目的は水道水の消毒のために添加された次亜塩素酸等の塩素系薬品の臭気、所謂カルキ臭の除去が目的であった。このため、浄化の方法は活性炭による濾過が中心であった。最近では、活性炭以外にも、中空糸膜を用いたものがあり、また両者を併用したものもある。なお、これらの浄水器や濾過材は水道水の混入物を除去する浄化作用を有しているが、水の性質を整える作用は無い。
【0003】
最近では,さらなる品質向上をもとめて、様々な機能を付加した家庭用の浄水装置が販売されるようになってきた。中でも、水質を整える作用(以下、「整水作用」と記す)を有する機能を付加するものが注目を集めている。
ここで水の機能とは、日本機能水学会が認める科学的根拠のあるものの他、企業が機能水と呼んでいるものも含めるものとする。
【0004】
出願人は、家庭で利用する水の全てを浄水・整水できるキャパシティのある装置として、活性炭濾過材の他に珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、及びスカンジウムを含む化合物が焼成された機能性セラミックス濾過材で構成された「浄水装置」を開発し特許権を取得している(特許文献1参照)。
出願人は、更に、この「浄水装置」を改良し、水圧を低下させずに水流を起こして浄水整水後の水を送出する構造の浄水整水装置を開発し特許出願をした(特許文献2参照)。この改良された「浄水整水装置」は、水道水が取り込まれる流入口と浄水された水を流出する流出口を備えた筒型の本体と、本体内部に設置される円筒形状のフィルターとからなり、このフィルターは、水を濾過させる層が不織布層と、細粒ヤシガラ活性炭層及び/又は繊維状活性炭層と、焼成セラミックス層と、複数の孔が穿設された芯材と、からなる構造のものである。
【0005】
特許文献1及び2に記載の装置は、水道水を活性炭により浄化した後、機能性セラミックス濾過材を通過させることにより、セラミックスの遠赤外線効果により水のクラスターを小さくする機能を有しており、所謂セラミック処理水を提供するものである。これら装置では円筒形のフィルターに活性炭濾過層と焼成セラミックス層が組み込まれているため、さらなる機能の追加には円筒形フィルターの構成を変更する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3882057号公報
【特許文献2】特開2009−45531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、水を浄化した上に、さらなる機能を付加した整水を容易に調製できる浄水整水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の浄水整水装置は、閉鎖された底面と、側壁面を有し、一端が開放された筒形状の本体と、筒形状で、少なくとも外側から不織布層、活性炭濾過層、焼成セラミックス層、複数の孔が穿設された芯材とで構成され、本体の内部にあって、閉鎖された筒形状の一端平面が、本体の底面と面し、筒形状の外周面が本体の側壁面との間に間隙を設けて設置された浄化フィルターと、浄化フィルターの空洞部に、収容された整水剤と、一端が閉鎖部となり、他端が開放部となる袋形状で、閉鎖部が浄化フィルターの内部にあり、少なくとも整水剤が流れ出ない孔を持ったネットと、本体、浄化フィルター及びネットを固定すると共に、本体と浄化フィルターの間に連通する処理前の水が取り込まれる流入口と、ネットの閉鎖部とを連通する処理された水を流出する流出口を備えた上蓋部材とで構成されて、流入口より流入した水が、本体と浄化フィルターの間から、浄化フィルターを通過し、更に浄化フィルター内部で水流で攪拌される整水剤と接触した後、ネットの開放部から流出口に流通することを特徴とする。
【0009】
本発明の浄水整水装置の芯材に設けられる孔は、ハニカム構造に形成され、芯材に設けられた孔から浄化フィルターの空洞部に流入した水流によって整水剤が、上下方向の旋回を含む攪拌を受けることが好ましい。
本発明の浄水整水装置のネットが、ネットの形状を保持するためのネット形状保持部材を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の浄水整水装置は、浄化フィルターとネットの間に収納する整水剤を選択することで、所望の機能を有する整水を容易に得ることができる。
本発明の浄水整水装置の芯材に設けられた孔から空洞部に流入した水流によって整水剤が、激しい攪拌を受けるため、整水剤の整水作用を十分に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る浄水整水装置の一構成例を示す部分断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の浄化フィルターにネットを装着したときの部分断面側面図である。
【図3】本発明の実施1に係るネットを装着した浄化フィルター内のイメージ図である。
【図4】本発明の実施2に係るネットを装着した浄化フィルター内のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による浄水整水装置は、筒形状の本体と、本体の内部にあって、水を浄化する浄化フィルターと、浄化フィルターの空洞部に収納され、浄化され整えられた水に更に機能を追加する整水剤と、整水剤の流亡を防止するネットと、本体の開放された上面を閉鎖し、本体、浄化フィルター及びネットを固定すると共に、本体と浄化フィルターの間に連通する処理前の水が取り込まれる流入口と、ネットの閉鎖部に連通し処理された水を流出する流出口を備えた上蓋部材とで構成される。
ここで整水とは、水に人工的に有用な機能を付加したものに水質を整えたものをいう。
【0013】
本発明における浄水整水装置の本体の形状に特に制限はなく、内部に水を浄化整水する装置を設置する空間と、処理前の水を取入れ浄水フィルターの外周面から内部に浸透させ、中心部から処理した水を取り出すことができるよう、流入口と流出口とを除き密閉することができる容器であればよい。
本体を設置したときの処理容量に対する専有面積と設置の安定性を考慮すると、浄水整水装置の本体は少なくとも一端部が閉鎖された筒型の形状のものが好ましく、円筒状の本体がより好ましい。円筒形の浄水整水装置は、閉鎖された平面を底面として接地して使用されることが好ましい。本明細書では本体の閉鎖された平面を底面にして設置された場合を基として上下方向を表す。
浄水整水装置の本体の材質にも密閉状態で水圧に耐えられるものであれば特に制限はなく、金属製、プラスチック製等の容器が利用できる。
【0014】
本体の内部には、本体の内部側壁面との間に間隙ができるように浄化フィルターが設置される。浄化フィルターの形状に制限はないが、筒型の本体内部には筒形状の浄化フィルターが設置されることが好ましく、円筒型本体には円筒状の浄化フィルターが設置されることがより好ましい。浄化フィルターは本体の側壁面との間に空間ができるように,円筒状の平面の一つを本体の底面中央に接触して設置されるのがよい。浄化フィルターは、水道水を始めとする供給水を浸透・透過させて供給水から固形の混在物及び水に溶解している不純物等を濾過して除去する部材であり、浄化整水装置の本体に流入した供給水は、浄化フィルターの外周面から浸透し、中心の空洞部に侵出する。
【0015】
浄化フィルターには、処理前の水を漏らすことなく浄化フィルターの外周面から浸透させ確実に浄化フィルターを通過させるために、円筒状の浄化フィルターの上下の面を閉鎖することが好ましい。浄化フィルターの上下の面を閉鎖する手段に特に制限はないが、浄化フィルターの上下断面を覆う円盤状の板形状のものを密着するか、又は、ペトリ皿形状構造のもので浄化フィルターの上下の面を覆い、円筒状の外周面の一部に嵌合固定してもよい。この閉鎖部材は、金属又はプラスチックの成形品が好ましく利用できる。浄化フィルターの下面を閉鎖する底板部材は、浄化フィルターの下面の全部を閉鎖する。浄化フィルターの上面を閉鎖する天板部材の中央部には処理された水を流出させるための円形孔が設けられる。
【0016】
円筒状の浄化フィルターは同心円状に積層された複数の透過層からなることが好ましく、少なくとも外側から不織布層、活性炭濾過層、焼成セラミックス層及び芯材とで構成されることがより好ましい。
浄化フィルターの外周面は第1層である不織布層で覆われる。不織布層は処理前の水に混入した粗いゴミを濾過すると同時に、浄化フィルターの形状を維持する。
【0017】
浄化フィルターの第2層は活性炭濾過層であることが好ましい。活性炭としては木、竹、椰子殻、胡桃殻等の植物由来のもののほか、石炭質、石油質などから製造した活性炭が使用できる。中でも、植物由来の多孔質粒状活性炭と、石油質から製造した繊維状活性炭が好ましく使用でき、細粒ヤシガラ活性炭、粉末活性炭及び繊維状活性炭がより好ましく使用できる。
これらの活性炭は単独又は混合して使用することができる。これらの活性炭にはイオン交換繊維を配合することができる。イオン交換繊維は、水に溶解した鉛を効率よく除去することができる。これらの活性炭には、更に、銀イオン又はゼオライト等を配合することもでき、銀イオン又はゼオライト等を配合した活性炭を活性炭濾過層として使用することもできる。銀イオンは、一般細菌類の繁殖を抑制する効果を有し、ゼオライトは水を軟質化する効果を有する。
活性炭濾過層を成形するためにバインダーを加えてもよい。
【0018】
浄化フィルターの第3層は、焼成セラミックス層であることが好ましい。焼成セラミックス層は粉体の機能性セラミックス濾過材を、プラスチック等と混合して、円筒形状に成形したものを好ましく利用できるが、この製法に限定されるものではない。
機能性セラミックス濾過材は、珪素を主成分に、アルミニウムを含む化合物が焼成された機能性セラミックス濾過材であれば、特に制限はないが、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガンを含む化合物を焼成させた機能性セラミック濾過材であることが好ましく、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、及びスカンジウムを含む化合物が焼成された機能性セラミックス濾過材であることがより好ましい。
機能性セラミックス濾過材との混連に使用できるプラスチックとしては、機能性セラミックス濾過材と混連ができ、円筒形状に成形できるものであれば、特に制限はないが、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリ乳酸が好ましく使用できる。
機能性セラミックス層は、一般的な濾過効果に加え、整水機能を有する。
【0019】
浄化フィルターの最も内側の層(第4層)は、芯材であることが好ましい。芯材はプラスチック製又は機能性セラミックス濾過材を混入したプラスチック製の円筒構造物であり、その内側面には複数のハニカム形状の孔が穿設される。そのハニカム形状の孔が円筒形状の芯材断面の直径に対し傾斜して穿設されることが好ましい。ここで、ハニカム形状とは正六角柱に限定せず、三角柱、四角柱、六角柱を含む柱状物隙間なく並べた構造をいう。
芯材に使用されるプラスチックはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸から選ばれる1種であることが好ましい。
【0020】
浄化フィルターの芯材は、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリ乳酸から選ばれる1種のシート又は機能性セラミックス濾過材を混入したポリプロピレン又はポリエチレン又はポリ乳酸のシートにハニカム形状の歯形を有する切削工具を用いて孔を穿設した後、曲げ加工を施し、円筒形に成形してもよく、或いは、ポリプロピレン又はポリエチレン又はポリ乳酸を円筒形状に成形した成型品の内側面にハニカム状の切削加工を施したものでよく、又は機能性セラミックス濾過材粉末とポリプロピレン又はポリエチレン又はポリ乳酸を混練し円筒形状に成形した成型品の内側面にハニカム状の切削加工を施したものでよい。更に、芯材は、上記の焼成セラミックス層と一体に成形された円筒形状の成型品の内側面にハニカム状の切削加工を施したものものであってよい。
【0021】
プラスチック製のシート又は上記の機能性セラミックス濾過材粉末を混入したポリプロピレン又はポリエチレン又はポリ乳酸のシートにハニカム状の孔を穿設する際、又は、射出成形した円筒形の成型品の内側面にハニカム状の切削加工を施す際に、穿設又は切削加工された孔が円筒状芯材の直径に対し傾きを持つことがよい。穿孔の方向に特に制限はなく、上下左右の又はその中間のいずれでもよいが、芯材の内側面を複数のエリアに分け、1つのエリア内では同一方向に傾斜して穿設されることが好ましい。一つのエリアで同一方向に穿孔が設けられることにより、一定方向の水流を起こすことができる。
【0022】
エリアの数は、浄化フィルターの大きさにもよるが、一般家庭で使用する容量2〜10リットル程度の浄水整水装置用のものであれば、2〜20であることが好ましく、通常4〜16程度である。エリアの数が1つでは1方向の渦巻きが起きるだけであり、21以上では水流が衝突して勢いを相殺してしまうため激しい攪拌が起こらない恐れがある。
エリア内の穿孔の数は、浄化フィルターの大きさにもよるが、一般家庭で使用する容量2〜10リットル程度の浄水整水装置用のものであれば、50〜2000個が好ましく、100〜1000がより好ましい。穿孔の数が50個未満では空洞部に流入する水量が不足し、2000個を超えると流入する水の流速が遅くなって、いずれの場合も激しい攪拌が起こらない恐れがある。
【0023】
ハニカム状の1つの孔の大きさは、浄化フィルターの大きさにもよるが、一般家庭で使用する容量2〜10リットル程度の浄水整水装置用のものであれば、対角線の長さが1〜5mmが好ましく、2〜4mmであることがより好ましい。穿孔の大きさが小さくなると空洞部に流入する水量が不足し、大きすぎると流入する水の流速が遅くなって、いずれの場合も激しい攪拌が起こらない恐れがある。
単位面積当りの穿孔の数は、浄化フィルターの大きさにもよるが、一般家庭で使用する容量2〜10リットル程度の浄水整水装置用のものであれば、100cm当りに100〜1000個が好ましく、300〜700個がより好ましい。100/100cm未満の穿孔の数ではまとまりのある水流が得られず激しい攪拌が起こらない恐れがある。また、1001/100cm以上の穿孔の数ではハニカム構造を形成する壁の厚みが薄くなり強度上問題が起きる恐れがある。
芯材に設けられた穿孔の傾斜角に特に制限はないが、芯材の直径方向に対し60°以下であることが好ましく、通常30〜45°である。
【0024】
芯材に設けられた穿孔は、円筒の直径方向に対して上下左右方向のいずれかに傾斜したハニカム構造であるため、芯材に設けられた孔から浄化フィルターの空洞部に流入した水流によって空洞部に収納された固形の整水剤が、上下方向及び/又は左右方向の旋回を含む攪拌を受ける。この激しい攪拌により、整水剤の機能を引き出すことができる。またこの激しい攪拌によって整水剤は、空洞部の側壁、底面等と衝突をするだけでなく、整水剤同士の衝突も起こる。衝突によって電気を発生するトルマリンに代表される圧電体の効果を引き出すために本発明の装置は特に効果がある。
【0025】
本発明の浄水整水装置に収納する整水剤は、マイナスイオン水、硬度調整水(硬水又は軟水)及び活性水から選ばれる1つ以上の水に調整するものであることが好ましい。
マイナスイオン水を発生させる整水剤としては、圧力を加えると、圧力に応じた表面電荷が出現する圧電体を挙げることができる。圧電体の例としては、水晶、酸化亜鉛、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)、チタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、リチウムテトラボレート、ランガサイト、窒化アルミニウム、トルマリン(電気石)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を例示することができる。中でも、トルマリン(電気石)をマイナスイオン水の整水剤として好ましく使用することができる。
また、医王石(戸室石)もマイナスイオン水を発生させる整水剤として好ましく使用することができる。
【0026】
硬度調整水の硬水を調製する整水剤としては、カルシウム及び/又はマグネシウムを水中に溶出できる固形物であれば人工合成物及び天然物のいずれも使用することができるが、カルシウムを含む天然鉱物として方解石、霰石、珪灰石等を、マグネシウムを含む天然鉱石としては、黒曜石、菱苦土石、水苦土石、滑石等を、カルシウムとマグネシウムを含む天然鉱石としては、苦灰石、麦飯石等を例示することができる。中でも、黒曜石、麦飯石、霰石、石膏、方解石、菱苦土石、苦灰石、滑石を好ましく使用することができる。
浄化フィルターの焼成セラミックス層を通過することによりクラスターが小さくなった水にカルシウムが溶解すると、溶解したカルシウムイオンが水分子の間に入り込み,水のクラスターが再び大きくなることを阻害する。このため、浄水整水装置で調製したセラミック処理水のクラスターの小さい状態が長続きする整水を調製することができる。
硬度調整水の軟水を調製する整水剤としては、ゼオライトが好ましく使用することができる。ゼオライトは、水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンをゼオライト中のナトリウムイオンと置きかえることで水の硬度を下げることができる。
【0027】
活性水を調整する整水剤としては、主に豊光石、ブラックシリカ、神天石を好ましく使用することができる。その他、湯浴用としては、ゲルマニウム鉱石、ラジウム鉱石、ゲルマニウムセラミックボールを用いることも可能であり、これらの整水は、血行促進、疲労回復、新陳代謝の向上等の温浴効果を得ることができる。
【0028】
整水剤の粒径は、浄化フィルターの大きさ、浸出する単位時間当りの水量にもよるが、一般家庭で使用する容量2〜10リットル程度の浄水整水装置用のものであれば、0.3〜5mmものが好ましく、1〜3mmのものがより好ましい。粒径が0.3mm以下では、整水剤の流失を防止するネットの目開きを小さくする必要があり、処理済みの水の流れが悪くなる恐れがある。粒径が5mm以上の整水剤は一つ一つの粒子の重量が増大し、芯材から流入してくる水流で十分に攪拌されず整水作用を発揮できない恐れがある。
【0029】
浄水フィルターの空洞部に収納する整水剤は一種又は二種以上を混合して使用することができる。
浄水フィルターの空洞部に収納する整水剤の量は、浄化フィルターの大きさにもよるが、一般家庭で使用する容量2〜10リットル程度の浄水整水装置用のものであれば、整水剤を合計したみかけ容量が、浄化フィルターの空洞部の空間容積の1/20〜1/3であることが好ましく、1/10〜1/5であることがより好ましい。整水剤を合計したみかけ容量が、空洞部の空間容積の1/20以下であると、整水剤の整水作用が十分得られない恐れが有り、1/3以上になると、整水剤が堆積し、芯材から流入してくる水流で十分に攪拌されない恐れがある。
【0030】
整水剤が収納される空洞部の一端は、底板部材により閉鎖されており、他端は開放されて流水口に連通される。空洞部の開放された端部には整水剤の流亡を防止するためのネットが設置される。ネットは、一端が閉鎖部となり、他端が開放部となる袋形状で、少なくとも整水剤が流れ出ない孔を有する。ネットの閉鎖部は浄化フィルターの内部にあり、空洞部内壁面との間に間隙ができるように設置される。ネットの開放部は天板部材の中心の円形孔の周縁部一帯に固定される。
ネットの形状に特に制限はなく、整水剤の流失を防止する孔を有し、水の流れを確保するために濾過面積が広く取れる形状であればよい。例えば、円錐の底面が開放されて流出口側に固定される円錐形状、円錐台の底面が開放されて流出口側に固定され頂面が閉じられた円錐台形状、円柱の一端が開放されて流出口側に固定され他端が円板で閉鎖された円柱形状、及び円柱の一端が開放されて流出口側に固定され他端が同一半径を持つ半球で閉じられた円柱形状等を例示することができる。
【0031】
ネットは、金網、プラスチック製のメッシュシート及び布から選ばれる1種又は2種以上から製造される濾過部材である。
金網の材料としては、銀、鉄、銅、錫、亜鉛、ニッケル、アルミニウム又はこれらの合金を挙げることができる。具体的にはステンレス、真鍮、銅、鉄、亜鉛引鉄線、ニッケル、アルミニウムの金網又はこれら金網をプラスチックで被覆したものが好ましく使用できる。
プラスチックメッシュシートの材料としては、特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アセタール、PTFEのメッシュシートが好ましく使用できる。
また、ネットは植物由来、石油由来の布又は不織布であってもよい。
ネットに使用される濾過部材は、浄化フィルターの大きさにもよるが、一般家庭で使用する容量2〜10リットル程度の浄水整水装置用のものであれば、目開きが0.05mm〜3mmの範囲であることが好ましく、0.1〜1mmのものがより好ましい。濾過部材の目開きが0.05mm以下では、処理済みの水の流れが悪くなる恐れがある。また、3mm以上では整水剤が流失する恐れがある。
ネットに使用される濾過部材の目開きは、使用する整水剤の粒子の大きさにより適宜選択されることが好ましい。
【0032】
ネットは、処理済みの水の流れを確保するために濾過面積を広くすることが好ましい。このためネットは、浄水フィルターの空洞部に、整水剤が攪拌される一定の空間を確保しつつ、濾過面積を広く確保するために空洞部の一定空間を専有するように張り出して設置される。空洞部の流出口側の端に固定されるネットの長さは、浄化フィルターの長さの1/3〜2/3であることが好ましい。ネットの長さが、浄化フィルターの長さの1/3以下になると、ネットの濾過面積が十分に確保することができず、処理済みの水の流れが悪くなる恐れがある。一方、ネットの長さが、浄化フィルターの長さの2/3以上になると、整水剤が攪拌される空間が十分に確保されなくなり、整水剤の整水作用が十分発揮されない恐れがある。
【0033】
ネットは、ネットの開放された一端を、天板部材の中央の円形孔の周縁に直接接着されて固定されるか、又は、ネットの開放された一端に形成された環形状の係止部を天板部材の中央の円形孔に係合して固定される。環形状の係止部は、ネットと一体に成形されたもの、別体の部材を環形状に加工したもの、又は、ネットと環形状の弾性部材とを接着、融着、圧着等の手段で結合したものでもよい。環形状の係止部は、天板部材に接着剤で接着されて固定されるか、又は、天板部材の円形孔周囲に係止され、天板部材と天板部材を覆うキャップ部材の間で挟持されることにより固定される。
環形状の弾性部材の材質に特に制限はないが、例えば、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、水素化ニトリルゴム、クロロプロピレンゴム、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム等のゴム類の他、PTFE、クロロスルフォン化ポリエチレン等を挙げることができる。
また、ネットの開放された一端が接着により補綴される場合、使用される接着剤に特に制限はないが、通常、シリコーン系接着剤が使用される。
【0034】
ネットには、水流によってネットが変形して濾過面積が縮小しないように、ネットの形状を保持するためのネット形状保持部材を更に備えることが好ましい。ネット形状保持部材は、天板部材及び/又はキャップ部材に固定され、流出口側からネットを支持し、処理水の水流によってネットが流出口側に押し流され変形することを阻止する。ネットの形状を保持できるものであれば、ネット形状保持部材の材質及び形状に特に制限はない。例えば、金属の線材を編んで所定形状に組上げたもの、金属の線材を螺旋状に成形し所定形状にしたもの、金属又はプラスチックの板材が螺旋状になるようにひねりを加え所定形状に成形したもの、スリットを有する2枚の金属又はプラスチックの板を上下方向から組合せて一体化し所定形状にしたもの等を例示することができる。
【0035】
ネット形状保持材の一端はネットの形状を維持し、他端は、天板部材に固着され、又は天板部材とキャップ部材とに挟持されて固定される。また、ネット形状保持部材は、ネットと接着、融着、圧着等の手段で一体化し、ネットの係止部が天板部材に接着、又は天板部材とキャップ部材とに挟持されて固定されてもよい。
キャップ部材は天板部材の上部から浄水フィルターを覆い、その中心部においてネットの開放部から流出する処理された水を集め流出口に繋ぐための接続部材を結合する。キャップ部材は、金属又はプラスチックの成形品であり周縁部には、浄化フィルターの側面の一部に嵌合するための嵌合帯を有し、中心部の孔の周縁部には、流出口から伸長してくる管と接続する接続部材を接合する。
【0036】
浄水フィルター、整水剤、ネット、底板部材、天板部材がセットされた浄水整水装置の本体には、処理前の水が取り込まれる流入口と処理された水を流出する流出口を有する上蓋部材が接合される。上蓋部材の形状に制限はなく、本体と接合して、流入口と流出口を除く部分で本体内部を密閉できるものであればよい。例えば、筒形状本体の開放部と同じ形状の開放部を有する一端部が閉鎖された筒形状、円錐形状、半球形状等の上蓋部材を、筒形状の本体上面に相対して、嵌合、螺合、圧接等の手段により接合される。
流入口の設置位置に特に制限はなく、本体の側壁面と浄化フィルターの外周面との間に処理前の水を流入できる位置であればよい。例えば、流入口は上蓋部材の側面又は天井部に備えられる。更に、流入口は筒形状の本体の側面であってもよい。流入口より流入した処理前の水は、本体側壁面と浄化フィルターの外周面との間に導かれる。
【0037】
流入口の形状や大きさに特に制限はないが、一般家庭で使用される浄水整水装置の場合、流入口は、水道管又はその他水源に結合されるため、水道管と同一又は近似した内径又は外径を有する円管が好ましく、通常、外径が20〜25mm程度である。流入口は、本体の側面又は上蓋部材を貫通して浄水整水装置の外面に突出して設けることができる。流入口の材質は、水圧に耐えるものであれば特に制限はなく、金属製やプラスチック製の円管が広く利用できる。流入口の本体又は上蓋部材への取付け方法は通常の結合手段が利用できる。
【0038】
更に、上蓋部材には、処理された水を流出する流出口が設置される。処理された水は浄化ギルターの上部中心に設置されたネットの開放部から流出するため、キャップ部材に流出口と接続する接続部材が設けられる。接続部材の一方は螺合、嵌合、溶着、接着等の通常の方法により、キャップ部材と結合され、他方は、螺合、嵌合、溶着、接着等の通常の方法により、流出口に繋がる管と接合される。流出口が円管の場合、接続部材も円管であることがよく、整水剤の交換等を行なう場合を考慮すると、螺合や嵌合等の手段により取外し可能な構造であることが好ましい。流出口から接続部材までの管の長さと形状を変えることにより、流出口は上蓋部材の任意の位置に設けることができる。
【0039】
流出口の形状に特に制限はないが、処理された水の多くは、一般家庭の水回りで使用されるため、水回り器具と連結可能な内径又は外径を有する円管であることがよく、通常、外径20〜25mm程度の円管である。流出口の一端は、上蓋部材の一部を貫通して外面に突出して設けられ、他端は本体の中心線まで伸長され、接続部材に連結される。
流出口の材質にも特に制限はなく、金属製やプラスチック製の円管が広く利用できる。流出口と上蓋部材との結合方法に特に制限はなく通常行なわれる結合手段が利用できる。
【0040】
図1は、本発明の浄水整水装置の一構成例を示す部分断面図である。
本発明の実施の形態によると、浄水整水装置1は、ステンレスを加工して一端部が閉鎖された円筒形状に加工した本体2の閉鎖された底面を接地面として垂直に設置された。
本体2の内部には、本体2の側壁面との間に間隙ができるように浄化フィルター5が設置された。浄化フィルター5は、円筒形状であり、平面の一端が本体2の底面に接するように設置された。
円筒状の浄化フィルター5の本体2と接する平面(以下、下面と称す)には、浄化フィルター5の下面を閉鎖する底板部材6が備えられ、底板部材6が本体2の閉鎖面と面するように設置された。底板部材6はペトリ皿形状で、浄化フィルター5の下面を覆う円板と、円筒状の浄化フィルター5の外周面の一部に嵌合する嵌合帯7’とからなるプラスチックの成形品であった。浄化フィルター5の他端平面(以下、上面と称す)には天板部材8が設置された。天板部材8はプラスチック製のドーナッツ状円板で、中央部に処理された水を流出させ、またネット30及びネット形状保持部材50を係止する円形孔9が設けられた。
【0041】
円筒状の浄化フィルター5は同心円状に積層された4層の透過層からなり、外側から不織布層11、活性炭濾過層13、焼成セラミックス層15及び芯材17で構成される。
浄化フィルター5の外層第1層は不織布層11であり、第2層は活性炭濾過層13であった。活性炭濾過層13は、細粒ヤシガラ活性炭、粉末活性炭及び繊維状活性炭にイオン交換繊維とゼオライトを配合し、プラスチックのバインダーを加えて成形したものが使用された。
第3層の焼成セラミックス層15は、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、及びスカンジウムを含む化合物が焼成された機能性セラミックス濾過材を粉体に加工し、プラスチックと混合して、円筒形状に成形したものであり、活性炭濾過層13の内側に嵌合された。
浄化フィルター5の第4層は、芯材17であり、複数のハニカム形状の孔がシート面の垂直線に対し傾斜して穿設されたプラスチックシートに曲げ加工を施して円筒形とし、焼成セラミックス層15の内側に嵌合された。
【0042】
芯材17に側面を囲まれた空洞部19には、整水機能を付与するための、整水剤20が収納された。
芯材17に設けられたハニカム状の穿孔は、円筒形状の芯材断面の直径方向に対して上下左右方向のいずれかに傾斜した構造であるため、芯材17に設けられた孔から浄化フィルター5の空洞部19に流入した水流によって空洞部19に収納された固形の整水剤20が、上下方向の旋回を含む攪拌を受ける。この激しい攪拌により、整水剤20の機能を効率よく引き出すことができる。
【0043】
浄化フィルター5の空洞部19の下端は、底板部材6により閉鎖され、他端は開放されて、天板部材8が設置された。天板部材8の中心に設けられた円形孔9より、空洞部19の空間に整水機能を付与する整水剤20が収納され、次いで、一端が閉鎖部となり、他端が開放部となる袋形状のネット30が、ネット30の閉鎖部が空洞部19の内部に有るように設置された。ネット30は少なくとも整水剤20が流れ出ない大きさの孔を有していた。
【0044】
本発明の実施の形態によると、ネット30はステンレス金網で製造した円錐台形状であり、開放された円錐台底面側の縁部には天板部材8に係止される係止部38有していた。ネット30の閉鎖部は、天板部材8の中心部に設けられた円形孔9に流出口側より挿入された。ネット30の係止部38は、天板部材8の円形孔9に係止された。更に、ネット30の開放部よりネット形状保持部材50が挿入された。ネット形状保持部材50は、ステンレスの線材の一端をネット30の袋状の形状に合せ螺旋形状に成形され、他端はネット30の係止部38の外周を一周するリング形状に成形され、係止部38の外周位置で天板部材8に係止された。中心に接続部材45を連結したキャップ部材40が天板部材8を被覆し浄化フィルター5に嵌合固定されると、天板部材8とキャップ部材40との間にネット30の係止部38とネット保持部材50の一端が挟持された。
【0045】
本発明の他の実施の形態によると、ネット30’はプラスチックメッシュシートを加工した先端が半球状に閉じられた円柱形状のネット30’であった。プラスチック製のネット30’には特に係止部38を設けず、ネット30’の開放部を天板部材8の円形孔9の周囲を一周するように接着剤で接着された。ネット形状保持材50’は、ステンレス線材の一端をネット30’の形状に合せて加工し、他端をリング状に成型した。ネット形状保持部材50’のリング状部材は、ネット30’の開放部とともに天板部材8の上面にシリコーン系接着剤で接着された。天板部材8の外側からは天板部材8を被覆するようにキャップ部材40が嵌合固定された。
【0046】
浄水フィルター5、整水剤20、ネット30(または30’)、底板部材6、天板部材8、キャップ部材40がセットされた本体2には、本体2と同一の断面形状と大きさを有し、一端部が閉鎖された筒形状の上蓋部材60が、オーリング62を介して着脱可能に結合された。
上蓋部材60の側面には処理前の水が取り込まれる流入口70が設置された。流入口70の形状は、外径20mmのステンレス製の円管で、上蓋部材60の側部を貫通して上蓋部材60の外面に突出させた。
【0047】
流入口70に対向する位置の上蓋部材60の側面には、処理された水を流出する流出口80が設けられた。流出口80も流入口70と同じ外径20mmのステンレス製の円管で、一端は上蓋部材60の側面を貫通して外面に突出し、他端は、本体2の中心線まで延伸して下方に折れ曲り、キャップ部材40中心に設けられた接続部材45と嵌合手段により結合された。接続部材45はキャップ部材40の中心部に設けられた接合部材結合部42に螺合手段で取付けられた。本体2の中心線まで延伸した円管がキャップ部材40に結合した接続部材45に連結されることにより、浄水フィルター5、ネット30、天板部材8、底板部材6が本体2の中に固定された。
【0048】
上記の構造を有する本発明の浄水整水装置1は、浄化される前の水が、上蓋部材60に設置された流入口70より本体2と浄化フィルター5との隙間に流入し、浄化フィルター5の周囲側面より浄化フィルター5の中心部に向かって浸透する。浄化フィルター5に浸透した水は、不織布層11で粗大な固形物が浄化され、活性炭濾過層13で微細な固形物や水に溶解している不純物が取り除かれ、焼成セラッミクス層15で整水処理されて、芯材17に穿設されたハニカム構造の孔より空洞部19に流入する。空洞部19には、整水機能を有する整水剤20が収納され、空洞部19の開放された一端にはネット30が設置される。芯材17に設けられたハニカム構造の穿孔は浄化フィルター断面の直径に対し傾斜を有して穿孔されているため上下方向及び/又は左右方向の旋回を含む水流を起し、これにより、整水剤20は激しい攪拌を受け、浄化フィルター5を通過した水に整水機能を付与する。整水機能を付与された水はネット30の間隙を抜けて排出口より排出される。
【実施例1】
【0049】
図1は、本発明の実施の形態である浄水整水装置の一構成例を示す部分断面図である。
図2は、本発明の実施の形態の浄化フィルター5にネット30を装着したときの部分断面側面図である。
図3は、本発明の実施例1の整水剤20を収納した浄化フィルター5内のイメージ図である。図1乃至図3を参照して、本発明の実施例1を説明する。
【0050】
本体の製造
本発明の浄水整水装置1の本体2は、厚さ1mmのステンレス製(SUS304)を有底円筒形に形成した外径102mm、高さ290mmの内部に空間を持つ円筒形状の容器を用いた。一方、本体2と同じ厚さ1mmのステンレス製(SUS304)を有底円筒形に形成した外径102mm、高さ110mmの内部に空間を持つ円筒形状の容器を上蓋部材60とした。本体2の円筒形の側面の開口側縁部には周囲外部に5mm程突出した凸状縁部4を形成した。
【0051】
一方、上蓋部材60の円筒形の側面の開口側縁部は周囲を拡張され、上蓋部材60の円筒形側面より10mm程度内径が大きい拡張部3を形成した。本体2と上蓋部材60との開口部が対面して嵌め込まれる時、上蓋部材60の拡張部3の内側に本体2の凸状縁部4が嵌合し、本体2と上蓋部材60とが結合できる構造とした。本体2の凸状縁部4の端部にはオーリング(材質:シリコン、型式:P−11)62が環装され、上蓋部材60が嵌め込まれたとき、オーリングが上蓋部材60の拡張部3に密着するため、本体2と上蓋部材60との間に、密閉された空間を作ることができる。更に、本体2の凸状縁部4、及び上蓋部材60の拡張部3の外周には、Vバンド(材質:SUS304;図示しない)が備えられ、本体2と上蓋部材60との接合部分を固定した。
上蓋部材60の上方一側には外部に突出する流入口70が備えられ、耐圧ホースを介して水道管に連結された。流入口70は、耐圧ホースとの接続部分で外径20mm、内径18mmのステンレス(SUS306)製の管状物であり、上蓋部材60には溶接によって取付けられた。
【0052】
本体2の内部空間には、円筒形状の浄化フィルター5を設置した。浄化フィルター5は、底板部材6を介して本体2の底面に接し、底面の中央部に垂直に設置された。浄化フィルター5は、外径90mm、内径40mm、高さ280mmの円筒状で、同心円状の積層4層構造とした。
外周側の第1層は、浄化フィルター5の外周側面を覆う不織布層11で、厚さ80μmの不織布(旭化成せんい株式会社製、品名:セルロースナノファイバー不織布)が浄化フィルター5の外周側面全体覆い、端部は熱を加えて圧着された。
【0053】
第2層は活性炭濾過層13で、ヤシガラ活性炭(クラレケミカル株式会社製、銘柄:クラレコールGW、粒径0.25mm〜0.5mm)5kgと、粉末活性炭(味の素ファインテクノ株式会社製、銘柄:ホクエツY、粒径0.5mm〜1.7mm)5kg、と繊維状活性炭(株式会社アドール製、品名:繊維状活性炭アドール、繊維径:7〜18μm)10kgと、イオン交換繊維(株式会社ニチビ製、品番:IEF−SC)3.25kgと、ゼオライト(株式会社シナネンゼオミック製、品名:無機抗菌剤ゼオミック、中心粒径:2μm)750g、及び、無機珪酸ゾル(日産化学株式会社製、品名:スノーテック)1kgをヘンシルミキサーに投入し、均一になるまで攪拌混合した。混合物の150gを秤量し、アルミニウム製の金型に充填した。圧力10kgf/cm、120℃で加圧成型した後、100℃で20時間乾燥して、外径90mm、内径45mm、高さ280mmの円筒状の活性炭層を製造した。
【0054】
第3層は焼成セラミックス層15であり、以下のとおり製造した。
特許文献1に記載した、珪素を主成分に、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、及びスカンジウムを含む化合物が焼成された機能性セラミックス濾過材を粉砕して、粒径5〜10μmの粉末とした。粉末にした機能性セラミックス濾過材はポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社製、品名:クリオア)に0.5重量%混練し、押し出し成型により、外径45mm、内径43mm、高さ280mmの円筒状成形品を成形し、焼成セラミックス層15とした。
【0055】
第4層の芯材17は、ポリプロピレン樹脂(タキロン株式会社製、品名:トリカルP96)で成型した厚さ1.5mmのシートに、縦3mm、横2mmのハニカム形状の歯形を複数有する成型品を用いて孔を穿設した。シートを上中下3エリアに均等割し、それぞれを4等分して合計12のエリアを設け、最上段のエリアは右方向の水流が起きるように右方向よりシート面に対し30〜45°の範囲の角度を持って穿孔した。中段と下段は斜め右上方向に向けて浄化水が流入するようシートの右上斜め30〜45°の範囲の方向から、シート面に対し30〜45°の範囲の角度を持って穿孔した。1つのエリアはおよそ40×80mmの大きさで、それぞれ180個の孔が開けられた。このシートは、焼成セラミックス層15の内面に接して内面全体を覆うように曲げ加工を施して固定した。シートとシートの繋ぎ目はポリエチレン系接着剤(住友スリーエム株式会社製、品名:ジェットメルト接着剤、品番:EC3764)で接合した。芯材17は外径43mm、内径40mm、高さ280mmの円筒であった。
【0056】
浄化フィルター5の下側面には、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社製、品名:クリオア)を射出成形して製造した差し渡し内径95mmのペトリ皿形状の底板部材6を密着させた。浄化フィルター5の底部と側面下部が、ペトリ皿形状の底板部材6の底面と内側面部位に嵌合することにより固着された。浄化フィルター5の上側面にはポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社製、品名:クリオア)で射出成形した中心部に直径40mmの円形孔9を設けた直径90mmの円環状の天板部材8を固着した。天板部材8の中心部に設けられた円形孔9から、粒径1〜3mmのトルマリン(クラレトレーディング株式会社販売、品名:ブラジル産トルマリン)10g及び粒径1〜3mmの麦飯石(株式会社西尾販売、品名:岐阜県加茂郡産麦飯石)10gを浄化フィルター5の中心部に設けられた空洞部19に収納した。
【0057】
天板部材8の円形孔9には、目開き0.3mmのステンレス金網(SUS304)を加工成形したネット30を挿入した。ネット30は、開放端部の直径が40mm、閉鎖端部の直径が10mm、高さが150mmの円錐台形状で、ネット30の開放部の縁を外側に折り曲げ、細長く二つ折りしたステンレス板の間に挟み、周囲を圧着して幅10mmの環状の係止部38を形成した。ネット30の閉鎖部は天板部材8の中心部に設けられた円形孔9に挿入され、開放端部の係止部38が天板部材8の円形孔周縁に係止された。
【0058】
ネット30の開放部から、径1.5mmのステンレス線材(SUS304)を螺旋形状に成形したネット形状保持部材50をネット30の内側に挿入した。ネット形状保持部材50の、一端は円錐台の閉鎖端部に合わせた形状とし、他端はネット30の係止部38の外周に当接するリング状とした。このネット形状保持部材50のリング状部分は、ネット30の係止部38の外周に当接して設置された。流出口80と連結する接続部材45を有するキャップ部材40が天板部材8を被覆して嵌合固定すると、天板部材8とキャップ部材40との間にネット30の係止部38とネット保持部材50の一端が挟持された。
【0059】
浄化フィルター5の上部には、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社製、品名:クリオア)で射出成形したキャップ部材40が浄化フィルター5の側面の一部に嵌合して装着された。天板部材8とキャップ部材40の間には、ネット30の係止部38と形状保持部材50のリング部が挟持された。キャップ部材40は、円盤状の縁の部分には浄化フィルター5に嵌合係止するための幅20mmの嵌合帯7を有する構造とした。キャップ部材40は、その中央部の孔の周囲に、浄化フィルター5の中心部に向かって突出した高さ20mm内径20mmの接合部材結合部43を有し、接合部材結合部42には、外径20mmの接続部材45の一端を螺合手段により固定した。接続部材45の他端は、上蓋部材60の側面に設けられた流出口80から伸長したL字状の円管とオーリング47を介して嵌合手段により接続された。
本体2及び上蓋部材60はオーリング62を介して結合され、一般的な固定手段であるVバンドにより固定された。
【実施例2】
【0060】
図4は、本発明の実施2のネット30を装着した浄化フィルター内のイメージ図である。
整水剤20を粒径が0.5〜1mmの医王石(有限会社温泉設備工業販売、品名:石川県産室戸石(赤))と粒径が1〜3mmのゼオライト(有限会社温泉設備工業販売、品名:ゼオライト細粒)を使用したこと、ネット30に、直径が35mm、高さが100mmで一端が開放されて流出口側に固定され他端が半球状に閉じられた円柱形状の、目開きが0.2mmのポリエチレン製のプラスチックネット(旭化成ホームプロダクツ株式会社製、品名:サランメット ハニカム130)を使用したこと、及び、ネット30’の開放部及びネット30’の形状に合せて成型したネット形状保持材50’のリング部を天板部材8の中心部に設けられた円形孔9の上面周囲に、シリコーン系接着剤(信越化学工業株式会社製、品名:信越シリコーン、品番:KE45)で接着したこと以外は、実施例1と同様に行った。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の浄水整水装置は、家庭用の浄水整水装置として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 浄水整水装置
2 本体
3 拡張部
4 凸状縁部
5 浄化フィルター
6 底板部材
7、7’ 嵌合帯
8 天板部材
9 円形孔
11 不織布層
13 活性炭濾過層
15 焼成セラミックス層
17 芯材
19 空洞部
20 整水剤
30、30’ ネット
38 係止部
40 キャップ部材
42 接合部材結合部
45 接続部材
47 オーリング
50、50’ ネット形状保持部材
60 上蓋部材
62 オーリング
70 流入口
80 流出口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖された底面と、側壁面を有し、一端が開放された筒形状の本体と、
筒形状で、少なくとも外側から不織布層、活性炭濾過層、焼成セラミックス層、複数の孔が穿設された芯材とで構成され、前記本体の内部にあって、閉鎖された筒形状の一端平面が、前記本体の前記底面と面し、筒形状の外周面が前記本体の前記側壁面との間に間隙を設けて設置された浄化フィルターと、
前記浄化フィルターの空洞部に収容された整水剤と、
一端が閉鎖部となり、他端が開放部となる袋形状で、前記閉鎖部が前記浄化フィルターの内部にあり、少なくとも前記整水剤が流れ出ない孔を持ったネットと、
前記本体、前記浄化フィルター及び前記ネットを固定すると共に、前記本体と前記浄化フィルターの間に連通する処理前の水が取り込まれる流入口と、前記ネットの閉鎖部とを連通する処理された水を流出する流出口を備えた上蓋部材とで構成されて、
前記流入口より流入した水が、前記本体と前記浄化フィルターの間から、前記浄化フィルターを通過し、更に前記浄化フィルター内部で水流で攪拌される前記整水剤と接触した後、前記ネットの開放部から前記流出口に流通することを特徴とする浄水整水装置。
【請求項2】
前記芯材に設けられる孔は、ハニカム構造に形成され、前記芯材に設けられた孔から前記浄化フィルターの前記空洞部に流入した水流によって前記整水剤が、上下方向の旋回を含む攪拌を受けることを特徴とする請求項1記載の浄水整水装置。
【請求項3】
前記ネットが、前記ネットの形状を保持するためのネット形状保持部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の浄水整水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−107066(P2013−107066A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256584(P2011−256584)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(505392422)株式会社メイプル・リンク (2)
【Fターム(参考)】