説明

浄水装置

【課題】1つ以上の膜を介して液体を出力部へと移動させるために容器内を加圧する液体用容器が提供される。
【解決手段】容器100の実質的に全長にわたり延在し、気体より液体を優先して通過させる1つ以上の膜120(例えば、親水性かまたは親油性の膜)を提供することにより、空気より液体を優先して通す。その結果、容器内に格納された液体は、圧力をかけることによって、容器の向きに関係なく、膜を介して出口へと移動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水から不純物を除去する装置に関する。本発明は、いかなる向きでも機能する流体ディスペンサにも関する。
【背景技術】
【0002】
手近に利用できる飲料水源がない場合、水をボトルか他の容器に入れて携帯するのが一般的である。予めボトルに詰められた水は、安全な飲料水でなくてはならない。
【0003】
しかしながら、これには多くの問題点がある。ボトルに詰める水の品質を保証するのが難しく、また、多くの場合は不可能である。最も近い飲料水源から離れる時間を計算したり、旅行の際は適切な量の水を携帯する必要がある。人が携帯する水量には限界がある。しかしながら、必要な水の量は、旅程の遅れや条件の変化(例えば、暑くなって水を多く消費してしまうなど)に影響されやすい。極端な条件では、携帯飲料水がなくなると、死を招くおそれもある。
【0004】
さらに、人が周囲の環境から飲み水を選ぶ場合、化学物質により汚染されるか、あるいは、水中に本来生息しているバクテリアまたはウィルスなどを摂取することによって病気になるというリスクがある。加えて、人が塩水しか得られない場合、それを飲むとひどいことになる。海水を飲むと、発作、意識不明、および、脳障害を引き起こす脱水症状に陥る。極端な状況では、腎臓に過大な負荷がかかり、機能が停止する。これは死に至る。
【0005】
現在、浄化タブレット(化学消毒薬)を用いて水中のバクテリアおよびウィルスを殺すという1つの方法がある。しかしながら、この方法は、有害化学物質は除去しない。さらに、正確な使用説明書に従ったとしても、バクテリアまたはウィルスが死んでいないという危険は残る。それはなぜかと言うと、バクテリアやウィルスは、消毒薬が浸透できない水中の粒子状物質内に浮遊している場合が多いからである。したがって、この方法は、ユーザを保護するという点では信頼がおけず、ユーザを病気および/または死に陥いらせてしまう可能性が高い。さらに、これらの殺菌性の化学物質が水の中に残り、臭くて不快な後味をユーザに感じさせる。また、これらの化学消毒薬に耐性のない人もいる。
【0006】
現在における浄水の他の方法は、携帯可能な原始的なフィルタを用いることである。しかしながら、許容できる安全レベルまでバクテリアを除去できる携帯装置もあるが、それらは、フィルタの孔サイズが大きすぎてバクテリアを除去することは不可能である。フィルタの孔サイズは、濾過される材料が通り抜ける孔の直径である。それらは、化学物質を許容レベルまで除去することもやはり不可能である。さらに、それらは、水から塩分を取り除くこともできない。
【0007】
現在、水を携帯するかまたは浄化する方法はすべて、飲み水としての安全を保証する十分な濾過を行えないので、満足なものとはいえない。
【0008】
従来の液体運搬装置の分野で見つかっている他の問題点は、液体を供給すべきとき、液体運搬装置を特定の向きに保持することが通常必要だということである。このことが液体運搬装置をさまざまな状況で使用するには不便なものにしてしまう。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の側面によれば、水から不純物を除去する装置が提供される。装置は、液体タンク、フィルタ、および、出力部により規定される流体経路と、出力部が開位置にある場合、圧力差によって、水が流体経路に沿いフィルタを介し出力部まで流れるように、液体タンクを加圧する手段と、を備え、フィルタは、25ナノメートル以下の孔サイズを有する。
【0010】
好適な実施形態では、本発明は、超精密濾過用フィルタを含む水筒を提供する。水は、圧力をかけられてフィルタを通過する。これによって、容器が加圧されなくても、水を微細なフィルタに通し、飲み水とすることができる。したがって、本発明は、通常は携帯装置で用いられていない既存のフィルタタイプでも使用できるようにする。
【0011】
25ナノメートル以下の孔サイズは、液体からウィルスを含むほとんどの微生物を除去するのに十分なので、安全な飲料水を提供することができ、さらにより効果的な携帯水濾過システムがすでに利用可能である。しかしながら、さらなる安全のために、本発明の好適な実施形態は、20ナノメートル以下の孔サイズを有し、さらに好ましくは、15ナノメートル以下の孔サイズを有する。
【0012】
周知のごとく、材料の孔サイズは、実際、材料における個々の孔(またはホール)のサイズの平均である。これは、多数の孔がある材料では、個々のサイズにいくらかばらつきが出てくるためである。本発明で用いられる好適なフィルタは、最大孔サイズと最小孔サイズとの間の差を最小限にするよう、孔サイズ分布を厳密に定義している。好ましくは、孔サイズ分布の標準偏差は、平均孔サイズの30%未満であり、より好ましくは、平均孔サイズの15%未満である。本発明の好適な実施形態では、フィルタは、30ナノメートル以下、より好ましくは、25ナノメートル以下、最も好ましくは、20ナノメートル以下の最大孔サイズを有する。他の実施形態では、例えば、最大孔サイズは、ナノ濾過または逆浸透を実行すべく、さらに小さくてもよい。
【0013】
本発明に使用される好適なフィルタは、0.01ミクロンより大きいすべての粒子を除去する限外濾過に適する。他の好適な実施形態では、フィルタは、ナノ濾過、または、逆浸透に適する。逆浸透フィルタは、純水(HO)以外のすべて(塩および油を含む)を液体から除去することができる。ナノ濾過は、0.001ミクロンより大きい粒子(水溶塩を含む)を除去する。
【0014】
フィルタは、複数のサブフィルタから形成されてよい。サブフィルタは、それぞれの正確なレプリカであってもよく、あるいは、いかなるパラメータにおいて異なっていてもよい。例えば、サブフィルタは、流体経路に沿い、次第に微細になって(次第に孔サイズが小さくなって)いってもよい。
【0015】
必要に応じて、流体経路に追加のフィルタを配置してもよい。
【0016】
好ましくは、本発明の装置は、任意の大きさの圧力差を用いて水を濾過する。例えば、好適な実施形態の動作圧力差は、好ましくは、10kPaであり、より好ましくは、50kPaから1500kPaの範囲であり、より好ましくは、100kPaから1000kPaの範囲であり、さらに好ましくは、150kPaから300kPaの範囲である。
【0017】
本発明のフィルタは、好ましくは、膜フィルタであって、好ましくは、少なくとも1つの親水性膜を含む。親水性膜は、水を引き付けるので、水は、他の液体および気体より優先的に親水性膜を透過する。この方法では、改良された好適な実施形態により提供される濾過ばかりでなく、液体に完全に浸漬されていないフィルタでも使用することができる。
【0018】
本発明の膜フィルタ材料の表面積は、好ましくは、0.05mより大きく、より好ましくは、0.1mより大きく、より好ましくは、0.2mより大きく、さらに好ましくは、0.25mより大きい。好適な表面積は、約0.3mである。好ましくは、表面積は、1mより小さい。
【0019】
好ましくは、膜は、キャピラリ膜であり、さらに好ましくは、半透膜である。膜は、当該膜の孔サイズより小さい粒子のみを通過させながら水を濾過する。繊維膜は、炭素、または、他の化学元素、あるいは、逆浸透膜を含みうる。異なるタイプのフィルタ膜の組合せも本発明のフィルタに含まれてよい。それらは、限外濾過、ナノ濾過、および、逆浸透膜を含んでよい。
【0020】
水は、キャピラリ膜に浸入すると、当該膜の管状構造に沿って出力部まで移動する。その結果、水は、膜に沿ういかなるポイントからも出ることができ、濾過される間に出力部に達する。
【0021】
好ましくは、フィルタは、液体タンクの実質的に全長に沿って配されることにより、タンク内のいかなる液体も膜と接触することを保証し、気体より液体を優先して通す。好ましくは、フィルタは、タンクの全長の70%以上であり、より好ましくは、80%以上であり、さらに好ましくは、90%以上である。これは、容器と外気との間に圧力差が存在して出力部が開く場合、容器内の液体は、装置の向きに関係なくフィルタを通過して出力部に向かうことを意味する。このように、本発明の好適な実施形態では、いかなる向きの容器からも液体を排出することができる。
【0022】
好ましくは、出力部は、流量制限器を含む。好適な実施形態では、出力部は、開位置および閉位置を有するノズルであり、当該ノズルが開位置にあるとき、装置から液体が排出されてよい。
【0023】
好ましくは、加圧手段は、ポンプを含む。より好ましくは、ポンプは、手動ポンプである。あるいは、圧縮気体、または、化学反応体などの他の加圧手段も用いられてよい。
【0024】
好ましくは、ポンプは、空気を容器に通す逆止弁と、空気が逆止弁を通るようにピストンヘッドが内部を移動できるピストン軸とを有するピストンポンプである。
【0025】
1つの好適な実施形態では、ポンプは、液体タンクを補充できるよう装置から着脱可能である。
【0026】
1つの好適な実施形態では、ピストン軸は、フィルタを貫通する。好ましくは、液体タンク、フィルタ、および、ピストン軸は、実質的に円筒形であり、実質的に同じ中心軸を有する。本発明のこれらの好適な特徴により、小型の装置が実現されるので、装置の携帯性を高めることができる。
【0027】
好ましくは、フィルタは、複数の孔の開いた外壁を有する環状ハウジングを有する。本発明の1つの好適な実施形態では、フィルタは、実質的に円筒形である。好ましくは、孔は、実質的にフィルタの全長にわたり分布している。
【0028】
フィルタは、好ましくは、装置から着脱可能である。これによって、必要に応じてフィルタを洗浄し、交換することができる。
【0029】
本発明は、装置の中身を観察できる視覚インジケータも有しうる。例えば、液体タンクに透明な窓が配されてよい。
【0030】
好ましくは、本発明は、圧力調整器を有する。例えば、圧力調整手段は、容器内の圧力が予め決められたレベルを超えた場合、液体および/または空気を放出する放出弁を有してよい。
【0031】
好ましくは、膜は、液体タンクの長さの少なくとも90%に沿って配される。さらに、液体タンクの全長と直交する平面における膜の外周は、好ましくは、当該平面における液体タンクの面積の50%以上の面積を規定する。例えば、膜は、液体タンクを囲むか、または、液体タンク内に配されている場合は、実質的に液体タンク全域に延在する。これによって、液体と膜とが常時接触することを確実にする。
【0032】
本発明の原理は、水フィルタ以外の他の局面においても利点を見出すことができている。例えば、中でもスプレー塗料、脱臭剤、香水に用いられるディスペンサは、従来、特に容器内の液位が低いときは、所定の向きで持つ必要がある。
【0033】
本発明の第2の側面によれば、流体送出装置が提供される。流体送出装置は、液体タンク、1つ以上の膜、および、出力部により規定される流体経路と、液体タンクを加圧する手段と、を備え、流体経路は、出力部が開位置にある場合、圧力差によって、液体が流体経路に沿い1つ以上の膜を介し出力部まで流れるように配置され、1つ以上の膜と液体タンクとは、実質的にいかなる向きでも当該液体タンク内の液体が膜と接触するよう配置され、1つ以上の膜は、気体より液体を優先して通す。
【0034】
本発明の第2の側面は、いかなる向きの流体送出装置からも流体を排出できる。その用途は、水の排出に限らず、あらゆる液体にも用いることができる。また、圧力は空気によって提供される必要はなく、気体によって提供されてよい。さらに、濾過を要求されない装置であれば、膜の孔サイズは、装置から特定の物質を除去するための必要条件によって限定される必要はない。孔サイズは、むしろ、液体の粘度、膜の表面積、および、印加される圧力などの変数に基づき、特定の装置の必要条件に従い選ばれる。
【0035】
好ましくは、1つ以上の膜は、液体タンクの実質的に全長にわたり延在する。
【0036】
液体タンクを加圧する手段は、ポンプなどの機械的手段を含んでよい。あるいは、加圧手段は、装置を組み立てる前または間に液体タンクを予め加圧することを含んでよい。さらに、化学的手段など、タンクを加圧する他の手段も想定される。
【0037】
1つ以上の膜は、フィルタとして機能する必要はないが、気体より液体を優先して通過させる。装置は、液体タンクの向きに関わらず、当該液体タンク内の液体と1つ以上の膜が常に接触するよう配置される。1つの好適な実施形態では、液体タンクの側壁は、1つ以上の膜で実質的に覆われる。
【0038】
本発明の第3の側面によれば、水から不純物を除去する装置が提供される。装置は、液体タンク、フィルタ、および、出力部により規定される流体経路と、出力部が開位置にある場合、圧力差によって、水が流体経路に沿いフィルタを介し出力部まで流れるように、液体タンクを加圧するポンプと、を備え、ポンプは、液体タンク内に空気を送り込む逆止弁と、逆止弁に空気が送り込まれるようピストンヘッドが内部を移動できるピストン軸と、を有し、ピストン軸は、フィルタにより実質的に囲まれる。
【0039】
本発明の第3の側面の好適な実施形態は、フィルタ付き携帯水筒を提供する。当該水筒は、小型で人間工学的な設計である。ピストン軸がフィルタの中心を貫通することにより、装置内の空間を効率良く利用できると共に、安定したポンプ動作を提供する。ピストンの動作または位置に妨げられることなく、フィルタの表面積は最適化されることができる。
【0040】
好ましくは、第3の側面におけるフィルタは、液体タンクの全長にわたり配されており、気体より液体を優先して通過させる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の一例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
【図1】本発明に従う装置を示す。
【0043】
【図2】図1の装置の断面図である。
【0044】
【図3】本発明の好適な実施形態で用いられうる交換可能なフィルタカートリッジの断面図である。
【0045】
【図4】本発明の好適な実施形態で用いられうるポンプの詳細断面図である。
【0046】
【図5】本発明におけるスプレー缶の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の説明は、本発明の特定の実施形態に関する。本発明の有益な効果は、不純物の混入した水源から飲料水を提供することができる効果的な水フィルタを取り入れた水筒を提供する。しかしながら、本発明の他の用途も想定され、以下の説明から明らかになろう。本発明は、加圧された容器から液体を供給することが望まれるあらゆる状況で用いられうる。例えば、塗料をスプレーするために使用される容器は、本発明の有益な効果の結果として、いかなる向きでも機能できる。特に、以下の実施形態に関して説明される半透膜は、濾過の目的で用いられ、以下、「フィルタ」の一部と称されるが、本発明の原理は、濾過に依存しない課題にも等しく当てはまる。
【0048】
図1は、本発明に従い設計された水筒を示す。水筒は、液体タンクとして機能する容器10を有し、当該容器10は、一端にはキャップ50および蓋60が取り付けられ、多端には着脱可能なベース30が取り付けられている。ハンドル40は、ベース30と一体的に形成されているが、容器10の軸に沿って自由度を有する。水筒を作製する場合は、水からも空気からも密閉する。図1には、携帯性を高めるために容器に取り付けられたストラップ70も示されている。
【0049】
図2は、図1に示されるボトルの断面図である。図2からわかるように、フィルタカートリッジ20は、容器10内に配置される。フィルタカートリッジ20は、ベース30と当接し、ネジ山54によってキャップ50も着脱可能に取り付けられている。さまざまな食品用シール12が配されることにより、フィルタカートリッジ20とキャップ50との間を密閉し、キャップ50およびベース30は、どちらも水密および気密性である。
【0050】
ハンドル40は、ピストン軸42と、当該ピストン軸42を貫通するピストンヘッド44とを有するポンプに接続される。ベース30が容器に接続されると(図2に示すように)、ピストン軸42がフィルタ20の中空部を貫通する。この例では、ベース30は、気密および水密での接続を確実にするよう配された食品用シールを用い、ネジ山14によって容器10に着脱可能に取り付けられる。
【0051】
ハンドル40およびピストンヘッド44は、ハンドル40が移動することにより、ピストンヘッド44がピストン軸42内を移動するよう、互いに対して固定されている。逆止弁46は、ピストン軸42の末端にあり、ピストンヘッド44がピストン軸42内に移動することにより、容器10内に空気が入ることを可能にし、それによって、容器10内の圧力が上昇する一方で、ピストン軸の末端からヘッドが離れることにより印加された圧力が除去されないようにする。
【0052】
ハンドル40は、私物を収納するためのキャビティを含みうることが想定されている。ハンドル40は、使用されないときは、(例えば、ハンドルからベース内へと適切に設計された突出部などを通じて)ベース30内に収納されることもできる。
【0053】
図に示される実施形態は、容器を加圧するために手動ポンプ機構を用いているが、当業者であれば、容器を加圧する他の手段も本発明に従い用いられうることが理解できよう。例えば、圧縮気体、または、容器を変形させるための手段も用いられうる。例えば、容器自体が柔軟であることにより、ユーザが容器を絞ることによって加圧できるようにしてもよい。
【0054】
本実施形態に示されるポンプのサンプルは、1:1ポンプである。これは、ポンプを作動させるためにユーザが加えなければならない圧力が容器内の圧力と等しいということである。そうはいうものの、本発明のポンプに従うラチェットまたはギアシステムを用いることもできる。これらの機構は、手動でポンプを作動させるのを簡単にし、(その結果、他の方法を用いるよりも、より大きいレベルまで容器内の圧力を上昇させることができる)。
【0055】
図2に示すように、フィルタは、ネジ山52によりキャップ50に封止される。キャップ50は、ノズルとして有効に機能し、液体がノズル50を通過できないように、閉位置にある場合は液封じと係合するくわえることができない(non−chewable)の飲み口52を有する。飲み口52が開位置にあるとき、液体は、ノズル50を通過しうる。この好適な実施形態では、飲み口52は、その軸に対してねじりを加えられることによりことにより、閉位置(図2に示す)に収納されてよい。ノズル50およびフィルタ20が図2に示されるような所定の位置に封止される場合、液体は、フィルタ20を介してのみノズル50に入ることができる。
【0056】
キャップ50は、付加的な炭素フィルタ56を有してよく、当該炭素フィルタ56は、内部に埋め込まれたネジ58によってキャップ50の構造に取り付けられる。装置は、液体がキャップ50を介しボトルから出る前に、確実に炭素フィルタ56を通過するよう構成される。炭素フィルタは、水から化学物質を除去するのに有効であることが知られている。あるいはまた、キャップ50内に異なるフィルタが組み込まれてもよい。例えば、樹脂フィルタは、有効な脱塩フィルタとして知られている。当該または他のタイプのフィルタもフィルタカートリッジ20に組み込まれてよい。
【0057】
好適な実施形態で用いられている炭素フィルタは、活性炭素フィルタであるが、他のタイプの炭素系フィルタ(活性炭フィルタなど)も用いられてよい。
【0058】
吸着として知られるプロセスを利用する炭素濾過は、塩素除去に特に有効な技術である。炭素は、農薬、除草剤、および、他の有機汚染物質(特に揮発性有機肥料)も除去することができる。
【0059】
炭素は、水からトリハロメタンも除去しうる。トリハロメタンは、公共の上水道で塩素と腐敗性有機物とが相互作用することにより生じた一種の化学物質である。この化学物質は、発がん物質であることが知られており、近年、地方の上水道で高レベルで検出されたことが懸念されている。
【0060】
活性炭フィルタ(ACFと称する)、または、粉末など他の形状の炭素は、一般的に、蒸気、および/または、二酸化炭素、および/または、アンモニアなどの活性ガス内において高温で炭化材料を活性化することにより製造される。炭化繊維は、不活性雰囲気中でポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ピッチまたはセルロース繊維を炭化することによって形成される。このような方法は、周知の技術である。
【0061】
活性炭、特に、既知の活性炭素繊維は、有機物質に対する優れた吸着力と、水から塩素を除去する優れた能力とを有する。本発明は、周知の技術である標準的な活性炭素繊維フィルタを用いるか、または、改良された活性炭素繊維フィルタを用いることもできる。
【0062】
改良された活性炭素繊維フィルタは、米国特許第4,831,011号、4,366,085号、および、5,705,269号に開示されている。
【0063】
活性炭マトリックスは、例えば、殺菌、陽イオン交換、陰イオン交換、重金属錯体形成、または、他の付加的な所望の特性を提供しうる。
【0064】
図に示される実施形態の飲み口52は、フィルタ20から離れる方向に直進動作することにより機能するが、装置から液体を抽出する他の手段も想定される。例えば、ネジ山における動作によってバルブが開閉するさまざまなバルブ機構も用いられてよい。
【0065】
本装置は、プリフィルタ(図2には示されていない)も有してよい。1つの好適な実施形態では、このプリフィルタは、ベース30、ハンドル40、および、ポンプが取り外されたときに容器10の下端を覆うメッシュ形状を有する。メッシュは、ベース30、ハンドル40、および、ポンプがフィルタに取り付けられたとき、ポンプがメッシュを簡単に通過できるように、適切な位置に線形の切れ目を有してよい。あるいは、メッシュは、ベース30、ハンドル40、および、ポンプが取り付けられる前に装置から取り外されてもよい。プリフィルタは、バクテリアおよびウィルスなどの小さい粒子を除去するのにフィルタカートリッジ20が用いられる前に、水から肉眼で見えるほどの微細な不純物を除去するよう設計されている。
【0066】
液体から不純物を除去すべく、(ハンドル20およびポンプと共に)ベース30が容器から取り外され、(プリフィルタを介し)未処理の液体が容器内に注がれる。その後、ベース30、ハンドル40、および、ポンプは、再び容器に取り付けられ、ポンプハンドル42は、取り外された位置から図1および図2に示すような閉位置へと繰り返し移動され、これによって、ピストンヘッド44がピストン軸42を貫いて上下に移動する。その結果、逆止弁46に空気が流れ込むので、容器内の圧力が上昇する。
【0067】
容器10を加圧した後、ユーザは、容器10の本体から飲み口52を遠ざけることによりキャップ50を開ける。圧力によってフィルタ20を介してキャップ50に水が流れ込み(開口55を介して)、最終的にユーザが受け取れるよう、水筒から出る。フィルタ20を通過した液体は、使用(例えば飲料水として)するのに安全であるとみなされてよい。好適な実施形態の流量は、0.25バールの誘起圧力差において約2.5リットル/分である。
【0068】
図3は、1つの好適な実施形態のフィルタカートリッジ20を示す。図に示すように、フィルタカートリッジ20は、繊維膜24が配される実質的に環状のハウジング22を有する。ハウジング22の外壁は、多数の孔を有し、それによって、容器からの水が繊維膜24へと入ることができる。当該繊維膜は、実質的に可撓管の形状をしており、管の側壁は、半透性である。水は、外壁を介して繊維膜24の多孔性側壁へと浸入していくうちに濾過される。そして、水は、繊維膜を通過して収容腔28に達する。濾過された水は、収容腔28に達した後、図2に示されたキャップを介してユーザに届く。図2に示されるように、繊維膜は、フィルタカートリッジの上端における樹脂層26内で支持され、その結果、繊維膜の正しい位置および向きが保証され、繊維膜を通過していない水が収容腔に達することを防止する封止が提供される。
【0069】
半透性膜の開口が小さいほど、液体から小さい粒子が濾過されるのは明らかだろう。好適な実施形態では、開口は、限外濾過を実行できるほど小さく、つまり、流れからウィルスを除去できるほど小さい。水などの液体は、十分な圧力なしではこのような微細なフィルタを通過せず、本発明は、その圧力を導入する手段を提供する。ナノ濾過および逆浸透などの他のタイプの濾過も想定される。
【0070】
フィルタは、バクテリア、ウィルス、嚢胞、寄生虫、菌類、および、他のすべての水生病原体を除去するのに有効である。実際、フィルタは、水からすべての微生物を除去する。したがって、安全な飲料水がユーザに供給される。
【0071】
本発明と共に用いるのに適した繊維膜は、市販されており、例えば、日本ノリット(株)(www.norit.com)のX−Flow(登録商標)キャピラリ部材を用いてよい。この中空繊維限外濾過膜は、バクテリアおよびウィルスなどすべての汚濁をふるいにかけるのに有効である。
【0072】
水中に懸濁した材料は、濁度と呼ばれる濁りの原因となる。濁度は、土、泥、微生物、および、有機/無機材料によって引き起こされる。濁度は、「濁度単位」で報告される。5単位以上の読み取りなら簡単にわかる。処理済み飲料水は、0.05から0.3濁度単位の濁度レベルでなければならない。
【0073】
本発明により取り除かれる病原体は、バクテリア、原生動物、胞子、ウィルス、嚢胞、および、寄生虫を含む。糞便性大腸菌についての飲料水制限は、100ミリリットル(mL)のサンプル水につき一有機体である。
【0074】
本発明の好適な実施形態においては、膜内の開口は、15ナノメートル未満である。より好ましくは、膜内の開口は、10ナノメートル未満である。これによって、ウィルスならびにバクテリアを確実に水から除去する。フィルタ膜は、好ましくは、親水性であり、その結果、水(または他のあらゆる液体)は、空気(または他のあらゆる気体)より優先的にフィルタ膜を通過する。あるいはまた、油性液体物質がフィルタを通過するよう装置が設計されている場合は、フィルタ膜は、親油性(油を引き付ける)であってよい。したがって、液体と気体とが混ざり合ってフィルタと接触し、容器内の圧力が上昇すると、(フィルタ膜の表面に引き付けられた)液体は、気体より先にフィルタから抜け出る。
【0075】
膜材料の親水性および疎水性は、材料の表面張力に関係する。表面張力比較の根本的な重要性は、表面張力値が低い液体は、一般的に表面張力値が高い材料上に拡散するということである。
【0076】
材料の表面張力値が高いほど、材料の親水性も高い。フィルタで用いられる膜は、好ましくは、親水性である。親水性の膜は、疎水性の膜より大きい汚れ抵抗を示す傾向がある。水生媒体内を汚染する粒子は、疎水性の傾向がある。
【0077】
例えば、膜は、好ましくは、25ダイン/cmより大きく、より好ましくは、30ダイン/cmより大きく、さらに好ましくは、35ダイン/cmより大きい表面張力を有する。
【0078】
膜は、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデン、フルオライド、ポリプロピレン、ポリビニル、クロライド、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、セルロース、アセチルセルロース、それらの混合物、配合物、および、コポリマーからなるグループから選択される材料を含む。
【0079】
好適な膜フィルタ材料は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、セルロース、アセチルセルロース、それらの混合物、配合物、および、コポリマーからなるグループから選択される材料を含む。
【0080】
特に好適な膜フィルタ材料は、ポリエーテルスルホンとポリビニルピロリドンとの混合物を含む。ポリエーテルスルホン(PES)とポリビニルピロリドン(PVP)との混合物は、高オキシダント耐性(塩素では>250,000ppm時間、過マンガン塩酸およびオゾン耐性)があり、広いpH範囲(連続動作時、2から12、洗浄時、<1)、油および油脂への抵抗を示し、親水性である。
【0081】
いくつかの実施形態では、フィルタは、親油性であるが、他の状況では、水は最初から油が除去されていることが望ましい。このことは、例えば、最初から油が混ざっている水源から飲み水を求める場合に有益である。水は、油より先にフィルタに引き付けられて優先的に抽出されるので、親水性でありかつ非親油性のフィルタは、初期の水源から油をよりよく濾過できる。
【0082】
本発明の好適な実施形態で用いられる膜は、水に対し、バクテリア、嚢胞、寄生虫、および、菌類では対数6(99.9999%)より大きく、ウィルスでは対数4(99.99%)より大きい保持率を有する。膜は、水から沈殿物および他の堆積物も取り除く。
【0083】
いくつかの実施形態では、フィルタカートリッジ20は、複数層の繊維膜を有し、各層は、液体から異なるサイズの粒子を濾過する。膜は、セラミックなどの非繊維材料から形成されてよい。
【0084】
本発明の好適な実施形態では、フィルタカートリッジの環状ハウジング22の外壁は、複数の孔を有する。好ましくは、これらの孔は、フィルタカートリッジ20の全長に沿って配される。これによって、装置の向きに関係なく、装置から水を取り出すことができる(水は常に繊維膜24と接した状態で)。空気より優先して水がフィルタ膜を通過する際、キャップ50を開けることにより、常に水を濾過し、それによって、水は、空気が放出されるより先にユーザに供給されるので、格納領域の圧力は低下する。したがって、装置は、液体がフィルタと接触している限り用いられることができる(すなわち、フィルタ全体が液体に浸漬している必要はない)。その結果、フィルタは、好ましくは容器の実質的に全長にわたり延在するので、装置は、その向きに関係なく液体が常にフィルタのいずれかの領域と接触した状態で、いかなる向きでも操作されうる。
【0085】
空気より先に液体を送り出すという優先順位は、あらゆる向きで装置と共に機能するスプレーの提供にも用いられる。このような装置は、図に示されるような実施形態と同様に動作するが、装置から確実に液体がスプレー状で放出されるよう適合されたキャップを用いる。
【0086】
図3に示すハウジング22は、フィルタカートリッジ20の周側壁(内側および外側の両方)を囲み、端壁、特に、底端部(すなわち、収容腔26の位置の反対端)も覆う。カートリッジは、その内壁にさらなる保護層を有してもよいことを理解されたい。これによって、装置が組み立てられるとき(例えば、ピストン軸42がフィルタカートリッジ20の中心を通る位置に配置されるとき)、もろい繊維膜が損傷するのを防ぐ。
【0087】
ハウジング22の孔は、液体中の大きな粒子がフィルタ膜に到達する前に除去するメッシュを有してよい。これによって、液体がフィルタ膜自体に浸入する前の前濾過工程を行うことができる(あるいはまた、上記プリフィルタによって前濾過が行われてもよい)。
【0088】
図2に示すように、フィルタカートリッジは、装置の奥まった場所に着脱可能に取り付けられる。この構造の利点は、フィルタカートリッジが、定位置にある場合は完全に封止されていても、洗浄または交換するためにいつでも取り外せることである。このように、フィルタカートリッジに何らかの理由で損傷しても装置全体を交換する必要がない。
【0089】
図には示していないが、容器の中身をユーザが確認できる視覚インジケータが備えられてよい。例えば、視覚インジケータは、容器の側部における透明な窓の形態をとってもよい。実際、好適な実施形態では、容器の側壁全体は、実質的に半透明である。
【0090】
本発明は、容器内の圧力調整器も含む。例えば、容器壁内に予め決められた圧力で開くバルブが提供されることにより、フィルタを通らずに気体または液体が放出される。液体は、放出されると、装置に組み込まれた追加の区画に吸い上げられるか、または、装置から完全に排出される。他の圧力調整システムは、ユーザに対し、容器内の圧力が一定レベルに達したことを示す装置を有するか、または、圧力が一定レベルに達すると、ポンプ(または、他の加圧手段)をオフにしてもよい。
【0091】
可能な圧力調整装置、より詳しくは、逆止弁が図4に示される。図からわかるように、逆止弁46は、キノコのような形状をしている。ポンプヘッド44がポンプ軸42に導入されると、ポンプ軸42内の圧力により、逆止弁46の横方向の端部がわずかに持ち上がり、ポンプ軸42の孔48を介して容器10に空気が入る。ポンプヘッド44が取り外されると、逆止弁46の横方向の端部が孔48の上に戻ることにより、容器10内の気体が逃げることを防ぐ。
【0092】
圧力は、ポンプヘッド44の先端における通路内に配置されるボールベアリング441により調整される。ボールベアリング441は、ばね442により、ポンプヘッド44の先端に対して付勢されている。容器10内に圧力がかけられると、ボールベアリング441は、印加された圧力に応じた距離だけ通路の下方に引っ込む。印加された圧力が予め決められた最大レベルに達すると、ボールベアリング441は、空気が排出通路443を通過して、ポンプ軸42を下げることができるように引っ込み、それによって、容器10に追加の圧力がかけられるのを防ぐ。ばね442を引っ込めるのに必要な圧力は、ばね442の長さ、および、ばね定数(フックの法則に従う)に依存する。このようにして、容器にかけられうる最大圧力が調整される。
【0093】
ヘッド44が軸42の内部を上方に移動するとき、装置に空気を確実に送るためにシールリング444が用いられる。上部隆起445内にはシールリング444を定位置に保持するチャネルまたは溝が設けられ、ポンプ軸42からポンプヘッド44が後退したとき、空気がポンプヘッド44の上のポンプ軸42の領域内を通過できるようにして当該領域が真空状態にならないようにすることにより、ポンプヘッド44が抜け出ることを防ぐ。
【0094】
圧力調整の一例としては、逆浸透が考えられる。逆浸透フィルタは、水から塩を除去することができる。しかしながら、格納領域から水を濾過するにつれ、格納領域に残る水は、濃度が増していく。これによって、フィルタに塩がつまる可能性が高まり、フィルタの寿命を縮めることになる。したがって、このような事が起きるのを防ぐ機構を提供することが有益である。
【0095】
また、フィルタ膜におけるあらゆる故障の原因となる、装置にかけられる圧力を調整することが有益である。例えば、フィルタが詰まった場合、水を高圧で通そうとするのは安全でない、というのは、フィルタを介して汚染物質まで通してしまう可能性があるからである。
【0096】
ある状況では、容器内、および、フィルタの周りに液体の流れを生じさせることが有益であろう。これによって、フィルタ膜が詰まって機能しなくなる割合が減少することがわかっている。一例では、所定の圧力(例えば、圧力調整機構による)での液体の放出は、適切な流れを生じさせうる。
【0097】
従来の発展性のない濾過とは異なり、クロスフロー濾過プロセスは、流動液体によって間断なく洗い流される濾過表面を有する。供給流体の一部がフィルタを通過することにより、流体は濾過されるか、または浸透する。供給流体の他の部分は、フィルタ媒体のそばを通り過ぎ、濃縮または残留流体としてフィルタユニットを出る。管壁に沿った流動液体のせん断は、濾過表面における固体の蓄積を最小限にする。したがって、クロスフロー濾過は、ほぼ安定した状態動作の可能性をもたらす。従来の発展性のない濾過によると、固体層が蓄積されるにつれ濾過率は低下する。クロスフロー濾過では、供給フローの方向は、フィルタ表面と平行なので、蓄積される固体は、流れの力によって間断なく洗い流される。
【0098】
本発明は、懸濁物質を含む大量の水を処理する目的で、中空ファイバフィルタ膜を利用する。中空ファイバフィルタ膜は、優れた濾過能力を有し、さらに、フィルタ膜の広域が単位体積に含まれることを可能にする。
【0099】
クロスフロー濾過は、処理液が膜表面と平行に流れる圧力駆動濾過プロセスである。10ポンド・平方インチ(psi)から100psiまでの圧力下において、濾過水は、膜を通過し、澄んだ浸透液として排出される。取り除かれた粒子種は、廃棄はたはリサイクルのために保持され、収集される。膜の能力は、浸透フラックス、および、構成金属の除去によって測定される。
【0100】
孔サイズに加え、孔の構造も膜の性能にとってきわめて重要である。従来のフィルタは、フィルタの断面内の隘路および割れ目に粒子が凝集しうる不規則な形状の孔を有する。濾過膜の孔は、送り側の直径が浸透側の直径より小さい非対称な逆円錐形状である(図3)。孔を通過するいかなる粒子も膜内に蓄積されることなく、妨げられずに通り続けるので、UF(限外濾過)膜の孔は詰まらない。したがって、これらのフィルタを洗浄するのは、簡単かつ安価であり、定期的に洗浄することにより、長期にわたる繰り返しの使用を可能にする。適切な操作、および、メンテナンスにより、UF膜は、交換しなくても何年も使用できる。
【0101】
膜は、中空ファイバの形態で用いられてよい。中空ファイバ膜は、ポリマーを管状に押出成形することにより形成される。中空ファイバは、流路の詰まりに耐性がある。中空ファイバは、バックパルス化されるか、あるいは、流動条件を逆にされることにより、汚染物質の最適な除去を実現する。
【0102】
上述のごとく、本発明の原理は、他の用途においても用いられうる。特に、容器の実質的に全長にわたり延在し、気体より液体を優先して通過させる1つ以上の膜(例えば、親水性かまたは親油性の膜)を提供することにより、容器内に格納された液体は、圧力をかけることによって、容器の向きに関係なく、膜を介して出口へと移動しうる。さらに、この方法では、他の液体から1つの液体を選択することもできる(例えば、非親油性で親水性の膜は、油と水とを分離する)。圧力は、上記実施形態のように手動でかけられてもよいし、あるいは、容器を予め加圧してもよい。
【0103】
上記の濾過とは異なり、あらゆる向きで機能するよう設計されたディスペンサは、液体から所定のサイズの粒子を除去する必要がないので、孔が所定のサイズに制限される必要はない。孔サイズは、代わりに、液体の粘性、フィルタの表面積、および、容器内の圧力が決められた場合の好ましい流量に基づいて選ばれてよい。
【0104】
上記例における膜は、容器に含まれるように示されているが、逆の設定も有効でありうる。すなわち、容器が膜に囲まれてもよい。このように、液体は、膜に囲まれる領域内で保持される。
【0105】
図5は、あらゆる向きで機能するスプレーディスペンサ100の一例を示す。膜120は、ディスペンサの外壁内に配置され、当該外壁は、膜120内で液体タンク140を規定する。液体タンク内には気体と液体との混合物が配され、当該混合物は、外気より高い圧力下にある。
【0106】
膜120とディスペンサの外壁との間の面積は、移動領域130を規定し、キャップ110は、当該移動領域の上部を外気から密閉する。キャップを開けると、液体タンクと外気との間に圧力差が生じ、液体は、膜を介して移動領域に押し出され、最終的にはキャップを介し、装置の外へ放出される。
【0107】
図5に示す膜は、気体より液体を優先して通過させ、液体タンクを完全に囲む。その結果、装置は、その向きに関係なく、キャップが開けられると水を放出するようになる。別の構成は、装置がいかなる向きにあっても1つ以上の膜が液体と接触することを保証する。例えば、直線で囲まれた輪郭を有する装置は、各コーナーの実質的に全長に沿って延びる個別の膜を有しうる。
【0108】
図5には、単一の膜のみが示されている。しかしながら、例えば、側壁内に、異なる粒状性を有する膜からなる多数の層が存在しうることも想定される。上記水フィルタに関して説明した膜とは異なり、図5に示す膜は、中空管の形状ではない。しかしながら、図5に示す膜に関して中空管も用いられることが想定される(また、上記水フィルタのケースで別の構成も想定される)。同様に、膜は、壁と一体化している必要はなく、壁とは別に存在してよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、膜は、中空管の形状であり、従来技術の装置に見られる従来の抽出ストローにそのまま置き換えられる。このようにして、いかなる向きでも機能するディスペンサの製造コストを下げる。ディスペンサ内にある中空膜は、その柔軟性により、所望の位置に配置されることができる。例えば、外壁に押圧されてもよい。
【0110】
通過する水をイオン化できるほど膜壁内の孔が小さい場合、有益なキャピラリ効果によって、移動領域を通じた液体の移動が促進される。
【0111】
図5に示されるディスペンサは、予め加圧されているが、容器と外気との間に圧力差をもたらすために他の多くの技術が用いられうる。例えば、上記水フィルタに関して記載された種類のポンプも用いられうる。あるいは、化学手段を用いてもよく、また、ユーザが装置を絞ることによって圧力が加えられるよう、装置が柔軟であってもよい。
【0112】
向きに依存しないという本発明の効果から利益を得る応用例は、スプレー塗料、スプレー脱臭剤、台所製品、および、香水を含むがこれらに限定されない。これらの装置は、従来、液体が特定の位置で抽出管に入らなければならない場合、液体の残量レベルが低いと、ほとんどの向きで機能しなくなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水から不純物を除去する装置であって、
液体タンク、フィルタ、および、出力部により規定される流体経路と、
前記出力部が開位置にある場合、圧力差によって、水が前記流体経路に沿い前記フィルタを介し前記出力部まで流れるように、前記液体タンクを加圧する手段と、
を備え、
前記フィルタは、25ナノメートル以下の孔サイズを有する、装置。
【請求項2】
前記孔サイズは、20ナノメートル以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記孔サイズは、15ナノメートル以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フィルタは、空気より水を優先して移動させる、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記フィルタは、1つ以上の膜を有する、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の膜は、親水性である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の膜は、キャピラリ膜である、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタは、前記水から塩を除去する、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記フィルタは、前記水から油を除去する、請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタは、前記液体タンクの実質的に全長にわたり延在する、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記フィルタは、複数の孔が貫通する外壁を含む環状ハウジングを有する、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記複数の孔は、前記フィルタの実質的に全長にわたり分布する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記出力部は、流量制限器を含む、請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記出力部は、開位置と閉位置とを有するノズルを含む、請求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記ノズルは、くわえることができない(non−chewable)の飲み口を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記液体タンクを加圧する前記手段は、ポンプを含む、請求項1から15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記ポンプは、ピストンポンプであり、前記ピストンポンプは、
前記液体タンク内に空気を送り込む逆止弁と、
前記逆止弁を通じて空気が送り込まれるように、ピストンヘッドが内部を移動できるピストン軸と、
を有する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ピストン軸は、前記フィルタにより実質的に囲まれる、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記液体タンク、前記フィルタ、および、前記ピストン軸は、実質的に円筒形であり、共通軸を共有する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ポンプは、手動操作できる、請求項15から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記装置の中身を示す視覚インジケータをさらに備える、請求項1から20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
圧力調整器をさらに備える、請求項1から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記圧力調整器は、前記液体タンク内の圧力が予め決められたレベルより上昇することを防ぐバルブを有する、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記出力部は、二次フィルタの後ろにある、請求項1から23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記二次フィルタは、炭素フィルタである、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
液体タンク、1つ以上の膜、および、出力部により規定される流体経路と、
前記液体タンクを加圧する手段と、
を備え、
前記流体経路は、前記出力部が開位置にある場合、圧力差によって、液体が前記流体経路に沿い前記1つ以上の膜を介し前記出力部まで流れるように配置され、
前記1つ以上の膜、および、前記液体タンクは、実質的にいかなる向きでも前記液体タンク内の前記液体が前記膜と接しているよう配置され、前記1つ以上の膜は、気体より液体を優先して通す、
流体送出装置。
【請求項27】
前記1つ以上の膜は、前記液体タンクの実質的に全長にわたり延在する、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
水から不純物を除去する装置であって、請求項24または請求項25に記載の流体送出装置を備え、前記膜の前記孔サイズは、25ナノメートル以下であり、前記膜は、フィルタとして機能する、装置。
【請求項29】
前記孔サイズは、20ナノメートル以下である、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記孔サイズは、15ナノメートル以下である、請求項28または29に記載の装置。
【請求項31】
前記フィルタは、空気より水を優先して移動させる、請求項28から30のいずれかに記載の装置。
【請求項32】
前記1つ以上の膜は、親水性である、請求項26から31のいずれかに記載の装置。
【請求項33】
前記1つ以上の膜は、キャピラリ膜である、請求項26から32のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記フィルタは、前記水から塩を除去する、請求項28から33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記フィルタは、前記水から油を除去する、請求項28から34のいずれかに記載の装置。
【請求項36】
前記フィルタは、前記液体タンクの実質的に全長にわたり延在する、請求項28から35のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
前記フィルタは、複数の孔が貫通する外壁を含む環状ハウジングを有する、請求項28から36のいずれかに記載の装置。
【請求項38】
前記複数の孔は、前記フィルタの実質的に全長にわたり分布する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記出力部は、流量制限器を含む、請求項26から38のいずれかに記載の装置。
【請求項40】
前記出力部は、開位置と閉位置とを有するノズルを含む、請求項26から39のいずれかに記載の装置。
【請求項41】
液体から不純物を除去する装置であって、
液体タンク、フィルタ、および、出力部により規定される流体経路と、
前記出力部が開位置にある場合、圧力差によって、液体が前記流体経路に沿い前記フィルタを介し前記出力部まで流れるように、前記液体タンクを加圧するポンプと、
を備え、
前記ポンプは、
前記液体タンク内に空気を送り込む逆止弁と、
前記逆止弁を通じて空気が送り込まれるよう、ピストンヘッドが内部を移動できるピストン軸と、を有し、
前記ピストン軸は、前記フィルタにより実質的に囲まれる、装置。
【請求項42】
前記液体タンク、前記フィルタ、および、前記ピストン軸は、実質的に円筒形であり、共通軸を共有する、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記フィルタは、前記出力部から前記液体タンクの実質的に全長に沿って延在する、請求項41または42に記載の装置。
【請求項44】
前記出力部は、流量制限器を含む、請求項41から43のいずれかに記載の装置。
【請求項45】
前記出力部は、開位置と閉位置とを有するノズルを含む、請求項41から44のいずれかに記載の装置。
【請求項46】
前記ポンプは、手動操作できる、請求項41から45のいずれかに記載の装置。
【請求項47】
前記フィルタは、複数の膜を有する、請求項41から46のいずれかに記載の装置。
【請求項48】
前記膜は、半透性で中空である、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記フィルタ膜は、前記フィルタの実質的に全長にわたり延在する、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記フィルタは、複数の孔が貫通する外壁を含む環状ハウジングを有する、請求項41から49のいずれかに記載の装置。
【請求項51】
前記複数の孔は、前記フィルタの実質的に全長にわたり分布する、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記装置の中身を示す視覚インジケータをさらに備える、請求項41から51のいずれかに記載の装置。
【請求項53】
圧力調整器をさらに備える、請求項41から52のいずれかに記載の装置。
【請求項54】
前記圧力調整器は、前記液体タンク内の圧力が予め決められたレベルより上昇することを防ぐバルブを有する、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記出力部は、二次フィルタの後ろにある、請求項41から54のいずれかに記載の装置。
【請求項56】
前記二次フィルタは、炭素フィルタである、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
水から不純物を除去する装置であって、
液体タンク、フィルタ、および、出力部により規定される流体経路と、
前記出力部が開位置にある場合、圧力差によって、水が前記流体経路に沿い前記フィルタを介し前記出力部まで流れるように、前記液体タンクを加圧する手段と、
を備え、
前記フィルタは、少なくとも対数4の病原体保持率を有する、
装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−56334(P2013−56334A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−225088(P2012−225088)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2009−528788(P2009−528788)の分割
【原出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(509076535)
【Fターム(参考)】