説明

浄水装置

【課題】 浄化部よりも上流側に位置する一次側流路を殺菌できるとともに、浄化部よりも下流側に位置する二次側流路をも確実に殺菌できる浄水装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る浄水装置1は、原水を浄化することによって浄水を生成する浄化部10と、殺菌成分を含むオゾンガスを生成するオゾン生成部80とを備える。オゾン生成部80には、浄化部10よりも上流側に位置する一次側流路110にオゾンガスを導く一次側環流路81と、浄化部10よりも下流側に位置する二次側流路120にオゾンガスを導く二次側環流路82とが連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水を浄化して浄水を生成する浄化部を備えた浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、活性炭等を備えた浄化部によって、水道水等の原水を浄化して浄水を生成する浄水装置について、様々な提案がなされている。
【0003】
例えば、粗目の濾過膜や活性炭などカートリッジを収容する浄化タンク(浄化部)と、鉱石砕片を収容するミネラル鉱石タンクと、オゾンガスを生成するオゾン生成手段(流体生成部)と、微細な濾過膜を収容する精密ろ過タンクとを備える浄水装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この浄水装置では、浄化タンク、ミネラル鉱石タンク、オゾン生成手段及び精密ろ過タンクの順に原水が循環される。この際、オゾン生成手段から流出するオゾンガスは、浄化タンクの上流側に循環するため、浄水装置内を衛生的に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−197656号公報(第2〜第3頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の浄水装置では、浄化部よりも上流側に位置する流路(いわゆる、一次側流路)は殺菌されるものの、オゾン生成部により生成されたオゾンガスが浄化タンク(活性炭)を通過することによって無害化されてしまう。このため、浄化タンクの下流側に位置する流路(いわゆる、二次側流路)がオゾンガスにより殺菌されにくく、二次側流路が必ずしも衛生的であるとは限らなかった。
【0007】
そこで、本発明は、浄化部よりも上流側に位置する一次側流路を殺菌できるとともに、浄化部よりも下流側に位置する二次側流路をも確実に殺菌できる浄水装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、原水を浄化することによって浄水を生成する浄化部(浄化部10)と、殺菌成分を含む流体(例えば、オゾンガス)を生成する流体生成部(オゾン生成部80)とを備える浄水装置(浄水装置1)であって、前記流体生成部には、前記浄化部よりも上流側に位置する一次側流路(一次側流路110)に前記流体を導く一次側環流路(一次側環流路81)と、前記浄化部よりも下流側に位置する二次側流路に前記流体を導く二次側環流路(二次側環流路82)とが連通することを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記浄化部を通過した前記流体を前記流体生成部に導く環流路83を備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記原水又は前記流体を外部に排出する排出部(原水用ドレン33)を備え、前記浄化部は、前記排出部に接続されることを要旨とする。
【0011】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1乃至第3の特徴に係り、前記一次側流路又は前記二次側流路の何れかに前記流体を通過させる流路切替機構(流路切替弁86)を備えることを要旨とする。
【0012】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第4の特徴に係り、前記一次側流路に設けられ、前記流体の濃度を検知する一次側検知手段(一次側センサ36)を備えることを要旨とする。
【0013】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至第5の特徴に係り、前記二次側流路に設けられ、前記流体の濃度を検知する二次側検知手段(二次側センサ56)を備えることを要旨とする。
【0014】
本発明の第7の特徴は、本発明の第1乃至第6の特徴に係り、前記浄化部は、前記流体を無害化する活性炭を有することを要旨とする。
【0015】
本発明の第8の特徴は、本発明の第1乃至第7の特徴に係り、前記流体を無害化する流体無害化手段(流体無害化手段57)を備えることを要旨とする。
【0016】
本発明の第9の特徴は、本発明の第8の特徴に係り、前記流体無害化手段は、紫外線を発生させることにより前記流体を無害化することを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の特徴によれば、浄化部よりも上流側に位置する一次側流路を殺菌できるとともに、浄化部よりも下流側に位置する二次側流路をも確実に殺菌できる浄水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、第1実施形態に係る浄水装置1を示す構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る浄水装置1を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1実施形態の変更例1に係る浄水装置1Aを示す構成図である。
【図4】図4は、第1実施形態の変更例2に係る浄水装置1Bを示す構成図である。
【図5】図5は、第1実施形態の変更例3に係る浄水装置1Cを示す構成図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係る浄水装置2を示す構成図である。
【図7】図7は、第3実施形態に係る浄水装置3を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る浄水装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)第1実施形態、(2)第2実施形態、(3)第3実施形態、(4)その他の実施形態について説明する。
【0020】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0021】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0022】
(1)第1実施形態
(1−1)浄水装置1の構成
まず、第1実施形態に係る浄水装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る浄水装置1を示す構成図である。図2は、第1実施形態に係る浄水装置1を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、浄水装置1は、水道水などの原水を浄水する装置である。具体的には、浄水装置1は、原水を浄化することによって浄水を生成する浄化部10を備えている。浄化部10は、第1カートリッジ11と、活性炭を含む第2カートリッジ12と、第3カートリッジ13とによって構成される。
【0024】
第1カートリッジ11及び第2カートリッジ12は、活性炭を含んでいる。第3カートリッジ13は、RO(逆浸透)やNF、UF(限外ろ過)、MF(精密ろ過)などを含んでいる。第3カートリッジ13は、第1カートリッジ11及び第2カートリッジ12の間において、第1カートリッジ11及び第2カートリッジ12のそれぞれに接続される。
【0025】
このような浄化部10の上流側には、原水が通過する一次側流路110が配接される。一次側流路110は、第1カートリッジ11に接続される。この一次側流路110には、原水を供給する原水供給蓋体20と、原水供給蓋体20が供給された原水を貯水する原水貯水部30と、原水貯水部30に貯水された原水を下流側へ送り込む原水ポンプ40とが配接される。
【0026】
原水供給蓋体20は、浄水装置1の上部に配設される。この原水供給蓋体20から供給された原水は、原水貯水部30に流入する。原水貯水部30内には、原水の状態(水位や水量)を検知するセンサ31が設けられる。なお、原水の状態とは、原水の化学的成分や物理的及び電気的な性質等の全般的な性質を示し、センサ31は、それら各性質の少なくとも1つで原水の状態を検知するような構成であればよい。また、原水貯水部30には、原水が通過する原水排出管32を介して、原水を排出する原水用ドレン33(排出部)が接続される。
【0027】
一方で、浄化部10の下流側には、浄化部10によって生成された浄水が通過する二次側流路120が配接される。二次側流路120は、第2カートリッジ12に接続される。この二次側流路120には、浄化部10によって生成された浄水を貯水する浄水貯水部50と、浄水貯水部50に貯水された浄水を下流側又は上流側へ送り込む浄水ポンプ60と、浄水を吐出する吐出部70とが配設される。
【0028】
浄水貯水部50内には、浄水の状態(水位や水量)を検知するセンサ51が設けられる。なお、浄水の状態とは、原水の状態と同様に浄水の化学的成分や物理的及び電気的な性質等の全般的な性質を示し、センサ51は、それら各性質の少なくとも1つで浄水の状態を検知するような構成であればよい。
【0029】
また、浄水貯水部50には、浄水が通過する浄水排出管52を介して、浄水を排出する浄水用ドレン53(排出部)が接続される。また、浄水貯水部50は、浄水ポンプ60を介して吐出部70に接続される。この吐出部70には、浄水を吐出する吐出口71と、吐出口71を封止する逆流防止弁72が設けられる。
【0030】
このような浄水装置1は、殺菌成分を含むオゾンガス(流体)を生成するオゾン生成部80(オゾン生成装置)を備えている。オゾン生成部80は、オゾン紫外線方式によってオゾンガスを生成する。オゾン生成部80は、浄化部10よりも上流側に位置する一次側流路110、及び、浄化部10よりも下流側に位置する二次側流路120にオゾンガスを注入する。
【0031】
具体的には、オゾン生成部80には、一次側環流路81と、二次側環流路82と、環流路83とが連通する。一次側環流路81は、オゾン生成部80で生成されたオゾンガスを一次側流路110(本実施形態では、原水貯水部30)に導く。二次側環流路82は、オゾン生成部80で生成されたオゾンガスを二次側流路120に導く。環流路83は、浄化部10(第1カートリッジ11及び第2カートリッジ12)を通過したオゾンガスを、バイパス弁85を介してオゾン生成部80に導く。この環流路83から分岐して第2カートリッジ12に連通する流路には、逆流防止弁87が配設される。
【0032】
また、浄水装置1は、浄水装置1を操作(表示)可能な操作部90と、各部の制御や各種演算を行う制御部100とを備えている。
【0033】
操作部90は、通常モード或いは殺菌モードを選択可能に構成され、通常モード及び殺菌モードを含む情報を制御部100に送信する。なお、通常モードとは、浄化部10によって生成された浄水を吐出部70(吐出口71)から吐出する状態を示す。また、殺菌モードとは、浄水装置1内にオゾンガスを循環させる状態を示す。
【0034】
制御部100は、操作部90からの情報に基づいて、通常モード及び殺菌モードに切り替える。制御部100は、CPU、メモリ部、計時部などを有するコンピュータによって構成される。具体的には、図2に示すように、制御部100には、センサ31、原水用ドレン33、原水ポンプ40、センサ51、浄水ポンプ60、逆流防止弁72、オゾン生成部80、操作部90が接続される。
【0035】
(1−2)浄水装置1の動作
(1−2−1)通常モード
原水供給蓋体20が開けられて原水が原水貯水部30に貯水される。原水貯水部30内で原水が一定量貯水(例えば、満水)されると、原水ポンプ40が起動して、原水が一次側流路110を通過して浄化部10へ流れる。具体的には、原水は、第1カートリッジ11、第3カートリッジ13及び第2カートリッジ12の順に浄化部10を通過する。この原水が浄化部10を通過する間に、原水中の不純物や濁り、匂い、色、雑菌などが取り除かれて清浄な浄水が生成される。このとき、環流路83に配設されるバイパス弁85は、閉じた状態である。
【0036】
その後、浄水は、二次側流路120を通過して浄水貯水部50に貯水される。浄水貯水部50内で浄水が一定量貯水(例えば、満水)されると、原水ポンプ40が停止する。この状態において、操作部90により通常モードが選択される(スイッチがオンとなる)と、浄水ポンプ60が起動して、浄水貯水部50内の浄水は、吐出口71から外部へ吐出される。
【0037】
(1−2−2)殺菌モード
操作部90により殺菌モードが選択されると、原水貯水部30内の原水は、原水排出管32を介して排水される。また、浄水貯水部50内の浄水は、浄水排出管52を介して排水される。そして、オゾン生成部80が起動し、内部の気体を原料としてオゾンガスが生成される。このオゾンガスが一次側流路110及び二次側流路120を通過することによって、一次側流路110及び二次側流路120を殺菌する。
【0038】
具体的には、一次側流路110を殺菌する際、オゾンガスは、一次側環流路81及び一次側流路110を介して、原水貯水部30、第1カートリッジ11を順に通過する。そして、環流路83に配設されるバイパス弁85が開くことによって、第1カートリッジ11を通過することで無害化された空気は、環流路83を介してオゾン生成部80に環流する。なお、無害化とは、人体に悪影響を及ぼすおそれのあるある物質(副生物)が吐出口71から吐出する浄水に存在しないようにすることを示す。
【0039】
一方で、オゾンガスによって二次側流路120を殺菌する場合、オゾンガスは、二次側環流路82や二次側流路120を介して、浄水貯水部50、第2カートリッジ12を順に通過する。そして、環流路83に配設されるバイパス弁85が開くことによって、第2カートリッジ12を通過することで無害化された空気は、環流路83を介してオゾン生成部80に環流する。
【0040】
(1−3)作用・効果
以上説明した第1実施形態では、オゾン生成部80には、一次側環流路81及び二次側環流路82が連通する。これにより、オゾン生成部80によって生成されたオゾンガスを、一次側環流路81を介して一次側流路110に通過させることができ、二次側環流路82を介して二次側流路120に通過させることができる。このため、一次側流路110を殺菌できるとともに、二次側流路120をも確実に殺菌できるため、浄水装置1内を衛生的に保つことができる。
【0041】
第1実施形態では、浄水装置1は、浄化部10を通過したオゾンガスをオゾン生成部80に導く環流路83を備える。これにより、浄水装置1内でオゾンガスを循環させることができる。このため、オゾンガスが浄水装置1外へ漏れにくくなるため、安全性を高めることができる。また、浄水装置1外から常に気体を注入し続ける場合と比較して、浄水装置1の消費エネルギーを低減させることができる。
【0042】
第1実施形態では、浄化部10は、オゾンガスを無害化する活性炭を有する。すなわち、第1カートリッジ11及び第2カートリッジ12は、活性炭を含んでいる。これにより、第1カートリッジ11及び第2カートリッジ12を通過するオゾンガスを無害化することができる。このため、浄水装置1内にオゾンガスを無害化する装置を設けることなく、オゾンガスを無害化する装置を設ける場合と比較して、製造コストを低減できる。また、一次側環流路81、一次側流路110、二次側環流路82、二次側流路120及び環流路83の各流路内で、オゾンガスの濃度が上がりすぎることを抑制できる。このため、各流路内の腐蝕や劣化を抑制することができる。
【0043】
第1実施形態では、浄水装置1は、一次側流路110を殺菌する場合であっても、二次側流路120を殺菌する場合であっても、オゾンガスを浄化部10に通過させている。これにより、オゾンガスを無害化することができ、一次側環流路81、一次側流路110、二次側環流路82、二次側流路120及び環流路83の各流路内でオゾンガスが滞留することを防止できる。
【0044】
第1実施形態では、一次側流路110を殺菌する場合、オゾンガスは、一次側環流路81及び一次側流路110に加えて、原水貯水部30及び原水ポンプ40も通過する。また、二次側流路120を殺菌する場合、オゾンガスは、二次側環流路82及び二次側流路120に加えて、浄水貯水部50及び浄水ポンプ60も通過する。このため、原水貯水部30や原水ポンプ40、浄水貯水部50や浄水ポンプ60をも殺菌できる。
【0045】
(1−4)変更例
次に、上述した第1実施形態に係る浄水装置1の変更例について、図面を参照しながら説明する。なお、上述した第1実施形態に係る浄水装置1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0046】
(1−4−1)変更例1
まず、第1実施形態の変更例1に係る浄水装置1Aの構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態の変更例1に係る浄水装置1Aを示す構成図である。
【0047】
上述した第1実施形態では、浄化部10には、一次側流路110及び二次側流路120が連通している。これに対して、変更例1では、以下の構成が異なる。すなわち、図3に示すように、浄化部10には、原水用ドレン33(排出部)に接続される。
【0048】
具体的には、浄化部10では、原水排出管32から分岐する浄化部排水管32Aが第1カートリッジ11、第2カートリッジ12及び第3カートリッジ13のそれぞれに連通している。この浄化部10は、浄水装置1A内において最も下方に配置されている。
【0049】
また、原水排出管32には、浄化部10から排出される浄水が原水貯水部30に流入することを防止する逆流防止弁35が配設される。逆流防止弁35は、制御部100によって開閉可能に制御される。
【0050】
ここで、浄化部10には、必ずしも原水排出管32から分岐する浄化部排水管32Aが連通する必要はない。例えば、浄化部10には、浄水排出管52から分岐する排水管が連通していてもよい。
【0051】
このような変更例1では、浄化部10には、浄化部排水管32Aが連通し、原水用ドレン33が接続される。これにより、原水用ドレン33が開くことにより浄化部10内の水(浄水)を効率的に排出できる。特に、浄化部10が浄水装置1A内において最も下方に配置されることによって、浄化部10内の水をより効率的に排出できる。このため、浄化部10を通過するオゾンガスが水により薄くなり過ぎることなく、一次側流路110及び二次側流路120をより確実に殺菌できる。
【0052】
(1−4−2)変更例2
次に、第1実施形態の変更例2に係る浄水装置1Bの構成について、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態の変更例2に係る浄水装置1Bを示す構成図である。
【0053】
変更例2では、上述した変更例1に係る浄水装置1Aの構成に加えて、以下の構成をさらに備えている。すなわち、図4に示すように、浄水装置1Bは、一次側環流路81(一次側流路110)又は二次側環流路82(二次側流路120)の何れかにオゾンガスを通過させる流路切替弁86(流路切替機構)を備えている。
【0054】
流路切替弁86は、制御部100に接続される。制御部100は、一次側環流路81にオゾンガスを通過させるか、或いは、二次側環流路82にオゾンガスを通過させるか、一次側環流路81及び二次側環流路82を封止するかを判断する。
【0055】
このような変更例2では、浄水装置1Bは、流路切替弁86を備えている。これにより、一次側流路110のみを殺菌する場合や、二次側流路120のみを殺菌する場合を選択できる。例えば、一次側流路110を3回殺菌することに対して、二次側流路120を1回殺菌することなども可能となる。このため、浄水装置1B内をより効率的に殺菌できる。また、殺菌する必要がない流路にオゾンガスを通過させる必要がないため、浄化部10(各カートリッジ)の寿命を向上させることができ、浄水装置1Bの消費エネルギーも低減できる。
【0056】
(1−4−3)変更例3
次に、第1実施形態の変更例3に係る浄水装置1Cの構成について、図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態の変更例3に係る浄水装置1Cを示す構成図である。
【0057】
変更例3では、上述した変更例2に係る浄水装置1Bの構成に加えて、以下の構成をさらに備えている。すなわち、図5に示すように、浄水装置1Bは、一次側センサ36(一次側検知手段)と、二次側センサ56(二次側検知手段)とをさらに備えている。
【0058】
一次側センサ36は、一次側流路110に設けられ、一次側流路110や原水貯水部30の状態(例えば、原水の水質や透明度、オゾン濃度)を検知する。なお、原水貯水部30の状態とは、原水の化学的成分や物理的及び電気的な性質等の全般的な性質を示し、一次側センサ36は、それら各性質の少なくとも1つで原水の状態を検知するような構成であればよい。変更例3では、一次側センサ36は、原水貯水部30内に設けられる。
【0059】
一方、二次側センサ56は、二次側流路120に設けられ、二次側流路120や浄水ポンプ60の状態(例えば、浄水の水質や透明度、オゾン濃度)を検知する。なお、二次側流路120や浄水ポンプ60の状態とは、浄水の化学的成分や物理的及び電気的な性質等の全般的な性質を示し、二次側センサ56は、それら各性質の少なくとも1つで浄水の状態や浄水ポンプ60の状態を検知するような構成であればよい。変更例3では、二次側センサ56は、浄水ポンプ60内に設けられる。
【0060】
このような一次側センサ36及び二次側センサ56は、導電率センサおよび透明度センサを用いることが好ましいが、これ以外にも目的に応じてpH/ORPセンサや溶存酸素を検知するセンサなどであってもよい。
【0061】
また、一次側センサ36及び二次側センサ56は、制御部100と接続される。例えば、制御部100は、タイマーにより殺菌可能な時間が経過したと判断した場合に、流路切替弁86の開閉を制御してもよい。また、制御部100は、濃度センサ、半導体センサ、光学センサなどによって殺菌されたことを検知した場合に、流路切替弁86の開閉を制御してもよい。
【0062】
ここで、一次側センサ36は、必ずしも原水貯水部30内に設けられる必要はなく、少なくとも一次側流路110の状態を検知できればよい。例えば、作業者が一次側流路110の状態を把握する際のみ、一次側センサ36を浄水装置1とは別体の装置として一次側流路110内に設置するものであってもよい。同様に、二次側センサ56についても、少なくとも二次側流路120の状態を検知できればよい。
【0063】
このような変更例3では、一次側センサ36は、一次側流路110や原水貯水部30の状態(原水の水質や透明度、オゾン濃度)を検知する。これにより、一次側流路110や原水貯水部30の状態によって一次側流路110や原水貯水部30等を殺菌するタイミングを計ることができる。また、浄水装置1Bの使用状況、原水の水質に応じて殺菌モードの頻度を変えたり、殺菌力を調整することもできる。同様に、二次側センサ56は、二次側流路120や浄水ポンプ60の状態(浄水の水質や透明度、オゾン濃度)を検知する。これにより、二次側流路120や浄水ポンプ60の状態によって二次側流路120や浄水ポンプ60等を殺菌するタイミングを計ることもできる。
【0064】
このため、殺菌する必要がない流路にオゾンガスを通過させる必要がないため、浄化部10(各カートリッジ)の寿命を向上させることができ、浄水装置1Bの消費エネルギーも低減できる。
【0065】
ここで、制御部100は、一次側センサ36や二次側センサ56によって測定された情報と、予め記憶する情報とを比較して、殺菌するタイミングを計ってもよい。この殺菌するタイミングは、殺菌モード後からの経過時間、使用頻度などによって、次回の殺菌時期が報知されるものであってもよく、予めプログラム化されていてもよい。また、制御部100は、原水と浄水の水質の差異を監視することにより、各カードリッジの異常や寿命を判定してもよい。
【0066】
(2)第2実施形態
以下において、第2実施形態に係る浄水装置2について、図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る浄水装置2を示す構成図である。なお、上述した第1実施形態に係る浄水装置1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0067】
上述した第1実施形態では、環流路83は、浄化部10を通過したオゾンガスをオゾン生成部80に導いている。これに対して、第2実施形態では、環流路83は、第1環流路83Aと、第2環流路83Bとによって構成される。
【0068】
図6に示すように、第1環流路83Aは、原水ポンプ40及びバイパス弁85を介して、一次側環流路81及び原水貯水部30を通過したオゾンガスを浄水貯水部50に導く。一方、第2環流路83Bは、バイパス弁88を介して浄水貯水部50から流出されるオゾンガスをオゾン生成部80に導く。
【0069】
ここで、第2実施形態では、第1カートリッジ11及び第2カートリッジ12は、活性炭以外のものある。例えば、第1カートリッジ11及び第2カートリッジ12として、第3カートリッジ13と同様に、RO(逆浸透)やNF、UF(限外ろ過)、MF(精密ろ過)などが挙げられる。
【0070】
この場合、浄水貯水部50内には、オゾンガスを無害化する流体無害化手段57が設けられる。流体無害化手段57は、オゾンガスを加熱することによりオゾンガスを無害化するヒータによって構成される。なお、流体無害化手段57は、必ずしもヒータによって構成される必要はなく、例えば、紫外線を発生させることによりオゾンガスを分解するランプやLEDによって構成されていてもよい。
【0071】
このような浄水装置2において、一次側流路110を殺菌する場合、オゾンガスは、一次側環流路81、一次側流路110、第1環流路83A、浄水貯水部50(流体無害化手段57)を順に通過する。そして、流体無害化手段57によって無害化されたオゾンガスは、第2環流路83Bを介してオゾン生成部80に環流する。
【0072】
一方、二次側流路120を殺菌する場合、オゾンガスは、二次側環流路82、二次側流路120、浄水貯水部50を順に通過する。そして、流体無害化手段57によって無害化されたオゾンガスは、第2環流路83Bを介してオゾン生成部80に環流する。
【0073】
以上説明した第2実施形態では、浄化部10(第1カートリッジ11及び第2カートリッジ12)が活性炭以外のものであっても、殺菌モードにおいてオゾンガスは、浄化部10を通過せずに、流体無害化手段57により無害化される。このため、浄化部10(第1カートリッジ11、第2カートリッジ12及び第3カートリッジ13)にオゾンガスによる負担が掛かることなく、浄化部10の寿命をさらに延ばすことができる。
【0074】
(3)第3実施形態
以下において、第3実施形態に係る浄水装置3について、図面を参照しながら説明する。図7は、第3実施形態に係る浄水装置3を示す構成図である。なお、上述した第1実施形態に係る浄水装置1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0075】
上述した第1実施形態では、環流路83は、浄化部10を通過したオゾンガスをオゾン生成部80に導いている。これに対して、第3実施形態では、図7に示すように、浄化部10を通過したオゾンガスを浄水装置3の外部に導いている。また、浄水装置3は、オゾンガスの原料となる空気などの気体をオゾン生成部80に導くオゾン原料配管84を備えている。これにより、オゾン生成部80は、オゾン原料配管84から流入された気体にオゾンを含ませてオゾンガス(混合空気)を生成できる。
【0076】
以上説明した第3実施形態では、オゾンガスを浄水装置3の外部に放出する。これにより、浄化部10を通過しても無害化しきれなかったオゾンガスが一次側環流路81、一次側流路110、二次側環流路82、二次側流路120及び環流路83の各流路内でオゾンガスが滞留することを防止できる。
【0077】
(4)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0078】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、浄水装置1は、殺菌モードが終了して通常モードに切り替わった直後においては、一定時間(例えば、10秒)浄水を流す構成であってもよい。また、浄水装置1は、一定時間浄水を流すこと等によって、オゾンガス(殺菌性流体))が浄水に残留しないことを報知する報知手段を備えていてもよい。
【0079】
また、浄化部10(第1カートリッジ11、第2カートリッジ12及び第3カートリッジ13)は、必ずしも活性炭やRO(逆浸透)やNF、UF(限外ろ過)、MF(精密ろ過)などである必要はない。例えば、浄化部10は、砂濾過、イオン交換樹脂などであってもよい。
【0080】
また、オゾン生成部80は、必ずしもオゾン紫外線方式によってオゾンガスを生成する必要はない。例えば、オゾン生成部80は、コロナ放電方式、沿面放電方式、グロー放電方式、無声放電方式、アーク放電方式、オゾン紫外線方式などによってオゾンを生成していてもよく、オゾンを発生できれば特に形式を問わない。
【0081】
また、オゾン生成部80は、オゾンガスを生成するに限らず、例えば、エチレンオキシド、ホルムアルデヒドなど殺菌成分を持つ気体を生成するものであってもよい。また、オゾン生成部80は、オゾンガスなどの気体に限らず、オゾンを含む水や次亜塩素酸を含む水などを生成するものであってもよい。
【0082】
また、オゾン生成部80は、遊離塩素、過酸化水素、オゾンなどが発生させる水電解装置によって構成されていてもよい。例えば、この水電解装置として、チタン、プラチナ、イリジウム、カーボンやそれらの混合物が挙げられるが、次亜塩素酸、過酸化水素、オゾンを発生できるものであれば特に形式を問わない。
【0083】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0084】
1,1A〜1C,2,3…浄水装置
10…浄化部
20…原水供給蓋体
30…原水貯水部
32…原水排出管
33…原水用ドレン
36…一次側センサ
40…原水ポンプ
50…浄水貯水部
53…浄水用ドレン
56…二次側センサ
57…流体無害化手段
60…浄水ポンプ
70…吐出部
80…オゾン生成部(流体生成部)
81…一次側環流路
82…二次側環流路
83…環流路
86…流路切替弁(流路切替機構)
90…表示操作部
100…制御部
110…一次側流路
120…二次側流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を浄化することによって浄水を生成する浄化部と、
殺菌成分を含む流体を生成する流体生成部と
を備える浄水装置であって、
前記流体生成部には、前記浄化部よりも上流側に位置する一次側流路に前記流体を導く一次側環流路と、前記浄化部よりも下流側に位置する二次側流路に前記流体を導く二次側環流路とが連通することを特徴とする浄水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浄水装置であって、
前記浄化部を通過した前記流体を前記流体生成部に導く環流流路を備えることを特徴とする浄水装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の浄水装置であって、
前記原水又は前記流体を外部に排出する排出部を備え、
前記浄化部は、前記排出部に接続されることを特徴とする浄水装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の浄水装置であって、
前記一次側流路又は前記二次側流路の何れかに前記流体を通過させる流路切替機構を備えることを特徴とする浄水装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の浄水装置であって、
前記一次側流路に設けられ、前記流体の濃度を検知する一次側検知手段を備えることを特徴とする浄水装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の浄水装置であって、
前記二次側流路に設けられ、前記流体の濃度を検知する二次側検知手段を備えることを特徴とする浄水装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の浄水装置であって、
前記浄化部は、前記流体を無害化する活性炭を有することを特徴とする浄水装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の浄水装置であって、
前記流体を無害化する流体無害化手段を備えることを特徴とする浄水装置。
【請求項9】
請求項8に記載の浄水装置であって、
前記流体無害化手段は、紫外線を発生させることにより前記流体を無害化することを特徴とする浄水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−217927(P2012−217927A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86241(P2011−86241)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】