説明

浄水装置及び浄水方法

【課題】セラミックスを用いる浄水手法においては、一般的にその効果は、水がセラミックス表面に衝突することで、その効果が発生すると考えられ、その衝突頻度を高めることは効果的である。衝突頻度を高めるために、例えば、水が通過するセラミックス部分を長くすると、セラミックス材料が多く必要となり、装置も大型化してしまう。セラミックスの粒径を小さくして表面積を増やすと、水を流すのに大きな圧力が必要となり、不純物等により詰まり易くなってしまう。このように、効率的にセラミックスと水が衝突し、高い浄水効果が得られる装置及びその方法が望まれていた。
【解決手段】本発明では、1以上の孔を有するセラミックス部材を含み、少なくとも孔の周辺部分に水が高頻度で衝突することにより浄水効果を生む浄水装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水装置及び浄水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水は飲料用の他、工業用や農業用など多くの分野で使用されている。この水に様々な処理を行い、活性水や機能水が作られている。これらの浄水手法は、例えば、電気エネルギー、電磁波エネルギー、機械的エネルギー、放射線エネルギー、音波エネルギー、遠赤外線エネルギー、天然石、セラミックス等を用いる手法や、ミネラルを添加したり、情報を転写したりする手法等が提案されている。
【0003】
セラミックスを用いる手法においては、どのような材料をもとにして、どのような配合で、どのような条件でセラミックスを焼成するか等によって、その効果が異なるが、一般的にその効果は、水がセラミックス部分を通過することで発生する。つまり、水がセラミックス表面に衝突することで、その効果が発生すると考えられ、その衝突頻度を高めることは効果的である。衝突頻度を高めるために、例えば、水が通過するセラミックス部分を長くすると、セラミックス材料が多く必要となり、装置も大型化してしまう。セラミックスの粒径を小さくして表面積を増やすと、水を流すのに大きな圧力が必要となり、不純物等により詰まり易くなってしまう。このように、効率的にセラミックスと水が衝突し、高い浄水効果が得られる装置及びその方法が望まれていた。
【特許文献1】特開2003−145174号公報
【特許文献2】実用新案登録第3026532号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水圧を利用してセラミックス粒子を自転させることにより、セラミックスと水との衝突頻度を高める浄水装置が、特開2003−145174号に開示されている。しかしながら、この手法では浄水効果が十分ではなく、更なる効果的な手法が望まれる。また、粒状のセラミックス乃至天然石を容器に入れてこれを強制回転させることによって水を浄化する装置が実用新案登録第3026532号に開示されている。しかしながら、この方法では、強制回転によりセラミックスと水との衝突頻度は向上するが、それでもなお更なる浄水効果が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの課題を解決するために、本発明では、1以上の孔を有するセラミックス部材を含み、少なくとも孔の周辺部分に水が高頻度で衝突することにより浄水効果を生む浄水装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の浄水装置及び浄水方法を用いることにより、セラミックスを利用した浄水装置において、セラミックスと水とが高頻度で衝突するため、浄水効果が高く、短時間に効果的な浄水効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の一実施形態に係る浄水装置の概略断面図を示す。
【図2】 本発明の別の一実施形態に係る浄水装置の概略断面図を示す。
【図3】 本発明の更に別の一実施形態に係る浄水装置の概略図を示す。
【図4】 電気分解機能を有する本発明の一実施形態に係る浄水装置の概略断面図を示す。
【符号の説明】
【0008】
1・・・孔、2・・・セラミックス材、3・・・回転手段、4・・・水、5・・・容器、6・・・振動手段、7・・・高圧水流、8・・・ノズル、9・・・電気分解装置、10・・・電極、11・・・磁石、20・・・浄水装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る浄水装置20の概略断面図を示す。1以上の孔1を有する板状のセラミックス材2を含み、これを回転手段3により回転させる。孔1の仕様(例えば、径、数、形状、間隔、配置など)、セラミックス材2の仕様(例えば、厚さ、大きさ、材質、製造条件、数、形状、間隔、配置など)、処理条件(回転速度等)を適当に選択することにより、水4の粘性により孔1の周辺部分(孔1の内壁近傍及び孔1の出口付近等)で激しい乱流が発生し、セラミックス材2に水4が高頻度で衝突し、効率的な浄水効果が得られる。セラミックス材2と水4との全衝突回数を高めるためには、セラミックス材2の水4と接触する表面積を大きくするとよいので、1以上の孔1は、複数の孔1であることが望ましく、多数の孔1であることが更に望ましい。孔1の直径は、水の粘性を考慮に入れて、セラミックス材2と水4との高頻度な衝突が効果的に起こる条件として、セラミック材2の大きさ等にもよるが、例えば1mm以上であることが望ましい。また、回転手段3としては、手動、電気モーター、水力(水道の蛇口に直接接続した場合など)等を利用できる。具体的な構造は、例えば、従来の料理用の泡立て器、ミキサー、ブレンダー等の構造を流用可能である。
【0010】
図2は、本発明の別の一実施形態に係る浄水装置20の概略断面図を示す。1以上の孔1を有する板状のセラミックス材2を含み、これを振動手段6により振動させる。孔1の仕様(例えば、径、数、形状、間隔、配置など)、セラミックス材2の仕様(例えば、厚さ、大きさ、材質、製造条件、数、形状、間隔、配置など)、処理条件(周波数、振幅など)を適当に選択することにより、セラミックス材2に水4が高頻度で衝突し、効率的な浄水効果が得られる。振動手段6は、例えば超音波振動発生装置を利用できるが、これに限定されない。本実施形態の場合、セラミックス材2は1以上の孔1を有していなくてもよいが、上述のように表面積の点から、1以上の孔1を有していた方が望ましい。
【0011】
図3は、本発明の更に別の一実施形態に係る浄水装置20の概略図を示す。1以上の孔1を有する板状のセラミックス材2を含み、これに高圧水流発生手段(図示せず)から供給された高圧水流7をセラミックス材2に当てる。孔1の仕様(例えば、径、数、形状、間隔、配置など)、セラミックス材2の仕様(例えば、厚さ、大きさ、材質、製造条件、数、形状、間隔、配置など)、処理条件(水圧、ノズルの数・形状・配置など)を適当に選択することにより、セラミックス材2に水4が高頻度で衝突し、効率的な浄水効果が得られる。本実施形態の場合、セラミックス材2の孔1の入口部及び内面では、高圧水流の流れがセラミックス材2の表面に対して水平に近い入射角で衝突するため、高圧水流の流れを損なうことなくセラミックス材2の表面で高頻度に衝突を繰り返し、セラミックス材2内の有効成分を抽出することができると考えられる。また、ノズル8及び/又はセラミックス材2を水平移動手段(図示せず)及び/又は回転移動手段(図示せず)等を用いることで、高圧水流のセラミックス材2へ衝突する位置を時間的に変化させると、セラミックス材2が局所的に減耗するなどのことがないため効果的である。
【0012】
図4は、電気分解機能を有する本発明の一実施形態に係る浄水装置20の概略断面図を示す。上部には、水4の電気分解を行う電気分解装置9及び電極10が取り付けられている。電気分解は直流、交流、その他の波形の電流を流すことにより行うことができ、適当な数、形状、材質の電極が用いられる。電気分解装置9は、既知の任意の電気分解装置が使用可能である。本実施形態では、浄水装置20の構成要素は、容器5の下部に取り付けられている。回転手段3のシャフト及びセラミックス板2の中心軸には共に磁石11が取り付けられ、容器5を隔てて磁力により接続され、回転手段3の動力がセラミックス板2に伝達されるようになっている。このような構成にすることで、容器5内から液体が漏れることなくセラミックス板2を回転させることができ、かつセラミックス板2が容易に取り外せるので、洗浄作業等を促進する。図示されていないが、動力をうまく伝達するために磁石11の近傍には適当な係合溝等が形成されているのが望ましい。この他にも、容器5にセラミックス板2を回転可能に取り付け、これを回転手段3により回転させる等の方法も可能である。本実施形態のように、同一容器5内又は近傍に、浄水装置20と電気分解装置9を共に配置することによって、浄水効果及び電気分解効果を水に付与するのみならず、電極10表面への気体の付着及び電極10近傍のイオン濃度の偏りに起因する電気分解反応速度の低下を、浄水装置20による水の流れ等によって効果的に抑制することができる。また、スケールの電極への付着を効果的に抑制することもできる。図4では、本発明の浄水装置20の構成要素として回転手段3が記載されているが、振動手段6又は高圧水流発生手段と電気分解装置9を共に配置してもよい。
【0013】
上記の実施形態では、1以上の孔1を有するセラミックス板2が用いられているが、多数のセラミックス粒が金網などのメッシュ状で板状の入れ物内に配置されることにより形成されてもよい。しかしながら、セラミックス粒が固定されず移動可能に配置された場合、重力によってセラミックス粒が金網などの下部に固まって配置され、浄水効果を生むための水が通る孔が有効に形成されない可能性がある。逆に、上記のような入れ物内にセラミックス粒を多量に入れて固定された状態に配置された場合でも、同様に浄水効果を生むための水が通る孔が有効に形成されない可能性がある。そのため、このような構成の場合は、セラミックス粒を配置した際に水が通る穴が有効に形成されるように、セラミックス粒の仕様(例えば、粒径、材質、製造条件、数、形状)及び固定法等を選択する必要がある。また、本明細書内では、水の浄水装置及び浄水方法を説明したが、水の代わりに他の液体を用いて、液体の機能を高めてもよい。更に、本発明は、図1及び図2の実施形態のように開口を有する容器に本発明の浄水装置を取り付けて使用する方法、図3の実施形態のように水の入口と出口を有する密閉容器内に本発明の浄水装置を設置して使用する方法、図4の実施形態のように開口を有する容器に本発明の浄水装置を取り付けて蓋をして密閉して使用する方法など、様々な使用法が可能であり、これらは図に示される実施形態に限定されず、すべての構成に対して任意に組み合わせ可能である。また、本発明の浄水装置及び浄水方法は、図4の実施形態のように電気分解装置と組み合わせる他に、段落[0002]に記載されるような他の浄水方法と組み合わせることにより、水の様々な機能を付加・複合等してもよい。更に、上記実施形態では、回転手段3、振動手段6、又は高圧水流発生手段を具体的な構成要素として挙げているが、1以上の孔を有するセラミックス部材を含み、少なくとも孔の周辺部分に水が高頻度で衝突することにより浄水効果を生む他の形態の浄水装置も本発明に含まれる。
【0014】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の孔を有するセラミックス部材を含み、
少なくとも前記孔の周辺部分に水が高頻度で衝突することにより浄水効果を生む浄水装置。
【請求項2】
前記セラミックス部材を前記水に対して高頻度で衝突するように相対運動させる、又は、前記水を前記セラミックス部材に対して高頻度で衝突するように相対運動させる相対運動発生手段を更に含む請求項1記載の浄水装置。
【請求項3】
前記相対運動発生手段は、前記セラミックス部材又は前記水を回転させる回転手段、又は前記セラミックス部材又は前記水を振動させる振動手段、又は前記水を高圧で前記セラミックス部材に当てる高圧水流発生手段、又はこれらの組み合わせである請求項2記載の浄水装置。
【請求項4】
前記回転手段は、手動又は電気モーター又は水力である請求項3記載の浄水装置。
【請求項5】
前記振動手段は、超音波振動発生装置である請求項3記載の浄水装置。
【請求項6】
前記高圧水流発生手段に接続されたノズル及び/又は前記セラミックス材は、水平移動手段及び/又は回転移動手段を用いて、高圧水流の前記セラミックス材へ衝突する位置を時間的に変化させる請求項3記載の浄水装置。
【請求項7】
容器及び磁石を更に含み、
前記セラミックス部材は前記磁石と前記容器を介して磁力により結合される結合部を含み、前記回転手段は前記磁石と結合され、これによって前記セラミックス部材が前記容器内で前記回転手段によって回転することができる請求項3又は4記載の浄水装置。
【請求項8】
電源及び電極を更に含み、
前記電極を用いて前記水の電気分解を行いながら、前記回転手段又は前記振動手段又は前記高圧水流供給手段によって浄水することができる請求項1〜7のいずれか1項記載の浄水装置。
【請求項9】
1以上の孔を有するセラミックス部材を水の中に配置する工程と、
前記セラミックス部材を回転手段により水中で回転させる工程を含み、これによって少なくとも前記孔の周辺部分に水が高頻度で衝突することにより水を浄化する浄水方法。
【請求項10】
1以上の孔を有するセラミックス部材を水の中に配置する工程と、
前記セラミックス部材を振動手段により水中で振動させる工程を含み、これによって少なくとも前記孔の周辺部分に水が高頻度で衝突することにより水を浄化する浄水方法。
【請求項11】
1以上の孔を有するセラミックス部材を容器の中に配置する工程と、
前記セラミックス部材に対して高圧水流供給手段により高圧水流を当てる工程を含み、これによって少なくとも前記孔の周辺部分に水が高頻度で衝突することにより水を浄化する浄水方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−52383(P2013−52383A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208061(P2011−208061)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【特許番号】特許第5129383号(P5129383)
【特許公報発行日】平成25年1月30日(2013.1.30)
【出願人】(308030662)
【Fターム(参考)】