説明

浄水機能付きシャワーヘッド

【課題】切換弁の形状、構造及び収容容積等の制約を緩めた重量バランスの良い浄水機能付きシャワーヘッド。
【解決手段】頭部には、その内部に固定された固定仕切部材と、この固定仕切部材から下方に突設した軸部材に軸支され、上面が固定仕切部材の下面に接して回動可能な回動部材とからなる切換弁を設け、固定仕切部材には上記軸部材からの距離が相違する原水流路の原水流出口、及び浄水流路の浄水流出口を下面に各別に穿通し、回動部材には、上記軸部材からの距離が原水流出口に等しい半径上の上面に設けた2箇所の開口のうちの一方をストレート吐出口に連通する原水ストレート流路と、他方をシャワー吐出口に連通する原水シャワー流路とを設け、さらに上記軸部材からの距離が浄水流出口に等しい半径上の上面に設けた2箇所の開口のうちの一方をストレート吐出口に連通する浄水ストレート流路と、他方をシャワー吐出口に連通する浄水シャワー流路とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所または厨房、洗面所あるいは風呂場等で用いられ、使用時に吐出する水および/または湯を浄化する能力を具備した浄水機能付きシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面所あるいは風呂場等で用いられる洗面装置やシャワー装置等に取り付けられ、水および/または湯の水質浄化能力を具備したシャワーヘッドには、例えば登録実用新案公報第 3007614号記載の塩素除去シャワーヘッドがあった。この塩素除去シャワーヘッドでは、本体内に水質を浄化するための水質浄化用カートリッジと、シャワー吐出する湯水を浄化水または原水に切り換えるための流路切換弁とが収容されている。
【0003】
〔従来技術の問題点〕
このような従来の塩素除去シャワーヘッドにおいては、シャワーヘッドの本体内に収容される流路切換弁が、水質浄化用カートリッジが収容された位置の上流側に配置されているため、水質浄化用カートリッジが把持部に収容されているものでは、流路切換弁の収容容積が小さくなり、流路切換弁を収容部に合わせて小さく形成しなければならず、その形状、構造等も制約され、しかも製造が難しくなる、また、水質浄化用カートリッジが頭部に収容されているものでは、胴部に比較して頭部が重くなり、シャワーヘッドの重量バランスが悪くなって、扱いにくいものとなるという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の技術における前記問題点を解消するためのものであり、この解決のため具体的に設定した課題は、切換弁の形状、構造および収容容積等の制約を緩めるとともに重量バランスの良い形状および構造にすることができる浄水機能付きシャワーヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を効果的に解決できるよう具体的に構成された手段としての、本発明における請求項1に係る浄水機能付きシャワーヘッドは、水質浄化用カートリッジを交換可能に収容した把持部と、この把持部の先端に一体に形成され、ストレート吐出口およびシャワー吐出口を備えた頭部とを有する浄水機能付きシャワーヘッドであって、上記把持部内部から頭部内部にかけて、原水が通過する原水流路と、この原水流路の途中から分岐して上記水質浄化用カートリッジを透過した浄水が通過する浄水流路とを備え、頭部には、その内部に固定された固定仕切部材と、この固定仕切部材から下方に突設した軸部材に軸支され、上面が固定仕切部材の下面に接して回動可能な回動部材とからなる切換弁を設け、上記固定仕切部材には上記軸部材からの距離が相違する原水流路の原水流出口、および浄水流路の浄水流出口を下面に各別に穿通し、上記回動部材には、上記軸部材からの距離が上記原水流出口に等しい半径上の上面に設けた2箇所の開口のうちの一方をストレート吐出口に連通する原水ストレート流路と、他方をシャワー吐出口に連通する原水シャワー流路とを設け、さらに上記軸部材からの距離が上記浄水流出口に等しい半径上の上面に設けた2箇所の開口のうちの一方をストレート吐出口に連通する浄水ストレート流路と、他方をシャワー吐出口に連通する浄水シャワー流路とを設け、上記回動部材の回動操作により、原水または浄水のいずれかを、ストレート吐出口またはシャワー吐出口のいずれかから吐出可能に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上のように本発明の請求項1に係る浄水機能付きシャワーヘッドは、切換弁の形状および構造を簡素化でき、収容容積の制約を緩和することができる。また、水質の切換および吐出の選択が容易となり、しかも重量バランスの良い多機能切換型の浄水機能付きシャワーヘッドを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明における以下の実施の形態では、流路切換と吐出切換とを同一の切換弁によって行う場合について説明する。なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるため具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、発明内容を限定するものではない。
【0008】
〔構成〕
この実施の形態における浄水機能付きシャワーヘッドは、水、湯または湯水混合水(以下、単に混合水という)を吐出する混合水栓を有する台所の流しで使用されるもので、図1,2に示すように、外観上は操作部として特別な突出部分がなく、一見、操作部が設けられていないかのような形状に形成されており、頭部のシャワー吐出面側の端部を操作することによって原水と浄水との流路切換ならびにストレートとシャワーとの吐出状態の切換を同一回動式操作部を操作することによって行えるようにした回動式の切換弁を組み込んだ構成にしている。
【0009】
この浄水機能付きシャワーヘッド100は、水質浄化用カートリッジ(図示せず)を交換可能に収容したシャワーヘッドとして利用できるようにするため、筒部11と筒部12とに分離できるように形成するとともに混合水栓のホースに螺合するためのねじ14を設けた端部13を形成した把持部101と、この把持部101のホース取付側とは反対側の端部にストレート吐出口21およびシャワー吐出口22を一体的に設けた頭部102とを備える。
【0010】
把持部101は、中間部で頭部102側に一体化した筒部11とホース取付側の筒部12とに分け、これらを着脱自在かつ一体的に組み合わせることができるようにする中継用ねじ部15を設け、この中継用ねじ部15の螺合を解除して筒部11と筒部12を分離することにより、把持部101の内部に水質浄化用カートリッジ103(図3,4参照)を収容することができるようにする。
【0011】
頭部102には、中央部にストレート吐出口21を形成し、その周囲を取り囲むようにシャワー吐出口22を形成し、そのシャワー吐出口22を形成する部材の周縁を立ち上がらせて、吐出口を回動するための操作部として利用する外周側下端部23を形成する。
【0012】
浄水機能付きシャワーヘッド100は、図3,4に示すように、把持部101の内部に水質浄化用カートリッジ103を収容する。この水質浄化用カートリッジ103を収容した把持部101では、水質浄化用カートリッジ103の外周側流路31を原水流路の一部とし、水質浄化用カートリッジ103の中央空間部32を浄水流路の一部として利用する。
【0013】
水質浄化用カートリッジ103は、中心軸と同心的に孔(中央空間部32)を設けて円筒状に形成した水質浄化材34と、その下流側に不織布、スポンジまたは網等からなるフィルタ35,36に挟持されて配設された粒状あるいはペレット状の殺菌セラミック37とを、3つに分割したキャップ41,42,43によって形成される2つの空間にそれぞれ収容したものである。
【0014】
そして、周壁にスリットを多数設けた有底円筒形状に形成したキャップ41と、円筒形状の中央部に流体通路となる孔を穿設した軸方向に垂直な面の水質浄化材支持壁を有して各端部に他のキャップ41,43との嵌合部を形成したキャップ42とにより形成される空間に、水質浄化材34を収容する。
【0015】
また、キャップ42は異径の2つの円筒を中心軸に対して垂直な壁面により接続し、2つの円筒のうち大径側の円筒にキャップ42との嵌合部を形成し、小径側の円筒には頭部102側に設けた(後述の)カートリッジ受け44との嵌合部を形成したキャップ43により形成された、大径側の円筒の内部空間に、フィルタ35,36に挟持された殺菌セラミック37を収容する。
【0016】
キャップ41とキャップ42が形成する空間に収容される水質浄化材34は、活性炭を主成分とし、円筒状に固めたもので、この円筒状の外周面と中心孔との間を混合水が透過する時に、水中に溶解した化学成分や浮遊している微細な固形物質が吸着または濾過される。
【0017】
また、キャップ43の大径側の円筒内に収容される殺菌セラミック37は、リン酸カルシウムを母体として酸化亜鉛、モンモリロナイト等を混合して粒状あるいはペレット状に焼結したものに銀あるいは銅等を吸着したもので、その表面に水中の有害な細菌類を吸着して殺菌するとともに金属イオンを放出して水中の有害な細菌類を殺菌または滅菌し、水質を無害化する。
【0018】
把持部101の筒部11の内部には、水質浄化用カートリッジ103の先端部(キャップ43の小径側の端部)を差し込み、固定するための円筒状のカートリッジ受け44を頭部102側の表面から突設する。このカートリッジ受け44に水質浄化用カートリッジ103のキャップ43の小径側の端部を差し込むことにより、水質浄化用カートリッジ103が位置固定される。キャップ43の小径側の端部には周面にOリング45が周設され、端部がカートリッジ受け44に差し込まれた場合にカートリッジ受け44の内周面に密接するOリング45により漏れが止められる。
【0019】
そして、カートリッジ受け44の外周側流路46が、水質浄化用カートリッジ103の外周側流路31と連通して把持部101内の原水流路として利用され、さらにカートリッジ受け44の内面側流路47が水質浄化用カートリッジ103の中央空間部32と殺菌セラミック37を介して連通することにより把持部101内の浄水流路として利用される。
【0020】
これにより、浄水吐出の場合には、把持部101内に流入した混合水が、水質浄化用カートリッジ103の外周側流路31から水質浄化用カートリッジ103の水質浄化材34を通過して水質を浄化し、水質浄化材34の中央空間部32に流出して引き続きフィルタ36、殺菌セラミック37、フィルタ35を通過して殺菌または滅菌して水質を無害化し、その後、カートリッジ受け44の内面側流路47を介して頭部102側に流出し、頭部102から外部へ吐出する。
【0021】
また、原水吐出の場合には、水質浄化用カートリッジ103の外周側流路31を通過し、カートリッジ受け44の外周側流路46を介して頭部102側に流出し、頭部102から外部へ吐出する。この原水吐出の場合には、混合水が水質浄化用カートリッジ103の外周側流路31を通過するため、浄水吐出時に蓄積された水質浄化材表面に付着した目詰まりを引き起こすような微細な固形物質等を洗い流し、浄化吐出時に目詰りしにくくし、水質浄化材34の浄化能力を高レベルに維持するとともに寿命を長くする。
【0022】
特に、湯を原水吐出する場合には、湯温が高温であるほど、水質浄化材34の主成分である活性炭から、浄水吐出時に吸着したトリハロメタンや金属イオン等を放出させて、効果的に除去することができ、活性炭の再生効果を高めることができる。
【0023】
頭部102の内部には、図3〜6に示すように、略上半部には把持部101内の原水流路と接続する頭部102内の原水流路24、および、把持部101内の浄水流路と接続する頭部102内の浄水流路25が形成され、その略下半部にはシャワー吐出口22の外周側下端部23を操作部として利用する回動式の切換弁105が組み込まれる。
【0024】
回動式の切換弁105は、頭部102に固着される固定仕切部材51と、この固定仕切部材51に回動自在に組付けた回動部材52とからなり、回動部材52に設けられた外周側下端部23を操作することによって、原水と浄水との流路切換ならびにストレートとシャワーとの吐出切換を行わせることができるようにする。
【0025】
固定仕切部材51は、頭部102内に固着し、原水と浄水との流路を仕切るとともに原水と浄水との吐出流路側への流出口を各別に穿設し、回動部材52側に設けた各流入口との間で回動部材52の回動に従って組み合わされ、吐出水と吐出流路との所定の組合せが選択される。この固定仕切部材51は、円盤状の仕切板61の中央部に突出貫通した軸部材62と、この軸部材62を含めた径方向の直線上に軸部材62に対して同一方向に並べて配置した浄水流出口63と原水流出口64とを穿設し、回動部材52が所定の位置に回動されたときにクリック感を与えるとともに位置ずれを起こさないように位置固定する突起収容部65を突設する。
【0026】
浄水流出口63と原水流出口64とには、それぞれ、ばね66に付勢されて回動部材52に当接し、回動部材52側の各開口との間の間隙を大きく開けないようにする開口当接部材67を内蔵する。また、突起収容部65には、ばね68に付勢された係止部材69を収容して、回動部材52の回動時における回動部材52側に設けられた各凹部88(図13参照)への係止部材69の落ち込みによるクリック感を与えるとともに、固定仕切部材51と回動部材52とが相対的に位置ずれしないように位置固定する。
【0027】
回動部材52は、全体形状を両端に蓋をした浅い二重円筒形に形成し、固定仕切部材51の浄水流出口63または原水流出口64から流出する混合水を、それぞれストレート吐出口21とシャワー吐出口22とのいずれかに導く流路を内部に形成する。
【0028】
この回動部材52は、固定仕切部材51の軸部材62に回動自在に軸着する軸着部材71と、この軸着部材71の下端面でストレート吐出口21の外周側にシャワー吐出口22を設けるシャワー吐出面を形成するとともにこのシャワー吐出面の周辺部に回動部材52の操作部となる外周側下端部23を形成するシャワープレート72と、シャワープレート72の中央部に嵌め込まれてストレート吐出口21およびストレート吐出口21への流路を形成するストレート吐出面形成部材73とからなる。
【0029】
そして、この回動部材52では、固定仕切部材51の軸部材62に軸着する軸着部材71の軸部材62への嵌着部周辺にストレート吐出流路74を形成し、そのストレート吐出流路74の外周側に円筒状中間仕切壁75を介してシャワー吐出流路76を同心的に形成する。
【0030】
ストレート吐出流路74は、回動部材52の軸着部材71に設けられた嵌着部77と円筒状中間仕切壁75との間に形成された空間で、軸着部材71の上壁には嵌着部77と円筒状中間仕切壁75との中間位置に固定仕切部材51の浄水流出口63の配置位置に合わせて穿設されて浄水用のストレート吐出用案内流路83に連通する開口81が開設され、また上壁の円筒状中間仕切壁75よりも外側の位置には固定仕切部材51の原水流出口64の配置位置に合わせて穿設されて原水用のストレート吐出用案内流路87に連通する開口85が開設されて、浄水と原水との両方の流路として兼用されるストレート吐出用の流路を形成する。
【0031】
このストレート吐出流路74は、上流側では混合水が開口81,85からストレート吐出用案内流路83,87を介して流入し、下流側では接続する集合通過部26を介してストレート吐出面形成部材73の内部に形成された流路に流出し、この流路を経てストレート吐出口21から吐出するようにした中間案内流路を形成する。
【0032】
シャワー吐出流路76は、回動部材52の軸着部材71に設けられた円筒状中間仕切壁75と外周壁78との間に形成された空間で、軸着部材71の上壁には嵌着部77と円筒状中間仕切壁75との中間位置に固定仕切部材51の浄水流出口63の配置位置に合わせて開口81と軸対称な位置に穿設されて浄水用のシャワー吐出用案内流路84に連通する開口82が開設され、また上壁の円筒状中間仕切壁75よりも外側の位置には固定仕切部材51の原水流出口64の配置位置に合わせ開口85と軸対称な位置に穿設された開口86が開設されて、浄水と原水との両方の流路として兼用されるシャワー吐出用の流路を形成する。
【0033】
このシャワー吐出流路76は、上流側では原水が直に連通した開口86から直接流入し、また浄水は開口82からシャワー吐出用案内流路84を介して流入し、下流側では軸着部材71の下端に嵌着されたシャワープレート72に穿設されたシャワー吐出口22,…,22から直に吐出するようにした中間案内流路を形成する。
【0034】
切換弁105を収容する頭部102は、図7〜9に示すように、吐出側に切換弁105を収容する主要部が有蓋円筒形の外皮27を形成し、この外皮27の把持部側には筒部11が突出し、その突出した筒部11の内側にカートリッジ受け44を略同心に突出し、その外皮27の円筒中心に対して同心的に小径の薄肉円筒を頂部内面から垂下して原水流路と浄水流路とを分ける隔壁28を形成し、その隔壁28の周面に一端を結合してカートリッジ受け44から隔壁28までの間を連通する中継隔壁29を形成する。
【0035】
隔壁28の内側は中継隔壁29を介してカートリッジ受け44の内面側流路47と連通した浄水流路となり、外側がカートリッジ受け44の外周側流路46と連通する原水流路となる。隔壁28の下側には切換弁105の固定仕切部材51が嵌着して頭部102を密封し、頭部102に流入した混合水を切換弁105の動作に従い原水と浄水のいずれかをストレート吐出口21かシャワー吐出口22のいずれかより吐出する。
【0036】
固定仕切部材51は、図10〜12に示すように、仕切板61の端縁に頭部102への嵌合用の浅い円筒部61aを軸方向に立設し、仕切板61には中央部に貫通した有底円柱状の軸部材62を軸方向に突出し、その軸部材62の下流側の端面に軸方向に深く孔62aを穿設し、仕切板61の上流側の面には軸部材62の突出位置から径方向外側に浄水流出口63を設け、軸部材62と浄水流出口63とを含む直線上にあって軸部材62に対し浄水流出口63と同一側で端縁近傍に寄った位置に原水流出口64を穿設し、さらに軸部材62と流出口63,64とを含む直線上にあって軸部材62に対し流出口63,64とは反対側に突起収容部65を突出し、仕切板61の上流側の面には軸部材62と同心的に頭部102の隔壁28に内嵌する原水流路と浄水流路との隔壁61bを立設する。
【0037】
流出口63,64の下流側には軸部材62の軸に平行で深い孔63a,64aを流出口63,64と同心的に穿設し、それぞれの孔63a,64aにばね66により下流側に付勢された開口当接部材67(図5参照)を収容できるようにする。また、突起収容部65の下端面から軸方向に平行で深い孔65aを穿設してばね68と係止部材69(図5参照)を収容できるようにする。
【0038】
回動部材52の軸着部材71は、図13〜16に示すように、上面側には固定仕切部材51の仕切板下面側に対面する平円板79を形成し、この平円板79の外周端には下面側に向けて略円筒状の外周壁78を垂下し、その外周壁78の下端部をシャワープレート72が外嵌できる外径に調整するとともに漏止め用のOリングを外嵌するOリング溝78aを刻設し、平円板79の下面側には中心部に固定仕切部材51の軸部材62に外嵌する嵌着部77と、この嵌着部77と略同心で直径を大きくしストレート吐出面形成部材73を下端に螺合するとともにストレート吐出用とシャワー吐出用の流路を隔離する隔壁となる円筒状中間仕切壁75とを垂下する。
【0039】
平円板79の中心部に設ける嵌着部77には、平円板79側に固定仕切部材51の軸部材62に外嵌する嵌着部77の内径と同一径の孔77aを穿設して内径側を貫通し、軸部材62を軸として回動できるようにする。この嵌着部77の外周側に設けた円筒状中間仕切壁75は、下端部の内径側に雌ねじ75aを形成してストレート吐出面形成部材73を螺合できるようにし、外周面にはシャワープレート72を嵌合するときの軸方向への位置規制用ストッパとなる突出部75bを周設し、この突出部75bの周上の一か所に矩形状の切欠き部75cを設けて、嵌合したシャワープレート72の回止めを係合することができるようにする。
【0040】
平円板79の孔77aを穿設した位置のまわりには、平円板79の中心を通る直線上で固定仕切部材51の浄水流出口63の穿設位置と中心からの径方向位置が略同一になる位置に、浄水用のストレート吐出流路への開口81とシャワー吐出流路への開口82とを中心に対する軸対称位置に穿設し、その外方向に係止部材69の先端部が係合する凹部88,88を固定仕切部材51に設けられた突起収容部65の孔65aの穿設位置と中心からの径方向位置が略同一になる位置にそれぞれ刻設する。
【0041】
孔77aと各開口81,82の中心を通る直線に対して垂直な直線上で固定仕切部材51の原水流出口64の穿設位置と中心からの径方向位置が略同一になる位置に、原水用のストレート吐出流路への開口85とシャワー吐出流路への開口86とを中心に対する軸対称位置に穿設し、それらの開口85,86の中心側に寄った位置には、固定仕切部材51に設けられた突起収容部65の孔65aの穿設位置と孔77aの中心からの径方向位置が略同一になる位置に、係止部材69の先端部が係合する凹部88,88をそれぞれ刻設する。
【0042】
そして、平円板79の下面側には、開口82とシャワー吐出流路の間を連通する浄水用のシャワー吐出用案内流路84を形成する孔を穿設し、開口85とストレート吐出流路74との間を連通するストレート吐出用案内流路87を形成する角筒状の隔壁89を設ける。
【0043】
頭部102に固定仕切部材51と軸着部材71を組み付けるには、固定仕切部材51は軸部材62に設けた孔62aの開口側を頭部102の吐出側に向け、頭部102内の所定位置に所定の向きで嵌着し、各流出口63,64の孔63a,64aにばね66に付勢された開口当接部材67をそれぞれ内蔵して各流出口63,64と軸着部材71側の各開口81,82,85,86との間の間隙を開けないようにし、さらに、突起収容部65の孔65aには、ばね68に付勢された係止部材69を収容して、回動部材52の回動時における軸着部材71側の各凹部88,…,88のいずれかに係止部材69の先端が落ち込むことによるクリック感を与えることができるようにして、固定仕切部材51の軸部材62に回動部材52側の軸着部材71を嵌着して孔62aに木ねじ等のねじ部品(図5参照)をねじ込むことにより、固定仕切部材51の軸部材62に回動部材52の軸着部材71を回動自在に取り付け、シャワー吐出面の中心位置を回動中心として回動できるようにする。
【0044】
シャワープレート72は、図17に示すように、中央部が開口され、その開口端縁にはストレート吐出面形成部材73を嵌め込むことができるようにするとともに円筒状中間仕切壁75に外嵌するための内径を有する浅い円筒部72aを内面側に突設し、外周端には円筒部72aと同一方向に突出するとともに内径を軸着部材71に設けられた外周壁78の下端部外径に嵌合するための大きさを有する浅い円筒状の外周側下端部23を形成し、円筒部72aと外周側下端部23との間に位置する平板部72bにはシャワー吐出口22を多数個につき略均等に穿設する。
【0045】
このシャワープレート72の円筒部72aには、軸着部材71に嵌合したときの回止め用に矩形状の突起72cを上端面から突出し、円筒状中間仕切壁75に設けられた突出部75bの切欠き75cに係合して回止めすることができるように形成する。円筒部72aの高さは円筒状中間仕切壁75に設けられた突出部75bに当接するまでに必要な寸法以下であれば良く、また、外周側下端部23の高さは嵌合する相手部材の嵌合位置における高さに応じて規定し、その範囲で頭部102の外皮27の下端に当接しないで済む寸法にする。
【0046】
集合通過部26は、図18に示すように、有底円筒の底板部26aに外周側の下端部が外部と部分的に貫通する多数の光芒を有する環状の溝26bを軸方向に深く刻設し、底板部26aの側方を円筒部の外径よりも小さく形成して、溝26bの側方を開口した形状に形成する。この集合通過部26の外形は上部に浅い円筒部26cを有し、この円筒部26cをストッパとしてストレート吐出面形成部材73の集合通過部嵌合箇所に嵌め込むことができる外径に形成し、底板部26aの下方に突出した中央部を集合通過部嵌合箇所に形成されている下方に縮径するコーン部91c(図19参照)に位置するように軸方向の寸法を調節する。
【0047】
ストレート吐出面形成部材73は、上下に分割できるように形成している。ストレート吐出面形成部材73の分割上部を形成する入口部材91は、図19に示すように、集合通過部26を内嵌する上端に孔あき円板を設けた鍔付き円筒形に形成した部材とし、分割下部を形成する出口部材92は、図20に示すように、下端部に環状円板を突設した二重円筒に形成した部材としている。
【0048】
入口部材91は、図19に示すように、円板部91aの中央部にストレート吐出口21側へ流出させるための開口部91bを設け、その開口部91bを集合通過部26を嵌合する嵌合孔として利用し、その開口部91bは段違いに形成されて径の大きい方は一定の内径を有し、径の小さい方はストレート吐出口21への流路に向かって縮径するコーン部91cを形成して、嵌合した集合通過部26から流出する混合水を中心部に向かって集中させるように形成する。また、下端には周上等間隔8か所に切欠き部91d,…,91dを刻設する。この入口部材91の開口部91bに集合通過部26を嵌合すると、集合通過部26の開口から溝26bを経て径方向外方へ流出する混合水を、入口部材91のコーン部91cによって流出方向を規制され、中心方向へ集中して流出するようになる。
【0049】
出口部材92は、図20に示すように、下端部に環状円板92aを突設した外側円筒部92bとその内側に設けた内側円筒部92cとにより二重円筒部92dを形成し、内側円筒部92cの下端に円筒部内径よりも縮径したストレート吐出口21を形成し、外側円筒部92bと内側円筒部92cとの間に形成された間隙を出口部材92の外面側から内面側への通気路92eとして利用する。
【0050】
外側円筒部92bと内側円筒部92cとの間には複数のリブ92f,…,92fを介装して外側円筒部92bと内側円筒部92cとを一体に結合する。外側円筒部92bの外周面には雄ねじ92gを設けて軸着部材71に設けた雌ねじ75aに螺合できるようにする。内側円筒部92cの上端面は軸心に対して垂直な平面に形成し、入口部材91の下端が当接して切欠き部91d,…,91dの開口端を閉じたときに、出口部材92の外面側の通気路92eから内面側のストレート吐出流路へ自由に気体が流れるようにするための通気口として形成する。
【0051】
〔作用効果〕
このような外周側下端部23を操作部とした回動式の切換弁105では、操作部の回動位置により、中央部のストレート吐出口21と、このストレート吐出口21の周囲に配置されたシャワー吐出口22から、原水と浄水とのいずれかを選択的に吐出できるように形成されている。すなわち、
【0052】
浄水のストレート吐出を選択した場合には、図5,6に示すように、固定仕切部材51の浄水流出口63が穿設されている位置に回動部材52の軸着部材71に穿設された開口81が位置するとともに係止部材69が凹部88に係合して位置固定するため、水質浄化用カートリッジ103により浄化され、カートリッジ受け44の内面側流路47から頭部102内の浄水流路25を経て固定仕切部材51の浄水用の空間内に開口した浄水流出口63に達した混合水は、回動部材52の軸着部材71に穿設された開口81から軸着部材71内に流入して、ストレート吐出用案内流路83からストレート吐出流路74を経て集合通過部26に到達し、この集合通過部26を介して出口部材92の内側円筒部92c内に流入してストレート吐出口21から吐出する。
【0053】
浄水のストレート吐出位置から 180度回動して、浄水のシャワー吐出を選択した場合には、図21,22に示すように、固定仕切部材51の浄水流出口63が穿設されている位置に回動部材52の軸着部材71に穿設された開口82が位置するとともに係止部材69が凹部88に係合して位置固定するため、水質浄化用カートリッジ103により浄化され、カートリッジ受け44の内面側流路47から頭部102内の浄水流路25を経て固定仕切部材51の浄水用の空間内に開口した浄水流出口63に達した混合水は、回動部材52の軸着部材71に穿設された開口82から軸着部材71内に流入して、シャワー吐出用案内流路84からシャワー吐出流路76を経てシャワー吐出口22から吐出する。
【0054】
また、浄水のストレート吐出位置から 90 度反時計回りの方向に回動するか、浄水のシャワー吐出位置から 90 度時計回りの方向に回動して、原水のストレート吐出を選択した場合には、図23,24に示すように、固定仕切部材51の原水流出口64が穿設されている位置に回動部材52の軸着部材71に穿設された開口85が位置するとともに係止部材69が凹部88に係合して位置固定するため、水質浄化用カートリッジ103の外周側流路31を通過してカートリッジ受け44の外周側流路46から頭部102内の原水流路24を経て固定仕切部材51の原水用の空間内に開口した原水流出口64に達した混合水は、回動部材52の軸着部材71に穿設された開口85から軸着部材71内に流入して、ストレート吐出用案内流路87からストレート吐出流路74を経て集合通過部26に到達し、この集合通過部26を介して出口部材92の内側円筒部92c内に流入してストレート吐出口21から吐出する。
【0055】
原水のストレート吐出位置から 180度回動して、原水のシャワー吐出を選択した場合には、図25,26に示すように、固定仕切部材51の原水流出口64が穿設されている位置に回動部材52の軸着部材71に穿設された開口86が位置するとともに係止部材69が凹部88に係合して位置固定するため、水質浄化用カートリッジ103の外周側流路31を通過してカートリッジ受け44の外周側流路46から頭部102内の原水流路24を経て固定仕切部材51の原水用の空間内に開口した原水流出口64に達した混合水は、回動部材52の軸着部材71に穿設された開口86から軸着部材71内に流入して、直接、シャワー吐出流路76に流入し、このシャワー吐出流路76を経てシャワー吐出口22から吐出する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態における浄水機能付きシャワーヘッドの外観を示す平面図である。
【図2】同上浄水機能付きシャワーヘッドの外観を示す側面図である。
【図3】同上浄水機能付きシャワーヘッドを示す平面断面(B−B矢視)図である。
【図4】同上浄水機能付きシャワーヘッドを示す側面断面(A−A矢視)図である。
【図5】同上浄水機能付きシャワーヘッドの浄水ストレート吐出時における頭部を拡大して示す側面断面図である。
【図6】同上浄水機能付きシャワーヘッドの浄水ストレート吐出時における頭部を拡大して示す平面断面(C−C矢視)図である。
【図7】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける頭部単体を拡大して示す平面断面(J−J矢視)図である。
【図8】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける頭部単体を拡大して示す側面断面(K−K矢視)図である。
【図9】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける頭部単体を拡大して示す正面断面(L−L矢視)図である。
【図10】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける固定仕切部材を拡大して示す上平面図である。
【図11】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける固定仕切部材を拡大して示す縦面図である。
【図12】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける固定仕切部材を拡大して示す下平面図である。
【図13】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける回動部材の軸着部材を拡大して示す上平面図である。
【図14】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける回動部材の軸着部材を拡大して示す側面断面(M−M矢視)図である。
【図15】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける回動部材の軸着部材を拡大して示す下平面図である。
【図16】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける回動部材の軸着部材を拡大して示す側面断面(N−N矢視)図である。
【図17】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおけるシャワープレートを拡大して示す説明図であり、(A)は縦断面図、(B)は平面図である。
【図18】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける集合通過部を拡大して示す説明図であり、(A)は縦断面図、(B)は上平面図、(C)は下平面図である。
【図19】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける入口部材を拡大して示す説明図であり、(A)は縦断面図、(B)は上平面図、(C)は下平面図である。
【図20】同上浄水機能付きシャワーヘッドにおける出口部材を拡大して示す説明図であり、(A)は縦断面図、(B)は下平面図である。
【図21】同上浄水機能付きシャワーヘッドの浄水シャワー吐出時における頭部を拡大して示す側面断面図である。
【図22】同上浄水機能付きシャワーヘッドの浄水シャワー吐出時における頭部を拡大して示す平面断面(O−O矢視)図である。
【図23】同上浄水機能付きシャワーヘッドの原水ストレート吐出時における頭部を拡大して示す側面断面図である。
【図24】同上浄水機能付きシャワーヘッドの原水ストレート吐出時における頭部を拡大して示す平面断面(P−P矢視)図である。
【図25】同上浄水機能付きシャワーヘッドの原水シャワー吐出時における頭部を拡大して示す側面断面図である。
【図26】同上浄水機能付きシャワーヘッドの原水シャワー吐出時における頭部を拡大して示す平面断面(Q−Q矢視)図である。
【符号の説明】
【0057】
11,12 筒部
21 ストレート吐出口
22 シャワー吐出口
31 (水質浄化用カートリッジの)外周側流路
32 中央空間部
34 水質浄化材
35,36 フィルタ
37 殺菌セラミック
41,42,43 キャップ
44 カートリッジ受け
46 (カートリッジ受けの)外周側流路
47 (カートリッジ受けの)内面側流路
51 固定仕切部材
52 回動部材
61 仕切板
62 軸部材
63 浄水流出口
64 原水流出口
65 突起収容部
66 ばね
67 開口当接部材
68 ばね
69 係止部材
71 軸着部材
72 シャワープレート
73 ストレート吐出面形成部材
74 ストレート吐出流路
75 円筒状中間仕切壁
75a 雌ねじ
76 シャワー吐出流路
77 嵌着部
77a 孔
78 外周壁
79 平円板
81,82,85,86 開口
84 シャワー吐出用案内流路
87 ストレート吐出用案内流路
88 凹部
89 隔壁
91 入口部材
91a 円板部
91b 開口部
91c コーン部
91d 切欠き部
92 出口部材
92a 環状円板
92b 外側円筒部
92c 内側円筒部
92d 二重円筒部
92e 通気路
92f リブ
92g 雄ねじ
100 浄水機能付きシャワーヘッド
101 把持部
102 頭部
103 水質浄化用カートリッジ
105 切換弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水質浄化用カートリッジ103を交換可能に収容した把持部101と、この把持部101の先端に一体に形成され、ストレート吐出口21およびシャワー吐出口22を備えた頭部102とを有する浄水機能付きシャワーヘッドであって、
上記把持部101内部から頭部102内部にかけて、原水が通過する原水流路と、この原水流路の途中から分岐して上記水質浄化用カートリッジ103を透過した浄水が通過する浄水流路とを備え、
頭部102には、その内部に固定された固定仕切部材51と、この固定仕切部材51から下方に突設した軸部材62に軸支され、上面が固定仕切部材51の下面に接して回動可能な回動部材52とからなる切換弁105を設け、
上記固定仕切部材51には上記軸部材62からの距離が相違する原水流路の原水流出口64、および浄水流路の浄水流出口63を下面に各別に穿通し、
上記回動部材52には、上記軸部材62からの距離が上記原水流出口64に等しい半径上の上面に設けた2箇所の開口81、82のうちの一方をストレート吐出口21に連通する原水ストレート流路と、他方をシャワー吐出口22に連通する原水シャワー流路とを設け、さらに上記軸部材62からの距離が上記浄水流出口63に等しい半径上の上面に設けた2箇所の開口85、86のうちの一方をストレート吐出口21に連通する浄水ストレート流路と、他方をシャワー吐出口22に連通する浄水シャワー流路とを設け、
上記回動部材52の回動操作により、原水または浄水のいずれかを、ストレート吐出口21またはシャワー吐出口22のいずれかから吐出可能に形成したことを特徴とする浄水機能付きシャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−66422(P2009−66422A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263629(P2008−263629)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【分割の表示】特願平11−357911の分割
【原出願日】平成11年12月16日(1999.12.16)
【出願人】(597147980)有限会社寿通商 (8)
【Fターム(参考)】